昭和39(オ)333 約束手形金請求

裁判年月日・裁判所
昭和40年4月1日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 昭和37(ネ)476
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【DRY-RUN】主    文      原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻 す。          理    由  上告代理人田岡嘉寿彦の上告理由第二点について。  原判決は、(一)本件

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判決文本文2,023 文字)

主    文      原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻 す。          理    由  上告代理人田岡嘉寿彦の上告理由第二点について。  原判決は、(一)本件手形は当初振出日欄空白のまま振り出されたものであるこ と、(二)本件手形の受取人D商事株式会社は適法にE製作所ことFに対し裏書譲 渡し、同人は割引のため株式会社G銀行H支店に裏書譲渡したこと、(三)その後 I空機株式会社もFもともに負債の整理資金を借り受けて取引銀行に対する負債の 整理を遂げた関係上譲渡すべきものであつたが、当時株式会社G銀行H支店から取 立のため同銀行J支店へ発送すみであつたうえ、満期も切迫していた関係もあつた ので、被上告人(会社)代表者KとLが同銀行H支店に赴き同支店と話合いの結果 Lにおいて一旦本件手形を受けもどし、これを被上告人へ譲渡し、同銀行は被上告 人はの委任に基づいて同銀行J支店において上告人が本件手形金を取り立てるとい う話合が成立し、したがつて被上告人Lから本件手形の譲渡を受けたものであるこ と、(五)ところがその後本件手形は不渡となり被上告人へ返還されたから被上告 人がその所持人となつて振出日を補充したとの各事実を確定したうえ、右認定事実 によると、被上告人は裏書の連続を欠くけれども実質的権利関係を証明したものと いえるから、本件手形上の権利を行使しうる旨判示し、被上告人の手形金請求の大 部分を認容していることが認められる。  しかし、前記事実関係のもとにおいて、原判決が、被上告人につき、裏書の連続 を欠くが実質的権利関係について証明があつた旨を判示する点は、ただちに、納得 しがたいものがある。  すなわち、まず、原判決の判示によつては、最後の被裏書人たる株式会社G銀行 - 1 - と手形の所持人である被上告人との間に振出人たる上告人に対し を判示する点は、ただちに、納得 しがたいものがある。  すなわち、まず、原判決の判示によつては、最後の被裏書人たる株式会社G銀行 - 1 - と手形の所持人である被上告人との間に振出人たる上告人に対し主張しうる手形上 の権利の移転があつたことを認めることはできない。  さらに、原判決は、前記事実関係のもとにおいて、Lから被上告人に対し本件手 形債権が譲渡された旨判示するが、右手形債権の譲渡方法がいかなるものかは、原 判示の事実関係では、明確とは、いいがたい。すなわち、もし原判決が原判決認定 の事実のもとで、交付により本件手形債権の譲渡を是認したものとするならば、い わゆる白地式裏書以外のときにも交付による手形債権の譲渡を是認することになり、 不当な結論を導くことになるから、原判決判示のごとく、ただちに交付により本件 手形債権の譲渡があつたものと解することは、許されない。また、原判決が、本件 手形債権が民事的承継すなわち指名債権譲渡の方法により譲渡されたが実質的権利 関係の証明があつたものと判示するものならば、右実質的権利関係の証明があると するためには、Lから被上告人あてに手形債権が譲渡されたことおよび右手形債権 の譲渡を手形振出人たる上告人に対し対抗しうる事由、右債権譲渡についての振出 人の承諾もしくは同人に対し債権を譲渡した旨の通知のあつたことを主張、立証し なければならないものと解すべきところ、この点について判示を欠く原判決の判断 は、そのまま是認しがたいといわねばならない。  しかるに、原判決は、以上の諸点について明確にすることなく、ただ原判決の認 定した事実のもとだけで、被上告人が振出人たる上告人に対し本件手形債権につき 実質的権利を有することの証明があつた旨を判示しているのは、結局、理由不備の 違法があるか、または、法令の解釈をあやまり、ひいては、審査不尽の違法 で、被上告人が振出人たる上告人に対し本件手形債権につき 実質的権利を有することの証明があつた旨を判示しているのは、結局、理由不備の 違法があるか、または、法令の解釈をあやまり、ひいては、審査不尽の違法をおか したものというべく、論旨は、理由あるに帰する。  よつて、以上の諸点について原審をしてさらに審理を尽くして明確にさせる必要 があるから、その余の論旨に対する判断を省略して、民訴法四〇七条一項により、 原判決中、上告人敗訴部分を破棄して本件を原審に差し戻すこととし、全裁判官一 - 2 - 致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    長   部   謹   吾             裁判官    入   江   俊   郎             裁判官    松   田   二   郎             裁判官    岩   田       誠 - 3 -

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