主文 1 原判決を取り消す。2 処分行政庁が控訴人に対して、平成31年1月29日付けでした労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付を支給しない旨の処分を取り消す。3 訴訟費用は、第1、2審を通じ、被控訴人の負担とする。事実及び理由 第1 控訴の趣旨主文同旨第2 事案の概要等(略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。) 1 本件は、日本電気株式会社(本件会社)に勤務していた訴外A(亡A)が、平成26年4月3日、右被殻出血(本件疾病)を発症し、平成▲年▲月▲日死亡したことについて、亡訴外Aの相続人である控訴人が、岡山労働基準監督署長(処分行政庁)に対し、本件疾病が業務に起因にするものであると主張して、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償給付の請求をしたが、処分行政庁において、これを支給しないとの処分(本件処分)をしたことから、被控訴人に対し、本件処分の取消しを求めた事案である。2 原判決は、本件疾病について業務に起因するものと認めることはできないとして、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が、原判決を不服として、控訴を提起した。3 前提事実、争点及びこれに対する当事者の主張は、4において当審における当事者の主張を加えるほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の1及び第3(原判決2頁11行目から同18頁22行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(なお、原判決3頁19行目の「当庁」を「福岡地方裁判所」と改める。)。4 当審における当事者の主張 ⑴ 控訴人の主張ア原判決は、労働時間集計表の最後の2日の計算方法を誤っており、これを是正すると、発症6か月前の時間外労働時間数は月平均78時間41分 4 当審における当事者の主張 ⑴ 控訴人の主張ア原判決は、労働時間集計表の最後の2日の計算方法を誤っており、これを是正すると、発症6か月前の時間外労働時間数は月平均78時間41分となり、認定基準の「1か月当たりおおむね80時間」に該当するため、本件疾病について業務起因性を認めるべきである。 の最後の2日の計算方法を誤っており、これを是正すると、発症6か月前の時間外労働時間数は月平均78時間41分 4 当審における当事者の主張 ⑴ 控訴人の主張ア原判決は、労働時間集計表の最後の2日の計算方法を誤っており、これを是正すると、発症6か月前の時間外労働時間数は月平均78時間41分となり、認定基準の「1か月当たりおおむね80時間」に該当するため、本件疾病について業務起因性を認めるべきである。イ原判決の認定した労働時間は、以下の点について不当であり、これらを是正すれば、本件疾病について業務起因性が認められる。ゴルフについて本件会社においては、マリンヒルズの会員権が代々の本件支店長に与えられ、ゴルフの費用が交際費として本件会社から支出されており、取引先関係者との取引維持や拡大のため、支店長がゴルフに参加することは当然の業務であったことや、ゴルフの参加費について事前に申請し、本件会社が承認していたことからすれば、亡訴外Aにゴルフに参加するか否かの裁量はなく、ゴルフに参加した時間は労働時間として評価されるべきである。休憩時間について本件スケジュール表には直ちにアクセスできるとは限らない一方、ipadについては、即時に入力ができ、ipadに入力したものの、本件スケジュール表への入力が漏れる可能性もあることを考慮すると、亡訴外Aの使用していたipadの方が労働時間が正確に記載されていたというべきであり、亡訴外Aのipadのスケジュールに沿って休憩時間を認定すべきである。平成26年3月26日について運転日報(甲104)、経費精算書(甲113)によれば、亡訴外Aは、経済同友会の総会を休んで午前7時30分からライフパーク倉敷に急遽出張して重大トラブルに対応した可能性が最も高く、そうでないと しても、午前8時から経済同友会の総会に出席した後にライフパーク倉敷に赴い 総会を休んで午前7時30分からライフパーク倉敷に急遽出張して重大トラブルに対応した可能性が最も高く、そうでないと しても、午前8時から経済同友会の総会に出席した後にライフパーク倉敷に赴いて重大トラブルに対応した可能性が高いのであって、亡訴外Aが何の業務もせずに午後3時42分に本件支店に出勤したとは考えられず、始業時刻は、午前7時30分又は遅くとも午前8時とすべきである。平成26年1月17日について亡訴外Aは、福山市での双葉工機株式会社(以下「双葉工機」という。 トラブルに対応した可能性が最も高く、そうでないと しても、午前8時から経済同友会の総会に出席した後にライフパーク倉敷に赴いて重大トラブルに対応した可能性が高いのであって、亡訴外Aが何の業務もせずに午後3時42分に本件支店に出勤したとは考えられず、始業時刻は、午前7時30分又は遅くとも午前8時とすべきである。平成26年1月17日について亡訴外Aは、福山市での双葉工機株式会社(以下「双葉工機」という。)との打ち合わせが深夜となり、急遽宿泊が必要となったため、ホテルを利用したのであり(甲113)、新幹線及び在来線の終電発車時刻を考慮すれば、終業時刻は、午後11時2分とすべきである。平成25年11月13日について出張先である双葉工機の担当者のスケジュール(甲98)、運転日報(甲101)、亡訴外Aのipadの各記載内容等によれば、始業時刻は午前7時又は遅くとも午前7時30分、終業時刻は午後10時とすべきである。平成25年10月24日について亡訴外Aは、支社会議の後に、広島市で三保電機株式会社(以下「三保電機」という。)との打ち合わせを行い(甲113)、午後10時頃に打ち合わせを終え、その後、午後11時頃に岡山に戻ってきたから、終業時刻は午後11時とすべきである。⑵ 被控訴人の主張ア原判決労働時間集計表に誤りがあることについては、控訴人の主張を争わないが、この点を是正しても、本件疾病について業務起因性は認められない。イ労働時間に関する控訴人の主張は、以下のとおり、争う。ゴルフについてゴルフの参加費について、勤務先に事前申請することが求められてい たとしても、単に、勤務先のシステ イ労働時間に関する控訴人の主張は、以下のとおり、争う。ゴルフについてゴルフの参加費について、勤務先に事前申請することが求められてい たとしても、単に、勤務先のシステムがそうなっていたにすぎず、亡訴外Aが勤務先からゴルフや会食への参加を指示されていたということはできない。休憩時間についてipadのスケジュールは個人の備忘のためのものにすぎず、必ずしも正確性は要求されないのに対し、本件スケジュール表は本件支店の共有システム内に入力されたものであり、その信用性はより高く、亡訴外Aの使用していたipadのスケジュール記録を考慮しなかったとしても不合理ではない。平成26年3月26日について運転日報(甲104)によっても、亡訴外Aが車両に乗車していたかは不明であり、運転日報の記載から直ちに亡訴外Aの行動を認定することはできない。 のものにすぎず、必ずしも正確性は要求されないのに対し、本件スケジュール表は本件支店の共有システム内に入力されたものであり、その信用性はより高く、亡訴外Aの使用していたipadのスケジュール記録を考慮しなかったとしても不合理ではない。平成26年3月26日について運転日報(甲104)によっても、亡訴外Aが車両に乗車していたかは不明であり、運転日報の記載から直ちに亡訴外Aの行動を認定することはできない。平成26年1月17日について亡訴外Aが、福山市内のホテルに宿泊したとしても、その具体的な理由は不明であり、出張先での打ち合わせが深夜まで続き宿泊が必要となったことを裏付ける証拠はない。平成25年11月13日について運転日報(甲101)によっても、亡訴外Aが車両に乗車していたことや、Bが同行者であったかは明らかでないし、双葉工機のスケジュール(甲98)の記載については、その正確性も信用性も定かでないから、同日に亡訴外Aが双葉工機へ出張した事実があったものとは認められない。平成25年10月24日について経費精算一覧(甲113)によっても、亡訴外Aが、支社会議の後に、三保電機との打ち合わせを行ったとは認められないし、仮に、亡訴外A が、三保電機との打ち合わせを行ったとしても、午後10時頃まで行 精算一覧(甲113)によっても、亡訴外Aが、支社会議の後に、三保電機との打ち合わせを行ったとは認められないし、仮に、亡訴外A が、三保電機との打ち合わせを行ったとしても、午後10時頃まで行っていたことを示す証拠はない。第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原判決と異なり、本件疾病は業務に起因するものと認められ、本件処分は取消しを免れず、控訴人の請求は理由があると判断する。2 業務起因性の判断基準、認定事実及び亡訴外Aの時間外労働時間数の認定については、以下のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第 4 当裁判所の判断」の1から4まで(原判決18頁24行目から同48頁14行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(以下、書証は、特に断らない限り、枝番を全て含む。)。⑴ 原判決30頁10行目の「すれば、」の後に「控訴人が指摘するゴルフの参加費について事前の申請が必要とされていたという事情を踏まえても、」を加える。⑵ 原判決34頁1行目冒頭から9行目末尾までを、以下のとおり改める。 の「第 4 当裁判所の判断」の1から4まで(原判決18頁24行目から同48頁14行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(以下、書証は、特に断らない限り、枝番を全て含む。)。⑴ 原判決30頁10行目の「すれば、」の後に「控訴人が指摘するゴルフの参加費について事前の申請が必要とされていたという事情を踏まえても、」を加える。⑵ 原判決34頁1行目冒頭から9行目末尾までを、以下のとおり改める。「さらに、亡訴外Aは、使用していたipadを利用して、自らのスケジュールを管理していたと認められるところ、平成26年3月27日については、上記ipadに本件スケジュール表と同じ予定が記載されるとともに、移動時間を含めたスケジュールが記載されたと認められる(甲36)ことから、休憩時間は30分と認めるのが相当である。平成26年1月30日については、上記ipadに本件スケジュール表を補充する記載がされており、その内容も本件スケジュール表と矛盾するものではないことからすると、亡訴外Aはipadの記載のとおりの業務を行ったと認められ(甲38ないし40)、休憩時間は30分と認めるのが相当である。平成25年10月25日につ ケジュール表と矛盾するものではないことからすると、亡訴外Aはipadの記載のとおりの業務を行ったと認められ(甲38ないし40)、休憩時間は30分と認めるのが相当である。平成25年10月25日については、上記ipadに本件スケジュール表においては未確定であった午後の予定が確定したものとして記載され、その他の予定も本件スケジュール表と同様であると認められる(甲45ないし48)ことに照らすと、休憩 時間は、移動時間等を考慮すると30分と認めるのが相当である。なお、控訴人の指摘するその余の日については、ipadの記載を前提としても、上記の休憩時間の認定を左右するものとは認められない。」⑶ 原判決36頁13行目の「確かに」から21行目末尾までを、以下のとおり改める。「そして、亡訴外Aが使用していたipadには本件スケジュール表と同様の記載があること(甲97)、双葉工機の担当者のスケジュール表に「来客A支店長 Bさん 9:30~10:30」との記載があること(甲98)、運転日報(甲101、乙11)によれば、同日、行先を双葉工機として午前7時30分から午後4時まで社用車が利用され、運転手の名がBであったことなどの事実が認められ、双葉工機までの移動距離(甲99)も併せ考慮すると、同日、亡訴外Aは、午前9時30分に双葉工機を訪問したと認めるのが相当であり、同日の始業時刻は、遅くとも定時の午前8時30分と認められる。 9:30~10:30」との記載があること(甲98)、運転日報(甲101、乙11)によれば、同日、行先を双葉工機として午前7時30分から午後4時まで社用車が利用され、運転手の名がBであったことなどの事実が認められ、双葉工機までの移動距離(甲99)も併せ考慮すると、同日、亡訴外Aは、午前9時30分に双葉工機を訪問したと認めるのが相当であり、同日の始業時刻は、遅くとも定時の午前8時30分と認められる。」⑷ 原判決38頁6行目冒頭から39頁3行目末尾までを、以下のとおり改める。「g 平成26年3月26日について、証拠(甲104、113、乙1・90、115頁)によれば、本件スケジュール表には、同月26日午前8時から午前10時まで「〔外出〕経済同友会」との予定が記載されていたものの、亡訴外Aは社 日について、証拠(甲104、113、乙1・90、115頁)によれば、本件スケジュール表には、同月26日午前8時から午前10時まで「〔外出〕経済同友会」との予定が記載されていたものの、亡訴外Aは社用車を利用して、朝から倉敷市にあるライフパーク倉敷を訪問したこと、その後、本件支店に戻り、亡訴外Aが本件支店に入室した時刻は午後3時42分であったことなどの事実が認められ、ライフパーク倉敷までの移動距離(甲104)や、同日の運転日報に「7:30~15:30」との記載があることを併せ考慮すると、同日、亡訴外Aは、遅くとも午前8時30分にライフパーク倉敷を訪問したと認めるのが相当であり、同日の始業時刻は、午前8時30分と認められ る。」⑸ 原判決40頁19行目の「平成25年10月24日、同年」を「平成25年」と改める。⑹ 原判決42頁13行目末尾を改行の上、以下のとおり加える。「h 平成25年10月24日について、証拠(甲113、乙1・87、105頁)によれば、本件スケジュール表に、午前11時30分から午後11時まで出張して支社会議に出席する旨の記載があること、亡訴外Aは、午後5時32分に中国支社を退出していること、経費精算一覧に、支社会議及び三保電機との打ち合わせに出席した旨の記載があることが認められ、これらの事実を総合すると、同日、亡訴外Aは、中国支社での支社会議に出席した後、三保電機との打ち合わせに出席したと認められる。ただし、三保電機との打ち合わせが終了した正確な時刻は不明であり、会食等が実施された可能性もあることに鑑みると、同日の終業時刻は、午後8時と認めるのが相当である。 国支社を退出していること、経費精算一覧に、支社会議及び三保電機との打ち合わせに出席した旨の記載があることが認められ、これらの事実を総合すると、同日、亡訴外Aは、中国支社での支社会議に出席した後、三保電機との打ち合わせに出席したと認められる。ただし、三保電機との打ち合わせが終了した正確な時刻は不明であり、会食等が実施された可能性もあることに鑑みると、同日の終業時刻は、午後8時と認めるのが相当である。i 平成26年1月17日について、証拠(甲21、113、乙1・111頁)によれば、本件スケジュール表に、午後3時から午後7時まで みると、同日の終業時刻は、午後8時と認めるのが相当である。i 平成26年1月17日について、証拠(甲21、113、乙1・111頁)によれば、本件スケジュール表に、午後3時から午後7時まで出張して福山市所在の双葉工機を訪れる旨の記載があること、経費精算一覧に、双葉工機との打ち合わせに出席し、打ち合わせが深夜となったため、急遽宿泊が必要となりホテルを利用した旨の記載があることが認められ、これらの事実を総合すると、同日、亡訴外Aの出席した双葉工機との打ち合わせが、終電がなくなる時間にまで及んだことが認められ、福山駅から岡山駅まで戻る終電の出発時刻が新幹線については午後11時2分、在来線については午後11時9分であったこと(甲114)に照らすと、少なくとも、同日、亡訴外Aは、午後11時まで打ち合わせを行っていたと認めるのが相当であり、同日の終業時刻は、午後11時と認められる。」 ⑺ 原判決42頁14行目の「h」を「j」と、16行目の「スケジュール」から17行目末尾までを「スケジュールの記載のみで当該予定の存在を認めることができるか疑問がある上、ipadに記載された終了時刻については、あくまで予定が記載されているにすぎず、正確な終業時刻が記載されたものとは認められないから、控訴人の主張は採用できない。」とそれぞれ改める。⑻ 原判決45頁5行目冒頭から10行目末尾までを削除する。⑼ 原判決45頁15行目冒頭から20行目末尾までを、以下のとおり改める。「発症前1か月 97時間58分発症前2か月 50時間13分 2か月平均 74時間05分発症前3か月 67時間37分 3か月平均 71時間56分発症前4か月 82時間11分 4か月平均 74時間29分発 時間13分 2か月平均 74時間05分発症前3か月 67時間37分 3か月平均 71時間56分発症前4か月 82時間11分 4か月平均 74時間29分発症前5か月 94時間06分 5か月平均 78時間25分発症前6か月 97時間20分 6か月平均 81時間34分」 5分発症前3か月 67時間37分 3か月平均 71時間56分発症前4か月 82時間11分 4か月平均 74時間29分発 時間13分 2か月平均 74時間05分発症前3か月 67時間37分 3か月平均 71時間56分発症前4か月 82時間11分 4か月平均 74時間29分発症前5か月 94時間06分 5か月平均 78時間25分発症前6か月 97時間20分 6か月平均 81時間34分」 原判決46頁26行目の「午後3時42分」を「午前8時30分」と改める。原判決47頁2、3行目の「5時間18分」を「12時間30分」と、9行目の「8時間46分」を「9時間16分」とそれぞれ改める。原判決別紙4を、別紙のとおりに改める。3 業務起因性の判断⑴ 長期間の過重業務についてア本件疾病発症前6か月間における亡訴外Aの1か月当たりの時間外労働時間数は、発症1か月前97時間58分、2か月前50時間13分、3か月前67時間37分、4か月前82時間11分、5か月前94時間06分、6か月前97時間20分であり、発症1か月前及び6か月前はほぼ100時間に及んでいたほか、5か月前は90時間を、4か月前は80時間を超えていた。また、発症前6か月間の平均時間外労働時間は81時間に達し、 発症前2か月間ないし5か月間の平均時間外労働時間もいずれも70時間を超えている。したがって、認定基準に照らしても、亡訴外Aは、時間外労働の点において、発症前の長期間にわたって疲労の蓄積をもたらす加重な業務に従事していたといえる。イ亡訴外Aは、平成25年10月20日から同年11月1日までの13日間、同年11月25日から同年12月6日までの12日間、平成26年1月6日から同月18日までの13日間、同年2月12日から同月22日までの11日間、同年3月3日から同月14日までの12日間に、それぞれ 、同年11月25日から同年12月6日までの12日間、平成26年1月6日から同月18日までの13日間、同年2月12日から同月22日までの11日間、同年3月3日から同月14日までの12日間に、それぞれ10日を超える連続勤務を行っていること、本件疾病発症前1か月の間に勤務間インターバルが11時間未満の日が7回存在していること(平成26年3月5日から同月6日、同月6日から同月7日、同月13日から同月14日、同月22日から同月23日、同月24日から同月25日、同月25日から同月26日、同月31日から同年4月1日)が認められ、このような勤務状況は、亡訴外Aの疲労の回復を阻害し、疲労を蓄積させたものと考えられる。 える連続勤務を行っていること、本件疾病発症前1か月の間に勤務間インターバルが11時間未満の日が7回存在していること(平成26年3月5日から同月6日、同月6日から同月7日、同月13日から同月14日、同月22日から同月23日、同月24日から同月25日、同月25日から同月26日、同月31日から同年4月1日)が認められ、このような勤務状況は、亡訴外Aの疲労の回復を阻害し、疲労を蓄積させたものと考えられる。また、亡訴外Aは、本件疾病発症の9日前である平成26年3月25日から翌26日未明にかけて、18時間01分に達する長時間の労働を行っており、その内容も、取引先でのトラブルの対応という突発的かつ重要なもので、精神的な負荷が大きなものであったと考えられる。そして、次の勤務まで5時間程度しか勤務間インターバルがなかったこと、その前日(同月24日)の時間外労働時間が約5時間30分、その翌日(同月26日)の時間外労働時間が4時間30分であったことなどからすれば、同月30日が休日であったことを踏まえても、疲労蓄積の負荷を看過することはできない。⑵ そして、亡訴外Aは、懇親会等においては付き合い程度に飲酒をしていた ものの、その他の場面では特に飲酒をしておらず、従前、1日10本に満たない程度のたばこを吸っていたが、平成25年4月頃から禁煙していたこと、平成25年8月の健康診断においては、血圧が高めとの注意を受けたものの、その数値は基準値をわずかに上回るにとどまっていたことなどの事実が認められるところ、飲酒や喫煙についてその程度が著 ていたこと、平成25年8月の健康診断においては、血圧が高めとの注意を受けたものの、その数値は基準値をわずかに上回るにとどまっていたことなどの事実が認められるところ、飲酒や喫煙についてその程度が著しいものとはいえないことなどに照らすと、これらの事情が、本件疾病が本件会社の業務に起因して発症したことを否定するに足りるものとまでは認め難い。⑶ 以上によれば、発症前6か月間の亡訴外Aの時間外労働時間数が長時間であったことに加え、連続勤務及び勤務間インターバルの不足などの負荷要因があったこと、亡訴外Aに本件疾病が本件会社の業務に起因して発症したことを否定すべき特段のリスクファクターも見当たらないことを総合的に考慮すれば、上記労働時間にはゴルフや会食の時間が一定時間含まれていること、亡訴外Aは、概ね1週間に1日は休暇を取得していたほか、本件疾病発症前6か月間、毎月1度は2日間以上の休暇を連続して取得し、発症前1か月間においても3連休をとることができていたことなどの事情を考慮しても、本件疾病の発症は、業務に内在する危険が現実化したことによるものと認めるのが相当であって、業務起因性が認められる。 とを総合的に考慮すれば、上記労働時間にはゴルフや会食の時間が一定時間含まれていること、亡訴外Aは、概ね1週間に1日は休暇を取得していたほか、本件疾病発症前6か月間、毎月1度は2日間以上の休暇を連続して取得し、発症前1か月間においても3連休をとることができていたことなどの事情を考慮しても、本件疾病の発症は、業務に内在する危険が現実化したことによるものと認めるのが相当であって、業務起因性が認められる。4 まとめ以上によれば、本件疾病は業務に起因するものと認められ、本件処分は違法であって取消しを免れない。第4 結論よって、控訴人の請求は理由があるから認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であり、本件控訴は理由があるから、原判決を取り消した上、控訴人の請求を認容することとして、主文のとおり判決する。福岡高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官岡田健 裁判 主文 ととして、主文のとおり判決する。理由 福岡高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官岡田健 裁判官佐藤道恵 裁判官阿閉正則
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