主文 1 原判決主文第1項を取り消す。 2 控訴人らの主位的請求(控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求を除く)をいずれも棄却する。 3 控訴人らの予備的請求のうち,次の請求を福岡地方裁判所に差し戻す。 (1) 無名契約上の地位確認請求(2) 法務活動妨害禁止請求 4 原判決主文第2項に関する本件控訴を棄却する。 5 控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求をいずれも却下する。 6 訴訟費用については,福岡地方裁判所に差し戻す予備的請求にかかる部分を除き,第1,2審を通して控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2(1) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らが原判決添付別紙「法中担当町内一覧表」(以下「本件法中担当町内一覧表」という。)の各担当地域の被控訴人の門徒に対し,単独もしくは,被控訴人と共同して法務活動を行い,被控訴人と独立して,門徒からお布施を受け取る旨の無名契約(小寺契約)上の地位を有することを確認する。 (2) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべき無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のとおり地域ごとに分けて担当し,住職と独立してあるいは共同して,別紙「法務活動の内容」のとおりの法務活動を行い,控訴人らが,門徒から受け取るお布施を自己の収入とすることができる契約)上の地位を有することを確認する(控訴人らが当審において追加した請求)。 (3) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴 ,控訴人らが,門徒から受け取るお布施を自己の収入とすることができる契約)上の地位を有することを確認する(控訴人らが当審において追加した請求)。 (3) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべき無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のとおり地域ごとに分けて担当し,住職と独立してあるいは共同して,葬儀,法事,月忌参り等の法務活動を行い,控訴人らが,門徒から受け取るお布施を自己の収入とすることができる契約)上の地位を有することを確認する(上記(2)の交換的変更請求)。 (4) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべき無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のとおり地域ごとに分けて担当し,被控訴人の僧侶として,葬儀,法事,月忌参り等の法務活動を行い,控訴人らが,門徒からお布施を受けとることができる契約)上の地位を有することを確認する(上記(3)の交換的変更請求)。 3 被控訴人は,控訴人ら及び控訴人らの地位を承継した者以外に,被控訴人の法務活動をさせてはならない。 4 被控訴人が,平成8年11月9日,控訴人らに対してなした小寺契約とも称すべき上記2(1)ないし(4)記載の各無名契約の解除が無効であることを確認する。 5(1) 被控訴人は,控訴人らが,被控訴人の門徒に対して,別紙「法務活動の内容」のとおりの法務活動を行うことを妨害してはならない(控訴人らが当審において追加した請求)。 (2) 被控訴人は,控訴人らが,被控訴人の門徒に対して,葬儀,法事,月忌参り等の法務活動を行うことを妨害してはならない(上記(1)の交換的変更請求)。 6 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人において ,法事,月忌参り等の法務活動を行うことを妨害してはならない(上記(1)の交換的変更請求)。 6 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人において法中という地位にあった控訴人らが,法中の地位を無名契約上の地位であるとして,(1)主位的に,明治25年に,その当時の被控訴人の住職と控訴人らの被承継人らとの間において,被承継人らに法中の地位を認め,かつ被控訴人が続く限り,その地位を承継した者に永代法中たる地位を認める旨の契約が締結され,控訴人らがその地位を承継しているとし,(2)予備的に,仮に上記明治25年の契約の締結が認められないとしても,控訴人らが長年法中として被控訴人の法務活動を行ってきたものであるから,控訴人らと被控訴人との間で黙示の契約が成立しているか,もしくは契約上の地位を時効取得している(これらは選択的主張と解される)として,上記(1),(2)のいずれの場合も,正当な理由がないのに被控訴人から解任され,控訴人らの法務活動が妨害されているなどと主張し,主位的請求として控訴の趣旨第2項ないし5項の,予備的請求として控訴の趣旨第2項,4項,5項の裁判を求めた事案である。 2 事実経過等(争いのある部分は,証拠(甲1,2,5ないし29,31の1,2,38,88,89,124,127ないし129,130の1,2,145ないし150,乙18,20,証人A,控訴人B1,同B2,被控訴人代表者(いずれも原審),控訴人B3,同B4,同B5(いずれも当審)),及び弁論の全趣旨によって認定した。)(1) 被控訴人は,浄土真宗本願寺派の寺であり,控訴人らは,被控訴人において,法中と呼ばれる衆徒(僧侶)の地位にあった者である(争いがない)。 (2) 被控訴人は,a地区において,他の浄土真 (1) 被控訴人は,浄土真宗本願寺派の寺であり,控訴人らは,被控訴人において,法中と呼ばれる衆徒(僧侶)の地位にあった者である(争いがない)。 (2) 被控訴人は,a地区において,他の浄土真宗の寺と比較して,大勢の門徒を有する寺であり,1人の住職が行う法務活動だけでは多数の門徒の需要に十分に応えることができず,また組織的にみてもその門徒全体を維持管理することも困難であった。そのため,かなり以前から住職以外の法中をもって各地域を担当させ,法中は,住職とともに,あるいは単独で,被控訴人の門徒に対して様々な法務活動を行うという体制をとってきた。 (3) 控訴人らは,それぞれ得度するなどして被控訴人から法中と呼ばれる地位を取得してから,次のような法務活動(以下「本件法務活動」という。)を行ってきた。 ア葬儀門徒が亡くなると,その遺族が担当地区の法中(以下「地域担当法中」という。)に連絡し,法中が臨終勤行(枕経)を行う。その際,葬儀の日時については,地域担当法中が,遺族の意向と住職の予定を調整して決定し,当番法中(10軒の法中家が順番で,住職,地域担当法中と共同して葬儀を行うことになっている。)へ連絡する。葬儀は,住職,地域担当法中,当番法中が共同して行う(なお,b地区では,地域担当法中がいないため当番法中が地域担当法中の役割を行う。)。地域担当法中は,遺族と共に火葬場に同行し,勤行(読経)を行う。住職は,これには同行しない。 イ法事(中陰,年忌参り,初盆など)遺族が地域担当法中と相談し,日程を決めて法事を行う。その際,遺族の意向によって住職を招く場合もあるが,住職の日程が空いていなければ,住職は出席しない。中陰の初七日の法事については,住職は出席しないことになっており,門徒と地域担当法中 て法事を行う。その際,遺族の意向によって住職を招く場合もあるが,住職の日程が空いていなければ,住職は出席しない。中陰の初七日の法事については,住職は出席しないことになっており,門徒と地域担当法中主体で進められる。住職単独で法事を行うことはなく,地域担当法中が同席する。 ウ布教活動地域担当法中が,その地域担当地区において,「ご縁(法座)」(法事の後,新たに席を持ち,親族または縁者や町内の人を集め,法話をするという活動)又は「会合」(門徒を教化するための活動)において,月に2,3回の割合で法話を行う。「ご縁」及び「会合」は,地域担当法中が行い,住職や当番法中が行うことはない。 エ月忌参り毎月の忌日参りは,地域担当法中が行い,これを住職が行うことはない。 オ法要被控訴人が行う法要として,永代経,春彼岸,婦人会,御誕会,皆作盆会,秋彼岸,戦没者,御正忌法要の年8回の法要がある。これらの法要は,それぞれ昼夜5日間行われ,特別な事情がない限り,住職をはじめ,控訴人ら法中16人全員が勤める。その際には,法中10軒は,当番制で1日ずつ,本堂の給仕や講師の案内等法要の世話を担当する。また,法中の妻達も,法中坊守として,門徒の接待等,法要の給仕をする。 カ 3日の番被控訴人において連日行われる朝6時からのお勤めについて,法中10軒は,当番で3日ずつ,時鐘から給仕・お勤めまでを行う。 キ報恩講報恩講とは,親鸞聖人の遺徳を偲ぶ浄土真宗門徒の行事であるが,被控訴人の門徒の各町内会がそれぞれ年1回勤める。住職,地域担当法中,当番法中が,その町内会すべての門徒の家をお勤めしてまわり,住職と当番法中が法話をする。 ク法中の報恩講法中の報恩講と 門徒の各町内会がそれぞれ年1回勤める。住職,地域担当法中,当番法中が,その町内会すべての門徒の家をお勤めしてまわり,住職と当番法中が法話をする。 ク法中の報恩講法中の報恩講とは,法中10軒と住職であるC家の11軒で,年に1度,全員ですべての家でお勤めを行う。この11軒が毎年順番に当番になり,当番に当たった家は,布教使を招いて法座を営む。 ケ上記法務活動の際,門徒から支払われるお布施については,門徒が住職や担当した法中に対してそれぞれこれを直接渡し,受け取った者はこれを自己の収入とすることができる。 (4) 被控訴人は,平成8年7月頃,控訴人らに対し,被控訴人が控訴人らのためにしていた社会保険料の半額負担を打ち切る旨を連絡した。これに反発した控訴人らは,被控訴人に対して,当初は上記措置の撤回を求めたが,その後,これを受け入れることとし,これとは別に,主として経済的な基盤を確保しておくために法中の権利を主張して,それを書面化することを求めるようになった。しかし,被控訴人がこれを拒否したことなどから,被控訴人と控訴人らとは次第に対立を深めていった。 (5) 被控訴人は,平成8年11月21日,控訴人らの僧籍の削除を申請する旨の書面を本山である西本願寺に送付し,また遅くとも平成9年8月頃には,控訴人らに対し,法中の地位を解任する旨の意思表示をした。 そして,被控訴人は,控訴人らが被控訴人において法中の地位にあることを認めない旨を門徒に知らせ,住職は控訴人らから要請があっても控訴人らとともに葬儀などの法務活動をすることを拒絶するようになった。その結果,控訴人らは,それぞれの担当地区において従前どおりの法務活動ができなくなり,門徒から受け取っていたお布施による収入がかなり減少した。 (6) そこで, することを拒絶するようになった。その結果,控訴人らは,それぞれの担当地区において従前どおりの法務活動ができなくなり,門徒から受け取っていたお布施による収入がかなり減少した。 (6) そこで,控訴人らは,本件訴訟に先立って平成9年12月に,被控訴人を相手方として,小倉簡易裁判所に民事調停を申し立てた(同庁平成9年(ノ)第2702号)が,同調停は,平成10年8月21日,不調に終わった(争いがない)。 3 主たる争点(1) 控訴人らの各請求と法律上の争訟性(本案前の主張)控訴人らの主張する無名契約上の地位(法中の地位)を前提とする各請求(以下「本件請求」という。)は,法律上の争訟といえるか。 (2) 仮に,本件請求が法律上の争訟といえる場合,本件請求の前提となる控訴人らの主張する無名契約上の地位を控訴人らは有するか。 ①被控訴人の住職と控訴人らの被承継人らとの間の明治25年の契約締結の有無,②控訴人らと被控訴人との間の黙示の契約,もしくは無名契約上の地位の時効取得の成否,③控訴人らと被控訴人との間に契約関係が認められる場合のその契約内容など。 (3) 控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は,訴えの利益があるか。 (4) 控訴人らが当審において追加した法務活動妨害禁止請求(控訴の趣旨第5項)について,被控訴人が控訴人らの法務活動を妨害しているか。 4 各争点についての各当事者の主張(1) 争点(1)(本案前の主張・本件請求と法律上の争訟性)について(被控訴人)ア控訴人らが明治25年の契約や黙示の契約等に基づいて取得したと主張している控訴人らの地位,すなわち法中の地位は,被控訴人における一定の法務活動を行い得る地位であるから,まさに宗 訴人)ア控訴人らが明治25年の契約や黙示の契約等に基づいて取得したと主張している控訴人らの地位,すなわち法中の地位は,被控訴人における一定の法務活動を行い得る地位であるから,まさに宗教上の地位ということができ,そこには市民的・経済的な地位ないし権利義務は一切含まれていないので,このような法中の地位を有することを前提とする控訴人らの本件請求は,主位的請求,予備的請求のいずれも法律上の争訟に当たらない不適法なものである。 イまた控訴人らの「住職から独立して,あるいは住職と共同して」,「法務活動に際し,門徒から受け取るお布施を自己の収入とすることができる」とか,「門徒からお布施を受け取ることができる」という主張を判断する過程において,被控訴人の教義との関連性を切断することはできず,「住職から独立して,あるいは共同して」,「法務活動」,「お布施を受け取る」という意味は宗教上の教義に照らして判断せざるを得ない。また,被控訴人の門徒に対して,被控訴人の「住職から独立して,あるいは住職と共同して」法務活動を行い得るとする控訴人らの主張は,浄土真宗本願寺派の教義に違背し,少なくとも,かかる控訴人らの主張が成り立つか否かを検討するためには教義の解釈を避けて通れない。これらの点からしても本件請求は法律上の争訟性を欠いている。 ウよって,本件請求は司法審査の対象とはならないから,これを却下すべきである。 (控訴人ら)ア控訴人らは,法中として,住職とともにまたは独立して,法務活動を行い,その際,門徒からお布施を受け取り,これによって生活を維持している。この点において,本件は財産上の利益に関する紛争であり,控訴人らはこのようにお布施を受け取ることができる無名契約上の地位(契約に基づく世俗的地位) お布施を受け取り,これによって生活を維持している。この点において,本件は財産上の利益に関する紛争であり,控訴人らはこのようにお布施を受け取ることができる無名契約上の地位(契約に基づく世俗的地位)を有することを主張しているのであるから,本件請求は,具体的な権利義務または法律関係をめぐる紛争である。 イまた控訴人らが主張する無名契約上の地位を有するか否かの判断過程において,契約内容に法務活動やお布施など宗教上の活動に関する事項が含まれるが,それらの事実関係の存否を判断するうえで,被控訴人の信仰の内容や宗教上の教義に立ち入る必要はない。 たとえば,「お布施を受け取る」ということについても,どこの僧侶も行っていることであり,何ら宗教上の教義に照らし判断されるべきことではない。 ウしたがって,本件請求は,法律上の争訟性を有するのであって,被控訴人の本案前の主張は失当である。 (2) 争点(2)(無名契約上の地位(法中の地位)の取得原因等)について(控訴人ら)ア主位的請求関係(ア) 被控訴人における法中制度被控訴人には,被控訴人という大寺の下に,法中10軒という各小寺があり,各小寺も1個の寺としての法務活動を行いながら,全体としては被控訴人という1つの寺を維持しているという実態にある。 (イ) 法中の権利被控訴人において,控訴人ら法中に認められている権利の内容は,具体的には,以下のとおりである。 ① 法中は,本件法中担当町内一覧表のとおり,被控訴人の門徒を地域ごとに分けて担当し,住職から独立して,あるいは住職と共同して,後記(ウ)記載の法務活動を行う。 ② 法中が門徒から受け取るお布施は,自己の収入となる。法中から住職へ上納金を納めることもないし,住職から法中へ給料が支払われること して,あるいは住職と共同して,後記(ウ)記載の法務活動を行う。 ② 法中が門徒から受け取るお布施は,自己の収入となる。法中から住職へ上納金を納めることもないし,住職から法中へ給料が支払われることもない。 ③ 法中の権利は,被控訴人が存続する限り法中の直系子孫に受け継がれ,法中の権利を有する者及びその地位を承継した者以外が被控訴人の法務活動を行うことはできない。 (ウ) そして,前項①の法務活動の具体的な内容,同法務活動を行う際の住職と法中の担当等は,別紙「法務活動の内容」のとおりである。 (エ) 法中の地位の発生原因被控訴人において,前記のとおりの法中の権利が認められるようになったのは,小倉戦争で焼失した被控訴人の本堂の再建資金を調達するために,明治25年,当時の第5代住職D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,以上10名の者(原判決添付別紙「系図」の各ルートの一番左に記載されている者。以下,この10名を「明治25年の当事者」という。)が,金500円をそれぞれ出資し,これと引換えに,被控訴人が存続する限り,法中の地位を明治25年の当事者及びその承継人のみに認める旨の無名契約を締結したことによる(以下,この無名契約を「本件明治25年契約」という。)。 (オ) 控訴人らへの法中の地位の承継控訴人らは,原判決添付別紙系図のとおり,明治25年の当事者から法中の地位を承継した者である。 なお,同系図に記載されている,「預り」という制度(控訴人B2のルートの部分)は,法中の権利(法中株)を取得したわけではないが,これを預かった後に返還を求められるまで被控訴人の僧侶として法務に携わることができるというものである。 (カ) 解任等被控訴人は,平成8年11月9日に,控訴人らに対し,解任と称して,控訴人らの法中の 返還を求められるまで被控訴人の僧侶として法務に携わることができるというものである。 (カ) 解任等被控訴人は,平成8年11月9日に,控訴人らに対し,解任と称して,控訴人らの法中の地位を消滅させる旨の意思表示を一方的にしてきたが,控訴人らには解任されるような理由は何もなかったのであるから,被控訴人の解任の意思表示は法的効力を生じない。 また被控訴人は,上記の時期頃以降,法務活動上必要であるのに住職を派遣してくれないなど,控訴人らの行っている法務活動を妨害している。 イ予備的請求関係(ア) 上記主位的請求関係の主張のうち,(ア),(イ)(但し,法中の権利につき,③の主張(便宜上,「世襲性等」という言葉を用いる。)を除いたもの),及び(カ)と同一であるから引用する。 (イ) 法中の地位の発生原因① 黙示の契約控訴人らは,寺内得度をしたとき,仮にそのような制度が認められない場合には,控訴人らが被控訴人の新任僧侶として被控訴人から認められて法中と呼ばれるようになった時から,別紙「法務活動の内容」記載のとおりの法務活動を行い,それに対するお布施を自己の収入とすることができた。したがって,この時点で,控訴人らと被控訴人との間で上記主位的請求関係の主張の(イ)①②及び(ウ)を内容とする黙示の契約が成立した。 そして,この黙示の契約の成立は,その時から,被控訴人において,控訴人らが法中としてそれぞれの担当地域の門徒に対して法務活動を繰り返し行い,これに対する門徒からのお布施を自己の収入としてきたところ,被控訴人は,控訴人らに対し,これらにつき何らの異議も唱えなかったことなどの事情から推定される。 ② 時効取得(上記①との関係は選択的)控訴人らは,明治 己の収入としてきたところ,被控訴人は,控訴人らに対し,これらにつき何らの異議も唱えなかったことなどの事情から推定される。 ② 時効取得(上記①との関係は選択的)控訴人らは,明治25年の当事者が被控訴人の本堂の再建資金を出資したため,被控訴人において法中の地位が認められ,控訴人らがその地位を承継した者であると信じて,少なくとも上記主位的請求関係の主張の(イ)①②のような権利(世襲性等を除いたもの)につき,昭和61年11月10日から平成8年11月9日までの10年間,同(ウ)のような法務活動を行って権利を行使してきた(控訴人B6については,父B1の昭和61年11月10日から平成2年5月14日までの権利行使を承継し,これと併せてその後の平成8年11月9日までの自己の権利行使を主張する)。 よって,控訴人らは,所有権以外の財産権を,自己のためにする意思をもって,平穏かつ公然に,善意かつ無過失で,10年間行使してきたことによって,上記無名契約上の地位(権利)を時効取得したので,この取得時効を援用する。 (被控訴人)ア主位的請求関係(ア) そもそも,控訴人らの主張のように,被控訴人の本堂が小倉戦争で焼失し,明治25年頃,現在の被控訴人の本堂を建て直した事実はない。したがって,被控訴人の本堂の再建資金を調達するために,被控訴人が明治25年の当事者から金500円ずつの出資を受けた事実もなく,また本件明治25年契約の締結という事実もない。 (イ) 本件明治25年契約が存在しない以上,控訴人らが,それに基づく法中の地位を承継するということもありえない。 (ウ) 控訴人らの主張する法中の権利の内容は争う。 イ予備的請求関係(ア) 控訴人らの主張するような黙 以上,控訴人らが,それに基づく法中の地位を承継するということもありえない。 (ウ) 控訴人らの主張する法中の権利の内容は争う。 イ予備的請求関係(ア) 控訴人らの主張するような黙示の契約の成立は否認する。被控訴人には,寺内得度という制度はない。また一定の事実が一定期間継続したからといって,それが当然に当事者間の契約内容となるものではない。控訴人らが行っていたという法務活動のうち,少なくとも,控訴人らの担当地域につき控訴人らが住職から独立して法務活動を行うことを被控訴人が認めていたという事実はない。 (イ) 控訴人らの主張する無名契約上の地位の時効取得は争う。 (ウ) 控訴人らの主張する法中の権利の内容は争う。 ウ両請求関係(ア) 被控訴人が控訴人らを解任したのは,平成9年8月である。控訴人らの主張する平成8年11月頃は,被控訴人が控訴人らを解任した時期ではなく,控訴人らが法中として被控訴人の法務活動を行うことを拒否した時期である。 (イ) 平成9年8月の控訴人らの解任について,仮にその解任の有効性が問題となり得るとしても,被控訴人と控訴人らとの間の契約関係は,控訴人らの主張するような無名契約でも雇傭契約でもなく,いわば準委任契約のようなものであるから,上記解任によって,契約関係は適法かつ有効に終了している。 (3) 争点(3)(無名契約解除無効確認請求における訴えの利益の有無)について(控訴人ら)無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項)が法律上の争訟にあたらないと判断された場合に備えて請求するものであるから,訴えの利益がある。 (被控訴人)控訴人らの請求は過去の法律関係の存否の確認を求めるものであるから,訴えの利益がない。 また被控訴人は,控訴人らに 合に備えて請求するものであるから,訴えの利益がある。 (被控訴人)控訴人らの請求は過去の法律関係の存否の確認を求めるものであるから,訴えの利益がない。 また被控訴人は,控訴人らに対して,平成8年11月9日に控訴人らの主張するような解任の意思表示をしていないのであるから,この点からも訴えの利益がない。 (4) 争点(4)(被控訴人による控訴人らの法務活動妨害の有無)について(控訴人ら)被控訴人は,何ら正当な理由もないのに控訴人らの法中の地位を否定し,控訴人らの行ってきた法務活動を妨害し,生活の基盤を奪ってしまった。 (被控訴人)被控訴人は,控訴人らに対して,平成9年8月に法中の地位を解任する旨意思表示をしており,これが有効であるから,控訴人らの法務活動を妨害しているとはいえない。 また控訴人らのいう妨害行為は,住職に控訴人らと一緒に葬式,法要に出席することを求めるというものにすぎず,訴え自体失当である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本案前の主張・本件請求と法律上の争訟性)について被控訴人は,控訴人らの本件請求は法律上の争訟にはあたらない旨,本案前の答弁として主張するので,まずこの点について判断する。 裁判所法3条にいう「法律上の争訟」というためには,①当事者間の具体的権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であること,②紛争が法令の適用によって終局的に解決できるものであることの2点が要件となる。なお,形式上は①の要件を充たす紛争であっても,その解決のための前提問題として判断しなければならない争点が,宗教上の教義,信仰内容に立ち入ることなくしては判断ができないような紛争については,②の要件を欠く 形式上は①の要件を充たす紛争であっても,その解決のための前提問題として判断しなければならない争点が,宗教上の教義,信仰内容に立ち入ることなくしては判断ができないような紛争については,②の要件を欠くこととなり,紛争全体が法律上の争訟性の要件を欠くことになると解される。 そこで,まず上記①の要件について検討する。前記「第1 控訴の趣旨」欄及び「第2 事案の概要」欄において摘示したように,控訴人らの本件請求の内容は,控訴の趣旨第2ないし5項記載のとおり地位確認請求等であり,これら請求の各請求原因事実は,控訴人らの主張する控訴人らと被控訴人との間の無名契約の成立ないし無名契約上の地位の存在を共通の前提事実としている。すなわち,具体的には,主位的請求関係においては,本件明治25年契約とその契約上の地位の承継であり,予備的請求関係においては,黙示の契約,もしくは黙示の契約と同一内容の地位(権利)の時効取得である。これら請求や請求原因事実自体をみる限りでは,控訴人らは,控訴人らと被控訴人との間における契約の成立ないし時効取得等に基づく地位(権利)を主張し,これに基づいて本件請求をしているものであるから,本件請求は,当事者間の具体的権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であり,上記「法律上の争訟」の2つの要件のうち,①の要件は充足しているということができる。 この点について,被控訴人は,控訴人らの主張する無名契約上の地位は,法中という宗教上の地位にほかならない旨主張する。確かに,控訴人らの主張する無名契約上の地位は,法中の地位をいうものであって,被控訴人の寺則(乙16)や浄土真宗本願寺派の宗門基本法規集(乙17)には法中について何ら記載するところはない(したがって宗教法人としての被控訴人の規則等に明定された機関ではない)し,また あって,被控訴人の寺則(乙16)や浄土真宗本願寺派の宗門基本法規集(乙17)には法中について何ら記載するところはない(したがって宗教法人としての被控訴人の規則等に明定された機関ではない)し,また前記第2の2の「事実経過等」のとおり,法中は,被控訴人において,住職とともにあるいは単独で,本件法務活動を行い,これに対して門徒からお布施を受け取っているというのであるから,その行為が宗教的性質をも併せ有することが明らかであり,法中の地位は宗教的な地位を意味しているといえる。 しかしながら,本件の場合は,控訴人らは,あくまでも控訴人らと被控訴人との間の無名契約上の地位の確認等を求めているのであって,上記のとおり,その地位は契約ないし時効取得に基づく具体的な権利義務ないし法律関係として法律構成され主張されているのである。したがって,その地位の内容(どのような地域でどのような法務活動を行うのか,門徒から提供されるお布施をどのように扱うのかなど)は,宗教上の教義によって定まるものではなく,その契約ないし時効取得の法的な解釈によって定まるものである。 このような場合には,たとえその地位にある者が同時に宗教的な地位にあることを意味する法中と呼称され,主張される契約内容の中に本件法務活動という宗教的性質を帯びた行為が含まれているとしても,そのことによって,直ちに①の要件を充足しないということにはならないと解される。 被控訴人は,最高裁昭和55年1月11日第三小法廷判決を引用して,住職たる地位という宗教上の地位の存否の確認を求める訴えが許されないのと同様の理由によって,控訴人らの主張する無名契約上の地位確認等の訴えも許されないと主張する。 しかしながら,上記判例は,宗教上の地位としての住職の地位は,その発生原因やその地位の内容が当該宗 の理由によって,控訴人らの主張する無名契約上の地位確認等の訴えも許されないと主張する。 しかしながら,上記判例は,宗教上の地位としての住職の地位は,その発生原因やその地位の内容が当該宗教の教義と深くかかわるからその地位自体が高度の宗教性を持ち,信教の自由や宗教団体の自治の面からみて,その地位の存否の確認の訴えは法律上の争訟性を有しないとしているものと解され,本件のように,その地位の発生原因や地位の内容が,控訴人らと被控訴人間の私的な契約ないし時効取得の解釈によって定まるような場合にまで適用することはできない。 そこで進んで,上記②の要件,すなわち,本件請求の争点について,事実認定や法律的判断をするうえで,被控訴人の宗旨である浄土真宗の教義,信仰内容に立ち入ることなくして判断が可能か否かについて検討する。 控訴人らの主張する無名契約上の地位の前提となる無名契約の内容をみてみると,上記認定のとおり,控訴人らが,各担当地域の被控訴人の門徒に対して,住職とともにあるいは単独で,葬儀,法事(中陰,年忌参り,初盆など),布教活動,月忌参り,法要,3日の番,報恩講,法中の報恩講などの法務活動を行い,その際,門徒からお布施を受け取ることができるというものである。 確かにこのような契約内容をみると,控訴人らの行う法務活動は宗教的行為であり,その意味を明らかにするためには宗教上の概念の解釈が問題となり得る。しかしながら,本件における争点は,その各行為自体の意味内容が何であるのかという点について,被控訴人の宗旨である浄土真宗の教義,信仰内容に深く立ち入って解釈しなければならないようなものではなく,判断すべき事項は,主位的請求においては,本件明治25年契約の存否,及びその承継の有無であり,予備的請求においては, 土真宗の教義,信仰内容に深く立ち入って解釈しなければならないようなものではなく,判断すべき事項は,主位的請求においては,本件明治25年契約の存否,及びその承継の有無であり,予備的請求においては,黙示の契約ないし時効取得の成否に止まる。そして,そこにおいて控訴人らが真に判断を求めていること(換言すれば,本件紛争の本質的争点)は,控訴人らがお布施という形式で門徒から金銭を受け取ることができる経済的地位ないし財産的権利の有無であって,契約内容となっている法務活動の宗教的意義や内容等の確定ではないし,その確定が本件の争点について法律的な判断をするうえで不可欠な前提になっているともいえない。したがって,控訴人らの主張する無名契約上の地位(法中たる地位)の存否の判断については,宗教上の教義,信仰の内容に立ち入ってその意義・内容を解釈することを要することなく判断することが可能であるというべきであるから,本件請求は,上記②の要件をも充たしている。 この点に関連して,被控訴人は,「法務活動」,「お布施」などの概念は被控訴人の宗教上の教義を解釈しなければ内容が定まらない旨主張する。なるほど仏教の各宗派によって「法務活動」,「お布施」などの概念が異なり,また宗教的にはそれぞれに深遠な意味が含まれていることはそのとおりである。しかし,本件においては,控訴人らの主張する「法務活動」,「お布施」などの意味を明らかにするについて,それらの有する宗教的意義や内容等を認定する必要は全くなく,単に控訴人らが被控訴人との関係において日常的に行っている法務活動を特定し,門徒が法中に葬儀や法事などの法務活動をしてもらった際に法中に渡す「金銭」を意味するお布施を受け取ることができる地位(権利)があったか否かさえ認定できれば十分であるというべきである。 し,門徒が法中に葬儀や法事などの法務活動をしてもらった際に法中に渡す「金銭」を意味するお布施を受け取ることができる地位(権利)があったか否かさえ認定できれば十分であるというべきである。 更に被控訴人は,控訴人らが主張する無名契約上の地位は,浄土真宗本願寺派の教義に違背するものであり,少なくとも控訴人らの主張が成り立つか否かを検討するためには,教義の解釈を避けて通れないとも主張する。 しかしながら,控訴人らの主張を前提とする限り,被控訴人の上記主張は,被控訴人の代表役員である住職の(黙示の)契約締結行為あるいは控訴人らの地位の黙認が教義に反しているか否かという問題に過ぎず,控訴人らの主張する地位確認等の訴えの法律上の争訟性を失わせるものとはいえないし,また上記のとおり,その地位の内容も外形的に特定できるものであるから,仮に,成立した契約上の地位ないし時効取得された地位の有効性が教義との関係で問題となるとしても(この場合,自らが締結しあるいは黙認した控訴人らの地位の有効性を被控訴人が自らの教義違背を理由に否定できるかという信義則上の問題もある。),その教義の解釈にまで立ち入る必要はないというべきである。 よって,被控訴人の主張は採用できない。 2 争点(2)(無名契約上の地位(法中の地位)の取得原因等)について(主位的請求関係)本件明治25年の契約の締結の有無を判断するにあたり,まず本件明治25年契約の締結に至る経緯(小倉戦争による被控訴人の本堂の焼失,及び本堂再建の有無),次いで同契約が締結されたか否かについて,順次検討する。 (1) 本件明治25年契約の締結に至る経緯証拠(甲1,36,37,53ないし64,乙1の1ないし3,2の1及び2,3の1ないし3,4の1ないし5,5ないし7,8の かについて,順次検討する。 (1) 本件明治25年契約の締結に至る経緯証拠(甲1,36,37,53ないし64,乙1の1ないし3,2の1及び2,3の1ないし3,4の1ないし5,5ないし7,8の1及び2,9の1ないし7,10,15,24の1ないし3,25の1ないし3,26ないし29,証人A,被控訴人代表者(いずれも原審))及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり判断するのが相当である。 第1に,Nが作成した「O寺履歴の一齣」と題する冊子(甲1)には,小倉戦争の際,長州軍による焼き討ちにあい,被控訴人の本堂が焼け落ちた旨の記載がある。 しかし,同冊子は,Nが,控訴人B1及び同B6の被承継人であるP,控訴人B7及び同B8の被承継人であるQ,R及び同B5の被承継人であるSが口述するところを筆録してそれを整理したものであり,それ以外の正確な資料に基づくなどして作成したものではないことが認められる。 次に,郷土史等には,小倉戦争の際,c(被控訴人の所在地の当時の字)から,d及びeまでにわたって焼かれ,T寺他,被控訴人の付近の寺が焼失したことなどの記載がある。 しかし,被控訴人の本堂等の焼失に関する記載はないこと,被控訴人のところにあった古文書(甲36)には,「慶應2年8月,本堂焼失」と記載されているが,同古文書には,作成日時,作成者等の記載がないこと,明治25年より前に作成され,明治25年当時,被控訴人の本堂にあったと思われる「親鸞聖人絵像」等の掛け軸が被控訴人に現存していること,「御堂創建百年なり。時に禍難あり,古には苦節あれども,門信徒一同よくこれに耐え,乏しき浄財の中より懇念篤く」という記載がある「O寺勤行聖典」と題する書面(甲37)も確かな資料に基づいて作成されたものではないことが認められる。 以上によれば,被控訴人の 信徒一同よくこれに耐え,乏しき浄財の中より懇念篤く」という記載がある「O寺勤行聖典」と題する書面(甲37)も確かな資料に基づいて作成されたものではないことが認められる。 以上によれば,被控訴人の本堂が小倉戦争で焼失し,明治25年に被控訴人の本堂が建築されたことについては,言い伝えの域を出ないものというべきであり,他にこの事実を認めるに足りる証拠はない。 (2) 本件明治25年契約締結の有無ア以上のとおり,被控訴人の本堂が小倉戦争で焼失し,明治25年に被控訴人の本堂が建築されたことを認めるに足りる証拠がないとしても,控訴人らは,本件明治25年契約が締結されたことを立証するために次のような各書証を提出しているので,これらについて検討し,本件明治25年契約が締結されたか否かについて判断する。 イ各書証の記載内容の要旨は次とおりである。 ①「O寺畧歴と衆徒の関連」と題する書面(甲3)同書面は,被控訴人の先代住職であるU1(以下「先代住職」という。)が作成したもので,それには,明治25年のO寺落成時に本件明治25年契約が締結された旨の記載がある(前半部分平成10年2月16日付け,後半部分同月17日付け。なお,本件明治25年契約締結についての記載があるのは,後半部分である)。 ②「確認書」と題する書面(甲4)同書面には,「1,昭和26年6月1日,O寺衆徒となることのできる権利を譲渡した。2,右1項の権利は,いわゆる『株』と呼ばれ,この『株』は,終身O寺の衆徒の地位を認めるものであり,乙の代々の直系子孫にもO寺の衆徒の地位が認められるものである。3,この『株』は,O寺本堂再建資金を出資した衆徒に認められたものであり」,「乙(控訴人B2のこと)に譲渡された『株』は,V氏が有していたものをO寺7代住職U2が預かっていたも められるものである。3,この『株』は,O寺本堂再建資金を出資した衆徒に認められたものであり」,「乙(控訴人B2のこと)に譲渡された『株』は,V氏が有していたものをO寺7代住職U2が預かっていたものであった」旨の記載があり,その末尾に先代住職及び控訴人B2の署名押印がある(平成10年7月1日付け)。 ③「認書」と題する書面(甲34)同書面には,「O寺本堂完成時である明治25年頃より,衆徒十軒は,本堂建立資金を出資した事に由り,当時のO寺5代住職U3師と門徒總代の間において終身O寺の衆徒の地位が約束され,代々の直系子孫にも世襲制としてO寺現本堂の存在する限り,O寺衆徒としての地位が認められる」旨の記載があり,先代住職と控訴人らのうち10名の者の署名押印がある(平成10年7月28日付け)。 ④「前住職よりすべての御門徒様に訴えます」と題する書面(甲35)同書面には,「O寺の百年来の歴史に鑑み,従来通りに門徒・法中・住職の三者が一体となったO寺の繁栄」等を望むものである旨の記載があり,先代住職の署名押印がある(平成10年7月28日付け)。 ウしかし,これら書証の記載内容は,いずれもこれを信用することができない。 まず甲3について,先代住職は,平成11年4月28日にこれを同人の認識に基づいて書いたものではなく,法中に言われるままに書いた部分が多い旨述べている(乙14)。確かに甲3の前半部分(平成10年2月16日付け分)には,加除訂正が多く,先代住職の真情が見てとれる内容が含まれている。しかし,その後半部分(同月17日付け分)は,予め用意されていた文案を書き写したものといわざるを得ない。 次に甲4については,控訴人B2本人自身が,平成8年に被控訴人と控訴人らとの間に,法中の権利を巡る紛争が起こった際 17日付け分)は,予め用意されていた文案を書き写したものといわざるを得ない。 次に甲4については,控訴人B2本人自身が,平成8年に被控訴人と控訴人らとの間に,法中の権利を巡る紛争が起こった際に作成したものである旨原審において供述している。またその内容についても,法中株の取得時期が,被控訴人の過去帳(乙38)には,控訴人B2が昭和26年2月に法務活動に関わっていたことが記載されているのであって,甲4と整合性のないものとなっている。 更に甲34及び35の作成経緯について,控訴人B1は,甲34は,ワープロで作成された文章に先代住職がその内容を確認のうえ署名押印した旨,甲35は,控訴人らの身内の者らが揉め事を解決するために先代住職にその作成を依頼した旨原審において供述している。 これらを併せ考慮すれば,前記ア①ないし④(①については,平成10年2月17日付けの後半部分)は,いずれも本件紛争が発生した後に,法中らが紛争解決を望む先代住職に対して作成を迫った結果,記載されたものであり,その文案はいずれも,控訴人ら法中が検討したうえ作成したものと推認するのが相当であって,先代住職が,その内容につき正確な知識等を有していて,それに基づき記載したものとは認められない。 エこれに加えて,明治25年の当事者が拠出したという金額について検討するに,乙20には,「伍十円(一説に伍百円)」との記載が,乙32の1には,控訴人B9はその祖父から20円だった旨聞いたことがあるが,結局,その額はよく分からない旨の発言をしている記載があり,控訴人B1は,原審において,500円か50円というふうに言い伝えられている旨供述している。 これら証拠からは,明治25年の当事者が拠出したという金額について,控訴人らの認識が必ずしも一致しているとはいえず,その内容 いて,500円か50円というふうに言い伝えられている旨供述している。 これら証拠からは,明治25年の当事者が拠出したという金額について,控訴人らの認識が必ずしも一致しているとはいえず,その内容も確かな根拠に基づくものではないことが明らかである。 オまた本件においては,明治25年の当事者に交付されていたはずの契約書や覚書等の証拠が存在しない。証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によれば,明治25年当時の500円という金額の価値は,現在でいえば,1000万円を優に超える金額であったことが窺えるところ,そのような高額な寄付がなされた場合には何らかの書面が作成されたり記録が残されることが多いと考えられるうえ,被控訴人が,明治25年の当事者に対し,控訴人らが主張するような法中の地位(権利)を与え,同地位(権利)をその承継人に永代認めるという,被控訴人にとって,組織上の根幹に関わるような約束を交わすような場合であれば,契約締結の際,契約書に相当するような書面や覚書等の書面が作成され,明治25年の当事者に交付されるのが通常であるといえる。 控訴人らの主張する契約の時期は,100年以上も前のことであるから,その間に控訴人らが覚書等の書面を紛失してしまった可能性がないとはいえないが,その点を考慮したとしても,上記のような書面が控訴人らのいずれにも一つも現存していないというのは,やはり不自然であるといわざるを得ない。 カ以上検討したところを総合考慮すると,被控訴人と明治25年の当事者との間で,本件明治25年契約が締結されたことは,これを認定することができない。 (3) まとめ以上のとおり,本件明治25年契約が成立していたことが認められないので,その余の点について更に検討するまでもなく,これを前提とする控訴人らの主位的請求(但し,後 ができない。 (3) まとめ以上のとおり,本件明治25年契約が成立していたことが認められないので,その余の点について更に検討するまでもなく,これを前提とする控訴人らの主位的請求(但し,後記のとおり,控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求は,これを却下すべきであるから除く。)はいずれも理由がない。 (予備的請求関係)(1) 黙示の契約の成否について前記第2の2で認定したとおり,控訴人らは,被控訴人において,法中と呼ばれていたものであり,これまで被控訴人の住職とともに,あるいは単独で,本件法務活動を行ってきたものである。 そして,証拠(甲1,4,42ないし52,64,89,114ないし118,124,131ない133,135ないし158,乙37の1ないし3,38,控訴人B1,同B2(いずれも原審),同B4,同B5,同B3(いずれも当審))及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア控訴人らは,それぞれ以下のとおり得度し,その前又は後に行われた新任僧侶となる者のお披露目を目的とした儀式(寺内得度と称され,住職や坊守,他の法中等を招いて,儀式を行い,披露宴を催すことがある。)を経て,法中と呼ばれるようになり,その頃から本件法務活動を行ってきた。 (ア) 控訴人B10は,昭和22年2月15日に得度し(寺内得度は昭和21年頃),同B4は,昭和50年9月15日に得度し(寺内得度は昭和51年頃),それぞれその頃から本件法務活動を行ってきた(甲117,124,145,147)。 (イ) 控訴人B11は,昭和51年9月15日に得度し(寺内得度は昭和60年頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲148)。 (ウ) 控訴人B2は,昭和18年8月15日に京都W寺で得度し,昭和26年頃 訴人B11は,昭和51年9月15日に得度し(寺内得度は昭和60年頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲148)。 (ウ) 控訴人B2は,昭和18年8月15日に京都W寺で得度し,昭和26年頃に被控訴人に移籍し(寺内得度はその頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲115,152,控訴人B2(原審))。 (エ) 控訴人B12は,昭和47年8月11日に得度し(寺内得度は昭和48年頃),同B3は,昭和61年2月27日に得度し(寺内得度は平成3年6月20日),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた(甲114,131ないし133,153,154,控訴人B3(当審))。 (オ) 控訴人B13は,昭和61年9月15日に得度し(寺内得度は昭和62年4月頃),その頃から,本件法務活動を行ってきた(甲157)。 (カ) 控訴人B14は,昭和37年3月15日に得度し(寺内得度は昭和30年頃),及び同B15は,昭和57年3月15日に得度し(寺内得度は昭和60年頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた(甲149,151)。 (キ) 控訴人B1は,昭和37年10月15日に得度し(寺内得度は昭和39年頃),同B6は,平成2年5月15日に得度し(寺内得度は平成6年頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた(甲146)。 (ク) 控訴人B9は,昭和21年11月15日に得度し(寺内得度も同じ頃),同B16は,昭和53年10月15日に得度し(寺内得度は昭和62年頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた(甲150)。 (ケ) 控訴人B7は,昭和37年10月15日に得度し(寺内得度は昭和26年頃),同B8は,昭和59年7月に得度し(寺内得度は昭和60年3月頃), 法務活動を行ってきた(甲150)。 (ケ) 控訴人B7は,昭和37年10月15日に得度し(寺内得度は昭和26年頃),同B8は,昭和59年7月に得度し(寺内得度は昭和60年3月頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた(甲155,156)。 (コ) 控訴人B5は,昭和46年10月15日に得度し(寺内得度は昭和48年6月頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲158)。 イ被控訴人の住職(先代住職及び現住職)は,昭和20年頃以降,平成8年11月頃までは,控訴人らが,法中として本件法中担当地区一覧表記載の各担当地域において,それぞれ住職とともにもしくは単独で,本件法務活動を行い,門徒からお布施を受け取ることについて,少なくともこれを黙示的に承認し,また何ら明示的に異議を述べたことはなかった。 ウ現住職の妻である坊守やXの事務長も,控訴人らが法中の地位にあったことを認めるが如き発言をしており,また熊本県f郡のY寺には被控訴人における法中と同様な地位にある衆徒(僧侶)がいる。 (2) 以上の事実によれば,控訴人らのうちの多くの者は,本山による得度を受け,その後寺内得度を経て被控訴人から新任僧侶として認められ,法中と呼ばれるようになった頃から,本件法務活動を行い,それに対するお布施を門徒から受け取って自己の収入とすることができるようになり(但し,一部の者は正式に得度する前に寺内得度を受けているが,このような場合には,その者には浄土真宗における衆徒(僧侶)の資格がないので,それまでの間はいわば見習のような地位にあったものであり,本山による得度を受けた時点で法中の地位を確定的に取得すると解するのが相当である。),その後,このような被控訴人との関係を平成8年11月頃まで継続してきたこと,これに対 うな地位にあったものであり,本山による得度を受けた時点で法中の地位を確定的に取得すると解するのが相当である。),その後,このような被控訴人との関係を平成8年11月頃まで継続してきたこと,これに対し,被控訴人は,控訴人らがそれぞれ法中の地位に就いたことを認識し,住職が控訴人らと本件法務活動をともに行うなど法中となった控訴人らの行為を承認していたものであるから,控訴人らと被控訴人との間で,被控訴人が控訴人らをそれぞれ法中と認めた時点(正式な得度が先行している場合には,寺内得度が行われた頃,寺内得度が先行している場合には,正式な得度を受けた頃)において,上記控訴人らの予備的請求関係の主張(ア)において引用する主位的請求関係の主張(イ)①②及び(ウ)に記載のとおりの内容の黙示の契約が成立したものと認めるのが相当である。 なお,控訴人らは寺内得度が法中の地位の承継儀式であり,正式な得度を受けていない者もこの時点で被控訴人との間で無名契約が成立する旨主張する。しかし,前掲証拠によれば,寺内得度という制度は,本山や被控訴人の寺院規則などに定められた正規の僧侶就任制度ではなく,法中家が主催する非公式の新任僧侶のお披露目のための儀式と認めるのが相当であって,それによって正規の僧侶の資格を取得できるものではない。したがって,僧侶となっていない段階で僧侶の呼称である法中という地位を取得するとは考えられないので,寺内得度が先行した場合には,本山において得度を認められてから法中となり,これが被控訴人に認知されて法中として活動を開始した頃に黙示の契約が成立すると解するのが相当である。 一方,被控訴人は,寺内得度という制度はそもそも存在しないと主張し,それに沿う証拠として門徒らが作成した上申書(乙56の2)を提出する。確か 約が成立すると解するのが相当である。 一方,被控訴人は,寺内得度という制度はそもそも存在しないと主張し,それに沿う証拠として門徒らが作成した上申書(乙56の2)を提出する。確かに法中の地位の承継儀式としての寺内得度という制度は認められないが,法中家が主催する非公式な新任僧侶のお披露目のための儀式としては上記のとおり存在し,控訴人らがこれを契機に本件法務活動を開始していたことは認められるので,その限りで被控訴人の主張及び上記証拠は採用できない。 (3) まとめこのように控訴人らの予備的主張が認められ,控訴人らと被控訴人との間に控訴人らが主張するような無名契約が成立しているとすると,次に被控訴人の主張する同契約の解除(解任の意思表示)の成否等が問題となる。しかし,原審は,控訴人らの主張する無名契約上の地位の確認については,法律上の争訟にあたらないとして訴えを却下し,被控訴人の主張する抗弁については判断していないし,被控訴人においても,この点について主張立証を尽くしているとはいえない。なお控訴人らが当審において追加した法務活動妨害禁止請求についても同様に妨害の有無の判断の前提として契約の解除(解任の意思表示)の成否が問題となる。 よって,これらの点を更に審理させるため,予備的請求(但し,無名契約解除無効確認請求は除く。)を福岡地方裁判所に差し戻すのが相当である。 3 争点(3)(無名契約解除無効確認請求における訴えの利益の有無)についてこの点について判断するに,被控訴人が指摘するとおり,控訴人らの無名契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は,控訴人らと被控訴人との間で,被控訴人によってなされたという平成8年11月9日付けの無名契約解除が無効であることの確認を求めるものであ り,控訴人らの無名契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は,控訴人らと被控訴人との間で,被控訴人によってなされたという平成8年11月9日付けの無名契約解除が無効であることの確認を求めるものであって,この請求は,過去の法律関係の存否の確認を求めるものである。 ところで確認の訴えは,原告の権利ないし法律関係に危険や不安定が現存し,かつそれを除去する方法として原・被告間で判決することが有効かつ適切である場合に認められる訴えである。したがって,確認の訴えの対象は,原則として現在の権利ないし法律関係でなければならず,過去の権利ないし法律関係の存否の確認は,迂遠であるとともに,その後の法律関係の変動が考慮されないので,それによって必ずしも現在の紛争が解決されるわけではないから,訴えの利益がない。但し,過去の権利ないし法律関係の存否の確認でも,現在の権利ないし法律関係の個別的な確認が必ずしも紛争の抜本的な解決をもたらさず,かえって,それらの権利関係の基礎にある過去の基本的な法律関係を確定することが,現存する紛争の直接かつ抜本的な解決のため適切かつ必要と認められるような場合には,訴えの利益が認められる。 これを本件についてみるに,控訴人らは,無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項)をしており,これによって現在の紛争を解決することができるのであるから,本件においては,そもそも過去の法律関係の存否の確認を求める訴えの利益はないというべきである。 なお,控訴人らは,上記無名契約上の地位確認請求が法律上の争訟にはあたらないと判断された場合に備えて請求するものであるというが,上記のとおり,控訴人らの無名契約上の地位確認請求等は法律上の争訟にあたると解することができるのであるから,この点においても,無名契約解除無効確認請求につき訴えの 備えて請求するものであるというが,上記のとおり,控訴人らの無名契約上の地位確認請求等は法律上の争訟にあたると解することができるのであるから,この点においても,無名契約解除無効確認請求につき訴えの利益があるとの控訴人らの主張は採用することができない。 4 争点(4)(被控訴人による控訴人らの法務活動の妨害の有無)について前記2において説示したように,控訴人らの法務活動妨害禁止請求(控訴の趣旨第5項)は,無名契約上の地位確認請求とともに福岡地方裁判所ヘ差し戻すのが相当であるから,この争点については判断するまでもない。 5 控訴人らの当審における訴えの変更について,被控訴人の主張に鑑み,当裁判所の見解を付言する。 被控訴人は,控訴人らの当審における訴の追加的変更の申立て,及び変更された訴えについての2回にわたる交換的変更の申立てに関して,前者は,請求原因事実が異なるなど請求の基礎を異にするものであり,かつ著しく訴訟手続を遅滞させるものであるから許されない旨,後者は,著しく訴訟手続を遅滞させるものであるから許されない旨それぞれ主張する。 しかしながら,控訴人らが当審において追加した請求,及び後に交換的変更をした請求は,いずれも控訴人らの主張する無名契約上の地位の存否を前提とする紛争に関するものであって,請求原因事実や法律構成に違いはあるものの,新旧両請求の紛争の実態や利害関係が社会生活上は共通していて,一連の紛争に関するものということができるうえ,従前の裁判資料を新請求の審理,裁判にも利用することができることは論をまつまでもないことであるから,請求の基礎に変更がないというべきである。また控訴理由に関する事項とともに追加ないし変更された新請求を審理するために,当審において,控訴人らから申請された人証のうち をまつまでもないことであるから,請求の基礎に変更がないというべきである。また控訴理由に関する事項とともに追加ないし変更された新請求を審理するために,当審において,控訴人らから申請された人証のうち3名と提出された書証を取り調べたが,これらによって当審における訴訟手続を著しく遅滞させることになるとはいえなかったことも明らかである。 よって,控訴人らの訴えの追加的変更申立て及び交換的変更申立ては,いずれも民訴法143条所定の要件を充たした適法なものというべきであるから,被控訴人の主張は採用できない。 なお,被控訴人が控訴人らの訴えの交換的変更の申立てに同意していないので,旧請求は依然係属した状態となっており,結果的に訴えの追加的変更と同様の状態が存続していると解される。 6 まとめ以上によれば,本件請求は,法律上の争訟といえるので,その限りではいずれも適法な訴えである。但し,本件請求のうち,控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求は,主位的請求及び予備的請求とも過去の法律関係の存否の確認を求めるものであるから訴えの利益がなく不適法である。その余の控訴人らの主位的請求(控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求を除いたもの)は,控訴人らの主張する本件明治25年契約の締結の事実が認められないので,いずれも理由がない。控訴人らの予備的請求のうち,無名契約上の地位確認請求と法務活動妨害禁止請求は,黙示の契約による控訴人らの主張する無名契約の存在までは認められるものの,同契約の解除(解任の意思表示)の効力については,更に審理する必要があるので,これを福岡地方裁判所に差し戻すのが相当である。 第4 結論よって,原判決中,無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項(1)に相当す 思表示)の効力については,更に審理する必要があるので,これを福岡地方裁判所に差し戻すのが相当である。 第4 結論よって,原判決中,無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項(1)に相当する請求)を却下した部分は不当であるから,原判決主文第1項を取り消し,同請求のうち主位的請求(控訴の趣旨第2項(1)ないし(4))は理由がないのでこれを棄却することとし,不作為請求(控訴の趣旨第3項)を棄却した部分は相当であるから本件控訴をいずれも棄却することとし,当審において追加した無名契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は不適法であるからいずれも却下し,当審において追加した法務活動妨害禁止請求(控訴の趣旨第5項(1),(2))のうち,主位的請求は理由がないのでいずれも棄却し,同請求の予備的請求は,上記無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項(1)ないし(4))の予備的請求とともに福岡地方裁判所に差し戻すこととし,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第2民事部裁判長裁判官石塚章夫裁判官山田和則裁判官山本善彦(別紙)法務活動の内容 1 葬儀門徒が亡くなると,その遺族が担当地区の法中に連絡し,法中が臨終勤行(枕経)を行う。その際に葬儀の日時を,遺族の意向と住職の予定を調整して決定して当番法中へ連絡する。当番法中とは,10軒の法中家が順番で,住職,地域担当法中と共同して葬儀を行うことになっているものである。葬儀は住職,地域担当法中,当番法中が共同して行う。なお,地域担当法中は遺族と共に火葬場に同行し,勤行(読経 0軒の法中家が順番で,住職,地域担当法中と共同して葬儀を行うことになっているものである。葬儀は住職,地域担当法中,当番法中が共同して行う。なお,地域担当法中は遺族と共に火葬場に同行し,勤行(読経)を行う。住職は同行しない。お布施は直接門徒が上記三者にそれぞれ直接渡し,受け取った者の収入となる。 なお,b地区では,地域担当法中がいないため,当番法中が地域担当法中の役割を行い,葬儀は住職と当番法中が行う。 2 法事(中陰,年忌参り,初盆など)遺族が地域担当法中と相談し日程を決めて法事を行う。その際,遺族の意向によって住職を招く場合もあるが,住職の日程が空いていなければ住職は出席しない。なお,中陰の初七日の法事には住職は出席しないことなっている。あくまで法事を営むことにおいては門徒と地域担当法中主体で進められている。 なお,住職単独で法事を行うことはない。必ず地域担当法中が同席する。 3 布教活動被控訴人独特の風習に「ご縁(法座)」がある。法事の後,新たに席を持ち,親族または縁者や町内の人を集め法中が法話をする。 また,門徒教化の立場から「会合」と称して法中が自分の地域担当地区で月に2,3回の割で法話をする。 これらの「ご縁」や「会合」は地域担当法中がするもので,住職や当番法中がすることはない。 4 月忌参り毎月の忌日参りのことである。これは地域担当法中が参ることになっている。これも住職が行うことはない。 5 法要被控訴人が行う法要が年に8回ある。永代経,春彼岸,婦人会,御誕会,皆作盆会,秋彼岸,戦没者,御正忌法要である。 これらの法要は,それぞれ昼夜5日間行われ,特別な事情がない限り,住職をはじめ,法中16人全員が法要に出勤(お勤めをすること)していた。その中で法中家10軒が当番制で1日ずつ法要の世話(本堂のお給仕や講師 法要は,それぞれ昼夜5日間行われ,特別な事情がない限り,住職をはじめ,法中16人全員が法要に出勤(お勤めをすること)していた。その中で法中家10軒が当番制で1日ずつ法要の世話(本堂のお給仕や講師の案内など様々の雑用)を担当する。 また,法中の妻達も法中坊守として法要のお給仕(門徒の接待や様々な雑用)をする。 6 3日の番被控訴人において連日行われる朝6時からのお勤めについて,法中家10軒が当番で3日ずつ時鐘からお給仕・お勤めまでを行っている。これも法中の義務のひとつである。 7 報恩講報恩講とは,親鸞聖人の遺徳を偲ぶ浄土真宗門徒の大事な行事である。一般の御門徒が勤める報恩講は「お取越し」とも呼ばれている。被控訴人の門徒の各町内会がそれぞれ年1回勤める行事で,住職と地域担当法中と当番法中がその町内会のすべての門徒の家をお勤めしてまわり,住職と当番法中が法話をする。 8 法中の報恩講法中の報恩講とは,法中家と住職(C家)を含む11軒で,年に1度全員ですべての家でお勤めを行う。この11軒が毎年順番に当番になり,当番に当たった家は布教使を招いて法座を営む。 以上
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