- 1 -平成30年11月2日判決言渡平成30年(行コ)第59号所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審大阪地方裁判所平成27年(行ウ)第393号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 兵庫税務署長が平成26年3月14日付けでした控訴人の平成22年分の所得税の更正のうち納付すべき税額マイナス(還付金の額に相当する税額)88万0900円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 3 兵庫税務署長が平成26年3月14日付けでした控訴人の平成23年分の所得税の更正のうち納付すべき税額4万7400円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 4 兵庫税務署長が平成26年3月14日付けでした控訴人の平成24年分の所得税の更正のうち納付すべき税額40万4600円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,Bの屋号でLPガス,A重油,灯油等の燃料小売業を営む控訴人が,平成22年分から平成24年分まで(以下「本件各年分」という。)の所得税の確定申告において,控訴人が代表者を務める株式会社C(以下「本件会社」という。)にBの業務を委託したとして,その外注費(以下「本件外注費」という。)を事業所得の金額の計算上必要経費に算入したところ,兵庫税務署長- 2 -が,本件外注費を必要経費に算入することはできないとして,控訴人に対し,本件各年分の所得税の更正(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)を いとして,控訴人に対し,本件各年分の所得税の更正(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)をしたため,控訴人が,被控訴人に対し,本件各更正処分のうち各申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求めている事案である。 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,同人がこれを不服として控訴を申し立てた。 2 関係法令の定め,前提となる事実原判決「事実及び理由」中の第2の1及び第2の2(原判決2頁21行目から5頁9行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 主たる争点(1) 本件外注費は原告の事業所得に係る必要経費に該当するか(2) 本件取引が所得税法157条1項の規定による同族会社の行為計算否認の対象となるか(3) 本件各更正処分の理由附記に不備があるか 4 主たる争点に関する当事者の主張後記5のとおり,当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の第2の4(原判決5頁15行目から14頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 5 当審における控訴人の主張(1) 本件外注費は必要経費に該当すること(争点①)ア本件会社とは私法上有効な契約関係があり,本件会社がそれに基づいて役務を提供したにもかかわらず,これらを否定して課税処分を行うことは許されないこと(ア) 租税法律主義の下において,当事者が選択し,有効に成立している- 3 -法形式・取引関係を無視し,又は引き直して課税処分を行うことは,明文の規定なしには許されない。 Bと本件会社との間には私法上有効な契約関係があり,本件会社は,当該契約に基づき,本件配達販売の役務を提供した。 無視し,又は引き直して課税処分を行うことは,明文の規定なしには許されない。 Bと本件会社との間には私法上有効な契約関係があり,本件会社は,当該契約に基づき,本件配達販売の役務を提供した。 別人格である事業主と同族会社との間に有効な契約があり,当該契約に基づき,同族会社の代表者が事業主からの受託業務に従事し,事業主から同族会社に外注費が支払われれば,当該外注費を必要経費に算入できることは当然である。 本件外注費の実質は控訴人自身に対する報酬であるから所得税法37条1項に定める必要経費ではないと判断することは,当事者が選択し,有効に成立している私法上の取引関係を,法的根拠なく否定し,引き直すものであって許されない。 所得税法37条1項は,租税回避の防止のための規定ではなく,そのような機能も有していない。事業主が,同族会社との私法上有効な取引を利用して租税回避を図ったというのであれば,それは所得税法157条1項で対処すべき問題である。 (イ) 本件外注費がその実質において事業主自身の労働の対価(報酬)であるとすると,Bは,本件会社から役務の提供を受けておらず,本来支払う必要のない金銭を外注費名目で支払ったことになり,その支払は,法律上の原因のないものか,又は贈与だったことになる。そうであれば,業務との関連性要件を満たす余地はない。ところが,原判決は,関連性要件が認められることを前提としており,論理が破綻している。 必要経費該当性の要件に関してどのような見解に立つにせよ,必要経費該当性の判断における決定的なメルクマールは,所得稼得行為(業務)との関連性である。そして,関連性要件と必要性要件の充足- 4 -を判断する要素は相当程度重なっており,とりわけ,所得稼得行為(業務)との間の直接の関連性が認められるだけの事情が 稼得行為(業務)との関連性である。そして,関連性要件と必要性要件の充足- 4 -を判断する要素は相当程度重なっており,とりわけ,所得稼得行為(業務)との間の直接の関連性が認められるだけの事情が存在するものとして関連性が充足されるような場合に,なおも必要性要件の充足を欠くがゆえに必要経費に該当しないという判断は,罰金等の政策的理由で明文の規定によって必要経費該当性が否定される場合や,金額が過大であるような特殊な場合を除いて想定し得ない。本件外注費については,金額が過大であるとの事情も認められない。 イ事業承継により事業主と業務遂行者が同一人となったことを理由に,必要性要件を否定することはできないこと(ア) 事業所得の金額の計算において必要経費を控除するのは,所得を稼得するための投下資本の回収部分に課税が及ぶことを避けるためであるところ,事業所得の源泉は事業それ自体であるから,投下資本の回収部分の意義や範囲は,当該事業に即して(いわば物的に)規定されなければならず,そこに納税者の人的事情が介在する余地はない。したがって,事業主と業務遂行者が同一人となったといった納税者の人的事情は必要経費該当性の問題ではない。 そのことは,所得税法が,納税者自身が代表取締役を務める会社への支払につき,支払先が生計を一にする親族の場合に必要経費への算入を原則否定する56条のような特別の規定を設けていないことからも明らかである。民法の混同に類似した発想を所得税法37条1 項の解釈及び適用に持ち込むことは誤りである。 (イ) 仮に本件会社の控訴人以外の従業員がBからの受託業務に従事していたとすると,原判決の立場においても,そのような労務の提供は本件会社によるものであり,本件会社に対して支払われた外注費は必要経費に該当することになったはずで 外の従業員がBからの受託業務に従事していたとすると,原判決の立場においても,そのような労務の提供は本件会社によるものであり,本件会社に対して支払われた外注費は必要経費に該当することになったはずであって,本件会社から誰が派遣されたかは,必要性要件と関係ない。 - 5 -(ウ) 最高裁平成13年7月13日第二小法廷判決・集民202号673頁は,労務の提供や金員の支払の具体的態様等を考察して給与所得に該当するとの判断をしているところ,本件は,Bが本件会社に外注をし,本件会社から,実際には本件会社の代表取締役である事業主から役務の提供を受けたものであり,当然に必要経費に該当しないとして否認されるべきものではない。 (エ) Bが本件会社以外の第三者に外注した場合,当該外注費は必要経費となり,消費支出には該当しない。また,DがBの事業主であった時も,本件会社に対する外注費は消費支出(家事費)には該当しない。 それなのに,Bの事業主が控訴人に交替したことのみをもって,本件外注費を消費支出に該当するというのはあり得ない。 ウ本件外注費を必要経費として認めなければ,税負担や課税の公平性を欠くこと本件では,本件外注費を必要経費と認めても,所得の減少を生じさせることはないから,租税回避が起こるともいえない。他方,控訴人は,本件外注費を現実に支払っているのに,当該費用につき必要経費としての控除が認められないと,外注配達費に依拠している給与所得をも課税対象とされ,Dが事業主であった時や,第三者に外注する場合と比較して明らかに重い税負担を強いられることになり,税負担や課税の公平性を欠く。 (2) 本件各更正処分における理由附記は十分ではないこと(争点③)ア本件会社との間の委託契約に基づき帳簿に記載された外注配達費の記載を事業主自身に対 とになり,税負担や課税の公平性を欠く。 (2) 本件各更正処分における理由附記は十分ではないこと(争点③)ア本件会社との間の委託契約に基づき帳簿に記載された外注配達費の記載を事業主自身に対する報酬とみて必要経費該当性を否定するのであれば,帳簿書類の記載自体を否認する場合と変わらない。したがって,原審における被控訴人の反論はその前提を欠く。 イ本件各更正通知書においては,「所得税の負担を不当に減少させる結- 6 -果」の判断基準に基づいた当てはめが具体的になされておらず,納税者は,更正処分の附記理由の記載自体から,法令等の適用関係やその判断過程を検証することができない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。 その理由は,次のとおり補正し,後記2及び3のとおり,当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の第3の1及び第3の2(原判決14頁13行目から26頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決19頁6行目の「甲1~15」を「甲1~3,12~15」に改める。 (2) 原判決23頁16行目の「必要経費に該当しない」を「必要経費に該当する」に改める。 2 本件外注費の必要経費該当性に関する当審における控訴人の主張について(争点①)(1) 本件会社とは私法上有効な契約関係があり,本件会社がそれに基づいて役務を提供したにもかかわらず,これらを否定して課税処分を行うことは許されないとの主張についてア Bたる控訴人と本件会社との間に私法上有効な契約関係があり,本件会社は,それに基づいて本件配達販売という役務を提供したと認められることは,控訴人が主張するとおりである。本件外注費は,上記役 てア Bたる控訴人と本件会社との間に私法上有効な契約関係があり,本件会社は,それに基づいて本件配達販売という役務を提供したと認められることは,控訴人が主張するとおりである。本件外注費は,上記役務提供の対価として支払われたものと認められる。 しかし,前記1で引用した原判決「事実及び理由」中の第3の1(2)の認定事実を基に検討すると,同第3の1(3)において説示するとおり,控訴人による本件委託業務の遂行の実質は,控訴人が自らBの事業主とし- 7 -て主体的にその業務を遂行していたものであり,「外注配達費」や「人夫派遣費」という名目で本件会社に支払っていた本件外注費は,本来支払う必要のない事業主自身の労働の対価(報酬)と評価されることから,本件外注費は,委託契約を否認するまでもなく,社会通念上,Bの業務の遂行上必要であるとはいえず,必要経費該当性の判断基準における必要性要件を欠くものと認められる。 なお,ここにおいて,「外注配達費」や「人夫派遣費」という名目で本件会社に支払っていた本件外注費を,本来支払う必要のない事業主自身の労働の対価(報酬)と評価したからといって,当事者が選択し,有効に成立している私法上の取引関係の法形式を引き直して認定するものではなく,本件外注費の支払が業務の遂行上必要なかったことの根拠として述べるものに過ぎない。 したがって,この点に関する控訴人の上記主張は採用できない。 イ控訴人は,原判決が,本件外注費の支払につき,関連性要件を満たしつつ,必要性要件を欠くと判断したことについて,論理が破綻している旨主張し,その根拠として,本件外注費がその実質において事業主自身の労働の対価(報酬)であるとすると,Bは,本件会社から役務の提供を受けておらず,本来支払う必要のない金銭を外注費名目で支払ったことにな 張し,その根拠として,本件外注費がその実質において事業主自身の労働の対価(報酬)であるとすると,Bは,本件会社から役務の提供を受けておらず,本来支払う必要のない金銭を外注費名目で支払ったことになり,その支払は,法律上の原因のないものか,又は贈与だったことになるから,関連性要件を満たす余地はないということを挙げる。 しかし,Bたる控訴人と本件会社との間に私法上有効な契約関係があり,本件会社は,それに基づいて本件配達販売という役務を提供したと認められることは,前記アにおいても説示したとおりである。Bたる控訴人・本件会社間の契約は有効であるから,それに基づく本件外注費の支払は,不当利得でも贈与でもない。その一方で,Bたる控訴人とは別の取引主体である本件会社から業務に関連する役務の提供を受け,その- 8 -対価として本件外注費が支払われている以上,業務との関連性は認められる。したがって,控訴人が原判決の判断は論理が破綻している旨主張するのは当たらない。 また,控訴人は,本件外注費の支払につき,関連性要件を満たしつつ,必要性要件を欠くとの原判決の判断は想定し得ないものであるとも主張する。しかし,控訴人自身,業務との関連性は認められるが,業務遂行上の必要性がないと認められる場合の存在を認めているところ,本件外注費の支出は,業務との関連性は認められるものの,本件配達販売は,控訴人が自らBの事業主として主体的に遂行していたと評価される以上,本件外注費の全額について業務遂行上の必要性が認められないのは当然であり,控訴人の上記主張もまた当たらない。 (2) 事業承継により事業主と業務遂行者が同一人となったことを理由に,必要性要件を否定することはできないとの主張についてア控訴人は,事業所得の金額の計算において必要経費を控除するのは,所得 (2) 事業承継により事業主と業務遂行者が同一人となったことを理由に,必要性要件を否定することはできないとの主張についてア控訴人は,事業所得の金額の計算において必要経費を控除するのは,所得を稼得するための投下資本の回収部分に課税が及ぶことを避けるためであるところ,事業所得の源泉は事業それ自体であるから,投下資本の回収部分の意義や範囲は,当該事業に即して規定されなければならず,そこに納税者の人的事情が介在する余地はない旨主張する。 事業所得の金額の計算に当たり必要経費を控除する趣旨に照らせば,必要経費該当性の判断は,控訴人が指摘するとおり,所得を稼得するための投下資本の回収部分であるか否かという判断にほかならない。投下資本の回収部分であるか否かの判断に当たっては,個別具体的な諸事情に即し,社会通念に従って実質的に判断すべきであるところ,その際に,納税者の人的事情を考慮に入れない理由はないというべきである。 所得税法は,生計を一にする親族が受ける事業上の対価について,必要経費の特例を定める規定(同法56条)を設けているが,本件のよう- 9 -に,納税者が,納税者自身が代表取締役を務める会社である場合についての規定はない。しかし,所得税法は,納税者と事業上の対価の支払先の関係につき,あらゆる場合を想定した上で,特例を定める場合以外においては,必要経費該当性の判断において納税者と事業上の対価の支払先の関係を一切考慮しないとの趣旨で56条等の特例を定めたとは考えられない。したがって,そのような特例が定められていないことをもって,納税者から,納税者が代表取締役を務める会社に対する事業上の対価の支払がおよそ必要経費該当性を否定されることはないということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 イ控訴人は, から,納税者が代表取締役を務める会社に対する事業上の対価の支払がおよそ必要経費該当性を否定されることはないということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 イ控訴人は,本件会社から誰が派遣されたかは必要性要件と関係ない旨主張する。しかし,前記アにおいても説示したとおり,必要経費該当性につき,個別具体的な諸事情に即し,社会通念に従って実質的に判断するに当たっては,納税者の人的事情も当然考慮に入れることとなる。そして,本件における個別具体的な事情として,本件会社により提供される役務には,事業主自身が従事することが予定されており,しかも,事業主が本件会社の代表者であるということがあり,これらの点を踏まえ,本件外注費の支払は社会通念上業務遂行上の必要がないと判断されたのである。他の従業員が従事するのであれば,そもそも,本件外注費をもって,本来支払う必要のない事業主自身の労働の対価(報酬)と評価することができないことは明らかであって,控訴人の上記主張は採用できない。 ウ控訴人は,最高裁平成13年7月13日第二小法廷判決・集民202号673頁を引用して,本件外注費が当然に必要経費に該当しないとして否認されるべきものではない旨主張するが,上記最高裁判決は,民法上の組合の組合員が組合の事業に係る作業に従事して支払を受けた収入- 10 -が給与なのか利益の分配なのかが争われた事案に関するものであるところ,本件の結論を左右するものとはいえない。 エ控訴人は,Bが本件会社以外の第三者に外注した場合や,DがBの事業主であった時には,本件会社に対する外注費の支払は消費支出には該当しないのに,Bの事業主が控訴人に交替すると本件外注費は控訴人の消費支出に該当するというのはあり得ない判断である旨主張する。 しかし,ある支出 には,本件会社に対する外注費の支払は消費支出には該当しないのに,Bの事業主が控訴人に交替すると本件外注費は控訴人の消費支出に該当するというのはあり得ない判断である旨主張する。 しかし,ある支出が所得税法37条1項所定の必要経費に該当しなければ,多くの場合は同法45条1項1号の家事上の経費等(消費支出)に当たることになる。本件外注費が,業務遂行上の必要性が認められないために必要経費に該当しないと判断される結果,控訴人の消費支出に該当するとの結論が不合理なものであるとはいえない。 オ以上のとおり,事業承継により事業主と業務遂行者が同一人となったことを,必要性要件を否定する理由とすることはできないとの控訴人の主張は採用できない。 (3) 本件外注費を必要経費として認めなければ,税負担や課税の公平性を欠くとの主張について控訴人は,本件外注費を必要経費として認めても,所得の減少を生じさせることはないから,租税回避が起こるともいえない上,本件外注費を現実に支払っているのに,当該費用につき必要経費としての控除が認められないと,外注配達費に依拠している給与所得をも課税対象とされ,Dが事業主であった時や,第三者に外注する場合と比較して明らかに重い税負担を強いられることになり,税負担や課税の公平性を欠く旨主張する。 しかし,本件外注費について業務遂行上の必要性が認められない以上は,Dが事業主であった時や,第三者に外注する場合よりも税負担が重い結果となっても,税負担や課税の公平性を欠くものとはいえないから,控訴人の上記主張は採用できない。 - 11 - 3 本件各更正処分における理由附記に関する当審における控訴人の主張について(争点③)(1) 帳簿書類の記載自体を否認する場合に該当するかについて控訴人は,本件会社との間の委託契約 11 - 3 本件各更正処分における理由附記に関する当審における控訴人の主張について(争点③)(1) 帳簿書類の記載自体を否認する場合に該当するかについて控訴人は,本件会社との間の委託契約に基づき帳簿に記載された外注配達費の記載を事業主自身に対する報酬とみて必要経費該当性を否定するのであれば,帳簿書類の記載自体を否認する場合と変わらない旨主張する。 しかし,前記2においても説示したとおり,本件外注費は,本件会社から,Bたる控訴人に対して本件配達販売の役務提供の対価として支払われたものと認められる。ただ,本件外注費の支出につき,業務遂行上の必要性が認められない根拠として,本来支払う必要のない事業主自身の労働の対価(報酬)を,「外注配達費」や「人夫派遣費」という名目で本件会社に支払っていたものと評価されるにすぎない。 したがって,控訴人の上記主張は,その前提を欠くものであって採用できない。 (2) 本件各更正通知書における理由の記載について控訴人は,本件各更正通知書においては,「所得税の負担を不当に減少させる結果」の判断基準に基づいた当てはめが具体的になされておらず,納税者において更正の附記理由の記載自体から,法令等の適用関係やその判断過程を経ていることを検証することができない旨主張する。 しかし,前記1で引用した原判決「事実及び理由」中の第3の2(2)において説示するとおりの本件各更正通知書(甲4の1~4の3)の記載内容が,更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という観点から見て,更正の根拠を具体的に明示するのに十分でないということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は,採用できない。 4 結論以上の次第で,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴- 12 -は理由がないから,これ 主文 以上の次第で,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 ないということはできない。したがって,控訴人の上記主張は,採用できない。 大阪高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 山田陽三 裁判官 種村好子 裁判官 中尾 彰
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