令和6年12月6日判決言渡令和4年(行ウ)第219号障害年金不支給決定取消等請求事件主文 1 処分行政庁が平成30年10月30日付けで原告に対してした障害基礎年金及び障害厚生年金を支給しない旨の処分を取り消す。 2 処分行政庁は、原告に対し、平成29年10月30日を受給権発生日として障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定をせよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求主文同旨 2 予備的請求1⑴ 処分行政庁が令和5年3月6日付けで原告に対してした障害基礎年金及び障害厚生年金(以下、総称して「障害給付」ということがある。)を支給しな い旨の処分を取り消す。 ⑵ 処分行政庁は、原告に対し、平成29年10月30日を受給権発生日として障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定をせよ。 3 予備的請求2⑴ 処分行政庁が平成30年8月10日付けで原告に対してした障害基礎年金 を支給しない旨の処分を取り消す。 ⑵ 処分行政庁は、原告に対し、平成29年10月30日を受給権発生日として障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をせよ。 第2 事案の概要原告は、平成29年10月30日(以下「裁定請求日」ということがある。)、 処分行政庁に対し、①国民年金法(以下「国年法」という。)30条の3第1項 に基づく障害基礎年金及び厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)47条の3第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「初めて2級裁定請求」という。)、②国年法30条の2第1項に基づく障害基礎年金及び厚年法47条の2第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「事後重症裁定請求」という。)、③国年法30 請求(以下「初めて2級裁定請求」という。)、②国年法30条の2第1項に基づく障害基礎年金及び厚年法47条の2第1項に基づく障害厚生年金の裁定請求(以下「事後重症裁定請求」という。)、③国年法30条の4第2項に基づく障害基礎年金の裁定請求(以下、「20歳前傷病 事後重症裁定請求」という。)をそれぞれしたところ、いずれについても障害給付を支給しない旨の処分(裁定請求を却下する処分を含む。以下「不支給処分」という。)がされた。 本件は、原告が、①主位的に、初めて2級裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義 務付けを、②予備的に、事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し並びに障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定の義務付けを、③さらに予備的に、20歳前傷病事後重症裁定請求に係る不支給処分の取消し及び障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定の義務付けをそれぞれ求める事案である(上記①が前記第1の主位的請求に、上記②が予備的請求1に、上記 ③が予備的請求2にそれぞれ対応する。以下、これらを総称して「本件各請求」という。)。 1 法令の定め等⑴ 本件に関連する国年法及び厚年法が定める障害給付の支給要件の概要国年法及び厚年法が定める障害給付のうち、本件に関連する初めて2級裁定 請求、事後重症請求及び20歳前傷病事後重症裁定請求に係る障害給付の支給要件の概要は、別紙1「本件に関連する国年法及び厚年法が定める障害給付の支給要件の概要」のとおりである(同別紙で定義された用語は、本文でも用いる。)。 また、障害等級1級又は2級の障害の状態について定める国年令別表は、障 害等級2級の障害の状態について「前各号に掲げるもののほか、身 である(同別紙で定義された用語は、本文でも用いる。)。 また、障害等級1級又は2級の障害の状態について定める国年令別表は、障 害等級2級の障害の状態について「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の 障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であつて、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(2級15号)などと規定している。 ⑵ 本件に関連する障害認定基準 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(平成29年9月1日改正を最後の改正とするもの。以下「障害認定基準」という。)のうち、本件に関連する主なものは、別紙2「本件に関連する障害認定基準」のとおりである(以下、本判決において障害認定基準の「肢体の障害」(第3の第1章第7節)に定める認定基準及び認定要領を引用する場合には、同節の第1から第4までの標題に照 らして「下肢の障害に係る認定基準」(同節の「第2 下肢の障害」、「1 認定基準」を指す。)、「肢体の機能の障害に係る認定要領」(同節の「第4 肢体の機能の障害」、「2 認定要領」を指す。)などという。)。 このうち、下肢の障害に係る認定要領⑴ウ(以下「本件認定要領」という。)によれば、下肢の障害について国年令別表2級15号に規定する障害の状態と は、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、(障害認定基準の)別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう」とされている。また、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その 動作を考慮し 以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう」とされている。また、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その 動作を考慮して総合的に認定するとされている。 2 前提事実(認定根拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)⑴ 原告についてア原告は、昭和43年▲月▲日生まれの女性である。歩き出した頃に歩容異常がみられたため、昭和46年頃、Aを受診し、脳性麻痺の診断を受けた。 (甲4、弁論の全趣旨) イ原告は、平成7年6月20日、Bにおいて、第5腰椎分離すべり症に対する手術(椎弓切除術、後方固定術)を受けた。(甲24・117頁)ウ原告の国民年金及び厚生年金保険に係る被保険者期間は、次のとおりである。(甲21、弁論の全趣旨)(ア) 昭和62年4月1日から平成9年8月21日まで(厚生年金保険) いずれも、保険料納付済期間又は保険料免除期間に該当する。 (イ) 平成9年8月21日から平成29年10月30日まで(国民年金)⑵ 原告による裁定請求と処分の経緯等ア原告による裁定請求原告は、平成29年10月30日、処分行政庁に対し、障害基礎年金及び 障害厚生年金の支給を求めて、主位的に、基準傷病を腰椎分離すべり症(初診日平成7年5月)、基準傷病以外の傷病を脳性麻痺(初診日昭和46年)とする初めて2級裁定請求を、処分行政庁において脳性麻痺と腰椎分離すべり症を同一傷病と認定した場合に備えて予備的に、脳性麻痺による傷病について社会的治癒の認定を求めた上で初診日を平成7年5月とする事後重症 裁定請求をした(以下、この請求のうち初めて2級裁定請求に係るものを「本件初めて2級裁定請求」と、事後重症裁定請求に係るものを「本件事後 癒の認定を求めた上で初診日を平成7年5月とする事後重症 裁定請求をした(以下、この請求のうち初めて2級裁定請求に係るものを「本件初めて2級裁定請求」と、事後重症裁定請求に係るものを「本件事後重症裁定請求」という。)。(甲9、乙2)また、原告は、同日、処分行政庁に対し、上記各請求が認められないことに備えて更に予備的に、障害基礎年金のみの支給を求めて、20歳前に初診 日があった脳性麻痺について、20歳前傷病事後重症裁定請求をした(以下「本件20歳前傷病事後重症裁定請求」といい、本件初めて2級裁定請求、本件事後重症裁定請求と併せて「本件各裁定請求」と総称する。)。(甲9、乙15)なお、原告が本件各裁定請求の際に処分行政庁に対して提出した診断書 (甲2。以下「本件診断書」という。)の記載内容は、別紙3「本件診断書 の記載内容」のとおりである。 イ本件初めて2級裁定請求に係る処分及びその後の経緯(ア) 処分行政庁は、平成30年10月30日、原告に対し、本件初めて2級裁定請求について、「基準傷病(腰椎分離すべり症)と傷病(脳性マヒ)について、障害厚生年金を受給するためには、基準傷病の初診日が厚生年 金保険の被保険者であった間であることが要件の1つとなっていますが、現在提出されている書類では、基準傷病の初診日が平成7年5月(厚生年金保険の被保険者であった間)であることを確認することができない」として不支給処分をした旨を通知した。(甲10)(イ) 原告は、平成30年11月22日、前記(ア)の処分を不服として、関東 信越厚生局社会保険審査官(以下「審査官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、令和2年12月23日付けで、同審査請求を棄却する旨の決定をした。(甲11、乙13)(ウ) 原告は、 関東 信越厚生局社会保険審査官(以下「審査官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、令和2年12月23日付けで、同審査請求を棄却する旨の決定をした。(甲11、乙13)(ウ) 原告は、令和3年1月8日、前記(イ)の決定を不服として、社会保険審査会(以下「審査会」という。)に再審査請求をしたが、審査会は、同年 11月30日付けで、同再審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (甲12、乙14)ウ本件事後重症裁定請求に係る処分(ア) 処分行政庁は、令和5年3月6日、原告に対し、本件事後重症裁定請求について、「請求のあった傷病(脳性マヒ、腰椎分離すべり症)について、 両傷病が同一傷病であり、初診日が平成7年5月であるとして請求されていますが、上記2つの傷病は同一傷病と認定できず、初診日が平成7年5月(厚生年金保険の被保険者であった間)であることを確認することができない」として不支給処分をした旨を通知した。(乙26)(イ) 原告は、令和5年4月6日、前記(ア)の処分を不服として、審査請求書 を郵便で審査官に提出した。同審査請求書は、同月7 日、審査官に到達し た。(弁論の全趣旨)エ本件20歳前傷病事後重症裁定請求に係る処分及びその後の経緯(ア) 処分行政庁は、平成30年8月10日、原告に対し、本件20歳前傷病事後重症裁定請求について、「請求のあった傷病(脳性マヒ)の請求日である平成29年10月30日現在の障害の状態は、障害年金1級又は2級 の対象となる障害(国民年金法施行令別表に規定)に該当し」ないとして不支給処分をした旨を通知した。(甲13)(イ) 原告は、平成30年11月12日、前記(ア)の処分を不服として、審査官に審査請求をしたが、審査官は、令和2年12月23日付けで、同審査請 いとして不支給処分をした旨を通知した。(甲13)(イ) 原告は、平成30年11月12日、前記(ア)の処分を不服として、審査官に審査請求をしたが、審査官は、令和2年12月23日付けで、同審査請求を棄却する旨の決定をした。(乙20、甲14) (ウ) 原告は、令和3年1月8日、前記(イ)の決定を不服として、審査会に再審査請求をしたが、審査会は、同年12月28日付けで、同再審査請求を棄却する旨の裁決をした。(乙21、甲15)⑶ 本件訴えの提起等(当裁判所に顕著な事実)ア原告は、令和4年5月25日、本件訴えを提起した。なお、本件訴え提 起当初、予備的請求1に係る請求は、本件事後重症裁定請求について処分がされていないことを前提とする不作為の違法確認の訴え(行政事件訴訟法3条5項)と前記第1の2⑵と同様の義務付けの訴えを併せたものであり、原告は、これらを主位的請求としていた。 イ原告は、令和5年6月9日、予備的請求1に係る請求(当時の主位的請 求)につき、前記アの不作為の違法確認の訴えに係る請求を前記第1の2⑴のとおりの請求に変更する旨の訴えの変更をした。 ウ原告は、令和6年9月18日、前記第1の1の請求(従前の予備的請求1)を主位的請求に、同2の請求(従前の主位的請求)を予備的請求1に、順序を変更する訴えの変更をした。 3 争点 本件の主たる争点は、本件各請求に係る不支給処分の適法性であり、具体的な争点は以下のとおりである。なお、争点1及び争点5は本件各請求に共通するもの、争点2及び争点3は主位的請求及び予備的請求1に関するもの(予備的請求2については、障害の原因となった傷病が脳性麻痺であり、その初診日が昭和46年頃であることに争いはない。)、争点4は予備的請求2のみに関するものであ 位的請求及び予備的請求1に関するもの(予備的請求2については、障害の原因となった傷病が脳性麻痺であり、その初診日が昭和46年頃であることに争いはない。)、争点4は予備的請求2のみに関するものであ る。 ⑴ 裁定請求日における原告の障害の程度(争点1)⑵ 障害の原因となった傷病は何か(争点2)⑶ 障害の原因となった傷病の初診日(争点3)⑷ 本件20歳前傷病事後重症裁定請求に係る不支給処分について理由の提示 に関する違法があったか(争点4)⑸ 本件各請求に係る義務付けの訴えの適法性(争点5) 4 争点に対する当事者の主張の概要以下、本件における中心的な争点である争点1から争点3までについて、当事者の主張の概要を摘示することとする。 ⑴ 争点1(裁定請求日における原告の障害の程度)について(原告の主張)以下のとおり、裁定請求日における原告の障害の程度は、障害等級2級に該当する程度であった。 ア本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」への該当性 裁定請求日における原告の障害の状態は、以下のとおり、本件認定要領にいう「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当していたから、国年令別表2級15号に該当する程度であった。 (ア) 下肢の障害に係る認定要領⑴イにおいては、「関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているも の」と「筋力が著減又は消失しているもの」とが同程度の評価とされてい るものと考えられる。そうすると、本件認定要領において「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の例示として掲げられているのは、「両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、(障害認定基準の)別紙「肢体の障害関係の測定方法」による 定要領において「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の例示として掲げられているのは、「両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、(障害認定基準の)別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの」のみであるが、「両下肢の3大関節中 それぞれ1関節の筋力が著減又は消失しているもの」も、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に当たるというべきである。 本件診断書によれば、裁定請求日における原告の障害の状態は、両足関節の背屈・底屈の筋力がいずれも著減とされ、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が著減した状態にあったから、本件認定要領にいう「両下 肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当する。 (イ) 本件診断書において、下肢の障害に係る認定要領⑴コに掲げる日常生活における動作は、「立ち上がる」以外、いずれも最も不良な評価か2番目に不良な評価がされている。また、「杖を常時(起床から就寝まで)使用しており、杖を使用しても転倒する、屋外は杖と伝い歩き(どこかにつかまる 必要あり)といった状況であり、杖なしには日常生活は困難、労働は座位による軽作業のみ可能である」ともされている。このように日常生活における動作に制約が加わることに鑑みても、裁定請求日における原告の障害の程度は障害等級2級相当と認定されるべきである。 イ併合認定による障害等級2級 本件診断書によれば、裁定請求日における原告の下肢の状態は、両下肢の各股関節の筋力が半減(障害等級3級)、各膝関節の筋力が半減(障害等級3級)、各足関節の筋力が著減(少なくとも障害等級3級)の3つの障害がある状態であった。これら3つの障害を、障害認定基準の「第2章併合等認定基準」に当てはめると、障害等級 関節の筋力が半減(障害等級3級)、各足関節の筋力が著減(少なくとも障害等級3級)の3つの障害がある状態であった。これら3つの障害を、障害認定基準の「第2章併合等認定基準」に当てはめると、障害等級2級相当となる。 したがって、裁定請求日における原告の障害の程度は、併合認定によって 障害等級2級相当と認定されるべきである。 ウ体幹・脊柱の機能の障害に係る認定基準による障害等級2級原告の障害の状態は、体幹・脊柱の機能の障害に係る認定基準において障害等級2級とされている「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」(国年令別表2級14号)に該当する。 (被告の主張)ア本件認定要領にいう「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」への該当性(ア) 裁定請求日における原告の障害の状態は、脳性麻痺を原因とする障害の部位が上肢及び下肢の広範囲にあるから、肢体の機能の障害に係る認定基 準及び認定要領によって認定することとなる。そして、上肢の障害は日常生活に影響を与える程度のものではなく、下肢の障害が重い状況であることから、肢体の機能の障害に係る認定要領⑶の(注)により、障害の重い下肢の障害に係る認定基準及び認定要領によって認定することとなる。 (イ) 本件診断書によれば、裁定請求日における原告の障害の状態は、両下肢 の各関節の運動筋力はいずれも半減以下であるものの、各関節の関節可動域に参考可動域の2分の1以下の制限は認められないから、本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の例示に該当しない。 また、本件各裁定請求の際に原告から提出された社会保険労務士作成の病歴・就労状況等申立書(乙16)には、本件診断書では一人ではできな いとされている「歩く(屋外)」、「階段を 該当しない。 また、本件各裁定請求の際に原告から提出された社会保険労務士作成の病歴・就労状況等申立書(乙16)には、本件診断書では一人ではできな いとされている「歩く(屋外)」、「階段を下りる」も可能であるような記載がある。これらによれば、原告は、不自由さはあるものの立位歩行能力がカバーされる程度の筋力は保たれており、外出時の支持歩行も可能な状況であるといえるから、国年令別表2級15号にいう「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」 とは認められない。 イ併合認定による障害等級2級前記ア(ア)のとおり、原告の障害の状態については肢体の機能の障害に係る認定基準及び認定要領によって認定することになるところ、この場合において認定の対象となる障害は肢体の機能の障害1つであり、複数の障害が対象となるものではない。 したがって、本件は、併合認定がされる場合に該当しない。 ウ体幹・脊柱の機能の障害に係る認定基準による障害等級2級原告は、体幹麻痺を後遺している状態にあるとは認められないから、体幹・脊柱の機能の障害に係る認定基準を用いて原告の障害の状態を認定することはできない。 ⑵ 争点2(障害の原因となった傷病は何か)について(原告の主張)ア主位的請求は、腰椎分離すべり症を基準傷病とし、基準傷病による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害とを併合して初めて障害等級2級に該当する程度の障害に至ったとする初めて2級裁定請求に係るも のである。 イ予備的請求1は、腰椎分離すべり症が脳性麻痺に起因するものであることを前提に、脳性麻痺が社会的治癒したものの腰椎分離すべり症にもり患したことを障害の原因となる傷病とする事後重症裁 のである。 イ予備的請求1は、腰椎分離すべり症が脳性麻痺に起因するものであることを前提に、脳性麻痺が社会的治癒したものの腰椎分離すべり症にもり患したことを障害の原因となる傷病とする事後重症裁定請求に係るものである。 (被告の主張) 本件診断書の原告の下肢の障害は、腰椎分離すべり症によるものではなく、専ら脳性麻痺によるものである。 予備的請求1に関し、原告は、本件事後重症裁定請求において脳性麻痺と腰椎分離すべり症が同一傷病であることを前提としていたところ、原告の脳性麻痺と腰椎分離すべり症との間には因果関係が認められず、両傷病は明らかに別 傷病である。 ⑶ 争点3(障害の原因となった傷病の初診日)について(原告の主張)主位的請求に係る障害の原因となった傷病(基準傷病)の初診日は、腰椎分離すべり症について初めて受診した日であり、予備的請求1に係る障害の原因となった傷病の初診日は、脳性麻痺が社会的治癒した後に腰椎分離すべり症に ついて初めて受診した日であり、平成7年2月頃か、平成2年頃のいずれかである。 障害給付における初診日の要件は、被保険者等要件、保険料納付要件を満たしているかを判断するに足りる程度に初診日が特定されていればよいと解されるところ、平成2年頃から平成7年2月頃までの間は、いずれも原告の厚生 年金被保険者期間に当たり、保険料納付要件も満たしている。 (被告の主張)ア原告は、本件初めて2級裁定請求及び本件事後重症裁定請求において初診日を平成7年5月頃と特定していたところ、処分行政庁は、裁定請求において特定された初診日と異なる初診日を探索し、認定することは義務付けられ ていない。裁定請求において特定された初診日と大幅に異なる初診日を訴訟の段階で主張する場合 、処分行政庁は、裁定請求において特定された初診日と異なる初診日を探索し、認定することは義務付けられ ていない。裁定請求において特定された初診日と大幅に異なる初診日を訴訟の段階で主張する場合には、処分の同一性を欠き、主張自体失当である。 仮にそのような主張が許されるとしても、腰椎分離すべり症の初診日は確定されていない。 イ予備的請求1に関し、原告は、本件事後重症裁定請求において脳性麻痺と 腰椎分離すべり症が同一傷病であることを前提としていたところ、前記⑵の(被告の主張)のとおり、両傷病は明らかに別傷病であるから、同一傷病の初診日を観念することはできない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(裁定請求日における原告の障害の程度)について ⑴ 障害認定基準について 障害等級の認定に関しては、その具体的な認定の基準として障害認定基準が定められており、処分行政庁による障害等級の認定はこれに従って行われていることは公知の事実であるところ、障害認定基準は、行政規則であり法的拘束力はないものの、医学的知見を総合して定められたものであり、最新の知見を踏まえた改正がされていることも勘案すると、その内容は合理的なものである と認められる。また、障害給付の公平を確保するためには、障害の程度の認定が、医学的知見を踏まえて一定の合理的基準に従って運用される必要がある。 これらの点を考慮すると、障害給付を支給するか否かの判断に当たって行われる障害の程度の具体的な認定は、特段の事情がない限り、障害認定基準を参酌すべきものというべきである。 ⑵ 本件認定要領の解釈について本件においては、裁定請求日における原告の障害の状態が国年令別表2級15号に該当していたかが争点となっているところ、同号該当性の認定に当たっ きである。 ⑵ 本件認定要領の解釈について本件においては、裁定請求日における原告の障害の状態が国年令別表2級15号に該当していたかが争点となっているところ、同号該当性の認定に当たって障害認定基準を参酌する際に、肢体の機能の障害に係る認定要領⑶の(注)の記載を介するか否かを措けば、原告の障害の程度を認定するに当たって下肢 の障害に係る認定基準及び認定要領を参酌すべきことにつき当事者間に争いはない。 そして、障害認定基準においては、同号に規定する障害の状態に係る認定要領として本件認定要領が定められているところ、当事者間において本件認定要領の解釈について争われているので、以下、この点について検討する。 ア 「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」について本件認定要領では、国年令別表2級15号に規定する障害の状態である「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、「両 下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」をいうとされている。また、「両下 肢の機能に相当程度の障害を残すもの」の例示として、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、障害認定基準の別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているものが挙げられている。 そして、証拠によれば、本件認定要領の追加を含む見直しを行った障害認 定基準の平成24年改正時における検討において、障害等級1級6号に規定する障害の状態に係る両下肢の障害の認定要領(下肢の障害に係る認定要領⑴ア)が「両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃 準の平成24年改正時における検討において、障害等級1級6号に規定する障害の状態に係る両下肢の障害の認定要領(下肢の障害に係る認定要領⑴ア)が「両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの」であることを踏まえ、障害等級2級に相当する両下肢の障害の程度は「両下肢の3大関節中それぞれ1関節が全く用を廃した」程度であると考え られたこと、このような考えのもと、本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」について、下肢の障害に係る認定要領⑴アにおいて「関節が全く用を廃したもの」に該当する事由とされているものから(イ)を例示として掲げることとしたことが認められ(甲32の1・5~6丁、32の2・8頁)、他方、平成24年改正時における検討において、「関節が全く 用を廃したもの」に該当する他の事由を積極的に「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に係る認定要領から排除することを検討した形跡はうかがわれない。これらの事情に鑑みれば、障害認定基準の平成24年改正においては、「両下肢の3大関節中それぞれ1関節が全く用を廃したもの」に該当する場合には、障害等級2級に相当する認定要領である「両下肢の機能に 相当程度の障害を残すもの」に該当すると考えられていたものというべきであり(このことは、改正の際に実施されたパブリックコメントにおいて厚生労働省が示した考え方(甲34・3頁)にも裏付けられている。)、このような考え方に特段不合理な点は見出し難い。 そうすると、本件認定要領においては、「両下肢の3大関節中それぞれ1 関節が全く用を廃したもの」、すなわち、両下肢の3大関節中それぞれ1関 節について、下肢の障害に係る認定要領⑴アにおいて「関節が全く用を廃したもの」に該当するものとして掲げられている 関節が全く用を廃したもの」、すなわち、両下肢の3大関節中それぞれ1関 節について、下肢の障害に係る認定要領⑴アにおいて「関節が全く用を廃したもの」に該当するものとして掲げられている事由のいずれかに該当すれば、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものと解するのが相当である。これに反する被告の主張は、以上認定説示したところに照らして採用することができない。 イ日常生活における動作の考慮についてまた、本件認定要領においては、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定するとされているところ、証拠によれば、障害認定基準の平成24年改正時における検討においては、下肢の障害に係る認定基 準及び認定要領のうち、両下肢に障害がある場合であって障害等級2級又は3級に相当するものに関する規定は、肢体の機能の障害に係る認定基準及び認定要領の規定を移項したものであること、見直しによってそれまでの障害年金の支給対象に変動が生じないようにすることが目指されていたこと、障害等級1級から3級を通じて両下肢に障害がある場合の認定要領に日常生 活における動作も考慮して総合的に判断する旨の記載が追加されたことが認められる(甲31の1・5~6丁、32の1・5丁、32の2・8頁)。 これらの事情に照らせば、本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するか否かの認定に際して日常生活の動作を考慮するに当たっては、身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関 係を参考として示す肢体の機能の障害に係る認定要領⑸イを参照すべきものと解するのが相当である。 ⑶ 原告の障害の状態についての検討前記⑵で認定 の程度と日常生活における動作の障害との関 係を参考として示す肢体の機能の障害に係る認定要領⑸イを参照すべきものと解するのが相当である。 ⑶ 原告の障害の状態についての検討前記⑵で認定説示したところを踏まえ、原告の障害の状態について検討する。 ア関節可動域及び筋力の状態からの評価 本件診断書によれば、原告は、裁定請求日において、左右の足関節の筋力 が著減とされていたことが認められるところ、これは、両下肢の3大関節中それぞれ足関節の用を全く廃したものに該当するから、本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものと認められる(下肢の障害に係る認定要領⑴ア(ウ)参照)。 イ日常生活における動作からの評価 また、裁定請求日における原告の日常生活の動作についてみてみると、本件診断書によれば、下肢の機能に関連する日常生活の動作(下肢の障害に係る認定要領⑴コ、肢体の機能の障害に係る認定要領⑷ウ参照)は、「立ち上がる」については「支持があればできるがやや不自由」にとどまっているものの、「歩く(屋外)」が「一人で全くできない」、「階段を下りる」が「手すり があってもできない」とされているほか、「片足で立つ」(左右)及び「歩く(屋内)」がいずれも「一人でできるが非常に不自由」、階段を上るが「手すりがあればできるが非常に不自由」とされていることが認められる。 そうすると、下肢の障害に係る認定要領において下肢の機能に関連する日常生活の動作として掲げられている6つのうち5つが「一人でできるが非常 に不自由」ないし「手すりがあればできるが非常に不自由」以上とされているから、肢体の機能の障害に係る認定要領⑸イに照らし、日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な 非常 に不自由」ないし「手すりがあればできるが非常に不自由」以上とされているから、肢体の機能の障害に係る認定要領⑸イに照らし、日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」に該当し、原告の日常生活における動作の観点からも、本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものと認められる。 ウ被告の主張について(ア) 被告は、社会保険労務士作成の病歴・就労状況等申立書(乙16)の記載に照らせば、国年令別表2級15号にいう「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」とは認められない、原告及び証人Cの供述(甲37、40、41、原告本人、 証人C)や原告の日常生活における動作の状況を撮影した動画(甲39の 1~22)によれば、裁定請求日における原告の障害の状態は本件診断書の記載よりも軽いものであったことがうかがわれる旨を主張するので、以下、この点について検討する。 いずれも平成30年厚生労働省令10号による改正前の国民年金法施行規則31条2項及び厚生年金法施行規則44条2項において裁定請求 書に添付すべきとされている書類等を通覧すると、障害の状態の程度に関するものは、両規則別表所定の傷病による障害である場合を除き、医師又は歯科医師の診断書のみとされている。そして、前記⑴のとおり、障害給付の公平の確保等の観点から、障害の程度の具体的な認定は、特段の事情がない限り、医学的知見を総合して作成された障害認定基準を参酌して判 断するのが相当であると解されることにも鑑みれば、裁定請求日における障害の状態の程度を認定するに当たっては、基本的には、裁定請求書に添付された医師の診断書の記載によるべきである。そして、本件診断書 断するのが相当であると解されることにも鑑みれば、裁定請求日における障害の状態の程度を認定するに当たっては、基本的には、裁定請求書に添付された医師の診断書の記載によるべきである。そして、本件診断書によれば、障害等級2級の障害の状態にあったものと認定することができることは、前記ア及びイのとおりである。 なお、原告が令和4年2月28日に脳性麻痺を障害の原因である傷病とする事後重症裁定請求をした際に提出した診断書(乙30)と本件診断書を比較すると、「階段を下りる」について「手すりがあってもできない」から「手すりがあればできるが非常に不自由」に改善がみられるほかは、下肢の機能に関連する日常生活における動作について本件診断書と同程度 又はより重い程度の障害と判定されており、下肢の機能に関連する日常生活の動作6つのうち5つが「一人でできるが非常に不自由」ないし「手すりがあればできるが非常に不自由」以上とされていることが認められるところ、本件各請求から約4年半が経過した時点においてのものではあるものの、異なる医師によって日常生活における動作についてほぼ同様の判定 がされている事実は、本件診断書における日常生活における動作に関する 判定が妥当なものであったことを一応裏付けているものと評価することができる。 (イ) 次に、被告が指摘する病歴・就労状況等申立書(乙16)の記載、原告及び証人Cの供述並びに原告の日常生活における動作の状況を撮影した動画について検討する。 まず、同申立書には、散歩や買物について「一人でできるが非常に不自由(自発的にできないが援助があればできる)」という記載のほか、「外出時は常に杖が必要」、「歩行速度が遅いため、踏切や横断歩道はせかされているような気分になり、緊張して足がこわばる。 るが非常に不自由(自発的にできないが援助があればできる)」という記載のほか、「外出時は常に杖が必要」、「歩行速度が遅いため、踏切や横断歩道はせかされているような気分になり、緊張して足がこわばる。杖が必要不可欠。」、「電車とホームの間をまたぐことが怖い。」、「階段は手すりがあっても大変。」、 「降りるのは結構大変エレベーターを使う。」、「上るのは倍くらい時間がかかる。」といった記載があることが認められる。しかしながら、原告の障害の状態がこれらの記載のとおりであったとしても、日常生活に相応の制約を受けているものというべきであって、「歩く(屋外)」について「一人でできるが非常に不自由」、「階段を下りる」について「手すりがあれば できるが非常に不自由」よりも軽度の障害の状態であったものと判定すべきとまではいえない。 また、原告及び証人Cの供述や原告の日常生活における動作の状況を撮影した動画について検討すると、「階段を下りる」については、確かに令和5年7月23日に撮影された動画(甲39の8)によれば、原告は、手す りをつかまりながら一人で階段を下りることができている様子が撮影されており、「階段を下りる」については本件診断書の記載(「手すりがあってもできない」)よりも改善している状況にあることがうかがわれるものの、その様子は、終始手すりにつかまりながら、時間をかけて慎重に下りるというものであり、動作に相当の制約があることが見て取れるのであっ て「手すりがあればできるが非常に不自由」よりも軽度の障害の状態であ ったものと判定すべきとまではいえない。その他の下肢の機能に関連する日常生活における動作(「片足で立つ」、「歩く(屋内)」、「歩く(屋外)」、「立ち上がる」、「階段を上る」)に関する被告の主張は、被告 たものと判定すべきとまではいえない。その他の下肢の機能に関連する日常生活における動作(「片足で立つ」、「歩く(屋内)」、「歩く(屋外)」、「立ち上がる」、「階段を上る」)に関する被告の主張は、被告自身による評価が多分に含まれており、本件診断書に記載された医師の判定と異なる判定をすべき旨を主張するものとまでは認め難く、それぞれの動作に関する 動作の状況を撮影した動画によっても、本件診断書と異なる判定をすべき事情があるとまでは認め難い。 そうすると、結局、病歴・就労状況等申立書(乙16)、原告及び証人Cの供述、原告の日常生活における動作の状況を撮影した動画を踏まえても、原告の下肢の機能に関連する日常生活の動作は、6つのうち5つが「一人 でできるが非常に不自由」ないし「手すりがあればできるが非常に不自由」となるから、なお「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものと認められる。 ⑷ 小括以上を総合すれば、原告の下肢の障害の状態は、裁定請求日において、国年 令別表2級15号に規定する障害の状態に係る認定要領である本件認定要領の「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するから、障害等級2級に相当する程度であったと認められる。 2 争点2(障害の原因となった傷病は何か)について⑴ 主位的請求に関する原告の主張 原告は、争点2に関し、主位的請求において、腰椎分離すべり症を基準傷病とし、基準傷病による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害とを併合して初めて障害等級2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったと主張するので、この点について検討する。 ア脳性麻痺及び腰椎分離すべり症の病態について 脳性麻痺とは、受胎から新生児までの間に生じた脳の非進行性病 の状態に該当するに至ったと主張するので、この点について検討する。 ア脳性麻痺及び腰椎分離すべり症の病態について 脳性麻痺とは、受胎から新生児までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく永続的な、しかし変化し得る運動及び姿勢の異常であり、その症状は、満2歳までに発現するとされている(甲7、乙22・2175頁、乙23・399頁)。脳性麻痺の原因は、障害の生じる時期により、出生前、出生時、出生後に分けられ、出生前原因には、胎内感染、胎盤機能不全、胎児期の脳血 管障害、遺伝性などがあり、出生時原因には、分娩時の機械的損傷、脳出血、無酸素症、低酸素症、脳循環障害などがあり、出生後原因には、重症黄疸、頭蓋内感染症、脳出血などがある(甲7)。脳性麻痺の分類は、障害部位による分類と病型による分類があり、障害部位による分類には、片麻痺、両片麻痺、四肢麻痺、両麻痺、対麻痺、単麻痺、三肢麻痺があり、病型による分類 には、痙直型、アテトーゼ型、失調型、弛緩(低緊張)型、混合型がある(乙23・400頁)。 腰椎分離症の病態は、腰椎における椎弓の根元の椎弓根から上関節突起部分における骨折である。原因は、10代前半の成長期に起こる疲労骨折であり(乙24・63頁)、好発部位は第5腰椎である(乙24・63頁、乙28・ 81頁)。若いうちは症状なく経過することが多く、成人期以降に腰椎分離すべり症となり、徐々に症状が出てくることもあり(乙24・63頁)、腰椎分離すべり症も含めた脊椎分離すべり症と診断される患者は、30歳代から40歳代にかけて多いとされる(乙28・81頁)。症状としては後屈、回旋時の腰痛が特徴であり、立位、中腰、運動後、労働後に腰痛を訴えることが 多く(乙24・63頁)、中高年期以降では、多彩な病状を呈する( けて多いとされる(乙28・81頁)。症状としては後屈、回旋時の腰痛が特徴であり、立位、中腰、運動後、労働後に腰痛を訴えることが 多く(乙24・63頁)、中高年期以降では、多彩な病状を呈する(乙25・23頁)。 イ原告の診療経過等原告の診療経過等について、前提事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (ア) 原告は、歩き出した頃から歩容異常を指摘され、昭和46年頃(原告3 歳頃)、Aを受診し、脳性麻痺と診断され、4歳頃までリハビリを続けたが、医師から治療効果がなく受診は必要ないと言われ、受診を終了した。 (甲4、原告本人)その後も、原告の歩容異常は続き、お尻を突き出して、つま先を浮かさず、かかとが上がった状態ですり足のような方法で歩く状態であったが、 走ったり、ジャンプをしたりすることはできていた。(甲37、原告本人)原告は、整体に通うなどし、小学校4年時には、アキレス腱の延長手術を受けたが、小学校から高校まで普通学級・普通科に通学し、体育の授業も受けることができていた。(甲37、38、原告本人)(イ) 原告は、高校卒業後の昭和62年4月、神戸市のバルブメーカーに就職 し、α市にある実家から1時間半ほどかけて電車で通勤し、製品設計のためのコンピュータ作業などに従事した。(甲37、原告本人)(ウ) 原告は、平成2年頃、ハイヒールを履きだしてから腰痛があり、「D」において腰椎牽引、温熱療法を受け、湿布薬等で軽快した。もっとも、その後も時々腰痛があり、湿布薬の貼付等をしていた。(甲24・61頁) (エ) 原告は、平成7年2月頃、頸部及び鼻溝部に皮疹があり、E外科を受診したところ、歩容異常を指摘され、腰部レントゲン検査の結果、第5腰椎分離すべり症 付等をしていた。(甲24・61頁) (エ) 原告は、平成7年2月頃、頸部及び鼻溝部に皮疹があり、E外科を受診したところ、歩容異常を指摘され、腰部レントゲン検査の結果、第5腰椎分離すべり症と診断された。 (甲24・6、48頁。なお、本項については、争点3(障害の原因となった傷病の初診日)にも関連するため、後記3において事実認定の補足をする。) (オ) 原告は、平成7年3月8日、長時間の立位で右臀部から右下腿後面にしびれがあるとして、E外科から紹介されたBを受診した。(甲24・4、6頁)その後、同年6月20日、Bにて腰椎分離すべり症に対する手術(椎弓切除術及び後方固定術)を受け、リハビリ等を経て日常生活動作が術前よ り改善し、同年8月29日、退院した。(甲24・44、45、104頁) なお、原告は、同年9月6日、脳性麻痺による両下肢麻痺について当時の身体障害者福祉法施行規則別表第5号5級(以下「身体障害者5級」という。)相当の障害に該当する旨の診断を受けた。(甲3)(カ) 前記(オ)の手術後しばらくは、原告の腰の痛みはなくなったが、しばらくすると痛みが再発するようになり、平成13年頃には、日常的に杖を使 うようになっていた。(甲41、原告本人、証人C)(キ) 原告は、平成21年4月14日、同年3月頃からときどき腰痛を認めるとして、Fを受診した。同病院における傷病名は腰椎分離すべり症とされ、以後、同病院に外来通院し、外用薬による加療を受けるようになり、裁定請求日の近くの平成29年8月頃には、年に一、二度の頻度で通院してい た。(乙5)ウ検討前記イで認定したところによれば、原告は、脳性麻痺にり患し歩き出すようになる頃に歩容異常がみられていたとはいえ、高校までは体育の授業に 一、二度の頻度で通院してい た。(乙5)ウ検討前記イで認定したところによれば、原告は、脳性麻痺にり患し歩き出すようになる頃に歩容異常がみられていたとはいえ、高校までは体育の授業にも参加することができていたことが認められる。また、平成7年6月に腰椎分 離すべり症に対する手術を受け、腰の痛みが一時的に緩和していた頃の同年9月には脳性麻痺による両下肢麻痺の障害について身体障害者5級相当の障害に該当する旨の診断を受けていたことが認められる。これらの事実に照らせば、原告は、少なくとも腰椎分離すべり症と診断され、それに対する手術を受けるに至った平成7年頃までは、脳性麻痺による歩容異常があり、身 体障害者5級に相当する障害の状態にあったものの、日常生活に著しい制限がある等、障害等級2級に該当する障害の状態にあったとは認められない。 一方、前記イで認定したところによれば、原告は、腰椎分離すべり症の手術を受けた直後こそ腰の痛みはなくなったものの、しばらくすると再び腰の痛みを覚えるようになり、次第に外出時に杖を使うことが多くなり、平成13 年頃には日常的に杖を使うようになり、平成21年4月から腰椎分離すべり 症による腰痛で定期的に通院するようになったことが認められるところ、このような推移は、若いうちは症状なく経過して成人期以降に発症するなど進行性の症状を呈することがあり、30歳代から40歳代にかけて診断される患者が多いとされる腰椎分離すべり症の病態(前記ア参照)にも符合するものということができる。これらの事実に照らせば、原告の裁定請求日におけ る障害の状態は、元々の脳性麻痺による歩容異常を伴う障害の状態に、腰椎分離すべり症による腰痛の症状が徐々に悪化したことが加わった状態であるものと認めるのが相当である ば、原告の裁定請求日におけ る障害の状態は、元々の脳性麻痺による歩容異常を伴う障害の状態に、腰椎分離すべり症による腰痛の症状が徐々に悪化したことが加わった状態であるものと認めるのが相当である(なお、令和5年11月に作成されたものであるが、Bの原告の主治医による診断書(甲42)も、かかる認定に沿う所見を示している。)。 エ被告の主張についてこれに対し、被告は、本件診断書には腰痛によるADL障害等の記載がないことや、下肢の障害は、脳性麻痺の悪化によって症状が変化することもあり得るなどとして、原告の下肢の障害は、もっぱら脳性麻痺によるものである旨主張する。 しかしながら、本件診断書には、腰痛によって直接ADLに障害がある旨の記載はないものの、腰痛によって姿勢が悪くなるなどして歩行その他ADLに支障が生じることは容易に想定されることからすると、被告の主張する事情をもって、直ちに原告の下肢の障害について腰椎分離すべり症の影響がないということはできない。また、脳性麻痺の悪化によって下肢の症状が変 化すること自体は一概に否定することができないものの、前記アのとおり、脳性麻痺の病態は非進行性病変に基づく永続的なものであること、原告については、前記イのとおり、腰椎分離すべり症に対する手術を受けるまでは歩容に異常はあったものの杖を必要とするような状態にまでは至っていなかったにもかかわらず、手術の後しばらくしてから徐々に外出時に杖を使用す るにようになり、その後徐々に症状が悪化して日常的に杖を必要とする状態 となり、その状態が現在まで継続していることからすると、原告の下肢の障害の状態については、腰椎分離すべり症の影響があるとみるのが相当であり、これに反する被告の主張は採用することができない。 ま となり、その状態が現在まで継続していることからすると、原告の下肢の障害の状態については、腰椎分離すべり症の影響があるとみるのが相当であり、これに反する被告の主張は採用することができない。 また、被告は、本件診断書と原告が本件の裁定請求と別の機会に提出した診断書(乙30)の各記載を対比すると、本件診断書記載の症状がもっぱら 脳性麻痺によるものであることが裏付けられるとも主張するが、脳性麻痺の症状と腰椎分離すべり症の症状を明確に区分することは困難と考えられる一方、乙30号証の診断書は、腰椎分離すべり症と脳性麻痺を同一傷病としてされた裁定請求に際して提出されたものであり、傷病名についても、その請求内容に対応して便宜的に記載されたものと考えられることからすると、 かかる傷病名の記載を重くみることは相当ではなく、被告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 小括以上によれば、裁定請求日における原告の障害は、腰椎分離すべり症を基準傷病とし、基準傷病による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障 害とが合わさったものというべきである。 3 争点3(障害の原因となった傷病の初診日)について⑴ 基準傷病の初診日の認定前記2のとおり、主位的請求における原告の基準傷病は、腰椎分離すべり症であるというべきところ、腰椎分離すべり症の初診日は、前記2の⑴イ(エ)の とおり、原告がE外科を受診し、腰椎分離すべり症との診断を受けた平成7年2月頃であると認めることが相当である。 ⑵ 事実認定の補足説明以下、上記⑴の認定について補足して説明する。 ア腰痛の発症に関するカルテの記載 Bのカルテ(甲24)には「生下時より歩容異常を指摘 cerebralpalsy(注:脳性麻痺)と診断、約5年 ついて補足して説明する。 ア腰痛の発症に関するカルテの記載 Bのカルテ(甲24)には「生下時より歩容異常を指摘 cerebralpalsy(注:脳性麻痺)と診断、約5年程前、lowbackpain 出現、近医にて理学療法うけるもpain↑」(32頁)、「出生時より歩容異常指摘されており、4~5年前より腰痛認める。(物理・装具療法により1ケ月で軽快) 2年前より再び出現し、診断される」(40頁)、「生下時より歩容異常を指摘 cerebralpalsy(注:脳性麻痺)と診断約5年程前、ハイヒールをはきだしてからL.B.P 出現 Dにて腰椎牽引、温熱療法、湿布薬にて軽快その後時々L.B.P 認めるも湿布薬にてobservation」(61頁)との記載があり、これらの記載によれば、原告は、平成7年の約5年前に当たる平成2年頃から、背下部ないし腰部に痛みを覚えるようになり、腰椎けん引等の理学療法や湿 布薬の貼付等の対症療法によりながら回復と悪化を繰り返していたことが認められる。 イ B受診の経緯に関するカルテの記載そして、Bのカルテ(甲24)に、「本年2月頃、頸部及び鼻溝部に皮疹認めE受診、歩容異常指摘され、腰部X-P 施行、第5腰椎分離辷り症と診断」 (6頁)、「本年3月7日当科紹介受診」(48頁)との記載があり、これらの記載によれば、原告は、平成7年2月頃、背下部ないし腰部の痛みとは別症状にてE外科を受診した際に歩容異常を指摘されてレントゲン検査を施行され、腰椎分離すべり症との診断によりBを紹介され、同年3月8日同病院を受診したものと認められる。 ウ原告の腰痛に関する経緯と腰椎分離すべり症の病態との関係以上の経緯は、若いうちは症状なく経過することが多く、腰椎分離 りBを紹介され、同年3月8日同病院を受診したものと認められる。 ウ原告の腰痛に関する経緯と腰椎分離すべり症の病態との関係以上の経緯は、若いうちは症状なく経過することが多く、腰椎分離すべり症も含めた脊椎分離すべり症と診断される患者は30歳代から40歳代にかけて多いとされているという腰椎分離症・腰椎分離すべり症の病態(前記2⑴ア)に沿うものである。 エ小括 以上に認定説示したところに照らせば、原告は、平成2年頃から平成7年2月頃までの間のいずれかの時点で腰椎分離すべり症を発症したものと推認することができ、そうすると、E外科においてレントゲン検査を施行したことにより腰椎分離すべり症と診断された日である平成7年2月頃をもって、腰椎分離すべり症の初診日と認めることが相当である。 ⑶ 被告の主張についてアこれに対し、被告は、Bのカルテに「4~5年前より腰痛認める。」との記載や、原告が平成2年頃に「D」で腰痛について施術を受けた旨の記載があることから、平成7年2月頃が初診日であるとはいえない旨主張する。しかしながら、仮に原告にその初診日の四、五年前から腰痛があり、「D」で施術 を受けていたとしても、それが医師による治療を受けたものであることを認めるに足りる事情はなく(少なくとも、原告が施術を受けた施設に関するものして証拠提出する令和5年2月時点の「G」のウェブページ(甲36)によれば、同所は鍼灸治療院であって、鍼灸師による施術のほかに医療措置を講ずるような人的・物的体制があることはうかがわれない。)、被告が指摘す る事情は、平成7年2月頃を初診日と認めることの妨げになるものではないというべきである。 イまた、被告は、本件初めて2級裁定請求における腰椎分離すべり症の初診日は平成 。)、被告が指摘す る事情は、平成7年2月頃を初診日と認めることの妨げになるものではないというべきである。 イまた、被告は、本件初めて2級裁定請求における腰椎分離すべり症の初診日は平成7年5月頃とされていたところ、裁定請求時において初診日とされた日と大幅に異なる日を初診日とする主張は、処分の同一性を欠くから、抗 告訴訟における取消事由にはならない旨主張するが、原告が腰椎分離すべり症の初診日を平成7年5月頃としたのは、本件初めて2級裁定請求の当時、B及びE外科から当時の医療記録が残っていないと回答されたことから原告自身の記憶に基づいて初診日を特定するほかなかったことによるものであり(乙3、4、原告本人)、その初診日が裁定請求日から20年以上も前の 日であること、本訴における原告の主張に係る初診日が当初の初診日と3か 月しか違わないことにも鑑みれば、本訴において、原告が腰椎分離すべり症の初診日を平成7年2月頃と主張することは妨げられないというべきである。 4 主位的請求に係る小括⑴ 前記1から3までに認定説示したところによれば、原告は、裁定請求日にお いて、基準傷病である腰椎分離すべり症による障害と基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害とを併合して障害等級2級の障害の状態に至っており、基準傷病の初診日については平成7年2月頃であったことが認められる。 そうすると、本件初めて2級裁定請求に係る不支給処分は、少なくとも基準傷病の初診日を認定することができないとする点で誤りがあるから、取り消さ れるべきである。 ⑵ 主位的請求に係る義務付けの訴えの適法性(争点5)について検討すると、同訴えは、いわゆる申請型義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項2号)であるところ、前記⑴のとおり、本件初め るべきである。 ⑵ 主位的請求に係る義務付けの訴えの適法性(争点5)について検討すると、同訴えは、いわゆる申請型義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項2号)であるところ、前記⑴のとおり、本件初めて2級裁定請求に係る不支給処分は違法であって取り消されるべきものである以上、上記義務付けの訴えは、同法3 7条の3第1項2号の訴訟要件を満たし、適法である。 ⑶ また、初めて2級裁定請求に係る障害給付のその他の支給要件について検討すると、まず、障害認定日以後、原告が65歳に達するまでの間に初めて障害等級2級に相当する状態に至ったかについては、前記2⑴イ及びウにおいて認定説示したとおり、基準傷病以外の傷病である脳性麻痺による障害は、平成7 年頃までは障害等級2級未満の状態であったこと、基準傷病である腰椎分離すべり症の症状は手術後しばらくしてから徐々に悪化しており、その初診日から起算して1年6月が経過した平成8年8月頃までに腰椎分離すべり症が治ったことをうかがわせる事情は認められず、その頃以後も徐々に症状が悪化していった経緯があることからすれば、基準傷病の障害認定日以後、原告が65歳 に達するまでの間に初めて障害等級2級に相当する状態に至ったものという べきである。 また、原告は、基準傷病の初診日における被保険者等要件及び保険料納付要件を満たしており、さらに、基準傷病の初診日(平成7年2月頃)は基準傷病以外の傷病(脳性麻痺)の初診日(昭和46年頃)以降であるとの要件も満たしている。 そうすると、本件初めて2級裁定請求について、裁定請求日を受給権発生日として障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定をすべきことは明らかであると認められる(行政事件訴訟法37条の2第5項)。 5 結論 請求について、裁定請求日を受給権発生日として障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給する旨の裁定をすべきことは明らかであると認められる(行政事件訴訟法37条の2第5項)。 5 結論以上によれば、原告の主位的請求にはいずれも理由があるから、主文のとおり 判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官遠藤啓佑 裁判官中出明香(別紙3省略) (別紙1) 本件に関連する国年法及び厚年法が定める障害給付の支給要件の概要 第1 障害給付制度の支給要件の概要 障害給付として、国民年金からは、障害等級1級又は2級の障害基礎年金が支給され、厚生年金保険からは、障害基礎年金に上乗せする形で、障害等級1級又は2級の障害厚生年金が支給される。また、厚生年金保険からは、厚生年金保険独自の給付として、障害の状態により障害等級3級の障害厚生年金の支給がされる。 障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せする報酬比例年金としての位置づけを有 しており、障害基礎年金と障害厚生年金の支給のための基本的な要件は同一である。 すなわち、障害給付の原則的な支給要件は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において、国民年金ないし厚生年金保険の被保険者等であったこと、一定の障害の状態にあること及 び一定の保険料納付要件を満たしていることである。 1 初診日において被保険者等であったこと障害給付の支給を受けるためには、障害の原因となった傷病に係る初診日において、障 にあること及 び一定の保険料納付要件を満たしていることである。 1 初診日において被保険者等であったこと障害給付の支給を受けるためには、障害の原因となった傷病に係る初診日において、障害基礎年金については「被保険者である」か又は「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である」ことの いずれかに該当した者であることを要し(国年法30条1項、30条の2第1項、30条の3第1項)、障害厚生年金については「被保険者であった」ことを要する(厚年法47条1項、47条の2第1項、47条の3第1項)。(以下、本項所定の要件を「被保険者等要件」という。) 2 一定の障害の状態にあること 障害給付は、障害により被保険者等の生活の安定が損なわれることを防止する ための制度であるから、受給資格の有無を判定する時点において、個々の請求者の「障害認定日」及び「障害等級」が検討され、それに応じた給付がされることとなる。 ⑴ 障害認定日障害認定日とは、傷病の初診日において国民年金ないし厚生年金保険の被保 険者等であった者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日又はその期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)があるときはその日をいう(国年法30条1項、厚年法47条1項)。 ⑵ 障害等級 障害給付の障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級(障害厚生年金については3級まで)とし、各級の障害の状態は政令で定めることとされている(国年法30条2項、厚年法47条2項)。これを受けて、各級に該当する障害の状態が国民年金法施行令(以下「国年令」という。)4条の6及び別表、厚生年金保険法施行令3条の8及び別表第 こととされている(国年法30条2項、厚年法47条2項)。これを受けて、各級に該当する障害の状態が国民年金法施行令(以下「国年令」という。)4条の6及び別表、厚生年金保険法施行令3条の8及び別表第1に定められている。 3 一定の保険料納付要件を満たしていること障害の原因となった傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、障害給付は支給されない(国年法30条1項ただし書、 30条の2第2項、30条の3第2項、厚年法47条1項ただし書、47条の2第2項、47条の3第2項)。なお、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)附則20条1項、64条1項に上記の要件の特例が定められているほか、20歳到達前に初診日がある障害基礎年金については、保険料納付要件を問わない無拠出制の年金とされている。(以下、本項所定の要件を「保険料 納付要件」という。) 第2 本訴に関連する障害給付の各類型の支給要件 1 初めて2級裁定請求に係る障害給付の支給要件疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下、初めて2級裁定請求に係る障害給付の支給要件に関しては「基準傷病」という。)に係る初診日において被保険者等要件に該当する者であって、基準傷病以外の傷病により障害等級2級未 満の障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、 日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外の全ての傷病)に係る初診日 以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害給付が支給される(国年法30条の3第1項、厚年法47条の3第1項)。 2 事後重症裁定請求に係る障害給付の支給要件疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者等 要件に該当する者であって、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったときは、その期間内に障害給付の支給を請求することができ、これにより、障害給付が支給される(国年法30条の2第1項、厚年法47条の2第1項)。 3 20歳前傷病事後重症裁定請求に係る障害基礎年金の支給要件疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者(同日において被保険者でなかった者に限る。)が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日後において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、65歳に達する日の前日まで の間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その 者は、その期間内に障害基礎年金の支給を請求することができ、これにより障害基礎年金が支給される(国年法30条の4第2項)。 第3 小括以上をまとめると、各類型の障害給付の支給要件は、以下のとおりとなる の期間内に障害基礎年金の支給を請求することができ、これにより障害基礎年金が支給される(国年法30条の4第2項)。 第3 小括以上をまとめると、各類型の障害給付の支給要件は、以下のとおりとなる。 1 初めて2級裁定請求に係る障害給付の支給要件 ① 基準傷病の初診日において被保険者等であったこと(被保険者等要件)。 ② 基準傷病以外の傷病により、障害等級2級未満の障害の状態にあったこと。 ③ 基準傷病による障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、基準傷病による障害と他の障害とを併合して障害等級2級以上に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったこと。 ④ 基準傷病の初診日が基準傷病以外の傷病の初診日以降であること。 ⑤ 保険料納付要件を満たしていること 2 事後重症裁定請求に係る障害給付の支給要件① 初診日において被保険者等であったこと(被保険者等要件)。 ② 障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態になかったこと。 ③ 障害認定日後、65歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったこと。 ④ 保険料納付要件を満たしていること。 3 20歳前傷病事後重症裁定請求に係る障害基礎年金の支給要件① 初診日において20歳未満であり、かつ、被保険者等要件に該当しなかった こと。 ② 以下の区分に応じてそれぞれ定める要件に該当すること。 ⅰ 障害認定日以後に20歳に達した場合20歳に達した日より後において、その傷病により、65歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったこと。 ⅱ 障害認定日が20歳に達した日の後である場合 障害認定日より後において、その傷病により、65歳に達する日の前日までの に、障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったこと。 ⅱ 障害認定日が20歳に達した日の後である場合 障害認定日より後において、その傷病により、65歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったこと。 以上 (別紙2) 本件に関する障害認定基準 本別紙は、障害認定基準のうち、本件に関連する主な認定基準及び認定要領である第3の第1章第7節第2(下肢の障害)及び第4(肢体の機能の障害)を抜粋したものである。 第2 下肢の障害 1 認定基準下肢の障害については、次のとおりである。 令別表障害の程度障害の状態国年令別表 1 級両下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「両下肢の用を全く廃したもの」という。)両下肢を足関節以上で欠くもの 2 級両下肢のすべての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。)一下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一下肢の用を全く廃したもの」という。)一下肢を足関節以上で欠くもの身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの厚年令別表第 3 級一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの両下肢の10趾の用を廃したもの身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの別表第 をリスフラン関節以上で失ったもの両下肢の10趾の用を廃したもの身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの別表第 障害手当金一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの一下肢を3センチメートル以上短縮したもの長管状骨に著しい転位変形を残すもの一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの(以下「一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。)一下肢の5趾の用を廃したもの身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 2 認定要領下肢の障害は、機能障害、欠損障害、変形障害及び短縮障害に区分する。 (1) 機能障害ア 「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両下肢の用を全く廃したもの」とは、両下肢の3 大関節中それぞれ2 関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。 (ア) 不良肢位で強直しているもの(イ) 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2 分の1 以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの(ウ) 筋力が著減又は消失しているものただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100 度屈曲位の強直である場合のように、両下肢の3 大関節中単にそれぞれ1 関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。 なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における っても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。 なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。 イ 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一下肢の用を全く廃したもの」とは、一下肢の3 大関節中いずれか2 関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。 (ア) 不良肢位で強直しているもの(イ) 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2 分の 1 以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの(ウ) 筋力が著減又は消失しているものただし、膝関節のみが100 度屈曲位の強直である場合のように単に 1 関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合には、「一下肢の用を全く廃したもの」と認定する。 ウ 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の 3 大関節中それぞれ1 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2 分の1 以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう。 なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する 減しているもの)をいう。 なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。 エ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の 2 分の1 以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。 オ 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3 分の2 以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼)をいう。 (注) 関節に著しい機能障害がない場合であっても、関節に機能障害を残すもの(「関節の他動可動域が健側の他動可動域の5 分の4 以下に制限されたもの」又は「これと同程度の障害を残すもの(例えば、固定装具を必要としない程度の動揺関節、習慣性脱臼)」をいう。)に該当する場合は、第2 章「併合等認定基準(併合判定参考表の12 号)」にも留意すること。 カ 「足趾の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。 (ア) 第1 趾は、末節骨の2 分の1 以上、その他の4 趾は遠位趾節間関節(DIP)以上で欠くもの(イ) 中足趾節関節(MP)又は近位趾節間関節(PIP)(第1 趾にあっては、趾節間関節(IP))に著しい運動障害 (他動可動域が健側の他動可動域の2 分の1 以下に制限されたもの)を残すものなお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、そ が健側の他動可動域の2 分の1 以下に制限されたもの)を残すものなお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。 キ 「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一下肢の3 大関節中1 関節が不良肢位で強直しているもの)又は両下肢に機能障害を残すもの(例えば、 両下肢の3 大関節中それぞれ1 関節の筋力が半減しているもの)をいう。 なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。 ク人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。 (ア) 一下肢の3 大関節中1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3 大関節中1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3 級と認定する。 ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、 さらに上位等級に認定する。 (イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して1 年6 月を超える場合を除く。)とする。 ケ 「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」 をそう入置換した日(初診日から起算して1 年6 月を超える場合を除く。)とする。 ケ 「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢に機能障害を残すもの(例えば、一下肢の3 大関節中1 関節の筋力が半減しているもの)をいう。 コ日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。 (ア) 片足で立つ(イ) 歩く(屋内)(ウ) 歩く(屋外)(エ) 立ち上がる(オ) 階段を上る(カ) 階段を下りる (2) 欠損障害ア 「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。 イ 「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいう。 なお、いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。 ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日とする。 (3) 変形障害ア 「長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限る。)(ア) 大腿骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの(イ) 脛骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すものなお、いずれも運動機能に著しい障害はないが、大腿骨又は脛骨に偽関節を残すもの(「一下肢に偽関節を残すもの」という。)は、障害手当金(第2 章「併合等認定基準(併合判定参考表の8 号)」)に相当する ものとして認定する。 イ 「長 を残すもの(「一下肢に偽関節を残すもの」という。)は、障害手当金(第2 章「併合等認定基準(併合判定参考表の8 号)」)に相当する ものとして認定する。 イ 「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。 (ア) 大腿骨に変形を残すもの(イ) 脛骨に変形を残すもの(腓骨のみに変形を残すものについても、その程度が著しい場合はこれに該当する)ただし、変形とは外部から観察できる程度(15 度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管状骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえその部位に肥厚が生じたとしても、長管状骨の変形としては取り扱わない。 (4) 短縮障害下肢長の測定は、上前腸骨棘と脛骨内果尖端を結ぶ直線距離の計測による。 ア ―下肢が健側の長さの4 分の1 以上短縮した場合は、「―下肢の用を全く廃したもの」に該当するものとして認定する。 イ一下肢が健側に比して10 センチメートル以上又は健側の長さの10 分の 1 以上短縮した場合は、「一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものとして認定する。 (5) 関節可動域の測定方法、関節の運動及び関節可動域等の評価測定方法については、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による。 ア関節の運動に関する評価については、各関節の主要な運動を重視し、他の運動については参考とする。 なお、各関節の主要な運動は次のとおりである。 部位主要な運動股関節屈曲・伸展膝関節屈曲・伸展足関節背屈・底屈足指屈曲・伸展イ関節可動域の評価は、原則として、健側の関節 る。 部位主要な運動股関節屈曲・伸展膝関節屈曲・伸展足関節背屈・底屈足指屈曲・伸展イ関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。 ただし、両側に障害を有する場合には、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域を参考とする。 ウ各関節の評価に当たっては、単に関節可動域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。 (ア) 筋力 (イ) 巧緻性 (ウ) 速さ (エ) 耐久性 なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、上記諸点を考慮し、日常生活における動作の状態から下肢の障害を総合的に認定する。 第4 肢体の機能の障害 1 認定基準肢体の機能の障害については、次のとおりである。 令別表障害の程度障害の状態国年令別表1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの厚年法別表第 3級身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は 状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの厚年法別表第 3級身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 2 認定要領(1) 肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、本節 「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」及び「第3 体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「第4 肢体の機能の障害」として認定する。 (2) 肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。 なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。 (3) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 (注) 肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定すること。 なお、肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定すること。 (4) 日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することがで 合であって、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定すること。 (4) 日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができないが、おおむね次のとおりである。 ア手指の機能(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)(エ) ひもを結ぶイ上肢の機能(ア) さじで食事をする(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)ウ下肢の機能(ア) 片足で立つ(イ) 歩く(屋内)(ウ) 歩く(屋外)(エ) 立ち上がる(オ) 階段を上る(カ) 階段を下りる障害の程度障害の状態 1 級1. 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの2. 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの 2 級1. 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの2. 四肢に機能障害を残すもの 3 級一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱う。 (5) 身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおりである。 ア 「用を全く廃したも 、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱う。 (5) 身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおりである。 ア 「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいう。 イ 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいう。 ウ 「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいう。 以上
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