昭和47(オ)1289 引受債務請求

裁判年月日・裁判所
昭和51年3月4日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和45(ネ)3390
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人高芝利徳、同渡辺法華の上告理由第一点について  原判決の確定した事実

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判決文本文2,051 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人高芝利徳、同渡辺法華の上告理由第一点について原判決の確定した事実関係は、次のとおりである。 1 上告人は、昭和三八年六月一五日訴外D(以下「D」という。)から同人所有の本件建物(ビルデイング)の二階部分一七六・八五平方メートル(以下「本件貸室」という。)を、期間昭和三八年七月一日から五年間、賃料一か月二三万〇〇五〇円、敷金一三八万〇三〇〇円、保証金六六四万四七〇〇円の約定で賃借し、上告人は昭和三八年七月一日までに右敷金及び保証金をDに差し入れ、本件貸室の引渡を受けた。 2 右敷金及び保証金に関する特約として、本件賃貸借契約の期間満了の際、上告人が本件貸室の明渡を完了し、かつ、右契約上の債務を完済したときは、Dは直ちに前記敷金及び保証金を上告人に返還しなければならず、ただ、上告人は、(イ)右契約成立時から二年間はやむを得ない事情がない限り解約することができず、(ロ) 二年経過後は正当な理由がある限り解約することができるが、Dは、右(ロ)の場合には直ちに敷金及び保証金を返還しなければならないのに反し、(イ)の場合には、敷金については、直ちにこれを返還し、保証金については、本件貸室の次の入居者が決定し、その者から保証金が差し入れられるまで、六か月を限つてその返還を留保できる旨約された。 3 本件保証金に関する約定は本件賃貸借契約書の中に記載されていたが、右保証金は、Dが本件建物建築のために他から借り入れた金員の返済にあてることを主な目的とする、いわゆる建設協力金であつて、本件賃貸借契約成立のときから五年- 1 -間はこれを据え置き、六年目から毎年日歩五厘の利息を加えて一〇年間毎年均等の割合でDから上告人 にあてることを主な目的とする、いわゆる建設協力金であつて、本件賃貸借契約成立のときから五年- 1 -間はこれを据え置き、六年目から毎年日歩五厘の利息を加えて一〇年間毎年均等の割合でDから上告人に返還することとされている。 4 被上告人は昭和四三年五月九日競落によつて本件建物の所有権を取得し、同年六月五日その旨の登記を経由した。 5 建物の所有権移転に伴つて新所有者が賃貸人たる地位を承継するとともに、保証金返還債務も当然に承継するという慣習ないし慣習法が形成されていることの立証はない。 以上の事実関係に即して考えると、本件保証金は、その権利義務に関する約定が本件賃貸借契約書の中に記載されているとはいえ、いわゆる建設協力金として右賃貸借とは別個に消費貸借の目的とされたものというべきであり、かつ、その返還に関する約定に照らしても、賃借人の賃料債務その他賃貸借上の債務を担保する目的で賃借人から賃貸人に交付され、賃貸借の存続と特に密接な関係に立つ敷金ともその本質を異にするものといわなければならない。そして、本件建物の所有権移転に伴つて新所有者が本件保証金の返還債務を承継するか否かについては、右保証金の前記のような性格に徴すると、未だ新所有者が当然に保証金返還債務を承継する慣習ないし慣習法があるとは認め難い状況のもとにおいて、新所有者が当然に保証金返還債務を承継するとされることにより不測の損害を被ることのある新所有者の利益保護の必要性と新所有者が当然にはこれを承継しないとされることにより保証金を回収できなくなるおそれを生ずる賃借人の利益保護の必要性とを比較衡量しても、新所有者は、特段の合意をしない限り、当然には保証金返還債務を承継しないものと解するのが相当である。そうすると、被上告人が本件保証金返還債務を承継しないとした原審の判断は、正当 とを比較衡量しても、新所有者は、特段の合意をしない限り、当然には保証金返還債務を承継しないものと解するのが相当である。そうすると、被上告人が本件保証金返還債務を承継しないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同第二点及び第三点について- 2 -所論は、原審の認定にそわない事実又は独自の見解に基づき原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。所論引用の判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。 同第四点について原判決は、上告人が現に本件貸室を占有していないこと及び上告人において民法二〇一条三項所定の期間内に占有回収の訴を提起していないことを理由に、上告人が本件貸室につき留置権を有しないと判断したものであつて、原判決の確定した事実関係のもとにおいては、右判断は正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下田武三裁判官藤林益三裁判官岸盛一裁判官岸上康夫裁判官団藤重光- 3 -

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