令和6(ネ)10056 特許権に基づく差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月26日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和3(ワ)5941
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判決文本文11,104 文字)

令和7年3月26日判決言渡 令和6年(ネ)第10056号特許権に基づく差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第5941号)口頭弁論終結日令和7年2月12日判決 控訴人 X 同訴訟代理人弁護士石下雅樹 同訴訟代理人弁護士江間布実子 同訴訟代理人弁護士永野真理子 同訴訟代理人弁護士益弘圭 被控訴人株式会社カンツール 同訴訟代理人弁護士中野浩和 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中、控訴人の被控訴人に対する金銭請求を棄却した部分を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、1942万7037円及びこれに対する令和3年4月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。(控訴人は当審において金銭請求を減縮した。) 第2 事案の概要(略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。また、原判決中の「原告」は「控訴人」に、「被告カンツール」は「被控訴人」に、「被告KCS」は「KCS」に、「被告ら」は「KCS及び被控訴人」に、「被告製品1」は「被控訴人製品1」に、「被告製品2」は「被控訴人製品2」に、「被告各製品」は「被控訴人各製品」に、それぞれ読み替える。) 1⑴ 本件は、発明の名称を「洗浄作業用バン型自動車及びこれを用いた洗浄方法」とする特許(特許第4372742号。本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有する控訴人 、それぞれ読み替える。)1⑴ 本件は、発明の名称を「洗浄作業用バン型自動車及びこれを用いた洗浄方法」とする特許(特許第4372742号。本件特許)に係る特許権(本件 特許権)を有する控訴人が、一審被告関東クリーンシステム株式会社(以下「KCS」という。)が製造、販売等する原判決別紙被控訴人製品目録1記載⑴及び⑵の各製品(被控訴人製品1)並びに被控訴人が販売等する原判決別紙被控訴人製品目録2記載の製品(被控訴人製品2)は、いずれも本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本件発明)の技術的範囲に属する と主張して、原審段階において、以下の請求をした事案である。 ア特許法100条1項及び2項に基づく請求として、KCSに対し、被控訴人製品1の製造、譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しの申出又は輸出若しくは輸入の差止め並びに廃棄イ特許法100条1項及び2項に基づく請求として、被控訴人に対し、被 控訴人製品2の製造、譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しの申出又は輸出若しくは輸入の差止め並びに廃棄ウ KCS及び被控訴人が被控訴人各製品を販売して控訴人の本件特許権及び本件特許権に係る独占的通常実施権(控訴人が本件特許権の譲渡を受ける前について)を侵害したことにより、控訴人が損害(控訴人が平成28 年7月13日に破産手続開始決定を受けたことに関連する損害を含む。)を被ったとして、KCS及び被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、3380万1328円及びこれに対する被控訴人については令和3年4月7日から、KCSについては同月8日から、各支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払 ⑵ 原判決は、被控訴人各製品が、いずれも、本件発明の技術的範囲に属する と判断した上で、上 いては同月8日から、各支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払 ⑵ 原判決は、被控訴人各製品が、いずれも、本件発明の技術的範囲に属する と判断した上で、上記⑴アの請求のうち、KCSに対して被控訴人製品1の製造、譲渡又は譲渡の申出の差止め及び廃棄を求める限度で認容し、上記⑴イの請求のうち、被控訴人に対して被控訴人製品2の譲渡又は譲渡の申出及び廃棄を求める限度で認容した。そして、被控訴人各製品の販売が認められるのは、原判決別紙限界利益計算表1、2、4ないし7記載の製品各1台と 同計算表3記載の製品2台の合計8台(いずれも被控訴人製品1)のみであるとし、上記⑴ウの請求のうち、KCSに対して937万0139円及びこれに対する令和3年4月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し、控訴人のその余の請求をいずれも棄却した。 原判決が、控訴人の被控訴人に対する金銭請求を棄却した理由は、要旨、①被控訴人及びKCSが被控訴人各製品を販売したことと、控訴人が破産手続開始決定を受けたこととの間に相当因果関係があるとは認められず、被控訴人の行為によって控訴人が破産手続開始に関連する損害を被ったとも認められない、②被控訴人各製品のうち販売が認められるのは被控訴人製品1の みであるところ、KCSは、被控訴人製品1を製造、販売し、これによって控訴人の本件特許権及び独占的通常実施権が侵害されたが、被控訴人が、KCSと共同して被控訴人製品1を製造、販売等したり、KCSによる被控訴人製品1の製造、販売等を補助、支援等したりしたとは認められず、被控訴人が、KCSによる被控訴人製品1の製造、販売等につき、共同不法行為者 として、控訴人に生じた損害を連帯して賠償する責 控訴人製品1の製造、販売等を補助、支援等したりしたとは認められず、被控訴人が、KCSによる被控訴人製品1の製造、販売等につき、共同不法行為者 として、控訴人に生じた損害を連帯して賠償する責任を負うとは認められないとの内容である。 ⑶ 控訴人は、原判決における控訴人敗訴部分のうち、上記⑴ウの請求に係る部分のみについて不服として控訴したが、当審において、請求金額を1942万7037円及びこれに対する令和3年4月8日から支払済みまで年3パ ーセントの割合による遅延損害金(ただし、後記3⑴で補正された後の損害 額とは金額が一致しない。)に減縮し、KCS及び被控訴人は、これに対して異議を述べず、請求の減縮に同意したものとみなされた。KCS及び被控訴人は控訴も附帯控訴もしなかった。 ⑷ KCSに対しては、令和6年7月17日、さいたま地方裁判所により破産手続開始決定がされ、同年12月9日、同裁判所により破産手続廃止の決定 がされた。上記破産手続廃止の決定はその後確定し、残余財産がなくなったため、KCSの法人格は消滅し、これにより、控訴人のKCSに対する訴訟は当然終了となった。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、後記3のとおり原判決を補正し、後記4のとおり控訴人の当審における補充主張を付加するほか、原判 決「事実及び理由」(以下、「事実及び理由」の記載は省略する。)第2の2ないし4(3頁26行目から29頁8行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、争点及び争点に関する当事者の主張のうち、争点3(差止め等の必要性)に関する部分を除く。また、争点に関する当事者の主張については、控訴人と被控訴人との間に関する部分に限る。)。 3 原判決の補正⑴ 原判決18頁3行目から24頁10行 差止め等の必要性)に関する部分を除く。また、争点に関する当事者の主張については、控訴人と被控訴人との間に関する部分に限る。)。 3 原判決の補正⑴ 原判決18頁3行目から24頁10行目までを次のとおり改める。 「ア特許法102条2項が適用されることKCS及び被控訴人による被控訴人各製品の製造、販売等は、平成28年7月14日(破産手続開始決定日の翌日)から令和元年7月14日 (本件第2譲渡に係る移転登録日の前日)までの期間においては本件独占的通常実施権を、令和元年7月15日(本件第2譲渡に係る移転登録日)以降の期間においては本件特許権を、それぞれ侵害する。 Aは、本件第1譲渡によって本件特許権を取得したものの、控訴人やエーテル産業が関与することなく本件発明を実施する能力がなかったた め、本件第1譲渡の際、控訴人に対し、本件独占的通常実施権を許諾し た。そこで、控訴人は、エーテル産業に本件特許権を再実施許諾し、エーテル産業が本件発明を実施して、被控訴人各製品の競合品である「エーテルファイン」の販売を続けた。控訴人及びエーテル産業が破産手続開始の決定を受けた後は、控訴人が本件独占的通常実施権に基づき、個人事業として本件発明の実施を続けた。 控訴人は、本件第2譲渡によって本件特許権を取得した後も、本件発明を実施して、「エーテルファイン」を販売している。 したがって、KCS及び被控訴人が被控訴人各製品の販売により受けた利益の額は、特許法102条2項により、控訴人が受けた損害の額と推定される。 イ経費について(ア) 高圧洗浄車ユニットにおいて、高圧ポンプ及び調圧弁は必須の構成部品又は構成部分であって、これらが分離してコストとして計上されることは、取引通念上考えにくい。また、控訴人が取引 経費について(ア) 高圧洗浄車ユニットにおいて、高圧ポンプ及び調圧弁は必須の構成部品又は構成部分であって、これらが分離してコストとして計上されることは、取引通念上考えにくい。また、控訴人が取引していた新明和オートエンジニアリングが提示した高圧洗浄ユニットの工賃と製品 代金が実質的には税別100万円台であったことと比較すると、KCS及び被控訴人が主張する税別300万円を超える高圧洗浄ユニットの原価は高額にすぎる。KCS及び被控訴人が、高圧ポンプや調圧弁のコストを含まない高圧洗浄車ユニットについて、新明和オートエンジニアリングの提示価格の倍以上の費用を負担した上、さらに高圧ポ ンプや調圧弁のコストを別途負担したとは考えられない。 また、被控訴人各製品の取引形態は、顧客から受注後に製造して納品する受注生産であるから、十分な利益が確保できるような価格を設定できるはずであるが、原判決の認定では、利益額が非常に小さくなっており、このような事実認定は不合理である。 関連資料からは、KCSが高圧ポンプや調圧弁を購入してエース・ テックに支給しているようにも見えるが、製造委託取引において注文者が受注者に資材を支給する場合に、有償である場合もあるから、KCSとエース・テックとの取引においても、高圧ポンプや調圧弁は有償で支給していたと考えるのが合理的である。 以上によれば、KCSによる高圧ポンプや調圧弁の購入費用を変動 経費に含めるべきではない。 (イ) 乙35は、訴訟当事者の一方的主張を手書き文字による文書の形式にしただけであり、乙35を根拠に、付属品である洗浄アクセサリーの購入費用を、高圧洗浄車ユニットの費用と別計上することは、合理性を欠く。 洗浄アクセサリーは、高圧洗浄車ユニットの必須構成要素であり、 であり、乙35を根拠に、付属品である洗浄アクセサリーの購入費用を、高圧洗浄車ユニットの費用と別計上することは、合理性を欠く。 洗浄アクセサリーは、高圧洗浄車ユニットの必須構成要素であり、高圧ポンプと同様、KCSと被控訴人が、新明和オートエンジニアリングの提示価格の倍以上の費用を高圧洗浄車ユニットについて負担した上、さらに洗浄アクセサリーのコストを負担したとは考えられない。 したがって、洗浄アクセサリーについても、高圧ポンプと同様、KCSがエース・テックに有償支給していた可能性が高いから、洗浄アクセサリーの費用を変動経費に含めるべきではない。 ウ上記イの説示によれば、認定されるべき限界利益額は、原判決別紙限界利益表1ないし7の算定において、製造原価として高圧ポンプ、 調圧弁及び洗浄アクセサリーの費用を挙げて経費として控除しているところ、この控除をせず、この費用として計上された金額を限界利益額に加算して算出すべきであり、このような算出をすると、限界利益額(税込)は1554万2620円を下回ることはない。 エ特許侵害訴訟の専門性や事案の困難性に鑑みれば、弁護士費用相当 額は、上記ウの金額の約2割である300万円が相当である。 オしたがって、KCSによる被控訴人製品1に係る本件特許権及び独占的通常実施権の侵害行為によって控訴人に生じた損害の金額は、少なくとも1854万2620円を下回ることはない。」⑵ 原判決28頁9行目の後に改行して次のとおり加える。 「被控訴人は、後記のとおり、被控訴人製品1と被控訴人製品2は異な り、需要者がこれらの製品を同一の製品と認識することはないと主張する。 しかし、物理的な意味では、これらは同一の型の製品である。また、KCSが販売している被控訴人製品1に 控訴人製品2は異な り、需要者がこれらの製品を同一の製品と認識することはないと主張する。 しかし、物理的な意味では、これらは同一の型の製品である。また、KCSが販売している被控訴人製品1についても後部窓がFRP板で覆われているモデルがあり、かつ、FRP板の有無が外観全体の同一性に 与える影響は軽微であって、需要者は同一のモデルと考えるのが通常である。このことは、KCS及び被控訴人が、同一の型の製品である被控訴人製品1及び2を、共同で又は提携関係のもとに販売していたことを示す事実である。」 4 控訴人の当審における補充主張 争点5(KCSによる被控訴人製品1の製造、販売等に係る被控訴人の共同不法行為責任の成否)について⑴ 原判決は、被控訴人製品1と被控訴人製品2との製品名の相違や、被控訴人製品1の後部窓はガラス製であるのに対し、被控訴人製品2の後部窓はFRP板で塞がれていることから、上記両製品が異なる製品であると認定し、 これを被控訴人が共同不法行為責任を負うことを否定する根拠としている。 しかし、被控訴人製品1は、後部窓がガラス製のもののほか、FRPで覆われているモデルもある(甲2の3の1枚目、甲3の1枚目右下写真)。また、バン型自動車の窓を覆うFRP製品は市販もされており、ユーザーが自分で取り付けることのできるものもある。そうすると、自動車の側面の窓がFR P板で塞がれていることとガラス製のものであることの相違は、同一の製品 についてオプションがあるかないかの相違にすぎず、同一の車種の自動車に異なるオプションが設定されていることは、製品の同一性を左右するものではない。 また、KCSの販売していた「EJWシリーズ」の製造を下請けしているエース・テックの工場の看板には、「KCS」とのロゴの なるオプションが設定されていることは、製品の同一性を左右するものではない。 また、KCSの販売していた「EJWシリーズ」の製造を下請けしているエース・テックの工場の看板には、「KCS」とのロゴの下に「ECO-JE T」という標章が使用され、その下に「関東クリーンシステム(株) 長野工場」との表示がされている(甲86、87)。このことから、KCSにおいては、少なくとも過去には「ECO-JET」との標章を用いて製品を販売していた可能性が高く(現在の「EJWシリーズ」はその略称と考えられる。)、被控訴人の販売していた製品の名称である「ECOACEJET」との 類似性を見出すことができる。 以上によれば、被控訴人製品1と被控訴人製品2は、製品名以外のあらゆる点で同一であり、社会通念上同一の製品である。 ⑵ 上記⑴を前提とすると、被控訴人は、KCSが販売していた被控訴人製品1のうち、少なくともFRPで覆われているモデルと同一の製品を、「ECO ACEJET」との名称で、被控訴人製品2として販売していたと認められる。 被控訴人は、平成28年7月14日以降、少なくとも令和5年9月22日まで、被控訴人製品2について宣伝広告していた。 そして、被控訴人は、KCSから、被控訴人製品1と同一の製品である被 控訴人製品2のOEM供給を受けていた。すなわち、KCSと被控訴人は、本件特許権の侵害品について売買取引(OEM取引)を行っていた。 以上によれば、被控訴人は、平成28年7月14日以降を含め、OEM供給という形で被控訴人製品1と同一の製品である被控訴人製品2を購入することによって、KCSによる被控訴人製品1の販売について支援していた。 ⑶ 被控訴人は、KCSの販売店として、被控訴人製品1を販売するための営 と同一の製品である被控訴人製品2を購入することによって、KCSによる被控訴人製品1の販売について支援していた。 ⑶ 被控訴人は、KCSの販売店として、被控訴人製品1を販売するための営 業業務を行っていた。 この点は、甲96(KCSの元従業員の口頭陳述を録音したものを文字起こしした資料)に記載された発言内容から明らかに認められる。加えて、エース・テックの代表者が作成した甲58及び70において、EJWシリーズを「関東クリーンシステム+カンツール」あるいは「関東クリーンシステム 株式会社+株式会社カンツール」に納品したとの記載があり、同代表者において、KCSと被控訴人がバン型高圧洗浄車に関する販売業務について密接な関係にあるとの認識を有していたといえる。 以上を考慮すれば、被控訴人が、KCSの販売店として、KCSによる被控訴人製品1の販売を直接的に補助、支援していたと認められる。 ⑷ 上記⑵及び⑶の事実によれば、KCS及び被控訴人において、少なくとも、平成28年7月14日以降のKCSの被控訴人製品1の製造、販売という結果の発生に対して社会通念上全体として一個の行為と認められる程度の一体性があること、すなわち「弱い共同関連性」があるということができる。 したがって、KCS及び被控訴人の共同不法行為が成立している。 第3 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する金銭請求は理由がないものと判断する。その理由は、後記1のとおり原判決を補正し、後記2のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決第3(29頁10行目から55頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただ し、争点3に関する判断の部分(原判決第3の4〔44頁6行目から22行目まで〕を除く。)。 か、原判決第3(29頁10行目から55頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただ し、争点3に関する判断の部分(原判決第3の4〔44頁6行目から22行目まで〕を除く。)。 1 原判決の補正⑴ 原判決44頁25行目から46頁17行目までを削る。 ⑵ 原判決54頁19行目から同頁24行目まで(原判決第3の6の第1段落) を次のとおり改める。 「前提事実⑺及び弁論の全趣旨〔被控訴人の令和5年11月10日付け原審被告準備書面(18)8頁〕によれば、被控訴人は、KCSが製造した被控訴人製品2を、KCSから納品を受けて「ECOACEJET」の名称で販売の申出をしていたことが認められる(ただし、被控訴人製品2が実際に販売されたことを認めるに足りる証拠はない。)。 そして、被控訴人のウェブサイト(甲6の2)及びカタログ(甲7)に掲載された被控訴人製品2の車両及び洗浄装置の構造、性能等に関する記載と、KCSのウェブサイト(甲2の3)及びカタログ(甲3)に掲載された「EJW2040MA」の高圧洗浄車(被控訴人製品1のうち、原判決別紙被控訴人製品目録1記載⑴の製品)及び「EJW2070T」の高圧洗浄車(被 控訴人製品1のうち、原判決別紙被控訴人製品目録1記載⑵の製品)に関する各構造、性能等に関する記載を比較すると、被控訴人製品2と「EJW2040MA」とは、エンジンの型式や構造、性能等を示す数値が異なっており、被控訴人製品2と「EJW2070T」とは、エンジンの型式(搭載エンジン)や水タンク(給水タンク)の素材及び容量などは、両者で共通して いるが、車両の全長、全幅及び全高、洗浄装置の最高出力(最高圧力:MPa)の数値は若干異なっており、吸水量の数値は、「EJW2070T」に関し、KC ク)の素材及び容量などは、両者で共通して いるが、車両の全長、全幅及び全高、洗浄装置の最高出力(最高圧力:MPa)の数値は若干異なっており、吸水量の数値は、「EJW2070T」に関し、KCSのウェブサイトに記載の数値(60.0L/min)とカタログに記載の数値(70.0L/min)で異なっているため、「ECOACEJET」の吸水量(70.0L/min)と「EJW2070T」の吸水量 が一致しているか否か不明である。そうすると、KCSが販売していた被控訴人製品1と、KCSが製造して被控訴人が販売の申出をしていた被控訴人製品2とが、車両及び洗浄装置の構造、性能等が同一であると認めることはできない。 加えて、補正の上で引用した原判決の争点4に関する判断(補正の上で引 用した原判決第3の5、原判決46頁20行目から54頁16行目まで)の とおり、KCSは、被控訴人製品1を被控訴人以外の者に販売し、これによって利益を受けており、この利益(限界利益)の金額が控訴人の受けた損害の金額であると推定される(特許法102条2項)ところ、被控訴人が、KCSから被控訴人製品2の納入を受けて、KCSが販売する被控訴人製品1と異なる「ECOACEJET」の名称で販売の申出をしたとしても、 それによって、KCSによる被控訴人製品1の販売を援助し又は容易にしたと認めることはできない(なお、この点は、仮に、被控訴人製品2の車両及び洗浄装置の構造、性能等が、被控訴人製品1の車両及び洗浄装置の構造、性能等と同一であったとしても変わらない。)。」 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ⑴ 控訴人は、前記第2の4⑴及び⑵のとおり、被控訴人製品1と被控訴人製品2は同一であり、被控訴人は、KCSから、被控訴人製品1と同一の 。」 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ⑴ 控訴人は、前記第2の4⑴及び⑵のとおり、被控訴人製品1と被控訴人製品2は同一であり、被控訴人は、KCSから、被控訴人製品1と同一の商品である被控訴人製品2のOEM供給を受け、「ECOACEJET」との名称で販売し、宣伝広告も行っていたものであり、これらの行為によって、KCSによる被控訴人製品1の販売を支援していたことになるとして、この ことが、KCSによる被控訴人製品1の製造、販売等について被控訴人が共同不法行為責任を負う根拠の一つとなる旨主張する。 しかし、補正の上で引用した原判決の争点5に関する判断(補正の上で引用した原判決第3の6、原判決54頁17行目から55頁6行目まで)のとおり、被控訴人製品2の車両及び洗浄装置の構造、性能等が被控訴人製品1 の車両及び洗浄装置の構造、性能等と同一であると認めることができず、かつ、被控訴人がKCSから被控訴人製品2の納入を受けて「ECOACEJET」の名称で販売の申出をしていたことをもって、被控訴人が、KCSによる被控訴人製品1の製造、販売を支援していたことになるとはいえない。 これらの判断は、前記第2の4⑴及び⑵において控訴人が挙げる諸事情を考 慮しても変わらない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 控訴人は、前記第2の4⑶のとおり、被控訴人はKCSの販売店として、被控訴人製品1を販売するための営業業務を行っており、KCSによる被控訴人製品1の販売を直接的に補助、支援していたと主張する。 しかし、被控訴人がKCSの販売店等として、被控訴人製品1を販売する ための営業業務を行っていた事実、あるいは被控訴人がこのような営業業務を行うことについてKCSと被控訴人との たと主張する。 しかし、被控訴人がKCSの販売店等として、被控訴人製品1を販売する ための営業業務を行っていた事実、あるいは被控訴人がこのような営業業務を行うことについてKCSと被控訴人との間で合意が成立した事実を認めるに足りる証拠はない。 控訴人が挙げる証拠のうち、甲96については、同証拠に記載のあるB の発言は、被控訴人がKCSの販売店であることを述べるにとどまり、その具 体的な業務内容については述べておらず、KCSが製造したバン型自動車の高圧洗浄車については、「あー、売ったことはあるんじゃないですかね。多分。」と述べるにとどまっていて、被控訴人がKCSの販売店として被控訴人製品1を販売していたことをB が認識していたとは認められない。そうすると、甲96をもって、被控訴人が被控訴人製品1を販売するための営業業務を行 っていたと認めることはできない。 甲58及び70は、「エース・テック C」の名義で作成された書類であり、EJWシリーズを「関東クリーンシステム+カンツール」あるいは「関東クリーンシステム株式会社+株式会社カンツール」に納品したとの記載があるが、これらの記載の趣旨は明らかでなく、甲58及び70をもって、被控訴 人が被控訴人製品1を販売するための営業業務を行っていたと認めることはできない。 なお、控訴人の主張が、被控訴人製品2は被控訴人製品1と同一であるから、被控訴人が被控訴人製品2の販売の申出をしていたことは、すなわち被控訴人製品1の販売の申出であり、被控訴人製品1の営業活動に当たるとい う趣旨の主張であるとすれば、同主張の前提とされている事実、すなわち被 控訴人製品2が被控訴人製品1と同一であるとの事実は認められないから(前記1⑵)、控訴人の上記主張は、その前提を欠く。 う趣旨の主張であるとすれば、同主張の前提とされている事実、すなわち被 控訴人製品2が被控訴人製品1と同一であるとの事実は認められないから(前記1⑵)、控訴人の上記主張は、その前提を欠く。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 控訴人の被控訴人に対する金銭請求は、被控訴人とKCSの共同不法行為に基づく損害賠償請求であるところ、補正の上で引用した原判決の争点5に関す る判断(補正の上で引用した原判決第3の6、原判決54頁17行目から55頁6行目まで)及び上記2のとおり、被控訴人にKCSとの共同不法行為の成立は認められないから、控訴人のKCSに対する不法行為に基づく損害賠償請求が成立するとしても、控訴人の被控訴人に対する金銭請求は認められない。 その他、控訴人が縷々主張する内容を検討しても、当審における上記認定判 断(原判決引用部分を含む。)は左右されない。 4 結論以上によれば、控訴人の被控訴人に対する金銭請求は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 水野正則

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