令和2(ワ)33533 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月24日 東京地方裁判所
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判決文本文46,560 文字)

令和5年3月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第33533号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年11月9日判決主文 1 被告は、原告に対し、550万円及びこれに対する平成31年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し、その3を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 4 この判決は、第1項及び第3項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主位的請求被告は、原告に対し、2200万円及びこれに対する平成31年3月7日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 予備的請求被告は、原告に対し、2200万円及びこれに対する平成31年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、原告が、①主位的に、被告は、原告を取材した際にその容ぼう及び音声を収録した映像を使用して詐欺未遂事件の犯人が原告であると断定する内容の複数の番組を平成31年3月7日から同月8日にかけて放送し、同放送により原告の名誉を毀損するとともに、上記取材の状況を放送する際には原告の 容ぼうを放映せず、原告の音声を加工する旨の合意をした上で上記取材をした にもかかわらず、同合意に違反して上記番組を放送したことにより原告の肖像権を侵害したとして、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金2200万円及びこれに対する同月7日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、②予備的に、上記合意違反につ 賠償金2200万円及びこれに対する同月7日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、②予備的に、上記合意違反について、被告に対し、上記合意に係る 債務の不履行に基づき、損害賠償金2200万円及びこれに対する原告が上記番組の放送中止を被告に求めた日の翌日である同月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者ア原告は、平成24年9月11日、東京都杉並区内を本店所在地とし、不動産の売買、賃貸、仲介、管理及びコンサルティング等を目的とする株式会社を設立して同社の代表取締役に就任し、以後、同社を経営して地域住民を主要顧客とする不動産業に携わってきた。 原告は、令和3年8月30日、同社代表取締役を辞任した。同日、同社は、商号を変更するとともに本店を東京都中野区内に移転し、原告の妻が代表取締役に就任した(以下、商号の変更の前後を問わず、「本件会社」という。)。 また、原告は、平成23年から、東京都新宿区所在のアパート(以下 「本件アパート」という。)の一室に私書箱を私設し(以下「本件私書箱」という。)、副業として、本件私書箱を郵便物の受取場所に供するいわゆる私設私書箱業を営んできた。 (甲10の1~甲12、証人A〔以下「A」という。〕、原告本人)イ被告は、関東広域圏を放送対象地域としてテレビジョン放送をする特定 地上基幹放送事業者である。 ⑵ 詐欺未遂事件の発生平成31年1月頃、氏名不詳者が、横浜市内の女性に宛てて「改元による銀行法改正に伴い、個人情報が書 してテレビジョン放送をする特定 地上基幹放送事業者である。 ⑵ 詐欺未遂事件の発生平成31年1月頃、氏名不詳者が、横浜市内の女性に宛てて「改元による銀行法改正に伴い、個人情報が書かれた書類の変更や新規作成が必要」などと虚偽の事実を記載した手紙を、本件私書箱を宛先とする返信用封筒と共に送付し、同人をして暗証番号を記入した書類とキャッシュカードを返送させ、 もってこれらを詐取しようとしたが、同人が既に死亡していたために詐取の目的を遂げなかったという詐欺未遂事件(以下「本件詐欺未遂事件」という。)が発生した。なお、同人は、当時存命であれば70歳代であった。 (乙1の1~3、乙3の1~6)⑶ 被告従業員による原告への取材 平成31年2月19日、当時、被告の情報政策局情報一部に所属し、放送番組「B」のディレクターであったC(甲2の2、乙13。以下「C」という。)は、本件私書箱を管理運営していた原告に対し、本件詐欺未遂事件に関する取材を申し込み、原告の承諾を得た。この際、Cは、「お約束」と題する書面(甲2の1。以下「本件念書」という。)を作成して原告に手渡し た(本件念書の作成経緯及び効力については争いがある。)。その後、Cは、本件アパート付近において、ビデオカメラで原告の容ぼう等を撮影しながら取材を行った(甲12、原告本人。以下、この取材について「本件取材」といい、本件取材時に撮影された映像を「本件取材映像」という。)。 本件念書には、以下の内容が全て手書きで記載されている。 「 D様お約束インタビュー取材に関して2つ約束をさせていただきます。 ① 声を加工すること② 顔を出さないこと 以上2点を約束してTBS内放送使用することを約束します。 2019年2月19日午 ビュー取材に関して2つ約束をさせていただきます。 ① 声を加工すること② 顔を出さないこと 以上2点を約束してTBS内放送使用することを約束します。 2019年2月19日午後4時TBSBCC(判決注:丸で囲ってある。)」⑷ 原告の逮捕勾留 原告は、平成31年3月7日、本件詐欺未遂事件等の被疑者として逮捕され、これに引き続いて勾留されたものの、処分保留で釈放された。その後、横浜地方検察庁川崎支部検察官は、令和元年5月29日、原告に対する本件詐欺未遂事件等につき、公訴を提起しない処分とした。(甲1)⑸ 被告による放送 被告は、本件詐欺未遂事件及び原告の逮捕に関し、平成31年3月7日から同月8日にかけて別紙記載のとおり番組を放送した。以下、各放送につき、別紙記載のとおり、本件放送1、本件放送2などと称し、本件放送1から9までを併せて本件各放送と称する。また、本件において、主に画面下部に表示される文字情報を単に「テロップ」と、一定の場面が続く間、主に画面右 上に表示され続ける文字情報を「サイドテロップ」と、それぞれ称する。 本件放送2から9のいずれにおいても、原告の実名が明示されていた。 本件放送1では、本件取材映像が放送され、原告の音声については加工されていなかったものの、原告の頭部部分にモザイク状の加工が施されており、他人と判別可能な程度に原告の容ぼうが映っている場面はない。本件放送2 から9までについては、本件取材映像が放送され、原告の容ぼう及び音声のいずれも加工されていない(検証の結果)。 3 争点⑴ 本件各放送による名誉毀損の成否(争点1)⑵ 名誉毀損について被告に故意又は過失があるか否か(争点2) ⑶ 本件念書の効力(争点3) ⑷ 本件各 (検証の結果)。 3 争点⑴ 本件各放送による名誉毀損の成否(争点1)⑵ 名誉毀損について被告に故意又は過失があるか否か(争点2) ⑶ 本件念書の効力(争点3) ⑷ 本件各放送による肖像権侵害に係る不法行為の成否(争点4)⑸ 損害の発生及びその金額(争点5) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件各放送による名誉毀損の成否)について(原告の主張) 本件各放送は、テロップやコメントによって原告が本件詐欺未遂事件の犯人であると断定するとともに、本件取材に対して本件詐欺未遂事件につき無実である旨答える原告の発言を否定し、嘲笑するかのようなテロップ等を伴い、一般の視聴者に対して原告が詐欺師であるかのような印象を与えるものであって、原告の社会的評価を低下させ、原告の名誉を毀損した。 個別の主張は別表原告の主張欄記載のとおり。 (被告の主張)被告が本件各放送において摘示した事実は、「改元を口実にキャッシュカードをだまし取ろうした詐欺未遂の容疑で神奈川県警は原告を逮捕したが、原告は逮捕前の取材において自分は事件とは無関係であると述べていた」こ とであり、これによって原告の社会的評価が低下したとはいえない。 個別の反論は別表被告の主張欄記載のとおり。 ⑵ 争点2(名誉毀損について被告に故意又は過失があるか否か)について(被告の主張)ア本件各放送が公共の利害に関し、専ら公益を図る目的でされたものであ ること本件詐欺未遂事件は、令和への改元を控えた時期に諸手続が必要となるのではないかと不安に思う心情に付け入る手口であり、同時期に、同様の手口による犯行が神奈川県において10件ほど発生していた。このため、いわゆる改元詐欺と呼ばれる上記手口による犯行については、社会的関心 いかと不安に思う心情に付け入る手口であり、同時期に、同様の手口による犯行が神奈川県において10件ほど発生していた。このため、いわゆる改元詐欺と呼ばれる上記手口による犯行については、社会的関心 が高く、かつ、被害を未然に防ぐための情報提供等も強く求められていた。 このような社会状況に加えて、本件詐欺未遂事件は、前提事実⑵のとおり手紙の名宛人が既に死亡していたために既遂に至らなかったにすぎず、軽微な事件ではないことも踏まえると、本件各放送は、公共の利害に関する事実について専ら公益を図る目的の下でされたものというべきである。 イ被告において本件各放送の摘示事実を真実と信じるにつき相当の理由が あったこと仮に、本件各放送につき、一般通常人の立場からみて、原告を本件詐欺未遂事件の犯人とみなして原告の社会的評価を低下させる事実を摘示するものと認められたとしても、以下のとおり、被告には、上記事実を真実と信じるにつき相当の理由があった。 すなわち、Cは、本件取材時に原告が家宅捜索を受けた旨述べていたことから、上司にその旨報告した。そこで、被告の報道局は、神奈川県警察本部に問い合わせ、その結果、原告の住居及び関係先について捜索したことを認める旨の回答を得るとともに、神奈川県警察において原告につき本件詐欺未遂事件に関与している疑いがあるとみていることが分かった。そ の後、平成31年3月4日頃、神奈川県警察が原告を本件詐欺未遂事件の被疑者として逮捕する予定であることが判明したため、被告の記者が同警察幹部に確認したところ、本件詐欺未遂事件が広報案件となっており、被疑事実は、「改元に伴う銀行法改正があると装い、キャッシュカードをだまし取ろうとして、平成31年1月中旬頃、都内の郵便局から封筒を送っ た上、返送させて 詐欺未遂事件が広報案件となっており、被疑事実は、「改元に伴う銀行法改正があると装い、キャッシュカードをだまし取ろうとして、平成31年1月中旬頃、都内の郵便局から封筒を送っ た上、返送させて被害者からキャッシュカードをだまし取ろうとしたが、その目的を遂げなかったもの」であるとの回答を得た。上記警察幹部は、相応の地位にあり、上記被疑事実は、広報文に掲載される予定のものであった。被告は、同年3月6日、神奈川県警察から、本件詐欺未遂事件を広報案件としないものの、警察庁もいわゆる改元詐欺に歯止めをかける方針 であり「逮捕一発で決めたい」との連絡を受け、独自取材として本件詐欺 未遂事件の取材を継続した。 以上の経緯に加えて原告の逮捕が一定の司法審査を経たものであることにも鑑みると、被告において、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であると信じるに足りる相当の理由があったといえる。 (原告の主張) ア本件各放送が公共の利害に関せず、公益目的でされたものでもないこと本件詐欺未遂事件は、前提事実⑵のとおり手紙の名宛人が既に死亡しており、被害が発生する可能性すらない未遂事件であって、原告の容ぼうや音声を放送することによってしか達成できないほどの公共性が認められる事件ではない。また、逮捕された被疑者についても無罪の推定が及ぶとこ ろ、被告は、本件取材において原告が本件私書箱を悪用された旨を述べて本件詐欺未遂事件への関与を否認していることを認識していたのであるから、原告の容ぼうや音声を放送することについて慎重に検討すべきであった。さらに、後記⑶(原告の主張)のとおり、原告は、当初取材を拒否しており、それでもCから強く取材を求められたので、本件念書を作成させ た上で本件取材に応じたにすぎない。 これらの事情に照らせば、原 に、後記⑶(原告の主張)のとおり、原告は、当初取材を拒否しており、それでもCから強く取材を求められたので、本件念書を作成させ た上で本件取材に応じたにすぎない。 これらの事情に照らせば、原告のプライバシー保護の要請が公共性に勝っていたといえる。 そして、前記⑴(原告の主張)のとおり、本件各放送は、原告を本件詐欺未遂事件の犯人であると断定するとともに原告の発言を嘲笑するかのよ うなテロップ等も伴っていること、及び、被告以外に本件詐欺未遂事件を当初から大々的に報じた局がないことからすれば、被告は、専ら視聴率を稼ぐためだけに本件各放送をしたものといえる。 以上によれば、本件各放送は、公共の利害に関しない上、公益目的でされたものでもない。 イ被告において本件各放送の摘示事実を真実と信じるにつき相当な理由が なかったこと検察官に送致された事件が起訴される割合及び裁判官が逮捕状請求を却下する割合のいずれも低いこと(前者につき、令和3年版犯罪白書によれば9.9%、後者につき、同年の司法統計によれば0.05%)に鑑みると、裁判官が発付した逮捕状により逮捕された事実のみをもって原告が本 件詐欺未遂の犯人であると信じるにつき相当な理由があったということはできない。 そして、被告は、①本件取材において原告が本件私書箱を悪用されたと述べて本件詐欺未遂事件への関与を否認していることを認識するとともに、②本件取材が本件私書箱の倉庫として利用されている場所において行われ、 その場には梱包された玩具の箱が存在していたことから、原告による本件私書箱の運営が実体を伴う事業であることも認識し得た。そうであれば、被告は、本件私書箱を悪用されたなどという原告の上記弁明が真実であり得ることを認識し得たといえる。 これに加え、被 原告による本件私書箱の運営が実体を伴う事業であることも認識し得た。そうであれば、被告は、本件私書箱を悪用されたなどという原告の上記弁明が真実であり得ることを認識し得たといえる。 これに加え、被告の主張によれば、神奈川県警察は、平成31年3月4 日の時点では本件詐欺未遂事件を広報案件としていながら、同月6日にはこれを広報案件としないことにしたというのであるから、被告は、神奈川県警察において原告が犯人であると言いきれないとの判断をしたことも、認識していたものということができる。 以上によれば、被告において、本件各放送時に原告が本件詐欺未遂事件 の犯人であると信じるにつき相当な理由があったとはいえない。 ⑶ 争点3(本件念書の効力)について(被告の主張)ア報道の原則日本の報道機関は、被告に限らず、被疑者が逮捕された際は原則として 当該被疑者の実名を報道し、当該被疑者の肖像を保持している場合には事 案に鑑み肖像も報道することがある。 したがって、報道機関において、逮捕後であっても被疑者の実名及び肖像を報じない旨を約することは、あり得ない。 イ本件念書の作成経緯Cが、原告に対し、平成31年2月19日、本件会社のオフィスにおい て取材を申し込んだところ、原告はこれを承諾したものの、同オフィス内にいたEが、Cに対し、原告の音声を加工すること及び原告の容ぼうを出さないことを約する念書の作成、提出を求めた。Cは、Eに対し、番組制作上、Eが求めるような念書を作成することはしていないと説明したものの、Eが納得しないことから、万が一原告が逮捕等された場合は無効であ る旨口頭で伝え、本件念書を作成して原告に提出した。 その後、Cは、原告と共に本件アパートに移動して本件取材を開始した。 本件取材中、原告が いことから、万が一原告が逮捕等された場合は無効であ る旨口頭で伝え、本件念書を作成して原告に提出した。 その後、Cは、原告と共に本件アパートに移動して本件取材を開始した。 本件取材中、原告が、本件詐欺未遂事件に関して警察が資料を持って行った旨を述べたことから、Cは、原告が本件詐欺未遂事件と無関係ではない可能性があると考え、本件取材終了後、原告に対し、改めて万が一原告が 逮捕されることがあれば本件念書は無効である旨伝えた。原告は、「Eはああいう奴なんで、後でシュレッダーしておきます。」と答え、本件念書の趣旨を理解していた。 ウ本件念書の効力前記イのとおり、原告とCとの間において、原告が逮捕された場合は本 件念書が無効であるとの共通の認識が形成されていたところ、原告は、前提事実⑷のとおり逮捕されたのであるから、本件念書は無効となった。 仮に、前記イの原告が逮捕された場合の本件念書の効力に関するCと原告とのやり取りの存在が認められないとしても、前記アにいう日本の報道機関における取扱いを認識している通常人からすれば、本件念書上、その 効力を制限する記載がなくとも、本件念書の効力が及ぶのは逮捕前までで あることを当然に認識したはずである。したがって、本件念書をもって、原告が逮捕された場合も放送時において原告の音声を加工し、原告の容ぼうを出さないとの合意をしたとみることはできない。 さらに、本件念書が原告の逮捕後も効力を失わない趣旨であると解されるとしても、事件報道の重要性の観点からして被告がCに上記合意をする 権限を与えるはずがないから、被告は、本件念書に拘束されない。 (原告の主張)原告は、当初被告の取材を拒否したが、Cから強く取材を求められ、やむを得ず本件念書の提出を条件として取材に応じたもの 権限を与えるはずがないから、被告は、本件念書に拘束されない。 (原告の主張)原告は、当初被告の取材を拒否したが、Cから強く取材を求められ、やむを得ず本件念書の提出を条件として取材に応じたものである。 原告は、Cとの間で原告が逮捕された場合に本件念書が無効となるとの合 意などしておらず、仮にそのような条件があったとすれば取材に応ずるはずがない。上記合意をしていないことは、本件念書にその旨の記載がないことからも裏付けられる。 ⑷ 争点4(本件各放送による肖像権侵害に係る不法行為の成否)について(原告の主張) ア人格的利益の侵害人は、みだりにその容ぼう等を公表されない人格的利益を有し、音声についても、当該人物を特定し得るという点において容ぼう等と同様であるから、みだりに公表されない人格的利益を有する。 ところが、被告は、本件念書に違反して原告の容ぼう及び音声につき何 らの加工もしないまま本件各放送をし、原告の上記各人格的利益を侵害した。 イ不法行為の成否本件取材は、本件アパートの一室で行われたものであるが、同所は、原告のプライバシーが放棄された場所とはいえない。また、本件取材は、被 告が本件念書のとおり約するとの虚偽を述べて実施されたものであり、悪 質である。 そして、本件詐欺未遂事件は、原告が逮捕された当日に報道したのが被告のみであったことからも裏付けられるとおり、世間の耳目を集める事件ではなかった。また、原告は、世間の批評を甘受すべき公人等の立場にある者ではない。そのため、同種被害の防止という目的があったとしても、 本件各放送において原告の容ぼうや音声を公表する必要性はなかった。 以上のことからすれば、本件各放送は、みだりに容ぼう及び音声を公表されないという原告の人格的利 止という目的があったとしても、 本件各放送において原告の容ぼうや音声を公表する必要性はなかった。 以上のことからすれば、本件各放送は、みだりに容ぼう及び音声を公表されないという原告の人格的利益を侵害する違法なものであり、不法行為が成立する。 (被告の主張) 仮に、原告が逮捕された場合、本件念書が無効となることについて原告の承諾がなかったとしても、前記⑶(被告の主張)イのとおり、本件取材時の撮影は、原告の承諾を得て行われた正当なものであった。 また、本件詐欺未遂事件は、改元に関連する諸手続について社会的関心が高かった時期において発生したいわゆる改元詐欺であり、同種の犯行が続発 する可能性もあったことから、被害防止のために速やかな事件の周知及び注意喚起が必要であった。現に、平成31年3月から同年4月にかけて、同種犯行が続発したため、警察のみならず、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)、金融庁、一般社団法人全国銀行協会(以下「全国銀行協会」という。)等が注意喚起をする事態になっていた。 さらに、犯罪による収益の移転防止に関する法律につき、郵便物受取サービス業者に課する義務を加重して業務遂行の適正の確保を図る動きがあった中で、本件詐欺未遂事件において、郵便物受取サービスが利用されたのであるから、一層の注意喚起が必要な状況であった。これらのことに加え、本件詐欺未遂事件は、郵便物受取サービス業を営む者が被疑者となっている点に特 殊性があり、報道価値が高い。 以上のことからすれば、本件詐欺未遂事件の被疑者として原告が逮捕されたという事実は社会的に重要な意義があり、報道に当たって原告を特定することは必要不可欠であったから、原告の容ぼう及び音声を加工せず放送したことについて正当 件詐欺未遂事件の被疑者として原告が逮捕されたという事実は社会的に重要な意義があり、報道に当たって原告を特定することは必要不可欠であったから、原告の容ぼう及び音声を加工せず放送したことについて正当な事由があったといえる。 以上によれば、本件各放送において原告の容ぼう及び音声をそのまま放送 したことによる原告の人格的利益の侵害は、社会生活上受忍の限度を超えるものとはいえないから、不法行為は成立しない。 ⑸ 争点5(損害の発生及びその金額)について(原告の主張)ア経済的損害 本件会社は、いわゆる街の不動産屋として地域に密着し信用を積み重ね、地域住民から物件の管理等を受託して、管理料、仲介手数料、広告宣伝費、火災保険代理店手数料、家賃保証会社代理店手数料等の収入を得ていた。 しかし、被告による本件各放送によって、原告の社会的信用とともに本件会社の信用も低下し、本件会社において管理していた物件が200から 300件程度減少した。また、本件会社は、不動産取引ネットワークへの加入審査に落選する状況が継続しており、いまだに信用が回復していない。 加えて、原告は、札幌市所在の株式会社との間で原告が所有する本件会社の株式178株を譲渡する話を進めており、平成31年4月1日付けで890万円で売却するとの合意が成立する見込みであったが、本件各放送 によって、上記株式譲渡の話は白紙撤回された。 以上のことからすれば、原告が被った経済的損害は少なくとも1000万円を下らない。 イ精神的損害本件各放送によって、日本中に原告の容ぼうとともに原告が本件詐欺未 遂事件の犯人であるとの報道がなされた。その結果、原告は、知人からよ そよそしい態度を示される、原告の子は、幼稚園に登園しづらく休みがちになる、原告の妻は ぼうとともに原告が本件詐欺未 遂事件の犯人であるとの報道がなされた。その結果、原告は、知人からよ そよそしい態度を示される、原告の子は、幼稚園に登園しづらく休みがちになる、原告の妻は、精神的に不安定になり外出が困難となるなど、原告及びその家族の私生活に多大な支障が生じた。 さらに、本件各放送を切り取った画像が今もなおインターネット上で流通していることから、原告はいまだに風評被害に遭い、原告の親族も私生 活上において大きな不利益を被っている。 以上のことからすれば、原告が被った精神的損害は少なくとも1000万円を下らない。 ウ弁護士費用原告は、前記ア及びイの各損害を回復するため弁護士に本件訴訟の追行 を委任せざるを得ず、上記各損害の約1割に相当する200万円が、被告による原告の名誉権侵害及び肖像権侵害に係る不法行為や本件念書違反の債務不履行と相当因果関係を有する弁護士費用相当額の損害である。 エ小括以上のとおり、原告が被った損害額は総額2200万円を下らない。本 件詐欺未遂事件の報道に当たり、原告の容ぼうを報道したのは被告のみであり、したがって、上記損害は、専ら被告による本件各放送によってもたらされたものである。 (被告の主張)原告が主張する経済的損害及び精神的損害はいずれも不知、弁護士費用に 係る損害は否認する。 なお、株式会社テレビ朝日(以下「テレビ朝日」という。)も、平成31年3月8日、「F」と題する番組及び「G」と題する番組において原告へのインタビュー映像を放送していた。特に、「F」においては、上記映像が同年2月12日に放送したものであるとのナレーションが付されていたことか ら、同社も同日の放送では原告の容ぼう及び音声に何ら加工がされていない 映像を使用した F」においては、上記映像が同年2月12日に放送したものであるとのナレーションが付されていたことか ら、同社も同日の放送では原告の容ぼう及び音声に何ら加工がされていない 映像を使用した可能性がある。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件各放送による名誉毀損の成否)について⑴ 判断基準テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させる か否かは、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。 そして、テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても、同様に、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当である。同判断に当たっ ては、当該報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言の内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して判断すべきである(最高裁平成14年(受)第846号同15年10月16日第一小法 廷判決・民集57巻9号1075頁参照)。 ⑵ 本件放送1について(乙3の1、乙5の1の1・2、検証の結果)本件放送1において原告の氏名及び原告の容ぼうが表示された場面はない(前提事実⑸)。 したがって、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、 そもそも逮捕された男が原告であると認識することさえ困難であるから、本件放送1は、本件詐欺未遂事件の犯人が原告であるとの事実を摘示したものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 ⑶ 本件放送2について(乙3の2、乙5の2の1・2、検証の結果)本件放送2 は、本件詐欺未遂事件の犯人が原告であるとの事実を摘示したものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 ⑶ 本件放送2について(乙3の2、乙5の2の1・2、検証の結果)本件放送2は、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、 原告が逮捕前に関与を否定していたものの本件詐欺未遂事件の被疑者として 逮捕されたことを超えて、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるとの事実を摘示するものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 ⑷ 本件放送3について(乙3の3、乙5の3の1・2、検証の結果)本件放送3においては、冒頭のスタジオ部分(乙5の3の1)に続き、VTR(乙3の3、乙5の3の2)が放映される。同VTRにおいては、原告 が逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」とのナレーションと共に放映され、その間、別表番号1のサイドテロップ及び同2のテロップが表示される。一般の視聴者は、同サイドテロップ及びテロップにつき、その文言自体から、本件詐欺未遂事件の手口を端的に示すとともに原告が逮捕されたことを示すものと受けとめるにとど まり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。さらに、上記VTRにおいては、本件取材映像の一部が放映され、別表番号3のテロップが表示される。同テロップは、一部の文字を黄色にして目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーシ ョンが先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未 レーシ ョンが先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれ ば、本件放送3は、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるとの事実を摘示するものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 ⑸ 本件放送4について(乙3の4・5、乙5の4の1・2、乙5の5の1・2、検証の結果)本件放送4は、平成31年3月7日午後3時49分から同日午後7時まで 放送された番組のうち、午後4時台(乙3の4、乙5の4の1・2)及び午 後5時台(乙3の5、乙5の5の1・2)において本件取材映像も含め本件詐欺未遂事件についての放送がなされたものである。 ア午後4時台の放送午後4時台の放送においては、冒頭のスタジオ部分(乙5の4の1)に続き、VTR(乙3の4、乙5の4の2)が表示される。同VTRにおい ては、原告が逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」、「今朝、詐欺未遂の疑いで逮捕された(中略)D容疑者」、「D容疑者は、(中略)キャッシュカードを送らせ、だまし取ろうとした疑いがもたれています。」などの原告が詐欺未遂の容疑者である旨のナレーションが流れる。その後、前月に被告が本件私書箱を 管理する原告を直撃取材していたことを説明する旨のナレーションがあり、本件取材映像の一部が放映されるとともに、「犯行への関与を否定し、『早く捕まってほしい』と話していたD容疑者ですが、今朝逮捕されました。」とのナレーションが流れる。本件取 る旨のナレーションがあり、本件取材映像の一部が放映されるとともに、「犯行への関与を否定し、『早く捕まってほしい』と話していたD容疑者ですが、今朝逮捕されました。」とのナレーションが流れる。本件取材映像が放映される間、別表番号5から7のテロップが表示される。これらの各テロップは、一部の文字 を赤色にするなど目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーションが先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記各テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事 件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。また、別表番号4のサイドテロップは、上記VTRを通じて表示されていたものであるところ、上記ナレーションや上記各テロップの内容に鑑みると、一般の視聴者は、上記サイドテロップにつき、原告が本件詐欺未遂事件の被疑者として逮捕されたこと、前月に行われた本件取材において本件詐欺未遂事 件への関与を否定していたことを示すものと受けとめるにとどまり、原告 が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。 上記VTR放映の後、スタジオ部分に戻り(乙5の4の1)、別表番号8のサイドテロップが原告の顔写真と共に表示されており、その間、MCによる「この改元を利用した詐欺に注意が必要なんですね。詐欺未遂の疑 いで不動産会社役員D容疑者が逮捕されました。」との発言があった。上記VTRの内容及び上記発言に鑑みると、一般の視聴者は、上記サイドテロップにつき、改元を口実とするという本件詐欺未遂事件の特徴及び原告が本件詐欺未遂事件の容疑者として ました。」との発言があった。上記VTRの内容及び上記発言に鑑みると、一般の視聴者は、上記サイドテロップにつき、改元を口実とするという本件詐欺未遂事件の特徴及び原告が本件詐欺未遂事件の容疑者として逮捕されたことを示すものとして受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すもの とまで認識するとは考え難い。 また、上記発言の後、元大阪府警刑事と紹介されたゲストにおいて、詐取の対象が現金からカードに移りつつあるというのが現状かとのMCの質問に答えて、本件取材に応じる原告の写真が表示された状態で別表番号9の発言をしているところ、同発言は、本件詐欺未遂事件とは離れて、改元 詐欺とは異なるキャッシュカード詐取の典型的な手口の一つを紹介するとともに注意を促すものにすぎない。この点に鑑みると、一般の視聴者が、上記発言をもって、原告を本件詐欺未遂事件の犯人と認識するとは思えない。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とす れば、本件放送4のうち午後4時台のものは、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるとの事実を摘示するものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 イ午後5時台の放送午後5時台の放送においては、冒頭のスタジオ部分(乙5の5の1)に 続き、VTR(乙3の5、乙5の5の2)が表示される。同VTRにおい ては、原告が逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」、「今朝、詐欺未遂の疑いで逮捕された(中略)D容疑者」、「D容疑者は、(中略)キャッシュカードを送らせ、だまし取ろうとした疑いがもたれています」などの原告が詐欺未遂の容疑者である旨のナレーションが流れる。その後、前月に被告が本件私書箱を管 理する原告 容疑者は、(中略)キャッシュカードを送らせ、だまし取ろうとした疑いがもたれています」などの原告が詐欺未遂の容疑者である旨のナレーションが流れる。その後、前月に被告が本件私書箱を管 理する原告を直撃取材していたことを説明する旨のナレーションがあり、本件取材映像の一部が放映され、その間、別表番号10から12のテロップが表示される。これらの各テロップは、一部の文字を赤色にするなど目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーションが 先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記各テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。 上記VTR放映の後、スタジオ部分に戻り(乙5の5の1)、別表番号 13の吹出しが原告の顔写真に付されて表示され、その間、MCが「詐欺未遂の疑いで逮捕されました、D容疑者です。(中略)私たちの取材に対し『自分とは関係ない。はっきり言って迷惑している。』と話していました。」と発言している。上記VTRの内容に加え、MCの同発言に鑑みれば、一般の視聴者は、上記吹出しにつき、本件取材における原告の発言内 容を示すものと認識するにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人でありながら本件取材において虚偽の弁解を述べていると認識するとはいえない。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送4のうち午後5時台のものは、原告が本件詐欺未遂事件の 犯人であるとの事実を摘示するものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損 の成立は認められない。 ⑹ 本 方とを基準とすれば、本件放送4のうち午後5時台のものは、原告が本件詐欺未遂事件の 犯人であるとの事実を摘示するものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損 の成立は認められない。 ⑹ 本件放送5について(乙3の6、乙5の6、検証の結果)本件放送5においては、VTR(乙3の6、乙5の6)が放映される。同VTRにおいては、別表番号14のサイドテロップが表示されている間、本件取材映像中、「犯行グループに関してはどう思いますか」という問いに対 して原告が「早いところ捕まえていただきたいですね。」と答える場面が放映され、その直後に「先月JNNの取材に話していた男。ところが」とのナレーションが入り、続いて原告が逮捕されて連行される様子の映像と共に「神奈川県警の捜査員に連行されています。」、「今朝、詐欺未遂の疑いで逮捕されました。(中略)D容疑者は(中略)キャッシュカードと暗証番号 を記入させた書類をだまし取ろうとした疑いがもたれています。」とのナレーションが流れる。次いで、本件取材映像中、「返送先住所に使われているということについてどう思いますか」という問いに対して原告が「非常に迷惑していますね。」などと答える場面が放映され、「関与を否定していました。」とのナレーションが続く。 上記サイドテロップは、上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーションを伴うことに鑑みると、一般の視聴者は、上記サイドテロップにつき、原告が本件詐欺未遂事件の被疑者として逮捕されたが、本件取材においては本件詐欺未遂事件への関与を否定していたことを示すものとして受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識 するとはいい難い。 その後、上記VTRにおいては、本件取材映像が放映されるとともに、別表番号1 ものとして受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識 するとはいい難い。 その後、上記VTRにおいては、本件取材映像が放映されるとともに、別表番号15及び16の各テロップが表示される。これらの各テロップは、一部の文字を黄色とするなど目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。上記のとおり原告が容疑者で ある旨のナレーションが先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記 各テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとは考えられない。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送5は、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるとの事実を摘示す るものとはいえず、原告主張に係る名誉毀損の成立は認められない。 ⑺ 本件放送6について(乙4の1、乙6の1の1・2、検証の結果)本件放送6においては、冒頭のスタジオ部分(乙6の1の1)に続き、VTR(乙4の1、乙6の1の1・2)が放映される。 上記スタジオ部分において、MCは、「昨日、詐欺未遂の疑いで逮捕され た男を『B』は直撃取材していました。D容疑者は、(中略)カードをだまし取ろうとした疑いがもたれています。」と説明している。 上記VTRの冒頭において、本件取材映像中、原告が「ここは詐欺をするために借りた場所ではない?」との問いに対して「ええ違います」、「絶対に違いますね?」との問いに対して「違います」と、本件詐欺未遂事件への 関与を否定する趣旨の回答をしている状況が流れるとともに、上記回答の文言をそのまま表示した別 して「ええ違います」、「絶対に違いますね?」との問いに対して「違います」と、本件詐欺未遂事件への 関与を否定する趣旨の回答をしている状況が流れるとともに、上記回答の文言をそのまま表示した別表番号18及び19の各テロップが表示され、その後、「裏の顔巧妙な手口」とのテロップ(別表番号20)が表れるとともに「男が語った20分間で、見えてきたのは、改元詐欺の巧妙な手口と男の裏の顔でした。」というナレーションが流れる。上記テロップ及びナレーシ ョンは、「男」すなわち原告の実態が、上記回答とは異なるものであることを示唆するものといえる。 その後、原告が逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」、「昨日、詐欺未遂の疑いで逮捕されたのは、(中略)D容疑者 44歳」、「D容疑者は(中略)キャッシュカードなど をだまし取ろうとした疑いがもたれています」とのナレーションと共に放映 され、次いで、本件取材映像中、原告が、本件詐欺未遂事件において使用された返信用封筒の宛先が本件私書箱となっていることについての心当たりの有無を尋ねられたのに対し、「先日警察の方も来ましてかなり迷惑はしているんですよね」など本件詐欺未遂事件への関与を否定する趣旨の回答をしている場面が放映されるとともに同回答内容を示すテロップ(別表番号21か ら25)が表示され、「D容疑者は取材に対して『私書箱は悪用された』『二、三年前から詐欺グループに悪用されてきた』と話していました。しかし、そのほとんどがうそだったのです。」というナレーションが続く。同ナレーションは、本件取材時に終始一貫して本件詐欺未遂事件への関与を否定していた原告の回答の大半が虚偽であることを明言するものにほかならない。 その後も、原告が、本件取材 レーションが続く。同ナレーションは、本件取材時に終始一貫して本件詐欺未遂事件への関与を否定していた原告の回答の大半が虚偽であることを明言するものにほかならない。 その後も、原告が、本件取材において、本件詐欺未遂事件で使用された書類が送られてきた場合には、「引っかからないでいただきたい」と回答する場面が放映されるとともに同回答内容を示すテロップ(別表番号26)が表示された後、「不可解だったのは、Bの取材に対し、『警察に協力している』と何度も強調していたことでした。」、「Bの取材に対して、20分間にわ たり関与を否定し続けたD容疑者。その際には『集荷センター』の契約者だという人物の免許証や契約書まで使って無関係を装っていました。」などと原告が本件詐欺未遂事件に関与したことを前提とするものと解されるナレーションが続く。 さらに、捜査機関による捜索差押に立ち会った本件会社の従業員が被告の 取材に応じる映像が続き、当該従業員は、「もうショック以外ないですよね。 やっていないとおれは信じていたので。」、「人をだましちゃ駄目だよね。 こつこつやって稼ぐのが不動産屋、それだけっすね。」と発言していた。これらの発言も、原告が本件詐欺未遂事件に関与したことを前提とするものであることは明らかである。 そして、本件取材映像を含むVTRのほぼ全てにおいて表示されていた別 表番号17の「独自 “改元詐欺の男” B直撃逮捕前の“20分”ウソ『迷惑だ』」のサイドテロップについてみると、「改元詐欺の男」は、「改元詐欺に及んだ男性」と解するのが文言に即した自然な解釈といえる。一般の視聴者は、上記VTRの一連の内容を視聴しつつ、常時表示されている上記サイドテロップにつき、本件取材の対象とされた逮捕前の原告が、改元詐 欺に及んだ男性 が文言に即した自然な解釈といえる。一般の視聴者は、上記VTRの一連の内容を視聴しつつ、常時表示されている上記サイドテロップにつき、本件取材の対象とされた逮捕前の原告が、改元詐 欺に及んだ男性であり、20分間にわたり(本件私書箱が上記返信用封筒の宛先とされたことにつき)迷惑であるなどと虚偽の弁解をしていたことを示すものという印象を抱くものと考えられる。 そして、上記VTR放映の後、スタジオ部分(乙6の1の1)に戻り、別表番号31の「独自直撃取材に語った“ウソ”“詐欺”余罪は?捜査行方 は?」のサイドテロップが表示される。「直撃取材に語った”ウソ”」は、その文言自体から、本件詐欺未遂事件への関与を否定する本件取材時の原告の発言が虚偽であったことを端的に示すものであり、上記のVTRの内容に照らしても、上記発言が捜査機関の見立てとは異なるなどといった別の趣旨に解する余地はない。上記サイドテロップの前後において、コメンテーター が「どう見ても詐欺未遂容疑で逮捕されるような感じの方に私は見えないですし。」、「以前の放送でも住所を使われて困惑していらっしゃるような感じ」、「お気の毒だなと思って私も見ていたんですよ。本当に自分も自信なくなりますね。」などと発言しているが、同発言は、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるとは信じられないとの趣旨ではなく、以前に本件取材の状況 を視聴したときは、原告の言動等から本件詐欺未遂事件への関与を否定する回答を信用していたが、実際は、同回答に反し、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であったことについて驚いている趣旨のものと解される。 以上によれば、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送6は、全体として、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それに もかかわらず、本件取 ている趣旨のものと解される。 以上によれば、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送6は、全体として、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それに もかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する 虚偽の回答をしていた事実を摘示するものというべきである。同事実は、明らかに原告の社会的評価を低下させるものであるから、本件放送6につき、原告主張に係る名誉毀損の成立が認められる。 なお、本件放送6中には、冒頭のスタジオ部分におけるMCの説明や、上記VTR中、原告が逮捕されて連行される場面が放映された際のナレーショ ン等、原告がいまだ被疑者である事実を示す箇所も散見されるものの、全体として上記事実を一般の視聴者に印象付けるものとはなっていない。視聴者において、音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされる放送という情報伝達媒体の特質に鑑みると、上記箇所の存在は、上記結論を左右するものとはいえない。 ⑻ 本件放送7について(乙4の2、乙6の2の1・2、検証の結果)本件放送7においては、VTR(乙4の2、乙6の2の2)に続き、スタジオ部分(乙6の2の1)が放映される。 上記VTRにおいては、原告が逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」とのナレーションと共に放映 され、「詐欺未遂の疑いで逮捕されたのは、(中略)D容疑者、44歳。D容疑者は、(中略)カード等をだまし取ろうとした疑いがもたれています。」とのナレーションが続く。その後、本件取材映像が放映される間、別表番号34から39の各テロップが表示される。別表番号34のテロップは、本件取材時に室内から原告が出てきたことを示すものにすぎず、別表番号35か ョンが続く。その後、本件取材映像が放映される間、別表番号34から39の各テロップが表示される。別表番号34のテロップは、本件取材時に室内から原告が出てきたことを示すものにすぎず、別表番号35か ら39の各テロップは、一部の文字を青色にするなど目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。 上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーションが先行することにも鑑みると、本件取材映像が流れている間においては、一般の視聴者は、上記各テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時に おける回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐欺未遂事件の 犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。 しかし、本件取材映像の後、捜査機関による捜索差押に立ち会った本件会社の従業員が被告の取材に応じる映像が続き、当該従業員は、取材の中で「もうショック以外ないですよね。やっていないとおれは信じていたので。」、「人をだましちゃ駄目だよね。こつこつやって稼ぐのが不動産屋、 それだけっすね。」と発言していた。そして、上記VTRは、警察が原告の認否を明らかにしておらず、事件との関連について慎重に調べを進める方針である旨述べるナレーションで終了する。 スタジオ部分では、原告の容ぼうが「独自”改元詐欺の男”逮捕前に直撃」とのサイドテロップとともに表示されている中で、MCが「あんな色鮮やか なベスト着てね、隣の人であったとしてもこの人瞬間として詐欺師ということで外しちゃうから、やっぱりこちらも詐欺師っていう概念を本当に、ね。 なんとなく暗いダークな色を着てそうな気がするけどそういうイメージなんかもどんどん払拭していかなければいけないんだなと。」と述べた後、電話やインターネット りこちらも詐欺師っていう概念を本当に、ね。 なんとなく暗いダークな色を着てそうな気がするけどそういうイメージなんかもどんどん払拭していかなければいけないんだなと。」と述べた後、電話やインターネット上の書込みに比べ、封書には特有の影響力があると述べ、 銀行協会等が暗証番号を尋ねることは一切ないと注意喚起して本件放送7が終了する。 前記⑺で説示したとおり、本件会社の従業員の発言は原告が本件詐欺未遂事件に関与したことを前提とするものである。そして、上記サイドテロップ中の「改元詐欺の男」は、「改元詐欺に及んだ男性」と解するのが文言に即 した自然な解釈といえ、一般の視聴者が上記サイドテロップに接して最初に抱く印象は、「被告が逮捕前に直接取材した人物である原告が改元詐欺に及んだ男性である。」というものであると考えられる。さらに、MCは、原告の着衣の色に着目して、自らが抱いていた詐欺師の印象とかい離している旨述べており、この発言が、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを前提 としていることは明白である。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送7は、全体として、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それにもかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する虚偽の回答をしていた事実を摘示するものというべきである。同事実は、明らかに原告の社会的評価を低下させるものであるから、本件放送7につき、 原告主張に係る名誉毀損の成立が認められる。 なお、本件放送7中には、上記VTR中、原告が逮捕されて連行される場面が放映された際のナレーションや上記VTR終了時のナレーション等、原告がいまだ被疑者である事実を示す箇所も散見されるものの、全体として上記事実を一般の視聴者に印象付 、原告が逮捕されて連行される場面が放映された際のナレーションや上記VTR終了時のナレーション等、原告がいまだ被疑者である事実を示す箇所も散見されるものの、全体として上記事実を一般の視聴者に印象付けるものとはなっていないことから、前記⑺ と同様の理由により、上記箇所の存在は、上記結論を左右するものとはいえない。 ⑼ 本件放送8について(乙4の3、乙6の3の2、乙9の1、検証の結果)本件放送8においては、冒頭のスタジオ部分(乙9の1)に続き、VTR(乙4の3、乙6の3の2)が放映される。上記VTRにおいては、原告が 逮捕されて連行される場面が「D容疑者が神奈川県警の捜査員に連行されていきます。」とのナレーションと共に放映され、「5月の改元に伴い、(中略)カードなどをだまし取ろうとした疑いで逮捕された、(中略)D容疑者」とのナレーションが続く。その後、本件取材映像が放映される間、別表番号40、43から45の各テロップが表示される。これらの各テロップは、一 部を白文字に赤色の縁取りとするなど目立つ態様で表示されているものの、原告が本件取材時に回答した内容を示すものにすぎない。上記のとおり原告が容疑者である旨のナレーションが先行することにも鑑みると、一般の視聴者は、上記各テロップにつき、本件詐欺未遂事件の容疑で逮捕された原告の本件取材時における回答を示すものと受けとめるにとどまり、原告が本件詐 欺未遂事件の犯人であることを示すものとまで認識するとはいい難い。 しかし、上記VTR放映の後、スタジオ部分(乙9の1)に戻り、「で、捕まったのはこの男なんですけど。」とのMCの発言とともに別表番号41のテロップ及びサイドテロップ、同42のフリップが表示される。そして、本件取材時における原告の言動についての感想として り、「で、捕まったのはこの男なんですけど。」とのMCの発言とともに別表番号41のテロップ及びサイドテロップ、同42のフリップが表示される。そして、本件取材時における原告の言動についての感想として、コメンテーターによる「現に実際の犯人があんな普通の方だっていうのにも、まず驚きですよ ね。」との発言、同発言を受けたMCの「そうですよね。」との発言に続き、別のコメンテーターによる別表番号46の発言が続き、その直後に「容疑者なんですけど。」と付け加え、続けてMCが「まだ容疑者ですからね。本当はどうだかわかりませんけど。」と述べている。そして、別のコメンテーターが「私もあの私設私書箱に管理人が常駐しているのも最初驚いたんですけ ども、ただ受け答えを見ていると非常に普通の方に見えたので、まさか加害者側の人間だとは思わなかったですね。」と発言し、これを受けてMCが「思わないですね。」と述べた。その後、MCが、原告が本件アパートに居住していないことが気になるところである旨述べた上で、詐欺事件に詳しいジャーナリストとして紹介されるコメンテーターに対し、「捕まったの、今、 男一人ですけど、ひょっとしたらグループでやっている可能性、あるんですよね。」と尋ねた。同コメンテーターは、「確かに単独犯の可能性が高いんですけど、ただ、あの送ってきた封書のやり方をみると、非常にノウハウがよくできてるので、彼の背後にそういうブラックなつながりの人間がいて、なにか教えたっていう可能性は否定しきれないと思います。」と答え、その 間、原告の容ぼうが表示されていた。 これらのスタジオ部分におけるMCとコメンテーターらとの一連のやり取りにおいては、原告を指して「実際の犯人」、「加害者側の人間」、「単独犯」、「彼の背後にそういうブラックなつながりの人間が いた。 これらのスタジオ部分におけるMCとコメンテーターらとの一連のやり取りにおいては、原告を指して「実際の犯人」、「加害者側の人間」、「単独犯」、「彼の背後にそういうブラックなつながりの人間がいて」など明らかに本件詐欺未遂事件の犯人を意味する言葉で表現し、一般の視聴者に対し、 原告が上記犯人であることを強く印象付けるものといえる。上記やり取り中、 MCによる「まだ容疑者ですからね。本当はどうだかわかりませんけど。」との発言もあるものの、上記やり取り全体からみると、同発言は、一般視聴者に対し、原告が容疑者であることを強調するというよりも、いまだ真相は不明であるが、本件放送8の番組としては原告を本件詐欺未遂事件の犯人と捉えているとの印象を与えるものということができる。 以上に鑑みると、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とすれば、本件放送8は、全体として、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それにもかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する虚偽の回答をしていた事実を摘示するものというべきである。同事実は、明らかに原告の社会的評価を低下させるものであるから、本件放送8につき、 原告主張に係る名誉毀損の成立が認められる。 なお、本件放送8中には、上記VTR中、原告が逮捕されて連行される場面が放映された際のナレーション等、原告がいまだ被疑者である事実を示す箇所も散見されるものの、全体として上記事実を一般の視聴者に印象付けるものとはなっていないことから、前記⑺と同様の理由により、上記箇所の存 在は、上記結論を左右するものとはいえない。 ⑽ 本件放送9について(乙4の4、乙6の4の2、乙9の2、検証の結果)本件放送9においては、冒頭のスタジオ部分(乙9の2)に続き、VTR(乙 在は、上記結論を左右するものとはいえない。 ⑽ 本件放送9について(乙4の4、乙6の4の2、乙9の2、検証の結果)本件放送9においては、冒頭のスタジオ部分(乙9の2)に続き、VTR(乙4の4、乙6の4の2)が放映される。上記VTRにおいては、終始、別表番号48のサイドテロップ「直撃!“改元詐欺の男”巧妙な手口とは?」 が表示されていた。また、「昨日詐欺未遂の疑いで逮捕された一人の男。」というナレーションに続き、本件取材映像中、原告が「ここは詐欺をするために借りた場所ではない?」との問いに対して「ええ違います」、「絶対に違いますね?」との問いに対して「違います」、「一番報道を通じて伝えたいことってなんですか」との問いに対して「そういった書類が届いた場合は、 あの、なんて言うか引っかからないでいただきたいということですね。」と、 本件詐欺未遂事件への関与を否定する趣旨の回答をしている状況が流れるとともに、上記回答の文言の全部又は一部をそのまま表示した別表番号50から52の各テロップが表示され、その後、「裏の顔」とのテロップ(別表番号53)が表れるとともに「男が語った20分間で、見えてきたのは、改元詐欺の巧妙な手口と男の裏の顔でした。」というナレーション(別表番号4 9)が流れる。上記サイドテロップ中の「改元詐欺の男」は、「改元詐欺に及んだ男性」と解するのが文言に即した自然な解釈といえ、一般の視聴者が上記サイドテロップに接して最初に抱く印象は、「被告が直接取材した人物である原告が改元詐欺に及んだ男性であり、巧妙な手口を用いた」というものであると考えられる。また、別表番号53のテロップ及び同49のナレー ションは、「男」すなわち原告の実態が、上記回答とは異なるものであることを示唆するものといえる。その 口を用いた」というものであると考えられる。また、別表番号53のテロップ及び同49のナレー ションは、「男」すなわち原告の実態が、上記回答とは異なるものであることを示唆するものといえる。その後、本件取材映像が放映される間、「自分は詐欺とは一切関係ない」など本件詐欺未遂事件への関与を否定する趣旨の本件取材における原告の回答を示す別表番号54から64の各テロップが表示される。 そして、本件取材映像の後、捜査機関による捜索差押に立ち会った本件会社の従業員が被告の取材に応じる映像が続き、当該従業員は、取材の中で「もうショック以外ないですよね。やっていないとおれは信じていたので。」と答え、「従業員としましても、社長がそのようなことをやっていたことは知らなかったですか。」との問いかけ(なお、テロップは、「Q.従業員の 方も詐欺について知らなかった?」と表示されている。)に対し、当該従業員は、「全く。全く知らなかったですね。捕まっているのも初めて聞いたので。」と回答していた。 ここまでの放送内容は、一般の視聴者に対し、逮捕前の本件取材において本件詐欺未遂事件との関与を否定していた原告が実は本件詐欺未遂事件の犯 人であったかのような印象を与えるものと考えられる。そして、上記VTR 放映の後、スタジオ部分(乙9の2)に戻り、MCによる別表番号65の発言があり、同66のフリップ、同67の表示、同68及び69の各フリップ、同70のサイドテロップが表れるが、これらの発言やフリップ等も、上記印象を弱めるものとはいい難い。さらに、同67の表示の直後のMCによる「私設私書箱だからぼく関係ないんです。その、詐欺グループが勝手に、う ちの私設私書箱の住所を使ってやってたんでしょっていう、隠れみのにしようとしていたと思うんですよ 7の表示の直後のMCによる「私設私書箱だからぼく関係ないんです。その、詐欺グループが勝手に、う ちの私設私書箱の住所を使ってやってたんでしょっていう、隠れみのにしようとしていたと思うんですよね。」との発言は、明らかに原告が本件詐欺未遂事件の犯人であることを前提として、上記表示中の「(私設)私書箱になります」につき、本件私書箱を同事件に利用されたにすぎないと偽装する趣旨であったと思うと述べるものであり、上記印象をより一層強めるものとい うことができる。 その後、元警察官であり犯罪ジャーナリストとして紹介されるコメンテーターは、本件私書箱が設けられた本件アパートの一室に置かれていた荷物につき、「この荷物もカモフラージュなのか、それとも本当に受けていたのか。 本当に受けているからといって、今回も同じかどうかは分からないので。」 と述べ、続けて、「ただ、今の段階で逮捕されたばかりなので、本人の認否も明らかにされていません。ですから、この住所を使われていたことは間違いない。ですけども、このD容疑者が実際にこの事件に関わっていたかどうか。例えば振り込め詐欺でいくとですね、受け子という取りに行く者。この大半は知らない者も多いです。もちろん知っててやっている者もいるんです けど。ちょっと書類預かってきてくれ、と行くとお金だった、なんていうのもあるので、今回もまだはっきりとは分からない。」などと述べた。このコメンテーターの一連の発言は、その時点において原告は飽くまでも容疑者であることを強調するとともに、逮捕直後で認否さえ明らかにされておらず、実際に本件詐欺未遂事件に関与していたか否かはまだはっきりとは分からな い旨を説明したものである。しかし、上記発言は、本件放送9の終了近くに なされたもので、その時間も比較的短く らず、実際に本件詐欺未遂事件に関与していたか否かはまだはっきりとは分からな い旨を説明したものである。しかし、上記発言は、本件放送9の終了近くに なされたもので、その時間も比較的短く、上記のとおり一般の視聴者に対して原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるかのような印象を与えるそれまでの番組内容の流れを軌道修正するものとして明確に位置付けられているとはいえず、上記印象を否定するには至っていない。 以上に鑑みると、本件放送9は、全体として、原告が本件詐欺未遂事件の 犯人であり、それにもかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する虚偽の回答をしていた事実を摘示するものというべきである。同事実は、明らかに原告の社会的評価を低下させるものであるから、本件放送9につき、原告主張に係る名誉毀損の成立が認められる。 2 争点2(名誉毀損について被告に故意又は過失があるか否か)について ⑴ 考え方前記1⑺から⑽までのとおり、本件放送6から9は、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それにもかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する虚偽の回答をしていたとの事実を摘示しての名誉毀損に当たる。そして、同摘示事実の重要部分は、原告が本件詐欺未遂事件 の犯人であるという事実といえる。 もっとも、被告において、上記重要部分につき真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定されると解される(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。 ⑵ 検討被告は、本件取材後に神奈川県警察又はその幹部から情報提供を受けた経緯に加えて原告の逮捕が一定の司法審査を経たものであることにも鑑みると、被告において、原告が本件詐 頁参照)。 ⑵ 検討被告は、本件取材後に神奈川県警察又はその幹部から情報提供を受けた経緯に加えて原告の逮捕が一定の司法審査を経たものであることにも鑑みると、被告において、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であると信じるに足りる相当の理由があった旨主張する。 しかし、証人Hは、被告主張に係る事実経過(前記第2の4⑵〔被告の主 張〕イ)のとおりのやり取りがされた旨、被告の記者等から伝え聞いたというにとどまり(乙13、証人H)、当該やり取りの際に作成されたメモ等の裏付けとなる証拠は何らないことからすれば、被告主張に係るやり取りがあったとは直ちに認め難い。 そして、そもそも、捜査機関が原告に本件詐欺事件未遂事件に係る犯罪の 嫌疑をかけていることと、原告が実際に上記犯罪を行ったということとは、事実として全く異なるものである。しかも、被告の主張を前提としても、本件詐欺未遂事件は、一旦は原告逮捕後に警察による広報発表が予定されていながら、原告逮捕の直前に広報発表をしない方針に変更されたというのであって、被告が提供を受けたという情報はいまだ公に発表されていない非公式 のものであるから、被告において、他に裏付取材をせず、上記非公式な情報のみで原告が本件詐欺未遂事件の犯人であると信じるにつき相当の理由があったということはできない。 また、裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、捜査機関の請求により逮捕状を発する(刑訴法199条 2項)のであるから、原告が裁判官発付の逮捕状によって逮捕された事実も、原告につき同逮捕状記載の被疑事実を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることを超えて、原告が実際に上記被疑事実に及んだことまでを示すものではない。 以上によれば、本件放送6から された事実も、原告につき同逮捕状記載の被疑事実を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることを超えて、原告が実際に上記被疑事実に及んだことまでを示すものではない。 以上によれば、本件放送6から9の当時、被告において、原告が本件詐欺 未遂事件の犯人であると信じるにつき相当の理由があったと認めることはできず、被告の上記主張を採用することはできない。 したがって、被告は、本件放送6から9に係る名誉毀損につき、少なくとも過失はあったものということができる。 3 争点3(本件念書の効力)について ⑴ 本件念書の作成経緯 前提事実⑶、証拠(甲2の1、甲12、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。同認定を覆す証拠はない。 平成31年2月19日、当時、放送番組「B」のディレクターであったCは、ほか1名のディレクターと共に本件会社の事務所を訪れ、原告に対し、本件詐欺未遂事件についての取材を申し込んだ。 原告は、取材を拒否したが、Cらから取材に応ずるよう重ねて求められ、また、当時付近に居合わせた本件会社の従業員であったEからも取材に応じることを勧められた。そこで原告は、Cらに対し、被告において放送に当たり原告の顔を出さないこと及び原告の声を加工することを約束するとともに同約束につき一筆書くことを条件に、取材に応ずると述べた。 Cは、上司の許可なくそのような書面を作成することはできない旨を述べて困った様子を見せたが、携帯電話で架電した後、許可取れましたという趣旨のことを述べた。そして、Cは、手書きで本件念書を作成し、これを原告に提出した。 ⑵ 本件念書の効力 ア被告の主張被告は、①Cが、原告に対し、本件取材の前後2回にわたり万が一原告が逮捕等された場合は本件念書が無効とな で本件念書を作成し、これを原告に提出した。 ⑵ 本件念書の効力 ア被告の主張被告は、①Cが、原告に対し、本件取材の前後2回にわたり万が一原告が逮捕等された場合は本件念書が無効となる旨告げたところ、原告がこれを了承したとして、Cと原告との間において、原告が逮捕された場合は本件念書が無効であるとの共通の認識が形成されていた、②被疑者が逮捕さ れた際は原則として当該被疑者の実名を報道し、事案に鑑み肖像も報道することがあるとの日本の報道機関における取扱いを認識している通常人からすれば、本件念書上、その効力を制限する記載がなくとも、本件念書の効力が及ぶのは逮捕前までであることを当然に認識したはずであり、本件念書をもって、原告が逮捕された場合も放送時において原告の音声を加工 し、原告の容ぼうを出さないとの合意をしたとみることはできない、③本 件念書が原告の逮捕後も効力を失わない趣旨であると解されるとしても、被告がCに上記合意をする権限を与えるはずがないから、被告は、本件念書に拘束されないと主張する。 イ検討前記ア①につき、本件念書の内容は、報道機関である被告の放送行為を 制限するものであり、通常、書面、口頭を問わず、記者が取材対象者との間で上記内容に係る約束をすることはない(証人H)。この点に鑑みると、原告が逮捕等された場合は本件念書が無効となる旨の条件は、被告にとって異例な上記制限から解放される条件として重要な意義を有するものといえるところ、本件念書には、上記無効に係る条件につき何ら言及されてい ない(甲2の1)。そして、前記⑴のとおり、本件念書は、Cが手書きで作成したものであって、上記条件の付記が困難であった事情は見当たらない。また、「原告が逮捕等された場合」は、それ自体、原告に不快感を ない(甲2の1)。そして、前記⑴のとおり、本件念書は、Cが手書きで作成したものであって、上記条件の付記が困難であった事情は見当たらない。また、「原告が逮捕等された場合」は、それ自体、原告に不快感を与えるおそれの大きい言葉といえ、前記⑴のとおり、当初は取材を拒否していた原告との間における取材の可否をめぐる交渉において、Cが上記言葉 を発するとは考え難い。 以上に加え、他にCが上記条件に関する発言をしたことを示す客観的な証拠もないことからすれば、本件証拠及び弁論の全趣旨によっても被告主張に係る原告とCとのやり取りの存在を認めることはできず、したがって、被告主張に係る上記両名間の共通認識は、前提を欠き、認められない。 前記ア②につき、被告主張に係る取扱いは、報道機関関係者の間においては共通の運用として熟知された了解事項であるとしても、法令上の根拠に基づくものではなく、証拠上、報道機関関係者以外の者にも広く認知されているとうかがわせる事情は認められない。 したがって、上記取扱いが、社会生活上一般に知られた事実であるとま ではいえない。この点に鑑みると、報道機関関係者ではない原告において、 効力の制限について何ら言及されていない本件念書の文面から、本件念書の効力が及ぶのは逮捕前までである旨を認識し得たとは認め難い。 前記ア③につき、前記⑴のとおり、Cは、原告から、原告の顔を出さず、原告の声を加工するとの約束につき、一筆書くことを求められ、上司の許可なくそのような書面を作成することはできない旨を述べて困った様子を 見せたが、携帯電話で架電した後、許可取れましたという趣旨のことを述べた上で、手書きで本件念書を作成して原告に手渡した。この事実経過に加え、Cが本件念書の末尾に「TBSB」と、被告の社名及び自身がデ たが、携帯電話で架電した後、許可取れましたという趣旨のことを述べた上で、手書きで本件念書を作成して原告に手渡した。この事実経過に加え、Cが本件念書の末尾に「TBSB」と、被告の社名及び自身がディレクターを務める番組名を付記して署名したこと(甲2の1)にも鑑みると、Cに対して原告との間で本件念書の内容に係る合意をする権限を授 与していないとの被告の主張は採用し難い。 ウ小括以上によれば、本件念書は、原告が逮捕された場合であっても無効となることはない。 4 争点4(本件各放送による肖像権侵害に係る不法行為の成否)について ⑴ 判断基準人は、自己の容ぼうを撮影された写真や映像等をみだりに公表されない人格的利益を有するものと解される。もっとも、上記公表が正当な報道行為等として許容されるべき場合もあるものといえ、ある者の容ぼうを撮影した写真や映像等をその承諾なく公表することが不法行為法上違法となるかどうか は、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の態様、公表の態様、公表の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである(最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁)。 他方、人の肉声については、通常、容ぼうほど高度な個人識別機能を備え ていないものと考えられることから、人が自己の肉声をみだりに公表されないことにつき、一律に人格的利益を有するものとまでは解し難い。 ⑵ 検討本件放送1において原告の容ぼうが表示された場面はなく(前記1⑵)、したがって、本件放送1につき、不法行為が成立する余地はない。 本件放送2から9において使用さ までは解し難い。 ⑵ 検討本件放送1において原告の容ぼうが表示された場面はなく(前記1⑵)、したがって、本件放送1につき、不法行為が成立する余地はない。 本件放送2から9において使用された本件取材映像は、本件取材時に撮影されたものであり(前提事実⑶)、原告が複数の質問に対して回答する間、原告の容ぼう全体が正面から明確に識別することが可能な態様で撮影されている(乙5の4の2等)。本件取材は、改元を口実とする虚偽の事実を伝えて高齢者からキャッシュカード等をだまし取ろうとした本件詐欺未遂事件に おいて、本件私書箱が当該高齢者にキャッシュカード等を送付させるための返信用封筒の宛先とされていたこと(前提事実⑵)から、本件私書箱を管理運営する原告に対して行われたものである(乙13、証人H)。 平成から令和への改元を間近に控えた平成31年初頭から春頃にかけて、同種の手口によるいわゆる改元詐欺が多発しており、国民生活センター、金 融庁、全国銀行協会等が広く国民一般に注意喚起していた(乙7の1~5)。 このような状況に鑑みると、本件詐欺未遂事件は、社会一般に関心の高い事項であったといえる。しかも、本件放送2から9は、原告が本件詐欺未遂事件の被疑者として逮捕された当日又はその翌日に行われたものであり(前提事実⑷、⑸)、当時、上記逮捕の事実は、社会の耳目を集めていたものとい うことができる。したがって、本件詐欺未遂事件及び原告逮捕の事実に対する社会一般の高い関心に応えるとともに、同種被害の防止のためにも、当時、本件取材の内容を報道する必要性は高かったものと認められる。 しかし、もとより報道機関による取材に対する諾否は、個々人の自由といえるところ、原告は、当初は取材を拒否し、被告において放送に当たり原告 の顔を出さないこ 必要性は高かったものと認められる。 しかし、もとより報道機関による取材に対する諾否は、個々人の自由といえるところ、原告は、当初は取材を拒否し、被告において放送に当たり原告 の顔を出さないこと及び原告の声を加工することを約束するとともにその旨 の念書を差し入れることを条件として取材に応じる旨を述べ、本件念書を受領した上で、本件取材を受けており、その過程においてビデオカメラで容ぼう等を撮影されることも承諾していたものである(前提事実⑶、前記3⑴)。 そして、前記3のとおり、本件念書は、原告が逮捕された場合であっても、無効となるものではないところ、本件放送2から9は、原告の容ぼう全体が 正面から明確に識別することが可能な態様で撮影されたままの状態で本件取材映像を放映するもので、これは、本件念書に記載された上記約束に明らかに反するものといえ、原告の容ぼうが撮影された本件取材映像の公表の態様として相当なものとはいえない。原告は、本件念書を信用して本件取材に臨んでおり、著名な大手報道機関である被告が本件念書に反して自身の容ぼう の映像を放映することは、全くの予想外であったものと推認することができる。また、本件詐欺未遂事件及び原告逮捕の事実に対する社会一般の高い関心に応える、同種被害の防止を図るという目的のためには、本件詐欺未遂事件の内容、本件取材において原告が話した内容及び本件私書箱が設けられた本件アパートの状況、逮捕された被疑者である原告の実名を報道すれば足り、 原告の容ぼうまで公表する必要性は認め難い。ほかに、原告がいわゆる指名手配中の危険人物であるなど、上記必要性を基礎付ける事情の存在もうかがわれない。 以上の事情を総合考慮すると、原告の容ぼうが撮影された本件取材映像を放送した本件放送2から9は、社会生活上受 る指名手配中の危険人物であるなど、上記必要性を基礎付ける事情の存在もうかがわれない。 以上の事情を総合考慮すると、原告の容ぼうが撮影された本件取材映像を放送した本件放送2から9は、社会生活上受忍すべき限度を超えて、原告の 人格的利益を侵害するものであり、不法行為上違法であるといわざるを得ない。 5 争点5(損害の発生及びその金額)について前記2及び4のとおり、被告は、①放送に当たり原告の顔を出さない旨の本件念書記載の約束に反して、本件放送2から9において原告の容ぼうが撮影さ れた本件取材映像を放送することにより、自己の容ぼうを撮影された写真や映 像等をみだりに公表されない原告の人格的利益を侵害するという不法行為に及び、②うち本件放送6から9においては、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であり、それにもかかわらず、本件取材時においては本件詐欺未遂事件への関与を否定する虚偽の回答をしていた事実を摘示して原告の名誉を毀損するという不法行為に及んだ。 本件各放送後、原告は、不動産業を営む本件会社の取引先の激減、同社の不動産取引ネットワークへの加入審査落選、資本提携を目的とした原告保有の本件会社の株式の譲渡に係る合意の白紙撤回など経済的不利益を被ったほか、日常生活において本件詐欺未遂事件への関与を理由に自身のみならず家族も周囲から白眼視されるなど精神的不利益も被った(甲11、12、証人A、原告本 人)。 上記経済的不利益については、実害の金銭的評価は困難である(原告本人)。 また、本件放送2から9において原告の実名が明示されており(前提事実⑸)、同時期に全国紙やテレビ朝日、日本放送協会(NHK)等の他のテレビ局も、原告が本件詐欺未遂事件の疑いで逮捕された旨を原告の実名とともに報道した (乙10の1~乙1 示されており(前提事実⑸)、同時期に全国紙やテレビ朝日、日本放送協会(NHK)等の他のテレビ局も、原告が本件詐欺未遂事件の疑いで逮捕された旨を原告の実名とともに報道した (乙10の1~乙12の8)。これらの実名を伴う逮捕の報道が上記経済的不利益及び精神的不利益の発生に少なからず寄与したことは、否定し難い。 しかし、上記の点を踏まえても、著名な大手報道機関である被告において、「B」など国民一般に広く視聴されている番組中、原告が本件詐欺未遂事件の犯人であるなどの上記事実を摘示して上記名誉毀損に及んだことによる影響は、 相当に大きなものといえる。また、本件放送2から9に使用された本件取材映像においては、原告が複数の質問に対して回答する間、原告の容ぼう全体が正面から明確に識別することが可能な態様で撮影されている(前記4⑵)。この点に鑑みると、原告の実名に加えて原告の容ぼうを放送した本件放送2から9は、原告の実名のみの報道に比して、一般の視聴者に対し、本件詐欺未遂の被 疑者又は犯人が原告であることをより一層強く印象付けるものということがで きる。したがって、原告の上記人格的不利益に係る不法行為が、原告の私生活に及ぼす影響も軽視し得ない。なお、テレビ朝日も、平成31年2月19日、本件取材後に原告を取材しているが、原告の要望に応じて原告の後ろ姿のみの撮影にとどめており(原告本人)、上記取材映像を放送したとしても、同放送内容に原告の容ぼうは含まれない。 しかも、被告は、前記4⑴のとおり、当初取材を拒否していた原告から、被告において放送に当たり原告の顔を出さないことなどを約束するとともにその旨の念書を差し入れることを条件として取材に応じる旨を述べられ、Cが同条件に即した本件念書を作成して原告に手渡し、その上で本件取材を おいて放送に当たり原告の顔を出さないことなどを約束するとともにその旨の念書を差し入れることを条件として取材に応じる旨を述べられ、Cが同条件に即した本件念書を作成して原告に手渡し、その上で本件取材を実施した。 被告は、このような経緯がありながら、本件念書に反して原告の容ぼうを放送 する上記不法行為に及んだ。この行為は、背信的行為というよりほかはなく、慰謝料増額事由として考慮されるべきである。 以上の諸事情を考慮し、上記各不法行為による慰謝料は、500万円をもって相当と認める。 また、本件事案の内容、性質に鑑み、弁護士費用相当の損害額は、50万円 が相当である。 なお、本件放送1において原告の音声を加工せずに本件取材映像を放送したこと、本件放送2から9において原告の音声を加工せずに原告の容ぼうが撮影された本件取材映像を放送したことは、放送に当たり原告の顔を出さず、音声を加工する旨の本件念書に係る合意に反し、予備的請求の根拠となる上記約束 に係る債務の不履行も構成する。しかし、原告の音声は、それのみによって原告を他者から識別、特定する機能を備えているとまではいえず、容ぼうによる同機能を補強するものにすぎない。この点に鑑みると、予備的請求に係る債務不履行による損害として、上記の主位的請求に係る上記各不法行為による慰謝料を超えるものが発生しているとはいい難い。 6 結論 以上によれば、原告の被告に対する請求は、550万円及びこれに対する本件放送6から9の放送日である平成31年3月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の限度で理由があるから主文第1項の限度で認容し、その余の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判 分の割合による遅延損害金の限度で理由があるから主文第1項の限度で認容し、その余の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官鈴木わかな 裁判官崇島誠二 裁判官中根佑一朗 (別紙)平成31年3月7日放送 番組名本件詐欺未遂事件に係る放送の開始時刻本件詐欺未遂事件に係る放送の時間本件放送1B午前7時46分1分27秒間本件放送2I午前9時46分1分25秒間本件放送3J午前11時30分1分45秒間本件放送4K午後4時01分①9分46秒間②8分7秒間本件放送5L午後11時31分1分36秒間 同月8日放送 番組名本件詐欺未遂事件に係る放送の開始時刻本件詐欺未遂事件に係る放送の時間本件放送6B午前6時55分13分42秒間本件放送7I午前8時03分6分45秒間本件放送8J午前11時56分2分20秒間本件放送9M午後3時04分7分30秒間 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張本件放送3 「改元で書類変更必要」とうそ男逮捕サイドテロップ乙5の3の2原告が本件詐欺未遂事件の犯人(以下、本別表においては単に「犯人」という。)であるように誤信させるものである。 郵送された書類には「改元詐欺で書類変更必要」といううその内容の記載があったこと、その被疑事実で男が逮捕されたことを伝えているものであり、原告が真犯人であるかのような誤信を招くもの のである。 郵送された書類には「改元詐欺で書類変更必要」といううその内容の記載があったこと、その被疑事実で男が逮捕されたことを伝えているものであり、原告が真犯人であるかのような誤信を招くものではない。 「個人情報が書かれた書類の変更や新規作成が必要」などとうそテロップ乙5の3の2原告が被害者に対してうそを述べたことを強調し、原告が犯人であると断定するものである。 うその書類が送付されたことを伝えるものである。 JNNの取材に対し関与否定テロップ(「関与否定」との部分は黄色の文字)乙5の3の2同上原告が関与を否定したことを伝えるものであり、関与否定を強調したからといって一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそを述べたとの認識を持つとはいえない。 本件放送4 「改元」ネタに詐欺未遂直撃取材に“関与否定”サイドテロップ(“関与否定”との部分は赤色の文字)乙3の4原告が過去にうそを述べていたかのように見せている。 同上 Q 改元詐欺の返送先住所に使われているが? 非常に迷惑してますね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「非常に迷惑していますね」との部分は赤色の文字)を表示している。 乙5の4の2⑦原告が犯人であり、「(犯人と疑われて)迷惑している」などとうそをついているかのような表現をすることで「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するような方向に誘導し、視聴者の注目を集めるような表現をしている。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているとか、原告を嘲笑していると て話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 Q 犯人グループに関しては? もう早いところ捕まえていただきたいですね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「早いところ捕まえていただきたい」との部分は赤色の文字)を表示している。 乙5の4の2⑬同上同上 「早く捕まって欲しい」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(いずれも黄色の文字)を表示している。 乙5の4の2⑭同上同上 悪質 「改元」口実に…高齢者狙う“詐欺” だまされないために…画面右半分に原告の写真を表示するとともに左記の内容のサイドテロップを表示している。 乙5の4の1原告が犯人であると断定し、顔写真を結び付けた。 このコーナー全体の見出しであって、個別に原告を指して悪質だとか詐欺に及んだと指摘するものではない。 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 「あなたは○○百貨店で大きな買い物をされたことがありますか?」と突然電話が掛かってくるんですよ。当然「そんなことはありません。」、「それじゃあ、あなたのキャッシュカードが悪用されている可能性があります。すぐにキャッシュカードを停止しなければなりません。 今から銀行員を家まで行かせるのでキャッシュカードを渡してください。」というのが今、本当にたくさん増えていますので、これはもう気を付けていただきたい。 取材に答える原告の写真が表示された状態で元刑事として紹介された者 るのでキャッシュカードを渡してください。」というのが今、本当にたくさん増えていますので、これはもう気を付けていただきたい。 取材に答える原告の写真が表示された状態で元刑事として紹介された者の左記の内容の発言がされる。 乙5の4の1同上本件詐欺未遂事件とは直接関係しない一般論を述べるものであって、発言の間に原告の写真が提示されたからといって原告を犯人として特定したということはできない。 Q 改元詐欺の返送先住所に使われているが? 非常に迷惑してますね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「非常に迷惑してますね」との部分は赤色の文字)を表示している。 乙5の5の2⑦原告の発言のうち、犯人であることを否定するような内容の箇所のみを強調し、そのことによって、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するような方向に誘導し、視聴者の注目を集めるような表現をしている。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受け止めることはない。仮にそう受け止めたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 Q 犯人グループに関しては? もう早いところ捕まえていただきたいですね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「早いところ捕まえていただきたい」との部分は赤色の文字)を表示している。 乙5の5の2⑬同上同上 12 「早く捕まって欲しい」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(いずれも黄色の文字)を表示している。 乙5の5の2⑭同上同上 13 自分とは関 5の5の2⑬同上同上 12 「早く捕まって欲しい」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(いずれも黄色の文字)を表示している。 乙5の5の2⑭同上同上 13 自分とは関係ないはっきり言って迷惑している原告の写真に吹出しをつけて左記の文字を表示している。 乙5の5の1原告の写真に吹出しをつけ、否認する原告をあざ笑うかのような表現に仕立てている。 取材時の原告の発言を吹出しとして用いており、何ら問題はない。 本件放送5 14 改元に便乗詐欺未遂直撃取材に“関与否定”サイドテロップ乙3の6、乙5の6原告が過去にうそを述べていたかのように見せている。 「関与否定」を強調したからといって一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそを述べたとの認識を持つとはいえない。 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張Q 改元詐欺の返送先住所に使われているが? 非常に迷惑している取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「非常に迷惑している」との部分は黄色の文字)を表示している。 乙5の6 ⑧原告の発言のうち、犯人であることを否定するような内容の箇所のみを強調し、そのことによって、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するような方向に誘導し、視聴者の注目を集めるような表現をしている。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 16 犯行への関与否 としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 16 犯行への関与否定白文字を赤色で縁取りしたテロップ乙5の6 ⑩同上同上本件放送6 独自 “改元詐欺の男” B直撃逮捕前の“20分”ウソ「迷惑だ」サイドテロップ(「直撃」との部分は赤色の文字、「逮捕前の“20分”ウソ」との部分は青色の文字)乙4の1原告の「迷惑だ」との発言がうそであると断定するとともに、原告が犯人であると誤信させるものである。 このサイドテロップの語順では趣旨が不明確であり、サイドテロップが表示されている間に流れたVTRと併せてその意味内容を検討すべきところ、当該VTRはミスリードとなるナレーションがあるものの、原告の言い分を丁寧かつ正確に伝えるものである。そうであるところ、このサイドテロップの後段について「逮捕前に20分も迷惑だなどと語ったがうそであった」と理解してしまうと、当該VTRの上記内容と全く整合しない。したがって、このサイドテロップを総合的にみると原告が犯人であると断定しているとはいえない。 18 ええ違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の1の2①犯人であることを否定する発言のみを強調し、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するように誘導して視聴者の注目を集める表現である。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受け止めることはない。仮にそう受け止めたとしても、原告を たものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受け止めることはない。仮にそう受け止めたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 19 違います同上乙6の1の2③同上同上 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張裏の顔巧妙な手口テロップ(「裏の顔」との部分は白文字を青色で縁取りしたもの、「巧妙な手口」との部分は白文字を黄色で縁取りしたもの。)乙4の1原告が犯人であると断定するかのような表現である。 「裏の顔」という語は怪しいという印象を与えるものの、放送中、原告の「裏の顔」がいかなるものであるか明らかになっておらず、放送内容との関係からすればミスリードであって原告と犯人とを結び付けるものではない。また、放送中、原告が本件詐欺未遂事件の手口について述べた場面はないから、原告と「巧妙な手口」とは結び付かず、放送内容との関係からすれば全くのミスリードであって、原告が犯人であると摘示するものではない。 21 先日警察の方も来ましてかなり迷惑はしているんですよね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「迷惑はしている」との部分は赤色の文字)乙6の1の2⑮犯人であることを否定する発言のみを強調し、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するように誘導して視聴者の注目を集める表現である。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定し 般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 22 「詐欺とは無関係」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ乙6の1の2⑲同上同上 23 お預かりして転送と業務しています取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「転送」と「業務」との部分は赤色の文字)乙6の1の2㉔同上同上 24 「私書箱は悪用された」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の1の2㉟同上同上引っかからないでいただきたい同上乙6の1の2㊹同上同上 26 犯行への関与否定同上乙6の1の2 同上同上 今回の件をみると単独犯の可能性も高いんですが、悪い連中から何か知恵を授けられて、ちょっと自分でやってみようかとやった可能性、それももちろん捨てきれないですね。 詐欺に詳しいジャーナリストと紹介された者の発言乙4の1今回の件が単独犯である、自分でやってみようかとの表現により、原告が犯人であると断定している。 警察の見立てを前提として、本件詐欺未遂事件が単独犯の可能性又は共犯の可能性いずれも存するという発言者の見立てを述べるものにすぎず、番組が独自に原告を犯人だと断定しているものではない。 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 28 何度も関与を否定取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ乙6の1の2 犯人であることを否定する発言のみを強調し、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するように誘導して視聴者の注目を集める表現である。 原告 ともに、左記の内容のテロップ乙6の1の2 犯人であることを否定する発言のみを強調し、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するように誘導して視聴者の注目を集める表現である。 原告が強調して話していた部分を強調した、又は、原告の発言をまとめて表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 29 ええ違います同上乙6の1の2 同上同上悪質“改元詐欺”その巧妙な手口は…B直撃の男逮捕サイドテロップ乙6の1の1原告が本件詐欺未遂事件の犯人であると断定するような表現を用いて視聴者に誤信を与えるもの。 このコーナーの見出しであり、改元詐欺の手口を紹介すること、及び、番組が取材した男性が逮捕されたことを伝えるものである。悪質、巧妙な手口との表現は本件詐欺未遂事件を指す表現であり、原告が犯罪行為をしたと伝えるものではない。 独自直撃取材に語った“ウソ”“詐欺”余罪は?捜査行方は? サイドテロップ乙6の1の1同上ここでいう「“ウソ”」とは、警察の発表を前提とすれば原告の発言がうそであるとの趣旨であり、番組として原告がうそを述べたと断定していないことを示している。番組内で取材者が、原告が犯人であるとは信じられない旨述べていることや、コメンテーターも同様の趣旨を述べていたことからすれば、視聴者においてうそであることを強調するものであると受け取ることはない。また、「“詐欺”余罪は?」との表現は、警察が、本件詐欺未遂事件と同種の手口による犯行9件との関連性を捜査しようとしていたことからその てうそであることを強調するものであると受け取ることはない。また、「“詐欺”余罪は?」との表現は、警察が、本件詐欺未遂事件と同種の手口による犯行9件との関連性を捜査しようとしていたことからその意を示そうとしたものである。このことは、原告の余罪を問題視するような発言がないことからも裏付けられる。 32 自分とは一切関係ないはっきり言って迷惑している原告の写真に吹出しをつけて左記の文字を表示している。 乙6の1の1同上原告がそのとおりの発言をしたことを伝えるものであり何ら誤信を招くものではない。 こういうことでキャッシュカードだまし取られたっていう方はぜひ被害届をしていただきたい。詐欺未遂罪よりも既遂罪のほうが重い罪ですのでね。そういう意味でテレビ見ていらっしゃる方のご相談をくださいということですね。 取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の発言がされる。 乙6の1の1同上原告を犯人視するものとはいえない。 本件放送7 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 34 部屋から出てきたのはD容疑者取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「D容疑者」との部分は青色の文字)乙6の2の2⑩犯人であることを否定する発言のみを強調し、「犯人のくせにこんなことを言っている」と嘲笑するように誘導して視聴者の注目を集める表現である。 原告の社会的評価を低下させることと関連しない。 Q.絶対に違いますね? 違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の青色の文字のテロップ乙6の2の2⑬同上原告が述べていたことを表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けと 乙6の2の2⑬同上原告が述べていたことを表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 「私書箱は悪用された」「2、3年前から詐欺グループに悪用されてきた」取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の2の2㉔同上同上 37 そうですね気をつけていただきたい取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「気をつけていただきたい」との部分は赤色の文字)乙6の2の2㉝同上同上 38 ええ違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の黄色の文字のテロップ乙6の2の2㊺同上同上 39 違います違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の2の2㊼同上同上本件放送8 Q 詐欺の犯人グループに関してはどう思う? もう早いところ捕まえていただきたい取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「捕まえていただきたい」との部分は白文字に赤色の縁取り)乙6の3の2②46に同じ原告が述べていたことを表示したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受け止めることはない。仮にそう受け止めたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 “新元号”発表間近「改元」をネタにキャッシュカードを…男逮捕!悪質な“改元詐欺”の手口(テロップ)「改元」口実に…高齢者狙う逮捕前の取材で関与否定(サイド 定しているとはいえない。 “新元号”発表間近「改元」をネタにキャッシュカードを…男逮捕!悪質な“改元詐欺”の手口(テロップ)「改元」口実に…高齢者狙う逮捕前の取材で関与否定(サイドテロップ)画面左半分に原告の写真を表示するとともに、左記の内容のテロップを画面下半分に。サイドテロップを画面右上部に表示している。 乙9の146に同じ新元号の発表が間近である時期に本件詐欺未遂事件が発生したところ、その被疑者として原告が逮捕されたことを表現するものである。 42 図1フリップ46に同じ同フリップを含めコーナー全体において警察の見立てを紹介したものであり、視聴者において、同コーナーにおける表現につき、警察の見立てを離れて番組独自に原告を犯人視しているものと受けとめることはない。 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 Q.ここは詐欺をするために借りた場所ではない? ええ違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「違います」との部分は白文字に赤色の縁取り)乙6の3の2③46に同じ40に同じ 44 Q.絶対違いますね? 違います同上乙6の3の2④46に同じ同上 Q.改元詐欺の返送先住所に使われていることをどう思う? 非常に迷惑していますね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(原告の発言である「迷惑」との部分は白文字に赤色の縁取り)乙6の3の2⑧46に同じ同上 演技が上手ですよね。悪い人って意外と演技上手ですよね。 まぁだから犯人だったんでしょうけど。 取材に答える原告の映像とともに、コメンテーターによって左記の内容の発言がされる。 乙9の1この発言にあらわれているとおり、原告が犯人であると ですよね。 まぁだから犯人だったんでしょうけど。 取材に答える原告の映像とともに、コメンテーターによって左記の内容の発言がされる。 乙9の1この発言にあらわれているとおり、原告が犯人であると断定し、嘲笑するような構成となっている。 一般論を述べたものにすぎない上、MCが、その直後に「容疑者なんですけど。」と発言し、さらに、「まだ容疑者ですからね。本当はどうだか分かりませんけど。」と述べ、原告をの犯人とみなすことを否定し、犯人視してはならないことを伝えていることからすれば、コメンテーターによる左記の発言をもって原告を犯人とみなしているということはできない。 Q.こちらにお住まいですか? お住まいというかうちは施設私書箱Q.改元詐欺の返送先住所に使われているが? 非常に迷惑してますね他のお客様もこちらの住所を使いづらくなるまた同じような郵便物が届いた場合には受け取り拒否という形で対応させていただくQ.犯人グループに関しては? もう早いところ捕まえていただきたいですね原告の写真に吹出しをつけて左記の文字(「非常に迷惑してますね」、「早いところ捕まえていただきたい」との部分は赤色の文字)を表示している。 乙9の1同上原告がそのとおりの発言をしたことを伝えるものであり何ら問題ない。 本件放送9 48 直撃!“改元詐欺の男”巧妙な手口とは? サイドテロップ乙6の4の2原告が犯人であると断定するにとどまらず、誹謗中傷までしている。 「改元詐欺の男」とは、いわゆる改元詐欺の疑いで逮捕された男又は改元詐欺の疑いで逮捕されたという男との趣旨であり、原告を犯人視するものではない。また、「巧妙な手口とは?」は、本件詐欺未遂事件の手口について述べているものであって、原告が巧妙な手口を用いたという趣旨ではな で逮捕されたという男との趣旨であり、原告を犯人視するものではない。また、「巧妙な手口とは?」は、本件詐欺未遂事件の手口について述べているものであって、原告が巧妙な手口を用いたという趣旨ではない。 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 男が語った20分間で見えてきたのは、改元詐欺の巧妙な手口と男の裏の顔でした。 左記の内容のナレーション乙4の4同上このナレーションの前後において原告が本件詐欺未遂事件の手口を語る場面も、原告に裏の顔があると受け取り得る話もなく、また、原告が改元詐欺の巧妙な手口に関与したとの事情や、原告の裏の顔の存在をうかがわせる事情もない。そうであれば、このナレーションは具体的な内容を欠く無意味なものであり、原告を犯人視するものではない。 ええ違います取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の4の2②原告が犯人であると断定するとともに、過去の原告の発言を嘲笑している。 本件取材において原告が述べたことのうち本件詐欺未遂事件との関係を否定する部分を強調したものにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受けとめられることはない。仮にそう受けとめられたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 51 違います同上乙6の4の2④同上同上 52 引っかからないでいただきたいということですよね同上乙6の4の2⑩同上同上 53 裏の顔左記の内容の青色の文字のテロップ乙6の4の2⑫同上「男が語った20分間で見えてきたのは、改元詐欺の巧妙な手口と男の裏の顔でした。」とのナレーションとともに表示されたものであるが、本件取材において の青色の文字のテロップ乙6の4の2⑫同上「男が語った20分間で見えてきたのは、改元詐欺の巧妙な手口と男の裏の顔でした。」とのナレーションとともに表示されたものであるが、本件取材において、原告から本件詐欺未遂事件の手口が語られることもなく、原告の裏の顔が浮かび上がることもない。また、上記ナレーションも上記手口や「裏の顔」に言及していない。そのことからすれば、上記ナレーション及びテロップは具体的な意味を持たないものであり、原告を犯人視するものでもない。 54 先日警察の方も来ましてかなり迷惑はしているんですよね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「迷惑はしている」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㉒同上50と同じ。 いえこちらは郵便物を受け取ってお渡しする私書箱になりますので…取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「私書箱」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㉔同上同上 「郵便や荷物の受け取りを代行する私設私書箱として借りている」私書箱として用いていた部屋内の映像とともに、左記の内容のテロップ(「私設私書箱」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㉗同上同上 57 詐欺とは無関係私書箱として用いていた部屋内の映像とともに、左記の内容の赤色の文字のテロップ乙6の4の2㉘同上同上 表現内容表現方法 証拠 原告の主張被告の主張 58 「自分は詐欺と一切関係ない」私書箱として用いていた部屋内の映像とともに、左記の内容のテロップ(白文字に赤色の縁取り)乙6の4の2㉞同上同上 59 非常に迷惑していますね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「迷惑」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㊳同上同上こ の縁取り)乙6の4の2㉞同上同上 59 非常に迷惑していますね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「迷惑」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㊳同上同上これ以上被害があっては困るので取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「被害」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㊶同上同上 61 もう早いところ捕まえていただきたいですよね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「捕まえていただきたいですよね」との部分は赤色の文字)乙6の4の2㊼同上同上 62 引っかからないでいただきたいということですよね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「引っかからないでいただきたい」との部分は赤色の文字)乙6の4の2 同上同上 63 気をつけていただきたいしかないですよね取材に答える原告の映像とともに、左記の内容のテロップ(「気をつけていただきたい」との部分は赤色の文字)乙6の4の2 同上同上 64 犯行への関与否定取材に答える原告の映像とともに、左記の内容の青色の文字のテロップ乙6の4の2 同上同上 逮捕前インタビューにペラペラと喋っていたD容疑者ということですね。 MCによる左記の内容の発言乙9の2頁番組の最初から「ペラペラと」という表現を使い、原告が犯人であると断定するとともに、過去の原告の発言を嘲笑している。 多弁又は能弁であることを意味する表現であるが、消極的な印象を含み得る。しかし、そのことをもって原告を犯人視したものとはいえない。 66 図2フリップ乙9の2頁50に同じ。 本件詐欺未遂事件の説明とその事件に関与した疑いで原告が逮捕されたことを説明するものである。 もって原告を犯人視したものとはいえない。 66 図2フリップ乙9の2頁50に同じ。 本件詐欺未遂事件の説明とその事件に関与した疑いで原告が逮捕されたことを説明するものである。 Q.詐欺グループの拠点では? こちらは(私設)私書箱になります取材に答える原告の写真に吹出しをつけて左記の「こちらは(私設)私書箱になります」との文字を表示している。 乙9の2頁同上原告がそのとおりの発言をしたことを伝えるものであり何ら問題ない。 68 図2フリップ乙9の2頁同上本件詐欺未遂事件の説明とその事件に関与した疑いで原告が逮捕されたことを説明するものである。 69 図2フリップ乙9の2頁同上同上 70 直撃容疑者は逮捕前に「早く捕まえて」サイドテロップ乙9の2頁同上本件取材において原告が述べたことを表示したにすぎず、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準としてこれを見たときに原告がうそをついているだとか、原告を嘲笑していると受け止めることはない。仮にそう受け止めたとしても、原告を犯人と断定しているとはいえない。 (別紙)図1及び図2については記載を省略。

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