平成29(行ウ)144 消費税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年3月15日 東京地方裁判所
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判決文本文48,094 文字)

- 1 -平成31年3月15日判決言渡平成29年(行ウ)第144号消費税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(本判決においては,別紙3を含め,税額については,納付すべき税額が増加する方向をプラス,還付金の額に相当する税額が増加する方向をマイナスと見て,ある金額よりもプラス方向の部分を「超える部分」と表現し,マイナス方向の部分を「下回る部分」と表現することとする。)行橋税務署長が平成27年5月26日付けで原告に対してした平成25年4月24日から同月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)分の消費税及び地方消費税の更正処分(ただし,平成29年6月27日付けの更正処分による変更後のもの)のうち還付金の額に相当する消費税の額2415万5116円を超える部分及び還付金の額に相当する地方消費税の額603万8779円を超える部分並びに平成27年7月28日付けで原告に対してした過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成29年6月27日付けの変更決定による変更後のもの)をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,平成25年4月25日,福岡市α区内の土地並びに建物及び附属設備(以下,総称して「本件不動産」といい,本件不動産のうち土地を除く部分を「本件建物」という。)を代金7億円で買う旨の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結するとともに,本件売買契約の際に生じた所有権の移転及び根抵当権の設定の各登記手続に係る事務を司法書士(以下「本件司法書士」という。)に委任して当該委任に伴う報酬を支払う旨の約定を本件司法書士との間でした(以下,上記の報酬を「本件司法書 - 2 -士報酬」という。) 記手続に係る事務を司法書士(以下「本件司法書士」という。)に委任して当該委任に伴う報酬を支払う旨の約定を本件司法書士との間でした(以下,上記の報酬を「本件司法書 - 2 -士報酬」という。)として,本件建物の取得に係る支払対価の額及び本件司法書士報酬の額を合計した6億1362万2313円を,平成25年4月24日から同月30日までの課税期間(本件課税期間)の課税仕入れに係る支払対価の額(支払税額控除の対象となる額)に算入した上で消費税及び地方消費税(以下,総称して「消費税等」という。)の確定申告(以下,「本件確定申告」という。)をしたところ,行橋税務署長が,平成27年5月26日付けで,本件課税期間の消費税等の更正の処分(以下,「本件更正処分」という。ただし,本件更正処分は,平成29年6月27日付け更正処分(減額更正処分)により一部取り消されている。以下,本件更正処分については,特に区別する必要がある場合を除き,同日付けの更正処分による一部取消し後のものを指すものとする。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下,「本件賦課決定処分」という。ただし,本件賦課決定処分は,平成29年6月27日付け変更決定により一部取り消されており,以下,本件賦課決定処分については,特に区別する必要がある場合を除き,同日付けの変更決定による一部取消し後のものを指すものとする。また,以下,本件賦課決定処分と本件更正処分を総称するときは「本件更正処分等」という。)をしたため,本件更正処分等には,「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)の解釈及び適用を誤った違法があるなどとして,本件更正処分等の一部の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め」のとおりである。なお,同別紙において定めた略称等は,以下においても用いる 違法があるなどとして,本件更正処分等の一部の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め」のとおりである。なお,同別紙において定めた略称等は,以下においても用いることとする。 2 前提となる事実関係(当事者の間に争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実。以下「前提事実」という。)(1) 原告及びその関係者等ア合同会社A(以下「本件合同会社」という。)は,平成23年5月1 - 3 -1日,不動産の賃貸,売買,管理等を目的として設立され,B税理士(本件訴えにおける原告補佐人税理士の一人と同一の者である。)を唯一の業務執行社員及び代表社員としていたところ,平成25年4月24日,新設分割により原告を設立した上で,同年5月31日,解散し,平成26年1月8日,清算を結了した。 イ原告は,平成25年4月24日,本件合同会社の消費税法12条1項にいう新設分割子法人として,不動産の賃貸借及び所有,管理,利用等を目的とする株式会社として設立され,決算日を4月30日としている。 なお,原告の本件課税期間の消費税等の納税義務については,本件合同会社の平成23年5月11日から同月31日までの課税期間(以下「本件合同会社平成23年5月課税期間」という。)を基準期間として,本件合同会社平成23年5月課税期間における本件合同会社の課税売上高である124万2990円を1年当たりの課税売上高に換算した金額である1491万5880円によって判定されることとなるところ,上記のとおり,本件合同会社平成23年5月課税期間における1年当たりに換算された課税売上高が1000万円を超えることから,消費税等の納税義務を負う者に該当するものとして取り扱われることとなった。 ウ本件司法書士は,原告から,本件不動産の所有権の移転及び根抵当権 に換算された課税売上高が1000万円を超えることから,消費税等の納税義務を負う者に該当するものとして取り扱われることとなった。 ウ本件司法書士は,原告から,本件不動産の所有権の移転及び根抵当権の設定の各登記手続に係る事務の委任を受けた者である。 (2) 本件売買契約等についてア原告は,平成25年4月25日,本件不動産の前所有者(以下「本件売主」という。)との間で,本件不動産を代金7億円で買う旨の売買契約(本件売買契約)を締結した。本件売買契約に係る契約書(甲3の1。 以下「本件売買契約書」という。)には,次のような約定がある。 (ア) 原告は,本件売買契約の締結と同時に,本件売主に対し,手付1000万円を支払い(本件売買契約3条1項),平成25年5月31日 - 4 -までに,本件売主に対し,残金6億9000万円を支払う(本件売買契約5条)。原告が本件売主に対して残金を支払ったときは,上記の手付は売買代金の一部に充当する(本件売買契約3条2項)。 (イ) 本件不動産の所有権は,売買代金の全額が支払われたときに原告に移転する(本件売買契約6条)。 (ウ) 本件売主は,原告に対し,売買代金の全額を受領したと同時に本件不動産を引き渡す(本件売買契約7条)。 (エ) 本件売主は,売買代金の全額を受領したと同時に本件不動産の所有権の移転の登記手続をしなければならない(本件売買契約8条1項)。 登記手続に要する費用は,原告の負担とする(同条2項)。 (オ) 本件不動産に対して賦課される固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)については,本件不動産の引渡しの日の前日までの部分を本件売主が,本件不動産の引渡しの日以後の部分を原告が,それぞれ負担する(本件売買契約12条1項)。 (カ) 本件不動産から生ずる収益については については,本件不動産の引渡しの日の前日までの部分を本件売主が,本件不動産の引渡しの日以後の部分を原告が,それぞれ負担する(本件売買契約12条1項)。 (カ) 本件不動産から生ずる収益については,本件不動産の引渡しの日の前日までの部分は本件売主に,本件不動産の引渡しの日以後の部分は原告に,それぞれ帰属するものとする(本件売買契約13条)。 (キ) 本件売主は,原告に受領済みの手付金の倍額を支払い,また原告は,本件売主に支払済みの手付金を放棄して,それぞれ本件売買契約を解除することができる(本件売買契約14条1項)。 イ(ア) 原告は,平成25年4月25日,本件売主に対し,手付1000万円を支払い,同年5月30日,残金6億9000万円を支払った。 (イ) 本件司法書士は,平成25年5月30日,本件不動産の所有権の移転の登記及び根抵当権の設定の登記の各申請をし,同日,本件不動産の所有権の移転の登記及び根抵当権の設定の各登記がされた。 (ウ) 原告は,平成25年5月30日,本件司法書士に対し,本件司法書 - 5 -士が前記(イ)の登記の申請に係る事務の処理をしたことに対する報酬等(登録免許税等の立替金を含む。)837万8109円を支払った。 (エ) 原告及び本件売主は,本件不動産に対して賦課された固定資産税等については,平成25年5月30日を基準にあん分して負担することとし,同月29日までの部分を本件売主が,同月30日以降の部分を原告が,それぞれ負担した。 (オ) 本件売主は,本件不動産から生ずる収益のうち平成25年5月29日までの部分の賃料の支払を受け,原告は,同月30日以降の部分の賃料の支払を受けた。 (3) 本件更正処分等に至る経緯等ア原告は,法定申告期限までに,行橋税務署長に対し,本件課税期間の消費税等について, の賃料の支払を受け,原告は,同月30日以降の部分の賃料の支払を受けた。 (3) 本件更正処分等に至る経緯等ア原告は,法定申告期限までに,行橋税務署長に対し,本件課税期間の消費税等について,別表1の「確定申告」欄記載のとおり確定申告(本件確定申告)をした。 イ行橋税務署長は,原告に対し,平成27年5月26日付けで,別表1の「更正処分」欄記載のとおり,本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付けの更正の処分による一部取消し前のもの)を,平成27年7月28日付けで,同表の「賦課決定処分」欄記載のとおり,本件賦課決定処分(ただし,平成29年6月27日付けの変更決定による一部取消し前のもの)を,それぞれした。なお,行橋税務署長が,本件更正処分(ただし,同日付けの更正の処分による一部取消し前のもの)をした際,原告に対して提示した理由は,別紙2のとおりである。 ウ原告は,平成27年7月14日(本件更正処分につき)及び同年8月11日(本件賦課決定処分につき),行橋税務署長に対し,別表1の「異議申立て」欄記載のとおり,それぞれ,本件更正処分等(ただし,平成29年6月27日付けの更正の処分及び同日付けの変更決定による各一部取消し前のもの)について異議申立て(以下,総称して「本件異 - 6 -議申立て」という。)をしたが,行橋税務署長は,平成27年9月30日付けで,原告に対し,本件異議申立てをいずれも棄却する旨の決定(以下「本件異議決定」という。)をした。 エ原告は,平成27年10月30日付けで,国税不服審判所長に対し,別表1の「審査請求」欄記載のとおり,本件異議決定を経た後の本件更正処分等(ただし,平成29年6月27日付けの更正の処分及び同日付けの変更決定による各一部取消し前のもの)になお不服があるとして審査請求(以下「本件審 」欄記載のとおり,本件異議決定を経た後の本件更正処分等(ただし,平成29年6月27日付けの更正の処分及び同日付けの変更決定による各一部取消し前のもの)になお不服があるとして審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたところ,国税不服審判所長は,平成28年10月21日付けで,原告に対し,別表1の「審査裁決」欄記載のとおり,本件審査請求を棄却する旨の裁決(本件裁決)をした。 (4) 本件訴えの提起原告は,平成29年4月1日,本件訴えを提起した。 なお,行橋税務署長は,平成29年6月27日付けで,本件更正処分等(ただし,同日付けの更正の処分及び同日付けの変更決定による各一部取消し前のもの)の一部を取り消す旨の決定をした。 原告は,同年10月27日,本件訴えの一部を取り下げ,被告は,同年11月8日,これに同意した。 3 本件更正処分等の根拠及び適法性本件更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張は,後記5におけるもののほか,別紙3「本件更正処分等の根拠及び適法性」並びに別表2及び3に,それぞれ記載されているとおりである。 4 争点(1) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か(争点(1))(2) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1 - 7 -項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か(争点(2))(3) 本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か(争点(3))(4) 本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か(争点(4))(5) 原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か(争点(5)) 5 争点に対する当事者の の処分による一部取消し前のもの)についての理由の提示に不備があるか否か(争点(4))(5) 原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か(争点(5)) 5 争点に対する当事者の主張の要点(1) 争点(1)(本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か)(被告の主張の要点)ア(ア) 消費税法は,資産の譲渡人からみた場合の課税資産の譲渡等であるものをもって,当該資産の譲受人からみた場合の課税仕入れであるとしているのであって,課税資産の譲渡等と課税仕入れとは表裏一体の関係にあるものとしている(同法2条1項12号参照)。そして,同法は,課税資産の譲渡等の日がいつであるのかについて具体的な規定を設けていないが,課税資産の譲渡等をした時が消費税等を納付する義務の成立時期であるとされていること(国税通則法15条2項7号)及び消費税法が資産の譲渡等により譲渡人の下で生じた付加価値が移転することを捉えて消費税等を課税する対象としていることを併せ考慮すると,上記の課税資産の譲渡等の日とは,その資産についてその同一性を保持しつつ他人に移転することにより譲渡人の下で生じた付加価値が移転した時をいうものと解すべきであり,具体的には,当該資産が譲渡人から譲受人に対して引き渡された日をいうものと解すべきである。その上で,同法は,課税仕入れを行った日がいつであるかについて具体的な規定を設けていないものの,上記のとおり,同 - 8 -法が,課税資産の譲渡等と課税仕入れとを表裏一体の関係にあるものとしていることに照らすと,課税仕入れを行った日とは,譲受人が当該資産の引渡しを受けた日であると解すべきである。 (イ) 消費税法は,資産の引渡しがあった日がいつであるかについて具 の関係にあるものとしていることに照らすと,課税仕入れを行った日とは,譲受人が当該資産の引渡しを受けた日であると解すべきである。 (イ) 消費税法は,資産の引渡しがあった日がいつであるかについて具体的な規定を設けていないものの,当該資産の内容,性質,当該資産の移転に係る契約又は取引の内容等に応じて個別具体的に検討すべきであり,固定資産の譲渡に関しては,代金の支払の有無,対抗要件である所有権の移転の登記の具備の有無,当該資産の譲渡に係る契約内容の履行状況等に鑑み,当該固定資産の現実の支配がいつ移転したかを判断し,当該固定資産の取引における引渡しの日として合理的であると認められる日をいうものと解すべきである。 イ本件においては,①原告と本件売主が,本件売買契約において,本件不動産の売買代金の支払と所有権の移転の登記及び引渡しとを同時履行とすることを約していること,②原告と本件売主が,本件売買契約において,本件不動産から生ずる収益について,本件不動産の引渡しの日をもって区分し,本件不動産の引渡しの日以後の分は原告に帰属する旨を約し,現実にもそのとおり処理されていること,③原告と本件売主が,本件売買契約において,本件不動産に対して賦課される固定資産税等について,本件不動産の引渡しの日をもって区分し,本件不動産の引渡しの日以後の部分を原告が負担すべきものとする旨を約し,現実にもそのとおり処理されていること,④原告は,平成25年5月30日,本件売主に対し,本件売買契約における売買代金の全額を支払ったこと,⑤原告は,同日,本件不動産に根抵当権を設定し,その旨の登記手続をしたことの各事実が認められる。これらによれば,本件不動産については,同日に売買代金の全額が支払われるとともに,所有権の移転の登記及び本件建物の引渡しがされ,かつ,固定資産税 し,その旨の登記手続をしたことの各事実が認められる。これらによれば,本件不動産については,同日に売買代金の全額が支払われるとともに,所有権の移転の登記及び本件建物の引渡しがされ,かつ,固定資産税等の負担及び本件不動産か - 9 -ら生ずる収益の配分も同日を基準にされているだけではなく,原告自身も,同日に本件不動産に根抵当権を設定していることになるから,本件売買契約の内容のみならず,実際に行われた取引の内容からも,同日に本件不動産の所有権が原告に移転し,原告が本件不動産の使用収益を開始したものということができ,同日に本件不動産の引渡しがあったと認められる。 したがって,本件建物の売買代金に係る課税仕入れを行った日は,平成25年5月30日であるから,本件課税期間に属さないというべきである。 ウ(ア) 消費税等が,各取引段階において移転,付与される付加価値に着目して課される付加価値税の性質を有する多段階一般消費税であり,仕入税額控除の制度は,税負担の累積を防止するために仕入れに含まれている消費税等の額を控除するものであるから,事業者が事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けたとしても,その仕入れに対応する売上げがいわゆる非課税売上げであれば,税の累積を防止することを考慮する必要がないから,非課税売上げに対応する課税仕入れに係る消費税等の額は,本来的に仕入税額控除の制度の対象となり得ない。そして,事業者の事務負担への配慮から,例外的に,課税売上高が5億円以下の比較的小規模の事業者のうち課税売上割合が95%以上であって非課税売上げの割合の少ない課税事業者については,簡便な方法として,仕入税額の全額の控除を認めているものの,単に,消費税等の額に相当する金額の還付を受けることのみを目的として上記の仕 %以上であって非課税売上げの割合の少ない課税事業者については,簡便な方法として,仕入税額の全額の控除を認めているものの,単に,消費税等の額に相当する金額の還付を受けることのみを目的として上記の仕入税額の全額の控除の制度を用い,かつ,本件通達ただし書の定めるところにより,当該資産に係る消費税の仕入税額控除を受けることは,消費税及び仕入税額控除の制度の趣旨に反するものというべきである。 - 10 -本件においては,次の事実経過のとおり,原告は,本件課税期間において課税事業者となり,非課税売上げに対応する課税仕入れに該当するものとして,その大半が仕入税額控除の対象とならない本件建物を取得し,1か月に満たない期間である本件課税期間内において,原告の事業目的と関連のない少量の金地金を売買することによって本件課税期間の課税売上割合を100%とする一方で,本件売買契約を平成25年4月25日に締結し,また,同日付けで未払金勘定を相手科目として本件不動産を資産計上し,確定的に本件不動産の所有権が原告に移転した旨の経理処理をしたものであって,このような原告の行為は,単に消費税等の額に相当する金額の還付を受けることを目的として,本件通達ただし書の定めるところによって本件建物の取得に係る消費税の仕入税額控除の制度の適用を受けようとしたものといえ,消費税法及び仕入税額控除の制度の趣旨に反するから,本件通達ただし書の定めるところによることが許されないというべきである。 a 本件合同会社は,平成23年5月23日,金地金300グラムを購入し,同月30日,同金地金を売却することにより,本件合同会社のわずか1か月にも満たない課税期間である本件合同会社平成23年5月課税期間において,少額の課税売上げを発生させた。なお,本件合同会社は,本件合同会社が設立され 金を売却することにより,本件合同会社のわずか1か月にも満たない課税期間である本件合同会社平成23年5月課税期間において,少額の課税売上げを発生させた。なお,本件合同会社は,本件合同会社が設立された同月11日から本件合同会社の清算が結了した平成26年1月8日までの間,上記の金地金の売買以外の事業活動をしていない。原告は,本件合同会社の新設分割子法人であるため,原告の本件課税期間の消費税等の納税義務は,本件合同会社平成23年5月課税期間を基準期間としてその間の課税売上高を1年当たりに換算したところにより判定することとなる結果,原告は,本件課税期間において課税事業者となった。 b 原告は,平成25年4月25日,金地金5グラムを購入し,同月 - 11 -26日,これを売却することにより,本件課税期間において少額の課税売上げを発生させ(なお,本件課税期間においては,本件建物に係る賃料収入が原告に発生しなかった。),原告の本件課税期間の課税売上割合を95%以上(100%)とした。その上で,原告は,本件売主との間で,本件課税期間内である同月25日,本件売買契約書を作成したのみで,それ以外に本件不動産の所有権等が確定的に原告に移転した事実がないのに,同日付けで未払金勘定を相手科目として本件建物を資産計上し,所有権等が原告に移転したとする経理処理をした。 これにより,原告は,本件建物が人の居住の用に供する賃貸用の建物であることから,非課税売上げに対応する課税仕入れに該当するものとして,本来はその大半が仕入税額控除の対象とはならない本件建物の取得に係る消費税等の全額を,仕入税額控除の対象とした。 c 原告は,平成25年5月30日,本件売主に対し,本件不動産の売買代金の全額を支払い,本件不動産の所有権を原告に確定的に移転させ,本件建物の使 係る消費税等の全額を,仕入税額控除の対象とした。 c 原告は,平成25年5月30日,本件売主に対し,本件不動産の売買代金の全額を支払い,本件不動産の所有権を原告に確定的に移転させ,本件建物の使用収益を開始することにより,本件課税期間に非課税売上げである本件建物に係る賃料収入を発生させないものとし,本件建物の取得に係る消費税等の全額を仕入税額控除の対象となる金額に算入することにより,その大部分の還付を受けることができる旨の本件確定申告をした。 (イ) 原告は,課税仕入れの時期に関する問題は,仕入税額控除の趣旨とは無関係であって,被告が本件建物の譲受けについて課税仕入れが行われるべきではないという価値判断を主張するにすぎない旨主張する。 しかし,被告は,本件の事実関係(前記(ア)aからcまで)においては,仕入税額控除の趣旨から判断して,本件建物の引渡しの日が平 - 12 -成25年5月30日であったことは客観的に明白である以上,単に消費税等の還付を受けることのみを目的として本件通達ただし書の定めに従うことができない旨を主張しているのであって,仕入税額控除の趣旨に反して相当ではないことをもって原告の仕入税額控除を適法にすることができない旨を主張するものではない。また,原告は,本件確定申告において,非課税売上げの発生がなく,金地金の少額の売却額のみを課税資産の譲渡等の対価の額として課税売上割合を100%にし,本件不動産の引渡しを受けていない平成25年4月25日付けで処理した本件建物の売買代金に係る消費税等の額について,あえて本件通達ただし書の定めに従って仕入税額控除の対象となる金額に算入することにより,本件建物の売買代金に係る消費税等の額の大部分の還付を受けることを内容とする確定申告をしており,さらに,本件課税期間の翌課税期間 し書の定めに従って仕入税額控除の対象となる金額に算入することにより,本件建物の売買代金に係る消費税等の額の大部分の還付を受けることを内容とする確定申告をしており,さらに,本件課税期間の翌課税期間以降に課税売上げがほぼ発生しないことを利用し,本件建物が調整対象固定資産(消費税法2条1項16号,消費税法施行令5条1号)に該当するにもかかわらず,事後的な調整措置(消費税法33条1項,3項)による課税をも免れようとしたものであって,仕入税額控除の趣旨に従った同法が想定する課税が実現されない事態を作出したものであり,原告の主張は,同法の趣旨に反するものである。 エ(ア) 原告は,本件通達ただし書が,納税者が課税仕入れを行った日を選択することができることを前提とする主張をする。 しかし,本件通達ただし書は,土地,建物,構築物等については,一般的にその引渡しの事実関係が外形上明らかでないことが多いので,事業者がその譲渡契約の効力の発生の日(一般には,特約のない限り,契約締結の日)を譲渡の日としている場合は,これを認める趣旨のものであり,引渡しの日が明らかでない場合であっても,付加価値の移 - 13 -転等に対する課税の必要性が否定されないから,契約を締結した日という特定の日を課税の時期の徴表とし,引渡しに準じた取扱いをすることとしたものであり,引渡しの日を認識することが困難な場合を補完する趣旨のものである。そして,消費税法が資産の譲渡等により譲渡人の下で生じた付加価値が移転するのを捉え,消費税等の課税対象としており,課税資産の譲渡等をした時が消費税等を納付する義務の成立時期であるとされていることや,いわゆる権利確定主義(時期の判断において権利の確定した日を基準とする考え方)がいうところの権利の確定が認められるためには,権利の発生にとど 費税等を納付する義務の成立時期であるとされていることや,いわゆる権利確定主義(時期の判断において権利の確定した日を基準とする考え方)がいうところの権利の確定が認められるためには,権利の発生にとどまらず,当該権利の実現可能性を客観的に認識することができ,権利の実現が可能な状態となること(当該資産の所有権が譲渡人から譲受人に確定的に移転し,代金債権が成立していること)が必要であると解されることからすれば,課税資産の譲渡等の日及びこれと表裏一体の関係にある課税仕入れを行った日は,いずれも資産の引渡しがあった日をいうものと解すべきであって,本件通達ただし書の定めるところによることができるか否かは,資産の引渡しの事実関係が明らかであるか否かによって判断され,資産の引渡しに関する事実関係が客観的に明らかな場合には,本件通達ただし書の定めるところによることができないと解すべきである。 本件においては,前記イのとおり,平成25年5月30日に本件建物の引渡しがあったことが客観的に明らかであり,かつ,本件売買契約が締結された時点においては,本件不動産の売買代金の支払と引き換えに本件不動産の引渡し及び所有権の移転の登記を受ける権利が抽象的に発生しているにすぎないから,本件通達ただし書の定めるところによることができないというべきである。 (イ)a 原告は,建物の譲渡に関する時期の判断は,所得税法及び法人税 - 14 -法においては権利確定主義により,契約の効力発生日となる旨主張する。 しかし,権利確定主義によっても,ある事業年度において発生した収益や費用は,同じ期間に実現したものでなければならない(いわゆる実現主義)とされている。また,法人税法上,ある収益又は費用の額をどの事業年度の益金又は損金の額に算入すべきかは,公正処理基準(法人税法2 費用は,同じ期間に実現したものでなければならない(いわゆる実現主義)とされている。また,法人税法上,ある収益又は費用の額をどの事業年度の益金又は損金の額に算入すべきかは,公正処理基準(法人税法22条4項)に従って判断すべきであり,その実現があった時の属する事業年度の益金又は損金の額に算入すべきであると解される。そして,権利確定主義における権利の確定は,権利の行使が可能となった時点であって,単なる権利の発生した時期と同義ではないから,権利の確定を単なる契約の締結のみで足りるとするのは,独自の見解であるにすぎない。 したがって,権利確定主義を前提としたからといって直ちに,建物の譲渡に関する時期が契約の効力発生日となるとはいえない。 b 原告は,法人税法上も,資産の引渡しがあった日と契約の効力の発生の日のいずれの日とするかについて納税者の選択可能性が認められている旨主張する。 しかし,同法上,収益は収入の原因となる権利が確定した時の属する事業年度の益金の額に算入されることとされており(前記a),固定資産の譲渡に係る収益にあっては,当該固定資産を引き渡すことにより,収入すべき権利である譲渡に係る対価を受領する権利が確定するから,法人税基本通達2-1-14ただし書は,引渡しに係る事実関係が外形上明らかではなく,引渡しの時期を認識することが困難な場合を前提とするものであり,資産の引渡しが明らかな場合には,適用されないものというべきである。なお,本件においては,原告の法人税に係る更正はされていないが,これは,原告が - 15 -本件建物を取得したことに係る計上時期を誤ったことによる原告の所得の増減がなかったため,国税通則法24条が規定する要件を満たさなかったことに起因するにすぎず,原告がした計上時期が適正であったことによるものではな したことに係る計上時期を誤ったことによる原告の所得の増減がなかったため,国税通則法24条が規定する要件を満たさなかったことに起因するにすぎず,原告がした計上時期が適正であったことによるものではない。 c 原告は,特に中小企業については企業会計の要請が妥当することも少ないから,法人税法における益金の額の算入の基準として,契約の効力発生の日も算入の基準の日として認められている旨主張する。 しかし,同法22条4項にいう一般に公正妥当と認められる会計処理の基準とは,一般社会通念に照らして公正で妥当であると評価され得る会計処理の基準を意味し,中小企業の会計に関する指針及び基本要領も含まれるところ,中小企業においても,収益については権利確定主義が妥当するものと解され,その余の法人と異なる取扱いがされているわけではないから,原告の主張は,失当である。 (ウ) 原告は,消費税法の課税標準が付加価値であることを前提に,付加価値の移転の時期が課税資産の譲渡の日(具体的には課税資産の引渡しの日)である旨を被告が主張しているとの理解を前提に,被告の上記の主張が,同法における課税標準は,課税資産の譲渡等の対価の額である(同法28条1項)ことに反するものである旨主張する。 しかし,被告は,消費税の課税標準について,個々の課税資産の付加価値の移転に着目して課税している旨を主張しているものではなく,消費税の課税の仕組みの観点から消費税が付加価値に対して課税される旨を主張しているものであって,原告は,被告の主張を正解していない。 (原告の主張の要点)ア(ア) 固定資産の譲受けに係る課税仕入れを行った日は,固定資産を譲り - 16 -受けた日を意味するところ,不動産の売買契約における固定資産を譲り受けた日については,契約日のほかに決済日や現実の引渡し 固定資産の譲受けに係る課税仕入れを行った日は,固定資産を譲り - 16 -受けた日を意味するところ,不動産の売買契約における固定資産を譲り受けた日については,契約日のほかに決済日や現実の引渡し日等が設定されることも多く,着目し得る事項が多岐にわたるから,契約の性質上,当然に一定の日に資産を譲り受けたと評価することができない。 また,消費税法が施行された直後において,仕入税額控除に関する課税仕入れを行った日については,原則として,当該事業者が法人税又は所得税の所得金額の計算において計上することとされている費用の計上時期による旨の見解が示されていたことにも照らすと,固定資産の課税仕入れを行った日は,法人税又は所得税における帳簿との事実上の平仄を合わせ,固定資産の譲渡(譲受け)の日とすべきであり,具体的には,固定資産の譲渡に係る引渡しのあった日又は契約の効力が発生した日のいずれかを選択して課税仕入れを行った日とすることができると解すべきである。 (イ) 消費税法は,「資産の譲渡等」がいつ行われたのかの判断基準について具体的な規定を設けていないが,その「対価の額」については,「対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額」(同法28条1項本文括弧書き)と規定していることに加え,仮に,同法が,「資産の譲渡等」がいつ行われたのかの判断基準について,所得税法又は法人税法と異なる基準を定めた場合,消費税法の申告を目的とした個別の資料及び帳簿を別途作成した上で申告をすることにならざるを得ず,納税者及び課税庁の事務作業が著しく過大となって簡便性を欠くことになることから,所得税法又は法人税法と同様,権利確定主義を基準として,消費税法上の「資産の譲渡等」の時期を判断すべきものと解すべきである。 課税庁の事務作業が著しく過大となって簡便性を欠くことになることから,所得税法又は法人税法と同様,権利確定主義を基準として,消費税法上の「資産の譲渡等」の時期を判断すべきものと解すべきである。 - 17 -そして,所得税法においては,建物の譲渡に関する課税は一般に譲渡所得として課税され,その性質上,契約の効力発生日を基準とすべきであり,所得税基本通達36-12においても,譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は,譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとするが(本文),納税者の選択により,当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは,これを認める(ただし書)旨が定められており,資産の引渡しがあった日と契約の効力発生の日のいずれの日とするかについて納税者の選択可能性が認められている。また,法人税法においては,建物の譲渡による収益の計上時期に関し,法人税基本通達2-1-14において,固定資産の譲渡による収益の額は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入するが(本文),その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場合において,法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは,これを認める(ただし書)旨が定められており,所得税基本通達36-12と同様,資産の引渡しがあった日と契約の効力発生の日のいずれの日とするかについて納税者の選択可能性が認められている。そして,本件通達においても,建物の譲渡に関し,引渡しがあった日と契約の効力発生の日のいずれの日を基準とするのかについて,納税者の選択可能性を認める旨が定められている。このことは,消費税法が,消費税の仕組みについて,我が国における取引慣 関し,引渡しがあった日と契約の効力発生の日のいずれの日を基準とするのかについて,納税者の選択可能性を認める旨が定められている。このことは,消費税法が,消費税の仕組みについて,我が国における取引慣行及び納税者の事務負担に極力配慮したものとする旨を規定した税制改革法10条2項を受けて制定されたものであることとも整合的である。 このように,所得税法,法人税法及び消費税法は,いずれも,建物の譲渡に関する時期の判断基準を統一的に定めているものであり,少 - 18 -なくとも契約の効力発生日を基準とすることを排除していないことは明らかである。 イ(ア) 被告は,消費税法の課税標準が付加価値であることを前提に,付加価値の移転の時期が課税資産の譲渡の日(具体的には課税資産の引渡しの日)であるところ,課税仕入れを行った日と課税資産の譲渡の日は表裏一体であるとして,建物の引渡しの日が課税仕入れを行った日である旨主張する。 しかし,同法における課税標準は,課税資産の譲渡等の対価の額である(同法28条1項)から,被告の主張は,同法の明文に反するし,付加価値の移転の日が課税資産の引渡しの日であるとする主張も,結論を理由として主張するにすぎず,引渡しの日を基準とすべき理由を主張するものではない。また,被告の主張は,契約の効力発生日を基準とする余地があることを認める本件通達とも矛盾するから,失当である。 なお,被告は,個々の課税資産の付加価値の移転に着目して課税している旨を主張しているのではなく,消費税の課税の仕組みの観点から付加価値を主張している旨主張するが,被告の主張は,個々の資産の付加価値の移転に着目しているものであって,およそ理由がない。 (イ) 被告は,本件通達ただし書は,権利確定主義によらずに契約の効力が発生した日を基準とすることを自 るが,被告の主張は,個々の資産の付加価値の移転に着目しているものであって,およそ理由がない。 (イ) 被告は,本件通達ただし書は,権利確定主義によらずに契約の効力が発生した日を基準とすることを自由に選択することを認める趣旨のものではないとして,課税資産の引渡しの事実関係が客観的に明らかな場合には適用することができない旨主張する。 しかし,本件通達ただし書には,引渡しの事実関係が客観的に明らかか否かで区別する旨の内容は全く示されておらず,むしろ,消費税法基本通達は,引渡しの日について諸事情を考慮し,引渡しの日が不明な場合でも一定の結論が出せるように基準を示している(消費税法 - 19 -基本通達9-1-2)から,被告の想定するような例外はそもそも生じ得ない。また,権利確定主義を前提とするとしても,権利が確定的に発生した場合を一義的に定めることはできず,複数の基準があり得るものであり,不動産の取引においては契約の効力が発生した日も権利が確定的に発生した場合の基準として合理的なものとして本件通達ただし書に記載されているのである。さらに,所得税基本通達36-12及び法人税基本通達2-1-14においても,同様の基準が示されているが,これらについて制限的に解釈すべきであることを示すものは存在しない。 したがって,被告の主張は,失当である。 (ウ) 被告は,①原告が金地金の取引により課税売上割合を100%としたこと,②本件建物は非課税売上げに対応する課税仕入れとしてその大半が仕入税額控除の対象とならないこと及び③本件課税期間に経理処理をしていることの各事情を挙げ,本件において本件通達ただし書の定めに従うことが,仕入税額控除の趣旨に反して相当ではない旨主張する。 しかし,上記①については,適法な取引であって被告が否認したものでもなく ることの各事情を挙げ,本件において本件通達ただし書の定めに従うことが,仕入税額控除の趣旨に反して相当ではない旨主張する。 しかし,上記①については,適法な取引であって被告が否認したものでもなく,課税売上割合を100%とすることも是認されている。 上記②については,非課税売上げに対応するか否かを考慮すべきなのは,課税売上高が5億円を超え又は消費税法上課税売上割合が95%に満たない場合であって,原告が本件課税期間においてこれらに該当しないことには争いがない以上,被告の主張は仮定的なものにすぎない。上記③については,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準の観点から否認されておらず,経理処理として適正かつ適法である。 しかも,本件建物に関する仕入税額控除を本件課税期間に行うべきか,本件課税期間の翌課税期間に行うべきかという課税仕入れの時期に関 - 20 -する判断は,仕入税額控除の趣旨とは無関係である。 結局のところ,被告の主張は,本件建物の譲受けについて課税仕入れが行われるべきではないという価値判断を述べるものにすぎず,失当である。なお,被告は,本件建物の譲受けの処理に関し,消費税法33条の対象とならないことも指摘するが,同条の適用がないことは,同条の規定による当然の帰結であって,法の趣旨に合致するものであるから,法の趣旨に適合した結果を非難するものであって失当である。 (エ) 被告は,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(公正処理基準)が企業会計を意味するものであることを前提に,企業会計においては,不動産取引における収益の計上の基準が引渡しの日を基準としているとして,法人税基本通達2-1-14ただし書は,不動産の引渡しの日が明らかな場合に係る定めではない旨主張する。 しかし,法人税法における課税対 における収益の計上の基準が引渡しの日を基準としているとして,法人税基本通達2-1-14ただし書は,不動産の引渡しの日が明らかな場合に係る定めではない旨主張する。 しかし,法人税法における課税対象となる所得の額の算出のためには,最終的に会計基準によるのではなく,法人税基本通達等によって具体的な解釈基準が定められているところの法律により定められた基準に従った益金又は損金の額への算入が根拠となるから,被告の主張は,企業会計原則等と法律としての法人税法との関係性,構造等について同法22条の趣旨や文言からかい離したものといわざるを得ない。 (オ) 被告は,不動産の取引について当該不動産の引渡しの日が明らかな場合には,法人税基本通達2-1-14ただし書の定めによることができない旨主張する。 しかし,法人税基本通達2-1-14ただし書には,引渡しの日が明らかな場合にはそれによることができない旨の定めはなく,そのような解釈をとる税理士も見当たらない。また,法人税法の課税実務においても,益金の額への算入については,実現していない所得や存在 - 21 -しない益金を算入することは認められないが,早めに算入することを否定することはなく,特に中小企業については企業会計の要請が妥当することも少ないから,同法における益金の額の算入の基準として,契約の効力発生の日も算入の基準の日として認められている。さらに,不動産の引渡しの時期は,一般的に不明確であるが,契約の効力が生じれば,その権利の実現の確実性が相当高いといえることから,契約の効力発生の日を収益の計上の基準とすることは,同法22条2項,4項により許容されるものと解され,これを確認しているのが法人税基本通達2-1-14ただし書である。 このように,法人税基本通達2-1-14ただし書も,法人税法2 基準とすることは,同法22条2項,4項により許容されるものと解され,これを確認しているのが法人税基本通達2-1-14ただし書である。 このように,法人税基本通達2-1-14ただし書も,法人税法22条4項の趣旨に適合した一般に公正妥当と認められる会計処理の基準の一つとして存在しているところ,被告は,これを制限的に解釈すべき論拠も,収益として計上することができる日を契約の効力発生の日とすることができる具体的な場合も,何ら主張していない。 (2) 争点(2)(本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か)(被告の主張の要点)ア消費税法は,「課税仕入れ」(消費税法2条1項12号)とは,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けることをいうものである旨を規定しているところ,「役務の提供」とは,種々のサービスを提供することであって,専門的知識,技能等に基づく役務の提供もこれに含まれると解すべきである。 そして,消費税等は,最終的な消費行為よりも前の段階で物品やサービスに対する課税が行われ,税負担が物品やサービスのコストに含められて最終的に消費者に転嫁することが予定されている間接税であ - 22 -り,かつ,各取引段階において移転,付与される付加価値に着目して課される付加価値税の性質を有するものであるところ,同法は,上記のような役務の提供において生じた付加価値が付与されるのを捉えて消費税等の課税の対象としていると解されること等に照らすと,役務の提供については,役務の提供の全部を完了した日をもって,「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)と認めるべきである。 本件においては,原告が支払った本件司法書士報酬は,原告が購入 すと,役務の提供については,役務の提供の全部を完了した日をもって,「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)と認めるべきである。 本件においては,原告が支払った本件司法書士報酬は,原告が購入した本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の対価であると認められるところ,本件司法書士は,平成25年5月30日,本件不動産の所有権移転登記及び原告の債務を被担保債権とする根抵当権の設定登記の各申請をし,同日,これらの登記が経由されたのであるから,本件司法書士が原告から委任を受けた本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の全部を完了した日は,同日であると認められる。 したがって,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)は,平成25年5月30日であり,同日は,本件課税期間に属する日ではないから,本件司法書士報酬に係る消費税等の額を本件課税期間の控除対象仕入税額に算入することはできない。 イ(ア) 原告は,平成25年4月25日,本件司法書士との間で,原告が本件司法書士に対し,本件不動産の登記申請等に係る事務の処理を委任したところ,当該委任契約は,仮に何らかの事情で登記手続を完了することができなかった場合に,本件司法書士が原告に対して報酬の支払請求をすることができない旨の約定を含むものではないから,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)は,本件司法書士との間で委任契約を締結した同日である旨主張する。 - 23 -しかし,委任契約の場合,受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは,受任者は,既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる(民法648条3項)が,これは,委任が仕事の完成を目的としていないことによるものである上,期間によって報酬 行の中途で終了したときは,受任者は,既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる(民法648条3項)が,これは,委任が仕事の完成を目的としていないことによるものである上,期間によって報酬を定めた場合を除き,委任事務を履行したときに報酬請求権が発生するものとされている(同条2項)から,委任事務に係る「課税仕入れを行つた日」は,委任事務が完了して報酬を収受する権利が確定した時点と解すべきである。 また,原告が本件司法書士に本件不動産の登記手続に係る事務を委任したのは,委任状(乙35の24枚目及び35枚目)によれば,平成25年5月30日であると認められる反面,原告の主張の根拠は,原告が作成した帳簿(甲4)であるにすぎず,原告の主張は客観的な証拠によって裏付けられていない。 したがって,原告の主張は,失当である。 (イ) 原告は,本件司法書士報酬については,登記を行うべき不動産,当該不動産の対価の額及び登記手続の予定日が確定した時点である委任契約の効力が生じた日に報酬を支払う蓋然性があるということができるのであり,支払うべき報酬の額が確定した日をもって課税仕入れの時期とすることが消費税法の趣旨に沿うものということができる旨主張する。 しかし,同法における資産の譲渡等の時期についても,権利確定主義による判断が妥当するから,役務の提供の全てが完了したときをもって「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)と考えることが原則である。その上で,部分完成的にその役務の提供が完了し,報酬の授受もその部分については完結的に行われるときについてまで全体の役務の提供の完了まで資産の譲渡等が行われていないとするのは - 24 -合理的でないことから,役務の提供が部分的に完了した都度,その部分について報酬の支払を受けるような事実関係にある場 全体の役務の提供の完了まで資産の譲渡等が行われていないとするのは - 24 -合理的でないことから,役務の提供が部分的に完了した都度,その部分について報酬の支払を受けるような事実関係にある場合には,全体の役務の提供の完了を待たずにその部分的に支払が確定した報酬に係る役務の提供について,その都度,資産の譲渡等を行ったものとすべきである(消費税法基本通達9-1-11)。 そうすると,本件の事実関係を前提とする限り,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)について,支払うべき報酬の額が確定した日であるとは解し得ないのであり,原告の主張は,失当である。なお,原告は,本件司法書士との間の委任契約が平成25年5月30日よりも前に締結されたことを示す証拠を何ら提出しておらず,原告の主張は,具体的事実関係に即しているものとはいえないのであり,その意味においても,失当である。 (原告の主張の要点)ア原告は,平成25年4月25日,本件司法書士との間で,原告が本件司法書士に対し,本件不動産の登記申請等に係る事務の処理を委任したところ,当該委任契約は,仮に何らかの事情で登記手続を完了することができなかった場合に,本件司法書士が原告に対して報酬の支払請求をすることができない旨の約定を含むものではないから,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)は,本件司法書士との間で委任契約を締結した同日である。 イ被告は,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)は,本件司法書士が原告から委任を受けた本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の全部を完了した日である平成25年5月30日である旨主張する。 しかし,原告は,本件司法書士に交付する目的で原告の印鑑証明書を 法書士が原告から委任を受けた本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の全部を完了した日である平成25年5月30日である旨主張する。 しかし,原告は,本件司法書士に交付する目的で原告の印鑑証明書を同月3日に取得しているほか,同月30日,本件司法書士に対し,登録 - 25 -免許税の預け金を含めて報酬金を支払っているところ,同日に報酬を支払う旨の意思決定をしたわけではなく,本件不動産の売買契約が成立して効力が生じた日である同年4月25日の時点で,本件司法書士との間で,預け金の額及び報酬金の額を定めて合意していたという具体的な事実関係を前提とすると,同日をもって,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」と評価すべきである。また,本件司法書士に対する報酬は,(あ)登記に関する手続について代理すること,(い)法務局又は地方法務局に提出し,又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること及び(う)上記(あ)又は(い)の事務について相談に応じることの対価として支払われるものであり,登記を行うべき不動産,当該不動産の対価の額及び登記手続の予定日が確定した時点である委任契約の効力が生じた日に報酬を支払う蓋然性があるということができるのであり,支払うべき報酬の額が確定した日をもって課税仕入れの時期とすることが消費税法の趣旨に沿うものということができる。 (3) 争点(3)(本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か)(原告の主張の要点)租税法律関係において,信義則に違反するとしてその法律上の効果が否定されるのは,納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られ,少なくとも,税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的 を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られ,少なくとも,税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼してその信頼に基づいて行動したところ,後に,当該表示に反する課税処分が行われて納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁がした表示を信頼してその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事情がないかどうかという点の考慮を要するものとされている(最高裁昭和 - 26 -62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁(以下「最高裁昭和62年判決」という。)参照)。 「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)の解釈に関し,国税庁長官は,消費税法制定当時から現在に至るまで一貫して,本件通達及び消費税法基本通達9-1-10により,同号の解釈を示し,大蔵省主税局税制第2課(当時)も,同法が制定された当時に同様の見解を示していた。確定申告は,国税庁長官が制定する法令解釈通達に基づいてされるものであるから,消費税法基本通達に関する納税者の信頼について法的安定性及び予測可能性を確保する必要性は,他の公的見解の表示とは一線を画すものである。原告は,本件通達の定めるところに従って本件確定申告をしたにもかかわらず,本件更正処分により本件通達の解釈を否定され,予期しない損害も被った。本件通達は,同号の解釈として,「課税仕入れを行つた日」に係る基準を納税者が選択することができる旨を示していた上,これと異なる実務上の運用があるとの事情もなく,所得税法及び法人税法上の取扱いとも一致していたから,原告が本件通達を信じて行動するについて,何ら責めに 納税者が選択することができる旨を示していた上,これと異なる実務上の運用があるとの事情もなく,所得税法及び法人税法上の取扱いとも一致していたから,原告が本件通達を信じて行動するについて,何ら責めに帰すべき事情もない。なお,被告は,原告が消費税等の還付を受ける目的を有していたことを指摘するが,本件通達ただし書の定めを信頼することと上記の目的を有することは全く関連性がなく,考慮すべき事情とはいえない。 したがって,本件更正処分等は,原告の信頼した本件通達等の解釈に反する処分であって,本件更正処分等に係る課税を免れさせて原告の信頼を保護しなければ,国税庁長官による法令解釈通達一般についてこれに反する恣意的な課税処分がされることを容認することになり,我が国の全ての納税者の信頼を破壊することになる点で著しく正義に反する。なお,処分行政庁が,課税の公平からの正義感によって結論ありきの処分をしたものであるとしても,消費税法には法人税法132条のような包括的な租税回 - 27 -避防止規定はなく,消費税における租税回避は合法的な節税であるから,何らこれを非難されるべき理由はない。 (被告の主張の要点)最高裁昭和62年判決は,租税法律関係においては,その性質上,信義則の法理が適用される場面を限定的に解すべきことを明らかにしている。 本件においても,消費税法の趣旨からすれば,「課税仕入れを行つた日」(同法30条1項1号)とは,固定資産の譲渡についてはその引渡しがあった日をいい,本件通達本文はそれを確認的に定めたものにすぎず,本件通達ただし書は,固定資産の引渡しに関する事実関係が客観的に明らかではなく,これを認識することが困難な場合に,当該固定資産の譲渡に係る契約の締結の日を課税の徴表とみて資産の譲渡等の時期とすることを定めたものにすぎず,納 産の引渡しに関する事実関係が客観的に明らかではなく,これを認識することが困難な場合に,当該固定資産の譲渡に係る契約の締結の日を課税の徴表とみて資産の譲渡等の時期とすることを定めたものにすぎず,納税者において,資産の譲渡等の時期を資産の引渡しの日とするか契約の締結の日とするかを自由に選択することを認める趣旨のものではないから,原告の主張するような公的見解を表示したものとはいえない。また,原告は,単に消費税等の還付を受ける目的で,本件通達本文の定めるところによったのでは多額の仕入税額控除をすることができずに多額の消費税等の還付を受けることもできないことを十分に承知した上で,本件通達ただし書が仕入税額控除に係る課税仕入れを行った日につき固定資産の引渡しの日又は契約の締結の日のいずれとするかを納税者の自由な選択に委ねている旨を定めるものであるとの独自の見解に基づき,あえて意図的に,本件通達ただし書に従って確定申告をしたものであるから,原告が税務官庁の表示を信頼してその信頼に基づいて行動したとはいえず,原告に責めに帰すべき事由がないともいえない。 したがって,原告の主張は,失当である。 (4) 争点(4)(本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの。以下,この項において同じ。)についての - 28 -理由の提示に不備があるか否か)(原告の主張の要点)ア一般に,行政処分に理由を附記すべきものとしているのは,処分庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであるから,その記載を欠くにおいては処分自体の取消しを免れず,その理由の附記の程度は,処分の性質と理由の附記を命じた各法律の規定の趣旨,目的に照らして決定す 服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであるから,その記載を欠くにおいては処分自体の取消しを免れず,その理由の附記の程度は,処分の性質と理由の附記を命じた各法律の規定の趣旨,目的に照らして決定すべきものである。行政手続法14条1項は,不利益処分をする際には理由の提示をすべき旨を規定するところ,その程度は,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきものであるとされている(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁参照。以下「最高裁平成23年判決」という。)。 以上によると,更正処分の際の理由には,更正の原因となる事実,それへの法の適用及び結論の3つが含まれるが,法の適用に関連して生ずる法の解釈の問題や収入又は支出の法的評価又は法的判断の問題については,結論のみではなく,結論に到達した理由又は根拠を納税者に理解し得る程度に示す必要があるというべきである。そして,更正処分が,帳簿に記載されている事実又は当該帳簿の記載において前提とする事実に基づき,その評価のみを否認する場合には,そのような評価判断に至った過程自体を理由の提示の制度にかなう程度に具体的に説明又は摘示する必要がある。特に,納税者の解釈が,国税庁長官があらかじめ公表している通達(本件においては本件通達)に従っている場合に,これと異なる解釈を採用して更正処分をするのであれば,その評価判断である法令の解釈の過程の説明又は摘示は不可欠である。本件においては,原 - 29 -告は,本件建物に係る課税仕入れの帰属時期につき,本件通達ただし書に示されている契約の効力の発生した日を課税仕入れを行った日とする解釈に基づいて確定申告を ある。本件においては,原 - 29 -告は,本件建物に係る課税仕入れの帰属時期につき,本件通達ただし書に示されている契約の効力の発生した日を課税仕入れを行った日とする解釈に基づいて確定申告をした旨上申していたにもかかわらず,処分行政庁は,原告の法令の解釈又は運用に関する法的評価に関する事項について否認し,課税仕入れを行った日は本件建物の引渡しを受けた日であるとの解釈に基づいて本件更正処分をしたから,そのような解釈の過程(「課税仕入れを行つた日」の解釈として,なぜ引渡しの日が導き出され,契約の効力が発生した日が排除されるのかについての解釈及び理由)につき,説明又は摘示を要すべきものということができる。 しかし,本件更正処分における理由の提示においては,①資産の引渡しに関する事実関係が客観的に明らかな場合には,当該資産の譲渡契約の効力の発生の日を「課税仕入れを行つた日」とすることができない旨(なお,このような法令の解釈は,どこにも公表されておらず,本件訴えにおける被告の主張により,初めて明らかにされたものである。)も,②本件のどのような事実関係が仕入税額控除の趣旨に反しているために本件通達ただし書によることができないのかという具体的理由も,いずれも記載されておらず,本件不動産の売買契約書における代金の支払及び引渡しの期限,代金が支払われた日,賃料収入の受領日及び所有権移転登記の日という事実と消費税法の適用に関する結論が示されているのみであり,「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)の解釈を示すことなく,当該解釈の過程について説明又は摘示を全くしなかったから,行政手続法14条1項に基づいて求められる理由の提示を欠いているというべきである。 イ原告と本件司法書士との間の契約に基づく取引は,本件売買契約とは別個の課税仕 明又は摘示を全くしなかったから,行政手続法14条1項に基づいて求められる理由の提示を欠いているというべきである。 イ原告と本件司法書士との間の契約に基づく取引は,本件売買契約とは別個の課税仕入れであるが,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る38万1150円に関し,本件更正処分の理由の提示において,原告 - 30 -の支払先として本件司法書士は記載されていない。原告は,本件司法書士報酬に係る更正処分の理由を本件訴えにおける被告の準備書面によって初めて知るに至っているところ,これは,処分行政庁が,本件売買契約と本件司法書士との間の契約が別個の課税取引であることを看過し,本件売買契約に係る課税仕入れについてのみ処分をしたことによるものであると推認される。 したがって,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る部分については,処分に係る理由の提示がされていないのであり,行政手続法14条1項に違反したものであって,違法である。 (被告の主張の要点)ア行政手続法14条1項が不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し,又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される(最高裁平成23年判決)。 行橋税務署長が,本件更正処分の際,原告に対して提示した処分の理由は,別紙2のとおりであり,当該記載内容からすれば,本件課税期間の仕入税額控除の対象から除外される課税仕入れに係る支払対価の額である合計6億3362万2313円は,本件売買契約に基づく本件建物の取得に係る支払対価の額,本件司法書士報酬の額等であること,これらの課税仕入 控除の対象から除外される課税仕入れに係る支払対価の額である合計6億3362万2313円は,本件売買契約に基づく本件建物の取得に係る支払対価の額,本件司法書士報酬の額等であること,これらの課税仕入れを行った日は,本件建物の引渡しに係る本件売買契約の約定の内容,代金の支払日,本件建物の賃料の収受を開始した日及び所有権移転登記の日に照らして,本件建物の引渡しがされ,かつ,本件司法書士の役務の提供が完了した平成25年5月30日であり,本件課税期間に属しないため,上記の6億3362万2313円は,本件課税期 - 31 -間における課税仕入れに係る支払対価の額として仕入税額控除することはできないという本件更正処分に至る処分行政庁の判断過程が具体的に示されているといえる。 そうすると,上記の理由の提示は,行政手続法14条1項の趣旨に沿うものであり,原告においても,その記載自体から,本件売買契約を締結した日が本件建物に係る「課税仕入れを行つた日」ではない旨を容易に読み取ることができるから,同法が要求する理由の提示として欠けるところはない。なお,本件については,本件通達ただし書の定めるところに従うことができる余地がなく,本件通達本文によるべきとの判断過程を提示する必要もない。 イ原告は,本件更正処分における理由の提示においては,資産の引渡しに関する事実関係が客観的に明らかな場合には,当該資産の譲渡契約の効力の発生の日を「課税仕入れを行つた日」とすることができない旨や,「課税仕入れを行つた日」の解釈として,なぜ引渡しの日が導き出され,契約の効力が発生した日が排除されるのかについての解釈及び理由が記載されていないから,理由の提示に不備がある旨主張する。 しかし,更正処分の理由の提示としては,処分時における判断過程,判断理由等を全て記載しなけ 生した日が排除されるのかについての解釈及び理由が記載されていないから,理由の提示に不備がある旨主張する。 しかし,更正処分の理由の提示としては,処分時における判断過程,判断理由等を全て記載しなければならないものではなく,本件においては,権利確定主義を前提とした規定である消費税法30条1項に基づいて処分されたことが明示されていれば足りるところ,処分行政庁は,本件課税期間中の仕入税額控除の範囲を示した同項1号の記載とともに,本件建物の引渡しがあった日を認定及び判断するために考慮した事実関係を具体的に摘示しているから,その記載内容は,最高裁平成23年判決において判示する処分行政庁の恣意の抑制及び不服申立ての便宜という理由の提示の趣旨を充足する程度に具体的に評価及び判断の過程が明示されているものといえる。また,本件通達の内容は複雑なものではな - 32 -く,原告においても,その記載自体から本件建物の「課税仕入れを行つた日」は引渡しがあった日であると処分行政庁が判断したことを容易に読み取ることができるところ,本件通達ただし書は,引渡しの日を認識することが困難な場合を補充する趣旨で設けられたものであり,本件建物の引渡しの日が明らかである本件においてはこれによる余地がないから,消費税法30条1項1号が理由の提示に示されている以上,本件通達本文又はただし書のいずれによったのかについての判断過程を提示する必要はないというべきである。 したがって,原告の主張は,失当である。 ウ原告は,原告と本件司法書士との間の契約に基づく取引は,本件売買契約とは別個の課税仕入れであるが,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る38万1150円に関し,本件更正処分の理由の提示において,原告の支払先として本件司法書士は記載されておらず,本件更正処分のうち本 別個の課税仕入れであるが,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る38万1150円に関し,本件更正処分の理由の提示において,原告の支払先として本件司法書士は記載されておらず,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る部分については,処分に係る理由の提示がされていない旨主張する。 しかし,本件更正処分の理由の提示(別紙2)の記載の全体からすれば,処分行政庁がした理由の提示に本件司法書士報酬が含まれていることは容易に理解し得るところであり,処分行政庁において,改めて課税取引ごとに区分し直して理由の提示をしなければならない理由はない。 また,通常,司法書士に対する報酬は,所有権移転登記をする際に発生するものであり,本件においては,本件建物の引渡しがあった日(平成25年5月30日)と同日に所有権移転登記がされているところ,本件更正処分の理由の提示においては,「同日,売買を原因として本件物件の所有権移転登記がなされていること」と明示されており,これ以上に具体的に示さなければ,理由の提示として不備があるということにはならない。 - 33 -したがって,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る部分については,最高裁平成23年判決が判示する処分行政庁の恣意の抑制及び不服申立ての便宜という理由の提示の趣旨を充足する程度に具体的に評価及び判断の過程が明示されているということができ,理由の提示に不備があるとはいえないというべきである。 なお,仮に,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る部分についての理由の提示に不備があるとしても,本件更正処分の理由の提示(別紙2)の程度に照らすと,本件更正処分の全体の理由の提示に不備があるとまではいえず,本件更正処分の全体が違法となるわけではない。 (5) 争点(5)(原告に「正当な理由」(国税通則法65条4 示(別紙2)の程度に照らすと,本件更正処分の全体の理由の提示に不備があるとまではいえず,本件更正処分の全体が違法となるわけではない。 (5) 争点(5)(原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か)(原告の主張の要点)国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるといえるのは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解すべきである(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁。以下「最高裁平成18年判決」という。)。 原告が,消費税等の申告をするに当たり,本件売買契約について消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」を本件通達本文によらなかったのは,本件通達ただし書によってこれを本件売買契約の効力が発生した日とする取扱いをしたためであるところ,本件通達ただし書は,文言上,何らの限定なく固定資産の譲渡等に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の日とすることを認める旨を明確に定めており,他の税法上の処理と消費税法上の処理を異にすることは許されないという観点からの制約があると解し得ることを除けば,これを制限的に解釈すべき根拠等は全く - 34 -見当たらないほか,税務当局が作成した書籍にも,同旨の記載があったから,原告が上記の取扱いをしたことについて,原告に帰責性はない。原告には,本件通達で客観的に示された同号の解釈に忠実に従ったという真に責めに帰することのできない客観的な事情があり,原告に過少申告加算税を課すことは他の納税者との公平の観点からも不当又は酷であることは明らかである。 したがって,原告が,消費税等の申告をするに当たり,本件売買契約につい ない客観的な事情があり,原告に過少申告加算税を課すことは他の納税者との公平の観点からも不当又は酷であることは明らかである。 したがって,原告が,消費税等の申告をするに当たり,本件売買契約について同号にいう「課税仕入れを行つた日」を本件通達本文の定めるところによらなかったことにつき,「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるというべきである。 (被告の主張の要点)原告は,本件通達本文の定めるところによった場合には多額の仕入税額控除をすることができずに多額の消費税等の還付を受けることもできないことを十分に承知した上で,本件通達ただし書が「課税仕入れを行つた日」について,固定資産の引渡しの日又は当該固定資産の譲渡等に係る契約の締結の日のいずれとするかを納税者の自由な選択に委ねている旨の独自の見解に基づき,消費税等の還付を受ける目的で,あえて意図的に,本件通達本文ではなく本件通達ただし書の定めるところによって確定申告をしたものであるから,原告には,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があるとはいえず,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお原告に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷であるともいえない。 したがって,原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か)について - 35 -(1) 「課税仕入れを行つた日」の意義等ア消費税法30条1項柱書きは,事業者が,国内において行う課税仕入れについては,同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税 書きは,事業者が,国内において行う課税仕入れについては,同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨を定め,同項1号は,国内において課税仕入れを行った場合には,当該課税仕入れを行った日とする旨を定めている。そして,消費税法2条1項12号は,「課税仕入れ」を事業者が,事業として他の者から資産を譲り受けることをいう旨を定めているほか,国税通則法15条2項7号は,消費税等の納税義務の成立時期を,課税資産の譲渡等をした時とする旨を定めている。 上記の消費税法及び国税通則法の規定を前提とすると,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」は,事業者が事業として他の者から資産を譲り受けた場合における当該課税資産の譲渡等がされた時をいうものと解するのが相当である。 イ消費税法には,課税資産の譲渡等がされた時がどの時点であるかを明確に定義した規定は見当たらないが,①我が国における消費税が,各取引段階において移転及び付与される付加価値に着目して課される付加価値税の性質を有するものであり,資産の譲渡により譲渡人の下で生じた付加価値が移転することを捉えて課税の対象としているものと解されること,②同法が,その課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額を,対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とする旨を定めており(同法28条1項本文),実際に収受した金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益に限定することなく,収受すべき金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益も含めていること,③上記②のとおり,同法 - 36 -の課税標準には,収受すべき金銭又 は権利その他経済的な利益に限定することなく,収受すべき金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益も含めていること,③上記②のとおり,同法 - 36 -の課税標準には,収受すべき金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益も含まれるから,一定の基準をもって,上記にいう「収受すべき」状態が実現したか否かを区別する必要が生ずるところ,上記①のとおり,消費税が,付加価値の移転を捉えて課税の対象としていると解されるという同法における消費税の性格,趣旨及び内容に照らすと,前記アにいう課税資産の譲渡等がされた時とは,金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益を収受すべき状態が実現した時をいうものと解するのが相当である。その上で,金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益を収受すべき状態が実現したということができるためには,少なくとも譲渡人の下で生じた付加価値が譲受人に移転することが確定した必要があるものと解するのが相当である。 このように解することは,所得税法における収入金額及び法人税法における益金の額を計上すべき時期について,いずれも,それらを収入すべき権利が確定した課税年度の収入金額又は益金の額に計上すべきであると解されていることとも整合的であるし,企業会計原則において,権利確定主義による実現主義が採用されているとされることとも整合的である。 ウしたがって,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」は,事業者が事業として他の者から資産を譲り受けた場合における当該課税資産の譲渡等がされた時をいうものであり,それは,譲渡人の下で生じた付加価値が譲受人に移転することが確定した時と解するのが相当であって,具体的には,消費税の課税の対象である付加価値の移転の原因となる課税資産の譲渡等が,例えば,代金 あり,それは,譲渡人の下で生じた付加価値が譲受人に移転することが確定した時と解するのが相当であって,具体的には,消費税の課税の対象である付加価値の移転の原因となる課税資産の譲渡等が,例えば,代金の支払,資産の引渡し等によって外部に認識されるに至った状態,すなわち,課税資産の譲渡等に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日を指すものと解するのが相当である。 - 37 -エ本件においては,固定資産である建物を譲渡したことが,消費税の課税の対象である課税資産の譲渡に該当するところ,建物の譲渡については,例えば,契約を締結した日と同日に代金の支払がされ,それと同時に当該建物の引渡しや所有権の移転の登記がされることにより取引が一時に完了し,当該譲渡に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日が客観的に明白な場合がある一方,例えば,諸般の事情から各契約当事者の給付等が段階的に複数回に分けてされるなど,外見上は上記の当該譲渡に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日が必ずしも明らかでない場合も生ずるが,後者のような場合には,契約上買主に所有権がいつ移転するものとされているかということだけではなく,代金の支払に関する約定の内容及び実際の支払の状況,登記関係書類や建物の鍵等の引渡しの状況,危険負担の移転時期,当該建物から生ずる果実の収受権や当該建物に係る経費の負担の売主から買主への移転時期,所有権の移転の登記の時期等の取引に関する諸事情を考慮し,当該建物の現実の支配がいつ移転したかを判断し,上記の現実の支配が移転した時期をもって,当該建物に係る上記の当該譲渡に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日であると判断するのが相当である。そして,本件通達も,上記の趣旨を明らかにしたものと解することができる。 オ もって,当該建物に係る上記の当該譲渡に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日であると判断するのが相当である。そして,本件通達も,上記の趣旨を明らかにしたものと解することができる。 オ原告は,本件通達が,「固定資産の譲渡の時期は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日とする。ただし,その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場合において,事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは,これを認める。」と定めていることを指摘し,本件通達は,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」について,事業者が,固定資産の引渡しの日と契約の効力発生の日のいずれかを選択することを許す趣旨のものである旨主張する。 - 38 -しかし,これまでに判示したとおり,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」は,事業者が事業として他の者から資産を譲り受けた場合における当該課税資産の譲渡等に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日を指すものと解すべきであり,原告自身,上記の「課税仕入れを行つた日」について,権利確定主義を基準として判断すべきものであることは自認するところであるから,仮に,本件通達について,原告が上記に主張するように解する余地があることを前提としたとしても,本件通達ただし書にいう「契約の効力発生の日」に課税資産の譲渡等に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じていなければ,当該日を上記の「課税仕入れを行つた日」とする前提を欠くことになるのであり,遅くとも,上記の「契約の効力発生の日」には,課税資産の譲渡等に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じていなければならないものというべきである。 したがって,仮に,原告の主張するところを前提と くとも,上記の「契約の効力発生の日」には,課税資産の譲渡等に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じていなければならないものというべきである。 したがって,仮に,原告の主張するところを前提としたとしても,事業者が本件通達ただし書にいう「契約の効力発生の日」を固定資産の譲渡の時期とした場合には必ず,当該日が消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」となるわけではなく,上記の「契約の効力発生の日」が上記の「課税仕入れを行つた日」としての実質を備えていることが当然の前提となっているものと解されるから,原告の主張するところは,前記アからエまでに判示したところを左右するものとはいえないというべきである。 (2) 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」ア前提事実(2)アのとおり,本件売買契約においては,①本件不動産の代金は7億円と定められ,②代金の支払時期は,本件売買契約の当日(平成25年4月25日)に1000万円を,残金6億9000万円を同年5月31日までに,それぞれ支払うものとされ,③上記②の100 - 39 -0万円は,手付として支払われるものであり,一定の約定の要件の下で当事者が本件売買契約を解除することを可能とするものであるが,残金が支払われた場合には,それを代金の一部に充当するものとされ,④本件不動産の所有権は,売買代金の全額が支払われたときに原告に移転するものとされ,⑤本件売主は,原告に対し,売買代金の全額の支払を受けたと同時に本件不動産を引き渡すものとされ,⑥本件不動産に関する所有権の移転の登記手続は,原告が本件売主に対して売買代金の全額を支払うと同時にされるものとされ,⑦本件不動産に対して賦課される固定資産税等については,本件不動産が原告に引き渡される前日までの部分を本件売主が,本件不動産が 原告が本件売主に対して売買代金の全額を支払うと同時にされるものとされ,⑦本件不動産に対して賦課される固定資産税等については,本件不動産が原告に引き渡される前日までの部分を本件売主が,本件不動産が原告に引き渡された日以後の分を原告が,それぞれ負担するものとされ,⑧本件不動産から生ずる収益については,本件不動産が原告に引き渡される前日までの部分を本件売主が,本件不動産が原告に引き渡された日以後の部分を原告が,それぞれ取得するものとされていたものである。そして,前提事実(2)イのとおり,①原告は,本件売主に対し,平成25年4月25日に1000万円を,同年5月30日に6億9000万円を,それぞれ支払い,②原告は,同日,本件不動産の引渡しを受け,③本件不動産の所有権の移転の登記(本件売主から原告へ本件不動産の所有権が移転した旨の登記)が,同日,されるとともに,原告が,同日,本件不動産に根抵当権を設定し,その旨の登記もされ,④原告と本件売主が,固定資産税等の負担及び本件不動産から生ずる収益の帰属について,同日を基準としてあん分する旨の合意をし,その旨の処理がされたというのである。 イ前記アの各事実を前提とすると,(a)本件売買契約における本件不動産に関する代金の全額の支払時期,引渡し時期及び登記の移転時期の定めは,全て同一の日であって,本件売買契約締結の日とはされておらず,(b)本件売買契約における本件不動産に係る経費の負担及び本件不動産 - 40 -から生ずる収益の帰属についての定めも,上記(a)と同一の日を基準とするものとされており,本件売買契約締結の日を基準とする旨の定めはなく,(c)本件不動産について,現実に,代金の全額が支払われ,登記が移転し,経費の負担及び収益の帰属の基準日とされたのは,全て平成25年5月30日であった反 売買契約締結の日を基準とする旨の定めはなく,(c)本件不動産について,現実に,代金の全額が支払われ,登記が移転し,経費の負担及び収益の帰属の基準日とされたのは,全て平成25年5月30日であった反面,(d)本件売買契約が締結された日に交付された金員は,いわゆる解約手付であり,本件売買契約が締結された日においては,本件売買契約を締結した当事者の双方に,本件売買契約の解除権が留保されていたことになる。 これらの事実を前提とすると,本件の事実関係の下においては,本件売買契約における本件不動産の現実の支配が移転した日は,平成25年5月30日であって,本件建物の取得に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日,すなわち,本件建物を取得したことに係る「課税仕入れを行つた日」も,平成25年5月30日であると認めるのが相当である。 ウ原告は,本件売買契約締結の日である平成25年4月25日を「課税仕入れを行つた日」として選択したから,同日が,本件建物を取得したことに係る「課税仕入れを行つた日」である旨主張するが,前記イのとおり,本件売買契約が締結された日である同日の時点においては,本件売買契約の解除権が当事者の双方に留保されている状態であることや,本件売買契約に基づく債権債務が履行されたのが,全て同年5月30日であることを踏まえると,本件売買契約が締結された日である同年4月25日に,本件建物の取得に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じていたものとは認め難いのであり,他に上記の認定及び判断を覆すに足りる事情も見当たらないから,原告の主張は,採用することができない。 (3) まとめ - 41 -以上によれば,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」は,平成25年5月30日であって,同年4月25日ではないから,本件建物の 採用することができない。 (3) まとめ - 41 -以上によれば,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」は,平成25年5月30日であって,同年4月25日ではないから,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行つた日」が,本件課税期間に属する日であるとは認められないというべきである。 2 争点(2)(本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」(消費税法30条1項1号)が本件課税期間に属する日であるか否か)について(1) 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」ア前提事実及び後に掲記する証拠によれば,①原告の代表者が,本件司法書士を本件不動産の所有権の移転の登記手続に関する原告の代理人とする旨を記載した委任状の作成の日付は,平成25年5月30日であること(乙35・24枚目),②原告の代表者が,本件司法書士を本件不動産に根抵当権を設定したことに係る登記手続に関する原告の代理人とする旨を記載した委任状の作成の日付は,同日であること(乙35・35枚目),③本件司法書士が本件不動産の所有権の移転及び本件不動産に対する根抵当権の設定に係る各登記手続をしたのは,同日であること(前提事実(2)イ(イ)),④原告が,本件司法書士に対し,上記③に係る報酬等を支払ったのは,同日であること(前提事実(2)イ(ウ))の各事実が認められる。 また,後に掲記する証拠によれば,⑤原告が,本件司法書士に交付する目的で,原告の印鑑証明書を取得したのは,同月2日であること(乙35・36枚目),⑥本件司法書士が,不動産業者を通じて原告に対し,上記③の事務の処理に要する報酬等の見積もりを提示したのは,同月27日であること(乙27の1)の各事実も認められる。 イ前記アの事実,特に,本件司法書士を原告の代理人とする旨の委任状の日付,本件司法書 の事務の処理に要する報酬等の見積もりを提示したのは,同月27日であること(乙27の1)の各事実も認められる。 イ前記アの事実,特に,本件司法書士を原告の代理人とする旨の委任状の日付,本件司法書士が事務を処理した日及び原告が本件司法書士に対して報酬等を支払った日がいずれも平成25年5月30日である(前記 - 42 -ア①ないし④)上,原告が本件司法書士との間の委任契約が同日以前に成立していたことの間接事実として指摘する事情(前記ア⑤及び⑥)が,いずれも,本件課税期間に属さない日に生じていることに加え,原告と本件司法書士との間で,同年4月25日に,原告が本件司法書士に対して本件不動産の所有権の移転及び本件不動産に対する根抵当権の設定に係る各登記手続の事務の処理を委任する旨の契約が成立したことを認めるに足りる証拠が全く見当たらないことをも併せ考慮すると,本件の証拠関係の下においては,本件司法書士がする役務の提供に係る権利又は債務が確定するに至った状態が生じた日,すなわち,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」は,早くとも,前記ア⑥の事実が生じた同年5月27日であると認めるのが相当である。 ウ原告は,原告と本件司法書士との間で,平成25年4月25日に,原告が本件司法書士に対して本件不動産の所有権の移転及び本件不動産に対する根抵当権の設定に係る各登記手続の事務の処理を委任する旨の契約が成立したとして,同日が,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」である旨主張するが,前記イのとおり,本件の証拠関係の下においては,同日に上記の契約が成立したことを認めるに足りないから,原告の主張は,その前提を異にし,採用することができない。 (2) まとめ以上によれば,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」は,早くとも平成 契約が成立したことを認めるに足りないから,原告の主張は,その前提を異にし,採用することができない。 (2) まとめ以上によれば,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」は,早くとも平成25年5月27日であって,同年4月25日ではないから,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」が,本件課税期間に属する日であるとは認められないというべきである。 3 争点(3)(本件更正処分等が信義則に反して違法であるか否か)について(1) 判断基準租税法規に適合する課税処分について,法の一般原理である信義則の法 - 43 -理の適用により,当該課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,同法理の適用については慎重でなければならず,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初めて同法理の適用の是非を考えるべきものである。そして,上記の特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,後に当該表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の当該表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない(最高裁昭和62年判決参照)。 (2) 本件における検討本件においては,証拠(甲5, とについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない(最高裁昭和62年判決参照)。 (2) 本件における検討本件においては,証拠(甲5,6)によれば,原告は,法定申告期限までに本件確定申告をしているところ,本件確定申告の際,税理士(本件訴えにおける補佐人税理士と同一の者である。)が代理人として関与していることが認められるから,原告は,税務の専門家である税理士の関与の下で,本件確定申告をしたものであることになる。そして,これまでに判示したとおり,本件建物の取得又は本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」は,いずれも,権利確定主義に基づいて認定されるべきものであるところ,そのことは,税理士であれば,誰しもが承知しているはずの見解であり,現に,原告も,本件訴えにおいて,「課税仕入れを行つた日」は,権利確定主義に基づいて認定されるべきである旨を自ら主張して - 44 -いるところである。 そうすると,原告は,権利確定主義に基づいてすべき「課税仕入れを行つた日」の認定を誤って,いまだ収受すべき金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益が確定していない日を「課税仕入れを行つた日」とすることを前提として本件確定申告をした結果,本件更正処分等を受けたにすぎず,原告に生じたとされる不利益は,税務官庁が原告に対して表示した公的見解を原告が信頼した結果に起因するものではなく,自らがした事実認定の誤りに起因するものであるということができるから,その余の点について判断するまでもなく,本件更正処分等が信義則に反するものとは認め難い。 したがって,原告の主張は,採用することができない。 4 争点(4)(本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のも 更正処分等が信義則に反するものとは認め難い。 したがって,原告の主張は,採用することができない。 4 争点(4)(本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付け更正の処分による一部取消し前のもの。以下,この項において同じ。)についての理由の提示に不備があるか否か)について(1) 理由の提示の趣旨等行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。 そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。(以上,最高裁平成23年判決参照)(2) 本件における検討 - 45 -ア行橋税務署長が,本件更正処分をした際,原告に対して提示した理由は,別紙2のとおりであるところ,当該理由の提示は,まず,原告がした本件確定申告のうち本件建物の取得に係る課税仕入れについて,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」を平成25年4月25日とする税額の計算をしたことを本件更正処分をする原因となるべき事実である旨を掲げ,原告がした本件確定申告のうちどの事実に着目してされたかという点を明らかにしているところ,これは,本件更正処分の主たる争点を明らかにするものとして適切な記載であると認められる。 その上で,行橋税務署長は,本件建物の取 のうちどの事実に着目してされたかという点を明らかにしているところ,これは,本件更正処分の主たる争点を明らかにするものとして適切な記載であると認められる。 その上で,行橋税務署長は,本件建物の取得に係る課税仕入れについての上記の「課税仕入れを行つた日」が,平成25年5月30日であると認められる旨の事実を認定したこと及び当該事実を認定した理由が,本件売買契約書の定め及び本件売買契約における実際の取引状況にあることを,それぞれ明らかにして上記の主たる争点に対する結論及び理由を簡潔に示し,当該認定及び判断を前提とした最終的な結論として,本件建物の取得及びそれに付随して生じた課税仕入れに係る支払対価の額を本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に算入することができない旨の認定及び判断を明らかにしているものと認められる。 そうすると,既に述べたところのほか,本件更正処分の性質及び内容を総合考慮しても,上記の理由の提示は,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨を満たすものとして,行政手続法14条1項の規定により不利益処分をする際に提示すべき理由の程度として,同法の要請を少なくとも必要最小限度は満たしているものと認めるのが相当であり,不利益処分における理由の提示として不備があるものということはできない。これに反する原告の主張は,上記に判示したと - 46 -ころに照らし,採用することができない。 イ原告は,本件司法書士報酬に係る38万1150円に関し,本件更正処分の理由の提示において,原告の支払先として本件司法書士が記載されておらず,本件売買契約に係る課税仕入れについてのみ処分をしたことによるものと推認されるから,本件更正処分のうち本件司法書士報酬 処分の理由の提示において,原告の支払先として本件司法書士が記載されておらず,本件売買契約に係る課税仕入れについてのみ処分をしたことによるものと推認されるから,本件更正処分のうち本件司法書士報酬に係る部分については,処分に係る理由の提示がされていない旨主張する。 しかし,被告が指摘した「本件物件の取得に係る支払対価の額6億3362万2313円」に本件司法書士報酬が含まれていることは,当事者の間に争いはなく,本件確定申告をした原告においても,それが含まれていることは容易に推認し得るものである上,①本件確定申告における消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行つた日」の認定とは異なる日を同号にいう「課税仕入れを行つた日」と認定すべきであることが,行橋税務署長が本件更正処分をした理由であったこと,②本件司法書士報酬が本件建物の取得に係る支払対価の額に含まれるか否か,本件司法書士報酬の金額がいくらであったか等の事実の認定については,本件確定申告における申告の内容と行橋税務署長がした認定との間に相違はなく,当該事実の認定は,行橋税務署長が本件更正処分をした理由ではなかったことの各事実にも照らすと,原告が指摘する点は,行政手続法14条1項の規定により不利益処分をする際に提示すべき理由の程度として,同法の要請を少なくとも必要最小限度は満たしているとの前記アの判断を覆すには足りないというべきである。 したがって,原告の主張は,採用することができない。 (3) まとめしたがって,行橋税務署長が本件更正処分をした際にした理由の提示に,不備があるとはいえない。 - 47 - 5 争点(5)(原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か)について(1) 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められる場合過少申 いえない。 - 47 - 5 争点(5)(原告に「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か)について(1) 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められる場合過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。 国税通則法65条4項は,修正申告書の提出又は更正に基づき納付すべき税額に対して課される過少申告加算税につき,その納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,その事実に対応する部分についてはこれを課さないこととしているが,過少申告加算税の上記の趣旨に照らせば,同項にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成18年判決参照)。 (2) 本件における判断ア前記1から3までのとおり,本件においては,原告が,本件建物の取得及び本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行つた日」の認定を誤って,いまだ収受すべき金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益が確定していない本件売買契約を締結した日を「課税仕入れを行つた日」とする本件確定申告をした結果,本件更正処分等を受けたものであるところ,原告が,税理士 は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益が確定していない本件売買契約を締結した日を「課税仕入れを行つた日」とする本件確定申告をした結果,本件更正処分等を受けたものであるところ,原告が,税理士の関与の下に本件確定申告をしたことにも照らすと,原告が,本件建物の取得及び本件司法書士報酬に係る「課 - 48 -税仕入れを行つた日」の認定を誤ったことについて,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があるとは認め難いというべきである。 イ原告は,本件通達で客観的に示された消費税法30条1項1号の解釈に忠実に従ったという真に責めに帰することのできない客観的な事情がある旨主張するが,これまでに判示したとおり,原告がした「課税仕入れを行つた日」の認定が,本件通達ただし書を適用する前提を欠くものであり,本件通達の解釈いかんによってそれが左右されるものではないことに照らすと,原告の主張は,その前提を異にするものというべきである。 したがって,原告の主張は,採用することができない。 (3) まとめ以上によれば,本件においては,原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 6 本件更正処分等の適法性についてこれまで述べたところに加えて,本件全証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件更正処分等の根拠及び適法性については,別紙3に記載のとおり認めることができ,この認定判断を左右するに足りる証拠は見当たらない。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,いずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官朝倉佳秀 - 49 - 裁判官 のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官朝倉佳秀 - 49 - 裁判官福渡裕貴 裁判官獅子野 裕 介(別紙2省略)(別表2省略)(別表3省略) - 50 -別紙1 関係法令等の定め 1 消費税法の定め(1) 消費税法2条(定義)1項12号の定め消費税法2条1項柱書きは,同法において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる旨を定めている。 12号課税仕入れ事業者(個人事業者(事業を行う個人のこと。以下同じ。)及び法人のこと。以下同じ。)が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供(中略)を受けること(中略)をいう。 その余の号 (略)(2) 消費税法28条(課税標準)1項(ただし,平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)の定め消費税法28条1項は,課税資産の譲渡等(資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(中略)のこと。 以下同じ。)のうち,消費税法6条1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のもののこと。以下同じ。)に係る消費税の課税標準は,課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし,課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下(中略)同じ。)とするが(本文),法人が資産を同法4条4項2号に規定する役員に譲渡した場合にお 費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下(中略)同じ。)とするが(本文),法人が資産を同法4条4項2号に規定する役員に譲渡した場合において,その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは,その価額に相当する金額をその対価の額とみな - 51 -す(ただし書)旨を定めている。 (3) 消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)1項(ただし,平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)の定め消費税法30条1項柱書きは,事業者(同法9条1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が,国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の同法45条1項2号に掲げる課税標準額に対する消費税額(中略)から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(中略)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(中略)につき課された又は課されるべき消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。(中略))の合計額を控除する旨を定めている。 1号国内において課税仕入れを行った場合当該課税仕入れを行った日その余の号 (略) 2 消費税法基本通達(平成7年12月25日付け課消2-25(例規)課所6-13課法3-17徴管2-70査調4-3国税庁長官通達。ただし,「消費税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(平成27年5月26日付け課消1-17課個2-7課法4-9課審8-18徴管2-37査調4-6国税庁長官通達)による改正前のもの。以下同じ。)の定め(1) 消費税法基本通達11-3-1(課税仕入れを行った日の意義)の 日付け課消1-17課個2-7課法4-9課審8-18徴管2-37査調4-6国税庁長官通達)による改正前のもの。以下同じ。)の定め(1) 消費税法基本通達11-3-1(課税仕入れを行った日の意義)の定め消費税法基本通達11-3-1は,消費税法30条1項1号(仕入れに係る消費税額の控除)に規定する「課税仕入れを行つた日」とは,課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうのであるが,これらの日がいつであるかについては,別に定めるものを除き,消費税法基本通達第9章(資産の譲渡等の時期)の取扱いに準ずる旨を定めている。 - 52 -(2) 消費税法基本通達9-1-13(固定資産の譲渡の時期。以下「本件通達」という。)消費税法基本通達9-1-13は,固定資産の譲渡の時期は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日とするが(本文),その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場合において,事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは,これを認める(ただし書)旨を定めている。 3 所得税基本通達(昭和45年7月1日付け直審(所)30(例規)(審)国税庁長官通達)36-12(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)の定め所得税基本通達36-12は,山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は,山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとするが(本文),納税者の選択により,当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(中略)により総収入金額に算入して申告があったときは,これを認める(ただし書)旨を定めている。 4 法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)国税庁長官通達。ただし 効力発生の日(中略)により総収入金額に算入して申告があったときは,これを認める(ただし書)旨を定めている。 4 法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)国税庁長官通達。ただし,「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(平成30年5月30日付け課法2-8課審6-1査調5-4国税庁長官通達)による改正前のもの。以下同じ。)2-1-14(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)の定め法人税基本通達2-1-14は,固定資産の譲渡による収益の額は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入するが(本文),その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場合において,法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは,これを認める(ただし書)旨を定めている。 - 53 -以上 - 54 -別紙3 本件更正処分等の根拠及び適法性 1 本件更正処分の根拠(以下,「△」を付したときは,当該金額が還付金の額に相当するものであることを表す。)(1) 課税標準額(別表2・順号④) 2万3000円上記金額は,原告が行橋税務署長に提出した原告の本件課税期間分の消費税等の確定申告書(以下「本件確定申告書」という。甲5・1枚目)の「課税標準額①」欄に記載された金額と同額である。 (2) 課税標準額に対する消費税額(別表2・順号⑤) 920円上記金額は,本件確定申告書(甲5・1枚目)の「消費税額②」欄に記載された金額と同額である。 (3) 差引課税仕入れに係る支払対価の額(別表2・順号⑧)2047万3649円原告が本件確定申告書において記載した課税仕入れに係る支払 )の「消費税額②」欄に記載された金額と同額である。 (3) 差引課税仕入れに係る支払対価の額(別表2・順号⑧)2047万3649円原告が本件確定申告書において記載した課税仕入れに係る支払対価の額である6億3409万5962円(甲5・2枚目。別表2・順号⑥)のうち,本件建物の取得に係る支払対価の額及び本件司法書士報酬の額を合計した後の金額である6億1362万2313円(別表2・順号⑦)は,本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないため,6億3409万5962円(本件確定申告書において記載した課税仕入れに係る支払対価の額)から6億1362万2313円(本件建物の取得に係る支払対価 - 55 -の額及び本件司法書士報酬の額を合計した後の金額)を控除した後の差額である2047万3649円が,本件課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額である。 (4) 課税仕入れに係る消費税額(別表2・順号⑨) 77万9948円上記金額は,前記(3)の金額に105分の4を乗じて算出した金額である。 (5) 控除対象仕入税額(別表2・順号⑩) 77万9948円上記金額は,原告の本件課税期間における課税売上高が5億円を超えるとき,又は同課税期間における課税売上割合が100分の95に満たないときのいずれにも該当しないことから,消費税法30条2項の規定の適用はなく,前記(4)の金額と同額である。 (6) 納付すべき消費税額(別表2・順号⑪) △77万9028円上記金額は,前記(2)の金額から,前記(5)の金額を差し引いた後の金額である。 (7) 既に納付の確定した消費税額(別表2・順号⑫)△2415万5116円上記金額は,本件確定申告書(甲5・1枚目)の「控除不足還付税額⑧」欄に記載 5)の金額を差し引いた後の金額である。 (7) 既に納付の確定した消費税額(別表2・順号⑫)△2415万5116円上記金額は,本件確定申告書(甲5・1枚目)の「控除不足還付税額⑧」欄に記載された金額と同額である。 (8) 差引納付すべき消費税額(別表2・順号⑬) 2337万6000円上記金額は,前記(6)の金額から前記(7)の金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により,100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)である。 - 56 -(9) 納付すべき譲渡割額(別表2・順号⑭) △19万4757円上記金額は,前記(6)の地方消費税の課税標準とされる消費税額に地方税法72条の83(ただし,平成24年法律第69号1条による改正前のもの)の規定により100分の25の税率を乗じて算出した金額である。 (10) 既に納付の確定した譲渡割額(別表2・順号⑮) △603万8779円上記金額は,本件確定申告書(甲5・1枚目)の「還付額⑲」欄に記載された金額と同額である。 (11) 差引納付すべき譲渡割額(別表2・順号⑯) 584万4000円上記金額は,前記(9)の金額から前記(10)の金額を差し引いた後の金額(ただし,地方税法20条の4の2第3項の規定により,100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)である。 (12) 差引納付すべき消費税等の合計額(別表2・順号⑰)2922万0000円上記金額は,前記(8)の金額と前記(11)の金額を合計した後のものである。 2 本件更正処分の適法性被告が本件訴えにおいて主張する原告の本件更正処分に係る本件課税期間における納付すべき消費税額及び地方消費税額(譲渡割額)は,前記1のとおりであるところ,これらの各金額は, 本件更正処分の適法性被告が本件訴えにおいて主張する原告の本件更正処分に係る本件課税期間における納付すべき消費税額及び地方消費税額(譲渡割額)は,前記1のとおりであるところ,これらの各金額は,本件更正処分の納付すべき消費税額及び地方消費税額(譲渡割額)(別表1の「減額更正処分」の「消費税」欄中の「納付すべき消費税額」欄及び「地方消費税」欄中の「納付すべき地方消費税額」欄参照)とそれぞれ同額であるから,本件更正処分は適法である。 - 57 - 3 本件賦課決定処分の根拠前記2のとおり,本件更正処分は適法であるところ,本件更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実については,本件更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」は存在しない。 したがって,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,①国税通則法65条1項並びに地方税法附則9条の4第2項及び9条の9の規定に基づき,本件更正処分(ただし,平成29年6月27日付け減額更正処分により一部取り消された後のもの)により新たに納付すべきこととなった消費税額及び地方消費税額の合計税額2922万0000円(ただし,国税通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。別表3・順号②)に100分の10の割合を乗じて算出した292万2000円(別表3・順号⑥)に,②同法65条2項並びに地方税法附則9条の4第2項及び9条の9の規定に基づき,上記の新たに納付すべきこととなった消費税額及び地方消費税額の合計税額2922万0000円のうち期限内申告税額(国税通則法65条3項2号)△2415万5116円と50万円のいずれか多い方の金額である50万円を超える部分に相当する税額2872万円(ただし,同 合計税額2922万0000円のうち期限内申告税額(国税通則法65条3項2号)△2415万5116円と50万円のいずれか多い方の金額である50万円を超える部分に相当する税額2872万円(ただし,同法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。別表3・順号③)に100分の5の割合を乗じて算出した金額143万6000円(別表3・順号⑦)を加算した金額435万8000円(別表3・順号⑧)となる。 4 本件賦課決定処分の適法性被告が本件訴えにおいて主張する原告の本件課税期間における消費税等に係る過少申告加算税の金額は,前記3のとおり,435万8000円であるところ,当該金額は,本件賦課決定処分における過少申告加算税の金額(別表1の「変更決定処分」欄中の「過少申告加算税の額」欄参照)と同額であ - 58 -るから,本件賦課決定処分は適法である。 以上

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