平成3(ワ)4504 岩井金属工業解雇

裁判年月日・裁判所
平成5年8月30日 大阪地方裁判所
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判決文本文25,353 文字)

主文 一原告らが被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 二被告は、原告aに対し、平成二年一〇月一四日以降、毎月二六日限り一か月一七万四四一三円の割合による金員及び毎年七月末日限り二八万五七五〇円、毎年一二月末日限り三五万六九〇〇円並びに右各金員に対する各支払期日の翌日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。 三被告は、原告bに対し、二四万六六〇〇円及びこれに対する平成二年一二月二九日から支払済みまで年六分の割合による金員並びに同日以降毎月二六日限り一か月一八万八〇四六円の割合による金員、平成三年以降毎年七月末日限り三二万一〇五〇円、毎年一二月末日限り三八万六六〇〇円及び右各金員に対する各支払期日の翌日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。 四原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 五訴訟費用は被告の負担とする。 六この判決の第二、三項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求一主文第一項と同旨。 二平成二年一〇月一四日以降毎月二六日限り一か月一八万五一九一円の割合による金員の支払及びその主張にかかる各金員に対する各支払期日から支払済みまで年六分の割合による金員の支払を求めるほかは主文第二項と同旨。 三平成二年一二月二九日以降毎月二六日限り一か月一九万〇三三四円の割合による金員の支払及びその主張にかかる各金員に対する各支払期日から支払済みまで年六分の割合による金員の支払を求めるほかは主文第三項と同旨。 第二事案の概要本件は、被告から解雇を通告された原告両名が、解雇権濫用と不当労働行為による解雇無効を主張して、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに解雇時以降の賃金・賞与(原告bについては未払賞与を含む。)及びこれらに対する各支 、解雇権濫用と不当労働行為による解雇無効を主張して、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに解雇時以降の賃金・賞与(原告bについては未払賞与を含む。)及びこれらに対する各支払期日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 一争いのない事実 1 当事者被告会社は、東大阪市に本社を置き、本社とその近辺、枚方市、門真市などに工場を有して、金属プレス板金溶接加工、金属製品製造等を目的とする株式会社である。従業員数は約二〇〇名である。 原告aは、昭和五八年五月、被告会社の従業員に採用され、第一溶接部門において溶接工として勤務してきた。 原告bは、昭和六〇年三月、被告会社の従業員に採用され、第一機械部門においてプレス工として勤務してきた。 2 労働組合の結成と被告会社との交渉被告会社には、従前、従業員組織として、被告会社が組織した評議員会というものが存在していたのみで、労働組合は存在しなかった。 平成二年六月六日(以下、月日のみを示すときは平成二年のことである。)、被告会社の従業員によって岩井金属労働組合(以下「組合」という。)が結成された。原告aは、組合結成当初から執行委員長であり、原告bは、同じく青年部長であった。 組合結成後、組合と被告会社との間で団体交渉が行われ、組合掲示板の設置、会社食堂の組合による利用、就業時間外の会社施設内での組合活動の保障などの事項が労働契約として協定化され、同年の夏季一時金も組合と被告会社の交渉によって円満に妥結するなど、極めて良好な労働関係が形成された。 3 社長の交代と被告会社の組合への対応一〇月初め、c(以下「c社長」という。)が被告会社の経営権を譲り受け、被告会社の代表取締役になった。 同月四日、c社長は、組合執行委員長である原 された。 3 社長の交代と被告会社の組合への対応一〇月初め、c(以下「c社長」という。)が被告会社の経営権を譲り受け、被告会社の代表取締役になった。 同月四日、c社長は、組合執行委員長である原告aを呼び出した。原告aは、組合のd副委員長とともにc社長のもとへ出向き、話をした。 同月一一日、被告会社のe総務部次長は、組合に対し、第一機械部門の掲示板に関する通告をした。 組合は、同月一三日(土曜日)、被告会社の第一機械部門中第二工場に設置された掲示板(以下「本件掲示板」という。)に、「組合としては撤去も含めて柔軟に対応する用意があります。団体交渉での話し合いを求めています。しかし、一方的に撤去されるようなことがあれば不当労働行為であり、そんなことがあってはなりません。」と書いたポスターを掲示した。 4 原告aの解雇c社長は、同日午後四時すぎ、本件掲示板の前において、原告aに対し、口頭で、解雇する旨の意思表示をした。被告会社は、翌一四日以降、原告aを被告会社の従業員として取り扱わず、その就労を拒否して賃金と賞与を支払わない。 5 組合掲示板の撤去と組合事務所の破壊(一)翌一四日、本件掲示板に、cグループのスローガンを書いた白いボードが貼られた。 同月二四日には、第一組立部門に設置されていた組合掲示板が組合に無断で撤去され、翌二五日、いったん戻ったものの、二六日には本件事務所入口横の組合掲示板が撤去され、三〇日には化成品部門に設置されていた組合掲示板も撤去された。 いったんもとに戻った第一組立部門の組合掲示板も一一月九日に撤去された。こうして、被告会社の組合掲示板はすべて撤去された。 (二)一〇月二六日、組合事務所として使用されていた工場横のプレハブ建物(以下「組合事務所」という。)の壁がフォークリフトのツメで二箇所突かれて壊されたり 、被告会社の組合掲示板はすべて撤去された。 (二)一〇月二六日、組合事務所として使用されていた工場横のプレハブ建物(以下「組合事務所」という。)の壁がフォークリフトのツメで二箇所突かれて壊されたり、入口にパレットを積まれて出入りを妨害されるなどの事態が発生した。同月三〇日には、組合事務所の窓ガラスが割られたほか、再びフォークリフトのツメで壁が破損され、入口の戸が開かなくなった。一一月七日にもフォークリフトのツメによる組合事務所の破壊が行われた。翌八日には、組合事務所にフォークリフトが突っ込み、事務所として使用することができなくなった。同月一二日には更に破壊が加えられ、完全に使用不能の状態になった。 そこで、一二月二日(日曜日)、組合が右のとおり破壊された組合事務所を一部補修したところ、同月八日、組合事務所自体が組合に無断で撤去された。 6 組合員である原告bとfに対する被告会社の態度一〇月二七日、被告会社のg係長は、第一機械部門第三班の班長であった原告bに対し、以後班長の仕事をしなくてよいと命じた。 同月三〇日、被告会社のh部長は、組合員で同部門第四班のf班長に対し、以後班長の仕事はしなくてよいと命じた。 7 原告aの地位保全等仮処分申請等と仮処分決定原告aは、一〇月二四日、同人に対する本件解雇が同人の正当な組合活動を理由とする不当労働行為であり無効であるとして、大阪地方裁判所に地位保全等の仮処分を申請した。 さらに、一一月一三日、組合は、大阪府地方労働委員会に、被告会社の行為が不当労働行為であるとして救済命令を申し立てた。 一二月一八日、大阪地方裁判所は、原告aの仮処分事件について、「本件解雇は、被申請人とりわけその代表取締役に就任したcにおいて組合を嫌悪し、組合が正当な組合活動をしたことを理由にその執行委員長である申請人に対 日、大阪地方裁判所は、原告aの仮処分事件について、「本件解雇は、被申請人とりわけその代表取締役に就任したcにおいて組合を嫌悪し、組合が正当な組合活動をしたことを理由にその執行委員長である申請人に対する不利益取扱ないし組合に対する支配介入を意図してなされたというべきである。」と判断し、原告aに対し、その地位保全と賃金の仮払を認める仮処分決定をした。 8 原告bの解雇と地位保全等の仮処分決定被告会社は、仕事納めの日である一二月二八日、原告bに対し、解雇する旨の意思表示をした。解雇理由は、原告bが、①一〇月一三日の従業員集会において、c社長が集会場に入るとき罵声を浴びせ、また、同社長の発言を妨害したこと、②一一月八日、第一機械工場のプレス機を毀損し、被告会社に損害を加えたこと、③一二月四日、被告会社の食堂に被告会社の許諾なくして「a委員長を職場に戻せ!」との掲示をしたこと、④一二月二日、被告会社の工場内に不法に立ち入ったこと、の四点であった(以下「解雇理由①、②、③、④」という。)。被告会社は、翌二九日以降、原告bを被告会社の従業員として取り扱わず、その就労を拒否して賃金と賞与を支払わない。 原告bは、平成三年一月九日、同人に対する本件解雇が同人の正当な組合活動を理由とする不当労働行為であり無効であるとして、大阪地方裁判所に地位保全等の仮処分を申請し、同裁判所は、同年二月二二日、「本件解雇は、事実に基づかないでなされたものか、若しくは事実を故意に誇張し、又は解雇理由となし得ない事由を基礎としたものであって、解雇権の濫用として無効である」と判断し、原告bに対し、その地位保全と賃金の仮払を認める仮処分決定をした。 9 原告らの賃金と賞与被告会社は、その従業員に対し、毎月二六日までに一か月分の給与を支払い、毎年七月と一二月に賞与を支給するも 原告bに対し、その地位保全と賃金の仮払を認める仮処分決定をした。 9 原告らの賃金と賞与被告会社は、その従業員に対し、毎月二六日までに一か月分の給与を支払い、毎年七月と一二月に賞与を支給するものとしている。 原告aに対する本件解雇前の賃金等の支払状況は別表1記載のとおりであり、原告bに対する本件解雇前の賃金等の支払状況は別表2記載のとおりである。 なお、原告bの平成二年冬季賞与の査定前の金額は、四〇万四〇〇〇円(内訳・基本額四一万三〇〇〇円、勤怠歩引九〇〇〇円)である。 二原告らの主張 1 原告aについて(一)正当な解雇理由の不存在原告aに対する本件解雇時の具体的な状況は、次のとおりである。すなわち、平成二年一〇月一三日、原告aは、c社長から本件掲示板の撤去を要求された。原告aは、この問題について被告会社と協議しようとしたところ、突然、同社長から、「じゃあ、おまえらやめろよ。会社くびや。くびやあんたら会社やめないんなら、私はあんたらの解雇権あるんだから、……、はやくやめなさい。いいな。今日からあんたやめんの。」「無茶苦茶でも何でもやめな。あとは裁判でやりなさい。いいな。今日ここであんたのこと俺は解雇通告する。」「理由は、それは使いたくないから解雇する。」と言われ、解雇されたのである。 被告会社は、原告aの解雇理由として、第一に、c社長が「掲示板をはずせ」と要求したのに対し、原告aは組合に使用権限があるとして直ちに右要求に応じなかったことが業務命令違反になると主張する。しかし、本件掲示板は、平成二年六月の組合結成後、同月七日の被告会社との団体交渉において、当時のi社長から組合掲示板として利用してよいとの承諾を受けたもので、その旨労働協約としても協定化されていた。組合は、それ以後本件掲示板を組合掲示板として何の問題もなく使用し との団体交渉において、当時のi社長から組合掲示板として利用してよいとの承諾を受けたもので、その旨労働協約としても協定化されていた。組合は、それ以後本件掲示板を組合掲示板として何の問題もなく使用してきたのである。被告会社は、右解雇理由として、第二に、現場事務所を設置するために本件掲示板の移動を求めたのに、その交渉中、原告aが秘密裡に録音していることを知ったことから業務上の命令に従わなかった場合に当たると主張するが、被告会社の要求が掲示板の移動にあったというのは事実に反する。被告会社がその主張する現場事務所を設置したのは、原告aを解雇してから一か月以上も後のことである。したがって、当時のc社長の意図が組合掲示板の否定にあったことは否定できない事実である。また、原告aがc社長との会話の内容を録音したことは事実であるが、これは、後記のとおりc社長に社長交代後、同社長から露骨に労働組合の解散を要求されたり、組合嫌悪の発言が繰り返されたことから、万一のための自己防衛手段として録音したのであり、当時の状況下では、責任ある組合の委員長としては当然の行為である。また、結果的にも、原告aに対する本件解雇について、当初、被告会社は、合意による退職であるなどと主張していたが、この録音テープの存在によりその主張が維持できなくなったのであり、このことからしても、原告aが録音したことをもって問題とされるべきではない。 よって、本件解雇に正当な理由はない。 (二)解雇権の濫用本件解雇に至る経過をみると、c社長が登場した後、まず、平成二年一〇月四日に原告aとd組合副委員長がc社長に呼び出され、同人から「組合を解散しろ。今すぐとは言わないが、顔を立つようにしてやるから、まずここで決意しろ。」「いやならここにおれんようになるし、就職も出来んようにしてやる。」「俺が言っ がc社長に呼び出され、同人から「組合を解散しろ。今すぐとは言わないが、顔を立つようにしてやるから、まずここで決意しろ。」「いやならここにおれんようになるし、就職も出来んようにしてやる。」「俺が言っているのは不当労働行為だ。地労委でも裁判所でも訴えてみろ。謝ってまたやったらいいんだ。」「組合が解散しないなら手を引いてもよい。俺は茨城が本拠地だから帰るところもある。でもお前らは生活できんようになるぞ。」などと二時間半にわたり、組合の解散を要求された。翌五日に開催された新社長の就任パーティーでも、c社長は、組合に対する露骨な嫌悪感を示した。組合が同月一一日に組合ビラで「あたりまえの労使関係をつくっていきましょう。」と訴えたのに対し、被告会社のe総務部次長は、同日、組合に対し、「今週中に第一機械の掲示板(本件掲示板)を撤去してくれ。撤去しないなら勝手にはずす。」と通告してきた。 そこで、組合は、被告会社に対し、この問題については団体交渉の場で話し合いたいと団体交渉の開催を求めるとともに、撤去期限であると通告された一三日に、前記争いのない事実3記載のとおりの内容のポスターを掲示した。ところが、c社長は、同日午後四時すぎ、本件掲示板の前に原告aを呼びつけ、前記のとおり解雇を通告したのである。このような本件解雇は、組合掲示板の設置を合意した労働協約、さらには被告会社の就業規則に照らしても、合理的な理由がなく、解雇権の濫用に当たる。 (三)不当労働行為さらに、原告aに対する本件解雇を契機として、被告会社においては徹底した組合つぶしが繰り広げられた。まず、c社長は、原告aを解雇した一〇月一三日の夕礼において、従業員に対し、原告aを解雇したことを伝えるとともに、「組織をとるのか、私をとるのか、はっきりさせてくれ。」「cグループの他の会社でもこういう c社長は、原告aを解雇した一〇月一三日の夕礼において、従業員に対し、原告aを解雇したことを伝えるとともに、「組織をとるのか、私をとるのか、はっきりさせてくれ。」「cグループの他の会社でもこういうことがあったけれど、組合をとった一握りの人はおれなくなってしまった。」などと挨拶し、これを受けて、日曜日をはさんだ一〇月一五日、被告会社取締役製造本部長jは、h製造部長、g係長、k係長、l係長を呼び、同人らをして会社一斉に従業員から組合脱退署名を集めさせ、同日、約八〇名に上る組合脱退署名なるものが組合に提出された。こうして、被告会社では、それまで一〇〇名を超えていた組合員は一〇数名に減少し、公然組合員としては原告aを含めて九名になってしまった。その後も、被告会社は、職制によって従業員から組合に対する組合費と闘争積立金の返還請求書を集めて組合に提出したり、組合掲示板を一方的に撤去したり、組合事務所を破壊して使用不能の状態にしたばかりか、最後には組合事務所自体を撤去してしまった。また、組合に公然ととどまった原告bと第一機械部門第四班のf班長を、組合活動を理由として班長の地位からはずしたばかりか、その後、第一機械部門に所属する組合員については、従業員のうち組合員だけが集められて、もっぱら他部署の仕事やペンキはがし等の仕事に従事させるということが続いた。以上の経過から明らかなとおり、原告aに対する本件解雇は、c社長において組合を嫌悪し、組合が正当な組合活動をしたことを理由に、その執行委員長である原告aに対する不利益取扱ないし組合に対する支配介入を意図してなされたものであって、労働組合法七条一号及び三号に該当する不当労働行為そのものであることは明らかである。 (四)原告aの賃金・賞与原告aに対する本件解雇は無効であり、原告aは、被告会社に対し、労働契 たものであって、労働組合法七条一号及び三号に該当する不当労働行為そのものであることは明らかである。 (四)原告aの賃金・賞与原告aに対する本件解雇は無効であり、原告aは、被告会社に対し、労働契約上の権利を有し、本件解雇後も賃金・賞与請求権を失わない。 被告会社では、毎年四月に昇給が実施されていたことから、原告aの解雇前の一か月あたりの賃金は、同人の平成二年四月分以降の給与額を平均した一八万五一九一円を下らない。また、同人が解雇後も支払を受けるべき夏季賞与額は二八万五七五〇円を、冬季賞与額は三五万六九〇〇円を下らない(別表1参照)。 2 原告bについて(一)正当な解雇理由の不存在被告会社が主張する本件解雇の理由は、いずれも原告bの組合活動を嫌悪し、事実を捏造したものであり、およそ正当な解雇理由とはいえない。 まず、解雇理由①について、一〇月一三日の従業員集会における原告bの発言は、前を通ったc社長に対し、原告aの解雇について「不当だ」と一言抗議し、さらに、同社長が話を始める前に、これも一言「あんまりおかしいんではないですか。」と発言したのみである。「罵声を浴びせ」「社長の発言を妨害した」とは事実の捏造も甚だしい。 同②についても、原告bは、被告会社が主張する一一月八日はもとよりそれ以外のいかなる日であっても、第一機械工場のプレス機を毀損した事実は全くない。被告会社は、原告bが被告主張の行為をしたことを確認しておらず、原告bが関与したペンキはがしの過程で生じたから責任がないとはいえないと主張するが、していないことにつき責任を問われる理由がないし、しかも当時原告bは、班長の地位から降格され一従業員の立場に過ぎなかったのであるから、右責任を問われる理由がない。のみならず、被告会社の主張するプレス機の毀損とは、要するにペンキはがしの がないし、しかも当時原告bは、班長の地位から降格され一従業員の立場に過ぎなかったのであるから、右責任を問われる理由がない。のみならず、被告会社の主張するプレス機の毀損とは、要するにペンキはがしの最中に「団結」という文字らしき形にペンキがはがされていたというに過ぎず、ペンキはがしが終われば消え去るものである。 同③については、一一月二八日の夕礼において、c社長が、「私は隠し事はきらいだ。これからはすべてオープンに組合ニュースも食堂にすべて掲示していく。」と言い出し、その日から被告会社は、食堂にそれまでに発行された組合ニュースを掲示したばかりか、その後も組合ニュースが発行されるたびに食堂に掲示するようになったことから、原告bは、一二月四日、「a委員長を職場に戻せ!」と記載した組合ニュース号外を、それまでに掲示された組合ニュースの隣に掲示したまでのことである。被告会社においては、六月七日付けの労働協約によって食堂の組合利用が認められていたものであり、また、従前から食堂に組合ビラを掲示することは何の問題もなく認められていた。被告会社が組合掲示板を撤去した後は、組合がもと掲示板のあった場所にビラを掲示しても、その数分後にはすべて被告会社の職制によってはがされており、組合としては食堂掲示板のほかに掲示場所はなかった。 最後に同④については、前記のとおり組合事務所が被告会社によって不当にも破壊されたことから、一二月二日(日曜日)、被告会社の守衛にその旨を知らせたうえ組合事務所の修理を行ったものにすぎない。また、組合と被告会社との協定によれば、組合は、就業時間外であれば被告会社施設内で組合活動をすることが保障されていたものである。 (二)解雇権の濫用及び不当労働行為被告会社は、原告bが班長という立場にあるにもかかわらず、組合の執行委員青年部長と 時間外であれば被告会社施設内で組合活動をすることが保障されていたものである。 (二)解雇権の濫用及び不当労働行為被告会社は、原告bが班長という立場にあるにもかかわらず、組合の執行委員青年部長として断固として組合にとどまり組合活動を続けたことから、その組合活動を嫌悪し、同人を被告会社から排除し、もって組合の弱体化を企図したものにほかならず、本件解雇は、労働組合法七条一号及び三号に該当する不当労働行為そのものであり、また、解雇権を濫用したものである。 (三)原告bの賃金・賞与原告bに対する本件解雇は無効であり、原告bは、被告会社に対し労働契約上の権利を有し、本件解雇後も賃金・賞与請求権を失わない。 原告bの解雇前の一か月あたりの賃金は、同人の平成二年四月分以降の給与額を平均した一九万〇三三四円を下らない。また、同人が解雇後も支払を受けるべき夏季賞与額は三二万一〇五〇円を、冬季賞与額は三八万六六〇〇円を下らない。なお、同人の場合、解雇当日の平成二年一二月二八日に同年冬季賞与として一四万円が支払われているが、これは同人が組合員であることにより不当にも著しく切り下げられているものであり、本件解雇が無効であるのと同様の理由で、少なくとも前年の支給金額である三八万六六〇〇円との差額分の二四万六六〇〇円も当然に支払われるべきである(別表2参照)。 三被告会社の主張 1 解雇理由(一)原告aについて被告会社が掲示板について組合と設置に合意したのは各工場に一個である。第一機械部門にだけ二枚設置するとの合意は成立していない。本件掲示板は、従前評議員会が使用していた(被告会社も使用していた。)ものであり、これを組合に使用させるようにと要求されてはいたが、その旨の合意は成立していない。被告会社が組合に要求したのは、当初本件掲示板の裏側の壁を打ち抜き 使用していた(被告会社も使用していた。)ものであり、これを組合に使用させるようにと要求されてはいたが、その旨の合意は成立していない。被告会社が組合に要求したのは、当初本件掲示板の裏側の壁を打ち抜き現場事務所を設置するための移動であったところ、c社長が原告aと交渉中、その内容を秘密裏に録音していたことを知ったことから、業務上の命令に従わないとして解雇するに至ったものである。 (二)原告bについて前記争いのない事実8記載の解雇理由①ないし④のとおりである。なお、プレス機の毀損は、原告bも関与した同機のペンキはがしの過程において生じたものであり、原告bに責任がないとはいえない。食堂掲示板は、組合に使用権限はない。組合ニュースを掲示したのは、被告会社が適当と判断した限度においてであって、すべての組合ニュースを掲示したわけではない。また、組合は、被告会社の掲示板に組合ニュースを掲示し続けており、食堂掲示板のほかに掲示できなかったとの事実はない。 2 解雇の根拠被告会社は、右の各理由により、就業規則三八条(5)、(6)(ニ)(ホ)、(ヘ)に準じ、原告らをそれぞれ通常解雇にした。 3 賞与について賞与の支給の有無及びその額の決定権は被告会社にある。したがって、夏季・冬季賞与の請求は許されない。 なお、原告bは、平成二年一二月二八日、その主張にかかる冬季賞与を異議なく受領しているから、右冬季賞与の差額金請求は許されない。 四主たる争点各原告について 1 解雇事由の存否 2 解雇の効力(一)解雇権濫用の有無(二)解雇の不当労働行為該当性(労働組合法七条一号及び三号) 3 解雇が無効とされる場合に支払われるべき賃金・賞与の有無と額五証拠(省略)第三主たる争点に対する判断一被告会社の主張する本件各解雇の根拠証拠(乙一)によると、被告 七条一号及び三号) 3 解雇が無効とされる場合に支払われるべき賃金・賞与の有無と額五証拠(省略)第三主たる争点に対する判断一被告会社の主張する本件各解雇の根拠証拠(乙一)によると、被告会社は、就業規則において、通常解雇の理由や懲戒解雇の理由を個別的に規定していること、同規則二九条は、通常解雇理由として、(イ)身体虚弱にして作業に堪えずと認めたとき、(ロ)事業縮小、廃止、その他止むを得ない事業上の都合に依る場合、(ハ)勤務成績不良で一年を通じて自己欠勤が九〇日以上に及んだとき、(ニ)休職期間が満了したとき、(ホ)その他これに準ずる理由のある場合を定めていることを認めることができ、右規定の趣旨からすると、被告会社においては、就業規則二九条に定める理由がある場合に限って通常解雇をするとしているものと解するのが相当である。そして、被告会社は、原告らを解雇した根拠として、就業規則三八条(5)、(6)(ニ)、(ホ)、(ヘ)に準じて通常解雇した旨主張するのであるが、右主張と就業規則二九条の規定を総合すると、要するに、被告会社の主張は、原告らの行為が被告会社摘示の右就業規則の条項に該当するから、就業規則二九条(ホ)により通常解雇した旨を主張するものと解するのが相当である。 そこで、就業規則三八条(5)、(6)(ニ)、(ホ)、(ヘ)の条項を見てみると、次のとおりである(乙一)。 「第三八条、懲戒処分は譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の六種類とし、その一つ又は二つを併せて行う。 (5)諭旨解雇(説諭の上、自発的に退職せしめる)(6)懲戒解雇(予告期間を設けず監督官庁の認定を得て、即時解雇し予告手当は支払わない)・次の各項の一つに該当する時は懲戒解雇に処する。 但し、情状により諭旨解雇に止めることがある。 (ニ)業務に関する会 解雇(予告期間を設けず監督官庁の認定を得て、即時解雇し予告手当は支払わない)・次の各項の一つに該当する時は懲戒解雇に処する。 但し、情状により諭旨解雇に止めることがある。 (ニ)業務に関する会社の命令に従わない時(ホ)上長ならびに従業員に対して暴行脅迫を加えた時、又は業務の遂行を妨害する行為のあった時(ヘ)故意に会社に損害を与え、もしくは業務の運営に支障を及ぼした時」二原告aの解雇事由の存否 1 被告会社の主張する解雇事由被告会社は、①被告会社が掲示板について組合と設置に合意したのは各工場に一個であって、本件掲示板については組合に使用させる旨の合意が成立していないのに、原告aは、本件掲示板を移動しろというc社長の業務命令に従わなかったこと、②c社長との会話を秘密裡に録音していたこと、の二点を解雇事由として主張するものであると解される。 2 事実関係争いのない事実に証拠(後記括弧の中に挙げたもの)及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実を認めることができる。 (一)本件掲示板についての被告会社と組合との合意(甲四ないし七、一二、六七の1ないし3、六八の1ないし3、七〇の1・2(ただし、mの審問速記録)、七一の3、七二の3ないし5、検甲一、証人m、原告a)組合が結成された平成二年六月六日、組合執行委員長である原告aは、被告会社のm副社長に対し、組合結成通知と団体交渉の要求書を提出し、翌七日、第一回の団体交渉が開かれた。その席で、被告会社と組合は、組合掲示板を各工場に一つずつ設置すること、組合に会社食堂の利用を認めること、就業時間外の会社施設内での組合活動を保障すること、就業時間内でも執行委員長への事務通信を取り次ぐことについて合意し、その旨の協定書(甲六)が労働協約として作成された。また、その席で、組合は、被告会社に対し、そ 社施設内での組合活動を保障すること、就業時間内でも執行委員長への事務通信を取り次ぐことについて合意し、その旨の協定書(甲六)が労働協約として作成された。また、その席で、組合は、被告会社に対し、それまで評議員会が利用していた本件掲示板を組合掲示板として使用したいと申し入れ、当時のi社長から快諾を得た。組合は、本件掲示板に「岩井金属労働組合」という表示をして翌八日から組合掲示板として利用を始め、以後、被告会社から問題にされることなく使用を継続した。 (二)社長の交代と被告会社と組合との関係(甲一、一八ないし二一、六七の1ないし3、六九の1ないし4、七二の3ないし5、検甲一、四ないし六、一〇、一二、証人m、原告a、被告代表者c)平成二年一〇月一日、c社長ないし同社長の経営する同族会社が被告会社の株式の多くを譲り受けた。 同月二日、被告会社の当時の代表取締役であったi社長は、組合三役である原告a、d副執行委員長、n書記長に対し、同月一日に被告会社をcグループに売却したこと、同月五日に新社長の就任パーティーがあるので従業員は全員参加することを告げた。組合にとっては突然の話であったので、組合は、その経緯を明らかにし全従業員に説明をするよう求めたが、i社長は応じなかった。 同月三日、組合は、従業員に直接社長交代の説明をするよう求めた各取締役あての要請文を被告会社に提出し、緊急に従業員集会を開くことを知らせる組合ニュース(甲一八)を従業員に配布した。夕方、従業員集会が開かれ、各取締役に対し、労働条件の不利益な変更を行わないこと、社長交代の調印内容を公表すること、労働条件・労使関係について組合と協議し決定すること、経理を公開すること、緊急に団体交渉を開催することなどを要望する旨の決議文を採択し、翌四日、この決議文を載せた組合ニュース(甲一九)を被 ること、労働条件・労使関係について組合と協議し決定すること、経理を公開すること、緊急に団体交渉を開催することなどを要望する旨の決議文を採択し、翌四日、この決議文を載せた組合ニュース(甲一九)を被告会社に提出して各取締役に渡すよう求めた。 同月四日、被告会社のi社長が代表取締役を退任して取締役も辞任し、代わってc社長が代表取締役に就任した。その日の朝礼において、i社長は、従業員に対し、社長の交代を告げ、次いでc社長が就任のあいさつをした。その夕方、c社長は、原告aを呼び出し、原告aは、d副執行委員長とともにc社長のもとに赴いた。c社長は、二人に対し、強い口調で組合を解散するよう求め、「組合は解散しろ。顔が立つようにしてやるから、まずここで決意しろ。いやならここにおれなくしてやる。俺の言っているのは不当労働行為だ、地労委でも裁判所でも訴えてみろ。謝ってまたやったらいいんだ。」などと一方的に話を続け、二時間以上に及んだ。 翌五日、c社長は、新社長就任パーティーにおける従業員に対する話の中で、「私が来た早々ビラとかポスターで迎える心の良くない一部の人がいる。非常職である。一回目は誤解で許せる。しかし、その誤解が二回、三回続くなら命をかけて闘ってやる。」などと述べ、組合のビラやニュースについて強い不快感を示した。 同月一一日、組合は、「誤解をときあたりまえの労使関係をつくっていきましょう」と呼びかける組合ニュース(甲二〇)を配布した。 同日、被告会社のe総務部次長は、c社長の指示に基づき、組合に対し、「今週中に第一機械掲示板(本件掲示板)を撤去してくれ。撤去しないなら勝手にはずす。」と告げた。組合は、この問題について団体交渉で話し合うことを求めたが、e総務部次長は応じなかった。なお、組合は、その時までに、同年六月の被告会社との前記協定に てくれ。撤去しないなら勝手にはずす。」と告げた。組合は、この問題について団体交渉で話し合うことを求めたが、e総務部次長は応じなかった。なお、組合は、その時までに、同年六月の被告会社との前記協定に基づき、被告会社から六枚の掲示板の貸与を受け、そのうち三枚を、本社一階トイレ横、化成品部門(第八工場)、第一組立部門(第三物流センター)に組合掲示板として設置していた。 e総務部次長から告げられた撤去期限である同月一三日(土曜日)、組合は、本件掲示板に、「組合としては撤去も含めて柔軟に対応する用意があります。団体交渉での話し合いを求めています。しかし、一方的に撤去されるようなことがあれば不当労働行為であり、そんなことがあってはなりません。」と書いたポスターを掲示した。 (三)一〇月一三日のc社長と原告aとのやりとり(甲二一、六七の1ないし3、六九の1ないし4、七〇の1・2(ただし、mの審問速記録)、検甲一、二、原告a、被告代表者c)同日午後四時すぎ、原告aは、突然、m副社長から、c社長が呼んでいるということで、本件掲示板の前に呼び出された。 その場で、c社長は、原告aに対し、ポスターをはがすよう求めるとともに、組合掲示板は各工場に一つずつの約束なのだからと言って、本件掲示板自体をはずすことを命じた。原告aは、これに応じず団体交渉をするよう求めると、c社長は、「じゃあ、おまえらやめろよ。会社くびや。」「はやくやめなさい。いいな。今日からあんたやめんの。」「無茶苦茶でも何でもやめな。あとは裁判でやりなさい。 いいな。今日ここであんたのことおれは解雇通告する。」などと述べて解雇を通告した。これに対し、原告aは、抗議し解雇の理由を述べるよう求めたが、c社長は理由を述べなかった。 原告aは、前記のように、同月四日、c社長から、組合の解散に応じないと する。」などと述べて解雇を通告した。これに対し、原告aは、抗議し解雇の理由を述べるよう求めたが、c社長は理由を述べなかった。 原告aは、前記のように、同月四日、c社長から、組合の解散に応じないときは職場におれなくしてやるなどと強い調子で申し渡されていたため、万一の場合を考えて、その時、携帯していた録音機に、c社長とのこのやりとりを録音していた。 m副社長がこれに気づき、c社長に知らせたため、そこで話は止めになった。 (四)その後の被告会社の原告aに対する態度(甲二二の1・2、六七の1ないし3)被告会社は、原告aに対し、一〇月一三日までの未払給与と解雇予告手当を同人の預金口座に振り込んだ旨を記載した一〇月一五日付けの手紙を書留郵便で送付した。 原告aは、一〇月一五日(月曜日)、被告会社に赴いて就業しようとしたが、被告会社の取締役や守衛らは、原告aを会社内に入れなかった。その後も、原告aは、被告会社で就業しようとの試みを続けたが、被告会社は、正門のシャッターを下ろすなどの妨害を行って、原告aを排除した。 (五)原告a解雇後の被告会社の組合等に対する対応(甲二五の1ないし4、二五の5の1ないし10、二五の6・7、二七の1・2、六七、六八の各1ないし3、七〇の1ないし6、七二の1ないし8、検甲一九ないし三一)(1)c社長は、一〇月一三日の夕礼において、従業員に対し、原告aを解雇したことを伝えるとともに、「皆が私に賛成してくれないのなら会社はやって行けない。組織をとるのか、私をとるのかはっきりさせてくれ。そうしないと私はこの会社を運営していけない。cグループの他の会社でもこういうことがあったが、組合をとった一握りの人はおれなくなってしまった。」旨の挨拶をし、暗に、従業員に対し、組合を脱退しc社長の指示に従うことを求めた。 (2)被告会社取締 cグループの他の会社でもこういうことがあったが、組合をとった一握りの人はおれなくなってしまった。」旨の挨拶をし、暗に、従業員に対し、組合を脱退しc社長の指示に従うことを求めた。 (2)被告会社取締役製造本部長jは、同月一五日、製造部長h、第一機械部門g係長、第二機械部門k係長、第二溶接部門l係長に対し、「一昨日の夕礼において、c社長が組織をとるのか、私をとるのかはっきりさせて欲しいと言われた。会社を再建するに当たり社長の指導の下、皆一丸となってやるのか騒ぐのか、はっきりさせる必要がある。c社長は、社長の指導の下でやっていけない人があれば、大阪まで来てやりたくないと言っている。組織をとるのか、社長をとるのか、皆に早急に聞いてきて欲しい。」と述べ、東部センター主任にも電話で右の内容を伝え、賛同できる人の名前を聞いてファックスで送るよう指示した。 (3)同日、右各係長らは、各担当部門で従業員に対し、j部長の話を伝え、従業員一人一人に会って会社用箋を使用した用紙に組合脱退署名を集め、これを組合に提出した。この結果、それまで、一〇〇名を超えた組合員は一〇数名にまで減少した。 (4)一一月八日、第一機械部門g係長は、部下に指示して組合事務所にフォークリフトを突っこませて損傷を与え(甲六八の1・四一頁)、事務所として使用出来なくし、一二月二日、組合がその応急修理をすると、同月八日、同係長らが、h部長の指示で組合に無断で右事務所建物を撤去した(甲六八の1・四五頁、七〇の六・二一頁、二三頁)。 3 判断右認定の事実によれば、本件掲示板は、組合が、被告会社との合意に基づき、組合掲示板として利用し、その使用管理権を有していたことが認められるのであるから、被告会社が組合員である従業員に対し、その撤去の業務命令を出すことはできないというべきである。したがって 意に基づき、組合掲示板として利用し、その使用管理権を有していたことが認められるのであるから、被告会社が組合員である従業員に対し、その撤去の業務命令を出すことはできないというべきである。したがって、原告aが本件掲示板の撤去に応じなかったことをもって、業務命令に違反したものということはできないから、右事実を理由に原告aを解雇することは許されない。 次に、原告aがc社長との会話の内容を録音したことについて検討するに、前記認定の事実によれば、c社長は、同原告に対する解雇の意思表示をした後に、同原告が右録音をしたことを知ったのであるから、本件解雇は、同原告の右行為を理由にされたものとは認められない。のみならず、c社長が原告aに本件掲示板の撤去を求めたことは適法な業務命令とはいえないのであるから、その会話の内容を秘密に録音したとしても、被告会社の業務の遂行を妨害するとか、被告会社に損害を与えるとか、業務の運営に支障を及ぼしたとかいうことはできないし、その後、原告aが右の秘密録音をしたためにそのような事情が発生したと認めるに足りる証拠はない。加えて、原告aがc社長との会話の内容を秘密に録音しようと思ったのは、先にc社長から組合を解散することを求められ、これに応じないときは職場におられないようにしてやるなどと強い調子で申し渡されていたため、c社長との会話において発生するかもしれない異常な事態等万一の場合を考えてのことであることは前記認定のとおりであり、このような事実を前提とすると、原告aが右のような処置を取ったとしてもやむを得ないともいうことができる。 以上の次第で、被告主張の原告aの解雇事由は、就業規則三八条(6)(ニ)、(ホ)、(ヘ)のいずれにも該当せず、よって同条(5)も適用の余地がないから、原告aに対する本件解雇には解雇事由が存在しない。 以上の次第で、被告主張の原告aの解雇事由は、就業規則三八条(6)(ニ)、(ホ)、(ヘ)のいずれにも該当せず、よって同条(5)も適用の余地がないから、原告aに対する本件解雇には解雇事由が存在しない。 三原告bの解雇事由の存否 1 原告bが解雇された時の状況とその後の被告会社の原告bに対する態度争いのない事実及び証拠(甲六〇、七一の1ないし4、七二の1ないし3)によれば、次の事実を認めることができる。 仕事納めの日であった平成二年一二月二八日午後三時ころ、原告bは、m副社長に呼び出され、解雇通知を示された。そこには、解雇理由①ないし④によって解雇する旨と、「退職予告手当」(解雇予告手当のこと)と当日までの未払賃金を支払う旨の記載があった。それと同時に、解雇予告手当と未払賃金の入った封筒と冬季賞与の入った封筒も目の前に出され、受け取るように言われた。原告bは、受け取れない、不当解雇だなどと告げて受取りを拒否し、職場に戻った。 その日の午後五時ころ、被告会社の従業員に対して冬季賞与が支給され、原告bも自分の分を受け取った。すると、その封筒の中に、先ほどの解雇通知が入っていた。原告bは、その解雇通知のコピーをとってから、m副社長に返しに行った。 平成三年の仕事始めの日である一月七日の朝、いつものように出勤した原告bは、m副社長らに呼び出され、解雇したことになっているなどと告げられたが、その日は被告会社で仕事をした。翌日も原告bは出勤したが、前日にはあったタイムカードがなくなっており、被告会社内に入ろうとしても守衛に排除された。 2 解雇理由①について争いのない事実及び証拠(甲六七の1ないし3、六八の1ないし3、六九の1ないし4、七一の1・3、七二の1ないし7、原告b、被告代表者c)によれば、次の事実を認めることができる。 平成二年一〇月 争いのない事実及び証拠(甲六七の1ないし3、六八の1ないし3、六九の1ないし4、七一の1・3、七二の1ないし7、原告b、被告代表者c)によれば、次の事実を認めることができる。 平成二年一〇月一三日、原告aに対する本件解雇後の午後五時ころ、被告会社は、社長の話があるので夕礼を開くと言って、従業員を食堂に集めた。 原告bが食堂に行ってみると、食堂の入口で、c社長、原告a及びn組合書記長が話をしていた。話の内容は、原告aに対する本件解雇のことであり、原告aがc社長に対し、解雇の理由を言え、理由のない解雇は不当だなどと述べ、c社長は、原告aはもう従業員ではないなどと答えていた。その話を聞いた原告bは、原告aが不当に解雇されたものと考え、c社長が目の前を横切って食堂の奥に行こうとした際、「不当だ。」と述べた。それを聞いたc社長は、原告bの前に一歩踏み出したが、原告bは、それ以上のことは言わなかった。そこで、c社長が食堂の奥の方に歩いて行き、その場に集まっていた多くの従業員の前で話を始めようとした時、原告bは、もといた場所から、再びc社長に向かって、「あんまりおかしいんではないんですか。」と言った。 c社長は、話を始め、約三〇分間にわたって話をした。その中で、原告aを解雇したことのほか、「組織をとるのか私をとるのかはっきりしろ。」など前記第三、二、2、(五)、(1)に認定のような話をしたが、その話の間、原告bは発言しなかった。 右認定の事実によると、原告bの発言によってc社長の話が妨害されたと認めることはできない。また、原告bの発言は「不当だ。」、「あんまりおかしいんではないですか。」というだけであり、また、大声で叫んだとか、威圧的な調子であったなどの事情を認めるに足りる証拠はないから、罵声を浴びせたと評価することもできない。 よっ 」、「あんまりおかしいんではないですか。」というだけであり、また、大声で叫んだとか、威圧的な調子であったなどの事情を認めるに足りる証拠はないから、罵声を浴びせたと評価することもできない。 よって、被告会社主張の解雇理由①の事実は認めることができない。 3 解雇理由②について(一)本件全証拠を精査するも、原告bが、平成二年一一月八日、第一機械工場のプレス機を毀損し、被告会社に損害を与えたという事実を認めるに足る証拠はない。 (二)かえって、争いのない事実及び証拠(甲六八の1ないし3、七一の1ないし4、七二の1ないし7、検甲四〇ないし四三、証人m、原告b、被告代表者c)によれば、次の事実を認めることができる。 平成二年一一月八日ころ、第一機械部門にあるプレス機のうちの一台(以下「本件プレス機」という。)について、「団結」という文字が浮かび上がるように一部のペンキがはがされているのが発見された。 当時、一〇月末から一一月末にかけて、被告会社は、主に、組合員である従業員に命じて、機械のペンキはがしの仕事をさせていた。これは、機械のペンキの塗替えをする際、古いペンキをはがしてから新しいペンキを塗る、という作業の一環で、c社長の指示に基づくものであった。原告bも、上司であるg係長から命じられ、主として残業時に、五日間、この仕事に従事した。 なお、本件プレス機については、その後、被告会社はペンキはがしを中止させ、また、上から新しいペンキを塗ることもしなかった。 右認定の事実によると、本件プレス機は、その一部のペンキがはがれただけであって、それによって、機械の機能に何らかの支障が生じたと認めることはできないし、また、被告会社としては、更に作業を続行し、「団結」という文字が浮かび上がった部分以外の古いペンキをもはがしてその上に新しいペンキを塗れば 、機械の機能に何らかの支障が生じたと認めることはできないし、また、被告会社としては、更に作業を続行し、「団結」という文字が浮かび上がった部分以外の古いペンキをもはがしてその上に新しいペンキを塗れば作業の目的を達するのであり、本件プレス機のペンキが右のようにはがされたことによって被告会社に損害が生じたり、業務の遂行を妨害したり、業務の運営に支障を及ぼしたとはいえない。 したがって、被告会社主張の解雇理由②の事実は認めることができない。 4 解雇理由③について争いのない事実及び証拠(甲六七の1ないし3、六八の1ないし3、六九の1ないし4、七〇の1ないし6、七一の1ないし4、七二の1ないし7、検甲一ないし一六、証人m、原告b、被告代表者c)によれば、次の事実を認めることができる。 平成二年の一一月初めころまでに、以前設置されていた組合掲示板(本件掲示板を含めて四枚)は、被告会社によってすべて撤去されていた。そのため、組合は、ビラなどを貼る場所がなくなり、被告会社のポスターの上に貼るなどしたが、それも被告会社の従業員によってはがされる、という状態であった。 一一月の終わりころ、c社長は、夕礼において、「これからはすべてオープンに、組合ニュースも食堂にすべて掲示して行く。」などと述べ、その後、被告会社は、それまでに発行された組合ニュースを食堂の壁に貼り出すとともに、新しく組合ニュースが発行されるたびにこれを食堂の壁に貼り出すようになった。 原告bは、一二月四日、食堂の壁に、「a委員長を職場に戻せ!」と記載した組合ニュース増刊号を掲示した。この組合ニュース増刊号は、B4版程度のものであったそれまでの組合ニュースの大きさとは異なり、縦四〇センチメートル、横一メートル四〇センチメートルに及ぶ大きな紙に右の言葉を大書したものであり、ポスターとい ニュース増刊号は、B4版程度のものであったそれまでの組合ニュースの大きさとは異なり、縦四〇センチメートル、横一メートル四〇センチメートルに及ぶ大きな紙に右の言葉を大書したものであり、ポスターといってもいいようなものであった。 右認定の事実を前提に、原告bの右の行為が就業規則三八条(6)の(ニ)、(ホ)、(ヘ)に該当するか否かを検討する。 まず、被告会社は、食堂の壁に組合ニュースを貼ってはならない旨の業務命令を出してはいないから(むしろ、前記認定のとおり、組合に食堂の利用を認める旨の労働協約が存在する。)、原告bの右行為が業務命令違反になることはない。また、食堂は、従業員が利用するためのものであり、しかもすでにその壁に組合ニュースがいくつも貼られていたことを考えると、原告bが右ニュースに加えて右のような組合ニュース増刊号を貼り出したとしても、それが被告会社の業務の遂行を妨害したり、被告会社に損害を与えたり、業務の運営に支障を及ぼすということはできない。さらに、被告会社は、従前、組合に対し、本件掲示板の使用を許したほか、組合との間で、各工場に一枚ずつの組合掲示板を設置する旨の労働協約を結んでいたにもかかわらず、一一月初めころまでには、本件掲示板と、労働協約に基づき既に設置されていた組合掲示板三枚のすべてを撤去してしまっていたこと、他の場所に組合のビラを貼っても被告会社の従業員によってはがされるという状態にあったことに照らすと、「すべてオープンに」というc社長自らの言葉を聞いた原告bが、これを機会に右組合ニュース増刊号を食堂の壁に掲示しても許されると考えたのは無理もなく、これをとらえて解雇事由とすることは許されないというべきである。 よって、被告会社主張の右事実は解雇事由に当たらない。 5 解雇理由④について争いのない事実及び証拠( ると考えたのは無理もなく、これをとらえて解雇事由とすることは許されないというべきである。 よって、被告会社主張の右事実は解雇事由に当たらない。 5 解雇理由④について争いのない事実及び証拠(甲六七の1ないし3、六八の1ないし3、六九の1ないし4、七〇の1ないし6、七一の1ないし4、七二の1ないし7、検甲一七ないし三一、証人m、原告b、被告代表者c)によれば、次の事実を認めることができる。 平成二年一〇月二六日から始まった組合事務所の破壊は、被告会社の指示に基づき行われたものであった(前記第三、二、2、(五)、(4))。 一一月一二日の破壊で組合事務所が使用不能になったため、原告bら組合員は、一二月二日(日曜日)、これを補修するために、組合事務所のある被告会社の工場内に立ち入った。その際、原告bらは、被告会社工場の守衛に連絡したうえ工場に入ったが、守衛は原告bらの立入りを認め、また、退去は求めなかった。 右認定の事実によると、原告bら組合員は、被告会社の守衛の許可を得て被告会社の工場内に立ち入ったのであり、不法に立ち入ったとはいえない。また、この立入りが被告会社の業務の遂行を妨害するとか、被告会社に損害を与えるとか、業務の運営に支障を及ぼすものであるということはできない。さらに、前記認定のとおり、被告会社と組合との間には、就業時間外に会社施設内で組合活動をすることを保障する旨の労働協約が締結されており、原告bらは、被告会社によって破壊された組合事務所を補修するという組合活動のために、就業時間外である日曜日に被告会社の工場内に立ち入ったのであるから、原告bらの行為は、労働協約上許された行為であるということができる。 よって、被告会社主張の右事実は解雇事由に当たらない。 6 結論以上の次第で、被告主張の原告bの解雇事由は、就業規 であるから、原告bらの行為は、労働協約上許された行為であるということができる。 よって、被告会社主張の右事実は解雇事由に当たらない。 6 結論以上の次第で、被告主張の原告bの解雇事由は、就業規則三八条(6)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)のいずれにも該当せず、同条(5)を適用する場合にも当たらないから、原告bの本件解雇には解雇事由が存在しない。 4 本件各解雇の効力と原告らの地位 1 以上のとおり、本件各解雇にはいずれも解雇事由が存在しないから、各解雇には客観的に合理的な理由がないというほかない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件各解雇は解雇権の濫用によるものであって無効である。 2 のみならず、前記の事実関係、とりわけ、原告aに対する本件解雇の直前である平成二年一〇月四日、c社長が、組合執行委員長である同原告らを呼び出して組合の解散を強く求め、組合を解散しないなら、この職場におれなくしてやるなどと申し渡した上、同月五日の社長就任パーティーにおいて、従業員に対し、「私が来た早々ビラとかポスターとかで迎える心の良くない人がいる。非常識である。一回目は誤解で許せる。しかし、その誤解が二回、三回と続くなら命をかけて闘ってやる。」などの挨拶をしたこと、同月一三日の右解雇の直後である同日の夕礼において、c社長が、従業員に対し、「組織をとるのか私をとるのかはっきりさせてくれ。そうしないと私はこの会社を運営していけない。cグループの他の会社でもこういうことがあったが、組合をとった一握りの人はおれなくなってしまった。」旨の挨拶を行い、これを受けて、同月一五日、被告会社取締役製造本部長jの指示により各係長らが従業員一人一人から組合の脱退署名を集めて組合に提出したこと、被告会社内の組合掲示板が同月一四日から一一月九日までの間に組合に無断ですべ 、同月一五日、被告会社取締役製造本部長jの指示により各係長らが従業員一人一人から組合の脱退署名を集めて組合に提出したこと、被告会社内の組合掲示板が同月一四日から一一月九日までの間に組合に無断ですべて撤去されたこと、被告会社の工場敷地内にあった組合事務所が一〇月二六日からフォークリフトにより再三損傷を受け、一一月八日には被告会社第一機械部門g係長が部下に指示してフォークリフトを突っ込ませて使用不能なほど損傷し、組合が応急修理をすると、一二月八日に同人らがh部長の指示により右事務所建物を組合に無断で撤去したこと、このような経緯の結果、一〇〇名を超えていた組合員が大量に脱退し、組合員数が一〇数名にまで激減したが、原告bは、組合を脱退することなく組合活動を継続していたところ、一二月二八日同人に対する本件解雇の意思表示がされたことなどの経緯、及び被告会社の主張する原告両名に対する解雇事由が認められないことを考え併せると、原告両名に対する本件各解雇は、被告会社c社長において、組合を嫌悪し、原告両名が組合員として正当な組合活動をしたことの故に不利益な取扱をし、また、組合に対する支配介入をする意図で行ったものと認めることができるから、原告両名に対する本件各解雇の意思表示は不当労働行為を構成し、無効であるというべきである。 3 よって、原告らは、被告会社に対し、労働契約上の権利を有する地位にある。 五賃金請求について 1 原告らは、被告会社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあり、被告会社は、原告らの就労を拒否しているから、原告らは、被告会社に対して賃金請求権を有するところ、原告aの本件解雇前三か月間の賃金額は、一か月当たり一七万四四一三円を下らず、原告bの右同賃金額は一か月当たり一八万八〇四六円を下らないので、原告らは、一か月当たり右の各金額の限度 を有するところ、原告aの本件解雇前三か月間の賃金額は、一か月当たり一七万四四一三円を下らず、原告bの右同賃金額は一か月当たり一八万八〇四六円を下らないので、原告らは、一か月当たり右の各金額の限度で、被告会社に対する賃金請求権を有するものというべきである。 なお、原告らは、被告会社では毎年四月に昇給が実施されていたので、各原告について、解雇の年である平成二年四月分以降の毎月の賃金の平均額が支払われるべきである旨主張するが、原告らに支払われていた賃金額は、月によってかなりの変動があることを考慮すると、平成二年四月分以降の毎月の賃金の平均額によってその賃金を算定することに合理性があるとは必ずしもいえず、むしろ、解雇時の直前三か月間に支払われた賃金の平均額によって算定することに合理性があるというべきである。 2 そうすると、被告会社に対し、原告aは、本件解雇の日の翌日である平成二年一〇月一四日から毎月二六日限り一か月一七万四四一三円の割合による賃金の支払を、原告bは、同じく同年一二月二九日から毎月二六日限り一か月一八万八〇四六円の割合による賃金の支払を求めることができる。 六賞与請求について 1 前記事実によると、原告らに対する賞与の支払状況は次のとおりである。 (一)原告a〔夏季賞与〕 〔冬季賞与〕昭和六三年一九万四四一六円二四万七五〇〇円平成元年二〇万五三五〇円三五万六九〇〇円平成二年二八万五七五〇万(二)原告b〔夏季賞与〕 〔冬季賞与〕昭和六三年一六万四一四三円二一万五九〇〇円平成元年二四万一二五〇円三八万六六〇〇円平成二年三二万一〇五〇円一四万〇〇〇〇円 2 前記事実と右の事実によれば、原告bに対して平成二年一二月二八日に支払われた平成二年分の冬季賞与を除き、 元年二四万一二五〇円三八万六六〇〇円平成二年三二万一〇五〇円一四万〇〇〇〇円 2 前記事実と右の事実によれば、原告bに対して平成二年一二月二八日に支払われた平成二年分の冬季賞与を除き、夏季賞与、冬季賞与のそれぞれについて前年同季以上の額が支払われており、この間原告らの一か月当たりの平均賃金額も増加していること、被告会社の就業規則(乙一)が賞与についても給与規定が適用される旨を定めており、賞与も賃金の一部であると認められること、以上の点を総合すれば、特段の事情が認められない限り、原告らは、その勤務を継続した場合には、労働契約上、少なくとも従前額(原告bについては、平成二年夏季賞与以前の額)を下回らない額の賞与の支払を求めることができるものと認められる。 これに対し、被告会社は、賞与支払の有無及び額の決定権は被告会社にある旨主張するが、右主張が理由のないことは前記認定、説示から明らかである。 そして、前記事実によれば、原告bに対する平成二年冬季賞与は、解雇の理由がなく、かつ、不当労働行為を構成する解雇の意思表示と同時に支払われたものである上、同原告の査定前の右賞与額が四〇万四〇〇〇円であるところ、これを減額すべき事由について、被告会社は主張、立証しないし、右減額事由を認めるべき証拠もなく、他方、他の従業員の平成二年冬季賞与額が一律に減額されたことも認められないことからすると、同原告に支給された右賞与額は、同原告が労働契約上その支払を請求し得る賞与額の一部にすぎないものと認めるのが相当である。なお、被告会社は、原告bは平成二年の右冬季賞与を異議無く受領しているから、右冬季賞与の差額請求は許されない旨主張する。しかし、原告bが右冬季賞与を、残額があるのにそれを放棄する意思を表示して異議無く受領したことを認めるべき証拠はないから、 与を異議無く受領しているから、右冬季賞与の差額請求は許されない旨主張する。しかし、原告bが右冬季賞与を、残額があるのにそれを放棄する意思を表示して異議無く受領したことを認めるべき証拠はないから、右主張は理由がない。 3 そうすると、原告aは、本件解雇後、夏季賞与については、毎年七月末日限り平成二年の賞与と同額の二八万五七五〇円、冬季賞与については、毎年一二月末日限り平成元年の賞与と同額の三五万六九〇〇円の各支払を受ける権利がある。 原告bは、平成二年冬季賞与として、少なくとも前年同季と同額の三八万六六〇〇円の支払を受ける権利があるところ、現実には一四万円の支払しか受けていないのであるから、被告会社に対し、その差額の二四万六六〇〇円の支払を請求することができる。なお、その支払期日は、前記原告bの本件解雇時の状況に関する認定事実によると、平成二年一二月二八日であるということができる。また、原告bは、本件解雇後、夏季賞与については、毎年七月末日限り平成二年の賞与と同額の三二万一〇五〇円、冬季賞与については、毎年一二月末日限り平成元年の賞与と同額の三八万六六〇〇円(本来は、平成二年の賞与と比較すべきであるが、2でみたとおり、これが不当に切り下げられているので、平成元年の賞与と比較する。)の各支払を受ける権利がある。 七将来の賃金及び賞与請求の必要性争いのない事実及び前記認定事実によれば、被告会社が原告らを排除しようとする姿勢は非常に強固なものであるということができ、原告らの地位を確認する本判決が確定しても、被告会社は原告らの就労を拒絶して賃金及び賞与の支払請求を争うことが予想される。したがって、原告らは、口頭弁論終結後本判決が確定した後の賃金及び賞与の支払についても、予め請求をする必要があるというべきである。 八結論原告らは、被告会 賞与の支払請求を争うことが予想される。したがって、原告らは、口頭弁論終結後本判決が確定した後の賃金及び賞与の支払についても、予め請求をする必要があるというべきである。 八結論原告らは、被告会社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあり、かつ、被告会社に対し、原告aは、本件解雇の日の翌日である平成二年一〇月一四日以降、毎月二六日限り一か月一七万四四一三円の割合による賃金及び毎年七月末日限り二八万五七五〇円、毎年一二月末日限り三五万六九〇〇円の各賞与並びに右各金員に対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を、原告bは、未払賞与二四万六六〇〇円及びこれに対する支払期日の翌日である平成二年一二月二九日から支払済みまで同利率年六分の割合による遅延損害金並びに本件解雇の日の翌日である平成二年一二月二九日以降、毎月二六日限り一か月一八万八〇四六円の割合による賃金、平成三年以降毎年七月末日限り三二万一〇五〇円、毎年一二月末日限り三八万六六〇〇円の各賞与及び右各金員に対する各支払期日の翌日から支払済みまで同利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 別表1、2省略

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