令和3(ワ)22564等 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年3月22日 東京地方裁判所
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判決文本文56,184 文字)

1 令和6年3月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第22564号 損害賠償請求事件(本訴)令和4年(ワ)第16085号 損害賠償請求事件(反訴)口頭弁論終結日 令和6年1月12日判 決5 原告(反訴被告) 株式会社ジィ・シィ企画(以下「原告」という。) 同訴訟代理人弁護士 大野聖二10木村広行井深 大 被告(反訴原告) 株式会社モビリティ(以下「被告モビリティ」という。)15 被告(反訴原告) Ai(以下「被告Ai」という。)上記2名訴訟代理人弁護士 寒河江 孝 允20主 文1 原告の本訴に係る請求をいずれも棄却する。 2 被告らの反訴に係る請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、本訴反訴を通じ、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。 25事実及び理由2 第1 請求1 本訴(1) 被告モビリティは、原告に対し、4503万7856円及びこれに対する令和3年9月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員(ただし、被告Aiと4503万7856円及びこれに対する令和3年10月159日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員の限度で連帯して)を支払え。 (2) 被告Aiは、原告に対し、被告モビリティと連帯して、4503万7856円及びこれに対する令和3年10月19日から支払済みまで年3パ 3パーセントの割合による金員の限度で連帯して)を支払え。 (2) 被告Aiは、原告に対し、被告モビリティと連帯して、4503万7856円及びこれに対する令和3年10月19日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 102 反訴(1) 原告は、被告Aiに対し、2000万円及びこれに対する令和4年7月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え、もしくはこれに代えて謝罪せよ。 (2) 原告は、被告モビリティに対し、3000万円及びこれに対する令和4年157月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え、もしくはこれに代えて謝罪せよ。 第2 事案の概要本訴事件は、原告が、岡三証券株式会社(以下「岡三証券」という。)を主幹事会社として、東証マザーズ市場(以下「マザーズ市場」という。)への上20場を控えていたところ、被告らが、岡三証券に対し、原告の製造又は販売する製品は被告モビリティが当時有していた特許第4789092号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を侵害している旨の通知書を送付した行為(以下「本件通知行為」という。)が、故意若しくは過失による不正競争行為(不正競争防止法2条1項21号)、不法行25為又は取締役がその職務を行うについて悪意若しくは重過失による取締役の任3 務懈怠に該当し、同行為により原告に損害が生じたとして、被告モビリティに対し、主位的に不正競争防止法4条、予備的に民法709条に基づいて、被告Aiに対して、主位的に不正競争防止法4条、予備的に会社法429条1項、更に予備的に民法709条に基づいて、4503万7856円(なお、原告は、損害額に係る主張を訂正したが、これを請求に反映していないため、請求の趣 位的に不正競争防止法4条、予備的に会社法429条1項、更に予備的に民法709条に基づいて、4503万7856円(なお、原告は、損害額に係る主張を訂正したが、これを請求に反映していないため、請求の趣5旨における金額と請求原因における金額とは一致しない。)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告モビリティにつき令和3年9月25日、被告Aiにつき同年10月19日)から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 反訴事件は、被告らが、本件通知行為は、被告らによる正当な義務の履行と10してされたものであり、原告による本訴提起は、故意又は過失によって被告らの権利又は法律上保護される利益を侵害し、被告らは、これにより有形及び無形の損害を被ったとして、被告Aiが、原告に対し、民法709条に基づき2000万円及び令和4年7月6日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払又は民法723条に基づき被告15Aiに対する謝罪を求め、被告モビリティが、原告に対し、民法709条に基づき3000万円及び前記同様の遅延損害金の支払又は民法723条に基づき被告モビリティに対する謝罪を求める(選択的併合)事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)20(1) 当事者(甲1、2、16、弁論の全趣旨)ア 原告は、電気通信事業、コンピュータシステムの企画・開発・設計・販売・使用許諾・実施許諾・運用等を業とする株式会社である。 イ 被告モビリティは、情報処理に関する研究、開発及びソフトウェア、ハードウェアの開発、制作及び販売等を業とする株式会社であり、令和4年 売・使用許諾・実施許諾・運用等を業とする株式会社である。 イ 被告モビリティは、情報処理に関する研究、開発及びソフトウェア、ハードウェアの開発、制作及び販売等を業とする株式会社であり、令和4年254月17日まで本件特許権を有していた者である。 4 ウ 被告Aiは、被告モビリティの代表者代表取締役である。 (2) 本件特許ア 被告モビリティは、平成14年4月17日(優先日平成13年4月17日(以下「本件優先日」という。)、優先権主張国日本)を国際出願日とする特許出願(特願2002-584251号)の一部を分割して、平成250年5月7日、本件特許の特許出願をし、平成23年7月29日、本件特許権の設定登録(請求項の数6)を受けた(甲1、2)。 イ 被告モビリティは、平成30年12月6日、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の訂正を求める訂正審判請求(訂正2018-390195)をし、特許庁は、平成31年1月29日付けで訂正を認める旨の審決をし、10同審決は確定した(甲1、3、弁論の全趣旨)。 また、被告モビリティは、令和2年3月6日、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の訂正を求める訂正審判請求(訂正2020-390021)をし、特許庁は、同年6月30日付けで訂正を認める旨の審決をし、同審決は確定した(甲1、4、弁論の全趣旨)。 15ウ 本件特許の特許請求の範囲本件特許に係る前記イの各審決による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3、4及び5の記載は、次のとおりである(以下、同請求項5に係る発明を「本件発明」といい、本件特許に係る前記イの各審決による訂正後の明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、本件明20細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載し、図を「図1」などという。)。 件特許に係る前記イの各審決による訂正後の明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、本件明20細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載し、図を「図1」などという。)。 【請求項1】RFIDインターフェースを有する携帯電話であって、当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号又はリーダライタから送信25されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用5 を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段と、前記トリガ信号に応答して、RFIDインターフェースを有するRバッジに対してRバッジを一意に識別できる識別情報を要求する要求信号を送信する送信手段と、前記Rバッジより識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録5してある識別情報との比較を行う比較手段と、前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段とを備え、前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過するまでは前記被保10護情報へのアクセスを許可することを特徴とする携帯電話。 【請求項3】請求項1記載の携帯電話であって、アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして新たな機能を追加および/または更新する手段を有することを特徴とする携帯電話。 15【請求項4】前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設 とする携帯電話。 15【請求項4】前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項3記載の携帯電話。 20【請求項5】請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で受信した判断情報が、25前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間6 で処理を行うことを特徴とする受信装置。 エ 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、3及び4に係る発明並びに本件発明を構成要件に分説すると、次のとおりである(以下、分説した構成要件を符号に対応させて、「構成要件A」などという。)。 【請求項1】5A RFIDインターフェースを有する携帯電話であって、B 当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号又はリーダライタから送信されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段と10C 前記トリガ信号に応答して、RFIDインターフェースを有するRバッジに対してRバッジを一意に識別できる識別情報を要求する要求信号を送信する送信手段と、D 前記Rバッジより識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録してある識別情報との比較を行う比較手段と、15E 求する要求信号を送信する送信手段と、D 前記Rバッジより識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録してある識別情報との比較を行う比較手段と、15E 前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段とを備え、F 前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過するまでは前記被保護情報へのアクセスを許可す20るG ことを特徴とする携帯電話。 【請求項3】H 請求項1記載の携帯電話であって、アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして新たな25機能を追加および/または更新する手段を有することを特徴とする携7 帯電話。 【請求項4】I 前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つで5あることを特徴とする請求項3記載の携帯電話。 【請求項5】J 請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、K 個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段と、10L 前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、M 前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うN ことを特徴とする受信装置。 15(3) 原告の を有し、M 前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うN ことを特徴とする受信装置。 15(3) 原告の行為等ア 原告は、業として、別紙原告製品目録記載の製品(以下「原告各製品」という。)を製造及び譲渡している。 イ 原告各製品は、構成要件Jを充足する。 (4) 先行文献等20本件優先日前に頒布された刊行物として、次のものがある(甲27、29、30、32)。 ア 特開2000-20767号公報(以下「甲27文献」という。)イ 特開平10-162176号公報(以下「甲32文献」という。)ウ 特開2000-222176号公報(以下「甲29文献」という。)25エ Klaus Finkenzeller「RFIDハンドブック-非接8 触ICカードの原理と応用」日刊工業新聞社(以下「甲30文献」という。)(5) 本件通知行為に係る経緯等ア 原告は、岡三証券を主幹事会社として、令和3年7月7日付けでマザーズ市場に新規上場することが決定した。同上場予定の事実は、岡三証券、5株式会社東京証券取引所、原告等により広く周知されていた。(弁論の全趣旨)イ 被告モビリティは、令和3年6月9日、原告に対し、原告各製品は、本件発明の技術的範囲に属するものであり、被告モビリティの被った損害は少なくとも5億円を下らないこと、被告モビリティは、原告の上場予定日10である同年7月7日以前に、しかるべき関係の監督官庁当局、機関・団体宛てに、特許権侵害の事実を告知する予定であることを通知した。 ウ 原告は、当時の原告代理人弁護士を通じて、被告ら代理人弁護士と、電話及びファクシミリで前記イの件に関してやりとりをし、原告は、被告モビ に、特許権侵害の事実を告知する予定であることを通知した。 ウ 原告は、当時の原告代理人弁護士を通じて、被告ら代理人弁護士と、電話及びファクシミリで前記イの件に関してやりとりをし、原告は、被告モビリティに対して令和3年6月23日付け「回答書」(甲8)を送付し、15原告各製品が本件発明の技術的範囲に属するとする論拠を十分説明してほしい旨通知した(甲6ないし8、弁論の全趣旨)。 エ 被告モビリティは、令和3年6月23日、東京地方裁判所に対し、原告を被告とする特許権侵害に基づく損害賠償請求訴訟(請求額4億9388万円。以下「別件訴訟」という。)を提起した。ただし、被告モビリティ20は、訴状に収入印紙を貼付しておらず、同年7月8日に別件訴訟を取り下げるまで、収入印紙を追完することはなかった。(甲11、23)オ 被告モビリティは、岡三証券に対し、令和3年6月24日付け「特許裁判に関する通知書」と題する書面(甲9。以下「本件通知書」という。)を送付した。本件通知書には、次の内容が記載されていた。 25「当職は、株式会社モビリティ…の代理人として、2021年6月23日9 (水)付けにて、東京地方裁判所に、株式会社ジィ・シィ企画を被告として、特許権侵害に基づく損害賠償請求訴訟を提訴したことを通知いたします。 なお、通知人は株式会社ジィ・シィ企画(以下、被告という)に対して、被告製品が通知人会社保有の特許権を侵害していることを指摘し、被告に5対し、その事実を認めること及び正当な対価を支払うことを請求し、そのための誠意ある協議を求めて、数回に渡り内容証明書などで通知しているにも拘わらず、何らの回答も無いまま現在に至っております。 …被告は、2021年7月7日にマザーズ市場に上場予定の企業であり、日本取引所グループの上場審 て、数回に渡り内容証明書などで通知しているにも拘わらず、何らの回答も無いまま現在に至っております。 …被告は、2021年7月7日にマザーズ市場に上場予定の企業であり、日本取引所グループの上場審査基準である「投資者保護の観点から当取引10所が必要と認める事項」(有価証券上場規程)及び「公益又は投資者保護の観点で適当と認められること」(上場審査等に関するガイドライン)に定められている「新規上場申請者の企業グループが、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと。」に該当するもの…であり、かかる紛争の事実は、被告の上場の適格性に影響を及ぼすもの15と思料し、被告の「新規上場」の承認については慎重に再審査されるべきであると思料します。…記東京地方裁判所令和3年(ワ)第16255号①東京地方裁判所 民事第47部(知財部)20②原告 株式会社モビリティ 代表取締役 Ai③被告 株式会社ジィ・シィ企画 代表取締役 Bi④訴訟金額 金4億9388万円以上」カ 原告は、本件通知書を受け、岡三証券と協議をし、投資家に迷惑をかけ25ることがないようにすることを優先して、予定された令和3年7月7日の10 新規上場を中止した(弁論の全趣旨)。 キ 被告モビリティは、令和3年7月8日、前記エの訴訟を取り下げた(甲11)。 2 争点(1) 本件特許権侵害についての虚偽告知の有無(争点1)5ア 充足論(争点1-1)(ア) 構成要件Kの非充足性(争点1-1-1)(イ) 構成要件Lの非充足性(争点1-1-2)(ウ) 構成要件Mの非充足性(争点1-1-3)(エ) 構成要件Nの非充足性(争点1-1-4)10イ 無効論(争 充足性(争点1-1-1)(イ) 構成要件Lの非充足性(争点1-1-2)(ウ) 構成要件Mの非充足性(争点1-1-3)(エ) 構成要件Nの非充足性(争点1-1-4)10イ 無効論(争点1-2)(ア) 明確性要件違反(争点1-2-1)(イ) サポート要件違反(争点1-2-2)(ウ) 実施可能要件違反(争点1-2-3)(エ) 甲27文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如(争点1-2-4)15(オ) 甲32文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如(争点1-2-5)(カ) 甲29文献を主引用例とする進歩性欠如(争点1-2-6)(キ) 甲30文献を主引用例とする進歩性欠如(争点1-2-7)(ク) ソニー株式会社(以下「ソニー」という。)がFeliCaカードのユーザーに提供した「FeliCaカード ユーザーズマニュアル V20ersion 2.02」と題する書面(甲36。以下「甲36文献」という。)又は甲36文献に記載された発明の公然実施品(以下「甲36製品」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点1-2-8)ウ 被告らによる虚偽告知の内容(争点1-3)(2) 被告らと原告との間の競争関係の有無(争点2)25(3) 被告らの故意又は過失の有無(争点3)11 (4) 被告Aiの悪意又は重過失による任務懈怠の有無(争点4)(5) 原告の損害発生の有無及び損害額(争点5)(6) 本訴提起による不法行為の成否(争点6)(7) 被告らの損害発生の有無及び損害額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張51 争点1-1-1(構成要件Kの非充足性)について(原告の主張)(1) 請求項5に係る本件発明と請求項1、3及び4に係る各発明との関係本件発明に係る「受信装置」は、「請 事者の主張51 争点1-1-1(構成要件Kの非充足性)について(原告の主張)(1) 請求項5に係る本件発明と請求項1、3及び4に係る各発明との関係本件発明に係る「受信装置」は、「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し」(構成要件J)という構成10を有するものであり、本件特許の請求項4は請求項3に従属し、請求項3は請求項1に従属する。そうすると、請求項4に記載の「キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー」等の機能を搭載した携帯電話の不正取得者の不正利用を防止するためには、請求項1に係る発明の構成に従って、携帯電話と対をなして使用されるRバッジと15の「識別情報」の比較をして、これが一致するとの比較結果が得られた場合にのみ、被保護情報(電子マネー情報など)へのアクセスを許可して決済をさせることが必要であり、本件発明に係る「受信装置」もそれに対応するべきである。 例えば、本件明細書には、請求項1に係る発明の実施例として、モバイル20Suica搭載のスマートフォンで自動改札を通過する場合、正当なスマートフォン保有者はRバッジを保有しているので、改札の前にスマートフォンをRバッジに近接させて情報のやり取りをさせて両者の「識別番号」(携帯電話やRバッジに一意に割り振られる番号)を比較して、これが、アクセス制御手段により、アクセス要求を許可するといった比較結果が得られた場合25にのみ、「被保護情報」である電子マネー情報にアクセスを許可するとして12 いる。請求項1に係る上記の実施例の記載に照らすと、本件発明に係る「受信装置」も同様の効果を有する必要があるといえる。 以上によれば、本件発明に係る「受信装置」は、携帯端末に定期券・乗車 2 いる。請求項1に係る上記の実施例の記載に照らすと、本件発明に係る「受信装置」も同様の効果を有する必要があるといえる。 以上によれば、本件発明に係る「受信装置」は、携帯端末に定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させ、その機能を受信装置で受け取る場合に、まず、携帯端末の使用者が正当な使用者かをRバッジで確認5できるような「受信装置」であるべきと解される。 (2) 「個別情報」の文言解釈前記(1)の解釈を前提として、本件明細書の「携帯端末10は、図13に示すように、メモリ30上のデータ格納部34に個別情報340を記憶する。 ここでは、個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明10する。」(【0088】)、「さらに、個別情報340は、携帯端末10の固体それぞれを識別する識別情報を利用することもできる。」【0097】)等の記載に照らすと、「個別情報」とは、「カード情報」や「識別情報」、すなわち、携帯端末に一意に割り振られる情報や、Rバッジを一意に識別できる識別情報を含むものであると解される。 15(3) 原告各製品の構成及びあてはめについて原告各製品は、携帯端末とは別にRバッジを設けて両者間で「識別情報」のやり取りをする構成、すなわち、「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段」を全く備えていない。 (4) 小括20よって、原告各製品は、構成要件Kを充足しない。 (被告らの主張)本件明細書には、「携帯端末10は、図13に示すように、メモリ30上のデータ格納部34に個別情報340を記憶する。ここでは、個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明する。」(【0088】)、「個別25情報340には、複数のカード情報(例えば、図13のA、B 4に個別情報340を記憶する。ここでは、個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明する。」(【0088】)、「個別25情報340には、複数のカード情報(例えば、図13のA、B、C)を記憶す13 ることも可能でその中から利用するカードを選択する機能を備える。」(【0089】)、「以下、個別情報340をカード情報と置き換えて説明する。」(【0090】)などと記載されていることに照らすと、「個別情報」が被告のいう「Rバッジを一意に識別できる識別情報」に限定されないことは明らかである。 原告各製品は、携帯端末に製造ID(IDm)を要求するから、「個別情報5の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段」を備えており、構成要件Kを充足する。 2 争点1-1-2(構成要件Lの非充足性)について(原告の主張)(1) 「判断手段」の意義10前記1(原告の主張)(1)の本件発明に係る「受信装置」の解釈並びに同「受信装置」が構成要件L及びMの構成を備えることが必要であることに照らすと、本件発明の「受信装置」は、個別情報であるか否かの「判断」を行う手段を有するものであると解される。また、当然の前提として、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断」するた15めには、「受信装置」が「個別情報」をあらかじめ受信装置内に保有していることが必須である。 そして、前記1(原告の主張)(2)のとおり、「個別情報」とは、携帯端末に一意に割り振られる情報又はRバッジを一意に識別できる識別情報であると解される。 20(2) 原告各製品の構成及びあてはめについて原告各製品は、「個別情報」に該当する携帯端末に一意に割り振られる情報又はRバッジを一意に識別できる識別情報をあらかじめ保有していない れる。 20(2) 原告各製品の構成及びあてはめについて原告各製品は、「個別情報」に該当する携帯端末に一意に割り振られる情報又はRバッジを一意に識別できる識別情報をあらかじめ保有していないため、「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する」ことはできない。 25(3) 小括14 よって、原告各製品は、構成要件Lを充足しない。 (被告らの主張)原告各製品は、携帯端末に製造ID(IDm)を要求し、これを受信して、製造ID(IDm)の製造者コードで個別情報(原告各製品に店員が設定した、客に伝えられた電子マネー・クレジットカード等)が判断できなければ、その5後の処理を継続し、得られた情報が、要求した個別情報かを判断する。 したがって、原告各製品は、「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し」ているといえ、構成要件Lを充足する。 3 争点1-1-3(構成要件Mの非充足性)について10(原告の主張)前記2(原告の主張)のとおり、原告各製品は、構成要件Lの「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する」判断手段を備えておらず、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」こともで15きない。 よって、原告各製品は、構成要件Mを充足しない。 (被告らの主張)前記1(被告らの主張)のとおり、原告各製品は、携帯端末から得られた情報が要求した個別情報かを判断し、要求した個別情報であれば処理を継続する20から、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行 報が要求した個別情報かを判断し、要求した個別情報であれば処理を継続する20から、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」といえる。 したがって、原告各製品は構成要件Mを充足する。 4 争点1-1-4(構成要件Nの非充足性)について(原告の主張)25原告各製品は、構成要件KないしMをいずれも充足しないから、構成要件K15 ないしMの特徴を備える「受信装置」とはいえない。 よって、原告各製品は、構成要件Nを充足しない。 (被告らの主張)原告各製品は、構成要件JないしMの特徴を備える「受信装置」であるから、構成要件Nを充足する。 55 争点1-2-1(明確性要件違反)について(原告の主張)本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反し、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項4号)、特許法104条の3第1項に10より本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 すなわち、本件発明に係る特許請求の範囲には、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、」と記載されているところ、「受信した判断情報」の意義について本件明細書には何らの説明もなく、その意義が不明である。 15また、「判断情報」自体の意義も不明であることから、「前記判断手段で受信した判断情報…判断されたときに」との記載が、「前記判断手段で受信した」と読むのか、「前記判断手段で判断されたとき」と読むのかを一義的に理解することができない。 したがって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、第三者に不測の不利20益を及ぼすほ で受信した」と読むのか、「前記判断手段で判断されたとき」と読むのかを一義的に理解することができない。 したがって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、第三者に不測の不利20益を及ぼすほどに不明確であるから、明確性要件に違反する。 (被告らの主張)争う。 6 争点1-2-2(サポート要件違反)について(原告の主張)25(1) 本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、サポート要件(特許法36条616 項1号)に違反し、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項4号)、特許法104条の3第1項により本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 すなわち、前記5(原告の主張)のとおり、本件明細書には「受信した判断情報」 について一切開示がないから、そもそも、本件発明は発明の詳細5な説明に記載された発明ではない。 また、本件明細書の「本発明は…その目的とするところは、個人情報や金銭的価値のある情報を統合して管理する場合に当該情報の第三者による不正使用を確実に防止するための情報保護システムを提供することにある。」(【0009】)及び「本発明の他の目的は、かかる情報保護システムを実現10するための情報保護方法を提供することにある。」(【0010】)という記載に照らすと、本件発明が解決しようとする課題は、個人情報や金銭的価値のある情報を統合して管理する場合に当該情報の第三者による不正使用を確実に防止する点にあるものと解される。しかし、前記5(原告の主張)のとおり、本件発明における「受信した判断情報」の意義や、「前記判断手段で受15信した判断情報が…判断されたとき」の意義を理解することができないから、当業者は、本件発明により上記課題を解決 張)のとおり、本件発明における「受信した判断情報」の意義や、「前記判断手段で受15信した判断情報が…判断されたとき」の意義を理解することができないから、当業者は、本件発明により上記課題を解決できると認識することができない。 したがって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、サポート要件に違反する。 (2) 仮に、「受信した判断情報」とは、「受信した個別情報」であると理解で20き、「前記判断手段で受信した判断情報が…判断されたとき」とは、「前記判断手段で受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたとき」を意味すると理解できるとしても、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、サポート要件に違反する。 すなわち、本件発明はサブコンビネーション発明であるところ、構成要件25Jの「請求項4記載の」は、本件発明の受信装置の構造及び機能を何ら特定17 していないから、本件発明の要旨は、「請求項4記載の」の部分を除外して特定されるべきであり、その結果、本件発明に係る受信装置は、携帯端末に個別情報を要求し、受信した個別情報が要求した個別情報であると判断された場合に前記携帯端末と処理を行うだけのものとなる。そうすると、当業者は、本件発明により「第三者による不正使用を確実に防止する」との課題を5解決できると認識することができない。 したがって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、サポート要件に違反する。 (被告らの主張)構成要件Jの「請求項4記載の」は、本件発明の受信装置の構造及び機能10を特定しており、当業者は、本件発明により「第三者による不正使用を確実に防止する」との課題を解決できると認識することができる。 したがって、原告の主張は理由がない。 7 争点1-2-3(実施可能要件違反 ており、当業者は、本件発明により「第三者による不正使用を確実に防止する」との課題を解決できると認識することができる。 したがって、原告の主張は理由がない。 7 争点1-2-3(実施可能要件違反)について(原告の主張)15本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、実施可能要件(特許法36条4項1号)に違反し、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項4号)、特許法104条の3第1項により本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 すなわち、前記6(原告の主張)(1)のとおり、本件明細書には「受信した20判断情報」について一切開示がなく、その意義が不明であり、これにより、「前記判断手段で受信した判断情報が…判断されたとき」の意義も不明となるから、当業者は、本件発明に係る受信装置を作ることができない。 また、前記6(原告の主張)のとおり、仮に、「受信した判断情報」とは、「受信した個別情報」であると理解でき、「前記判断手段で受信した判断情報25が…判断されたとき」とは、「前記判断手段で受信した個別情報が前記要求し18 た個別情報であると判断されたとき」を意味すると理解できたとしても、当業者は、本件発明により「第三者による不正使用を確実に防止する」との課題を解決できると認識することができないから、本件発明の課題を解決するためには、少なくとも過度の試行錯誤を必要とする。 したがって、本件明細書の記載は実施可能要件に違反するといえる。 5(被告らの主張)争う。 8 争点1-2-4(甲27文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如)について(原告の主張)10本件発明は、次のとおり、甲27文献に記載された発明と同一であるか、同発明に基 争う。 8 争点1-2-4(甲27文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如)について(原告の主張)10本件発明は、次のとおり、甲27文献に記載された発明と同一であるか、同発明に基づき本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条1項3号又は2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項2号)、特許法104条15の3第1項により本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 (1) 本件発明の要旨認定について本件発明は、二つ以上の装置を組み合わせて成る全体装置の発明に対し、それに組み合わされる情報処理装置(受信装置)の発明であるから、サブコンビネーション発明と解される。 20仮に、構成要件Jの「請求項4記載の」という事項が、本件発明の特許請求の範囲の請求項中に記載された「他の装置」(携帯電話)に関する事項であり、当該「他の装置」(携帯電話)のみを特定する事項であって、当該請求項に係る発明(受信装置)の構造、機能等を何ら特定してないとすれば、本件発明については、構成要件Jの「請求項4記載の」という事項を除外し25て発明の要旨を認定すべきである。 19 (2) 甲27文献に記載された発明の認定についてア 甲27文献には次の構成を有する発明(以下「甲27発明」という。)が記載されていると認められる(以下、甲27発明の構成を「甲27j」などという。)。 甲27j 携帯電話端末1との間で送受信するための無線通信部3aを5有し、甲27k 駅識別番号及び端末識別番号を要求するパターン波形を前記携帯電話端末1に発信する発信手段と、甲 電話端末1との間で送受信するための無線通信部3aを5有し、甲27k 駅識別番号及び端末識別番号を要求するパターン波形を前記携帯電話端末1に発信する発信手段と、甲27l 前記携帯電話端末1から受信した駅識別番号及び端末識別番号が要求した駅識別番号及び端末識別番号であるか否かを検10査する識別番号検出部3bとを有し、甲27m 前記識別番号検出部3bで受信した駅識別番号及び端末識別番号が、前記要求した駅識別番号及び端末識別番号であると判断されたときに、前記携帯電話端末1との間で精算した運賃を送信するなどの処理を行う15甲27n ことを特徴とする出口機3イ 甲27文献には、甲27発明の他、次の構成を有する発明(以下「甲27′発明」という。)も記載されている(以下、甲27′発明の構成を「甲27′j」などという。)。 甲27′j 携帯電話端末1との間で送受信するための無線通信部320aを有する甲27′n ことを特徴とする出口機3(3) 本件発明との対比についてア 構成要件Jについて甲27j及び甲27′jの「携帯電話端末1」は、構成要件Jの「携帯25電話」に相当する。 20 また、本件明細書において、「RFID」は、「非接触自動識別システム」と表現されていること(【0025】)、「RFIDにはさまざまな変調方式や周波数、通信プロトコルを利用したものがあるが、本発明は特定の方式に限定されるものではなく、どのような方式を利用してもよい。」(【0027】)と記載されていることに照らすと、構成要件Jの「RFID」と5は、少なくとも非接触自動識別システムを含むものといえる。 他方、甲2 のではなく、どのような方式を利用してもよい。」(【0027】)と記載されていることに照らすと、構成要件Jの「RFID」と5は、少なくとも非接触自動識別システムを含むものといえる。 他方、甲27文献の記載(【0022】ないし【0025】等)によれば、甲27発明の「出口機3」は、駅識別番号及び端末識別番号などを非接触で自動的に識別するシステムであるから、「RFID」を構成するものであり、「無線通信部3a」は、そのインターフェース(機器や装置が10他の機器や装置などと交信し、制御を行う接続部分)であるから、構成要件Jの「RFIDインターフェース」に相当する。 よって、本件発明と甲27発明及び甲27′発明とは、構成要件Jに係る構成を備える点において一致する。 イ 構成要件KないしMについて15本件明細書の記載(【0086】ないし【0099】)によれば、構成要件Kの「個別情報」に特段の限定はないものと解される。 したがって、甲27発明の「駅識別番号及び端末識別番号を要求するパターン波形」(甲27k)、「駅識別番号及び端末識別番号」(甲27kないし甲27m)及び「識別番号検出部3b」(甲27l)は、それぞれ、20本件発明の「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)及び「判断手段」(構成要件L)に相当することが明らかである。 よって、本件発明と甲27発明とは、構成要件KないしMに係る構成を備える点において一致する。 25ウ 構成要件Nについて21 甲27発明及び甲27′発明の「出口機3」は、構成要件Nの「受信装置」に相当するから、本件発明と甲27発明及び甲27′発明とは、構成要件Nに係る構成を備える点において一致する。 (4) 一致点及び相違点について本件発明と 「出口機3」は、構成要件Nの「受信装置」に相当するから、本件発明と甲27発明及び甲27′発明とは、構成要件Nに係る構成を備える点において一致する。 (4) 一致点及び相違点について本件発明と甲27発明及び甲27′発明を対比すると、甲27発明は、5本件発明の各構成を備えるから本件発明と同一であり、甲27′発明は、構成要件J及びNの構成を備える点において本件発明の構成と一致するが、構成要件KないしMの構成を備えない点において本件発明の構成と相違する。 (5) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについてア 甲27発明10仮に、甲27発明と本件発明との間に何らかの相違点があるとしても、当業者が適宜設計することができる程度のものであって、本件発明は、甲27発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、進歩性が欠如している。 イ 甲27′発明15当業者は、甲27′発明に、甲29文献に記載された技術(以下「甲29技術」という。)を組み合わせることによって、本件発明を容易に発明することができる(以下、甲29技術の構成を「甲29″j」などという。)。 (ア) 甲29文献の記載20甲29文献には、次の甲29技術が記載されている。 甲29″j 通信対象との間で送受信するためのアンテナ401及び送受信回路402を有し、甲29″k 乱数Aを要求する乱数aを前記通信対象に発信する発信手段と、25甲29″l 前記通信対象から受信した乱数Aが要求した乱数Aであ22 るか否かを判断する判断手段とを有し、甲29″m 前記判断手段で受信した乱数Aが、前記要求した乱数Aであると判断されたときに、前記通信対象との間で乱数Bを返信するなどの処理を行う甲2 を判断する判断手段とを有し、甲29″m 前記判断手段で受信した乱数Aが、前記要求した乱数Aであると判断されたときに、前記通信対象との間で乱数Bを返信するなどの処理を行う甲29″n ことを特徴とするリーダ/ライタ4005甲29技術のリーダ/ライタ400は、所定のレスポンス信号や乱数を非接触で自動的に識別するシステムであるから、本件発明の「RFID」を構成するものであり、甲29″jの「アンテナ401及び送受信回路402」はそのインターフェースであるといえる。そうすると、甲29技術の「アンテナ401及び送受信回路402」、10「乱数Aを要求する乱数a」、「乱数A」及び「リーダ/ライタ400」は、それぞれ、本件発明の「RFIDインターフェース」、「個別情報の発信要求」、「個別情報」(判断情報)及び「受信装置」に相当することが明らかであり、本件発明と、少なくとも構成要件K、L及びMの構成の点で一致している。 15(イ) 容易想到性甲27文献に触れた当業者は、周知技術であるセキュリティの観点からの甲29技術に開示された相互認証処理の導入を当然に動機付けられるから、甲27′発明に、同発明と同一技術分野にある甲29技術を適用し、本件発明を容易に発明することができる。 20(6) 小括よって、本件発明の構成は甲27発明の構成と同一であって、本件発明は新規性を欠いている。仮に、本件発明と甲27発明との間に相違点が認められるとしても、その相違点は設計事項にすぎないから、当業者にとって、甲27発明に基づいて本件発明を発明することは容易であり、また、当業25者にとって甲27′発明に甲29技術を組み合わせることにより本件発明23 を発明することは容易であるから、本件発明は進歩性を欠いている。 本件発明を発明することは容易であり、また、当業25者にとって甲27′発明に甲29技術を組み合わせることにより本件発明23 を発明することは容易であるから、本件発明は進歩性を欠いている。 (被告らの主張)(1) 「請求項4記載の」との文言について原告は、本件発明はサブコンビネーション発明であるとして、構成要件Jの「請求項4記載の」との文言は、本件発明の受信装置の構造及び機能を何5ら特定していないと主張するが、「請求項4記載の」との文言は、本件発明の受信装置の構造及び機能を特定している。 したがって、請求項4による特定を度外視した原告の無効主張に理由はない。 (2) 「RFIDインターフェース」について10本件発明は、「RFIDインターフェースを利用した情報保護技術に関する」(【0001】)ものである。 本件明細書において、「RFID」とは、「Radio Frequency Identifycation」の略称であって、無線通信に含まれると定義されているから(【0025】)、「RFID」は、無線通信の範疇の中15の特定の一部であることが明示されているといえ、単なる「無線通信」とは異なるものである。 他方で、甲27文献の「無線通信部」は、構成要件Jの「RFIDインターフェース」に関する技術内容に関して何ら開示も示唆もしていない。 したがって、甲27発明及び甲27′発明は、「RFIDインターフェー20ス」の構成を有していない。 (3) 「個別情報」について本件明細書の「…個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明する。」(【0088】)、「個別情報340には、複数のカード情報…を記憶することも可能で…」(【0089】)及び「個別情報340をカード25情報と置き換えて ド情報を記憶している例について説明する。」(【0088】)、「個別情報340には、複数のカード情報…を記憶することも可能で…」(【0089】)及び「個別情報340をカード25情報と置き換えて説明する。」(【0090】)との記載に照らすと、構成要件24 K、L及びMの「個別情報」とは、具体的には「カード情報」であるといえる。これに対し、甲27発明の「駅識別番号及び端末識別番号」すなわち「入口機を通過するたびに書換えられる駅識別番号」及び「端末識別番号」は、カード情報ではないから、構成要件K、L及びMの「個別情報」に該当しない。 5(4) 「判断手段」について構成要件Lの「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」は、要求した特定のデータと他のデータを比較して一致しているかどうかを判断する手段である必要がある。 しかし、甲27発明において、「出口機3」の「識別番号検出部3b」は、10単に、「駅識別番号及び端末識別番号」を検出しているだけであり、受信した「駅識別番号及び端末識別番号」が要求した「駅識別番号及び端末識別番号」であるか否かを比較して一致しているかを判断してはいない。 したがって、甲27発明の「識別番号検出部3b」は、「判断手段」(構成要件L)に該当しない。 15(5) 甲27′発明と甲29技術との組合せについて甲29技術は、乱数発生に関する発明であり、甲27′発明と技術分野が異なる。 また、甲27′発明及び甲29技術には、本件発明の「個別情報」に相当するものも存在しない。 20したがって、甲27′発明に甲29技術を組み合わせても、本件発明と同一の構成にはならず、また、技術分野が異なるから組合せの動機付けもない。 (6) 小括以上によれば、本件発明には 0したがって、甲27′発明に甲29技術を組み合わせても、本件発明と同一の構成にはならず、また、技術分野が異なるから組合せの動機付けもない。 (6) 小括以上によれば、本件発明には新規性又は進歩性が欠如しているとの原告の25主張に理由はない。 25 9 争点1-2-5(甲32文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如)について(原告の主張)本件発明は、次のとおり、甲32文献に記載された発明と同一であるか、同発明に基づき、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたもので5あって、特許法29条1項3号又は2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項2号)、特許法104条の3第1項により本件特許権の行使は認められない。 (1) 甲32文献に記載された発明の認定について10ア 甲32文献には次の構成を有する発明(以下「甲32発明」という。)が記載されていると認められる(以下、甲32発明の構成を「甲32j」などという。)。 甲32j 携帯通信端末11との間で送受信するための無線送受信部132を有し、15甲32k 正当性のあるチケットデータの発信要求を前記携帯通信端末11に発信する発信手段と、甲32l 前記携帯通信端末11から受信したチケットデータが正当性のあるチケットデータであるか否かを判断する判断手段とを有し、20甲32m 前記判断手段で受信したチケットデータが、正当性のあるチケットデータであると判断されたときに、前記携帯通信端末11 有し、20甲32m 前記判断手段で受信したチケットデータが、正当性のあるチケットデータであると判断されたときに、前記携帯通信端末11との間で「確認済みチケットデータ」を送信するなどの処理を行う甲32n ことを特徴とする自動改札機1325イ 甲32文献には、次の構成を有する発明(以下「甲32′発明」とい26 う。)も記載されている(以下、甲32′発明の構成を「甲32′j」などという。)。 甲32′j 携帯通信端末11との間で送受信するための無線送受信部132を有する甲32′n ことを特徴とする自動改札機135(2) 本件発明との対比についてア 構成要件Jについて甲32j及び甲32′jの「携帯通信端末11」は、電話番号にダイヤルインすることで通話料金等が課金されるものであるから、構成要件Jの「携帯電話」に相当する。 10また、前記8(原告の主張)(3)ア記載のとおり、構成要件Jの「RFID」とは、少なくとも非接触自動識別システムを含むものといえる。そして、「自動改札機13」(甲32n及び甲32′n)は、チケットデータを非接触で自動的に識別するシステムであるから、「RFID」に相当するものであり、「無線送受信部132」(甲32j及び甲32′j)は、そ15のインターフェースであるから、構成要件Jの「RFIDインターフェース」に相当する。 イ 構成要件KないしMについて前記8(原告の主張)(3)イ記載のとおり、構成要件Kの「個別情報」の内容に特段の限定はないものと解される。したがって、甲32発明の20「チケットデータ」(甲32kないし甲32m)及び「正当性のあるチケットデータ」(甲32l)は、それ 構成要件Kの「個別情報」の内容に特段の限定はないものと解される。したがって、甲32発明の20「チケットデータ」(甲32kないし甲32m)及び「正当性のあるチケットデータ」(甲32l)は、それぞれ、本件発明の「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)及び「要求した個別情報」(構成要件L)に相当し、「前記携帯通信端末11から受信したチケットデータが正当性のあるチケットデータであるか否かを判断する判断手段」(甲32l)は、「判25断手段」(構成要件L)に相当する。 27 ウ 構成要件Nについて甲32発明及び甲32′発明の「自動改札機13」(甲32n及び甲32′n)は、構成要件Nの「受信装置」に相当する。 (3) 一致点及び相違点について本件発明と甲32発明及び甲32′発明を対比すると、甲32発明は、5本件発明の各構成を備えるから本件発明と同一であり、甲32′発明は、構成要件J及びNの構成を備える点において本件発明の構成と一致するが、構成要件KないしMの構成を備えない点において本件発明の構成と相違する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについ10てア 甲32発明仮に、甲32発明が、単にチケットデータを要求するものであって、正当性のあるチケットデータを要求するものではないために、甲32発明の「正当性のあるチケットデータ」が本件発明の「要求した個別情報」に相15当せず、甲32発明の「チケットデータ」が本件発明の「要求した個別情報」に相当する結果、本件発明が「要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し」、「…前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」ものであるのに対して、甲32発明は、「正当性のあるチケットデータで 情報であるか否かを判断する判断手段とを有し」、「…前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」ものであるのに対して、甲32発明は、「正当性のあるチケットデータであるか否かを判断する判断手段20とを有し」、「…正当性のあるチケットデータであると判断されたときに、前記携帯通信端末11との間で…処理を行う」点で、両者が形式的に相違するとしても、これは実質的な相違点ではないか、当業者が適宜設計する事項にすぎない。 すなわち、甲32発明では、「正当性のあるチケットデータであるか否25かを判断」するのであるから、かかる判断において携帯通信端末11から28 受信したものがチケットデータであるか否かの判断も行われているといえる。したがって、甲32発明において、自動改札機13が、単に「チケットデータ」を要求するにすぎないとしても、携帯通信端末11から受信したものが「チケットデータ」であるか否かを判断しているといえるし、そのように解すことができないとしても、「正当性のあるチケットデータで5あるか否かを判断」する前提として、そもそも、「チケットデータであるか否かを判断する」構成を採用することは、当業者が適宜設計する事項にすぎない。 イ 甲32′発明甲32′発明と本件発明は、構成要件KないしMの点で相違するが、当10業者は、甲32′発明に、甲29技術を組み合わせることによって、本件発明を容易に発明することができる。 すなわち、甲32文献に触れた当業者は、周知技術であるセキュリティの観点からの認証処理の導入を当然に動機付けられ、基本的構成が同一であり、同一技術分野にある甲29技術を適用し、本件発明を容易に発明す15ることができる。 (5) 小括よって、本件発明の構成は甲32発明の構 の導入を当然に動機付けられ、基本的構成が同一であり、同一技術分野にある甲29技術を適用し、本件発明を容易に発明す15ることができる。 (5) 小括よって、本件発明の構成は甲32発明の構成と同一であって、本件発明は新規性を欠いている。仮に、本件発明と甲32発明との間に相違点が認められるとしても、実質的な相違点とはならないか、設計事項にすぎないから、20当業者にとって、甲32発明から本件発明を発明することは容易であり、また、当業者にとって、甲32′発明に甲29技術を組み合わせることにより本件発明を発明することは容易であるから、本件発明は進歩性を欠いている。 (被告らの主張)(1) 「請求項4記載の」との文言について25前記8(被告らの主張)(1)のとおり、「請求項4記載の」との文言は、本29 件発明の受信装置の構造及び機能を特定している。 したがって、請求項4による特定を度外視した原告の無効主張に理由はない。 (2) 「RFIDインターフェース」について前記8(被告らの主張)(2)のとおり、「RFID」は、無線通信の中の特5定の一部であることが明示されているといえ、単なる「無線通信」とは異なるものである。 甲32発明及び甲32′発明の携帯通信端末11と自動改札機13は、携帯電話と基地局との間の当時における一般的な通信方式に使用する電波の強度を変えて(弱い電波)で行っているにすぎず、その通信は、携帯電話と基10地局との間の当時における一般的な通信方式であって、単なる「無線通信」といえるから、構成要件Jの「RFIDインターフェース」の構成を有していない。 (3) 「判断手段」について前記8(被告らの主張)(4)のとおり、構成要件Lの「受信した個別情報15が要求した個別情 から、構成要件Jの「RFIDインターフェース」の構成を有していない。 (3) 「判断手段」について前記8(被告らの主張)(4)のとおり、構成要件Lの「受信した個別情報15が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」は、要求した特定のデータと他のデータを比較して一致しているかどうかを判断する手段である必要があるから、特定の利用者の1つのチケットデータの発信を要求し、受信したチケットデータが要求した特定の1つのチケットデータであるか否かを判断するものである。 20しかし、甲32発明は、特定の利用者の特定の1つのチケットデータの発信を要求するものではなく、単にチケットであることを示すチケットデータの送信を要求するものである。 また、甲32文献には、受信したチケットデータが要求した特定の1つのチケットデータであるか否かを判断する判断手段については、何ら開示も示25唆もしていない。 30 よって、甲32発明は、構成要件Lの「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」の構成を備えていない。 (4) 甲32′発明と甲29技術との組合せについて前記8(被告らの主張)(5)のとおり、甲29技術は、乱数発生に関する発明であり、甲32′発明と技術分野が異なる。また、甲32′発明及び5甲29技術には、本件発明の「個別情報」に相当するものもない。 したがって、甲32′発明に甲29技術を組み合わせても、本件発明と同一の構成にはならず、また、技術分野が異なるから組合せの動機付けもない。 (5) 小括10以上によれば、本件発明には新規性又は進歩性が欠如しているとの原告の主張に理由はない。 10 争点1-2-6(甲29文献を主引用例とする進歩性欠如)について(原告の主張)本件発 0以上によれば、本件発明には新規性又は進歩性が欠如しているとの原告の主張に理由はない。 10 争点1-2-6(甲29文献を主引用例とする進歩性欠如)について(原告の主張)本件発明は、次のとおり、甲29文献に記載された発明に基づき、本件優先15日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項2号)、特許法104条の3第1項により本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 20(1) 甲29文献に記載された発明の認定についてア 甲29文献には次の構成を有する発明(以下「甲29発明」という。)が記載されていると認められる(以下、甲29発明の構成を「甲29j」などという。)。 甲29j 非接触ICカード100との間で送受信するためのアンテ25ナ401及び送受信回路402を有し、31 甲29k 所定のレスポンス信号を要求するポーリング信号を前記非接触ICカード100に発信する発信手段と、甲29l 前記非接触ICカード100から受信した所定のレスポンス信号が要求した所定のレスポンス信号であるか否かを判断する判断手段とを有し、5甲29m 前記判断手段で受信した所定のレスポンス信号が、前記要求した所定のレスポンス信号であると判断されたときに、前記非接触ICカード100との間で相互認証の処理を行う甲29n ことを特徴とするリーダ/ライタ40010イ 甲29文献には、次の構成を有する発明(以下「甲29′発明」という。)も 接触ICカード100との間で相互認証の処理を行う甲29n ことを特徴とするリーダ/ライタ40010イ 甲29文献には、次の構成を有する発明(以下「甲29′発明」という。)も記載されている(以下、甲29′発明の構成を「甲29′j」などという。)。 甲29′j 非接触ICカード100との間で送受信するためのアンテナ401及び送受信回路402を有し、15甲29′k 乱数Aを要求する乱数aを前記非接触ICカード100に発信する発信手段と、甲29′l 前記非接触ICカード100から受信した乱数Aが要求した乱数Aであるか否かを判断する判断手段とを有し、甲29′m 前記判断手段で受信した乱数Aが、前記要求した乱数Aで20あると判断されたときに、前記非接触ICカード100との間で乱数Bを返信するなどの処理を行う甲29′n ことを特徴とするリーダ/ライタ400(2) 本件発明との対比についてア 甲29発明25甲29発明のリーダ/ライタ400は、所定のレスポンス信号や乱数を32 非接触で自動的に識別するシステムであるから、本件発明の「RFID」を構成するものであり、甲29jの「アンテナ401及び送受信回路402」はそのインターフェースであるといえる。そうすると、甲29発明の「アンテナ401及び送受信回路402」(甲29j)、「所定のレスポンス信号を要求するポーリング信号」(甲259k)、「所定のレスポンス信号」(甲29kないし甲29m)及び「リーダ/ライタ400」(甲29n)は、それぞれ、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)、「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件K し甲29m)及び「リーダ/ライタ400」(甲29n)は、それぞれ、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)、「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)及び「受信装置」(構成要件N)に相当する。 10イ 甲29′発明甲29′発明の「アンテナ401及び送受信回路402」、「乱数Aを要求する乱数a」、「乱数A」及び「リーダ/ライタ400」は、それぞれ、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)、「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)15及び「受信装置」(構成要件N)に相当することが明らかである。 (3) 一致点及び相違点について本件発明と甲29発明及び甲29′発明とを対比すると、本件発明では、受信装置と送受信等を行うのが「携帯電話」であるのに対して、甲29発明及び甲29′発明では「非接触ICカード100」である点で両者は相違す20るが、前記(2)のとおり、その余の構成は一致する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについてア 周知技術次の文献並びに甲27文献及び甲32文献の記載内容に照らすと、本件25優先日当時において、受信装置に相当する機器が非接触ICカードと非接33 触の送受信を行う従来技術に代えて、受信装置に相当する機器が携帯電話と非接触の送受信を行うものとすることが広く行われており、受信装置を携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを備えるものとすることが周知技術になっていることが明らかである。 (ア) 特開平9-81811号公報(平成9年3月28日公開。以下「甲533文献」という。)甲33文献には、ICカードと入場の可否 のとすることが周知技術になっていることが明らかである。 (ア) 特開平9-81811号公報(平成9年3月28日公開。以下「甲533文献」という。)甲33文献には、ICカードと入場の可否を判断する機器が接触又は非接触(無線交信)により送受信を行う従来技術とともに、携帯電話に相当する携帯電話機と受信装置に相当する端末装置が無線で送受信を行う構成並びに受信装置に相当する端末装置が携帯電話との間で10送受信するためのRFIDインターフェースに相当する近距離送受信制御部及び近距離アンテナを備える構成が開示されている。 (イ) 特開2001-52213号公報(平成13年2月23日公開。以下「甲34文献」という。)甲34文献には、ICカードと自動改札機とが非接触(無線通信)15により送受信を行う従来技術とともに、携帯電話に相当する携帯電話器と受信装置に相当する非接触式自動改札機が非接触で送受信を行う構成が開示されており、受信装置に相当する非接触式自動改札機が携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースに相当するトランスミッタ及びアンテナを備えることが開示されている。 20(ウ) 実用新案登録第3064207号公報(平成12年1月7日公開。 以下「甲35文献」という。)甲35文献には、非接触型ICカードと改札システムとが非接触により送受信を行う従来技術が実質的に開示されるとともに、非接触型ICカードに代えて、非接触型ICチップを備えた携帯電話と受信装25置に相当する改札口等のゲート側とがアンテナを介して非接触で送受34 信を行う構成が開示されており、受信装置に相当する改札口等のゲート側が携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースに相当するアンテナ等を備えることが実質的に して非接触で送受34 信を行う構成が開示されており、受信装置に相当する改札口等のゲート側が携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースに相当するアンテナ等を備えることが実質的に開示されている。 イ 容易想到性甲29文献に触れた当業者は、前記アの周知技術に動機付けられ、甲259発明又は甲29′発明に当該周知技術を適用するか、甲27、甲32、甲33、甲34又は甲35の各文献に開示された構成を適用することで、本件発明を容易に想到することができる。 (5) 小括よって、当業者にとって、甲29発明又は甲29′発明に周知技術を組み10合わせることにより、本件発明を発明することは容易であるといえ、本件発明は進歩性を欠いている。 (被告らの主張)(1) 「請求項4記載の」との文言について前記8(被告らの主張)(1)のとおり、「請求項4記載の」との文言は、本15件発明の受信装置の構造及び機能を特定している。 したがって、請求項4による特定を度外視した原告の無効主張に理由はない。 (2) 「RFIDインターフェース」について原告は、甲29発明のリーダ/ライタ400は、所定のレスポンス信号や20乱数を非接触で自動的に識別するシステムであるなどと主張するが、甲29文献には、甲29発明のリーダ/ライタ400が所定のレスポンス信号や乱数を非接触で「自動的に識別」するとの記載がない。 したがって、原告の主張は前提を誤るものであり、甲29発明及び甲29′発明は、「RFIDインターフェース」の構成を有していない。 25(3) 「個別情報」について35 構成要件KないしMの「個別情報」とは、具体的には「カード情報」であるところ、甲29文献には、「レスポンス信号」は、乱数生成回路により ていない。 25(3) 「個別情報」について35 構成要件KないしMの「個別情報」とは、具体的には「カード情報」であるところ、甲29文献には、「レスポンス信号」は、乱数生成回路により生成される「認証用乱数b」であり、使用する毎に常に変動する乱数であると記載されており、構成要件KないしMの「個別情報」とは明らかに異なっている。 5したがって、甲29発明及び甲29′発明は、構成要件KないしMの「個別情報」の構成を有していない。 (4) 甲29発明又は甲29′発明と周知技術との組合せについて甲27、甲32ないし甲35各文献は、いずれも、「RFIDインターフェース」の構成を開示していない。 10したがって、受信装置が携帯電話との間で送受信するための「RFIDインターフェース」を備えることが、本件優先日前に、周知技術となっていたとはいえない。 (5) 小括以上によれば、本件発明には進歩性が欠如しているとの原告の主張に理由15はない。 11 争点1-2-7(甲30文献を主引用例とする進歩性欠如)について(原告の主張)本件発明は、次のとおり、甲30文献に記載された発明に基づき、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条220項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項2号)、特許法104条の3第1項により本件発明に係る本件特許権の行使は認められない。 (1) 甲30文献に記載された発明の認定について25ア 甲30文献には次の構成を有する発明(以下「甲30発明」という。)36 が記載されていると認められる(以下、甲30発明の構成を「甲30j 甲30文献に記載された発明の認定について25ア 甲30文献には次の構成を有する発明(以下「甲30発明」という。)36 が記載されていると認められる(以下、甲30発明の構成を「甲30j」などという。)。 甲30j B型カードとの間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、甲30k ATQBを要求するREQBコマンドを前記B型カードに5発信する発信手段と、甲30l 前記B型カードから受信したATQBを誤りなく受信したか否かを判断する判断手段とを有し、甲30m 前記判断手段で受信したATQBを誤りなく受信したと判断されたときに、前記B型カードとの間でATTRIBコ10マンドを送信して活性状態にするなどの処理を行う甲30n ことを特徴とするリーダイ 甲30文献には、次の構成を有する発明(以下「甲30′発明」という。)も記載されている(以下、甲30′発明の構成を「甲30′j」などという。)。 15甲30′j B型カードとの間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する甲30′n ことを特徴とするリーダ(2) 本件発明との対比についてア 甲30発明20甲30発明の「RFIDインターフェース」(甲30j)は、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)に相当する。 また、仮に、本件発明の「判断手段」が、「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する」手段であると広く解釈するのであれば、甲30発明の「ATQBを要求するREQBコマンド」(甲30k)、25「ATQB」(甲30kないし甲30m)、「受信したATQBを誤りなく37 受信したか否かを判断する判断手段」(甲30l)、「前記判断手 TQBを要求するREQBコマンド」(甲30k)、25「ATQB」(甲30kないし甲30m)、「受信したATQBを誤りなく37 受信したか否かを判断する判断手段」(甲30l)、「前記判断手段で受信したATQBを誤りなく受信したと判断されたときに」(甲30m)及び「リーダ」(甲30n)は、それぞれ、本件発明の「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)、「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」(構成5要件L)、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたとき」(構成要件M)及び「受信装置」(構成要件N)に相当する。 イ 甲30′発明甲30′発明の「RFIDインターフェース」(甲30′j)は、本件10発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)に相当する。 また、甲30′発明の「リーダ」(甲30′n)は、「受信装置」(構成要件N)に相当する。 (3) 一致点及び相違点について本件発明と甲30発明及び甲30′発明を対比すると、本件発明では受信15装置と送受信等を行うのが「携帯電話」であるのに対して、甲30発明では「B型カード」である点で、両者は相違するが、その余の構成は一致する。 また、本件発明では受信装置と送受信等を行うのが「携帯電話」であるのに対して、甲30′発明では「B型カード」である点及び構成要件LないしNの構成を備えない点において、両者は相違するが、その余の構成は一致す20る。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについて甲30文献に触れた当業者は、前記10(原告の主張)(4)アの周知技術に動機付けられ、甲30発明又は甲30′発明に当該周知技術を適用する2 に係る本件発明の構成を容易に想到できることについて甲30文献に触れた当業者は、前記10(原告の主張)(4)アの周知技術に動機付けられ、甲30発明又は甲30′発明に当該周知技術を適用する25か、甲27、甲32、甲33、甲34又は甲35の各文献に開示された構38 成を適用することで、本件発明を容易に想到することができる。 (5) 小括よって、当業者にとって、甲30発明又は甲30′発明に周知技術を組み合わせることにより、本件発明を発明することは容易であるといえ、本件発明は進歩性を欠いている。 5(被告らの主張)(1) 「判断手段」について被告は、甲30発明の、受信装置による受信したATQBを誤りなく受信したとの判断(甲30l)が、構成要件Lの「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」に相当すると主張する。 10しかし、甲30文献には、上記判断の判断基準についての開示も示唆もないから、「判断手段」(構成要件L)の構成を有しているとはいえない。 (2) 小括以上によれば、甲30発明に原告主張の周知技術を適用しても、本件発明と同一の構成に至ることはできないから、本件発明には進歩性が欠如してい15るとの原告の主張に理由はない。 12 争点1-2-8(甲36文献又は甲36製品を主引用例とする進歩性欠如)について(原告の主張)本件発明は、次のとおり、甲36文献に記載された発明及び同発明と構 成20を一にする甲36製品により公然実施された発明に基づき、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきもの に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件発明に係る本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ(同法123条1項2号)、特許法104条の3第1項により本件発明に係る本件特許権25の行使は認められない。 39 (1) 甲36文献に記載された発明の認定についてア 甲36文献には次の構成を有する発明(以下「甲36発明」という。)が記載されていると認められる(以下、甲36発明の構成を「甲36j」などという。)。 甲36j 非接触ICカードとの間で送受信するためのRFIDイン5ターフェースを有し、甲36k IDm(PMm)を要求するPollingコマンドを前記非接触ICカードに発信する発信手段と、甲36l 前記非接触ICカードから受信したIDm(PMm)が要求したIDm(PMm)であるか否かを判断する判断手段10とを有し、甲36m 前記判断手段で受信したIDm(PMm)が、前記要求したIDm(PMm)であると判断されたときに、前記非接触ICカードとの間でRequest Serviceコマンド、Authentication1コマンドなどの処15理を行う甲36n ことを特徴とするリーダ/ライタイ ソニーは、平成12年10月当時、甲36製品を発売していた。 そして、当業者であれば、甲36製品のカードとリーダ/ライタの送受信(PollingコマンドやIDm(PMm)の送受信や、その後の処20理の送受信)を傍受することで、リーダ/ライタが、非接触ICカードとの間で送受信するためのRFIDインターフェ ライタの送受信(PollingコマンドやIDm(PMm)の送受信や、その後の処20理の送受信)を傍受することで、リーダ/ライタが、非接触ICカードとの間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、所定のコマンドを送信して、非接触ICカードが所定のデータを返信し、その後の処理が継続される構成を有していることを確認することは容易である。また、当業者であれば、非接触ICカードが所定のデータを返信するタイミング25で、当該所定のデータとは異なるデータを返信させたときのリーダ/ライ40 タの反応から、同リーダ/ライタが、前記非接触ICカードから受信した所定のデータが要求した所定のデータであるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で受信した所定のデータが、前記要求した所定のデータであると判断されたときに、前記非接触ICカードとの間で処理を行う構成を備えていると容易に確認できる。 5以上によれば、次の構成を有する発明(以下「甲36′発明」という。)が、平成12年10月当時、甲36製品により公然と実施されていたと認定できる(以下、甲36′発明の構成を「甲36′j」などという。)。 甲36′j 非接触ICカードとの間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、10甲36′k 所定のデータを要求する所定のコマンドを前記非接触ICカードに発信する発信手段と、甲36′l 前記非接触ICカードから受信した所定のデータが要求した所定のデータであるか否かを判断する判断手段とを有し、甲36′m 前記判断手段で受信した所定のデータが、前記要求した所15定のデータであると判断されたときに、前記非接触ICカードとの間で処理を行う甲36′n ことを特徴とするリーダ/ライタ(2) 本件発明との対比について 所定のデータが、前記要求した所15定のデータであると判断されたときに、前記非接触ICカードとの間で処理を行う甲36′n ことを特徴とするリーダ/ライタ(2) 本件発明との対比についてア 甲36発明20甲36発明の「RFIDインターフェース」(甲36j)は、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)に相当する。 また、甲36発明の「IDm(PMm)を要求するPollingコマンド」(甲36k)、「IDm(PMm)」(甲36kないし甲36m)及び「リーダ/ライタ」(甲36n)は、それぞれ、本件発明の「個別情報の25発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)、41 「受信装置」(構成要件N)に相当する。 イ 甲36′発明甲36′発明の「RFIDインターフェース」(甲36′j)は、本件発明の「RFIDインターフェース」(構成要件J)に相当する。 また、甲36′発明の「所定のデータを要求する所定のコマンド」(甲536′k)、「所定のデータ」(甲36′kないし甲36′m)及び「リーダ/ライタ」(甲36′n)は、それぞれ、本件発明の「個別情報の発信要求」(構成要件K)、「個別情報」(判断情報)(構成要件KないしM)及び「受信装置」(構成要件N)に相当する。 (3) 一致点及び相違点について10本件発明と甲36発明及び甲36′発明を対比すると、本件発明では、受信装置と送受信等を行うのが「携帯電話」であるのに対して、甲36発明及び甲36′発明では「非接触ICカード」である点で、両者は相違するが、その余の構成は一致する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについ15て甲36文献又は甲36′発明に触れた当業者は、前記10 ある点で、両者は相違するが、その余の構成は一致する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについ15て甲36文献又は甲36′発明に触れた当業者は、前記10(原告の主張)(4)アの周知技術に動機付けられ、甲36発明又は甲36′発明に当該周知技術を適用するか、甲27、甲32、甲33、甲34又は甲35の各文献に開示された構成を適用することで、本件発明を容易に想到することがで20きる。 (5) 小括よって、当業者にとって、甲36発明及び甲36′発明に周知技術を組み合わせることにより、本件発明を発明することは容易であるといえ、本件発明は進歩性を欠いている。 25(被告らの主張)42 (1) 「請求項4記載の」との文言について前記8(被告らの主張)(1)のとおり、「請求項4記載の」との文言は、本件発明の受信装置の構造及び機能を特定している。 したがって、請求項4による特定を度外視した原告の無効主張に理由はない。 5(2) 甲36文献は本件優先日前に公知となったものではないこと原告は、甲36文献が、本件優先日前に秘密保持義務なく公開されたこと及び甲36′発明が本件優先日前に公然実施されたことの立証をしていない。 したがって、原告の、甲36発明又は甲36′発明に基づく進歩性欠如の主張には理由がない。 10(3) 「判断手段」について前記8(被告らの主張)(4)のとおり、構成要件Lの「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」は、要求した特定のデータと他のデータを比較して一致しているかどうかを判断する手段である必要がある。 15原告は、甲36発明及び甲36′発明の、前記非接触ICカードから受信したIDm(PMm)が要求したI 定のデータと他のデータを比較して一致しているかどうかを判断する手段である必要がある。 15原告は、甲36発明及び甲36′発明の、前記非接触ICカードから受信したIDm(PMm)が要求したIDm(PMm)であるか否かを判断する判断手段(甲36l)が、構成要件Lの「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」に相当すると主張する。 しかし、甲36文献には、「リーダ/ライタはカードを捕捉する為に、20Pollingコマンドを常に送信する…。」、「カードはPollingコマンドへの応答として、カードの製造ID(IDm)と製造パラメータ(PMm)をリーダ/ライタに返送します。」、「…リーダ/ライタはIDmを取得すると、…このIDmを使ってカードを特定します。…」と記載されており、Pollingコマンドは、ICカードを特定するためのコマンドにす25ぎず、特定のIDm(PMm)(所定のデータ)の発信を要求するコマンド43 ではない。 したがって、甲36発明及び甲36′発明のリーダ/ライタは、要求した特定のデータと他のデータを比較して一致しているかどうかを判断する手段ではないから、「判断手段」(構成要件L)の構成を有しているとはいえない。 (4) 小括5以上によれば、甲36発明及び甲36′発明に原告主張の周知技術を適用しても、本件発明と同一の構成に至ることはできないから、本件発明には進歩性が欠如しているとの原告の主張に理由はない。 13 争点1-3(被告らによる虚偽告知の内容)について(原告の主張)10前提事実(5)オのとおり、被告らは、原告が被告モビリティの特許権を侵害したことにより4億9388万円の損害を被ったとして損害賠償請求訴訟(別件訴訟)を提起した旨を本件通知書 原告の主張)10前提事実(5)オのとおり、被告らは、原告が被告モビリティの特許権を侵害したことにより4億9388万円の損害を被ったとして損害賠償請求訴訟(別件訴訟)を提起した旨を本件通知書に記載し、岡三証券に通知した(本件通知行為)。 しかし、前記1ないし12の(原告の主張)のとおり、原告は被告モビリ15ティの特許権を侵害していないから、被告らによる本件通知行為は、この点で、原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知となる。 また、別件訴訟は、取り下げられたことにより、初めから裁判所に係属していなかったとみなされ(民事訴訟法262条1項)、別件訴訟は提起されなかったことになるから、この点においても、被告らによる本件通知行為は、20原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知となる。 (被告らの主張)争う。 14 争点2(被告らと原告との間の競争関係の有無)について(原告の主張)25(1) 被告モビリティについて44 原告は、コンピュータシステムの企画、開発及び設計、決済システムに関するハードウェア及びソフトウェアの開発、製造、輸入及び販売並びに保守サービス、インターネット、その他通信ネットワークを利用した商取引に関する企画、調査研究及び開発等を目的として設立され、決済に利用される通信端末及びインターネットを利用した決済システムを開発して販売している。 5他方、被告モビリティは、情報処理に関する研究及び開発、ソフトウェア及びハードウェアの開発、制作及び販売並びに情報通信システムの企画、設計及び管理運営に関する業務等を目的として設立され、両者はそれらの業務目的を共通するものである。 以上によれば、原告が販売している決済に利用される通信端末やシステム10の開発業務は、被告モビリティの 管理運営に関する業務等を目的として設立され、両者はそれらの業務目的を共通するものである。 以上によれば、原告が販売している決済に利用される通信端末やシステム10の開発業務は、被告モビリティの目的業務に含まれていることは明らかであり、原告と被告モビリティは、具体的な製品を販売していなくとも潜在的な競争関係にあるといえる。 (2) 被告Aiについて法人の代表者は、法人の機関として活動し、その効果が法人に帰属するも15のであるから、代表者自身が営業者でなくとも法人が競争関係にあれば、代表者も競争関係にあると解すべきである。 前記(1)のとおり、被告モビリティは原告と競争関係にあるから、被告モビリティの代表者である被告Aiも原告と競争関係にあるといえる。 (被告らの主張)20被告モビリティは、平成12年2月22日に設立された会社であり、設立当初から現在まで、知的財産権を取得し、そのロイヤルティ収入を得ることを事業目的としている。 したがって、被告モビリティは、原告が業務として行っている「決済端末」の販売及びそれに関連する業務を、設立から現在まで20年間にわたり、一25切行っていない。 45 よって、原告は、被告らと「競争関係にある他人」に該当しない。 15 争点3(被告らの故意又は過失の有無)について(原告の主張)被告らは、上場準備のリスク管理に敏感になっている原告の弱みにつけこんで、原告から多額の和解金を取得する目的で、原告各製品が本件発明の技5術的範囲に属しないことを知りつつ、本件通知行為に及んだといえ、故意により、岡三証券に対し、原告が特許権を侵害したとの虚偽の事実を告知したといえる。 また、前提事実(5)エ及びキのとおり、被告モビリティが、約150万円相当の収入印紙を 知行為に及んだといえ、故意により、岡三証券に対し、原告が特許権を侵害したとの虚偽の事実を告知したといえる。 また、前提事実(5)エ及びキのとおり、被告モビリティが、約150万円相当の収入印紙を貼付せずに別件訴訟を提起し、間もなく同訴訟を取下げて10いることに照らすと、被告らは、真実訴訟を進行させる意図がないにもかかわらず、形式的に事件番号を取得し、訴訟提起の事実を作出するためだけに別件訴訟を提起したものと推認でき、故意により、岡三証券に対し、被告モビリティが原告による特許権侵害を理由とする別件訴訟を提起したとの虚偽の事実を告知したといえる。 15仮に、被告らに故意がなかったとしても、原告が被告モビリティの特許権を侵害していると第三者に通知することにより、原告の信用が毀損され、原告に多額の損害が発生することは容易に想定できるから、被告らは、特許権侵害の事実の有無について充分検討せずに安易に本件通知書を送ってはならないという注意義務を負っていたにもかかわらず、原告各製品の具体的な構20成について何ら検討することなく虚偽の事実を告知したのであるから、過失があるといえる。 (被告らの主張)争う。 16 争点4(被告Aiの悪意又は重過失による任務懈怠の有無)について25(原告の主張)46 被告Aiは、被告モビリティの代表取締役として、第三者に損害を与えないよう注意する善管注意義務を負っている(会社法429条1項)。 そして、原告が被告モビリティの特許権を侵害していると第三者に通知することにより、原告の信用が毀損され、原告に多額の損害が発生することは容易に想定できる。 5そうすると、被告Aiは、特許権侵害の事実の有無について充分検討せずに安易に本件通知書を送ってはならないという注意義務を負ってい 毀損され、原告に多額の損害が発生することは容易に想定できる。 5そうすると、被告Aiは、特許権侵害の事実の有無について充分検討せずに安易に本件通知書を送ってはならないという注意義務を負っていたにもかかわらず、原告各製品の具体的な構成について何ら検討することなく虚偽の事実を告知したものであるから、上記注意義務に悪意又は重過失で違反したといえる。 10(被告Aiの主張)争う。 17 争点5(原告の損害発生の有無及び損害額)について(原告の主張)(1) 追加に必要になった費用について15ア 新たな目論見書等の作成及び印刷費用原告は、前提事実(5)カのとおり、本件通知行為に起因して、令和3年7月7日に予定していた上場を取りやめとすることを決定したが、再度、同年9月24日にマザーズ市場へ上場することとなった。 そのため、原告は、上場のために必要な目論見書等の作成及び印刷費用20を二度支払うことになった。 したがって、令和3年9月24日の上場準備のために支払った次の費用は、原告の損害となる。 (ア) 有価証券届出書、新株式発行並びに株式売出(届出)目論見書等の作成及び印刷費用 278万4430円25(イ) 上記(ア)の書類の訂正届出書等の作成及び印刷費用47 72万4680円(ウ) カード・封筒等の印刷費用 2万4667円(エ) 小計 353万3777円イ 監査法人のコンフォートレター作成費用原告は、本件通知行為に起因して、上場のために必要な費用である監査5法人のコンフォートレター作成費用を二度支払うことになった。 原告は、令和3年9月24 監査法人のコンフォートレター作成費用原告は、本件通知行為に起因して、上場のために必要な費用である監査5法人のコンフォートレター作成費用を二度支払うことになった。 原告は、令和3年9月24日の上場準備のため、監査法人及び証券会社との間において、「監査法人から引受事務幹事会社への書簡」及び「財務諸表等以外の財務情報に関する調査結果報告書」の作成業務契約を締結し、220万円の報酬を支払った。 10したがって、上記220万円の報酬相当額は原告の損害となる。 (2) 募集株式発行による資金調達の遅れによる損害について原告は、令和3年9月28日、マザーズ市場に上場をし、募集株式発行に伴い3億4776万円を調達した。本来は、同年7月7日に、同額の資金調達ができていたはずであるにもかかわらず、本件通知行為により、資15金調達が83日遅れたのであるから、その間の利息相当額として、237万2390円(3億4776万円×0.03×83日/365日=237万2390円)の損害が生じた。 (3) 無形損害について原告は、本件通知行為により上場を延期されたほか、原告の顧客、取引先、20市場関係者らに対する原告の信用を毀損された。その信用毀損に基づく損害額は極めて大きく、3000万円を下らない。 (4) 弁護士費用に係る損害について原告は、被告らに対する訴訟提起を弁護士に依頼した。その弁護士費用に係る損害額は、前記(1)ないし(3)の損害の合計額3810万6167円の25約1割である380万円が相当である。 48 (5) 小括以上によれば、原告の損害額は、合計4190万6167円となる。 (被告らの主張)争う。 18 争点6(本訴提起による不法行為の成否)について5(被告らの主張) 小括以上によれば、原告の損害額は、合計4190万6167円となる。 (被告らの主張)争う。 18 争点6(本訴提起による不法行為の成否)について5(被告らの主張)本件通知行為は、被告らによる正当な義務の履行としてされたものである。 すなわち、株式会社東京証券取引所の定める有価証券上場規程は、上場申請会社等を対象とする上場適格性の審査基準を定めているところ、その審査項目の一つとして、「その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と10認める事項」(平成19年当時の有価証券上場規程第214条1項5号)が規定されており、さらに、「上場審査等に関するガイドラインⅢ.6.(2)」においては、上記の「事項」を検討する観点として、「新規上場申請者の企業グループが、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争を抱えていないこと」が挙げられている。 15上記の規程及びガイドラインの定めに照らすと、原告が株式上場をするに当たり、原告のステークホルダーである被告らが本件通知行為をすることは、正当な義務の履行であるといえる。 それにもかかわらず、原告が、本件通知行為について不正競争防止法上の不正競争行為に該当すると主張し、本訴を提起したことは、被告らに対する20不法行為を構成する。 (原告の主張)法的紛争の当事者が紛争の解決を求めて訴えを提起することは、原則として正当な行為であり、訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠25を欠くものである上、提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容49 易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当 5を欠くものである上、提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容49 易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られる。 しかし、被告らは、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに該当する根拠となる具体的な事実の主張をし5ていない。 したがって、本訴提起について不法行為は成立せず、被告らの請求は理由がない。 19 争点7(被告らの損害発生の有無及び損害額)について(被告らの主張)10被告らは、原告による故意又は過失による本訴の提起により、次の損害を被った。 (1) 被告モビリティア 社会的信用損失 1000万円イ 投資家から得られたはずの投資金 1500万円15ウ 営業妨害 500万円(2) 被告Aiア 名誉毀損 1000万円イ 裁判費用 300万円ウ 個人的な調査費用 700万円20(原告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断1 本件明細書の記載事項等(1) 本件明細書(甲2)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する25図14については別紙図面目録1を参照)。 50 ア 【技術分野】【0001】本発明はRFIDインターフェースを利用した情報保護技術に関するものである。 【背景技術】5【0002】近年、市場には膨大な数の磁気カードが流通している。一例として、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード、社員証や学生証、通行証、各種証明書発行用カード、図書館の貸出カード、入退室管理カードなどがあげられる。これらのカードは特定の目的ごと10に提供されているため、場合に カード、プリペイドカード、社員証や学生証、通行証、各種証明書発行用カード、図書館の貸出カード、入退室管理カードなどがあげられる。これらのカードは特定の目的ごと10に提供されているため、場合によっては外出時に何枚ものカードを携行しなければならない。しかしながら、カードの枚数によっては非常にかさばる上に、必要なときに必要なカードをすぐに取り出しにくいなどの問題がある。 【0007】15そこで、携帯電話、PHS、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコンなどの携帯端末に多目的ICカードを統合したり、複数のICカードの機能を搭載したり、あるいは搭載可能な仕組み(ICカードとしての機能を実行するためのソフトを所定のサーバ等にダウンロード可能な形態で提供し、そのソフトをダウンロードする、あるいはこのよう20なソフトが搭載された、カード用専用チップを装着する等)を用意するなどし、この端末に対してセキュリティ対策を施す方法が検討されている。ICカードには大きく分けて接触型と非接触型の2種類があり、カードに記録されたデータを利用するには接触型の場合は専用の端末(以下、「リーダライタ」と呼ぶ)にカードを挿入しなければなら25ないが、非接触型ではその必要がなく、リーダライタにかざすだけで51 よい。したがって、携帯端末をパスワードで保護し、端末にあらかじめ記録されたパスワードと所有者が入力するパスワードとが一致した場合にのみICカードの機能を利用できるようにする方式が考えられる。しかしながら、このような方式ではカード機能を利用するたびに端末にパスワードを入力しなければならない煩わしさがあり、リーダ5ライタにかざすだけでよいという非接触型ICカードの利点が半減してしまう。また、パスワード自体は所有者個人を特定する手段にはな 端末にパスワードを入力しなければならない煩わしさがあり、リーダ5ライタにかざすだけでよいという非接触型ICカードの利点が半減してしまう。また、パスワード自体は所有者個人を特定する手段にはならず、何らかの理由でパスワードが漏洩した場合に、悪意の拾得者が不正入手したパスワードを利用して端末にアクセスする可能性もある。 【発明が解決しようとする課題】10【0009】本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、個人情報や金銭的価値のある情報を統合して管理する場合に当該情報の第三者による不正使用を確実に防止するための情報保護システムを提供することにある。 15イ 【課題を解決するための手段】【0015】…本発明の第2の形態によれば、前記携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求し20た個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置が得られる。 ウ 【発明の効果】【0017】25以上詳細に説明したように、本発明では、携帯端末に定期券・クレジ52 ットカード・運転免許書などの個人情報を携帯端末に登録することができる。 【0018】また、携帯端末に一意に割り振られる識別情報をもとに携帯端末の利用状況の履歴を取ることが確実に行われ悪用を防ぐことができる。 5【0019】さらに、携帯端末が悪意を持つ第3者に渡っても、対応するレッドバッジ(ICチップ)などがない限り悪用できない。 【0020】また、これにより、利用 を防ぐことができる。 5【0019】さらに、携帯端末が悪意を持つ第3者に渡っても、対応するレッドバッジ(ICチップ)などがない限り悪用できない。 【0020】また、これにより、利用した覚えのない料金を支払う必要がない。 10【0021】或いは、携帯端末に記憶されている個人データの流出を防ぐことが可能になる。 エ 【発明を実施するための最良の形態】【0085】15第2の実施の形態では、携帯端末10に(ICカードで行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させる個別情報システムについて説明する。ここでは、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合を例に説明する。…【0086】20他の実施の形態における個別情報システム11は、図12に示すように、携帯端末10とRFIDインターフェースの送受信部20’(受信部)を組み込んだ受信装置60とで概略構成される。 【0087】25受信装置60は、送受信部20’と制御部40’が設けられ、携帯端53 末10から個別情報を読み取る機能を備えている。この受信装置60に携帯端末10を近づけて個別情報を読み取るようにするため、送受信部20’には、近接型を使用することが好ましい。 【0088】携帯端末10は、図13に示すように、メモリ30上のデータ格納部534に個別情報340を記憶する。ここでは、個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明する。 【0089】個別情報340には、複数のカード情報(例えば、図13のA、B、C)を記憶することも可能でその中から利用するカードを選択する機10能を備える。さらに、カードに応じたアプリケーションプログラム33を複数用意し、各カードに応 ード情報(例えば、図13のA、B、C)を記憶することも可能でその中から利用するカードを選択する機10能を備える。さらに、カードに応じたアプリケーションプログラム33を複数用意し、各カードに応じた機能を持たせることが可能である。 【0090】以下、個別情報340をカード情報と置き換えて説明する。 【0091】15次に、本実施の形態の動作を図14のフローチャートに従って説明する。 【0092】携帯端末10で、利用するカードを選択して(S120)、携帯端末10を受信装置60に近づける。受信装置60では、例えば、受信装置2060に設けられている読み取りスイッチの押下によって、カード情報340の読み取り指示を受け取ると、読み取りコマンドを送受信部20に送る(S220)。そこで、送受信部20から指定されているカードのカード情報340(個別情報)の発信要求(パワーパルスなど)を携帯端末10に発信する(S221)。 25【0093】54 携帯端末10では、カード情報340の発信要求を受け取ると選択されているカード情報340を発信する(S122)。受信装置60では、受信したカード情報340が、要求したカード情報であれば処理を続行するが(S224)、要求したカード情報でない場合はエラー終了する(S225)。 5【0094】本実施の形態では、携帯端末10にカード機能を持たせる場合について説明したが、定期券や乗車券の機能を持たせることも可能である。 この場合には、受信装置60の送受信部20には、多少離れた位置から読み取り可能なように近接型を利用することが好ましい。 10【0095】また、携帯端末10に鍵の機能を持たせることも可能である。この場合には、受信装置60の送受信部20には、やや離れた位置から み取り可能なように近接型を利用することが好ましい。 10【0095】また、携帯端末10に鍵の機能を持たせることも可能である。この場合には、受信装置60の送受信部20には、やや離れた位置から読み取り可能なように近傍型または近接型を利用することが好ましい。 【0096】15また、電子マネー・クレジットカード・会員権・診察券・健康保健所・身分証明書・アミューズメント施設のチケット類の機能を持たせることも可能である。 【0097】さらに、個別情報340は、携帯端末10の固体それぞれを識別する20識別情報を利用することもできる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次のような開示があることが認められる。 ア 近年、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード等の膨大な数の磁気カードが市場に流通しているところ、これらのカードは特定25の目的ごとに提供されているため、場合によっては外出時に何枚ものカー55 ドを携行しなければならず、カードの枚数によっては非常にかさばる上に、必要なときに必要なカードをすぐに取り出しにくいなどの問題がある(【0002】)。そこで、携帯電話などの携帯端末に多目的ICカードを統合するなどし、この端末に対してセキュリティ対策を施す方法が検討されており、ICカードのうちの非接触型では、リーダライタにかざすだけ5でよいことから、携帯端末をパスワードで保護し、端末にあらかじめ記録されたパスワードと所有者が入力するパスワードとが一致した場合にのみICカードの機能を利用できるようにする方式が考えられるが、このような方式では、カード機能を利用するたびに端末にパスワードを入力しなければならない煩わしさがあり、リーダライタにかざすだけでよいという非10 の機能を利用できるようにする方式が考えられるが、このような方式では、カード機能を利用するたびに端末にパスワードを入力しなければならない煩わしさがあり、リーダライタにかざすだけでよいという非10接触型ICカードの利点が半減してしまい、また、パスワード自体は所有者個人を特定する手段にはならず、何らかの理由でパスワードが漏洩した場合に、悪意の拾得者が不正入手したパスワードを利用して端末にアクセスする可能性もあるといった課題があった(【0007】)。 イ 「本発明」は、前記アの課題に鑑み、個人情報や金銭的価値のある情報15を統合して管理する場合に当該情報の第三者による不正使用を確実に防止するための情報保護システムを提供することを目的として、携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有し、個別情報の発信要求を同携帯電話に発信する発信手段と、同携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、同判断20手段で受信した判断情報が要求した個別情報であると判断されたときに、同携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置を提供するものである(【0009】、【0015】)。「本発明」では、携帯端末に定期券・クレジットカード・運転免許書などの個人情報を携帯端末に登録することができる、また、携帯端末に一意に割り振られる識別情報をもとに携帯端25末の利用状況の履歴を取ることが確実に行われ悪用を防ぐことができる、56 さらに、携帯端末が悪意を持つ第3者に渡っても、対応するレッドバッジ(ICチップ)などがない限り悪用できない、これにより、利用した覚えのない料金を支払う必要がない、あるいは、携帯端末に記憶されている個人データの流出を防ぐことが可能になるといった効果を奏する(【0017 チップ)などがない限り悪用できない、これにより、利用した覚えのない料金を支払う必要がない、あるいは、携帯端末に記憶されている個人データの流出を防ぐことが可能になるといった効果を奏する(【0017】ないし【0021】)。 52 争点1-2-5(甲32文献を主引用例とする新規性又は進歩性欠如)について本件の事案に鑑み、争点1-2-5から判断する。 (1) 甲32文献の記載事項についてア 甲32文献には、次のような記載がある(下記記載中に引用する図1、10図2、図3及び図8については別紙図面目録2を参照)。 (ア) 【発明の属する技術分野】【0001】本発明は、鉄道分野等に広く普及している自動改札に関し、特に自動改札通過時のチケットの処理を非接触で行う自動改札システムに関する。 15(イ) 【発明の実施の形態】…【0016】図1は本発明に係る自動改札システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。 【0017】この実施形態の自動改札システム1は、携帯通信端末11と、自動改札機13と、基地局15と、電話回線網17と、チケッ20トセンター19とから構成されている。 【0019】…携帯通信端末11は、ダウンロードされたチケットデータを、自動改札機13から送信要求された場合には、その要求に従ってこのデータを出力するようになっている。 【0020】この携帯通信端末11は、図2に示すように、…自動改25札を通過する際のチケットデータを記憶するチケットデータ記憶部157 13、チケットデータをダウンロードする際の発行依頼の電話番号(後述する)を基地局15に無線で送信し、この発行依頼により発行されたチケットセンター19からのチケットデータを基地局15から無線で受信する対基地局無線送受信部14、自動改 る際の発行依頼の電話番号(後述する)を基地局15に無線で送信し、この発行依頼により発行されたチケットセンター19からのチケットデータを基地局15から無線で受信する対基地局無線送受信部14、自動改札機13と無線で送受信を行う対自動改札無線送受信部115、…で構成されている。 5【0022】自動改札機13は、携帯通信端末11から受信したチケットデータに基づき、改札扉の開閉を行うものであって、図3に示すように、各構成部分を制御する制御部131、携帯通信端末11に記憶されているチケットデータの送信要求を送信するとともに、チケットデータを受信する無線送受信部132、チケットデータの検査を行10わずに改札口を通過しようとする利用者を検知する人間検知センサ133、制御部131の指示に基づき、改札扉を開閉して利用者の改札口からの通過を制御する通過制御部134および使用済みチケットの通し番号を記憶するチケットデータベース135から構成されている。 【0023】この通し番号は、チケットデータごとに異なる番号が割15振りされており、このデータベース135に登録されているものと同じ通し番号を有するチケットデータは不正チケットと見なされる。 【0036】この実施形態の受動改札システムに使用されるチケットデータには、…暗号化されたチケット種別および通し番号を有している。…20【0056】…入場時の通信手順について自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信している(図8中の①、②、③、④参照)。 【0057】利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末1125を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末13は、自動改札機158 3からのチケットデ (図8中の①、②、③、④参照)。 【0057】利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末1125を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末13は、自動改札機158 3からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信する(図8中の⑤参照)。 【0059】自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデ5ータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定する。 【0060】自動改札機13は、チケットデータの正当性が確認できた場合には、通し番号がそのままで、チケット種別…を確認済みの種別に更新した新しいチケットデータを作成し、これを暗号化し10て「確認済みチケットデータ」として携帯通信端末11に送信するとともに(図8中の⑥参照)、このチケットデータの通し番号を使用済みチケットデータベース135に登録する。 【0061】携帯通信端末11は、「確認済みチケットデータ」を受信すると、旧チケットデータを破棄し、この「確認済みチケットデ15ータ」をチケットデータ記憶部113に記憶するとともに、チケットデータを更新完了した旨を自動改札機13に送信する(図8中の⑦参照)。 【0062】自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを更新完了した旨を受信すると、再び携帯通信端末11に対し20てチケットデータ送信要求を送信する(図8中の⑧参照)。 【0063】携帯通信端末11は、すると、既に更新されたチケットデータを自動改札機13に出力する(図8中の⑨参照)。 【0064】自動改札機13は、携帯通信端末11から更新されたチケットデータ 【0063】携帯通信端末11は、すると、既に更新されたチケットデータを自動改札機13に出力する(図8中の⑨参照)。 【0064】自動改札機13は、携帯通信端末11から更新されたチケットデータを受信すると、上述したようにして再びこのチケッ25トデータの正当性をチェックし、チェックした結果、チケットデー59 タが正しければ、利用者の通行を許可する。 イ 前記アの記載事項によれば、前記第3の9(原告の主張)(1)アのとおり、甲32文献には甲32jないし甲32nの構成を有する甲32発明が記載されていると認められる。 ウ 甲32発明の各構成が本件発明の構成要件JないしNの構成にそれぞれ5相当するかを検討する前提として、構成要件Jの「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するための」との記載の性質について検討する。 被告らは、構成要件Jの「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するための」との記載は、本件発明の受信装置の構造及び機能を特定しているから、請求項1ないし4の解釈を踏まえて請求項5に係る本件発明10の構成を認定すべきであると主張するものと解される。 そこで検討すると、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の各記載によれば、本件発明は、受信装置が、携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを介して同携帯電話に対して個別情報の発信要求をし、これに対し、同携帯電話が、要求された個別情報を送信15し、受信装置が、同携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断し、受信した判断情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うという、二つ以上の装置を組み合わせてなる全体装置の発明に対し、それに組み合わされる受信装置の発明すなわちサブコンビネーション 求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うという、二つ以上の装置を組み合わせてなる全体装置の発明に対し、それに組み合わされる受信装置の発明すなわちサブコンビネーション発明であって、本20件発明に係る特許請求の範囲の請求項5には、受信装置とは別の他の装置すなわち他のサブコンビネーションである携帯電話に関する事項が記載されているものと理解できる。 そして、サブコンビネーション発明においては、特許請求の範囲の請求項中に記載された他の装置に関する事項が、形状、構造、構成要素、組成、25作用、機能、性質、特性、行為又は動作、用途等の観点から当該請求項に60 係る発明の特定にどのような意味を有するかを把握し、発明の技術的範囲を画する必要があるところ、他の装置に関する事項が、当該他の装置のみを特定する事項であって、当該請求項に係る発明の構造、機能等を何ら特定していない場合には、他の装置に関する事項は当該請求項に係る発明を特定するために意味を有しないことになるから,これを除外して当該請求5項に係る発明の要旨を認定することが相当であるといえる。 本件特許の特許請求の範囲において、構成要件Jの「RFIDインターフェースを有し、」との記載は、受信装置が「RFIDインターフェースを有し」ていることを、構成要件Kの記載は、受信装置が「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段」を有していることを、構成要10件Lの記載は、受信装置が「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」を有していることを、構成要件Mの記載は、受信装置が「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」ことを、それぞれ特定し 断手段」を有していることを、構成要件Mの記載は、受信装置が「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」ことを、それぞれ特定していると認められるのに対し、構成要件15Jの「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するための」との記載は、上記の構造、機能等を有する受信装置と送受信をする携帯電話の構造、機能等を請求項4記載の構成に限定するものにすぎず、受信装置の構造、機能等自体を何ら特定していないから、「請求項4記載の携帯電話」との記載は、受信装置に係る発明を特定するために意味を有するものであると認20めることはできない。 以上によれば、上記の「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するための」を除外して請求項5に係る本件発明の要旨を認定することが相当であるというべきであって、被告らの上記主張を採用することはできない。 エ 甲32発明と本件発明の構成の対比25(ア) 構成要件Jについて61 a 本件明細書には、「RFID」の意義について、無線通信に用いられる「非接触自動識別システム(RFID:Radio Frequency Identifycation)」(【0025】)と記載されていること、一般的な意義として、「RFID」とは、「ICタグに同じ。RF信号を用いてID情報をやりとりすることからの名称。」5とされ、「RF」とは、「無線周波数。無線通信や放送に使われる高い周波数のこと。」と解されていること(広辞苑第7版)に加え、技術常識に照らせば、「ID」とは、対象の識別に係る情報であると認められること(弁論の全趣旨)に照らすと、本件発明の「RFIDインターフェース」とは、無線を介して対象の識別に係る情報を送信又は10受信するためのイン ID」とは、対象の識別に係る情報であると認められること(弁論の全趣旨)に照らすと、本件発明の「RFIDインターフェース」とは、無線を介して対象の識別に係る情報を送信又は10受信するためのインターフェースであると解するのが相当である。 そして、甲32文献の「この通し番号は、チケットデータごとに異なる番号が割振りされており、このデータベース135に登録されているものと同じ通し番号を有するチケットデータは不正チケットと見なされる。」(【0023】)、「この実施形態の受動改札システ15ムに使用されるチケットデータには、…暗号化されたチケット種別および通し番号を有している。…」(【0036】)、「…携帯通信端末13は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信する。」(なお、「携帯通信端末13」は「携帯通信端末11」の誤記であると認められる。以下20同じ。)(【0057】)及び「自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定する。」(【0059】)と25の記載によると、甲32発明において、甲32k、甲32l及び甲62 32mの「チケットデータ」に割り振られた「通し番号」及び「チケット種別」は、チケットを識別するための情報として用いられるものであると理解できる。 そうすると、甲32発明の「自動改札機13」が備える「無線送受信部132」は、無線を介してチケットを識別するための情報を5取得するインターフェースであるといえるから、構成要件Jの「RFIDインターフェース」 32発明の「自動改札機13」が備える「無線送受信部132」は、無線を介してチケットを識別するための情報を5取得するインターフェースであるといえるから、構成要件Jの「RFIDインターフェース」に相当する。 b 被告らは、「RFIDインターフェース」は、単なる「無線通信」とは異なるものであり、甲32発明の携帯通信端末11と自動改札機13は、携帯電話と基地局との間の当時における一般的な通信方式を10使用するものにすぎないから、「RFIDインターフェース」に相当しないと主張する。 しかし、前記aのとおり、本件発明の「RFIDインターフェース」は、無線を介して対象の識別に係る情報を取得するためのものであって、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書にも、「RFIDイン15ターフェース」に関し、無線の通信方式を特定の方式に限定したものであることをうかがわせる記載はない。 また、「RFIDインターフェース」の文言が、無線の通信方式を特定の方式に限定したものでないことは、本件明細書の「RFIDにはさまざまな変調方式や周波数、通信プロトコルを利用したものがあ20るが、本発明は特定の方式に限定されるものではなく、どのような方式を利用してもよい。」(【0027】)との記載からも明らかである。 したがって、被告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 構成要件Kについて構成要件Kの「個別情報」の意義は、本件特許の特許請求の範囲の記25載からは明らかではないところ、本件明細書の「…携帯端末10に(I63 Cカードで行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させる個別情報システムについて説明する。ここでは、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合を例に説明する。」 行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させる個別情報システムについて説明する。ここでは、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合を例に説明する。」(【0085】)、「個別情報340には、複数のカード情報…を記憶することも可能で…」(【0089】)、「本実施の形態では、携帯5端末10にカード機能を持たせる場合について説明したが、定期券や乗車券の機能を持たせることも可能である。」(【0094】)及び「また、電子マネー・クレジットカード・会員権・診察券・健康保健所・身分証明書・アミューズメント施設のチケット類の機能を持たせることも可能である。」(【0096】)との記載に照らせば、「個別情報」とは、定期10券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能に関する個別の情報であると理解することができる。 一方、甲32文献の「…携帯通信端末13は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信する。」(【0057】)及び「自動改札機13は、携帯通信端末1115からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定すると共に、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定する。」(【0059】)との記載に照らすと、甲32発明において、甲32kの「チケットデータ」は、個別の乗車券20として機能するための情報であるといえ、「個別情報」(構成要件K)に相当する。 (ウ) 構成要件Lについてa 前記(イ)で説示したとおり、本件発明の「チケットデータ」は、個別の乗車券として機能するための情報であるから、「個別情報」に相25当する。 当する。 (ウ) 構成要件Lについてa 前記(イ)で説示したとおり、本件発明の「チケットデータ」は、個別の乗車券として機能するための情報であるから、「個別情報」に相25当する。 64 また、甲32文献の「自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定する。」(【0059】)との記載に照らす5と、甲32発明において、自動改札機13は、携帯通信端末11から送信されたチケットデータが正当性のあるものであるか、すなわち、改札機を通過できる種類のチケットであるか否か及び使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定するものであると理解できるから、「…10受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」(構成要件L)に相当する。 b 被告らは、構成要件Lの「…受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」は、特定の利用者の1つのチケットデータの発信を要求し、受信したチケットデータが要求した特定の151つのチケットデータであるか否かを判断するものであるところ、甲32発明の「自動改札機13」は、特定の利用者の特定の1つのチケットデータの発信を要求するものではなく、また、受信したチケットデータが要求した特定の1つのチケットデータであるか否かを判断する判断手段ではないから、「…受信した個別情報が要求した個別情報20であるか否かを判断する判断手段」に相当するものではないと主張する。 しかし、本件特 トデータであるか否かを判断する判断手段ではないから、「…受信した個別情報が要求した個別情報20であるか否かを判断する判断手段」に相当するものではないと主張する。 しかし、本件特許の特許請求の範囲において、「要求した個別情報」が「特定の利用者の1つのチケットデータ」であるとの限定はされておらず、また、本件明細書においても、「受信装置」が受信した「個25別情報」が、特定の利用者の特定の1つのチケットデータに限られる65 ことをうかがわせる記載はない。 したがって、被告らの上記主張は採用することができない。 (エ) 構成要件Mについて前記(イ)及び(ウ)の説示を前提とすると、甲32発明の「自動改札機13」は、「前記判断手段で受信した判断情報」(構成要件M)である「チ5ケットデータ」が、「前記要求した個別情報」(構成要件M)である「正当性のあるチケットデータ」であると判断されたときに、「前記携帯通信端末11との間で「確認済みチケットデータ」を送信するなどの処理を行う」ものであるから、その構成は、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電10話との間で処理を行う」(構成要件M)構成に相当する。 (オ) 構成要件Nについて前記(ウ)で説示したとおり、甲32発明の「自動改札機13」は、「チケットデータ」を受信する受信装置であるといえるから、「受信装置」(構成要件N)に相当する。 15(2) 小括以上によれば、本件発明は、甲32発明と同一の構成を有しているから、新規性を欠いており、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、被告モビリティは原告に対してその権利を行使することが 上によれば、本件発明は、甲32発明と同一の構成を有しているから、新規性を欠いており、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、被告モビリティは原告に対してその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条1項3号)。 203 争点1-3(被告らによる虚偽告知の内容)について前提事実(5)オのとおり、本件通知行為は、原告が被告モビリティの特許権を侵害しているとの原告の営業上の信用を害する事実を告知するものであるところ、前記2のとおり、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであり、原告が被告モビリティの特許権を侵害しているとの事実を通知した本25件通知行為は、不正競争防止法2条1項21号の「虚偽の事実を告知」するも66 のといえる。 他方で、前提事実(5)オのとおり、本件通知行為により、被告モビリティは、岡三証券に対し、被告モビリティが別件訴訟を提起した旨も通知したものであるが、実際に、本件通知行為の前日である令和3年6月23日、東京地方裁判所に対し、別件訴訟を提起している以上(前提事実(5)エ)、別件訴訟について5の通知内容は、同条の「虚偽の事実を告知」したものとはいえない。 なお、被告らは、原告の前訴訟代理人であった弁護士Ci作成に係る令和3年7月26日付け意見書について、文書提出命令を申し立てているところ(東京地方裁判所令和4年(モ)第264号)、本訴のいずれの争点との関係でも取調べの必要性が認められるとはいえないから、上記申立てを却下する。 104 争点2(被告らと原告との間の競争関係の有無)について事業者間の公正な競争を確保するという不正競争防止法の目的(不正競争防止法1条)に照らすと、同法2条1項21号の「競争関係」は、現実の市場にお 争点2(被告らと原告との間の競争関係の有無)について事業者間の公正な競争を確保するという不正競争防止法の目的(不正競争防止法1条)に照らすと、同法2条1項21号の「競争関係」は、現実の市場における競合が存在しなくとも、市場における競合が生じるおそれがあれば認められると解するのが相当である。 15そして、前提事実(2)及び(3)並びに弁論の全趣旨によれば、原告は、決済に利用される通信端末及びインターネットを利用した決済システムを開発して販売していること、被告モビリティは、決済システムに利用され得る本件発明に係る特許権を有し、同特許権について実施権を許諾してライセンス収入を得ることを業としていることが認められ、被告モビリティ自身が決済端末の開発、20販売をしておらず、現実の市場における競合が存在しないとしても、市場における競合が生じるおそれはあるといえる。 また、被告Aiは、被告モビリティの代表取締役であり、その職務の執行として本件通知行為を行う立場にある以上、原告との間に競争関係が認められるというべきである。 25したがって、被告らと原告との間には競争関係があると認められる。 67 5 争点3(被告らの故意又は過失の有無)及び争点4(被告Aiの悪意又は重過失による任務懈怠の有無)について原告は、被告らには本件通知行為に故意があり、仮にこれがなかったとしても、被告らは、特許権侵害の事実の有無について充分検討せずに安易に本件通知書を送ってはならないという注意義務を負っていたにもかかわらず、これに5違反した過失があると主張し、また、被告Aiには、悪意又は重過失による任務懈怠があると主張するから、以下場合を分けて検討する。 (1) 不正競争行為に係る故意について前記2のとおり、本件特許は特許無効審判により と主張し、また、被告Aiには、悪意又は重過失による任務懈怠があると主張するから、以下場合を分けて検討する。 (1) 不正競争行為に係る故意について前記2のとおり、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであるから、本件通知行為は虚偽の事実の告知(不正競争防止法2条1項2110号)に該当することになる。 しかし、被告らにおいて、本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものであることを知って本件通知行為に及んだと認めるに足りる証拠はなく、被告らに不正競争行為につき故意があるとの原告の主張は理由がない。 (2) 不正競争行為に係る過失について15本件全証拠によっても、被告らにおいて本件通知行為時までに本件特許が無効となることを具体的に認識し得たことを基礎付ける事情は認められない。 他方で、前提事実(5)のとおり、被告モビリティは、原告がマザーズ市場に上場する約2週間前に、岡三証券に対して本件通知行為をしたものであるところ、同時点においては、原告から本件特許が無効である旨の主張は一切さ20れておらず、原告が初めて具体的な引用例を示した上で本件特許の新規性又は進歩性欠如の主張をするに至ったのは、本件訴訟係属中に前訴訟代理人弁護士らを解任して現在の訴訟代理人弁護士に本件を委任した後であった。以上の事情に加え、一般に、特許権は特許庁においていったん特許要件ありとして特許査定を受けた権利であることを考慮すると、本件通知行為時点にお25いて、被告らに本件特許の無効理由を調査する義務まで負わせることが相当68 であるとはいい難い。 したがって、被告らに不正競争行為につき過失があるとの原告の主張は理由がない。 (3) その他の故意、過失等について原告は、被告モビリティに対して、予備的に不法行為責任に るとはいい難い。 したがって、被告らに不正競争行為につき過失があるとの原告の主張は理由がない。 (3) その他の故意、過失等について原告は、被告モビリティに対して、予備的に不法行為責任に基づく請求を5し、被告Aiに対しては、予備的に任務懈怠責任に基づく請求を、更に予備的に不法行為責任に基づく請求をしているところ、前記(1)及び(2)で説示したのと同様の理由により、それらの各請求に係る故意又は悪意及び過失又は重過失について、いずれも認めることはできない。 6 争点6(本訴提起による不法行為の成否)について10法的紛争の当事者が紛争の解決を求めて訴えを提起することは、原則として正当な行為であり、訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、提訴者が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が15裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁昭和60年(オ)第122号同63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁、最高裁平成7年(オ)第160号同11年4月22日第一小法廷判決・裁判集民事193号85頁、最高裁平成21年(受)第1539号同22年7月9日第二小法廷判決・裁判集民20事234号207頁参照)。 本件において、前記1ないし5で説示したとおり、本件通知行為のうち、原告が被告モビリティの特許権を侵害しているとの事実の告知は、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」の告知(不正競争防止法2条1項21号)に該当し、少なくとも不正競争行為に該当するのであって、原告の ティの特許権を侵害しているとの事実の告知は、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」の告知(不正競争防止法2条1項21号)に該当し、少なくとも不正競争行為に該当するのであって、原告の25請求は、事実的、法律的根拠を欠くものであるとはいえない。 69 したがって、原告の本訴提起による不法行為が成立することはない。 第5 結論以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告らに対する本訴に係る請求及び被告らの原告に対する反訴に係る請求はいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 5東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 10國 分 隆 文 裁判官 15間 明 宏 充 裁判官 20バヒスバラン薫 70 (別紙)原告製品目録1 原告がCASTLES TECHNOLOGY社から購入したVEGA3000に、原告がカスタマイズしたアプリ(クレジットアプリ、決済アプリ)等を搭載した製品及びクレジット決済時に使用される、CARD CREW PLUS52 上記1の製品をカスタマイズした製品以上 71 (別紙)図面目録1図14 72 (別紙)図面目録21 図1 2 図2 3 図3 71 (別紙)図面目録1図14 72 (別紙)図面目録21 図1 2 図2 3 図3 73 4 図8

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