主文 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,1500万円及びこれに対する平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は第1,2審を通じてこれを4分し,その1を被控訴人,その余を控訴人の負担とする。 5 この判決は,主文第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 主文第1項と同じ 2 被控訴人は,控訴人に対し,5991万1411円及びこれに対する平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,証券会社である控訴人(以下「控訴会社」という。)の執行役員で投資銀行本部副本部長であった被控訴人が,株式公開買付けが実施される予定の会社3社についてのその実施に関する情報を,その公表前に控訴会社内の会議で知ったところ,3社の株式公開買付け実施に関する情報(以下「本件インサイダー情報」という。)を,知人のBに漏洩し,Bが知人のF名義でそれらの会社の株式を購入したとして金融商品取引法167条3項違反の罪で,平成24年6月25日に逮捕され,横浜地方裁判所で懲役2年6月,執行猶予4年の有罪判決を受け,控訴審の東京高等裁判所は控訴棄却の判決をし,最高裁判所は上告棄却の決定をして,被控訴人に対する有罪判決が確定したことから,控訴会社が被控訴人に対し,不法行為(又は債務不履行)に基づき,控訴会社が被ったと主張する6億1191万1411円の損害の一部である5991万1411 円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,被控訴人の犯罪行為の事実を否定し,控訴会社の請求を棄却したため,控訴会社が控訴した。 2 前提 る5991万1411 円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,被控訴人の犯罪行為の事実を否定し,控訴会社の請求を棄却したため,控訴会社が控訴した。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 被控訴人の金融商品取引法167条3項違反の犯罪について被控訴人は,金融商品取引法167条3項違反の罪で逮捕,起訴され,横浜地方裁判所は,①被控訴人が,Bに対し,平成23年2月22日ころ,株式会社Dの株式の公開買付け実施についてのインサイダー情報を,その公表前に伝達し,BにF名義でD社の株式を購入させた,②被控訴人が,Bに対し,平成23年3月28日ころ,株式会社Gの株式の公開買付け実施についてのインサイダー情報を,その公表前に伝達し,BにF名義でG社の株式を購入させた,③被控訴人が,Bに対し,平成23年4月28日ころ,H株式会社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報を,その公表前に伝達し,BにF名義でH社の株式を購入させたとして,被控訴人のこれらの行為は,金融商品取引法167条3項の教唆犯に該当するとして,平成25年9月30日,被控訴人に対し,懲役2年6月,執行猶予4年,罰金150万円とする旨の判決をした(乙2)。 被控訴人は,上記の横浜地方裁判所の判決に対して控訴の申立てをしたところ,東京高等裁判所は,平成27年9月25日,その控訴を棄却するとの判決をした(乙3)。 被控訴人は,上記の東京高等裁判所の判決に対して上告の申立てをしたところ,最高裁判所は,平成29年7月5日,その上告を棄却するとの決定をし,上記の横浜地方裁判所の判決が確定した(乙34)。 なお,控訴会社の内部者取引管理規程(以下「本件規程」という。)11条1項は,「役職員は, は,平成29年7月5日,その上告を棄却するとの決定をし,上記の横浜地方裁判所の判決が確定した(乙34)。 なお,控訴会社の内部者取引管理規程(以下「本件規程」という。)11条1項は,「役職員は,法人関係情報を取得し又は報告を受けた場合は,業務上 当該情報を伝達することが必要な法人関係役職員以外の第三者に伝達してはならない」と定めており(甲2),被控訴人の上記各行為は,本件規程11条1項にも違反する。 ⑵ Bの金融商品取引法167条3項違反の犯罪についてBは,金融商品取引法違反167条3項違反の罪で起訴され,横浜地方裁判所は,①Bは,平成23年2月22日ころ,被控訴人からD社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に提供を受け,F名義で,D社の株式を購入した,②Bは,平成23年3月28日ころ,被控訴人からG社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に提供を受け,F名義で,G社の株式を購入した,③Bは,平成23年4月28日ころ,H社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に提供を受け,F名義で,H社の株式を購入したとして,金融商品取引法167条3項に違反するインサイダー取引を実行したとして,平成25年2月28日に,Bに対し,懲役2年6月,執行猶予4年,罰金300万円,追徴1億0043万8400円の判決をした(乙1)。 3 争点及び当事者の主張の要旨⑴ 被控訴人の金融商品取引法167条3項違反の行為(教唆)は不法行為又は債務不履行に当たるか(控訴会社の主張)ア被控訴人に対しては,上記2⑴のとおり,金融商品取引法167条3項の教唆犯に該当するとして,横浜地方裁判所が,平成25年9月30日,懲役2年6月,執行猶予4年,罰金1 (控訴会社の主張)ア被控訴人に対しては,上記2⑴のとおり,金融商品取引法167条3項の教唆犯に該当するとして,横浜地方裁判所が,平成25年9月30日,懲役2年6月,執行猶予4年,罰金150万円に処する旨の有罪判決を言渡し(乙2),被控訴人は,控訴の申立てをしたところ,東京高等裁判所は,平成27年9月25日,控訴を棄却するとの判決をし(乙3),被控訴人が,これに対して上告の申立てをしたところ,最高裁判所は,平成29年7月5日,その上告を棄却する旨の決定をし(乙34),上記の有罪判決が確 定した。 イこれらの各刑事裁判の裁判書が,詳細に認定しているとおり,被控訴人は,控訴会社の投資銀行本部内の会議における報告等で知った①D社の株式の公開買付けが実施されるとの情報,②G社の株式の公開買付けが実施されるとの情報,③H社の株式の公開買付けが実施されるとの情報につき,いずれも公表前にBに伝え,BがF名義でこれらの株式を購入したことは,金融商品取引法167条3項の教唆犯に該当するから,不法行為又は控訴会社の内部者取引管理規程(本件規程)11条1項に違反する債務不履行に基づく損害賠償として,控訴会社に生じた損害の賠償をすべきである。 (被控訴人の主張)被控訴人が,控訴会社の投資銀行本部内の会議における報告等によって,本件インサイダー情報を取得していたこと,控訴会社主張の日時にBに電話をかけたことは認める。 しかし,被控訴人は,本件インサイダー情報をBに伝達したことはないから,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償をする義務はない。 ⑵ 損害の発生及び額(控訴会社の主張)控訴会社が,被控訴人の不法行為又は債務不履行によって被った損害は,次のアからカまでの合計6億1191万1411円が相当 をする義務はない。 ⑵ 損害の発生及び額(控訴会社の主張)控訴会社が,被控訴人の不法行為又は債務不履行によって被った損害は,次のアからカまでの合計6億1191万1411円が相当である。なお,本件訴訟においては,その一部である5991万1411円及び遅延損害金を請求する。 ア控訴会社に設置した調査委員会に要した費用(2391万1247円)控訴会社は,事実関係を調査し,社会的信用の低下を食い止め,その信用を回復するために必要な対策として,外部専門家からなる調査委員会を設置し,その費用として2391万1247円を支払った。 イ調査委員会に専従した控訴会社従業員の人件費(558万円) 控訴会社は,従業員6名に対して,被控訴人のスケジュールの把握や被控訴人の行動一覧表を作成するなど,調査委員会の調査の補助業務を行わせ,人件費として558万円を支払った。 ウ捜査機関の聴取に応じた控訴会社従業員の人件費(295万5000円)控訴会社は,証券取引等監視委員会及び検察庁の聴取に応じるように従業員に命じたところ,証券取引等監視委員会による聴取は少なくとも50回以上,1回当たり約1.25時間を要し,横浜地方検察庁による聴取は少なくとも36回以上,1回当たり約7時間を要したから,その人件費として295万5000円が発生した。 エ捜査機関の調査開始後に被控訴人に支払った給与(1201万5164円)証券取引等監視委員会の調査が開始された平成23年9月28日から出向が解除された平成24年5月22日までの間,被控訴人は,捜査機関の調査に対応しており,本来行うべき業務を行わなかったから,その間の被控訴人の給与として支払われた1201万5164円は損害に当たる。 オ信用毀損による損害 2日までの間,被控訴人は,捜査機関の調査に対応しており,本来行うべき業務を行わなかったから,その間の被控訴人の給与として支払われた1201万5164円は損害に当たる。 オ信用毀損による損害(5億6200万円)被控訴人の本件インサイダー情報の漏洩は,多くの報道機関により犯罪行為として報道され,控訴会社の証券会社としての社会的信用は著しく毀損された。そのため,控訴会社は,上記の報道によって,既に獲得していた複数の案件を失注し,社債の引受業務において5億5150万円の引受手数料を得る機会を失い,同様に株式引受業務についても1180万円の引受手数料を得る機会を失った。したがって,上記信用毀損によって控訴会社が被った損害は5億6200万円が相当である。 カ弁護士費用(545万円)(被控訴人の主張)控訴会社の主張は否認する。 平成24年3月以降,控訴会社を含む複数の証券会社の従業員による未公開情報の漏洩事件であるいわゆる増資インサイダー事件が広く報道され,控訴会社の社会的信用は著しく毀損されていたのであり,被控訴人の逮捕が報道されたことによって控訴会社の信用が毀損されたことはない。 ⑶ 不法行為に基づく損害賠償請求権が時効消滅するか否か(被控訴人の主張)控訴会社は,平成24年5月23日に被控訴人を懲戒解雇し,遅くとも同日には「加害者を知った」のであるから,平成27年5月23日の経過により,不法行為による損害賠償請求権の消滅時効が完成した。被控訴人は,本件訴訟において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。 (控訴会社の主張)被控訴人は,公開買付け実施に関する情報の漏洩を否認し,刑事事件でも無罪を主張していたのであるから,刑事事件の有罪判決が確定し,ある 効を援用するとの意思表示をした。 (控訴会社の主張)被控訴人は,公開買付け実施に関する情報の漏洩を否認し,刑事事件でも無罪を主張していたのであるから,刑事事件の有罪判決が確定し,あるいは少なくとも刑事事件の有罪判決が宣告されてはじめて,被害者である控訴会社が損害賠償請求が可能な程度に「加害者を知った」といえるのであって,少なくとも被控訴人に対する刑事事件の第1審で有罪判決が宣告された平成25年9月30日から3年を経過していない以上,消滅時効は完成していない。 なお,被控訴人を懲戒解雇したのは出向元である株式会社A銀行であって,控訴会社ではない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴会社の請求は,被控訴人に対し,1500万円及びこれに対する不法行為又は債務不履行の後である平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないと判断する。その理由は,次の2から4までのとおりである。 2 争点⑴(被控訴人の不法行為又は債務不履行の成否)について⑴ 被控訴人が,Bに対して本件インサイダー情報を伝え金融商品取引法167条3項の教唆犯に該当する行為をしたとする有罪判決が,横浜地方裁判所,その控訴審である東京高等裁判所,そして上告審である最高裁判所の審理判断を経て確定している。 そして,これらの各刑事事件の判決書及び決定書(乙2,3,34),これらの審理判断で用いられた証拠(甲4から9,16から19,35から85,90から100,乙4,5,7から12,17から24,28から30,35から38(枝番のあるものはいずれも枝番を含む。))並びに弁論の全趣旨を総合すれば,被控訴人が,①平成23年2月22日ころ,Bに対し,D社の株式の公開買付け実施に ,17から24,28から30,35から38(枝番のあるものはいずれも枝番を含む。))並びに弁論の全趣旨を総合すれば,被控訴人が,①平成23年2月22日ころ,Bに対し,D社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に伝え,これに基づきBはD社の株式をF名義で購入したこと,②平成23年3月28日ころ,Bに対し,G社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に伝え,これに基づきBはG社の株式をF名義で購入したこと,③平成23年4月28日ころ,Bに対し,H社の株式の公開買付け実施に関するインサイダー情報について,その公表前に伝え,これに基づきBはH社の株式をF名義で購入したことがいずれも認められる。 したがって,控訴会社主張の被控訴人による不法行為が認められる。 なお,被控訴人は,被控訴人が本件インサイダー情報をBに伝達していないなどと主張し,不法行為(又は債務不履行)の成立を否定する。 しかしながら,証拠(乙2)によれば,横浜地方裁判所は,被告人(被控訴人)の公判供述,証人B,同J,同Fの各公判供述,C,E,K,Fの各検察官調書,捜査報告書,調査官報告書,D社の関係ではI,L,Fの各検察官調書,捜査報告書,資料入手報告書,G社及びH社の関係では,調査官報告書,G社の関係ではM,N,O,E,P,Fの各検察官調書,捜査報告書,資料入手報告書,H社の関係では,Q,E,Fの各検察官調書,捜査報告書,資料入手報告書,調査官報告書に基づき,前記証拠(乙2)の4頁か ら42頁まで記載のとおりの検討を行い,被控訴人は,Bに対し,D社,G社,H社に関する重要事実を伝達し,Fの名義で買付けをさせたのであるから,金融商品取引法167条3項の教唆犯が成立する旨の認定をしたことが認められる。また 検討を行い,被控訴人は,Bに対し,D社,G社,H社に関する重要事実を伝達し,Fの名義で買付けをさせたのであるから,金融商品取引法167条3項の教唆犯が成立する旨の認定をしたことが認められる。また証拠(乙3)によれば,東京高等裁判所は,同証拠(乙3)の1頁22行目から30頁23行目までに記載のとおりの検討を行い,原判決の認定した罪となるべき事実について事実誤認があるとは認められないと判断したことが認められる。そして,証拠(乙34)によれば,最高裁判所は,刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないとして,上告を棄却したことが認められる。 これらの刑事事件の裁判所における事実認定等の判断について,当裁判所において,何らかの疑義を生じさせたり,これらを覆すべきであると判断すべき事情は,豪も認められない。 ⑵ なお,被控訴人について上記刑事事件が認定した各犯罪行為は,控訴会社の内部者取引管理規程(本件規程)11条1項にも違反すると認められるから債務不履行にも該当する。 3 争点⑵(損害の発生及び額)について⑴ 控訴会社は,控訴会社の執行役員で投資銀行本部副本部長であった被控訴人が,金融商品取引法167条が禁止する株式公開買付けに関するいわゆるインサイダー情報をBに提供し買付けをさせた不法行為(又は控訴会社が定めた本件規程に違反する債務不履行)により,控訴会社に生じた有形損害として,①控訴会社が外部専門家委員による調査委員会を設置し,その委員らに支払った2391万1247円,②調査委員会の事務に専従した控訴会社従業員6名の人件費558万円,③証券取引等監視委員会及び横浜地方検察庁の事情聴取に応じた控訴会社従業員の人件費295万5000円,④証券取引等監視委員会の調査開始後に控訴会社が被控訴人に支払った給与1201万5164円,控訴会 証券取引等監視委員会及び横浜地方検察庁の事情聴取に応じた控訴会社従業員の人件費295万5000円,④証券取引等監視委員会の調査開始後に控訴会社が被控訴人に支払った給与1201万5164円,控訴会社に生じた無形損害として,⑤控訴会社の信用が毀 損されたことによる損害5億6200万円,さらに⑥弁護士費用545万円の損害が発生した旨主張する。 ⑵ ところで,金融商品取引法がいわゆるインサイダー取引に対して厳しい規制をし,刑事罰を課しているのは,インサイダー取引によって一部の関係者だけが不正に大きな利益を得る事態が横行すれば,証券市場の公正性と健全性に対する一般投資家の信頼が損なわれ,資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図りもって国民経済の健全な発展を図るという同法の目的が達成できなくなりかねないからである。そして,法人の業務に関して従業員らがインサイダー取引を行った場合は,行為者個人のみならず,当該法人に対しても5億円以下の罰金刑を科すといういわゆる両罰規定が置かれ(同法207条1項2号,197条の2第13号,167条3項),また,平成17年4月から,証券取引法改正によって課徴金制度が導入され,平成20年の金融商品取引法改正により,インサイダー取引の違反抑止の実効性を図るために,対象範囲の拡大や金額の引き上げなど,強化,拡充がされた。このように,証券市場の公正性と健全性を確保して国民経済の健全な発展を図るという公益を護るために証券取引を業として取扱う証券会社の社会的責務は増大し,インサイダー取引が,情報の伝達という電話やメールで簡易に行われるものであることから,幹部職員はもとより従業員らの教育・研修等を通じてインサイダー取引の発生防止を図ることは,証券会社に課せられた重大な要請であるということができ という電話やメールで簡易に行われるものであることから,幹部職員はもとより従業員らの教育・研修等を通じてインサイダー取引の発生防止を図ることは,証券会社に課せられた重大な要請であるということができる。 また,本件の控訴会社から被控訴人に対する損害賠償請求は,被控訴人を執行役員として雇用する控訴会社が,被用者である被控訴人に対し,被控訴人が控訴会社の事業の執行について生じさせた損害について,賠償を求めるものであるところ,そもそも我が国の民法715条1項が規定するいわゆる使用者責任の制度は,使用者が被用者の活動によって利益を上げる関係にあることや,自己の事業範囲を拡張して第三者に損害を生じさせる危険を増大 させていることに着目し,損害の公平な分担という見地から,その事業の執行について被用者が第三者に加えた損害を使用者に負担させることにしたものであって,このような趣旨からすれば,使用者は,被用者との関係においても,損害の全部または一部について負担すべき場合があると解すべきである(最高裁平成30年(受)1429号令和2年2月28日第二小法廷判決・民集74巻2号106頁参照)。そして,使用者と被用者の間の損害の分担については,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度,その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる範囲で,使用者がその被用者の損害を負担することも同条の法意に合致するものと解される(最高裁昭和4951年7月8日第一小法廷判決・民集30巻7号689頁,上記最高裁平成30年(受)1429号令和2年2月28日第二小法廷判決各参照)。 ⑶ 有形損害についてそこで,以下,まず,控 裁昭和4951年7月8日第一小法廷判決・民集30巻7号689頁,上記最高裁平成30年(受)1429号令和2年2月28日第二小法廷判決各参照)。 ⑶ 有形損害についてそこで,以下,まず,控訴会社の主張する有形損害①ないし④を順次検討する。 ア ① 控訴会社に設置した調査委員会の費用について控訴会社は,被控訴人の逮捕に伴い,控訴会社に,専門家等から構成される調査委員会を設置し,それに関する費用として2391万1247円を支払ったので,これが,被控訴人が控訴会社に対して賠償すべき損害に当たると主張する。 証拠(甲20,28)によれば,控訴会社は,平成24年6月25日に,横浜地方検察庁により,控訴会社の執行役員で投資銀行本部副本部長である被控訴人が逮捕されたことから,同日,控訴会社の取締役会において,事実関係の調査,原因分析及び改善策の提言等を行うことを目的とする「調 査委員会」を設置する決議をしたこと,同調査委員会は,R弁護士(元福岡高等検察庁検事長)を委員長とし,S弁護士及び控訴会社のT内部管理統括責任者の両名を委員としこれらの3名を構成員とするものであったこと(その後,さらに2名の弁護士を補助者として任命すると共に合計12名の控訴会社の役職員による事務局が設置された),同調査委員会は,被控訴人の逮捕・起訴という事実を前提として,控訴会社が講ずべき対策を可及的速やかに策定のうえ,今後の情報管理に万遺漏なきを期すことを目的とするものであり,被控訴人の起訴にかかる事実の有無の検討や被控訴人の弁護方針等に触れるものではないことがそれぞれ認められる。 そして,証拠(甲28)によれば,同調査委員会は,平成21年10月1日以降,被控訴人が逮捕された平成24年6月25日までの間に控訴会社に在籍したことがある役職員のうち,ア とがそれぞれ認められる。 そして,証拠(甲28)によれば,同調査委員会は,平成21年10月1日以降,被控訴人が逮捕された平成24年6月25日までの間に控訴会社に在籍したことがある役職員のうち,アンケート実施日の同年7月5日現在で,AAグループ傘下の控訴会社を含むグループ各社に在籍している8794名に対して,本件情報漏洩に関する情報伝達経路及び手段等並びに他の役職員による類似案件に関する情報提供を求めたこと,さらに控訴会社の経営陣及び被控訴人と業務上の関係にあった役職員等のべ80人に対してヒアリングを行うと共に,A銀行の関連部署に対してヒアリング及び照会を行い,それらの調査によって判明した事実を元に本件情報漏洩が発生した原因分析を行ったこと,控訴会社の「再発防止策」として,(ⅰ)A銀行からの出向者に対する研修の強化,(ⅱ)役員に対する行動監視の強化,(ⅲ)人事情報の共有,(ⅳ)法人関係情報管理態勢の維持・向上の4項目を提言する内容の調査報告書を,同年8月7日に,控訴会社に対し提出したことがそれぞれ認められる。 以上によれば,この調査委員会は,控訴会社の執行役員であった被控訴人の逮捕をきっかけとするものではあったものの,被控訴人の逮捕や起訴にかかる被疑事実の有無を調査したり,被控訴人の関与や同人の弁護方針 などの検討を目的とするものではなく,その設置目的は,控訴会社が,爾後,会社として講ずべき対策を可及的速やかに策定のうえ,控訴会社の情報管理に万遺漏なきを期すことを目的とするものである。そして,その調査方法も,被控訴人による情報漏洩とは直接関わっていない控訴会社やA銀行の役職員等に対しても,本件とは異なる類似の情報漏洩案件をも含めて,広くアンケートやヒアリング,照会などを行い,それらを元に原因分析を行った上で,控訴会社の 洩とは直接関わっていない控訴会社やA銀行の役職員等に対しても,本件とは異なる類似の情報漏洩案件をも含めて,広くアンケートやヒアリング,照会などを行い,それらを元に原因分析を行った上で,控訴会社の行うべき「再発防止策」として,A銀行から控訴会社への出向者に対する研修の強化,控訴会社の役員に対する行動監視の強化,人事情報の共有,法人関係情報管理態勢の維持・向上を提言しているものである。そうすると,この調査委員会の調査は,控訴会社が,証券会社として証券市場の公正性と健全性を確保して国民経済の健全な発展を図るという社会的責務を全うするための調査と報告であるというほかなく,調査の目的も方法も提言もすべて専ら控訴会社の責務を全うするために行ったものというべきである。それにもかかわらず,これに要した費用を,控訴会社が被控訴人に損害賠償として求めることは筋違いというほかなく,したがって,この調査委員会に要した費用と,被控訴人の行為との間に相当因果関係があるということはできない。 イ ②調査委員会に専従した従業員の人件費について控訴会社は,上記の調査委員会の事務局に控訴会社従業員6人を専従させて調査委員会の補助事務に当たらせたが,その6人分の人件費が合計558万円であり,これは,被控訴人の不法行為又は債務不履行によって発生したものであるから,被控訴人は,控訴会社がその調査委員会専従従業員らに対して支払った給与相当額を賠償すべきであると主張する。 しかしながら,上記の調査委員会は,前記認定のとおり,控訴会社が,証券会社として証券市場の公正性と健全性を確保して国民経済の健全な発展を図る役割を果たすべきであるという,控訴会社の社会的責務を全うす るために設置して調査と報告をしたものと認められ,同調査委員会の事務局としての活動は,控訴会社の して国民経済の健全な発展を図る役割を果たすべきであるという,控訴会社の社会的責務を全うす るために設置して調査と報告をしたものと認められ,同調査委員会の事務局としての活動は,控訴会社の職務命令によって控訴会社のために稼働したものであるというほかなく,調査の目的も方法も提言もすべて専ら控訴会社の責務を全うするために行ったのであるから,その事務局の従業員の給与等をその業務命令を行った控訴会社が支払ったのは当然であるといわざるを得ない。したがって,この控訴会社従業員らの給与等の人件費について,被控訴人の不法行為又は債務不履行と相当因果関係のある損害であるとの控訴会社の主張に与することはできない。 ウ ③捜査機関の聴取に応じた従業員の人件費について控訴会社は,控訴会社の従業員に対して,証券取引等監視委員会及び横浜地方検察庁による事情聴取があれば,これに応じるようにとの業務命令を出していたところ,証券取引等監視委員会による事情聴取は,合計50回以上あり,1回当たり約1.25時間を要し,横浜地方検察庁による事情聴取は,少なくとも36回以上あり,1回あたり約7時間を要したから,その対価として支払った給与等(人件費)の合計295万5000円は,被控訴人の不法行為又は債務不履行によって控訴会社に生じた損害であると主張する。 しかしながら,控訴会社の従業員であった被控訴人によって生じたとされるインサイダー取引につき,証券取引等監視委員会及び横浜地方検察庁による事情聴取があれば,もとより控訴会社とすれば,控訴会社にそのような犯罪を生じさせた責任があり両罰規定により処罰される可能性があり,そうでなくとも控訴会社に被控訴人の犯罪を生じさせた組織的な原因や土壌があるかもしれず,また自らの会社の従業員が基本的な義務違反をした可能性があることに があり両罰規定により処罰される可能性があり,そうでなくとも控訴会社に被控訴人の犯罪を生じさせた組織的な原因や土壌があるかもしれず,また自らの会社の従業員が基本的な義務違反をした可能性があることに対する控訴会社としての監督責任等の社会的責任を全うする必要があることなどから,控訴会社が,自らの責務として業務命令を出したものと考えられ,現に,控訴会社の担当者は,そのような業務命 令に従って事情聴取に応じたと考えられるから,同人らの給与等の人件費は,まさに従業員として行った業務の対価として控訴会社が負担すべきものであって,被控訴人が負担すべき損害であるということはできない。 エ ④被控訴人に支払った給与について控訴会社は,被控訴人に対する証券取引等監視委員会の調査が開始された平成23年9月28日から,被控訴人の控訴会社への出向が解除された平成24年5月22日までの間,被控訴人は,証券取引等監視委員会や横浜地方検察庁の事情聴取などに応じており,本来,被控訴人に与えられていた業務を行わなかったのであるから,上記の期間に被控訴人の給与として支払われた1201万5164円は控訴会社の損害に当たるとして,被控訴人はこれを賠償すべきであると主張する。 しかしながら,証拠(乙44)によれば,被控訴人は,控訴会社からの業務命令に従って,証券取引等監視委員会や横浜地方検察庁の事情聴取などに応じたことが認められ,そもそも被控訴人と控訴会社との間の労働契約が解除されるなど,控訴会社の被控訴人に対する給与支払義務が,出向が解除される前のいずれかの時期に消滅したことを窺わせる事情は見出しがたい。 そして,本件においては,当裁判所が,控訴会社に対し,被控訴人に適用される給与規程や給与に関する定めがある就業規則等の提出をし,それに基づいて,労働契約が したことを窺わせる事情は見出しがたい。 そして,本件においては,当裁判所が,控訴会社に対し,被控訴人に適用される給与規程や給与に関する定めがある就業規則等の提出をし,それに基づいて,労働契約が継続しているにも関わらず給与支払義務がいつ消滅するかについて具体的に主張するように釈明したにも関わらず,控訴会社は,そのような給与規程や就業規則等の提出もそれに基づく具体的な主張もしない。 そうすると,被控訴人は,控訴会社との雇用契約に基づいて,控訴会社の業務命令に従って,証券取引等監視委員会や横浜地方検察庁の事情聴取などに応じていたというほかなく,その間の控訴会社から被控訴人に対す る給与の支払が違法とされたり控訴会社の損害とされる理由は見出しがたいといわざるを得ない。 ⑷ 無形損害について次に,控訴会社の主張する無形損害である⑤控訴会社の信用が毀損されたことによる損害を検討する。 証拠(甲10から14)によれば,平成24年6月25日に,控訴会社の執行役員であった被控訴人が金融商品取引法違反の疑いで横浜地方検察庁に逮捕されたというニュースは,複数のマスメディアによって報じられ,証拠(甲27)によれば,控訴会社に対する信用が毀損されたことが認められる。 そして,法人に信用毀損等の無形の損害が生じた場合,加害者は,金銭評価の可能な無形の損害について,民法710条により被害法人に金銭によって賠償する責任を負うと解される(最高裁昭和39年 1 月28日第一小法廷判決・民集18巻1 号136頁参照)。 しかしながら,証拠(甲105の1ないし4)によれば,控訴会社の損益計算書上,営業利益は,平成22年4月1日から同23年3月31日まで(平成23年3月期)は385億4200万円,同23年4月1 日から同24年3月31日まで(平成2 いし4)によれば,控訴会社の損益計算書上,営業利益は,平成22年4月1日から同23年3月31日まで(平成23年3月期)は385億4200万円,同23年4月1 日から同24年3月31日まで(平成24年3月期)は399憶7000万円であったところ,被控訴人が逮捕された平成24年6月25日を含む同24年4月1 日から同25年3月31日まで(平成25年3月期)は,727億1000万円となっており,被控訴人が平成24年6月25日に逮捕されたことによって,営業利益が減少したとは認められないばかりか,かえって平成24年3月期と比べると,平成25年3月期の営業利益は,約328億円増加と倍増に近い伸びを示している。他方で,不祥事に伴う広告宣伝費や接待交際費などを含む販売費・一般管理費が上昇しているかというと,平成23年4月1日から同24年3月31日まで(平成24年3月期)の販売費・一般管理費は1813億5000万円であるところ,同24年4月1日から同25年3月3 1日まで(平成25年3月期)の販売費・一般管理費は,1952億8500万円と伸び率はせいぜい10パーセント程度であることが認められる。そうすると,平成24年6月25日に,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕とその報道によって,控訴会社に信用毀損という無形の損害が生じたとしても,それが控訴会社の収益全体に対して影響を与えるような重篤なものではなかったといえる。 そして,さらに控訴会社の具体的な個別の取引等に関する損害について見るに,証拠(甲27)によれば,控訴会社は,被控訴人が逮捕された平成24年6月25日の翌日,控訴会社の事業法人本部,金融・公共法人本部,総合法人四本部,事業法人営業本部に対し,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕の影響の調査を開始し,平成24年8月13 た平成24年6月25日の翌日,控訴会社の事業法人本部,金融・公共法人本部,総合法人四本部,事業法人営業本部に対し,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕の影響の調査を開始し,平成24年8月13日に,社債や株式の引受等の投資銀行ビジネスに対する影響を取りまとめたところ,既に控訴会社が,社債の共同主幹事4社の中の1社に決定していた案件のうち,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕によって取り消されたものが1件あったことが認められ,これにより控訴会社が得られると見込まれていた引受手数料2500万円が得られなくなったことが認められる。なお,控訴会社は,多数の機関投資家からの買い控えや,社債や株式の引受の主幹事等を得られなかったことにより,5億円以上の損害を被った旨主張するが,証拠(甲27,28)及び弁論の全趣旨によれば,控訴会社は,そのころ,別のインサイダー取引案件,すなわち株式の公募増資に係る法人関係情報を受領した営業本部の役員等が,傘下の営業部店長に同情報を伝達し,23営業員が公表前に34顧客に対して同情報を提供して取得申込みの勧誘を行った件で,平成24年4月20日に金融庁から金融商品取引法51条に基づく業務改善命令という行政処分を受け,同年5月18日に業務改善計画を提出するという事態に至っており,個別の手数料減少等の損害が,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕の影響であるか否かは不明といわざるを得ず,さらに控 訴会社が主張する社債や株式の引受についても,交渉途上のものがほとんどであり,被控訴人のインサイダー情報漏洩による逮捕の影響としての信用毀損に基づく損害として具体的に金銭評価可能なものは,上記の2500万円であると認められる。 そして,前記⑵に記載したとおり,インサイダー情報の漏洩については,行為者としての 捕の影響としての信用毀損に基づく損害として具体的に金銭評価可能なものは,上記の2500万円であると認められる。 そして,前記⑵に記載したとおり,インサイダー情報の漏洩については,行為者としての個人はもとより,それを防止すべき証券等の取引を業として行う証券会社としての社会的責任は重大であり,特に,被控訴人は,A銀行に入社し,平成21年10月に控訴会社に執行役員投資銀行本部副本部長として出向するまで,専ら銀行業務に携わっており,証券取引を業務として行っていなかったのであるから,前記の控訴会社が設置した調査委員会が「再発防止策」の筆頭に掲げているように(甲28),A銀行からの出向者に対する研修を強化し,インサイダー取引に関する厳しい規制や,その具体的な誘惑の実態などについて,十分に知悉させる必要があったというべきである。 また,民法715条に基づく使用者と被用者の間の損害の分担については,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度,その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる範囲で,使用者がその被用者の損害を分担すべきであるところ,証拠(甲12,28,乙32の1ないし47,乙33)によれば,各証券会社では,本件インサイダー取引の前後にも,インサイダー取引が多発しているが,その背景には,不況で取引仲介料が伸び悩む中,厳しい顧客獲得競争に巻き込まれている証券会社の実態があると指摘されるなど,証券会社の雇用者によるインサイダー情報の漏洩には,被用者である証券会社にも相当程度その責任が存することなどを総合勘案すれば,本件においては,上記2500万円の損害のうち,その4割の1000万円は控訴会社が負担す によるインサイダー情報の漏洩には,被用者である証券会社にも相当程度その責任が存することなどを総合勘案すれば,本件においては,上記2500万円の損害のうち,その4割の1000万円は控訴会社が負担すべきであり,行為者である被控訴人はその6割の1500万円 を負担するのが相当である。 ⑸ ⑥弁護士費用本件については,双方が訴訟代理人に委任して訴訟追行を行っていることが認められるが,上に述べた事情を総合勘案するならば,控訴会社からの被控訴人に対する損害賠償請求事件に関してのみ,弁護士費用が不法行為ないし債務不履行と相当因果関係のある損害であると認めるのは相当とはいえない。 民法724条(平成29年法律第44号による改正前のもの)にいう「損害及び加害者を知った時」とは,被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれらを知った時を意味するものと決・民集27巻10号1374頁参照)。 そして,被控訴人は,平成24年5月22日に出向を解除され,同月23日にA銀行から懲戒解雇されたところ(当事者間に争いがない),証拠(乙2,3,28,30)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,同年6月25日,金融商品取引法違反の被疑事実により逮捕される以前から,本件インサイダー情報の伝達行為を否認し,被控訴人の刑事事件でも無罪を主張していたこと,同刑事事件につき横浜地方裁判所で有罪判決が宣告された平成25年9月30日までの間には,捜査機関によって差し押さえられていた証拠書類や捜査機関に対するBら関係者の供述等の内容を控訴会社において確認するのはほとんど不可能であったことが認められる。そうすると,同日より前の時点では,被控訴人が否認していたのに,控訴会社において,被控訴人が本件インサイダー情報 の供述等の内容を控訴会社において確認するのはほとんど不可能であったことが認められる。そうすると,同日より前の時点では,被控訴人が否認していたのに,控訴会社において,被控訴人が本件インサイダー情報をBに伝達して金融商品取引法167条3項のインサイダー取引の教唆犯に該当する不法行為を行ったと判断し,被控訴人に対する損害賠償を請求することは事実上不可能であったというべきである。 したがって,平成24年5月23日の時点で,被控訴人による本件インサイダー情報伝達による不法行為について,控訴会社が,加害者である被控訴人に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれらを知ったということはできないから,被控訴人の時効消滅の主張は採用できない。 5 以上によれば,控訴会社の請求は,被控訴人に対し,1500万円及びこれに対する不法行為又は債務不履行の後である平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がなく,これを棄却した原判決は相当でないから取り消すこととして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官定塚誠 裁判官谷口園恵は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官定塚誠 裁判官德増誠一
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