平成21(ワ)43952 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年3月28日 東京地方裁判所
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判決文本文17,161 文字)

平成24年3月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第43952号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成24年1月13日判決東京都新宿区<以下略>原告日本ソアー株式会社同訴訟代理人弁護士新井哲男杉本賢郎横浜市<以下略>被告株式会社日栄横浜市<以下略>被告 Y1上記2名訴訟代理人弁護士仁平信哉堀江竜太田 野 賢太郎同訴訟復代理人弁護士石川雄三相模原市<以下略>被告株式会社ピーストック東京都文京区<以下略>被告株式会社エピキュア相模原市<以下略>被告 Y2東京都清瀬市<以下略>被告 Y3主文 1 被告株式会社ピーストックは,原告に対し,153万2476円及びこ れに対する平成21年12月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告の被告株式会社ピーストックに対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 原告の被告株式会社日栄,被告Y1,被告株式会社エピキュア,被告Y2及び被告Y3に対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告と被告株式会社ピーストックとの間においては,これを10分し,その1を同被告の負担とし,その余は原告の負担とし,原告とその余の被告らとの間においては,これを全部原告の負担とする。 5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して1300万円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社ピーストック(以下「被告ピーストック 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して1300万円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社ピーストック(以下「被告ピーストック」という。)は,原告に対し,447万2476円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告らに対し,次の各請求をする事案である(各請求の併合態様はいずれも単純併合である。)。 (1) 原告は,原告が販売していたフルーツジュース(後記2(1)アの本件ジュース)と内容物及び容器デザインが同一の商品(後記2(1)イの被告商品)を,被告らが輸入し,販売する行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項3号の不正競争に該当するとして,被告ら各自に対し,同法4条に基づき,損害賠償金1300万円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めて いる(以下「本件請求1」という。)。 (2) 原告は,被告ピーストックと本件ジュースの輸入販売について,原告が輸入して同被告に販売する取引を継続的に行っていたところ,平成20年5月から同年10月までの売掛金及び費用(以下,併せて「売掛金等」という。)のうち153万2476円が未払であるとして,同被告に対し,上記未払の売掛金等153万2476円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている(以下「本件請求2」という。)。 (3) 原告は,平成19年7月上旬頃,被告ピーストックに対し原告が賃借していた事務所(東京都新宿区<以下略>。以下「本件事務所」という。)を同被告に転貸する旨の賃貸借契約 件請求2」という。)。 (3) 原告は,平成19年7月上旬頃,被告ピーストックに対し原告が賃借していた事務所(東京都新宿区<以下略>。以下「本件事務所」という。)を同被告に転貸する旨の賃貸借契約(以下「本件転貸契約」という。)を締結したとして,同契約に基づき,同被告に対し,平成19年8月から平成21年11月まで28か月分の賃料294万円及びこれに対する平成21年12月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている(以下「本件請求3」という。)。 2 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,食品の販売等を業とする株式会社であり,平成19年5月以降,タイ王国(以下「タイ」という。)のMALEEBANGKOKCO.,LTD.(以下「マリーバンコク社」という。)から,別紙原告商品目録記載①~④のフルーツジュース(以下「本件ジュース」という。)を輸入していた。 イ被告ピーストックは,食料品等の輸入販売等を業とする株式会社であり,平成19年8月頃から平成20年12月頃までの間は,本件ジュースを,平成21年1月頃からは,別紙被告商品目録記載①~④のフルーツジュース(以下「被告商品」という。)を,それぞれ日本国内において販売している。 ウ被告株式会社エピキュア(以下「被告エピキュア」という。)は,食料品等の輸入販売等を業とする株式会社であり,被告商品を被告ピーストックのため輸入している。 エ被告株式会社日栄(以下「被告日栄」という。)は,海運貨物取扱等を業とする株式会社であり,本件ジュースの輸入業務全般を扱っていた。 オ被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,平成21年2月1日まで(退任登記は同年5月26日付け)被告ピーストックの代表取締 等を業とする株式会社であり,本件ジュースの輸入業務全般を扱っていた。 オ被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,平成21年2月1日まで(退任登記は同年5月26日付け)被告ピーストックの代表取締役の地位にあった者であり,現在は被告日栄の代表取締役である。 カ被告Y2は,平成19年8月頃,被告ピーストックに入社し,営業部長を経て,平成21年2月1日,被告Y1に代わり同社の代表取締役となり,被告エピキュアの代表取締役でもある。 キ被告Y3は,原告とマリーバンコク社との取引を仲介した者である(弁論の全趣旨)。 (2) 原告及び被告らのジュース取引ア原告は,平成19年3月12日,当時サンシーロ株式会社(以下「サンシーロ」という。)の社員であった被告Y2と知り合ったことを契機に,サンシーロとの間で,サンシーロの発注により本件ジュースを継続的に輸入してサンシーロに売り渡す契約を締結し,同年5月頃からサンシーロとの取引を開始した。 しかし,同取引は,度重なる代金支払の遅延が原因となって,平成19年8月頃に終了した(甲15~17,弁論の全趣旨)。 イ同じ頃,サンシーロから被告ピーストックに移籍した被告Y2の提案により,原告は,被告ピーストックとの間で上記アの取引と同様の取引,すなわち,被告ピーストックの発注により本件ジュースを継続的に輸入して被告ピーストックに売り渡す取引(以下「本件取引」という。)を行うことになった(弁論の全趣旨)。 ウその後,原告と被告ピーストックは,サンシーロの発注に係る分の値引販売で生じた損失の分担等をめぐって争いになり,被告ピーストックは,平成21年1月以降,被告エピキュアを介して被告商品を輸入し日本国内で販売している(弁論の全趣旨)。 エ本件取引により発生した原告の被告ピーストックに対す めぐって争いになり,被告ピーストックは,平成21年1月以降,被告エピキュアを介して被告商品を輸入し日本国内で販売している(弁論の全趣旨)。 エ本件取引により発生した原告の被告ピーストックに対する売掛金等の未払は,153万2476円である(以下「本件売掛金債権」という。)。 (3) 商品形態の同一性本件ジュースと被告商品は,共にタイのマリーバンコク社が製造した,グアバ,マンゴー,パッションフルーツ,ライチの4種類から成るジュースであり,容器は,一般的な直方体の紙容器(内容量1000ml,テトラパック社製)で作られている。 容器表面のデザインは,本件ジュースが別紙原告商品目録①~④,被告商品が別紙被告商品目録①~④のとおりであり,原告商品と被告商品の形態は,輸入者の表示が異なるほかは,同一である。 3 争点(1) 本件請求1ア原告の不競法2条1項3号の請求主体性(争点①)イ被告らの責任原因(争点②)ウ原告の損害額(争点③)(2) 本件請求2相殺の可否(争点④)(3) 本件請求3本件転貸契約の成否(争点⑤) 4 争点に関する当事者の主張(本件請求1)(1) 争点①(原告の不競法2条1項3号の請求主体性)について 〔原告の主張〕ア原告が本件ジュースを商品化し販売するに至った経緯(ア) 原告と被告Y3の関係被告Y3と原告代表者のA(以下「A」という。)は,平成16年頃からマンゴー等フルーツの輸入販売を共に手がけてきた。その過程において,Aは個人として被告Y3に貸付けを行い,平成18年1月時点で700万円を超える貸付金があった(甲7)。Aは,被告Y3に対し,貸金を返還するよう再三催告したが,同被告は,「タイで第一興商との取引がまとまりそうだ。」とか,「韓国からマン ,平成18年1月時点で700万円を超える貸付金があった(甲7)。Aは,被告Y3に対し,貸金を返還するよう再三催告したが,同被告は,「タイで第一興商との取引がまとまりそうだ。」とか,「韓国からマンゴーの輸入の引き合いが来ている。」などと,原告がもうけられるような話を持ち掛けては,自らの債務の返済を引き延ばしてきた。 (イ) ジュースビジネスの開始平成18年8月頃,原告は被告Y3から,「株式会社ハーティーの輸入したジュースが,賞味期限が近づいているにもかかわらず売れずに困っている。早く処分したいので,どこか売り先を探してほしい。」旨依頼された。そして,原告は,大手スーパーなどに特価で販売し,株式会社ハーティーの在庫を処分した(甲8の1~4)。 原告は,この仕事を通じてフルーツジュースについての国内市場動向を学習し,直接輸入した場合の販売のノウハウを習得した。そして,これまで行ってきた海外の出来合いの商品買い付けではなく,自らジュース商品を製造販売する形態に原告業務を移行することに決めた。 タイの現地との交渉については,被告Y3をタイに派遣し,製造委託先の開拓を任せることとした。同被告を使用しようと考えたのは,同人がタイでの交渉能力にたけていると自負していたことや,同人に仕事をさせることにより,同人に対する貸付金を回収しようと考えたからである。 (ウ) 本件ジュースの商品化a 原告とサンシーロとの関係その後,原告は,ジュースの国内での販路開拓のために準備をしていたところ,平成18年11月になり,当時,サンシーロの社員であった被告Y2と知り合いになった。被告Y2は,サンシーロが当時仕入れていたジュース(甲9の1,2。商品名「Denova」。以下「デノーバ・ジュース」という。)の安定供給がなされず, シーロの社員であった被告Y2と知り合いになった。被告Y2は,サンシーロが当時仕入れていたジュース(甲9の1,2。商品名「Denova」。以下「デノーバ・ジュース」という。)の安定供給がなされず,仕入先を替えたい旨述べていた。 そこで,平成18年12月6日,AはY3と共にサンシーロの事務所を訪れ,原告がデノーバ・ジュースと同じようなジュースを制作し,サンシーロに販売することを提案した。被告Y2は,原告の提案を了承し,新しく制作するジュースのサンプルとして,原告にデノーバ・ジュースを預けた。 b ジュースの配合比率の検討原告は被告Y3をタイに派遣し,タイのメーカーであるマリーバンコク社にデノーバ・ジュースと味が似ている製品を作るよう交渉させた。 そして,平成18年の年末に被告Y3が出来上がった試作品をタイから持ち帰った。しかし,その試作品を原告社内で試飲したところ,商品として到底売りに出せるものではなかったことから,Aはマリーバンコク社に対し,味に改良を加えるよう具体的に指示を出した(甲10)。Aの指示内容は,ジュースの粘度や酸味について改良することや,果糖を加えるか否かということなど,味や成分についての詳細なものであった。 Aの指示に従って改良を重ねた結果,平成19年1月末頃,ようやくサンプルに近い味のジュースが完成した。 c 容器デザインの制作原告は,本件ジュースの容器デザインの制作をグリーンホーネット株式会社等に依頼した(甲11,12)。 原告は,デザイナーに対し,サンシーロの商品(商品名「Dewfresh」。 以下「デューフレッシュ・ジュース」という。)を参考にするよう指示してその容器デザインのデータ(甲13)を預け,デザイナーは,これを基に色調,文字デザインなどに変更を加え,新たな容器デザイ sh」。 以下「デューフレッシュ・ジュース」という。)を参考にするよう指示してその容器デザインのデータ(甲13)を預け,デザイナーは,これを基に色調,文字デザインなどに変更を加え,新たな容器デザインを作成した(甲14)。 d 本件ジュースの命名原告は,本件ジュースに「Gentire」(ジェンティーレ)との名称を付けた。これは,確かに,当時サンシーロの社員であった被告Y2の提案によるものである。もっとも,本件ジュースの名称は,同被告が考案したものではない。すなわち,本件ジュースを制作する以前から,サンシーロには「Gentire」(ジェンティーレ)という名称の本件ジュースとは別の商品があり,被告Y2とAとが本件ジュースの命名について相談した結果,この名称を本件ジュースに使用することとなったにすぎないのであり,同被告が新たに「Gentire」(ジェンティーレ)との名称を考案したものではない。 e 本件ジュースの商品化に要した費用原告が本件ジュースの商品化に要した費用は,別紙「原告商品の作成にかかった費用」のとおり合計365万8062円である。 なお,「Y3氏貸付」とあるのは,被告Y3の現地での活動費用や生活費の援助であり,「出張諸経費」とあるのは,同被告の現地での打合せ,売買契約締結等のための出張旅費である。また,「OEMデポジット」とあるのは,マリーバンコク社に対する本件ジュースの製造委託に関する保証金であり,原告はいまだ同社からその返還を受け ていない。 fJANコード及びJANメーカーコード(以下「JANコード等」という。)の取得原告は,本件ジュースにつき,ブランドオーナーが申請すべきものとされているJANコード等を申請し取得している。 (エ) 原告とサンシーロとの取引等原告とサンシーロ 等」という。)の取得原告は,本件ジュースにつき,ブランドオーナーが申請すべきものとされているJANコード等を申請し取得している。 (エ) 原告とサンシーロとの取引等原告とサンシーロとは,平成19年3月12日に,本件ジュースの売買契約を締結した(甲15)。サンシーロから原告に対して支払われる金銭は,契約書からも明らかなとおり,輸入に関する手数料の性質を有するものではなく,本件ジュースの所有権移転の対価として支払われたものである。したがって,原告は本件ジュースを自社で開発し,飽くまで自社商品としてサンシーロに対して販売していた。 また,食品衛生法27条は,販売食品の輸入者に輸入届出義務を課しているところ,原告は輸入者として本件ジュースの食品検査を行い(甲40の1~4),輸入届出を行っている。さらに,関税法6条は,関税の納税義務者は輸入者であることを規定しているところ,原告は,本件ジュースにつき,輸入者として関税を納付している(甲41の1~4)。 したがって,原告が本件ジュースの真の輸入者であることは明らかである。 イ本件訴訟に至る経緯(ア) 原告とサンシーロとの取引の終了原告とサンシーロは,上記売買契約締結後,本件ジュースの売買取引を開始した。ところが,平成19年5月頃から,サンシーロの原告に対する売買代金の支払が滞り始めた。原告は,サンシーロに対して重ねて督促を行ったものの(甲16),サンシーロは一向に売買代金を支払わなかった。そこで,平成19年8月21日,原告はサンシーロに対し, 一旦サンシーロに売却した本件ジュースを,原告が自社で売却し,売掛債権に充当する旨通知した(甲17)。 (イ) 原告と被告ピーストックとの取引原告とサンシーロとの取引が継続不可能となった頃,被告Y2はAに対し,「サン 本件ジュースを,原告が自社で売却し,売掛債権に充当する旨通知した(甲17)。 (イ) 原告と被告ピーストックとの取引原告とサンシーロとの取引が継続不可能となった頃,被告Y2はAに対し,「サンシーロの不払で迷惑を掛けて申し訳ない。自分はサンシーロを離れて,サンシーロから回収した本件ジュースを別業者に販売し,原告に迷惑を掛けないようにします。」と言って,サンシーロを退社し,サンシーロから回収した本件ジュースを自ら販売する旨打診してきた。 その数日後に,被告Y2はAに対し,「ピーストックという会社が食品を手掛けており,良いアイテムを探している。そこで,是非本件ジュースを扱わせて欲しいと言っている。自分もピーストックの社員として営業することにしました。」と言ってきた。そこで,原告は,被告Y2の上記提案を了承し,平成19年8月21日,サンシーロから回収した本件ジュースを被告ピーストックに売り渡すこととした。 なお,被告らは,原告が被告ピーストックに対して販売した上記本件ジュースの賞味期限が迫っていたことから廉価販売しか行えず,その損失分について原告と被告ピーストックが折半する合意をしたと主張する。 しかし,原告が被告ピーストックに販売した上記本件ジュースは製造から2か月程しかたっておらず(甲18),1年の賞味期限のうちいまだ大部分を残していたのであり,そのような合意をすることはあり得ない。 (ウ) 代金支払方法の変更a 支払方法変更の経緯平成20年1月,当時,被告ピーストックの代表者であった被告Y1は,本件ジュースの原価率が低過ぎる旨原告に告げ,本件ジュースの売買について価格交渉を求めた。具体的には,被告Y1は,本件ジュースを原価で被告ピーストックに引き渡すよう求めた。原告は,被 告Y1に本件ジュースの原 が低過ぎる旨原告に告げ,本件ジュースの売買について価格交渉を求めた。具体的には,被告Y1は,本件ジュースを原価で被告ピーストックに引き渡すよう求めた。原告は,被 告Y1に本件ジュースの原価を開示していなかったにもかかわらず,被告Y1が本件ジュースの原価を知っていることに不信感を持った。 また,被告Y1の提案では,原告の利益が減少することから,それ以降の取引をやめることも検討した。しかし,当時,原告は被告ピーストックに対して,既に500万円程の売掛金債権を有しており,ここで取引を打ち切ってしまった場合にはその回収もできず,損害だけが残ってしまうおそれがあったため,やむを得ず被告Y1の提案を受け入れ,支払方法の変更に応じた。 b 具体的な支払方法について原告と被告ピーストックとの間の支払方法は,具体的には次のとおり変更された。 (a) 原告は,被告ピーストックに対して,本件ジュースを原価で販売する。 (b) 原告は,本件ジュースを1本販売するごとに,販売手数料名目で13円を取得する。 (c) 原告は,コンテナ輸送費,FOB代金,税金その他の実費について,請求書に各個別項目を立てて,被告ピーストックに請求する。 c 請求書の記載方法について従前の支払方法においては,原告は,商品原価に加え,原告の利益分,実費分を上乗せしたものを商品代金として被告ピーストックに請求していたが,支払方法の変更に伴い,原価を明示して請求する必要が生じたため,原告の利益分(手数料名目)や実費分については,商品原価と区別して請求書に記載することとなった。 この点,被告らは,原告が手数料を受領し,また,諸経費を被告ピーストックが負担していることを理由に,原告の業務は輸入代行にすぎないと主張するが,請求書に,手数料,実費を商品代金と区別して なった。 この点,被告らは,原告が手数料を受領し,また,諸経費を被告ピーストックが負担していることを理由に,原告の業務は輸入代行にすぎないと主張するが,請求書に,手数料,実費を商品代金と区別して 記載したのは,上記のとおり,被告Y1の要求の結果,請求書に原価の明示が必要となったからにすぎず,これ以外の売買の実体,すなわち,輸入者名や被告ピーストックへの販売方法には何らの変更もなかったのであるから,上記支払方法の変更をもって原告業務が輸入代行にすぎないということはできない。 〔被告Y3を除く被告らの主張〕原告は,当初「輸入者」として商品パッケージに記載されたことを根拠として,本件ジュースが自らの商品であるかのごとく主張するが,誤りである。 本件ジュースの名称,容器デザイン及びジュースの調合比率は,いずれも当時サンシーロの社員であった被告Y2が編み出した。すなわち,被告Y2はサンシーロの社員として,平成10年頃から,南アフリカ共和国(以下「南アフリカ」という。)で作られるフルーツジュース(商品名「DEWLANDS」。以下「デューランド・ジュース」という。)を取り扱っていたが,同ジュースは,他社が日本での独占販売権を獲得してしまったため,取り扱うことが難しくなった。代替品として見付けた同じ南アフリカのデノーバ・ジュースも供給が不安定になったことから,同被告は,同様のジュースの製造ができないかと奔走し,原告及びタイの事情に通じている被告Y3と知り合い,タイで製造できないかと試みたものである。「Gentire」という名称は,被告Y2でなければ付けられない名称であるし,容器デザインも同人が作成したものである。ジュースの味も,デューランド・ジュースないしデノーバ・ジュースにおける調合比率を基に,南アフリカとタイとの果物の味の違 でなければ付けられない名称であるし,容器デザインも同人が作成したものである。ジュースの味も,デューランド・ジュースないしデノーバ・ジュースにおける調合比率を基に,南アフリカとタイとの果物の味の違いを考慮して,日本人の嗜好に合致するように調合比率を工夫したものである。 このように,「Gentire」(ジェンティーレ)という商品(本件ジュース)は,サンシーロの社員であった被告Y2が作ったものである。 平成18年当時,サンシーロは販路を持っているものの,経営状況は余り良くなかったため,被告Y2は,商社として輸入してくれる会社を探してお り,それが原告であった。 平成19年7月頃,被告Y2がサンシーロから被告ピーストックに移籍するに際し,サンシーロの商品であった本件ジュースを被告ピーストックが引き継ぐこととなった。 平成20年4月,原告と被告らとで今後の取引についての話合いをしたとき,もともと原告の業務の実態は輸入代行であったため(すなわち,原告の判断ではなく,被告らの指示に従っての仕事であること,経費の負担は専ら被告らであること等),今後は輸入代行であることの確認と手数料として1本当たり13円(原告分が8円,被告Y2分が5円)とする合意が調った。 以上の経過に照らせば,本件ジュースは,もともとサンシーロから引き継いだ被告ピーストックの商品であって,原告の商品ではなく,原告はその輸入代行者であったにすぎない。 〔被告Y3の主張〕原告の主張は争う。 (2) 争点②(被告らの責任原因)について〔原告の主張〕被告らは,次のとおり,共同して本件ジュースを模倣した被告商品を輸入し譲渡したものであるから,それぞれ不競法2条1項3号,4条により損害賠償責任を負う。 ア被告ピーストックは,本件ジュースを譲渡( 告らは,次のとおり,共同して本件ジュースを模倣した被告商品を輸入し譲渡したものであるから,それぞれ不競法2条1項3号,4条により損害賠償責任を負う。 ア被告ピーストックは,本件ジュースを譲渡(販売)した。 イ被告エピキュアは,本件ジュースを輸入した。 ウ被告Y1は,平成21年2月まで(実質的には同年5月まで),販売者である被告ピーストックの代表取締役として,被告商品の商品化を企画し,輸入販売に至るその全体を指揮した。 エ被告Y2は,販売者である被告ピーストックの従業員であり,しかも,被告商品の販売が始まった以後の平成21年2月からはその代表取締役と なり,また,輸入者である被告エピキュアの代表取締役としても,被告商品の輸入販売について直接関与した。 オ被告日栄は,原告から本件ジュースの通関業務を委託されることにより取得した本件ジュースの輸入原価その他の情報を,被告商品の輸入販売のために活用し,もって,被告ピーストック及び被告エピキュアにそれらの情報を漏えいし,被告商品の輸入販売に協力した。 カ被告Y3は,被告Y1,被告Y2らを仲介し,被告商品の製造輸入段階でマリーバンコク社との交渉役を務めたものであり,被告商品の輸入販売に関し,不可欠の役割を果たした。 〔被告らの主張〕争う。 (3) 争点③(原告の損害額)について〔原告の主張〕模倣商品である被告商品が輸入販売されるようになり,被告ピーストックが原告から本件ジュースを買わなくなった結果,原告は本件ジュースを輸入して被告ピーストックに販売することにより得られたはずの利益を失った。 被告ピーストックが被告商品の販売を始めた平成21年1月15日から原告が本件訴状を作成した平成21年12月2日までの損害額は,少なくとも1300万円を下らない。 〔 得られたはずの利益を失った。 被告ピーストックが被告商品の販売を始めた平成21年1月15日から原告が本件訴状を作成した平成21年12月2日までの損害額は,少なくとも1300万円を下らない。 〔被告らの主張〕争う。 (本件請求2)(4) 争点④(相殺の可否)について〔被告ピーストックの主張〕被告ピーストックが原告と本件取引を行うことになった際,サンシーロが過剰に発注して売れ残り,賞味期限が迫っている商品在庫が存在した。 平成20年4月,被告ピーストックの横浜事務所において,上記商品在庫の対処法に関し,原告代表者,被告Y1及び被告Y2の話合いが行われた。 当該商品は賞味期限が残り少なく値引きなしには売却できないこと,ラベルの表記が「サンシーロ」であって「ピーストック」のシールを貼るなどの対応が必要であること等の問題点があったからである。 その結果,原告と被告ピーストックは,当該商品は,サンシーロとの取引によるものであるから,同被告が当該在庫商品について何ら法的義務を負っているものではないが,同被告は今後の取引の発展等を考慮して原告に協力することとし,原告との間で「損失分を折半する」ことで合意した(以下「本件損失分担の合意」という。)。 その後,被告ピーストックは当該在庫商品の売却に努めたが,結局,318万0984円の損失が生じた(乙イ1)。そこで,被告ピーストックは,本件損失分担の合意に従い,原告に対し,166万6047円の支払を求めたが,原告はこれを支払わない。 よって,被告ピーストックは,本件損失分担の合意に基づき原告に対して取得した上記166万6047円の支払請求権をもって,原告の被告ピーストックに対する本件売掛金債権と対当額で相殺する(平成22年4月13日第2回弁論準備手続における意思表示)。 基づき原告に対して取得した上記166万6047円の支払請求権をもって,原告の被告ピーストックに対する本件売掛金債権と対当額で相殺する(平成22年4月13日第2回弁論準備手続における意思表示)。 なお,原告と被告ピーストックとの間では,平成20年2月18日請求分が120万円値引きされているが,これは本件損失分担の合意によるものではなく,別途合意が成立した輸入代行手数料の値引きにすぎない。 〔原告の主張〕争う。原告と被告ピーストックとの間で本件損失分担の合意がなされたことはない。被告らが提出する乙イ1は「平成20年7月,8月賞味期限分」の請求書であるが,原告がサンシーロから引き上げて被告ピーストックに販売した商品は,平成19年4月20日に製造され,平成20年4月20日に 賞味期限となるものである。乙イ1記載の商品のうち少なくとも平成20年4月20日以降に販売された商品は,原告がサンシーロから引き上げた商品ではない。 (本件請求3)(5) 争点⑤(本件転貸契約の成否)について〔原告の主張〕原告は,平成19年8月から同21年11月まで,本件事務所を被告ピーストックに転貸した(本件転貸契約)。 本件転貸契約は,平成19年7月上旬頃,被告Y2が被告ピーストックを代理して原告との間で締結したものである。被告ピーストックは,被告Y2に対し本件ジュースの販売に関連する広範な代理権を付与しており,本件転貸契約についても,その代理権が及ぶ。仮にそうでなかったとしても,民法109条又は110条により表見代理が成立する。 本件事務所の賃料は,明確な取決めはないものの,月10万5000円(税込み)が相当である。そこで,被告ピーストックは,原告に対し,未払賃料として28か月分294万円の支払義務を負っている。 〔被告ピーストック 賃料は,明確な取決めはないものの,月10万5000円(税込み)が相当である。そこで,被告ピーストックは,原告に対し,未払賃料として28か月分294万円の支払義務を負っている。 〔被告ピーストックの主張〕争う。原告と被告ピーストックの間に本件転貸契約は存在しない。原告から「机1個を自由に使ってくれ。」との話はあったが,転貸借であるとの話はなかったし,賃料の話もなかった。また,平成19年7月上旬頃,被告Y2は,まだサンシーロの従業員であり,被告ピーストックと係わり合いを持っていたわけではない。したがって,被告Y2が被告ピーストックの代理人として本件転貸契約を締結することもない。 第3 当裁判所の判断 1 本件請求1について(1) 争点①(原告の不競法2条1項3号の請求主体性) ア証拠(甲13~15,21,49,乙イ7)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 原告代表者のAは,平成18年11月頃,知人の紹介により,当時,サンシーロの従業員であった被告Y2と知り合った。同被告は,サンシーロが南アフリカから輸入していたデノーバ・ジュースの供給が不安定になっていたことから,その代替品を探しており,タイでOEMにより生産するジュースの販路開拓のため営業を行っていた原告に対し,ジュース製造の協力を依頼した。 (イ) 原告は,上記依頼を承諾し,被告Y2からデノーバ・ジュースのサンプル(本件ジュースと同じグアバ,マンゴー,パッションフルーツ,ライチの4種類)の提供を受けて,タイのマリーバンコク社に対し,将来同社に製造委託することを前提にデノーバ・ジュースの代替品となり得るフルーツジュースの試作を依頼した。そして,同社において数回にわたり試作を繰り返した結果,ほぼデノーバ・ジュースに近い味のフルーツジュー 製造委託することを前提にデノーバ・ジュースの代替品となり得るフルーツジュースの試作を依頼した。そして,同社において数回にわたり試作を繰り返した結果,ほぼデノーバ・ジュースに近い味のフルーツジュースが完成し,サンシーロはデノーバ・ジュースの代替品として本件ジュースを採用することに決定した。そこで,原告は,平成19年2月13日付けで,マリーバンコク社との間で本件ジュースの継続的売買契約(甲21)を締結し,同社に対しデポジット(預託金)として40万バーツ(約148万4000円)を支払った。本件ジュースの取引を開始するに際して原告からマリーバンコク社に支払われたのは,上記デポジットのみであり,ほかに開発費用等は支払われていない。 (ウ) 本件ジュースの商品名である「Gentire」(ジェンティーレ)は,被告Y2が,ジュースという商品にふさわしい語感と印象があること,既製のものと容易に区別できることを念頭に置き,成功したサッカー選手にあやかって選択したものである。また,本件ジュースの容器は,短期間での制作を可能とするため,サンシーロが別商品のために作成した容器 デザイン,すなわち,被告Y2がデノーバ・ジュースの代替品として商談を進めながら最終的に商品化に至らなかったデューフレッシュ・ジュースの容器デザインを利用して作成することになり,原告はサンシーロから無償で同デザインのデータの提供を受けて,これを基にデザイン業者に委託して本件ジュースの容器デザインを作成した。その結果,出来上がった容器デザインは,商品名の部分が異なるほかは,背景の絵柄,色合い,文字の配置,字体が元のデザインとほぼ同一であり,大きさ,形も同一であって,全体的に元の容器デザインと酷似したものとなっている。 (エ) 原告は,平成19年3月12日,サンシーロとの間で, 色合い,文字の配置,字体が元のデザインとほぼ同一であり,大きさ,形も同一であって,全体的に元の容器デザインと酷似したものとなっている。 (エ) 原告は,平成19年3月12日,サンシーロとの間で,サンシーロの発注を受けて本件ジュースを継続的に輸入し通関業をして売り渡し,サンシーロはこれを継続的に買い取ることを内容とする取引契約(甲15)を締結し,本件ジュースの輸入を開始した。本件ジュースの供給先はサンシーロのみであり,日本国内における販売は専らサンシーロが行った。 (オ) その後,サンシーロからの代金の支払が滞るようになったことから,原告は,平成19年8月頃,サンシーロとの間の取引を打ち切り,同じ頃,サンシーロから被告ピーストックに移籍した被告Y2の提案により,原告は,被告ピーストックとの間で上記(エ)の取引と同様の取引,すなわち,被告ピーストックの発注により本件ジュースを継続的に輸入して被告ピーストックに売り渡す取引(本件取引)を行うことになった。 イ不競法2条1項3号は,商品化のために資金や労力を投下した者の開発利益を,当該商品の形態を模倣するという行為を競争上不正な行為とすることにより保護することを目的とするものであり,このような目的からすれば,本号の不正競争につき損害賠償を請求することができる者は,当該商品を自ら開発,商品化した者又はこれと同様の固有かつ正当な利益を有する者と解すべきである。 これを本件についてみるに,本件ジュースは,サンシーロが南アフリカから輸入していたデノーバ・ジュースの供給が不安定になったことから,その代替品として,同ジュースの内容物の再現を目指して開発,商品化されたものであり,原告は被告Y2を通じてサンシーロから提供を受けたデノーバ・ジュースのサンプルを基にタイのメーカーであるマリー ら,その代替品として,同ジュースの内容物の再現を目指して開発,商品化されたものであり,原告は被告Y2を通じてサンシーロから提供を受けたデノーバ・ジュースのサンプルを基にタイのメーカーであるマリーバンコク社に本件ジュースの試作,製造を委託したにすぎない。しかも,原告が,マリーバンコク社と本件ジュースの取引を開始するに際し支出したのは,デポジット(預託金)40万バーツ(約148万4000円)のみであるが,同金員は,マリーバンコク社との継続的売買契約における原告の買掛金債務を担保するための預託金であって(甲21),これを本件ジュースの開発,商品化に関する費用と認めることはできない。そして,原告は,ほかに本件ジュースの開発費用等を何ら負担していない(原告は,試作の段階で負担した費用として,被告Y3に対する貸付けや出張旅費の支出を挙げるが,これらの貸付けや支出が本件ジュースの開発,商品化に充てられたことを認めるに足りる証拠はない。)。また,「Gentire」(ジェンティーレ)の商品名は,当時サンシーロの従業員であった被告Y2が選択したものであること,容器デザインも,サンシーロから無償で提供を受けたデータを利用して作成したにすぎず,実際に出来上がった本件ジュースの容器デザインはもととなったデューフレッシュ・ジュースの容器デザインと酷似していることは,いずれも上記認定のとおりである。 以上によれば,本件ジュースについては,その内容物,商品名,容器デザインのいずれについても,原告が独自の費用,労力を掛けてこれを開発,商品化したということはできない(原告は,本件ジュースが原告の開発,商品化した商品であることの根拠として,原告によるJANコード等の取得や,食品衛生法に基づく輸入届出,関税の納付をも主張するが,これらはいずれも本件ジュースの開発,商 は,本件ジュースが原告の開発,商品化した商品であることの根拠として,原告によるJANコード等の取得や,食品衛生法に基づく輸入届出,関税の納付をも主張するが,これらはいずれも本件ジュースの開発,商品化に関するものとはいえず,採用す ることができない。)。したがって,本件ジュースについて,原告は,自ら開発,商品化した者と認めることはできず,また,これと同様の固有かつ正当な利益を有する者と認めることもできないから,不競法2条1項3号の不正競争につき損害賠償を請求することができる者ということはできない。 (2) よって,その余の点について判断するまでもなく,本件請求1は理由がない。 2 本件請求2について(1) 原告の被告ピーストックに対する本件売掛金債権153万2476円については,当事者間に争いがない。 (2) 争点④(相殺の可否)被告ピーストックは,平成20年4月,同被告の横浜事務所において,原告との間で,サンシーロが過剰に発注して売れ残り,賞味期限が迫っている商品在庫につき「損失分を折半する」旨の合意(本件損失分担の合意)が成立したと主張する。しかし,同被告が主張する合意内容自体が曖昧であるのみならず,本件全証拠によるも本件損失分担の合意が成立したことを認めるに足りない。 原告代表者A作成の平成22年11月29日付け陳述書(甲49)によれば,平成20年1月下旬頃,被告日栄の事務所において,サンシーロからの引取り分につき廉価販売せざるを得なかったことによる被告ピーストックの損失が約250万円あり,その約半分に当たる120万円を原告が負担する合意があったことが認められる。しかし,同合意は,被告が主張する本件損失分担の合意とは内容及び時期において異なる上,A作成の平成23年12月12日付け陳述書(甲72)及び弁論の 万円を原告が負担する合意があったことが認められる。しかし,同合意は,被告が主張する本件損失分担の合意とは内容及び時期において異なる上,A作成の平成23年12月12日付け陳述書(甲72)及び弁論の全趣旨によれば,上記120万円については,原告の被告ピーストックに対する平成20年2月18日請求分から同額が控除されることにより既に履行済みであると認められる。被告ピ ーストックは,上記120万円の値引きは,本件損失分担の合意によるものではなく,別途合意が成立した輸入代行手数料の値引きにすぎないとも主張するが,同120万円が輸入代行手数料の値引きであると認めるに足りる証拠はなく,採用することができない。 したがって,被告ピーストック主張の自働債権(被告ピーストックの原告に対する本件損失分担の合意に基づく166万6047円の支払請求権)を認めることはできず,相殺の主張は理由がない。 (3) よって,本件請求2は理由がある。 3 本件請求3について(1) 争点⑤(本件転貸契約の成否)原告は,平成19年8月から同21年11月まで,本件事務所を被告ピーストックに転貸した(本件転貸契約),本件転貸契約は,平成19年7月上旬頃,被告Y2が被告ピーストックを代理して原告との間で締結したものであると主張する。 証拠(乙イ9)及び弁論の全趣旨によれば,原告と被告ピーストックが本件取引を行っていた一時期において,同被告が原告の本件事務所に机を借りていた事実が認められる。しかし,本件訴訟が提起されるまで原告が被告ピーストックに対し具体的に賃料の請求をしたことはなく,また,上記机の借用について,被告Y2が被告ピーストックの代理人として原告に対し賃料の支払を約した事実を認めるに足りる証拠もない。 原告は,被告ピーストックは被告Y2に対し広範 をしたことはなく,また,上記机の借用について,被告Y2が被告ピーストックの代理人として原告に対し賃料の支払を約した事実を認めるに足りる証拠もない。原告は,被告ピーストックは被告Y2に対し広範な代理権を付与していた,仮にその代理権が及ばないとしても民法109条又は110条により表見代理が成立すると主張するが,被告Y2が被告ピーストックの代理人として原告に対し賃料の支払を約した事実を認めることができない以上,代理権の有無,表見代理の成否について検討するまでもない。以上のとおり,原告と被告ピーストックの間に本件転貸契約が締結された事実を認めることはできない。 (2) よって,本件請求3は理由がない。 4 結論以上のとおり,本件請求2は理由があるから認容し,本件請求1及び本件請求3は理由がないのでいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 岡本岳 裁判官 坂本康博 裁判官 寺田利彦 別紙省略

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