主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。理由 上告代理人谷五佐夫の上告理由第一点について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。同第二点について他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときには、民法一六三条により、土地の賃借権の時効取得を肯認することができるものと解すべきことは、既に当裁判所の判例とするところであり(昭和四二年(オ)第九五四号同四三年一〇月八日第三小法廷判決・民集二二巻一〇号二一四五頁)、他人の土地の管理権を与えられ他に賃貸する権限をも有していると称する者との間で締結された賃貸借契約に基づいて、賃借人が平穏公然に土地の継続的な用益をしているときには、右用益が賃借の意思に基づくことが客観的に表現されている場合にあたるものとして、賃借人は、民法一六三条所定の時効期間の経過により、土地の所有者に対する関係において右土地の賃借権を時効取得するに至ると解するのが相当である。これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、(一) 本件土地を含む神戸市a区bc丁目d番のe宅地二五五・二七平方メートルは、もとD及びEの共有であり、Fは、右地上に存する同人ら所有建物の賃借人にすぎず、当時空地になつていた本件土地を他に賃貸する権限はなかつたのに、被上告人らに対し、本件土地の所有者は外国人であるが、国外に居住しているため、自分がその- 1 -管理をまかされており、他に賃貸する権限をも与えられていると称して、これを信じた被上告人両名との間で、Fが らに対し、本件土地の所有者は外国人であるが、国外に居住しているため、自分がその- 1 -管理をまかされており、他に賃貸する権限をも与えられていると称して、これを信じた被上告人両名との間で、Fが自己の名において本件土地を被上告人両名に賃貸する旨の契約を締結した、(二) 被上告人らは、本件土地賃借後直ちに本件土地の整地作業に着手してこれを完了したうえ、地上に建物を建築して所有し、右建物に居住して本件土地の占有を平穏公然に継続してきた、(三) 被上告人らは、本件土地を賃借して以来、F及びその相続人らに対し賃料を支払つてきた、というのであつて、以上の事実関係のもとにおいては、被上告人B1の本件土地の継続的な用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されていると認めるのが相当であり、同被上告人は、民法一六三条所定の時効期間の経過により、本件土地の所有者に対する関係において本件土地の賃借権を時効取得することができるものといわなければならない。 は、本件土地を賃借して以来、F及びその相続人らに対し賃料を支払つてきた、というのであつて、以上の事実関係のもとにおいては、被上告人B1の本件土地の継続的な用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されていると認めるのが相当であり、同被上告人は、民法一六三条所定の時効期間の経過により、本件土地の所有者に対する関係において本件土地の賃借権を時効取得することができるものといわなければならない。これと同旨の原審の認定判断は正当であり、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。同第三点について原判決によれば、原審は、Fが被上告人B2に対しても本件土地を賃貸したと認定していることが明らかであつて、右認定がないことを前提とする所論は失当である。論旨は、理由がない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官団藤重光裁判官岸上康夫裁判官藤崎萬里- 2 - 裁判官 岸上康夫 裁判官 藤崎萬里
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