【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人佐伯静治上告趣意第一点について。 論旨は要するに原判決には刑訴第三五二条第二項に従い公判手続を停止すべき理 由が
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人佐伯静治上告趣意第一点について。 論旨は要するに原判決には刑訴第三五二条第二項に従い公判手続を停止すべき理由があつたにも拘わらず、これを停止せずしてなされた違法があるというのである。 記録を精査するに、昭和二一年一二月一九日附で名古屋拘置所長から原審に対し診断書を添付して被告人が胃潰瘍のため重態である旨の通報があつたにも拘わらず原審が公判手続停止の措置をとらず第一回公判期日を昭和二二年一月二一日と指定したことは論旨所論の通りであるが右期日に被告人が出頭しなかつたため原審は公判を開かず第二回公判期日は追つてこれを指定することゝし、その後再三拘置所に対し被告人の病状を照会し出頭可能の状態まで回復したか否かをたしかめていたのであるが、同年六月一七日附で出頭可能との回答を得同月二四日期日を同年七月二二日と指定した。然るに、右期日にも被告人は出廷せずしかも同日附病状報告書によれば出頭可能とあつたので同日更に次回期日を同月三一日と定め、該期日には被告人不出頭のまゝ審理を遂げ一旦判決言渡期日を同年八月四日と指定したのであるが、右言渡期日に弁論を再開し、同年九月一三日あらたに公判期日を同月一六日と指定し、該期日にはじめて被告人の出頭を得て当初よりの取調をやりなおしてその審理を終了したのであつて、原判決はこの公判における弁論に基いて言渡されたものであつてもとより適法である。右手続の経過によれば被告人の病状重態であるにも拘わらず、原審が公判手続停止の措審をとらなかつたとしても、それは唯原審が再三被告人の病状を照会し若くは公判期日の変更を重ねる等煩瑣な手続をとるの止むなきに至つただけのことであつて、被告人に対する関係においては、あたかも被告人が出頭し得るに至つた昭和二二年 れは唯原審が再三被告人の病状を照会し若くは公判期日の変更を重ねる等煩瑣な手続をとるの止むなきに至つただけのことであつて、被告人に対する関係においては、あたかも被告人が出頭し得るに至つた昭和二二年九月一六日の公判期日まで公判手続が停止せ- 1 -られていた訳であつて、被告人はこれによつて何等不利益を受けていないのである。 従つて論旨は採用に値しない。 同第二点について。 記録を精査するに、原判決証拠説明中判示第二の事実に関する部分の(3)に、(一)(二)(三)(五)の犯罪事実に対する認定資料として、被告人に対する予審第六回第七回訊問調書の判示同旨の供述記載を引用する旨記載せられてあるが、右予審調書には(五)の犯罪事実にふれる何等の記載も存在しないことは、論旨の指摘するとおりである。しかし原判決の証拠説明を通読すると、原審は判示(五)の犯罪事実に関しては(2)(5)(12)(13)(14)等に挙示している証拠を認定資料としたものであることが判文上窺い得るのであつて、しかもそれらの証拠を総合すれば、該事実についての原審の認定はこれを肯認するに難くないのである。従つて原審は右(五)の事実を認定するに当つて、全然その点に触れていない前示予審調書の記載を認定資料とする必要もなければまたその筈もないのである。 それ故所論原判決証拠説明(3)に「(一)(二)(三)(五)の事実に付」とあるのは「(一)(二)(三)の事実に付」と書くべきものを誤つて無用な(五)の記載をなしたものに過ぎないと認められるのである。されば原判決には所論のような違法はなく本論旨も亦その理由がない。 被告人Aの上告趣意について。 論旨の縷々陳述するところは結局事実審である原審の裁量権の範囲に属する事実認定又は量刑の不当を非難するに帰着し、上告適法の理由とならない。 よつて刑訴 理由がない。 被告人Aの上告趣意について。 論旨の縷々陳述するところは結局事実審である原審の裁量権の範囲に属する事実認定又は量刑の不当を非難するに帰着し、上告適法の理由とならない。 よつて刑訴第四四六条に従つて主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官安平政吉関与昭和二三年六月一〇日- 2 -最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩松三郎裁判官澤田竹治郎裁判官真野毅裁判官齋藤悠輔- 3 -
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