平成30(行ウ)278 法人税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年3月30日 東京地方裁判所
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判決文本文30,453 文字)

令和3年3月30日判決言渡平成30年(行ウ)第278号法人税更正処分取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求A税務署長が平成29年2月27日付けで原告に対してした平成26年6月1日から平成27年5月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額4億6631万7664円,納付すべき税額1億0139万9300円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の概要化粧品及び医薬部外品(以下「化粧品等」という。)の製造販売等を目的とする株式会社である原告は,中古のチューブ充填機を取得して改良を施し(以下,改良の前後を通じて同充填機を「本件充填機」といい,改良のために支出した費用を「本件資本的支出」という。),また,中古の包装機(以下「本件包装機」といい,本件充填機と併せて「本件充填機等」という。)を取得して,これらを事業の用に供した。そして,原告は,平成26年6月1日から平成27年5月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)に係る法人税の確定申告(以下「本件確定申告」といい,同申告に係る確定申告書を「本件申告書」という。)において,本件充填機等及び本件資本的支出(以下「本件各資産」という。)に係る減価償却費を損金の額に算入したところ,A税務署長(処分行政庁)から,償却限度額の計算に誤りがあるとして更正処分(以下「本件処分」という。)を受けた。 本件は,原告が,被告を相手として,本件処分のうち申告額を超える部分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等(1) 本件に関する法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ)の定めは別紙2-1,法人税法施行令(平成28年政 告額を超える部分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等(1) 本件に関する法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ)の定めは別紙2-1,法人税法施行令(平成28年政令第43号による改正前のもの。以下同じ)の定めは別紙2-2,「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(平成28年財務省令第27号による改正前のもの。以下「耐用年数省令」という。)の定めは別紙2-3,「耐用年数の適用等に関する取扱通達」(昭和45年5月25日付直法4-25国税庁長官通達。 以下「耐用年数通達」という。)の定めは別紙2-4のとおりである。 (2) 法人税法2条23号及び法人税法施行令13条3号は,減価償却資産の一つとして「機械及び装置」を定め,同令56条は,減価償却資産の耐用年数については財務省令で定めるところによる旨規定するところ,これを受けて定められた耐用年数省令は,「機械及び装置」の耐用年数として,「化学工業用設備」のうち「その他の設備」については耐用年数を8年とする旨を定め(1条1項2号,別表第2。以下「法定耐用年数」という。),他方,中古資産である「機械及び装置」に係る耐用年数として,当該資産に係る法定耐用年数の経過の程度に応じた2年以上の耐用年数を定めている(3条1項2号)。 また,耐用年数通達1-5-8は,いわゆる総合償却資産(機械及び装置並びに構築物で,当該資産に属する個々の資産の全部につき,その償却の基礎となる価額を個々の資産の全部を総合して定められた耐用年数により償却することとされているものをいう。以下同じ)について,法人が工場を一括して取得する場合など,一の「設備の種類」又は「種類」に属する資産の相当部分につき中古資産を一時に取得した場合に限り,当該資産の総合耐用年数を見積もって当該中古資産以外の資産と て,法人が工場を一括して取得する場合など,一の「設備の種類」又は「種類」に属する資産の相当部分につき中古資産を一時に取得した場合に限り,当該資産の総合耐用年数を見積もって当該中古資産以外の資産と区別して償却することができると している。 原告は,本件確定申告において,本件各資産について耐用年数省令3条1項2号に基づく耐用年数(2年又は3年)が適用されるとして償却限度額の計算をしたところ,A税務署長は,耐用年数通達1-5-8を引用し,本件各資産が総合償却資産に該当することを根拠に,本件各資産の減価償却について同号の耐用年数を適用することはできず,法定耐用年数(8年)を適用すべきであるとして,本件処分をしたものである。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告原告は,化粧品等の製造販売等を目的とする株式会社であり,その本店所在地に工場(以下「本件工場」という。)を有し,本件工場において化粧品等を製造している。 (2) 原告における本件充填機等の取得ア原告は,平成26年7月31日,法定耐用年数の全部を経過した中古のチューブ充填機(本件充填機)を446万3500円(消費税及び地方消費税を含まない額。以下,後記イ及びウにおいて同じ)で取得した。本件充填機は,化粧品等の内容物(クリーム等)をチューブに充填するものである(甲9)。 イ原告は,平成26年9月30日,本件充填機に係る電装部分の取替え及びリフター式ユニットの取付けを640万円の費用をかけて行い(本件資本的支出),かかる改良後の本件充填機を本件工場において事業の用に供した。なお,原告は,本件資本的支出について,本件充填機と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を取得したものとして経 い(本件資本的支出),かかる改良後の本件充填機を本件工場において事業の用に供した。なお,原告は,本件資本的支出について,本件充填機と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を取得したものとして経理をした(法人税法施行令55条1項参照)。 ウ原告は,平成27年4月30日,法定耐用年数の一部を経過した中古の包装機(本件包装機)を159万3000円で取得し,本件工場において事業の用に供した。本件包装機は,シュリンクトンネルと呼ばれ,化粧品等の容器に被せたビニール包装を熱で収縮させて容器に貼り付けるものである(甲9,13)。 (3) 本件処分に至る経緯(別表1参照)ア原告は,平成27年7月29日,本件事業年度に係る法人税について,所得金額を4億6631万7664円,納付すべき税額を1億0139万9300円とする本件確定申告をした。 本件確定申告において,原告は,本件充填機等につき耐用年数省令3条1項2号が適用されることを前提に,本件充填機の耐用年数を2年,本件包装機の耐用年数を3年とし,また,本件資本的支出の耐用年数については法人税法施行令55条1項により本件充填機と同じ2年として,本件各資産の償却限度額を計算し,これと同額の償却費を損金の額に算入した。 なお,原告は,本件確定申告に際し提出した「旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」において,「機械及び装置」の取得価額を5億3569万5322円と記載した(乙27)。 イ A税務署長は,平成29年2月27日付けで,原告に対し,本件事業年度に係る法人税について,所得金額を4億7309万7033円,納付すべき税額を1億0312万8200円とする内容の更正処分(本件処分)をした(申告額との差額は,所得金額について677万9369円,納付 係る法人税について,所得金額を4億7309万7033円,納付すべき税額を1億0312万8200円とする内容の更正処分(本件処分)をした(申告額との差額は,所得金額について677万9369円,納付すべき税額について172万8900円である。)。 なお,A税務署長は,本件処分において,耐用年数通達1-5-8を引用し,本件各資産は総合償却資産に該当し,その取得によって総合償却資産の全体の耐用年数に影響を及ぼすものではないから,耐用年数省令3条 1項2号を適用することはできず,法定耐用年数(8年)を適用すべきであるとした(甲2)。 ウ原告は,平成29年5月23日,本件処分を不服として審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成30年2月20日付けで,これを棄却する旨の裁決をし,裁決書謄本は,同月22日頃原告に送達された(甲4の2)。 (4) 本件訴訟の提起原告は,平成30年7月12日,本件訴訟を提起した。 4 被告の主張する税額等原告の本件事業年度の法人税に関し被告が主張する課税の計算は,別紙3に記載のとおりであり,その所得金額及び納付すべき法人税額は本件処分における金額と同じである。原告は,後記5の争点に関する部分を除き,その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。 5 争点及び当事者の主張本件の争点は,本件処分の適法性であり,具体的には次の(1)及び(2)のとおりである。また,争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙4記載のとおりである(同別紙で定義した略語は本文においても用いる。)。 ⑴ 設備の一部を構成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用(2) 本件各資産の耐用年数第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件各資産の取得については,耐用年数省令3条1項2号を適用 成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用(2) 本件各資産の耐用年数第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件各資産の取得については,耐用年数省令3条1項2号を適用することはできず,その耐用年数は法定耐用年数である8年とすべきものであるから,本件処分は適法であり,原告の請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由の詳細は,以下のとおりである。 1 争点(1)(設備の一部を構成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用)について (1) 総合償却法についてア減価償却資産の意義,範囲について,法人税法2条23号は,建物,構築物,機械及び装置,船舶,車両及び運搬具,工具,器具及び備品,鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものとし,この規定を受けた法人税法施行令13条は,上記の政令で定める資産につき,棚卸資産等以外の資産のうち同条各号に掲げるものとし,その一つとして,同条3号において「機械及び装置」を定めている。 また,減価償却資産の耐用年数について,法人税法施行令56条は,これを財務省令で定めるものとし,この規定を受けた耐用年数省令1条1項は,一般の減価償却資産(鉱業権,坑道及び公共施設等運営権以外のもの。 以下同じ)の耐用年数につき,同項各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める表(同令各別表)に定めるところによるものとし,その一つとして定められた同条2号は,「機械及び装置」につき,同令別表第2(本件耐用年数表)によるものとしている。 このように,法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令が,減価償却資産の耐用年数について同令各別表に定めるところによると規定している趣旨は,企業において長期間にわたって収益を生み出す源泉である減価償却資産につ 法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令が,減価償却資産の耐用年数について同令各別表に定めるところによると規定している趣旨は,企業において長期間にわたって収益を生み出す源泉である減価償却資産につき,費用収益対応の原則に従い,その取得に要した金額を使用又は時の経過による減価に応じて徐々に費用化する(耐用年数を用いて配分する)という減価償却の制度において,その取得費用を適正に配分するために,当該資産の内容や用途等によって将来の収益に対する寄与の度合いや態様等が異なることを勘案し,減価償却資産を類型化するとともに,その類型ごとに耐用年数を定めることとしたものと解される。 イ減価償却資産のうち「機械及び装置」について耐用年数を定める本件耐用年数表は,番号1から55までの「設備の種類」ごとに「細目」を定め,その各「細目」別に耐用年数を定めている。そして,上記「設備の種類」 は,食料品製造業,繊維工業,化学工業及び鉄鋼業などのように,設備が用いられる事業の種類によって定められ(例えば,化学工業であれば,「化学工業用設備」。以下「業用区分」という。),業用区分ごとに定められる「細目」も,当該事業の目的に応じてどのような製造等に用いられる設備であるのかによって,概括的に定められている(例えば,化学工業であれば,「塩化りん製造設備」,「活性炭製造設備」等)。 このような業用区分に係る各事業に用いられる設備は,本来的には,複数の資産の集合体として,集団的に生産手段等として用いられるものであることが想定されているものといえる。そして,設備を構成する複数の資産については,個々の資産を単体として見れば,用役の提供に耐える年数がそれぞれ異なり得ることとなるが,それにもかかわらず,本件耐用年数表は,上記のとおり,業用区分ごとに定められた「細目」 る複数の資産については,個々の資産を単体として見れば,用役の提供に耐える年数がそれぞれ異なり得ることとなるが,それにもかかわらず,本件耐用年数表は,上記のとおり,業用区分ごとに定められた「細目」別に,設備を単位とした耐用年数(総合耐用年数)を定めているのであって,このことは,法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令において,「機械及び装置」については,設備を構成する各資産を個別の耐用年数により償却するのではなく,それらを一体のものとして共通の耐用年数(総合耐用年数)により償却するという総合償却法を採用していることを示すものと解するのが相当である。 このような総合償却法は,「機械及び装置」である減価償却資産が,複数の資産により構成される設備の稼働によって初めて,本来の機能を発揮し法人の収益の獲得に寄与するものとなるというその特質に鑑みると,上記アのような減価償却制度における耐用年数の定めの趣旨に照らし,合理性を有するものといえる。また,設備を構成する個々の資産に細分化して個別の耐用年数により償却することの実務上の困難性に鑑みても,総合償却法により償却限度額の計算が簡易化されるという利点が存するものということができる。 なお,「機械及び装置」に関する減価償却制度の改正の経緯(乙3,5,13)について見ると,「機械及び装置」について総合償却法が採用されたのは昭和26年税制改正によるものであるところ,当初は総合償却法と分別償却法を法人において選択し得るものとされていたのが,分別償却法の利用が少なかったことなどから,昭和39年税制改正によって総合償却法に一本化されている。また,総合償却法が採用されて以来,総合耐用年数の設定に当たっては,各業種ごとに想定される標準的生産設備(モデルプラント)を構成する個々の資産の耐用年数に基づ によって総合償却法に一本化されている。また,総合償却法が採用されて以来,総合耐用年数の設定に当たっては,各業種ごとに想定される標準的生産設備(モデルプラント)を構成する個々の資産の耐用年数に基づいて設定されていたのが,平成20年税制改正により日本標準産業分類の中分類に従った業用区分(55区分)が採用され,各設備の使用実態を踏まえた業用区分の各細目別の平均的な数値に基づき設定されることとなった。このような各改正の経緯に照らしても,本件処分時における耐用年数省令は,「機械及び装置」について総合償却法が採用されていることを前提に,業用区分の各細目別に総合耐用年数を定めているものと解される。 ウ総合償却法についての小括以上のとおり,法人税法施行令の委任を受けた耐用年数省令1条1項2号及び同令別表第2(本件耐用年数表)は,減価償却資産のうち「機械及び装置」について総合償却法を採用し,設備を構成する各資産を一体のものとして総合耐用年数により償却することとしているものと解すべきである。そして,このような総合償却法の下では,法人が設備を取得する場合,その設備を構成する個々の資産がいかなるものであるか(中古資産であるか否かを含む。)を問わず,当該設備が属する業用区分の細目について定められた総合耐用年数(以下「当該設備に係る総合耐用年数」という。)によるべきこととなる。 ⑵ 設備の一部を構成する中古資産の取得についてアまず,前提として,法人が設備の一部を構成する個々の資産(中古資産 でない資産)を新たに取得する場合であっても,上記(1)ウの場合と同様に,当該資産の償却については当該設備に係る総合耐用年数によるべきこととなると解される。なぜなら,本件耐用年数表は,「機械及び装置」について,上記(1)イのとおり業用区分の各 記(1)ウの場合と同様に,当該資産の償却については当該設備に係る総合耐用年数によるべきこととなると解される。なぜなら,本件耐用年数表は,「機械及び装置」について,上記(1)イのとおり業用区分の各細目に応じた総合耐用年数しか定めておらず,設備の一部を構成する個々の資産を新たに取得する場合に当該資産の償却について個別の耐用年数によることができる旨の規定を置いていないからである。 イ他方において,耐用年数省令3条1項2号は,同令別表第2に掲げる減価償却資産である中古資産を取得した場合における減価償却の方法について定め,その耐用年数について法定耐用年数(同令1条1項)とは異なる規律を設けているところ,同号の規定を,法人が設備の一部となる中古資産を新たに取得した場合にそのまま適用するとすれば,耐用年数省令が「機械及び装置」の償却について総合償却法を採用し,業用区分の各細目別に定められた総合耐用年数によるべきこととした趣旨を没却してしまうこととなる。なぜなら,法人が設備を取得するときには,その設備を構成する個々の資産の中には中古資産も含まれ得るところ,上記(1)ウのとおり本件耐用年数表が採用する総合償却法においてはこれら中古資産をも併せて総合耐用年数により償却すべきものであるにもかかわらず,法人が設備の一部となる中古資産を新たに取得した場合に耐用年数省令3条1項2号に基づく耐用年数によることとすれば,個別の耐用年数による償却を認めたのと同様の結果となってしまうためである。 また,中古資産でない資産を新たに取得した場合(上記ア)との対比においても,法人が新たに取得した中古資産は,設備の一部を構成することとなり,従来から当該設備を構成してきた各資産と一体となって集団的に生産手段等として用いられるという点で,中古資産でない資産の場合と何ら異 ,法人が新たに取得した中古資産は,設備の一部を構成することとなり,従来から当該設備を構成してきた各資産と一体となって集団的に生産手段等として用いられるという点で,中古資産でない資産の場合と何ら異なるものではないから,中古資産を新たに取得した場合にのみ耐用年 数省令3条1項2号に基づく耐用年数によるものとする合理性も見いだせない。 ウそこで,これらを踏まえて耐用年数省令3条1項2号の適用につき検討すると,上記のような総合償却法の下における総合耐用年数の適用と整合的に解するとすれば,法人が設備の一部となる中古資産を新たに取得した場合に同号の規定が適用されるのは,例えば,法人が既に稼働している工場を一括して取得した場合など,法人が有する当該業用区分の細目に係る設備の相当部分につき中古資産を取得したといえる場合,すなわち設備の相当部分が中古資産によって成り立っていると評価することができる場合に限られるものと解するのが相当であり,耐用年数通達1-5-8はこれと同趣旨をいうものとして合理性がある。 (3) 原告の主張についてア原告は,耐用年数省令3条1項2号において,取得した中古資産が設備の相当部分を占める場合に限定して適用される旨の文言がないことや,「総合償却資産」といった概念が定められていないことを理由に,設備の一部を構成する中古資産の取得であっても同項の適用を限定すべきではない旨を主張する。 しかしながら,耐用年数省令3条1項2号の規定を解釈するに当たっては,同令1条1項2号及び別表第2(本件耐用年数表)の定める規律と整合的に解釈することが求められるところ,本件耐用年数表が「機械及び装置」に係る減価償却について総合償却法を採用しており,これと整合的に同令3条1項2号について解釈するならば,設備の相当部分につ と整合的に解釈することが求められるところ,本件耐用年数表が「機械及び装置」に係る減価償却について総合償却法を採用しており,これと整合的に同令3条1項2号について解釈するならば,設備の相当部分につき中古資産を取得したといえる場合に限って同号が適用されると解するほかないことは,上記(1)及び(2)に説示したとおりである。なお,耐用年数通達1-5-8にいう「総合償却資産」とは,総合償却の対象となる資産,すなわち,設備を構成する個々の資産の集合体を示す概念であって,本件耐用年 数表が総合償却法を採用していることから当然に導かれるものということができる。 イまた,原告は,法人税法基本通達7-1-11が「機械及び装置」について通常取引される単位につき「1台又は1基」としていることなどを根拠として,「機械及び装置」が総合償却資産であることと矛盾すると主張する。 しかしながら,同通達は,少額の減価償却資産の取得価額の損金算入について定めた法人税法施行令133条等の適用範囲を画するためのものであり,同条等の適用によって企業の合理的な所得計算を歪めないといえる資産の評価の単位を説明するものであって,「機械及び装置」に係る償却方法(総合償却法を採用するか否か)とは無関係であるから,同通達の記載と,本件耐用年数表が総合償却法を採用していることとは矛盾するものではない。 ウ原告は,耐用年数省令別表1の「建物附属設備」,「構築物」の中には,単体の資産であるとは考えにくいものがあるが,これらの集合物については総合償却資産とされていないことから,「設備」等の集合体であることは総合償却資産の根拠とはならないと主張する。 しかしながら,上記(1)イに説示したとおり,耐用年数省令別表第2(本件耐用年数表)は,「機械及び装置」においては複数の資産に 備」等の集合体であることは総合償却資産の根拠とはならないと主張する。 しかしながら,上記(1)イに説示したとおり,耐用年数省令別表第2(本件耐用年数表)は,「機械及び装置」においては複数の資産により構成される設備の稼働によって法人の収益の獲得に寄与することや,設備を構成する個々の資産に細分化して個別の耐用年数により償却することの実務上の困難性に鑑み,合理的な償却方法として総合償却法を採用することとしたものであり,単に複数の資産による集合物であることのみを理由に総合償却法を採用したものでないことは,「機械及び装置」に関する減価償却制度の改正の経緯(総合償却法に一本化される前は,分別償却法との選択制であった。)からも明らかである。これに対し,同令別表1の「建物附 属設備」や「構築物」の細目に掲げられた「消火,排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備」,「露天式立体駐車設備」等の設備については,必ずしも総合償却法を採用することが相当とされるものではないから,これらの設備に係る耐用年数の定めをもって本件耐用年数表に係る上記(1)の判断を左右することはできないものというべきである。 (4) 争点(1)に係る小括以上によれば,設備の一部を構成する中古資産の取得については,設備の相当部分につき中古資産を取得したといえる場合を除き,耐用年数省令3条1項2号の規定は適用されない。 そこで,以下においては,争点(2)(本件各資産の耐用年数)を判断するに当たり,本件各資産が設備の相当部分を占めるものといえるか否かについて検討する。 2 争点(2)(本件各資産の耐用年数)について(1) 認定事実前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア本件工場の構成等(甲8) る。 2 争点(2)(本件各資産の耐用年数)について(1) 認定事実前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア本件工場の構成等(甲8)(ア) 本件工場は,化粧水,乳液,ジェルクリーム,バーム等の化粧品等を生産するものであり,①これら化粧品等の内容物(以下,単に「内容物」ということがある。)を製造する製造部門,②内容物を充填,包装する製品化部門,③管理部門,④倉庫等の各部門から成る。その建物は,工場棟(本館),新館,第2製造室の棟,第4製造室の棟,倉庫等で構成され,工場棟と新館は連絡通路で接続されている。 (イ) 本件工場の特徴は,生産ラインが固定化されず,顧客のニーズに応じて,多種類の化粧品等を小ロットで大量に製造,製品化できる点にある。 イ製造部門の構成等(甲8)(ア) 製造部門では,材料を混ぜて釜で加熱処理するなどして,化粧品等の内容物を製造している。製造部門には,後記(イ)のとおり製造室が三つ存在し,多種類の内容物が同時並行的に製造されている。 (イ) 製造部門は,①秤量室(倉庫から出した材料を量るための部屋),②副室(倉庫に保管しきれない材料等を保管する部屋),③秤量済置き場(量った材料を一時的に保管する部屋),④製造室(内容物を製造する部屋),⑤洗浄室(使い終わったバルク缶を洗浄する部屋)から成る。 (ウ) 上記のうち,製造室の内容は,次のとおりである。 製造部門には,第1製造室(工場棟1階),第2製造室,第4製造室の三つの製造室があり(第3製造室は,現在は存在しない。),第1製造室が最も大きい。各製造室には,内容物を加熱処理するための釜のほか,材料を混ぜやすくするための湯煎器,純水器等が置かれている。一つの釜では 製造室があり(第3製造室は,現在は存在しない。),第1製造室が最も大きい。各製造室には,内容物を加熱処理するための釜のほか,材料を混ぜやすくするための湯煎器,純水器等が置かれている。一つの釜では,一つの内容物が作られており,ある釜から別の釜を経由して内容物が作られることはない。 ウ製品化部門の構成等(甲8,9)(ア) 製品化部門では,化粧品等の内容物をチューブ等の容器に充填し,充填済みの容器を包装するという製品化を行っている。 (イ) 製品化部門は,①充填室及び包装室,②副室(備品置き場として用いられる部屋),③製品通路(製品化された製品を搬出する通路であり,工場棟と新館を接続する連絡通路)から成る。 (ウ) 充填室及び包装室の内容(現在)は,以下のとおりである。なお,平成29年2月27日の本件処分時以降,製品化部門におけるライン(以下「製品化ライン」という。)は増設されているが,その点を除けば,本件処分時における充填室及び包装室の内容は以下と同様である。 a 製品化部門においては,第1充填室から第13充填室までの合計13の充填室と,第1包装室から第13包装室までの合計13の包装室が存在する。これらのうち第13充填室及び第13包装室(新館1階に新設され,同一室で両者を兼ねている。)を除く各充填室及び各包装室は,いずれも工場棟及び新館の2階から4階に所在している。 b 充填室及び包装室は,順号を同じくするもの(例えば,第1充填室及び第1包装室)が壁で仕切られて併設され,一つの製品化ラインを構成することができるようになっている。そのため,順号の異なる充填室と包装室,例えば,第1充填室と第2包装室とで製品化ラインが構成されることはない。 c 各充填室及び各包装室には,その部屋の大きさに応じて,1本から5本 になっている。そのため,順号の異なる充填室と包装室,例えば,第1充填室と第2包装室とで製品化ラインが構成されることはない。 c 各充填室及び各包装室には,その部屋の大きさに応じて,1本から5本までの製品化ラインを構成することが可能であり,製品化部門全体では,最大32本の製品化ラインを同時に組むことができ,多種類の製品が同時並行的に生産されている。 d 製品化ラインを構成する各種機械は,大型の充填機を除き,その日に製品化される製品の種類に応じて組み替えられるのが通常である。 これらの組み替えは,納期や顧客からの突然の要望等に応じ,作業効率や優先順位を勘案して,日々行われている。 エ本件工場における充填機等の設置状況等(甲9)(ア) 本件工場において稼働可能な充填機の台数は42台であるところ,これらは第1充填室から第13充填室までのいずれかを定位置として置かれている。 上記42台の充填機のうち大型のものは,通常,定位置に置かれたまま使用され,別の充填室へ移動することはほとんどないが,小型のものは,当日に組まれる製品化ラインの構成次第で,別の充填室へ移動して 使用されることがある。本件充填機は,大型の充填機であり,第3充填室を定位置としている。 (イ) 他方,本件包装機を含む各包装機については,第1包装室から第13包装室までのいずれかを定位置として置かれているが,その日に製品化する各製品の種類に応じて各種機械を組み替えるに当たり,各包装室の間を頻繁に移動するのが通常である。 (ウ) なお,製品化ラインにおいて内容物の充填後に行われる作業の例としては,①内容物を充填された容器にラベルを貼り,中蓋をしてキャップをはめる作業,②製品本体に,インクジェットプリンターで印字をする作業,③ウエイトチェッカーで製品の重さを量る に行われる作業の例としては,①内容物を充填された容器にラベルを貼り,中蓋をしてキャップをはめる作業,②製品本体に,インクジェットプリンターで印字をする作業,③ウエイトチェッカーで製品の重さを量る作業,④シュリンクラベラーにより,ビニール包装を製品に被せる作業,⑤シュリンクトンネル(包装機)により,被せたビニール包装を熱で収縮させる作業,⑥包装した製品の検品作業等がある。 オ製造部門と製品化部門との関係(甲8)(ア) 製造部門と製品化部門との関係については,①製造部門で製造した内容物について製品化部門で充填,包装して製品化する場合,②製造部門のみを稼働させ,製造した内容物を他社に販売する場合,③製品化部門のみを稼働させ,他社で製造された内容物について充填,包装して製品化する場合がある。 (イ) 平成31年3月1日から同月31日までの間,製造部門で製造された内容物の総量は約297トンであり,そのうち製品化部門で充填,包装して製品化した総量は約286トン(上記内容物総量に対し96. 3%),製造した内容物を他社に販売した総量は約11トン(上記内容物総量に対し3.7%)であった。また,製品化部門のみを稼働させ,他社で製造された内容物について充填,包装して製品化した総量は約82トン(製品化部門における製品化総量約368トンに対し約22.3%) であった。なお,月によってその量は異なるが,その割合はおおむね類似している。 (2) 以上の認定事実を踏まえ,本件各資産が設備の相当部分を占めるものといえるか否かについて検討する。 アまず,前提として,本件耐用年数表にいう「設備」の単位をどのように捉えるかが問題となる。 上記1(1)イのとおり,耐用年数省令において「機械及び装置」の減価償却につき総合償却法を採用した趣 アまず,前提として,本件耐用年数表にいう「設備」の単位をどのように捉えるかが問題となる。 上記1(1)イのとおり,耐用年数省令において「機械及び装置」の減価償却につき総合償却法を採用した趣旨が,複数の資産により構成される設備の稼働によって法人の収益の獲得に寄与するという「機械及び装置」の特質や,償却限度額の計算の簡易化にあると解されることに照らせば,「設備」の単位を判断するに当たっても,このような法人の収益を生み出す源泉となる個々の資産が生産手段として用いられている具体的な態様(法人における生産の目的・方法,各資産の内容・用途,各資産相互の関係を含む。)を踏まえた上で,当該各資産が連動あるいは連携して,集団的に生産手段として用いられているといえるか否かを考慮して判断すべきである。 イ上記アの観点から,本件における「設備」の単位について検討する。 認定事実のとおり,本件工場は,多種類の化粧品等の生産を目的としており,生産ラインを固定せず,顧客のニーズに応じて,多種類の化粧品等を小ロットで大量に生産することができるような仕組みを設けている。具体的には,製造部門において三つの製造室で多種類の化粧品等の内容物が同時並行的に製造されているほか,製品化部門においても,各充填室及び各包装室において,その日に製品化される製品の種類に応じて各種機械が随時組み替えられ,多種類の化粧品等につき充填,包装等の製品化が行われている。そして,製造部門及び製品化部門のそれぞれにおいて使用されている機械は,いずれも,各部門におけるラインを構成するものとして稼 働している。(認定事実ア~エ)また,製造部門と製品化部門との関係について見ても,製造部門で製造した内容物の総量の9割以上が製品化部門で製品化されており,製造部門で製造した内容物を他 働している。(認定事実ア~エ)また,製造部門と製品化部門との関係について見ても,製造部門で製造した内容物の総量の9割以上が製品化部門で製品化されており,製造部門で製造した内容物を他社へ販売する割合は1割に満たないほか,製品化部門において製品化した総量の7割以上が製造部門で製造された内容物に係るものであり,他社で製造された内容物を製品化部門で製品化する割合は3割に満たない(認定事実オ)。 これらの事実関係に照らすと,本件工場において化粧品等の生産に用いられる各種機械は,他の機械とラインを構成して内容物の製造又は充填,包装等の製品化を行い,製造部門と製品化部門との連携の下で,多種類の化粧品等を生産するという目的を実現しているものであるから,製造部門及び製品化部門に属する各資産は,連動あるいは連携して,集団的に生産手段として用いられているものということができ,したがって,これら各資産の総体が,本件耐用年数表にいう「設備」の単位となるというべきである。 ウ原告の主張について原告は,「設備」の単位について,本件充填機についてはライン単位とし,本件包装機については機器単位とするべきである旨主張する。 しかしながら,本件工場において多種類の化粧品等を生産するという目的が製造部門及び製品化部門に属する各資産を集団的に用いることにより達成されていることは,上記イに説示したとおりである。また,認定事実ウ,エによれば,本件充填機についてはもちろん,本件包装機についても,他の機械と組み合わされて製品化ラインを構成する一つの機械であるにすぎない上,そのラインも顧客のニーズに応じて随時組み替えられるものであるから,原告の主張はいずれもその実態に合致しないものというほかない。そして,このことは,本件充填機が大型の充填機であって定位置 ない上,そのラインも顧客のニーズに応じて随時組み替えられるものであるから,原告の主張はいずれもその実態に合致しないものというほかない。そして,このことは,本件充填機が大型の充填機であって定位置 から移動することがほとんどないことや,本件包装機が単体でシュリンク装置(容器に被せたビニール包装を熱で収縮させる装置)として機能し得ることを考慮しても,左右されるものではない。 なお,原告は,製品化部門のうち充填の工程について,充填機ごとにモデルプラントを観念し得る旨も主張するが,新たに取得した中古資産について耐用年数省令3条1項2号を適用し得るか否かの判断において,その中古資産が設備の相当部分を占めるか否かを検討するに当たっては,現に存する設備の実態に即して検討すべきものであるから,現実の設備を離れて標準的な仕様に基づき想定されるモデルプラントをもって検討の基礎とすべきであるとする原告の主張は失当である。 したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 エ以上に基づき,本件工場における製造部門及び製品化部門に属する各資産の総体が本件耐用年数表にいう「設備」の単位となることを前提に,本件各資産がその相当部分を占めるか否かについて検討する(以下,かかる設備を「本件設備」という。)。 この点につき,原告が本件事業年度における「機械及び装置」の取得価額について5億3569万5322円と申告していること(前提事実(3)ア)によれば,本件設備を構成する各資産の再取得価額の合計金額(以下「本件設備価額」という。)についても,同程度の金額であると推認される。他方,本件各資産の取得価額(本件充填機につき446万3500円,本件資本的支出につき640万円,本件包装機につき159万3000円〔前提事実(2)〕 )についても,同程度の金額であると推認される。他方,本件各資産の取得価額(本件充填機につき446万3500円,本件資本的支出につき640万円,本件包装機につき159万3000円〔前提事実(2)〕)の合計額は1245万6500円(本件設備価額の約2. 3%)であり,原告が主張する本件充填機の再取得価額4250万円(甲6及び7の2)を考慮に入れたとしても合計5049万3000円(本件設備価額の約9.4%)であるにすぎない。 これらに照らすと,本件各資産が本件設備の相当部分を占めるものとい えないことは明らかである。 (3) 以上に基づいて本件各資産の耐用年数について検討すると,上記(2)のとおり,本件各資産は本件設備の相当部分を占めるものといえないことから,本件各資産の取得については耐用年数省令3条1項2号を適用することはできず,本件各資産の耐用年数は法定耐用年数によるべきである。そして,本件充填機等は,化粧品等の生産設備の一部を構成する資産であるから,本件耐用年数表の番号8「化学工業用設備」の細目「その他の設備」に該当し,その法定耐用年数は8年となり,また,本件資本的支出の法定耐用年数についても,法人税法施行令55条1項により,本件充填機と同じ8年となる。 3 本件処分の適法性上記2のとおり,本件各資産の耐用年数は8年となることから,それらの償却限度額は,別表3⑤,⑫及び⑲の各「処分行政庁」欄記載の各金額となり,これを前提として計算すると,本件事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は,本件処分における金額と同額となる。 したがって,本件処分は適法である。 第4 結論以上によれば,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 同額となる。したがって,本件処分は適法である。 主文 第4 結論以上によれば,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官 清水知恵子 裁判官 川山泰弘 裁判官 釜村健太 (別紙1省略)(別表1省略)(別表2省略)(別表3省略) (別紙2-1) ○ 法人税法(平成二七年法律第九号による改正前のもの) (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一~二十二(省略) 二十三 減価償却資産 建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。 二十四~四十四(省略) (別紙2-2) ○ 法人税法施行令(平成二八年政令第四三号による改正前のもの) (減価償却資産の範囲) 第十三条 法第二条第二十三号(減価償却資産の意義)に規定する政令で もの) (減価償却資産の範囲) 第十三条 法第二条第二十三号(減価償却資産の意義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。 一及び二(省略) 三 機械及び装置 四~九(省略) (資本的支出の取得価額の特例) 第五十五条 内国法人が有する減価償却資産について支出する金額のうちに第百三十二条(資本的支出)の規定によりその支出する日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額がある場合には、当該金額を前条第一項の規定による取得価額として、その有する減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとする。 ~ (省略) (減価償却資産の耐用年数、償却率等) 第五十六条 減価償却資産の第四十八条第一項第一号及 (省略) (減価償却資産の耐用年数、償却率等) 第五十六条 減価償却資産の第四十八条第一項第一号及び第三号並びに第四十八条の二第一項第一号から第三号まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する耐用年数、第四十八条第一項第一号並びに第四十八条の二第一項第一号及び第二号に規定する耐用年数に応じた償却率、同号に規定する耐用年数に応じた改定償却率、同条第五項第一号に規定する耐用年数に応じた保証率並びに第四十八条第一項第一号及び第三号並びに第三項に規定する残存価額については、財務省令で定めるところによる。 (別紙2-3) ○ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(平成二八年財務省令第二七号による改正前のもの) (一般の減価償却資産の耐用年数) 第一条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第十九号(定義)又は法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十三号(定義)に規定する減価償却 項第十九号(定義)又は法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十三号(定義)に規定する減価償却資産(以下「減価償却資産」という。)のうち鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。以下同じ。)、坑道及び公共施設等運営権以外のものの耐用年数は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める表に定めるところによる。 一(略) 二 所得税法施行令第六条第三号又は法人税法施行令第十三条第三号に掲げる資産 別表第二(機械及び装置の耐用年数表) 三及び四(省略) ~ (省略) (中古資産の耐用年数等) 第三条 個人において使用され、又は法人(法人税法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下第五条までにおいて同じ。)において事業の用に供された所得税法施行令第六条各号(減価償却資産の範囲)又は法人税法施行令第十三条各号(減価償却資産の範囲)に掲げる資産( 令第六条各号(減価償却資産の範囲)又は法人税法施行令第十三条各号(減価償却資産の範囲)に掲げる資産(これらの資産のうち試掘権以外の鉱業権及び坑道を除く。 以下この項において同じ。 )の取得(同法第二条第十二号の八に規定する適格合併又は同条第十二号の十二に規定する適格分割型分割(以下この項において「適格分割型分割」という。 )による同条第十一号に規定する被合併法人又は同条第十二号の二に規定する分割法人からの引継ぎ(以下この項において「適格合併等による引継ぎ」という。 )を含む。 )をしてこれを個人の業務又は法人の事業の用に供した場合における当該資産の耐用年数は、前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる。 ただし、当該資産を個人の業務又は法人の事業の用に供するために当該資産について支出した所得税法施行令第百八十一条(資本的支出)又は法人税法施行令第百三十二条(資本的支出)に規定する金額が 所得税法施行令第百八十一条(資本的支出)又は法人税法施行令第百三十二条(資本的支出)に規定する金額が当該資産の取得価額(適格合併等による引継ぎの場合にあつては、同法第六十二条の二第一項(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)に規定する時又は適格分割型分割の直前の帳簿価額)の百分の五十に相当する金額を超える場合には、第二号に掲げる年数についてはこの限りでない。 一 当該資産をその用に供した時以後の使用可能期間(個人が当該資産を取得した後直ちにこれをその業務の用に供しなかつた場合には、当該資産を取得した時から引き続き業務の用に供したものとして見込まれる当該取得の時以後の使用可能期間)の年数 二 次に掲げる資産(別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産であつて、前号の年数を見積もることが困難なものに限る。 )の区分に応じそれぞれ次に定める年数(その年数が あつて、前号の年数を見積もることが困難なものに限る。 )の区分に応じそれぞれ次に定める年数(その年数が二年に満たないときは、これを二年とする。 イ 法定耐用年数(第一条第一項に規定する耐用年数をいう。以下この号において同じ。)の全部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数の百分の二十に相当する年数 ロ 法定耐用年数の一部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の百分の二十に相当する年数を加算した年数 (省略) (別紙2-3) 別表第二機械及び装置の耐用年数表〔第一条〕番号設備の種類細目耐用年数1~7(省略) 化学工業用設備臭素、よう素又は塩素、臭素若しくはよう素化合物製造設備五塩化りん製造設備四活性炭製造設備五ゼラチン又はにかわ製造設備五半導体用フォトレジスト製造設備五フラットパネル用カラーフィルター、偏光板又は偏光板用フィルム製造設備五その他の設備八9~55(省略) (別紙2-4) ○ 耐用年数の適用等に関 造設備五フラットパネル用カラーフィルター、偏光板又は偏光板用フィルム製造設備五その他の設備八9~55(省略) (別紙2-4) ○ 耐用年数の適用等に関する取扱通達(昭和45年5月25日付直法4-25国税庁長官通達) (いずれの「設備の種類」に該当するかの判定)1-4-2 機械及び装置が一の設備を構成する場合には,当該機械及び装置の全部について一の耐用年数を適用するのであるが,当該設備が別表第二の「設備の種類」に掲げる設備(以下「業用設備」という。)のいずれに該当するかは,原則として,法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定することに留意する。(平6 年課法2-1「三」,平20 年課法2-14「四」により改正) (中古の総合償却資産を取得した場合の総合耐用年数の見積り)1-5-8 総合償却資産(機械及び装置並びに構築物で,当該資産に属する個々の資産の全部につき,その償却の基礎となる価額を個々の資産の全部を総合して定められた耐用年数により償却することとされているものをいう。以下同じ。)については,法人が工場を一括して取得する場合等別表第一,別表第二,別表第五又は別表第六に掲げる一の「設備の種類」又は「種類」に属する資産の相当部分につき中古資産を一時に取得した場合に限り,次により当該資産の総合耐用年数を見積って当該中古資産以外の資産と区別して償却することができる。(平6 年課法2-1「四」,平10 年課法2-7「一」,平20 年課法2-14「五」,平23 年課法2-17「二」により改正) (1) 中古資産の総合耐用年数は,同時に取得した中古資産のうち,別表第一,別表第二,別表第五又は別表第六に掲げる一の「設備の種類」又は「種類」に属 平23 年課法2-17「二」により改正) (1) 中古資産の総合耐用年数は,同時に取得した中古資産のうち,別表第一,別表第二,別表第五又は別表第六に掲げる一の「設備の種類」又は「種類」に属するものの全てについて次の算式により計算した年数(その年数に1 年未満の端数があるときは,その端数を切り捨て,その年数が2 年に満たない場合には,2 年とする。)による。 (算式)当該中古資産の取得価格の合計額÷当該中古資産を構成する個々の資産の全部につき,それぞれ個々の資産の取得価格を当該個々の資産について使用可能と見積もられる耐用年数で除して得た金額の合計額 (2) (1)の算式において,個々の中古資産の耐用年数の見積りが困難な場合には,当該資産の種類又は設備の種類について定められた旧別表第二の法定耐用年数の算定の基礎となった当該個々の資産の個別耐用年数を基礎として省令第3 条第1 項第2 号の規定の例によりその耐用年数を算定することができる。この場合において,当該資産が同項ただし書の場合に該当するときは1-5-6の取扱いを準用する。 (注) 個々の資産の個別耐用年数とは,「機械装置の個別年数と使用時間表」の「機械及び装置の細目と個別年数」の「同上算定基礎年数」をいい,構築物については,付表3又は付表4 に定める算定基礎年数をいう。 ただし,個々の資産の個別耐用年数がこれらの表に掲げられていない場合には,当(別紙2-4) 該資産と種類等を同じくする資産又は当該資産に類似する資産の個別耐用年数を基準として見積られる耐用年数とする。 (取得した中古機械装置等が設備の相当部分を占めるかどうかの判定)1-5-9 1-5-8の場合において,取得した中古資産がその設備の相当部分であるかどうかは,当該取得 られる耐用年数とする。 (取得した中古機械装置等が設備の相当部分を占めるかどうかの判定)1-5-9 1-5-8の場合において,取得した中古資産がその設備の相当部分であるかどうかは,当該取得した資産の再取得価額の合計額が,当該資産を含めた当該資産の属する設備全体の再取得価額の合計額のおおむね100分の30以上であるかどうかにより判定するものとする。 この場合において,当該法人が2以上の工場を有するときは,工場別に判定する。(平年課法2-7「一」により改正) (別紙3)被告の主張する課税の根拠及び計算 1 本件処分の根拠被告が主張する原告の本件事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき 法人税額は,次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表2・順号③) 4億7309万7033円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表2・順号①) 4億6631万7664円 上記金額は,本件申告書に記載された所得金額と同額である。 イ損金の額に算入されない減価償却費の額(別表2・順号②)677万9369円上記金額は,原告が,本件事業年度中に事業の用に供した本件各資産に係る減価償却費の額として損金の額に算入した金額のうち,本件各資産の 耐用年数が8年であることから損金の額に算入されない減価償却費の額(別表3・⑦,⑭及び㉑に係る「処分行政庁」欄の合計額)であり,原告の所得金額に加算すべき金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表2・順号④)1億1979万9735円 上記金額は,上記(1)の所得金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に法 する法人税額(別表2・順号④)1億1979万9735円 上記金額は,上記(1)の所得金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に法人税法66条1項及び2項並びに租税特別措置法42条の3の2第1項(平成27年法律第9号による改正前のもの。)の各規定に基づき,800万円以下の金額については100分の15の税率を,800万円を超える金額については10 0分の25.5の税率を乗じて計算した各金額の合計額である。 (3) 法人税額の特別控除額(別表2・順号⑤) 1665万8929円上記金額は,租税特別措置法による法人税額の特別控除の金額であり,本件申告書に記載された金額と同額である。 (4) 法人税額から控除される所得税額(別表2・順号⑥) 1万2509 円上記金額は,法人税法68条1項の規定により法人税額から控除される所得税の額であり,本件申告書に記載された金額と同額である。 (5) 納付すべき法人税額(別表2・順号⑦) 1億0312万8200円 上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)及び(4)の金額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた後の金額。)である。 2 本件処分の適法性被告が主張する原告の本件事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき 法人税額は,上記1のとおり,それぞれ4億7309万7033円及び1億0312万8200円であるところ,本件処分における所得金額及び納付すべき法人税額は,上記の各金額と同額であるから,本件処分は適法である。 以上 ける所得金額及び納付すべき法人税額は,上記の各金額と同額であるから,本件処分は適法である。 以上 (別紙4)当事者の主張の要旨 1 争点(1)(設備の一部を構成する中古資産を取得した場合における耐用年数省令3条1項2号の適用)について (1) 被告の主張の要旨ア総合償却資産(耐用年数通達1-5-8)とは,有形固定資産のうちで個々の資産としての耐用年数は異なるが用役の提供を一団として行う多数の資産について,その平均耐用年数によって減価償却費を一括的に計上する資産の集まりをいう。 「機械及び装置」は,それが個々の資産ごとに独立して用役の提供を行うものではなく,設備という集合体として集団的に生産手段として用いられる点に特徴がある。そのため,耐用年数省令1条1項2号は,一の設備を構成する「機械及び装置」について,同令別表第2(機械及び装置の耐用年数表。 以下「本件耐用年数表」ということがある。)において個々の「機械及び装 置」の平均となる耐用年数(以下「総合耐用年数」という。)を定め,個々の「機械及び装置」が一つの工程やラインとなって一体の設備を構成している場合には,その個々の「機械及び装置」ごとに耐用年数を適用するのではなく,一の設備を構成する「機械及び装置」の全部について一の耐用年数を適用することとしたものである。これは,すなわち,法人税法等が「機械及 び装置」を総合償却資産と捉え,一の設備を構成する機械及び装置の全部を一体のものとして償却するという方法(以下「総合償却法」という。)を採用していることを意味するものにほかならない。 法 び装置」を総合償却資産と捉え,一の設備を構成する機械及び装置の全部を一体のものとして償却するという方法(以下「総合償却法」という。)を採用していることを意味するものにほかならない。 法令は,このような総合償却法を昭和17年以降一貫して採用しているところ,その趣旨は,機械設備は最初の工程より最後の工程に至るまで有機的 に牽連結合して活動し,資産の内容について見ても細目ごとの区分は必ずし も明瞭でなく,化学工業に至っては資産の細分は全く不可能に等しいため,機械設備等の資産については原則として細目に区分せず,事業全体の機械設備を総合して償却することとし,その平均年数を耐用年数として定めて計算の簡易化を図ることとした点にある。また,減価償却資産によって将来の収益に対する寄与の度合い,態様等が異なり,その取得費用を適正に配分する 方法が異なり得る点に着目して減価償却資産を類型化したものと解されることから,業用設備については,これを構成する個別の資産に細分化するのではなく,当該設備全体に一の耐用年数を適用するのが相当と考えられる点にもあると解される。 総合償却資産という概念が法人税法等の関係法令に根拠を置いたものであ ることは,①耐用年数省令が「機械及び装置」として個別の資産を掲げるのではなく,概括的に「機械及び装置」を類型化してその耐用年数を設定していることや,②「機械及び装置」の特徴が設備という集合体として,集団的に生産手段として用いられる点にあること,③法人税法の委任を受けた法人税法施行令の再委任を受けて,耐用年数省令が上記定めをしているという, 「機械及び装置」に関する関係法令の仕組み,④上記のような総合償却法の趣旨及び制定の経緯等に照らせば明らかである。 本件耐用年数省表の「機械及び装置」 用年数省令が上記定めをしているという, 「機械及び装置」に関する関係法令の仕組み,④上記のような総合償却法の趣旨及び制定の経緯等に照らせば明らかである。 本件耐用年数省表の「機械及び装置」は,設備の種類によって55の「○○業用設備」に分類され,さらにその細目に掲げられた設備ごとに耐用年数が定められているところ,ここでいう「設備」とは,集団的に生産手段とし て用いられる集合体としての「設備」を指すものである。これに対し,耐用年数省令別表第1の「建物」は,「構造又は用途」によって分類され,その細目ごとに耐用年数が定められており,また,「建物附属設備」の細目等に掲げられている「○○設備」は,単体の資産である「設備」を指すものであることはその記載自体から明らかであって,上記のような集合体としての「設 備」を掲げる本件耐用年数表の「機械及び装置」とは異なる。 イ一の設備を構成する「機械及び装置」に中古品が追加され,又は,一の設備の一部分が中古品と交換された場合,当該設備に係る法定耐用年数(総合耐用年数)の計算をやり直しても全体の構成割合によっては当該耐用年数にほとんど影響を及ぼさない場合があり,このような場合に当該一の設備を構成する「機械及び装置」について法定耐用年数により一括して継続して償却 しても,償却額においては大差が認められないこととなる。 このことから,設備の一部を構成する中古資産の取得については,原則として耐用年数省令3条1項にいう「資産の取得」に該当せず,耐用年数通達1-5-8が定めるとおり,当該設備(総合償却資産)の相当部分につき中古資産を一時に取得した場合に限り,当該中古資産が設備全体に占める構成 割合等から総合耐用年数に影響を及ぼすものとして,例外的に,同項にいう「資産の取得」 備(総合償却資産)の相当部分につき中古資産を一時に取得した場合に限り,当該中古資産が設備全体に占める構成 割合等から総合耐用年数に影響を及ぼすものとして,例外的に,同項にいう「資産の取得」に該当するというべきである。 なお,耐用年数通達1-5-8は,あくまで当該中古資産を含む資産が一体となって一の総合償却資産を構成していることを前提として,減価償却費の計算上の取扱いを定めたものにすぎないのであって,当該中古資産をそれ 以外の資産とは別個の総合償却資産と捉えることを認めたものではない。 また,法人税法基本通達7-1-11(法人税法施行令133条等の適用において,取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは,通常1単位として取引されるその単位,例えば,機械及び装置については1台又は1基ごとに判定するとしたもの。)は,企業会計の重要性の原則に基づ き,いかなる資産であれば一時ないし短期の費用化を認めても企業の合理的な所得計算をゆがめることがないかという観点から,特定の資産の取得価額を判定する際の当該資産の単位を定めたものにすぎず,「機械及び装置」の償却方法の問題とは無関係な事項を定めたものである。 (2) 原告の主張の要旨 ア耐用年数省令3条1項は,「資産の取得」としか規定しておらず,取得し た中古資産がその設備の相当部分である場合のみ適用される旨の限定文言は一切付されていないし,総合償却資産といった概念も使用されていない。 したがって,機械を物理的に購入した場合には,条文に素直に,その1台又は1基の機械が「資産」としての「機械及び装置」であるとしてこれを「取得」したと解釈すべきであり,設備の一部を構成する中古資産の取得であっ ても,常に耐用年数省令3条1項にいう「資産の取得 台又は1基の機械が「資産」としての「機械及び装置」であるとしてこれを「取得」したと解釈すべきであり,設備の一部を構成する中古資産の取得であっ ても,常に耐用年数省令3条1項にいう「資産の取得」に含まれるというべきであり,その耐用年数は同項2号に基づいて定められる。 イ被告は,本件耐用年数表の規定ぶり等により,設備の一部を構成する中古資産を取得した場合,それが設備の相当部分に及ばない限り耐用年数省令3条1項にいう「資産の取得」に含まれないと主張する。 しかし,耐用年数省令の別表は,「機械及び装置」に限り概括的に分類をしているものではないから,分類ごとに耐用年数を設定しているという条文の文言ないし仕組みは,「機械及び装置」についてのみ総合償却資産という考え方を採用しなければならない根拠にはなり得ない。また,耐用年数省令は,「設備」との文言について「機械及び装置」の各分類以外にも多用して おり,同別表第1の「建物附属設備」,「構築物」の中には,単体の資産であるとは考えにくい,複数の物で構成される一定の役割を果たす集合体であると考えられるものが掲げられているが,これらについて「設備」等という集合体を捉える点は全く同様であるにもかかわらず,総合償却資産という考え方を採用しなければならないとする通達も実務上の取扱いも存在しないか ら,「設備」という文言も上記主張の根拠とはなり得ない。 また,分類ごとに耐用年数を設定したという条文の文言ないし仕組みから「機械及び装置」とは総合償却資産のことであると考えざるを得ないのであれば,中古資産を一時に取得した場合に,耐用年数通達1-5-8において当該中古資産について個別に償却することを例外的に認めることの説明がつ かないし,少額の減価償却資産に関する法人税法 のであれば,中古資産を一時に取得した場合に,耐用年数通達1-5-8において当該中古資産について個別に償却することを例外的に認めることの説明がつ かないし,少額の減価償却資産に関する法人税法基本通達7-1-11は, 「機械及び装置」について,通常取引される単位が「1台又は1基」であるとの見解を示しており,また,当該単位ごとに判定する取得価額が10万円未満又は20万円未満である場合に,総合償却資産としての「機械及び装置」を構成する資産から,特定の「機械及び装置」を排除して償却することを認めるものであり,被告の主張する総合償却の考え方と明らかに矛盾する。 2 争点(2)(本件各資産の耐用年数)について(1) 被告の主張の要旨前記1(1)で述べたところに基づき,本件について検討すると,以下のとおり本件各資産は設備の相当部分を占めるものとは認められないから,その減価償却につき耐用年数省令3条1項2号を適用することはできず,本件各資産の耐 用年数は,法定耐用年数(8年)となる。 アある資産の集合体が総合償却資産と評価されるか否かについては,工場を基準とするとか,一の工程を基準とするといった一義的,形式的な基準で定めることができるものではなく,①有機的に牽連結合して活動する性質のものであるかどうか,②用役の提供を一団として行う集まりであるかどうか, ③同一の使用目的を有する多数の有形固定資産のグループであるといえるかどうか,④全体としての用役を提供するためそのうち一つの資産も欠くことができないものかどうか等を考慮要素として,総合的に判断されるべきものである。法令解釈通達である「法人税基本通達等の一部改正について」(平成20年12月26日付課法2-14ほか1課共同)の趣旨説明(乙5。国 税庁 等を考慮要素として,総合的に判断されるべきものである。法令解釈通達である「法人税基本通達等の一部改正について」(平成20年12月26日付課法2-14ほか1課共同)の趣旨説明(乙5。国 税庁ホームページに掲載されたもの。)には,耐用年数通達1-4-2の解説として,「機械及び装置が一の設備を構成する場合,すなわち個々の機械及び装置が一の工程やラインとなって,一体の設備を構成している場合には,・・・その一の工程やラインとしての一の設備を構成する機械及び装置の全部について一の耐用年数を適用することとしている」という記載がある (以下「本件説明」という。)が,これは2つ以上の機器が有機的に結合す ることにより一つの設備を構成する場合の例を示しているにすぎず,総合償却資産である「機械及び装置」の範囲を画する絶対的基準を示したものではない。 イ本件工場では,化粧品等の製造のための原料の受入れをする工程から,これを封詰めし包装するなどして市場に流通する製品に仕上げる工程まで,製 造部門と製品化部門にそれぞれ設置された「機械及び装置」が化粧品等の生産・製造という目的の下一体となって稼働している。殊に製品化部門にあっては,本件工場内の「機械及び装置」をその都度ラインとして構築しながら化粧品等を製造しているのであるから,本件工場に設置された「機械及び装置」は,それぞれの果たす機能によってこれらの化粧品等の内容物及び製品 を製造する設備の一部を構成しているというべきである。 本件充填機は,本件工場内に設置された化粧品等の製品化ラインに組み込まれて使用されるものであり,当該ラインの中で化粧品等の内容物をチューブに充填して封詰めする機能を有する。また,本件包装機についても,本件充填機と同様に化粧品等の製品化ラインに組み 化ラインに組み込まれて使用されるものであり,当該ラインの中で化粧品等の内容物をチューブに充填して封詰めする機能を有する。また,本件包装機についても,本件充填機と同様に化粧品等の製品化ラインに組み込まれ,化粧品等の容器にフ ィルムを貼る機能を有している。他方において,本件充填機等は,いずれも化粧品等の製造工程において単体としては化粧品等を製造することができず,本件工場内に設置された他の機械や装置と一体となって初めて化粧品等を製造することができるといえる。 そうすると,本件充填機等は,本件工場内,具体的には製品化部門に設置 され,目的物に応じてその都度組み立てられる生産ラインの一部を構成することでその機能を発揮する資産であって,本件工場内に設置された本件充填機等以外の「機械及び装置」とともに化粧品を製造し製品化するという共通の目的の下に稼働するものであるといえる。 このように,本件充填機等は,化粧品等の内容物及び製品を製造する目的 や機能を有する本件工場に設置された「機械及び装置」全体と同様に,当該 目的や機能を有し,かつ,当該製造に直接寄与する機能を有するものであることが認められるのであるから,その用途,機能及び実際の設置使用状況から一の設備を構成する資産といえる。 したがって,総合償却資産に関する上記アの①から④までの考慮要素から総合的に判断すれば,本件における総合償却資産は,本件充填機等を含む本 件工場に設置された「機械及び装置」全体を指すものと解するのが相当である。 そうすると,本件工場にある化粧品等の製造を目的とする全ての「機械及び装置」については,総合償却資産として耐用年数省令別表第2に掲げられる「機械及び装置」であるとして,当該設備の全部について一の耐用年数が 適用されることと 等の製造を目的とする全ての「機械及び装置」については,総合償却資産として耐用年数省令別表第2に掲げられる「機械及び装置」であるとして,当該設備の全部について一の耐用年数が 適用されることとなる。 ウこれに対し,原告は,本件工場内では充填という工程について,設置された充填機ごとにモデルプラント(ライン)を観念できるから,総合償却資産の範囲については,充填機ごとに想定されるライン別に考えるべきであるなどと主張する。 しかしながら,「標準設備(モデル・プラント)」とは,平成20年財務省令第32号による改正前の耐用年数省令(以下「旧耐用年数省令」という。)に係る同令別表2に掲げられた総合耐用年数を算定するために一般的・標準的な設備の在り方として想定されたものであって,原告が主張するように,個々の納税者における設備の管理及び使用の状況等から個別に観念されるも のでもなければ,当該設備の所有者によって自由に設定されるものでもない。 そもそも旧耐用年数省令における「化粧品製造設備」の標準設備(モデル・プラント)の構成は,化粧品の内容物の製造からその充填・包装等の製品化までの各工程に要する一連の「機械及び装置」であるから,本件充填機等は,そのような各工程に要する一連の「機械及び装置」の一部として,総合償却 資産と評価されるべきものである。 エ耐用年数通達1-5-9のとおり,取得した中古資産の再取得価額がその当該中古資産を含めた設備全体の再取得価額の合計額の30パーセントを超えるときは,その設備全体の耐用年数に相当影響することから,当該中古資産が設備の相当部分を占めるものとして,当該中古資産について総合耐用年数を見積もり,他の機械と区別して償却することができるというべきである。 年数に相当影響することから,当該中古資産が設備の相当部分を占めるものとして,当該中古資産について総合耐用年数を見積もり,他の機械と区別して償却することができるというべきである。 そして,上記イのとおり,本件工場における化粧品等の製造に係る全ての工程が総合償却資産を構成していると解すべきであるから,本件工場にある化粧品等の製造を目的とする全ての設備が同通達1-5-9の「設備全体」であり,その合計額は5億3569万5322円であることが認められる。 そうすると,本件充填機の再取得価額は4250万円であり,これに本件 資本的支出640万円及び本件包装機の取得価額159万3000円を加えた合計額は5049万3000円にとどまるから,本件各資産の再取得価額の合計額は,設備全体の再取得価額の30パーセントを超えるものではなく,本件各資産の取得は,設備の相当部分について中古資産を一時に取得したものとはいえない。 したがって,本件各資産の取得は,耐用年数省令3条1項にいう「資産の取得」に該当しない。 (2) 原告の主張の要旨前記1(2)に述べたとおり,耐用年数省令3条1項2号の適用は設備の相当部分について中古資産を一時に取得した場合に限られるものではないが,仮に この点について被告主張の解釈によるとしても,以下のとおり本件各資産は設備の相当部分を占めるものといえるから,その減価償却については耐用年数省令3条1項2号を適用すべきものであり,本件各資産の耐用年数は,本件確定申告のとおり(前提事実(3)ア),本件充填機及び本件資本的支出につき2年,本件包装機につき3年である。 ア仮に総合償却資産を観念できるとしても,本件説明(前記(1)ア)のとおり, 総合償却資産の範囲を画する概念とし 機及び本件資本的支出につき2年,本件包装機につき3年である。 ア仮に総合償却資産を観念できるとしても,本件説明(前記(1)ア)のとおり, 総合償却資産の範囲を画する概念としては,一の工程やラインとして,一の設備を構成するかどうかを基準として判断するべきである。 イ本件工場においては,製造部門における「内容物の製造」,製品化部門における「容器への充填」,充填して袋詰めした容器に「フィルムを張る」という機能は,工程としても用役としても区別できる。そして,本件充填機は, 本件工場内では,充填という工程について,設置された充填機ごとにモデルプラント(ライン)を観念できるから,総合償却資産の範囲としては,本件充填機を含め充填機ごとに想定されるライン別に考えるべきである。充填機以外の資産については,現場の要望に合わせる形で日々組み替えているところであるが,モデルプラントにおいて考慮すべきは,会計税務処理を行うに 当たっての観念的な一連の設備であるから,日々の製品化の業務において実際の構成に差異が生じたとしても問題はない。 本件充填機の再取得価額は,当該ライン全体の再取得価額の合計額のおおむね100分の30以上であるから,本件充填機は,当該設備の相当部分を占める。したがって,本件充填機(及び本件資本的支出)の耐用年数は,耐 用年数省令3条1項2号に基づいて定められる。 ウまた,本件包装機は,もっぱら包装の工程の設備であり,本件工場の製品化部門のみならず同部門の各ラインにおける充填の工程とも無関係な機械であって,シュリンク装置としてそれ単独で独立の包装設備を構成し,包装という工程を最初から最後まで行うことができるものである。したがって,本 件包装機は,「機械及び装置」の範囲としては単体のものとして ,シュリンク装置としてそれ単独で独立の包装設備を構成し,包装という工程を最初から最後まで行うことができるものである。したがって,本 件包装機は,「機械及び装置」の範囲としては単体のものとして考えるべきであり,当該設備を構成する資産の全部を占めるものである。したがって,本件包装機の耐用年数についても,耐用年数省令3条1項2号に基づいて定められる。 以上

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