平成14年刑(わ)第819号競売入札妨害被告事件判決被告人氏名 A年齢昭和34年3月5日生本籍及び住居茨城県潮来市職業会社員 主文 被告人を懲役10月に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 【犯罪事実】被告人は,B建設株式会社取締役であったものであるが,C建設株式会社代表取締役であり,かつ,D建設業協同組合代表理事E,株式会社F会長G,H土建株式会社代表取締役I,J建設株式会社代表取締役K,株式会社L土木営業部長M,N建設株式会社営業担当O,有限会社P商事営業部長Q,株式会社R営業課長S,T建設工業株式会社東京支店営業部次長U及びV工業株式会社取締役Wらと共謀の上,東京都水道局が平成13年11月14日に施行した東京都文京区小石川5丁目9・40番地先間外4箇所配水小管布設替工事の指名競争入札に上記B建設株式会社,同H土建株式会社,同J建設株式会社,同L土木株式会社,同N建設株式会社,同有限会社P商事,同株式会社R,同T建設工業株式会社及び同V工業株式会社が指名業者として入札参加するに際し,公正な価格を害し,かつ,不正な利益を得る目的で,同月6日ころから同月11日ころまでの間,東京都中央区八重洲所在のaホテル1階喫茶店「b」,同ホテル2階フロア,東京都板橋区所在のV工業株式会社事務所及び東京都板橋区所在のcビル1階喫茶店「d」などにおいて,直接面談するなどの方法により,前記B建設株式会社が,他の前 ル1階喫茶店「b」,同ホテル2階フロア,東京都板橋区所在のV工業株式会社事務所及び東京都板橋区所在のcビル1階喫茶店「d」などにおいて,直接面談するなどの方法により,前記B建設株式会社が,他の前記入札参加各社に,同工事落札金額の1又は2パーセントを分配することなどを条件に,同工事を上記B建設株式会社に落札させるため,他の上記入札参加各社が上記B建設株式会社の入札価格より高い金額で入札することを約し,もって談合した。 【量刑事情】本件は,東京都水道局が発注した水道施設工事の指名競争入札において,被告人らが共謀の上,一部の業者に談合金を支払うことなどを合意し,被告人が勤務する会社に落札させる談合をしたという競売入札妨害の事案である。 被告人は,茨城県に本社を置く判示会社の役員であり,また,同会社の東京支店長の立場にあったが,上記工事の場所が同支店を置いていた地元であり,地元から唯一指名業者に選定され,地元の業者を優先するという土木業界の暗黙の了解があったことなどから,他の指名業者に談合を持ち掛ければ応じてくれるのではないかと考え,共犯者であるG及び同人を介してEに相談を持ち掛け,両名においても被告人の会社が落札した場合には両名が関係する会社に下請け工事を回してもらえるとの思惑から,以後被告人とともに他の指名業者に働きかけるなどし,本件犯行を行ったものであって,公正であるべき指名競争入札制度を害する甚だ悪質な犯行であるし,そのようにしてまで自己の利益のみを追求しようとした動機は誠に身勝手で酌量の余地はない。また,本件においては被告人から相談を受けた上記共犯者2名が,以後主導的な立場で被告人に指示したりしているが,被告人自身の働きかけが発端となっており,また,被告人自らも積極的に行動し,本件に不可欠の役割を果たしている。そして,本件犯 受けた上記共犯者2名が,以後主導的な立場で被告人に指示したりしているが,被告人自身の働きかけが発端となっており,また,被告人自らも積極的に行動し,本件に不可欠の役割を果たしている。そして,本件犯行は,談合に反して入札した業者が落札したとはいえ,公共工事における談合が社会問題化し,様々な改善策が講じられたにもかかわらず行われたものであって,公共工事の在り方に対する不信感を醸成したということができ,社会に与えた影響も無視し得ない。 一方,被告人は,本件事実を認め,反省の態度を示していること,上記のように被告人が相談した2名の共犯者が本件を主導したとの事情も認められること,勤務先の会社が各種指名停止処分を受けるなど本件によって多大な損害を生じ,被告人は取締役の地位を退いたことなど被告人にとって斟酌すべき事情も存在する。 そこで以上を総合考慮して主文の刑を量定し,その刑の執行を猶予することとした。 【求刑・懲役10月】平成14年5月24日東京地方裁判所刑事第1部裁判官福士利博
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