【DRY-RUN】主 文 原判決を廃棄し、本件を一宮簡易裁判所に差戻す。 理 由 弁護人中沢信雄の控訴趣意は別紙記載の通りである。 第一点の(一)について。 <要旨>酒税法
主文 原判決を廃棄し、本件を一宮簡易裁判所に差戻す。 理由 弁護人中沢信雄の控訴趣意は別紙記載の通りである。 第一点の(一)について。 <要旨>酒税法違反事件の公訴提起には收税官吏、国税局長又は税務署長の告発はその形式的訴訟条件であるから告発</要旨>のあつたという事実は、犯罪事実の立証のように厳格な証拠による立証を要しない。もとより告発書又は告発調書はその立証として最適のものには相違ないが然し他の立証方法を妨げないものと解する。故に記録上告発書が存在しないからというて直ちに告発がなかつたと断ずることは出来ない。而して告発内容と公訴事実との間には同一性が認められなければならない事は当然であるから検察官は告発のあつた事実と共にその公訴事実との同一性の有無を判断するに足りるだけの立証をしなければならないし又告発の有無は裁判所の職権調査事項でもある。本件に於て、原審公判調書の記載によれば検察官は告発の事実を立証する為一宮税務署員作成の告発書」の取調べを求めんとしたが被告人及び弁護人は之を証拠とすることに同意しなかつたので別に証人として大蔵事務官Aの取調べを求めた。(元来告発は検察官又は司法警察員に対して書面又は口頭でなさるべきもので、検察官又は司法警察員は口頭により告発を受けたときは調書を作らなければならないのである。故に告発書はその存在自体が証拠となるものであるのみならず本件の如き酒税法違反事件では告発は形式的訴訟条件であるから、斯る告発書は刑事訴訟法第三百二十条の制限には服さないものと解する。)ところでA証人は「昭和二十三年十二月七日被告人の処へ摘発に行きその時告発書を書いた」と述べ且つ検察官より告発書を呈示され「それに違いありませんと」述べているだけで告発書の内容は記録上全く不明である。即 でA証人は「昭和二十三年十二月七日被告人の処へ摘発に行きその時告発書を書いた」と述べ且つ検察官より告発書を呈示され「それに違いありませんと」述べているだけで告発書の内容は記録上全く不明である。即ち記録上本件公訴事実と告発内容との同一性を判断すべき資料がないのである。されば原審は本件訴訟条件たる告発の有無につき審理を尽さない違法があつて結局論旨は理由あるに帰し原判決は廃棄を免れない。 同(三)について。 原判決は主文に於て押收に係る燒酎一斗外焼酎醪麺子等の換価代金合計一千八百九十六円三十銭は之を没収する。としているが判文中没收の事由に付き何等判示するところがない(尤も没収の事由は罪となるべき事実ではないから証拠によつてその認めた理由を証明することは必ずしも必要ではない)のみならず記録を精査するも右没收金員と本件犯罪との関係が全く不明である。原審第二回公判調書によれば検祭官は「検察事務官作成の保管票写一通」の取調べを求めているがその立証趣旨については何等述べた旨の記載がなく、しかもその保管票の記載のみではその保管金が本件犯罪と如何なる関係にある証拠金(金一千八百九十六円三十銭)なりや全く不明である。 殊に原判決認定の事実は、「被告人は免許を受けないで昭和二十三年十一月下旬頃肩書被告人宅に於て濁酒約三斗一升を製造したものである」というのであつて没収に係る千八百九十六円三十銭は「燒酌一斗外燒酎醪麺子等の換価代金」ということになつている。そこで仮りに右「焼酎醪」が判示「濁酒」に該当するか又は判示「濁酒」を含むとするも他の「焼酎一斗麺子等」が判示犯罪と如何たる関係にあるのか全く不明である。斯様な次第で原判決は理由不備の違法があり論旨は結局理由あるというべく破棄を免れない。 仍てその他の控訴趣意については、判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七 罪と如何たる関係にあるのか全く不明である。斯様な次第で原判決は理由不備の違法があり論旨は結局理由あるというべく破棄を免れない。 仍てその他の控訴趣意については、判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第四百条本文に則り主文の通り判決する。 (裁判長裁判官杉浦重次裁判官若山資雄裁判官石塚誠一)
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