【DRY-RUN】○ 主文 一 原告らの請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 原告ら 1 鎌倉市に対し、被告Aは二四六五万二〇〇五円、その余の被告は各六一
○ 主文一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告ら 1 鎌倉市に対し、被告Aは二四六五万二〇〇五円、その余の被告は各六一六万三〇〇一円及びこれらに対する昭和五四年六月二九日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 3 第一項につき、仮執行の宣言。 二被告ら主文同旨第二原告らの請求の原因一当事者 1 原告らは、いずれも鎌倉市(以下、単に「市」ということがある。)の住民である。 2 亡Bは、昭和五三年九月三日、鎌倉市長(以下、単に「市長」ということがある。)に就任した。被告AはBの妻であり、その余の被告はその子である。 二 Bの退職手当支給Bは、鎌倉市長としてその事務を管理・執行する職務権限を有する者であるが、昭和五三年一〇月一八日、当時同市の一般職職員であつたCを同市助役に選任するとともに、同人に対し、一般職の退職手当として、同年同月二五日に四六七五万三三九八円、同五四年一月一九日に一四三万一四〇八円、計四八一八万四八〇六円を支給し、更に、同五三年一二月二五日、同じく当時同市の一般職職員であつたDを助役に選任するとともに、同人に対し、一般職の退職手当として、同年同月二六日に四一六一万二九二三円、同五四年一月一九日に一三三万五七六二円、計四二九四万八六八五円を支給した(以下、右各退職手当の支給を併せて「本件支給」という。)。 三本件支給の違法 1 給与条例主義地方自治法(以下「法」という。)二〇四条三項、二〇四条の二、地方公務貝法二四条六項、二五条一項は、地方公共団体の職員に対する給与その他の給付の額及び支給方法は条例で定めなければならず、条例に基づかずしていかなる給与その他の給付も支給してはならない 条の二、地方公務貝法二四条六項、二五条一項は、地方公共団体の職員に対する給与その他の給付の額及び支給方法は条例で定めなければならず、条例に基づかずしていかなる給与その他の給付も支給してはならないと規定している。 2 市の条例等市では、右の法律の規定に従い、職員の退職手当につき、次のとおり条例等が制定されている。 すなわち、一般職職員につき、「鎌倉市職員の退職手当に関する条例」(以下「本件条例」という。)及び同条例の施行規則として「鎌倉市職員の退職手当優遇に関する規則」(以下、昭和五三年一〇月一七日規則第一四号による改正前のものを「旧規則」といい、同改正後のものを「本件現則」という。)がそれぞれ制定されており、また、市長・助役等の特別職職員につき、「鎌倉市常勤特別職職員の給与に関する条例」(以下、昭和五三年一〇月一七日条例第九号による改正前のものを「旧特別職条例」といい、同改正後のものを「特別職条例」という。)が制定されている。 3 本件条例五条の二の立法趣旨(一) 本件条例五条の二は、「規則で定める年齢に達したことによりその日に退職した者」及びその「年齢に五年以内で達することとなる者が同項に定める年齢に達する日の前日までの間に退職した場合」については、特に退職手当の額を増額するといういわゆる優遇措置を採ることとしている。この規定の趣旨は、法律上の身分保障があり、定年制のない市職員についてその若返りを図り、あわせて市財政の軽減を意図するものであつて、いわゆる退職勧奨にこたえて勇退する高年齢職員に対する代償措置を講じたものである。 (二) したがつて、右の趣旨によれば、本件条例五条の二が、「規則で定める年齢」として規則に委任しているところは、文字どおり「年齢の決定」に限られるのである。 同条の規則への委任が、「年齢の決定」に限られること がつて、右の趣旨によれば、本件条例五条の二が、「規則で定める年齢」として規則に委任しているところは、文字どおり「年齢の決定」に限られるのである。 同条の規則への委任が、「年齢の決定」に限られることは、次の理由から明らかである。すなわち、(1) 明文上、「規則で定める年齢」とあり、その趣旨が極めて単純明解であること(2) 同条には優遇措置を受け得る他の事由として、「公務上の傷病若しくは死亡により退職した者」が規定されているが、これも「規則で定める年齢」と同じく一義的に決定される事由であること(3) 前記の給与条例主義の決意に照らして、条例の文言は厳格に解釈適用すべきであつて、拡張解釈は許されないこと(4) 給与の支給要件に関する規則への委任は、受任者である規則制定権者が、同時に人事管理上の任命権者ないし監督権者であり、かつ財務上の支出命令権者でもあるところから、委任の趣旨が明確に示され、かつその内容が具体的、限定的でなければならないこと(5) 同条の優遇措置の趣旨・目的からいつて、その要件は客観的、明確かつ妥当なものでなければならないこと以上の理由によれば、同条の規則への委任は「年齢の決定」以外にあり得ない。 (三) 本件条例五条の二の前記趣旨に従い、本件規則二条は、本件条例五条の二第一項の規定による規則で定める年齢は、満六〇歳とすると規定する。 4 本件規則付則六項制定の違法性(一) 市では、従来一般職職員が助役等の特別職に選任された場合、その者が退職する際の退職手当の額は、当該特別職の給料月額を基礎として、一般職職員からの在職期間を通算して退職手当の額を算出した上、更に前記特別職の給与に関する条例により市議会の議決を得て定められる加給金を付加して支給するという制度であつた(旧特別職条例五条、六条)ため、その額が莫大なものとなり 算して退職手当の額を算出した上、更に前記特別職の給与に関する条例により市議会の議決を得て定められる加給金を付加して支給するという制度であつた(旧特別職条例五条、六条)ため、その額が莫大なものとなり、かねて市民の批判を受けていた。 このような経緯から昭和五三年一〇月七日市議会において、旧特別職条例等の一部改正が行われ、一般職職員が助役等の特別職に選任されたときは、その時点において一般職職員として退職手当条例に従つて退職手当を支給し、特別職在任の退職手当はその任期ごとにその都度所定の退職手当を支給することとなつた(特別職条例五条)。 (二) Bは、前記特別職条例等の一部改正と同時に、旧規則の付則を改正し、新たに本件規則付則六項を制定した。 同項の内容は、一般職職員が二〇年以上勤務し、特別職に選任されたことにより一般職を退職したときは、その退職の日をもつて本件規則二条の年齢(六〇歳)に達したものとみなす、すなわち優遇措置を適用するというものであるが、これは次の理由により違法無効である。 (1) 本件規則付則六項は、「第二条に定める年齢とみなす」とあたかも年齢に関係するかのような規定の仕方をしているが、その趣旨は、優遇措置制度によつて計算した割増退職手当を支払うというものであつて、規則をもつてかかる割増退職手当の支給を規定することは違法であり、当然無効である。 (2) 本件条例五条の二は、「年齢の決定」のみを規則に委任しているが、本件規則付則六項の規定は「年齢の決定」の範疇に入らず、委任の範囲を逸脱したものである。 (3) 本件規則付則六項に規定するところは、本件条例が規定する優遇措置制度の趣旨・目的に反する。すなわち、優遇措置は、前記のとおり定年制に代わるものとして、老齢化による能率の低下を防ぎ、人件費の増大を抑えるという行政目的に基づき、当 ろは、本件条例が規定する優遇措置制度の趣旨・目的に反する。すなわち、優遇措置は、前記のとおり定年制に代わるものとして、老齢化による能率の低下を防ぎ、人件費の増大を抑えるという行政目的に基づき、当該職員が職を退くことに対する代償ないし将来の生活保障として退職手当を増額し、もつて自由意思による退職を促すところにその趣旨があり、その限りでその合理性が認められるが、本件規則付則六項の定めるところは、これらとはまつたく無縁であるのみか、むしろその趣旨・目的に反するものである。 (4) 前述のとおり優遇措置を受け得る地位は職員の側からすれば一つの権利であるが、特別職に選任されたからといつて、これらの者のみが年齢にかかわりなく優遇措置を受けるとすることは、退職手当本来の性格(賃金の後払い)からいつて著しく公平の観念及び平等取扱の原則(地方公務員法一三条)に反し、許されないところである。 5 本件規則付則六項の適用Bは、前記二のとおり、C及びDをそれぞれ助役に選任し、本件規則付則六項を適用して、選任当時、Cが満五三歳、Dが満五〇歳であつたにもかかわらず、満六〇歳とみなして優遇措置を講じた。 6 結論以上のとおり、BがC及びDの本件支給につき本件条例に基づく優遇措置を適用したことは、結局条例に基づかないで退職手当を支給したものであつて違法であり、同人らの退職手当は、同条例を正しく適用して、Cにつき二三〇一万〇五八七円、Dにつき一八八一万八八九四円が、それぞれ支給されるべきである。 したがつて、Bの本件支給は、それぞれ右額を超える限度において違法な公金の支給に当たるというべきである。 四 Bの故意又は過失Bは、故意又は過失により、本件条例五条の二の規定に反して、本件支給をした。 五市が受けた損害Bの違法な本件支給により、市は、Cに対し、支給した四八一八 たるというべきである。 四 Bの故意又は過失Bは、故意又は過失により、本件条例五条の二の規定に反して、本件支給をした。 五市が受けた損害Bの違法な本件支給により、市は、Cに対し、支給した四八一八万四八〇六円と本件条例により支給すべき二三〇一万〇五八七円との差額二五一七万四二一九円及びDに支給した四二九四万八六八五円と同条例により支給すべき一八八一万八八九四円との差額二四一二万九七九一円との合計四九三〇万四〇一〇円の損害を受けたものである。 六住民監査請求原告らは、昭和五四年三月二四日、鎌倉市監査委員に対し、Bの本件支給により同市が受けた損害を補填することを求める旨の監査請求をしたところ、同委員は、同年五月二二日、その必要が認められないとする結論を出し、そのころ原告らに右結果の通知をした。 七相続による債務の承継Bは、昭和五六年九月一〇日死亡し、同人の妻である被告Aが二分の一、同人の子であるその余の被告ら四名が各八分の一の割合で本件訴訟の目的たる債務を相続により承継した。 八よつて、原告らは、法二四二条の二第一項匹号に基づき、市に代位して、被告Aに対し二四六五万二〇〇五円、その余の被告に対し各六一六万三〇〇一円及びこれらに対する弁済期の後である昭和五四年六月二九日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める。 第三請求の原因に対する被告らの認否一請求の原因一、二についてすべて認める。 二同三について 1 1、2は認める。 2 3(一)のうち、本件条例五条の二の規定の趣旨がいわゆる退職勧奨にこたえて勇退する高年齢職員に対する代償措置を講じたものであるとする点は争い、その余は認め、また、3(二)は争い、3(三)のうち、本件規則二条の規定の内容は認めるが、その余は争う。 3 4(一)のうち、旧特別職条例 高年齢職員に対する代償措置を講じたものであるとする点は争い、その余は認め、また、3(二)は争い、3(三)のうち、本件規則二条の規定の内容は認めるが、その余は争う。 3 4(一)のうち、旧特別職条例による一般職職員が助役等の特別職に選任された場合の退職手当の額が莫大なものとなり、かねて市民の批判を受けていたことは争い、その余は認める。 4 (二)のうち、Bが、特別職条例等の一部改正と同時に、旧規則の付則を改正し、新たに本件規則六項を制定したこと及び同項の規定の内容は認めるが、その余は争う。 4 5は認めるが、6は争う。 三同四、五についてすべて争う四同六について認める五同七についてBが昭和五六年九月一〇日死亡したことは認めるが、、その余は争う。 第四被告の主張一本件条例五条の二の立法趣旨本件条例五条の二第一項は、一般職職員が退職手当の優遇措置を受けるための要件の一として、「規則で定める年齢」に達したことを規定している。すなわち、優遇措置を受ける退職時の年齢の決定は、市長が制定する規則の定めるところに委任しているのであるが、右委任規定の立法趣旨は次のとおりである。 一般職の地方公務員は、その意に反して一方的に退職させられることはないとする法律による身分保障があり、いわば終身雇傭制度が採られている(地方公務員法二七条)。そこで、人事の新陳代謝を図るために、一定年齢に達した職員に対して割増退職手当を支給するという優遇措置を講じて退職勧奨を行う制度が行われている。この制度を有効かつ円滑に実施するためには、職員の年齢構成、退職状況、職員定数の増減、財政事情等諸般の条件を総合的に勘案して退職勧奨年齢を決定することが必要であるが、そのためには条例で一律に年齢を規定するよりは、平素職員を監督し、庁内の事情に通暁している市長の判断(裁量) 数の増減、財政事情等諸般の条件を総合的に勘案して退職勧奨年齢を決定することが必要であるが、そのためには条例で一律に年齢を規定するよりは、平素職員を監督し、庁内の事情に通暁している市長の判断(裁量)に委任することが適当である。そのため、同条例五条の二第一項は優遇措置を受ける年齢を規則に委任しているのであり、市長としては合目的的な判断に基づいて規則を制定すべきものである。同条例五条の二第一項が規則による年齢の決定を市長の裁量に委ねているものであることは、同条例五条の二第一項が委任について何らの条件若しくは制限を設けていないことによつて明らかである。 したがつて、右委任に基づいて制定された本件規則付則六項は、右委任の範囲内にあるということができる。 二本件支給の違法性の欠如支出の原因となる先行行為が存在し、これに基づいて支出命令がなされた場合に、先行行為が法令に違反するものであつたとしても、そのことから直ちに支出命令が違法となるものではない。 このことは、次の理由から結論付けられる。 一つには、行政行為の公定力に由来するものである。すなわち、東京高裁昭和五五年三月三一日判決(判例時報九六二号四四頁)は、分限免職された職員に対する退職手当の支払を違法であるとして、市長を被告とした損害賠償請求にかかる住民訴訟の判決であるが、右判決は、その理由として、「分限免職処分は行政処分であるから、仮りにその処分に違法な点があつたとしても、それが取り消されることなく、外形上有効なものとして存在する限り、何人も(右処分庁自身をも含めて)これを有効なものとして取り扱わざるを得す(いわゆる行政処分の公定力)、従つて分限免職処分に違法な点があるからといつて、その結果これを前提とする退職手当の支出が当然に違法となるものではない。右退職手当の支出が違法であるというた ざるを得す(いわゆる行政処分の公定力)、従つて分限免職処分に違法な点があるからといつて、その結果これを前提とする退職手当の支出が当然に違法となるものではない。右退職手当の支出が違法であるというためには、分限免職処分に、処分の不存在、処分権限の欠缺、あるいはその他処分に無効を来たすような重大かつ明白な瑕疵がある場合でなければならないと解するのが相当である」と判示している。右に判示された法理は、「分限免職処分」を「本件規則付則六項」、「行政処分」を「規則制定行為」、「行政処分の公定力」を「法規の拘束力」と読み替えるならば、そのまま本件に妥当するものである。 他は、職員の賠償責任を規定する法二四三条の二第一項の「故意又は重大な過失により」という要件から導き出される。同項の故意又は重過失及び法令違反という二つの要件を併せ考えるならば、先行行為の違法が一見明白である場合に職員がそのことを認識し、又は重大な過失によつて認識しないまま、支出命令をしたときには、その違法性を承継して支出命令そのものが違法となるが、先行行為の違法が司法審査の判断として示されたときとか、適法違法をめぐつて見解が対立しているとき等には違法性は承継されないと解すべきである。 三本件支給についての重過失の欠如仮に、Bの本件支給行為が法二四二条の二第一項所定の違法な公金の支出に当たるとしても、Bは市長として収入役に対して支出命令をする権限を有し、右支出命令に基づいて収入役がC、Dに対して退職手当を支出したものであるから、市のBに対する損害賠償請求権は、法二四三条の二第一項後段に基づき、Bが故意又は重大な過失により、法令の規定に違反して右支出命令をしたことによつて市に損害を与えたときに限つて発生するものであるところ、Bには本件支給の支出命令が違法であることについて、軽過失はともか が故意又は重大な過失により、法令の規定に違反して右支出命令をしたことによつて市に損害を与えたときに限つて発生するものであるところ、Bには本件支給の支出命令が違法であることについて、軽過失はともかく、故意又は重大な過失はない。 四損害の不存在 1 違法な行為によつて地方公共団体が利益を得、又は損失を被ることがない場合には、住民訴訟の要件を欠き、住民の請求は却下又は棄却されなければならない。 退職手当の性格については、報償説、後払給与説、両者の折衷説などいろいろな学説があるが、いずれにせよ職員は在職期間に対応する退職手当請求権を有しているものであり、退職によつて右請求権が具体的な公法上の金銭債権となるのである。 これを本件についてみると市がC及びDに支払う退職手当の総額は、両名が助役を退任して再任されなかつた時点において確定するものである。原告らは、この点を看過して、一般職職員の退職の時点の退職手当のみをとらえて、本件規則付則六項の改正を非難しているのであるが、市は右両名に対して、助役在任中の期間に対応する条件付若しくは不確定期限付の退職手当支払債務を負つているのであるから、財産上の損害の有無は両者を合わせて比較検討されなければならない。 2 助役に選任された当時、Cは社会福祉部長、Dは下水道部長の職にあつた。市における職員の勧奨退職年齢は六〇歳であるから、仮に助役に選任されなかつたならば、右両名は右年齢まで一般職の職員として勤務することができた筋合である。 (一) 本件条例により両名が六〇歳で退職した場合の退職手当を計算するならば、別表一記載のとおりCについては六三二六万七六二〇円、Dについては六四一二万三六七〇円となる。 (二) 本件条例及び特別職条例の各改正前においては、本件条例付則六項(改正前)の規定により一般職と助役との在職年数が通算 Cについては六三二六万七六二〇円、Dについては六四一二万三六七〇円となる。 (二) 本件条例及び特別職条例の各改正前においては、本件条例付則六項(改正前)の規定により一般職と助役との在職年数が通算され、退職時における助役の給与を基礎として退職時の年齢にはかかわりなく優遇措置の適用を受け、更に加給金制度により退職手当が支給された。すなわち、改正前の制度の下にあつては、仮に助役一期四年間在職したとすれば、別表二記載のとおりCは八三一七万五三五六円、Dは七六一八万六四九二円の退職手当を受けることができたこととなる。 (三) 昭和五三年一〇月一七日、旧特別職条例等の一部改正が行われた結果、一般職職員が助役等の特別職に選任されたときは、その時点において一般職職員として本件条例に従つて退職手当を支給し、特別職在任に係る退職手当はその任期毎にその都度所定の退職手当を支給することとなつた。 右改正後の制度の下で、仮に本件規則付則六項のとおりの改正がなされず、右両名が助役として一期四年間在職した場合の退職手当の金額は、別表三記載のとおりCにあつては一般職職員としての二三〇一万〇五八七円と助役としての八四三万二〇〇〇円との合計額三一四四万二五八七円となり、Dにあつては一般職職員としての一八八一万八八九四円と助役としての八四三万二〇〇〇円との合計額二七二五万〇八九四円となる。 右金額は、前述した改正前の制度の下におけるものの二分の一以下であり、更に助役就任を拒絶して一般職として六〇歳まで在職した場合の退職手当の二分の一を多少上回る程度の金額である。 (四) 本件規則付則六項を適用し、右両名が助役として一期四年間在職した場合の退職手当の金額は、別表四記載のとおりCにあつては一般職職員としての四八一八万四八〇六円と助役としての八四三万二〇〇〇円との合計額五六六一万 則六項を適用し、右両名が助役として一期四年間在職した場合の退職手当の金額は、別表四記載のとおりCにあつては一般職職員としての四八一八万四八〇六円と助役としての八四三万二〇〇〇円との合計額五六六一万六八〇六円となり、Dにあつては一般職職員としての四二九四万八六八五円と助役としての八四三万二〇〇〇円との合計額五一三八万〇六八五円となる。 右金額は、法律上の身分保障の下で一般職職員として六〇歳まで継続して勤務したときの退職手当金額(別表一)よりも約七〇〇万円ないし一〇〇〇万円低く、改正前の制度の下における退職手当金額(別表二)の七〇パーセント程度に相当する。 3 以上によれば、本件規則付則六項を適用してC及びDに支給された退職手当の総額は、改正前の制度によるものに比して大きく減額されていることが明らかであり、したがつて、原告らの本訴請求は市の損害の発生という住民訴訟の本質的な要件を欠いているものである。 第五原告らの反論一本件条例五条の二第一項の委任の範囲一般職職員の退職手当につき優遇措置を規定した本件条例五条の二第一項は、「公務上の傷害若しくは死亡により退職した者又は規則で定める年齢に達したことによりその日に退職した者」と規定し、いずれも一義的に決定し得る要件により優遇措置を受けることを定めている。その趣旨は、右以外の要件により職員に対し優遇措置を講ずることを同条例は何ら予想しておらず、またそれを許さないということである。 右条項に「規則で定める年齢」とある以上、その年齢の決定を規則に委任していることは明らかであり、その趣旨が退職勧奨を行う年齢の決定を行政の衝に当たる市長の合目的的な判断ないし裁量に委ねたところにあることは被告ら主張のとおりであろうが、その委任の限度は「年齢の決定」そのものに限られ、それ以外の要件の決定に及ばないことも の決定を行政の衝に当たる市長の合目的的な判断ないし裁量に委ねたところにあることは被告ら主張のとおりであろうが、その委任の限度は「年齢の決定」そのものに限られ、それ以外の要件の決定に及ばないこともまた明らかである。 二本件規則付則六項の違法性の承継被告らは、先行行為としての規則制定行為が違法であつてもこれはいわゆる「行政行為の公定力」によつて遮断されるので後行の支出命令が違法となるものではなく、また法二四三条の二の要件である故意又は重過失及び法令違反という二つの要件を併せ考えるならば、先行行為の違法が一見明白である場合に職員がそのことを認識し、又は重過失によつて認識しないまま、支出命令をしたときは、その違法性を承継して支出命令そのものが違法となると主張する。 しかしながら、右主張は、次に述べるとおり失当であるというほかない。 (一) 第一に、右主張の前提となつている本件規則制定行為とこれに基づく支出行為とを峻別することがまず誤りである。 すなわち、Bは、本件規則付則六項を制定した上直ちにこれをC及びDに適用して、本件支給をした。 右の本件規則付則六項の制定とこれに基づく公金の支出(具体的には支出命令と支出)とは、形式的には、もとより別個の行為である。 しかし、実質的にこれをみれば、右両行為は一義的に直接的不可分に関係する二段階の行為であり、密接不可分の行為である。 すなわち、規則制定行為は、いうまでもなく、一般的抽象的な規範の定位であり、これに基づく支出命令はその具体的特定な場合の適用であり、形式上別個の行為ではあるが、本件の場合、前者の規範の定位により特定の職員につき実体法上支給を受ける権利が当然発生するわけであり、後者の支給行為は単純にこれを確認する形式的行為であり、その判断過程に裁量権が働く余地はない。 したがつて、支出命令は規則その により特定の職員につき実体法上支給を受ける権利が当然発生するわけであり、後者の支給行為は単純にこれを確認する形式的行為であり、その判断過程に裁量権が働く余地はない。 したがつて、支出命令は規則そのものの瑕疵を直接的に承継するものであり、本件規則付則六項が強行法規違反として違法無効である以上、本件支出命令も当然違法無効というべきである。 右の理は、規則制定権者が同時に支出命令権者である(更に規則により支給を受ける権利を取得する者の決定権者でもある。)ということ及び規則制定と支給行為との日時が極めて近接しており、経過的にはC及びDに対する支給を目的として本件規則が制定されているという本件の特徴からして一層肯定的に理解される。 (二) 第二に、行政行為の公定力については、場合を分けて論じなければならず、行政行為の公定力を絶対的効力として理解するのではなくて、その局面局面、法律関係の具体的な局面においてその効力の及ぶ範囲等を検討すべきであり、いつたん行政行為があれば、その公定力はどういう法律(関係)にも及ぶという考え方は、今日もはや克服されているのである。 元来、公定力とは、ある行政処分又は行政行為が取消訴訟の排他的管轄に服しているという点からきている反射的な効果であり、損害賠償請求の場合にはまた別個に考えるべきであつて、公定力はその意味では損害賠償請求訴訟には関係ないのである。 本件において、仮に規則制定と支出命令とを実質的にも別個独立の行政行為とみても、右の意味において、右支出行為の違法を理由とする損害賠償請求に公定力が及ばないことは多言を要しないところである。 (三) 第三に、仮に公定力が一応問題になり得るとしても規則の制定は法規定立行為であり、それそのものを抗告訴訟によつて取り消す方法がないのであるから、その適用による具体的法律関係におい ころである。 (三) 第三に、仮に公定力が一応問題になり得るとしても規則の制定は法規定立行為であり、それそのものを抗告訴訟によつて取り消す方法がないのであるから、その適用による具体的法律関係において右法規の効力を争うことができ、この場合には、正義衡平の観点から、公定力の有無を論じないで直ちに当該具体的行為に基づく損害賠償請求を認めることができる。 (四) 第四に被告らは本件規則付則六項の制定とこれに基づく本件支出命令とを峻別し、支払命令自体には違法性がなく、また重大な過失もないと主張しているが、かかる主張は実体上も法理上も認め難い詭弁である。 法二三二条の四第二項は、「出納長又は収入役は、前項の命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと・・・・・・・・を確認したうえでなければ、支出することができない。」と規定し、長の支出命令があつた場合にもなお収入役等の法適合性の確認義務を課している。 いわんや、財務会計の最高責任者たる長が支出命令を発するに際しては、その支出の原因ないし根拠が法令に違反するか否かを厳密に調査検討すべきことは当然であり、支出命令の違法とは、その原因ないし根拠である契約や規則が違法である場合及びその法適合性の確認を怠つた場合のそれぞれを含むものである。 本件においてBは、強行法規違反であること明白な本件規則付則六項を制定した上、これが法令に違反するか否かの検討を何ら加えることなく本件支出命令を発したものであり、二重の意味において違法である。 三住民訴訟による損害賠償請求についての責任要件住民訴訟は地方公共団体の財務会計の管理・運営を自治の主体である住民の直接的コントロールの下におき、かつ、その方法を裁判所の法適合性の判断を通じて行うことによつて行政の民主的統制を行うことを主眼とした公法上の 地方公共団体の財務会計の管理・運営を自治の主体である住民の直接的コントロールの下におき、かつ、その方法を裁判所の法適合性の判断を通じて行うことによつて行政の民主的統制を行うことを主眼とした公法上の特殊な訴訟制度であり、他の法域の考え方を住民訴訟に及ぼすことは根本的に誤りであり、また、住民訴訟に法二四三条の二第一項所定の特殊な責任要件を適用することはできない。 仮に、法二四三条の二第一項の適用があるとしても、地方公共団体の長は、事務統括の最高責任者であり、かつ、極めて広範な権限を有し、自己の固有の判断と責任において事務を処理すべきものであつて、その職員の重大性からしても、同項後段の「職員」には含まれない。したがつて、住民訴訟により、地方公共団体の長に対し損害賠償を請求する場合には、通常の責任要件である故意又は過失をもつて足りると解すべきである。 四損害被告らは、職員は在職期間に対応する退職手当請求権を有しているとの前提の下に、C及びDの退職手当の総額は両名が助役を退任したときに終局的に確定するから、一般職から助役に選任された時点の退職手当のみをとらえて損害の有無を論じることはできず、むしろ特別職条例の改正及びこれと一体としての本件規則付則六項の改正によつて、退職手当の総額は減少しているので、市は利益を得ているが、損害を被つてはいない旨主張する。 被告らの論旨は必ずしも明らかではないが、第一に、地方公共団体における職員の退職手当請求権の有無及びその内容は、退職時における条例の規定によつて定まるのであつて、一般的抽象的に在職期間に対応する退職手当請求権を有しているなどとはいえない。 第二に、改正された特別職条例の趣旨は、C及びDのように一般職から特別職に選任された者の退職手当は、一般職退職時に一般職としての所定の退職手当を、特別職退職時に 求権を有しているなどとはいえない。 第二に、改正された特別職条例の趣旨は、C及びDのように一般職から特別職に選任された者の退職手当は、一般職退職時に一般職としての所定の退職手当を、特別職退職時に特別職としての所定の退職手当をそれぞれ支給するというものであり、本件退職手当もこの改正後、本件条例に従い一般職の退職手当として支給されたことが明らかである。つまり、一般職の退職手当は一般職退職時に支給さるべきことが条例で定められており、市長の裁量によつて、いつ、いくら支給してもよいものではなく、かつ現実にも助役選任時=一般職退職時に支給されている。その支給の額が条例に基づかずして違法に増額されており、その増額の限度において同市に損害を与えたというのが原告らの主張であつて、将来における助役退任の際の特別職としての退職手当制度がどのように定められていようとも本件とはまつたく関係がなく、右損害の発生にいささかの消長を及ぼすものではない。本件支給が完結した支出行為として行われている以上、これは至極当然のことであつて、助役退任の際に至つて初めて損害の有無が確定するとの被告らの主張は何らの合理的理由もない。 第三に、被告らは、特別職条例改正前と改正後を比較して、改正後は本件規則付則六項により優遇措置を適用してもなお改正前より助役退任時までの退職手当の総額において減額されているので、全体として損害はないとしているが、このような比較自体が無意味である。本件では、特別職条例改正の当、不当を論じているのではない。改正前のあまりにも非常識な通算方式と加給金を改めることにより一定の改善があつたことは事実であるが、助役選任時に違法にも優遇措置を適用することにより再びその額が高額化し市民の批判を受けているのである。被告らは、この場合、優遇措置を適用しないとすると、一般職 一定の改善があつたことは事実であるが、助役選任時に違法にも優遇措置を適用することにより再びその額が高額化し市民の批判を受けているのである。被告らは、この場合、優遇措置を適用しないとすると、一般職職員のまま退職した職員との均衡を失し、有為な人材を得られないと主張するが、助役を受任するか否かは本人の自由意思によるところであり、あたかも職員が市長に立候補する場合にそのことを理由に何らの優遇措置をも受け得ないと同様、特別職たる市長の補助機関に就任する以上、この程度の経済的不利益は甘受する自覚が必要である。 第六証拠(省略)○ 理由一当事者について請求の原因一は、当事者間に争いがない。 二本件支給について請求の原因二は、当事者間に争いがない。 三本件規則付則六項について 1 法二〇四条三項、二〇四条の二、地方公務員法二四条六項、二五条一項によれば、普通地方公共団体の常勤の職員に対する給与の額及び支給方法は条例で定めなければならないとされている(いわゆる給与条例主義)。 したがつて、本件支給もまた右のいわゆる給与条例主義に沿うものでなければならないが、これを判断するについては、本件支給の法令上の直接の根拠は本件規則(甲第二号証参照。以下同じ)付則六項であるから、同項が本件条例(甲第一号証参照。以下同じ)五条の二の委任の範囲内にあるか否かを検討する必要がある。 2 本件条例一条は、「この条例は、職員の退職手当に関する事項を定めるものとする。」と規定し、同条例二条一項は、「この条例の規定による退職手当は、職員のうち常時勤務に服することを要するもの(市長、助役、収入役及び教育長を除く。以下「職員」という。)が退職した場合にその者(死亡による退職の場合には、その遺族)に支給する。」と規定して、本件条例が市の一般職職員(以下「職員」という。)の退 長、助役、収入役及び教育長を除く。以下「職員」という。)が退職した場合にその者(死亡による退職の場合には、その遺族)に支給する。」と規定して、本件条例が市の一般職職員(以下「職員」という。)の退職手当に関する事項を定めるものであることを示している。 そして、本件条例は、三条、四条、五条、五条の二の各規定により、職員の退職の態様に応じて、退職手当の額を区分して定めている。右の各条文により規定された退職手当の支給の対象及び支給額の算定方法の区分は別表五記載のとおりである。 右の区分によれば、職員の退職手当の支給額は、三条、四条、五条、五条の二と条を追うごとに、その優遇の割合が高められることが認められる。すなわち、職員の退職手当の支給額は、本件条例五条の二において最も優遇されることが明らかである。そして、このことは、本件条例六条により、退職手当の最高限度額が、三条から五条までの規定による場合には職員の退職の日における給料月額に九〇を乗じて得た額とするのに対し、五条の二の規定による場合には、九〇を上回る一三〇を乗じて得た額とすることからも窺い得るものである。 このように退職手当の額につき最も優遇される本件条例五条の二所定の支給の対象は、別表五の(1)欄記載の(1)ないし(3)であるが、このうち、(1)はさておき、(2)及び(3)、とりわけ(2)につき優遇の趣旨を考察してみるに、(2)が年齢に着目した規定の仕方であること及び職員については定年がないこと(このことは、当事者間に争いがない。)に照らすと、(2)の退職手当を特に優遇する趣旨は、職員の高齢化による事務の非能率化、人事の停滞、財政負担の増加を回避するために、一定の年齢を設定し、その年齢で退職する職員の退職手当の額を特に優遇して、退職後の生活に備えさせ、よつて間接的に退職を促して、職員の人事 事務の非能率化、人事の停滞、財政負担の増加を回避するために、一定の年齢を設定し、その年齢で退職する職員の退職手当の額を特に優遇して、退職後の生活に備えさせ、よつて間接的に退職を促して、職員の人事を刷新し、組織の流動化及び財政負担の軽減を図るということにあるものと解される(証人D及び証人Eも、これとほぼ同趣旨の証言をする。)。 してみると、本件条例五条の二第一項による年齢の決定の規則への委任の範囲は、当然、右の趣旨を前提としたものと解されるが、規則制定権者である市長としては、右の趣旨を踏まえる限り、右の年齢の決定を、全職員一律のものとする必要はなく、例えば、職種、勤務条件等に応じて年齢を各別に定めることも許されるし、また、単一の年齢ではなくして、一定の幅を持つた年齢を定めることも許されるものと解される。 3 本件条例五条の二第一項の委任に基づき、本件規則二条は、「条例第五条の二第一項の規定による規則で定める年齢は、満六〇歳とする。」と規定し、また、本件規則付則六項が、「一般職職員として勤続する期間が二〇年以上(昭和四三年四月一日において在職するものについては一一年以上)で、第二条に定める年齢未満の者が、その職に引き続いて地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第一六一条第二項若しくは同法第一六八条第二項に規定する職(次項において「助役等」という。)に選任され、又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三一年法律第一六二号)第一六条第一項に規定する職(次項において「教育長」という。)に任命されることにより当該一般職を退職した場合は、当該退職の日をもつて第二条に定める年齢とみなす。」と規定する。 以下、右の本件規則付則六項が、本件条例五条の二第一項の委任の範囲内であるか否かについて検討する。 本件規則付則六項が一種のみなし規定であることは、 もつて第二条に定める年齢とみなす。」と規定する。 以下、右の本件規則付則六項が、本件条例五条の二第一項の委任の範囲内であるか否かについて検討する。 本件規則付則六項が一種のみなし規定であることは、その規定の文言自体から明らかであるが、同項にいう「みなし」とは、いうまでもなく、同項所定の一般職職員の退職の日を本件規則二条所定の六〇歳として取り扱うことを意味する。しかして、前記説示したように、本件条例五条の二第一項による年齢の決定の委任の範囲は、年齢の一律的決定あるいは単一の年齢の決定に限定されるものではないから、右のようにみなし規定の形式で本件規則二条所定の六〇歳のほかに、六〇歳未満のある程度幅のある年齢をも本件条例五条の二第一項所定の年齢として取り扱うことも差し支えないものと解され、したがつて、本件規則付則六項がみなし規定であることをもつて直ちに右の委任の範囲を超えているということは当たらない。 問題は、むしろ、本体規則付則六項所定の職員に対し、本件条例五条の二所定の退職手当の優遇を認めることが、同条の趣旨に沿うか否かであるといわなければならない。 前記説示したように、本件条例五条の二に基づく支給の対象のうち、別表五の(1)欄記載の(2)につき退職手当を特に優遇する趣旨は、職員の高齢化による事務の非能率化、人事の停滞、財政負担の増加を回避するために、一定の年齢を設定し、その年齢で退職する職員の退職手当の額を特に優遇して、退職後の生活に備えさせ、よつて間接的に退職を促して、職員の人事を刷新し、組織の流動化及び財政負担の軽減を図るということにある。 しかして、本件規則付則六項所定の支給の対象は、規定の文言から明らかなように、一般職職員たる地位を退職するものの、それに引き続いて一般職職員よりも高い給与の支給を受けることとなる市の特別職職員に任 しかして、本件規則付則六項所定の支給の対象は、規定の文言から明らかなように、一般職職員たる地位を退職するものの、それに引き続いて一般職職員よりも高い給与の支給を受けることとなる市の特別職職員に任命される者である。 前記本件条例五条の二の趣旨の下に想定される退職と、右本件規則付則六項所定の退職とを対比すると、前者は一定の年齢の到来を契機とするいわば自然的機械的な退職であるのに対し、後者は任命権者である市長の行政政策的裁量に基づく特別職への選任を原因とする人為的任意的な退職であることに本質的な差異があり、それ故、当然のことながら、前者の場合には、退職に伴い市の職員としての一切の身分を失うのに対して、後者の場合には、一般職の身分は失うものの、より高い給与で待遇される特別職として引き続き勤務することにより市の職員たる身分は失わないのである。 右の対比からすると、本件条例五条の二第一項所定の規則で定める年齢に達したことによる退職と本件規則付則六項所定の退職とは、その範疇を異にするものというべきであり、これを同列に取り扱うことは正当とは解されない。 したがつて、本件規則付則六項所定の退職についても、本件条例五条の二と同様の退職手当の優遇措置を認めるために、その旨を条例をもつて定めるならばともかく、本件条例五条の二の委任の範囲内であるとして右の退職にかかる規定を規則に定めることは許されないというべきである。よつて、本件規則付則六項は、本件条例五条の二の委任の範囲を逸脱したものとして、違法無効な規定であるといわなければならない。 被告らは、本件規則付則二項、四項をあげて、同付則六項も本件条例五条の二の委任の範囲内であるとも主張するが、右二項はその規定の文言から明らかなように、一般に付則制定に際して規定される事項を定めたいわゆる経過措置に関する規定であ 項をあげて、同付則六項も本件条例五条の二の委任の範囲内であるとも主張するが、右二項はその規定の文言から明らかなように、一般に付則制定に際して規定される事項を定めたいわゆる経過措置に関する規定であり、右四項もその規定の文言によれば、本件条例五条の二の適用を受けるため、所定の退職の手続をとつたところ、市長から退職の承認を受け得ないまま、本件規則二条の年齢を経過した後、退職した者に対しても本件条例五条の二の適用を認めるいわば当然の救済規定であつて、これら二項、四項の存在をもつて右六項の規定も許容される範囲内であると解することは到底できないものというべきである。 なお、証人D、同Fの各証言によれば、Dは、昭和四二年五月から同四六年四月までの間、鎌倉市人事課長の職にあつて同四三年三月の本件条例五条の二の付加改正作業を担当し、Fは、同五〇年五月から同五三年一〇月までの間、同市職員課長の職にあつて本件規則付則六項の付加改正作業を担当したものであるところ、前者は本件条例五条の二第一項にいう規則で定める年齢に達したことによる退職の中には、一般職を退職して引き続いて特別職に就任する場合も含まれる趣旨であつたと証言し、後者は本件規則付則四項の存在から同六項も許されると解すると証言する。 しかして、右両者とも、いわゆる立法担当者ということができるところ、法令の解釈に際しては、法令の立法当時の事情を知る担当者の意見はそれなりに傾聴すべきものと考えられないではないが、右両者の本件条例及び本件規則付則に関する前記見解は、本件条例五条の二第一項の委任の範囲に関する前記説示に照らして、同項の趣旨を正解したものとは解されず、採用することはできない。ことに、証人Dの証言によれば、Dは本件条例五条の二の付加改正に当たり、「藤沢市職員の退職手当に関する条例」(以下「藤沢条例」 らして、同項の趣旨を正解したものとは解されず、採用することはできない。ことに、証人Dの証言によれば、Dは本件条例五条の二の付加改正に当たり、「藤沢市職員の退職手当に関する条例」(以下「藤沢条例」という。)を参考としたことが認められ、成立に争いのない乙第一六号証の一によれば、Dが参考とした藤沢条例五条は、同条による退職手当の支給の対象として、「二〇年以上勤続して一般職から常勤の本市特別職(公選による場合を除く。)として就任する理由で退職した者」と「規則で定める年齢(以下「年齢」という。)に達したことにより退職した者」とを列挙して規定していることが認められるところ、本件条例五条の二第一項は右のうち後者のみを採用したものと推認されるから、同項の解釈に際して右の前者の趣旨をも含めて解釈することに、そもそも無理があるものといわなければならないのである。 四本件支給の違法性について請求原因三の5の事実は当事者間に争いがないところ、被告らは、本件規則付則六項が違法であり、したがつて、同項の制定が違法であるとしても、それが取り消されない限り、いわゆる法規の拘束力があるから、当然に同項に基づく本件支給が違法となるものではないと主張するので、以下これを検討する。 被告らも自陳するように、本件規則付則六項の制定行為は、市の職員一般を対象とする抽象的な法規範の定立であるに止まり、それを超えて特定の職員に対し直接具体的な退職手当受給権を付与する公定力ある行政処分であると解することはできない。 してみると、法規の制定手続あるいはその内容の違法を理由として法規そのものの取消しあるいは無効確認等を訴求することは、具体的な争訟性を欠くものであるから許されないものといわざるを得ず、法規の拘束力を理由として本件規則付則六項の違法性の本件支給への承継を否定することは、同項 取消しあるいは無効確認等を訴求することは、具体的な争訟性を欠くものであるから許されないものといわざるを得ず、法規の拘束力を理由として本件規則付則六項の違法性の本件支給への承継を否定することは、同項の制定及び本件支給のいずれについても訴訟上争う途を閉ざす結果を招来することとなり、かかる結果を容認することは著しく衡平の観念に反するものといわなければならない。 また、実質的に考察しても、本件支給は本件規則付則六項の規定によつて、何らの裁量の余地なくなされるものであることが明らかである。 したがつて、本件規則付則六項の違法性は本件支給に当然承継され、それ故、本件支給もまた違法なものとなるといわなければならない。 ところで、本件支給は、これを行為として分析してみると、Bの法二三二条の四第一項に基づく支出命令(以下「本件支出命令」という。)とこれを前提とする現実の支給行為とに分つことができるが、後者は前者に基づく事実行為にすぎないから、前者、後者を一括して、これをBの行為として評価して差し支えないものと解する。 そうすると、本件支出命令も違法と断ずるほかない。 なお、被告らは、法二四三条の二第一項後段の規定に照らして、先行行為の違法が一見明白である場合に職員がそのことを認識し、又は重過失によつて認識しないまま、支出命令をしたときに限つて、先行行為の違法性が承認されるとも主張するが、違法性の判断は客観的になされるべきものであつて、職員の認識という主観的な要素によつて左右されると解するのは正当ではないから、右主張は採用することができない。 五本訴請求の適用法条について本訴請求は、法二四二条の二第一項四号に基づくものであるところ、同号によるいわゆる代位請求訴訟は、地方公共団体が、職員等に対し、実体法上同号所定の請求権を有するにもかかわらず、これを積極的に ついて本訴請求は、法二四二条の二第一項四号に基づくものであるところ、同号によるいわゆる代位請求訴訟は、地方公共団体が、職員等に対し、実体法上同号所定の請求権を有するにもかかわらず、これを積極的に行使しようとしない場合に、住民が地方公共団体に代位して、右請求権に基づいて提起する地方自治法が認めた特殊な訴えであると解される。したがつて、法二四二条の二第一項四号の規定は住民に右代位請求訴訟を提起する資格を付与するにすぎず、右訴訟の前提となる実体法上の請求権の発生する根拠は、別途、民法、地方自治法その他実体法の規定に求めなければならないことはいうまでもない。 そこで、原告らの求める本訴損害賠償請求権の実体法上の根拠を考究することとする。 原告らは、Bの本件支給が違法な公金の支出に当たると主張するものであるが、それによつて本件支給がなされた前示本件規則付則六項の規定をBが市長として制定したこと自体を違法と主張するものでないことは原告らの自陳するところであり、また、本件支給がBの法二三二条の四第一項による支出命令とこれに基づく現実の支給行為とに分析されることは先に説示したとおりであるところ、他にBが右支出命令に基づく現実の支給行為にも関与したとの主張立証はないから、原告らの前記主張は、結局Bの右支出命令の違法をいうものにほかならないと解せられる。 しかして、原告らは、本件支給につきBに故意又は過失があると主張する。右主張に照らすと、原告らは本訴損害賠償請求権の実体法上の根拠を民法六〇九条の不法行為に求めているものであることが明らかである。 ところが、一方、法二四三条の二第一項後段は、「次の各号に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反し 法二四三条の二第一項後段は、「次の各号に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。」と規定して、これによつて生じた損害を賠償しなければならないとし、各号のうち、二号は、「第二百三十二条の四第一項の命令又は同条第二項の確認」と規定する。そして、右二号所定の法二三二条の四第一項の命令をする者が、普通地方公共団体の長であることは文理上疑問の余地がない。 してみると、法二四三条の二第一項の規定は、民法七〇九条の特別規定であると解すべきで、同項所定の行為に関する限り一般法である民法七〇九条の規定の適用は排除されると解するのが相当である。 もつとも、法二四三条の二第三項が、普通地方公共団体の長は、同条一項に基づく請求権を賠償命令の形で行使するものと規定していることから、同条一項所定の職員の中には、普通地方公共団体の長は含まれないとする見解もあり得るが、少なくとも同条一項後段の規定の文言上、同項所定の職員の中から普通地方公共団体の長を除外したものと解することはできないし、また、必ずしも、同条一項所定の行為をした普通地方公共団体の長と同条三項所定の行為をする普通地方公共団体の長とが同一人であるというわけでもないから、右の見解を採用することはできない。 したがつて、本訴請求において代位行使される実体法上の請求権の根拠は法二四三条の二第一項後段であるというべきである。 なお、法二四三条の二第一項所定の損害賠償請求権は同条三項以下の規定に基づいてのみ行使されるべきで、右規定に基づく手続を経ることなく、直接同条一項に基づいて損害の賠償を訴求することはできない ある。 なお、法二四三条の二第一項所定の損害賠償請求権は同条三項以下の規定に基づいてのみ行使されるべきで、右規定に基づく手続を経ることなく、直接同条一項に基づいて損害の賠償を訴求することはできないとの見解が考えられるが、同条三項以下の規定による手続は、同条一項所定の損害賠償請求権を普通地方公共団体の判断に基づいて簡易迅速に行使するための手続であると解すべきであつて、この手続があることから、直接同条一項に基づいて損害の賠償を訴求することが排除されたものと解すべきではないから、右の見解を採用することはできない。 六 Bの故意又は重過失について 1 原告らの主張する損害賠償請求権が法二四三条の二第一項後段に基づくものであること及びBの本件支給すなわち本件支出命令が違法であることは前記認定判示したとおりであるところ、法二四三条の二第一項後段を適用するについては、本件支出命令をするにつきBに故意又は重過失のあることが認められなければならない。 よつて、進んで以下、右故意又は重過失の存否につき検討を加えることとするが、まず右検討に先立ち、本件支出命令の前提である本件規則付則六項の制定の経緯及びその他同項に関連する諸般の事情につき考察してみることとする。 2 (一)いずれも成立に争いのない乙第四、第五、第八、第一一号証、いずれも証人Fの証言により真正に成立したものと認められる乙第七、第九、第一〇、第一二号証及び同証言によれば、次の事実が認められる。 (1) 昭和四七年五月、市職員の給与及び任用等について検討する機関として、市の幹部職員を構成員とする鎌倉市職員給与制度研究委員会が発足し、以後随時、同委員会は、市長の諮問を受けて、職員の給与等について答申することとなつた。 (2) 昭和五三年五月、当時のG市長は、鎌倉市職員給与制度研究委員会に対し、特別職職員 制度研究委員会が発足し、以後随時、同委員会は、市長の諮問を受けて、職員の給与等について答申することとなつた。 (2) 昭和五三年五月、当時のG市長は、鎌倉市職員給与制度研究委員会に対し、特別職職員の退職手当の引下げについて、同年八月中旬ころまでに答申するように諮問した。 (3) 昭和五三年八月八日、右委員会は、右諮問に対する中問答申をした。 右中問答申は、当時の特別職の退職手当制度の問題点を指摘した上で、その対策として、(ア)一般職から特別職に選任された後に退職した場合に、一般職と特別職の勤続期間を通算して退職手当を算定する当時の方式(以下「通算方式」という。)をやめて、一般職退職時に退職手当を支給すること、(イ)右の場合に、六〇歳未満の者のうち、一般職職員の在職期間が二〇年以上の者については、一般職免職の日を旧規則二条に定める年齢とみなして、退職手当を支給すること、(ウ)特別職職員の退職手当につき加給金は支給しないこと、(エ)特別職職員の退職手当の算出基準を新たに定めること等の提案をした。 (4) 右中問答申に際して、当時のF市職員課長は、G市長に対し、右答申の内容を説明し、同市長もこれをおおむね了承して、昭和五三年八月末に施行される市長選挙後に、右答申を踏まえて条例・規則の改正を行うので、それまで答申を保管しておくように命じた。 (5) 市長選挙の結果、G市長が落選に、Bが当選したので、右両者間で事務引継ぎが行われ、Gは、その中で特別職の退職手当についてされた鎌倉市職員給与制度研究委員会の中間答申に基づき、右退職手当の改定を九月の市議会に提案する予定であることを説明し、Bもこれを了解して、F職員課長に右改定の準備をするように命じた。 (6) 市では、条例・規則の制定・改廃は、原局がその要旨を起案して決裁を得た後、行政課に案を渡して、同 る予定であることを説明し、Bもこれを了解して、F職員課長に右改定の準備をするように命じた。 (6) 市では、条例・規則の制定・改廃は、原局がその要旨を起案して決裁を得た後、行政課に案を渡して、同課がこれを成文化して、市の幹部職員を構成員とする鎌倉市重要文書審査会に諮り、そこで審査を受けた後、再度、行政課が起案し、市長の決裁を経て、市議会へ送付して提案するという手続が採られている。 (7) 昭和五三年九月八日、職員課は、「常勤特別職職員に係る退職手当制度の整備について(伺い)」と題する前記中間答申を踏まえた要旨の伺い文書をBに提出し、その決裁を受けた。右伺い文書は、職員課から行政課へ送付され、更に、同年同月一二日に鎌倉市重要文書審査会で審査を受けた。右審査に基づき、行政課は、旧特別職条例(甲第四号証参照。以下同じ)の一部を改正する条例案を起案して、昭和五三年九月一八日に、Bの決裁を受けた。 (8) 右条例案は、議案第二八号として九月定例市議会に送付され、審議の結果、昭和五三年一〇月七日に可決されて、特別職条例(甲第三号証参照。以下同し)が成立した。 (9) 通算方式を改め、加給金を廃止する等して特別職の退職手当の引下げを図る特別職条例が成立したことに伴い、行政課は、既に昭和五三年九月二一日に鎌倉市重要文書審査会の審査を経ていた旧規則の一部改正につき、同年一〇月九日、「鎌倉市職員の退職手当優遇に関する規則の一部を改正する規則の制定について(伺い)」と題する文書を起案し、市長の決裁を求めた。右文書の起案理由は、特別職条例の成立により従前の特別職の退職手当が改められることに伴い、一般職から特別職に選任されて一般職を退職する職員の退職手当の優遇措置の整備を図ることにあり、改正の内容は、本件規則付則六、七項(免職の三月前までに退職願を提出すること 手当が改められることに伴い、一般職から特別職に選任されて一般職を退職する職員の退職手当の優遇措置の整備を図ることにあり、改正の内容は、本件規則付則六、七項(免職の三月前までに退職願を提出することを要しない趣旨)の付加改正である。Bは、同年同月一二日、右起案のとおり決裁し、よつて、本件規則付則六、七項を含む同規則が成立した。 以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。なお、証人Fは、旧特別職条例の改正に伴い本件規則付則六項が付加改正される旨を、同人が九月の定例市議会の総務常任委員会で説明し、委員の了承を受けたと証言するが、成立に争いのない甲第一一号証の三及び証人Hの証言に照らして、証人Fの右証言は採用することができない。 (二) 前記認定判示したように、旧特別職条例の下では、特別職の退職手当は、通算方式及び加給金を付加する方式が採られていたところ、旧規則(甲第五号証参照。以下同じ)付則六項は、「一般職職員が第二条に定める年齢に達する日以前において、その職に引き続いて地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第一六一条第二項若しくは同法第一五八条第二項に規定する職に選任され、又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三一年法律第一六二号)第一六条第一項に規定する職に任命され、当該職を退職した場合は、当該退職の日をもつて第二条に定める年齢とみなす。」と規定して、右所定の場合にも退職手当の優遇を認めることとしていた。右規定の当否はともかく、本件規則付則六項は、右旧規則付則六項に代わつて付加制定されたものである。 (三) 本件規則付則六項が本件条例五条の二第一項の委任の範囲を逸脱した違法無効なものであることは、先に説示したとおりであるが、本件規則付則六項が意図する一般職を退職して引き続き特別職に就任する場合に、一般職の退職手当 六項が本件条例五条の二第一項の委任の範囲を逸脱した違法無効なものであることは、先に説示したとおりであるが、本件規則付則六項が意図する一般職を退職して引き続き特別職に就任する場合に、一般職の退職手当に優遇を認めることは、そのことの当否はともかく、これを条例で定めることは何ら差し支えないものと解される(紫入Eも同様の意見を開陳する。)。実際に、前記認定判示したように、藤沢市は、本件規則付則六項の制定以前、既に藤沢条例五条において、「二〇年以上勤続して一般職から常勤の本市特別職(公選による場合を除く。)として就任する理由で退職した者」につき、退職手当の優遇を認めている。 3 Bが、本件規則付則六項の制定に当たり、同項が本件条例五条の二第一項の委任の範囲内にあるか否かにつき十分な検討をせず、委任の範囲内にあるものとして、同項を制定したことは責められるべきであるが、前記認定判示した同項の制定の経緯及びその他同項に関連する諸般の事情、すなわち、同項の制定は、Bの独断専行によるものではなく、G前市長在任時において懸案の課題であつた特別職の退職手当の引下げ問題につきなされた鎌倉市職員給与制度研究委員会の中間答申、これを諒とした同市長のBへの事務引継ぎ、これらを踏まえてされたBの改正準備の指示に基づき、通例の条例・規則の改正と同様の手続の履践の下になされたものであること、したがつて、Bを初めとして同項の制定に関与した市職員の誰一人として同項が本件条例五条の二第一項の委任の範囲を逸脱することを怪しむ者がいなかつたこと、旧規則の下においても、その付則六項で一般職から引き続き特別職に選任された後に退職した者に対する退職手当については優遇措置を認めるものと規定されていたこと及び右の退職手当の優遇を条例により規定することは法理上なんら差し支えないものと解されるこ 引き続き特別職に選任された後に退職した者に対する退職手当については優遇措置を認めるものと規定されていたこと及び右の退職手当の優遇を条例により規定することは法理上なんら差し支えないものと解されること等に照らすと、Bが本件規則付則六項を制定することが本件条例五条の二第一項の委任の範囲を逸脱していて違法であることにつき、故意又は重過失を認めることは困難であるといわなければならない。したがつて、同項を前提とするBの本件支出命令についてもまた、Bの故意又は重過失を認めるには至らないものというべきである。 七結論以上説示したところによれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの本失請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条を各適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官小川正澄吉戒修一須田啓之)別表一~五(省略)
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