- 1 -令和3年6月3日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(行ウ)第171号不当利得請求権行使請求事件判決主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨及び原因本件に係る請求の趣旨及び原因は,別紙訴状の写し記載のとおりであり,要するに,広島県民であり納税者である原告らが,参議院議員(広島選挙区)で あったAが公職選挙法221条違反(買収)の罪により刑に処せられ,同法251条により同人の当選が無効となったため,同人がそれまで受領してきた歳費,期末手当及び文書通信交通滞在費は法律上の原因を欠くものとなったと主張して,納税者ないし国民としての資格に基づき,被告を相手に,同人に対する不当利得返還請求をすることを求める事案(客観訴訟)である。 第2 当裁判所の判断 1 行政事件を含む民事事件において裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は,法律において特に定める場合を除き,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」,すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって,かつ,それが法令の適用により終局的に解 決することができるものに限られるところ(最高裁昭和51年(オ)第749号同56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁参照),本件訴えは,原告らも客観訴訟であると自認するとおり,原告らの具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争について審判を求めるものではないから,上記「法律上の争訟」に当たらないことは明らかである。また,行政事件訴訟 法5条に定める「民衆訴訟」すなわち国又は公共団体の機関の法規に適合しな - 2 -い行為の是正を求める訴訟で,選挙人た 律上の争訟」に当たらないことは明らかである。また,行政事件訴訟 法5条に定める「民衆訴訟」すなわち国又は公共団体の機関の法規に適合しな - 2 -い行為の是正を求める訴訟で,選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものは,裁判所法3条1項の「その他法律において特に定める権限」に相当するものとして,法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる(行政事件訴訟法42条)ところ,本件訴えのように納税者ないし国民としての資格に基づき,国を相手に違法な公 金の支出や財産の管理に関する是正等を求める訴えを民衆訴訟として認める法律上の規定は存しない。 そうすると,本件訴えは,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」にも,行政事件訴訟法5条に定める「民衆訴訟」として法律に定めるものにも当たらないから,裁判所が審判する権限を有しない民衆訴訟についての審判を求める ものとして,不適法な訴えであるというべきである。 2 この点,原告らは,買収の罪で有罪判決が確定した地方議員に対し支払済みの議員報酬につき不当利得の返還を求める権利は地方自治法上の住民訴訟制度等により具体的に保障されているところ,国会議員に対して住民訴訟と同様の訴えを許さないとすれば憲法14条1項に違反すると主張する。しかしながら, 原告らを含め,全ての普通地方公共団体の住民は,当該普通地方公共団体における違法な公金の支出や財産の管理に関する是正等を求める住民訴訟を提起することができるところ,これのほかに,国を相手にこれらの是正等を求める訴えを提起することができないものとすることが憲法14条1項に違反するということはできず,住民訴訟のような特別の訴訟制度を国との関係でも設けるか 否かは立法政策に委ねられて らの是正等を求める訴えを提起することができないものとすることが憲法14条1項に違反するということはできず,住民訴訟のような特別の訴訟制度を国との関係でも設けるか 否かは立法政策に委ねられている事項であるから,原告らの上記主張は採用することができない。 3 以上によれば,本件訴えは不適法であり,かつ,その不備はその性質上補正することができないものであるから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条により,口頭弁論を経ないでこれを却下することとし,主文のとおり判決す る。 - 3 - 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官釜村健太 裁判官溝渕章展
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