令和7年1月20日宣告令和5年(わ)第234号、令和6年(わ)第24号傷害致死、傷害被告事件 判決被告人を懲役10年に処する。 未決勾留日数中320日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 平成28年8月7日頃から同月17日頃までの間、数回にわたり、大分市ab 番地のc 被告人方において、交際相手であるA(当時32歳、以下「被害者A」という。)が自分の注意や気持ちを理解してくれないことなどにいら立ち、その顔面を右手の甲で殴るなどの暴行を加え、よって、被害者Aに全治まで約2週間を要する左眼瞼皮下出血の傷害を負わせ、第2 令和5年8月20日から同月22日までの間、数回にわたり、前記被告人方及び大分県由布市d 町ef 番地g 有限会社B積替保管所から北方約30mの雑木林内において、被害者Aの母であり被告人及びその母と共に遊びに行くなどする関係にあったC(当時67歳、以下「被害者C」という。)の言動にいら立つたびに、その頭部及び上半身を多数回足で蹴るなどの暴行を加え、よって、被害者Cに外傷性硬膜下血腫、多発肋骨骨折、左腎臓挫裂創等の傷害を負わせ、同月23日午前0時45分頃、大分市大字hi 番地D病院において、被害者Cを前記外傷性硬膜下血腫により死亡させた。 (量刑の理由)量刑判断の中心となる傷害致死(判示第2)についてみると、被告人は、高齢で無抵抗の被害者Cに対し、3日間にわたって断続的に、致命傷となった外傷性硬膜下血腫を含む判示第2の重い各傷害を生じさせるほどの強さで身体の重要部分であ る頭部及び上半身を多数回足で蹴るなどしており、被害者Cの死亡という重大な結果をもたらしたその暴行態様は、執拗かつ危険性の高いものである。また、 各傷害を生じさせるほどの強さで身体の重要部分であ る頭部及び上半身を多数回足で蹴るなどしており、被害者Cの死亡という重大な結果をもたらしたその暴行態様は、執拗かつ危険性の高いものである。また、傷害(判示第1)の暴行態様についても、無抵抗の被害者Aに対し、約10日間にわたって断続的に、目が腫れてあざができるほどの強さで顔面を殴るなどしており、執拗かつ危険である。被告人は、知的障害の特徴がみられた被害者Aや被害者Aと同様に知的能力が低いと感じていた被害者Cを見下し、日常的に暴力や暴言を加える中、自分の意に染まない被害者両名の言動等にいら立って本件各犯行に及んでおり、犯意が偶発的・一時的とはいえず、本件は障害者虐待、高齢者虐待ともいうべき事案であって、その自己中心的な意思決定は強い非難に値する。確かに、弁護人が主張するとおり、本件各犯行の態様や被告人の前記意思決定には、父からの性格の遺伝や父から受けた幼少時の激しい虐待等という自身には如何ともし難い事情によって生じたパーソナリティ障害が影響した面がある。しかし、被害者Cに対する暴行の発覚や逮捕を免れるための種々の行動に表れているように善悪の区別がつけられていること、スナックを経営するなど社会に順応していた期間が相応にあること、上下関係に照らして暴力や暴言を加える相手を選んでいることなどを踏まえれば、パーソナリティ障害が本件各犯行に与えた影響を考慮するにしても限度がある。 以上の諸事情に照らすと、本件は、検察官が主張する量刑傾向(落ち度のない知人・友人・勤務先関係を被害者とする凶器等を用いない傷害致死の単独犯で、示談及び宥恕がなく、量刑上考慮した前科がないもの)の中で、重い部類に属する事案といえる。 その上で、被告人が本件各犯行を認めて被害者両名に対する謝罪の言葉を述べ、パーソナリ 害致死の単独犯で、示談及び宥恕がなく、量刑上考慮した前科がないもの)の中で、重い部類に属する事案といえる。 その上で、被告人が本件各犯行を認めて被害者両名に対する謝罪の言葉を述べ、パーソナリティ障害の治療に意欲を示していることは評価できるものの、現時点において、社会復帰後の周囲の支援や更生環境が整っていないことを考慮すると(なお、被告人には同種前科前歴がないが、そのこと自体は、前記の量刑傾向の下において、刑の量定を左右する事情ではない。)、主文の刑に処するのが相当である。 (求刑:懲役12年、弁護人の科刑意見:懲役6年) 令和7年1月22日大分地方裁判所刑事部 裁判長裁判官辛島靖崇 裁判官北島聖也 裁判官山西健太
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