令和3年(行ウ)第7号損害賠償請求義務付け請求(住民訴訟)事件令和4年(行ウ)第4号共同訴訟参加申出事件主文 1 原告及び原告共同訴訟参加人らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告及び原告共同訴訟参加人らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、Aに対し、金6600万円及びこれに対する令和3年1月21日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を請求せよ。 2 被告は、Bに対し、金6600万円及びこれに対する令和3年1月21日から 支払済みまで年3パーセントの割合による金員を請求せよ。 第2 事案の概要本件は、山梨県の住民である原告及び共同訴訟参加人らが、同県が令和3年1月8日に、A弁護士(本件の補助参加人。以下「A弁護士」という。)との間で締結した調査業務契約(以下「本件契約」という。)は、地方自治法(以下「法」と いう。)234条2項及び山梨県財務規則137条3項等に反し違法・無効であると主張し、被告を相手に、法242条の2第1項4号に基づき、A弁護士に対して、民法703条又は不法行為に基づき、同県知事B(以下「B知事」という。)に対して、不法行為に基づき、上記契約により同県が支出した金額合計6600万円及びこれに対する令和3年1月21日(上記契約に基づく支出日)から支払 済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払の請求をすることを求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、争いのない事実及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実については、証拠を掲記しない。) (1)当事者等 ア原告及び共同訴訟参加人らは、いずれも山梨 られる事実。なお、争いのない事実及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実については、証拠を掲記しない。) (1)当事者等 ア原告及び共同訴訟参加人らは、いずれも山梨県の住民である。 イ被告は、普通地方公共団体である山梨県の執行機関たる知事である。 ウ A弁護士は、本件契約の相手方である(甲8)。 (2)当庁平成29年(行ウ)第6号事件山梨県の住民1名は、平成29年10月6日、山中湖畔の県有地(以下「本 件各不動産」という。)について山梨県が締結した、賃借人をC株式会社(以下「C」という。)とする賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)における賃料が不当に低額であり「適正な対価」(法237条2項)でないことを理由に、歴代県知事及びCに対し、同契約上の賃料と適正な対価との差額について賠償請求をするよう求める住民訴訟を提起した(以下「平成29年第6号事件」 という。)。 (3)平成29年第6号事件の被告である山梨県知事は、当初、本件賃貸借契約における賃料は適正な対価であるとして請求棄却を求めた(乙15)。 その後、従前の被告訴訟代理人が辞任し、新たにA弁護士が、平成29年第6号事件の被告訴訟代理人に就任し、令和2年8月12日、A弁護士のもと、 山梨県知事は従前の主張を撤回した(甲21)。 (4)本件契約の締結山梨県は、令和3年1月8日、A弁護士に対し、本件各不動産に係る適正な賃料額並びにC及び歴代知事の責任について検証するなどの業務(以下「本件調査」という。)について、6600万円(税込み)で委託した(甲8)。 A弁護士は、令和3年1月13日、概算払で上記委託料の全額を請求し(甲17)、山梨県は、同月21日、A弁護士に対し、かかる委託料を支出した。 6600万円(税込み)で委託した(甲8)。 A弁護士は、令和3年1月13日、概算払で上記委託料の全額を請求し(甲17)、山梨県は、同月21日、A弁護士に対し、かかる委託料を支出した。 (5)山梨県は、令和3年2月1日、本件賃貸借契約に係る手続の適正性の検証等を所掌事項とする「住民訴訟に係る検証委員会」(以下「検証委員会」という。)を設置し、A弁護士が委員長となった(乙8)。 (6)山梨県知事は、令和3年2月12日、前記賃料は適正な対価とはいえず、本 件賃貸借契約は無効であるとして、Cに対し、適正賃料との差額分の不当利得返還請求権を有するなどと、主張を変更した(甲13)。 (7)検証委員会は、令和3年3月31日、山梨県に対し、本件契約に基づき、中間報告書(以下「中間報告書」という。)を提出した(甲11)。 (8)原告による監査請求等 原告は、同年6月17日、山梨県監査委員に対し、随意契約によれる場合ではないのに、本件契約を随意契約により締結したこと、見積り合わせを省略したことなどから、本件契約の締結は違法又は不当であって、本件契約は無効であるなどとして、B知事及びA弁護士へ、本件契約等により支出した額につき、その返還又は相当額の賠償をすることなどを求める旨の監査請求を行った(甲 1)。 山梨県監査委員は、同年8月11日、原告による監査請求を棄却した(甲9、10)。 原告は、同年9月8日、本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 (9)共同訴訟参加人らによる監査請求等 共同訴訟参加人らを含む山梨県の住民らは、令和3年6月29日、本件契約等が地方財政法4条1項及び法2条14項に違反するなどとして、山梨県監査委員に対し、B知事及びA弁護士へ、本件契約等により支出した額につき、その返 含む山梨県の住民らは、令和3年6月29日、本件契約等が地方財政法4条1項及び法2条14項に違反するなどとして、山梨県監査委員に対し、B知事及びA弁護士へ、本件契約等により支出した額につき、その返還又は相当額の賠償をすることを求める旨の監査請求を行った(丁1)。 山梨県監査委員は、同年8月25日、共同訴訟参加人らによる監査請求を棄 却した(丁2)。 共同訴訟参加人らは、令和3年9月21日、本件と同一の請求を含む別訴(当庁令和3年(行ウ)第8号事件)を提起した(顕著な事実。なお、かかる訴えは、本件に対する共同訴訟参加の申し出として扱うのが相当である)。 (10)山梨県財務規則(乙1) (随意契約) 第137条 3 契約担当者は、随意契約によろうとするときは、見積書を徴さなければならない。この場合、特別の理由がある場合を除き、予定価格が十万円以上のときは、二人以上の者から見積書を徴さなければならない。 (11)山梨県財務規則運用通知(乙2) ア見積り合わせを省略できる「特別な理由」につき、以下の場合が例示されている。 ① 一個人又は一会社の専有する物品を購入するとき。 ② 急施を要し、他の業者から見積書を徴するいとまがないとき。 ③ 見積書の提出を依頼しても他に提出者がないとき。 ④ 分解しなければ見積ることのできない物品又は施設等の修繕。 ⑤ 再度の入札に付し落札者がいないときで、当該入札参加者のうち最低の価格をもって入札した者と価格交渉により随意契約するとき。 ⑥ 落札者が契約を結ばないときで、次順位者と価格交渉に随意契約するとき。 イ参考として、「随意契約とはいえ、競争性により有利な契約が行えるものについては、複数の業者から き。 ⑥ 落札者が契約を結ばないときで、次順位者と価格交渉に随意契約するとき。 イ参考として、「随意契約とはいえ、競争性により有利な契約が行えるものについては、複数の業者から見積書を徴すことが必要であり、これを省略する場合にあっては、当該契約の内容、目的並びに時機等諸般の事情から、ある程度の経済性を犠牲にしても特定の者と契約すべき客観的な合理性がなければならないものであり、適用にあたっては個々の事情により慎重に判断 するものであること。」とされる。 2 争点(1)各請求に共通する争点本件契約の締結が違法か否か(2)A弁護士に対する不当利得返還請求権の成否に係る争点 ア本件契約は無効か イ A弁護士は本件契約が無効であることを知っていたか(3)A弁護士に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の成否に係る争点ア本件契約の締結につき、A弁護士に故意又は過失があったかイ損害及び因果関係(4)B知事に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の成否に係る争点 ア本件契約の締結につき、B知事に過失があったかイ損害及び因果関係 3 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(本件契約の締結が違法か否か)について(原告の主張) 本件契約は以下のとおり違法である。 ア随意契約により締結されたこと本件契約は随意契約により締結されているところ、「その性質又は目的が競争入札に適しない」場合(地方自治法施行令(以下「施行令」という。)167条の2第1項2号)に当たらず、随意契約によれる場合に当たらないか ら、法234条2項に違反する。 (ア)まず、本件契約に係る業務内容は、本件賃貸借契約に関わる適正、主に賃 。)167条の2第1項2号)に当たらず、随意契約によれる場合に当たらないか ら、法234条2項に違反する。 (ア)まず、本件契約に係る業務内容は、本件賃貸借契約に関わる適正、主に賃料の適正さ等を調査するものであり、特殊な調査ではなく、弁護士の多くが手掛ける一般的な業務であるから、特定の人間だけがこの業務に適しているわけではなく、特定の弁護士と随意契約をすることに合理性はない。 (イ)本件契約の前提となる平成29年第6号事件の山梨県知事の訴訟代理人はA弁護士であるが、このことは「その性質又は目的が競争入札に適しない」場合(施行令167条の2第1項2号)に当たるとする根拠にはならない。 すなわち、被告によれば平成29年第6号事件の調査範囲と本件調査の 範囲は大幅に異なっていたというのであるから、その多くはA弁護士の平 成29年第6号事件の知見等を利用することができず、本件契約を別の弁護士に依頼したとしても調査に要する時間等は同じであるから、A弁護士が平成29年第6号事件を受任していることは、例外である随意契約の合理性を裏付ける根拠とはならない。 加えて、本件契約には必要性がなかったことや、締結に至るまでの期間 や交渉が短期間で異常であったこと、契約内容の概算払や成果が出る前に全額一括で支払ったこと、予算の流用行為までして支払を行ったこと等の事情からすれば、本件契約の内容が、価格の有利性を犠牲にしても山梨県の目的達成のために合理的とは到底考えられない。 したがって、本件契約は、「その性質又は目的が競争入札に適しない」場 合(施行令167条の2第1項2号)に当たらないのに、随意契約により締結されているから、法234条2項に違反する違法な契約と言うべきである。 イ見積り合わ が競争入札に適しない」場 合(施行令167条の2第1項2号)に当たらないのに、随意契約により締結されているから、法234条2項に違反する違法な契約と言うべきである。 イ見積り合わせが行われていないこと(ア)仮に随意契約をする場合でも、山梨県財務規則137条3項では、予定 価格が10万円以上の場合には、「特別な理由がある場合を除き」2人以上の者から見積りを取得しなければならないと定めている。本件契約は契約金額が6600万円であるから、2名以上からの見積りを要する事案であるところ、これが行われていない。 (イ)「特別な理由」について、山梨県財務規則運用通知において例示されたも の(前提事実(11))に該当する余地はなく、また、「参考」によれば、「ある程度の経済性を犠牲にしても特定の者と契約すべき客観的な合理性がなければならない」と規定されているが、本件契約をA弁護士と締結したことについて、かかる客観的合理性はない。 すなわち、被告は、A弁護士の平成29年第6号事件の知見等を利用す る意図があり優位性があるかのような主張を行い、また、A弁護士は他の 弁護士の気付かなかった論点あるいは視点を発見した、そして調査につき緊急性があったかのような主張を行っている。しかし、視点等の点であれば、これらも含めて調査指示を行なえば良いことであり、平成29年第6号事件の前任の訴訟代理人らとの間で相見積りが可能であったし、被告が主張するような緊急性もなかった。 また、A弁護士の経歴等から考えて、同人にこの点に関する特殊な能力・経験があるわけでもないのだから、やはり山梨県がA弁護士以外の弁護士と何ら見積り合わせもせずに本件契約を締結したことに特別の理由は見いだせない。A弁護士が見つけてきたという論点 に関する特殊な能力・経験があるわけでもないのだから、やはり山梨県がA弁護士以外の弁護士と何ら見積り合わせもせずに本件契約を締結したことに特別の理由は見いだせない。A弁護士が見つけてきたという論点についても、そもそも継続的な契約である賃貸借における継続賃料という要素を十分加味するこ となく、独自の理論を立てたもので、山梨県がCに行った損害賠償請求において、何ら役に立たなかった。 (ウ)見積り合わせをするか否かは、例外としての随意契約の有効性を考える上では重要な手続であり、恣意的ではなく法律に基づく地方自治が行われることを担保するための重要な手続であるから、これを欠いた契約は原則 として違法となる。 以上から、本件契約には特別の理由がなく、見積り合わせを省略できないのにこれを省略しており、山梨県財務規則137条3項に違反する違法な契約である。なお、山梨県財務規則137条3項は、例外としての随意契約の合理性を担保するものでもあるから、同規則違反の契約は、結局、 法234条2項違反の効果も導くものである。 ウ法2条14項及び地方財政法4条1項違反被告は本件契約の締結に当たって、以下のとおり、その必要性や委託する調査事項・期間の限定、対価の相当性など検討すべき事項について検討せず、又は明らかに誤った判断をし、被告の有する裁量権を逸脱又は濫用し、目的 達成のために経費を最小化することを求める法2条14項及び地方財政法 4条1項に反したのであり、本件契約の締結は違法である。 (ア)必要性がなかったことA弁護士は、本件契約の前提となる平成29年第6号事件の訴訟代理人として月額20万円の報酬を受け取っており、本件調査は、かかる訴訟の基本的な事実の調査と重複しており、更新されてきている賃貸借契約 A弁護士は、本件契約の前提となる平成29年第6号事件の訴訟代理人として月額20万円の報酬を受け取っており、本件調査は、かかる訴訟の基本的な事実の調査と重複しており、更新されてきている賃貸借契約の賃 料の適正が争点なのであるから、最初の時点の契約からその経緯や賃料の推移を調査検討すべきことは訴訟代理人として当然である。また、被告は、A弁護士のもと、令和2年8月12日に上申書を提出し、従前の被告の立場を変更し、本件各不動産の適正賃料を鑑定評価するに当たり「開発前の素地価格」を基礎とはできない旨主要な主張をしている。かかる主張の前 提として、本件賃貸借契約の賃料算定方法がいかなるものであるべきか、という調査が行われていたことは当然であって、改めて本件契約を締結する必要はなかった。 また、山梨県は、本件調査の結果がどのように平成29年第6号事件に作用するのか、他の専門職に委託することでより有利に進められないかと いった観点からの検討を行っていない。 したがって、既にA弁護士に平成29年第6号事件を委任している以上、本件契約は不要であるか、不要とまでは言えない場合であっても、成果物の証拠価値を高めるには第三者に依頼すべきであって、訴訟代理人であるA弁護士を積極的に契約の相手方とすべき事情はなかったのであり、本件 契約の締結において、本件契約の必要性という検討すべき事項を検討せず、あるいは検討したものの本件契約が必要という明らかに誤った判断をしたことは、裁量権を逸脱又は濫用したと評価すべきである。 (イ)調査項目等についての検討が十分にされなかったこと被告の主張によれば、本件調査の必要性が確定的に生じたのは令和2年 12月28日であるところ、令和3年1月8日には本件契約が締結されて お 目等についての検討が十分にされなかったこと被告の主張によれば、本件調査の必要性が確定的に生じたのは令和2年 12月28日であるところ、令和3年1月8日には本件契約が締結されて おり、短期間に行われていること、本件契約の内容には山梨県にとって不利な条項が複数存在することからすれば、本件契約の委託先、調査項目や範囲、期間等をその目的に沿うように適切に限定し、さらに、対価の相当性につき、山梨県の行った過去の事例や他の公共団体の事例等との比較、タイムチャージの額の相当性など、目的達成のために経費を最小化するた めの検討が十分に行われていなかったと考えられる。 現に、調査業務委託料の積算(乙5)でも、「県とCの癒着構造、職員の天下りの有無」、「過去の貸付事務に係る組織的課題」、「検証委員会の資料準備」「調査報告書の作成」といった本件調査の目的達成のために直接的に作用しない項目が挙げられているし、A弁護士の業務内容と委託料が釣 り合っていない。 なお、山梨県は、A弁護士に平成29年第6号事件の訴訟代理人を依頼した頃より、本件契約に類するような調査検討を行う必要性が生じ得ることについては、承知していたのであり上記事項につき検討する時間は十分にあった 。 よって、被告は、上記のとおり、検討すべき事項を検討せず、あるいは検討したものの本件契約に至るという明らかに誤った判断をしており、被告の有する裁量権を逸脱又は濫用したと評価すべきである。 (共同訴訟参加人ら)本件契約の締結は、以下のとおり、被告の裁量権を逸脱又は濫用するもので あり、違法である。 ア必要性がなかったことまず、A弁護士は既に山梨県から平成29年第6号事件を受任しており、当該訴訟の唯一の争点である賃料の適正性について十 又は濫用するもので あり、違法である。 ア必要性がなかったことまず、A弁護士は既に山梨県から平成29年第6号事件を受任しており、当該訴訟の唯一の争点である賃料の適正性について十分に検証しているはずであるから、第三者に委託するのであればまだしも、改めてA弁護士に検 証業務を委託する必要はない。 また、中間報告書においては、仮に本件賃貸借契約が無効となった場合、山梨県はCに対して当該無効を主張できるのか、過去の差額賃料について損害賠償請求できるのか、適正賃料の算定方法に関し、継続賃料か新規賃料かなどの事項について検討すべきであったのに、これらの検討がされておらず、同報告書は、本件賃貸借契約の賃料が「適正な対価」ではないとするB知事 の方針をなぞったものにすぎず、本件調査の必要性は認められない。 以上から、A弁護士に対して、訴訟委任とは別に、かかる本件調査を委託する必要は全くなく、本件契約の締結は、被告の裁量を逸脱し、地方財政法4条1項及び法2条14項に違反し、違法である。 イ本件調査が対価に見合わないものであったこと A弁護士が作成した中間報告書の内容は、平成29年第6号事件において同人が令和3年2月12日に提出した準備書面(甲13)の内容とほぼ同じであり、中間報告書の基礎とされている資料も同事件において原告又は被告から既に提出されていた証拠が大多数であって、訴訟とは異なる視点から賃料の適正性を検討したような形跡は中間報告書から読み取ることができな い。そして、提出された中間報告書の内容は、訴訟での主張内容と同内容であり、本件調査が、6600万円のタイムチャージ制の対価に見合った内容にはなっていない。 したがって、本件契約の内容は、山梨県にとって全く 、提出された中間報告書の内容は、訴訟での主張内容と同内容であり、本件調査が、6600万円のタイムチャージ制の対価に見合った内容にはなっていない。 したがって、本件契約の内容は、山梨県にとって全く無意味な調査であり、このような委託契約を締結するという被告の判断は、社会通念に照らして著 しく合理性を欠き、被告の裁量権を逸脱又は濫用したことは明らかであって、地方財政法4条1項及び法2条14項に反し、違法である。 (被告及び補助参加人の主張)ア随意契約により締結されたこと(ア)本件契約の締結が、法234条2項に反し違法になるのは、本件契約を 随意契約の方法によることとした被告の判断が本件契約の種類、内容、性 質、目的等諸般の事情に照らして明らかに不合理と認められる場合に限られる。 (イ)本件調査は、昭和2年以降約90年にわたる歴史的経緯やその間の地方自治法及び借地借家法の適用関係等を調査した上で、多くの関係者の法的責任の有無についての意見や未来への提言を行うものであり、その調査内 容は広範かつ多岐にわたり、関係資料も膨大であったのであって、弁護士の多くが手掛ける一般的な業務などではない。 そして、本件契約は、平成29年第6号事件における被告の主張立証を補充するために必要な調査を行うことを目的とするものであって、第三者委員会的な準司法機能を有するものではないから、同事件の経過や背景事 情を熟知していたA弁護士にこれを委任するのが有益であった。また、本件調査は、令和2年11月開催の県議会において、平成29年第6号事件原告との和解案の議決が得られなかった同年12月末に至ってその必要性が現実化したものであり、かつ、令和3年3月中には検証委員会の成果物が必要な状況にあった。そうすると、総 いて、平成29年第6号事件原告との和解案の議決が得られなかった同年12月末に至ってその必要性が現実化したものであり、かつ、令和3年3月中には検証委員会の成果物が必要な状況にあった。そうすると、総合評価競争入札において選任さ れた者が、3か月弱の期間内に、平成29年第6号事件に係る経過をキャッチアップした上で、本件調査において想定される膨大な調査・検討・成果物の作成を行うというのはおよそ現実的ではなかった。 (ウ)以上のような、本件調査に至る経緯やその目的、期限を踏まえれば、本件契約を「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」(施 行令167条の2第1項2号)に当たるとして、随意契約の方法によることとした被告の判断が明らかに不合理であるとは言えない。 イ見積り合わせが行われていないこと(ア)随意契約による場合、その性質上、複数の者から見積書を徴取することができない場合、必要がない場合又は相当でない場合も存するのであり、 必ずしも見積り合わせの手続を履践しなければならないわけではない。山 梨県財務規則137条3項は、このような随意契約による場合の見積り合わせの性質を踏まえ、「特別の理由がある場合を除き」と規定しているのであり、同規則運用通知(前提事実(11))における記載からも明らかなように、見積り合わせの手続を省略する合理性についての判断を、随意契約によることとした契約の内容、目的、時機等諸般の事情を踏まえた契約 担当者の合理的な裁量判断に委ねたものであると解される。 したがって、本件契約の締結が違法となるのは、見積り合わせを省略することとしたB知事の判断が裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものであった場合に限られる。 (イ)原告は、A弁護士が発見した新たな論点や視点を他の弁護士 契約の締結が違法となるのは、見積り合わせを省略することとしたB知事の判断が裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものであった場合に限られる。 (イ)原告は、A弁護士が発見した新たな論点や視点を他の弁護士に調査指示 をすれば良く、見積り合わせをしない理由にならない旨主張するが、かかる論点や視点は、同弁護士が平成29年第6号事件の訴訟代理人として活動する中で検討を重ねて辿り着いたものであり、この成果だけを他の弁護士に共有すれば足りるというものではない。 また、A弁護士は、平成29年第6号事件の進捗を踏まえ、県とも協議 の上、令和3年3月中には本件調査を終えることを前提に、本件調査を受託(本件契約を締結)したのであって、本件契約締結時、本件調査を令和3年3月末までに完了させる緊急の必要があった。 前記のA弁護士との随意契約によることとした理由及び上記の事情からすれば、「特別の理由がある」として、見積り合わせを省略することとし た被告の判断が裁量権を逸脱又は濫用するものであったとは言えない。 ウ法2条14項及び地方財政法4条1項違反(ア)法2条14項及び地方財政法4条1項に反するか否かは、契約の目的や必要性、契約締結に至る経緯、その他の諸般の事情を総合考慮した上での地方公共団体の長の判断が、当該判断の基礎とされた重要な事実に誤認が あること等により全く事実の基礎を欠くものと認められる場合、又は事実 に対する評価が明白に合理性を欠くことにより長の判断が社会通念に照らして著しく合理性を欠くことが明らかであるものと認められる場合に限り、長に与えられた裁量権を逸脱又は濫用するものとして違法となると解すべきである。 (イ)原告及び共同訴訟参加人らは、本件契約が必要なかった旨主張するが、 A弁護士が ものと認められる場合に限り、長に与えられた裁量権を逸脱又は濫用するものとして違法となると解すべきである。 (イ)原告及び共同訴訟参加人らは、本件契約が必要なかった旨主張するが、 A弁護士が平成29年第6号事件を受任した時点では、和解を含む柔軟な解決を図ることを視野に入れており、A弁護士は、同事件に係るそれまでの主張内容を早急に変更した上で、訴訟を遂行しつつ、原告と協議し、訴外を含む和解協議及び同協議の間の訴訟対応等をする想定されていたのであり、本件調査の要否は未定で、これを行うことは代理人業務に含まれ ていなかった。 また、平成29年第6事件において問題とされていたのは平成9年以降の本件各不動産の貸付けについてであり、山梨県が損害賠償請求をすべき相手方もC及び3名の元知事に限られていたのに対し、本件調査の範囲は、昭和2年以降約90年にわたる本件各不動産の貸付けをめぐる歴史的経 緯、昭和2年以降平成9年までの本件各不動産の貸付けの適法性・有効性や昭和2年以降平成9年までの本件各不動産の貸付けに関するCに対する損害賠償請求権等の存否などが問題となっている点、上記4名のみならず歴代県知事全員や県議会・監査委員等の法的責任の有無が問題となっている点、山梨県とCの間の癒着構造の有無も問題となっている点、山梨県 における本件各不動産に関する今後の在り方等も調査事項となっている点などにおいて、平成29年第6号事件における法令調査の範囲を大幅に超えている。 そのほか、本件調査には、多大な労力を要し、関係する資料も膨大であるところ、平成29年第6号事件に係る訴訟委任契約の対価は月額22万 円であって、かかる調査が訴訟の委任契約による調査の範囲に含まれると はおよそ考え難い。 また、A弁護士は、裁判 るところ、平成29年第6号事件に係る訴訟委任契約の対価は月額22万 円であって、かかる調査が訴訟の委任契約による調査の範囲に含まれると はおよそ考え難い。 また、A弁護士は、裁判所の訴訟指揮に従い、令和3年1月8日から開始していた本件調査の途中経過を踏まえ、中間報告書の提出期限(同年3月31日)に先立つ同年2月12日、平成29年第6号事件において、山梨県とCとの間の事実関係及び法律関係についてのまとまった主張を記 載した準備書面(被告準備書面12)を提出した(甲13)のであって、平成29年第6号事件における被告準備書面12と中間報告書の内容及び裏付資料が重複するのはむしろ当然のことである。 以上からして、本件契約に必要性がないなどとして、被告の裁量権の逸脱又は濫用を基礎づけることはない。 (ウ)また、調査項目につき、いずれ必要となる調査項目を含んだ契約を締結したことが被告に与えられた裁量権の逸脱又は濫用を基礎づけるなどということはなく、また、対価についても相当な額である。 (エ)したがって、本件契約の締結につき、B知事の判断に裁量権の逸脱又は濫用はないのであり、法2条14項及び地方財政法4条1項に反せず、違 法ではない。 (2)争点(2)ア(本件契約は無効か)について(原告の主張)ア本件契約は、前記のとおり地方自治法に反する違法な契約であるから無効である(法2条16項、17項)。 イまた、契約の相手方であるA弁護士は、山梨県財務規則137条3項により、随意契約による場合は、2人以上の見積り合わせが必要であることを知っていたか、少なくとも知り得べかりし立場にあったことは明らかであるから、「契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知 は、2人以上の見積り合わせが必要であることを知っていたか、少なくとも知り得べかりし立場にあったことは明らかであるから、「契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合」(最高裁昭和56年(行ツ)第14 4号同62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻4号687頁)に該当 し、無効である。 (共同訴訟参加人らの主張)本件契約は、これを無効としなければ法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情がある場合に、私法上無効となる。 本件調査事項について、合理的理由なく著しく軽視した状態で、本件契約を 締結すれば、中間報告書のように訴訟においてほとんど意味をなさない報告書が作成されることは当然である。このような報告書に6600万円の価値はおよそ無く、当該契約を無効としなければ、「その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」(地方財政法4条1項)とする同条の趣旨を没却することは明らかであるから、本件契約は無効となる。 (被告及び補助参加人の主張)各法規に違反した契約が私法上無効となるのは、当該法規に違反することが何人の目にも明らかである場合や、契約の相手方において知り又は知り得べかりし場合など、これを無効としなければ法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情がある場合に限られる。 仮に本件契約が違法と判断されたとしても、原告及び共同訴訟参加人らにおいて、上記特段の事情についての具体的事実の立証はなく、本件契約が私法上無効となることはない。 (3)争点(2)イ(A弁護士は本件契約が無効であることを知っていたか)について (原告及び共同訴訟参加人らの主張)A弁護士は法律の専門家として、また、山梨県の顧問弁護士 ことはない。 (3)争点(2)イ(A弁護士は本件契約が無効であることを知っていたか)について (原告及び共同訴訟参加人らの主張)A弁護士は法律の専門家として、また、山梨県の顧問弁護士として、本件契約が無効になることを知っていたと言うべきであり、悪意ある取得者である。 (被告及び補助参加人の主張)A弁護士が中間報告書に6600万円を支払う価値がないと認識していた などという事実は認められ得ない。 (4)争点(3)ア(本件契約の締結につき、A弁護士に故意又は過失があったか)(原告の主張)A弁護士は、法律の専門家であること及び山梨県の顧問弁護士であることからして、本件契約が違法であることについて故意又は過失がある。少なくとも法令に反する行為を行ってはならないとの注意義務が存在し、この注意義務を 怠っており、違法な本件契約の締結につき過失がある。 (共同訴訟参加人らの主張)「ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し、実務上の取扱いも分かれていて、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に、公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を遂行したときは、後にそ の執行が違法と判断されたからといって、直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当ではない。」(最一小判平成16年1月15日)と判示しているから、そうすると、法律解釈が何ら合理的根拠に基づかないものであることが明らかである場合は、過失があるものと認められるべきである。 本件について、一般的に不動産賃料の算定方法について、継続賃料と新規賃 料の2つの方法があるものの、本件賃貸借契約における賃料の算定方法については、新規賃料と捉えることについて何ら合理的根拠がなく、中間報告書においても、新規賃料と捉 について、継続賃料と新規賃 料の2つの方法があるものの、本件賃貸借契約における賃料の算定方法については、新規賃料と捉えることについて何ら合理的根拠がなく、中間報告書においても、新規賃料と捉える根拠について合理的根拠が示されているとは到底言えない。そうすると、本件契約の当初から、新規賃料で算定すべき法的根拠の検討を避けて中間報告書を作成する意図があったとみるべきである。 したがって、A弁護士の判断は、何ら合理的根拠に基づかないものであることは明らかであり、少なくとも重過失は認められる。 (被告及び補助参加人の主張)仮に違法との判断がされたとしても、中間報告書で報告され、山梨県が採用した考え方が本件契約当時において、過去の裁判例や文献等に照らして、およ そあり得ない状況であったなどということはなく、B知事が本件契約を締結し たことに故意、過失はない。 (5)争点(3)イ(損害及び因果関係)について(原告の主張)本件契約はそもそも不要であったし、成果物である中間報告書は、Cとの一連の紛争を山梨県にとって有利に解決するという観点からすれば全く利益を もたらさず、山梨県の得た利益はないと評価すべきである。 したがって、委託料全額である6600万円が損害というべきである。 (共同訴訟参加人らの主張)中間報告書は、平成29年第6号事件とほとんど同じ内容であり、独自の価値を見出すことが困難であることから、本件契約の締結によって山梨県に66 00万円の損害が発生している。 (被告及び補助参加人の主張)仮に本件契約の締結が各法規に違反することにより無効であると判断されることがあったとしても、A弁護士は本件調査を行っているのであって、山梨県に実質的な損害は発生していない。 (6)争 )仮に本件契約の締結が各法規に違反することにより無効であると判断されることがあったとしても、A弁護士は本件調査を行っているのであって、山梨県に実質的な損害は発生していない。 (6)争点(4)ア(本件契約の締結につき、B知事に過失があったか)について(原告の主張)B知事は、県行政の最高責任者として、違法な契約の締結を阻止する義務がある。本件契約は、B知事が締結しており、行政の最高責任者として民間との契約が原則として競争入札であること、例外として随意契約によるとしても2 名以上の見積もりが必要なことも知っていたか、知り得べき立場にあった。B知事は、違法な契約を阻止することは可能であったが、これを怠ったのであり、違法な本件契約の締結につき過失がある。 (共同訴訟参加人らの主張)法律解釈が何ら合理的根拠に基づかないものであることが明らかである場 合は、過失があるものと認められるべきである。 本件について、一般的に不動産賃料の算定方法について、継続賃料と新規賃料の2つの方法があるものの、本件賃貸借契約における賃料の算定方法については、新規賃料と捉えることについて何ら合理的根拠がなく、中間報告書においても、新規賃料と捉える根拠について合理的根拠が示されているとは到底言えない。そうすると、本件契約の当初から、新規賃料で算定すべき法的根拠の 検討を避けて中間報告書を作成する意図があったとみるべきである。 したがって、B知事の判断は、何ら合理的根拠に基づかないものであることは明らかであり、少なくとも重過失は認められる。 (被告の主張)仮に違法との判断がされたとしても、中間報告書で報告され、山梨県が採用 した考え方が本件契約当時において、過去の裁判例や文献等に照らして、およそあり得ない状況で められる。 (被告の主張)仮に違法との判断がされたとしても、中間報告書で報告され、山梨県が採用 した考え方が本件契約当時において、過去の裁判例や文献等に照らして、およそあり得ない状況であったなどということはなく、B知事が本件契約を締結したことに過失はない。 (7)争点(4)イ(損害及び因果関係)について(原告及び共同訴訟参加人らの主張) B知事の前記過失により、山梨県は委託料として6600万円の無駄な支出をしたのであり、全額が損害である。 (被告の主張)仮に本件契約の締結が各法規に違反することにより無効であると判断されることがあったとしても、A弁護士は本件調査を行っているのであって、山梨 県に実質的な損害は発生していない。 第3 争点に対する当裁判所の判断 1 認定事実争いのない事実、上記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件賃貸借契約の経過 山梨県は、昭和2年から、Cに対し、本件各不動産を継続して賃貸しており、本件賃貸借は、当初は10年間、その後は20年ごとに契約更新され、近いところでは、平成9年と、平成29年に契約更新がされている(乙14)。 (2)本件賃貸借契約における賃料の相当性に関する報道等についてア D新聞は、平成19年8月14日、同月15日及び同月22日の3回にわ たって、本件賃貸借契約につき、広大な土地を公共性の薄い民間企業に随意契約によって貸すことは全国的に見ても異例なことである上、賃貸料の算定において用いた本件各土地の評価額は、近隣の別荘用地の評価額の約3分の1になっており、割安賃貸であるなどと報道した(乙29の1ないし3)。 イほかにも、平成28年には本 ある上、賃貸料の算定において用いた本件各土地の評価額は、近隣の別荘用地の評価額の約3分の1になっており、割安賃貸であるなどと報道した(乙29の1ないし3)。 イほかにも、平成28年には本件各不動産が別荘地としてタダ同然であると する雑誌記事や、平成29年には本件各土地につき山林として評価していることが誤っているなどと指摘する新聞記事が掲載された(乙30、31)。 (3)平成29年第6号事件は、平成29年10月6日に提起され、同事件では、本件賃貸借契約のうち、平成9年以降の契約について、適正賃料か否かが争われ、山梨県知事に対し、平成15年以降の知事3名及びCに対し損害賠償請求 等をすることが求められた(乙16)。 山梨県は、平成29年度の訴訟関係用務を月額49万9000円で委任していたE弁護士(以下「E弁護士」という。)に訴訟代理を委任し、E弁護士は、同年12月5日、訴訟代理人として請求棄却を求める旨の答弁をした(甲2、乙14)。 (4)B知事は、平成31年2月17日、山梨県知事に就任した。 (5)山梨県は、令和元年6月1日、F弁護士、G弁護士及びH弁護士(以下、合わせて「F弁護士ら」という。)に月額合計44万円で同事件の訴訟代理を委任した(甲4)。 なお、E弁護士は同月30日に同事件の訴訟代理人を辞任した。 F弁護士らは、同年8月30日、訴訟代理人として本件賃貸借契約の賃料の 算定に当たっては「開発前の素地価格」を基礎とすべきであり、本件の賃料は適正な価額である旨主張した(乙17)。 (6)B知事は、令和2年5月頃、F弁護士らの上記の主張方針に違和感を抱いていたことから、A弁護士に相談をした(弁論の全趣旨)。 A弁護士は、これに対し、要旨、以下のとおり意見を 7)。 (6)B知事は、令和2年5月頃、F弁護士らの上記の主張方針に違和感を抱いていたことから、A弁護士に相談をした(弁論の全趣旨)。 A弁護士は、これに対し、要旨、以下のとおり意見を述べた(弁論の全趣旨)。 ア 「借地の造成費を借地人が負担したがゆえに地代を一般よりも低廉にしたような場合、相当期間が経過すれば、一般なみの地代にしてもよいであろう。」とする論文があること (甲21)等も踏まえれば、本件賃貸借契約の経緯や関係法令等を精査した上で従前の主張を再検討することが望ましい。 イ他方で、本件賃貸借契約には歴史的な経緯もあることからすれば、判決に よる解決だけでなく、和解を含む柔軟な解決を図ることも考えられる。 ウ平成29年第6号事件は(当時)既に提訴から3年が経過しており、同事件の進行状況を踏まえると、早期に主張の変更をしなければ(主張の変更をしても時機に遅れた攻撃防御方法と判断されるなどして)弁論終結となるおそれがある。 エそのため、早急に主張方針を変更する旨を記載した準備書面を提出した上で、和解を含む柔軟な解決を目指した協議を行うことが考えられる。 (7)山梨県は、令和2年6月2日、A弁護士との間で、①県の業務に関する法律問題についての相談、鑑定、契約書等の書類の作成・検討等の法律業務のほか、②平成29年第6号事件の訴訟代理及びそれに伴う事務を受任範囲として、月 額22万円の顧問契約を締結した(甲5)。 山梨県及びA弁護士は、同年7月1日、当該顧問契約の受任範囲を①のみに変更し、新たに②を受任範囲とする委任契約を締結した(甲6、7)。 なお、F弁護士らは同月31日に同事件の訴訟代理人を辞任した。 (8)A弁護士は、訴訟代理人として、令和2年8月12日、裁判所に対し 変更し、新たに②を受任範囲とする委任契約を締結した(甲6、7)。 なお、F弁護士らは同月31日に同事件の訴訟代理人を辞任した。 (8)A弁護士は、訴訟代理人として、令和2年8月12日、裁判所に対し、平成 29年第6号事件における山梨県知事の従前の主張を撤回し、その後の進行と して改めて不動産鑑定を行い、本件各不動産に係る「適正な時価」等に関する主張を行う予定である旨の上申書を提出した(甲21)。 その後、山梨県及びA弁護士は、令和2年12月にかけて、平成29年第6号事件における変更後の主張立証を行う一方で(甲22ないし27)、訴外で同事件の原告訴訟代理人と和解解決に向けた協議を行ったが、同事件の原告は、 和解の条件として、令和2年11月開催の県議会(令和2年11月定例会)が閉会するまでを期限として和解に関する議決を得ることを挙げた。県議会では、同事件の原告との和解案が議案とされたが(第120号議案、第121号議案)、同月30日に設置された「県有地の貸付に関する調査及び検証特別委員会」(以下「特別委員会」という。)における議論が紛糾し、会期延長を経た同年12月 25日に至っても結論が出ず、閉会中継続審査となった。(乙3の1ないし3の3、4、37)なお、同事件原告との和解案には、山梨県が検証委員会を設置し、平成9年以降の本件各不動産の適正賃料並びに歴代知事及びCに対する損害賠償請求権の有無等を調査する旨の条項が含まれていた(乙3の2、3の3)。 (9)山梨県は、和解案の交渉が継続した場合には、これに基づく検証委員会を設置する必要があり、他方で、和解ができず、審理が継続する場合にも、今後の被告の主張立証を補充するとともに、未来に向けた適正賃料及び事務手続等の在り方について検討するためにも検証委員会が 証委員会を設置する必要があり、他方で、和解ができず、審理が継続する場合にも、今後の被告の主張立証を補充するとともに、未来に向けた適正賃料及び事務手続等の在り方について検討するためにも検証委員会が必要であると判断した。そして、かかる調査は、昭和2年からの極めて長大な歴史的経緯があり、多くの関係者 の様々な行為の積み重ねがあり、関係資料は膨大であるなど、膨大な作業量が想定され、平成29年第6号事件の対象となっていない平成9年以前の調査も含まれるため、訴訟委任契約の範囲内とすることはできないと判断した。(乙4)(10)山梨県は、上記の本件調査の性質から、高度な法令運用解釈に見識のある弁 護士に依頼する必要があり、加えて、従前の平成29年第6号事件の経緯や実 情を最も深く理解している山梨県の訴訟代理人であるA弁護士に委託するのが適当であると判断した(乙4)。 山梨県は、A弁護士と、令和2年12月頃から委託料に関するやり取りを行った(乙6)。 (11)A弁護士は、令和3年1月8日、本件契約における調査業務委託料につき、 6600万円(税込み)と見積もった(甲16)。 内訳は、弁護士の役職(パートナー、カウンセル、アソシエイト)に応じた1時間当たりの単価(A弁護士が5万円、再委託先として想定していた弁護士3名のうち1名が5万円、2名が3万円)に、想定される所要時間(A弁護士が合計425時間、再委託先である弁護士らが合計353時間)を乗じた金額 に調整を加えた金額とした。なお、かかるタイムチャージの単価は、推測される大手渉外事務所等の標準的なものと整合的なものである(乙4、5、38)。 また、A弁護士は、山梨県に対し、委託先となる他の弁護士に前払で委託料を支払うため、支払方法を概算払とするよう求めた(乙4、 る大手渉外事務所等の標準的なものと整合的なものである(乙4、5、38)。 また、A弁護士は、山梨県に対し、委託先となる他の弁護士に前払で委託料を支払うため、支払方法を概算払とするよう求めた(乙4、6)。 (12)山梨県とA弁護士は、同日、調査期間を同日から同年3月31日までとし、 本件契約を委託料6600万円で締結した。本件調査の主な内容は以下のとおりである。(甲8)ア本件各不動産に係る県とCの間の現在及び過去の賃貸借契約の適法性・有効性イ現在に至るまでのCによる本件各不動産の使用に関する、県のCに対する 損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の有無及び金額ウ現在に至るまでのCに対する本件各不動産の貸付けに関する、県の歴代知事に対する損害賠償請求権の有無及び金額エ現在に至るまでのCに対する本件各不動産の貸付けに関する、県議会、監査委員等の県に対する法的責任の有無 オ県とCの間の癒着構造の有無等の事実関係 カ県における過去の本件各不動産の貸付事務に係る課題キ上記カの課題を踏まえた、県における今後の本件各不動産の貸付けに係る事務手続等のあり方(不動産鑑定のあり方なども含む)ク県における今後の本件各不動産に係るCとの契約についての考え方の整理 なお、本件契約の締結に当たっては、山梨県の決裁手続において、施行令167条の2第1項2号に当たるため随意契約によること、山梨県財務規則137条3項により、見積り合わせを省略すること、支払方法は概算払とすること、A弁護士は本件契約に係る業務を再委託することができること、調査業務委託料の支払については令和2年度の議決済み予算で対応することなどが承認さ れた(乙5)。 (13)A弁護士は、令和3年1月13日、本件契約14条1項 務を再委託することができること、調査業務委託料の支払については令和2年度の議決済み予算で対応することなどが承認さ れた(乙5)。 (13)A弁護士は、令和3年1月13日、本件契約14条1項に基づき、山梨県に対し本件契約の対価全額(6600万円)の概算払を請求し、県は同月21日にA弁護士に対し同額を支払った(甲17)。 (14)A弁護士は、本件調査を、I弁護士(以下「I弁護士」という。)及びJ弁護 士(以下「J弁護士」といい、A弁護士、I弁護士及びJ弁護士を総称して「A弁護士ら」という。)、に再委託し、同月22日、同人らに委託料をそれぞれ支払った(乙7、33の1及び2、乙34の1及び2)。 (15)山梨県は、同年2月1日、検証委員会を設置し、A弁護士が委員長、I弁護士及びJ弁護士が委員となった(乙8)。 B知事は、同年2月12日、臨時記者会見において、検証委員会の目的について、和解案の際に想定されていた検証委員会は、第三者委員会的な準司法機能を有するものであったのに対し、現在設置されている検証委員会は、裁判の当事者、被告である県として、裁判でどのような主張をしていくのか、その基礎は一体何かを調査して、必要な事実を正確に把握するためのものであり、い わば、訴訟のための事前調査をして事実を固めていく仕掛けであり、前者とは 位置付けが異なる旨述べた。そして、本件賃貸借契約の賃借人であるCについて、場合によっては県が損害賠償請求をしなければならない相手方であるから、検証委員会においてCの考え方を入れるのはふさわしくないと述べた。(乙9)また、B知事は、同月26日、県議会において、検証委員会は、住民訴訟の被告たる県として、裁判で主張すべき内容を正確に確定することを通じて、今 後の県の主張立証を補充す くないと述べた。(乙9)また、B知事は、同月26日、県議会において、検証委員会は、住民訴訟の被告たる県として、裁判で主張すべき内容を正確に確定することを通じて、今 後の県の主張立証を補充することを第一の目的に設置した、訴訟を継続していく上で訴訟代理人弁護士等に検証委員会の委員を担わせるのは自然に導かれる判断である、関係者からは、Cに対し、訴訟を提起することもやむを得ないとの意向があることなどから、速やかな訴訟代理人の選定、規約など訴訟を前提とした準備を講じていく必要がある旨述べた(乙10)。 (16)A弁護士は、令和3年2月12日、平成29年第6号事件において、裁判所の求めに応じて、中間報告書の提出に先立って、本件調査のその時点までの経過を踏まえた、山梨県とCとの間の事実関係及び法律関係についてのまとまった主張を記載した準備書面を提出した(甲13、乙4)。 (17)検証委員会は、令和3年3月31日、山梨県に対し中間報告書を提出した(甲 11)。 A弁護士らは、本件調査のため、本件契約締結日である令和3年1月8日から同年3月31日までの間、本件調査及び検証委員会の中間報告書の作成等に当たり、中間報告書の資料目録(開示版)に記載された94の文献や裁判例等に加え、山梨県から提供を受けた1万頁以上の関連資料等を踏まえて検討し、 A弁護士が約910時間、I弁護士が約235時間、J弁護士が約304時間それぞれ稼働した(甲10、29、乙11、12)。 (18)A弁護士は、その後も同年3月25日までの間に本件調査に基づく主張立証の補充を行った(乙13の1から4)。 (19)Cは、令和3年3月1日、山梨県に対し、本件各不動産に関する賃借権の確 認等を求める訴訟を提起し、山梨県は、同年7月9日、これに対し、本件賃貸 の補充を行った(乙13の1から4)。 (19)Cは、令和3年3月1日、山梨県に対し、本件各不動産に関する賃借権の確 認等を求める訴訟を提起し、山梨県は、同年7月9日、これに対し、本件賃貸 借契約のうち、平成9年及び平成29年の各契約が無効であるとして、不法行為に基づく損害賠償及び不当利得返還請求を内容とする反訴を提起し、A弁護士がこれらの訴訟の訴訟代理人を務めた(甲41、乙14)。 2 争点(1)(本件契約の締結が違法か否か)について(1)随意契約により締結されたことについて ア原告は、本件調査は多くの弁護士が手掛ける一般的な業務である上、訴訟における委任の範囲と異なるというのであれば他の弁護士でも業務量は変わらないなどとし、本件契約は「その性質又は目的が競争入札に適しない」場合(施行令167条の2第1項2号)に当たらないのに随意契約により締結しており、法234条2項に反し、違法である旨主張するところ、認定事 実(12)のとおり、本件契約は、随意契約により締結されている事実が認められる。 イ(ア)施行令167の2第1項2号が規定する、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」とは、当該契約の目的物の性質から契約の相手方がおのずから特定の者に限定されてしまう場合や契約の締結 を秘密にすることが当該契約の目的を達成する上で必要とされる場合など当該契約の性質又は目的に照らして競争入札の方法による契約の締結が不可能又は著しく困難というべき場合がこれに該当することは疑いがないが、必ずしもこのような場合に限定されるものではなく、競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが、 不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適 のような場合に限定されるものではなく、競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが、 不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく、当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても、普通地方公共団体において当該契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法を とるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上 でより妥当であり、ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も同項2号に掲げる場合に該当するものと解すべきである。そして、このような場合に該当するか否かは、契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている前記法及び令の趣旨を勘案し、 個々具体的な契約ごとに、当該契約の種類、内容、性質、目的等諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である。(最高裁昭和57年(行ツ)第74号同62年3月20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁) (イ)本件において、認定事実(9)及び(15)によれば、本件調査及び検証委員会は、第三者委員会的な準司法機能を目的とするものではなく、平成29年第6号事件が和解できずに継続する可能性があることを前提に、同事件におけるその後の被告の主張立証方針を固めることに加え、今後の本件賃貸借契約における事務の在り方など、本件賃貸借契約の経 緯等について網羅的に調査を行うものであるところ、かかる調査等は、A弁護士にしかできないものではない。 しか ることに加え、今後の本件賃貸借契約における事務の在り方など、本件賃貸借契約の経 緯等について網羅的に調査を行うものであるところ、かかる調査等は、A弁護士にしかできないものではない。 しかし、認定事実(7)のとおり、A弁護士は、平成29年第6号事件の訴訟代理人を務めており、同人に本件調査を委託することで、本件契約の目的である、同事件の主張立証の補充との関係で、一貫性のある 検討を期待できる。また、そもそも被告は、A弁護士のアドバイスに基づいて同事件に関する従前の主張を撤回しているのであり(認定事実(6)及び(8))、A弁護士は、同事件のこれまでの経過や内容に加え、今後の事件が進行する方向性等についても、既に十分に理解、把握しているものと認められるのであり、新たに他の弁護士に対して依頼する場 合との比較において、迅速かつ適当な範囲での検討を期待することがで きた。 以上の事情に加えて、本件調査が、昭和2年からの長期間に及ぶ賃貸借契約について網羅的に検討するものであったことなども踏まえれば、本件契約の締結に当たって、不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当とは言えないので あり、また、被告において、A弁護士との間で、随意契約の方法により本件契約を締結することが、被告の利益の増進につながると判断したことには理由があるものと言うべきである。そして、本件全証拠をもってしても、本件契約の締結について公正を妨げる事情を認めることはできない。 よって、本件契約を「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに合理性を欠く点があるということはできず、随意契約の方法によって本件契約を締結したことに違法はないと言うべきである。 (2)見積り 性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに合理性を欠く点があるということはできず、随意契約の方法によって本件契約を締結したことに違法はないと言うべきである。 (2)見積り合わせが行われていないことについて ア原告は、山梨県財務規則137条3項において、随意契約の締結に当たって、「特別な理由がある場合を除き」2人以上の者から見積りを取得しなければならないとされているところ、本件契約は特別な理由がないのに、見積り合わせが行われておらず違法である旨主張し、認定事実(12)のとおり、本件契約の締結に当たって、見積り合わせが行われていない事実が認められ る。 イ前提事実(10)及び(11)によれば、山梨県では、予定価格が10万円以上の場合には、特別な理由がある場合を除き、2人以上の者から見積りを取得しなければならないと定められ、特別な理由は、諸般の事情から、ある程度の経済性を犠牲にしても特定の者と契約すべき客観的な合理性がなけれ ばならないとされている。 かかる規定の趣旨や文言等に照らせば、契約内容等の具体的な事情を踏まえ、見積り合わせを省略する特別の理由があるか否かの判断を担当者の合理的な裁量判断に委ねたものと解すべきである。 上記のとおり、本件契約の内容や目的、従前の経緯等からすれば、山梨県が、A弁護士を選定し、同人と随意契約で本件契約を締結するとした判断が 合理性を欠くとは言えないところ、山梨県としては、かかる判断を前提に、同人と契約することとしていたのであるから、競争により有利な契約を行うことができるようなものでなく(前提事実(11)イ)、必ずしも他の弁護士等から見積りを取得し、比較する必要があったとは言えないのであって、このような事情の下、B知事に ら、競争により有利な契約を行うことができるようなものでなく(前提事実(11)イ)、必ずしも他の弁護士等から見積りを取得し、比較する必要があったとは言えないのであって、このような事情の下、B知事において、特別の理由があるとして、見積り合わせ を省略するとした判断には理由があり、合理性を欠くとは言えない。 (3)法2条14項及び地方財政法4条1項違反についてア原告及び共同訴訟参加人らは、本件契約の締結について、そもそも必要性がなく、また、本件調査の項目について適切に限定がされず、対価の相当性等について十分に検討がされていないから、目的達成のために経費を最小化 するための検討が十分に行われていなかったと言え、本件契約の締結は、B知事の裁量権を逸脱・濫用したものであって、法2条14項及び地方財政法4条1項に反し、違法である旨主張する。 イ(ア)まず、地方公共団体の長がその代表者として締結する契約は、契約の目的やその必要性、契約の締結に至る経緯、契約の内容に影響を及ぼす社 会的、経済的要因その他の諸般の事情を総合考慮した合理的な裁量に委ねられており、上記のような諸般の事情を総合考慮した上でなお、地方公共団体の長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものと評価されるときでなければ、当該契約の締結が地方自治法2条14項等に反し違法となるものではないと解するのが相当である(最高裁平成23年(行 ヒ)第452号同25年3月28日第一小法廷判決・集民243号241 頁参照)。 (イ)必要性がなかったこと認定事実(3)、(5)、(6)及び(8)のとおり、被告は、平成29年第6号事件において、当初、同事件原告の請求の棄却を求めて訴訟を追行していたところ、A弁護士によるアドバイスを踏ま なかったこと認定事実(3)、(5)、(6)及び(8)のとおり、被告は、平成29年第6号事件において、当初、同事件原告の請求の棄却を求めて訴訟を追行していたところ、A弁護士によるアドバイスを踏まえ、急遽、従前の主張 を撤回した。そして、認定事実(8)及び(9)によれば、和解の可能性を模索しつつも、訴訟が継続する可能性が高くなり、本件契約を締結するに至っている。認定事実(15)のとおり、B知事は、本件調査や検証委員会の目的について、今後、裁判で被告としてどのような主張をしていくのか、その基礎となる必要な事実を正確に把握するためのものであり、訴訟 のための事前調査をして事実を固めていく仕掛けであると述べているところ、本件契約では、平成29年第6号事件では争われていない、平成9年以前の賃料の適正価格や知事等の関係者の責任の有無も調査の対象となっている(認定事実(3)及び(6))。加えて、認定事実(11)のとおり、本件調査では、山梨県とCの間の癒着構造の有無や、過去の本件各不 動産の貸付事務に係る課題、今後の事務手続等のあり方といった事項が含まれている。B知事が当時、Cに対して、今後、損害賠償請求をする可能性がある旨示唆していることや、実際に損害賠償請求を提起していること(認定事実(15)及び(19))も踏まえれば、本件契約は、平成29年第6号事件における被告の訴訟活動の補充にとどまるものではなく、今後を見 据え、本件賃貸借契約に係る問題の抜本的な解決を図るために行われたものと言うべきである。 以上からすれば、本件調査の内容が平成29年第6号事件の訴訟代理人の調査事項に含まれているとは言えず、また、本件調査の目的からすれば、第三者委員会的な準司法機能を期待して他の弁護士等に委託すべきであ ったとも言えない上 容が平成29年第6号事件の訴訟代理人の調査事項に含まれているとは言えず、また、本件調査の目的からすれば、第三者委員会的な準司法機能を期待して他の弁護士等に委託すべきであ ったとも言えない上、報道等で本件賃貸借契約の賃料が問題視されていた ことからしても(認定事実(2))、本件調査が必要との判断が不合理であったとは言えず、本件契約を締結したB知事の判断が裁量権を逸脱又は濫用した事実を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (ウ)調査項目等についての検討が十分にされなかったこと本件全証拠によっても、被告が本件契約の締結に当たって、検討すべき 事項について検討しなかった事実を認めるに足りる証拠はない。 上記のとおり、本件契約の目的は、平成29年第6号事件の訴訟追行における主張立証を補充しつつも、Cとの間における本件賃貸借契約に関連する問題の抜本的な解決も図ったものであって、原告が不要と主張する各項目の調査が不要であったとは認められない。なお、本件調査の目的は、 被告の主張立証の補充でもあるのであるから、認定事実(16)のとおり、それまでの調査の内容が準備書面に記載されるのは当然のことである。 また、委託料につき、認定事実(11)によれば、山梨県は、A弁護士と協議をし、見積書を取得しており、算定に当たっては、弁護士の役職に応じた1時間当たりの単価と、想定される所要時間を検討している上、その 単価も不相当はものとは言えない。他にも、認定事実(11)及び(12)のとおり、調査の期間や概算払等その他の条項についても、それぞれ理由があるのであるから、B知事の裁量権の逸脱又は濫用の事実を認めることはできない。 (4)よって、その余の点について判断するまでもなく、原 調査の期間や概算払等その他の条項についても、それぞれ理由があるのであるから、B知事の裁量権の逸脱又は濫用の事実を認めることはできない。 (4)よって、その余の点について判断するまでもなく、原告及び共同訴訟参加人らのいずれの請求も理由がない。 第4 結論以上によれば、原告及び共同訴訟参加人らの各請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官新田和憲 裁判官岡部拓也 裁判官八槇朋博は、転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官新田和憲
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