令和2(行ヒ)303 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年4月21日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 令和1(行コ)213
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判決文本文11,238 文字)

- 1 -令和2年(行ヒ)第303号 法人税更正処分等取消請求事件令和4年4月21日 第一小法廷判決 主 文本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由上告代理人舘内比佐志ほかの上告受理申立て理由(第6を除く。)について以下、法人の名称は別表記載の略称により表記する。 1 被上告人は、平成20年12月期(平成20年10月7日から同年12月31日までの事業年度)及び平成21年12月期(平成21年1月1日から同年12月31日までの事業年度。以下、その後の事業年度も同様に表記する。)から平成24年12月期までの各事業年度(以下「本件各事業年度」という。)に係る法人税の確定申告において、被上告人と同じ企業グループに属するUMIFからの金銭の借入れ(以下「本件借入れ」という。)に係る支払利息(以下「本件支払利息」という。)の額を損金の額に算入したところ、麻布税務署長は、同族会社等の行為又は計算の否認に関する規定である法人税法132条1項を適用し、上記の損金算入の原因となる行為を否認して被上告人の所得の金額につき本件支払利息の額に相当する金額を加算し、本件各事業年度に係る法人税の各更正処分及び平成20年12月期を除く本件各事業年度に係る過少申告加算税の各賦課決定処分(以下、併せて「本件各処分」という。)をした。 本件は、被上告人が、上告人を相手に、本件各処分(上記各更正処分については申告額を超える部分)の取消しを求める事案であり、本件借入れが法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否かが争われている。 2 原審 分)の取消しを求める事案であり、本件借入れが法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否かが争われている。 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。 - 2 - 被上告人及びその属する企業グループの概要ア 被上告人は、平成20年10月7日に設立された音楽に関する事業(以下「音楽事業」という。)を目的とする合同会社であり、フランス法人であるヴィヴェンディが直接的又は間接的に全ての株式又は出資(以下「全持分」という。)を保有する法人から成る企業グループ(以下「本件企業グループ」という。)のうち、音楽事業を担当する部門(以下「本件音楽部門」といい、これを構成する法人を「本件音楽部門法人」と総称する。)に属している。また、被上告人は、法人税法2条3号にいう内国法人であり、平成27年法律第9号による改正前の同条10号にいう同族会社に当たる。 イ 本件企業グループは、音楽事業のほか、テレビ、映画等のメディアに関する事業を行う企業グループである。別表記載の法人(ヴィヴェンディを除く。)は、いずれも本件音楽部門に属していたところ、本件音楽部門法人についての平成20年9月以前の主な資本関係は、第1審判決別紙5のとおりであり、このうち内国法人の資本関係の概要等は、次のとおりであった。 本件音楽部門法人である内国法人(以下「日本の関連会社」という。)には、UMKK、UMPKK、MGBKK及びV2Jがあった。 UMKKは、その全持分をオランダ法人であるUMTCにより保有されており、UMTCは、その全持分をオランダ法人であるポリグラムにより間接的に保有されていた。また、UMPKKは、その全持分をUMKKにより保有されていた。 ダ法人であるUMTCにより保有されており、UMTCは、その全持分をオランダ法人であるポリグラムにより間接的に保有されていた。また、UMPKKは、その全持分をUMKKにより保有されていた。 MGBKKは、その全持分をオランダ法人であるMGBBVにより保有されており、MGBBVは、その全持分をポリグラムにより保有されていた。 V2Jは、その全持分を英国法人であるV2により保有されており、V2は、その全持分をポリグラムにより間接的に保有されていた。 組織再編成に係る取引ア 本件企業グループは、平成12年(2000年)以降、本件音楽部門法人の数が増加し、資本関係も複雑化したことから、組織再編成を行ってきたところ、そ- 3 -の基本方針は、一つの国に一つの持株会社を設置し、その傘下に事業会社等を所属させ、法人の数を減らすとともに、各国の法人間で資本と負債のバランスを適正にするというものであった。そして、本件企業グループは、遅くとも平成20年(2008年)7月23日までに、日本の関連会社について組織再編成等を行うための計画(以下「本件再編成等スキーム」という。)を策定した。 イ 本件企業グループにおいては、次の~のとおり、本件再編成等スキームに基づく組織再編成に係る取引(以下「本件組織再編取引」と総称する。)が行われた(特に断らない限り、この項の月日は、平成20年(2008年)のものをいう。)。 被上告人の設立と増資ポリグラムが全持分を保有する英国法人であるCMHは、9月25日、オランダ法人であるCMHLを設立し、CMHLは、10月7日、被上告人を資本金200万円で設立した。そして、被上告人は、同月29日、CMHLから295億円の追加出資(以下「本件追加出資」という。)を受けた。 本件借入れ し、CMHLは、10月7日、被上告人を資本金200万円で設立した。そして、被上告人は、同月29日、CMHLから295億円の追加出資(以下「本件追加出資」という。)を受けた。 本件借入れ被上告人は、10月29日、フランス法人であるUMIFとの間で、無担保で866億6132万円を借り入れる旨の金銭消費貸借契約を締結し、同日、UMIFから同額の交付を受けた(本件借入れ)。本件借入れの約定は次のa~dのとおりであり、そのうち利息及び返済期間については、被上告人が多額の利益を生じていたUMKKを吸収合併すること(以下「本件合併」という。)によりその事業を承継することを前提に、予想される利益に基づいて決定された。 a 借入金は、UMKK、MGBKK及びV2J(以下「本件各内国法人」という。)の株式の購入代金及びその関連費用にのみ使用される。 b 利息の利率は、平成26年(2014年)10月29日までは年6.8%、その後は年5.9%とする。 c 被上告人は、平成40年(2028年)10月29日に借入金残額及び経過- 4 -利息等を返済する。 d 被上告人は、平成21年(2009年)10月29日までであれば300億円を限度として借入金を返済することができ、平成26年(2014年)10月29日以降はいつでも借入金の全部の返済をすることができる。 被上告人による本件各内国法人の全発行済株式の取得(買収)a 被上告人は、10月29日、UMTCからUMKKの全発行済株式を代金1144億1800万円で購入する旨の売買契約を締結し、UMTCに対して同額を支払って上記株式を取得した(以下、この株式の取得を「本件UMKK買収」という。)。 b 被上告人は、10月29日、MGBBVからMGBKKの全発行済株式を代金14億690 MTCに対して同額を支払って上記株式を取得した(以下、この株式の取得を「本件UMKK買収」という。)。 b 被上告人は、10月29日、MGBBVからMGBKKの全発行済株式を代金14億6900万円で購入する旨の売買契約を締結し、MGBBVに対して同額を支払って上記株式を取得した(以下、この株式の取得を「本件MGBKK買収」という。)。 c 被上告人は、10月29日、V2からV2Jの全発行済株式を代金2000ポンドで購入する旨の売買契約を締結し、V2に対して同額に相当する32万円を支払って上記株式を取得した(以下、この株式の取得を「本件V2J買収」という。)。 被上告人によるUMPGKの設立被上告人は、11月6日、UMPGKを設立した。 被上告人及びUMPGKによる吸収合併a 被上告人とUMKKは、11月10日、被上告人を存続会社とし、UMKKを消滅会社として吸収合併する旨の契約を締結し、平成21年1月1日に合併の効力が生じた(本件合併)。 b UMPGKとMGBKK及びUMPKKは、UMPGKを存続会社とし、MGBKK及びUMPKKを消滅会社として吸収合併する旨の契約を締結し、平成21年7月1日に合併の効力が生じた。 - 5 -ウ 本件組織再編取引の結果、本件音楽部門法人についての主な資本関係は、第1審判決別紙6のとおりとなったところ、日本の関連会社についての資本関係は、次のとおりとなった。 ポリグラムがCMHの全持分を保有し、CMHがCMHLの全持分を保有し、CMHLが被上告人の全持分を保有する。 被上告人が、UMPGK及びV2Jの全持分を保有する。 従前、本件各内国法人の全持分をそれぞれ保有していたUMTC、MGBBV及びV2は、いずれも、日本の関連会社の株式又は出資を る。 被上告人が、UMPGK及びV2Jの全持分を保有する。 従前、本件各内国法人の全持分をそれぞれ保有していたUMTC、MGBBV及びV2は、いずれも、日本の関連会社の株式又は出資を保有しない。 本件組織再編取引に伴う資金面に関する取引ア 本件企業グループにおいては、平成20年(2008年)10月29日、次の~のとおり、本件追加出資、本件借入れ及び本件各内国法人の買収についての資金面に関する取引(以下「本件財務関連取引」と総称し、これと本件組織再編取引を総称して「本件組織再編取引等」という。)が行われた。 本件追加出資の原資(295億円)の調達ヴィヴェンディは、フランス法人であるUMGTに対して、UMGTは、英国法人であるUMOに対して、順次、1億9995万4332.16ポンドを送金し、UMOは、CMHに対して、これを出資金として送金した。CMHは、ヴィヴェンディとの間で上記金員について両替をして2億4719万2894.25ユーロを得た上で、CMHLに対し、これを出資金として送金した。そして、CMHLは、ヴィヴェンディとの間で上記金員について両替をして295億円を得た上で、被上告人に対し、これを出資金として送金した(本件追加出資)。 本件借入れの原資(866億6132万円)の調達a ヴィヴェンディは、UMGTに対して、UMGTは、UMIFに対して、順次、4億6555万6980.06ユーロを送金した。UMIFは、ヴィヴェンディとの間で上記金員について両替をして555億5957万円を得た。 b ヴィヴェンディは、UMGTに対して、UMGTは、UMIFに対して、順- 6 -次、300億円を送金した。 c ヴィヴェンディは、UMGTに対して、UMGTは、UMIFに対して、順次、923 ヴィヴェンディは、UMGTに対して、UMGTは、UMIFに対して、順- 6 -次、300億円を送金した。 c ヴィヴェンディは、UMGTに対して、UMGTは、UMIFに対して、順次、923万2026.14ユーロを送金した。UMIFは、ヴィヴェンディとの間で上記金員について両替をして11億0175万円を得た。 d UMIFは、被上告人に対して、上記の合計866億6132万円を貸付金として送金した(本件借入れ)。 本件UMKK買収の代金(1144億1800万円)の送金等a UMTCは、ヴィヴェンディとの間で、被上告人から支払われた本件UMKK買収の代金について両替をして、9億5875万6494.05ユーロを得た。 b UMTCは、ポリグラムに対して、貸付金として、ポリグラムは、UMIFに対して、借入れの返済金として、順次、上記aの金員のうち4億8292万3460.10ユーロを送金した。 c UMTCは、オランダ法人であるUIMBVに対して、上記aの金員のうち4億7583万3033.95ユーロを貸付金として送金した。 UIMBVは、このうち4億0932万3498.58ユーロをUMIFに対して、その余の6650万9535.37ユーロをUMGTに対して、それぞれ借入れの返済金として送金した。 d UMIFは、UMGTに対して、上記b及びcのとおり送金を受けた合計8億9224万6958.68ユーロを送金した。 e UMGTは、ヴィヴェンディに対して、上記c及びdのとおり送金を受けた合計9億5875万6494.05ユーロを送金した。 本件MGBKK買収の代金(14億6900万円)の送金等MGBBVは、ヴィヴェンディとの間で、被上告人から支払われた本件MGBKK買収の代金について両替をして、1230万93 送金した。 本件MGBKK買収の代金(14億6900万円)の送金等MGBBVは、ヴィヴェンディとの間で、被上告人から支払われた本件MGBKK買収の代金について両替をして、1230万9368.19ユーロを得た。そして、MGBBVは、UIMBVに対して、UIMBVは、UMGTに対して、UMGTは、ヴィヴェンディに対して、順次、1230万9368.19ユーロを送金- 7 -した。 イ 本件財務関連取引による資金量の変動は、ヴィヴェンディが2億7432万円の資金減少、被上告人が2億7400万円の資金増加、UMOが32万円の資金増加(本件V2J買収の代金)であり、他の本件音楽部門法人には、結果的に資金量の変動はなかった。 本件組織再編取引等の目的等ア 本件組織再編取引等は、本件再編成等スキームの策定に当たり設定された次の目的(以下「本件各目的」という。)を同時に達成することを企図するものであった。 本件音楽部門のオランダ法人全体の負債を軽減するための弁済資金を調達すること 日本の関連会社を1社の傘下にまとめること 日本における音楽出版社を合併により1社とすること 日本の関連会社が保有する円資金の余剰を解消し、ヴィヴェンディが為替に関するリスクヘッジをすることなく、ユーロ市場での投資活動を行うことを可能にすること 日本の関連会社の資本構成に負債を導入し、日本の関連会社が保有する円建ての資産及び日本の関連会社が生み出す円建てのキャッシュ・フローに係る為替に関するリスクを軽減すること 業務と資本の各系統の統一を図ることにより経営を合理化・効率化すること及びUMOが保有する資金の余剰を減少させること 日本の関連会社を合同会社にすることにより、米国の税制上のメリットを受け、 業務と資本の各系統の統一を図ることにより経営を合理化・効率化すること及びUMOが保有する資金の余剰を減少させること 日本の関連会社を合同会社にすることにより、米国の税制上のメリットを受け、又はデメリットを回避するとともに、被上告人を含む日本の関連会社の柔軟かつ機動的な事業運営を行うこと 当時検討されていた日本における本件音楽部門法人以外の音楽事業会社の買収に備えること- 8 -イ本件音楽部門は、米国法人であるUMGが直接的又は間接的に全持分を保有する法人から成るところ、本件各内国法人が株式会社であったため、米国の税制上、本件各内国法人についていわゆるチェック・ザ・ボックス規則による構成員課税を選択することができず、これを選択することによるメリットを受けることができなかったが、本件音楽部門において日本を統括する会社となった被上告人が合同会社として設立されたことにより、被上告人について上記構成員課税を選択することができるようになった。 合同会社は、株式会社との対比において、より機動的な事業運営が可能となるところ、合同会社である被上告人の定款には、被上告人の業務は業務を執行する社員が決定すること及び同社員はCMHLとすることが定められた。 本件各処分ア 被上告人は、本件各事業年度につき、次の~のとおりの本件支払利息の額を損金の額に算入し、第1審判決別表1、3及び5のとおり法人税の確定申告を行った。なお、平成21年12月期から平成24年12月期までの本件支払利息の額は、益金の額の過半に相当し、これを損金の額に算入すると法人税の額が大幅に減少することとなるものであった。 平成20年12月期 10億4763万9069円 平成21年12月期 44億1081万6562円 平成22年 の額に算入すると法人税の額が大幅に減少することとなるものであった。 平成20年12月期 10億4763万9069円 平成21年12月期 44億1081万6562円 平成22年12月期 39億0648万3229円 平成23年12月期 39億0648万3228円 平成24年12月期 38億1329万7033円イ これに対し、麻布税務署長は、上記アの損金算入は被上告人の法人税の負担を不当に減少させる結果となるものであるとして、法人税法132条1項を適用し、その原因となる行為を否認し、被上告人の所得の金額につき本件支払利息の額に相当する金額を加算して、被上告人の本件各事業年度に係る法人税の額を計算し、第1審判決別表1、3及び5のとおり本件各処分をした。 - 9 -3法人税法132条1項は、同項各号に掲げる法人である同族会社等においては、その意思決定が少数の株主等の意図により左右され、法人税の負担を不当に減少させる結果となる行為又は計算が行われやすいことから、税負担の公平を維持するため、そのような行為又は計算が行われた場合に、これを正常な行為又は計算に引き直して法人税の更正又は決定をする権限を税務署長に認めたものである。このような同項の趣旨及び内容に鑑みると、同項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいうと解するのが相当である。 同族会社等による金銭の借入れが上記の経済的合理性を欠くものか否かについては、当該借入れの目的や融資条件等の諸事情を総合的に考慮して判断すべきものである なるものをいうと解するのが相当である。 同族会社等による金銭の借入れが上記の経済的合理性を欠くものか否かについては、当該借入れの目的や融資条件等の諸事情を総合的に考慮して判断すべきものであるところ、本件借入れのように、ある企業グループにおける組織再編成に係る一連の取引の一環として、当該企業グループに属する同族会社等が当該企業グループに属する他の会社等から金銭の借入れを行った場合において、当該一連の取引全体が経済的合理性を欠くときは、当該借入れは、上記諸事情のうち、その目的、すなわち当該借入れによって資金需要が満たされることで達せられる目的において不合理と評価されることとなる。そして、当該一連の取引全体が経済的合理性を欠くものか否かの検討に当たっては、①当該一連の取引が、通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか、②税負担の減少以外にそのような組織再編成を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮するのが相当である。 ア そこで、上記に述べたところを踏まえて、本件借入れがその目的において不合理と評価されるか否かを検討した上で、本件借入れに係るその他の事情を考慮して、本件借入れが経済的合理性を欠くものか否かを判断することとする。 - 10 -イ本件組織再編取引は、本件音楽部門において日本を統括する会社として被上告人を設立するなどの組織再編成を行うものであるところ、国際的な企業グループにとって、地域ごとの拠点を統括する会社を設立することは、当該地域における取引関係の一本化や経理、人事等の間接部門の合理化に資するものであって、一般に合理的な方策であると考えられる。また、被上告人を合同会社として設立することは、被上告 を設立することは、当該地域における取引関係の一本化や経理、人事等の間接部門の合理化に資するものであって、一般に合理的な方策であると考えられる。また、被上告人を合同会社として設立することは、被上告人についてチェック・ザ・ボックス規則による構成員課税を選択することを可能にするとともに、より機動的な事業運営を可能にするものであるから、本件音楽部門や本件企業グループ全体にとって有益である。 他方、本件財務関連取引は、全て同日に行われ、ヴィヴェンディ及び本件音楽部門法人の間で出資金、貸付金、借入れの返済金等として送金や両替を重ねるものであり、ヴィヴェンディと被上告人において2億7000万円余の資金変動があったほかは、他の本件音楽部門法人に有意な資金量の変動をもたらさない一方で、被上告人に866億円余の多額の債務を生じさせた上で、これに対応した多額の利息の負担を生じさせるものである。しかしながら、本件企業グループは、各国の法人間で資本と負債のバランスを適正にするなどの基本方針の下で組織再編成を行ってきたところ、本件再編成等スキームを策定するに当たって設定された本件各目的の内容等に照らすと、本件財務関連取引を含む本件組織再編取引等には、日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理して法人の数を減らす目的、機動的な事業運営の観点から本件音楽部門において日本を統括する会社を合同会社とする目的、本件音楽部門のオランダ法人全体の負債を軽減するための弁済資金を調達する目的、日本の関連会社やUMOが保有する資金の余剰を解消し、ヴィヴェンディによる為替に関するリスクヘッジを不要とする目的等があったということができ、本件組織再編取引等は、これらの目的を同時に達成する取引として通常は想定されないものとはいい難い上、本件財務関連取引の実態 ィによる為替に関するリスクヘッジを不要とする目的等があったということができ、本件組織再編取引等は、これらの目的を同時に達成する取引として通常は想定されないものとはいい難い上、本件財務関連取引の実態が存在しなかったことをうかがわせる事情も見当たらない。 もっとも、本件組織再編取引等には、日本の関連会社の資本構成に負債を導- 11 -入する目的があったところ、本件合併以後の事業年度である平成21年12月期から平成24年12月期までの本件支払利息の額は、これを損金の額に算入すると法人税の額が大幅に減少することとなるものであったこと等からすれば、上記目的には、多額の利益を生じていたUMKKの事業を承継した被上告人に対して多額の利息債務を負担させることにより、被上告人の税負担の減少をもたらすことが含まれていたといわざるを得ない。 しかしながら、本件組織再編取引等には、税負担の減少以外に、前記に説示したとおりの目的があり、これらは、本件組織再編取引等を行う合理的な理由となるものと評価することができる。 以上によれば、本件組織再編取引等は、通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるとまではいえず、また、税負担の減少以外に本件組織再編取引等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在したものということができる。 そうすると、本件組織再編取引等は、これを全体としてみたときには、経済的合理性を欠くものであるとまでいうことはできず、本件借入れは、その目的において不合理と評価されるものではない。 ウ 本件借入れに係るその他の事情についてみると、本件借入れは無担保で行われ、被上告人は本件借入れが一因となって最終的に貸借対照表上は債務超過となっていることがうかがわ と評価されるものではない。 ウ 本件借入れに係るその他の事情についてみると、本件借入れは無担保で行われ、被上告人は本件借入れが一因となって最終的に貸借対照表上は債務超過となっていることがうかがわれるなど、本件借入れには独立かつ対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引とは異なる点もある。 しかしながら、本件借入れは、本件各内国法人の株式の購入代金及びその関連費用にのみ使用される約定の下に行われ、実際に、被上告人は、株式を取得して本件各内国法人を自社の支配下に置いたものであり、借入金額が使途との関係で不当に高額であるなどの事情もうかがわれない。また、本件借入れの約定のうち利息及び返済期間については、被上告人の予想される利益に基づいて決定されており、現に、本件借入れに係る利息の支払が困難になったなどの事情はうかがわれない。 - 12 -そうすると、上記の点があることをもって、本件借入れが不自然、不合理なものとまではいい難い。 エ 以上の諸事情を総合的に考慮すれば、本件借入れは、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものとはいえない。 したがって、本件借入れは、法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないというべきである。 4 以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 岡 正晶 裁判官 山口 厚 裁判官 深山卓也 裁判官安浪亮介 裁判官 堺 徹)- 13 -別表 略称法人の名称(第1審判決の表記による。)UMIFユーエムアイ・ファイナンス・エス・アー 山口 厚 裁判官 深山卓也 裁判官安浪亮介 裁判官 堺 徹)- 13 -別表 略称法人の名称(第1審判決の表記による。)UMIFユーエムアイ・ファイナンス・エス・アー・エスヴィヴェンディ ヴィヴェンディ・エス・アーUMKKユニバーサルミュージック株式会社UMPKK株式会社ユニバーサル・ミュージック・パブリッシングMGBKK株式会社ユニバーサル・ミュージック・MGB・パブリッシングV2J株式会社ヴイツーレコーズ・ジャパンUMTCユニバーサル・ミュージック・トレーディング・カンパニー・ビーヴィポリグラムポリグラム・ビーヴィMGBBVユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・エムジービー・ホールディング・ビーヴィV2ヴィツー・ミュージック・グループ・リミテッドCMHセンテナリー・ミュージック・ホールディングス・リミテッドCMHLシーエムエイチエル・ビーヴィUMPGKユニバーサル・ミュージック・パブリッシング合同会社UMGTユーエムジー・トレジャリー・エス・アー・エスUMOユーエム・オペレーションズ・リミテッドUIMBVユニバーサル・インターナショナル・ミュージック・ビーヴィUMGユニバーサル・ミュージック・グループ・インク

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