昭和29(う)244 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年6月7日 名古屋高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴は之を棄却する。          理    由  検察官大越正蔵の控訴の趣意は記録中の同検察官名義の控訴趣意書と題する書面 記載の通りであるからここに之を引用するが之

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判決文本文2,148 文字)

主文本件控訴は之を棄却する。 理由検察官大越正蔵の控訴の趣意は記録中の同検察官名義の控訴趣意書と題する書面記載の通りであるからここに之を引用するが之に対する当裁判所の判断は次の通りである。 原判決を査閲すると同判決は論旨摘録の如き前後三回に亘る併合罪たる各窃盗の事実を認定し刑法第二百三十五条第四十五条前段第四十七条第十条を適用の上被告人を懲役八月に処し且同法第二十五条第一項を適用して同裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する旨の判決を為していることが明かである。而して本件記録中の被告人に対する前科調書(記録四十六丁)確定判決の写(記録六十丁六十一丁)起訴状の写(記録六十二丁六一三丁)の記載によると被告人は曩に昭和二十八年八月二十五日一宮簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年、三年間執行猶予の判決を受け同判決は同月九日確定し原判決当時右刑の執行猶予期間中であつたものであることが明かであり、右確定判決により認定された事実と原判決認定事実とを照合すると原判決認定事実は右確定判決により認定された事実と刑法第四十五条後段の併合罪の関係にある事実であることは洵に所論の通りである。原審がその認定事実につき再度執行猶予の言渡をしたのは論旨に指摘する昭和二十八年六月十日(控訴趣意書に昭和二十六年とあるのは誤記と認める)の最高裁判所大法廷の判決により示された刑法第二十五条第一項の解釈の趣旨に従つたものと解されることは所論の通りであるが、論旨は右大法廷の解釈は昭和二十八年十二月一日施行に係る刑法等の一部改正により新設された刑法第二十五条第二項により変更され同改正法律施行後は本件の如き所謂余罪にかかる事案についても再度の執行猶予を為すべき場合は凡て同法第二十五条第二項に準拠すべく従つて同法第二十五条の二によ 新設された刑法第二十五条第二項により変更され同改正法律施行後は本件の如き所謂余罪にかかる事案についても再度の執行猶予を為すべき場合は凡て同法第二十五条第二項に準拠すべく従つて同法第二十五条の二によつて保護観察に付すべきものであると論ずるのでこの点<要旨>につき審究するに前記最高裁判所大法廷の判決は所論の通り刑法の一部改正に関する法律施行前における判決</要旨>ではあるが、刑法第二十五条第二項の新設規定の設けられる前に同条第一項の解釈として為されたものである。 即ち所謂余罪が前の確定判決を受けた犯罪と同時に訴追され同時に裁判を受けたとすれば凡ての罪につき執行猶予の恩典に浴し得たであろうという情状のある案件については前の確定判決による執行猶予の期間中であつても同法第二十五条第一項により更に執行猶予の言渡を為し得べきものと解釈すべきことを明にしたものである。この解釈は前記改正による同条第二項の規定により直ちに変更されたものと解することは出来ない。何となれば同条第二項の規定により再度の執行猶予を付する為には一年以下の懲役又は禁錮の刑の言渡を為す場合であることを要し且同法第二十五条の二により必ず保護観察に付することを要するのであるが、余罪につき前記最高裁判所の判例の趣旨に従い特別の情状ある場合において執行猶予の言渡を為す場合においては三年以下の懲役又は禁錮に対してもその恩典を与えることが出来るし、又保護観察に付する必要もないのである。所論はこの点に言及しかく解するときは刑の軽いものに極めて厳格な条件が付され、刑の重いものにつきこの条件を伴わないのは不合理であるが如く論じているけれども前記最高裁判所の余罪に関する判決は前説明の通りの特別の情状を条件として同法第二十五条第一項の解釈上更に執行猶予の言渡を為し得べきものとしたのであるから三年以下の懲 合理であるが如く論じているけれども前記最高裁判所の余罪に関する判決は前説明の通りの特別の情状を条件として同法第二十五条第一項の解釈上更に執行猶予の言渡を為し得べきものとしたのであるから三年以下の懲役又は禁錮の刑につき執行猶予を付し、又保護観察に付さないこと自体は些かも所論の如き不合理な結果を生ずるものとは考えられない。却つて若し余罪についても新設規定により最高裁判所の判決が変更され凡て同条第二項及び第二十五条の二の規定を適用すべきものと解すればいわゆる余罪が前の確定判決の事実と同時に審判を受けたとすれば凡ての罪につき執行猶予の言渡を受けたと認められる情状があり而も犯情に照して刑は一年以上の刑を相当とする場合には執行猶予を付すべき情状があるのに之を付することが出来ず之を付しようとすれば一年以上の刑を相当とするのに一年以下の刑に切下げなければならないこととなり、これこそ一般の情理に照し極めて不合理な結果と謂わなければならない。仍つて結局原判決が之と同一の解釈に従い被告人に対し前記の如く量刑し三年間執行猶予の言渡を為し保護観察に付する言渡を為さなかつたのは相当であつて原判決には所論の如き法令の解釈を誤つた違法はないのでこの論旨は理由がない。 その外原判決を破棄すべき事由はないので刑事訴訟法第三百九十六条により本件控訴を棄却することとし主文の通り判決する。 (裁判長裁判官羽田秀雄裁判官小林登一裁判官石田恵一)

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