平成19(行ウ)149 法人税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年12月1日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文104,699 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 山形税務署長(麴町税務署長がその権限を承継。以下同じ。)が原告に対して平成17年3月25日付けでした原告の平成11年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額2185万7620円及び納付すべき税額751万2700円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 山形税務署長が原告に対して平成17年3月25日付けでした原告の平成12年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額5697万5655円及び納付すべき税額1636万4500円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 3 山形税務署長が原告に対して平成17年3月25日付けでした原告の平成13年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額2388万5592円及び納付すべき税額646万6900円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 4 山形税務署長が原告に対して平成17年3月25日付けでした原告の平成14年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額マイナス(欠損金額)106万7445円及び納付すべき税額マイナス(還付金に相当する税額)6万5320円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 5 山形税務署長が原告に対して平成17年3月25日付けでした原告の平成1 5年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額マイナス(欠損金額)2619万5391円及び納付すべき税額マイナス(還付金に相 5日付けでした原告の平成1 5年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額マイナス(欠損金額)2619万5391円及び納付すべき税額マイナス(還付金に相当する税額)3万6187円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨等本件は,原告がその国外関連者であるP1(香港法人。平成15年3月にP2から商号変更。以下「P1社」という。)との間でしたパチスロメーカー向けコインホッパー用モーター(以下「本件モーター」という。)の仕入取引(以下「本件取引」という。)に関し,山形税務署長が,平成16年法律第14号による改正前の租税特別措置法(以下「租特法」という。)66条の4(同条は,平成11年1月1日以降上記改正までに,数次にわたる改正を経ているが,これらの改正は,いずれも本件に影響しないため,これらの改正前の同条が適用されるべき場合も区別せず「租特法66条の4」という。)第1項に規定する独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類等が遅滞なく提示又は提出されなかったとして同条7項により算定した価格を本件取引の独立企業間価格と推定して平成11年1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「平成11年12月期」といい,平成12年12月期,平成13年12月期,平成14年12月期及び平成15年12月期についても同様にいう。)ないし平成15年12月期の各事業年度(以下「本件各事業年度」という。)の法人税についての更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたのに対し,原告が,同項による推定の要件を欠き,推定された独立企 いう。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたのに対し,原告が,同項による推定の要件を欠き,推定された独立企業間価格は相当なものではなく,税務調査手続に重大な違法があったなどとして,本件各更正処分等の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め本件に関係する租特法66条の4及び平成16年政令第105号による改正前の租税特別措置法施行令(以下「租特令」という。)39条の12(同条は,平成11年1月1日以降上記改正までに,数次にわたる改正を経ているが,これらの改正は,いずれも本件に影響しないため,これらの改正前の同条についても区別せず「租特令39条の12」という。)の定めは,別紙2のとおりである(以下,同別紙で定義した略語を本文中においても使用する。)。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告等ア原告は,精密小型モーター・送風機・制御基板等の販売,海外委託生産品の販売並びに高性能モーター及び各種制御基板の設計・開発等を行っている株式会社であり,平成6年7月からパチスロ台用モーターの製造及び販売を行っている。 イ P1社は,平成10年6月5日に設立された香港所在の外国法人である。 ウ P1社と原告は,いずれも原告代表者及びその親族によって全株式を保有されており,P1社は,租特令39条の12第1項2号(別紙2の2(1)イ)により,租特法66条の4第1項に規定する原告の国外関連者に該当する。 (2) 本件取引等ア原告は,平成11年12月28日以降,P1社から本件モーターを購入して,これをコインホッパーメーカー等 法66条の4第1項に規定する原告の国外関連者に該当する。 (2) 本件取引等ア原告は,平成11年12月28日以降,P1社から本件モーターを購入して,これをコインホッパーメーカー等に販売している。本件モーターは,原告における型番が○(製造業者であるP3株式会社(以下「P3社」という。)での型番は○),○(P3社の型番は○),○(○),○(P3社の型番は○)という4種類のモーター(以下,いずれも原告における型番で称する。)から成る。 ○は,○をマイナーチェンジしたものであり,原告は,P1社から,○を,単価890円で,平成11年に2万7962個,平成12年に24万5425個,平成13年に4万2000個購入し,○を,単価870円で,平成12年に23万1800個,平成13年に21万9176個,平成15年に13万0200個購入した。また,○及び○をP1社から購入した原告は,これを原告の関連会社である株式会社P4(以下「P4社」という。)に転売し,P4社等でギアを取り付けるなどの加工を行った上で原告が買い戻し,パチンコ台メーカーであるP5株式会社(以下「P5社」という。)に販売していた。 ○は,○の改良型である。原告は,P1社から,○を,単価970円で購入していた。また,原告は,P1社から,○を,単価500円で購入し,株式会社P6(以下「P6」という。)に,平成13年5月頃までは単価555円,同年6月頃から平成14年8月頃まで単価525円,同年9月頃以降は単価500円で販売した。P6は,○をコインホッパーのメーカーであるP7株式会社(以下「P7社」という。)に単価910円(原告がP6に対し単価555円で販売したもの),単価880円(原告がP6に対し単価525円で販売したもの)又は単価855円(原告 メーカーであるP7株式会社(以下「P7社」という。)に単価910円(原告がP6に対し単価555円で販売したもの),単価880円(原告がP6に対し単価525円で販売したもの)又は単価855円(原告がP6に対し単価500円で販売したもの)で転売していた。原告は,P6に対し,○を,平成12年に9万3590個,平成13年に単価910円で7万4900個,単価880円で8万7200個,平成14年に単価880円で14万9800個,単価855円で5万個,平成15年に33万4000個それぞれ販売した。 (以上,甲40,乙15,16,19,21,27,28,44,62の2)イ原告が,P1社から本件モーターを購入する取引(本件取引)は,租特法66条の4第1項に規定する国外関連取引に該当する。 (3) 原告の本件各事業年度に係る法人税の申告状況等ア原告は,平成11年12月期の法人税の確定申告書(以下「平成11年12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙3の確定申告欄のとおり,平成11年12月期の法人税の確定申告を行った。 イ原告は,平成12年12月期の法人税の確定申告書(以下「平成12年12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙4の確定申告欄のとおり,平成12年12月期の法人税の確定申告を行った。 ウ原告は,平成13年12月期の法人税の確定申告書(以下「平成13年12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙5の確定申告欄のとおり,平成13年12月期の法人税の確定申告を行った。 エ原告は,平成14年12月期の法人税の 12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙5の確定申告欄のとおり,平成13年12月期の法人税の確定申告を行った。 エ原告は,平成14年12月期の法人税の確定申告書(以下「平成14年12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙6の確定申告欄のとおり,平成14年12月期の法人税の確定申告(以下「平成14年12月期確定申告」という。)を行った。 オ原告は,平成15年12月期の法人税の確定申告書(以下「平成15年12月期確定申告書」という。)を法定の期限までに山形税務署長に提出して,別紙7の確定申告欄のとおり,平成15年12月期の法人税の確定申告(以下「平成15年12月期確定申告」という。)を行った。 (4) 国税当局による原告に対する調査の経緯等ア山形税務署職員は,平成14年4月頃から,原告に対する調査を行い,その結果,原告は,同年8月26日,平成12年12月期及び平成13年12月期の法人税につき,修正申告書(以下,順に「平成12年12月期修正申告書」及び「平成13年12月期修正申告書」という。)を提出し て,別紙4及び別紙5の各修正申告欄のとおり,修正申告(以下,順に「平成12年12月期修正申告」及び「平成13年12月期修正申告」という。)を行った。(乙124ないし126)また,山形税務署長は,平成14年8月30日付けで,原告の平成11年12月期の法人税につき,別紙3の更正処分欄のとおり,減額更正処分(以下「平成11年12月期前回更正処分」という。)を行った。 上記調査を通じて,山形税務署職員及び同職員を指導する立場にあった仙台国税局職員は,原告がパチスロメーカー等に販売するための小型モーターをP3(なお,実 回更正処分」という。)を行った。 上記調査を通じて,山形税務署職員及び同職員を指導する立場にあった仙台国税局職員は,原告がパチスロメーカー等に販売するための小型モーターをP3(なお,実際にモーターを生産しているのは,中華人民共和国広東省所在のP8有限公司(以下「P3社中国工場」という。)である。)から直接仕入れていたが,平成11年12月に原告とP3社との取引にP1社を介在させて原告がP1社から本件モーターを仕入れるようになり,その後は,その仕入価格は2倍強に高騰したとの事実を把握した。 (乙124)イ(ア) 山形税務署職員は,平成14年6月10日,原告代表者及び原告の専務取締役であるP9(以下「P9専務」といい,原告代表者と併せて「原告代表者ら」という。)に対し,口頭で,本件モーターの仕入価格が上記アのように高騰した理由の説明を求めるとともに,P1社の財務諸表及び本件取引の価格算定資料の提示を求めた。(乙124)(イ) 上記(ア)に対して,原告代表者は,仕入価格が高騰した理由については,P3社の納期遅延,品質管理を原因とするユーザーからのクレーム及び損害賠償に対応するためのものであると説明するとともに,平成14年7月1日,「香港取引の経緯について」と題する書面(乙17。 以下「香港取引の経緯書面」という。)を提出した。(乙124)ウ(ア) 仙台国税局のP10国際税務専門官(当時。以下「P10調査官」という。)は,平成15年1月31日,原告に対し,① P1社の決算 書写し及び納税申告書写し,② 本件取引に係る契約書写し,③ 本件取引の取引価格の設定理由を記載した資料,④ 本件取引の取引価格の決定に関する社内検討資料等の提示を求める「資料提示の依頼について」と題する文書をファクシミリで送信した 引に係る契約書写し,③ 本件取引の取引価格の設定理由を記載した資料,④ 本件取引の取引価格の決定に関する社内検討資料等の提示を求める「資料提示の依頼について」と題する文書をファクシミリで送信した。(乙18,124)(イ) P10調査官及び仙台国税局のP11国際税務専門官(当時。以下「P11調査官」という。)は,平成15年2月17日及び同月18日に,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接した。その際,原告代表者らは,本件取引の価格設定はP1社の担当者との間での口頭での価格交渉の結果合意したもので,検討資料は作成せず,P1社からのQuotation(見積書)があるだけである旨回答し,当該見積書(乙19ないし23)や原告とP1社との間で取り交わされた1998年(平成10年)6月付けの取引条件を記載した書面等を提出したが,上記(ア)の①,③,④の書類は提示されなかった。このため,P10調査官及びP11調査官は,口頭で,上記書類の提示を求めた。(乙124)(ウ) P10調査官及びP11調査官は,平成15年3月17日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接した。この時も,原告からは,P1社の決算書等の提示がなかったことから,P10調査官は,口頭で,P1社の決算書類の提示を求めた。(乙124)(エ) P10調査官とP11調査官は,平成15年3月25日P3社の事務所に臨場し,P12総務部長(以下「P12部長」という。)及びP13営業管理課長(以下「P13課長」という。)と面接した。(乙57,124)(オ) P10調査官とP11調査官は,平成15年4月10日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接をした。原告からは,P1社の決算書等の提示はなく,P10調査官とP11調査官は,同月25日を期限 P10調査官とP11調査官は,平成15年4月10日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接をした。原告からは,P1社の決算書等の提示はなく,P10調査官とP11調査官は,同月25日を期限 としてP1社の決算書等の提示を求めるとともに,提示がない場合には,推定課税による方法で課税される可能性があることを説明した。(乙124)(カ) P10調査官とP11調査官は,平成15年4月18日,P3社の事務所に臨場し,P12部長,P13課長及びP14営業部営業課長(以下「P14課長」といい,P12部長,P13課長と併せて「P3社の担当者ら」という。)と面接した。(乙54,124)(キ) P10調査官は,平成15年6月9日,原告に対し,P1社の決算書写し及び納税申告書写し等の準備を求める旨記載した「資料の準備依頼について」と題する文書(乙24)をファクシミリで送信した。(乙124)(ク) P10調査官とP11調査官は,平成15年6月16日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接した。この際も,原告から,P1社の決算書等の提示はなかった。また,この際,原告のP9専務から,P5社への反面調査はしばらく待ってほしい旨の申入れがあった。(乙110,124)(ケ) 仙台国税局のP15国際税務専門官(当時。以下「P15調査官」という。)とP10調査官は,平成16年3月9日及び10日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接した。この際も,原告から,P1社の決算書等の提示はなかった。また,同日の面接の際,原告代表者は,途中で退席した。(乙124,125)(コ) P15調査官とP10調査官は,平成16年3月31日,P3社の事務所に臨場し,P3社の担当者らと面接した。(乙124)(サ) 者は,途中で退席した。(乙124,125)(コ) P15調査官とP10調査官は,平成16年3月31日,P3社の事務所に臨場し,P3社の担当者らと面接した。(乙124)(サ) P15調査官及びP10調査官とP3社の担当者らは,平成16年4月2日付けで,これまでの聴取事項を書面にまとめた確認書(乙44)を作成した。(乙124,125) (シ) 原告の委任を受けた税理士法人P16の担当者は,平成16年4月7日,P1社の株主であり取締役であるP17に対して,P1社の2002年10月期(2001年(平成13年)11月1日から2002年(平成14年)10月31日までの会計年度のことをいう。以下,2001年10月期及び2003年(平成15年)10月期を含め同様にいう。)及び2003年10月期の損益計算書等を提供するよう依頼する書面を送付したが,P17は,その依頼に応じなかった(甲27,192。なお,P1社の財務書類に関しては,平成17年3月23日に原告からP10調査官及びP15調査官に対して提出された文書に添付された同月21日付けのP17作成の書面(甲221)において,P1社の2001年10月期,2002年10月期及び2003年10月期の対売上高販管費率のみが明らかにされ(乙126),その後,本件の弁論準備手続が終結した平成23年4月20日の第12回弁論準備手続期日において,P1社の2002年10月期及び2003年10月期の財務諸表(甲261,262。それぞれ前年度分の数値も記載されている。)が提出されるに至った(顕著な事実)。)。 (ス) P15調査官とP10調査官は,平成16年4月9日付けで,国税当局と原告との間の見解の相違を明らかにするための意見書(乙25。 以下「第1意見書」という。)を作 (顕著な事実)。)。 (ス) P15調査官とP10調査官は,平成16年4月9日付けで,国税当局と原告との間の見解の相違を明らかにするための意見書(乙25。 以下「第1意見書」という。)を作成し,原告に送付したところ,原告は,第1意見書に対する回答書(乙26。以下「第1回答書」という。)を作成し,P15調査官及びP10調査官は,同年5月24日,第1回答書を受領した。(乙124,125)第1意見書には,担当者の意見として,本件取引の取引価格をどのように算定したかについて具体的資料により説明を求める旨の記載がある。 これに対し,第1回答書には,取引価格の算定資料は存在しない旨の記載がある。(乙25,26) (セ) P15調査官とP10調査官は,平成16年6月2日付けで,第1回答書に対する意見書(乙27。以下「第2意見書」という。)を作成し,原告に送付したところ,原告は,第2意見書に対する回答書(乙28。以下「第2回答書」という。)を作成し,P15調査官及びP10調査官は,同月21日,第2回答書を受領した。(乙124,125)第2意見書には,調査担当者再質問等の欄に,独立企業間価格の算定手法は,本件取引に対して最も合理的方法を適用するというベストメソッドルールによるべきであり,これを求めるために取引価格の算定資料が必要であると考えている旨の記載があり,これに対し,第2回答書には,ベストメソッドルールは,入手可能なデータの中でどの方法が合理的な結果をもたらすのかを求める方法であるので,算定資料がない現状では,どのような方法を採るべきか検討する必要がある旨の記載がある。 (乙27,28)(ソ) P15調査官とP10調査官は,平成16年6月3日,P3社に対し,臨場時における質問事項 い現状では,どのような方法を採るべきか検討する必要がある旨の記載がある。 (乙27,28)(ソ) P15調査官とP10調査官は,平成16年6月3日,P3社に対し,臨場時における質問事項をあらかじめ知らせる文書(甲28。以下「本件質問書」という。)をファクシミリにより送信した。この文書には原告が仕入れるP3社製のモーターがP5社向け及びP7社向けのものであることが記載されていた。(乙124,125)(タ) P15調査官とP10調査官は,平成16年6月4日,P3社の事務所に臨場し,P3社の担当者らと面接した。 (チ) P15調査官とP10調査官は,平成16年6月24日,原告の事務所に臨場し,原告代表者らと面接した。この際も,原告からは,P1社の決算書等の提示はなかった。また,原告代表者らから,仙台国税局の職員が,P3社に対して,原告の取引先がP7社であることを漏らしたのではないか,もしそうであれば,守秘義務に反する旨の指摘があった。(乙124,125) (ツ) P15調査官は,平成16年8月23日,P12部長に電話連絡し,本件質問書を回収しようとしたが,P12部長が本件質問書を既に廃棄した旨返答したため,回収できなかった。 (テ) P15調査官と仙台国税局のP18国際税務専門官(当時。以下「P18調査官」という。)は,平成16年9月2日付けで意見書(乙29。以下「第3意見書」という。)を作成し,原告に送付したところ,原告は,第3意見書に対する回答書(乙30。以下「第3回答書」という。)を作成し,P15調査官及びP18調査官は,同月21日,第3回答書を受領した。(乙125)第3意見書には,元々原告が直接P3社と取引をしていたところにP1社が加わることによって,原告 を作成し,P15調査官及びP18調査官は,同月21日,第3回答書を受領した。(乙125)第3意見書には,元々原告が直接P3社と取引をしていたところにP1社が加わることによって,原告が負担していたリスクがP1社に移転したと原告が説明しているところ,そのリスクをどのように算定し,仕入価格にどう加味させたのかについて説明を求める旨の内容があり,これに対し,第3回答書には,平成16年3月9日に説明済みである旨の回答が記載されている。(乙29,30)(5) 本件各更正処分等の経緯等ア山形税務署長は,平成17年3月25日付けで,本件取引に租特法66条の4第7項を適用して本件各更正処分等をした。本件各更正処分等の内容は,別紙3ないし別紙7の各「本件更正処分等」の欄のとおりである。 イ原告は,平成17年5月18日付けで,国税通則法75条2項1号により,仙台国税局長に対し,本件各更正処分等に対する異議申立てをしたが,仙台国税局長は,同年8月9日付けで,異議申立てをいずれも棄却する旨の決定をした。 ウ原告は,平成17年9月5日付けで,国税不服審判所長に対し,上記イの異議決定を経た本件各更正処分等に対する審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成18年9月4日付けで,審査請求をいずれも棄却する旨 の裁決(以下「本件裁決」という。)をし,本件裁決の裁決書謄本は,同月5日以降,原告に送達された。 (6) 原告は,平成19年3月4日,本件訴えを提起した。(顕著な事実) 4 被告が主張する本件各更正処分等の根拠(1) 被告が主張する原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額の計算は別紙8のとおりである。 (2) 被告が主張する原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額 の根拠(1) 被告が主張する原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額の計算は別紙8のとおりである。 (2) 被告が主張する原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は,次のとおりであるところ,これらの金額は,本件各更正処分における所得金額及び納付すべき税額といずれも同額であるから,本件各更正処分はいずれも適法である。 事業年度所得金額納付すべき税額平成11年12月期 3883万4333円(別紙8の1(1))1266万2900円(別紙8の1(5))平成12年12月期3億4479万0561円(別紙8の2(1))1億0267万7700円(別紙8の2(4))平成13年12月期1億8920万5038円(別紙8の3(1))5606万2900円(別紙8の3(4))平成14年12月期 3157万2770円(別紙8の4(1))876万6200円(別紙8の4(4))平成15年12月期1億1897万7952円(別紙8の5(1))3501万6900円(別紙8の5(4))(3) 上記(2)のとおり,本件各更正処分は適法であるところ,原告は,本件各事業年度の法人税につき,納付すべき税額を過少に申告していたものであり,納付すべき税額を過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に規定する正当な理由は存在しない。 そして,原告に課されるべき過少申告加算税の額の計算は,別紙9のとおりであり,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,次のとおりであるところ,これらの金額は,本件各賦課決定処分における過少申告加算税の額と いずれも同額である 告加算税の額の計算は,別紙9のとおりであり,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,次のとおりであるところ,これらの金額は,本件各賦課決定処分における過少申告加算税の額と いずれも同額であるから,本件各賦課決定処分はいずれも適法である。 事業年度過少申告加算税額平成11年12月期 43万6000円(別紙9の1)平成12年12月期 1229万6000円(別紙9の2)平成13年12月期 721万9500円(別紙9の3)平成14年12月期 129万9500円(別紙9の4)平成15年12月期 523万2500円(別紙9の5) 5 争点(1) 原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったといえるかどうか(租特法66条の4第7項の適用の可否)(2) 山形税務署長が推定した独立企業間価格は適法なものかどうか(租特法66条の4第7項所定の算定方法の要件を満たすかどうか)(3) 原告が提示したP6とP7社との間の取引は独立企業間価格に基づくものといえるかどうか(4) 本件各更正処分等の前提となる調査手続における違法の有無 6 争点に関する当事者の主張の要旨別紙10のとおり(以下,同別紙で定義した略語を本文中においても使用する。)第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 本件類似3法人の選定に至る経過ア租特法66条の4第2項の独立企業間価格算定のための比較対象取引の選定を試みた経過(ア) P10調査官とP11調査官(以下,アにおいて「P10調査官ら」という。)は,原告代表者から聴取し 租特法66条の4第2項の独立企業間価格算定のための比較対象取引の選定を試みた経過(ア) P10調査官とP11調査官(以下,アにおいて「P10調査官ら」という。)は,原告代表者から聴取したり,インターネットで検索したりして知った原告の同業者に対し取引内容を照会する文書(乙33の1及び2)を送付し,また,その中から抽出した8法人については臨場調査を行うことにより,本件取引に係る独立企業間価格を算定する上で比較対象となる取引を探索したが,この方法では,上記比較対象となる取引を行う法人を見つけることはできなかった。 (イ) そこで,P10調査官らは,東京国税局調査第一部国際情報課(以下「東京国税局国際情報課」という。)から紹介された小型モーターの取引業者に関する情報誌である小型モータ需給動向報告書(乙32)に着目し,小型モータ需給動向報告書に掲載されている情報を活用して,本件取引に係る独立企業間価格を算定する上で比較対象となる取引を探索しようとした。 (ウ) P10調査官らは,小型モータ需給動向報告書に掲載されている小型モーターの国内メーカーのリストを利用して,本件モーターと同種又は類似の小型モーターを中国で生産する国内メーカーを抽出し,当該国内メーカーに対する情報収集を行うことにより,本件取引の比較対象となる取引を行う法人を探索することを試みた。具体的には,本件モーターが属するDC(コアド)モーターのパワーモーター型を扱う法人又はステッピングモーターを扱う法人を抽出することとして,次の作業を行った。 aP10調査官は,小型モータ需給動向報告書に掲載された情報に基づき,以下の方法で36法人を抽出した。 (a) 小型モータ需給動向報告書の「DC(コアド)モータ/2001年生 P10調査官は,小型モータ需給動向報告書に掲載された情報に基づき,以下の方法で36法人を抽出した。 (a) 小型モータ需給動向報告書の「DC(コアド)モータ/2001年生産実績」から,パワーモーターを製造販売し,かつ,海外生産がある21法人を抽出した。 (b) 小型モータ需給動向報告書の「ステッピングモータ/メーカー別生産実績」から,ステッピングモーターを製造販売し,かつ,海外生産がある20法人を抽出した。 (c) 小型モータ需給動向報告書の「パチンコ・パチスロ機用ステッピングモータ/2002年」から,パチンコ・パチスロ機用ステッピングモーターの製造メーカーとして把握されている10法人を抽出した。 (d) 上記⒜ないし⒞により抽出した計51法人から重複している法人を除いた結果,36法人となった。 (e) 小型モータ需給動向報告書に掲載されている小型モーターメーカーのリストから,上記⒟の36法人以外に海外でDC(コアド)モーターのパワーモーター型又はステッピングモーター(以下「対象小型モーター」という。)を生産していると見込まれる2法人を抽出した結果,抽出した法人は合計38法人になった。 (f) 上記⒠の38法人のうちの2法人については,既に臨場調査を行っており,そのときに収集した情報により,本件取引の比較対象取引となる取引を行う法人に該当しないことが判明していたため,当該2法人を除外して,結局36法人を抽出した。 bP10調査官は,上記aの36法人のうち,中国に小型モーターの製造拠点を有していると認められる法人から,次の⒜又は⒝に該当する法人を除外し,12法人を抽出した。 ⒜ 対象小型モーター単体ではなく他の部品と一 の36法人のうち,中国に小型モーターの製造拠点を有していると認められる法人から,次の⒜又は⒝に該当する法人を除外し,12法人を抽出した。 ⒜ 対象小型モーター単体ではなく他の部品と一体で出荷する法人⒝ 小型モータ需給動向報告書に記載された売上高に対して対象小型 モーターの取引の占める割合が小さい法人c さらに,P10調査官は,上記b⒜又は⒝に該当するとして除外した法人のうち,アミューズ市場向けのモーターを取り扱う5法人を再度抽出した。 (エ) P10調査官とP15調査官は,上記(ウ)のとおり抽出した17法人について,照会文書(乙34)を送付したり,また,必要に応じて臨場調査を行うなどしたものの,本件取引に係る独立企業間価格を算定することはできなかった。 (以上,乙124,125)イ公開データベースを用いて,P1社の同種事業類似法人の選定を試みた経過(ア) 東京国税局国際情報課職員は,P19社が提供する世界中の上場企業,未上場企業及び上場廃止企業約3万7000社の財務データ等の情報を収録するデータベースである「P20」を活用して,P1社と同業種で香港に所在する法人を抽出するため,米国の産業分類を表すSICコード表から,P1社と同種の業種に該当すると判断した「卸売業(耐久消費財)」(SICコード50**)に属する企業を絞り込み,香港に所在する17法人を抽出した。しかし,同データベースに登録されている情報やインターネットで収集した情報によりこれらの法人の事業概況を確認したところ,いずれの法人も,取扱製品及び事業内容がP1社と大きく異なっていた。 (イ) P18調査官は,P19社が提供する日本企業の財務 トで収集した情報によりこれらの法人の事業概況を確認したところ,いずれの法人も,取扱製品及び事業内容がP1社と大きく異なっていた。 (イ) P18調査官は,P19社が提供する日本企業の財務情報を収録したデータベースである「P21」を活用して,P1社と事業内容が類似する法人の抽出を試みた。P18調査官は,P22産業分類コード表の「パチンコ・娯楽機械・同付属品卸売業」(P22産業分類コード○)による絞り込みを行い,決算情報が掲載されている28法人を抽出した。 しかし,これらの法人について,同データベースに登録されている企業情報や「P22企業年鑑」に掲載されている事業概況などの内容を確認したところ,いずれの法人も,取扱製品や取引段階などがP1社と大きく異なっていた。 (ウ) 以上のことから,P18調査官及びP15調査官は,公開データベースに基づきP1社の同種事業類似法人を選定することができなかった。 (以上,乙126)ウ上記アの調査結果を活用して,本件類似3法人を抽出した経過(ア) P18調査官は,上記アで抽出された17法人について,上記ア(エ)の照会文書に対する回答の内容,上記17法人の所轄税務署から入手した当該各法人の申告内容等の情報及びP15調査官とP10調査官又はP18調査官が行った臨場調査により把握した情報に基づき,上記17法人から香港に所在する法人と取引を行う国内メーカー11法人を抽出した。 これらの11法人の取引先である香港の法人(以下「香港関連法人」という。)は,いずれも当該11法人の関連法人であった。 (イ) P18調査官とP15調査官は,上記(ア)の香港関連法人のうち,業種,業態,決算状況等が明 る香港の法人(以下「香港関連法人」という。)は,いずれも当該11法人の関連法人であった。 (イ) P18調査官とP15調査官は,上記(ア)の香港関連法人のうち,業種,業態,決算状況等が明らかでないものについて,その事業内容及び決算状況等を把握するため,その親会社に該当する内国法人に対して書面(乙35)で照会するとともに,必要に応じて臨場調査を行った。 (ウ) P18調査官は,上記(イ)により把握した情報に基づき,次のaないしcに該当する法人を除外し,5法人を抽出した。 a 中国にモーターの委託製造工場を持ち,香港の子会社の財務諸表に当該中国の委託製造工場の製造原価を含めて計上しており,香港での卸売事業に係る損益のみを抽出することができなかった子会社b 小型モーター以外に付加価値の高い電子機器用部品等の卸売業を営 んでいる子会社c 小型モーターその他の製造事業を行う子会社(エ) P18調査官は,P1社の平成11年から平成15年にかけての各事業年度における本件取引に係る売上規模は1億円から5億円程度であると推測した上で,上記(ウ)の5法人とP1社の売上規模を比較した。 上記(ウ)の5法人のうち,2法人については,100億円を超える事業年度があり,これらの法人の売上規模は,P1社と比較して大きく異なっていたことから,P18調査官は,これら2法人を除外することとした。 このようにして選定されたのが,本件類似3法人である。 (以上,乙126)(2) 本件類似3法人について本件類似3法人の事業規模や事業内容等は次のとおりである。 ア事業規模についてa社は,本件各事業年 (以上,乙126)(2) 本件類似3法人について本件類似3法人の事業規模や事業内容等は次のとおりである。 ア事業規模についてa社は,本件各事業年度に相当するいずれの事業年度においても10名を超え20名以下の従業員を有し,売上高は,上記各事業年度のうち最も多い事業年度で50億円を超え60億円以下,最も少ない事業年度で30億円を超え40億円以下であった。 b社は,平成14年から平成15年にかけての2事業年度において,いずれも10名以下の従業員を有し,売上高は,いずれも10億円以下であった。 c社は,平成14年から平成15年にかけての2事業年度において,いずれも10名以下の従業員を有し,売上高は,多い事業年度で10億円を超え20億円以下,少ない事業年度で10億円以下であった。 イ業種についてa社は,中国に所在する製造会社で製造された小型モーター等を日本の 親会社を通じて仕入れて,加工しないまま香港等に所在する電子機器等製造会社に再販売する卸売業を営んでいた。 b社は,中国に所在する製造会社から小型モーター等を仕入れて,加工しないまま日本の親会社に再販売する卸売業を営んでいた。 c社は,中国に所在する製造会社から小型モーター等を仕入れて,加工しないまま香港,中国,タイ,フィリピン,台湾等の電子機器等製造会社等(以前は日本の親会社と取引をしていた得意先である。)に再販売する卸売業を営んでいた。 ウ取扱製品についてa社は,主に小型モーターに属するステッピングモーターを取り扱っていた。当該モーターは,a社の標準的なステッピングモーターに得意先の仕様に合わせる程度の加工が行われた上でOA機器等の部品とし a社は,主に小型モーターに属するステッピングモーターを取り扱っていた。当該モーターは,a社の標準的なステッピングモーターに得意先の仕様に合わせる程度の加工が行われた上でOA機器等の部品として使用される汎用的なものであった。a社は,その他に,スイッチング電源やコンバーター等の電子部品を取り扱っていた。 b社は,主に小型モーターに属するDCモーターを取り扱っていた。当該モーターは,b社の標準的なDCモーターに得意先の仕様に合わせる程度の加工が行われた上でカメラの部品として使用される汎用的なものであった。b社は,その他に,DCモーターの構成部品であるケース,ステーターマグネット,整流子等及びモーター関連部品である歯車等を取り扱っていた。 c社は,主に小型モーターに属するステッピングモーターを取り扱っていた。当該モーターは,c社の標準的なステッピングモーターに得意先の仕様に合わせる程度の加工が行われた上でOA機器の部品として使用される汎用的なものであった。c社は,その他に,ステッピングモーターにギアを取り付けたモーターを取り扱っている。 エ事業内容等について a社は,得意先から確定注文を受けて仕入先である日本の親会社に発注する業務及び日本の親会社の指示に基づき中国に所在する製造会社から製品を受け取り,得意先へ製品を発送するための手続業務や手配業務を行っている。a社は,得意先から生産計画等の情報を収集し,これを日本の親会社や製造会社へ情報提供する業務を行っているが,独自の判断で注文内容を決定して発注をしたり,得意先に対して積極的な売り込みを行うなどの営業活動を行っていない。a社は,日本の親会社が得意先の日本本社との間で事前交渉を行って決定した金額を元に取引価格の交渉を行い,また, 定して発注をしたり,得意先に対して積極的な売り込みを行うなどの営業活動を行っていない。a社は,日本の親会社が得意先の日本本社との間で事前交渉を行って決定した金額を元に取引価格の交渉を行い,また,それ以外の取引条件については,取引を引き継ぐ前の日本の親会社と得意先との間の取引条件を元にして,日本の親会社を介して交渉を行っている。 a社は,製品の品質・納期に関するトラブルを製造会社の担当者に連絡する業務は行っているが,品質・納期に問題が生じた場合の対応は製造会社の担当者が行うこととなっている。また,a社は,原則として在庫を保有していない。 b社は,日本の親会社の指示に基づき,製品を仕入先である中国の製造会社から納入先である中国等に所在する製造会社等へ配送するための手続業務及び手配業務を行っていた。b社は,得意先の生産計画等に合わせて仕入先に対し直接発注内容を伝えており,b社が独自の判断で仕入先への注文内容を決定し,発注を行うことはしていなかった。また,納入先に対し積極的な売り込みをするなどの営業活動も行っていなかった。b社は,製品の価格交渉には関与しておらず,その他の取引条件については,取引を引き継ぐ以前の仕入先と日本の親会社との間の取引条件を元に,日本の親会社を介して交渉を行っていた。b社は,品質管理を行っておらず,品質に関するクレーム等に対しては,日本の親会社が対応していた。そして,b社は,在庫リスクを負っていなかった。また,本件類似3法人の営む事業の内容は,いずれも親会社の指示に基づき,中国に所在する製造会社が 製造した小型モーターを指定された得意先に引き渡すというものであった。 c社は,得意先から注文を受けて日本の親会社に発注する業務及び日本の親会社の指示に基づき,中国等に所在する製造会社から製品を た小型モーターを指定された得意先に引き渡すというものであった。 c社は,得意先から注文を受けて日本の親会社に発注する業務及び日本の親会社の指示に基づき,中国等に所在する製造会社から製品を仕入れ,得意先へ発送するための手続業務や手配業務を行っている。c社は,得意先から生産計画等の情報を収集し,これを日本の親会社及び製造工場へ情報提供する業務を行っている。c社は,独自の判断で注文内容を決定して発注を行ったり,得意先に対して積極的な売り込みを行う等の営業活動はしていない。c社は,製品の価格交渉には関与しておらず,それ以外の取引条件については,取引を引き継ぐ前の日本の親会社と取引先との間の取引条件を元に,日本の親会社を介して交渉を行っている。c社は製品の品質管理は行っておらず,品質に問題が生じた場合には,日本の親会社から担当者が派遣されることになっている。また,c社は在庫を保有していない。 また,本件類似3法人については,いずれも重要な無形資産を保有したり,無形資産の使用許諾を有したりしている事実はない。 (以上,甲1の1ないし5,乙126ないし129)(3) P1社についてア P1社は,1998年(平成10年)6月5日,香港法人として設立された。同月22日にP1社の株式が,原告代表者,P9専務,P23及びP17に合計22万9998株(額面金額1香港ドル)割り当てられた。 また,設立時の,P1社の代表取締役は,原告代表者,取締役はP9専務,P23及びP17であった。なお,原告代表者は,同年9月22日,P1社に対し,資本金として,26万9800香港ドルを送金している。(乙6,10)イ 2003年(平成15年)3月20日,P1社は,商号を設立時の商号であるP2からP1に改 年9月22日,P1社に対し,資本金として,26万9800香港ドルを送金している。(乙6,10)イ 2003年(平成15年)3月20日,P1社は,商号を設立時の商号であるP2からP1に改めた。また,2004年(平成16年)6月5日, 原告代表者及びP9専務がP1社の取締役を辞任し(P23は死亡している。),同年10月20日,原告代表者及びP9専務が所有していたP1社の株式は,P17に譲渡された。(甲194,195,乙9)ウ本件取引の取引額は,平成11年12月期が3430万5850円,平成12年12月期が5億0235万8840円,平成13年12月期が3億0166万5120円,平成14年12月期が1億1452万5000円,平成15年12月期が2億6327万4000円である。また,P1社の総売上高は,2001年10月期において2775万9401香港ドル(同期間中の各月の平均レートの平均値で円換算すると4億2416万2647円),2002年10月期において882万7418香港ドル(同様の方法で円換算すると1億4238万62527円),2003年10月期において1551万1125香港ドル(同様の方法で円換算すると2億3530万3766円)である。P1社の平成12年12月期ないし平成15年12月期に相当する各年度の売上高は1億円ないし5億円程度であると認められ,また,本件取引が開始されたのが平成11年12月28日であり(前記前提事実(2)ア),平成11年12月期の本件取引の額を12倍したものが4億1000万円余であることからすれば,仮に,平成11年1月から本件取引が開始されていたとすれば,平成11年12月期に相当する期間の売上高も,1億円ないし5億円程度のものであったと推認される。(甲1の1ないし5,同261,26 すれば,仮に,平成11年1月から本件取引が開始されていたとすれば,平成11年12月期に相当する期間の売上高も,1億円ないし5億円程度のものであったと推認される。(甲1の1ないし5,同261,262,乙130)エ P1社の財務諸表に記載された2001年10月期ないし2003年10月期の売上高,販売費と一般管理費の合計額及び一般管理費の額のうちの取締役の報酬の額等は次のとおりである。(甲261,262) 2001年10月期2002年10月期2003年10月期 売上高〔A〕(香港ドル)2775万9401 882万7418 1551万1125販売費と一般管理費の合計額〔B〕(香港ドル)445万2534 447万1602 428万3475取締役の報酬の額〔C〕(香港ドル)139万0100 284万0300 294万4000BからCを控除した額〔D〕 306万2434 163万1302 133万9475Dの額のAの額に対する割合(D/A)〔E〕(%)11.03 18.48 8.64(4) P1社の業務内容等についてア P3社は,以前から原告に対し,モーター等を販売してきたが,平成11年6月頃,P9専務から,モーターの販売先をP1社にしてほしい旨の連絡を受けた。同年11月頃,P3社の担当者は,P9専務,P17等との間で,販売先をP1社に変更することに伴う契約条件の変更について交渉した。その結果,引渡場所は,従前の山形から,P1社がその都度指定する香港の乙仲業者となった。また,販売価格も引渡場所が香港となりP3社側で山形までの運送賃を負担しなくてよくなったことや支払条件が手 た。その結果,引渡場所は,従前の山形から,P1社がその都度指定する香港の乙仲業者となった。また,販売価格も引渡場所が香港となりP3社側で山形までの運送賃を負担しなくてよくなったことや支払条件が手形から振込に変更されたことなどから,○が従前の450円から400円になり,○が従前の440円から402円になった。P3社が○及び○という新たな機種を納入するに至るまでの技術的な交渉は,原告との間で行っており,また,その際の価格交渉も実質的には,P9専務との間で行っている。新たな機種のP3社からP1社への販売価格は,280円又は245円となっているが,これは,P3社側でモーターに付けるピニオンにつき,従前は原告及びP1社側から有償で支給されていたものが無償で支給されるようになったことによるものである。(乙44)イ平成13年10月17日頃,P3社中国工場からのモーターの出荷が予定どおり進んでいないという事態が発生し,P9専務がP3社の本社に問 い合わせたところ,中国の通関業務が停止しているためであるとの回答があった。そこで,P9専務がP1社の社員であるP24に対し電子メールで問い合わせたところ,P24がP3社中国工場の担当者にファクシミリを送るなどして,その理由が,実際には,P3社中国工場が中国当局の発行する書類を取得していないことであることが判明した。その後,原告のP9専務,P24及びP3社の間での連絡により,当該製品が香港に到着するのは,同月19日の朝より後になり,納期に間に合わない可能性があることが判明した。それを受けて,P24は,P9専務に対し,より早く到着させるため,日本側から働き掛けることができないかと尋ねる電子メールを送付している。(甲132,133,192)ウ P17が平成14年7月3日から同年10月 は,P9専務に対し,より早く到着させるため,日本側から働き掛けることができないかと尋ねる電子メールを送付している。(甲132,133,192)ウ P17が平成14年7月3日から同年10月20日まで使用していたノートにおいて,本件取引に関する記載と思われる記載がされているのは,同年7月の出来事について記載された4頁(なお,同月の出来事について記載されているのは同頁のみである。)の「FMの懸案調整依頼」とある部分,同年8月の出来事について記載された5頁の「○出荷→8/23○ 出荷の話,中国では聞いていない」とある部分,同年10月17日の出来事について記載された28頁にP17がP3社中国工場の担当者とミーティングを行った旨記載されている部分(ミーティングの内容は,①P3社側に製品の納期を守るよう指示したこと,②P3社中国工場の製作するモーターに発生するノイズの改善についての報告書の納期を確認したこと,③ 不良品を返品し代金を支払わないこととしたこと,④ 注文から納品までの時間を短縮するための取組を求めたこと,⑤ 製造工程の検査の改善を求めたことである。)である。(甲255)エ平成13年頃,P25という会社が生産した原告向けモーターに問題が生じた。この問題について,P17は,問題点を整理し,原告に対し,対処方針をアドバイスした。(甲257の1ないし5。もっとも,この問題 に係る取引については,甲第257号証の1の問題点を知らせる電子メールが,P25の担当者から原告のP26に送信されていること,問題の発端は原告とP25のコミュニケーション不足にあったとされていることからして,当初からP1社が関わっていた取引であるかどうか定かではない。 また,甲第257号証の5においては,P17がこの問題の解決方法を示している 5のコミュニケーション不足にあったとされていることからして,当初からP1社が関わっていた取引であるかどうか定かではない。 また,甲第257号証の5においては,P17がこの問題の解決方法を示しているが,その内容は,交渉の進め方等について原告の意向を事細かに確認する内容となっており,P1社が独自の立場で問題の解決に当たっているというよりは,原告の実質的な判断に基づく指示に従ってP17が行動しているようにみえる。)オ P17は,P3社に代わるモーターの調達先を開拓するため,中国国内のモーター工場の訪問を行っていた。その中で,P1社は,中国の広東省にあるP27社に対する資本参加を検討したことがあったものの,資本参加には至らなかった。なお,このとき,P1社は,主として,P27社にACブラシレスモーターや三相モーターの生産を行わせることを検討していた。また,P1社は,P28(以下「P28社」という。)というモーターメーカーに新しいモーターを生産させることとし,平成14年12月頃に原告にその費用を出させてP28社にモーター製作のための金型を作らせ,平成15年頃,P28社にモーターの試作品を作らせた。そして,その品質改善に向けてP17を含むP1社の社員とP28社の社員で会議を行うことがあった。P17は,平成19年頃にも,P28社の製作するモーターの不良品に対して,P28社との間で原因を分析したり,対策を検討したりして,原告に報告することがあった。さらに,P17は,平成14年頃,モーターに付けるピニオンの調達先について原告の依頼を受けて探していた。(甲192,196,197,246の1ないし4,同247,248,250,252,255)カ原告とP1社との間で締結された契約書(乙13)によれば,P1社は, 納期遅延の場合の (甲192,196,197,246の1ないし4,同247,248,250,252,255)カ原告とP1社との間で締結された契約書(乙13)によれば,P1社は, 納期遅延の場合の補償義務を負っており,また,不良品や不良在庫についての補償義務を負っていた。もっとも,P1社が原告に対する補償をしたことが客観的証拠により認められるのは,平成16年9月頃,① 本件モーターに不良品があり,原告側でその検査を行ったことから,P1社がその検査等に要した費用約1868万円を負担したこと,② 原告に生じたデッドストックを処理する費用約1777万円をP1社が負担したこと,③ 発泡スチロールの処理代95万円を負担したこと,平成19年7月頃,不良モーター(本件モーターであるかどうかは明らかでない。)の代金及び再検査費用を負担したことであった。(甲134の1ないし4,同192,251)キ P1社は,P29と題する月刊のレポートを遅くとも平成14年頃以降作成していた。その内容は,モーター等のメーカーの紹介の他は中国の経済や一般情勢に関する話題を紹介するものが中心であった。原告は,P1社に対し,上記レポートの代金として月額2000米ドルを支払っていた。 (甲198の1ないし4,乙28,117)2(1) 移転価格税制は,国際的経済活動の活発化に伴って,我が国の企業が,国外の関連企業(親会社,子会社等)に時価よりも低い対価で資産の譲渡等を行い,又は国外の関連企業から時価よりも高い対価で資産の譲渡等を受けることによって,所得が我が国から国外に移転し,その結果租税債務がゆがめられるという事態に対処するため,国外関連企業との間の取引(国外関連取引)における上記のような価格設定の結果,所得が国外に移転しているとみられる場合には,その取引を正常 し,その結果租税債務がゆがめられるという事態に対処するため,国外関連企業との間の取引(国外関連取引)における上記のような価格設定の結果,所得が国外に移転しているとみられる場合には,その取引を正常な状態に引き直して課税所得を算定することにより,租税債務のゆがみを取り除く制度として設けられたものである。 租特法66条の4第1項は,法人が国外関連者との間で独立企業間価格と異なる対価で取引(国外関連取引)をした場合には,その取引は独立企業間価格で行われたものとみなして法人税関係法令を適用するものと定めているが, この規定によれば,法人は,その国外関連取引の対価が独立企業間価格と異なる場合には,独立企業間価格で申告しなければならないことになるのであり,このことからすれば,我が国の移転価格税制は申告調整型の制度であるということができる。 また,租特法66条の4第7項は,推定による課税の制度を設けているが,これは,主として,国外関連取引における独立企業間価格の算定の根拠となる帳簿書類等の提示又は提出についての納税者の協力を担保する趣旨で設けられたものである。すなわち,独立企業間価格の算定に必要な帳簿書類等の入手は,国外関連者からのものを含めて移転価格税制の適用に必要不可欠のものであり,そのような帳簿書類等の提供又は提出について納税者側からの協力が得られない場合に,税務当局が何の手だてもなくこれを放置せざるを得ないということになれば,移転価格税制の適正公平な執行が不可能となることから,推定による課税の制度が設けられたものと解される。 (2) 税務署長が同項に基づいて更正処分等を行った場合に,その処分に不服のある納税者としては,推定課税が行われる要件が満たされていないにもかかわらず推定課税が行われたことや推定課税の方法(同種事業 (2) 税務署長が同項に基づいて更正処分等を行った場合に,その処分に不服のある納税者としては,推定課税が行われる要件が満たされていないにもかかわらず推定課税が行われたことや推定課税の方法(同種事業類似法人の選定方法等)が違法であること等を主張して当該更正処分の適法性を争うか(この場合には,更正処分の適法性については被告に主張立証責任がある。),当該国外関連取引に係る適正な独立企業間価格を自ら主張立証して,同項の推定を破るかのいずれかの方法を採ることが考えられる。 原告は,① 原告が独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったといえるかどうか(争点(1)),② 山形税務署長が推定した独立企業間価格は適法なものかどうか(争点(2))について被告の主張を争うほか,③ P6とP7社との間の取引を提示して,この取引が独立企業間価格に基づくものであると主張し(争点(3)),かつ,上記P6とP7社との間の取引が独立企業間価格に 基づくものであり,原告がその算定のために必要な書類を提出している以上,原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったとはいえないと主張するので,まず,争点(1)及び争点(3)について一括して検討する。 3 争点(1)(原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったといえるかどうか(租特法66条の4第7項の適用の可否))及び争点(3)(原告が提示したP6とP7社との間の取引は独立企業間価格に基づくものといえるかどうか)について(1) 前記前提事実(4)イ,ウによれば,山形税務署の職員又は仙台国税局の職員は,原告に対し,少なくとも 示したP6とP7社との間の取引は独立企業間価格に基づくものといえるかどうか)について(1) 前記前提事実(4)イ,ウによれば,山形税務署の職員又は仙台国税局の職員は,原告に対し,少なくとも,平成14年6月10日,平成15年1月31日,同年2月17日又は同月18日,同年3月17日,同年4月10日,同年6月9日の6回にわたり,文書又は口頭で,P1社の財務書類の提示を求め,また,平成14年6月10日,平成15年1月31日,同年2月17日又は同月18日,平成16年4月9日の4回にわたり,文書又は口頭で,原告における本件取引の価格算定の根拠となった資料の提示を求めたが,原告は,これらの書類を提示しなかったことが認められる。独立企業間価格の算定のためには,租特法66条の4第2項及び租特令39条の12第8項に定めるいずれの方法による場合でも,当該国外関連取引と比較対象取引の差異を調整するため(独立価格比準法の場合)や,通常の利益率(再販売価格基準法及び原価基準法の場合)並びに所得の発生に寄与した程度(利益分割法の場合)を算定するために,本件取引の当事者である原告及びP1社が本件取引においてどのような役割を果たしていたかを客観的に把握することが必要であるところ,P1社の財務書類はP1社の機能を端的に知ることを可能とする客観的な書類として,また,原告における本件取引の価格算定のための資料は原告とP1社の役割を原告がどのように見積もっていたかを知るための資料として,いずれも独立企業間価格の算定に必要な書類であり,こ れらを提示しなかったことにより,原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったものというべきである。乙第17号証,第26号証,第28号証及び第30号証によれば,原 り,原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったものというべきである。乙第17号証,第26号証,第28号証及び第30号証によれば,原告が提出した香港取引の経緯書面,第1回答書,第2回答書,第3回答書は,いずれも本件取引における原告とP1社の役割を客観的な数値に基づいて検討したものということはできず,これらの書面が提出されたからといって,上記のP1社の財務書類や原告における本件取引の価格算定のための書類の代替となる書類が提出されたということもできない。 (2) この点,原告は,本件取引に関し,原告が有する書類はすべて提出しているから,租特法66条の4第7項の推定課税の要件を満たさない旨主張するが,同項の文言及び上記のとおり本邦における移転価格税制が申告調整型の制度であることからすれば,同項にいう独立企業間価格の算定に必要な書類とは,納税者が現に所持したり,作成したりしている書類に限られるものではないのであって,提示を求められた書類が納税者の現に所持していないものであったとしても,当該納税者において新たに作成し又は入手した上で提出することも不可能ではなく,その書類が独立企業間価格の算定に必要と認められる以上は,特段の事情がない限り,その書類が提出されない場合には,同項の推定課税の要件は満たされるというべきである。これを本件についてみると,山形税務署の職員又は仙台国税局の職員が原告に対して提示を求めた書類のうち,P1社の財務書類は,原告代表者及びその親族がその全株式を保有する,原告の国外関連者であるP1社の財務書類であり,弁論の全趣旨によれば,同社はその当時,当該財務書類を既に作成し所持していたと認めることができるから,それが原告の現に所持していないものであったとしても 告の国外関連者であるP1社の財務書類であり,弁論の全趣旨によれば,同社はその当時,当該財務書類を既に作成し所持していたと認めることができるから,それが原告の現に所持していないものであったとしても,原告においてP1社から入手した上で提出することは可能であったと認められ,P17が損益計算書等の提供依頼に応じなかったなどというだけで上記特段の事情があったということはできない(現に前記前提事実 (4)ウ(シ)のとおり,これらの書類の一部は本件訴訟において提出されるに至っている。)。また,原告における本件取引の価格算定のための資料は,原告自身のものであり,弁論の全趣旨によれば,原告は本件取引を行うに当たり当然にその価格算定をしていたと認めることができるから,それが原告の現に所持していないものであったとしても,原告において本件取引に関する記録に基づいて新たに作成した上で提出することは可能であったと認められ,上記特段の事情があったとはいえない。 さらに,原告は,原告が租特法66条の4第8項後段の努力義務を尽くしているから,同条7項の適用の前提を欠く旨主張するが,同項(「独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類」としており,原告の主張に沿うような限定又は除外をしていないこと等)及び同条8項(法人と当該法人に係る国外関連者との間の取引に関する調査について必要があるときは」としており,必要性の範囲が同条7項よりも広いこと等)の文言,上記2の推定による課税の制度が設けられた趣旨並びに同項が同条7項の後に配列されていること(原告は,このことをもって,国外関連者のみが所持している書類を提出していないことは同項の推定課税の前提とされていないと主張するが,同項の文言に照らして採用し難い。)からすれば,同項の推定課税は当該法人が同 このことをもって,国外関連者のみが所持している書類を提出していないことは同項の推定課税の前提とされていないと主張するが,同項の文言に照らして採用し難い。)からすれば,同項の推定課税は当該法人が同項所定の帳簿書類等を遅滞なく提示又は提出しなかったことを要件としているのであって,当該法人において同条8項後段の義務を尽くしたが,国外関連者からその保存する帳簿書類等を入手することができなかったときは,この限りでないと解すること,すなわち,同条8項後段の入手義務が尽くされないことが推定課税の要件となると解することはできず,原告の上記主張は失当である。 加えて,原告は,本邦の移転価格税制が申告調整型であることを理由に納税者に書類提出の負担を負わせることは相当ではない旨主張するが,上記に照らし,採用できない。 なお,原告は,移転価格事務運営要領に記載されていることを根拠にその提出を求めることは,租税法律主義に反する旨主張するが,上記のとおり,租特法の定める推定課税が行われる要件は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類等を遅滞なく提示又は提出しなかったことであり,本件においても,その要件を満たすとして推定課税が行われたものであって,移転価格事務運営要領に記載されていることを根拠に帳簿書類の提出を求めたものではないから,原告の上記主張はその前提を欠き失当である。 (3)アしたがって,本件取引に関しては,租特法66条の4第7項の推定課税を行う要件が満たされていることになるが,原告は,P6とP7社との間の○の取引価格を用いて独立企業間価格を算定することができるのであり,この価格を本件取引に係る独立企業間価格として課税を行うべきであると主張するので,この点について検討する。推定課税を行う要件が満たされ 取引価格を用いて独立企業間価格を算定することができるのであり,この価格を本件取引に係る独立企業間価格として課税を行うべきであると主張するので,この点について検討する。推定課税を行う要件が満たされた場合,推定課税の制度が,同項に基づいて計算された価格を独立企業間価格と推定するものであることからして,納税者側が推定された金額と異なる金額が適正な独立企業間価格であることを立証すれば,推定は破られ,租特法66条の4第7項に基づいて算定された金額を独立企業間価格と推定することは許されないこととなる。しかし,法律に定められた推定を破るという法律効果が生ずるものであることからして,納税者側が主張する金額が適正な独立企業間価格であることの立証責任は,納税者側が負うと解するのが相当であり,納税者側は,その主張する金額が,同条2項に定める方法に従って計算された適正な独立企業間価格であることを立証する必要がある。 原告は,P6とP7社との間の○に係る取引(以下「P6及びP7社間の比較対象取引」という。)の取引価格を用いて独立価格比準法により独立企業間価格を算定することができると主張する。そうすると,原告は,本件取引とP6及びP7社間の比較対象取引が,① 同種の棚卸資産を対 象とし,② 取引段階,取引数量その他が同様の状況の下における売買であることを立証しなければならないと解される(租特法66条の4第2項1号イ参照)。 イしかしながら,前記前提事実(2)アのとおり,本件取引は,メーカーであるP3社から本件モーターを購入した卸業者であるP1社が,同じく卸業者である原告に対し転売する取引であり(その後,原告は,関連会社であるP4社に本件モーターを転売して,P4社がコインホッパーにするための加工を行う。),一次卸業者の二次卸業者に P1社が,同じく卸業者である原告に対し転売する取引であり(その後,原告は,関連会社であるP4社に本件モーターを転売して,P4社がコインホッパーにするための加工を行う。),一次卸業者の二次卸業者に対する売買取引であるのに対し,P6及びP7社間の比較対象取引は,○のメーカーであるP3社から,卸業者であるP1社,原告を経てP6に転売されたものをP7社に転売するもので,三次卸業者が当該製品を加工して新たな部品を製造する業者に対して販売する取引であるから,両者は取引段階を異にする取引であることになる。したがって,P6及びP7社間の比較対象取引の取引価格を用いて,本件取引の独立企業間価格を算定することはできないというべきである。 この点,原告は,本件取引におけるP1社と,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6は,いずれもパチスロ筐体メーカーにコインホッパーを納入する業者に対してモーターを納入する業者であり,パチスロ筐体メーカーから数えた取引段階が同一であるから,取引段階は同一であると主張する。しかし,租特法66条の4第2項1号イが,国外関連取引が棚卸資産の販売又は購入に該当する場合の独立企業間価格の算定方法の一つである独立価格比準法について,国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を「当該国外関連取引と取引段階が同様の状況の下で」売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法と定めたのは,一般に,棚卸資産を売買した取引の対価の額は,卸売段階から小売段階に進むに従って各事業者の経費や利潤に相当する金額が 累積することにより上昇するので,国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とするためには,同種の棚卸資産を売買 が 累積することにより上昇するので,国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とするためには,同種の棚卸資産を売買した取引が当該国外関連取引と取引段階が同様の状況の下で行われたものであることを必要とするからであると解されるところ,当該国外関連取引に係る棚卸資産の製造業者から数えた取引段階が異なる場合には,同棚卸資産の消費者ないし同棚卸資産を利用して新たな資産を製造する業者から数えた取引段階が同一であるとしても,上記棚卸資産を売買した取引の対価の額の中に累積されている各事業者の経費や利潤に相当する金額に差異が生ずることになるから,その取引段階で上記棚卸資産を売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とすることはできないというべきである。前記のとおり,P3社から数えると,P1社は一次卸業者であるのに対して,P6は三次卸業者であり,棚卸資産の製造業者であるP3社から数えた取引段階が異なるというべきであるから,P6及びP7社間の比較対象取引の取引価格をもって本件取引の独立企業間価格を算定することはできない。 もっとも,当該同種の棚卸資産を売買した取引が当該国外関連取引と取引段階に差異のある状況の下で行われたものであるとしても,その差異により生ずる対価の額の差を調整することができるときは,その調整を行った後の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とすることができるものである(租特法66条の4第2項1号イ括弧書き)が,本件全証拠によるも,一次卸業者であるP1社及び二次卸業者である原告の経費や利潤に相当する金額をにわかに認めることはできず,しかも,P6及びP7社間の比較対象取引は,メーカーからP6に至る間に が,本件全証拠によるも,一次卸業者であるP1社及び二次卸業者である原告の経費や利潤に相当する金額をにわかに認めることはできず,しかも,P6及びP7社間の比較対象取引は,メーカーからP6に至る間にP1社と原告との間の関連者取引を経ている上,平成14年9月以降は,原告のP1社からの購入価格とP6への転売価格が同額(単価500円)となって いることからすれば,租特法66条の4第2項1号イ括弧書きの差異調整をすることができる取引であるとは解されず(この点についての差異調整が可能である旨の原告の主張もない。),その差異により生ずる対価の額の差を調整することができないから,上記棚卸資産を売買した取引の対価の額に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とすることはできないというべきである。 また,パチスロ筐体メーカーから見た取引段階が同一であるから取引段階が同一である旨の原告の主張は,本件取引におけるP1社と,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6がそれぞれの取引において同一の役割を負っていることを前提とすると考えられる(原告は,これらの会社が,厳しい納期を守るサプライヤーとしての役割を負っている旨主張する。)が,後記ウで検討するとおり,P1社は,本件取引において,厳しい納期を守るサプライヤーとしての役割を負っていると認めることはできず,また,本件取引におけるP1社の役割と,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6の役割が同一であると認めることもできないし,他に,本件取引とP6及びP1社間の比較対象取引の取引段階が同一であることを認めるに足りる証拠もない。 そして,前記のとおり,これらの取引の取引段階の相違が調整可能なものであることを認めるに足りる証拠もないから,結局,P6及びP1社間の取引を比較対 あることを認めるに足りる証拠もない。 そして,前記のとおり,これらの取引の取引段階の相違が調整可能なものであることを認めるに足りる証拠もないから,結局,P6及びP1社間の取引を比較対象取引として,本件取引の独立企業間価格を求めることはできないといわざるを得ない。 ウ本件取引におけるP1社の役割について検討する。前記1(4)アの事実によれば,本件取引は,従前P3社と原告との間では,本件モーターを直接売買する取引が行われていたところ,原告の申入れによりP3社と原告との間にP1社が加わるようになったものであって,P1社が独自に開拓した取引関係ではないことが認められ,かつ,その際の売買価格等に関す る交渉も原告のP9専務及びP17とP3社の担当者との間で行われたというのであるから,取引開始に当たっては,P1社が果たした役割は極めて小さいといえる。また,前記1(4)アによれば,本件モーターの機種が新しくなった際の価格交渉も実質的にはP3社の担当者と原告のP9専務との間で行われたこと,同ウによれば,P1社がP3中国工場への働き掛けをたびたび行っていたとは認め難いことからすれば,取引中においても,P1社が独自の立場で本件モーターの本件取引に関わっていたとは認め難い。 さらに,原告は,本件取引に当たっては,納期管理が極めて重要であり,納期管理のために,P3社と原告との間にP1社を介在させることとした旨主張するが,前記1(4)イのとおり,納期に遅延しそうになった場合の対応は,最終的には原告が行っていると考えられるし(電子メールのやりとりは,P1社のP24が原告に対しP3社への働き掛けを依頼するところで終わっている。),原告は,P1社が① 発注予定を見越してP3社に対する発注をしたり,② 香港の乙仲業者の倉庫 電子メールのやりとりは,P1社のP24が原告に対しP3社への働き掛けを依頼するところで終わっている。),原告は,P1社が① 発注予定を見越してP3社に対する発注をしたり,② 香港の乙仲業者の倉庫を利用して納期の調整をしたりしていた旨主張するが,上記①については,P17の陳述書(甲192)によっても,P1社が行っていたのは,原告からの指示を受けた場合に,正式な発注に先立ってP3社にモーターを発注してP3社に保管させていたというものにすぎず,P1社の判断で行われていたものとは評価し難い(乙第44号証によれば,製品を在庫として保管していたのは,むしろP3社側の判断によるものと解することもできる。)し,上記②についても,P17の陳述書(甲192)によれば,乙仲業者の倉庫を利用できることは暗黙の慣行となっていたというのであり,P1社が納期に間に合わせるために特別な手配をしていたという事情はうかがわれない。加えて,納期を守れなかったことや不良品が発生したことによる責任についても,P1社が損害賠償等をしたことを客観的証拠により認めることがで きるのは,前記1(4)カのとおり,本件各事業年度より後の年度のことであり(平成16年9月頃にP1社が責任を負った旨の客観的証拠が残されているのは,当時,既に本件取引の移転価格税制上の問題に関する税務調査が開始されており(前記前提事実(4)),P1社の機能や責任が問題となっていた(乙25,26など)ことから,P1社が損害を賠償した実績を殊更に作出したのではないかとさえ疑われる。),本件各事業年度において,P1社が具体的に納期遅延や不良品についての責任を負っていたとは認め難い上,原告のP9専務が,陳述書(甲40)において,本件モーターの納期遅延の責任は原告が第一次的に負うとしていることなどからして, 1社が具体的に納期遅延や不良品についての責任を負っていたとは認め難い上,原告のP9専務が,陳述書(甲40)において,本件モーターの納期遅延の責任は原告が第一次的に負うとしていることなどからして,P1社が納期遅延や不良品発生に対する責任を負うのは,専ら原告からの求償に基づく請求を受けたことによるものであると考えられるところ,そのような請求を受けたP1社としては,納期遅延や不良品発生の原因がP3社にある場合は,P3社に対して更に損害賠償を行えばよいのであり(原告は,P1社がP3社に対して損害賠償を請求できないことによるリスクがあると主張するようにも思われるが,そのようなリスクは,P1社に対する損害賠償を請求できないことによるリスクとして原告も負っているはずであり,P1社が主として責任を負っていることの根拠となるものではない。なお,上記の本件取引におけるP1社の役割に照らし,P1社に納期遅延や不良品発生の最終的な責任があり,P3社にその責任を追及できない事態はにわかに想定し難い),P3社がP1社からの責任を負わない事情があるともうかがわれないことからすれば,P1社が納期遅延や不良品発生についてのリスクを負っていたと解すべき根拠は見当たらない。 そうすると,P1社は,厳しい納期を守るサプライヤーとしての役割を負っているとは認め難い(原告は,P1社が新たな取引先の開拓や新製品の開発に係る活動を行っていたなどと主張するが,これらの活動は,本件取引におけるP1社の役割とは直接関係がないというべきである。)。 また,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6の役割についても的確に認める証拠はなく,結局,本件取引におけるP1社の役割と,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6の役割が同一であることを認めるに足りる証 P7社間の比較対象取引におけるP6の役割についても的確に認める証拠はなく,結局,本件取引におけるP1社の役割と,P6及びP7社間の比較対象取引におけるP6の役割が同一であることを認めるに足りる証拠はないというべきである。 (4) 上記のとおり,原告は,P6及びP7社間の比較対象取引により本件取引の適正な独立企業間価格を算定したとはいえないから,本件取引の独立企業間価格の算定のために必要な書類を原告が提出したとはいえず,上記(1)のとおり,本件取引について推定課税をする要件は満たされているというべきであるし,また,P6及びP7社間の比較対象取引により算定した価格が適正な独立企業間価格であるとして,推定の効果が破られることもないというべきである。 4 争点(2)(山形税務署長が推定した独立企業間価格は適法なものかどうか(租特法66条の4第7項所定の算定方法の要件を満たすかどうか))について(1)ア租特法66条の4第7項は,同項に基づく推定課税の方法として,当該法人の当該国外関連取引に係る事業と同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業の内容が類似するものの売上総利益率等を基礎として算定した金額を当該独立企業間価格と推定して更正処分等をすることができる旨規定する。したがって,本件各更正処分等が適法であるためには,本件類似3法人が,本件取引に係る事業と同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業の内容が類似するものであることが必要である。そして,同項に基づく推定課税の制度の趣旨が前記2で説示したとおりのものであり,同項の構造は,独立企業間価格の算定に必要な帳簿書類等が提示又は提出されなかった場合に,課税庁において「推定」した一応独立企業間価格と認められる金額を基に更正処分等をできるものとしつつ,納税者側が適正な独立企業間価 立企業間価格の算定に必要な帳簿書類等が提示又は提出されなかった場合に,課税庁において「推定」した一応独立企業間価格と認められる金額を基に更正処分等をできるものとしつつ,納税者側が適正な独立企業間価格の立証をすることにより,その推定を破ることを認めるというものであることか らすれば,この規定は,納税者側の書類の不提示,不提出という事情が存する場合に,独立企業間価格の立証責任を課税庁側ではなく納税者側に負わせることとする一種の立証責任の転換を定めた規定であると考えられ,同項に基づいて推定される金額は,同項所定の算定方法に従って算定された一応独立企業間価格と認められる金額であれば同項の趣旨に反するものではないと考えられること,同項の趣旨からは,同項による推定課税が不可能又は著しく困難となる場合が多くなることは移転価格税制の制度の意義を没却することにつながりかねないことからすると,当該国外関連取引に関する事業と推定課税の基礎となる法人の営む事業との間で事業が同種であること(事業の同種性)及び事業規模その他の事業の内容が類似するものであること(事業内容の類似性)については,それほど高度で厳格なものは要求されていないと解するのが相当である。同項が「同種の事業」とか「事業の内容が類似するもの」という比較的幅があることを前提とした文言を用いているのもその趣旨と解される。納税者側は,独立企業間価格の算定のために必要な書類を提出すれば推定課税の適用を免れることができるし,仮に,何らかの事情で遅滞なくこれらの書類を提出できなかった場合でも,自ら適正な独立企業間価格を主張立証することにより,推定を破ることができることからすると,このように解することが,納税者側にとって過酷なものであって不当であるということはできない。 イこの点に関し,原 企業間価格を主張立証することにより,推定を破ることができることからすると,このように解することが,納税者側にとって過酷なものであって不当であるということはできない。 イこの点に関し,原告は,推定課税の適法性を判断する場合にも独立企業原則が適用されると主張し,関連者間取引を主として行っている企業を同種事業類似法人とすることは許されないとする。しかし,租特法66条の4第7項及び租特令39条の12第11項には,その文言上,同種事業類似法人を選定する場合に関連者取引を行っている法人を除外すべきことは規定されていない。そして,租特法66条の4第7項の推定課税の制度の趣旨が前記2で説示したものであることからすれば,上記アで説示したと おり,推定課税の適用が認められる場合における独立企業間価格と推定される金額の算定については,同項所定の算定方法に反しない限り,その要件を厳格に解する必要は必ずしもないというべきであり,同項の金額の算定に当たり,関連者取引を含んだ金額を基礎とすることが直ちに許されないものではないと解すべきである。 ウさらに,原告は,推定課税において,関連者取引を主として行っている企業を同種事業類似法人とすることは許されないとして,下記のとおり,種々主張するので,これについて検討する。 (ア) 原告は,OECDガイドラインが,独立企業間価格の算定に当たっては,非関連者取引を比較対象とするものとしており,推定課税においても非関連者取引を行う法人を同種事業類似法人としなければならないことを前提としている旨主張するが,上記のとおり,独立企業間価格それ自体の算定とは異なる推定課税の適用に当たっては,独立企業原則を厳密に適用する必要は必ずしもないと解すべきであるから,原告の上記主張は前提を欠き,失当である するが,上記のとおり,独立企業間価格それ自体の算定とは異なる推定課税の適用に当たっては,独立企業原則を厳密に適用する必要は必ずしもないと解すべきであるから,原告の上記主張は前提を欠き,失当である。 (イ) 原告は,租特法66条の4第7項と同条2項が,「独立企業間価格」という同一の文言を用いていることから,同条7項の独立企業間価格を算定する際に非関連者取引に基づくことが必要であると主張する。 しかし,同項に規定する方法によって算定される金額は,独立企業間価格と推定されるべき金額にすぎないのであり,推定の前提となる事実である同種事業類似法人の売上総利益率等を用いて算定した金額は独立企業間価格そのものではないのであるから,独立企業間価格という文言が用いられているからといって,同項における同種事業類似法人の行う取引が非関連者取引でなければならないことが当然に導かれるものではない。 (ウ) 原告は,租特法66条の4第2項1号に規定された独立企業間価格 の算定方法も推計的な方法である点で同条7項に規定された算定方法と本質的に差はないと主張するが,同項は,所定の方法により算定した金額を独立企業間価格と推定するものと定めており,同条2項とは明らかに規定の仕方が違うのであり,原告の上記主張は失当である。 (エ) 原告は,租特法66条の4第7項は,同条2項1号ロ又はハに掲げる方法を用いることを定めているところ,同号ロ及びハは通常の利潤の額という文言を用い,この通常の利潤の額の算定方法を定める租特令39条の12第6項及び7項は,通常の利益率という文言を用い,非関連者間の独立企業間価格を算定することを明らかにしていると主張するが,租特法66条の4第7項は,同条2項1号ロ又はハに規定された通常の利潤の額に代えて同種事業類 ,通常の利益率という文言を用い,非関連者間の独立企業間価格を算定することを明らかにしていると主張するが,租特法66条の4第7項は,同条2項1号ロ又はハに規定された通常の利潤の額に代えて同種事業類似法人の売上総利益率等を用いた上でこれらの規定に掲げられた方法を用いて推定の基礎となる金額を算定する旨を定める規定であると解すべきであり,通常の利潤の額を用いて推定の基礎となる金額を算定すべきものとしているのではないから,そのことを前提として,同項が非関連者間の独立企業間価格を算定することを予定しているとする原告の上記主張は,その前提を欠き,失当である。 (オ) 原告は,本件租特法通達(2)-3が租特法66条の4第7項においても適用されることを前提として,上記通達に従って,非関連者取引との類似性の検討が必要とされている旨主張するが,乙第69号証によれば,上記通達は,比較対象取引に該当するかどうかの判断基準を定めたものであるところ,乙第105号証によれば,本件租特法通達(2)-1は,比較対象取引とは同条1項の独立企業間価格の算定の基礎となる比準取引をいうと定めており,同条7項の推定に用いられる同種事業類似法人の選定の際には,本件租特法通達(2)-3の規定は関係のないものであることが明らかであるから,原告の上記主張は,その前提を欠き,失当である。 (カ) 原告は,法令上比較可能性又は類似性について言及されていない利益分割法(租特法66条の4第2項1号ニ,租特令39条の12第8項)に属する残余利益分割法について本件租特法通達(4)-5が非関連者取引を比較対象取引として選定すべきである旨定めていることからすれば,法令上非関連者間の通常の利益率に基礎を置くものと規定された推定課税においては,なおさら非関連者取引を行う同種 4)-5が非関連者取引を比較対象取引として選定すべきである旨定めていることからすれば,法令上非関連者間の通常の利益率に基礎を置くものと規定された推定課税においては,なおさら非関連者取引を行う同種事業類似法人が選定されなければならない旨主張するが,上記(エ)のとおり,推定課税においては,通常の利益率を基礎として推定の基礎となる金額を算定するものではないから,原告の上記主張は,その前提を欠き,失当である。 (キ) 原告は,取引単位営業利益法を定める平成16年政令第105号による改正後の租税特別措置法施行令39条の12第8項2号及び3号には非関連者取引に限る旨の文言はないが,通達等によれば,同号に係る比較対象取引が非関連者取引によるものであることは当然の前提とされていることからすれば,法令において非関連者取引を基礎として独立当事者間価格を算定又は推定すべき旨が規定されていないとしても,移転価格税制において非関連者取引を用いるべきことは当然の前提とされている旨主張するが,上記改正後の同項2号の「再販売者」及び同項3号の「販売者」の定義には,いずれも非関連者との取引であることが含まれている(同条6項,7項)のであって,このような限定が明記されていない推定課税の規定の解釈において非関連者取引を用いるべきことが当然の前提とされているということはできないというべきであり,原告の上記主張は,その前提を欠き,失当である。 (ク) 原告は,法律上の推定規定が経験則を法規化したものであるから同種企業類似法人の粗利益率から国外関連取引の独立当事者間価格を合理的に推定できるという判断が成り立つことが前提である旨主張するが,ある事実から他の事実を推定できる旨の法律の規定には,立証責任の転 換を定めたものなどもあり,全ての場合が経験則 間価格を合理的に推定できるという判断が成り立つことが前提である旨主張するが,ある事実から他の事実を推定できる旨の法律の規定には,立証責任の転 換を定めたものなどもあり,全ての場合が経験則を法規化した場合であるとは限らず,租特法66条の4第7項に基づく推定課税も,上記アのとおり,立証責任の転換の規定と解することができ,国外関連取引に関する事業と推定課税の基礎となる法人の営む事業との間の事業の同種性及び事業内容の類似性について,高度なものは要求されていないと解するのが相当であることからすれば,同項が「推定」という文言を用いていることから直ちに推定課税の基礎となる法人が非関連者取引を行っている法人でなければならないことが導かれるとはいえない。 (ケ) 原告は,租特法66条の4第7項の推定課税と法人税法131条,所得税法156条等に基づく推計課税が同一の構造を有することから,真実の独立当事者間価格と合致又は近似する蓋然性が必要であると主張するが,租特法66条の4第7項に基づく推定課税は移転価格税制の制度であり,原告主張の推計課税が用いられる場面と異なることからすれば,推計課税における原則が直ちに推定課税に当てはまるとはいえず,原告の主張は失当である。 エいわゆるシークレットコンパラブルを用いたことについて本件類似3法人について,被告は,その事業内容や財務状況等を開示していない。原告は,このように事業内容や財務状況等の同種性,類似性について検証することができない法人を用いて推定課税を行うことは,納税者側の防御の機会を奪うものであり,相当ではない旨主張する。しかし,租特法66条の4第9項は,推定課税を行う際に,税務当局の職員が同種事業類似法人に対する質問検査権を行使することを認めているところ,このこと の機会を奪うものであり,相当ではない旨主張する。しかし,租特法66条の4第9項は,推定課税を行う際に,税務当局の職員が同種事業類似法人に対する質問検査権を行使することを認めているところ,このことは,この質問検査権で得られた情報を推定課税において用いることが前提とされていると解するのが相当である。他方,これらの企業は,納税者とは関係のない第三者であることからすれば,その事業内容や財務状況等の詳細について,税務当局の職員が守秘義務を負っていることは当然 である。 これらによれば,租特法は,税務当局がその事業内容や財務状況等について開示することができない同種事業類似法人を用いて推定課税をすることを予定しているというべきである。原告は,そのような制度は納税者の防御の機会を奪うもので相当ではない旨主張するが,それは,立法政策の当否を問うものにすぎないし,また,税務当局の職員が負っている守秘義務に反しない限度で,同種性,類似性についての立証をし,これに対して納税者がその信用性を争うなどすることは可能であるから,そのような制度を採ったからといって納税者の防御の機会が奪われるものではない。前記のとおり,推定課税の制度が,主として,国外関連取引における独立企業間価格の算定の根拠となる帳簿書類等の提示等についての納税者の協力を担保する趣旨で設けられたものであること,推定課税による更正処分等を受けた納税者は,自ら独立企業間価格を立証して推定を破る方法を採ることができることからすれば,このような制度になっていることが納税者にとって過酷であるとはいえない。そして,本件において,被告は,乙第124号証及び第126ないし第129号証等によって,守秘義務に反しない限りで本件類似3法人に関する情報を開示しているのであり,以上によれば,本件類似 はいえない。そして,本件において,被告は,乙第124号証及び第126ないし第129号証等によって,守秘義務に反しない限りで本件類似3法人に関する情報を開示しているのであり,以上によれば,本件類似3法人の事業内容や財務状況等の詳細が開示されていないことをもって,本件各更正処分等が違法となるものではない。 また,上記のとおり,事業内容や財務状況等の詳細が開示されていない同種事業類似法人を用いて推定課税を行うことは法が予定していることであることからすれば,これらの情報が明らかにされていなかったとしても,本件各更正処分等の理由付記に不備があるということはできない。 (2) 前記2及び上記(1)のとおり,推定課税が適法であるためには,事業の同種性及び事業内容の類似性が必要であり,これらについては,推定課税の適法性を主張する被告に立証責任があるというべきであるところ,その立証に 当たっては,行政処分の適法性の判断の一般原則に従い,処分時に存した全ての事情を基礎にして当該処分時を基準として判断すべきである(この点,被告は,処分時に税務署長が把握していた,あるいは容易に把握し得た具体的事情を基礎として判断すべきである旨主張するが,行政処分の適法性に関する一般的な判断基準と異なり,その範囲を限定して事業の同種性及び事業内容の類似性を判断すべきとする根拠は見当たらない。)。 上記(1)で説示したように,推定課税の趣旨からすれば,事業の同種性及び事業内容の類似性について高度なものを要求するのは相当ではなく,推定課税が同種事業類似法人の利益率を用いていることからすれば,事業及び事業内容の差異が粗利益率レベルでかなりの差をもたらすものでないことが事業の同種性及び事業内容の類似性を認めるための一応の判断基準になるというべきであ 人の利益率を用いていることからすれば,事業及び事業内容の差異が粗利益率レベルでかなりの差をもたらすものでないことが事業の同種性及び事業内容の類似性を認めるための一応の判断基準になるというべきである(租特法66条の4第7項の文言によれば,立証の対象としての事実は事業の同種性及び事業内容の類似性であり,粗利益率レベルでかなりの差をもたらすものでないことを事実として立証する必要があるとは解されない。)。そして,同種事業類似法人の選定の作業は,独立当事者間価格を求めるに当たっての比較対象取引の選定の作業と判断の手法が類似することからすれば,事業の同種性及び事業内容の類似性の判断に当たっては,比較対象取引の判断基準である本件租特法通達(2)-3に掲げられた要素が参考になるというべきである(ただし,前記のとおり,租特法66条の4第7項による推定課税の趣旨が同条2項の独立企業間価格を求める趣旨とは異なることからすれば,ある要素が同項の比較対象取引の判断基準として重視されているからといって同条7項の同種事業類似法人の判断基準として重視されるとはいえないし,また,その判断基準も相当緩和されたものになるというべきである。)から,以下,同通達に掲げられた要素を含め事業の同種性及び事業内容の類似性を判断するための要素について検討することとする。 ア租特法66条の4第7項に定められた事業の同種性とは,同項の趣旨が 前述のようなものであることからすれば,一般的には,例えば,問題となっている取引の対象資産と似かよった資産の卸売業者であるとか製造業者であるとかいったレベルで共通していることをいうと解すべきであるところ,前記1(2)イによれば,本件類似3法人は,いずれも小型モーター等を仕入れて加工しないまま再販売する卸売業を営んでおり,甲第192号 るとかいったレベルで共通していることをいうと解すべきであるところ,前記1(2)イによれば,本件類似3法人は,いずれも小型モーター等を仕入れて加工しないまま再販売する卸売業を営んでおり,甲第192号証によれば,P1社は,小型モーター等を仕入れて再販売する卸売業を営んでいることが認められるから,本件類似3法人とP1社は,小型モーターを中心とする商品を仕入れて加工しないまま再販売する卸売業を営んでいるという点で共通点を有し,事業の同種性が一応認められるといえる。 イ P1社と本件類似3法人の取り扱う製品について前記1(2)ウ及び乙第55号証によれば,本件類似3法人のうちa社とc社は主としてステッピングモーターを取り扱っており,b社とP1社は,主としてDCモーターを取り扱っていたことが認められる。原告は,小型モーターの中でもDCモーターとステッピングモーターでは製品が異なると主張するが,これらのモーターは「小型モーター」という種類に含まれ,乙第32号証のようにDCモーターやステッピングモーターのメーカーをまとめて掲載している資料も存在すること,乙第32号証によれば,DCモーターとステッピングモーターの双方を生産しているメーカーも少なからず存在することが認められること,DCモーターの卸売事業とステッピングモーターの卸売事業において粗利益率でかなりの差が生ずることを的確に認めるに足りる証拠がないことからすれば,P1社及びb社が主として小型モーターのうちDCモーターを取り扱い,a社及びc社が主として小型モーターのうちステッピングモーターを取り扱っていることは,事業の同種性の判断基準が上記(1)アのようなものであることに鑑み,事業の同種性を否定する要素となるとは言い難い。なお,原告は,本件類似3法人の取扱製品についての被告の説 ーを取り扱っていることは,事業の同種性の判断基準が上記(1)アのようなものであることに鑑み,事業の同種性を否定する要素となるとは言い難い。なお,原告は,本件類似3法人の取扱製品についての被告の説明が変遷を重ねており,信用性に乏しい 旨主張するが,被告の説明は,その表現に異同はあるものの,本件類似3法人の取扱製品の中心が小型モーターであることと矛盾するものではないという点において一貫しており,原告の主張は,些末な点を殊更に取り上げて変遷であるというものか,より詳細な説明をした点を変遷であるというものにすぎず,原告主張に係る記載があることをもって,本件類似3法人の取扱製品に関する乙第126号証ないし乙第129号証の記載が信用性に乏しいということはできない。 ウ事業規模について甲第192号証によれば,P1社の従業員数は数名から多くても7,8名であったことが認められ,前記1(2)アのとおり,本件類似3法人の従業員数(a社は10名を超え20名以下,b社及びc社は10名以下)と大きく異ならない。また,前記1(2)アによれば,本件類似3法人の売上高は,最も規模の大きいa社の最も売上高の多い年度において50億円を超え60億円以下であることが認められ,前記1(3)ウによれば,P1社の年間売上高は,本件各事業年度に相当する決算期において,いずれも1億円ないし5億円程度であると認められ又は推認されるところ,乙第32号証によれば小型モーターのメーカーには,売上高数億円規模の企業から売上高1000億円を超える企業まであることに鑑みれば,本件類似3法人とP1社の売上高の規模が大きく異なるとまではいい難い。 なお,原告は,P1社の売上規模を算定するに当たっては,移転価格調整によって調整された後の取引価格を基準とすべきで ,本件類似3法人とP1社の売上高の規模が大きく異なるとまではいい難い。 なお,原告は,P1社の売上規模を算定するに当たっては,移転価格調整によって調整された後の取引価格を基準とすべきである旨主張するが,租税特別措置法66条の4の制度は,独立企業間価格で取引が行われたものとみなして課税を行う制度であり,移転価格調整によって直ちに国外関連取引の相手方の売上高が減少するものではないことからすれば,失当である。 エ P1社と本件類似3法人が担う機能及び負うリスクについて 前記1(2)イ,エのとおり,本件類似3法人は,主として親会社の指示に基づいて中国に所在する製造会社が製造した小型モーター等を指定された得意先に引き渡すという限定された業務を行っているのであり,この業務の内容からして特段のリスクも負っていないものと推認される。他方,P1社は,前記3(3)ウで説示したとおり,本件各事業年度における本件取引に関して,自ら主体的な役割を担っていたとはいえず,リスクも負っていたとはいい難い。また,本件各事業年度においてP1社の取引のほとんどは,原告が相手方となったものであると認められるところ(甲192),本件取引における原告とP1社との関係に照らし,本件取引以外の取引においてもP1社が主体的な役割を果たしていなかったことが推認される(例えば,甲第196号証によれば,P28社との取引を開始するに当たっても,その仕様については原告に確認することとされており,P1社がどれだけ主体的な役割を担っていたかどうかは不明である。)ことからすれば,P1社は,その事業全体について,上記のような限定的な業務しか行っていなかったというべきである。したがって,この点に関して,本件類似3法人とP1社の間に大きな違いはなかったものという とからすれば,P1社は,その事業全体について,上記のような限定的な業務しか行っていなかったというべきである。したがって,この点に関して,本件類似3法人とP1社の間に大きな違いはなかったものというべきである。 なお,原告は,P1社の販売管理費が2001年10月期から2003年10月期までの3年間の平均で約26%であり,本件類似3法人の販売管理費と比べてかなり高かったことは,P1社と本件類似3法人が機能及びリスクの面で異なっていることを表している旨主張するが,この販売管理費は,前記1(3)エのとおり,P17に対する報酬を含んでおり(甲第192号証によれば,P1社から取締役報酬を受け取っていたのはP17のみであると認められる。),この報酬額を控除した額(前記1(3)エの表のD)の売上高に対する割合(同表のE)は,約8%ないし約18%であるところ,P17は,原告並びに原告の関連会社であるP4社及びP3 0社から平成13年3月31日頃まで取締役の報酬を受け取っていた反面,P1社からは報酬を受け取っていなかったことが認められ(乙112の1ないし7,同123),P1社が活動を開始した直後には取締役報酬を受け取っていなかったものの,平成13年4月頃になって突如としてP1社から報酬を受け取るようになったものであることからして,P1社からP17に対する報酬が支払われるようになったのは,P1社の利益を減らすための工作であることが強く疑われるから,上記のとおり,財務諸表に記載された販売管理費が高かったとしても,そのことから,P1社の機能及びリスクが本件類似3法人と大きく異なるといえるわけではない。 オ本件類似3法人とP1社の取引段階について卸売業を営む法人がメーカーから小売までのどの段階にあるかによって粗利益率 リスクが本件類似3法人と大きく異なるといえるわけではない。 オ本件類似3法人とP1社の取引段階について卸売業を営む法人がメーカーから小売までのどの段階にあるかによって粗利益率にどれだけの差が生ずるのかを的確に認めるに足りる証拠はない。 租特法66条の4第2項により独立企業間価格を求める際には,国外関連取引と比較すべき取引を選定しなければならないことから取引段階の差異が問題となり,比較対象取引の選定に当たって取引段階の差異を適切に調整することが必要となるが,同条7項による推定課税を行う際には,国外関連取引に係る事業と同種の事業を選定するのであり,事業という文言が各種の取引を包括したものであることは明らかであり,ある事業に属する取引は各種の取引段階にあるものが含まれているのが通常であると考えられること,上記(1)のとおり,同項にいう事業の同種性及び事業内容の類似性として高度なものが要求されているとはいい難いことからすれば,取引段階が異なることによって粗利益率に多少の差が生ずることがあっても,同種事業類似法人として選定することの大きな障害になるとはいえないというべきである。 カ本件類似3法人とP1社が扱うモーターの用途について小型モーターの卸売業において,取り扱うモーターの用途によって粗利 益率レベルでかなりの差が生ずることを認めるに足りる証拠はない。原告は,用途によって価格が異なるから,粗利益率が異なると主張するが,租特法66条の4第7項においては,同種の事業を営む法人で事業の内容が類似するものを選定することが必要とされているのであり,小型モーターの卸売業を営む者は,複数の用途のモーターを取り扱うのが通常であると考えられること(甲第192号証によれば,P1社もコインホッパー以外の用途の を選定することが必要とされているのであり,小型モーターの卸売業を営む者は,複数の用途のモーターを取り扱うのが通常であると考えられること(甲第192号証によれば,P1社もコインホッパー以外の用途のモーターをも取り扱っていたことが認められる。)からすれば,用途が異なるモーターを取り扱うことによる差異があっても同項の同種事業類似法人と認めることの大きな障害にはならないと考えられることに加え,乙第55号証及び第95号証によれば,小型モーターは,それが組み込まれる製品の仕様によって細かな差異はあるものの,一般的には汎用性のある製品であることが認められ,かつ,乙第54号証によれば,P1社が取り扱うモーターは汎用的な製品と異なる特殊なものではないことが認められることからすれば,原告の上記主張によっても,同種性類似性が直ちに認められなくなるものではない。 キ本件類似3法人とP1社が取り扱うモーターの市場の地理的条件について前記1(2)イによれば,本件類似3法人の事業における小型モーターの販売先は,a社については香港等に所在する法人,b社については日本国内の法人,c社についてはアジア各国の法人であることが認められ,また,前記前提事実(2)によれば,P1社の本件取引における小型モーターの販売先は日本国内の法人である原告であることが認められるから,a社及びc社とP1社との間で,販売先の市場は異なっている。この点につき,原告は,販売先の市場によって一般的に利益率は異なり,また,販売先の市場によって小型モーターの製品の価格が異なるから利益率は異なるはずであると主張するが,同種の小型モーターについて販売先の市場の違いによ って粗利益率にかなりの差が生ずることを的確に認めるに足りる証拠はなく,かえって,小型モーターの卸売業の粗利 異なるはずであると主張するが,同種の小型モーターについて販売先の市場の違いによ って粗利益率にかなりの差が生ずることを的確に認めるに足りる証拠はなく,かえって,小型モーターの卸売業の粗利益は,販売先の市場のみならず,小型モーターが組み込まれた最終的な商品の市場がどこであるかにも影響されると解するのが相当であること,小型モーターの卸売業は通常複数の市場に存在する買主に対し小型モーターを売却しているものと解されるところ,租特法66条の4第7項は同種の事業を営む法人で事業内容が類似するものを選定することを求めていることからすれば,販売先の市場が地理的に異なることは同項の同種事業類似法人を選定することの障害とならないとするのが同項の趣旨であると解されるのであって,原告の主張する上記の点によっても,直ちに同種性類似性が認められなくなるものとはいえない。 ク風営法による規制について原告は,本件取引の対象製品であるパチスロ台用の小型モーターが,風営法により国家公安委員会からの指定を受けたP31の規制対象になっており,これが参入規制として機能しているから,そのような規制がない製品を対象とする本件類似3法人の事業とは粗利益率が大きく異なると主張する。しかし,風営法によるパチスロ台の規制は,同法20条等によれば,著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものを排除するために設けられているものであることが認められ,その観点からは,コインの排出確率やその枚数を決定するコンピューター等の部分については厳しい検査がされるものと解されるが,本件取引の対象となる小型モーターが組み込まれるコインホッパーに関しては,コンピューター部分の指令に基づき正確な枚数のコインが排出される機能さえ備わっていればその規制の趣旨は十分果たされることに加え 件取引の対象となる小型モーターが組み込まれるコインホッパーに関しては,コンピューター部分の指令に基づき正確な枚数のコインが排出される機能さえ備わっていればその規制の趣旨は十分果たされることに加え,甲第211号証,乙第124号証によれば,本件モーターのような部品については,P31の検査があることにより,一旦あるパチスロ台用として製造した部品を当該パチスロ台については変更するこ とができないという以上の規制はなく,そのことは部品の製造業者や供給業者にとってはかえってやりやすい面でもあることが認められる(乙第82号証によれば,平成11年から平成15年までの各年においては,毎年約200種類から300種類のパチスロ機(回胴式遊技機)が新たにP31から認定を受けていたのであり,毎年相当数のパチスロ機が新たに発売されていたと認められることからすれば,ある機種のパチスロ機が生産される期間は比較的短いものと考えられ,ある機種用に同じ部品を生産し続けなければならないことによる負担は小さいものと思われる。現に,平成12年頃,P3社の生産するモーターは,○から○に,また,○から○にそれぞれ変更され(乙44),前記前提事実(2)アによれば,当該変更後も新機種と旧機種の両方が供給されていたものの,そのことに関連して特に問題が生じていたとか,特に高いコストを要したとかいう事情は,乙第44号証その他本件全証拠によっても認められない。)。そうすると,P31による規制があることは,本件取引に係る事業と一般的な小型モーターを対象とする卸売取引との間で粗利益率にかなりの差を生じさせる点であるとはいい難い。 ケパチスロ台の部品市場が寡占的な市場であったかどうかについて原告は,パチスロ台の部品市場が寡占的な市場であったと主張し,甲第148号証 差を生じさせる点であるとはいい難い。 ケパチスロ台の部品市場が寡占的な市場であったかどうかについて原告は,パチスロ台の部品市場が寡占的な市場であったと主張し,甲第148号証には,その趣旨の内容があるが,これと反対の趣旨の証拠(乙第82号証によれば,パチスロ台メーカーとして参入する業者も少なくないことが認められ,前述のとおりパチスロ台用の小型モーターが一般的な製品であることからすれば,少なくともパチスロ台の小型モーターの市場への参入は容易であったと推認される。)が存在することに照らし,他の用途の小型モーターの市場と比べてパチスロ台用の小型モーター市場が特に寡占的な市場であったことを的確に認める証拠はないというべきである。 原告は,パチンコ台業界においては,パテントプールといった慣行により, 寡占性が維持されていたと主張するが,これは,パチンコ台メーカーの寡占性であり,上記のとおり,本件モーターが一般的なモーターであることに鑑みれば,このことから直ちにパチスロ台に組み込まれるコインホッパー用モーターの市場が寡占的であったとまでいうことはできない。少なくとも,前記1(4)アのとおり,本件取引が,従前P3社と原告との間で直接行われていた本件モーターの取引と特に変わらない条件(条件が変更された部分については,原告のP9専務も交渉に当たっている。)において,P1社を介して取引をするようになったものであり,また,上記(2)エのとおり,P1社が本件取引において限定的な機能しか果たしていないにもかかわらず,P1社が介在したことによって,原告の本件モーターの仕入れ値が高騰したという事情(前記前提事実(4)ア)の下では,本件モーターの市場が寡占的であることによって,本件類似3法人との間の事業の同種性及び事業内容の類似性が否 よって,原告の本件モーターの仕入れ値が高騰したという事情(前記前提事実(4)ア)の下では,本件モーターの市場が寡占的であることによって,本件類似3法人との間の事業の同種性及び事業内容の類似性が否定されることになるとはいえない。また,原告は,寡占的な市場であることの理由として,短い納期に対応できる業者でなければならないことを理由として挙げるところ,原告が,短い納期の例として提出する甲第245号証の1及び2は,翌日又は翌々日までにP3社製のモーターに原告側で加工を施したものを納入することを求めるものであるところ,翌日又は翌々日という納期に照らし,このような発注は,発注後にP3社からモーターが出荷されることを前提とするものではなく,原告が在庫として保有する加工後の製品の出荷を求めるものか,せいぜい原告に既に納入されていた本件モーターに加工を施して出荷することを求めるものと解するのが相当であり,前記3(3)ウ及び乙第44号証に照らし,P1社及びP3社が短い納期に対応する必要があったとは認め難いことによれば,少なくとも本件モーターのようなパチスロ台に直接組み込まれる部品を構成する部品については,短い納期に対応できる業者でなければこれを取り扱うことができない旨の原告の主張は採用できない。 コその他,原告は,契約条件が異なることが本件類似3法人の事業と本件取引に係る事業との間の事業の同種性及び事業内容の類似性に影響を与える旨主張するが,租特法66条の4第7項においては,国外関連取引に係る事業と同種類似の事業における利益率等を算定すればよいのであり,個々の契約条件の異同は,特段の事情のない限り事業の同種性及び事業内容の類似性に影響を与えないと解すべきであり,本件においてそのような特段の事情が存することを認めるに足りる事情はうか よいのであり,個々の契約条件の異同は,特段の事情のない限り事業の同種性及び事業内容の類似性に影響を与えないと解すべきであり,本件においてそのような特段の事情が存することを認めるに足りる事情はうかがわれない。 また,原告は,本件類似3法人の財務諸表が開示されていないため,本件類似3法人の粗利益率の算定が正確であるかどうかや本件類似3法人とP1社との間で会計処理に整合性があるかどうかが明らかではないと主張するが,上記(1)エのとおり,租特法は,税務当局が守秘義務の関係でその財務状況について開示することができない同種事業類似法人を用いて推定課税をすることを予定していることからすれば,本件類似3法人の粗利益率が正確であるかどうかや本件類似3法人とP1社との間の会計処理の整合性について,被告側担当者の主張,陳述書,証言等によってしか検証できないからといって,事業の同種性及び事業内容の類似性が認められないということはできない。 さらに,原告は,本件類似3法人が主として行っている取引が関連者取引であることから,事業の同種性及び事業内容の類似性が認められないと主張するが,関連者取引であることそれ自体が,租特法66条の4第7項の趣旨に照らし,粗利益率にかなりの差をもたらすものであることについて的確に認めるに足りる証拠はない。 (3) 上記(2)で検討した点を総合し,特に,前記1(4)アのとおり,本件取引が従前P3社と原告との間で直接行われていた本件モーターの取引と特に変わらない条件(条件が変更された部分については,原告のP9専務も交渉に当たっている。)においてP1社を介して取引をするようになったものであ り,また,上記(2)エのとおり,P1社が本件取引において限定的な機能しか果たしていないという事情を考慮すれば, 交渉に当たっている。)においてP1社を介して取引をするようになったものであ り,また,上記(2)エのとおり,P1社が本件取引において限定的な機能しか果たしていないという事情を考慮すれば,本件類似3法人は,P1社との間で,租特法66条の4第7項にいう同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業内容が類似するものであるということができる。そして,前記1(1)によれば,本件類似3法人の選定方法に不当な点は見当たらない(原告は,小型モータ需給動向報告書の記載に信用性がない旨主張するが,前記1(1)ア(ウ)によれば,仙台国税局の職員は,小型モーターの国内メーカーの抽出のためのリストとして小型モーター需給動向報告書を使用しているところ,原告が小型モータ需給動向報告書の信用性がないことの根拠として主張する点は,他の報告書の記載と生産台数が異なるという点にとどまり,本来抽出されるべきメーカーが記載されていなかったことや本来抽出されるべきでないメーカーが記載されていたことをうかがわせるものではないから,原告の上記主張は失当である。)。そうすると,平成11年12月期ないし平成13年12月期について,これに相当する決算期のa社の利益率を用い,また,平成14年12月期及び平成15年12月期においてa社,b社,c社の利益率の平均値を用いてP1社の本件取引に係る製品の取得金額から独立企業間価格を推定したことは,適法であり,甲第1号証の1ないし5によれば,本件各事業年度について算定された本件取引に係る独立企業間価格も,租特法66条の4第7項,同条2項1号ハによっていずれも適法なものである。 5 争点(4)(本件各更正処分等の前提となる調査手続における違法の有無)について(1) 原告は,仙台国税局職員が,P3社に宛てた本件質問書に,原告製品の ていずれも適法なものである。 5 争点(4)(本件各更正処分等の前提となる調査手続における違法の有無)について(1) 原告は,仙台国税局職員が,P3社に宛てた本件質問書に,原告製品の納入先がP7社であることを明らかにする記載をし,秘密を漏らしたことが本件各更正処分等の前提となる調査手続における違法であると主張し,甲第31号証には,上記主張に沿うP3社担当者による記載がある。前記前提 事実(4)ウ(ソ)によれば,本件質問書は,平成16年6月3日にP15調査官とP10調査官がP3社に対して送信したものであるところ,乙第124号証には,平成15年4月18日の時点で,P3社の担当者が,原告向けに出荷するモーターの一部が最終的にはP7社に納入されるものであることを知っていた旨の記載があり,また,平成16年4月2日付けで作成された乙第44号証の確認書には,○型(○のことと解される。)がP7社向けの製品である旨が記載されており,さらに,乙第55号証には,○の改良前の製品である○型(○)の寸法を表す図にP7社を示す文字が記載されている。 これらによれば,P3社は,本件質問書を受け取るより前から,P3社が原告に対して販売したモーターの一部がP7社向けのものであることを知っていたと認められるのであり,原告の上記主張はその前提を欠くというべきである。 原告は,仙台国税局職員が本件質問書を発出したことを否定したことや本件質問書を回収しようとしたことからすれば,仙台国税局職員が秘密を漏らしたことは明らかである旨主張する。しかし,原告が仙台国税局職員が本件質問書を発出したことを否定したとすることの根拠として提出する甲第34号証は原告のP9専務のメモであり,その内容からすれば,上記のとおり本件モーターの一部がP7社向けであることをP 国税局職員が本件質問書を発出したことを否定したとすることの根拠として提出する甲第34号証は原告のP9専務のメモであり,その内容からすれば,上記のとおり本件モーターの一部がP7社向けであることをP3社の担当者が従前から知っていたことを認識している仙台国税局職員が,秘密を漏らすような文書を発出したことはない旨回答したにすぎないものとも思われるから,このことをもって,仙台国税局職員が本件質問書を発出したことを否定したとはいえない。また,仙台国税局職員が本件質問書を回収しようとしたのは,乙第125号証によれば,本件質問書の記載内容がP3社から更に他社に知られることになっては困るという原告代表者らの要求を受けてのものと認められるのであり,このことが,仙台国税局職員が秘密を漏らしたことを認める根拠になるとはいえない。 (2) 税務調査の手続の瑕疵が当該税務調査を基礎とした更正処分の適法性に与える影響については,税務調査手続の単なる瑕疵は更正処分に影響を及ぼさないものと解すべきであり,調査の手続が刑罰法規に触れ,公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を超えて濫用にわたる等重大な違法を帯び,何らの調査なしに更正処分をしたに等しいものとの評価を受ける場合に限り,その処分に取消原因があるものと解するのが相当である。原告は,本件の税務調査の手続において,仙台国税局職員が,① 同じことを何度も繰り返して質問し,回答を誘導しようとした,② 必要以上に調査を長引かせた,③原告代表者らの了解を得ずに反面調査等を行った,④ 平成16年3月10日にP15調査官が原告代表者に対しどう喝行為を繰り返すという違法な有形力の行使をしたなどといった違法行為があった旨主張し,甲第40号証には,上記④に沿った内容がある。しかし,前記前提事実(4)及び弁論の全趣 調査官が原告代表者に対しどう喝行為を繰り返すという違法な有形力の行使をしたなどといった違法行為があった旨主張し,甲第40号証には,上記④に沿った内容がある。しかし,前記前提事実(4)及び弁論の全趣旨によれば,仙台国税局職員は,原告に対し,P1社の決算書等の提示を求めたが,原告がその一部についてしか応じなかったことから,繰り返し質問等をせざるを得なかったものであること,仙台国税局職員の調査は,原告が上記提示の求めの一部についてしか応じなかったことから,独立企業間価格の算定のための調査及び検討に手間取り,その結果長期間を要したものであることを認めることができ,また,仙台国税局職員が原告代表者らに対し原告の取引先に反面調査等をする際には原告代表者らの了解を得る旨約束したこと,P15調査官が原告代表者に対し違法な有形力の行使をしたことは,本件全証拠によってもこれを認めるに足りない。そうすると,仙台国税局職員が,同じことを何度も繰り返して質問したこと,長期間にわたり調査をしたこと,原告代表者らの了解を得ずに反面調査等を行ったことにつき,それらを違法ということはできないし(そもそも,納税者の了解を得なければその取引先に対する反面調査等を行うことができないものではない。),P15調査官が原告代表者に対し違法な有形力の行使をしたということもできな いのであり,上記の点をもって本件各更正処分が取り消されるべき手続上の違法を含むということはできない。 6 本件各更正処分等の適法性について以上によれば,本件各事業年度の原告の所得に関し,本件取引の独立企業間価格として山形税務署長が推定した金額は適法なものであり,また,本件各更正処分等に至る手続についても違法な点はない。そうすると,原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべ 引の独立企業間価格として山形税務署長が推定した金額は適法なものであり,また,本件各更正処分等に至る手続についても違法な点はない。そうすると,原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額の計算は,別紙8のとおりである(原告は,本件取引に係る独立企業間価格以外の点の所得金額等及び税額の計算について特に争っていない。)。また,原告は,本件各事業年度の法人税につき,納付すべき金額を過少に申告していたものであり,納付すべき金額を過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に規定する正当な理由は認められないから,原告に課されるべき過少申告加算税の額の計算は別紙9のとおりである(原告は,本件取引に係る独立企業間価格に関連する部分を除き,過少申告加算税の額の計算について特に争っていない。)。これらによれば,原告の本件各事業年度に係る納付すべき税額は,いずれも当該事業年度の本件各更正処分に係る納付すべき税額と同額であるから,本件各更正処分は適法である。また,原告に課されるべき本件各事業年度の法人税に係る過少申告加算税の額は,いずれも本件各賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,本件各賦課決定処分は適法である。 第4 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官須賀康太郎は,異動のため署名押印することができない。 裁判長裁判官川神裕 (別紙2)関係法令の定め 1 租特法66条の4(1) 法人が,昭和61年4月1日以後に開始する各事業年度において, 印することができない。 裁判長裁判官川神裕 (別紙2)関係法令の定め 1 租特法66条の4(1) 法人が,昭和61年4月1日以後に開始する各事業年度において,当該法人に係る国外関連者(外国法人で,当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式の総数又は出資金額(当該他方の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の100の50以上の株式の数又は出資の金額を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係(後記(2)において「特殊の関係」という。)のあるものをいう。以下同じ。)との間で資産の販売,資産の購入,役務の提供その他の取引を行った場合に,当該取引(当該国外関連者が法人税法141条1号から3号までに掲げる外国法人のいずれに該当するかに応じ,当該国外関連者のこれらの号に掲げる国内源泉所得に係る取引のうち政令で定めるものを除く。以下「国外関連取引」という。)につき,当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき,又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは,当該法人の当該事業年度の所得及び解散(合併による解散を除く。以下同じ。)による清算所得(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得及び同法103条1項2号の規定により解散による清算所得とみなされる金額を含む。後記(3)において同じ。)に係る同法その他法人税に関する法令の規定の適用については,当該国外関連取引は,独立企業間価格で行われたものとみなす(1項)。 (2) 上記(1)に規定する独立企業間価格とは,国外関連取引が次のア及びイに掲げる取引のいずれに該当するかに応じア及びイに定める方法により算定した金額をいう(2項)。 ア棚卸資産の 。 (2) 上記(1)に規定する独立企業間価格とは,国外関連取引が次のア及びイに掲げる取引のいずれに該当するかに応じア及びイに定める方法により算定した金額をいう(2項)。 ア棚卸資産の販売又は購入次に掲げる方法((エ)に掲げる方法は,(ア)から(ウ)までに掲げる方法を用いることができない場合に限り,用いることが できる。)(1号)(ア) 独立価格比準法(特殊の関係にない売手と買手が,国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階,取引数量その他が同様の状況の下で売買した取引の対価の額(当該同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階,取引数量その他に差異のある状況の下で売買した取引がある場合において,その差異により生ずる対価の額の差を調整できるときは,その調整を行った後の対価の額を含む。)に相当する金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。)(同号イ)(イ) 再販売価格基準法(国外関連取引に係る棚卸資産の買手が特殊の関係にない者に対して当該棚卸資産を販売した対価の額(以下「再販売価格」という。)から通常の利潤の額(当該再販売価格に政令で定める通常の利益率を乗じて計算した金額をいう。)を控除して計算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。)(同号ロ)(ウ) 原価基準法(国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入,製造その他の行為による取得の原価の額に通常の利潤の額(当該原価の額に政令で定める通常の利益率を乗じて計算した金額をいう。)を加算して計算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。)(同号ハ)(エ) (ア)から(ウ)までに掲げる方法に準ずる方法その他政令で定める方法(同号ニ)イアに掲げる取引以外 した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。)(同号ハ)(エ) (ア)から(ウ)までに掲げる方法に準ずる方法その他政令で定める方法(同号ニ)イアに掲げる取引以外の取引次に掲げる方法((イ)に掲げる方法は,(ア)に掲げる方法を用いることができない場合に限り,用いることができる。)(2号)(ア) 上記ア(ア)から(ウ)までに掲げる方法と同等の方法(同号イ)(イ) 上記ア(エ)に掲げる方法と同等の方法(同号ロ)(3) 国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員が,法人にその各事業年度における国外関連取引に係る上記(1)に規定 する独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。後記(4),(5)において同じ。)又はその写しの提示又は提出を求めた場合において,当該法人がこれらを遅滞なく提示し,又は提出しなかったときは,税務署長は,当該法人の当該国外関連取引に係る事業と同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業の内容が類似するものの当該事業に係る売上総利益率又はこれに準ずる割合として政令で定める割合を基礎として上記(2)ア(イ)若しくは(ウ)に掲げる方法又は上記(2)イ(ア)に掲げるこれらの方法と同等の方法により算定した金額を当該独立企業間価格と推定して,当該法人の当該事業年度の所得の金額若しくは欠損金額又は解散による清算所得の金額につき法人税法2条43号に規定する更正又は同条44号に規定する決定をすることができ 額を当該独立企業間価格と推定して,当該法人の当該事業年度の所得の金額若しくは欠損金額又は解散による清算所得の金額につき法人税法2条43号に規定する更正又は同条44号に規定する決定をすることができる(7項)。 (4) 国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は,法人と当該法人に係る国外関連者との間の取引に関する調査について必要があるときは,当該法人に対し,当該国外関連者が保存する帳簿書類又はその写しの提示又は提出を求めることができる。この場合において,当該法人は,当該提示又は提出を求められたときは,当該帳簿書類又はその写しの入手に努めなければならない(8項)。 (5) 国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は,法人が上記(3)に規定する帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示し,又は提出しなかった場合において,当該法人の各事業年度における国外関連取引に係る上記(1)に規定する独立企業間価格を算定するために必要があるときは,その必要と認められる範囲内において,当該法人の当該国外関連取引に係る事業と同種の事業を営む者に質問し,又は当該事業に関する帳簿書類を検査 することができる(9項)。 (6) 上記(5)の規定による質問又は検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない(10項)。 (7) 国税庁,国税局又は税務署の当該職員は,上記(5)の規定による質問又は検査をする場合には,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があったときは,これを提示しなければならない(11項)。 2 租特令39条の12(1) 前記1(1)に規定する政令で定める特殊の関係は,次に掲げる関係とする(1項)。 ア (略)(1号)イ二の法人が同一の者 ればならない(11項)。 2 租特令39条の12(1) 前記1(1)に規定する政令で定める特殊の関係は,次に掲げる関係とする(1項)。 ア (略)(1号)イ二の法人が同一の者(当該者が個人である場合には,当該個人及びこれと法人税法2条10号に規定する政令で定める特殊の関係のある個人)によってそれぞれその発行済株式等の100分の50以上の株式の数又は出資の金額を直接又は間接に保有される関係(上記アに掲げる関係に該当するものを除く。)(2号)ウ (略)(3号)(2) 前記1(2)ア(イ)に規定する政令で定める通常の利益率は,国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を,特殊の関係(前記1(1)に規定する特殊の関係をいう。)にない者(以下「非関連者」という。)から購入した者(以下「再販売者」という。)が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(以下(2)において「比較対象取引」という。)に係る当該再販売者の売上総利益の額(当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額から当該比較対象取引に係る棚卸資産の原価の額の合計額を控除した金額をいう。)の当該収入金額の合計額に対する割合とする。ただし,比較対象取引と当該国外関連取引に係る棚卸資産の買手が当該棚卸資産を非関連者に対して販売した取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場 合には,その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合とする(6項)。 (3) 前記1(2)ア(ウ)に規定する政令で定める通常の利益率は,国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を,購入(非関連者からの購入に限る。),製造その他の行為により取得した者(以下(3)において「販売者」という。)が当該同種又は類似の の利益率は,国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を,購入(非関連者からの購入に限る。),製造その他の行為により取得した者(以下(3)において「販売者」という。)が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(以下(3)において「比較対象取引」という。)に係る当該販売者の売上総利益の額(当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額から当該比較対象取引に係る棚卸資産の原価の額の合計額を控除した金額をいう。)の当該原価の額の合計額に対する割合とする。ただし,比較対象取引と当該国外関連取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には,その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合とする(7項)。 (4) 前記1(3)に規定する売上総利益率又はこれに準ずる割合として政令で定める割合は,前記1(3)に規定する同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業の内容が類似するものの前記1(3)の国外関連取引が行われた日を含む事業年度又はこれに準ずる期間内の当該事業に係る売上総利益の額(当該事業年度又はこれに準ずる期間内の棚卸資産の販売による収入金額の合計額(当該事業が棚卸資産の販売に係る事業以外の事業である場合には,当該事業に係る収入金額の合計額。以下(4)において「総収入金額」という。)から当該棚卸資産の原価の額の合計額(当該事業が棚卸資産の販売に係る事業以外の事業である場合には,これに準ずる原価の額又は費用の額の合計額。以下(4)において「総原価の額」という。)を控除した金額をいう。)の総収入金額又は総原価の額に対する割合とする(11項)。 (別紙8)原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額の計算 1 平成11年12月期(1) 所得金額 額又は総原価の額に対する割合とする(11項)。 (別紙8)原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額の計算 1 平成11年12月期(1) 所得金額 3883万4333円上記金額は,次のアの金額に同イの金額を加算した金額である。 ア更正処分前の所得金額 2185万7620円上記金額は,本件各更正処分のうち平成11年12月期に係るもの(以下,「本件平成11年12月期更正処分」といい,他の事業年度についても同様にいう。)前の所得金額であり,平成11年12月期前回更正処分における所得金額と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 1697万6713円原告が平成11年12月期において原告の国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入は租特法66条の4第1項に規定する国外関連取引に該当するところ,上記金額は,原告から独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類等が遅滞なく提示又は提出されなかったことから,山形税務署長が同条7項の規定に基づいて推定した独立企業間価格1732万9137円と,当該国外関連取引について原告が支払った対価の額3430万5850円との差額であり,同条1項により所得金額に加算すべき金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 1263万7730円上記金額は,上記(1)の所得金額3883万4000円(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)のうち,800万円については,法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下,特に断らない限り同じ。)66条2項の規 項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)のうち,800万円については,法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下,特に断らない限り同じ。)66条2項の規定により100分の25の税率を,残額の3083万4000円については,同条1項の規定により100分の34.5の税率を,そ れぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 課税留保金額に対する税額 3万4900円上記金額は,法人税法67条の規定に基づき,以下のとおり算出した金額である。 ア当期留保金額 1534万9440円上記金額は,法人税法67条(平成14年法律第79号による改正前のもの)2項の規定により,平成11年12月期に係る所得金額(上記(1)の所得金額)のうち留保した金額3059万3492円から,上記(2)の法人税額1263万7730円から下記(4)の控除所得税額9688円を控除した金額1262万8042円と,上記(2)の法人税額に法人税法施行令140条(平成14年政令第104号による改正前のもの)に規定する100分の20.7を乗じて算出した金額261万6010円の合計額を控除した後の金額である。 イ留保控除額 1500万円上記金額は,法人税法67条3項の規定により算出した留保控除額であり,同項2号の適用による金額である。 ウ課税留保金額 34万9000円上記金額は,上記アの金額から同イの金額を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1 ウ課税留保金額 34万9000円上記金額は,上記アの金額から同イの金額を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定に準じて1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。 エ課税留保金額に対する税額 3万4900円上記金額は,上記ウの課税留保金額に対する税額であり,法人税法67条1項の規定により,当該課税留保金額34万9000円に100分の10を乗じて計算した金額である。 (4) 控除対象所得税額 9688円上記金額は,法人税法68条1項(平成15年法律第8号による改正前のも の。以下同じ。)の規定に基づき法人税額から控除される所得税の額であり,平成11年12月期確定申告書に記載された金額と同額である。 (5) 納付すべき法人税額 1266万2900円上記金額は,上記(2)の金額に上記(3)の金額を加算し,上記(4)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 2 平成12年12月期(1) 所得金額 3億4479万0561円上記金額は,次のアの金額に同イの金額を加算し,同ウの金額を減算した金額である。 ア申告所得金額 5697万5655円上記金額は,平成12年12月期修正申告書に記載された所得金額と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 2億8944万4506円上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告 額は,平成12年12月期修正申告書に記載された所得金額と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 2億8944万4506円上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告が平成12年12月期において国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入(国外関連取引)について,山形税務署長が租特法66条の4第7項の規定に基づいて推定した独立企業間価格2億1291万4334円と,当該国外関連取引について原告が支払った対価の額5億0235万8840円との差額であり,同条1項により所得金額に加算すべき金額である。 ウ損金の額に算入される事業税相当額 162万9600円上記金額は,本件平成11年12月期更正処分に伴い納付することとなった事業税相当額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 1億0279万7000円上記金額は,上記(1)の所得金額3億4479万円のうち,800万円については,法人税法66条2項,並びに経済社会の変化等に対応して早急に講 ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。平成18年法律第10号により廃止。以下「負担軽減法」という。)16条1項(平成14年法律第79号による改正前のもの。以下4までにおいて同じ)の規定により100分の22の税率を,残額の3億3679万円については,法人税法66条1項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 控除対象所得税額 11万9238円上記金額は,法人税法68条1項の規定に基づき法人税額から控除される所得税額であり,平成12年12月期確定申告書に記載された金額と同額である 11万9238円上記金額は,法人税法68条1項の規定に基づき法人税額から控除される所得税額であり,平成12年12月期確定申告書に記載された金額と同額である。 (4) 納付すべき法人税額 1億0267万7700円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 3 平成13年12月期(1) 所得金額 1億8920万5038円上記金額は,次のアの金額に同イの金額を加算し,同ウの金額を減算した金額である。 ア申告所得金額 2388万5592円上記金額は,平成13年12月期修正申告書に記載された所得金額と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 1億9294万9546円上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告が平成13年12月期において国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入(国外関連取引)について,山形税務署長が租特法66条の4第7項の規定に基づいて推定した独立企業間価格1億0871万5574円と,当該国外関連取引について原告が支払った対価の額3億0166万5120円との差額であり,同条1項 により所得金額に加算すべき金額である。 ウ損金の額に算入される事業税相当額 2763万0100円上記金額は,本件平成12年12月期更正処分に伴い納付することとなった事業税相当額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 5612万1500円上記金額は,上記(1)の所得金額1億8920 年12月期更正処分に伴い納付することとなった事業税相当額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 5612万1500円上記金額は,上記(1)の所得金額1億8920万5000円のうち,800万円については法人税法第66条2項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の22の税率を,残額の1億8120万5000円については,法人税法66条1項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 控除対象所得税額 5万8575円上記金額は,法人税法68条1項の規定に基づき法人税額から控除される所得税額であり,平成13年12月期確定申告書に記載されていた金額と同額である。 (4) 納付すべき法人税額 5606万2900円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 4 平成14年12月期(1) 所得金額 3157万2770円上記金額は,次のアの金額に同イの金額を加算し,同ウの金額を減算した金額である。 ア申告所得金額(欠損金額) △106万7445円上記金額は,平成14年12月期確定申告書に記載された所得金額(欠損金額)と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 4851万0815円 上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告が平成14年12月期において国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入(国外関連取引)について,山形税 4851万0815円 上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告が平成14年12月期において国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入(国外関連取引)について,山形税務署長が租特法66条の4第7項の規定に基づいて推定した独立企業間価格6601万4185円と,当該国外関連取引について原告が支払った対価の額1億1452万5000円との差額であり,同条1項により所得金額に加算すべき金額である。 ウ損金の額に算入される事業税相当額 1587万0600円上記金額は,本件平成13年12月期更正処分に伴い納付することとなった事業税相当額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 883万1600円上記金額は,上記(1)の所得金額3157万2000円のうち,800万円については,法人税法第66条2項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の22の税率を,残額の2357万2000円については,法人税法66条1項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 控除対象所得税額 6万5320円上記金額は,法人税法68条1項の規定に基づき法人税額から控除される所得税額であり,平成14年12月期確定申告書に記載された金額(所得税額等の還付金額)と同額である。 (4) 納付すべき法人税額 876万6200円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法第119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 5 平成15年12月期(1) 所得金額 (3)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法第119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 5 平成15年12月期(1) 所得金額 1億1897万7952円上記金額は,次のアの金額に同イの金額を加算し,同ウの金額を減算した金 額である。 ア申告所得金額(欠損金額) △2619万5391円上記金額は,平成15年12月期確定申告書に記載された所得金額(欠損金額)と同額である。 イ国外関連者への所得移転額 1億4803万0743円上記金額は,前記1(1)イと同様に,原告が平成15年12月期において国外関連者であるP1社との間で行った棚卸資産の購入(国外関連取引)について,山形税務署長が租特法66条の4第7項の規定に基づいて推定した独立企業間価格1億1524万3257円と,当該国外関連取引について原告が支払った対価の額2億6327万4000円との差額であり,同条1項により所得金額に加算すべき金額である。 ウ損金の額に算入される事業税相当額 285万7400円上記金額は,本件平成14年12月期更正処分に伴い納付することとなった事業税相当額である。 (2) 所得金額に対する法人税額 3505万3100円上記金額は,上記(1)の所得金額1億1897万7000円のうち,800万円については,法人税法第66条2項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の22の税率を,残額の1億1097万7000円については,法人税法66条1項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 り100分の22の税率を,残額の1億1097万7000円については,法人税法66条1項及び負担軽減法16条1項の規定により100分の30の税率を,それぞれ乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 控除対象所得税額 3万6187円上記金額は,法人税法68条1項の規定に基づき法人税額から控除される所得税額であり,平成15年12月期確定申告書に記載された金額(所得税額等の還付金額)と同額である。 (4) 納付すべき法人税額 3501万6900円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(ただし,国 税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (別紙9)原告に課されるべき過少申告加算税の額の計算 1 平成11年12月期 43万6000円上記金額は,本件平成11年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額515万0200円(別紙3)から,平成11年12月期前回更正処分により減少した税額78万0900円(同別紙)を控除(当該税額については,過少申告加算税の計算上,その対象となる金額から控除される(国税通則法65条4項))した残額(ただし,同法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の10の割合(同法65条1項)を乗じて計算した金額である。 2 平成12年12月期 1229万6000円上記金額は,本件平成12年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額8631万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙4)に100分の1 上記金額は,本件平成12年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額8631万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙4)に100分の10の割合(同法65条1項)を乗じて計算した金額(863万1000円)と,当該新たに納付すべきこととなった法人税額8631万3200円のうち期限内申告税額1301万1138円を超える金額である7330万円(ただし,同法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合(同法65条2項)を乗じた金額(366万5000円)との合計額である。 3 平成13年12月期 721万9500円上記金額は,本件平成13年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額4959万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙5)に100分の10の割合(同法65条1項)を乗じて計算した金額(495万9000円)と,当該新たに納付すべきこととなった法人税額4959万6000円のうち期限内申告税額438万4075円を超える金額である4521万円(ただし,同法118条3項により1万円 未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合(同法65条2項)を乗じた金額(226万0500円)との合計額である。 4 平成14年12月期 129万9500円上記金額は,本件平成14年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額883万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙6)に100分の10の割合(同法65条1項)を乗じて計算した金額(88万3000円)と,当該新たに納付 税額883万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙6)に100分の10の割合(同法65条1項)を乗じて計算した金額(88万3000円)と,当該新たに納付すべきこととなった法人税額883万1500円のうち50万円を超える金額である833万円(ただし,同法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合(同法65条2項)を乗じた金額(41万6500円)との合計額である。 5 平成15年12月期 523万2500円上記金額は,本件平成15年12月期更正処分により新たに納付すべきこととなる法人税額3505万円(ただし,国税通則法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙7)に100分の10の割合を乗じて計算した金額(350万5000円)と,当該新たに納付すべきこととなった法人税額3505万3000円のうち50万円を超える金額である3455万円(ただし,同法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合(同法65条2項)を乗じた金額(172万7500円)との合計額である。 (別紙10)争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(原告は,独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類又はその写しを遅滞なく提示又は提出しなかったといえるかどうか(租特法66条の4第7項の適用の可否))について(1) 被告ア山形税務署職員及び仙台国税局職員は,原告に対し,本件取引の取引価格の算定根拠を明らかにする資料や国外関連者(P1社)の財務諸表のほか同社の業務内容を明らかにする資料など,本件取引の独立企業間価格を算定するために必要と認められる資料を提示又は提出するよう口 引価格の算定根拠を明らかにする資料や国外関連者(P1社)の財務諸表のほか同社の業務内容を明らかにする資料など,本件取引の独立企業間価格を算定するために必要と認められる資料を提示又は提出するよう口頭又は文書により要請したが,原告は,それらの資料を提示又は提出しなかった。よって,本件においては,租特法66条の4第7項の推定課税の要件を充足する。 イ租特法66条の4第7項の文理及び同項の趣旨や我が国の移転価格税制が申告調整型の制度であることからして,同項にいう「帳簿書類又はその写し」とは,当該法人が現に保有するものに限定されるものでないことは明らかである。原告は,原告が租特法66条の4第8項の努力義務を尽くしているから,同条7項の適用の前提を欠く旨主張するが,同項は,同条8項の努力義務の履行の有無を要件としていない。 なお,香港の会社法によれば,原告の代表者及び親族が株主となっているP1社の財務諸表を原告が入手できなかったとの主張はにわかに信じ難い。 P1社は,その設立経緯,事業内容,役員構成等からして,形式的にも実質的にも原告の支配下にあったことが優に推認され,その支配関係を通じてP1社がその財務諸表等を提出することにつき原告は客観的に期待することができる地位にあった。また,従来P3社と直接行っていた取引について,P1社を新たに介在させるに当たり,原告においても,P3社中国工場との取引に要した人件費や物件費等を把握しており,これに基づき本件取引の取引 価格を算定したはずであるから,価格算定資料を作成していない旨の原告の主張は信用できない。 ウ原告が独立企業間価格に基づく取引として指摘するP6とP7社との間の取引は,後記のとおり,本件取引に係る比較対象取引としての類似性(比較可能性)を有するとは認められず, 張は信用できない。 ウ原告が独立企業間価格に基づく取引として指摘するP6とP7社との間の取引は,後記のとおり,本件取引に係る比較対象取引としての類似性(比較可能性)を有するとは認められず,これによって本件取引の独立企業間価格を算定することはできない。我が国が採用する移転価格税制が申告調整型の制度であることからすれば,税務職員が提示又は提出を求める独立企業間価格を算定するために必要な帳簿書類とは,当該法人が申告した独立企業間価格が,当該法人が自ら選択した算定方法に基づいた適正な独立企業間価格であることを検証するに足りる資料全てをいうと解されるところ,原告は,上記P6とP7社との間の取引に関して,独立価格比準法による独立企業間価格の算定に必要な資料である「法人が採用した比較対象取引の選定過程を記載した書類等」(平成13年6月1日付け査調7-1,官際3-1,官協1-16,課法6-7国税庁長官から国税局長沖縄国税事務所長宛て「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」(以下「移転価格事務運営要領」という。)2-4(2)イ)や「法人が独立企業間価格算定の際に作成した書類等」(同ハ)を提示又は提出しておらず,原告が提出した上記比較対象取引に関する資料は,独立価格比準法による独立企業間価格の算定にも不十分なものである。なお,原告は,P7社に質問検査権を行使すれば再販売価格基準法と原価基準法とを併用する方法により独立企業間価格の算定が可能であったと主張するが,租特法66条の4第7項の規定から明らかなように,同項の推定課税を行うためには,質問検査権の行使による独立企業間価格の算定可能性の検証の必要はない。山形税務署長は,上記方法の適用も検討したが,原告の非協力により当該方法を適用することができなかった。 エ本件各更正処分等の 問検査権の行使による独立企業間価格の算定可能性の検証の必要はない。山形税務署長は,上記方法の適用も検討したが,原告の非協力により当該方法を適用することができなかった。 エ本件各更正処分等の通知書には,租特法66条の4第2項各号に定める方法のいずれの方法によっても独立企業間価格を算定するに足りる資料の提示 又は提出がなかったことが記載されており,法人税法130条2項により求められる理由の付記として十分な記載がある。 (2) 原告ア原告は,仙台国税局の職員により提示又は提出を求められた帳簿書類のうち,原告が保有するものはすべて提示又は提出しているから,本件取引について租特法66条の4第7項を適用することはできない。具体的には,原告は,本件取引に関して,見積書,発注書,請求書及び契約書並びに仕入先元帳を提出し,本件取引に関する書類はこれで全てである。さらに,原告は,「香港取引の経緯について」と題する書面(乙17)を提出し,本件取引の相手方をP1社に変更しなければならなかった必要性や本件取引においてP1社が負っているリスク及び本件取引の価格の妥当性等について説明するなど必要な書類を提出した。 イ租特法66条の4第8項後段の入手義務が努力義務にとどまることからすれば,同条第7項により提示又は提出が求められる帳簿書類は当該法人が現に保有しているものに限られる。原告は,P1社に対し,財務諸表等の提出を要請したものの同社が応じなかったことからすれば,原告は帳簿書類の入手についての努力義務を果たしており,租特法66条の4第7項の適用の前提を欠く。P1社の株主は設立当初よりP17のみであり,経営も同人によって行われていたので,同人の協力を得ない限り,P1社の財務諸表を入手することはできなかった。移転価格税制が申告調整 項の適用の前提を欠く。P1社の株主は設立当初よりP17のみであり,経営も同人によって行われていたので,同人の協力を得ない限り,P1社の財務諸表を入手することはできなかった。移転価格税制が申告調整型の制度であることを根拠に,納税者に責任を転嫁することは不当である。 仮に,国外関連者の保存する資料がこれに含まれるとしても,それは,国外関連者が法人格否認の法理により法人格を否認されるような場合に限られるべきである。 ウまた,原告は,独立企業間価格の算定に必要なP6とP7社との間の取引に関する資料を提出している。後記のとおり,山形税務署長はこれによって 独立価格比準法による独立企業間価格の算定をすることができたはずである。 仮に,独立価格比準法の適用が認められないとしても,P7社を比較対象企業として,再販売価格基準法と原価基準法の併用(いわゆる基本三法に準ずる方法)により独立企業間価格を算定することが可能であったから,やはり推定課税の必要性を欠く。すなわち,原告は,○及び○について,P1社からDCモーターを仕入れコインホッパーに必要な他の部品を他社から仕入れて組立てを行い,P5社に販売する。他方,P7社は,○について,P6からDCモーターを仕入れコインホッパーに必要な他の部品を他社から仕入れて組立てを行い,P32社にホッパーとして販売する。したがって,山形税務署長が質問検査権を行使して,原告の製作するコインホッパーに必要な他の部品の原価とコインホッパーの組立てを行うP7社の通常の利潤の額が分かれば,原告のP5社へのコインホッパーの販売価格から上記他の部品の原価とP7社における通常の利潤の額を控除して,本件取引におけるDCモーターの独立企業間価格を算定することができる。 P1社の財務諸表及び本件取引の算定根拠 パーの販売価格から上記他の部品の原価とP7社における通常の利潤の額を控除して,本件取引におけるDCモーターの独立企業間価格を算定することができる。 P1社の財務諸表及び本件取引の算定根拠資料は,原告が主張していたP6とP7社との間の取引を比較対象取引として独立価格比準法を適用して独立企業間価格を算定する際に必要な書類ではなく,それらの不提出を理由に推定課税をすることは許されない。移転価格事務運営要領の書類の例示は不明確であり,これを根拠に書類の提出を求めることは租税法律主義に反する。 納税者が算定した独立企業間価格が提示されている場合,それが納税者において収集可能な財務データを基礎として合理的に算定されている限り,最終的に合理的な独立企業間価格として承認されるかどうかは別としても,少なくとも租特法66条の4第7項の要件には当たらないと解すべきである。 納税者が自己の独立企業間価格の算定に用いた書類等を提示したとしても,その用いたデータが不適当と認められるときは独立企業間価格の算定に必要と認められる書類を提示したことにはならないとの被告の主張は,課税当局 の権限を余りに広く認めるもので不合理である。 エ本件各更正処分等の通知書には,具体的にどの書類を原告が提示又は提出しなかったかが示されておらず,推定課税における重要な課税要件である不提示又は不提出の具体的な内容を看取することができないので,同通知書には理由付記不備の違法がある。 2 争点(2)(山形税務署長が推定した独立企業間価格は適法なものかどうか(租特法66条の4第7項所定の算定方法の要件を満たすかどうか))について(1) 被告ア租特法66条の4第7項の推定課税の制度は,(ア) 移転価格税制が,海外に所在する関連企業との取引について, 6条の4第7項所定の算定方法の要件を満たすかどうか))について(1) 被告ア租特法66条の4第7項の推定課税の制度は,(ア) 移転価格税制が,海外に所在する関連企業との取引について,多様な要因により決定される取引価格の妥当性を問題とする制度であり,問題となる取引価格の決定過程や他の通常の取引価格に関する情報について,納税者側から資料提供という形で協力が行われることが極めて重要であること,(イ) 仮に,納税者からこのような協力が行われない場合に課税当局が何らの手だてもなくこれを放置せざるを得ないことになれば,移転価格税制の適正公平な執行を担保し難いことといった理由から設けられたものであり,推定課税の規定は,納税者側からの資料提供という協力を担保するために設けられたものであって,我が国の申告調整型の移転価格税制の適正公平な執行を担保する上で重要な意味を有するものであるといえる。 そうすると,推定課税が適法といえるためには,① 推定に係る独立企業間価格が再販売価格基準法若しくは原価基準法又はこれらと同等の方法により算定されていること,② 当該算定が,他の法人(以下「同種事業類似法人」という。)の,当該国外関連取引が行われた日を含む事業年度又はこれに準ずる期間内の当該同種事業類似法人の事業に係る売上総利益の額(当該事業年度等の当該事業に係る収入金額の合計額から総原価の額を控除した金額)の総収入金額又は総原価の額に対する割合を基礎としていること,③ 上記②の同種事業類似法人が,当該国外関連取引に係る事業と同種の事業を営み,事業規模その他の事業の内容が類似する法人であることの要件が必要である。 イ同種事業類似法人の抽出方法について(ア)a 山形税務署長は,租特法66条の4第7項及び租特令39条の 営み,事業規模その他の事業の内容が類似する法人であることの要件が必要である。 イ同種事業類似法人の抽出方法について(ア)a 山形税務署長は,租特法66条の4第7項及び租特令39条の12第11項により,P1社の同種事業類似法人の「本件取引が行われた日を含む事業年度又はこれに準ずる期間内の当該事業に係る売上総利益の額の総原価の額に対する割合」(以下「本件対原価利益率」という。)を基礎として,原価基準法により算定した金額を独立企業間価格と推定した。その経緯は,以下のとおりである。 b 仙台国税局職員は,「2003年版小型モータ需給動向-調査報告書」(以下「小型モータ需給動向報告書」という。)に基づき,次のいずれかに該当する者を抽出する作業を行い,その中から既に本件取引の比較対象となる取引を行う法人に当たらないことが判明していた2法人を除外し,その結果36法人を抽出した。なお,小型モータ需給動向報告書は信頼性のあるものである。 ⒜ パチスロ機のメダル払出用ホッパーに一般的に使用されているパワーモーターを取り扱う者で,かつ,海外生産のある者⒝ パチンコやパチスロの駆動部に使用されるステッピングモーターを取り扱う者で,かつ,海外生産のある者⒞ パチンコ・パチスロ機用ステッピングモーターの製造メーカーとして把握されている者⒟ 上記⒜ないし⒞のほかに海外でパワーモーター又はステッピングモーターを生産していると見込まれる者c 仙台国税局職員は,本件モーターが中国で製造されていることから,上記aで抽出された36法人のうち,中国で製造されたモーターを輸入 し,又は,アミューズ用モーターの取扱いのある17法人を抽出した。 d 仙台国税局職員は,上記cで抽 いることから,上記aで抽出された36法人のうち,中国で製造されたモーターを輸入 し,又は,アミューズ用モーターの取扱いのある17法人を抽出した。 d 仙台国税局職員は,上記cで抽出した17法人につき,書面により照会をし,また,必要に応じて臨場による調査を実施した。 e 仙台国税局職員は,以下のとおり,上記dの調査を基に独立企業間価格の算定を試みたが,独立企業間価格を算定することはできなかった。 ⒜ 租特法66条の4第2項1号イに規定する独立価格比準法の適用について,非関連者取引としては取引段階の異なる取引しか把握できず,P1社と当該製造業者の機能の差異による調整に必要な資料も提出されなかったため,独立企業間価格を算定できなかった。 ⒝ 同号ロによる再販売価格基準法については,原告は,本件モーターをそのまま販売する取引と本件モーターに減速機を取り付けて販売する取引をしているところ,後者の取引について非関連者から仕入れを行っている取引が把握されなかったため,これを用いることはできなかった。 ⒞ 同号ハによる原価基準法については,本件取引に類似する可能性のある非関連者取引は把握できなかったため,これを用いることはできなかった。 ⒟ 同号ニの政令で定める方法である利益分割法については,本件取引に係る所得を原告及びP1社のそれぞれ支出した費用額,使用した固定資産の価額その他当該所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因に応じて分割して本件取引に係る独立企業間価格を算定することになるところ,原告からP1社の財務情報が提示又は提出されなかったため,これを用いることができなかった。 f 仙台国税局職員は,租特法66条の4第7項に定める方法により独立企業間価格の推定 になるところ,原告からP1社の財務情報が提示又は提出されなかったため,これを用いることができなかった。 f 仙台国税局職員は,租特法66条の4第7項に定める方法により独立企業間価格の推定を試みることにした。推定課税において独立企業間価格と推定される金額を算定する方法については,租特法66条の4第7 項及び租特令39条の12第11項に規定する原価基準法及び再販売価格基準法のいずれに準拠する方法も可能であるところ,仙台国税局職員は,P20及びP21といった公開データにおける企業情報を基に,同種事業類似法人の抽出を試みたが,取扱製品や事業規模等の事業内容が大きく異なる法人しか把握できなかった。そこで,調査の過程において,① P1社における本件取引に係る本件モーターのP3社からの取得価額を把握していたこと,② 上記dの調査において,日本法人と香港法人との間の小型モーターの売買取引を把握していたこと,③ 本件取引に係る事業について,香港に所在する法人で同種の事業を営み,事業内容が類似する法人の情報を把握することが可能であると予想されたことから,P1社の本件モーターの取得価額に関連者間取引から算定される通常の利潤の額を加算することにより本件取引に係る独立企業間価格を推定することの適否を検討することとした。 g 仙台国税局職員は上記cの17法人から,香港に所在する法人と取引を行う国内の製造メーカー11法人を抽出し,書面照会及び必要に応じて臨場による調査を行った。これら11法人の香港の取引先法人はいずれも当該国内の製造メーカーの子会社であったが,これは,結果的にそのような法人が抽出されたのであり,山形税務署長において意図的に子会社を選定しようとしたものではない。むしろ,国内法人の子会社でない法人の場合,必要な情報を入手 子会社であったが,これは,結果的にそのような法人が抽出されたのであり,山形税務署長において意図的に子会社を選定しようとしたものではない。むしろ,国内法人の子会社でない法人の場合,必要な情報を入手する方法は容易には想定し難く,そのような法人を選定することは困難であった。また,山形税務署長は,P1社の設立経緯は,原告が,仕入先であるP3社の工場の中国移転に伴い,香港に関連法人を設立して,それまで原告が行っていた購買業務を移転したのと同じ状況であると判断し,そのような状況からすれば,把握された香港の子会社の中にこそ,本件取引に係る事業と事業の同種性及び事業内容の類似性の要件を満たす法人が存在する蓋然性が高いと見 込まれる事情も存在した。 h 仙台国税局職員は,上記gの11法人から,① 中国にモーターの委託製造工場を持ち,香港の子会社の財務諸表に中国の委託製造工場の製造原価が含まれており,香港での卸売事業に係る損益のみを抽出することができなかった子会社,② 小型モーター以外の付加価値の高い電子機器用部品等の卸売を営んでいる子会社,③ 小型モーターその他の製造事業を行う子会社については,粗利益率レベルでかなりの差を生じさせる相違があると認められたことから,これらを除外することとし,残る5法人を抽出した。 i 仙台国税局職員は,上記hの5法人のうち売上高が100億円を超える年度がある2法人については,粗利益率に一定の影響を与える可能性を否定しきれないと判断して除外することとし,最終的に3法人(以下「本件類似3法人」といい,本件類似3法人に属する3社をそれぞれ「a社」,「b社」,「c社」という。)を抽出した。 j そして,本件類似3法人とP1社とを比較したところ,後記カのとおり,① 従業員数が大きく異ならな 本件類似3法人に属する3社をそれぞれ「a社」,「b社」,「c社」という。)を抽出した。 j そして,本件類似3法人とP1社とを比較したところ,後記カのとおり,① 従業員数が大きく異ならないこと,重要な無形資産を保有していないこと,② 一般の卸売業と異なり限定的な業務のみ行っていること(P1社については,事業を開始する時点で,仕入先をP3社,販売先を原告とする取引の枠組みが決まっており,原告とP3社との間に立って輸出手続及び香港の乙仲業者の手配等のごく単純で限定的な業務を行うのみであること。)において類似していた。P1社が原告主張のような機能を有していたとはいえない。 k そして,各事業年度におけるこれらの同種事業類似法人の売上総利益率の平均値である平均売上総利益率から本件対原価利益率を算出し,P1社の本件モーターの取得原価の額に本件対原価利益率を乗じて算出した金額を当該取得原価の額に加えて独立企業間価格を推定し,それを基 に国外関連者への所得移転額を算出した。 (イ) 原告が被告の主張に変遷があると主張する点のうち,選定過程の説明については,訴訟の進行に応じて選定過程等をより詳細に主張していく必要性が高まったことからより詳細に説明したにすぎないか,明らかな誤記を訂正したものにすぎない。また,同種事業類似法人の事業内容及び取扱製品については,守秘義務の関係から,その都度主張立証の必要性に応じて次第に詳細に主張していったにすぎない。 原告は,卸売業については商品の販売先が重要であるから,上海や台湾から日本向けにモーター等の卸売業を行っている非関連者間取引企業を選定する方が類似性の点で優れていると主張するが,市場の状況については,事業活動を行う国又は地域の比較が重要であるから,非関連者取引 から日本向けにモーター等の卸売業を行っている非関連者間取引企業を選定する方が類似性の点で優れていると主張するが,市場の状況については,事業活動を行う国又は地域の比較が重要であるから,非関連者取引を行う法人を選定できないからといって,他の国又は地域に選定の範囲を広げて同種事業類似法人を抽出する必要はない。 原告は,原告の同種事業類似法人の選定作業を行うべきであった旨主張する。山形税務署長は,原告の同種事業類似法人を選定することも検討したが,本件取引の一部について,原告の再販売先が関連者であるため再販売価格基準法を準用して独立企業間価格を算定することができず,断念したものであり,原告の主張は失当である。 ウ関連者取引を主として行っている企業を同種事業類似法人として選定することができるかどうか(ア) 租特法66条の4第7項は,同条1項によって取引金額とみなされる独立企業間価格を直接算定する方法を定めた規定ではなく,納税者側の資料提供についての協力を担保し,移転価格税制の適正・公平な執行をするために設けられた規定であり,所定の要件の下で,所定の算定方法によって,独立企業間価格を推定して課税することを認めた規定であるから,独立企業間価格の算定方法について考慮される独立企業原則と直接の関係は ない。また上記の趣旨からすれば,比較可能性のある資料として関連者間取引の資料しか得られない場合に推定課税の方法を採り得なくなるのは相当ではないし,そもそも,関連者間取引を用いて独立企業間価格を推定することは調査対象法人にとって特に不利になるとは考えられない。 (イ) 租特法66条の4第2項1号ハ及び租特令39条の12第7項の規定の文言と租特法66条の4第7項及び租特令39条の12第11項の文言を比較すれば,租特 特に不利になるとは考えられない。 (イ) 租特法66条の4第2項1号ハ及び租特令39条の12第7項の規定の文言と租特法66条の4第7項及び租特令39条の12第11項の文言を比較すれば,租特法66条の4第7項の文言上,推定課税の際の比較対象取引は非関連者取引に限定されていないというべきである。また,同項は同条2項1号ハの「通常の利益率」を準用しているわけではない。 なお,平成16年政令第105号による改正後の租税特別措置法施行令39条の12第6項及び7項の規定によれば,同条8項2号及び3号の規定が比較対象取引を非関連者取引に限定していることは明らかであるから,同項2号及び3号の規定が比較対象取引を非関連者取引に限定していることを明記していないとした上で,それにもかかわらず非関連者取引であることが前提となっている旨の原告の主張は失当である。租税特別措置法(法人税関係)通達66の4(以下「本件租特法通達」という。)(2)-3にいう「比較対象取引」とは,本件租特法通達(2)-1において定義されているように,租特法66条の4第2項及び平成16年政令第105号による改正後の租税特別措置法施行令39条の12第8項に規定する独立企業間価格の各算定方法に応じた各比較対象取引のみを意味するのであり,推定課税における比較対象取引がこれに含まれないことは明らかである。 また本件租特法通達(4)-4及び(4)-5に定められている利益分割法は,基本三法及び基本三法に準ずる方法の使用が困難な場合に適用されるもので,その方法からしても,独立企業原則とは若干離れた方法であるが,上記通達の趣旨は国外関連取引を通じて関連者内に生じた合算利益について①比較利益分割法及び②残余利益分割法が我が国の移転価格税制上認めら れるかどうかについて必ずしも明 離れた方法であるが,上記通達の趣旨は国外関連取引を通じて関連者内に生じた合算利益について①比較利益分割法及び②残余利益分割法が我が国の移転価格税制上認めら れるかどうかについて必ずしも明確でなかったことから,一定の要件の下でこれらの算定方法を利用できることを明らかにしたものであり,利益分割法一般において,非関連者間取引以外の取引を用いてはならないということを意味するものではない。 (ウ) 租税条約上定められている独立企業原則は,独立企業間価格の算定方式以外の国内法には直接の関係がなく,推定課税を定めた租特法66条の4第7項の規定を解釈する際に独立企業原則を考慮する必要はない。 OECDの移転価格ガイドライン(以下「OECDガイドライン」という。)も,申告調整型の移転価格税制の適正公平な執行を担保するために設けられた我が国の租特法66条の4第7項のような執行上の担保措置の規定について独立企業原則が考慮されるべきである旨の規定を設けているわけではない。 推定課税は法人税法131条及び所得税法156条等の推計課税と本質的に異なり,推計課税の議論を推定課税の適法性の判断に用いることはできない。推定課税においては,推計課税の合理性のような要件を観念する余地はなく,またその必要もない。 エいわゆるシークレットコンパラブルを利用して推定を行ったことについて租特法66条の4第9項は,移転価格税制の執行に不可欠な比較対象企業からの情報収集に法的根拠を与えるために定められた規定であるが,同項の規定に基づく質問・検査権限の行使により得られた資料情報には,法人税の調査対象法人とは関係のない第三者の営業上の秘密に関する事項が当然に含まれているため,税務職員は当該事項について守秘義務を負い,これが解除さ 質問・検査権限の行使により得られた資料情報には,法人税の調査対象法人とは関係のない第三者の営業上の秘密に関する事項が当然に含まれているため,税務職員は当該事項について守秘義務を負い,これが解除されるなどしない限り,当該事項を開示することはできない。法は,同項に規定する質問・検査権限を行使して入手した,守秘義務を負う資料情報を用いて,同条7項の推定課税により更正をすることを当然に予定しているから,課税庁が,同条9項所定の要件を満たす場合に,同項に規定する質問・検査 権限を行使して収集した非公開情報を用いて更正を行うことは適法である。 これを非難する原告の主張は立法政策の当否を述べるものにすぎない。このようにして収集された資料情報によって得られる独立企業間価格は国外関連者が合理的な経済人として行動すれば到達するであろう結果と一致するはずであり,租特法66条の4第7項が定める要件の下で,調査担当者が同業の事業を営む第三者に対する調査権を行使して得られた資料情報に基づいて移転価格課税を行うことは合理性を有する。 さらに,租特法66条の4第7項によって算定された価格が同項の要件を満たす適法なものであることは課税庁に主張立証責任があり,同項によって算定された価格は推定にすぎず納税者の反証を許すことからすれば,納税者の反論が事実上不可能になるとか,適正手続を害するとかいうことはできない。 なお,課税庁では,非公開情報を知ることができない納税者に対して可能な限りの配慮を行っている。 また,本件各更正処分等の通知書に記載された理由は,法人税法130条2項により求められる理由の付記の程度として十分であるから,納税者が更正に係る通知書に記載された事実を確認することができないからといって,本件各更正処分等が理由付記を欠く た理由は,法人税法130条2項により求められる理由の付記の程度として十分であるから,納税者が更正に係る通知書に記載された事実を確認することができないからといって,本件各更正処分等が理由付記を欠くものであるとはいえない。 オ同種事業類似法人の同種性類似性の判断基準推定課税の制度の趣旨が上記アのとおりであることからすれば,租特法66条の4第7項は,推定規定の発動要件を充足した場合に,税務署長に対し,その入手した資料その他の個別具体的な事情に即して,社会通念上「同種の事業を営む法人で事業規模その他の事業の内容が類似する」と認められるものを選定し,推定課税を行う権限を付与したものと解される。そうすると,推定課税においては,租特法66条の4第2項各号において比較対象取引を選定する場合のような厳密な同種性や類似性が求められているものではない。 仮にこのような厳密な同種性や類似性が必要であると解すると,納税者から十分な協力を得られない上,特に国外関連者に関しては十分な資料を入手することができるとは限らない立場にある税務署長において,同種事業類似法人に該当する法人を発見,選定することが不可能又は著しく困難となることもあり得る。そのような事態は,法が税務署長に推定課税を行う権限を与えた趣旨を没却するものであり,ひいては,多国籍企業グループを構成する特殊関係企業間の取引を通じた所得の海外移転を防止し,適正な国際課税を実現しようとする移転価格税制の趣旨をも没却することになりかねない。他方で,推定課税に上記のような厳密な同種性や類似性は求められないと解したとしても,納税者は,租特法66条の4第2項各号に定める方法によって算定した独立企業間価格を再抗弁として主張立証して,推定課税の効果を覆すことができる。そもそも国外関連 類似性は求められないと解したとしても,納税者は,租特法66条の4第2項各号に定める方法によって算定した独立企業間価格を再抗弁として主張立証して,推定課税の効果を覆すことができる。そもそも国外関連取引を行う法人は,その国外関連取引の対価が独立企業間価格と異なる場合には,独立企業間価格で申告する義務を負っていることからして,納税者に上記の主張立証を要求しても困難を強いるものではなく,納税者にとって酷なものとはいえない。 したがって,事業の同種性及び事業内容の類似性の要件該当性は,処分当時において税務署長が把握していた,あるいは容易に把握し得た具体的事情を基礎として,選定過程の相当性も踏まえて,社会通念に従って判断すべきものであり,その際に,社会通念上有意とはいえない差異をとらえて事業の同種性ないし事業内容の類似性を否定することは,上記の推定課税の趣旨目的に反するというべきである。 そして,被告は,事業の同種性及び事業内容の類似性について,処分当時に税務署長が把握し又は容易に把握し得た具体的事情のうち,事業の同種性及び事業内容の類似性を基礎付ける事実を主張立証することを要し,原告は,粗利益率レベルでかなりの差を生じさせる事情があれば,事業が同種であること,事業内容が類似していることの評価を妨げる事情として主張立証すべ きである。 なお,原告は,粗利益率レベルでかなりの差が生じないことを基礎付ける事実を被告が主張立証すべきであると主張するが,差が生じないことを立証を求めるのは被告に不可能を強いるものであるから,上記主張は失当である。 カ同種事業類似法人の同種性類似性の判断要素(ア) 同種性類似性を認めるにつき,積極的に働く要素aP1社と本件類似3法人の業種について 記主張は失当である。 カ同種事業類似法人の同種性類似性の判断要素(ア) 同種性類似性を認めるにつき,積極的に働く要素aP1社と本件類似3法人の業種についてP1社は,本件モーターを仕入れて,加工しないままこれを原告に再販売する卸売業を営み,本件類似3法人は,いずれも小型モーター等を仕入れて,加工しないままこれを電子機器等製造会社等(a社,c社の場合)又は日本の親会社(b社の場合)に再販売する卸売業を営んでいる。P1社と本件類似3法人は,いずれも棚卸資産である小型モーター等を仕入れ,加工することなく再販売する卸売業を営んでいることから,業種が同一である。 bP1社と本件類似3法人の取扱製品についてP1社の取扱製品は小型モーター(DCモーター)であり,a社及びc社が主力とする取扱製品は小型モーター(ステッピングモーター),b社が主力とする取扱製品は小型モーター(DCモーター)である。卸売業における事業の同種性をみるに当たっては,対象資産と同種の資産の卸売業者といえるかどうかが重要であるところ,P1社が取り扱う本件モーターと本件類似3法人が取扱製品の主力としている小型モーターは,いずれも電子機器等の部品に用いられる汎用性のある中間製品であり,特殊な加工が施されたものでもなく,性状,構造,機能等の物理的・化学的な面において,一定程度の類似性を有する資産であるから,本件類似3法人はP1社と同様の資産を取り扱うものである。ステッピングモーターはDCモーターと同様に安価で汎用性のある小型モーター である。なお,本件類似3法人は,いずれも汎用性のある小型モーターを取扱製品の主力としており,他に電子部品等の取扱いがあっても,粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれる モーター である。なお,本件類似3法人は,いずれも汎用性のある小型モーターを取扱製品の主力としており,他に電子部品等の取扱いがあっても,粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれるとはいえない。 cP1社と本件類似3法人の事業規模についてP1社は,売上高1億円ないし5億円程度(年換算額)と推定され,従業員数名程度の規模の法人である。a社は,売上高については,多い事業年度で50億円を超え60億円以下,少ない事業年度で30億円を超え40億円以下,従業員10人を超え20人以下の規模の法人である。 b社は,いずれの事業年度においても売上高10億円以下,従業員10人以下の規模の法人である。c社は,売上高については,多い事業年度で10億円を超え20億円以下,少ない事業年度で10億円以下,従業員10人以下の規模の法人である。電気機械器具卸売業で本件類似3法人と同じ程度に販売管理費比率が低い法人の売上規模別平均粗利益率によれば,限定的な業務しか行わないP1社について,a社程度までの規模の差であれば,粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれるとはいえない。 (イ) 同種性類似性を認めるにつき,消極的に働く要素についての原告の主張に対する反論aP1社と本件類似3法人が行う機能及び負うリスクについてP1社は,典型的な卸売業を営む法人と異なり,限定的な業務を行う法人である。本件類似3法人は,典型的な卸売業を営む法人と異なり,中核的な業務をごくわずかしか行わない(a社)又は全く行わず(b社,c社),限定的な業務のみを行う法人である。P1社及び本件類似3法人は,いずれも事業活動において果たす機能や負担するリスクに大きな相違はないから,粗利益率レベルでかなりの差が見込まれるような b社,c社),限定的な業務のみを行う法人である。P1社及び本件類似3法人は,いずれも事業活動において果たす機能や負担するリスクに大きな相違はないから,粗利益率レベルでかなりの差が見込まれるような相違はない。仮に,P1社が原告の主張する機能を果たし,リスクを負担し ているとしても,山形税務署長は,原告の非協力により,その裏付けとなる事実を確認することができなかったのであるから,原告の主張する事実を同種性類似性を認めるに当たり消極的に働く事情として考慮すべきではない。 bP1社と本件類似3法人の取引段階についてP1社は,P3社の中国における委託加工先から製品を引き取り,原告に納品している。本件類似3法人は,いずれも小型モーター製造会社から製品を引き取り,電子機器等製造会社等に納品している。P1社と本件類似3法人は,いずれも引き取った製品を顧客に納品するという取引段階の業務を行っており,粗利益率にかなりの差を生ずるような相違はない。小型モーターの卸売業において,取引段階の相違により,必然的に粗利益率レベルにかなりの差を生ずることが見込まれるとは解されない。 cP1社と本件類似3法人が扱う製品の用途について汎用性のある中間製品である小型モーターの卸売業において,用途の相違により,粗利益率レベルにかなりの差を生ずることが見込まれるとはいえない。 dP1社と本件類似3法人が扱う製品の市場の地理的条件についてP1社及び本件類似3法人のように,専ら通関及び配送等に係る手配業務等を行っている法人においては,そのような業務を行う場所が事業活動を行う場所であり,P1社及び本件類似3法人が事業活動(販売活動)を行っている国又は地域は,いずれも香港である。したがって,粗 配業務等を行っている法人においては,そのような業務を行う場所が事業活動を行う場所であり,P1社及び本件類似3法人が事業活動(販売活動)を行っている国又は地域は,いずれも香港である。したがって,粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれるような相違はない。 また,汎用性のある中間製品である小型モーターの卸売業において,製品の販売先の地理的条件の相違により,必然的に粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれるとはいえない。 eP1社と本件類似3法人が扱う製品の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)による規制の影響について財団法人P31協会(以下「P31」という。)の型式試験は,遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の規格に適合するかどうかを判断するものである。P31の型式試験は,部品(小型モーター)の価格や数量を一定の水準又は範囲に収まるように規制するものではなく,政府が部品業者に対して及ぼす経済政策に関連する規制ではないから,粗利益率レベルに影響を及ぼすことが裏付けられているものではない。P1社のように,単にパチスロ機に組み込まれる部品を調達するだけの業務内容では,P31の型式試験の存在がその粗利益率レベルに大きな影響を与えることはない。 fP1社と本件類似3法人が扱う製品の市場の寡占性等の影響についてパチスロ機の部品供給業者においては,新規参入の余地はあり,市場の閉鎖性や寡占性は認められない。また,原告やP3社が取引価格を値下げしていることからして,パチスロ機の部品供給業者が常に高い利益率の獲得が保障された取引を行っているとも推認できないから,原告の主張する事情が粗利益率レベルに大きな影響を与えているとは解されない。汎用 ていることからして,パチスロ機の部品供給業者が常に高い利益率の獲得が保障された取引を行っているとも推認できないから,原告の主張する事情が粗利益率レベルに大きな影響を与えているとは解されない。汎用性のある中間製品である小型モーターの卸売業において,最終製品の市場の閉鎖性,市場の寡占性及び市場の競争性の相違により,必然的に粗利益率レベルにかなりの差を生ずることが見込まれるとは解されない。 gP1社と本件類似3法人が行う取引の会計処理及び契約条件について原告の後記(2)カ(イ)gの主張は何ら具体的な相違の指摘がなく,いかなる点で粗利益率にかなりの差が生ずる可能性があるのか明らかではない。 h 本件類似3法人が行っている取引が主として関連者取引であることについて上記ウのとおり,非関連者と取引を行う法人であることが同種事業類似法人の要件ではない。 また,本件類似3法人が行う関連者取引においては,本件類似3法人の業務内容に相当する利益が得られるような価格設定になっており,取引価格がゆがめられていたとはいえない。電気機械器具を取り扱う卸売業者で本件類似3法人と同じ程度に販売管理費比率が低い法人(非関連者取引のみを行う法人を含む。)の粗利益率レベルは,本件類似3法人の粗利益率レベルと近似していたから,本件類似3法人の売上総利益率を基礎として独立企業間価格を推定しても,不合理であるとはいえない。 原告は,関連者取引であるかどうかが粗利益率レベルでかなりの差を生じさせるような相違であるかどうかについて具体的な主張立証をしているとはいえない。なお,租特法66条の4第7項の事業規模その他の事業の内容とは,事業の規模や具体的な業態に関する事情を意味するのであり,国外関連者との取引の有 どうかについて具体的な主張立証をしているとはいえない。なお,租特法66条の4第7項の事業規模その他の事業の内容とは,事業の規模や具体的な業態に関する事情を意味するのであり,国外関連者との取引の有無やその割合は事業の内容とは無関係である。さらに,上記イのとおり,山形税務署長は,一般に移転価格税制を適用する場合に要求される手順に従って本件類似3法人を選定しており,その過程に照らしても,恣意的に関連者取引を選んだなど適法性を疑わせる点はない。 (2) 原告ア我が国の移転価格税制は,国外関連取引と同様な取引が比較可能な状況下において独立企業間で行われたとした場合に成立する取引価格を意味する独立企業間価格を根幹とする。そして,この独立企業間価格を算定するための基本原則が独立企業原則(独立当事者間基準)であるから,独立企業間価格の算定は独立企業原則と密接不可分の関係に立つ。したがって,独立企業間 価格を合理的に推定するための方法である推定課税が適法か違法かを判断する際においても,我が国移転価格税制の根幹を成す独立企業原則及び同原則を適用する上での核心である比較可能性分析に基づいてこれを行う必要がある。 イ関連者取引を主として行っている企業を同種事業類似法人とすることができるかどうか(ア) OECDガイドラインによれば,独立企業原則を適用し,関連者間の取引条件を独立企業間の取引条件に引き直す上での最も重要なステップは,比較可能性のある独立企業間の取引を選定することである。そして,この比較可能性とは,独立企業間(非関連者間)取引との比較可能性なのであるから,比較可能性が緩和されている場合であっても,比較の対象が独立企業間(非関連者間)取引であるという大前提を崩すことはできない。 租特法66条の4は 連者間)取引との比較可能性なのであるから,比較可能性が緩和されている場合であっても,比較の対象が独立企業間(非関連者間)取引であるという大前提を崩すことはできない。 租特法66条の4は,1項及び2項と7項とで全く同じ「独立企業間価格」という文言を用いており,7項の「独立企業間価格」は,1項及び2項の「独立企業間価格」,すなわち,独立企業原則に基づいて算定される特定の独立企業間価格を意味することは明らかである。 独立価格比準法,再販売価格基準法,原価基準法といった各方法に基づく独立企業間価格の算定も,推計的な課税であるという性格を内包しているので,いずれも推計的課税であるという点で租特法66条の4第7項により独立企業間価格を推定する場合と本質的な差異はなく,程度の差があるにすぎない。被告は,同項に規定する推定課税は,納税者側の資料提供についての協力を担保し,移転価格税制の適正・公平な執行をするために設けられたものであるから,当該規定を解釈するに当たり,独立企業原則の趣旨を考慮すべき必要性はない旨主張する。しかし,独立企業間価格の算定に必要な資料を提出しない場合には推定課税を行うことができるという制度は,納税者側の資料提供についての協力を担保する機能をも有する としても,一旦推定課税を行うに至った際は,推定課税規定も独立企業間価格を算定(合理的に推定)するものと位置付けられ,独立企業原則の趣旨が適用される。したがって,被告の上記主張は,移転価格税制の根幹を見誤り,推定課税制度を誤解するものである。 本件推定課税に係る規定は,原価基準法の計算方法を準用しているが,準用によって原価基準法の本質が変更されているわけではなく,移転価格税制の根幹を成す独立企業原則及び独立企業間価格の考え方は,これらの条 推定課税に係る規定は,原価基準法の計算方法を準用しているが,準用によって原価基準法の本質が変更されているわけではなく,移転価格税制の根幹を成す独立企業原則及び独立企業間価格の考え方は,これらの条項に取り入れられている。すなわち,租特法66条の4第7項の規定は,推定課税の方法を「売上総利益率又はこれに準ずる割合として政令で定める割合を基礎とした第2項第1号ロ又はハに掲げる方法」と定め,再販売価格基準法又は原価基準法を用いることを定めている。そして,これらの方法においては,通常の利潤の額(租特法66条の4第2項1号ロ及びハ)並びに通常の利益率(租特令39条の12第6項及び7項)という文言を用いることによって,独立企業原則に基づいて比較可能な非関連者間の独立企業間価格を算定するものであることが明確に規定されている。そして,租特法66条の4第7項1号及び租特令39条の12第11項は,このような独立企業間の通常の利益率について,取引単位ではなく,事業単位に基づき算定するとの変更を加えた売上総利益率又はこれに準ずる割合を基礎とした再販売価格基準法又は原価基準法が推定課税において用いられることを示すことにその趣旨があるというべきである。 また,本件租特法通達(2)-3は,租特法66条の4第7項について特に適用を除外していないので,同項の推定課税についても国外関連取引を行っている対象企業と非関連者間取引を行っている比準対象の間の類似性の検討が要請されていると解するのが合理的である。 さらに,法令上,比較可能性又は類似性について全く言及していない利益分割法(租特法66条の4第2項1号ニ,租特令39条の12第8項) に属する残余利益分割法の基本的利益算定においてさえ,独立企業原則に基づく独立企業間価格を算定するという目的 していない利益分割法(租特法66条の4第2項1号ニ,租特令39条の12第8項) に属する残余利益分割法の基本的利益算定においてさえ,独立企業原則に基づく独立企業間価格を算定するという目的上,非関連者間取引において通常得られる利益を算定するに足りる比較対象取引を選定すべきであるとしているのである(本件租特法通達(4)-5)から,法令上,非関連者間の通常の利益率に基礎を置く再販売価格基準法又は原価基準法であると明らかに規定された推定課税においては,なおさら非関連者間取引において通常得られる利益を合理的に推定するに足りる同種事業類似法人が選定されなければならない。 取引単位営業利益法を定める平成16年政令第105号による改正後の租税特別措置法施行令39条の12第8項2号及び3号には非関連者取引に限る旨の文言はないが,同号による比較対象取引は非関連者取引によるものであることは当然の前提とされている(本件租特法通達(2)-1(4)及び(5),OECDガイドライン)。利益分割法を定める租税特別措置法66条の4第2項1号ニ及び同改正後の租税特別措置法施行令39条の12第8項1号と本件租特法通達(4)-4及び66の4(4)-5も同様である。 (イ) 法律上の推定規定は経験則を法規化したものであるから,租特法66条の4第7項についても,同種事業類似法人の選定が同条の規定に従って適正に行われ,その同種事業類似法人の粗利益率を基礎として算定すれば,検証対象となる国外関連取引の独立企業間価格を合理的に推定することができるという判断が成り立つことが推定規定が適用される前提であり,同種性及び類似性の解釈においても,経験則が本来想定しているような,独立企業間価格を合理的に推定することを可能とするような法人,すなわち,粗利益率レベルで 立つことが推定規定が適用される前提であり,同種性及び類似性の解釈においても,経験則が本来想定しているような,独立企業間価格を合理的に推定することを可能とするような法人,すなわち,粗利益率レベルで近似する見込みのある法人を選択すべきである。そして,推定の合理性は,推定課税規定の中に包摂されているというべきである。 推定課税と法人税法131条,所得税法156条等に基づく推計課税は同一の構造を有するから,後者における解釈が前者においても参考となる ところ,推計課税が適法であるためには,推計課税の必要性の要件を満たし,かつ,その内容が合理的なものでなければならないとされており,推定課税においても,真実の独立企業間価格と合致する蓋然性又は一応最良のもので真実の独立企業間価格に近似する蓋然性が存在しなければならない。 推定課税は,取引単位ではなく事業単位での比較可能性に基づき算定するので,原則的な原価基準法に比べて比較可能性の精度が低くなり,独立企業間価格を常に算定できるものではない。そして,検証対象法人と同種事業類似法人との間で粗利益率レベルでかなりの差が生ずると見込まれる場合には,もはや推定事実である独立企業間価格に合理的に近似できるという前提が成り立たなくなるため,推定規定の射程外となる。したがって,推定規定の適用においては,粗利益率レベルでの近似性の見込みのある同種事業類似法人を選定しなければならない。 (ウ) このように,本来,推定課税規定においても独立企業原則が当てはまることからすれば,推定課税においても非関連者間取引を行う法人を同種事業類似法人としなければならない。売上又は仕入れの主たる部分が親会社との取引である法人を同種事業類似法人として選定することは,むしろ関連者間取引を選定したと評価さ も非関連者間取引を行う法人を同種事業類似法人としなければならない。売上又は仕入れの主たる部分が親会社との取引である法人を同種事業類似法人として選定することは,むしろ関連者間取引を選定したと評価されるので,独立企業原則の本質に反する。 したがって,本件類似3法人は,推定課税における同種事業類似法人としての適格性を欠くものとして,除外されなければならないのであり,本件推定課税はこれらを除外していないことからすれば,違法である。 仮に,被告が主張する執行の担保の観点からこのような法人を直ちに除外しないとしても,同種事業類似法人において関連者間取引を行っている場合,特に,関連者間取引を主として行っている場合は,当該関連者間取引の存在が,同種事業類似法人の事業における粗利益率をゆがめていないことを検証した上で,比較可能性のある非関連者間取引を行う事業の場合 と比べて粗利益率レベルでかなりの差を生ずると見込まれるものではないという事実を被告において立証しなければならない。粗利益率レベルでかなりの差を生じさせるような事実は全て租特法66条の4第7項の事業の内容に含まれ,これらが類似していなければ同項による推定をすることはできない。 なお,被告は,電気機械器具を取り扱う卸売業者のうち,販売管理費比率2.50%から5.50%の範囲に属する38法人を抽出してその粗利益率レベルを確認したことを根拠に,本件類似3法人と各親会社との間の取引価格がゆがめられていないことが推測される旨主張する。しかし,この調査対象には関連者間取引を行う法人が含まれており,そのような法人において関連者間取引が売上高のどの程度の割合を占めるのか,また,そもそも関連者間取引を行う法人が調査対象の法人のうちどの程度の割合を占めるのかが明らかではなく,さら が含まれており,そのような法人において関連者間取引が売上高のどの程度の割合を占めるのか,また,そもそも関連者間取引を行う法人が調査対象の法人のうちどの程度の割合を占めるのかが明らかではなく,さらに,本来の独立企業間価格の算定に求められるような検証を行っているのではないから,これをもって,独立企業間価格であることの確認や証明がされたとはいえない。そもそも,被告の主張は,日本の法人に関するデータに基づく分析によるものであり,香港法人には当てはまらないから,これをもってP1社に当てはめるのは不適切である。 ウいわゆるシークレットコンパラブルを利用して推定を行ったことについて被告は,同種事業類似法人(シークレットコンパラブル)についての主張事実を支持する客観的証拠を裁判において一切提出せず,かつ,原告にも全く開示していない。このため,原告は,独立企業間価格の基礎となる財務上の数値並びに事業の同種性及び事業規模その他の事業内容の類似性について,十分な検討と反論を行うための情報がほとんど与えられておらず,適正な手続保障を与えられていない。本件では,特に,粗利益率レベルでかなりの差が生ずると見込まれるかどうかが問題となっており,それを支える具体的な 事実及びその認定を妨げる具体的な事実の認定は非常に重要であるから,それが立証されたといえるためには,それを争う原告に対して具体的な事実が提示され,原告に十分な反論の機会が与えられなければならない。 本件類似3法人は,いずれもその具体的な事業内容や財務状況が開示されていないシークレットコンパラブルであり,原告において,それらの法人がP1社と事業内容において類似しているかどうかについて,検証を行うことができない。これは,納税者である原告から防御する機会を奪うもので著し ークレットコンパラブルであり,原告において,それらの法人がP1社と事業内容において類似しているかどうかについて,検証を行うことができない。これは,納税者である原告から防御する機会を奪うもので著しく不公平である。そもそも,本件類似3法人が実在して,被告主張のような事業を行っているのかどうかも不明であり,本件類似3法人の財務諸表が客観的に信頼できるものなのかどうかについても検証する手段が原告には全く与えられていないから,納税者は,自己の立場を擁護するための機会や,課税の相当性について公平な司法判断を受ける機会が与えられておらず,予見可能性を欠く状態に置かれている。調査担当者の陳述書も,実質的には被告の主張の延長にすぎないのであり,これにより客観的証拠に基づき具体的事実が提示されたとは到底いえない。 また,これらの3社の原価,売上及び売上総利益等が現地の一般に公正妥当と認められる会計基準に従って適切に記録されているかどうかを確認することができず,差異調整の必要性が不明である。 さらに,このことからすれば,本件各更正処分等の通知書は,更正の理由の付記を欠いているというべきである。 エ本件類似3法人の選定過程について本件類似3法人の選定過程につき,選定基準の合理性の有無のみならず,現に比較対象とされた法人についての実体的な比較可能性の検討こそが不可欠である。 仮に,選定過程を示すことにより類似性の立証が可能であるとする被告の立場に立つとしても,山形税務署長は,本件租特法通達(2)-3記載の要素, 特に,パチスロ業界特有の風営法による規制やそれに伴うリスク等について認識しながらも,選定過程においては,その点をほとんど無視して本件類似3法人の選定に至った。このほか,パチスロ部品市場の閉鎖性及び 特に,パチスロ業界特有の風営法による規制やそれに伴うリスク等について認識しながらも,選定過程においては,その点をほとんど無視して本件類似3法人の選定に至った。このほか,パチスロ部品市場の閉鎖性及び競争状況,地理的市場,P1社と本件類似3法人の機能,リスクの差異などの点について十分な検証を行わず,その要素を考慮していない。また,被告は,最初の段階から関連者取引を行う会社のみを対象として選定したという独立企業原則に反する誤りを犯し,非関連者間取引を行う同種事業類似法人を選定するために適切な努力は行われていないというべきである。また,山形税務署長が利用した小型モータ需給動向報告書は信頼性を欠く。さらに,同種事業類似法人の選定過程についての被告の説明においては,粗利益率にかなりの差が生ずる事業内容の相違,公開財務データの使用,日本標準産業分類の参照,香港法人と日本法人の取引が関連者取引であるかどうかといった点について変遷を重ねており,かつ,これらの点に関する客観的な証拠は提出されていないことからすると,山形税務署長が被告の説明どおりの選定を行ったかどうかは疑わしい。 P1社の比較対象企業を抽出するのであれば,香港企業のデータベースを出発点とすべきであったにもかかわらず,日本のモーターメーカーを中心とする情報を掲載する報告書や我が国の企業財務データベースを利用したのは相当ではない。また,抽出方法を変えれば,日本向けの非関連者取引を行っている企業を発見できた可能性がある。また,事業の同種性及び事業内容の類似性は原告の事業ではなく,P1社の事業に焦点を当てて検討されなければならないにもかかわらず,山形税務署長はそのような観点を欠いており,本件類似3法人の選定に当たっては,本来選定されるべきであった法人(特に非関連者取引を行う法人)が調 に焦点を当てて検討されなければならないにもかかわらず,山形税務署長はそのような観点を欠いており,本件類似3法人の選定に当たっては,本来選定されるべきであった法人(特に非関連者取引を行う法人)が調査対象から抜け落ちてしまった可能性を否定できない。さらに,山形税務署長は,原告の比較対象企業を選定して再販売価格基準法に準拠して推定課税をすることも,P1社の比較対象企業を選 定して原価基準法に準拠して推定課税をすることも可能であったにもかかわらず,それらを怠り,関連者取引を行っている比較対象企業を選定して推定課税をしたものである。山形税務署長は,P4社も税務調査の対象としており,P4社等の原価及び利潤の額を把握できたはずである。 オ同種事業類似法人の同種性類似性の判断基準について(ア) 租特法66条の4第7項の文言上,事業の同種性に加えて,事業内容の類似性が別個独立の要件として要求されていることは明らかである。事業の同種性と同様,事業内容の類似性も,推定課税における課税要件であり,被告がそれを根拠付ける評価根拠事実について主張立証責任を負う。 本件について,粗利益率レベルでの近似性を支持する具体的事実については被告が主張立証責任を負う。 同種性及び類似性は,いわゆる評価的,規範的構成要件要素であるところ,被告は類似という評価をもたらすような具体的事実を評価根拠事実として主張しなければならず,そのような事実が主張されなければ,仮に被告が主張する事実が立証されたとしても類似との評価が認められないのであるから,主張自体失当となる。 上記イのとおり,推定課税規定の適用においても,独立企業原則が当てはまると解すべきであるから,独立企業間価格の原則的な算定方法の一つである原価基準法の適用において類似性を判 失当となる。 上記イのとおり,推定課税規定の適用においても,独立企業原則が当てはまると解すべきであるから,独立企業間価格の原則的な算定方法の一つである原価基準法の適用において類似性を判断する重要な要素を列挙した本件租特法通達(2)-3は,当然に,原価基準法を準用している推定課税規定においても適用されると解すべきである。同通達は,個別取引の類似性に影響を及ぼす事項を列挙したものではあるが,推定規定の対象となる事業は個別の取引の集積したものにすぎない以上,これらの事項は,事業にも同様に影響を及ぼす可能性があると解するのが合理的である。さらに,租特法66条の4第7項1号とほぼ同様の文言を定めて事業内容の類似性を検証する残余利益分割法の基本的利益の算定においても同号及び上記通 達に掲げられた事項と似た事項が類似性の判断において重要と解されている。 本件において,本件租特法通達(2)-3の各要素についての主張立証の状況をみると,被告の主張する評価根拠事実は,① 卸売業を営む法人であること,② 主力とする取扱製品が小型モーター(ステッピングモーター又はDCモーター)であること及び③ 事業規模の三つにとどまり,これらの事実が立証されたとしても,被告は,本件租特法通達(2)-3の各要素の検討をほとんど行っておらず,これらの各要素が粗利益率に重大な影響を及ぼす可能性が否定されていないことからすれば,これらの事実が認められたとしても,その事実に経験則を適用して,類似との判断には至らないと解すべきである。特に,同種事業類似法人についてシークレットコンパラブルしか提示されず,しかも,上記通達の各要素に関する重要な事実が開示されていない以上,被告が主張立証責任を負う積極的に働く事実のみをもってしても類似するとの判断に到達す ついてシークレットコンパラブルしか提示されず,しかも,上記通達の各要素に関する重要な事実が開示されていない以上,被告が主張立証責任を負う積極的に働く事実のみをもってしても類似するとの判断に到達するには不十分である。それに加えて,原告が主張する消極的に働く事実は,類似性という判断を強く否定するものである。これらの立証の状況等によれば,P1社と本件類似3法人が類似するとの判断には到底至らない。 (イ) 被告は,事業の同種性及び事業内容の類似性の評価の基礎となる事実は,処分当時に税務署長が把握していた,あるいは容易に把握し得た具体的事情に限られると主張するが,そのように解釈すべき法令の文言上の根拠を欠くばかりでなく,行政庁のき束行為に関する裁判所による判断代置的司法審査及び自由心証主義を損なうものであり,許されない。なお,被告の主張を前提としても,山形税務署長は,本件各更正処分等当時,パチスロ業界の特殊性等を把握しており,この点は,同種性類似性の判断の基礎となる。 また,独立企業間価格の反証が許されているから推定課税の要件該当性 について緩やかに解してもよいとする法律上の根拠はない。 カ同種事業類似法人の同種性類似性の判断要素について(ア) 同種性類似性を認めるにつき,積極的に働く要素についての被告の主張に対する反論aP1社と本件類似3法人の業種についてP1社は,被告主張のとおりの事業をしているが,P1社は,後記(イ)a記載の各機能を有し,リスクを負担している。本件類似3法人の事業については,何ら客観的証拠が提出されておらず,具体的な事業の内容が不明であるので,同種であることの判断を行うことはできない。 また,被告が主張する「棚卸資産である小型モーター等を仕入れ,加工 の事業については,何ら客観的証拠が提出されておらず,具体的な事業の内容が不明であるので,同種であることの判断を行うことはできない。 また,被告が主張する「棚卸資産である小型モーター等を仕入れ,加工することなく再販売する卸売業」というだけでは,事業の範囲が広すぎ,P1社と本件類似3法人の事業がいずれもこれに当たるからといって同種であるとはいえない。 bP1社と本件類似3法人の取扱製品について被告は,P1社が取り扱う本件モーターと本件類似3法人が取り扱う製品が粗利益率レベルでかなりの差が生ずるとは見込まれないと主張するが,モーターは,用途,メーカー系統(韓国系,台湾系など)により異なっており,DCモーターとステッピングモーターにつき価格に大きな差がないという被告の主張は全く証拠に基づかないものである。さらに,P1社の扱うパチスロ用のDCモーターとb社の扱うカメラ用モーターは,DCモーターであるとしても,物理的,化学的な面(形状,機構,寸法等)において大きく異なるので,粗利益率レベルでかなりの差が生ずると見込まれる。a社の扱うOA機器用及び車載用モーターやc社の扱うOA機器用モーターについても,ステッピングモーターであること以外には,具体的にどのようなモーターであるか特定されていないが,P1社が取り扱うDCモーターとは,価格に大きな差が認められる ことに加えて,a社及びc社が取り扱うモーターは,P1社が取り扱うDCモーターと比較して,物理的,化学的な面が異なる。このように,品目(DCモーターかステッピングモーターか)及び用途(パチスロ機用かカメラ又はその他の用途か)によって,価格は大きな違いをもたらす。 本件類似3法人は,いずれも他の製品の再販売も行っている。被告は,a社,b社及びc社 ターか)及び用途(パチスロ機用かカメラ又はその他の用途か)によって,価格は大きな違いをもたらす。 本件類似3法人は,いずれも他の製品の再販売も行っている。被告は,a社,b社及びc社がいずれも小型モーターを主力としている旨主張しているが,何ら具体的な数値を示していない。さらに,本件類似3法人の取扱製品について,被告の説明は変遷を重ねており,原告には,本件類似3法人の取扱製品,主力製品が何であるか確かめる方法がない。本件類似3法人についても,モーター以外の製品の売上,粗利益率の影響を受けているとすれば,モーターの完成品の販売を行うP1社との間で,粗利益率レベルでの近似性は認められない。 P1社の取扱製品は,P31の型式試験に適合するためのカスタムメイドされた製品であり,単なるモーターとは異なる。 これらの点によれば,粗利益率レベルで近似性を認めるには足りないというべきである。 cP1社と本件類似3法人の事業規模について租特法66条の4第7項が,事業内容の類似性に関し,特に事業規模を明記してその類似性を要求していることからすれば,類似性の判断において,事業規模が特に重視されるべきであり,事業規模が類似しない場合には類似性が否定される趣旨であると解すべきである。また,租税法律主義(課税要件明確主義)の観点からは,「事業規模」が条文上特に明記されている以上,他の事業内容の要素とは異なり,売上規模の倍率等で客観的かつ容易に判断されるべきものと解すべきである。 乙第121号証によれば,事業規模は粗利益率に対して重大な影響を 与えるものであり,類似性の判断において極めて重要である。特に,電気機械器具卸売業における売上規模と粗利益率との間には密接な関係があるか によれば,事業規模は粗利益率に対して重大な影響を 与えるものであり,類似性の判断において極めて重要である。特に,電気機械器具卸売業における売上規模と粗利益率との間には密接な関係があるから,事業規模については,基本的には売上規模をもって判断するのが合理的である。 P1社の売上は,本件各事業年度において,2000万円から2億円程度であった。P1社の売上高については,被告は,原告の仕入高(P1社の売上高)についての移転価格調整を主張している以上,それによるP1社の売上高の減少を反映した売上高を基準として判断すべきである。そして,被告は,本件類似3法人の売上高及び従業員数を裏付ける客観的証拠を一切提出していないが,被告の主張によっても,a社及びc社の売上高とP1社の売上高との間には10倍をはるかに超える差異があるのであり(事業規模は,各事業年度ごとに評価しなければならず,被告が売上高に対応する事業年度を明らかにしていない以上,被告が主張する最も売上高が多い事業年度における売上高とP1社の売上高を比較すべきである。),a社及びc社とP1社との間で事業規模その他の事業の内容が類似するとは認められない。このことは,被告が類似性の判断基準とすべきと主張する社会通念に従ったとしても同様である。 なお,被告は,販売管理費比率が低ければ,事業規模が大きく異なる法人の売上総利益率を使用することも許される旨の主張をするものと解されるが,このような解釈は,事業規模の類似性という要件について,法律の文言に表示されていない例外要件を解釈により恣意的に付加するもので,租税法律主義に反する。 また,被告は,本件類似3法人と同じ程度に販売管理費比率が低い法人であれば,売上規模が粗利益率に与える影響が限定的なので,a社程 釈により恣意的に付加するもので,租税法律主義に反する。 また,被告は,本件類似3法人と同じ程度に販売管理費比率が低い法人であれば,売上規模が粗利益率に与える影響が限定的なので,a社程度の売上規模であれば,P1社との比較において粗利益率レベルでかなりの差を生ずる相違に当たらない旨主張する。しかし,P1社の販売管 理費比率は約26%であり,被告が主張する本件類似3法人の販売管理費比率である2.50%ないし5.50%(被告は,本件類似3法人の販売管理費比率を裏付ける客観的証拠を一切提出していない。)に比べて明らかに大きく,P1社は本件類似3法人と同じ程度に販売管理費比率が低い法人とはいえない。したがって,仮に,売上規模が異なっても粗利益率レベルの近似性が失われないとの被告の立場を採用したとしても,P1社には該当しない。 (イ) 同種性類似性を認めるにつき,消極的に働く要素aP1社と本件類似3法人が行う機能及び負うリスクについて⒜ 本件租特法通達(2)-3は,売手又は買手の果たす機能と売手又は買手の負担するリスクを類似性の判断要素として挙げている。 機能及びリスクが販売管理費に現れる傾向があることは一般的に認められている。乙第121号証によっても,電気機械器具卸売業においては,販売管理費比率が粗利益率に重大な影響を与えることは明白である。 本件類似3法人は,販売管理費比率が2.50%から5.50%までの法人グループ(平均粗利益率5.37%)に含まれるのに対し,P1社の販売管理費比率は,2001年(平成13年)ないし2003年(平成15年)の平均で約26%であるから,P1社は,同号証の全1172社のグループ(平均粗利益率19.03%)に含まれ,粗利益率レ 1社の販売管理費比率は,2001年(平成13年)ないし2003年(平成15年)の平均で約26%であるから,P1社は,同号証の全1172社のグループ(平均粗利益率19.03%)に含まれ,粗利益率レベルで重大な差があることは明白である。さらに,事業規模も併せて考慮に入れれば,この点は更に顕著である。 なお,P17の報酬を,香港における標準的な報酬と置き換えたとしても,上記の分析に変化はない。また,為替差損の取扱いを論難する被告の主張は的はずれであるが,仮に上記の標準報酬額に置き換えた後の販売管理費から更に為替差損を控除して販売管理費比率を計算 しても,上記の分析に変化はない。 また,被告は,P1社の上記機能及びリスクを税務調査段階において十分に認識し又は認識することができたので,同種性類似性を認めるにつき消極的な事情となる。 ⒝ P1社は,納期管理,品質管理,新製品開発,仕入先の開拓,販売先の開拓,在庫管理などの機能を果たしていた。 P1社は,P3社中国工場の現地担当者との密接な連絡を通じ,納期厳守を要求するとともに,同社の具体的な取組を求め,他方で,不良品については,その原因について同社における製造工程にまでさかのぼって原因究明を行い,検査表の見直しを提案するなど積極的に品質管理を図っていた。P5社の急な発注を受けた原告からの発注に対応するために,倉庫を保有しないながらも,P3社中国工場に在庫を管理させることなどによって,実質的な在庫管理機能を果たしていた。 P1社は,自らも仕様書の作成に取り組み,他のメーカーと共同しての新製品の開発にも取り組んでいた。 また,P1社は,様々なメーカーの調査,工場監査を行っていた。 なかでも,中国広東省のモ 1社は,自らも仕様書の作成に取り組み,他のメーカーと共同しての新製品の開発にも取り組んでいた。 また,P1社は,様々なメーカーの調査,工場監査を行っていた。 なかでも,中国広東省のモーターメーカーであるP27有限公司(以下「P27社」という。)に対して資本参加することを具体的に検討し,その実現の目前にまで至ったこともあった。 P1社は,仕入先のみならず,原告以外の販売先の開拓も行っていた。さらには,不良品をめぐるトラブルに関し,技術的な問題点の解明を図るほか,仕入先のモーターメーカーと顧客である原告の間に立って,独立した立場から解決のための提案を行うなど,品質管理を行うとともに,取引を仲介する機能を果たしていた。 このような機能は,P1社が製造現場の近くで指示を出して納期履行や品質維持,向上を牽制していることにより,初めて可能になるも のであった。 これらに対し,本件類似3法人は,手続業務や手配業務が中心の限定的な業務を行うのみであったというのであり,P1社と本件類似3法人との間には機能において大きな差異があり,粗利益率レベルでかなりの差を生ずる。 ⒞ P1社は,P5社の指定した短納期に違反した場合やP31による部品均一性の厳格な要請に従った規格,品質に違反した場合に負うかもしれない巨額の賠償責任のリスク並びにパチスロ筐体に対する人気,不人気及びその大きな変化に伴う発注量の大幅な変動,特に発注量の大幅な減少に伴う売上及び利益の大幅な減少といったリスクを負担していた。 これに対し,本件類似3法人は,上記のようなリスクを負っていなかったと合理的に推測されるから,P1社とは負担するリスクの面で大きな差異がある。 bP1社と本件類似 いた。 これに対し,本件類似3法人は,上記のようなリスクを負っていなかったと合理的に推測されるから,P1社とは負担するリスクの面で大きな差異がある。 bP1社と本件類似3法人の取引段階について本件租特法通達(2)-3は,取引段階を類似性の判断要素として挙げている。 a社及びc社はメーカーから数えて二次卸に相当するが,P1社はメーカーであるP3社中国工場からの一次卸であり,相違がある。b社についても,同社の事業内容はモーター部品販売とされており,完成品モーターを取引対象とするP1社とは取引段階が異なる。取引段階が異なれば,粗利益率が異なるから,この相違から,粗利益率レベルでかなりの差を生ずることが見込まれる。 なお,被告は,従来,「必然的に」粗利益率レベルにかなりの差が生ずるものではないことを同種性類似性の判断の基準とはしていなかった。 cP1社と本件類似3法人が扱う製品の用途について 本件租特法通達(2)-3は,棚卸資産の種類を類似性の判断要素としている。これには,棚卸資産の用途も含まれると合理的に推測される。 P1社が扱うモーターはパチスロ用である。本件類似3法人が扱うモーターは,被告の主張によれば,OA機器用・車載用(a社),カメラ用(b社)又はOA機器用(c社)である。本件類似3法人の扱うモーターの用途とP1社の扱うモーターは用途(最終製品市場)が異なる。 例えば,OA機器やカメラといった用途の違いでも,モーターの価格は大きく異なっており,そうであるとすれば,それらとは業態が全く異なるパチスロ業界のパチスロ筐体向け用途のモーターの価格が,更に大きく異なっていることは合理的に推測される。そして,価格の大きな違いは, きく異なっており,そうであるとすれば,それらとは業態が全く異なるパチスロ業界のパチスロ筐体向け用途のモーターの価格が,更に大きく異なっていることは合理的に推測される。そして,価格の大きな違いは,粗利益率の差をもたらす。 dP1社と本件類似3法人が扱う製品の市場の地理的条件について本件租特法通達(2)-3は,市場の状況を類似性の判断要素として挙げる。 本件国外関連取引において,P1社が原告に本件モーターを販売した先は日本であるところ,本件類似3法人のうち,a社の営む事業は香港を販売先市場とし,c社の営む事業は東南アジア各国を販売先市場としているから,地理的市場は全く異なる。 被告は,事業活動を行う国又は地域のみを重視すべきであると主張するが,市場という場合には販売先市場を問題とすべきであり,このことはOECDガイドラインの記載等からも明らかである。また,残余利益分割法の基本的利益の算定においても,類似性の判断において,海外売上比率が重視されている。 一般的に,販売先市場によって企業の利益率は異なる。また,製品価格は,当該製品の需給によって定まるところ,本件国外関連取引の対象製品であるDCモーターの需給は地域によって異なり,香港を含めたア ジアと日本とでは大きく異なっている。現に,地域によって,モーターの価格は異なっている。 P1社と本件類似3法人は,いずれも中国における製造業者からモーターを購入しており,これらの法人が仕入れるモーターの原価は同等の水準であると推察されるから,販売先市場の相違による製品価格の相違は,粗利益率の相違に直結する。したがって,上記のような地理的市場の差異が粗利益率レベルでかなりの差を生じさせると見込まれる。 あると推察されるから,販売先市場の相違による製品価格の相違は,粗利益率の相違に直結する。したがって,上記のような地理的市場の差異が粗利益率レベルでかなりの差を生じさせると見込まれる。 なお,被告は,従来,「必然的に」粗利益率レベルにかなりの差が生ずるものではないことを同種性類似性の判断の基準とはしていなかった。 eP1社と本件類似3法人が扱う製品の風営法による規制の影響について本件租特法通達(2)-3は,政府の規制を類似性の判断要素として挙げる。 この点につき,パチスロ業界においては,風営法により,パチスロ用モーター取引は,国家公安委員会からの指定を受けたP31の規制対象となっており,このような規制が参入規制として機能し,パテントプールのように閉鎖的な市場慣行によって寡占性が維持されていることと併せて,パチスロ業界においては高い利益率が確保されているという状況にあり,そのような市場の状況に置かれているとはいえない本件類似3法人とは類似性を欠く。 被告は,P31の型式試験が価格や数量を一定の水準又は範囲内に収まるよう規制するものではないし,経済政策に関連する規制でもないなどとして,粗利益率に影響を及ぼさない等と主張するが,価格に影響を及ぼす限り,いかなる政府規制であっても比較可能性の要素となるのである。 そして,このような政府規制の影響は,部品業者にまで及んでいる。 最終製品であるパチスロ筐体と,パチスロ筐体を構成する各部品との結びつきが極めて強いため,たとえ機能,品質が酷似していたとしても,他のメーカーの類似製品や同一メーカーの類似部品によって代替することは事実上不可能であり,各部品メーカーは筐体メーカーに密着した製造,販売活動を行うことにな たとえ機能,品質が酷似していたとしても,他のメーカーの類似製品や同一メーカーの類似部品によって代替することは事実上不可能であり,各部品メーカーは筐体メーカーに密着した製造,販売活動を行うことになる。したがって,同一機種に関する限り,新規参入は事実上不可能となっている反面,ある機種について部品を供給している場合,その機種が製造される限り,他社との競争は存在しないことになり,事実上独占的な供給が保障されることになる。このように,P31の型式試験制度のため,特定のパチスロ機に使用される部品は,カスタムメードされた部品となるのであり,パチスロ部品の標準性,汎用性を指摘する被告の主張は実態を無視する誤ったものである。また,パチスロ機は,上記P31の型式試験の結果によって販売スケジュールが左右されるため,筐体メーカーは,即時的な対応が可能であり,厳格な納期及び品質の管理を行うことができ,P31の規制を含めた業界事情を熟知し,臨機応変な対応ができる部品メーカーでなければ通常は取引を行わない。さらに,本件対象事業年度の当時,筐体メーカーにとっては,部品の確保が最優先事項であり,価格に対する圧力は相対的に高くなかった。このことは,特に,最大のパチスロ機メーカーであったP5社についてはよく当てはまり,同社と取引を行う部品メーカーも,P5社からの納期,品質を厳守すべき旨の要求を果たすため,自己の取引先である供給業者に対しても購入価格を引き下げるよう要求する圧力は相対的に低く,供給業者もより多くの利益を上げられる状態にあったと合理的に推測される。パチスロ筐体メーカーは,P31の規制の結果,型式試験に合格したパチスロ機に組み込まれた部品と同一の部品を納品することを同一の部品業者に対しても求め,その結果として,部品業者も,その制度を通過した企業のみが営業 ーカーは,P31の規制の結果,型式試験に合格したパチスロ機に組み込まれた部品と同一の部品を納品することを同一の部品業者に対しても求め,その結果として,部品業者も,その制度を通過した企業のみが営業活動を行うことができることに なって,この規制の効果を受けるのであるから,この規制は,部品業者にとっても参入規制となり,価格に影響を及ぼす。さらに,規制への対応の困難さも参入障壁を事実上強化するものとして機能していた。 fP1社と本件類似3法人が扱う製品の市場の寡占性等の影響について本件租特法通達(2)-3は,市場の状況を類似性の判断要素として挙げる。 パチスロ業界は,パテントプールにみられるように閉鎖的な体質を有しており,それが参入障壁となって,高い利益率を維持する背景となっていた。 また,パチンコ,パチスロ用部品については,他の用途向けに比べてパチンコ,パチスロ用途向けの粗利益率等の利益率が非常に高い。これは,パチンコ,パチスロ業界のみに当てはまるP31の規制の存在及び運用が参入障壁となり,筐体メーカーに寡占体質をもたらして筐体の販売価格が維持され,その結果,他の業界では考えられないような非常に高い利益率が確保されていたことによる。これに加えて,筐体メーカーは,P31の規制を熟知した部品メーカーとの取引を望むことから,両社の関係が密となり,さらに,P31の試験完了時期を予測することは困難であるところ,一旦合格すると人気機種であれば短い納期での大量発注に応じ,部品のほんのわずかの差も認められないという厳格な規格,品質基準に応じることができれば,大きな利益を上げることができるものの,これらの厳しい要求に応じることができなかったり,該当機種の人気が急になくなれば発注が突然急減する められないという厳格な規格,品質基準に応じることができれば,大きな利益を上げることができるものの,これらの厳しい要求に応じることができなかったり,該当機種の人気が急になくなれば発注が突然急減するという,ハイリスク,ハイリターンの業界体質をもたらしていた。そして,パチスロ筐体業者ではなく,他の部品業者に販売する部品メーカーについても,規制を受け,寡占的,閉鎖的であってハイリスク,ハイリターンであるというパチスロ機市場の特質による影響を受けていた。 これに対して,本件類似3法人が属するOA機器用・車載用モーター市場(a社),カメラ用モーター市場(b社),OA機器用モーター市場(c社)は,競争的である。 なお,被告は,従来,「必然的に」粗利益率レベルにかなりの差が生ずるものではないことを同種性類似性の判断の基準とはしていなかった。 gP1社と本件類似3法人が行う取引の会計処理及び契約条件について本件租特法通達(2)-3は,類似性判断の重要な要素として,契約条件を明記している。 被告は,本件類似3法人の契約条件を開示していないので,被告が,契約条件に実質的に差異がないこと,仮に差異があったとしても粗利益率レベルで近似性の見込みがあることについて立証しなければならない。 また,被告は,本件類似3法人の財務諸表を開示していないので,被告が主張する本件類似3法人の粗利益率の算定が正確なものであるかどうか検証できないし,これらの財務諸表の元になっている数値が信頼できるものであるかどうかも不明である。また,P1社と本件類似3法人との間で整合性のある会計処理が行われているかどうかも明らかではない。 h 本件類似3法人が行っている取引が主として関連者取引であることについ うかも不明である。また,P1社と本件類似3法人との間で整合性のある会計処理が行われているかどうかも明らかではない。 h 本件類似3法人が行っている取引が主として関連者取引であることについて本件類似3法人は,主として親会社との間で取引を行っている。そのため,その取引価格については粗利益率にかなりのゆがみが生じている可能性は否定できず,また,被告は,取引価格にゆがみが生じていないことの検証を行ったともいえないから,P1社の本来の独立企業間価格との間の粗利益率レベルの近似性が認められず,類似性は認められないというべきである。 3 争点(3)(原告が提示したP6とP7社との間の取引は独立企業間価格に基づくものといえるかどうか)について (1) 原告ア原告は,P1社(売主)と原告(買主)との間の○(○型)取引及び○(○)取引を検証対象取引とし,P6とP7社との間の○(○型)取引を比較対象取引とする独立価格比準法による独立企業間価格の算定を再抗弁として主張する。 イ本件取引には,○のモーターに係る転売取引(原告において加工等をせずそのまま販売するもの)と○及び○のモーターに係る加工販売取引(原告においてモーターを加工し販売するもの)があり,税務調査において調査の中心とされたのは後者の加工販売取引であるところ,原告は,税務調査の段階で○のモーターに関し,筐体メーカーに対する直接の販売業者に対する販売という点で本件取引と取引段階が同一であるP6からP7社への取引を指摘し,その取引に関する資料を仙台国税局職員に提出した。 そうすると,上記取引に必要な差異の調整を加えた上で独立価格比準法(租特法66条の4第2項1号イ)により独立企業間価格を算出することができる。すなわち,○と○のモータ 税局職員に提出した。 そうすると,上記取引に必要な差異の調整を加えた上で独立価格比準法(租特法66条の4第2項1号イ)により独立企業間価格を算出することができる。すなわち,○と○のモーターはほとんど同じものであるから,○に係る本件取引と○に係るP6とP7社間の取引を比較すると,① 製品自体は,構造,性状及び材質等は物理的にほぼ同一であり,ホッパー用モーターとしての機能の観点からも類似していること(これらのモーターに係る価格の差は,買主の立場から見た場合に性能,機能差をもたらすものではない。),② 取引段階もパチスロ完成機メーカーに供給するホッパー用コイン払出枚数を制御するギアモーター(又はこれを含んだホッパー)を製作するパチスロ機部品メーカーに対するDCモーターの販売取引であり,最終ユーザー(筐体メーカー)からさかのぼった取引段階も同一であること,③取引数量に大きな差異が認められないこと,④ 取引時期が重複していること,⑤ 取引市場も日本所在の同一の公安規制に服するパチスロ部品メーカー向け販売取引という点において同一であることがいえ,運賃・保険料及び 支払条件の差異についてのみ調整を要する。そして,その調整を行った結果,本件取引の独立企業間価格は平成11年度及び平成12年度について895. 4円,平成13年度において879.3円,平成15年度において840. 5円と求められる。 このように独立企業間価格を算定できる以上,推定課税を行う必要はなく,また,○及び○に係る本件取引における取引価格は,平成11年度分及び平成12年度分については,この独立企業間価格を下回るので租特法66条の4の適用はなく,また,平成13年度分の○取引及び平成15年度の○取引については,これらの取引価格は,上記独立企業間価格を上回るが 成12年度分については,この独立企業間価格を下回るので租特法66条の4の適用はなく,また,平成13年度分の○取引及び平成15年度の○取引については,これらの取引価格は,上記独立企業間価格を上回るが,その価格を上回る部分以外の部分については,同条の適用はない。 ウ被告は,本件取引とP6とP7社との間の比較対象取引は取引段階が異なると主張するが,本件においては,部品価格に大きな影響を及ぼすパチスロ業界の特殊事情(P31の規制による参入障壁の結果競争が激しくなく,また筐体の販売価格が一定額以上で安定している一方,納期と規格品質同一性の厳守が求められ,これに適切に対応できるならば大きな利益が得られるものの,対応できなければ莫大な金額の損害賠償請求を受けたり発注量が急減するというリスクも存在すること)が反映されているかどうかが重要であり,当該特殊事情は完成機メーカーに納入するモーターのユーザーである筐体メーカーの段階で発生するのであるから,筐体メーカーからさかのぼってみた場合に同じ段階にあるから同じ取引段階にあると考えるのが相当である。取引段階は,取引の実質に着目して判断されるべきである。被告は,比較対象取引の上流にP1社と原告との取引が存在することから比較対象取引とすることができない旨主張するが,上記のとおり,パチスロ部品においては,筐体メーカーからさかのぼって取引段階を規定するのが相当であり,その上流にある取引については比較可能性の観点から関係がない。また,被告は,取引市場が異なると主張するが,本件取引も,P6とP7社との間の比較対象 取引も,日本に所在するパチスロ部品メーカー向けの販売取引であり,日本という同一の地理的市場において競争しているということからすれば,販売市場は同一である。さらに,独立価格比準法においては, 取引も,日本に所在するパチスロ部品メーカー向けの販売取引であり,日本という同一の地理的市場において競争しているということからすれば,販売市場は同一である。さらに,独立価格比準法においては,売主や買主の機能は重視されていない。P1社及びP6が売主として果たしている機能並びに原告及びP7社が買主として果たしている機能(いずれもモーターの販売業者から加工を行っていないモーターを購入し,これにギアを付してギアモーターに加工の上,筐体メーカーに販売する。)に差はない。 また,○と○及び○が異なるとの被告の主張は正確ではなく,棚卸資産の同種性は認められる。 被告は,本件取引とP6とP7社との間の比較対象取引との間の差異が価格に明らかに影響を及ぼしていることを証明しておらず,比較可能性を否定するほどの差異があるとはいえない。 エなお,租特法66条の4第7項の規定を満たさず独立企業間価格が合理的に推定されない場合に,原告が独立価格比準法を用いて算定した価格が独立企業間価格である旨の証明ができなくても,その価格が山形税務署長が行った推定課税に基づく価格と比較して独立企業間価格に近いと証明できれば,独立価格比準法を用いて計算した金額を超える部分については,更正処分は取り消されるべきである。本件では,推定課税の結果は,関連者取引を主とする類似性の程度も低い本件類似3法人の粗利益率を使用して算定した結果は,むしろ,独立企業間価格からかい離していることが合理的に推定される一方,原告の主張した上記独立価格比準法に基づく価格は,本件推定課税の基礎となった価格よりも合理性を有する。 (2) 被告ア原告の主張する独立企業間価格の算定方法では,租特法66条の4第2項1号イにおいて比較対象取引を選定する場合の厳密な同種性や類 税の基礎となった価格よりも合理性を有する。 (2) 被告ア原告の主張する独立企業間価格の算定方法では,租特法66条の4第2項1号イにおいて比較対象取引を選定する場合の厳密な同種性や類似性が求められる。原告とP1社との間の本件取引は,P1社がメーカーから仕入れを 行う一次卸売業者であるのに対し,P6とP7社との間の取引においては,P6は二次卸売業者である原告から仕入れをする三次卸売業者であって取引段階が異なるし,比較対象取引の仕入価格に本件各更正処分の対象とされ,独立企業間価格であることの立証ができていない国外関連取引の取引価格が含まれている。また,P1社の原告に対する売上は輸出取引であるのに対しP6のP7社に対する売上は国内取引であって取引市場も異なるから,原告の指摘する取引は本件取引の比較対象取引としての類似性を有するとは認められず,同様の状況の下で売買した取引とはいえない。取引段階の同一性は客観的な流通過程から判断するものであって,パチスロ業界特有の事情などを考慮して判断する合理的理由は全く認められない。P1社,P6及びP7社の機能が明らかにされなかったため,機能の差異による調整をすることができず,独立価格比準法を適用することができなかった。さらに,○は,○及び○と仕様が異なり,独立価格比準法の要件である同種の棚卸資産とはいえない。 イ租特法66条の4第7項の推定規定が適法に適用されて更正決定が行われた場合には,納税者は,自己の主張する価格が法定された方法により計算された独立企業間価格であることを立証しない限り,当局の算定した価格が独立企業間価格になるのであり,原告は,本件取引において原告が支払った対価の額が租特法66条の4第2項所定の方法により適法に算定された独立企業間価格を上回らないことを証 い限り,当局の算定した価格が独立企業間価格になるのであり,原告は,本件取引において原告が支払った対価の額が租特法66条の4第2項所定の方法により適法に算定された独立企業間価格を上回らないことを証明しなければ本件各更正処分を覆すことはできない。 ウ租特法66条の4第7項の規定によれば,原告は,同条2項各号に定める方法によって算定した独立企業間価格を主張立証しなければならない。推定課税の制度は山形税務署長が推定した独立企業間価格と原告が算定した独立企業間価格を比較してより合理的な価格を採用するというものではない。 4 争点(4)(本件各更正処分等の前提となる調査手続における違法の有無)につ いて(1) 原告ア原告がP7社に対しパチスロ台用モーターを供給する際の契約条件として,原告製品の納入先がP7社であることを原告の仕入先であるP3社に知られないようにすることというものがあったが,本件各更正処分等に先立つ仙台国税局職員によるP3社への税務調査において,同職員は,P3社に対する本件質問書に,原告の製品の販売先としてP7社及びP6の名称を記載し交付した。この行為は国家公務員法100条1項の守秘義務に反し,また,法人税法163条に違反する。 被告は,上記事実を否認するが,仙台国税局職員が当初,上記質問状を発したこと自体を否定していたこと,P3社に対し,一度渡した本件質問書を回収しに行っていることからして,上記事実は明らかである。 イ本件各更正処分等に先立ち行われた税務調査において,仙台国税局職員は,① 原告代表者らから意に沿わない回答があると同じことを何度も繰り返して質問し,回答を誘導しようとすること,② 必要以上に調査を長引かせて原告代表者らに不当な負担を強いること(税務調査に3年間要してい 原告代表者らから意に沿わない回答があると同じことを何度も繰り返して質問し,回答を誘導しようとすること,② 必要以上に調査を長引かせて原告代表者らに不当な負担を強いること(税務調査に3年間要している。),③ 反面調査等を行う際には原告代表者らの了解を得てから行うという約束をしたにもかかわらずこれを無視したこと,④ 平成16年3月10日にP15調査官が原告代表者に対しどう喝行為を繰り返すという違法な有形力の行使をするなど質問検査権の行使に当たり原告代表者らに対し社会通念上相当な限度を超える行為が行われた。 ウ以上のように本件各更正処分等に先立つ税務調査においては,重大な違法があるため,そのような調査結果に基づく本件各更正処分等も違法性を帯びる。 (2) 被告ア本件の調査担当者は,P7社の名称が記載された質問状をファクシミリに よりP3社に送信しているが,調査担当者は,当該ファクシミリの送信に先立つ聴取り調査の際にP3社の担当者からP7社の名称を用いた説明を受けており,P3社の担当者がP7社の名称を発言する前に,調査担当者がP3社に対し,P7社の名称を発言した事実はない。平成15年4月18日の調査時には,P14課長からP7社向けのモーターである旨の発言があり,平成16年4月2日の確認書にもP7社向けモーターという趣旨の記載がある。 また,仙台国税局職員は,本件質問書を回収していない。 イ原告が主張する上記イ①については,仙台国税局職員が資料の提出等を求めたが,これに対して,原告はほとんど回答せず,わずかにされた回答も不十分であったため繰り返し質問事項等に対する回答や資料の提出を求めたものにすぎない。同②については,仙台国税局職員が調査を実施したが,原告から必要と認められる資料の提出等がなかったため調査 回答も不十分であったため繰り返し質問事項等に対する回答や資料の提出を求めたものにすぎない。同②については,仙台国税局職員が調査を実施したが,原告から必要と認められる資料の提出等がなかったため調査を進展させることができず,独立企業間価格算定のための調査又は検討に時間を要したもので,必要以上に調査を長引かせた事実はない。同③については,仙台国税局職員が原告代表者に対し同業者や取引先への反面調査の必要性を説明した際に,原告代表者から「やむを得ないものと思われるが,P5社への調査はできれば控えてもらいたい」旨の要請に対し,「質問検査権に基づいて行うもので必要な確認まで控えるわけにはいかないが,確認する場合には相手方に加重な事務負担を強いることのないよう確認していきたい」旨返答したにとどまる。そもそも反面調査については,納税者の承諾を得る必要はない。また,同④についても,P15調査官が原告の主張するような違法な有形力の行使をした事実はない。 ウ仮に,原告が主張するような事実が存在したとしても,そのような事情は本件の調査手続が重大な違法を帯び,何らの調査なしに処分をしたに等しいものとの評価を受けるまでのものではなく,本件各更正処分等の取消原因にはなり得ない。

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