平成30(行コ)360 措置期間継続決定処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成31年4月24日 東京高等裁判所
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判決文本文5,789 文字)

平成31年4月24日判決言渡平成30年(行コ)第360号措置期間継続決定処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(行ウ)第577号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 第2 事案の概要 1 本件は,東京都児童相談センター所長(処分行政庁)が,A(平成13年▲月▲日生まれ。以下「本件児童」という。)について,児童福祉法28条(平成29年6月21日法律第69号による改正前のもの。以下同じ。)1項1号に基づき,家庭裁判所の承認を得た上で,同法27条1項3号に基づく児童養護施設に入所させる措置(以下「本件入所措置」という。)を採り,その措置の期間が同法28条2項本文所定の2年を経過するに当たり,同項ただし書に基づく家庭裁判所に対する当該措置の期間の更新に係る承認の申立て(以下「本件承認の申立て」という。)をするとともに,同条3項本文に基づき,当該申立てに対する審判が確定するまでの間,引き続き本件入所措置を採る旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,本件児童の保護者である控訴人が,本件処分について,同項本文の「やむを得ない事情がある」とは認められず違法であるとして,その取消しを求める事案である。 原審は,本件訴えの提起後に本件承認の申立てに対する家庭裁判所の承認の審判(以下「本件審判」という。)が確定し,本件処分の効力は消滅したから, 本件訴えは,その訴えの利益が失われ,不適法であるとして,本件訴えを却下したところ,控訴人がこれを不服として本件控訴をした。 2 前提事実,本案前の争点及びこれに関する当事者の主張は,次の3のとおり当審における控訴人の主張を付加す ,不適法であるとして,本件訴えを却下したところ,控訴人がこれを不服として本件控訴をした。 2 前提事実,本案前の争点及びこれに関する当事者の主張は,次の3のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の第2「事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における控訴人の主張(1) 原判決は,「児童福祉法28条2項ただし書の規定による措置期間の更新に係る承認の申立てに対して,これを承認する審判が確定した場合には,その確定の時点において,同条3項本文による措置継続の効力が消滅するとともに,その確定の時点から,期間更新が承認された措置を開始することができる(措置期間を更新する旨の別段の決定等を要しない。)」と判示するが,児童福祉法28条2項ただし書の規定による措置期間の更新に係る承認の申立てに対してこれを承認する審判(以下,この審判を「更新承認の審判」ということがある。)は,親権者等の同意に代わって家庭裁判所が施設入所等の措置の妥当性を審理・判断するものにすぎず,これが確定したとしても,直ちに施設入所等の措置の効果が発生するものではなく,行政処分としての措置決定は必要であり,原判決は,司法の判断である更新承認の審判の効果と,児童相談所の行政処分である施設入所等の措置決定を混同している点に重大な誤りがある。 (2) 原判決は,更新承認の審判が確定すると,児童福祉法28条3項本文に基づく措置継続処分の効力が消滅して,上記審判の効力が,当初の措置の期間満了日に遡るかのような解釈を採っているが,これは,同法33条(平成29年6月21日法律第69号による改正後のもの。以下同じ。)に基づく一時保護に関する規定と矛盾するものであって,明らかな誤りである。すなわち,児童相談所が行う行政処分で ,これは,同法33条(平成29年6月21日法律第69号による改正後のもの。以下同じ。)に基づく一時保護に関する規定と矛盾するものであって,明らかな誤りである。すなわち,児童相談所が行う行政処分である一時保護は,2か月を超えてはならず(同条3項),親権者等の意に反して2か月を超えて一時保護をする場合に は2か月ごとに家庭裁判所の承認を受けなければならない(同条5項)とされ,「やむを得ない事情があるときは」「審判が確定するまでの間,引き続き一時保護を行うことができる」(同条6項)と規定されているところ,同条7項は,同条5項の審判による一時保護期間の起算点は「引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定した」ときであると規定しており,この審判が確定した場合であっても,同条6項による一時保護処分の効力が消滅することはなく,同処分を前提として審判が確定した時点から2か月間引き続き一時保護を行うことができるとしている。同法33条による一時保護の規定と,同法28条の施設入所措置に関する規定は,期間の違いこそあるものの,いずれも親権者の意に反する行政処分に対する家庭裁判所の承認審判という同様の規定であるから,両者について異なる解釈を採る合理性はなく,更新承認の審判が確定した場合の同法28条2項の措置の起算点は,同法33条7項と同様に,更新承認の審判が確定したときであると考えるべきである。 (3) 原判決は,「児童福祉法28条3項本文により継続された措置が適法・有効であることが,措置期間の更新ないしその承認の要件とはされて」いないと判断し,仮に「同条3項本文に基づく措置継続の処分が取り消されたとしても,それにより同条2項ただし書による措置期間の更新の違法性・有効性に影響を及ぼすものではない」として訴えの利益を否定するが,本件審判 し,仮に「同条3項本文に基づく措置継続の処分が取り消されたとしても,それにより同条2項ただし書による措置期間の更新の違法性・有効性に影響を及ぼすものではない」として訴えの利益を否定するが,本件審判についての抗告審の決定は,「措置期間継続決定に違法があれば保護者はその処分自体を争うことが可能である」ことを理由とし,「措置期間継続決定の適否及びその処分通知の時期が児童養護施設への入所の期間更新の承認の可否を左右するものとは解されない」として,児童福祉法28条3項本文に基づく措置期間継続決定の適否については,更新承認の審判の帰趨にかかわらず,別にその処分自体を争うことを認めており,本件において訴えの利益を認めないことは上記決定と矛盾するものであるし,控訴人には,事実上,司 法による救済手段は最初から国家賠償請求のみしかないということになり不当である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件訴えは,本件審判の確定により訴えの利益が失われたから,不適法であり却下すべきであると判断する。その理由は,次の2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の第3「当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決を次のとおり訂正する。 (1) 原判決5頁22行目の「家庭裁判所が期間更新を承認する措置」を「都道府県が家庭裁判所の承認を得て期間を更新して採る同条1項1号及び2号ただし書の規定による措置(施設入所等の措置)」と改め,6頁4行目の「(措置期間を更新する旨の別段の決定等を要しない。)」を削る。 (2) 原判決7頁6行目の「から」から「判決する」までを削る。 2 当審における控訴人の主張に対する判断(1) 控訴人は,第2の3(1)のとおり主張する。 しかしながら い。)」を削る。 (2) 原判決7頁6行目の「から」から「判決する」までを削る。 2 当審における控訴人の主張に対する判断(1) 控訴人は,第2の3(1)のとおり主張する。 しかしながら,上記1(1)のとおり原判決を訂正の上引用して説示したとおり,児童福祉法28条3項本文の規定内容及びその趣旨,同条2項ただし書による措置期間の更新と同条3項本文による措置継続との制度的な関係に鑑みれば,更新承認の審判が確定した場合には,その確定の時点において,同項本文による措置継続の効力が消滅するとともに,その確定の時点から,(同条2項ただし書による)期間更新が承認された措置を開始することができるというべきである。上記説示は,更新承認の審判が確定した場合に,その審判の効果として期間更新後の施設入所等の措置の効果が発生するとするものではないから,司法の判断である更新承認の審判の効果と行政処分である施設入所等の措置決定を混同しているとの控訴人の主張は当たらないし,そもそも,期間更新が承認された措置を開始する場合に,措置期間を更新する旨 の別段の決定等を要するか否かの点は,本件の結論を左右する事項ではない。 よって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 (2) 控訴人は,第2の3(2)のとおり主張する。 児童福祉法33条は,同条3項において,一時保護の期間について開始日から2月を超えてはならない旨を,同条4項において,必要があると認めるときは引き続き一時保護を行うことができる旨を,同条5項において,引き続き一時保護を行うことが当該児童の親権者等の意に反する場合においては,引き続き一時保護を行おうとするとき,及び引き続き一時保護を行った後2月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに家庭裁判所の承認を得なければならない旨をそれ 者等の意に反する場合においては,引き続き一時保護を行おうとするとき,及び引き続き一時保護を行った後2月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに家庭裁判所の承認を得なければならない旨をそれぞれ定め,さらに,同条6項において,前項の承認の審判の申立てをした場合において,やむを得ない事情がある場合には,一時保護を開始した日から2月を経過した後又は同項の規定により引き続き一時保護を行った後2月を経過した後も,当該申立てに対する審判が確定するまでの間,引き続き一時保護を行うことができる旨を規定しているところ,同条5項,6項は,児童に対して一定の措置等を引き続き採ることが親権者等の意に反する場合に家庭裁判所の承諾の審判を得てこれを採ることができ,その審判が確定するまでの間一定の事情がある場合に引き続き措置を採ることができる旨の規定であるという限りにおいて同法28条と同様の構造の規定であるということはできる。しかしながら,同法33条の一時保護については,2月を超えて引き続き一時保護を行う場合には家庭裁判所に対して承認の審判の申立てを行う必要があるのみならず,その後も2月ごとに承認の審判を得る必要があるところ,当初の一時保護の期間の満了前に家庭裁判所に対して承認の審判を申し立てたとしても,これに対する審判が確定するまでにやむなく当初の一時保護の期間が満了してしまうこともあり得るため,同条6項は引き続き一時保護を行うことができるものとしたが,その後に確定した審判により承認された一時保護の期間の起算日が当初の一時保護の期 間が満了した時点に遡るとすると,承認された一時保護の残存期間が僅かとなったり,場合によってはその期間も終了してしまっていたりすることとなる(それを避けるためには,当初の承認の審判の申立てに係る手続中に更に次の2月のた とすると,承認された一時保護の残存期間が僅かとなったり,場合によってはその期間も終了してしまっていたりすることとなる(それを避けるためには,当初の承認の審判の申立てに係る手続中に更に次の2月のために家庭裁判所の承認の審判の申立てをしなければならない。)ことから,同条7項が設けられて,引き続いての一時保護の起算点を家庭裁判所に対する承認の申立てに対する審判が確定した時としたものと解されること,同法33条7項の規定は,平成29年6月21日法律第69号(同30年4月2日施行)による同法の改正によって追加された規定であるところ,同法28条については同法33条7項のような規定が追加されていないことに照らすと,同法28条2項ただし書の規定による措置期間の更新に関して,更新承認の審判が確定した場合に,更新された措置期間の起算点が更新承認の審判の確定した時になるということはできず,当初の措置期間が終了した日の翌日から起算されるというべきである(なお,仮に同法28条2項ただし書の規定により更新された措置期間の起算点が更新承認の審判が確定した時になるとしても,上記1で原判決を引用して説示したとおり,同項ただし書による措置期間の更新は,同条3項本文により継続された措置の適法性・有効性を前提とするものではなく,したがって,仮に同条3項本文に基づく措置継続の処分が取り消されたとしても,それにより同条2項ただし書による措置期間の更新の適法・有効性に影響を及ぼすものではないというべきである。)。 よって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 (3) 控訴人は,第2の3(3)のとおり主張する。 しかしながら,児童福祉法28条3項本文に基づいてされた処分の取消しを求める訴えについて,更新承認の審判が確定した場合には,その訴えの利益がなくなるとしても, 第2の3(3)のとおり主張する。 しかしながら,児童福祉法28条3項本文に基づいてされた処分の取消しを求める訴えについて,更新承認の審判が確定した場合には,その訴えの利益がなくなるとしても,上記審判が確定するまでは,その処分の適否について争うことができるのであるから,本件において訴えの利益を認めないこと が,本件審判についての抗告審の決定と矛盾するものであるとか,この点に関する救済手段が国家賠償請求のみしかなく控訴人の保護に欠けるということはできない。 よって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 3 以上によれば,控訴人の本件訴えを却下した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第17民事部 裁判長裁判官川神裕 裁判官武藤真紀子 裁判官中辻雄一朗

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