令和1(行ウ)8 通知(処分)撤回及び損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年7月21日 岐阜地方裁判所
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判決文本文17,038 文字)

主文 1 土岐市教育委員会が,原告に対し,令和元年11月18日付けで行った土岐市図書館利用及び入館禁止処分を取り消す。 2 被告は,原告に対し,5000円及びこれに対する令和元年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告教育委員会教育長A及び土岐市図書館長Bが,原告に対し,令和元年11月18日付けで通知した,土岐市図書館利用及び入館禁止処分を取り消す。 2 被告は,原告に対し,40万円及びこれに対する令和元年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,土岐市図書館(以下「本件図書館」という。)を日常的に利用していた原告が,本件図書館の利用及び入館禁止処分(後記本件処分)を受けたことにつき,同処分は違法であるとしてその取消しを求めるとともに,上記処分等により原告が差別的に扱われたこと及び被告が原告から受領した公文書開示請求書を紛失したことにより精神的苦痛を被ったとして,国家賠償法1条1項又は民法709条に基づく損害賠償(慰謝料40万円)を求める事案である(附帯請求は,令和元年11月21日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定年5分の割合による遅延損害金)。 以下,前者を本件処分取消請求,後者を本件損害賠償請求という。 2 条例等の定め ⑴ 土岐市図書館設置条例(乙2。以下「本件条例」という。)本件条例は,市民の図書その他の資料に対する要求にこたえ,自由で公平な資料の提供を中心とする諸活動によ 条例等の定め ⑴ 土岐市図書館設置条例(乙2。以下「本件条例」という。)本件条例は,市民の図書その他の資料に対する要求にこたえ,自由で公平な資料の提供を中心とする諸活動によって,市民の文化,教養,調査研究,レクリエーション等に資するため,図書館法10条に基づき,土岐市図書館を設置するものしており(1条,2条),本件条例の施行に必要な事項を教育委員会規則により定めるものとしている(6条)。 なお,本件条例には,本件図書館の利用者に対し,図書館の利用及び入館を禁止ないし制限することができる旨の規定はない。 ⑵ 土岐市図書館運営規則(乙1。以下「本件規則」という。)本件規則は,本件条例6条の規定に基づき,本件図書館の運営等に関し,必要な事項を定めるものであり(1条),以下の規定を置く。 アこの規則若しくは館長の指示に従わない者に対して館長は,図書館資料及び施設の利用を禁止することができる(6条)。 イ個人の図書館資料の貸出冊数は,同時に10冊以内とし,貸出期間は,15日以内とする(12条1項)。館長が特に必要と認めたときは,貸出冊数及び貸出期間を変更することができる(同条3項)。 3 前提事実以下の各事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認められる(月日のみで記載する日付は,令和元年のものである。 以下同じ。)。 ⑴ 当事者等原告は,土岐市の住民であり,後記⑷の本件処分を受けるまで,本件図書館を日常的に利用していた者である。 被告は,地方公共団体であり,本件条例に基づいて本件図書館を設置している。また,被告教育委員会は,本件図書館の事務を所掌する。 ⑵ 7月31日付け通知書 被告教育委員会事務局長Cは,原告に対し,7月31日付け通知書(甲2の1 件図書館を設置している。また,被告教育委員会は,本件図書館の事務を所掌する。 ⑵ 7月31日付け通知書 被告教育委員会事務局長Cは,原告に対し,7月31日付け通知書(甲2の1。以下「通知書1」という。)を送付した(8月1日到達)。通知書1には,それまでに原告から寄せられた苦情,要望等に回答する(回答事項は23項目に上り,要望等に対応する旨の回答もあれば,理由を付記して対応しない旨の回答もある。)とともに,原告の本件図書館の利用方法に不適切な点があることを指摘した上,要旨後記アからキまでの行動を止めるように注意し,改善されない場合には図書館の利用を制限する可能性がある旨の記載がある。(甲2の1,弁論の全趣旨)アカウンター内の備品を黙って借りることイ職員の能力を試すためにレファレンスを依頼することウ原告が利用カードを提示しない場合の職員の対応に文句をいうことエ職員の名札をいきなり引っ張ることオ蔵書上で予約カードの記入等を行うこと(本が傷む)カ職員に対し,「あなたは言われたことだけすればよい」と発言することキ予約カード等を黙ってカウンターに置いていくこと⑶ 10月1日付け通知書本件図書館館長B(以下「B館長」という。)は,被告教育委員会教育長A(以下「A教育長」という。)と連名で,原告に対し,10月1日付け通知書(甲2の2。以下「通知書2」という。)を送付した(10月3日到達)。 通知書2には,要旨,通知書1による注意にもかかわらず,原告が,後記アからサまでの行動を改善せず,又は新たに行っていると指摘した上,通知書2の到達後2週間以内に上記各行動を改善せず,若しくは職員からの注意を受け容れない場合,又は通知書2の到達から2週間経過後に再び上記各行動に及んだ場合には,本件条例6条に基 いると指摘した上,通知書2の到達後2週間以内に上記各行動を改善せず,若しくは職員からの注意を受け容れない場合,又は通知書2の到達から2週間経過後に再び上記各行動に及んだ場合には,本件条例6条に基づき本件図書館の利用及び入館を禁止する旨の記載がある。(甲2の2,弁論の全趣旨)ア蔵書の管理方法(配架の方法,汚破損の対処,延滞者への督促等)への 介入,指示イ大量の閉架書庫所蔵資料の要求ウ検索機での書庫出納票の大量発行エ資料の大量確保オ児童書コーナーの占拠カカートの長時間占有キカウンターの長時間占拠クカウンターでの割込みケ特定の司書に対する過度の要求,つきまといコ職員の注意を聞き入れないことサ資料や書庫出納票を黙っておいていくこと,職員の質問に返事をしないこと,職員に対する高圧的な態度⑷ 本件処分被告教育委員会(処分行政庁)は,原告に対し,A教育長とB館長の連名で11月18日付け通知書(甲2の3)を送付し(11月19日到達),通知書1による注意や通知書2によるB館長の指示にもかかわらず,原告の前記⑶ア,ウ,ク,ケ,コ,サの各行動が改善されず,更に,図書の過剰な借出しや,蔵書管理方法に関する新たな介入及び指示等,新たな問題行動もみられるようになったことから,本件規則6条に基づき本件図書館の利用及び入館を禁止する旨通知した(以下,この通知書により告知された行政処分を「本件処分」という。)。(甲2の3,弁論の全趣旨)⑸ 原告による公文書開示請求等ア原告は,9月12日付け公文書開示請求書に対する回答が未着であるとして,9月27日必着で回答するよう求める旨記載した「公文書開示請求書に対する回答未着の件」と題するB館長宛ての書面(以下「9月26日付け書面」という。 け公文書開示請求書に対する回答が未着であるとして,9月27日必着で回答するよう求める旨記載した「公文書開示請求書に対する回答未着の件」と題するB館長宛ての書面(以下「9月26日付け書面」という。)を,9月26日,本件図書館の返却ポスト内に差し入 れた。(甲14の3,弁論の全趣旨)イ本件図書館職員は,9月26日付け書面が差し入れられたことを受けて,9月27日,本件図書館及び被告教育委員会において9月12日付け公文書開示請求書の存否を調査したが,その存在確認に至らなかった。(弁論の全趣旨)ウ本件図書館職員は,9月28日,原告が所持する9月12日付け公文書開示請求書の控えとされる書面(甲14の1)の提示を受け,その写しをとり,これを公文書開示請求と扱うことした。 (甲14の1,弁論の全趣旨)エ土岐市教育委員会は,9月28日付け通知書(甲14の2)をもって,原告に対し,前記ウの開示請求に係る公文書が不存在である旨通知した。 4 争点及び当事者の主張⑴ 争点ア本件処分取消請求について本件処分の適法性(争点1)イ本件損害賠償請求について本件処分等による原告への対応の国家賠償法上の違法性の有無(争点2)被告職員は9月12日付け公文書開示請求書を紛失したか(争点3)損害額(争点4)⑵ 争点1(本件処分の適法性)についてア被告の主張本件規則6条に基づく本件処分の適法性本件規則6条によれば,館長は,その指示に従わない者に対し,図書館資料及び施設の利用を禁止することができる。本件条例には,図書館資料及び施設の利用禁止に関する規定は存在しないが,このような処分は,図書館運営上,当然に想定される処分であり,このような処分に関 する規定を欠くことは考え難い。このよ には,図書館資料及び施設の利用禁止に関する規定は存在しないが,このような処分は,図書館運営上,当然に想定される処分であり,このような処分に関 する規定を欠くことは考え難い。このような処分に関する規定が本件規則6条しかないことも考慮すると,本件規則6条が本件条例6条の委任の範囲内であることは明らかであり,本件規則6条は,地方自治法14条2項の趣旨を没却するものではない。したがって,被告教育委員会は,本件規則6条に基づいて,本件図書館の利用禁止処分をすることができる。 また,公立図書館である本件図書館において,全面的かつ無期限の利用禁止処分をすることは,知る権利(憲法21条参照)のうち対象者の情報を受領する権利を制約するものであるが,本件図書館の利用者及び図書館職員の生命及び身体等を守り,一般の利用者にとって安全で円滑な図書館運営を行うために,全面的に本件図書館の利用を禁止しなければならない事態が容易に想定され,利用禁止に至る経緯や事情によっては,無期限の資料及び施設の利用禁止処分をすることがやむを得ない場合もある。このような場合には,失われる利益(当該利用者の情報を受領する権利)よりも得られる利益(一般の利用者及び図書館職員の生命,身体等を守り,一般の利用者にとって円滑な図書館運営をすること)の方が大きいので,やむにやまれず,本件図書館の無期限の利用禁止処分をすることも許される。なお,無期限の利用禁止処分であっても,永久にこれが解除されないわけではない。無期限の利用禁止処分で守ろうとした上記利益をこの処分を解除して得ることができると確認できれば,この処分を解除することになる。 よって,被告教育委員会は,本件図書館の利用者に対し,本件図書館の利用を全面的かつ無制限に禁止できる権限がある。 本件においては,原告は とができると確認できれば,この処分を解除することになる。 よって,被告教育委員会は,本件図書館の利用者に対し,本件図書館の利用を全面的かつ無制限に禁止できる権限がある。 本件においては,原告は,通知書2を受領し,本件図書館の利用態度を改善するよう求めるB館長の指示を認識したにもかかわらず,別紙「態様等一覧表」(以下,単に「別紙」という。)のとおり,10月4日か ら11月19日までの間,上記指示に従わずに通知書2で改善を求められた各行動をしたほか,新たな問題行動をしており(なお,別紙の「該当行為」欄に記載の数字のうち,①は前提事実⑶ア〔蔵書管理方法への介入・指示〕,③は同ウ〔検索機での書庫出納票の大量発行〕,⑧は同ク〔カウンターでの割込み〕,⑩は同コ〔職員の注意を聞き入れないこと〕,⑪は同サ〔資料等を黙っておいていくこと等〕の行為に該当することを意味する。),「館長の指示に従わない者」(本件規則6条)に該当する。 また,原告の上記各行動のうち,図書の汚破損や劣化等に関する指摘(前提事実⑶アに該当する行為)は,その回数が多いことに加え,指摘は不要である旨の本件図書館職員による申出を無視して繰り返されており,適切な行動でないことは明らかである。さらに,原告は,短時間で借出し及び返却手続を繰り返す方法により,一時期の貸出制限数である10冊を大幅に超過する図書を借り出しており(例えば10月13日は1日の貸出総数が156冊に上った。),明らかに嫌がらせ目的があるといえ,知る権利に資するような利用態様ではない。本件図書館職員らは,本件処分までの間,誠実に原告に対応してきたが,原告の過剰な要求が止むことはなく,その対応に長時間を要し,精神的に疲弊して利用者と対面する業務に従事できなくなる者が出るなどしており(うち1人は10 本件処分までの間,誠実に原告に対応してきたが,原告の過剰な要求が止むことはなく,その対応に長時間を要し,精神的に疲弊して利用者と対面する業務に従事できなくなる者が出るなどしており(うち1人は10月31日に退職した。),一般の利用者にも弊害が生じている。 これらの事情に照らせば,被告教育委員会は,本件図書館職員の精神衛生を保ち,一般の利用者にとって円滑な図書館運営を図るために,原告に対し,本件図書館の利用を禁止しなければならず,本件処分によって得られる利益が失われる利益よりも圧倒的に大きいことは明らかであるから,本件処分をすることにつき,やむにやまれぬ必要性もあったといえる。 よって,被告教育委員会は,本件規則6条に基づき,本件処分をすることができ,本件処分は適法である。 地方自治法244条2項に基づく本件処分の適法性原告の上記各行動に照らせば,本件図書館の利用を拒む正当な理由があるといえ,被告教育委員会は,地方自治法244条2項に基づき,本件処分をすることができる。したがって,本件処分は,適法である。 イ原告の主張本件処分の根拠とされる別紙記載の行動のうち,カウンターでの割込み(別紙の「該当行為」欄に⑧と記載のもの),返却用ポストを利用した大型本の返却,特定の職員に対する意図的な付きまとい,本件図書館職員に対する暴言については否認する(返却用ポストに投入したのは「大型本」ではない。)。また,被告が指摘する各行動について,その日時や借り出した図書の冊数,細かな言葉のやりとりについては覚えていない。 図書の借出しや閉架図書の閲覧等の図書利用,そのための書庫出納票の発行等に対応するのは本件図書館職員の義務であるし,図書の利用態様には当然個人差があるところ,頻繁かつ長時間にわたり本件図書館を利用する原告 出しや閉架図書の閲覧等の図書利用,そのための書庫出納票の発行等に対応するのは本件図書館職員の義務であるし,図書の利用態様には当然個人差があるところ,頻繁かつ長時間にわたり本件図書館を利用する原告が数多く図書や書庫出納票を利用するのは当然であり,全て必要があって利用しているものであるから,これらを制限することは許されない。これらの対応を受ける原告の利益は,知る権利及び教育を受ける権利として憲法上保障されるものである。また,本件図書館職員は,蔵書管理や図書利用の手続等について,利用者の要望等を的確に汲み取って業務に反映させる義務があり,職員の不足や繁忙等を理由にこれを拒絶することは許されない。本件図書館における蔵書管理は杜撰であり,各種手続にも無駄があり,設備も十分に整備されておらず,本件図書館職員の配慮には総じて不足があるなど,不適切な図書館運営がされており,その運用を改善すべきであったのに改善せず,原告の要望等 を拒否し続けた。 B館長の指示は,上記各事情を無視した不合理なものであり,これに従わないことを理由に本件処分を行うのは不当である。 ⑶ 争点2(本件処分等による原告への対応の国家賠償法上の違法性の有無)についてア原告の主張前記⑵イのとおり,そもそも本件図書館の利用を制限しようとするB館長の指示及び本件図書館職員の対応は不当であるし,他の利用者も原告と同様の行動をしていることがあるのに,B館長や本件図書館職員は,原告を狙い撃ちして本件図書館の利用を制限したり,原告の要望を無視したりした。したがって,本件処分や,本件処分に至るまでのB館長の指示,本件図書館職員の原告への対応は,原告を差別的に取り扱うものであり,違法な公権力の行使又は不法行為に該当する。 イ被告の主張B館長及び本件図書館職員ら 分や,本件処分に至るまでのB館長の指示,本件図書館職員の原告への対応は,原告を差別的に取り扱うものであり,違法な公権力の行使又は不法行為に該当する。 イ被告の主張B館長及び本件図書館職員らは,本件処分に至るまで原告に対して誠実に対応してきたものであり,本件処分が適法であることは前記⑵アのとおりである。原告を差別的に取り扱ったことはなく,原告の主張には理由がない。 ⑷ 争点3(被告職員は9月12日付け公文書開示請求書を紛失したか)についてア原告の主張原告は,9月12日,被告秘書広報課の男性職員に公文書開示請求書を提出したが,被告職員はこれを紛失した。 同請求書には,原告の氏名や住所といった個人情報が記載されており,これを紛失することは国家賠償法の適用上違法である。 イ被告の主張 否認する。被告職員が9月28日より前に9月12日付け公文書開示請求書を原告から受領したことはない。 ⑸ 争点4(損害額)についてア原告の主張原告は,違法な本件処分等による差別的取扱い及び公文書開示請求書紛失により,精神的苦痛を被った。その慰謝料としては,それぞれ20万円ずつが相当である。 イ被告の主張否認し,争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件処分の適法性)について⑴ 本件処分は法令上許容されるかア本件処分は,被告教育委員会が,原告に対し,全面的かつ無期限で本件図書館の利用を禁止することを内容とするものである。そこで,そもそも,被告教育委員会が,本件図書館の利用者に対し,このような利用禁止処分を課することが許容されるか否かが問題となる。 イ本件図書館は,公の施設,すなわち,地方公共団体が住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設であり,住民は,正当な理由がない限り拒 処分を課することが許容されるか否かが問題となる。 イ本件図書館は,公の施設,すなわち,地方公共団体が住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設であり,住民は,正当な理由がない限り拒否されることなく利用することができる権利を有するから(地方自治法244条2項),本件処分が原告の上記権利を制限するものであることは明らかである。 地方公共団体が住民の権利を制限するには,法令に特別の定めがある場合を除くほか,条例によらなければならないところ(地方自治法14条2項),本件条例には本件図書館の利用の禁止ないし制限に関する規定は存在しない。また,図書館法,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地方教育行政法」という。)にも,公立図書館の利用を禁止ないし制限 できる場合について定めた規定は存在しない。 この点につき,被告は,本件規則6条が,本件規則又は館長の指示に従わない者に対し図書館資料及び施設の利用を禁止することができる旨を定めていることを指摘し,本件処分は本件規則6条に基づくものとして適法である旨主張する。本件規則は,条例ではなく,本件条例6条の委任に基づく被告教育委員会の規則である。仮に,本件規則6条に基づき利用者に対し無期限の利用禁止処分をすることが法令又は条例の委任の範囲内である場合には,本件処分は,地方自治法14条2項の許容するところとなり得る。もっとも,地方自治法14条2項,244条2項の趣旨に照らすと,上記委任の範囲を逸脱したものではないというためには,被告教育委員会に対し,利用者に無期限の利用禁止処分をすることを委任する授権の趣旨が,図書館法その他の関係法令又は本件条例の規定等から明確に読み取れることを要するものというべきである。 本件条例6条は,本件条例の施行に関して必要な 利用禁止処分をすることを委任する授権の趣旨が,図書館法その他の関係法令又は本件条例の規定等から明確に読み取れることを要するものというべきである。 本件条例6条は,本件条例の施行に関して必要な事項を教育委員会規則で定めると規定しているのみであり,その文理からは委任の範囲を明確に読み取ることができない。そこで,図書館法等の定めや公立図書館を利用する行為の性質から,本件規則6条に対する委任の範囲について検討することとする。 ウ図書館を利用する行為の法的意義について検討するに,およそ個々の利用者が,自由に,様々な意見,知識,情報に接し,これを摂取する機会をもつことは,その者が個人として自己の思想及び人格を形成・発展させ,社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり,また,民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達,交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要なところである。それゆえ,これらの意見,知識,情報に接する自由が憲法上保障されるべきことは,思想及び良心の自由の不可侵を定めた憲法19条の 規定や,表現の自由を保障した憲法21条の規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれるというべきである(最高裁昭和52年(オ)第927号同58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁参照)。 そして,公立図書館である本件図書館は,利用者に対して思想,意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教育に資すること等を目的とする公的な場であるから(図書館法3条1項参照),そのような図書館の利用者の自由は,憲法上の意義を有するものとして十分に尊重されるべきである。 エ図書館法は,社会教育法の精神に基づき,図書館の設置及び運営に関して必要な事項 法3条1項参照),そのような図書館の利用者の自由は,憲法上の意義を有するものとして十分に尊重されるべきである。 エ図書館法は,社会教育法の精神に基づき,図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め,その健全な発達を図り,もって国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とし(図書館法1条),図書館について,図書館奉仕のため,土地の事情及び一般公衆の希望に従い,更に,学校教育を援助し,及び家庭教育の向上に資することとなるように留意しなければならない旨を定め(3条柱書),公立図書館の利用を無償とする(17条)とともに,公立図書館の設置に関する事項は,当該図書館を設置する地方公共団体の条例で定めなければならないものとしている(10条)。 オ本件条例は,図書館法10条に基づいて,市民の図書その他の資料に対する要求にこたえ,自由で公平な資料の提供を中心とする諸活動によって,市民の文化,教養,調査研究,レクリエーション等に資するために本件図書館を設置するものとしており(1条),本件条例の施行に必要な事項について,教育委員会規則で定めるものとしている(6条)。これは,本件図書館の設置目的の実現については,土岐市の社会教育等の実情や希望等に通じた被告教育委員会の裁量に委ねるのが適当であることに加え,そのような具体的な事項は状況の変化に対応した柔軟性を確保する必要があり,条例で全てを詳細に定めるのは適当でないことによるものと解される。 カ地方教育行政法は,地方公共団体において,法律で定めるところにより,学校,図書館,博物館,公民館その他の教育機関を設置するものとし(30条),その設置,管理及び廃止に関する事務については,当該地方公共団体の教育委員会が執行すべきものとしており(21条1号),教育委員会は,法令又は条例に違反 その他の教育機関を設置するものとし(30条),その設置,管理及び廃止に関する事務については,当該地方公共団体の教育委員会が執行すべきものとしており(21条1号),教育委員会は,法令又は条例に違反しない限りにおいて,教育機関の施設,設備その他の管理運営の基本的事項について必要な教育委員会規則を定めるものとしている(33条1項)。 この趣旨は,教育機関の管理運営の基本的事項は,当該教育機関の規模,予想される利用者の数や利用者の当該施設に対する希望,そこで働く人の人数や労働条件などの各地方公共団体の実情に応じて定めるのが相当であり,教育委員会は,これらの事情に通じているとの判断に基づくものと考えられる。 キ上記オ,カによれば,本件条例6条及び地方教育行政法33条1項の本件規則6条に対する委任の範囲は,本件図書館の管理運営上の基本的な事項に限られると解され,図書館の管理事務を執行すべき被告教育委員会(前記カ)が,一般の利用者の図書館の利用を妨害する者や,図書館の管理運営に重大な支障を与える利用者に対し,個々の事情を踏まえて図書館資料又は施設の利用を一時的に制限することは,管理運営上の基本的事項に含まれると解される。 しかし,本件図書館は,公の施設であって,原則として,誰でも無償で利用でき(地方自治法244条2項,図書館法17条),他方,地方公共団体は,権利を制限するには,法令に特別の定めがある場合を除くほか,条例によることが必要とされていること(地方自治法14条2項)に照らせば,利用者に対し,一時的な利用の制限を超えて,全面的かつ無期限の利用禁止の処分をすることは,およそ本件図書館の管理運営の基本的事項に含まれるということはできない。そして,前記イで説示したとおり,本 件条例及び法令に,図書館の利用者に対し,全面 利用禁止の処分をすることは,およそ本件図書館の管理運営の基本的事項に含まれるということはできない。そして,前記イで説示したとおり,本 件条例及び法令に,図書館の利用者に対し,全面的かつ無期限の利用禁止処分をすることを許容する規定はないから,本件規則6条は,全面的かつ無期限の図書館資料及び施設の利用禁止処分をすることができることを委任された規定と解することはできない。 そうすると,被告教育委員会は,本件規則6条に基づいて本件処分をすることはできないというべきである。 クなお,被告は,原告が館長の指示に違反して本件図書館を利用する態度によれば,原告の本件図書館利用を拒む正当な理由があるから,本件処分は地方自治法244条2項から直接適法性が基礎付けられるとも主張する。 しかし,前記ウのとおり,利用者が公立図書館を利用する自由は憲法上の意義を有するものというべきであって,その内在的制約として,現に他の利用者による本件図書館の利用を現に妨げる行為をしている者が,その妨げる行為を阻止するために本件図書館からの退出及びその当日の再入館を禁じられる程度の制約を受けることは別論として,本件処分のごとき,利用者に対して全面的かつ無期限の利用禁止処分をすることを基礎付ける正当な理由は想定し難く,少なくとも前記第2の4⑵アで被告が主張する事由をもっては,上記正当な事由に当たるとは認め難い。 ⑵ 以上によれば,本件処分はそもそも法令上許容される余地がないというべきであり,その余の点につき検討するまでもなく,違法であって取消しを免れない。 2 争点2(本件処分等による原告への対応の国家賠償法上の違法性の有無)について⑴ 前記1のとおり,本件処分は,違法である。これは,本件規則6条に基づき本件処分をすることが地方自治法14条2項, 2 争点2(本件処分等による原告への対応の国家賠償法上の違法性の有無)について⑴ 前記1のとおり,本件処分は,違法である。これは,本件規則6条に基づき本件処分をすることが地方自治法14条2項,244条2項に違反することを理由とするものであるが,地方公共団体の執行機関である被告教育委員会は,その職務上の注意義務を果たせば,このことを認識することができた ものと認められる。よって,本件処分をしたことは,国家賠償法上も違法であり,被告教育委員会はこのことにつき過失があると認められる。 なお,原告は,本件処分自体のほか,本件処分に至るまで,B館長や本件図書館職員が,原告を狙い撃ちして図書館利用を制限したり,原告の要望を無視したりするなどの差別的取扱をしており,これらは国家賠償法上違法な公権力の行使又は不法行為に該当する旨を主張する。また,被告教育委員会は,後記⑵の経過を踏まえて原告に対し,本件処分を行ったものであり,これは,原告の上記主張と重なるところである。そこで,以下では,この経過につき検討する。 ⑵ 本件処分の原因となった本件図書館に関わる原告の行為について,以下の事実を認めることができる。 なお,これらの事実は,いずれも被告が主張するとおりのものであるところ,原告は,その外形を前提として,専ら自己の行為の正当性を主張することに終始しているから,弁論の全趣旨によりこれらの事実を認めることができる。 ア蔵書管理方法への介入等原告は,本件図書館職員に対し,別紙(「該当行為」欄に①に記載あるもの)のとおり,図書の汚破損等の指摘や,蔵書管理方法の改善を求める発言を執拗に繰り返し,また,別紙通し番号27,70,118のとおり,断りなく書庫の図書の配列を変更するなどした。 イ検索機での書庫出納票の大量発行原 損等の指摘や,蔵書管理方法の改善を求める発言を執拗に繰り返し,また,別紙通し番号27,70,118のとおり,断りなく書庫の図書の配列を変更するなどした。 イ検索機での書庫出納票の大量発行原告は,別紙(「該当行為」欄に③と記載あるもの)のとおり,書庫出納票の大量発行を繰り返した。 ウ図書や書庫出納票等の放置等原告は,別紙(「該当行為」欄に⑪と記載あるもの)のとおり,図書の返却手続,予約カードの処理,書庫出納票を用いた文献調査の依頼等を行 った際,本件図書館職員からカウンターにて待機するよう求められたにもかかわらず,図書や予約カード,書庫出納票をカウンター等に放置して立ち去ってしまう行為を繰り返した。 エ過剰な図書の借出し原告は,別紙(「該当行為」欄に「過剰な貸出・返却」と記載あるもの)のとおり,本件図書館職員の注意にもかかわらず,短時間に図書の借出し及び返却手続を繰り返し,1日に多数の図書を借り出した。 オ返却用ポストを利用した大型本等の返却原告は,別紙の通し番号77,149,151,158,164,171,179,180,192,199,204のとおり,本件図書館職員が注意したにもかかわらず,大型本や重量のある本を返却用ポストに投入することを繰り返した。 なお,原告は,返却用ポストを利用して返却した図書が大型本等であることを争うようであるが,証拠(乙5,6)によれば,原告が返却用ポストに投入した図書資料には,図鑑サイズの図書やハードカバーが施された重量感がある図書等がたびたび含まれていたことが認められるから,上記事実を認めることができる。 カこれらの出来事等を踏まえて,被告教育委員会事務局長は通知書1を,B館長及びA教育長は通知書2を,それぞれ原告に対し送付した。それでも原告の行為 められるから,上記事実を認めることができる。 カこれらの出来事等を踏まえて,被告教育委員会事務局長は通知書1を,B館長及びA教育長は通知書2を,それぞれ原告に対し送付した。それでも原告の行為は止まなかったため,処分行政庁は,原告に対し,本件処分をした。 ⑶ そこで,本件図書館職員の行為が国家賠償法上違法といえるかにつき,検討する。 ア原告は,本件図書館職員が蔵書管理方法に関し介入等を制限したことが違法である旨主張する。 しかし,汚破損等の修繕を含む蔵書管理は,専ら図書館職員が行うべき 事項であり,利用者がこれに介入等するのを制限することは,利用者に何ら不利益を課すものではない。また,図書の修繕は必ずしも容易なものばかりでなく,修繕等を求められる図書が多数に上れば職員の業務に支障を来すことは否定できず,常識的な範囲を超えた量の図書について汚破損等の指摘をすることは,本件図書館職員の業務をいたずらに逼迫,混乱させる有害なものであるといわざるを得ない。したがって,利用者が,図書館職員による蔵書管理方法について,常識的な範囲を超えて図書の汚破損等を指摘する場合,これを制限することには合理性がある。 前記⑵アのとおり,原告による指摘は極めて多数回に及ぶ上,同時に概ね十冊前後の図書の汚破損を指摘したり(別紙通し番号5,8,131,159,187等参照。),1日に何度も図書の汚破損の指摘を繰り返したりしている(10月14日,10月31日,11月1日,11月5日等は特に回数が多い。)。他方で,本件図書館の蔵書に,わざわざ指摘を要するほど目立つ汚破損等のある図書が多く含まれることを窺わせる証拠はない。 そうすると,原告による指摘の回数や態様は明らかに常軌を逸しているというべきであって,原告の上記各行動を制限しようと 要するほど目立つ汚破損等のある図書が多く含まれることを窺わせる証拠はない。 そうすると,原告による指摘の回数や態様は明らかに常軌を逸しているというべきであって,原告の上記各行動を制限しようとした本件図書館職員の対応やB館長の指示には合理性があるといえ,違法なものとは認められない。 イ原告は,検索機での書庫出納票の大量発行を制限したことが違法である旨主張する。 本件図書館においては,利用者が自ら検索機を用いて書庫出納票を発行する取扱となっているところ,特定の利用者が大量の書庫出納票を発行し,検索機を長時間占有することは,他の利用者による検索機の利用を妨げるものとなり得る。この点,原告は,他の検索機が空いていることを確認して利用している旨主張するが,そのことを裏付ける証拠はない。 また,大量の書庫出納票の発行を繰り返すことにより,大量の用紙を消費し,検索機の消耗を早めることは容易に推認されるから,これを制限することは不合理ではない。 図書館の利用方法には当然に個人差があり,特に,閉架書庫の図書を頻繁に利用する利用者等は,相対的に多くの書庫出納票を活用することが想定されるから,その利用量が多いことをもって直ちに書庫出納票の利用を制限することには慎重さが求められるものの,原告は,前記⑵イのとおり,通常の想定を大幅に上回る量の書庫出納票を発行することを繰り返したものであり,これを1日に複数回繰り返すことも少なくなかった(別紙の10月14日,11月1日,11月14日等参照)のであって,他の利用者への配慮や設備維持の観点から,これを制限する必要性があったというべきである。 したがって,原告の上記各行動を制限しようとした本件図書館職員の対応やB館長の指示は合理性があると認められ,違法とはいえない。 ウ原告は, から,これを制限する必要性があったというべきである。 したがって,原告の上記各行動を制限しようとした本件図書館職員の対応やB館長の指示は合理性があると認められ,違法とはいえない。 ウ原告は,図書や書庫出納票の放置を制限することが違法であると主張する。 一般に,図書館職員が,カウンターでの手続に際して,図書の過不足や汚破損の有無等の確認,注意事項の説明等を円滑に行うため,手続等を行っている間利用者にカウンター付近に留まるよう求めることは,当該手続に長時間を要するなどの事情がない限り,合理性があるというべきである。 原告は,前記⑵ウのとおり,本件図書館職員の要請に耳を貸さず,手続中一方的にカウンターを立ち去ってしまうことがたびたびあったことが認められる。 したがって,この事情を踏まえれば,本件図書館職員が,原告に対し,図書や書庫出納票をカウンターで放置せず,同所での手続等に協力することを求めたことには合理性があると認められ,違法とはいえない。 エ原告は,本件図書館職員が過剰な図書の借出しであるとして原告の図書利用を制限しようとしたことが違法であると主張する。 この点,原告は,前記⑵エのとおり,図書の大量借出し及び返却手続を繰り返してはいるが,本件規則12条1項の定める「同時に10冊」の貸出件数を超過したことはなかったようであり,また,1日の延べ貸出冊数の上限を定める規定は存在ない。しかし,原告は,貸出手続を経る必要のない館内利用の場合にまで,わざわざ貸出手続を行っているものと認められるところ,貸出及び返却の手続は,本件図書館職員に一定の負担をかけるものであるから,過剰な図書の借出しは,本件図書館職員の業務を逼迫させ,ひいては他の利用者の円滑な図書利用を妨げるおそれがある。他方で,上記態様による借出しを制 ,本件図書館職員に一定の負担をかけるものであるから,過剰な図書の借出しは,本件図書館職員の業務を逼迫させ,ひいては他の利用者の円滑な図書利用を妨げるおそれがある。他方で,上記態様による借出しを制限することで原告が不利益を受けることは,容易には想定されない。 そうすると,原告がする図書の大量借出しを制限しようとした本件図書館職員の対応及びB館長の指示には合理性があり,違法とはいえない。 オ原告は,返却用ポストを利用した図書の返却を制限したことが違法であると主張する。 本件図書館には返却用ポストが設置され,対面の返却手続を経ずに図書を返却することが可能であり,この方法は,利用者と職員双方の手間を減らし,特に,返却時に新たな図書の借出し等を予定しない利用者にとって利用価値が高い。他方,図書を返却用ポストに投入する際,一定の衝撃が生じることは避けられないため,特に重量のある大型の図書については,図書の自重により破損,劣化等することが想定される。これらの事情を踏まえると,大型本や重い本について,返却用ポストの利用を制限することには合理性がある。 原告は,前記⑵オのとおり,返却ポストに,いわゆる図鑑サイズの図書や,ハードカバーが施された重量のある図書等を投入することを繰り返し ていたから,これを制限しようとした本件図書館職員の対応及びB館長の指示には合理性があると認められ,違法とはいえない。 ⑷ 小括以上によれば,本件処分をしたこと自体は国家賠償法の適用上違法と認められるが,本件処分に至るまでのB館長の指示,本件図書館職員による対応は,合理性があり,違法とは認められない。 3 争点3(被告職員は9月12日付け公文書開示請求書を紛失したか)について原告は,9月12日付け公文書開示請求書を被告秘書広報課の男性職員 による対応は,合理性があり,違法とは認められない。 3 争点3(被告職員は9月12日付け公文書開示請求書を紛失したか)について原告は,9月12日付け公文書開示請求書を被告秘書広報課の男性職員に提出したと主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。よって,被告職員が9月12日付け公文書開示請求書を紛失したとの事実は,認められない。 4 争点4(損害額)について本件処分は,原告が本件図書館を利用して,知識,意見,情報を摂取するという憲法上の価値を,条例上の根拠なく侵害し,その実現を妨げるものであるから,原告において精神的な損害が生じたものと言わざるを得ない。他方,原告は,本件図書館職員による蔵書の管理方法について執拗に介入し(前記2⑵ア),1日に多数の図書を借り出すことを繰り返しており(前記2⑵エ。例えば,10月5日午後には閉架本100冊,10月13日には図書153冊という,およそ借り出した時間内に閲読できるとは考えられないほど大量の図書を借り出しては返却するなどしている。),その態様が,本件図書館の通常の利用方法と大きくかけ離れたものであることは否定できないから,原告の本件図書館利用の主たる目的が,多くの場合,図書館の利用目的として想定される知識,意見,情報を摂取するためであったとは認められない。 したがって,原告の図書館を利用する利益は尊重すべきであるものの,本件処分がその制約となる程度は小さく,これにより原告が被る精神的損害も小さいものというべきである。 以上のほか,本件につき証拠上認められる一切の事情を考慮すれば,原告の精神的苦痛を慰謝するには,5000円をもってするのが相当である。 第4 結論以上によれば,本件処分の取消請求は理由がある。また,損害賠償請求については,国家賠償法に基づき慰謝 慮すれば,原告の精神的苦痛を慰謝するには,5000円をもってするのが相当である。 第4 結論以上によれば,本件処分の取消請求は理由がある。また,損害賠償請求については,国家賠償法に基づき慰謝料5000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない(なお,主文第1項は,請求第1項と文言上は異なるものの,原告が取消しを求めているのが本件処分であること,本件処分を実体的に行ったのは被告教育委員会で,A教育長及びB館長はその表示行為を行ったにすぎないことから,主文第1項は,請求第1項と同旨である。)。 よって,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官鳥居俊一 裁判官伊藤隆裕 裁判官乙部華穂(別紙省略)

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