平成19(ワ)4255 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年6月29日 大阪地方裁判所
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判決文本文190,043 文字)

 主文 1 被告Y1 は,原告X1 社に対し,(1) 甲事件に基づき,10億円(2) 乙事件に基づき,475億8400万円を支払え。 2(1) 被告Y2 は,原告X1 社に対し,被告Y5 と連帯して50億9010万円を,亡Y23 から相続した財産の存する限度において,支払え。 (2) 被告Y3 は,原告X1 社に対し,被告Y5 と連帯して25億4505万円を,亡Y23 から相続した財産の存する限度において,支払え。 (3) 被告Y4 は,原告X1 社に対し,被告Y5 と連帯して25億4505万円を,亡Y23 から相続した財産の存する限度において,支払え。 (4) 被告Y5 は,原告X1 社に対し,254億5050万円(ただし,各25億4505万円の限度で被告Y3,被告Y4 と,50億9010万円の限度で被告Y2 と連帯して)を支払え。 3 参加原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,次のとおりの負担とする。 (1) 甲事件及び乙事件の訴訟費用すべて被告Y1 の負担とする。 (2) 丙事件の訴訟費用ア被告Y2参加原告らに生じた費用の40分の1と被告Y2に生じた費用の8分の1イ被告Y3参加原告らに生じた費用の80分の1と被告Y3に生じた費用の16分の1ウ被告Y4参加原告らに生じた費用の80分の1と被告Y4に生じた費用の16分の1エ被告Y5参加原告らに生じた費用の5分の1と被告Y5に生じた費用の2分の1オ参加原告ら参加原告らに生じたその余の費用と被告らに生じたその余の費用事実及び理由第1 請求 1 甲事件主文第1項(1)と同旨 2 乙事件被告Y1 は,原告X 参加原告らに生じたその余の費用と被告らに生じたその余の費用事実及び理由第1 請求 1 甲事件主文第1項(1)と同旨 2 乙事件被告Y1 は,原告X1 に対し,489億円を支払え。 3 丙事件(1) 被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,原告X1 に対し,被告ら(ただし,被告Y3〔以下「被告Y3」という。〕及び被告Y4〔以下「被告Y4」という。〕を除く。)と連帯して244億5000万円を支払え。 (2) 被告Y3 は,原告X1 に対し,被告ら(ただし,被告Y2 及び被告Y4 を除く。)と連帯して122億2500万円を支払え。 (3) 被告Y4 は,原告X1 に対し,被告ら(ただし,被告Y2 及び被告Y3 を除く。)と連帯して122億2500万円を支払え。 (4) 被告ら(ただし,被告Y2,被告Y3 及び被告Y4〔以下,前3者を併せて「被告Y2 ら」という。〕を除く。)は,原告X1 に対し,被告Y2 らと連帯して489億円を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告X1 が,土壌環境基準値以上の有害物質を含む土壌埋戻材(フェロシルト)を販売し,三重県の山林等に埋設された土壌埋戻材の回収を余儀なくされたことに関し,原告X1 が,生産・販売を管掌した取締役であった被告Y1 に対し,産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)違反及び善管注意義務違反の行為により廃棄物処理法に基づき撤去命令を受けて土壌埋戻材の回収費用相当額の損害を被ったとして,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)266条1項5号に基づき,回収費用の実損害の内金10億円の損害賠償を請求した責任追及訴訟(甲事件),原告X1 の株主である参加原告らが,被 法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)266条1項5号に基づき,回収費用の実損害の内金10億円の損害賠償を請求した責任追及訴訟(甲事件),原告X1 の株主である参加原告らが,被告Y1 に対し,善管注意義務違反により原告X1 に回収費用として489億円の損害を与えたとして,会社法849条1項,旧商法266条1項5号に基づき,甲事件に共同訴訟参加し,同額の損害賠償を請求した事件(乙事件),及び,参加原告らが,被告Y1 以外の被告らに対し,善管注意義務違反により原告X1 に回収費用として489億円の損害を与えたとして,会社法847条1項,旧商法266条1項5号に基づき,同額の損害賠償を請求した株主代表訴訟(丙事件)である。 1 前提事実(当事者間に争いがない事実か掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認定することのできる事実)(1) 当事者ア原告X1 は,昭和24年6月1日に設立された,① 化学工業,② 鉱業,③ 上記①及び②の原料,製品の売買及び輸出入業等を目的とする,資本金の額420億2854万8178円の株式会社である。 その主な事業内容は,酸化チタン及び農薬の生産,販売である。 イ参加原告らは,後記(12)(その後の経緯)イの提訴請求の6か月前から引き続き原告X1 の株式を有する株主である。 ウ被告ら(ただし,被告Y2 らを除く。),平成19年9月13日に取り下げられるまで被告であったZ2(同年8月14日死亡。以下「Z2」という。)及びY23(以下「Y23」という。)は,原告X1 の取締役であった者であり,その在任期間及び役職等は別紙「取締役の在任期間及び役職」のとおりであり,その概要は別紙「取締役在任期間等」のとおりである(甲61)。 エなお,Y23 は,丙事件の訴 であった者であり,その在任期間及び役職等は別紙「取締役の在任期間及び役職」のとおりであり,その概要は別紙「取締役在任期間等」のとおりである(甲61)。 エなお,Y23 は,丙事件の訴訟提起後である平成24年2月23日に死亡し,被告Y2 が2分の1,被告Y3 及び被告Y4 が各4分の1の割合でY23の地位を相続により承継した。被告Y2 らは,津家庭裁判所四日市支部に対し,限定承認の申述受理の申立てを行ったところ,同裁判所は,同年5月15日,限定承認の申述を受理し,Y23 の相続財産管理人として,被告Y3 を選任する審判をした。 (2) 酸化チタン生産事業の概要ア原告X1 は,三重県県四日市市に所在する四日市工場において,塗料に使う白色顔料などである酸化チタンを生産し販売することを主力事業の一つとしている。 イ酸化チタンを生産するには,原料であるチタン鉱石に硫酸(硫酸法)あるいは塩素(塩素法)を用いて抽出する二つの方法がある。原告X1 は,四日市工場において,昭和29年から始めた硫酸法及び昭和45年に技術導入・開発した塩素法の二つの方法を併用して,酸化チタンを生産していた。 ウ平成8年当時,会社の総売上高は757億円で,そのうち酸化チタンの売上高は308億円であり,総売上高に占める割合は40%であったが,その売上利益(売上高から売上原価を引いたもの)は,僅かに7億円余にすぎず,営業損益では15億円の赤字となっていた。 この赤字の原因は,323億円に及ぶ営業原価にあり,その製品原価は283億円(そのうち廃棄物処理費8億円),販管費が40億円であった。 そこで,増加傾向にあった廃棄物処理費などのコスト削減が重要かつ急務であった。 エ原告X1 は,平成11年から黒字決 3億円(そのうち廃棄物処理費8億円),販管費が40億円であった。 そこで,増加傾向にあった廃棄物処理費などのコスト削減が重要かつ急務であった。 エ原告X1 は,平成11年から黒字決算となったが,海外の磁性事業を閉鎖したため,平成13年上半期の予想決算は赤字となっていた(丙46)。 原告X1 は,長年にわたって無配当であったが,平成16年3月期において,株主への復配を実施した(丙45)。 (3) 産業廃棄物の処理と廃棄物処理法アチタン鉱石は,チタン約50%と鉄約50%の成分でできた鉱石であり,その他極微量のシリカ,アルミニウム,マンガン,クロム,ウラン,トリウムなどの金属を含んでいる。 酸化チタンを抽出する過程において,チタン鉱石に含まれる鉄,シリカ,アルミニウム,マンガン,クロム,ウラン,トリウムなどの金属を含んだ硫酸又は塩酸の廃液が生じる。 イ原告X1 は,昭和40年代から,それらの廃液について,中和,脱水等の処理をし,石膏等を回収した後の金属類等を含む汚泥(アイアンクレー)を,廃棄物(ごみ,粗大ごみ,燃え殻,汚泥,ふん尿,廃油,廃酸,廃アルカリ,動物の死体その他の汚物又は不要物であって,固形状又は液状のもの。廃棄物処理法2条1項)のうち,事業活動に伴って生じたもの(同条4項。以下「産業廃棄物」という)として,財団法人M県環境保全事業団(以下「M県環境保全事業団」という。)の設置する管理型最終処分場において,費用をかけて処分していた。 ウなお,原告X1 は,平成6年ころからは,M県環境保全事業団の処分場における処分と並行して,塩素分を低減化したアイアンクレー(脱塩アイアンクレー)の一部を,F株式会社(以下「F社」という。)に対し,セメント原料として搬出するようになった。 しかし,F社は,平成1 における処分と並行して,塩素分を低減化したアイアンクレー(脱塩アイアンクレー)の一部を,F株式会社(以下「F社」という。)に対し,セメント原料として搬出するようになった。 しかし,F社は,平成10年12月,脱塩アイアンクレー中の総クロム含有量が多いことから,平成11年以降の脱塩アイアンクレーの受入れを断った。 エクロムは,自然界に存在する元素で,微量ながら人体にとっても有用であり,通常三価クロムとして存在する。しかし,三価クロムが六価クロムとなったときは,発ガン性のある有害な物質となる(丙37)。そのため,六価クロムは,「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月23日環境庁告示第46号)」において,検液1リットルにつき0.05㎎以下(以下「土壌環境基準値」という。)と規制されている。廃棄物処理法による措置(フェロシルトの場合は埋設地からの撤去命令)が講じられるのは,上記環境基準に基づき「生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれが認められるとき」(同法第19条の4,19条の5)との判定を受けた場合である。 オ原告X1 の酸化チタンの生産過程から生ずるアイアンクレーは産業廃棄物であるところ,これが一般管理産業廃棄物と特別管理産業廃棄物のいずれに当たるかは廃棄物処理法施行規則第1条の2の判定基準によって判断される。そして,アイアンクレーは,汚泥として処理されていたところ,六価クロムが1リットル当り1.5㎎(平成4年厚生省告示第192号の検定方法)を下回っていたため,一般管理産業廃棄物として,前記イ(17頁)のとおり,M県環境保全事業団の管理型処分場で処分されていた。 カなお,M県環境保全事業団は,アイアンクレーを処分するに当たり,アイアンクレーが埋立廃棄物受入れ基準を満たしているかどうかを確認するため 県環境保全事業団の管理型処分場で処分されていた。 カなお,M県環境保全事業団は,アイアンクレーを処分するに当たり,アイアンクレーが埋立廃棄物受入れ基準を満たしているかどうかを確認するため,計量検査を実施していたが,平成3年から平成17年に至るまで,アイアンクレーから六価クロムが土壌環境基準値を超えて計量されたことは一度もなかった(乙B120の1ないし35)。 キ原告X1 は,アイアンクレーからフェロシルトを生産し各地の埋設先に販売したが,フェロシルトには土壌環境基準値を超える六価クロムが含有され又は生成されるものがあることから,すべてのフェロシルトについて,生活環境に支障があるか,又は,そのおそれがあるものとされた。そのため,原告X1 は,平成17年11月,埋設されたフェロシルト全部について,廃棄物処理法所定の撤去命令を受け,その回収撤去及びその処分を余儀なくされた。 (4) フェロシルトの開発ア(ア) 原告X1 は,平成4年当時から,主力事業である酸化チタンの国際市況の悪化,国内販売価格の崩壊などの要因により経営業績が悪化し,赤字経営が続いていた(甲1,60,61)。その経営再建の課題の中で,重視されたもののひとつが産業廃棄物処理費の削減であった(甲1)。 (イ) そのため,平成9年4月24日に開催された定時取締役会(以下「平成9年4月24日取締役会」という。)において,社長である被告Y7(以下「被告Y7」といい,その他の取締役であった被告についても同様に略称する。)の提案により,酸化チタンを中心とする無機系事業の生産構造の根本的な改革と再構築を推進することの実行を目的として,「生産構造再構築計画実行本部」(以下「実行本部」という。)を設置することが承認可決された(乙Bウ6の1,丙 を中心とする無機系事業の生産構造の根本的な改革と再構築を推進することの実行を目的として,「生産構造再構築計画実行本部」(以下「実行本部」という。)を設置することが承認可決された(乙Bウ6の1,丙46,90)。 (ウ) 実行本部における再構築計画の主な項目は以下aないしiのとおりであった。 a 酸化チタン工場の生産構造改善によるメリットの追求bCL新技術による効率化条件の確立c 機能材料の生産体制確立と付加価値の高度化d 他社技術導入による新商品の開発e 遊休設備の積極的な活用f 硫酸法の新分野開発g 産業廃棄物の再利用及び再資源化h 省エネルギーの遂行i 労働生産性の向上 (エ) 実行本部は,社長(Y7)及び専務取締役(被告Y8,被告Y9)のもとに置かれ,実行本部を原告X1 等の関係部署(企画管理本部,技術企画本部,地球環境本部,法務本部,総務本部,化成品事業本部,四日市工場,開発研究本部,I7社シンガポール社,I1社,I3社機能材料事業本部)が支援するという構成になっていた。 実行本部は,本部長(被告Y10),副本部長(Y23),本部委員(被告Y17,被告Y18),本部長付(被告Y16),事務局長(被告Y1),副事務局長3名,管理,労務,生産,エネルギー,産業廃棄物及び技術の6つの担当分野に分かれた推進委員12名から構成されていた(平成9年4月24日当時)。 被告Y1 は,平成9年4月24日当時,実行本部の事務局長兼産業廃棄物の推進委員であり,同年6月に推進委員から本部委員に昇進し,平成11年11月9日に実行本部が解散するまで本部委員兼事務局長を務めていた。 (オ) 実行本部は,技術企 実行本部の事務局長兼産業廃棄物の推進委員であり,同年6月に推進委員から本部委員に昇進し,平成11年11月9日に実行本部が解散するまで本部委員兼事務局長を務めていた。 (オ) 実行本部は,技術企画本部のもとに置かれていたが(平成10年10月1日現在。乙B41),平成11年11月,解散した。 実行本部の解散後,「g 産業廃棄物の再利用及び再資源化」に関する業務は,四日市工場に設置された「生産構造再構築推進室」と「品質保証室」に移行され,この実務は,原告X1 から業務の委託を受けていた100%子会社のI1社(以下「I1社」という。)が管掌することになった。 被告Y1 は,四日市工場に新たに設置された前記両室の責任者であり,I1社の専務取締役として実務を掌握していた。 (カ) 実行本部の酸化チタン事業に関する検討項目については,平成11年11月から企画開発本部のもとに酸化チタン総合対策会議(同年12月10日付けで「酸化チタン企画会議」に名称変更)が置かれ,その後平 成13年6月「酸化チタン事業構造推進会議」が設置され,同会議は同年9月社長室直轄となり,平成14年6月「酸化チタン事業構造改革推進本部」となった(乙B41)。 イ I1社は,平成9年4月,原告X1 の委託を受け,酸化チタンの生産過程において生じる産業廃棄物の処理業務を行うようになった。 I1社は,平成10年9月ころから,アイアンクレーを脱水したシルト質の試験生成を開始し,アイアンクレーを脱水したシルト質を新アイアンクレーとも呼ぶようになった(丙90)。 ウ原告X1 は,平成10年9月ころ,T国際空港株式会社に対し,アイアンクレーをT国際空港海上の埋立用土として使用することを打診した。 これに対し,T国際空港株 った(丙90)。 ウ原告X1 は,平成10年9月ころ,T国際空港株式会社に対し,アイアンクレーをT国際空港海上の埋立用土として使用することを打診した。 これに対し,T国際空港株式会社の担当者は,同年11月17日,被告Y1 に対し,埋立用土砂は産業廃棄物でないことなどが条件であるなどと述べた(丙90)。 これを受けて,被告Y1 は,新アイアンクレーと呼称すると,T国際空港株式会社から産業廃棄物であると認識されて商品として扱ってもらえないと考え,新アイアンクレーに商品名をつけることとした(丙90)。 四日市工場工場長のY23,四日市工場副工場長の被告Y1,四日市工場次長の被告Y22 らは,平成10年11月25日,四日市工場内において新アイアンクレーの商標登録に関する会議を開催した(丙90)。その後,新アイアンクレーは,フェロシルトと呼ばれるようになり,平成12年1月,商標登録された(丙90)。 (5) 品質管理体制ア原告X1 は,平成7年6月1日,品質マネジメントシステムに係るマニュアル(以下「QMS」という。)を制定し(乙B2),平成8年4月,ISO9001の認証を受け,平成10年7月1日,環境マネジメントシステムに係るマニュアル(以下「EMS」という。甲57)を制定し,同年12月,ISO14001の認証を受けた。 イその後,数次の改訂を経て,平成10年9月9日に作成されたQMSの内容は,おおむね次の①ないし⑥のとおりであった(乙B3)。 ① 方針下記の目的を達成し,顧客の満足を得るように生産することを品質の基本方針(以下「本件基本方針」という。)とする。 ・顧客の期待及び品質要求を満足し,使用目的に適う製品を開発する。 ・顧客の期待する技術レベル,管理レベ の満足を得るように生産することを品質の基本方針(以下「本件基本方針」という。)とする。 ・顧客の期待及び品質要求を満足し,使用目的に適う製品を開発する。 ・顧客の期待する技術レベル,管理レベルを維持する。 ・顧客との間の品質協定規格を厳守する。 ・法規制を遵守し,環境,安全に関する社会的要求を満足する。 ② 品質計画当事業所は,製品の品質に関する顧客の要求事項及び当事業所の目的を満足するために,新銘柄について,開発の管理についての定めにしたがって,新銘柄の開発を計画し,上市(実生産,実販売)の決定後は既存銘柄と同じ扱いとして,開発及び生産を計画し,製品品質を達成する。 ③ 開発の管理四日市事業所では,中和石膏関連製品及び廃水処理方法の開発はI1社技術部が担当し,I1社技術部運営要領(以下「運営要領」という。)に従って行う(なお,原告X1 のQMSはI1社にも適用されることとなっていた。)。 ④ 受注内容の確認及び生産計画四日市事業所で生産する製品は,いずれも「銘柄」として確立した一定範囲の特性を持つ製品として販売する。 ⑤ 生産工程・生産設備機器の管理生産部門の部長は,毎日,温度,流量,圧力等の操業パラメータの記録及び工程サンプルの測定結果を検閲し,工程品質目標を達成するように操業条件の微調整を行い,各生産工程が所定の生産量及び製品品質の目標を達成するように管理する。 ⑥ 製品の取扱い・包装・保管・搬出の管理I2サービス株式会社(以下「I2社」という。)第1部長又はI2社第2部長は,原材料,製品及び一般物品等の保管を行う。 特に環境条件又は時間経過により劣化する原材料・製品については,担当検査部門が品目ごとに定める間隔で再検査する。 ウ平成10年7月1日に作成されたEMSは,四日市 一般物品等の保管を行う。 特に環境条件又は時間経過により劣化する原材料・製品については,担当検査部門が品目ごとに定める間隔で再検査する。 ウ平成10年7月1日に作成されたEMSは,四日市工場が,その事業活動に当たり,環境関連法令等の遵守及び大気・水質の汚染予防に努めるなどの環境方針を策定,実施し,環境側面を管理するために用いられている(甲57)。EMSは子会社であるI1社には適用されない。 エ I1社は,平成9年7月1日,QMSを具体化した運営要領(甲24の1ないし3)を制定した。 運営要領の内容は,おおむね次の(ア)及び(イ)のとおりである(甲24の2)。 (ア) I1社技術部は,廃酸の処理方式改善及び中和滓からの有価物回収に関する研究開発業務を,運営要領に従って遂行する。 (イ) I1社技術部は,開発を下記要領で運営する(以下,I1社の部署については特に記載しない。)。 ① テーマの選定技術部に関する顧客の品質要求は,i 営業部による調査情報,ⅱ技術部が技術サービス活動で入手する情報,ⅲ 品質協定の検討記録,ⅳ 需要業界動向に関する新聞雑誌情報等を集約し,部長が判断して,テーマ設定を考える。また,ⅴ 担当取締役の特命事項もテーマの一部である。 ② 開発計画書の申請及び承認部長は,課長に「開発計画書」(技一5A)の作成を指示し,課長が確認後,部長が承認し,当該業務を推進する。なお,開発計画書には,次のⅰないしⅴの事項を明示する。 ⅰ 開発の名称ⅱ 品質目標ⅲ 開発担当者ⅳ 必要期間ⅴ 他部門よりの要支援事項③ 進捗状況の管理部長は,課内報告会を原則として毎月開催して,各開発テーマの進捗状況について担当者から報告を受ける。 部長は,I 開発担当者ⅳ 必要期間ⅴ 他部門よりの要支援事項③ 進捗状況の管理部長は,課内報告会を原則として毎月開催して,各開発テーマの進捗状況について担当者から報告を受ける。 部長は,I1社月次運営報告会において,担当取締役に報告し,必要な指示を受ける。 部長は,月次運営報告会で報告された事項及び担当取締役から指示された内容を「I1社技術部技術課,研究テーマ進捗状況及び今後の予定」(技-5B)にとりまとめ,管理する。 ④ 開発関係業務部長は,開発の進捗に応じて,以下のⅰないしⅵの業務を依頼する。 ⅰ 顧客による現場試作品の実用試験(原告X1 営業部)ⅱ 需要予想(原告X1 営業部)ⅲ 建設投資額の見積もり(技術部,化成品生産部,I2社)ⅳ コスト試算(原告X1 四日市事業所管理室)ⅴ 特許申請(技術管理グループ)ⅵ 現場試作(原告X1 四日市事業所管理室,化成品生産部)⑤ 開発完了報告部長は,上記④ⅰないしⅵにより得られたデータが適切なものであれば,ⅰ 開発品の製法,ⅱ 試作品の自社評価による性能確認,ⅲ品質規格案をとりまとめ,「開発完了報告書」(技-5C)を作成し,担当取締役の承認を得る。 ⑥ 開発の支援部門部長は,開発の遂行で,環境,安全,衛生法規等との関係等,技術部で対応しきれない問題について,関係部門(原告X1 環境保安部)に支援を依頼する。 ⑦ 開発記録開発記録は,課内報告会議事録,I1社月次報運営報告会議事録,「調査・研究・技術報告書」及び「開発完了報告書」に明瞭に記載し,コピー及び検索が容易にできるようにして,運営要領に従って保管する。 ⑧ 開発変更技術部で小規模実験により,一応の完成をした新製品及び新技術は,部長が「試験依頼書(計画 」に明瞭に記載し,コピー及び検索が容易にできるようにして,運営要領に従って保管する。 ⑧ 開発変更技術部で小規模実験により,一応の完成をした新製品及び新技術は,部長が「試験依頼書(計画書)(技-5D)」を作成し,担当部門に依頼し,現場試験による評価を行う。現場試験結果は,「調査・研究・技術報告書」に取り纏め,必要な場合は,需要家による小規模試験,現場使用試験を顧客に依頼して評価を得る。 ⑨ 開発の管理機能技術部は,新銘柄開発手順に従って開発業務の推進を図る。 オ原告X1 で構築されたQMS,EMSは,毎年,I1社の従業員も審査に参加して,ISOの検査機関のサーベイランスを受け,不完全な部分については指摘を受けて改善されていた。そのため,原告X1 は,毎年,定期審査に合格した旨の報告書を受領し,これを関係役員に回覧するとともに,取締役会で報告していた(甲30ないし56)。 (6) フェロシルトの開発状況の取締役会への報告内容ア平成10年12月15日実行本部は,アイアンクレー中のシルト質成分を回収し,製品(仮称フェロシルト)として販売する計画であること,これを同月16日開催の第11回推進本部会議に報告し,トップの承認を得る予定である旨報告した(乙Bウ6の17)。 イ平成10年12月28日実行本部は,シルト質固形物を回収して商品化する計画が第11回推進本部会議で承認され,平成11年1月からの試験的生産の準備作業等に着手したことを報告した(乙Bウ6の18)。 ウ平成11年1月29日実行本部は,同月4日からフェロシルトの試験生産を開始したこと,地力増進材,弁柄増量材,遮水材としての用途開発の調査をしていることを報告した(乙Bウ6の19)。 ウ平成11年1月29日実行本部は,同月4日からフェロシルトの試験生産を開始したこと,地力増進材,弁柄増量材,遮水材としての用途開発の調査をしていることを報告した(乙Bウ6の19)。 エ平成11年3月12日実行本部は,フェロシルトに関し,四日市市等に対する報告及び届出をしたこと,遮水材としての利用,植栽コンクリート用培養土としての利用の可能性を調査していることを報告した(乙Bウ6の20)。 オ平成11年4月12日実行本部は,フェロシルトを埋立材及び遮水材として販売するに当たり,土質試験を準備中であること,植栽コンクリートの培養土とするため,N社と植栽テストの準備をしていることを報告した(乙Bウ6の21)。 カ平成11年5月20日実行本部は,N社が培養土の代替えとしてフェロシルトを使用したい旨の話があったこと,T池整備工事について,フェロシルトを特殊粘土の代替えとしての関係官庁の使用許可を得る予定であることを報告した(乙Bウ6の21)。 キ平成11年6月10日実行本部は,N社と協同で植栽コンクリートの試験を準備していること,農業用水地の刃金土の代替えとして,T池の入札時の設計仕様の中にフェロシルトを記述してもらうよう要望したことなどを報告した(乙Bウ6の24)。 ク平成11年10月5日実行本部は,フェロシルトを魚礁材,消波ブロック材として使用する方式について,C社との検討に着手したことを報告した(乙Bウ6の27)。 ケ平成11年11月9日実行本部は,フェロシルトを魚礁材,消波ブロック材として使用するにつき,B社中央研究所で検討してもらうことを報告した(乙Bウ6の28)。 コ平成11年12月10日実行本部は,新たに生産構造 本部は,フェロシルトを魚礁材,消波ブロック材として使用するにつき,B社中央研究所で検討してもらうことを報告した(乙Bウ6の28)。 コ平成11年12月10日実行本部は,新たに生産構造再構築推進室が発足したことから,フェロシルトの生産を同年4月から開始し,三重県,B社,C社等と共同で用途開発中であることを引継対策項目に挙げる旨を報告した(乙Bウ6の29)。 (7) フェロシルトの生産アフェロシルトは,平成11年1月4日から,四日市工場において,生産が開始された。 イ原告X1 が三重県に申請したリサイクル製品認定申請書に記載されているフェロシルトの正規の生産工程は次のとおりである。 ① 硫酸法から生じた廃液を炭酸カルシウム(石灰石)で中和する。 中和工程で発生する二酸化炭素は液化炭酸として回収する。 ② シックナー(濃縮沈降分離装置)で液体成分と固体成分を分離する。 固体成分は石膏として回収し,液体成分の一部をMT酸化鉄の原料に抽出する。 ③ 液体成分を水酸化カルシウム(消石灰)で中和する。 ④ シックナーで液体成分と固体成分を分離する。 ⑤ 固体成分の一部をサイクロン(遠心分離器)又は浮遊選鉱(アルカリ洗剤の泡で粗い粒子を選別)し,石膏として回収する。 ⑥ シックナーで固体成分を凝縮する。 ⑦ フィルタープレス(脱水機)で水分を40%以下に脱水する。 ウ原告X1 は,フェロシルトの生産開始に伴い,以下のとおり,設備等の変更を官庁に届け出た。 (ア) 平成11年3月9日,当時工場長であったY23 は,四日市市環境部部長及び三重県環境安全部理事に対し,アイアンクレーを再資源化し,商品として販売することについての「産業廃棄物の再資源化に関する件」と題する文書(乙B44)を提出し あったY23 は,四日市市環境部部長及び三重県環境安全部理事に対し,アイアンクレーを再資源化し,商品として販売することについての「産業廃棄物の再資源化に関する件」と題する文書(乙B44)を提出した。 (イ) 平成11年3月17日,当時工場長であったY23 は,四日市市長に対し,昭和50年3月31日締結の公害防止協定書第8条に基づく「フェロシルトの生産計画について」と題する文書(乙B45)を提出した。 (ウ) 平成11年3月19日,当時工場長であったY23 は,四日市市長に対し,水質汚濁防止法第7条に基づき,アイアンクレーの脱水用フィルタープレスをフェロシルト生産用に変更する旨の「特定施設変更届出書」(甲25の5)及び水質汚濁防止法9条1項により定められた法定期間の短縮を求める「期間短縮願」(甲25の2)を提出した。 (エ) 平成11年7月22日,当時工場長であった被告Y5 は,四日市市長に対し,水質汚濁防止法第5条第1項に基づき,アイアンクレーの脱水用フィルタープレスをフェロシルト生産の脱水用に用途変更する旨の「特定施設設置届出書」(甲25の1,乙B46)を提出した。 エ生産されたフェロシルトは,その後,他に搬出されることなく,四日市工場内に堆積され,平成13年4月ころ,四日市工場内に堆積されたフェロシルトの量は約30万トンになっていた。 (8) フェロシルトの搬出開始前後の経緯ア平成13年4月23日,T国際空港株式会社から,被告Y1 に対し,フェロシルトの受入れを断るとの連絡があった。 しかし,同月27日に開催された定時取締役会(以下「平成13年4月27日取締役会」という。)において,既定通り,平成13年9月から平成14年4月までのT国際空港へのフェロシルトの搬出に関し,平成13年3月末在庫 7日に開催された定時取締役会(以下「平成13年4月27日取締役会」という。)において,既定通り,平成13年9月から平成14年4月までのT国際空港へのフェロシルトの搬出に関し,平成13年3月末在庫のフェロシルトの搬出費用を酸化チタン部門の売上利益に反映させる必要がある旨の説明がZ2 からあり,酸化チタンの売上原価にフェロシルトの搬出費用8億3600万円(27万8939トン×3000円)を引当計上する旨が承認可決された(乙B42)。 同取締役会には,被告Y1 も陪席していたが,ここでも前記事実は報告されず,その後,平成13年5月8日付け「フェロシルト搬出計画」(丙90〔資料8〕)の内容が一部の取締役に伝達されたにすぎなかった(具体的にどの取締役に伝達されたかは当事者間に争いがある。)。 イ(ア) 平成13年6月28日に開催された定時取締役会(以下「平成13年6月28日取締役会」という。)において,Z2 の提案により,コア事業である酸化チタン事業の事業構造を改革し,高収益率の事業に発展させるため,「酸化チタン企画会議」を改称し,「酸化チタン事業構造改革推進会議」(以下「推進会議」という。)を設置することが承認可決された(乙B30)。 (イ) 推進会議は,本部会と実行委員会から構成されていた(乙B41)。 本部会の構成員は,会長(被告Y7),社長(Z2),副社長(被告Y21),専務取締役(Y23,被告Y21,被告Y5),常務取締役(被告Y14),取締役(被告Y22)であった(平成13年6月28日当時。乙B41)。 実行委員会の構成員は,委員長(Z2),委員長代行(被告Y5),副委員長(被告Y22),委員長付(被告Y1 ほか2名),事務局長2名,委員7名であった(平成13年6月28日当時。乙B41)。 。 実行委員会の構成員は,委員長(Z2),委員長代行(被告Y5),副委員長(被告Y22),委員長付(被告Y1 ほか2名),事務局長2名,委員7名であった(平成13年6月28日当時。乙B41)。 ウ原告X1 環境保安部は,平成13年7月ころ,T国際空港株式会社に代わってフェロシルトを受け入れることになった業者から,フェロシルトの安全性を確認したいとの要望を受け,計量検査の実施をM県環境保全事業団に依頼した。 その後,フェロシルト(平成13年7月12日採取)から,六価クロムが1リットル中0.07mg 検出されたとの同月31日付けの結果が出た(丙98)。 環境保安部部長のZ3(以下「Z3」という。)は,同年8月3日,M県環境保全事業団から,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたとの報告を受け(甲1,丙98),被告Y1 に対し,その旨報告した。 被告Y1 は,同月中旬,I1社の技術部長のZ1(以下「Z1」という。)に命じ,四日市工場内のフェロシルトの六価クロムの溶出検査を秘密裏に行わせたところ,ほとんどのサンプルから六価クロムが溶出された(丙34)。 エ平成13年8月6日推進会議が開催された。被告Y1(当時は執行役員)は同日付けの「フェロシルト搬出計画について」(乙B34)を提案し,同会議で了承を得た(甲62,丙46。なお,推進会議の了承を得たのか,Z2 の了承を得たのかは当事者間に争いがある。)。 被告Y1(四日市副工場長)を発議者,被告Y5(四日市工場長)を発議分掌上位者,管理部長を取扱主管者として,同月10日,フェロシルト搬出計画の件と題する稟議(同月8日付け)が可決された(以下「平成13年8月10日付け稟議」という。乙B43)。上記稟議書には,被告Y7,Z2,副社長,専務取締役,管 月10日,フェロシルト搬出計画の件と題する稟議(同月8日付け)が可決された(以下「平成13年8月10日付け稟議」という。乙B43)。上記稟議書には,被告Y7,Z2,副社長,専務取締役,管理本部長兼財務本部長,無機企画開発本部長の押印がある(なお,上記各人の押印の意義については当事者間に争いがある。)。 上記稟議書に添付された平成13年8月6日付けの「フェロシルトの搬出計画について」と題する書面には,D株式会社(以下「D社」という。),E社などの搬出業者,使用目的,搬出期間,搬出量,埋立費用等の記載があった(乙B43)。 オ原告X1 におけるフェロシルトの販売,生産業務は,次のとおり行われた。 (ア) フェロシルトの販売について① 環境保安部が取引先と商談を行う。 ② 被告Y1 名義で取引契約書を作成する。 ③ 原告X1 の酸化チタン営業部は,原告X1 の100%子会社であり,原告X1 の製品の販売や原料の輸入等を行っていたI3株式会社(以下「I3社」という。)に対し,フェロシルトを売却する。 ④ I3社は,取引先に対し,フェロシルトを売却する。 ⑤ 売却されるフェロシルトは,取引先に対し,I2社などによって搬出される。その際の搬出費用,用途開発などの費用は原告X1 が負担する。 (イ) フェロシルトの生産① フェロシルトの生産は,四日市工場の管理室の操業計画(調整)に従って,I1社が行う。 ② 四日市工場の品質保証部は,生産されるフェロシルトについて,毎日,放射線量の測定と月1回の成分検査を実施する。 ③ 上記①及び②のすべての工程でのマネージメントは,四日市工場の副工場長(I1社の専務取締役)であった被告Y1 に収斂され,最終的には工場長に報告される。 カ原告X1 る。 ③ 上記①及び②のすべての工程でのマネージメントは,四日市工場の副工場長(I1社の専務取締役)であった被告Y1 に収斂され,最終的には工場長に報告される。 カ原告X1 は,平成13年8月から平成17年4月ころにかけて,I3社に対し,フェロシルト合計約72万トンを,トン当たり80円で売却し,I3社から,約5900万円の支払を受けた(乙B115の1ないし9,丙81)。I3社は,平成13年8月から平成17年4月ころにかけて,D社,E社等の搬出業者に対し,フェロシルト約72万トンをトン当たり150円で売却した(乙B116の1ないし9)。原告X1 は,同時期において,D社,E社等の搬出業者や紹介者に対し,上記フェロシルト約72万トンの運搬費,用途開発費,改質加工費等として,23億2600万円余を支払った(乙B117の1ないし12,丙81。)。個々の取引において,フェロシルトの売却代金(合計約5900万円)よりも,個々の売却に対応するD社,E社等の搬出業者等に対する運搬費等(合計23億2600万円余)の負担額が上回っていた。上記フェロシルト約72万トンの各搬出先は,別紙「回収状況一覧表」の「地区名」欄に記載のとおりである(甲58,59)。ただし,これらの契約文書は,被告Y1 名義でなされ,契約権限をもつ四日市工場長は関与していなかった。 (9) フェロシルトの特許出願等ア原告X1 は,平成14年5月28日,「植物生育調整用資材」(フェロシルト)の特許を出願し(乙B55),同年7月10日,三重県とともに「硫酸カルシウムを用いた水溶性リンの除去方法」(フェロシルト水処理剤)の特許を出願し(乙B67),同年12月19日,「汚泥処理剤及びこれを用いた汚泥処理方法」の発明に関し,三重県と共同出願契約書(乙B78)を取り 用いた水溶性リンの除去方法」(フェロシルト水処理剤)の特許を出願し(乙B67),同年12月19日,「汚泥処理剤及びこれを用いた汚泥処理方法」の発明に関し,三重県と共同出願契約書(乙B78)を取り交わした上で,平成15年1月7日,共同で特許を出願した(乙B79)。上記特許出願はいずれも公開された(乙B80,90)イ原告X1 は,平成14年6月13日,三重県との間で,フェロシルトの開発に関する3つのテーマについて,それぞれ共同研究契約書を取り交わして共同研究を実施した(乙B56ないし58,87ないし89,92ないし103)。 ウ当時副工場長であった被告Y1 は,平成14年10月24日,三重県環境部長に対し,フェロシルトの一部を改質し,無機系凝縮剤として販路を拡大する旨の「フェロシルトの改質に関する件」と題する文書を提出した(乙B47)。 エ原告X1 は,平成15年3月25日,三重県に対し,フェロシルトのリサイクル製品認定を申請し,同年9月19日,三重県からリサイクル製品の認定がなされた(乙B118,119)。 (10) フェロシルトの生産中止と自主回収等ア平成16年11月,愛知県瀬戸市に埋設されたフェロシルトが河川に流入し,川の水が赤く染まった。これを契機として,周辺住民に,フェロシルトに放射能が含まれているのではないかとの不安が広まった。 イ原告X1 は,平成17年4月,フェロシルトの生産を中止した。 ウ岐阜県と三重県は,同年6月,同県内に埋設されたフェロシルトから土壌環境基準値を上回る六価クロムが検出されたことを相次いで発表した。 エ原告X1 は,同年7月,搬出され各地に埋設されたフェロシルトを自主的に回収することを決定した。 オ原告X1 は,同年11月,愛知県,岐 ロムが検出されたことを相次いで発表した。 エ原告X1 は,同年7月,搬出され各地に埋設されたフェロシルトを自主的に回収することを決定した。 オ原告X1 は,同年11月,愛知県,岐阜県及び岐阜市から,埋設されたフェロシルトの全量撤去を命じられた。 (11) フェロシルトの回収費用等ア甲事件について原告X1 は,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの問に,亀山市HH地区(回収状況一覧表の番号1)へ搬出したフェロシルト約2万5530トンの回収・積込み,収集・運搬,最終処分及び復旧までに要した総費用(以下「回収費用等」という。)として,11億1403万8641円を支出した(甲58)。 イ乙事件及び丙事件について原告X1 は,別紙「回収状況一覧表」のとおり,フェロシルトの埋設により回収すべき土壌約180万トンのうち,平成17年6月ころ以降平成22年12月末までに約160万トンを回収した。上記約160万トンの回収費用等は,485億8400万円であった(甲58)。 (12) その後の経緯ア原告X1,被告Y1 及びZ3 は,平成18年11月27日,廃棄物処理法違反により起訴され,平成19年6月25日,(ア)原告X1 罰金5000万円,(イ)被告Y1 懲役2年,(ウ)Z3 懲役1年4月,5年間刑の執行猶予の判決が言い渡された(甲1)。被告Y1 が控訴したが,同年12月26日,控訴棄却により同判決は確定した(甲16,18)。 イ参加原告らは,平成19年2月16日,原告X1 の監査役に対し,平成10年1月から平成17年4月までの間に原告X1 の取締役であった者に対する取締役の責任追及の訴え提起を請求した。しかし,原告X1 の監査役は,参加原告らに対し,被告Y1 以外の 監査役に対し,平成10年1月から平成17年4月までの間に原告X1 の取締役であった者に対する取締役の責任追及の訴え提起を請求した。しかし,原告X1 の監査役は,参加原告らに対し,被告Y1 以外の上記取締役らに対する責任追及の訴えを提起しない旨回答し,会社法847条1項及び4項並びに会社法施行規則218条による書面(甲3)を提出交付した。同書面には,被告Y1 及びその部下らは,上司である四日市工場長等の取締役らに対し,フェロシルトに関する三重県との共同研究,特許申請等をしたことや三重県からリサイクル商品の公的認定を受けたことを喧伝し,フェロシルトが問題化した後も,行政庁へすり替えたサンプルや偽造データを提出するなどして,生産販売当初から一貫して有害リスクを隠ぺいしており,上記取締役らは,有害リスクを認識し得なかったことから,善管注意義務の懈怠を問うのは無理であると記載されている。 原告X1 は,平成19年4月13日,被告Y1 に対し,取締役の責任追及の訴えを提起した(甲事件)。 参加原告らは,会社法847条3項に基づき,同月24日,被告Y1 以外の被告らに対し,株主代表訴訟を提起し(丙事件),同年5月28日,会社法849条1項に基づき,被告Y1 に対し,原告X1 の請求に加えて前記他の被告に対するのと同旨の請求を求めて,甲事件に共同訴訟参加した(乙事件)。 2 争点【甲事件関係】(1) 被告Y1 は,取締役在任中の平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルトの販売を中止すべき義務を負っていたか。 (2) 前記(1)の義務違反行為と原告X1 にフェロシルト回収費用等11億1403万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 【乙事件関係】(1)ア被告Y1 いたか。 (2) 前記(1)の義務違反行為と原告X1 にフェロシルト回収費用等11億1403万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 【乙事件関係】(1)ア被告Y1 は,新アイアンクレーの試作を開始した平成10年9月当時から取締役をいったん退任する平成11年6月29日当時(その間,フェロシルトの生産が開始され,蓄積されていた),新アイアンクレーやフェロシルトに有害な六価クロムが含まれることを認識しえたか(これを前提として,被告Y1 は,フェロシルトの商品としての開発,生産を中止し,フェロシルトを産業廃棄物であるアイアンクレーとして処分すべき義務を負っていたか。)。 イ被告Y1 は,取締役に在任中の平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの搬出を中止する義務を負っていたか。 (2) 前記(1)にかかる各義務違反行為と原告X1 に回収費用等489億円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 【丙事件関係】(1) (フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関与した者~工場長であった取締役〔Y23,被告Y5,被告Y6〕の責任)ア Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する担当取締役であったか。 イ Y23,被告Y5,被告Y6 が四日市工場長を務めていた当時,QMSのもとで,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がなされていたか。 ウ Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトがQMSのもとで,開発,生産,管理,搬出がされていると信じたことに過失があったか。 (2) (実行本部ないし推進会議の構成員であった者の責任)ア実 長を務めていた当時,フェロシルトがQMSのもとで,開発,生産,管理,搬出がされていると信じたことに過失があったか。 (2) (実行本部ないし推進会議の構成員であった者の責任)ア実行本部の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18,被告Y17)の責任フェロシルト生産開始時の取締役のうち,実行本部の構成員であった者は,フェロシルトの開発,生産について特に進捗を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を行う義務を負っていたか。 イ推進会議の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)の責任フェロシルトの搬出開始時の取締役のうち,推進会議の構成員であった者は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,特に推進を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を行う義務を負っていたか。 (3) (フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する監視義務違反)アフェロシルト生産開始時の取締役(被告Y11,被告Y15,被告Y20)の責任フェロシルトの担当取締役及び実行本部の構成員以外のフェロシルト生産開始時の取締役であった被告Y11,被告Y15,及び被告Y20 は,平成11年1月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であることを認識し,または容易に認識しえたか(監視義務について信頼の原則を覆す特段の事情の有無)。 0 は,平成11年1月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であることを認識し,または容易に認識しえたか(監視義務について信頼の原則を覆す特段の事情の有無)。 イフェロシルト搬出開始時の取締役(被告Y13,被告Y18,及び被告Y19)の責任フェロシルトの担当取締役及び推進会議の構成員以外のフェロシルト搬出開始時の取締役であった被告Y13,被告Y18,及び被告Y19 は,平成13年8月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であり,生産から2年6か月間,四日市工場内に山積みされてきたにもかかわらずQMS上の搬出検査を経ていない商品であることを認識し,または容易に認識しえたか。 (4) 損害との相当因果関係前記(1)ないし(3)に関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (5) (産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反)ア平成13年4月27日当時の取締役(被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21)上記取締役会に出席した取締役は,T国際空港にフェロシルトを搬出する際に8億3600万円の搬出費用を計上し,フェロシルトについて,その市場価値(上記取締役会当時は不明であった。)を上回る費用を支払って搬出することを認識したから,フェロシルトの搬出の適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 イ平成13年8月6日の推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役(被告Y7,被告Y21,Y23 が産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 イ平成13年8月6日の推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役(被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)上記推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役は,上記推進会議において本件新規搬出先の用途や搬出費用等の説明がされた際,本件新規搬出先へ搬出することの適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 ウ損害の発生フェロシルト搬出費用として,いわゆる逆有償取引により,22億6700万円の損害が発生したか。 エ相当因果関係前記(5)(参加原告らの主張)アないしイに関する義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト搬出費用22億6700万円及び罰金5000万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 3 争点に対する当事者の主張【甲事件関係】(1) 被告Y1 は,取締役在任中の平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルトの販売を中止すべき義務を負っていたか。 (原告X1 の主張)ア被告Y1 は,フェロシルトの搬出が開始された平成13年8月当時から,次の(ア)及び(イ)の事実を認識していた。 (ア) フェロシルトには,土壌環境基準値を超える六価クロムが包含され,又は,生成されている。 (イ) 原告X1 は,上記(ア)が発覚すれば,搬出するフェロシルトを回収することが必要となり,多額の費用を負担することになる。 イ被告Y1 は,平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間, 原告X1 は,上記(ア)が発覚すれば,搬出するフェロシルトを回収することが必要となり,多額の費用を負担することになる。 イ被告Y1 は,平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,取締役に在任し,フェロシルトの生産,管理,搬出を担当した。 ウ被告Y1 は,四日市工場の商品の生産販売を管掌する副工場長として,I3社を介し,株式会社S(以下「S社」という。)に対し,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルト約2万5000トンを販売し,S社をして,亀山市HH地区へ埋め立てさせた。 (被告Y1 の主張)原告X1 の上記主張については否認ないし争う(因みに,平成15年6月当時,フェロシルトの生産,販売を中止し,既に販売済みのフェロシルトを回収すべき義務を負っていたのは,被告Y1 だけではなく,その当時,原告X1の取締役であった者全員である。)。 (2) 前記(1)の義務違反行為と原告X1 にフェロシルト回収費用等11億1403万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (原告X1 の主張)被告Y1 が,四日市工場副工場長として,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,原告X1 からS社に対するフェロシルトの販売,搬出を中止せず,フェロシルト約2万5000トンが三重県亀山市HH地区へ埋設されたことと,原告X1 が上記フェロシルトの回収費用等として11億1403万円余を支出したこととの間には相当因果関係がある。 被告Y1 は,フェロシルトの生産,搬出の発案者であり,その搬出に関する事務等の指示や契約内容の実質的な決定を行っていた。被告Y1 は,四日市工場の実権を持った副工場長として重要な意思決定に関与する立場にあり,中核的な実行者で 産,搬出の発案者であり,その搬出に関する事務等の指示や契約内容の実質的な決定を行っていた。被告Y1 は,四日市工場の実権を持った副工場長として重要な意思決定に関与する立場にあり,中核的な実行者であった(甲1)。 (被告Y1 の主張)原告X1 の上記主張については争う。 【乙事件関係】(1) (被告Y1 の責任)ア被告Y1 は,新アイアンクレーの試作を開始した平成10年9月当時から取締役をいったん退任する平成11年6月29日当時(その間,フェロシルトの生産が開始され,蓄積されていた),新アイアンクレーやフェロシルトに有害な六価クロムが含まれることを認識しえたか(これを前提として,被告Y1 は,フェロシルトの商品としての開発,生産を中止し,フェロシルトを産業廃棄物であるアイアンクレーとして処分すべき義務を負っていたか。)。 イ被告Y1 は,取締役に在任中の平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの搬出を中止する義務を負っていたか。 (参加原告らの主張)ア(ア) 参加原告らは,被告Y1 が,新アイアンクレーやフェロシルトに含まれる三価クロムが六価クロムに変化するメカニズムをあらかじめ認識していたと主張するものではない。参加原告らは,およそ,新アイアンクレーやフェロシルトを管理型処分場において処分するのではなく,環境中に放出するのであるから,被告Y1 が,フェロシルトの生産工程のサンプルや環境中での経時後のサンプルについて必要な調査をすれば容易に六価クロムが検出することができたという調査義務違反の過失を主張するものである。したがって,被告Y1 が,六価クロムが生成されるメカニズムそのものを知っていたかどうかも争点にはならない。 (イ) 次のとおり,平 とができたという調査義務違反の過失を主張するものである。したがって,被告Y1 が,六価クロムが生成されるメカニズムそのものを知っていたかどうかも争点にはならない。 (イ) 次のとおり,平成13年8月以前にフェロシルトから六価クロムを検出する調査を組織的に行うことは容易であった。 ① フェロシルト問題に関する検討委員会の調査(丙1)で行われた程度の実験は,原告X1 において容易に実施し得た。 ② 平成13年8月以降,実際に,密かにフェロシルトのサンプル調査をして六価クロム溶出を即座に確認した。 本来のQMSからは上記①及び②のような試験や検査が要求されていたが,被告Y1 は実施しなかった。 (ウ) なお,被告Y1 は,平成10年から平成11年の取締役在任時,フェロシルトが市場的に無価値であり,X1 としては費用を負担して搬出するしかないことを知っていた。したがって,被告Y1 は,フェロシルトについて,廃棄物性の認識を有していた。 (エ) 以上より,被告Y1 は,新アイアンクレーの試験生産を開始し蓄積を始めた平成10年9月当時から取締役を退任する平成11年6月29日当時(その間,フェロシルトが生産開始され,蓄積されていた。),新アイアンクレーやフェロシルトに有害な六価クロムが含まれることを認識しえた。 イ被告Y1 は,平成15年6月27日の取締役就任当時,(ア) 四日市工場で生産されたフェロシルトには土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていること,(イ) 原告X1 が,I3社に対し,フェロシルトをトン当たり80円で売却するとともに,I3社の転売先に対し,開発費等の名目でトン当たり3000円前後支払っていたことから,フェロシルトは産業廃棄物であることを認識していた。 したがって,被 当たり80円で売却するとともに,I3社の転売先に対し,開発費等の名目でトン当たり3000円前後支払っていたことから,フェロシルトは産業廃棄物であることを認識していた。 したがって,被告Y1 は,取締役の在任期間中の平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの搬出を中止すべき義務を負っていた。にもかかわらず,被告Y1 は,上記期間中,フェロシルトを搬出した。 (被告Y1 の主張)ア平成9年6月27日から平成11年6月29日までの間被告Y1 は,平成10年9月にフェロシルトの開発を開始した当時,アイアンクレーに含まれる三価クロムが酸化することによって有害な六価クロムになることを認識しておらず,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれることを認識することはできなかった。そもそも,フェロシルトは産業廃棄物に該当しなかった。 したがって,被告Y1 には,フェロシルトの開発を開始した平成10年9月当時,フェロシルトを商品として開発することを中止し,これを産業廃棄物であるアイアンクレーとして処分すべき義務はなかった。 イ平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間被告Y1 が,取締役に就任した平成15年6月当時,四日市工場で生産されたフェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていること,フェロシルトが産業廃棄物であることを認識していたこと,及び,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,原告X1 をして,フェロシルト約2万5000トンを搬出させたことを認め,平成15年6月当時,フェロシルトの搬出を中止し,フェロシルトを産業廃棄物として処分すべき義務を負っていたことは争わない。 (2) 前記(1)にかかる各義 万5000トンを搬出させたことを認め,平成15年6月当時,フェロシルトの搬出を中止し,フェロシルトを産業廃棄物として処分すべき義務を負っていたことは争わない。 (2) 前記(1)にかかる各義務違反行為と原告X1 に回収費用等489億円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (参加原告らの主張)被告Y1 が,平成10年9月当時,フェロシルトの開発を中止せず,平成11年1月からフェロシルトの生産を開始したこと,及び,平成15年6月以降平成17年4月までの間,フェロシルトの搬出を止めなかったことと,原告X1 が平成13年8月以降平成17年4月までに搬出したフェロシルト約72万トンの回収費用等として489億円を支出したこととの間には相当因果関係がある。 (被告Y1 の主張)参加原告らの上記主張については争う。 被告Y1 が平成15年6月以降平成17年4月までの間にフェロシルトの搬出を止めなかったことと相当因果関係があるのは,平成17年1月から同年4月までの間に三重県亀山市HH地区へ搬出された約2万5000トンの回収費用等11億1403万円余のみである。 【丙事件関係】(1) (フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関与した者~工場長であった取締役〔Y23,被告Y5,被告Y6〕の責任)ア Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する担当取締役であったか。 イ Y23,被告Y5,被告Y6 が四日市工場長を務めていた当時,QMSのもとで,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がされていたか。 ウ Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトがQMSのもとで,開発 を務めていた当時,QMSのもとで,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がされていたか。 ウ Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトがQMSのもとで,開発,生産,管理,搬出がされていると信じたことに過失があったか。 (参加原告らの主張)ア Y23,被告Y5 及び被告Y6 は,それぞれ四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する担当取締役であった。 イ Y23,被告Y5,被告Y6 が四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトの開発,上市決定,生産,在庫管理,搬出についてはQMSで規定された手続どおりの運用がなされていなかった。フェロシルトについてQMSで規定された手続にしたがって,開発,上市決定,生産,管理,搬出されていれば,用途に応じた製品規格や銘柄としての管理が確立され,そのための使用現場試験を含む試験が行われ,生産時や搬出時や顧客要請による安全性の検査等がそのプロセス内で多重的に実施され,土壌環境基準値を超える六価クロムがフェロシルトに含まれることがQMSの通常の運用過程で判明したはずである。 ウ Y23,被告Y5 及び被告Y6 は,以下aないしcの各時期において,フェロシルトがQMSの運用のもとで,開発,生産,管理,搬出がされているかを調査,確認すべき義務を負っていたのに,これを怠った。 aY23 については,平成10年9月から平成11年6月までの四日市工場長に在任していた当時b 被告Y5 については,平成11年6月から平成15年3月までの四日市工場長に在任していた当時c 被告Y6 については,平成15年4月1日以降,平成17年4月にフェロシルトの生産が中止されるまでの四日市工場長に在 成11年6月から平成15年3月までの四日市工場長に在任していた当時c 被告Y6 については,平成15年4月1日以降,平成17年4月にフェロシルトの生産が中止されるまでの四日市工場長に在任していた当時ことに,被告Y5,被告Y6 は,取締役兼四日市工場工場長として,副工場長である被告Y1 の直属の上司であり,その監督を行うとともに,四日市工場の適正な運営についての責任を負っていた。被告Y5 及び被告Y6は,平成13年8月以降,被告Y1 がフェロシルトからの六価クロムの溶出を把握したうえ,それを隠ぺいするためにデータを隠匿したり,サンプルのすり替えやデータ偽装を行ったり,工場廃液を混入するなど,フェロシルト生産・搬出に関連する不正行為を組織的に行っていた時期も,フェロシルト生産,搬出について,QMSに沿った運用実態があるかどうかを確認する義務を怠り,被告Y1 にフェロシルトの生産,搬出を一任していたため,工場内での組織的不正行為を発見できなかった。 (被告Y2 ら,被告Y5,被告Y6 の主張)アフェロシルトの開発,生産,管理,搬出については,原告X1 の中でアイアンクレーの研究に関する第一人者である被告Y1 が,社長の被告Y7ないしZ2 の特命を受けて,I1社などを使用して専管事項として独力で取り組んだものであった。それは,当時,通常の指揮系統から外れており,四日市工場長の担当からも外れていた。したがって,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出については,工場長が副工場長の被告Y1 を監督する立場になかった。 イフェロシルトの開発,生産はI1社技術部が担当し,F2O3含有量を35%以上とする品質規格が決められた上,QMSを具体化した運営要領(甲24の2)に基づき,平成10年9月20日付け開発計 フェロシルトの開発,生産はI1社技術部が担当し,F2O3含有量を35%以上とする品質規格が決められた上,QMSを具体化した運営要領(甲24の2)に基づき,平成10年9月20日付け開発計画書(甲26の1)及び平成12年4月30日付け開発完了報告書(甲26の3)が作成されていた。 上記開発過程において,平成10年10月路盤材の土質試験(甲27の1),平成11年5月フェロシルトの土質試験(甲27の2)が行われた。 また,平成11年1月から翌12年にかけての用途開発において実施された六価クロムの溶出検査において,土壌環境基準値を超える六価クロムの検出はなかった(甲29)。 四日市工場の工場次長は,平成12年11月2日,バイオサイエンス営業本部営業統括部長に対し,フェロシルトが土木用だけでなく育苗用培土及び土壌改良資材に使用できる可能性があるとして,市場調査を依頼した(甲29)。 ウ Y23,被告Y5 及び被告Y6 は,それぞれ四日市工場長であった当時,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されていないことを疑わせる事情を何ら認識しておらず,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されているかを調査,確認すべき義務を負うことはない。 被告Y1 は,徹底した隠ぺい工作を行ったばかりか,却って三重県との共同研究やリサイクル製品の認定を強調したため,工場長にとって不自然な事象は全く現れなかった。 なお,平成12年6月以前の四日市事業所体制の下では,四日市事業所長が,品質保証室長に対し,品質体制を構築,維持管理し,その実施を関係全部門に周知徹底させる権限を委譲するとともに,品質保証室に品質保証部長・内部監査員を置いた。そのため,品質保証室長の権限は四日市工場の全現業部門に及び,社内業務規定による事業所長か その実施を関係全部門に周知徹底させる権限を委譲するとともに,品質保証室に品質保証部長・内部監査員を置いた。そのため,品質保証室長の権限は四日市工場の全現業部門に及び,社内業務規定による事業所長から工場長,副工場長などを経由して現業部門に向かう指示系統とは別系統になっており(乙B3〔2.0章9頁の「組織図」〕参照),工場長はQMSの指示系統から外れていた。したがって,工場長は,その当時,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されているかを調査,確認すべき義務を負っていなかったことは明らかである。 エ Y23,被告Y5 及び被告Y6 は,それぞれ四日市工場長であった当時,以下aないしfの事情から,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されているものと信じており,そのことに過失はなかった。 a 原告X1 で構築されたQMS,EMSは,毎年,I1社の従業員も審査に参加して,ISOの検査機関のサーベイランスを受け,不完全部分については指摘を受け改善されていた(甲30ないし56)。 b 四日市工場内で毎月開催される品質保証委員会でフェロシルトの品質に問題があるとの報告は一度もなかった(乙B9ないし11)。 c 四日市工場内で毎年開催される環境審議会や環境監査委員会においてフェロシルトの有害性が問題となったことは一度もなかった(乙B12ないし29)。 d 四日市工場内のミーティングや月次報告会において,フェロシルトの有害性が報告されたことは一度もなかった(甲28,丙46)。 e 被告Y1 は,平成13年8月以降,フェロシルトの有害リスクを認識していたI1社のZ8(以下「Z8」という。)ら従業員及び原告X1 環境保安部長のZ3 に対し,それぞれ,「X1 の取締役がフェロシルトに六価クロムが含有することを ,フェロシルトの有害リスクを認識していたI1社のZ8(以下「Z8」という。)ら従業員及び原告X1 環境保安部長のZ3 に対し,それぞれ,「X1 の取締役がフェロシルトに六価クロムが含有することを知れば,生産販売する処理業務はなくなり,I1社もなくなる。」,「フェロシルトは既に大量に堆積しているのに,この取引は中止になればコスト削減ができなくなるがどうするか。」などと言って固く口止めした。 また,被告Y1 は,フェロシルトが問題化した後の原告X1 の顧問弁護士の調査においても,フェロシルトの生産,販売の当初から有害リスクを認識していたことを明らかにしなかった。 f 被告Y1 は,平成14年5月以降,上司である四日市工場長をはじめとする取締役に対して,フェロシルトに関する三重県との共同研究の成果,特許申請したこと,三重県からリサイクル商品として公的認定を受けていることを喧伝していた。 (2)(実行本部ないし推進会議の構成員であった者の責任)ア実行本部の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18,被告Y17)の責任フェロシルト生産開始時の取締役のうち,実行本部の構成員であった者は,フェロシルトの開発,生産について特に進捗を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を行う義務を負っていたか。 (参加原告らの主張)(ア) 実行本部(広義)は,社長をトップとし専務取締役を監督者とする実行本部会議としては,フェロシルトの開発,生産の意思決定をする機関であり,被告Y10 を実行本部長とする特命の業務執行機関としての実行本部(狭義)としては,産業 トップとし専務取締役を監督者とする実行本部会議としては,フェロシルトの開発,生産の意思決定をする機関であり,被告Y10 を実行本部長とする特命の業務執行機関としての実行本部(狭義)としては,産業廃棄物の減量とフェロシルトの開発,生産を計画し,実行し,進捗を管理する機関であった。 したがって,被告Y7 は実行本部(広義)の最高責任者として,被告Y8 及び被告Y9 は実行本部(狭義)を監督する専務取締役として,被告Y10 は実行本部(狭義)本部長として,Y23 は実行本部副本部長として,被告Y16 は実行本部長付きとして,被告Y18 及び被告Y17 は実行本部委員として,それぞれフェロシルトの開発及び生産についての担当者からの計画や提案や報告を受け,その安全性や適法性を調査,確認する職責を負う取締役であった。 (イ) 被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18,被告Y17 は,平成11年1月当時,次の①ないし④の事実を知っていた。 ① フェロシルトは,産業廃棄物(汚泥)であるアイアンクレーの工程を若干変更して生成された物であり,チタン鉱石にもともと含まれるクロムその他の金属類や放射性物質を微量に含むことになる。フェロシルトについては,T国際空港に受け容れてもらいやすくするために,商標登録したものの,平成11年1月当時,開発開始から4か月経過しただけであってQMSによる開発完了手続を終了しておらず,また顧客も,したがって製品規格も決定していない試作品であった(EMSの直接適用は受けない。)。 ② 原告X1 は,平成10年12月,F社から,脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことから,平成11年4月以降,脱塩アイアンクレーを受け入れることはできないと通告された。 ③ フェロシルトは,平成 原告X1 は,平成10年12月,F社から,脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことから,平成11年4月以降,脱塩アイアンクレーを受け入れることはできないと通告された。 ③ フェロシルトは,平成11年1月当時,T国際空港の海上埋立用に搬出することを想定していたが,顧客は未定であり,用途も定まっていなかった。 ④ フェロシルトの生産は,産業廃棄物としてのアイアンクレーがフェロシルトに転換することを意味し,酸化チタンの生産によって発生する産業廃棄物としてのアイアンクレーが大幅に減量され,産業廃棄物コスト削減という実行本部の目的が達成できるため,新製品であるにもかかわらず異例の早さで生産に至った。 これにより,同被告らは,フェロシルトの生産についてはその用途と顧客に応じて品質を確保する仕組みとなっているQMSの開発,上市決定,生産という正規手続きから逸脱していることを知っていたし,容易に知り得た。 したがって,同被告らは,フェロシルトを環境中へ搬出予定の商品として生産する以上は,想定される用途や顧客に応じた安全性を特に確認・調査すべき義務を負っていた。ことに,フェロシルトは重金属や放射性物質を含みうることから,安全性規格が整備されず,安全性が未確認のまま搬出すれば,重金属等による環境汚染によって回収費用等の損害が生じることについて予見できた(必ずしも六価クロムの溶出とそのメカニズムを特定して予見すべき義務があるわけではない。)。 しかし,同被告らはいずれも実行委員会構成員ないし監督者として何ら確認・調査を行っていないまま,生産開始を実行本部(広義)として承認することに賛同した。 (被告Y2 らの主張)(ア) 実行本部はいわゆるプロジェクトチームであって,社長の諮問機関に して何ら確認・調査を行っていないまま,生産開始を実行本部(広義)として承認することに賛同した。 (被告Y2 らの主張)(ア) 実行本部はいわゆるプロジェクトチームであって,社長の諮問機関にすぎず,実行本部にフェロシルトの開発,生産を承認する権限はなかった。実際に,実行本部がフェロシルトの開発,生産の承認を決議した事実もない。また,実行本部には,フェロシルトの開発,生産を計画,実行し,進捗を管理する権限もなかった。 フェロシルトの開発,生産については,X1の中でアイアンクレーの研究に関する第一人者である被告Y1が,社長の特命を受けて,I1社などを使用して専管事項として独力で取り組んだものであり,他の実行本部の構成員は全く関与していなかった。 したがって,Y23が,実行本部の構成員として,フェロシルトの安全性や適法性を調査,確認すべき義務を負うことはない。 (イ) Y23 が前記(2)ア(参加原告らの主張)(イ)①ないし④の事実を知っていたことは否認する。 (ウ) Y23 は,フェロシルトの生産が開始された平成11年1月当時,以下aないしfの事情により,アイアンクレーについて,放射線量に細心の注意を払う必要があるが,放射線量さえ規制値を下回っていれば,問題となるようなことはないこと,アイアンクレーは引き取り手がない無価値物で,性状が「汚泥」に当たるから産業廃棄物として処理されていること,アイアンクレーの水分を減らして強度を高めて土壌埋戻し材の性能を備えることができれば,産業廃棄物から製品に変わることの認識を有していた。したがって,Y23 が,平成11年1月当時,フェロシルトに含まれている重金属等により環境汚染が生じ,将来原告X1 にその回収費用等の損害が生じることを予見することは不可能であった。 a いた。したがって,Y23 が,平成11年1月当時,フェロシルトに含まれている重金属等により環境汚染が生じ,将来原告X1 にその回収費用等の損害が生じることを予見することは不可能であった。 a 100年近い酸化チタンの歴史の中で,六価クロムやフッ素などの有害物質が問題となったことは世界中で一度もなく,関係省庁も平成3年6月に放射線量について細心の注意を払うよう周知徹底しただけで(丙108),そのほかの有害物質を問題としたことはなかった。 bM県環境保全事業団の検査によってアイアンクレーから土壌環境基準値を超えるような六価クロムやフッ素が検出されたことはなかった(乙B120の1ないし35)。 c 平成元年3月,三重県環境科学センターから,アイアンクレーからいずれの重金属の溶出も認められず,問題ないとの報告があった(丙117)。 d 被告Y1 は,フェロシルトの受入側から要請を受けて搬出直前に測定をした平成13年8月,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていることを初めて知った。平成11年1月当時,X1 の中でアイアンクレーの研究に関する第一人者であった被告Y1でさえ,フェロシルト中の六価クロムやフッ素を測定する必要があると考えたことがなかった。 eY23 は,1億3200万円の工事費をかけて導入された浮遊選鉱法(乙Bア3ないし6)により,酸化鉄(Fe2O3)の含有率が飛躍的に高まり,水分が減って十分な強度を備えた新製品が出来上がったとの説明を被告Y1 から受けた。 f 被告Y1 は,平成10年12月9日に開催された生産構造再構築実行本部会議(乙Bウ6の17)において,「フェロシルト(仮称)の生産,販売計画案」(乙Bア7)を配付し,Fe2O3含有率38%程度のシルト質であるなど土壌試験の結果で得られ 催された生産構造再構築実行本部会議(乙Bウ6の17)において,「フェロシルト(仮称)の生産,販売計画案」(乙Bア7)を配付し,Fe2O3含有率38%程度のシルト質であるなど土壌試験の結果で得られた数値を引用して具体的に説明した。 (被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 の主張)(ア) 被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 は,前記(2)ア(参加原告らの主張)(イ)の①の事実のうち,平成11年1月当時,フェロシルトは,顧客が決まっていない試作品であったことは認識していたが,その余の事実を認識していたことは否認し,前記②,③の事実を認識していたことは認め,④の事実のうち,フェロシルトの生産により,アイアンクレーが削減され,産業廃棄物処理コストの削減という,実行本部が掲げる目標の一つを達成できることを認識していたことは認めるが,その余の事実を認識していたことは否認する。 もっとも,上記被告らが,平成11年1月当時,原告X1 が取引先候補と交渉しながら,試作品としてのフェロシルトの生産開始を認識したとしても,それ自体はフェロシルトが有用な製品であることの認識にしかつながらず,将来,一般環境下で有害物質を溶出し,廃棄物処理法違反により回収する必要が生じるとの予見にはつながらない。 また,脱塩アイアンクレーに含まれるクロムは,無害で安定的とされる三価の水酸化クロムの状態であり,自然環境下において三価クロムが容易に六価クロムに変質することは,当時,一般的な科学知識ではなかったことからすれば,総クロム量を理由とするF社からの脱塩アイアンクレーの受入拒否は,フェロシルトから六価クロムが発生するとか,フェロシルトがQMSを逸脱しているとの予見可能性を基礎づける ったことからすれば,総クロム量を理由とするF社からの脱塩アイアンクレーの受入拒否は,フェロシルトから六価クロムが発生するとか,フェロシルトがQMSを逸脱しているとの予見可能性を基礎づける事情ではない。 (イ) 上記被告らは,以下aないしeの事情から,フェロシルトは有用な製品であると認識しており,QMSが適用されずに開発・生産されていると認識することは不可能であった。 a フェロシルトの前身であるアイアンクレーは,廃棄物処理場の受入基準において,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたことはなかった。 b アイアンクレーのような汚泥の再資源化の研究は長きにわたって世界的に行われているところ,六価クロムの発生のリスクを指摘するものは一切なく,むしろ,埋立材,土質改良剤等としての有用性を謳うものであった。 c 被告Y1 は,原告X1 内において,実行本部,役員会報告(乙Bウ6の1~29),社内報等を通じて,フェロシルトの有用性や,複数の企業や地方公共団体がフェロシルトに関心を示しているように再三にわたって報告していた。 d 毎年実施されていた外部機関によるQMS及び運営要領に関するサーベイランスにおいて,フェロシルトの開発・生産・管理について,QMS適用上の問題点を指摘されたことはなかった。 e 被告Y1 は,平成11年ころから,フェロシルトの開発・生産・管理・搬出の全般にわたって,原告X1 が重大な意思決定をする局面において,不利益な事実を殊更隠ぺいしつつ,フェロシルトが有用であるかのような報告だけを行っていた(乙Bウ6,丙90)。 (ウ) 被告Y16 は,シンガポール工場に赴任しており,実行本部における協議のテーマのうちシンガポール工場に関係する事項に参画するため,実行本部長付とされたもので 乙Bウ6,丙90)。 (ウ) 被告Y16 は,シンガポール工場に赴任しており,実行本部における協議のテーマのうちシンガポール工場に関係する事項に参画するため,実行本部長付とされたものであり,実行本部の委員ではなかった。被告Y16 は,実行本部の会議に一度も参加したことがなく,フェロシルトはシンガポール工場には何の関係もなかった。 したがって,被告Y16 は,取締役に在任中,フェロシルトには一切関与しておらず,フェロシルトからの有害物質の発生や廃棄物処理法違反を疑う事情を認識する余地は一切なかった。 (被告Y7 の主張)被告Y7 は,次の①ないし③の事情の下で,フェロシルトの開発,生産,管理に不備があることは全く認識しておらず,不備があることの認識を基礎づける事実を認識していなかった。 したがって,被告Y7 は,平成11年1月当時,フェロシルトの想定される用途や顧客に応じた安全性を特に確認し,調査すべき義務を負うことはない。 ① 実行本部は,平成9年ないし平成10年ころの大不況下を乗り切るため,生産コスト全般の引き下げを検討するために設置された。四日市工場におけるアイアンクレーの再資源化の検討は担当部署で環境対策(廃酸処理や放射能対策)と併せて従来から続けられてきたものであり,実行本部により最重要課題として設定されたことはなく,上記一連のコスト削減の中で,担当部署において検討が行われた。 ② 過去の酸化チタン工場において六価クロムの発生が問題とされたことは世界でも例がなく,アイアンクレー自体は有害なものではない。 ③ フェロシルトの開発,生産,管理には,QMSが適用されていた。 QMS及び運営要領に対して実施された外部機関のサーベイランスにおいて,問題等を指摘されたことはなかったのであるから,フェロシ 。 ③ フェロシルトの開発,生産,管理には,QMSが適用されていた。 QMS及び運営要領に対して実施された外部機関のサーベイランスにおいて,問題等を指摘されたことはなかったのであるから,フェロシルトの開発,生産,管理は,QMSの下で適正に行われていた。 イ推進会議の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)の責任フェロシルトの搬出開始時の取締役のうち,推進会議の構成員であった者は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,特に推進を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を行う義務を負っていたか。 (参加原告らの主張)(ア) フェロシルトは,平成11年1月に四日市工場で生産され四日市工場敷地上で貯蔵され始めた直後から,土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていた可能性が高く,QMSに定められた計量検査を実施すれば,生産時または貯蔵時に土壌環境基準値を超える六価クロムの検出が可能であった(丙34,39)。 (イ) 推進会議本部会は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,その具体的な推進を意思決定ないし承認する機関であり(平成13年8月6日の会議),少なくとも実行委員会によるアイアンクレーやフェロシルトを含む産業廃棄物処理コスト削減策の立案と推進についての進捗管理を行う機関であった。したがって,推進会議本部会の構成員であり,「フェロシルト搬出計画の件」について被告Y1の提案を受けて平成13年8月6日に合議し,平成13年8月10日に稟議書を決裁した被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被 り,「フェロシルト搬出計画の件」について被告Y1の提案を受けて平成13年8月6日に合議し,平成13年8月10日に稟議書を決裁した被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22 は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,担当者からの提案や報告について,その安全性や適法性や社内規程への適合性について,調査・確認すべき義務を負っていた。 (ウ) 被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22は,推進会議の構成員としての取締役として,フェロシルトの搬出を決定した平成13年8月当時,フェロシルトの開発,上市手続がないこと,生産,管理,搬出について,QMSから逸脱した取扱いがなされていたことを認識していた。また容易に認識しえた。 また,搬出先がT国際空港から,急遽,零細な4業者に変更され,用途も海上埋立から陸上埋立,茶畑造成など,一般生活環境内での埋立等に使われることに変更されたことを知ったから,ただちに搬出することはQMSから逸脱していることを知っていたし,容易に知り得た。 したがって,同被告らは,平成13年8月,フェロシルトの新規取引先への搬出を承認するに際し,フェロシルトの開発,生産,管理がQMSにも基づいているかをフェロシルトの開発,生産,管理に従事していた者への質問やQMS上の書類の確認をするなどして,調査,確認する義務があった。少なくとも,新規搬出先の新規用途との関係でQMSがどのように運用されていたのかを確認すべき義務があった。 (エ) しかし,同被告らは,平成13年8月6日に開催された推進会議において,フェロシルトの開発,生産,管理,今回の搬出がQMSに基づいているかを,何ら確認せず,フェロシルトを変更された搬出先に (エ) しかし,同被告らは,平成13年8月6日に開催された推進会議において,フェロシルトの開発,生産,管理,今回の搬出がQMSに基づいているかを,何ら確認せず,フェロシルトを変更された搬出先に搬出する旨の推進会議の意思決定に参加し,平成13年8月10日付け稟議の決裁をした。 また,同被告らは,平成13年8月当時,3年以上にわたって屋外貯蔵されていた約30万トンのフェロシルトの一部の搬出にあたって,QMSに基づく搬出前試験の有無を確認せず,その指示もしなかった。 (ちなみに,参加原告らは,被告らが自らフェロシルトの土壌環境基準値に適合しているかの検査をすべき義務を負い,それを怠っていたと主張するものではない。QMSが本来どおりに運用されていれば,製品規格があり,それに適合するかの検査があり,搬出先での用途に応じた一定の検査も行われて,それらの書類も揃っているはずである。また3年以上もの屋外貯蔵品についての搬出前検査も所定のサンプリング方法でなされたはずである。仮にそれがなされていないとすれば,担当部署を通じてその調査をさせればよい。本件は,被告らが,偽装されたQMSの書類や試験結果について,これが完備,遂行されていると信じた結果,搬出がなされた事案ではない。)。 (被告Y7 の主張)(ア) 参加原告らの主張は,以下aないしcのとおり,前提を欠いており,失当である。 a 推進会議は,社長の諮問機関にすぎず,フェロシルトの生産,管理,搬出についての意思決定をする機関ではない。 b 被告Y7 は,平成13年8月6日の推進会議に出席しておらず,「フェロシルト搬出計画」について具体的な説明を受けたことはない。 c 被告Y7 は,平成13年8月10日の稟議を決裁していない。会長であった被告 13年8月6日の推進会議に出席しておらず,「フェロシルト搬出計画」について具体的な説明を受けたことはない。 c 被告Y7 は,平成13年8月10日の稟議を決裁していない。会長であった被告Y7 に上記稟議書が回ってきた時点で,既にZ2 による決裁が完了していた。被告Y7 は,上記稟議の内容を確認する意味で,欄外の確認欄に押印した。 (イ) 被告Y7 は,前記ア実行本部の構成員であった取締役の(被告Y7 の主張)②,③及び④フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出された事実が被告Y1 によって隠ぺいされたとの事情の下で,フェロシルトの開発,生産,管理に不備があることを全く認識しておらず,不備があることの認識を基礎づける事実を認識していなかった。 したがって,被告Y7 は,平成13年8月当時,フェロシルトの開発,生産,管理がQMSに基づいているかを調査,確認する義務,新規搬出先の新規用途との関係でQMSがどのように運用されていたのかを確認すべき義務を負うことはない。 (被告Y2 ら,被告Y5 の主張)(ア) 推進会議は,いわゆるプロジェクトチームであって,社長の諮問機関にすぎず,フェロシルトの生産,管理,搬出について,その具体的な推進を意思決定ないし承認する機関ではなかった。実際に,推進会議がフェロシルトの搬出を決議した事実もない。フェロシルトの生産,管理,搬出については,被告Y1 が,Z2 の特命を受けて,専管事項として独力で取り組んだものであり,本部会の構成員は口を出すことも許されず,全く関与していなかった。したがって,Y23 及び被告Y5 が,推進会議の構成員として,フェロシルトの安全性や適法性を調査,確認すべき義務を負うことはない。 平成13年8月10日に決裁された「フェロシルト搬出 いなかった。したがって,Y23 及び被告Y5 が,推進会議の構成員として,フェロシルトの安全性や適法性を調査,確認すべき義務を負うことはない。 平成13年8月10日に決裁された「フェロシルト搬出計画の件」との稟議(乙B43)について,押印者全員がフェロシルトの搬出自体を決裁したものであることは否認する。上記稟議は,フェロシルトの搬出先が変更になったことにより,予算を超える搬出費用が必要となったため,「予算外支出」をZ2 が決裁したものにすぎない。 (イ) Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月当時,前記ア実行本部の構成員であった取締役の(被告Y2 らの主張)(ウ)aないしe及びf原告X1 は,平成13年5月,三重県との間でフェロシルトに関する共同特許出願契約書を取り交わした(乙B49)との事情により,アイアンクレーについて,放射線量に細心の注意を払う必要があるが,放射線量さえ規制値を下回っていれば,問題となるようなことはないこと,アイアンクレーは引き取り手がない無価値物で,性状が「汚泥」に当たるから産業廃棄物として処理されていること,アイアンクレーの水分を減らして強度を高めて土壌埋戻し材の性能を備えることができれば,産業廃棄物から製品に変わること,フェロシルトは三重県のお墨付きの製品であり,原告X1 独自の技術により開発された画期的な土壌埋戻し材であることとの認識を有していた。 したがって,Y23 及び被告Y5 が,平成13年8月当時,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていることを予見することは不可能であった。 (被告Y21,被告Y12,被告Y14,被告Y22 の主張)(ア) 前記(2)イ(参加原告らの主張)(ア)及び(イ)の事実は否認ないし争い,(ウ)の事実のうち,搬 とは不可能であった。 (被告Y21,被告Y12,被告Y14,被告Y22 の主張)(ア) 前記(2)イ(参加原告らの主張)(ア)及び(イ)の事実は否認ないし争い,(ウ)の事実のうち,搬出先がT国際空港から4業者に変更され,用途が海上埋立から陸上埋立,茶畑造成などに変更されることになったことを知ったことは認めるが,その余は否認ないし争い,前記(エ)の事実のうち,平成13年8月6日に開催された推進会議において,同被告らがフェロシルトの搬出先変更の意思決定に参加したとの点は否認し,その余は認める。 (イ) 上記被告らは,前記ア実行本部の構成員であった取締役の(被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 の主張)(イ)のaないしe(52頁)及びf 取締役らは,平成13年8月当時,被告Y1 から,T国際空港に対する搬出見送りの理由を,フェロシルトの埋立材としての強度不足から,真土との混合を要請されたこと,工事の遅延により,納期が延期されたとの説明を受け,受入れを拒否されたとは説明されていなかった(なお,アイアンクレーを含む赤石膏を土壌に添加することで,土壌の硬度,強度が改良されるという研究成果が発表されており〔乙Bウ5〕,フェロシルトと真土との混合は,フェロシルトの埋立用土としての強度を高める措置であって,埋立用土としての価値がないことを示すものでは全くない。)との事情から,将来,フェロシルトから六価クロムが溶出すると予見することは不可能であったのであり,被告らが,被告Y1 に質問する等してフェロシルトの開発,生産,管理がQMSに基づいているかを調査する義務は負っていなかった。 (3)(フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する監視義務違反)アフェロシルト生産開始時の取締役 ,生産,管理がQMSに基づいているかを調査する義務は負っていなかった。 (3)(フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する監視義務違反)アフェロシルト生産開始時の取締役(被告Y11,被告Y15,被告Y20)フェロシルトの担当取締役及び実行本部の構成員以外のフェロシルト生産開始時の取締役であった被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,平成11年1月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であることを認識し,または容易に認識しえたか(監視義務について信頼の原則を覆す特段の事情の有無)。 (参加原告らの主張)(ア) 取締役会の構成員であった被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,平成11年1月のフェロシルトの生産開始時に開催された取締役会において,前記(2)(実行本部ないし推進会議の構成員であった者の責任)ア実行本部の構成員であった取締役の(参加原告らの主張)(イ)の①ないし④(48頁)の事実を認識していた。 これによれば,被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,フェロシルト担当取締役が想定される用途や顧客に応じた安全性を特に確認・調査すべき義務を負っていたのにこれを履行せず,フェロシルトの開発手続が未完であり,QMSから逸脱したまま生産が開始されたことを知り得た。よって,被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,フェロシルトを環境中へ搬出予定の商品として生産する際,将来,重金属等による環境汚染によって回収費用等の損害が生じることがありうることが予見できた。 (イ) したがって,被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,平成11年1月の取締役会において,フェロシルトの生産開始の報告を受けた際(被告Y 11 については事後的に取締役会議事録を た。 (イ) したがって,被告Y11,被告Y15,被告Y20 は,平成11年1月の取締役会において,フェロシルトの生産開始の報告を受けた際(被告Y 11 については事後的に取締役会議事録を確認した後),担当取締役に対して,フェロシルトの生産を行う以上は,想定される用途にあわせた製品の安全性の調査・確認をしたかどうかを確認すべき義務があった。 ところが,被告Y11,被告Y15,被告Y20 はそのような確認をしないまま,フェロシルトの生産開始について何ら疑義を述べず承認した。 (被告Y11,被告Y15,被告Y20 の主張)丙事件(2)ア(被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 の主張)(ア)及び(イ)の記載(51頁)に同じ。 イフェロシルト搬出開始時の取締役(被告Y13,被告Y18,被告Y19)フェロシルトの担当取締役及び推進会議の構成員以外のフェロシルト搬出開始時の取締役であった被告Y13,被告Y18 及び被告Y19 は,平成13年8月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であり,生産から2年6か月間,四日市工場内に山積みされてきたにもかかわらず,QMS上の搬出検査を経ていない商品であることを認識し,または容易に認識しえたか。 (参加原告らの主張)(ア) 取締役会の構成員であった被告Y13,被告Y18 及び被告Y19 は,平成13年9月3日のフェロシルト搬出直後に開催された取締役会の際に次の①ないし④の事実を知っていた。 ① 推進会議の実行テーマとして,産業廃棄物処理コスト削減,再資源化対策が急務であり,「酸化チタンの生産に伴い不可避的に発生するアイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト(平成13年予算石膏工 ① 推進会議の実行テーマとして,産業廃棄物処理コスト削減,再資源化対策が急務であり,「酸化チタンの生産に伴い不可避的に発生するアイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト(平成13年予算石膏工場費用24億円)が急増している。同事業の存続を図る上で,本問題への対応が極めて重要であることから,四日市工場を中心に対応策の策定を行なう」とのZ2 からの報告があった。 ② フェロシルトは,上記のとおり,アイアンクレーとともに「処理コスト」がかかる実質的な廃棄物として取締役会において位置づけられていた。 ③ フェロシルトは,生産されてから,長いものでは2年6か月の間,四日市工場内において,30万トンも山積みされ,原告X1 は,フェロシルトの搬出先が無く困っていた。フェロシルトは,急遽,平成13年8月にT国際空港とは異なる搬出先に搬出が開始された。 ④ 被告Y13,被告Y18,被告Y19 は,いずれも平成11年1月のフェロシルトの生産開始当時の取締役であり,フェロシルトの生産開始にあたって,QMS手続上の正規の開発完了が無いままに生産が開始されるというQMSからの逸脱があったことを知っていた。 以上から,被告Y13,被告Y18,被告Y19 は,平成13年8月当時,フェロシルトの生産,管理,搬出においてQMSからの逸脱があることを知っていたか,それを容易に知り得た。 (イ) 被告Y13,被告Y18,被告Y19 は,平成13年9月3日の取締役会において,フェロシルトの生産,管理,搬出にQMSからの逸脱があることを知り,知り得たのであるから,フェロシルトの搬出担当取締役や推進会議所属の取締役に対して,当時の新しい搬出先に搬出している際に,QMS手続の履行の確認は行っているかどうかについて,調査・確認すべき義務があっ 得たのであるから,フェロシルトの搬出担当取締役や推進会議所属の取締役に対して,当時の新しい搬出先に搬出している際に,QMS手続の履行の確認は行っているかどうかについて,調査・確認すべき義務があった。 ところが,被告Y13,被告Y18,被告Y19 は,上記取締役会において何ら調査・確認をせず,その後もそれを怠った。 (被告Y13,被告Y18,被告Y19 の主張)(ア) 前記(3)イ(参加原告らの主張)(ア)①(60頁)の事実の認識があったことは認め,前記②の事実は否認し,前記③の事実のうち,フェロシルトが長いものでは2年6か月間,四日市工場内にて山積みされていたことの認識があったことは認め,その余は否認し,前記④の事実のうち,平成11年1月のフェロシルトの生産開始時の取締役であったとの認識があったことは認めるが,その余は否認する。 (イ) 丙事件(2)イ(被告Y21,被告Y12,被告Y14,被告Y22 の主張)(イ)の記載(58頁)に同じ。 (4) 損害との相当因果関係前記(1)ないし(3)に関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (参加原告らの主張)前記(1)ないし(3)の各義務違反行為と原告X1 にフェロシルト回収費用等として489億円の損害が発生したこととの間には相当因果関係がある。 (被告Y2 ら,被告Y5 の主張)以下アないしエの事情からすれば,Y23 及び被告Y5 がフェロシルトの安全性や適法性を調査したとしても,その結果が被告Y1 によって隠ぺい又は改ざんされ,フェロシルトの搬出は実施されたであろうから,原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生することは防ぐことができなかったのであり,Y23 ても,その結果が被告Y1 によって隠ぺい又は改ざんされ,フェロシルトの搬出は実施されたであろうから,原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生することは防ぐことができなかったのであり,Y23 及び被告Y5 の義務違反行為と損害発生との間には相当因果関係が無い。 ア被告Y1 は,平成13年8月,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたことを知ったにもかかわらず,自己の責任問題に発展することを恐れ,その結果を隠ぺいした(丙91〔5ないし8頁〕)。 イ被告Y1 は,平成13年8月6日開催の推進会議において,「フェロシルトの搬出計画について」(乙B43)を提案し,Z2 の了承を得て,フェロシルトの搬出を強行した。 ウ被告Y1 は,環境保安部長のZ3 やI1社のZ8 に固く口止めして,六価クロムの問題を組織的に執拗かつ完全に隠匿,秘匿した。 エ被告Y1 は,平成17年6月の岐阜県と三重県の発表によってフェロシルトが問題化した後,行政庁へ提出するサンプルをすり替え,虚偽のデータを提出し,関係文書を破棄する等の不正な行為を実行し,埋設現場で有害物質の検出を伝えられるや,問題は埋設現場の施工不良であるなどと説明して,六価クロムの問題を誤魔化そうとした。 (被告Y6 の主張)被告Y6 は,平成14年6月に取締役に就任し,平成15年4月に四日市工場長となったのであるから,仮に(1)の義務違反行為が認められたとしても,四日市工場に就任する前に搬出されたフェロシルトの回収費用等の損害との間には相当因果関係が無い。平成15年4月以降に搬出されたフェロシルトの回収費用等の損害との因果関係については争う。 (被告Y2 ら,被告Y5,被告Y6 及び被告Y1 を除く被告らの主張)参加原告らの主張について 15年4月以降に搬出されたフェロシルトの回収費用等の損害との因果関係については争う。 (被告Y2 ら,被告Y5,被告Y6 及び被告Y1 を除く被告らの主張)参加原告らの主張については争う。 (5)(産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反)ア平成13年4月27日当時の取締役(被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21)上記取締役会に出席した取締役は,T国際空港にフェロシルトを搬出する際に8億3600万円の搬出費用を計上し,フェロシルトについて,その市場価値(上記取締役会当時は不明であった。)を上回る費用を支払って搬出することを認識したから,フェロシルトの搬出の適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 イ平成13年8月6日の推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役(被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)上記推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役は,上記推進会議において本件新規搬出先の用途や搬出費用等の説明がされた際,本件新規搬出先へ搬出することの適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 (参加原告らの主張)ア平成13年4月27日当時の取締役について(ア) 被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21 は,平成13年4月27日当時,次の①ないし⑦の事実を認識しており,その認識 て(ア) 被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21 は,平成13年4月27日当時,次の①ないし⑦の事実を認識しており,その認識に基づき必要な調査を行えば,フェロシルトの搬出が廃棄物処理法違反(産業廃棄物の不法投棄)に該当することを容易に認識しえた。 ① 形式上,売却の形をとって無価値物を有価値物と扱いつつも,それをはるかに上回る費用を支払って業者にそれを引き取らせることは,排出者にとって不要物を有償で処理することに他ならず,廃棄物処理法に違反する。 ② フェロシルトは,産業廃棄物であるアイアンクレーの生産工程をわずかに変更しただけのもので,その成分が大きく異なることはない。 ③ フェロシルトは当該価値の客観的評価と搬出費用の適切な評価が困難な製品である(同日取締役会議事録)④ 原告X1 は,T国際空港に対してフェロシルトを搬出するに際して,搬出費用としてトン当たり3000円を売上原価として計上する(同上)。つまりフェロシルトの売価は未定であるが,搬出費用としてトン当たり3000円はかかるものである。 ⑤ フェロシルトは平成11年1月から生産をしているが,3年3か月近く四日市工場敷地上に約30万トンも蓄積されてきた。 ⑥ 原告X1 は,搬出先とされるT国際空港に対し,平成10年ころから,アイアンクレーやフェロシルトの海上埋立用の受入れを要請してきたが,産業廃棄物としての受入れはできないこと,T国際空港が実質的に費用を負担することもできないとされ(搬入して「0」評価であること。丙90〔資料4の1〕),協議は難航していた。 ⑦ 原告X1 の課題と目的は,アイアンクレーをフェロシルトに切り換え 的に費用を負担することもできないとされ(搬入して「0」評価であること。丙90〔資料4の1〕),協議は難航していた。 ⑦ 原告X1 の課題と目的は,アイアンクレーをフェロシルトに切り換えることで産業廃棄物としてのアイアンクレーの処理費用を削減することであり,フェロシルト単体の取引で損を出してもアイアンクレーの処理費用より安ければよかったことが,トン当たり3000円の搬出費用の引当てにつながっている(丙92)。 これらの事実認識からすれば,産業廃棄物であったアイアンクレーを転換したフェロシルトを,仮に対価をいくらか取ったとしてもそれを上回る費用で搬出すれば(逆有償取引),有償での廃棄物処理委託とそれを通じた一般環境中への産業廃棄物の投棄に他ならないとされる可能性を認識すべきであり(当時までの逆有償取引の違法性についての一般報道について丙120),少なくとも規制当局(三重県,愛知県,岐阜県や環境省)への照会や法律事務所を通じた調査を行えば,その法的リスクについては容易に知ることができた。 (イ) したがって,上記被告らは,平成13年4月27日取締役会に際し,フェロシルトのT国際空港への多額の搬出費用の支払を前提とする逆有償での搬出が廃棄物処理法に違反する不法投棄に該当するか否かを調査すべき義務を負っており,それらの調査なしに引当処理議案に賛成するべきではなかった。 にもかかわらず,上記被告らは,平成13年4月27日の取締役会において,何らの疑義を止めず,議案に賛成し,その結果,事後の逆有償取引によるフェロシルトの搬出を承認するとともに,その搬出費用の財源を用意し,違法な廃棄物処理を推進することとなった。 イ平成13年8月6日推進会議等について(ア) 被告Y7,被告Y21 取引によるフェロシルトの搬出を承認するとともに,その搬出費用の財源を用意し,違法な廃棄物処理を推進することとなった。 イ平成13年8月6日推進会議等について(ア) 被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22は,平成13年8月6日の推進会議に出席し,「フェロシルト搬出の件」について審議して承認し,または,それを受けた平成13年8月10日の「稟議書」にてフェロシルトの4社への搬出を承認した。これらの手続を通じて,被告らは,次の①ないし⑨の事実を認識しており,フェロシルトの搬出が廃棄物処理法違反に該当することを認識し得た(乙B43〔資料平成13年8月6日付け「フェロシルトの搬出計画」〕)。 ① アイアンクレーの再資源化を図るには長期間の調査,検討を必要とする。 ② そのため初期段階に発生するフェロシルトはT国際空港建設工事時の埋立て用土として搬出することとして,備蓄していた。 ③ T国際空港への搬入は平成15年8月までできず,平成13年8月以降のフェロシルトは埋立量の減量によってその対象外とされた。 ④ フェロシルトは,既に30万トン強備蓄されていたため四日市工場内には空地がなく,9月から発生するフェロシルトは全量アイアンクレーとして埋立処分しなければならない状況にあった。 ⑤ T国際空港以外の場所に安価に埋立処分するために新規搬出先へ搬出する計画をまとめた。 ⑥ 埋立処分先4社4箇所は,海上の埋立てではなく,ゴルフ場や茶畑など生活環境を含む陸上の埋立てであり,用途が変化していた(特に茶畑造成)。 ⑦ 搬出先に,埋立費用として,トン当たり3000円前後の費用を支払うとされていた。 ⑧ 上記計画には,搬出先への販売額や取引内容は具体的に書かれておらず,売買価格―埋立 た(特に茶畑造成)。 ⑦ 搬出先に,埋立費用として,トン当たり3000円前後の費用を支払うとされていた。 ⑧ 上記計画には,搬出先への販売額や取引内容は具体的に書かれておらず,売買価格―埋立費用=逆有償額という計算すらなく,原告X1が埋立費用を支払って「安価に埋立処分すること」が目的とされていた。 ⑨ 搬出は平成13年から15年までの長期にわたり,費用も3年間で合計16億2000万円という巨額に上っていた。 (イ) したがって,上記被告らは,平成13年8月6日の推進会議および同10日の稟議書決裁に当たり,これら4社の現場への長期にわたる「埋立処分」が廃棄物処理法違反に該当する不法投棄に該当するか否かを調査し,調査しないままではそれらの提案に反対するか,少なくとも結論を留保すべき義務を負っていた。にもかかわらず,上記被告らは,それらの調査をせず,計画に基づく搬出に賛成した。 (被告Y7 の主張)ア平成13年4月27日当時の取締役について平成13年4月27日取締役会において決議されたのは,フェロシルトの搬出費用を酸化チタンの売上げに引当計上することであり,フェロシルトをT国際空港へ搬出することはZ2 が社長として既に決定していた。したがって,平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトのT国際空港への搬出の決議がされたことはない。 また,被告Y7 は,フェロシルトの四日市工場からの搬出費用については,酸化チタン生産に要する費用であり,経済的に合理性があると認識していた。 フェロシルトの売却代金よりも負担する搬出費用(開発費等)が上回るという逆有償取引であるとは思っておらず,フェロシルトが無価値であることを認識することは不可能であった。 したがって,被告Y7 は,注意義務を発生させる前 りも負担する搬出費用(開発費等)が上回るという逆有償取引であるとは思っておらず,フェロシルトが無価値であることを認識することは不可能であった。 したがって,被告Y7 は,注意義務を発生させる前提を欠くから,平成13年4月27日取締役会に際し,T国際空港に対する搬出が廃棄物処理法に違反する不法投棄に該当するか否かを調査し,T国際空港への搬出を反対すべき義務を負うことはない。 イ平成13年8月6日推進会議等について丙事件関係(2)イ(被告Y7 の主張)(ア)のとおり,被告Y7 は,平成13年8月6日の推進会議に出席しておらず,「フェロシルト搬出計画」について具体的な説明を受けたことはないし,同月10日の稟議を決裁していない。したがって,参加原告らの主張は,その前提を欠いており,失当である。 (被告Y2 ら,被告Y5 の主張)ア平成13年4月27日当時の取締役についてY23 及び被告Y5 は,当時,以下(ア)ないし(オ)の事情により,フェロシルトが実質的には廃棄物であることを認識しておらず,容易に認識することもできなかったから,フェロシルトの搬出行為の適法性について調査すべき義務を負うことはない。 (ア) 平成13年4月27日開催の取締役会において,「平成12年度決算特別処理の件」(乙B42)の決議は,監査法人から,フェロシルトにかかる費用を計上しなければ,酸化チタン部門の適切な損益を把握することができないとの指摘を受けたため,搬出がほぼ確定していたT国際空港へのフェロシルトの搬出費用を費用として引当計上したにすぎない。 (イ) 原告X1 が主製品として生産,販売するのは,あくまでも酸化チタンであって,フェロシルトは酸化チタンの生産過程において不可避的に生産される副製品にすぎない。主製品であれば, にすぎない。 (イ) 原告X1 が主製品として生産,販売するのは,あくまでも酸化チタンであって,フェロシルトは酸化チタンの生産過程において不可避的に生産される副製品にすぎない。主製品であれば,生産,搬出前に価格を決定し,利益を確保するのは当たり前であるが,副製品はそうではない。 平成13年4月27日の取締役会当時,フェロシルトはまだ販売されていなかったのであるから,価格が決まっていないことは必ずしも不自然ではない。 (ウ) 仮に搬出費用が価格を上回り,副製品だけを見れば赤字であっても,産業廃棄物として処理する場合に比べれば赤字は少ないため(なお,製品である以上品質を兼ね備えていることが必要なのは当然のことである),主製品を含めたトータルでは利益の幅が大きくなるのであって,企業の経済活動としては合理性がある。 (エ) 平成13年4月27日取締役会に出席したY23 及び被告Y5 を含めた取締役全員は,搬出費用をフェロシルトの買主に支払うとの前提を認識していなかった。 (オ) Y23 及び被告Y5 は,平成13年4月当時,丙事件関係(2)イ(被告Y2 ら,被告Y5 の主張)(イ)の記載のとおり認識していた。 イ平成13年8月6日推進会議等についてY23 及び被告Y5 は,当時,以下(ア)ないし(ウ)の事情から,フェロシルトの搬出が廃棄物処理法違反に該当することを認識し得なかったから,フェロシルトの搬出行為の適法性について調査すべき義務を負うことはない。 (ア) 平成13年8月10日に決裁された「フェロシルト搬出計画の件」との稟議(乙B43)は,T国際空港への搬出費用が取締役会決議により引当計上され,経常予算の中に組み込まれていたが,搬出先が①G社(以下「G社」という。),②D社,③E社,④Hと変更され,予算を超える の稟議(乙B43)は,T国際空港への搬出費用が取締役会決議により引当計上され,経常予算の中に組み込まれていたが,搬出先が①G社(以下「G社」という。),②D社,③E社,④Hと変更され,予算を超える搬出費用が必要となったため,「予算外支出」をZ2 が決裁したものにすぎず,稟議書へ押印した者全員が決裁したものではない。フェロシルトの搬出自体は,既に平成13年8月6日の推進会議で,Z2 が,被告Y1 の提案を了承し,決めたことであった。 (イ) Y23 及び被告Y5 は,稟議書(乙B43)に添付されている「フェロシルトの搬出計画について」(8月6日付け四日市工場作成)から,搬出費用をフェロシルトの販売先に支払うことが分からず,逆有償取引であるとの認識がなかった。 (ウ) Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月当時,丙事件関係(2)イ(被告Y2 ら,被告Y5 の主張)(イ)記載のとおり認識していた。 (被告Y9,被告Y10,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y21 の主張)ア平成13年4月27日当時の取締役について前記(参加原告らの主張)ア(ア)①ないし③,⑥の事実を認識していたことは否認し,④及び⑤の事実を認識していたことは認め,⑦のうち,原告X1 の経営上の課題と目的の一つとして,アイアンクレーをフェロシルトに切り換えることで産業廃棄物としてのアイアンクレーの処理費用を削減することであること,フェロシルト単体の取引で損を出してもアイアンクレーの処理費用より安ければよかったことを認識していたことは認めるが,それがトン当たり3000円の搬出費用の引当に繋がっているとの認識については否認する。 丙事件(2)ア(被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 の主張)(イ)に同じである。 ン当たり3000円の搬出費用の引当に繋がっているとの認識については否認する。 丙事件(2)ア(被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y18,被告Y17 の主張)(イ)に同じである。 イ平成13年8月6日推進会議等について前記(参加原告らの主張)イ(ア)①ないし③,⑥,⑦,⑨の事実を認識していたことは認め,④のうち,初期のフェロシルトが主としてT国際空港建設工事の埋立用土として搬出することを想定し,備蓄されていたことの認識は認めるが,アイアンクレーの再資源化の研究には長期間の調査・検討を要するために備蓄されていたと認識していたとの点は否認し,⑤の事実のうち,フェロシルトの搬出先が全く決まらなければ,アイアンクレーとして埋め立て処分する必要があるという限度の認識としては認め,⑧の事実のうち,計画に,搬出先への販売額や取引内容が具体的に書かれていないことの認識は認めるが,その余の事実の認識は否認する。 もっとも,全く売れなかった商品を廃棄物処理することは当然であり,そのことの認識をもって,フェロシルトの搬出が廃棄物処理法違反に当るとの認識にはつながらない。 また,フェロシルトの前身であるアイアンクレーは,昭和60年台の時点で,三重県との共同研究により,土質改良材,路盤材等の用途研究がなされており(乙Bウ1),中和滓が土壌の肥沃性の改良に資するとの研究結果が平成8年当時海外で発表されていたこと(乙Bウ4),平成10年ないし平成11年当時,フェロシルトの埋立用土や農業用土としての用途開発研究もなされていたこと(乙Bウ6)等から,海上埋立から陸上埋立や茶畑造成への用途変更は,フェロシルトに想定されていた用途の範囲内の変更であり,廃棄物性の認識を基礎づける事情ではない。 前記⑧及び⑨の事実を廃棄物処理法違反の予見 )等から,海上埋立から陸上埋立や茶畑造成への用途変更は,フェロシルトに想定されていた用途の範囲内の変更であり,廃棄物性の認識を基礎づける事情ではない。 前記⑧及び⑨の事実を廃棄物処理法違反の予見可能性を基礎づける事情とすることは,逆有償取引が廃棄物処理法違反に該当するとの事実を前提にするものであるが,その前提自体が誤っている。 丙事件(2)イ(被告Y21,被告Y12,被告Y14,被告Y22 の主張)(イ)(58頁)に同じである。 ウ損害の発生フェロシルト搬出費用として,いわゆる逆有償取引により,22億6700円の損害が発生したか。 (参加原告らの主張)原告X1 は,平成13年8月から平成17年4月ころにかけて,I3社に対し,フェロシルト約72万トンを5900万円で売却した。しかし,原告X1 は,D社,E社等の搬出業者や紹介者に対し,上記約72万トンのフェロシルトの運搬費,用途開発費,改質加工費等として,23億2600万円余を支払っていた。 したがって,フェロシルトの売却代金を超える運搬費等約22億6700万円(23億2600万円-5900万円)の支出は損害に当たる。 (被告Y9,被告Y10,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y21 の主張)フェロシルトの生産,販売は,酸化チタン事業の利益の拡大に貢献するものであり,原告X1 がフェロシルトの搬出費用を支出したことは損害に当たらない。 (被告Y7,被告Y2 ら,被告Y5 の主張)参加原告らの主張は争う。 エ相当因果関係前記(5)(参加原告らの主張)アないしイに関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト搬出費用22億6700万円及び罰金5000万円の損害が発生したこととの間に エ相当因果関係前記(5)(参加原告らの主張)アないしイに関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト搬出費用22億6700万円及び罰金5000万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (参加原告らの主張)被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22 が,平成13年8月6日の推進会議でのフェロシルト搬出の承認に異議なく賛成したことまたは同月10日の稟議書決裁で搬出費用の支出を異議なく承認したことと,その後,フェロシルトがI3社を通じて,D社,E社等に搬出された結果,原告X1 が廃棄物処理法に違反する不法投棄の対価ないし費用としてトン当たり3000円前後(総額約22億6700万円)の搬出費用の支出を余儀なくされ,さらに,廃棄物処理法違反による罰金刑5000万円を科せられたこととの間には,相当因果関係がある。 また,被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21 が,平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトのT国際空港への搬出を前提として,フェロシルトの搬出費用としてトン当たり3000円の計上する決議に異議なく賛成したことは,上記違法な搬出費用の支出を正規に認めたものであり,その後の搬出に伴う損害と相当因果関係がある。 (被告Y7,被告Y21,被告Y2 ら,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22,被告Y9,被告Y10,被告Y13 の主張)参加原告らの主張を争う。 第3 当裁判所の判断 1 掲記の証拠及び弁論の全趣旨により前提事実を敷衍し,認定することのできる事実は次のとおりである。 (1) 酸化チタン生産事業の概要(前提事実(2)参照) 当裁判所の判断 1 掲記の証拠及び弁論の全趣旨により前提事実を敷衍し,認定することのできる事実は次のとおりである。 (1) 酸化チタン生産事業の概要(前提事実(2)参照)ア原告X1 の事業等原告X1 は,酸化チタンを軸とする無機化学分野と,農薬を軸とする有機化学分野における化学工業製品の生産,販売等に関する事業を行っていた(甲61)。酸化チタンは,四日市工場及びシンガポール工場において生産されていた(甲61)。 原告X1 の組織は,平成9年以降,たびたび改編があったが,社長室(法務本部が含まれることがあった。),秘書室,地球環境本部,法務本部,総務本部,財務本部,管理本部,酸化チタン営業本部,バイオサイエンス営業企画本部,四日市事業所又は四日市工場からなっており,その関係は別紙「I7社組織図(H10.10.1)」及び「I7社組織図(2001年2月6日現在)」のとおりであった(甲61,乙B41)。 原告X1 の売上げは,平成9年以降,おおむね800億円前後であり,従業員数は約1000人であった。 イ酸化チタンに関係する主な部署酸化チタンに関係する主な部署等は次のとおりである。 ① 四日市事業所(ただし,平成12年6月をもって廃止された。)② 四日市工場(環境保安部,品質保証室)③ 技術企画本部④ 地球環境本部⑤ I1社もっとも,原告X1 の業務機構の分掌事項を定める業務分掌細則(甲8)においては,酸化チタンの産業廃棄物の再利用や再資源化の業務を担う部署について特に定められていなかった。 ウ四日市事業所又は四日市工場内の部署四日市事業所の下には,事業所管理室,品質保証室,四日市工場が置かれていた(甲8,乙B41)。さらに,四日市工場の下に,総務部,酸化 なかった。 ウ四日市事業所又は四日市工場内の部署四日市事業所の下には,事業所管理室,品質保証室,四日市工場が置かれていた(甲8,乙B41)。さらに,四日市工場の下に,総務部,酸化チタン生産部,バイオサイエンス生産部,医薬生産部,磁性材料生産部,動力部,環境保安部,検査部等が置かれていた(乙B41)。また,業務分掌細則において,四日市事業所はI1社,I2社等の四日市関係会社の効率的な運営管理を行うものとされていた(甲8)。 平成12年6月の機構改革によって四日市事業所が廃止された後,四日市工場の下には,工場管理室,品質保証室,技術室,事務総括部(総務部と環境保安部から構成される。),無機生産総括部(硫酸法酸化チタン生産部,塩素法酸化チタン生産部,機能材・磁性材料生産部,技術部から構成される。),有機生産総括部(バイオサイエンス生産部,医薬生産部,技術部から構成される。)等が置かれていた(乙B4,41)。 エ四日市工場(ア) 四日市工場の製品四日市工場においては,酸化チタンのほか,機能材料,磁性材料,農薬等が生産されていた。 アイアンクレー及びフェロシルトは,四日市工場内の中和石膏工場において,I1社によって生産されていた(丙26)。中和石膏工場とは,酸化チタンを生産する際に排出される強酸性の廃液を中和し,金属類などを取り除いて排水基準に適合する過程において,石膏等を抽出していたラインのことであった(丙26)。 (イ) 四日市工場長及び副工場長の職責原告X1 の工場長及び副工場長の職責については,原告X1 の責任者の職責を定める業務規程において,次のとおり,定められていた(甲7)。 a 工場長工場における最高責任者として部下を統括するとともに,① 工場業務運営方針及び計画の策定,② 工場業務運営の 任者の職責を定める業務規程において,次のとおり,定められていた(甲7)。 a 工場長工場における最高責任者として部下を統括するとともに,① 工場業務運営方針及び計画の策定,② 工場業務運営の統制管理遂行等の業務を遂行する(甲7)。 b 副工場長副工場長は工場長を補佐し,工場長の指示した特命業務及び工場長から委任された業務を遂行し,工場長に事故があるときはこれを代理する。 (ウ) 四日市工場長と副工場長の関係原告X1 は,長年の慣行として,四日市工場長が大学において理数系を専攻し,原告X1 において主に製品開発や生産等の技術的な分野を担当してきた者(以下「技術系」という。)である場合には,副工場長に大学において文系を専攻し,原告X1 において主に営業,総務等の事務的な分野を担当してきた者(以下「事務系」という。)をあて,四日市工場長が事務系のときは副工場長に技術系をあてるという人事がされていた(乙Bア10)。工場長及び副工場長の人事権は,代表取締役社長にあった(被告Y5)。 事務系の四日市工場長は,技術系の副工場長に技術系のことを一任し,技術系の工場長は,事務系の副工場長に事務系のことを一任していた(乙Bア10)。 四日市工場長のY23,被告Y5 及び被告Y6 は事務系であり,副工場長の被告Y1 は技術系であった(乙Bア9,10)。被告Y5 は,被告Y1に対し,フェロシルトに関することを一任していた(被告Y5)。 (エ) 四日市工場内の会議四日市工場において,次のとおり,早朝ミーティング,月次報告会,品質保証委員会が開催されていた。 a 早朝ミーティング四日市工場内において,毎朝30分間,四日市工場関係者から四日市工場長に対して前日に生じた四日市工場内の 次報告会,品質保証委員会が開催されていた。 a 早朝ミーティング四日市工場内において,毎朝30分間,四日市工場関係者から四日市工場長に対して前日に生じた四日市工場内の品質の問題等の報告を内容とする早朝ミーティングが実施されていた(被告Y5)。しかし,平成17年5月に岐阜県からフェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれているとの指摘を受けるまで,フェロシルトの品質に問題があるとの報告がされたことはなかった(乙B9~11,被告Y5)。 b 月次報告会四日市工場内において,毎月1回,次の者が出席の上,月次報告会が開催されていた(乙Bア9,10)。I1社は,月次報告会において,月次運営報告資料(甲28)に基づいて,フェロシルトの用途開発の状況,製品の品質,1か月当たりの生産量や堆積量等を報告していた(乙Bア9,10,丙46)。しかし,平成17年5月まで,フェロシルトの品質に問題があるとの報告がされたことはなかった(乙B9~11,被告Y5)。 ① 工場長② 副工場長,工場次長③ 総務・経理・環境などの事務部門④ 農薬・酸化チタンの生産部門⑤ 動力(自家発電)・検査などの補助部門⑥ 各製品の技術開発などを研究する技術研究部門⑦ 関連会社(I2社,I1社等)の責任者c 品質保証委員会四日市工場内において,毎月1回,次の者などが出席した上,品質保証委員会が開催されていた(乙Bア9,10)。品質保証委員会において,製品品質管理状況(不適合品の発生の有無等),製品品質苦情状況,生産物責任関係に関する事項が検討されていた(乙B9,10)。しかし,平成17年5月まで,フェロシルトの品質に問題があるとの報告がされたことはなかった(乙B9~11,被告Y5) ,製品品質苦情状況,生産物責任関係に関する事項が検討されていた(乙B9,10)。しかし,平成17年5月まで,フェロシルトの品質に問題があるとの報告がされたことはなかった(乙B9~11,被告Y5)。 ① 工場長② 副工場長③ 品質保証室長④ I2社,I1社⑤ 品質保証部(オ) 四日市工場が関係する会議等a 環境監査,環境審議会の位置づけ原告X1 は,平成4年公害安全対策委員会を改組し,地球環境対策委員会を設置した(甲5)。地球環境対策委員会は,毎年1回,開催され,ISO14001の認証登録,大規模地震対策,環境監査や環境審議会の結果等の報告がされていた(甲5)。環境監査を実施する環境監査委員会及び環境審議会は,地球環境対策委員会の下部組織であった(甲5)。 b 環境監査四日市事業所又は四日市工場に対する環境監査は,平成6年ころ以降,毎年1回,環境監査委員会規則に基づき,環境監査委員会によって実施されていた(乙B22~29)。監査項目には,産業廃棄物処理及び再資源化状況も挙げられていた(乙B22~29)。しかし,環境監査委員会から,フェロシルトの品質に関する問題点の指摘がされたことはなかった(乙B23~29)。 c 環境審議会環境審議会は,四日市事業所又は四日市工場において,平成6年ころ以降,毎年1回,社内規定である環境審議会規則に基づき,環境保全に関する基本方針等を審議するものとされていた(乙B12,13)。環境審議会には,四日市工場から,四日市工場長,副工場長,環境保安部長が出席していた(乙B12~21)。 平成10年以降の環境審議会における四日市工場長のあいさつや四日市事業所の報告において,アイアンクレーの削減とフェロシルトの用途開発をしていることなどの話題が出 いた(乙B12~21)。 平成10年以降の環境審議会における四日市工場長のあいさつや四日市事業所の報告において,アイアンクレーの削減とフェロシルトの用途開発をしていることなどの話題が出されたが,フェロシルトの品質に関する問題点が指摘されたことはなかった(乙B14~21)。 オ環境保安部環境保安部は,四日市工場内に置かれ,環境法規に基づく申請,届出,報告に関する事項,廃棄物に係る調査,検討,管理及び指導等の業務を担っていた(甲8,丙100〔資料①〕)。 環境保安部は,廃棄物の管理業務として,アイアンクレーの処理に関わっていた(丙100〔資料①〕)。 カ品質保証室品質保証室は,「ISO国際規格に従った品質保証体制」を構築,維持及び改善するための業務として,① 現行体制へのISO国際規格の適用とこれに対する審査登録機関の認証を取得するための統括推進業務,②認証取得後の品質保証体制の適用に関し,品質マニュアルに規定した事項を遵守していくための統括管理業務等を行うこととされていた(甲8)。 被告Y1 は,平成9年6月から平成13年2月までの間,品質保証室長であった(乙B41)。 被告Y5 は,副工場長と品質保証室長が同一人物であるのは不適当であることなどから,平成13年2月,四日市工場の農薬関係の業務やI1社の製剤の生産に従事していたZ12(以下「Z12」という。)に品質保証室長を任せることにした(乙B41,丙30,被告Y5)。 品質保証室長は,QMSにおいて,四日市事業所長又は四日市工場長に対し,年2回,品質体制の妥当性及び有効性に関する報告書(以下「品質体制報告書」という。)を提出することとされていたが,フェロシルトの品質に問題があるとの内容の報告がされたことはなかった(乙B3,4,被告Y5)。 性及び有効性に関する報告書(以下「品質体制報告書」という。)を提出することとされていたが,フェロシルトの品質に問題があるとの内容の報告がされたことはなかった(乙B3,4,被告Y5)。 キ技術企画本部技術企画本部は,無機系事業研究開発の方針策定及び推進統括,生産構造再構築実行計画の推進統括等の業務を行うものとされていた(甲8)。 技術企画本部の下には技術室があり,技術室は,酸化チタン顔料グループ,機能材料グループなどから構成される応用研究所,農薬関連グループ,医薬品開発グループなどから構成される技術研究所等からなっていた(乙B41)。 ク地球環境本部地球環境本部は,環境資源部と品質保証部から構成されていた(乙B39,41)。環境資源部の業務には,環境及び安全・衛生に関する基本方針の立案と推進のほか,酸化チタンの原料の調査,開発等があった(乙B39)。品質保証部の業務には,全社品質管理計画の立案,推進,全社品質管理状況の把握,確認及び対策立案等があった(乙B39)。 ケ I1社I1社は,平成9年4月,I5社とI6社の合併により設立された,原告X1 の100%子会社である(丙29,30,31)。 I1社は,原告X1(四日市事業所又は四日市工場)からの委託を受け,酸化チタンの生産過程において生じる産業廃棄物の処理業務,中和石膏の生産及びその関係技術業務を行っていた(乙B3,4,丙30,31)。 I1社の代表取締役会長は,平成9年4月から平成14年6月まで被告Y8 であった(丙85)。I1社の代表取締役社長は,平成9年4月から平成14年6月までY23 が,平成14年6月から平成15年6月まで被告Y5 が,平成15年6月から被告Y6 が務めていた(丙85)。 被告Y1 は,平成9年4月から平成12 平成9年4月から平成14年6月までY23 が,平成14年6月から平成15年6月まで被告Y5 が,平成15年6月から被告Y6 が務めていた(丙85)。 被告Y1 は,平成9年4月から平成12年6月まで,I1社の常務取締役であり,生産部と技術部を統括する生産技術総括部長であった(乙B41,丙30)。被告Y1 は,平成12年6月以降,I1社の代表取締役(専務取締役)を務めていた(乙B41,丙30,85)。 Z8 は,平成9年4月から平成13年6月まで,I1社の技術部部長であった(乙B41,丙30)。Z8 は,平成13年6月以降,I1社の生産部と技術部を総括する取締役となった(丙30)。 (1) 産業廃棄物の処理と廃棄物処理法(前提事実(3)参照)アアイアンクレーの処理にかかる費用アイアンクレーをM県環境保全事業団の設置する管理型最終処分場(K山処分場)において処理する費用は,次のとおり,年々上がっていた(丙45)。 (ア) 平成2年8月 2900円(トン当たり。以下同じ)(イ) 平成8年4月 5500円(ウ) 平成11年1月 5800円(エ) 平成14年4月 8000円(オ) 平成16年4月 8800円イアイアンクレーの減量化及び再資源化原告X1 は,酸化チタンの生産に伴って排出される産業廃棄物であるアイアンクレーの処分費用がかさむため,かねてから,長年にわたり,アイアンクレーを減量化及び再資源化を検討していた(乙Bウ1,乙Bウ4)。 原告X1 は,アイアンクレーを減量化し,再資源化するために,フェロシルトのほかにも次の製品を生産していた。 (ア) A石膏,C石膏(石膏ボード,セメント原料)原告X1 は,硫酸法の廃酸に炭酸カルシウムを加えて中和する際,硫 資源化するために,フェロシルトのほかにも次の製品を生産していた。 (ア) A石膏,C石膏(石膏ボード,セメント原料)原告X1 は,硫酸法の廃酸に炭酸カルシウムを加えて中和する際,硫酸とカルシウムが結合して沈殿する石膏分のうち,品質が高いものをA石膏と呼び,石膏ボードの原料として販売していた(丙26)。また,原告X1 は,A石膏に比べると品質が劣る石膏分をC石膏と呼び,セメントの原料として販売していた(丙26)。 A石膏及びC石膏については,QMSのもとに生産,管理,販売されていた(乙Bア9)。 (イ) 脱塩アイアンクレー(セメント原料)原告X1 は,平成6年ころから,塩素分を低減化したアイアンクレー(四日市工場内では「脱塩アイアンクレー」と呼ばれ,搬出先では「粗石膏」と呼ばれていた。)の一部を,F社に対し,セメント原料として搬出するようになった(丙97)。脱塩アイアンクレーの搬出量は,平成8年ころには,排出されるアイアンクレーの9割以上を占めていた(丙26,27)。 しかし,F社は,I1社の技術部部長のZ8,原告X1 の環境保安部環境課長のZ3 に対し,平成10年12月,次の①及び②の理由から,平成11年4月以降,脱塩アイアンクレーの受入れを停止することを告げた(丙29,91添付資料1,98)。 ① 脱塩アイアンクレー中のトータルクロム(クロム化合物のことであり,無害な三価クロムが大半である〔丙91〕。)の値が1500ppmであり,F社の受入基準である100ppmを大幅に上回っている。 ② 三価クロムは高温下では有害な六価クロムに変化する。 もっとも,その当時,アイアンクレーに含まれるクロムは,無害で安定的とされる三価クロムであると一般に考えられており,三価クロムが有害な六価クロムに変 ロムは高温下では有害な六価クロムに変化する。 もっとも,その当時,アイアンクレーに含まれるクロムは,無害で安定的とされる三価クロムであると一般に考えられており,三価クロムが有害な六価クロムに変質することは自然環境下において起こらないと考えられていた。 被告Y1 は,Z8 及びZ3 から,直ちにF社への脱塩アイアンクレーの搬出を中止するとの報告を受けた。 当時の実行本部の構成員のうち被告Y7 とY23 は,F社から脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを知らなかった。 実行本部の構成員のうち,被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y16,被告Y17 及び被告Y18,並びに,実行本部に所属していないが取締役であった被告Y11,被告Y15 及び被告Y20 は,脱塩アイアンクレーの総クロム量が多いことから,F社から受入れを断られたことを知っていたが,F社が,三価クロムが六価クロムに変化することを理由にしたことは知らなかった。 原告X1 は,平成11年4月以降,脱塩アイアンクレーをF社へ搬出することができなくなったことから,同年8月までに,四日市工場内に約12万トンの脱塩アイアンクレーを堆積していた(丙97)。 ウ M県環境保全事業団による検査被告ら(ただし,被告Y2 らを除く。)とY23 は,平成2年11月から平成17年5月までの間に採取されたアイアンクレーのM県環境保全事業団の検査において,土壌環境基準値を超える六価クロムが計量されたことは一度もないことを知っていた。 エアイアンクレーに含まれる放射線原告X1 以外の酸化チタン生産業者が搬入した岡山県内の産業廃棄物処分場において,通常より高いレベルの放射線が,平成2年,検出された。 このことから,関係省庁は,酸化チタン生産業者に対し,平成3年,放射線量に細 外の酸化チタン生産業者が搬入した岡山県内の産業廃棄物処分場において,通常より高いレベルの放射線が,平成2年,検出された。 このことから,関係省庁は,酸化チタン生産業者に対し,平成3年,放射線量に細心の注意を払うよう周知した(丙107,108)。 被告ら(ただし,被告Y2 らを除く。)とY23 は,酸化チタンの放射線量には注意を払う必要があることを知っていたが,アイアンクレーについて,放射線に関する行政指導を守っている限り無害であると思っていた(被告Y5)。 (3) フェロシルトの開発(前提事実(4)参照)ア平成4年以降の経営状況原告X1 は,平成4年ころから,企業業績が悪化するようになった(甲60,61,丙45)。その原因は,酸化チタンの国際市況の悪化,円高に伴う輸出による利益の減少,国内販売価格の崩壊などであった(甲60,61,丙45)。そこで,原告X1 は,農薬事業の拡張,経営・人事のリストラ,構造的生産コストのリストラ,保有資産の売却等の諸施策を実施した(丙45)。 しかし,原告X1 は,酸化チタンの大幅な収益の落ち込みをカバーしきれず,平成5年3月期(平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度。以下,他の事業年度についても同様に呼称する。)から平成9年3月期にかけて,赤字決算となった(丙45,同〔資料2〕)。原告X1の平成9年3月期の未処理損失は,180億円に上る(丙45〔資料2〕)。 イ産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務被告Y1 は,実行本部の事務局長兼本部委員(平成9年6月以降)であり,産業廃棄物の推進委員であるZ8 とともに,実行本部の再構築計画の1つである「g 産業廃棄物の再利用及び再資源化」(前提事実(4)ア(ウ)〔19頁〕参照)の現場サイドの責任者であ 6月以降)であり,産業廃棄物の推進委員であるZ8 とともに,実行本部の再構築計画の1つである「g 産業廃棄物の再利用及び再資源化」(前提事実(4)ア(ウ)〔19頁〕参照)の現場サイドの責任者であった(甲4の1,乙B41,丙90)。 被告Y1 は,Z8 とともに,上記再構築計画の「産業廃棄物の再利用及び再資源化」として,まず石膏の回収量を増やし,アイアンクレーの排出量を減少させることを考えた(丙27)。 被告Y1 は,平成9年6月から11月にかけて,廃酸に含まれる石膏分の回収量を増やし,A石膏の増産,アイアンクレーの削減を図るとして,浮遊選鉱法に係る工事を実施した(乙Bア3,10)。さらに,被告Y1は,平成10年3月から同年7月末にかけて,石膏の回収量を増加する工事を実施した(乙Bア4,10)。四日市工場長のY23 は,上記各工事が実施されたことを知っていた(乙Bア10)。 ウ T国際空港への海上埋立用材としての使用の打診T国際空港は,南北に約4キロ,東西に約2キロの海上を埋め立てた上に建設されることになっており,平成12年1月に工事が着工する予定であった(丙47)。T国際空港の建設等を目的として設立されたT国際空港株式会社は,平成10年,海上埋立用材としての大量の土砂が必要であるとして,海上埋立用土砂の受入れを全国的に公募した(丙47)。 被告Y1 は,平成10年夏ころ,T国際空港株式会社に対し,産業廃棄物として処理しているアイアンクレーをT国際空港建設事業の海上埋立工事用土砂として使用できないかと打診した(丙47)。 T国際空港との交渉には,副工場長の被告Y1,四日市工場管理室管理部(四日市工場の予算及び操業計画を立案編成し,四日市工場運営管理のための調整業務を行う部署)の部長Z9(以下「Z9」とい 47)。 T国際空港との交渉には,副工場長の被告Y1,四日市工場管理室管理部(四日市工場の予算及び操業計画を立案編成し,四日市工場運営管理のための調整業務を行う部署)の部長Z9(以下「Z9」という。)及びその後任者Z13(以下「Z13」という。),環境保安部のZ3 が当たった(甲8,丙47)。 エ新アイアンクレーの試作被告Y1 は,I1社技術部のZ8 に対し,平成10年9月ころ,硫酸法の廃酸から石膏を回収した後のものが流れ込むA-2シックナーの沈殿物だけをフィルタープレスという水分を搾る機械にかけることを指示した(丙27)。Z8 は,塩素法の廃酸には放射性物質が多く含まれ,その処理過程で中和石膏工場内の他の廃酸も混入させていたことから,汚いというイメージを持っていた。他方,Z8 は,A-2シックナーの沈殿物は放射性物質が少ないので,多少きれいであるとのイメージがあった。Z8 は,Y1からA-2シックナーの沈殿物のみ使用するとの指示が出たのは,このような理由によるものと理解した(丙27)。 上記A-2シックナーの沈殿物だけをフィルタープレスにかけたシルト質は,四日市工場内において,「新アイアンクレー」と呼ばれるようになった(丙27,90)。新アイアンクレーの性状は,含水率が50%であって,柔らかい粘土のような状態であり,その色は濃い朱ないし赤色であった(甲27,丙33)。 オ開発計画書の申請及び承認(ア) 平成10年9月20日付けの開発計画書(以下「開発計画書a」という。)が,次の①ないし⑦のとおり,I1社技術部のZ6(以下「Z6」という。)によって起案され,I1社技術部長のZ8 の確認を受け,I1社取締役の被告Y1 の承認を受けた(甲26の1)。 ① 開発の名称フェロシルトの開発(№99-203) 6(以下「Z6」という。)によって起案され,I1社技術部長のZ8 の確認を受け,I1社取締役の被告Y1 の承認を受けた(甲26の1)。 ① 開発の名称フェロシルトの開発(№99-203)② 開発目的中和滓削減のため,中和石膏工場処理フローを変更し,酸化鉄を主体(含有量35%以上)とするフェロシルトを開発する。 ③ 品質目標及び判定方法酸化鉄含有量を35%以上とする。物性を調査して,用途にあった向先を検討する。 ④ 開発担当者 Z14,Z5⑤ 必要期間平成10年9月20日~平成12年3月31日⑥ 他部門からの要支援事項ⅰ 特許,技術部の調査(技術管理部)ⅱ 現場試験(化成品生産部)ⅲ 分析,測定(検査部)ⅳ 環境,安全,衛生法規等(環境保安部)ⅴ 市場調査(営業部)⑦ その他酸化鉄含有量は,状況により低くなる場合もあるが,条件によってはほぼ満足すべき品質の製品が生産できる見通しを得たので,本期をもって完了とする。なお,用途については,№99-301に統合する。 (イ) また,平成10年9月20日付け(平成13年4月1日付け改訂)の開発計画書(以下「開発計画書b」という。)が,次の①ないし⑦のとおり,Z6 によって起案され,Z8 の確認を受け,被告Y1 の承認を受けた(甲26の2)。 ① 開発の名称フェロシルトの用途開発(№99-301)② 開発の目的フェロシルトの物性値を見るとシルト質であり,遮水性が高く,付き固めた場合の圧縮強度が高い。また,フェロシルトは,化学的に反応性の高い鉄を多く含む。このため,フェロシルトの特性を生かした用途の開発を行う③ 品質目標及び判定方法ⅰ 用途路盤材,遮水材(刃金土),農業用資材, ,フェロシルトは,化学的に反応性の高い鉄を多く含む。このため,フェロシルトの特性を生かした用途の開発を行う③ 品質目標及び判定方法ⅰ 用途路盤材,遮水材(刃金土),農業用資材,植栽コンクリート用培養土,魚礁材及びセメント混和剤等(セメント混和剤が平成13年4月1日の改訂で追加された。)ⅱ 品質用途にかなう物性の把握と生産方法の検討ⅲ 試験判定関係先(メーカー)との共同で実施する。 ④ 開発担当者 Z5,Z7⑤ 必要期間平成12年4月1日~平成13年3月31日(ただし,平成14年3月31日まで延長された。)⑥ 他部門からの要支援事項ⅰ 特許,技術部の調査(技術管理部グループ)ⅱ 現場試験(生産部)ⅲ 分析,測定(検査部)ⅳ 環境,安全,衛生法規等(環境保安部)ⅴ 市場調査(営業部)⑦ その他本テーマは,平成14年3月31日をもって打切りとする。 カ新アイアンクレーの土質検査の実施新アイアンクレーの路盤材(路床の上に設けられる層で,コンクリート盤等からの荷重を支持し分散させ路床に伝える役割を果たす路盤の材料)としての土質検査(物理試験や力学試験等により,その土そのものの性状や特性等を調べる試験)が,平成10年10月ころ,実施された。 被告Y1 は,I1社技術部のZ6 に対し,上記土質検査に際し,サンプルとする新アイアンクレーの含水率を40%くらいに調整するようにと指示した(丙33,44)。Z6 は,その指示に従い,含水率を40%に調整した新アイアンクレーを用意し,これが上記土質検査に用いられた(丙33)。新アイアンクレーは,少量であれば含水率の調整ができるが,大量の新アイアンクレーの含水率を調整することは非常 率を40%に調整した新アイアンクレーを用意し,これが上記土質検査に用いられた(丙33)。新アイアンクレーは,少量であれば含水率の調整ができるが,大量の新アイアンクレーの含水率を調整することは非常に難しいものであった(丙33)。 新アイアンクレーは,上記土質試験の結果,路盤材としておおむね良好な数値であり,路盤材及び刃金土(水を通しにくい粘性土)としても使用できる可能性があること,土の締まり具合が高く,土壌に向いていること,ただし,施工管理試験(当該土を用いて施工現場を想定した模擬現場を作り,その模擬現場において,実際に使用した際の現場状態等を調べる試験)の実施が必要であるとのことであった(丙33,44)。被告Y1 は,平成10年10月,上記結果の報告を受けた(丙33,44)。 キフェロシルトの商品化に至る経緯T国際空港株式会社の担当者は,被告Y1 に対し,平成10年11月17日ころ,アイアンクレーが産業廃棄物であることを理由に受入れを断った(乙Bア10,丙90)。 被告Y1 は,新アイアンクレーと呼称すれば,T国際空港株式会社から産業廃棄物であると認識されて商品として扱ってもらえないと考え,新アイアンクレーに商品名をつけることとした(丙90)。平成10年11月25日,四日市工場内において,中和滓の商標登録に関する会議が開かれた(丙27〔資料1〕,90〔資料4の2〕)。上記会議には,Y23(四日市工場工場長),被告Y1(四日市工場副工場長),被告Y22(四日市工場次長),Z3(環境保安部),Z9(管理部長),Z8(I1社技術部)及びZ6(I1社技術部)が出席した。 Z8 は,上記会議において,「廃酸,廃水処理工場フロー」,「代表成分」(乙Bア7〔5枚目〕),「中和石膏工場ろ過工程改造工事仕様」(乙Bア7〔 1社技術部)及びZ6(I1社技術部)が出席した。 Z8 は,上記会議において,「廃酸,廃水処理工場フロー」,「代表成分」(乙Bア7〔5枚目〕),「中和石膏工場ろ過工程改造工事仕様」(乙Bア7〔4枚目〕)についての資料を配布し,中和石膏工場の生産フローを変更し,アイアンクレーとは異なる成分の中和滓を生産すると説明した(乙Bア10)。 上記会議において,新アイアンクレーにフェロシルトという商品名をつけ,フェロシルトの商標登録の申請手続を進めることが決まった(丙27〔資料1〕,90〔資料4の2〕)。 ク実行本部に関する会議(ア) 実行本部は,社長,副社長を含む実行本部の構成員全員が出席する本部会議(R会議)が月1回程度,実行本部本部長等実行本部委員による実行本部内の会議が不定期に,実行本部事務局内の会議が頻繁に行われていた(丙46)。 なお,被告Y16 は,シンガポール工場で酸化チタンを生産していることから,実行本部の構成員であった。しかし,被告Y16 は,シンガポールに駐在していたため,実行本部に関する会議に出席したことがなかった(弁論の全趣旨)。 (イ) 実行本部内の会議が平成10年12月9日,開催された(乙Bア10)。 上記会議において,技術室の超微粒子酸化チタンの開発状況の報告等のほか,四日市工場関係として,フェロシルトの生産販売計画について報告された(乙Bア10,乙Bウ6の17)。フェロシルトに関する報告が実行本部内の会議においてされたのは,これが初めてであった(乙Bア10,乙Bウ6の1~16)。 被告Y1 は,上記会議において,「フェロシルト(仮称)の生産,販売計画案」(乙Bア7)を配布した上,次のとおり,報告した(乙Bア10,乙Bウ6の17)。 ① アイアンクレー中のシルト質成分を回 被告Y1 は,上記会議において,「フェロシルト(仮称)の生産,販売計画案」(乙Bア7)を配布した上,次のとおり,報告した(乙Bア10,乙Bウ6の17)。 ① アイアンクレー中のシルト質成分を回収し,これらをフェロシルト(仮称)という製品として生産する。 ② アイアンクレーから回収したシルト質成分について,従来からセメント増量材としての再資源化に加え,早急に「路盤材」「敷設配管の衝撃緩衝剤」「遮水材」及び「魚礁材」等として販売することを計画している。 ③ アイアンクレーから回収したシルト質成分について,上記計画に並行し,T国際空港株式会社に対し,海上埋立用土砂の一部へ使用してもらうことを依頼し,折衝中である。 上記「フェロシルト(仮称)の生産,販売計画案」には,当面の作業及び準備工事予定として,次の内容等が記載されていた(乙Bア7)。 ① 平成10年12月計画概要の社内承認T国際空港株式会社の要望に基づく諸試験(12月~2月)商標登録② 平成11年1月生産に関わる第一次準備工事2月 T国際空港株式会社の最終的基本事項の確認3月 T国際空港株式会社と基本的な覚書の作成(ウ) R会議が,平成10年12月16日開催され,アイアンクレーから回収したシルト質成分を商品化する計画が承認された(乙Bウ6の18,丙46)。 (4) 品質管理体制(前提事実参照)ア QMSの制定及び改訂QMSは,平成7年6月,四日市事業所又は四日市工場において生産する製品について,顧客の期待及び品質要求を満足し,使用目的に適う製品を開発するなどの本件基本方針及びISO9001の品質保証規格に従って生産するための手順を定めるものとして制定され 場において生産する製品について,顧客の期待及び品質要求を満足し,使用目的に適う製品を開発するなどの本件基本方針及びISO9001の品質保証規格に従って生産するための手順を定めるものとして制定された(乙B2~4)。 原告X1 は,その後,実状に合わせてQMSを改訂していった(乙B3~5,乙Bア9)。平成10年9月9日付けで改訂したQMS(乙B3。 QMS改訂16版)は,品質保証室長の被告Y1 が作成し,四日市事業所所長の被告Y8 が承認したものであった。その後,平成12年8月11日付けで品質保証部長が作成し,品質保証室長の被告Y1 が審査し,四日市工場長の被告Y5 が承認したQMS(乙B4。QMS改訂23版)が使用されていた。 イ平成12年6月以前のQMS(QMS改訂16版)四日市事業所長と品質保証室長の関係,職務分掌は次のとおりであった(乙B3)。 (ア) 四日市事業所長と品質保証室長の関係四日市事業所長は,品質保証室長に対し,① 品質体制を本件方針及びISO9001に従って構築,維持管理し,その実施を関係全部門に周知徹底させること,② 品質体制が有効かつ効率的に機能しているかについて,是正提案を含めて半年ごとに四日市事業所長に報告することに必要な権限を委譲する。四日市事業所長は,上記報告に基づいて品質体制の是正・改善を行う。 品質保証室長は,各部門の部長に権限委譲して,製品,工程上及び体制上の不適合の発生防止処置等を行わせるが,責任を留保する。 (イ) 四日市事業所長の職務分掌① 品質体制の最高責任者として四日市工場,技術室,事業所管理室及び品質保証室を管理する。 ② 毎年2回(4月,10月),定期的に品質体制報告書の検閲を行い,必要に応じて是正処置を実施させ,結果を確認する。 任者として四日市工場,技術室,事業所管理室及び品質保証室を管理する。 ② 毎年2回(4月,10月),定期的に品質体制報告書の検閲を行い,必要に応じて是正処置を実施させ,結果を確認する。 ③ 品質マニュアル等の品質体制関連文書類の作成,審査,承認する者を指名し,実行させ維持管理させる。 ④ 品質体制によって解決できない品質保証上の問題を全社的立場から解決する。 (ウ) 品質保証室長の職務分掌① 品質マニュアルの作成及び維持管理② 品質マニュアル規定事項の実施励行の指示③ 各部運営要領書の審査・承認④ 品質体制監査の計画・実施⑤ 事業所長あて「品質体制報告書」(年2回)の作成⑥ 外部機関による審査・維持審査への対応ウ平成12年6月以後のQMS(QMS改訂23版)原告X1 において,平成12年6月,機構改革が行われ,四日市事業所が廃止され(丙46),四日市事業所長が担っていた前記職務は四日市工場長が担うこととなった(乙B4) 四日市工場長は,四日市事業所長がQMSの最高責任者であったときと同様,品質保証室長に対し,品質体制を本件方針及びISO9001に従って構築,維持管理し,その実施を関係全部門に周知徹底させることなどの権限を付与し,半年に1回報告を受けることとされていた(乙B4)。 エ I1社の運営要領QMSを具体化した運営要領(甲24の1~3)によれば,I1社において新銘柄を開発するには,次のとおりの手順に従うとされていた(甲24)。 a 第1段階ニーズ開発b 第2段階開発検討c 第3段階サンプル試作(ラボサンプル)d 第4段階ユーザー評価e 第5段階企業化検討(I1社技術部及び生産部による現場試作,四日市事業所又は四 ニーズ開発b 第2段階開発検討c 第3段階サンプル試作(ラボサンプル)d 第4段階ユーザー評価e 第5段階企業化検討(I1社技術部及び生産部による現場試作,四日市事業所又は四日市工場管理室による経済性,コストの検討,営業部による市場性,コストの見合いの販売価格の検討)f 第6段階ユーザー評価g 第7段階上市手続① I1社技術部による開発完了報告② 四日市事業所又は四日市工場管理室及びI1社生産部による生産体制の整備③ 四日市事業所又は四日市工場管理室によるコスト経済性の検討④ 営業部による市場性の調査オ QMSの外部機関による審査原告X1 は,遅くとも平成10年から,マニュアルの制定,その遵守,内部監査がされているかについて,外部機関であるJ1-QAセンターによるQMSの審査を年1回に受けていた(甲30~47)。J1-QAセンターから,平成10年以降,QMSと不適合な点や要観察事項の指摘がされ,これに対する是正措置がその都度とられていた(甲30~47)。 また,フェロシルトに関する問題点が指摘されたことはなかった(甲30~47)。 (5) フェロシルトの開発状況の取締役会への報告内容(前提事実(6)参照)ア平成10年12月15日被告Y1 は,平成10年12月15日に開催された取締役会において,フェロシルトについて,「フェロシルト(仮称)の生産販売計画案」(乙Bア7)に従い,同月9日の実行本部内の会議における報告と同様の報告をした(乙Bウ6の17)。 被告Y5 は,酸化チタン営業本部の営業部長兼海外部長として,上記取締役会に出席し,フェロシルトを初めて知った(乙Bア9,被告Y5)。 イ平成10 様の報告をした(乙Bウ6の17)。 被告Y5 は,酸化チタン営業本部の営業部長兼海外部長として,上記取締役会に出席し,フェロシルトを初めて知った(乙Bア9,被告Y5)。 イ平成10年12月28日(ア) 実行本部は,平成10年12月28日開催の取締役会において,アイアンクレーから回収したシルト質成分を商品化する計画が同月16日の第11回推進本部会議(R会議)で承認され,平成11年1月からの試験的生産の準備作業等に着手したことを報告した(乙Bウ6の18)。 (イ) 上記取締役会に出席していたY23 及び被告Y5 は,アイアンクレーが無害であり,その水分を減らして強度を高めることにより,土壌埋戻し材としての性能を備えることができれば,産業廃棄物から製品に変化すると思った(乙Bア9,10)。 Y23 及び被告Y5 は,酸化チタンの産業廃棄物の再資源化の第一人者といわれていた被告Y1 から,フェロシルトについて,浮遊選鉱法が導入され,酸化鉄の含有率が飛躍的に高まり,水分が減って十分な強度を備えた新製品であると説明され,具体的な数字に基づいた報告があったことから,フェロシルトがどのように開発されたのを全く知らなかったが,間違いないもの,大丈夫なものであると認識した(乙Bア9,10,被告Y5)。 ウ平成11年1月29日平成11年1月29日の取締役会において,次の内容が報告された。 (ア) フェロシルトの試験生産の開始実行本部は,平成11年1月4日から,フェロシルトの試験生産を開始し,1日250トンを目途に備蓄中であると報告した(乙B6の19)。 (イ) 新4か年中期経営計画再建計画に関する件として,平成8年11月の再建中期計画の内容を見直した新4か年中期経営計画が承認可決され,同年 ンを目途に備蓄中であると報告した(乙B6の19)。 (イ) 新4か年中期経営計画再建計画に関する件として,平成8年11月の再建中期計画の内容を見直した新4か年中期経営計画が承認可決され,同年6月以降,実施された(丙45〔資料1〕)。 新4か年中期経営計画は,平成14年度(平成15年3月期)の業績目標を,売上高1000億円以上,経常利益70億円以上,有利子負債650億円以下とするとした(丙45〔資料1〕)。 フェロシルトは,新4か年中期経営計画のコスト削減対策と位置づけられていた(丙46)。四日市工場工場長の被告Y5 と副工場長の被告Y1 は,平成11年以降の取締役会において,フェロシルトに関する金額的な目標の達成状況を報告するようになった(丙46)。 (6) フェロシルトの生産(前提事実(7)参照)アフェロシルトの試験生産I1社は,平成11年1月4日から,四日市工場中和石膏工場において,フェロシルトの試験生産を開始した(乙B6の19,丙31)。フェロシルトの生産は,四日市工場の管理室の操業計画(調整)に従っていた(甲1)。四日市工場の品質保証部は,フェロシルトについて,毎日,放射線量の測定を行い,月1回,成分検査を実施していた(甲1)。 被告Y1は,I2社に対し,平成11年1月以降に生産されたフェロシルトについて,T国際空港に搬出することを想定して,四日市工場内に堆積するよう指示した(甲1)。 生産されたフェロシルトは,他に搬出されることなく,四日市工場内に堆積され,シートをかけられることもなく,野積みにされていた(丙31)。 イフェロシルトの生産に関わる者の認識Z4(以下「Z4」という。)は,平成9年4月から平成18年9月までI1社の生産部次長を務め,フェロシルトの生産に関わっていた 積みにされていた(丙31)。 イフェロシルトの生産に関わる者の認識Z4(以下「Z4」という。)は,平成9年4月から平成18年9月までI1社の生産部次長を務め,フェロシルトの生産に関わっていた(丙31)。 Z4 は,フェロシルトの生産工程において,硫酸法から生じた廃液を炭酸カルシウムで中和し,シックナーで液体成分と固体成分を分離し,液体成分がアルカリ性になるまで消石灰を加え,その上に空気を送り込んで攪拌する際,過剰酸化の状態となることから,廃酸に含まれるチタン鉱石の含有成分であるクロムが酸化され,六価クロムが生成される可能性があると考えていた(丙31)。しかし,Z4 は,ウラン,トリウムなどの放射性物質の方が六価クロムより怖いと思っていたこと,上司である被告Y1やZ8 もZ4 と同じ問題に気付いているはずだと思い,六価クロムが生成される可能性について,被告Y1 やZ8 に対し,指摘しなかった(丙31)。 また,Z4 は,クロムはアルカリ状態において酸化が起きやすいこと,太陽光が当たることで,その酸化が促進されることから,野積みされたフェロシルトの表面部分で酸化反応が起きて,クロムが酸化され,六価クロムが生成される可能性があると考えていた(丙31)。しかし,Z4 は,野積みされたフェロシルトにおいて六価クロムが生成される可能性については,環境保安部が考慮するはずだと思い,他言を差し控えた(丙31)。 ウ四日市工場長等の交替被告Y1 は,原告X1 において,平成11年6月29日,執行役員制度が施行されたことに伴い,取締役を任期満了により退任し,常務執行役員となった(甲15,丙85)。しかし,被告Y1 が,副工場長兼品質保証室長であることに変更はなく,取締役会にも陪席することがあった(甲15,乙B42,丙8 期満了により退任し,常務執行役員となった(甲15,丙85)。しかし,被告Y1 が,副工場長兼品質保証室長であることに変更はなく,取締役会にも陪席することがあった(甲15,乙B42,丙85)。 副工場長の被告Y1 は,平成11年6月に四日市工場長となった被告Y5に対し,同年8月,同年1月から1日250トン生産されるようになったフェロシルトを四日市工場内に保管するための場所を確保する必要があること,F社から受入れを停止された脱塩アイアンクレーには在庫の問題があることについて説明した(丙97)。 被告Y5 は,四日市工場長となった当時,平成10年12月から平成11年1月にかけて取締役会の報告により,フェロシルトについて,平成11年1月の生産開始時に,新規銘柄開発手順(甲24の2〔表5-1〕)の第7段階の上市手続まで終わっており,QMSに基づく厳格な品質検査を経ているはずであり,品質には何も問題がないはずである,フェロシルトがT国際空港の海上埋立用土砂として使用されることはほぼ確定したものと認識していた(乙Bア9,被告Y5)。 エ T国際空港担当者の視察(ア) T国際空港株式会社の担当者が,平成11年8月,四日市工場の視察に訪れた(丙47)。 T国際空港株式会社の担当者は,フェロシルトを海上埋立用土砂として使用した場合,フェロシルトが海に溶け出し,海を濁さないか調べたいと申し入れた。そこで,四日市工場において,海水にフェロシルトをスコップ2,3杯程度沈めて確認したところ,海水が赤く濁った(丙47)。 T国際空港株式会社の担当者は,被告Y1 に対し,フェロシルトについて,次の点を指摘した(丙47)。 ① フェロシルトを海上埋立用土砂として使用することはできない。 ② フェロシルトを陸の部 際空港株式会社の担当者は,被告Y1 に対し,フェロシルトについて,次の点を指摘した(丙47)。 ① フェロシルトを海上埋立用土砂として使用することはできない。 ② フェロシルトを陸の部分で使うとしても,フェロシルトの粒径が細かすぎるので問題がある。 ③ フェロシルトと土砂を1対1で混ぜれば,粒径が調整できる可能性がある。 (イ) 被告Y1 は,その後,T国際空港株式会社を訪問し,フェロシルトを無償提供すること,フェロシルトの運搬費用を原告X1 が負担するとの条件を伝えた(丙47)。しかし,T国際空港株式会社は,フェロシルトを受け入れるとの回答をしなかった(丙47)。 (ウ) しかるに,被告Y1 は,被告Y5 に対し,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れに難色を示されていることを報告しなかった(被告Y5)。 オ T国際空港事業以外の用途調査等(ア) I1社は,平成11年1月,滋賀県農業試験場において,フェロシルトの用途についての調査を行い,同年2月,弁柄材(赤色顔料)の原料メーカーと懇談した。I1社は,同月,三重県農業技術センターにおいて,フェロシルトを農業用土壌改良材として用いることができるかを調査した。 (イ) I1社技術部は,平成11年10月,B社に対し,セメントの原料として使用できないかの確認のため,フェロシルトのサンプルを送付した(甲29)。しかし,同社から,同年11月,フェロシルトを利用することは難しいと言われた(甲29)。 (ウ) 原告X1 は,平成12年5月ころから,フェロシルトを農業用水池刃金土として用いることを北勢県民局に検討を依頼していた。しかし,原告X1 は,北勢県民局から,同年10月,地元の賛同が得られないとしてフェロシルトの使用を断られた(甲29)。 (エ 農業用水池刃金土として用いることを北勢県民局に検討を依頼していた。しかし,原告X1 は,北勢県民局から,同年10月,地元の賛同が得られないとしてフェロシルトの使用を断られた(甲29)。 (エ) I1社技術部は,平成12年8月,群馬県のT社に対し,フェロシルトのサンプルを送付した。 (オ) 四日市工場の生産構造再構築推進室は,原告X1 の中央研究所に対し,平成12年9月,フェロシルトを農業用途へ活用するための植生試験を依頼した(甲29)。 (カ) 生産構造再構築推進室は,平成12年10月,三重県農業技術センターにおいて,フェロシルトを植生用資材に利用できるかを調査し,農業用培土の生産メーカーである三重県松阪市内のJ社の紹介を受けた。生産構造再構築推進室は,J社に対し,フェロシルトのサンプルを提供し,同月,フェロシルトの植生試験が実施された(甲29)。 (キ) 四日市工場次長であったZ12 は,原告X1 の関連会社のI4社に対し,平成12年11月,フェロシルトについて培土資材として市場開拓するため,育苗用培土の市場調査を依頼した(甲29)。 カ品質検査フェロシルトについて実施された品質検査は,次のとおりである(甲29,乙B32,33)。 (ア) 平成11年3月30日に中和石膏工場内のいわゆる落とし場(フィルタープレスの下に落下した直後のもの)から採取されたフェロシルトについて,M県環境保全事業団の検査が実施された(甲29)。その検査の結果,土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかった(甲29)。 (イ) 平成13年4月12日に採取されたフェロシルトについて,M県環境保全事業団の検査が実施された(乙B32)。その検査の結果,土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかった 9)。 (イ) 平成13年4月12日に採取されたフェロシルトについて,M県環境保全事業団の検査が実施された(乙B32)。その検査の結果,土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかった(乙B32)。 (ウ) 平成13年6月11日に採取されたフェロシルトについて,M県環境保全事業団の検査が実施された(乙B33)。その検査の結果,土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかった(乙B33)。 キ用途に関する試験(ア) 施工管理試験K社による施工管理試験が,平成11年5月,実施された(甲27,丙27)。 上記試験の結果,フェロシルトは埋立用土砂としては,超湿地ブルドーザーでも走行できない軟弱なものであり,練り返しにより強度低下を起こし,路盤材等に使用することが非常に難しい泥状態のものと判断され(甲27,丙27,44),被告Y1 に,その旨が報告された(丙44)。 (イ) 魚礁材の利用試験原告X1 は,フェロシルトの魚礁材の利用について他社との共同開発を進め,平成11年7月から同年10月にかけて,セメントとフェロシルトを配合した試験体に付着する生物の量を測定する試験を実施した(甲29)。これによると,フェロシルトの割合が多いほど,生物の付着量が多いという結果が出た(甲29)。 (ウ) コンクリート用骨材の利用試験I1社技術部は,平成12年1月,フェロシルトのコンクリート用骨材としての利用の可否に関する試験を実施した(甲29)。 ク平成11年12月10日の取締役会財務本部長兼管理本部長の被告Y14 による構造改善計画の進捗状況の報告の際,被告Y5 及び被告Y1 がフェロシルトの生産販売についての担当責任者であることが確認された(丙46,被告Y5)。 ケ開発完了報告 の被告Y14 による構造改善計画の進捗状況の報告の際,被告Y5 及び被告Y1 がフェロシルトの生産販売についての担当責任者であることが確認された(丙46,被告Y5)。 ケ開発完了報告開発計画書aに対応する平成12年4月30日付け開発完了報告(以下「開発完了報告a」という。)は,次のとおり,Z6 によって起案され,Z8 の確認を受け,被告Y1 の承認を受けた(甲26の3)。 ① 開発の名称フェロシルトの開発 ② 開発品の生産方法フェロシルトの酸化鉄含有量は,石膏の粗大化や回収率が高い場合には35%以上となることが確認されている。 ③ 試作品の自社評価による性能確認酸化鉄含有量35%以上については,今後サンプル供試などによって酸化鉄含有量の影響について確認していく必要がある。 ④ 品質規格案現段階では,酸化鉄含有量35%以上とする。 ⑤ その他本テーマについては一応完了とする。ただし,今後も引き続き酸化鉄含有量35%達成に向け現場フォローを実施していく。 コアイアンクレーの混入アイアンクレーとして排出されるべき廃液が,平成12年11月から平成13年3月まで,同年11月から平成17年4月まで,被告Y1 の指示によりフェロシルトに混入された(丙26,丙28)。 被告Y1 は,フェロシルトの生産に関わる中和石膏工場関係者に対し,上記取扱いについて,アイアンクレー内のウランやトリウムなどの放射性物質の含有量が上がり,放射線の自主規制基準を超えることが増えたため,アイアンクレーをフェロシルトで希釈することが必要になった,しかし,フェロシルトをアイアンクレーに混入すると,産業廃棄物として埋立処分場に持っていく量が増える,したがって,アイアンクレーをフェロシ アイアンクレーをフェロシルトで希釈することが必要になった,しかし,フェロシルトをアイアンクレーに混入すると,産業廃棄物として埋立処分場に持っていく量が増える,したがって,アイアンクレーをフェロシルトに混入するなどと説明した(丙26)。 サ平成11年3月以降の取締役会における報告実行本部は,取締役会において,平成11年3月以降,T国際空港との交渉経過,フェロシルトの用途開発についての報告をしていた。しかし,平成11年5月にフェロシルトを路盤材として使用することが難しいとい う施工管理試験の結果が出たこと,平成11年8月にT国際空港株式会社の担当者からフェロシルトを海上埋立材として使用することが難しいと言われたこと,平成12年11月以降,フェロシルトにアイアンクレーを混入していることなどは報告されなかった。 (7) フェロシルトの搬出に至る経緯(前提事実(8)参照)アフェロシルトの費用の計上原告X1 は,監査法人から,フェロシルトに関する費用を計上しないと,酸化チタン部門の適切な損益を把握することができないと以前から指摘を受けていた(乙Bア9)。 四日市工場の生産構造再構築推進室(室長は被告Y1 であった。)は,平成13年4月20日付けの,次の①ないし③を内容とする書面を作成した(乙B42,丙47)。 ① フェロシルトの平成13年3月末の在庫約28万トンは,同年9月から平成14年4月までT国際空港へ搬出する。 ② 搬出するフェロシルトには,透水係数の関係から,礫を体積比にて1対1の割合で混合する。 ③ フェロシルトと礫の混合品のT国際空港株式会社への売却代金は,1立方メートル当たり1000円とする(同金額を見積価格としてT国際空港株式会社へ提示中である。)。 もっとも,原告X1とT国際空港株式会社との間 トと礫の混合品のT国際空港株式会社への売却代金は,1立方メートル当たり1000円とする(同金額を見積価格としてT国際空港株式会社へ提示中である。)。 もっとも,原告X1とT国際空港株式会社との間において,上記①ないし③の合意がされたことはなく,上記書面の内容は虚偽であった(丙47)。 原告X1は,上記虚偽の書面に基づいて,フェロシルトの搬出費用を引当処理することとした(乙B42,丙47)。 イ T国際空港の受入れの断りと隠ぺい(ア) T国際空港株式会社の取締役会は,平成13年4月23日,フェロシルトが埋立材として不適であると判断し,受入れを断ることを正式に決 定した(丙47)。T国際空港株式会社の担当者は,直ちに,被告Y1を呼び,次のとおり,フェロシルトが不採用となった理由を説明した(丙47)。 ① フェロシルトは粒径が細かく埋立用土砂として適さない。 ② フェロシルトは遮水性シルト質であり,粘土状で排水が悪くなる。 ③ フェロシルトからの赤水が雨水として流れ出すおそれがある。 ④ フェロシルトの技術面に不安があり,将来どのような悪影響が出るか分からない。 被告Y1 は,T国際空港株式会社から,フェロシルトの受入れを断られたことを直ちに被告Y5 に報告しなかった(被告Y5)。 (イ) 被告Y7,Z2,被告Y9,被告Y21,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y14,被告Y5 が,平成13年4月27日取締役会に出席し,被告Y 13 は欠席した(乙B42)。被告Y1 は,執行役員として陪席した(乙B42)。 (ウ) Z2 は,上記取締役会において,第2号議案(平成12年度決算特別処理の件)として,次の①及び②のとおり,フェロシルト搬出費用を引当処理することを提案した(乙B42,丙92〔資料1〕)。 ① フェロシルトは 上記取締役会において,第2号議案(平成12年度決算特別処理の件)として,次の①及び②のとおり,フェロシルト搬出費用を引当処理することを提案した(乙B42,丙92〔資料1〕)。 ① フェロシルトは,酸化チタンの生産工程より排出される廃棄物の減量化及び再資源化を目的として,技術確立のもと平成11年1月から生産を開始した。しかし,フェロシルトは,その価値の客観的な評価及び搬出費用の適切な評価が困難であるため,未評価のまま原価計算を実施している。 ② フェロシルトは,今般,T国際空港の埋立用として,平成13年9月から平成14年4月の8か月間にかけて,搬出することが確定した。そこで,フェロシルトの平成13年3月末時点における在庫分について,その搬出費用を発生源である酸化チタン部門の売上利益に反 映させ,適切な期間損益を把握することにした。したがって,フェロシルトのT国際空港への搬出費用8億3600万円(在庫27万8939トン×トン当たりの搬出費用3000円)の引当計上を酸化チタンの売上原価で実施することを提案する。 上記第2号議案は,出席した取締役の全員一致により,承認可決された(乙B42,丙92〔資料1〕)。 (エ) 上記取締役において,T国際空港株式会社に対するフェロシルトの売却代金がいくらであるかについての話は出なかった(被告Y5)。 被告Y1 は,上記取締役会において,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが拒絶されたことを報告しなかった(甲4,乙B42)。 ウ T国際空港受入拒否後の対応(ア) フェロシルトは,平成13年4月末ころまで,T国際空港への搬出を想定して,四日市工場内に約30万トン堆積されており,四日市工場内に堆積するスペースも無くなってきていた(丙100資料②)。 被告Y1 は,T国際 平成13年4月末ころまで,T国際空港への搬出を想定して,四日市工場内に約30万トン堆積されており,四日市工場内に堆積するスペースも無くなってきていた(丙100資料②)。 被告Y1 は,T国際空港株式会社から断られたものの,堆積されたフェロシルトを産業廃棄物として処理するわけにいかないと考え,フェロシルトを土地造成現場などに搬出し,大きな穴に埋める方法で処分することにし,四日市工場管理部長のZ9,環境保安部のZ3 とともに処分先を探すことにした(丙92,100)。 被告Y1 は,原告X1 環境保安部のZ3 に対し,フェロシルトの処分先を探すに当たって,次の条件を伝えた(丙100)。 ① 窪地の穴埋めに使用すること② 民家,田畑,川の近くを避けること③ 人目につかない場所であること④ 搬出費用はトン当たり3000円程度であること(イ) 被告Y5 は,四日市工場の管理部門から,平成13年5月8日ころ, フェロシルトの強度に問題があること,酸化鉄に由来する色が出ることなどを理由にT国際空港からフェロシルトの受入れを断られたことを聞いた(乙Bア9,丙90〔資料8〕,被告Y5)。 被告Y1 は,被告Y5 に対し,そのころ,次の①及び②の内容のフェロシルトの搬出計画(丙90〔資料8〕)を報告した(乙Bア9,被告Y5)。 ① フェロシルトについて,T国際空港の整地後の植栽利用など,海上埋立用材に代わる有効利用の検討を進めている。 ② フェロシルトを愛知県ST地区のケイ石採掘跡の埋立材として使用することの検討を早急に行う。 被告Y5 は,T国際空港の受入れが拒否されたことは大変な事態であると思ったが,フェロシルトを他へも搬出する可能性があることから,それほど大きな問題と思わなかった(被告Y5)。 (ウ) Y23 Y5 は,T国際空港の受入れが拒否されたことは大変な事態であると思ったが,フェロシルトを他へも搬出する可能性があることから,それほど大きな問題と思わなかった(被告Y5)。 (ウ) Y23 は,平成13年5月21日までに,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたとの話を聞いた(乙Bア10)。 (エ) 被告Y1 は,平成13年5月21日,フェロシルトについて,三重県と共同特許出願契約書の締結の件について稟申し,これがZ2 により決裁された(乙B49,乙Bア9,10)。 上記特許の内容は,フェロシルトについて,大量の水又は海水で石膏分を溶出する際に,リンが硫酸カルシウム(石膏)と反応してリン酸カルシウムを沈殿させることによる,容存リン除去技術であった。 (オ) 被告Y5 は,T国際空港株式会社に対し,平成13年7月17日,原告X1 は,フェロシルトをT国際空港の海上埋立用材としての使用を断念するが,最終整地時の植栽用土砂として採用を期待している旨の書面を送付し,受入れを再依頼した(丙47,丙90〔資料9〕)。しかし,原告X1 は,T国際空港株式会社に対し,その後,フェロシルトに関する売り込みをしなかった(丙47)。  エ T国際空港に代わる搬出先探し被告Y1,四日市工場管理室管理部長のZ13 及びZ3 は,平成13年7月30日までに,次の①ないし④(以下「本件新規搬出先」という。)を含めて7つの搬出先候補を見つけ,次の条件等を記載した書面が四日市工場内の会議資料として用いられた(丙100)。被告Y5 は,同年8月6日の推進会議本部会までに,本件新規搬出先が見つかったこと,本件新規搬出先と原告X1 との間で契約を締結する必要があることを認識した(甲62)。 ① L紹介者 ,同年8月6日の推進会議本部会までに,本件新規搬出先が見つかったこと,本件新規搬出先と原告X1 との間で契約を締結する必要があることを認識した(甲62)。 ① L紹介者 U社(以下「U社」という。)使用目的 Lの改良工事に使用搬出期間平成13年8月6日~平成14年1月31日搬出量 3万トン取引ルート等原告X1 は,M社に対し,フェロシルトをトン当たり180円で販売し,同社がさらにU社に対して販売する。U社は,I2社を通じて原告X1 に対し,中和石膏工場の横持什器作業及び運搬作業等費用としてトン当たり3000円を請求する。 ② D社紹介者 N社及びD社使用目的 Vの埋立用(長野県)搬出期間平成13年8月から5年間搬出量 1か月当たり1万トン(合計約31万トン)取引ルート等原告X1 が0社(以下「0社」という。)に対し,フェロシルトをトン当たり150円で販売する。原告X1は,0社の下請けとして運搬を実施するD社に対し, フェロシルトの改質試験及び用途開発費用としてトン当たり3500円ないし3800円を支払う。 ③ W紹介者 E社使用目的三重県亀山市CV地区を茶園に開発する際の埋立材に使用搬出期間平成13年10月ころから搬出量約5万トン取引ルート等 E社から,トン当たり2800円の費用を支払ってほしいとの申入れがある。 ④ H紹介者 P社使用目的ゴルフ場調整池埋立搬出量 10万ト 社から,トン当たり2800円の費用を支払ってほしいとの申入れがある。 ④ H紹介者 P社使用目的ゴルフ場調整池埋立搬出量 10万トン平成13年7月31日に100トン程度を搬入し現地テストの予定オ六価クロムの検出等(ア) 環境保安部は,平成13年7月ころ,フェロシルトの搬出先候補であるD社から,安全性を確認するためとして,フェロシルトの分析結果を記載した計量証明書の交付を求められた。環境保安部は,M県環境保全事業団に対し,フェロシルトの溶出試験を依頼した。同月12日に採取されたフェロシルトから,1リットル中0.07mg という土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたとの同月31日付けの結果が出た(丙91,98)。 (イ) Z3 は,部下である環境保安部環境課のZ10(以下「Z10」という。)を通じて,M県環境保全事業団から,同年8月3日,上記検査結果の報告を受けた(甲4,丙35,98,101)。  Z3 は,被告Y1 に対し,同月6日,上記検査結果を報告した(甲4,丙98,101)。被告Y1 は,Z3 から上記検査結果の報告を受け,次のとおり,考えた(丙91)。 ① フェロシルトをLへ搬出する予定が間近にある。フェロシルトの搬出を中止すると,フェロシルトに有害物質である六価クロムが土壌環境基準値を超えて含まれていることが公になる。仮に,上記検査結果が後に間違いだと判明しても,フェロシルトに悪いイメージがつき,フェロシルトを引き取ってくれるところがなくなる。 ② フェロシルトを引き取ってくれるところがなくなると,原告X1 は,30万トン近いフェロシルトの在庫について,産業廃棄物として処分費用を支払って処分するほかなくなる。原告X1 は, がなくなる。 ② フェロシルトを引き取ってくれるところがなくなると,原告X1 は,30万トン近いフェロシルトの在庫について,産業廃棄物として処分費用を支払って処分するほかなくなる。原告X1 は,上記処分費用を支払う余力がない。また,これによって,被告Y1 も社内的に重い処分を受けることになる。 被告Y1 は,Z3 に対し,六価クロムが検出されたのは一時的なものであるかのように述べた上で,中和石膏工場の操業が安定してから,再度,フェロシルト中の六価クロムの値を調べるよう指示した(甲4,丙91)。 また,被告Y1 は,Z3 に対し,D社に送付する計量証明書の六価クロムの数値を土壌環境基準値内とするよう指示した(丙96)。Z3 は,環境保安部環境課の社員とともに,六価クロムの数値を改ざんした計量証明書を作成し,D社に交付した(甲1,丙71,96)。 Z3 もZ10 も,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたことを,工場長である被告Y5 には報告しなかった。 (ウ) 原告X1 は,平成13年8月以降,硫酸法の廃液からMT酸化鉄を回収し(以下「MT法」ともいう。),セメント材料として販売するようになった(丙26,28)。MT酸化鉄が硫酸法の廃液から回収されることになったことから,フェロシルトの生産量は約半分に減少した(丙 31)。 I1社生産部次長のZ4 は,硫酸法の廃液からMT酸化鉄を回収することにより,廃液における鉄分以外の金属類の含有比率が上がり,六価クロムを無害な三価クロムに還元させる酸化鉄が減少し得る状況となることから,六価クロムが溶出しやすい状況になると考えた(丙26,31)。しかし,Z4 は,被告Y1 やZ8 がそのことを既に分かった上でMT酸化鉄を生産しており,注意喚起しても何も変わらないし なることから,六価クロムが溶出しやすい状況になると考えた(丙26,31)。しかし,Z4 は,被告Y1 やZ8 がそのことを既に分かった上でMT酸化鉄を生産しており,注意喚起しても何も変わらないし,フェロシルトの管理は環境保安部に任せておけばよいと考えて,特に指摘しなかった(丙31)。 (8) フェロシルトの搬出と意思決定(前提事実(8)参照)ア平成13年8月6日午前中の推進会議(ア) 推進会議本部会が,平成13年8月6日の午前中に実施された(甲62)。上記本部会には,推進会議本部会構成員である被告Y7,Z2,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22 が出席した(甲62)。 なお,被告Y7 は,平成13年8月6日推進会議に出席していなかったと主張する。しかし,平成13年8月6日推進会議の内容を記録した議事録(甲62)には,被告Y7 が出席したこと,被告Y7 が被告Y5 による酸化チタンの硫酸法のコストに関する発言に続いて,技術開発費はどこに入っているのかなどと質問したことが記載されていることからすれば,被告Y7 の主張は採用できない。 (イ) 平成13年8月6日午前中の推進会議本部会においては,主に推進会議のテーマ案について,推進会議本部会構成員による検討が行われた(甲8,62)。 推進会議のテーマ案として,検討された内容は,次のとおりであった(甲62)。  ① 酸化チタン全般基本戦略及び酸化チタン事業統合部署の設置② 販売起用商社の見直し③ 購買購買部門の全社一元化及び原告X1 主体の工事入札制度④ 鉱石インドTT社プロジェクト⑤ 生産,生産技術産業廃棄物対策,エネルギ ③ 購買購買部門の全社一元化及び原告X1 主体の工事入札制度④ 鉱石インドTT社プロジェクト⑤ 生産,生産技術産業廃棄物対策,エネルギー対策,要員削減,棚卸資産の圧縮,塩素法新技術及び増産対策Z2 は,とりわけ,上記⑤の産業廃棄物対策に関し,四日市工場内に堆積されたフェロシルトは問題の先送りである,T国際空港向け搬入費用やその他埋立用輸送費用は酸化チタンのコストに大きく跳ね返ってくるとして,この件について本日午後から引き続いて討議をし,産業廃棄物対策を重点テーマとして即刻取り組むこととすると述べた(甲62)。 Z2 の上記提案に対し,異議を述べた推進会議本部会構成員はいなかった(甲62)。 イ平成13年8月6日午後の推進会議(ア) 出席者推進会議本部会は,平成13年8月6日午後からも実施された(甲62)。上記本部会には,推進会議本部会構成員である被告Y7,Z2,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22 のほか,執行役員の被告Y1 が出席した(甲62)。 (イ) 主な内容平成13年8月6日午後の本部会の主な内容は次のとおりであった。 ① フェロシルトの現状について,被告Y5 による説明② 本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出計画について,被告Y1 による説明③ 本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出費用について,管理本部管 理部(原告X1 及び関係会社の総合予算の編成,管理及び統制等を行う部署)部長のZ11 による説明④ T国際空港への搬出費用について,被告Y1 による説明⑤ フェロシルトの処理に関する損益比較について,管理部長のZ11 による説 等を行う部署)部長のZ11 による説明④ T国際空港への搬出費用について,被告Y1 による説明⑤ フェロシルトの処理に関する損益比較について,管理部長のZ11 による説明⑥ 上記①ないし⑤の報告及び説明を踏まえた検討(ウ) 前記①(フェロシルトの現状について,被告Y5 による説明)被告Y5 は,次のとおり,報告した(甲62)。 a 四日市工場に堆積されているフェロシルトのT国際空港への搬出時期が,T国際空港建設工事の事業時期の変更により,当初の見通しどおりにいかなくなり,コストに影響してくることになった。 b そのため,フェロシルトの再資源化が本道であるが,MT法(108頁)を急遽採用してアイアンクレーの産出量を減少させることになった。 c 契約事項もあり,本日のこの機会に現状を報告する。 しかし,被告Y5 は,その時点では,原告X1 がT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としてのフェロシルトの受入れを正式に断られたことを知っており,フェロシルトのT国際空港への搬出時期がT国際空港建設工事の事業時期の変更により当初の見通しどおりにいかなくなったという点は,虚偽の説明であった。 (エ) 前記②(本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出計画について,被告Y1 による説明)被告Y1 は,次のaないしfが記載された「フェロシルトの搬出計画について」と題する書面に基づき,本件新規搬出先へフェロシルトを搬出すること(以下「本件新規搬出計画」という。)をおおむね次のとおり提案した(甲62,乙B43,乙Bア9)。  a アイアンクレー削減対策の一環として,再資源化を計画した。しかし,再資源化を図るには長期間の調査,検討を要するため,初期段階に発生するフェロシルトは ,乙B43,乙Bア9)。  a アイアンクレー削減対策の一環として,再資源化を計画した。しかし,再資源化を図るには長期間の調査,検討を要するため,初期段階に発生するフェロシルトは,T国際空港建設工事時の埋立用土として搬出することにし,備蓄してきた。 bT国際空港建設工事は,着工が大幅に遅れたことに伴う工事期間の短縮等の都合により,当初,平成13年5月から15年8月に搬出する計画であったが,平成15年8月から平成16年3月に搬出することになった。また,フェロシルトに真土を混合して改質して搬入されるよう要請され,費用が大幅にアップする方向にある。しかも,使用する量も当初60万トンを計画していたが,約29万トンとなり,同年8月以降に発生するフェロシルトはT国際空港へ搬出する対象外となる。 c フェロシルトを四日市工場内に30万トン強備蓄したため,同工場内に空き地がなく,平成13年9月以降発生するフェロシルトは全量アイアンクレーとして埋立処分しなければならない状況である。 d このような状況から,T国際空港以外での用途開発について調査,検討してきた結果,下記ⅰないしⅳの埋立用途での利用計画を策定し,実施したい。 ⅰ L使用目的ゴルフ場の整地用(D府)搬出期間平成13年9月~平成14年1月搬出量約3万トン埋立費用トン当たり2850円搬出先 U社ⅱ D社使用目的 Vの埋立用(長野県)搬出期間平成13年9月~平成15年3月末搬出量 1か月当たり1万トン(合計約31万トン) 使用目的 Vの埋立用(長野県)搬出期間平成13年9月~平成15年3月末搬出量 1か月当たり1万トン(合計約31万トン)埋立費用トン当たり3650円搬出先 0社ⅲ E社使用目的茶畑造成用(亀山市)搬出期間平成13年11月~平成14年8月搬出量約5万トン埋立費用トン当たり2800円搬出先 E社ⅳ H使用目的ゴルフ場調整池埋立用(D府)搬出期間平成14年2月~平成15年5月搬出量 9万6000トン埋立費用トン当たり2850円搬出先 U社e フェロシルトが不法投棄されるリスク回避に留意し,フェロシルトの販売は,コスト面から搬送距離で2往復可能な地域を原則とする。 f 四日市工場内に既に堆積されたフェロシルト約30万トン及び平成15年までに生産されるフェロシルトのほぼすべてが,本件搬出計画を実施することによって搬出され,平成15年度末のフェロシルトの残在庫がなくなる。 しかし,被告Y1 は,その時点では,原告X1 がT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としてのフェロシルトの受入れを正式に断られたことを知っており,T国際空港建設工事は,着工が大幅に遅れたことに伴う工事期間の都合により搬出時期が遅れることになったこと,T国際空港 株式会社からフェロシルトに真土を混合して改質して搬入されるよう要請され,費用が大幅にアップする方向にあること, とに伴う工事期間の都合により搬出時期が遅れることになったこと,T国際空港 株式会社からフェロシルトに真土を混合して改質して搬入されるよう要請され,費用が大幅にアップする方向にあること,フェロシルトの使用量が当初60万トンから約29万トンに半減し,同年8月以降に発生するフェロシルトはT国際空港へ搬出する対象外となるなどの説明はすべて虚偽であった。 (オ) 前記③(本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出費用について,管理部長のZ11 による説明)管理部長のZ11 は,フェロシルトを本件新規搬出先へ搬出する費用として合計16億2000万円がかかること,そのため,平成13年4月27日取締役会において搬出費用として引当計上した8億3700万円のほか,7億8300万円の費用が必要になることを説明した。 (カ) 前記④(T国際空港への搬出費用について,被告Y1 による説明)被告Y1 は,フェロシルトをT国際空港へ搬出した場合,28万8000トンしか搬出することができず,搬出費用に12億7200万円(同金額は,真土と混合したフェロシルトの売却代4億8000万円〔1立法メートル当たり1000円〕を差引後のものである。)がかかることを説明した。 しかし,被告Y1 は,その時点では,原告X1 がT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としてのフェロシルトの受入れが正式に断られたことを知っており,上記費用の説明も虚偽であった。 (キ) 前記⑤(フェロシルトの処理に関する損益比較について,管理部長のZ11 による説明)管理部長のZ11 は,本件新搬出先へ搬出する場合,フェロシルトをM県環境保全事業団において産業廃棄物として処理する場合より,4億1000万円の節減になると説明 のZ11 による説明)管理部長のZ11 は,本件新搬出先へ搬出する場合,フェロシルトをM県環境保全事業団において産業廃棄物として処理する場合より,4億1000万円の節減になると説明した。 (ク) 前記⑥(上記①ないし⑤の報告及び説明を踏まえた検討) Z2 は,フェロシルトを本件新規搬出先へ搬出することについて,早急に作業を進めてほしいと述べた。これに対し,異議を述べた推進会議本部会構成員はいなかった(甲62)。 また,Z2 は,MT法以外に酸化チタンの生産コストを減少させる手段を検討するのは,I1社だけなのか,本体の酸化チタンに関わる重要事項であり原告X1 は検討しないのかと尋ねた。これに対し,被告Y5は,生産構造推進室が検討していること,フェロシルトは,利益が出て販売に結びつく方法がなく,産業廃棄物ではないが,有償の処分が実態であると説明した(甲62)。 (ケ) 話題とされなかった事項もっとも,平成13年8月6日推進会議本部会において,次の点は話題とされなかった(甲62,被告Y5)。 ① フェロシルトの安全性や品質が確保されているか② 本件新規搬出先に対応するQMS上の開発完了手続が履践されたか③ T国際空港以外へ搬出することにより廃棄物処理法に抵触しないか④ フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたかウ平成13年8月10日付け稟議(ア) 稟議規程原告X1 における稟議規程の内容は,おおむね次のとおりであった(甲9~11)。 a 発議者は,所管業務の執行に当たり,稟議事項が発生した場合には,速やかに事前に発議しなければならない。発議者は,必要に応じ,発議分掌上位者の承認を得る。発議者は,稟議事項について,必要があ る場 ,所管業務の執行に当たり,稟議事項が発生した場合には,速やかに事前に発議しなければならない。発議者は,必要に応じ,発議分掌上位者の承認を得る。発議者は,稟議事項について,必要があ る場合には稟議取扱主管者又は合議者と,事前に基本的打合せを行い,業務の遂行を円滑にしなければならない。 b 稟議取扱主管者は,提出された稟議書の内容について,その妥当性,必要性を審査し,押印する。ただし,意見がある場合には付記する。 c 合議者は,稟議書を受理した場合には,稟議事項に対する助言をなすために,その職能的分野より見解,意見を記載し押印の上,更に次の合議者に回付する。合議の完了した稟議書は,決裁者に提出する。 d 1件100万円以上の予算外支出及び予算増枠は,稟議取扱主管者を管理部長とし,社長が決裁する。 (イ) 平成13年8月10日付け稟議の内容フェロシルトの本件新規搬出先への搬出を実施するには,平成13年4月27日取締役会で承認された8億3700万円を超える7億8300万円の費用が必要であった(乙Bア9)。被告Y1 は,発議者として,同年8月8日,発議分掌上位者を被告Y5 とし,稟議事件名をフェロシルト搬出計画の件とし,平成13年度から平成15年度までのフェロシルトの搬出費用の支出について発議した(乙B43)。 上記稟議の取扱主管者は管理部長のZ11 であり,合議者は,推進会議本部会構成員である被告Y21(副社長),Y23(専務取締役),被告Y12(専務取締役),被告Y14(管理本部長兼財務本部長),被告Y22(無機企画開発本部長)であった(乙B43)。 上記稟議は,上記合議者間において回付された。上記合議者は,特に意見を記載することなく,上記稟議書の合議者の欄に押印をした。その後,Z2 は,平成13年8 機企画開発本部長)であった(乙B43)。 上記稟議は,上記合議者間において回付された。上記合議者は,特に意見を記載することなく,上記稟議書の合議者の欄に押印をした。その後,Z2 は,平成13年8月10日,上記稟議書の決裁欄の「可決」に押印し,決裁を完了した(乙Bア9,乙B43,丙92〔資料2〕)。 また,会長の被告Y7 は,Z2 の決裁の後,上記稟議書の決裁欄の左横に設けられた会長欄に,特に意見を記載することなく押印した(乙B4 3)。 エフェロシルトの搬出開始とその実態(ア) 搬出開始時期フェロシルトは,平成13年8月17日から,搬出業者Lへの搬出が順次開始された(丙91)。その実態は次のとおりであった。 (イ) 搬出までの手順環境保安部のZ3 は,被告Y1 の指示に基づき,搬出量,搬出時期などについて搬出先業者と細かい打合せを行い,フェロシルトの生産状況に照らし,搬出先業者の要望が実現可能かを確認する(丙95)。 被告Y1 は,Z3 から報告を受け,交渉中の搬出先業者との契約を正式に結ぶかどうか,契約内容をどのようなものにするかといったことについて,交渉の場に立ち会い,原告X1 にとって問題がない契約とするようにしていた(丙95)。 (ウ) 搬出に係る契約フェロシルトを搬出するに当たり,次の3つの契約が締結された。 ① 原告X1 とI3社との売買契約原告X1 がI3社に対しフェロシルトをトン当たり80円で売買する旨の売買契約である。 原告X1 は,平成13年8月から平成17年4月ころにかけて,I3社に対し,フェロシルト合計約72万トンを,トン当たり80円で売却し,I3社から,5900万円の支払を受けた(乙B115の1ないし9,丙81)。 原告X1 側は執行役員酸化チタン営業本部営業部 3社に対し,フェロシルト合計約72万トンを,トン当たり80円で売却し,I3社から,5900万円の支払を受けた(乙B115の1ないし9,丙81)。 原告X1 側は執行役員酸化チタン営業本部営業部長が,I3社側は常務取締役Z9 が締結していた。 ② I3社と搬出業者との売買契約I3社が搬出業者に対しフェロシルトをトン当たり150円で売買 する旨の売買契約である。 I3社は,平成13年8月から平成17年4月ころにかけて,杉本組等の搬出業者に対し,フェロシルト約72万トンをトン当たり150円で売却した(乙B116の1ないし9)。 ③ 原告X1 と搬出業者との運搬費等に関する契約原告X1 が搬出業者に対し,改質加工費等としてトン当たり3000円程度を支払う旨の契約である。 原告X1 は,平成13年8月から平成17年4月にかけて,D社,E社等の搬出業者や紹介者に対し,上記フェロシルト約72万トンの運搬費,用途開発費,改質加工費等として,23億2600万円を支払った(乙B117の1ないし12,丙81。)。 被告Y1 は,フェロシルトの搬出費用について,年度ごとに予算の枠があったことなどから,上司である四日市工場長の決裁を得ずに,上記①ないし③の各契約の内容を確定し,締結する旨の判断をしていた(丙95)。被告Y6 は,平成15年4月以降,四日市工場長を務めていたが,原告X1 から支出されているのはフェロシルトの運搬費用であり,何ら問題ないものだと認識していた(甲4)。 (エ) I3社の関与原告X1 と搬出業者との間にI3社が入るようになったのは,被告Y 1 が,Z3 に対し,平成13年6月に原告X1 からI3社に常務取締役として出向した元管理部長のZ9 の実績にしてやろうとの指示によって決まったもの 者との間にI3社が入るようになったのは,被告Y 1 が,Z3 に対し,平成13年6月に原告X1 からI3社に常務取締役として出向した元管理部長のZ9 の実績にしてやろうとの指示によって決まったものであった(丙101)。 (9) フェロシルトの搬出後の経緯等(前提事実(8),(9)参照)ア六価クロムの再検査(ア) 溶出試験実施の依頼被告Y1 は,I1社技術部長のZ1 に対し,平成13年8月20日,フ ェロシルトの六価クロム溶出試験を依頼した(丙34,91)。 被告Y1 は,Z1 に対し,その際,フェロシルトの六価クロム溶出試験は特命であると指示した(丙34,91)。 Z1 は,被告Y1 から指示された特命の意味は,フェロシルトの六価クロム溶出試験を実施していること及びその結果を秘密にすることであると理解した(丙34)。 (イ) 結果報告Z1 は,平成13年8月下旬,Z8 を通じて,被告Y1 に対し,六価クロム溶出試験の結果について,次のとおり報告した(甲1,丙27,30,34,90,91)。 ① 落とし場から採取したフェロシルトから,土壌環境基準値を超える六価クロムは,検出されなかった。 ② 堆積場から採取したフェロシルトから,土壌環境基準値を超える0. 5㎎/Lから2.0㎎/Lの六価クロムが検出された。 (ウ) Z8 は,被告Y1 に上記試験結果を伝えた際,堆積場から採取したフェロシルトから,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたが,産出されたばかりの落とし場から採取したフェロシルトから六価クロムが微量にしか検出されなかったことから,土壌環境基準値を超える六価クロムの検出は,フェロシルトの経時的な変化が原因であるのではないかとの意見を述べた(丙30)。 Z8 たフェロシルトから六価クロムが微量にしか検出されなかったことから,土壌環境基準値を超える六価クロムの検出は,フェロシルトの経時的な変化が原因であるのではないかとの意見を述べた(丙30)。 Z8 は,フェロシルトをゴルフ場の埋戻材に使用するのはよくないと思ったが,そのことを被告Y1 に言うと,Z8 がI1社を首になりかねないと思い,言わなかった(丙27)。 被告Y1 は,フェロシルトに土壌環境基準値を大幅に上回る多量の六価クロムが含まれていることを知ったが,本件搬出計画を中止すると,フェロシルトを産業廃棄物として高い処分費用を支払って処分する道し か残らず,被告Y1 自身の責任問題になるとして,フェロシルトの搬出を続行すると判断した(丙91)。 被告Y1 は,土壌環境基準値を超える六価クロムがフェロシルトに含有されていることが表沙汰になると,埋立先の地域住民による騒動が起き,行政から目をつけられて,原告X1 が直ちにフェロシルトの搬出を中止しなければならず,最悪の場合,刑事事件に発展することを理解していた(丙94)。 イ平成13年9月以降の取締役会等における報告(ア) 取締役会aZ2 は,平成13年9月3日に開催された取締役会において,推進会議の実行テーマについて,酸化チタンの生産に酸化チタンの生産に伴い不可避的に発生するアイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト(平成13年予算中和石膏工場費用24億円)が急増しており,酸化チタン事業の存続を図る上で,産業廃棄物処理コスト削減,再資源化対策への対応が極めて重要であることから,四日市工場を中心に対応策の策定を行うと報告した(丙46〔資料8〕)。 b 上記取締役会及び以後の取締役会において,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出された 重要であることから,四日市工場を中心に対応策の策定を行うと報告した(丙46〔資料8〕)。 b 上記取締役会及び以後の取締役会において,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたことが報告されたことはなかった(被告Y5)。 (イ) 月次報告会Z8 は,被告Y1 に対し,平成13年9月,同月の四日市工場の月次報告会において,I1社が報告する予定事項を見せた(丙30)。その際,Z8 は,被告Y1 に対し,六価クロムの件は報告事項にしませんがよろしいですねと言ったところ,被告Y1 はそれでいいと言った(丙30)。 平成13年9月以降の四日市工場の月次報告会において,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていることが報告されたことはなかった(乙B9~11,被告Y5)。 ウ Lにおける六価クロムの隠ぺい(ア) 六価クロムの検出L付近の住民及び自治体が,平成13年10月,原告X1 が産業廃棄物をLに運び込んでいるのではないかと指摘するようになった(丙35)。 平成13年10月26日に採取されたフェロシルトについて,外部機関Qによる検査が実施された(丙36)。その結果,土壌環境基準値を超える0.19㎎の六価クロムが検出された(丙36,91)。 (イ) 隠ぺい工作の実施被告Y1 は,平成13年11月上旬,検査結果の報告を受け,U社のZ15 の発案により,六価クロムが検出された原因はフェロシルトではなく,一緒に埋められた再生砕石(コンクリート砂利)であると説明することにした(丙35,91)。 環境保安部のZ3 及びZ10 は,被告Y1 の指示を受け,M県環境保全事業団の職員とともに,同年12月19日,Lに赴き,同職員が再生砕石を採取するのに立ち会 にした(丙35,91)。 環境保安部のZ3 及びZ10 は,被告Y1 の指示を受け,M県環境保全事業団の職員とともに,同年12月19日,Lに赴き,同職員が再生砕石を採取するのに立ち会った(丙35)。 Z3 とZ10 は,上記職員が採取した再生砕石を預かった上,四日市工場に戻った。Z3 とZ10 は,上記再生砕石に,環境保安部環境課が準備した2クロム酸カリウムをかけ,その後,六価クロムを含むセメントの粉やコンクリートの粉をかけた(丙35)。 Z3 とZ10 は,翌日,M県環境保全事業団に,上記再生砕石を持ち込み,検査してもらった(丙35)。その結果,上記再生砕石から土壌環境基準値以上の六価クロムが検出された(丙35)。 この結果,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたのは,再生砕石が原因であるとされ,フェロシルトが問題とされることはなくなった。 エ六価クロムの還元実験等(ア) 平成13年12月の還元実験被告Y1 は,I1社の技術部副部長のZ6 に対し,平成13年12月,フェロシルト中の六価クロムを還元する実験を内緒で実施するよう指示した(丙33)。 Z6 は,六価クロムを三価クロムに還元する実験を試みたが,うまくいかず,2.6㎎/Lを超える濃度の六価クロムが検出されるなどした(丙33)。Z6 は,平成13年12月ころ,被告Y1,Z1,Z8 に対し,フェロシルトから高濃度の六価クロムが検出されたこと,実用的な六価クロム還元方法が見つからなかったことを報告した(丙33)。 (イ) 平成14年以降の還元実験Z6 は,平成14年以降,被告Y1 の指示により,再度,六価クロムの還元実験及びフェロシルト内の六価クロムがどのような条件下において増加するかの実験を行った(丙33)。 平成14年以降の還元実験Z6 は,平成14年以降,被告Y1 の指示により,再度,六価クロムの還元実験及びフェロシルト内の六価クロムがどのような条件下において増加するかの実験を行った(丙33)。Z6 は,還元剤である亜硫酸ナトリウムを使用したが,六価クロムを効率よく還元することはできなかった(丙33)。 この実験により,落とし場から採取したばかりのフェロシルトからは,六価クロムが出なかったが,それを温めたり,アルカリ性にしたり,空気と混ぜたりすることによって,短時間で,3ないし5㎎/Lという濃度の六価クロムが検出されるおそれがあることが分かった(丙33)。 (ウ) 開発完了報告平成14年1月23日付け開発完了報告(以下「開発完了報告b」という。)が,次のとおり,I1社技術部のZ1 によって起案され,Z8の承認を受けた(甲26の4)。 ① 開発の名称フェロシルトの用途開発(低pHフェロシルトの生産試験)② 開発品の生産方法農業用(培土)として利用する場合,現在のpH(8台)では高すぎるため,pHを5.5~6.0にするため,試験検討を行った。 ⅰ ラボ試験の結果,液状のフェロシルト(スラリー)に硫酸を添加し,pHを4.5~5.0に調整し,7時間~1日間未反応中和剤を反応させることで,pHを5.5~6.0に調整することが可能であった。 ⅱ 廃酸を用いたラボ試験による中和及びFe2+の酸化試験結果では,廃酸を添加した直後のpHを5.0~5.5に調整することで,目的とするpHのフェロシルトが得られた。 ⅲ 現場試験ラボ試験と同様の方法により,廃酸を使用したpH調節試験を実施した。その結果,液状のフェロシルトのpHを見ながら廃酸を添加し,また,同時に空気を吹き込んでFe2+の酸化を ⅲ 現場試験ラボ試験と同様の方法により,廃酸を使用したpH調節試験を実施した。その結果,液状のフェロシルトのpHを見ながら廃酸を添加し,また,同時に空気を吹き込んでFe2+の酸化を行った。その結果,pHについてはほぼ1日で安定し,目標値となったが,Fe2+の酸化については数日を要することがわかった。 ③ 試作品の自社評価による性能確認pH,水分について満足すべき物性である。 ④ 品質規格案使用先での評価を待って決定する。 オフェロシルトのリサイクル製品認定(ア) 原告X1 は,三重県の担当者から,平成14年ころ,フェロシルトについて,リサイクル製品認定制度を申請し,確固たる位置づけをした方がよいとの助言を受けた(丙32〔資料1〕)。 被告Y1 は,フェロシルトをリサイクル製品と認定してもらえば,搬出先の地域住民などに対し,いちいち,フェロシルトの品質などを説明する手間が省け,県のお墨付きがあるから大丈夫だとごまかすことができ,騒動が起きにくくなると考えた(丙94,丙99)。そこで,被告Y 1 は,上記申請の際,担当者に,次のとおりにするよう指示した(丙32,94)。 ① フェロシルトの分析数値の一部を改ざんした資料(鉄分,水分)及び実際とは異なる偽りのフェロシルトの生産工程図を添付する。 ② 外部機関による土質検査,溶出検査の試料として提出するフェロシルトについて,六価クロムが検出されず,かつ,埋め戻し材として適切な品質との結果が得られる物を用意する。 ③ リサイクル製品の認可に伴う事前工場査察において,塩素法の廃酸を混入していたにもかかわらず,硫酸法の使用済み硫酸のみを処理する工程を説明する。 (イ) 上記Y1 の指示の結果,外部機関によるフェロシ サイクル製品の認可に伴う事前工場査察において,塩素法の廃酸を混入していたにもかかわらず,硫酸法の使用済み硫酸のみを処理する工程を説明する。 (イ) 上記Y1 の指示の結果,外部機関によるフェロシルトの検査において,土壌環境基準値を上回る六価クロムが検出されることはなかった(0.04㎎/l)。 (ウ) 原告X1 は,平成15年3月25日,三重県に対し,フェロシルトのリサイクル製品認定を申請し,同年9月19日,三重県から,シルト質埋戻材として,リサイクル製品の認定がなされた(乙B118,119)。 (10) フェロシルトの生産中止と自主回収等(前提事実(10)参照)ア六価クロムの検出の公表(ア) 岐阜県は,原告X1 に対し,平成17年5月,岐阜県内に埋設されたフェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたと伝えてきた(甲4)。 四日市工場長の被告Y6 は,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されることを全く想定していなかったことから,岐阜県に対し,フェロシルト以外の埋戻材から六価クロムが検出したのではないかと回答した(甲4)。 (イ) 被告Y1 は,平成17年5月,I1社の会議室にI1社技術部のZ8,Z6,I1社生産部のZ4 など(以下,これらの者を併せて「Z8 ら」という。)を集めた。 被告Y1 は,Z8 らに対し,フェロシルト中の六価クロムに関して調査した結果,ウラン,トリウムの含有量が分かるデータ,フェロシルトにアイアンクレーを混入している事実が分かるような書類をすべて廃棄するようにと指示し,Z8 らは,上記文書やデータを廃棄した(丙27,33)。 原告X1 の管理部情報システムの担当者は,平成17年5月,被告Y1の指示を受けて,I1社のパソコン 廃棄するようにと指示し,Z8 らは,上記文書やデータを廃棄した(丙27,33)。 原告X1 の管理部情報システムの担当者は,平成17年5月,被告Y1の指示を受けて,I1社のパソコンのハードデイスクを全部交換した(丙27)。 (ウ) 被告Y1 は,I1社技術部のZ6 に対し,平成17年5月,六価クロムの検出されないフェロシルトを用意するよう指示した(丙33)。Z6は,フェロシルトと見た目が似ているフェロフィックスAという商品を用意し,これを行政機関に提出した(丙33)。 被告Y1 以外の原告X1 の取締役は,平成17年9月ころ,三重県フェロシルト問題検討委員会から指摘を受け,フェロシルトと偽ってフェロフィックスAを行政機関に提出していたことを知った(甲4)。 (エ) 岐阜県は,平成17年6月,同県内に埋設されたフェロシルトから,土壌環境基準値を上回る六価クロムが検出されたことを発表し,原告X1に対し,全量撤去を要請した(丙3〔資料4〕)。 また,三重県も,同月,同県内に埋め立てられたフェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロム及びフッ素が検出されたことを発表した(乙Bア9)。 イ三重県フェロシルト問題検討委員会による実験三重県フェロシルト問題検討委員会は,平成17年8月ころ以降,フェロシルトを酸化しやすい条件においた場合に六価クロム濃度が変化するかを検討するため,pH条件の違いによる六価クロム濃度の変化,乾燥,湿潤による六価クロム濃度の変化,曝露実験を行った(丙1)。 ウ平成17年1月から同年4月にかけて亀山市HH地区に搬出したフェロシルトの回収原告X1 は,遅くとも平成22年12月末までに,次のとおり,11億1403万8641円の費用をかけて,亀山市(2)区 17年1月から同年4月にかけて亀山市HH地区に搬出したフェロシルトの回収原告X1 は,遅くとも平成22年12月末までに,次のとおり,11億1403万8641円の費用をかけて,亀山市(2)区に搬出した約2万5530トンのフェロシルトを回収した(甲58,59,弁論の全趣旨)。 (ア) 搬出された上記約2万5530トンの回収量は,3万9035トンとなった。そのうち直接処分場へ処分されたものと四日市工場へ仮置措置となったものの内訳は次のとおりである。 a 直接処分場への処分済量 2万2249トンb 四日市工場へ仮置措置量 1万6786トン(イ) 上記3万9035トンの回収に要した調査費,回収・積込工事費,処理費,復旧工事費,その他の費用は,トン当たり1万3337円であった。 (ウ) 上記3万9035トンの回収に要した収集・運搬費用は,直接処分場へ処分するものがトン当たり6350円,四日市工場へ仮置措置するものがトン当たり1483円であった。 (エ) 上記3万9035トンの回収に要した上記(イ)及び(ウ)の費用を計算すると,6億8678万4583円となる。 (オ) 四日市工場へ仮置措置したものの処分費用はトン当たり2万5453円であり,その処分費用は4億2725万4058円となる。 (カ) 上記(エ)及び(オ)の合計額は11億1403万8641円であった。 以上のとおり認めることができる。この認定を動かすに足りる確たる証拠はない。 2 上記認定の事実(前提事実を含む。)と弁論の全趣旨によれば,次のとおり判断することができる。 【甲事件関係】(1) 争点(1)(被告Y1 の責任)について被告Y1 は,取締役在任中の平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェ ば,次のとおり判断することができる。 【甲事件関係】(1) 争点(1)(被告Y1 の責任)について被告Y1 は,取締役在任中の平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルトの販売を中止すべき義務を負っていたか。 ア販売中止義務を基礎づける事情(ア) フェロシルトに関する権限原告X1 において,平成17年当時,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出等の業務を担当する部署及び取締役についての明確な定めは置かれていなかった。 もっとも,被告Y1 は,平成9年6月27日から平成17年6月29日まで,四日市工場副工場長であった。また,被告Y1 は,平成9年4月に設置された実行本部の事務局長と産業廃棄物の推進委員(同年6月に本部委員に昇格した。)であった。 そして,被告Y1 は,平成9年6月からの石膏量増量工事の実施,平成10年9月ころからの新アイアンクレーの試作,平成11年1月からフェロシルトの試験生産,平成13年8月中旬以降平成17年4月までのフェロシルトの搬出先の選択などにおいて,一貫して主要な役割を果たしていた。 したがって,被告Y1 は,原告X1 の取締役であった平成9年6月27日から平成11年6月29日及び平成15年6月29日から平成17年6月29日の間,原告X1 のフェロシルトの開発,生産,管理,搬出の業務を担当する取締役であり,フェロシルトの販売を中止させることが十分に可能であったといえる。 (イ) 被告Y1 の認識被告Y1 は,平成13年8月,次の①ないし③の事実について,報告ないし説明を受けていた。 ① 環境保安部のZ3 から,平成13年8月6日,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロム0.07㎎/Lが検出されたとの報 8月,次の①ないし③の事実について,報告ないし説明を受けていた。 ① 環境保安部のZ3 から,平成13年8月6日,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロム0.07㎎/Lが検出されたとの報告があった。 ② I1社技術部長のZ1 から,I1社のZ8 を通じて,平成13年8月下旬,落とし場から採取したフェロシルトからは微量の六価クロムが検出され,堆積場から採取したフェロシルトからは0.05㎎/Lないし2.0㎎/Lという土壌環境基準値を大幅に超える六価クロムが検出されたとの試験結果の報告があった。 ③ I1社取締役のZ8 から,Z1 による上記試験結果の報告を受けた際,土壌環境基準値を超える六価クロムが堆積場のフェロシルトから検出されたのは,時間の経過によって,フェロシルトに含まれている三価クロムが酸化し,六価クロムが生成されることによるのではないかとの意見が出された。 そして,被告Y1 は,上記①ないし③の報告ないし説明を受け,平成13年8月下旬には,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出される可能性が極めて高く,これが発覚すると,原告X1 が既に搬出したフェロシルトを回収することが必要となり,回収には巨額の費用がかかることを認識していた。 イ検討以上によれば,被告Y1 は,遅くとも平成17年1月の時点では,取締役の善管注意義務として,原告X1 にフェロシルト回収費用相当額の損害を被らせないよう,原告X1 が,I3社を介してS社に対し,フェロシルトを販売することを中止させる義務を負っていたというべきである。 にもかかわらず,被告Y1 は,原告X1 がI3社を介してS社に対し,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルト合計約2万5000トンを販売することを中止しな きである。 にもかかわらず,被告Y1 は,原告X1 がI3社を介してS社に対し,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルト合計約2万5000トンを販売することを中止しなかったのであり,そこに取締役としての任務懈怠(善管注意義務違反)が認められることは明らかである。 ウ被告Y1 の主張について被告Y1 は,平成15年6月に取締役に就任した当時,フェロシルトの生産,販売を中止し,既に販売済みのフェロシルトを回収すべき義務を負っていたのは,被告Y1 だけではなく,その当時,原告X1 の取締役であった者全員であると主張する。 しかし,被告Y1 以外の原告X1 の取締役が,フェロシルトの生産,販売を中止すべき義務を負うとしても,そのことによって,被告Y1 がフェロシルトの販売を中止すべき義務を免れることにはならない。したがって,被告Y1 の上記主張は失当である。 (2) 争点(2)(損害との相当因果関係)について前記(1)の義務違反行為と原告X1 にフェロシルト回収費用等11億1403万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 ア原告X1 の損害発生に至る経緯被告Y1 が,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,S社に対するフェロシルトの販売を中止させず,搬出が続けられた。 これによって,上記期間中,原告X1 から三重県亀山市HH地区に対して,フェロシルト約2万553ト0ンが搬出され,埋設された。 原告X1 は,平成17年6月,三重県から,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムなどが含まれていることを理由として,回収命令を受けた。これにより,原告X1 は,上記約2万5530トンのフェロシルトについて,遅くとも平成22年12月末までに,11億140 る六価クロムなどが含まれていることを理由として,回収命令を受けた。これにより,原告X1 は,上記約2万5530トンのフェロシルトについて,遅くとも平成22年12月末までに,11億1403万8641円の費用をかけて回収した。 イ結論以上によれば,被告Y1 が,平成17年1月11日ころから同年4月28日ころまでの間,フェロシルトの販売を中止させず,搬出を継続したことと,原告X1 にフェロシルトの回収費用相当額11億1403万円の損害が生じたこととの間には相当因果関係がある。よって,被告Y1 は,原告X1 に対し,11億1403万8641円の内金10億円の損害を賠償すべき義務を負う。 【乙事件関係】(1) 争点(1)(被告Y1 の責任)についてア被告Y1 は,新アイアンクレーの試作を開始した平成10年9月当時から取締役をいったん退任する平成11年6月29日当時(その間,フェロシルトの生産が開始され,蓄積されていた),新アイアンクレーやフェロシルトに有害な六価クロムが含まれることを認識しえたか(これを前提として,被告Y1 は,フェロシルトの商品としての開発,生産を中止し,フェロシルトを産業廃棄物であるアイアンクレーとして処分すべき義務を負うか。)。 (ア) 開発生産中止等の義務を基礎づける事情a 六価クロムの認識可能性の前提となるフェロシルトの品質を調査すべき義務(a) 被告Y1 のフェロシルトに関する権限被告Y1 は,前記(1)ア(ア)のとおり,平成9年6月27日から平成11年6月29日までの間,フェロシルトの開発,生産を担当する取締役であった。 (b) 品質検査の実施の必要フェロシルトは,T国際空港事業の海上埋立用土砂として搬出することを目的として,平成1 までの間,フェロシルトの開発,生産を担当する取締役であった。 (b) 品質検査の実施の必要フェロシルトは,T国際空港事業の海上埋立用土砂として搬出することを目的として,平成10年9月ころから開発され,平成11年1月以降,試験生産がされており,産業廃棄物として処分されることは想定されていなかった。 したがって,フェロシルトの開発は,QMS及びそれを具体化したI1社の運営要領に沿って行われることが必要であり,六価クロムの溶出試験などフェロシルトの品質を確保するための検査の実施が要求されていたといえる。 (c) 六価クロム溶出試験の実施が可能であったことI1社の技術部長のZ1 は,被告Y1 に依頼され,平成13年8月下旬,フェロシルトの六価クロム溶出試験を実施し,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムを検出した。 また,三重県フェロシルト問題検討委員会は,平成17年9月ころ,フェロシルトの六価クロム濃度の変化を調べるため,①pH条件の違いによる六価クロム濃度の変化,②乾燥,湿潤による六価クロム濃度の変化,③曝露実験等を実施した。三重県フェロシルト問題検討委員会が実施した上記①ないし③の各実験は,化学の専門家としての通常の知見があれば実施可能なものであり,特殊な用具,機械を必要とするものではなかった。 したがって,被告Y1 が,平成10年9月ころから平成11年6月までの間,I1社技術部の援助を受けて,フェロシルトの六価クロム溶出試験を実施することは可能であった。 (d) フェロシルトの品質調査義務以上によれば,被告Y1 は,平成10年9月から平成11年6月までの間,新アイアンクレー又はフェロシルトについて,六価クロム溶出試験を含む品質検査を実施し,品質を調査 ロシルトの品質調査義務以上によれば,被告Y1 は,平成10年9月から平成11年6月までの間,新アイアンクレー又はフェロシルトについて,六価クロム溶出試験を含む品質検査を実施し,品質を調査する義務を負っていたというべきである。 もっとも,平成11年3月30日に採取されたフェロシルトについて,六価クロム溶出試験を含む品質検査が実施されている(同試験においては,土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかった。)。 したがって,被告Y1 は,フェロシルトについて,六価クロム溶出試験を含む品質検査を実施したから,上記義務に違反したことにはならない。また,上記検査の結果,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムは検出されなかったというのであるから,被告Y1 が,当時,新アイアンクレーやフェロシルトに有害な六価クロムが土壌環境基準値を超えて含まれることを認識し得たということもできない。 b 産業廃棄物の認識新アイアンクレーやフェロシルトは,平成10年9月から平成11年6月までの間,産業廃棄物として処分していたアイアンクレーの一部である硫酸法の廃酸の沈殿物をフィルタープレスで搾るという生産方法によって試作,試験生産がされていた。そして,新アイアンクレーやフェロシルトは,平成10年9月以降,路盤材等様々な用途に使用することが検討されたが,平成11年6月までに具体的な用途や販売先が決まっていなかった。 他方,フェロシルトについては,平成10年9月から平成11年6月の当時,品質検査,土質検査,施工管理試験などが実施され,路盤材などの用途による使用が可能かどうかを開発している段階にあった。確かに,フェロシルトは,平成11年5月の施工管理試験により,路盤材に適さないとの結果が出た。しかし,I1社 試験などが実施され,路盤材などの用途による使用が可能かどうかを開発している段階にあった。確かに,フェロシルトは,平成11年5月の施工管理試験により,路盤材に適さないとの結果が出た。しかし,I1社の技術部が,上記期間,フェロシルトについてどのような用途が考えられるかの意見を関係者に聴取等した過程において,フェロシルトについて全く用途が見当たらないとの意見も出ていなかったのである。 したがって,被告Y1 が,平成10年9月から平成11年6月当時,フェロシルトが無価値であり,産業廃棄物であることを認識していたと認めることはできないし,これを認識し得たということもできない。 (イ) 検討以上によれば,被告Y1 は,平成10年9月から平成11年6月当時,新アイアンクレー又はフェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれること及び新アイアンクレー又はフェロシルトが産業廃棄物であることを認識し,これを認識し得たとはいえない。したがって,被告Y1 は,原告X1 の取締役として,フェロシルトを商品として開発,生産することを中止し,産業廃棄物として処分すべき義務を負っていたと認めることはできない。 イ被告Y1 は,取締役に在任中の平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの搬出を中止する義務を負っていたか。 (ア) 搬出中止義務を基礎づける事情a 被告Y1 のフェロシルトに関する権限被告Y1 は,前記(1)ア(ア)のとおり,平成9年6月27日から平成11年6月29日までの間,及び,平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの生産,管理,搬出を担当する取締役であった。しかも,被告Y1 は,平成9年6月から平成17年6月までの間,四日市 までの間,及び,平成15年6月27日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの生産,管理,搬出を担当する取締役であった。しかも,被告Y1 は,平成9年6月から平成17年6月までの間,四日市工場副工場長であった。 被告Y1 が,平成11年6月に取締役を退任したのは,執行役員制度の導入という機構改革によるものであり,被告Y1 は,取締役を退任し常務執行役員となった後も,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出において一貫して主要な役割を果たしており,その業務内容と事実上の権限は,原告X1 の取締役であった期間と常務執行役員であった期間とで異なるところはない。したがって,被告Y1 は,常務執行役員であった期間も含めて,フェロシルトの搬出を中止させること及びI2社等をしてフェロシルトを回収することが十分に可能であったといえる。 b 被告Y1 の認識被告Y1 は,前記(1)ア(イ)のとおり,平成13年8月下旬には,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが包含されていることを認識しており,これが発覚した場合,原告X1 が,既に搬出したフェロシルトを回収することが必要となり,巨額の回収費用がかかることを承知していた。 (イ) 搬出中止義務以上によれば,被告Y1 は,平成13年8月下旬の時点では,四日市工場副工場長として,フェロシルトの搬出を中止させ,既に搬出済みのフェロシルトを回収する義務を負っていたというべきである。そして,上記注意義務は,被告Y1 が,平成15年6月27日に取締役に就任したことに伴い,取締役の善管注意義務の一内容を構成するようになったが,その負うべき注意義務の内容に変わりはないというべきである。 しかるに,被告Y1 は,原告X1 が,平成13年8月17日から,Lへのフェロシルトの搬 善管注意義務の一内容を構成するようになったが,その負うべき注意義務の内容に変わりはないというべきである。 しかるに,被告Y1 は,原告X1 が,平成13年8月17日から,Lへのフェロシルトの搬出を開始していたのに,その搬出を中止させず,上記注意義務に違反して,平成17年4月28日ころまで搬出させ続けた。 (ウ) 検討以上によれば,被告Y1 は,平成15年6月27日に取締役に再就任した時点において,既に搬出済みのフェロシルトを回収する義務を負っていたとともに,同日から平成17年6月29日までの間,フェロシルトの搬出を中止させる義務を負っていたというべきである。にもかかわらず,被告Y1 は,既に搬出したフェロシルトを回収せず,フェロシルトの搬出を中止させることもしなかったのであり,そこに取締役としての任務懈怠(善管注意義務違反)が認められることは明らかである。 (2) 争点(2)(損害との相当因果関係について)前記(1)にかかる各義務違反行為と原告X1 に回収費用等489億円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 ア原告X1 の損害発生に至る経緯原告X1 は,平成13年8月17日から平成17年4月28日ころまでの間,合計約72万トンを搬出し続け,これらは三重県や岐阜県等に埋設されたままにされた。このような事態となったのは,被告Y1 がフェロシルトの搬出を中止せず,既に搬出済みのフェロシルトを回収しなかったことによる。 原告X1 は,平成17年6月,岐阜県及び三重県からフェロシルトの回収を命令され,上記72万トンのフェロシルトを含む約180万トンの土壌を回収することを余儀なくされた。原告X1 は,遅くとも平成22年12月末までに,上記約180万トンのうち約160万トンの土壌を回収し,そ れ,上記72万トンのフェロシルトを含む約180万トンの土壌を回収することを余儀なくされた。原告X1 は,遅くとも平成22年12月末までに,上記約180万トンのうち約160万トンの土壌を回収し,それに485億8400万円もの回収費用等を要した。 イ結論以上によれば,被告Y1 が,平成15年6月以降,フェロシルトの搬出を中止させず,既に搬出済みのフェロシルトの回収をしなかったことと,原告X1 にフェロシルトの回収費用相当額485億8400万円の損害が生じたこととの間には相当因果関係がある。 もっとも,上記損害額には,甲事件に関する回収費用11億1403万8641円も含まれている。したがって,被告Y1 は,原告X1 に対し,上記485億8400万円から甲事件において認容された10億円を差し引いた475億8400万円の損害を賠償すべき義務を負う。 【丙事件関係】(1) 争点(1)(フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関与した者~工場長であった取締役〔Y23,被告Y5,被告Y6〕の責任)についてア Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する担当取締役であったか。 (ア) 四日市工場長の地位,権限まず,四日市工場長の地位,権限についてみる。 原告X1 の各責任者の職責を定めた業務規程によれば,工場長は,工場における最高責任者として部下を統括するものとされ,副工場長は,工場長を補佐するものとされていた。したがって,四日市工場長は,副工場長を指揮監督する関係にあったといえる。 (イ) 産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の職務分掌次に,原告X1 において,平成9年以降の,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の職務分掌について検討する。 原告 る関係にあったといえる。 (イ) 産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の職務分掌次に,原告X1 において,平成9年以降の,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の職務分掌について検討する。 原告X1 の各業務機構の分掌事項を定める業務分掌細則は,平成9年当時,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務を担う部署について,明確に定めていなかった。 もっとも,四日市事業所で生産される酸化チタンの産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務は,平成9年当時,原告X1 の100%子会社であるI1社が担っていた。そして,業務分掌細則によれば,四日市事業所は四日市関係会社(I1社を含む。)の効率的な運営管理を行うとされていた。そうすると,四日市事業所で生産される酸化チタンの産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務は,平成9年当時,原告X1 における組織の中で,四日市事業所,特に四日市工場と関連が深かったといえる。 また,実際にも,産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務は,遅くとも平成9年6月以降,一貫して四日市工場副工場長である被告Y1 によって遂行されていた。しかも,実行本部が,平成11年11月に解消された後,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務は,四日市工場内に設置された生産構造再構築推進室が担うことになったのである。 したがって,原告X1 における産業廃棄物の再利用及び再資源化業務は,平成9年以降,四日市工場に分掌されていたといえる。 (ウ) 産業廃棄物の再利用及び再資源化業務における四日市工場長の権限以上のとおり,四日市工場が産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務を分掌するものであった。もっとも,前記(1)ア(ア)のとおり,四日市工場副工場長である被告Y1 がフェロシルトの開発,生産,管理,搬出について主要な役割を果たしていた。そこで,被 び再資源化の業務を分掌するものであった。もっとも,前記(1)ア(ア)のとおり,四日市工場副工場長である被告Y1 がフェロシルトの開発,生産,管理,搬出について主要な役割を果たしていた。そこで,被告Y1 だけでなく,その間四日市工場長であった各被告もフェロシルトの開発,生産,管理,搬出を担当する取締役であったのか,被告Y1 が取締役でなく常務執行役員であった期間(平成11年6月~平成15年6月),原告X1 においてフェロシルトの開発等を担当する取締役が不在であったのかについて,以下,検討する。 aY23Y23 は,平成9年6月27日から平成11年6月29日までの間,四日市工場工場長を務めていた。被告Y1 は,上記期間中,原告X1の取締役であった。 Y23 は,平成9年6月以降,四日市工場において実施された産業廃棄物の再利用及び再資源化業務のうち,平成10年11月に実施された新アイアンクレーの商標登録に関する会議に出席している。上記会議は,T国際空港株式会社が,新アイアンクレーが産業廃棄物であることを理由に海上埋立用土砂としての受入れを断ってきたことを契機として開催されたものであった。Y23 のほかに上記会議に出席したのは,副工場長の被告Y1,工場次長の被告Y22,管理部長のZ9,環境保安部のZ3,I1社のZ8,Z6 であり,いずれも新アイアンクレーの開発に従事してきた者であった。上記会議の結果,新アイアンクレーに商品名を付け,これを商標登録するという方向性が決まった。したがって,上記会議は,新アイアンクレーの開発に関して,実質的な討議がされた上,新アイアンクレーの開発において重要な意味を持つ決定がされた会議であったといえる。Y23 は,このような新アイアンクレーの開発にとって重要な会議にも出席していた。 ま て,実質的な討議がされた上,新アイアンクレーの開発において重要な意味を持つ決定がされた会議であったといえる。Y23 は,このような新アイアンクレーの開発にとって重要な会議にも出席していた。 また,酸化チタンの生産から生じる産業廃棄物(アイアンクレー)の再利用及び再資源化は,平成9年4月に設置された実行本部の再構築計画の1つに挙げられるなど,原告X1 において,赤字決算を解消する重要な方策の1つとして認識されていた。したがって,上下関係にある複数の取締役が,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務を担当するというのも十分に考えられるところである。 以上によれば,四日市工場長であるY23 は,副工場長である被告Y 1 を監督するという立場から,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の一環として実施されていたフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったと認めるのが相当である。 b 被告Y5被告Y5 は,平成11年6月29日から平成15年3月31日までの間,四日市工場長を務めていた。被告Y1 は,上記期間中は取締役ではなく常務執行役員であったが,前記【乙事件関係】(1)イ(ア)aのとおり,四日市工場副工場長として,フェロシルトの開発,生産,管理において主要な役割を果たしていた。 もっとも,被告Y5 は,平成11年12月10日の取締役会において,新4か年中期経営計画の実施状況に関する被告Y14(財務本部長兼管理本部長)による報告に際し,被告Y1 だけではなく被告Y5 もフェロシルトの生産販売の担当責任者であることが確認されたが,これに異議を述べることはなかった。また,被告Y5 は,T国際空港株式会社に対し,平成13年7月,四日市工場長として,フェロシルトを植栽用土砂としての採用を期待する旨の書簡を出し,平成13年8月6日 に異議を述べることはなかった。また,被告Y5 は,T国際空港株式会社に対し,平成13年7月,四日市工場長として,フェロシルトを植栽用土砂としての採用を期待する旨の書簡を出し,平成13年8月6日午後の推進会議において,被告Y1 による説明よりも先立って,フェロシルトの搬出時期が遅れることを説明するなど,フェロシルトの開発,生産業務を担う立場に立って行動していたといえる。 以上によれば,被告Y5 は,四日市工場長であった期間中,被告Y1が職制上,取締役ではなく常務執行役員であったから,原告X1 においてフェロシルトの開発,生産,管理,搬出を担当するただ1人の取締役であったということができる。 c 被告Y6被告Y6 は,平成15年4月1日から平成19年6月28日までの間,四日市工場工場長を務めていた。被告Y1 は,そのうち平成15年6月から平成17年6月までの間,取締役を務めており,前記(1)ア(ア)のとおり,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出の業務を担当する取締役であった。 もっとも,産業廃棄物の再利用及び再資源化は,被告Y6 が四日市工場長であった期間も,原告X1 において重要視されていたことに変わりはなかった。したがって,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務に関して,Y23 が四日市工場長であったときと同様,上下関係にある被告Y6 と被告Y1 の2名が担当取締役であると考えても不自然ではない。 以上によれば,被告Y6 は,工場長として,副工場長である被告Y1を監督するという立場から,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の一環として実施されていたフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったと認めるのが相当である。 (エ) 被告Y2 ら,被告Y5 及び被告Y6 の主張について被告Y2 資源化業務の一環として実施されていたフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったと認めるのが相当である。 (エ) 被告Y2 ら,被告Y5 及び被告Y6 の主張について被告Y2 ら,被告Y5 及び被告Y6 は,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出については,被告Y1 が,当時の社長(被告Y7 あるいはZ2)の特命を受けて,I1社などを使用して専管事項として独力で取り組んだもので,通常の指揮系統及び四日市工場長の担当から外れており,四日市工場長が副工場長である被告Y1 を監督する立場になかったと主張する。 しかし,Y23 及び被告Y5 は,四日市工場長として,新アイアンクレーの商品化やフェロシルトの搬出という重要な局面において討議に参加したり,副工場長である被告Y1 に先だって他の取締役に説明をするなどしていたのであって,副工場長である被告Y1 を監督する立場にある者としての行動に出ている。 しかも,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する業務は,産業廃棄物の再利用及び再資源化の一環であり,かねてから原告X1 の赤字決算を解消する方策として重要なものであると認識されていた。そして,産業廃棄物の再利用及び再資源化の業務は,一番関わりの深い四日市工場が取り扱うものとされていたのである。被告Y2 ら,被告Y5 及び被告Y6 の主張によれば,このように四日市工場が分掌する重要な業務の担当から四日市工場長は除外されていたということになるが,敢えて四日市工場長を除外し,社長と被告Y1 だけがフェロシルトについて取り扱わなければならない合理的な理由は見当たらない。また,被告Y2ら,被告Y5 及び被告Y6 の主張によれば,被告Y5 が四日市工場長であったときには,被告Y1 は取締役ではなかったから,フェロシルトの開発等を ならない合理的な理由は見当たらない。また,被告Y2ら,被告Y5 及び被告Y6 の主張によれば,被告Y5 が四日市工場長であったときには,被告Y1 は取締役ではなかったから,フェロシルトの開発等を担当する取締役が不在であるか又はZ2 のみであったということになるが,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務を分掌する取締役が誰もいない(Z2 のみである)というのは極めて不自然な事態である。 確かに,四日市工場においては,工場長が技術系のときは事務系の副工場長が補佐し,四日市工場長が事務系のときは技術系の副工場長が補佐するという人事が長年にわたってされていた。そのため,事務系の工場長は,技術系の分野について副工場長に対し,事実上,任せきりにする状態が長年続いていた。しかし,このような状態は,工場長が最高責任者として部下を統括すると定める原告X1 の業務規程とは相容れないことである(このような現状をもって,原告X1 の業務規程が変更されたということもできない。)。 したがって,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出が,通常の指揮系統及び四日市工場長の担当から外れており,四日市工場長が副工場長である被告Y1 を指揮監督する立場になかったとする被告Y2 ら,被告Y及び被告Y6 の主張は採用できない。 イ Y23,被告Y5,被告Y6 が四日市工場長を務めていた当時,QMSのもとで,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がなされていたか。 フェロシルトについて,QMSに従った運用がされていたかを検討する。 (ア) QMSの内容QMS(I1社の運営要領を含む。)によれば,新銘柄の開発は,①開発計画書の作成及び承認,② サンプル試作,③ ユーザー評価,④企業化検討(現場試作等),⑤ ユーザー評価,⑥ 上市手続(開発完 QMS(I1社の運営要領を含む。)によれば,新銘柄の開発は,①開発計画書の作成及び承認,② サンプル試作,③ ユーザー評価,④企業化検討(現場試作等),⑤ ユーザー評価,⑥ 上市手続(開発完了報告等)の順序による。また,QMSによれば,銘柄として確立した一定範囲の特性を持つものとして生産された製品が搬出される。 (イ) 実際に実施された作業とその評価a 開発計画書の作成及び承認開発計画書a(フェロシルトの開発)及び開発計画書b(フェロシルトの用途開発)が,平成10年9月20日付けで運営要領の定めに従って作成され,いずれもI1社生産技術統括部長の被告Y1 の承認を受けた。これは前記(ア)①の「開発計画書の作成及び承認」に当たる。 b サンプル試作被告Y1 は,Z8 に対し,平成10年9月ころ,新アイアンクレーの試作をさせており,これは前記(ア)②の「サンプル試作(ラボサンプル)」であった。 c 企業化検討フェロシルトは,平成11年1月4日から,四日市工場において,生産が開始されたが,これは同月29日の取締役会で説明されたとおり,試験生産であった。したがって,四日市工場における同月4日以降のフェロシルトの生産は,前記(ア)④の「現場試作による企業化検討」の一環であったといえる。 そして,平成10年10月の路盤材としての土質試験,平成11年5月の施工管理試験,同年6月に刃金土としての土質試験,同年7月に魚礁材への利用試験等は,開発計画書bに基づく用途開発に関する試験に当たる。 もっとも,フェロシルトは,平成11年5月の施工管理試験によって,路盤材に使用することが難しい泥状態のものであると判定された。 し 開発計画書bに基づく用途開発に関する試験に当たる。 もっとも,フェロシルトは,平成11年5月の施工管理試験によって,路盤材に使用することが難しい泥状態のものであると判定された。 したがって,平成11年5月当時のフェロシルトは,路盤材としては不適当とされたから,その品質を改良するか,場合によっては路盤材の使用を断念すべきであった。 d ユーザー評価I1社,四日市工場の生産構造再構築推進室は,平成10年9月以降,新アイアンクレー又はフェロシルトについて,T国際空港株式会社に対し海上埋立用土砂として,農業用培土の生産メーカーに対し農業用培土として,セメントメーカーに対しセメント材料としての使用を打診し,フェロシルトのサンプルを送付するなどしており,これは前記(ア)⑤の「ユーザー評価」に当たる。 もっとも,T国際空港株式会社は,平成13年4月下旬,フェロシルトの受入れを断ってきた。また,I1社,生産構造改革推進室がフェロシルトの使用を打診したセメントメーカーや培土メーカーのいずれからも,平成13年4月下旬当時,フェロシルトを受け入れるとの回答を得たことはなかった。したがって,フェロシルトは,平成13年4月下旬当時,前記(ア)⑤の「ユーザー評価」において肯定的な評価を得たことがなかったといえる。 e 本件新規搬出先について被告Y1,Z3 らは,平成13年4月下旬にT国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られてから,再度,フェロシルトの受入先を探し始めた。しかし,その実質は,フェロシルトを産業廃棄物として処分すると多額の処理費用がかかることから,その処分先を探していたというもので,その条件も窪地の穴埋めであること,民家等の近くを避けることなどといったものであっ 質は,フェロシルトを産業廃棄物として処分すると多額の処理費用がかかることから,その処分先を探していたというもので,その条件も窪地の穴埋めであること,民家等の近くを避けることなどといったものであった。これは,顧客の期待及び品質要求を満足し,使用目的に適う製品を開発するというQMSの本件基本方針とは全く相容れないものであり,およそ前記(ア)③ないし⑤のユーザー評価(フェロシルトの開発)に向けた作業等と評価することはできない。 f 開発完了報告a及びb開発完了報告aが平成12年4月30日付けで,開発完了報告bが平成14年1月23日付けで作成され,いずれも被告Y1,Z8 の承認を得ている。そこで,フェロシルトの開発において,開発を完了したことがあったのか検討する。 開発完了報告aは,酸化鉄含有量35%以上のフェロシルトの開発という目的について,石膏の粗大化や回収率が高い場合には酸化鉄含有量が35%以上になることが確認されたとするのみで,特定の顧客が特定の用途で使用することを目的とする開発ではない。これは,顧客の使用目的に適う製品を開発するというQMSの本件基本方針からすると,その書式に沿った開発計画書が作成されているものの,真実QMS上の開発に該当するのか甚だ疑わしい。 また,開発完了報告bは,フェロシルトを農業用として利用する場合にpHを5.5~6.0にするための試験検討を行い,品質規格案については使用先での評価を待って決定するとしたのみで,品質規格案を定めるには至っていない。これもまた,顧客の使用目的に適う製品を開発し,顧客との間の品質協定規格を遵守するというQMSの本件基本方針に沿うものとはいえず,その書式に沿って作成されているものの,その内容としてはQMSにおける開発完了 ,顧客の使用目的に適う製品を開発し,顧客との間の品質協定規格を遵守するというQMSの本件基本方針に沿うものとはいえず,その書式に沿って作成されているものの,その内容としてはQMSにおける開発完了報告と評価することはできない。 (ウ) 結論以上によれば,フェロシルトに関する開発は,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが断られた平成13年4月下旬までは,一応QMSに沿うものであった。しかし,平成13年4月下旬以降,本件新規搬出先との関係においては,QMSの手続は全く履践されていなかったというほかない。 また,フェロシルトについて,QMSに沿って開発を完了したことは一度もなく,フェロシルトは,開発を完了していない試験生産の状態のまま,平成11年1月から平成17年4月から生産が続けられていたのである。すなわち,遅くともT国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが断られた平成13年4月下旬以降は,顧客の使用目的に適う製品を開発するというQMSの本件基本方針は全く遵守されていなかったと評価できる。 ウ Y23,被告Y5,被告Y6 は,四日市工場長を務めていた当時,フェロシルトがQMSのもとで,開発,生産,管理,搬出がされていると信じたことに過失があったか。 (ア) Y23Y23 が四日市工場長であったのは,平成9年6月から平成11年6月までである。この間のフェロシルトの開発,生産は,前記(1)イ(ウ)(144頁)のとおり,QMSに沿うものであった。 したがって,Y23 が,フェロシルトの開発がQMSに沿ってされていたと信じたことについては何ら問題とならない。 (イ) 被告Y5aQMSについて被告Y5 が,四日市工場長であったのは平成11年6月から平成15年3月 ルトの開発がQMSに沿ってされていたと信じたことについては何ら問題とならない。 (イ) 被告Y5aQMSについて被告Y5 が,四日市工場長であったのは平成11年6月から平成15年3月までであった。フェロシルトの開発,生産は,平成13年4月下旬以降,前記(1)イ(ウ)のとおり,QMSの手続が履践されずに行われた。そして,平成13年8月中旬からの本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出も同様に,QMSに沿うものではなかった。 bQMSに関する調査,確認義務四日市工場長は,平成12年6月の機構改革以降,四日市事業所長に代わって,四日市工場の品質体制の最高責任者となった。したがって,四日市工場長は,平成12年6月以降,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出について,QMSが実施されているかを調査,確認すべき義務を負うというべきである。 もっとも,原告X1 においては,QMSの内容が適切か,それが遵守されているか,内部監査が適切か等について,平成7年以降,年1回,外部機関J1-QAセンターによる審査が実施され,指摘された事項について是正措置がとられていた。その限りにおいては,QMSがその機能を果たしているかのような外観を呈していた。 加えて,四日市工場においては,酸化チタンだけでなく,機能材料,農薬等の製品も生産されており,四日市工場長が所管する事務も多岐にわたる。そのため,四日市工場長は,品質保証業務の統括者として品費保証室長を指名し,品質体制が品質方針及びISO9001に従って実施されることに関する権限を付与していたのである。 したがって,四日市工場長が品質体制の最高責任者であるからといって,四日市工場内で生産されるすべての製品の開発から搬出に至るまでについて,QMSが実施されているかを一から を付与していたのである。 したがって,四日市工場長が品質体制の最高責任者であるからといって,四日市工場内で生産されるすべての製品の開発から搬出に至るまでについて,QMSが実施されているかを一から精査することまで求めるのは些か酷な嫌いがある。 このような事情を考慮するならば,四日市工場長は,平成12年6月以降年2回の品質保証室長の報告,月1回の品質保証委員会における報告等により,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理がされていないことを疑わせる事情を認識しない限り,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿っているかを逐一調査,確認すべき義務までは負うものではないというべきである。 c 被告Y5 の認識した事情被告Y5 が,四日市工場長であった当時,フェロシルトに関して認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 被告Y5 は,平成10年12月の取締役会における実行本部事務局長兼本部委員の被告Y1 の報告を聞いて,フェロシルトがT国際空港事業の海上埋立用土砂として使用されることはほぼ確定したと思っていた。 ② 被告Y5 は,平成11年1月以降同年11月までの取締役会において,フェロシルトについて,実行本部が地力増進材,弁柄増量材,遮水材,植栽コンクリート,培養土,魚礁材等の用途を検討しているとの報告を受けていた。 ③ 被告Y5 は,平成13年4月27日取締役会において,同年9月からのT国際空港へのフェロシルトの搬出が確定したとの報告を聞いた。 ④ 被告Y5は,平成13年5月上旬,T国際空港株式会社から,フェロシルトの強度に問題があることなどから,海上埋立用土砂としての受入れを断られたことを知った。被告Y5は,同じころ,T国際空港事業の海上埋立材に代わる有効利用の検討が進め 国際空港株式会社から,フェロシルトの強度に問題があることなどから,海上埋立用土砂としての受入れを断られたことを知った。被告Y5は,同じころ,T国際空港事業の海上埋立材に代わる有効利用の検討が進められており,フェロシルトを愛知県ST地区のケイ石採掘跡の埋立材として使用することが検討されていることを知った。 ⑤ 被告Y5 は,平成13年5月,原告X1 が,フェロシルトについて三重県と共同で特許出願をすることを知った。 ⑥ 被告Y5 は,被告Y1 から,遅くとも平成13年8月6日までには,T国際空港に代わる本件新規搬出先(ゴルフ場の整地用,石材採掘跡の埋立用,ゴルフ場調整池埋立用,茶畑造成用など)が見つかったという報告を受けた。 ⑦ 被告Y5 が四日市工場長であった間,四日市工場の早朝ミーティング,月次報告会,品質保証委員会,環境審議会,環境監査において,フェロシルトの開発,生産について,QMSが実施されていないことを疑わせるような報告がされたことはなかった。 ⑧ 原告X1 は,平成14年5月以降,三重県と共同でフェロシルトに関する特許を出願し,また,三重県との共同研究を実施した。 d 検討被告Y5 は,平成13年5月上旬,T国際空港株式会社から,フェロシルトの品質に問題があることから受入れを断られたと聞いたのであるから,この時点でフェロシルトが海上埋立用の土砂として適さないことを認識することができた。 そして,被告Y5 は,被告Y1 からT国際空港事業に代わる搬出先の検討が開始されてから約3か月後に,海上埋立用と類似した用途であるゴルフ場の整地や石材採掘跡の埋立てなど主に埋立用に使用する旨の本件新規搬出計画の報告を受けたというのである。被告Y5 は,海上埋立用としての使用を断られたフェロシルトについて と類似した用途であるゴルフ場の整地や石材採掘跡の埋立てなど主に埋立用に使用する旨の本件新規搬出計画の報告を受けたというのである。被告Y5 は,海上埋立用としての使用を断られたフェロシルトについて,わずか3か月のうちに同じく埋立材としての品質を備えるような開発を完了することができたのか疑問を抱いて然るべきであった。 また,被告Y5 は,フェロシルトについて,平成11年1月以降の取締役会において,培養土としての用途の検討がされているとの報告も聞いていたが,以降,被告Y1 から本件新規搬出計画の報告を受けるまでの間,培養土としてフェロシルトを受け入れた業者がいたとの報告を聞いたことはなかった。被告Y5 としては,フェロシルトについて,わずか3か月のうちに茶畑造成用としての品質を備えるような開発を完了することができたのか,やはり疑問を抱くべきであった。 しかも,被告Y5 は,平成13年4月27日取締役会において,T国際空港への搬出が確定したとの報告を受けていたのに,同年5月上旬には,フェロシルトの品質の問題からT国際空港株式会社から受入れを断られたことを知った。QMSの手順からすれば,搬出が確定したという以上,それまでにT国際空港株式会社からフェロシルトの品質に問題がないとの回答を得ていたはずである。にもかかわらず,その後になって,品質の問題を理由に受入れを断られたということは,フェロシルトの開発に当たり,本当にQMSが実施されていたのか大いに疑わせる事情であったといえる。 しかも,被告Y5 は,その後,平成13年8月6日午後の推進会議において,その時点では原告X1 がT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としてのフェロシルトの受入れをその品質に問題があることを理由に断られたことを知っていたのに,そのような説明を避け,敢え において,その時点では原告X1 がT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としてのフェロシルトの受入れをその品質に問題があることを理由に断られたことを知っていたのに,そのような説明を避け,敢えて,T国際空港建設工事の事業時期の変更により当初の見通しどおりにいかなくなったという虚偽の説明を行うなど不可解な行動に出ている。 これらの事情に照らすならば,被告Y5 は,平成13年8月6日までに本件新規搬出計画を知った際,石材採掘跡埋立材,ゴルフ場整地用,ゴルフ場調整池埋立用,茶畑造成用としての開発がQMSに沿って完了したのかを調査,確認すべき義務を負っていたというべきである。にもかかわらず,被告Y5 が,本件新規搬出計画についてQMSが実施されていると信じ,石材採掘跡埋立材,ゴルフ場整地用,ゴルフ場調整池埋立用及び茶畑造成用としての開発がQMSに沿って完了したかを調査,確認しなかったことには過失があったというべきである。 (ウ) 被告Y6aQMSについて被告Y6 は,平成15年4月から平成19年6月までの間,四日市工場長を務めていた。そして,前記(1)イ(ウ)のとおり,平成13年4月下旬以降のフェロシルトの開発,生産や平成13年8月中旬からの本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出は,いずれもQMSに沿うものではなかった。 bQMSに関する調査,確認義務被告Y6 は,四日市工場長として,被告Y5 と同様,年2回の品質保証室長の報告,月1回の品質保証委員会における報告等により,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理がされていないことを疑わせる事情を認識しない限り,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿っているかを逐一調査,確認すべき義務までは負うものではないというべきである。 c がされていないことを疑わせる事情を認識しない限り,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿っているかを逐一調査,確認すべき義務までは負うものではないというべきである。 c 被告Y6 の認識した事情被告Y6 が,四日市工場長であった当時,フェロシルトに関して認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 被告Y6 が四日市工場長であった間,四日市工場の早朝ミーティイング,月次報告会,品質保証委員会,環境審議会,環境監査において,フェロシルトの開発,生産について,QMSが実施されていないことを疑わせるような報告がされたことはなかった。 ② 原告X1 は,平成14年5月以降,三重県と共同でフェロシルトに関する特許を出願し,また,三重県との共同研究を実施した。 ③ 原告X1 は,フェロシルトの運搬費用を負担していた。 d 検討原告X1 が製造した製品の運搬費用を負担すること自体は,基本的に製品の品質の確保とは関係がないし,QMSの定めに反するものでもない。したがって,被告Y6 が,原告X1 がフェロシルトの運搬費用を負担していることを認識していたとしても,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿っていないことを疑わせる事情を認識したとはいえない。 また,被告Y6 は,四日市工場の早朝ミーティング等,部下から報告を受ける機会が度々あったが,その際に,フェロシルトの開発,生産がQMSに沿っていないことを疑わせる旨の報告を受けたことがなかった。それだけでなく,被告Y6 は,原告X1 がフェロシルトに関し三重県と共同特許出願をし,共同研究を実施するなど,あたかもフェロシルトの品質が高いことをうかがわせるような報告を受けていた。したがって,被告Y6 は,四日市工場長であった間,フェロシルトの と共同特許出願をし,共同研究を実施するなど,あたかもフェロシルトの品質が高いことをうかがわせるような報告を受けていた。したがって,被告Y6 は,四日市工場長であった間,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿っていないことを認識し得たということはできない。 以上によれば,被告Y6 は,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSに沿ってされていないことを疑わせる事情を認識しておらず,認識し得た状況にもなかった。したがって,被告Y6 は,平成15年4月から平成17年4月までの間,フェロシルトがQMSの運用のもとで,生産,管理,搬出がされているかを調査,確認すべき義務を負っていたとはいえず,フェロシルトがQMSのもとで,開発,生産がされていると信じたことに過失があったとはいうことはできない。 (エ) 被告Y5 の主張についてa 被告Y5 は,四日市工場長であった当時,被告Y1 が徹底した隠ぺい工作を行った上,三重県との共同研究やリサイクル製品の認定を強調したことなど,工場長にとって不自然な事象は全く現れておらず,フェロシルトがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されていないことを疑わせる事情を何ら認識していなかったから,これがQMSに沿って開発,生産,管理,搬出されているかを調査,確認すべき義務を負うことはないと主張する。 b 確かに,QMSは毎年ISOの検査機関のサーベイランスを受け,不完全な部分については指摘を受けて改善され,四日市工場内の品質保証委員会,環境審議会,環境監査委員会,ミーティングや月次報告会において,フェロシルトの問題点が報告されたことは一度もなかった。また,被告Y1 は,平成14年5月以降,三重県と共同でフェロシルトに関する特許を出願し,三重県との共同研究を実施するなど,被告Y1 おいて,フェロシルトの問題点が報告されたことは一度もなかった。また,被告Y1 は,平成14年5月以降,三重県と共同でフェロシルトに関する特許を出願し,三重県との共同研究を実施するなど,被告Y1 が,フェロシルトの品質が優れているかのような点を強調していたことは事実である。このように,被告Y1 は,フェロシルトの品質に問題があること,すなわち,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていることについて数々隠ぺい工作を試みていた。 しかし,被告Y1 が隠ぺい工作を試みた対象は,主にフェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含有されていることであって,フェロシルトの開発がQMSに沿っていないことにつながる事実ではなかった。すなわち,被告Y1 は,被告Y5 に対し,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが断られたのが品質に問題があったからであるという理由を特に隠そうとしていなかった。そのため,被告Y5 は,四日市工場管理部を通じて,フェロシルトの受入れが断られた理由を概ね正確に把握していた。その後,被告Y1は,被告Y5 に対し,フェロシルトを埋戻材として使用する旨の本件新規搬出計画を報告した。被告Y1 が,その際,本件新規搬出先に対応する開発がQMSに沿って行われたかのような偽装をしたことはうかがわれない。 c このようにして,被告Y5 は,遅くとも平成13年8月6日までに,前記(2)ウ(イ)c①ないし⑥のとおり,フェロシルトが海上埋立用として長年開発がされ,同年4月下旬には搬出が確定したにもかかわらず,最終的に品質に問題があるとして同年5月上旬までには使用を断られ,そのわずか3か月後に埋立材として搬出する旨の本件新規搬出計画が立てられたという情報を得ていたのである。そして,QMSの最高 らず,最終的に品質に問題があるとして同年5月上旬までには使用を断られ,そのわずか3か月後に埋立材として搬出する旨の本件新規搬出計画が立てられたという情報を得ていたのである。そして,QMSの最高責任者の立場にある者として,これらの情報を吟味すれば,フェロシルトの開発がQMSに沿っていないのではないかとの疑いを抱くことは十分に可能であったといえる。すなわち,QMSの本来の手順からすれば,T国際空港株式会社と海上埋立用土砂としての品質規格を合意するなどの開発が完了したことから,搬出が確定したはずである。にもかかわらず,搬出の確定した後に品質を理由に受入れを断られたことは,海上埋立用土砂としてのフェロシルトの開発がQMSに沿って実施されていたのか疑いを持ってしかるべきであった。また,QMSによれば,本件新規搬出先の用途は海上埋立てとは異なったものであったから,別途,本件新規搬出先の用途に応じた開発が必要となるはずであり,ユーザー評価,四日市工場管理室による経済性やコストの検討等を経る必要があった。にもかかわらず,海上埋立用土砂としての受入れを断られた約3か月後に本件新規搬出先へ搬出する具体的な計画が立てられたことは,本件新規搬出先に応じた開発がQMSに沿って実施されたのかの疑いを抱かせるものであったといえる。 d 確かに,四日市工場内の製品の状況について報告する早朝ミーティング,月次報告会,品質保証委員会において,フェロシルトの品質に問題があるとの報告がされたことがなかったことやフェロシルトについて三重県と共同特許出願や共同研究を実施しているという事実はフェロシルトの品質に何ら問題がないことをうかがわせる。 しかし,上記事実は,例えば,被告Y1 が海上埋立てや本件新規搬出先の開発についての虚偽の開発計画書や開発完了報告 を実施しているという事実はフェロシルトの品質に何ら問題がないことをうかがわせる。 しかし,上記事実は,例えば,被告Y1 が海上埋立てや本件新規搬出先の開発についての虚偽の開発計画書や開発完了報告書を作成して被告Y5 に提出したなど,開発がQMSに沿って行われたとの認識を直接抱かせる事実とは異なる。フェロシルトの品質に問題があるとの報告がなかったことから,フェロシルトの品質に問題がないことが推認され,その事実からQMSに沿った開発が行われたことがさらに推認されるという間接的なものであり,フェロシルトの開発がQMSに沿っていないのではないかとの上記疑いを払拭するのに十分なものではないというべきである。 e しかも,被告Y5 が,上記情報を得ていたにもかかわらず,フェロシルトの開発がQMSに沿っていないのではないかと疑いを抱かなかったのは,被告Y5(事務系)が副工場長の被告Y1 に技術系の分野であるフェロシルト全般について任せきりにしていたことが大きい。しかし,被告Y5 が,四日市工場長として広範な職掌事務を有し多忙であったとしても,もとよりQMS及び業務規程で定められた職務を懈怠してよいということにはならない。 f 以上によれば,被告Y5 は,フェロシルトがQMSに沿って開発等されていないことを疑わせる事情を認識することが十分に可能であったというべきである。 よって,被告Y5 の上記主張を採用することはできない。 (2) 争点(2)(実行本部ないし推進会議の構成員であった者の責任)についてア実行本部の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18,被告Y17)の責任フェロシルトの生産開始時の取締役のうち,実行本部の構成員であった者は,フェロシルトの開発, 役(被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18,被告Y17)の責任フェロシルトの生産開始時の取締役のうち,実行本部の構成員であった者は,フェロシルトの開発,生産について,特に進捗を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を行う義務を負っていたか。 (ア) 実行本部の位置づけ等a 実行本部設置の目的と取扱分野原告X1 は,平成5年3月期から平成9年3月期にかけて赤字決算を出しており,これを解消する方策を実行するために実行本部が設置された。実行本部が実施する再構築計画の項目には,酸化チタンに関わるものだけではなく,機能材料や新商品の開発等も含まれていた。 b 実行本部の組織実行本部は,代表取締役社長の下の副社長のもとに置かれた社長室技術企画本部と四日市工場の双方の下に置かれ,実行本部本体のほか,実行本部事務局,実行本部推進委員会,実行本部支援組織から構成されていた。代表取締役社長の被告Y7,副社長であり四日市事業所長の被告Y8,もう1人の副社長であり営業部門管掌の被告Y9 のほか,実行本部委員及び実行本部事務局長は,いずれも社長室技術企画本部及び四日市工場の関係部門を統括する取締役であった。 c 実行本部の会議(R会議)実行本部には,代表取締役社長及び副社長を含む実行本部の構成員による会議(R会議),実行本部委員(実行本部長を含む。)を対象とする実行本部内の会議,実行本部事務局内の会議という3種類の会議があった。実行本部事務局内の会議は頻繁に開催されていたが,実行本部内の会議は不定期,R会議は月1回程度という頻度で開催されて 対象とする実行本部内の会議,実行本部事務局内の会議という3種類の会議があった。実行本部事務局内の会議は頻繁に開催されていたが,実行本部内の会議は不定期,R会議は月1回程度という頻度で開催されていた。 平成10年12月16日に開催されたR会議において,アイアンクレーから回収したシルト質成分を商品化する計画が承認されている。 そこで,承認の意義について検討するに,フェロシルトは,上記承認がされた当時,まさに,QMS所定の開発手順の第5段階目に当たる企業化検討の一環として,現場試作を開始しようとしていた(95頁)。しかし,QMSやI1社の運営要領において,企業化検討(現場試作)を開始するに当たり,原告X1 の代表取締役社長等による承認を要するという定めはない。現場試作,コストや販売価格等の検討等,開発中の製品が原告X1 の製品として販売することが可能か否かを吟味するのに逐一代表取締役社長等による承認が不可欠であるともいえない。また,産業廃棄物の再利用や再資源化は実行本部が実施する再構築計画の項目の1つであったけれども,R会議に出席する実行本部の構成員は,社長,副社長及びY23 を除き,四日市工場及び技術企画本部(無機系事業の研究開発等を担当)の技術系の取締役であって,コストや市場性の観点からの検討に十分な知識を備えているとはいえず,企業化するか否かの意思決定に相応しい場であるともいい難い。 そうすると,R会議において,シルト質成分の商品化計画が承認されたといっても,それは,代表取締役社長の被告Y7 が,実行本部委員の被告Y1 から,産業廃棄物の再利用及び再資源化の進行段階の報告を受けたという程度の意味合いにすぎないというべきである。 d 実行本部の位置づけ実行本部委員は,実行本部の取扱分野が酸化チタン,機能材料及び ら,産業廃棄物の再利用及び再資源化の進行段階の報告を受けたという程度の意味合いにすぎないというべきである。 d 実行本部の位置づけ実行本部委員は,実行本部の取扱分野が酸化チタン,機能材料及び無機系事業に関わる新商品の開発であったことから,技術企画本部及び四日市工場の関連部門を統括する取締役の中から選出されている。 実行本部内の会議は不定期にしか開催されず,自らがその職務上担当していない分野について,その担当する取締役と同じ情報を得られるというわけではない。しかも,再構築計画の項目は主なものだけでも前提事実(4)ア(ウ)のaないしiのとおり多岐にわたる。したがって,実行本部委員は,実行本部の定める再構築計画の項目のうち,自らが管掌する分野に関して主に検討することが期待されていたというべきである。 また,同じく実行本部の構成員であっても,月に1回程度しか開催されないR会議しか出席しない代表取締役社長や副社長が実行本部委員と同様の情報を逐一詳細に把握できるとは思われない。したがって,代表取締役社長や副社長の役割としては,再構築計画の内容やその実現手段を鳥瞰して,より大局的な観点からその是非を検討することが期待されていたというべきである。 以上によれば,代表取締役社長及び副社長を含めて開催されるR会議が,機関として再構築計画の項目の1つにすぎないフェロシルトの開発,生産に関する意思決定をするものと位置づけられていたと認めることはできない。また,実行本部委員による実行本部内の会議が,機関として産業廃棄物の減量とフェロシルトの開発,生産を計画,実行し,その進捗を管理するものと位置づけられていたと認めることもできない。 (イ) 実行本部構成員の負う注意義務a 以上によれば,実行本部の構成員であったからといって,直 生産を計画,実行し,その進捗を管理するものと位置づけられていたと認めることもできない。 (イ) 実行本部構成員の負う注意義務a 以上によれば,実行本部の構成員であったからといって,直ちにフェロシルトの開発,生産の業務を担当する取締役や従業員が立案する計画や報告について,フェロシルトの安全性や適法性を調査,確認すべき注意義務を負うことにはならない。 b とはいえ,実行本部の構成員の中には,現に酸化チタンに関する業務を担当し,過去に担当したことによって,酸化チタンやその産業廃棄物に関する詳しい知識を有している者も存在する。また,実行本部の構成員には,事務系の者と技術系の者がおり,それぞれの分野における専門的知識を有している。R会議及び実行本部内の会議が代表取締役社長,副社長,社長室技術企画本部,四日市工場等様々な知識経験を有する取締役の出席の下で開催されていたのは,再構築計画の各項目が原告X1 にとって重要なものであるだけに,当該分野の現在の担当者だけでなく過去の担当者の意見を聴取し,技術面だけではなく市場のニーズの見込み等の事務的な側面からも検討することによって,失敗を未然に防ぎ,円滑に再構築計画を達成しようとしたことにあったといえる。 そうすると,実行本部の構成員は,その経歴や属性に基づき,フェロシルトの問題点を認識することが可能であった場合には,R会議や実行本部内の会議において意見を述べることなどによって,これらの多目的な検討に寄与することが期待されていたといえる。 c 他方,フェロシルトは,平成11年1月当時,前記(1)イ(ウ)のとおり,QMSに沿って開発がされている途中であった。したがって,実行本部の構成員が,その当時,フェロシルトの開発,上市決定,生産がQMSから逸脱していたことを認識し,認 当時,前記(1)イ(ウ)のとおり,QMSに沿って開発がされている途中であった。したがって,実行本部の構成員が,その当時,フェロシルトの開発,上市決定,生産がQMSから逸脱していたことを認識し,認識し得たかが問題となることはないというべきでる。 d 以上によれば,実行本部の構成員が,フェロシルトの生産が開始された平成11年1月当時,その経歴,属性や認識していた事情に照らして,フェロシルトについて,QMSの開発が完了せず,フェロシルトの安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることにより,重金属や放射線による環境汚染を生じさせ,原告X1 に回収費用等の損害が生じることを予見し得たといえる場合には,フェロシルトの開発,生産を担当する取締役に対し,フェロシルトの想定される用途や顧客に応じた安全性を確認し,調査するよう指摘すべき義務を負っていたというべきである。 (ウ) 各被告の検討そこで,各被告について検討する。 a 被告Y7(a) 被告Y7 の役職と属性被告Y7 は,昭和45年11月に取締役に就任し,昭和63年6月から代表取締役社長を務め,実行本部のトップであり,R会議に出席していた。 このように被告Y7 は,平成11年1月当時,代表取締役社長及び実行本部のトップであったが,それまでの約10年間,四日市事業所に関わる部署を直接に担当したことがなかった。原告X1 は,従業員が1000人前後で,その売上げも年間800億円に上る規模の大きい企業であって,その事業内容も酸化チタンだけでなく農薬等多岐にわたっていた。したがって,被告Y7 が,代表取締役社長であるからといって,原告X1 の一部門でしかない四日市事業所の製造する酸化チタンやその産業廃棄物に関する化学の専門知識や四日市事 薬等多岐にわたっていた。したがって,被告Y7 が,代表取締役社長であるからといって,原告X1 の一部門でしかない四日市事業所の製造する酸化チタンやその産業廃棄物に関する化学の専門知識や四日市事業所の製品に適用されるQMSの具体的な内容を逐一把握することを要求するのは酷というべきである。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y7 は,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① フェロシルトは,産業廃棄物であるアイアンクレーが産出される工程において採取されるものである。 ② フェロシルトが生産されることによって,産業廃棄物のアイアンクレーが大幅に減量され,産業廃棄物のコスト削減という実行本部の目的を達成することができる。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y7 は,産業廃棄物であるアイアンクレーが産出される工程においてフェロシルトが採取されることを認識していた。しかし,被告Y7 は,アイアンクレーにクロムその他の金属や微量の放射性物質が含まれていることや平成10年12月にF社から脱塩アイアンクレーの総クロム量が多く,三価クロムが六価クロムに変質する可能性があることを理由に受入れを断られたことを認識していなかった。 この点について検討するに,被告Y7 は,四日市事業所,ひいては酸化チタンに直接に関わる部署に直近の約10年間在籍したことがなく,その職務上の経験から酸化チタンやその産業廃棄物に関する最近の知識を得ることもなかった。そのような被告Y 7 に対し,代表取締役社長であるからといって,原告X1 の一部門でしかない四日市工場で製造される酸化チタンの産業業廃棄物に含まれる化学物質やその特性まで逐一把握することを要求することは酷というべきで に対し,代表取締役社長であるからといって,原告X1 の一部門でしかない四日市工場で製造される酸化チタンの産業業廃棄物に含まれる化学物質やその特性まで逐一把握することを要求することは酷というべきである。被告Y7 が,アイアンクレーにクロムその他の金属や放射性物質が含まれており,フェロシルト中の三価クロムが有害な六価クロムに変質したり,放射線が出ることなどを予見し得なかったのはやむを得ないというべきである。 したがって,被告Y7 は将来フェロシルトが搬出された際に,フェロシルトに含まれる重金属や放射線による環境汚染が生じることまで予見し得たとはいえない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性被告Y7 は,平成11年1月当時,フェロシルトが生産されることによって,産業廃棄物のアイアンクレーが大幅に減量され,産業廃棄物のコスト削減という実行本部の目的を達成することができることを認識していた。しかし,この事実はフェロシルトの開発が産業廃棄物の減量化という目的のもとに開始されたことを示すにすぎず,それが,将来,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了しないまま搬出されることの可能性を高めるものではない。しかも,QMSの最高責任者は四日市事業所長であり,被告Y7 がフェロシルトのQMS上の開発手続の詳細を把握すべき立場であった訳ではない。 したがって,被告Y7 が,その当時,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たということもできない。 b 被告Y8(a) 被告Y8 の役職と属性被告Y8 は,実行本部の構成員であるが,平成元年6月に代表取締役,専務取締役として総務部門を管掌し,平成2年3月に四日市 うこともできない。 b 被告Y8(a) 被告Y8 の役職と属性被告Y8 は,実行本部の構成員であるが,平成元年6月に代表取締役,専務取締役として総務部門を管掌し,平成2年3月に四日市事業所長になった後も,同年6月に管理部門,平成7年6月に財務部門を併せて管掌するなど,一貫して事務系の業務を担当していた。 被告Y8 は,平成11年1月当時,酸化チタンを製造する四日市工場を傘下に抱える四日市事業所長を約9年間にわたり務めており,四日市工場で製造される酸化チタンやその産業廃棄物に関し,基礎的な知識を知っておくべき立場にあったといえる。また,被告Y8は,その当時,品質体制の最高責任者としてQMSを関係部署に実施させるべき立場にあったから,いくら品質保証室長にその権限を委譲したといっても,QMSの内容を熟知しておくべきであったといえる。 もっとも,被告Y8 は,総務部門,管理部門,財務部門等を管掌するなど,一貫して事務系の取締役であった。したがって,被告Y8は,四日市事業所長を務めていたといっても,酸化チタンやその産業廃棄物に関し,技術系の取締役と同様の化学的な専門知識を備えておくことを要求することは酷であるというべきである。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y8 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 原告X1 は,F社から,平成10年12月ころ,脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことから,平成11年4月以降,脱塩アイアンクレーを受け入れることはできないと通告された。 ③ フェロシルトは,顧客,品質規格が決定していない試作品であり,T国際空港の海上埋立用に搬出することを想定していたが,顧客が未定であり,用途も定まっ レーを受け入れることはできないと通告された。 ③ フェロシルトは,顧客,品質規格が決定していない試作品であり,T国際空港の海上埋立用に搬出することを想定していたが,顧客が未定であり,用途も定まっていなかった(c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y8 は,F社が総クロム量の多さから脱塩アイアンクレーの受入れを断ってきたことを認識していたが,その理由が三価クロムが高温下で有害な六価クロムに変化することにあったことまでは知らなかった。もっとも,平成11年1月当時,アイアンクレーに含まれるクロムは,無害で安定的とされる三価クロムであり,三価クロムが有害な六価クロムに変質することは自然環境下において起こらないと一般に考えられていた。そうすると,被告Y8 は事務系であって,酸化チタン等に関する化学的な専門知識を備えているとまではいなかったのであるから,平成11年1月当時,総クロム量の多さを理由に脱塩アイアンクレーの受入れが断られたことを知っていたからといって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性被告Y8 は,フェロシルトについて,顧客,品質規格が決定していない試作品であり,T国際空港の海上埋立用に搬出することが想定されていたが顧客及び用途が未定であることやフェロシルトの生産によって,アイアンクレーが削減され,産業廃棄物処理のコストの削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できることを認識していた。しかし,これらの事情が意味するところは,単にフェロシルトが産業廃棄物の減量化を目的として開発が始められたものであることや,それが未だに開発未了の段階であることを示すにすぎな していた。しかし,これらの事情が意味するところは,単にフェロシルトが産業廃棄物の減量化を目的として開発が始められたものであることや,それが未だに開発未了の段階であることを示すにすぎない。これらの事情を認識していたからといって,将来,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了しないまま搬出されることの可能性を高めるものでもない。しかも,その当時,フェロシルトは,QMSに沿って開発されており,将来開発が完了しないまま搬出される兆候が見られたわけでもなかった。 したがって,被告Y8 が,平成11年1月当時,品質体制の最高責任者である四日市事業所長としてQMSの内容を熟知しておくべき立場にあったとしても,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得なかったとしてもやむを得ないというべきである。 c 被告Y9(a) 被告Y9 の役職と属性被告Y9 は,実行本部の構成員であるが,昭和54年6月から無機営業部門担当の取締役を務め,平成2年6月から代表取締役専務取締役として営業部門を管掌し,平成9年6月から磁性材料事業運営本部長を,平成10年2月から代表取締役副社長兼社長補佐として営業部門を管掌していた。 このように被告Y9 は,専ら営業部門を管掌しており,酸化チタンを製造する四日市事業所との関連は薄く,しかも,事務系の取締役であった。したがって,被告Y9 に対し,酸化チタンやその産業廃棄物,QMSに関する専門的知識を有していることを期待することは酷である。被告Y9 は,実行本部の構成員であったものの,基本的には,この点に関する担当取締役や技術系の取締役等からの報告に特段の不自然,不合理なところがない以 いることを期待することは酷である。被告Y9 は,実行本部の構成員であったものの,基本的には,この点に関する担当取締役や技術系の取締役等からの報告に特段の不自然,不合理なところがない以上,これを信頼するほかなかったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y9 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y9 は,平成11年1月当時,フェロシルトが産業廃棄物であるアイアンクレーの工程から採取された物であること,F社から脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことを理由に受入れを断られたことを認識していた。 もっとも,被告Y9 は,F社が総クロム量が多いことから受入れを断ってきたのが,三価クロムが高温下で有害な六価クロムに変化することにあるとまでは知らなかった。被告Y9 がそれまでに管掌していたのが,化学的な専門知識を基本的に必要としない営業部門であったことからすれば,平成11年1月,F社から脱塩アイアンクレーの受入れを総クロム量の多さを理由に断られたことを知っていたことをもって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性フェロシルトが試作品で,顧客及び用途が未定であることやフェロシルトの生産によって産業廃棄物処理のコストの削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できるとの事実は,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおり,将来,フェロシルトの開発が完了しないまま搬出されることの可能 産業廃棄物処理のコストの削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できるとの事実は,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおり,将来,フェロシルトの開発が完了しないまま搬出されることの可能性を高めるものではない。 そうすると,被告Y9 が,これらの事実を認識していたとしても,フェロシルトの開発手続が完了していないことの予見可能性が高まるという関係にないといえる。のみならず,被告Y9 は,主に営業部門を管掌し,四日市事業所等,酸化チタンの製造に関連する部門に関わりがなく,QMSの内容を熟知すべき立場にもなかったのであるから,平成11年1月当時,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たということはできない。 d 被告Y10(a) 被告Y10 の役職と属性被告Y10 は,実行本部の本部長であるが,平成3年に取締役に就任し,平成7年6月から常務取締役として四日市工場長を,平成9年6月から常務取締役として四日市事業所開発研究本部長を務めていた。 このように被告Y10 は,新製品の開発に関わる四日市事業所開発研究本部長など,専門的な化学知識を必要とする部署の長を務めており,技術系であった。また,被告Y10 は,Y23 の直前の四日市工場長であり,工場長であった当時から,脱塩アイアンクレー等,産業廃棄物の減量化及び再資源化の試みがされており,その内容を技術的な側面を含めて知っておくべき立場にあった。被告Y10 が実行本部本部長となったのは,このような被告Y10 の経験及び知識が買われたからともいえる。したがって,被告Y10 は,酸化チタンや産業廃棄物に関し,化学的な分野の知識を十分に備えておくべき立場にあ となったのは,このような被告Y10 の経験及び知識が買われたからともいえる。したがって,被告Y10 は,酸化チタンや産業廃棄物に関し,化学的な分野の知識を十分に備えておくべき立場にあった。また,被告Y10 が四日市工場長を務めていたのは,QMSが導入された後のことであったから,四日市工場において製品を製造するのに欠かすことのできないQMSに関する知識も把握すべきであったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y10 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等の環境汚染の予見可能性被告Y10 は,フェロシルトが産業廃棄物であるアイアンクレーの工程から採取された物であること,F社から脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことを理由に受入れを断られたことを認識していた。 もっとも,被告Y10 は,F社が受入れを断ってきた理由が,三価クロムが高温下では有害な六価クロムに変化することにあったことまでは知らなかった。当時の一般的知見から,アイアンクレーに含まれるクロムは無害で安定的とされる三価クロムであり,三価クロムが有害な六価クロムに変質することは自然環境下において起こらないとされていたことからすると,被告Y10 が技術系であり,化学に関する専門知識を有していたとしても,平成11年1月当時,脱塩アイアンクレーの総クロム量が多いという認識から,直ちにこれが有害な六価クロムに変質することを想起することは困難であったというべきである。 したがって,被告Y10 が,上記の各事情を認識していたからといって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属による環 質することを想起することは困難であったというべきである。 したがって,被告Y10 が,上記の各事情を認識していたからといって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性被告Y10 は,フェロシルトが試作品で,顧客及び用途が未定であることやフェロシルトの生産によって産業廃棄物処理のコストの削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できることを認識していた。しかし,これらの事実は,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおり,将来,フェロシルトの開発が完了しないまま搬出されることの可能性を高めるものではない。しかも,その当時,フェロシルトは,QMSに沿って開発されており,将来開発が完了しないまま搬出される兆候が見られたわけでもなかった。 したがって,被告Y10 が,QMSの詳細まで知っておくべき立場にあったとしても,平成11年1月当時,実際のフェロシルトのQMSに基づく開発において特に問題となる状況があったといえない以上,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たというのは困難である。 eY23(a) 役職と属性Y23 は,昭和63年2月から四日市工場業務部長,平成3年3月から四日市事業所管理室部長,平成6年7月から四日市工場次長,平成7年6月から四日市工場副工場長,平成9年6月から四日市工場長を務めていた。このように,Y23 は,一貫して四日市工場に係る役職を歴任し,実行本部においては副本部長の地位にあった。しかも,Y23 は,前記(1)ア(ウ)aのとおり,平成11年1月当時,産業 た。このように,Y23 は,一貫して四日市工場に係る役職を歴任し,実行本部においては副本部長の地位にあった。しかも,Y23 は,前記(1)ア(ウ)aのとおり,平成11年1月当時,産業廃棄物の再利用及び再資源化業務の一環として実施されていたフェロシルトの開発,生産を担当する取締役でもあった。したがって,Y23 は,四日市工場長として,酸化チタン,産業廃棄物やQMSに関する知識について,化学的分野に関するものであっても,業務上取り扱っている酸化チタンの製造の仕組み等,基礎的なものについては知っておくべき立場にあったといえる。 もっとも,Y23 は,業務部長や管理室部長等,主に事務的な業務を担当してきており,いわゆる事務系であったから,Y23 に対し,技術系の取締役と同じレベルの化学等の知識を備えておくことを要求することまではできないというべきである。 (b) フェロシルトに関する認識Y23 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② アイアンクレーには微量の放射性物質が含まれている。 ③ フェロシルトについて商標登録手続をとれば,T国際空港の海上埋立用土砂として受け入れてもらいやすくなる。 ④ フェロシルトは,平成10年9月に開発を始めてから約4か月後の平成11年1月から試験生産が開始された。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性Y23 は,平成10年11月にI1社のZ8 からフェロシルトの生産工程の説明を受けており,平成11年1月当時,フェロシルトが,産業廃棄物であるアイアンクレーの工程を若干変更して生成された物であること,アイアンクレーには微量の放射性物質が含まれているこ 程の説明を受けており,平成11年1月当時,フェロシルトが,産業廃棄物であるアイアンクレーの工程を若干変更して生成された物であること,アイアンクレーには微量の放射性物質が含まれていることを認識していた。しかし,Y23 は,アイアンクレーにクロム等の金属類が含まれていることまでは認識していなかったし,平成10年12月にF社から脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことも知らされていなかった。当時,アイアンクレーの放射線量には細心の注意を払う必要があるが,放射線量さえ規制値を下回っていれば,アイアンクレーについて問題となるようなことはないと思っていた。 Y23 は,平成11年1月当時,フェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったが,事務系であったことからすれば,産業廃棄物に含まれる化学物質やそれがいかなる場合に有害物質に変質するかなどの化学的な専門知識まで備えておくことを要求することは酷である。Y23 が,平成11年1月当時,将来フェロシルトが搬出された際に,フェロシルトに含まれる重金属や放射線による環境被害が生じることを予見し得たというのは困難である。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性確かに、フェロシルトが生産されることにより,産業廃棄物のアイアンクレーが大幅に減量され,産業廃棄物のコスト削減という実行本部の目的を達成することができる。また,フェロシルトについて商標登録手続をとれば,T国際空港の海上埋立用土砂として受け入れてもらいやすくなるのも事実である。しかし,そうであるからといって,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることを推認させるものではない。そして,平成10年9月に開発を始めてから約4か月後の平成11年1月から試験生産が開始されたことは,開発の一過程にすぎないことか トが開発完了手続をしないまま搬出されることを推認させるものではない。そして,平成10年9月に開発を始めてから約4か月後の平成11年1月から試験生産が開始されたことは,開発の一過程にすぎないことからすれば,それが取りたてて拙速であったということもできない。 しかも,その当時,フェロシルトは,QMSに沿って開発されており,将来開発が完了しないまま搬出される兆候が見られたわけでもなかった。 したがって,Y23 が,平成11年1月当時,これらの事実を認識し,四日市工場長としてQMSの内容を把握しておくべき立場にあったとしても,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまでを予見し得たということはできない。 f 被告Y16(a) 被告Y16 の役職と属性被告Y16 は,実行本部の本部長付であるが,平成6年3月から,四日市事業所塩素法酸化チタン新技術開発室技術開発部長を務め,平成7年6月から取締役シンガポール工場担当を務め,シンガポールに駐在していた。 このように被告Y16 は,塩素法酸化チタンの新技術の開発に関わる部署の長を務めており,技術系であったばかりか,シンガポール工場においても酸化チタンを製造していたことからすれば,酸化チタンに関する化学の専門知識を有しておくべき立場にあった。 もっとも,被告Y16 は,平成7年6月からシンガポールに駐在し,そのころ四日市事業所に導入されたQMSの内容に通じていたとはいえない。また,被告Y16 が実行本部の構成員となったのは,シンガポール工場においても酸化チタンを製造していたからであり,その位置づけも取締役でありながら本部委員ではなく,実行本部長付にすぎなかった。しかも,再構築計画の が実行本部の構成員となったのは,シンガポール工場においても酸化チタンを製造していたからであり,その位置づけも取締役でありながら本部委員ではなく,実行本部長付にすぎなかった。しかも,再構築計画の産業廃棄物の減量化及び再資源化は,主に四日市工場に課せられた課題であって,もとよりシンガポール工場とは特に関連性はなかった。このように被告Y16 の実行本部内における位置づけやシンガポール工場とフェロシルトの関連性が薄かったことからすれば,被告Y16 が,国内にいる実行本部の構成員と同様に,R会議や実行本部内の会議においてフェロシルトの開発に関する問題点を指摘することまで,そもそも期待されていなかったというべきである。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y16 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y16 は,平成11年1月当時,フェロシルトが産業廃棄物であるアイアンクレーの工程から採取された物であることやF社から脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことを理由にその受入れを拒絶されたことを認識していた。もっとも,被告Y 16 は,三価クロムが高温下では有害な六価クロムに変化するというF社の受入拒絶の理由までは知らなかったから,当時の一般的な知見からすると,脱塩アイアンクレーの総クロム量が多いことから,三価クロムが有害な六価クロムに変質することまで想起することは困難であったというべきである。そもそも,被告Y16は,平成11年1月当時,シンガポール工場の担当として国外におり,主に四日市工場に関連性の深い脱塩アイアンクレーの問題の検討をどこまで期待 ることは困難であったというべきである。そもそも,被告Y16は,平成11年1月当時,シンガポール工場の担当として国外におり,主に四日市工場に関連性の深い脱塩アイアンクレーの問題の検討をどこまで期待されていたのか疑問がある。 したがって,被告Y16 が,脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを知っていたからといって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性被告Y16 は,QMSが四日市事業所に導入された平成7年6月からシンガポールに駐在しており,QMSの具体的な内容をそもそも知っておくべき立場になかった。したがって,被告Y16が,平成11年1月当時,フェロシルトが試作品であってその顧客も用途も定まっていないことやそのコスト削減効果について認識していたとしても,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たということはできない。 g 被告Y18(a) 被告Y18 の役職と属性被告Y18 は,実行本部の本部委員であるが,平成8年6月から,取締役開発研究本部技術研究所所長,平成10年2月から取締役社長室技術企画本部技術室長を務め,プラント建設を担当していた。 このように被告Y18 の担当事務はプラント建設であり,技術系ではあったものの,酸化チタンに関する化学的な専門知識を備えていたとはいえない。また,プラント建設事業は,およそ四日市事業所で製造される製品とは関連性がないから,QMSの適用が問題となる場面でもない。したがって,被告Y18 は,製品を製造するためのプラントを建設する場 ない。また,プラント建設事業は,およそ四日市事業所で製造される製品とは関連性がないから,QMSの適用が問題となる場面でもない。したがって,被告Y18 は,製品を製造するためのプラントを建設する場合などに必要な限りにおいてQMSの具体的な内容を知っておくべき立場にあったにすぎないというべきである。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y18 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y18 は,平成11年1月当時,フェロシルトが産業廃棄物であるアイアンクレーの工程から採取された物であることやF社から脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことを理由にその受入れを拒絶されたことを認識していたが,三価クロムが高温下では有害な六価クロムに変化するとの理由までは知らなかった。そうすると,当時の一般的な知見や被告Y18 の担当がプラント建設であったことからすれば,被告Y18 が,総クロム量が多いことを理由に脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを知っていたとしても,そのことからフェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性フェロシルトが試作品であって,顧客も用途も定まっていないことやフェロシルトのコスト削減効果それ自体は,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることの可能性を高めるものではないというのは,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおりである。したがって,被告Y18 がプラント建設に必要な限 は,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることの可能性を高めるものではないというのは,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおりである。したがって,被告Y18 がプラント建設に必要な限りにおいてQMSの内容を知っておくべき立場にあったにすぎなかったことからも,平成11年1月当時,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たということはできない。 h 被告Y17(a) 被告Y17 の役職と属性被告Y17 は,実行本部の構成員であるが,平成8年6月から,取締役機能材料研究所所長を,平成10年2月から取締役社長室技術企画本部副本部長を務めるなど,酸化チタンの新製品の開発及び応用開発を担当していた。 このように被告Y17 は,酸化チタンの新製品の開発等をしていたことから技術系であり,酸化チタンに関する化学の専門知識を備えていたというべきである。また,四日市事業所の新製品の開発にはQMSが適用されることから,被告Y17 は,少なくともQMSの開発手続の内容を知っておくべき立場にあったといえる。 したがって,被告Y17 は,被告Y1 のフェロシルトに関するR会議や実行本部内の会議における報告を受けて,自らの知識や経験に基づき,フェロシルトの開発に関する技術的側面やQMS上の問題を指摘することが十分に可能であったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y17 が,平成11年1月当時,フェロシルトについて認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y17 て認識していた事情は次のとおりであった。 ① 前記a(b)①及び②に同じ。 ② 前記b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討ⅰ 重金属等による環境汚染の予見可能性被告Y17 は,フェロシルトが産業廃棄物であるアイアンクレーの工程から採取された物であり,F社から脱塩アイアンクレー中の総クロム量が多いことを理由にその受入れを断られたことを認識していた。もっとも,被告Y17 は,三価クロムが高温下では有害な六価クロムに変化するというF社の受入拒絶の理由までは知らなかった。当時の一般的知見からすれば,被告Y17が,酸化チタンに関する化学の専門知識を有しており,平成11年1月当時,脱塩アイアンクレーの総クロム量の多いことから受入れを断られたことを認識していたとしても,三価クロムが将来有害な六価クロムに変質することまでを想起することは困難であったというべきである。 したがって,被告Y17 が,脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを知っていたことをもって,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 ⅱ QMSからの逸脱の予見可能性フェロシルトが試作品で,顧客及び用途が未定であることやフェロシルトの生産によって産業廃棄物処理のコストの削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できるとの事実は,前記(2)ア(ウ)b(c)ⅱのとおり,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることの可能性を高めるものではない。しかも,フェロシルトは,平成11年1月当時,QMSに沿って開発されており,将来,開発が完了しないまま搬出が開始されるような兆候が見られたわけでもなかった。 したがって,被告Y17 が,平成8年6月から機能 ェロシルトは,平成11年1月当時,QMSに沿って開発されており,将来,開発が完了しないまま搬出が開始されるような兆候が見られたわけでもなかった。 したがって,被告Y17 が,平成8年6月から機能材料研究所所長を務めるなど,フェロシルトの開発に関するQMS上の問題を指摘することが十分に可能な知識,経験を有していたとしても,平成11年1月当時,実際のフェロシルトのQMSに基づく開発において特に問題となる状況があったわけではない以上,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性が確認されないまま,将来搬出されることまで予見し得たというのは困難であるというべきである。 (エ) まとめ以上検討したところによれば,実行本部の構成員である被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y16,被告Y18 及び被告Y17 は,いずれも,平成11年1月当時,フェロシルトについて,QMSに沿った開発が完了せず,安全性規格が整備されず,安全性を確認しないまま,将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせ,これによって原告X1 に回収費用等の損害が生じることまで予見し得たとはいえない。 したがって,上記実行本部の構成員であった者は,平成11年1月当時,フェロシルトの想定される用途や顧客に応じた安全性や適法性を確認し,調査すべき義務を負っていたということはできないというべきである。 イ推進会議の構成員であった取締役(被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)の責任フェロシルトの搬出開始時の取締役のうち,推進会議の構成員であった者は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,特に推進を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者 フェロシルトの搬出開始時の取締役のうち,推進会議の構成員であった者は,フェロシルトの生産,管理,搬出(処理)について,特に推進を管理する機関の構成員として,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認を負う義務を負っていたか。 (ア) 推進会議の位置づけ等a 推進会議設置の目的と取扱分野推進会議は,平成15年3月期の業績目標を売上高1000億円以上,経常利益70億円以上,有利子負債650億円以下とする新4か年経営再建計画を達成するため,酸化チタン事業の構造改革をすべく,平成13年6月に設置された。その取り扱うテーマは,酸化チタンの販売,原材料の購買,生産,生産技術等全般であった。 b 推進会議の組織推進会議は,推進会議本部会と推進会議実行委員会から構成されていた。推進会議本部会の構成員は,主に原告X1 のうち酸化チタンに関連する部署を統括する立場にある取締役であった。また,Z2 は推進会議実行委員会の委員長,被告Y5 は委員長代行,被告Y22 は副委員長でもあった。その他の推進会議実行委員は取締役ではなく,従業員であった。 このような推進会議本部会,推進会議実行委員会の構成員の顔ぶれからすれば,推進会議本部会は推進会議実行委員会の上位に位置づけられるものであったと考えられる。 c 推進会議の位置づけ(a) 推進会議は,酸化チタン事業全般の構造改革を目的として設置された。その取り扱うテーマは,酸化チタンの生産技術,すなわち,産業廃棄物の減量化や再資源化のみに限られず,酸化チタン事業全般,すなわち,酸化チタンの販売,購買などの事務系の分野及び生産,生産技術等の技術系の分野など多岐にわたる。そのため,推進 術,すなわち,産業廃棄物の減量化や再資源化のみに限られず,酸化チタン事業全般,すなわち,酸化チタンの販売,購買などの事務系の分野及び生産,生産技術等の技術系の分野など多岐にわたる。そのため,推進会議本部会の構成員は,フェロシルトの開発等を担当する四日市工場関係者だけでなく,推進会議の取り扱う各テーマを業務規程上担当するすべての取締役から構成されており,多くが技術系の取締役であった実行本部と異なり,法務,総務,営業,財務など事務系の取締役の方が多かった。 そうすると,推進会議本部会の構成員が,フェロシルトの生産,管理,搬出等,推進会議の取り扱う各テーマの具体的な推進方法について,逐一情報提供を受けて意見を形成した上,推進会議本部会として意思決定し,承認するということは,推進会議本部会を経る必要がないものが含まれることになって,かえって推進会議全体の進行を阻害することにもなりかねないから,およそ想定されていなかったというべきである。 推進会議本部会に期待されていた役割としては,推進会議の目的,すなわち,酸化チタン事業の構造改革の成否を左右するような重要な問題について,担当取締役だけでなく,担当していない取締役も含めて多角的に検討するのに止まり,各テーマの具体的な推進方法の決定は担当取締役に委ねられていたと考えられる。 したがって,原告X1 における推進会議本部会の位置づけとしては,一般的には,フェロシルトの生産,管理,搬出の具体的な推進方法について,意思決定し,承認する機関であったと評価することはできない。 (b) また,推進会議実行委員会の委員長はZ2,委員長代行は被告Y5,副委員長は被告Y22 であるのに対し,実行委員は単なる従業員であることからすると,推進会議実行委員会は,推進会議のテーマ,例えば産業 また,推進会議実行委員会の委員長はZ2,委員長代行は被告Y5,副委員長は被告Y22 であるのに対し,実行委員は単なる従業員であることからすると,推進会議実行委員会は,推進会議のテーマ,例えば産業廃棄物処理コストの削減について立案し,推進させることが予定されていたといえる。そして,推進会議本部会は,前記(2)イ(ア)bのとおり,推進会議実行委員会の上位に位置づけられていた。しかし,実行委員会の構成員は,必ずしも推進会議の全テーマに通じているわけでもないから,フェロシルトの生産,管理,搬出等推進会議のテーマの具体的な推進方法の決定は,前記(2)イ(ア)c(a)のとおり,担当取締役に委ねられていたと考えられる。 したがって,原告X1 において,推進会議本部会が推進会議実行委員会の上位機関として実行委員会の進捗管理を行う機関として位置づけられていたとしても,一般的に,フェロシルトの生産,管理,搬出等の進捗管理まで行うものとはいえない。 (c) 以上によれば,推進会議本部会の構成員であったからといって,直接の業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認をすべき注意義務を直ちに負うことにはならないというべきである。 (d) もっとも,前記(2)イ(ア)c(a)のとおり,推進会議本部会には,酸化チタン事業の構造改革の成否を左右するような重要な問題について,担当取締役だけでなく,担当していない取締役も含めて多角的に検討することが期待されていた。そうすると,推進会議の本部会の構成員は,実行本部の場合と同様,その経歴や属性に基づく見地から,業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性に問題があることを認識した場合には,推進会議本部会 本部会の構成員は,実行本部の場合と同様,その経歴や属性に基づく見地から,業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,安全性や適法性に問題があることを認識した場合には,推進会議本部会において意見を述べることなどによって検討に寄与し,推進会議のテーマが円滑に達成し,違法行為が行われることを未然に防ぐことがその役割であったといえる。 したがって,推進会議本部会の構成員が,酸化チタン事業の構造改革の成否を左右するような重要な問題についての検討の際,業務執行取締役や実行担当者らが立案する計画や報告について,その経歴や属性に基づく見地から,安全性や適法性に問題があることを認識し,認識し得た場合には,安全性や適法性の面からの社内規程の遵守を含めた調査・確認をすべき注意義務を負うことになるというべきである。 d 平成13年8月6日午後の推進会議本部会の意義(a) 上記の推進会議本部会が,同日午前中の推進会議本部会において,Z2 の指示により,急遽開催されることになったのは,フェロシルトのT国際空港への搬出時期が平成13年9月から平成15年9月に大幅に遅れたことや当初見込んでいた60万トンの搬出量が半減したことにより,平成13年9月以降に生産されるフェロシルトが受入れの対象外となったことが,四日市工場からの情報提供によって判明したことによる。 そこで,フェロシルトについて,あくまでT国際空港への搬出を維持し,同年9月以降,フェロシルトの生産をせず,アイアンクレーの増量を容認するのか,あるいは,被告Y1 が準備した本件新規搬出先への搬出に変更するのか,いずれの方針を選択するのかを早急に決定することを迫られた。そして,上記問題は,酸化チタンの営業原価であるアイアンクレーの処分費用が削減できるかに関わってくるも 新規搬出先への搬出に変更するのか,いずれの方針を選択するのかを早急に決定することを迫られた。そして,上記問題は,酸化チタンの営業原価であるアイアンクレーの処分費用が削減できるかに関わってくるもので,酸化チタン事業の構造改革の成否を左右するような重要なものといえる。 (b) ところが,客観的には,その当時,T国際空港の海上埋立用にフェロシルトを使用する可能性は全くなく,搬出時期が遅れたとか,搬出量が半減したなどという理由はすべて虚偽であった。このような虚偽の情報がZ2 に伝わったのは,被告Y1 がT国際空港へのフェロシルトの搬出がその品質の問題を理由に断られたことが明るみに出ると,社内的にその責任を問われることを恐れて隠ぺい工作を行ったことによる。したがって,Z2 は,これらが虚偽であることを知らないまま,推進会議本部会を開催することにしたのであった。 以上のとおり,平成13年8月6日午後の推進会議本部会は,客観的にみれば,T国際空港株式会社から既に約3か月前にフェロシルトの受入れを断られていたのであるから,その時期に緊急に開催する必要もなく,T国際空港への搬出を維持するという選択肢を検討する必要はなかったともいえる。しかし,Z2 を含めてほとんどの構成員はこのことを知らなかった。したがって,平成13年8月6日午後の推進会議本部会は,あくまで,フェロシルトをあくまでT国際空港へ搬出し,同年9月以降,フェロシルトを生産しないこととするのか,あるいは,被告Y1 が準備した本件新規搬出先への搬出に変更するのか,いずれの方針を選択するのかを推進会議本部会として決定する場であったといえる。 (イ) 推進会議本部会構成員の負う注意義務a 平成13年8月6日午後の推進会議本部会は,前記(2)イ(ア)d( れの方針を選択するのかを推進会議本部会として決定する場であったといえる。 (イ) 推進会議本部会構成員の負う注意義務a 平成13年8月6日午後の推進会議本部会は,前記(2)イ(ア)d(a)のとおり,フェロシルトの搬出先について,T国際空港から本件新規搬出先に変更するという方針転換するか否かを決定する場であった。 もっとも,推進会議本部会の構成員は,前記(2)イ(ア)c(a)(177頁)のとおり,推進会議の取り扱う各テーマを業務規程上担当するすべての取締役から構成されていたから,酸化チタンに関連する部門を統括する取締役といっても,事務系の者が多く,フェロシルトという酸化チタンの産業廃棄物の再資源化という限定された分野の開発,生産,管理,搬出を担当する取締役と同様の知識を持っているわけではない。 にもかかわらず,検討に当たって提供された情報は,前記(2)イ(ア)d(b)のとおり,本件新規搬出先への搬出に方針転換することを誘導しようとの意図のもとに,T国際空港と本件新規搬出先への搬出にかかる費用を比較し,コスト面でどちらかメリットがあるかとの観点からのものばかりであり,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っているかという観点からの説明がないなど,偏りがあった。 しかも,平成13年8月6日午後の推進会議は,前記(2)イ(ア)d(b)のとおり,被告Y1 による虚偽の情報提供を前提として,同日午前中に急遽に開催することが決まったもので,同年9月以降フェロシルトを生産しないことにするのかが検討課題であったから,この会議で結論を出すことが予定されており,検討する時間も限られていた。そのような状況の下では,Y23,被告Y5,被告Y1 のように,フェロシルトの受入れがT国際空港株式会社から既に断られていることを知って 論を出すことが予定されており,検討する時間も限られていた。そのような状況の下では,Y23,被告Y5,被告Y1 のように,フェロシルトの受入れがT国際空港株式会社から既に断られていることを知っていたのであればともかく,それ以外の構成員(取締役)が,T国際空港への搬出時期や搬出量についての被告Y1 の説明が虚偽であることを見抜くことは極めて困難であり,上記推進会議本部会における被告Y1 らの説明を前提とするほかなかったといえる。 b 以上によれば,推進会議本部会の構成員は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,前記(2)イ(イ)aのとおり酸化チタン事業の構造改革の成否を左右するような重要な問題について多角的な検討をすることが期待されていたけれども,フェロシルトをT国際空港から本件新規搬出先への搬出に方針転換することの是非について,その詳細を一から精査することまでは求められていないというべきである。推進会議本部会の構成員は,フェロシルトを担当する部署が適正に職務を遂行していることを前提とし,フェロシルトについてQMSから逸脱した運用がされていることを明らかに認識し得たなど,担当取締役の被告Y5,業務担当者の被告Y1 及びZ11 の説明に明らかに不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情のない限り,フェロシルトの担当取締役や従業員に対し,本件新規搬出先の用途に応じた開発がQMSに沿ってされているかなどを確認すべき義務を負うことはなく,その担当していた職務上知り得た知識,経験に照らして,上記計画や報告の是非について検討すれば足りるというべきである。 (ウ) 各被告の検討そこで,各被告について検討する。 a 被告Y7(a) 被告Y7 の役職と属性被告Y7 は,前記(2 画や報告の是非について検討すれば足りるというべきである。 (ウ) 各被告の検討そこで,各被告について検討する。 a 被告Y7(a) 被告Y7 の役職と属性被告Y7 は,前記(2)ア(ウ)a(a)のとおり,昭和45年11月に取締役に就任し,昭和63年6月から平成11年6月まで代表取締役社長を務めた後,同月以降,業務執行を特に統括しない代表取締役会長となった。また,被告Y7 は,推進会議本部会の構成員であったが,それ以前に実行本部の構成員としてR会議に出席するなどしていた。 被告Y7 は,このように代表取締役社長退任後も会長となるなど,長年にわたって原告X1 の経営の中枢にいた。また,被告Y7 は,代表取締役社長であった当時に実行本部のトップを務めていただけでなく,会長に退いた後も推進会議本部会の構成員となるなど,酸化チタン事業の構造改革の取組みとの関連も深かった。しかし,前記(2)ア(ウ)a(a)のとおり,原告X1 の規模の大きさやその取り扱う事業内容が広範にわたること,被告Y7 自身,代表取締役社長に就任してから10年以上もの間,四日市事業所ないし四日市工場に関わる部署を担当していなかったことからすれば,被告Y7 が,代表取締役社長ないし会長としての業務遂行を通じて,フェロシルトの開発,生産へのQMSの具体的な実施状況について直接知る機会はほぼなかったといえる。 しかも,実行本部が平成11年11月に解消された後,フェロシルトの開発等の産業廃棄物の再資源化業務は四日市工場内の生産構造再構築推進室等に移された。したがって,被告Y7 が実行本部の構成員であったことに基づいて,フェロシルトについて得ることのできた情報は,試験生産が開始され,遮水材,培養土等の用途開発が実施されという程度にすぎなかっ された。したがって,被告Y7 が実行本部の構成員であったことに基づいて,フェロシルトについて得ることのできた情報は,試験生産が開始され,遮水材,培養土等の用途開発が実施されという程度にすぎなかった。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y7 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は主に次のとおりであった。 ① T国際空港の海上埋立用土砂としての使用を想定して,平成11年1月からフェロシルトの試験生産が開始された。 ② 平成13年4月27日取締役会において,同年9月からのT国際空港へのフェロシルトの搬出が確定したとの報告がされた。 ③ 平成13年8月6日午後の推進会議において,T国際空港への搬出時期が平成15年8月以降となったこと,しかも,その使用量が当初の見込みの半分の約29トンになったこと,本件新規搬出先への搬出にも費用がかかるが,T国際空港事業への搬出を維持し,受入れの対象外となるフェロシルトを産業廃棄物として処分する場合よりも約4億円の経費節減になること,本件新規搬出先の用途は,ゴルフ場の整地用,石材採掘跡の埋立用,ゴルフ場調整池埋立用,茶畑造成用であることなどが説明された。 (c) 検討被告Y7 は,昭和63年から代表取締役社長を務めていたが,QMSが原告X1の一部門でしかない四日市事業所ないし四日市工場の製品に適用されるものであり,度々改訂された上,大部のものであったことからすれば,QMSの具体的な内容を逐一詳細に把握することまでは困難であったといえる。 しかも,被告Y7 は,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが断られたこと自体を知らされていなかった。被告Y7 は,被告Y1 らの説明を信じて,本件新規搬出先への搬出の検討が必要となったのは,T国際空港への搬出 株式会社からフェロシルトの受入れが断られたこと自体を知らされていなかった。被告Y7 は,被告Y1 らの説明を信じて,本件新規搬出先への搬出の検討が必要となったのは,T国際空港への搬出時期が予定されていた平成13年9月から平成15年8月に大幅に遅れ,その使用量が当初の見込みから半減し,今後生産されるフェロシルトが受入れの対象外になったことによると思っていたのである。 このような被告Y7 の認識を前提にすると,被告Y7 の関心事は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,専らフェロシルトの搬出にかかるコスト面にあり,被告Y7 が被告Y1 らの説明をQMSに照らして,海上埋立用土砂としての開発がQMSに沿って実施されていないのではないか,本件新規搬出先に応じた開発がQMSに沿って実施されていないのではないかなどを検討しなかったというのにも無理からぬところがある。 したがって,被告Y7 が,フェロシルトがQMSの運用から逸脱した取扱いがされていることを認識し得なかったのはやむを得ないというべきであり,被告Y1 らの説明に明らかな不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情があるとはいえない。 b 被告Y21(a) 被告Y21 の役職と属性被告Y21 は,平成12年5月,(セ)社の取締役から,原告X1に入社して,まず,業務に関する意思決定の権限を有しない顧問となり,同年6月29日に代表取締役副社長,社長補佐(有機部門管掌)に就任し,平成13年6月から,代表取締役副社長,社長補佐兼社長室有機企画開発本部長兼社長室法務本部長を務めていた。 被告Y21 は,このように原告X1 に入社して1年が経過したばかりであるのに,代表取締役副社長,社長補佐として,農薬事業等の有機 室有機企画開発本部長兼社長室法務本部長を務めていた。 被告Y21 は,このように原告X1 に入社して1年が経過したばかりであるのに,代表取締役副社長,社長補佐として,農薬事業等の有機部門を管掌し,法務部長等を務めていた。これは,被告Y21が元総合商社の取締役としての経験を買われ,顧問的な立場で大所高所から経営に参画したものである。したがって,被告Y21 は,酸化チタンの原料である鉱石の輸入に関しては専門的な知識を有していると言い得るとしても,原告X1 入社後に初めて接することになる四日市工場のQMSに関する知識や経験は乏しかったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y21 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,被告Y7 の場合と同様,前記a(b)の①ないし③であった。 (c) 検討被告Y21 が,原告X1 に入社後直ちに代表取締役副社長となり,主に有機部門及び法務部門を担当するようになったのは,総合商社の元取締役の経験を買われたからであった。ところで,QMSは,四日市工場において生産する製品に適用されるものであり,四日市工場又は原告X1全体の品質保証に関する部門に関わる者でなければ,具体的な内容を知る機会は少ない。そうすると,被告Y21 が総合商社から原材料の製造という畑違いの会社に入社後わずか1年で,しかも,担当外の無機系事業の酸化チタンに関するQMSの具体的な内容について逐一詳細に把握することを期待するのは困難である。 しかも,被告Y21 は,被告Y7 と同様に,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体を知らされておらず,本件新規搬出先への搬出が必要となったのは,被告Y1 らの説明どおり,T国際空港事業の搬出時期の遅れやその使 際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体を知らされておらず,本件新規搬出先への搬出が必要となったのは,被告Y1 らの説明どおり,T国際空港事業の搬出時期の遅れやその使用量の半減により,今後生産されるフェロシルトが受入れの対象外になったことによると思っていた。 これによれば,被告Y21 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,フェロシルトについて,T国際空港事業の海上埋立用土砂の開発が終了していないことや本件新規搬出先の開発が終了していないことなど,QMSから逸脱した取扱いがされていることを認識し得たということはできず,被告Y1 らの説明に明らかな不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情があるとはいえない。 cY23(a) Y23 の役職と属性Y23 は,前記(2)ア(ウ)e(a)のとおり,昭和63年2月から四日市工場業務部長,平成3年3月から四日市事業所管理室部長,平成6年7月から四日市工場次長,平成9年6月から四日市工場長を務め,長年にわたり四日市工場にかかる役職を歴任し,実行本部においては副本部長の地位にあった。もっとも,Y23 は,平成11年6月以降,四日市工場を離れ,地球環境本部長等として,原告X1全体の品質保証業務を担当するようになった。 (b) フェロシルトに関する認識Y23 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,被告Yの場合と同様,前記a(b)の①ないし③のほかに④ Y23 は,平成13年5月21日までに,フェロシルトがT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としての受入れを断られたことを知り,原告X1 として大変厳しい状況になると思ったということであった。 (c) 検討Y23 は ,フェロシルトがT国際空港株式会社から海上埋立用土砂としての受入れを断られたことを知り,原告X1 として大変厳しい状況になると思ったということであった。 (c) 検討Y23 は,昭和63年2月から四日市工場業務部長を務めるなど四日市事業所又は四日市工場に関連する部署の勤務が続いており,QMSが制定された平成7年6月当時,四日市工場次長であり,その後,四日市工場長を務めていた。また,平成11年6月以降,原告X1全体の品質管理状況の把握を業務とする品質保証部を統括する地球環境本部長を務めていた。したがって,Y23 は,四日市工場において長年にわたって勤務しており,原告X1 の品質保証部を統括する地球環境本部長であったことからすれば,QMSの内容を詳細に把握しておくべき立場にあったというべきである。 しかも,Y23 は,平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトのT国際空港への搬出が確定したとの報告を受けた後,同年5月には,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れが断られたと聞いた。そして,Y23 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,ゴルフ場の整地用,石材採掘跡の埋立用,茶畑造成用,ゴルフ場調整池埋立用という用途でフェロシルトを搬出する旨の本件新規搬出計画の報告を受けたというのである。 そうすると,Y23 としては,QMSに照らして,海上埋立用土砂としての開発が完了したことから搬出が確定したはずであるのに,その後に受入れを断られたことは,QMSに沿った開発がされていたのか,本件新規搬出先の用途に応じた開発が別途必要であるはずなのに,開発期間が短すぎるのではないかという疑問を抱いてしかるべきであり,QMSから逸脱した運用がされていることを認識し得たといわざるを得ない。また,Y23 は,その じた開発が別途必要であるはずなのに,開発期間が短すぎるのではないかという疑問を抱いてしかるべきであり,QMSから逸脱した運用がされていることを認識し得たといわざるを得ない。また,Y23 は,その当時,T国際空港からフェロシルトの受入れが断られたことを知っていたから,T国際空港への搬出時期が遅れ,搬出量が半減したなどの被告Y1らの説明が虚偽であることも認識し得たのである。 これらの事情によれば,Y23 には,被告Y1 らの説明に明らかに不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚える特段の事情があったというべきである。 d 被告Y12(a) 被告Y12 の役職と属性被告Y12 は,平成7年6月29日に取締役に就任し,平成9年6月27日に常務取締役酸化チタン営業本部長兼業務部長となり,平成13年8月6日当時,専務取締役酸化チタン営業本部長兼機能材料営業企画本部長であった。 このように被告Y12 の担当業務は,酸化チタンに関連するものの,主に営業部門を担当し,酸化チタンを製造する四日市工場に関係する業務は少なかったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y12 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,被告Y7 の場合と同様,前記a(b)の①ないし③のとおりであった。 (c) 検討被告Y12 が担当する酸化チタンの営業部門は,白色塗料の原材料である酸化チタンを国内外のメーカーに販売することが主な業務である。営業部門は,顧客と四日市工場との間に立って,顧客の新製品のニーズを探って四日市工場に伝えたり,品質規格案の内容を調整したりすることもあり,QMSに全く関連しないとまではいえない。もっとも,営業部門のQMSとの関わりは,品質規格等その業務に関係する部分的なもので 探って四日市工場に伝えたり,品質規格案の内容を調整したりすることもあり,QMSに全く関連しないとまではいえない。もっとも,営業部門のQMSとの関わりは,品質規格等その業務に関係する部分的なものであり,QMSにおいて,製品の開発にどのような過程や手続が要求されているのかなどの内容の詳細までを逐一把握することまでは必要とされていない。したがって,主に営業部門を担当してきた被告Y12 に対し,QMSの具体的な内容について逐一把握することを要求するのは酷である。 しかも,被告Y12 は,被告Y7 と同様にT国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体を知らされておらず,被告Y1 らの説明どおり,本件新規搬出先への搬出が必要となったのは,T国際空港事業の搬出時期の遅れやその使用量の半減により,今後生産されるフェロシルトが受入れの対象外になったことによると思っていた。 これによれば,被告Y12 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,フェロシルトについて,T国際空港事業の海上埋立用土砂の開発が終了していないことや本件新規搬出先の開発が終了していないことなどQMSから逸脱した取扱いがされていることを認識し得たということはできず,被告Y1 らの説明に明らかに不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情があるとはいえない。 e 被告Y5(a) 被告Y5 の役職と属性被告Y5 は,平成9年6月から取締役酸化チタン営業本部営業部長兼海外部長という四日市工場とは関連の薄い部署を担当していたが,平成11年6月から,四日市工場長となり,製造部門全般を統括するようになった。そして,被告Y5 は,平成12年6月の機構改革によって四日市事業所が廃止されたことに伴い,四日市工場長として, たが,平成11年6月から,四日市工場長となり,製造部門全般を統括するようになった。そして,被告Y5 は,平成12年6月の機構改革によって四日市事業所が廃止されたことに伴い,四日市工場長として,品質体制の最高責任者としてQMSを関係部署に実施させるべき立場となった。したがって,被告Y5 が,四日市工場長の品質体制に関する権限を品質保証室長に委譲したといっても,QMSの内容を熟知しておくことは当然の前提であったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y5 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,前記(1)ウ(イ)cの①ないし⑦の事情のほか,次の⑧であった。 ⑧ 被告Y5 は,平成13年8月6日午後の推進会議において,その当時,フェロシルトがT国際空港の海上埋立用に使用される可能性が客観的になくなっていたにもかかわらず,T国際空港への搬出時期がT国際空港建設工事の事業時期の変更により,当初の見通しどおりにいかなくなったとの虚偽の説明をした。 (c) 検討被告Y5 は,平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトをT国際空港へ搬出することが確定したとの報告を受けていたにもかかわらず,同年5月上旬には,品質の問題を理由に受入れを断られたことを知ったというのである。本来のQMSの手順からすれば,一旦搬出が確定した以上,それまでにT国際空港株式会社からフェロシルトの品質に問題がないとの回答を得ていたはずである。にもかかわらず,搬出の確定した後に,品質を理由に受入れを断るということは,フェロシルトの開発がQMSに沿って実施されていたのか疑いをもってしかるべきであった。 また,被告Y5 は,平成13年5月上旬,T国際空港株式会社からフェロシルトの品質に問題があることを理由に受入れ ェロシルトの開発がQMSに沿って実施されていたのか疑いをもってしかるべきであった。 また,被告Y5 は,平成13年5月上旬,T国際空港株式会社からフェロシルトの品質に問題があることを理由に受入れを断られたと聞いていたのであるから,フェロシルトが海上埋立用土砂として,T国際空港株式会社の要求する品質を満たさなかったことを認識することが可能であった。そして,被告Y5 は,T国際空港事業に代わる搬出先の検討が開始されてから約3か月後には,被告Y1からゴルフ場の整地用,石材採掘跡の埋立用,ゴルフ場調整池埋立用という主に埋立材として使用する旨の本件新規搬出計画の報告を受けたというのである。被告Y5 としては,四日市工場長としてQMSの具体的内容を詳細に把握しておくべき立場にあったから,QMSにおいて要求されている開発の各手続からして,海上埋立用土砂としての使用を断られたフェロシルトについて,わずか約3か月のうちに再び埋立材としての品質を備えるような開発を完了することができたのかの疑問を抱くべきであった。 しかも,被告Y5 は,フェロシルトについて,平成11年3月及び同年4月の取締役会において,培養土としての用途の検討がされているとの報告を聞いた。しかし,それ以降,被告Y1 から本件新規搬出計画の報告を受けるまでに,フェロシルトを培養土として受け入れた業者がいたとの報告を聞いたことがなく,培養土としての開発が進んでいるとの報告を受けたこともなかったのである。この点からみても,被告Y5 としては,QMSに照らして,フェロシルトについて,わずか3か月のうちに,培養土と類似する茶畑造成用としての品質を備えるような開発を完了することができたのかの疑問を抱くべきであった。 これらの事情からすれば,被告Y5 は,フェロシルトについてQ わずか3か月のうちに,培養土と類似する茶畑造成用としての品質を備えるような開発を完了することができたのかの疑問を抱くべきであった。 これらの事情からすれば,被告Y5 は,フェロシルトについてQMSから逸脱した運用がされていることを認識し得たということができる。 また,被告Y5 は,平成13年8月6日午後の推進会議の冒頭において,T国際空港への搬出時期が遅れることになったという虚偽の説明をしており,当然,被告Y1 の説明が虚偽であることを認識し得た。 以上によれば,被告Y5 には,被告Y1 の説明に依拠することに躊躇を覚える特段の事情があったというべきである。 f 被告Y14(a) 被告Y14 の役職と属性被告Y14 は,平成9年5月,R社の取締役から,原告X1 に入社して顧問となり,同年6月に原告X1 の常務取締役財務本部長兼社長室企画管理本部長付に就任し,平成11年11月から財務本部長兼管理本部長を務めていた。被告Y14 が,原告X1 に入社したわずか1か月後に常務取締役として財務本部長となったのは,被告Y14が企業向けの銀行の元取締役として,当時,赤字体質が問題となっていた原告X1 の財務を立て直し,債権回収を円滑に図ることに狙いがあったといえる。したがって,被告Y14 は,原告X1 の財務に関する知識は相当程度あったといえるものの,四日市工場等の製品を製造する現場の業務に直接携わることはなく,四日市工場のQMSに関する知識や経験は乏しかったといえる。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y14 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,被告Y7 の場合と同様,前記a(b)の①ないし③のとおりであった。 (c) 検討被告Y14 の業務は,主に財務部門を担当し,赤字決 13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,被告Y7 の場合と同様,前記a(b)の①ないし③のとおりであった。 (c) 検討被告Y14 の業務は,主に財務部門を担当し,赤字決算を続けていた原告X1 の財務を立て直すところに主眼があった。当時,原告X1 の赤字決算の原因が酸化チタンの営業原価の高さにあり,それを解消するためには生産コスト,中でも産業廃棄物の処理費用を削減する必要があった。フェロシルトに関する知識も,そのような観点から求められるにすぎない。  そもそも,QMSは,四日市工場の製品の品質を確保する目的で作成されたものであり,製品の生産コストやその削減とは基本的に関連性がないものであった。したがって,四日市工場又は原告X1全体の品質保証に関する部門を担当したことのない被告Y14 に対し,QMSの内容を具体的に把握することを要求するのは酷である。 しかも,被告Y14 は,被告Y7 と同様にT国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体を知らされておらず,被告Y1の説明どおり,本件新規搬出先への搬出が必要となったのは,T国際空港事業の搬出時期の遅れや使用量の半減により,今後生産されるフェロシルトが受入れの対象外になったことによると思っていた。 これによれば,被告Y14 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,フェロシルトについて,T国際空港事業の海上埋立用土砂の開発が終了していないこと及び本件新規搬出先の開発が終了していないなど,QMSから逸脱した取扱いがされていることを認識し得たということはできない。 g 被告Y22(a) 被告Y22 の役職と属性被告Y22 は,平成11年11月から四日市事業所四日市工場技術室長,平成12年6月から四日市工場技術室長兼酸化 識し得たということはできない。 g 被告Y22(a) 被告Y22 の役職と属性被告Y22 は,平成11年11月から四日市事業所四日市工場技術室長,平成12年6月から四日市工場技術室長兼酸化チタン顔料研究所長兼機能材料開発研究所長,平成13年6月28日から取締役社長室無機企画開発本部本部長代行兼四日市工場副工場長兼技術室長を務めており,四日市工場の無機系事業の研究開発に従事してきた,いわゆる技術系の取締役であった。また,被告Y22 は,平成10年11月の新アイアンクレーに商品名を付けることとした中和滓の商標登録に関する会議にも四日市工場次長として参加 していた。したがって,被告Y22 は,QMSの内容,特に新製品の開発にどのような手続が必要とされるのかを知っておくべき立場にあり,また,フェロシルトの開発にも関与していた。また,被告Y22 は,工場次長ないし副工場長として,早朝ミーティング,月次報告会や品質保証委員会に出席し,フェロシルトに関する報告を受けていた。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y22 が,平成13年8月6日までにフェロシルトについて認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 新アイアンクレーは,平成10年11月にT国際空港株式会社から産業廃棄物であることを理由に受入れを断られたことから,商品名を付けることになった。 ② 前記a(b)の③に同じ。 (c) 検討被告Y22 は,遅くとも平成11年11月から,四日市事業所の無機系事業の研究開発に従事し,QMSの内容を詳細に把握しておくべき立場にあったといえる。 しかし,被告Y22 は,無機系事業の研究開発の方針の策定や実行本部に関する業務を担う技術企画本部の下で,酸化チタン顔料等の開発を行う技術室に所属していた。すなわち,技術室は にあったといえる。 しかし,被告Y22 は,無機系事業の研究開発の方針の策定や実行本部に関する業務を担う技術企画本部の下で,酸化チタン顔料等の開発を行う技術室に所属していた。すなわち,技術室は酸化チタンそのものの技術開発を行う部署であり,同じ四日市事業所ないし四日市工場といっても,酸化チタンの産業廃棄物であるアイアンクレーの処理やフェロシルトなどの産業廃棄物の再資源化業務を取り扱うI1社との関連は薄かったといえる。 また,フェロシルトの開発がQMSに沿ったものとはいえなくなったのは,前記(1)イ(ウ)のとおり,平成13年4月下旬以降のこと であった。そうすると,被告Y22 がフェロシルトの開発に関与したといっても,その当時(平成10年11月),フェロシルトの開発はQMSに沿っていたこと,被告Y22 が直接に担当していた業務と産業廃棄物の再資源化業務との関連性が薄かったことからすれば,被告Y22 が,平成13年4月下旬以降,フェロシルトの開発がQMSに沿って行われなくなったことを知らないことはやむを得ないというべきである。 しかも,被告Y22 は,被告Y7 と同様に,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体を知らされておらず,被告Y1 らの説明どおり,本件新規搬出先への搬出が必要となったのは,T国際空港事業の搬出時期の遅れやその使用量の半減により,今後生産されるフェロシルトが受入れの対象外になったことによると思っていた。 このような被告Y22 の認識を前提にすると,被告Y22 は,T国際空港株式会社から断られたことを知らないから,海上埋立用土砂としての開発がQMSに沿って実施されていないという疑いを抱くことは困難である。また,被告Y22 が,酸化チタンの産業廃棄物の再資源化業務に通じていない ら断られたことを知らないから,海上埋立用土砂としての開発がQMSに沿って実施されていないという疑いを抱くことは困難である。また,被告Y22 が,酸化チタンの産業廃棄物の再資源化業務に通じていないことからすれば,本件新規搬出先の開発に要する手順や期間についての見当をつけることができず,本件新規搬出先の開発期間が短すぎるなど,QMSに沿っていないとの疑いを抱かなかったとしてもやむを得ないというべきである。 したがって,被告Y22 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,フェロシルトについてQMSから逸脱した取扱いがされていることを認識し得たというのは困難であり,被告Y1 らの説明に明らかに不備,不足があり,これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情があるとはいえない。  (エ) まとめ以上によれば,被告Y7,被告Y21,被告Y12,被告Y14 及び被告Y 22 は,平成13年8月6日推進会議本部会において,本件新規搬出先の用途との関係において,QMSがどのように運用されていたかなど,フェロシルトの開発,生産,管理がQMSに基づいているかどうかを被告Y1 などに質問するなどして,調査,確認すべき義務を負っていたということはできない。 他方,Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月6日推進会議本部会当時,本件新規搬出先の用途との関係において,QMSがどのように運用されていたのかなど,フェロシルトの開発,生産,管理がQMSに基づいているかを被告Y1 へ質問するなどして,調査,確認すべき義務を負っていたというべきである。 にもかかわらず,Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月6日推進会議本部会において,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っているものと漫然と思い込み,この点について確認せず,本件新規搬出 である。 にもかかわらず,Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月6日推進会議本部会において,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っているものと漫然と思い込み,この点について確認せず,本件新規搬出先に搬出する作業を進めるようにとのZ2 の指示に対し異議を述べることもなかった。 そこに取締役としての任務懈怠(善管注意義務違反)の責を免れないというべきである。 (オ) 被告Y2 ら及び被告Y5 の主張についてa 推進会議の位置づけ(a) 被告Y2 ら及び被告Y5 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会も,フェロシルトの生産,管理,搬出についての意思決定ないし承認をする機関ではなく,本件新規搬出先への搬出を決定したのは推進会議本部会ではなく,Z2 であったと主張する。 (b) しかし,平成13年8月6日午後の推進会議本部会は,これが開催されるに至った経緯からすれば,前記(ア)d(b)のとおり,従来の方 針を変更して被告Y1 が準備した本件新規搬出先へ搬出するのかを推進会議本部会構成員によって検討した上,承認するかを決定する場であったといえる。実際,上記推進会議本部会の議事録を見る限り,Z2 が主に発言していたものの,被告Y5 も発言をしている。そこに,Z2 以外の本部会の構成員の発言が許されなかったという事情を認めることはできないのであって,構成員が上記問題を検討していたものと認められる。そうすると,被告Y1 及び管理部長のZ11 の説明を受けて,Z2だけが本件新規搬出先への搬出を決定したものということはできない。 本件新規搬出先へ搬出することは,推進会議本部会において決定されたものと認めるのが相当である。 (c) したがって,被告Y2 ら及び被告Y5 の上記主張を採用することはできない。 b アイアンクレー及びフ 出先へ搬出することは,推進会議本部会において決定されたものと認めるのが相当である。 (c) したがって,被告Y2 ら及び被告Y5 の上記主張を採用することはできない。 b アイアンクレー及びフェロシルトに関する認識(a) 被告Y2 ら及び被告Y5 は,平成13年8月当時,① アイアンクレーは放射線量さえ規制値を下回っていれば問題がないこと,②アイアンクレーが産業廃棄物として処理されている理由は,無価値物で性状が「汚泥」に当たるからであり,有害な物質が含まれているからではないこと,③ アイアンクレーは有害な物質を含んでいないことから,含有する水分を減らして強度を高めることにより,土壌埋戻し材の性能を備えることができ,産業廃棄物から製品となること,④ フェロシルトについて,原告X1 と三重県が共同特許出願をすることから,フェロシルトが原告X1 独自の技術により開発された画期的な土壌埋戻し材であることの認識を有していたとして,平成13年8月6日当時,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれていることを予見することは不可能であり,フェロシルトの品質に問題があるとはいえなかったから,本件新規搬出先の用途に応じた開発がQMSに沿って されているかなどを確認すべき義務を負うことはないと主張する。 (b) 確かに,アイアンクレーが,規制値を下回る放射線量しか含んでおらず,有害な物質が含まれていない産業廃棄物であったとの認識は,アイアンクレーから採取されたフェロシルトについて,土壌環境基準値を超える有害な六価クロムが含まれることの予見可能性を妨げるものである。しかし,そもそもアイアンクレーが有害であるかどうかという問題と,アイアンクレーから採取されたフェロシルトの商品開発がQMSに沿ってされるかどうかという問題とは ことの予見可能性を妨げるものである。しかし,そもそもアイアンクレーが有害であるかどうかという問題と,アイアンクレーから採取されたフェロシルトの商品開発がQMSに沿ってされるかどうかという問題とは別の事柄である。Y23 及び被告Y5 が,アイアンクレーが無害であると認識していたとしても,フェロシルトの開発がQMSに沿ってされたことが推認されることにはならないのである。 (c) また,Y23 及び被告Y5 は,平成13年5月,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたことを知ったが,その後,原告X1 が三重県と共同特許出願をすることを知って,フェロシルトの土壌埋め戻し材としての品質が優れていると認識した旨供述(被告Y5 の陳述書〔乙Bア9〕及びY23 の陳述書〔乙Bア10〕を含む。)する。 しかし,上記特許の内容は,フェロシルトを大量の水又は海水で石膏を溶出する際に,リンが硫酸カルシウム(石膏)と反応してリン酸カルシウムを沈殿させることによる容存リン除去技術であって(105頁),強度が高いなど,土壌埋め戻し材としての性能の高さとは必ずしも結びつくものではない。そのことから,フェロシルトの土壌埋め戻し材として品質が優れているという認識に至るのは困難というべきである。したがって,Y23 及び被告Y5 の上記供述を採用することもできない。 (c) 以上によれば,被告Y2 ら及び被告Y5 の主張を採用することはできない。  (3) 争点(3)(フェロシルトの開発,生産,管理,搬出に関する監視義務違反)についてアフェロシルト生産開始時の取締役(被告Y11,被告Y15,被告Y20)の責任フェロシルトの担当取締役及び実行本部の構成員以外のフェロシルト生産開始時の取締役であった被告Y11,被告Y15 及び被告Y ロシルト生産開始時の取締役(被告Y11,被告Y15,被告Y20)の責任フェロシルトの担当取締役及び実行本部の構成員以外のフェロシルト生産開始時の取締役であった被告Y11,被告Y15 及び被告Y20 は,平成11年1月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であることを認識し,又は,容易に認識し得たか(監視義務について信頼の原則を覆す特段の事情の有無)。 (ア) フェロシルトの担当取締役以外の取締役の負う監視義務フェロシルトの開発,生産の業務を担当する取締役は,四日市工場長及び四日市工場副工場長である。実行本部の構成員でもないその余の取締役は,フェロシルトの開発,生産の業務執行に関する責務を負うことはない。もとより,実行本部の構成員ではなく,取締役会を構成するにすぎない取締役といえども,他の取締役を監視する責務自体は免れない。 しかし,原告X1 が農薬,酸化チタン等の様々な化学製品を取り扱っており,取締役には開発,生産部門を担う技術系と営業,財務等を担う事務系の者がいて,その有する知識,経験が均一ではないことから,取締役が他の取締役を実効的に監視することは困難である。そのため,四日市工場において生産される製品の品質を確保するための内部統制システムの一環として,QMSを含む品質マネジメントシステムが設けられた。 そして,平成11年1月当時のQMSにおいては,品質保証室長が,四日市事業所長に対し,四日市工場内における製品の開発,生産,管理,搬出がQMSに沿って実施されているかを報告し,四日市事業所長がこれに基づいて品質体制の是正・改善を行うなどにより,製品の開発,生産を担当する取締役の職務執行に対する監視がされることとなっていた。 したがって,フェロシルトの開発,生産の担当でも づいて品質体制の是正・改善を行うなどにより,製品の開発,生産を担当する取締役の職務執行に対する監視がされることとなっていた。 したがって,フェロシルトの開発,生産の担当でもなく,実行本部の構成員でもない取締役は,特に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り,担当取締役の職務執行が適法であると信頼すれば足り,基本的に担当取締役がフェロシルトの想定される用途に応じた安全性の調査をしたかなどの監視義務を負うものではない。 (イ) 各被告の検討そこで,以下,各被告について,上記の特段の事情,すなわち,フェロシルトが将来搬出された際に重金属等による環境汚染が生じ,これによって回収費用等の損害が生じる可能性があることを知り得たかを検討する。 a 被告Y11(a) 被告Y11 の役職と属性被告Y11は,平成7年6月から取締役東京本社統括室長を務め,平成8年11月から総務本部副本部長,平成9年6月から常務取締役総務本部長兼東京本社統括室長兼秘書室担当を務めていた。被告Y11 は,平成11年1月当時,フェロシルトの担当取締役や実行本部の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 東京本社は,製造部門である四日市事業所ないし四日市工場との関連が薄い。また,総務部は酸化チタンの生産業務等に支障が出ないようサポートする部署であり,品質の確保に関わるQMSを直接に取り扱うことはなかった。 被告Y11 は,東京本社や総務部門を担当してきた事務系の取締役であるから,アイアンクレーやフェロシルト及びこれらに適用されるQMSについて,業務上取り扱う機会がほとんどなかったといえる。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y11 が,平成11年1月29日 アンクレーやフェロシルト及びこれらに適用されるQMSについて,業務上取り扱う機会がほとんどなかったといえる。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y11 が,平成11年1月29日の取締役会当時フェロシルト等について認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 前記(2)ア(ウ)a(b)①及び②に同じ。 ② 前記(2)ア(ウ)b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討被告Y11 は,F社が,総クロム量の多さを理由として脱塩アイアンクレーの受入れを断ってきたことを認識していた。しかし,被告Y11は総務部門を担当してきた事務系の取締役である。しかも,その担当業務上,アイアンクレーやフェロシルトと関わることがほぼなかった。したがって,三価クロムが高温下で有害な六価クロムに変化し得るとしても,アイアンクレーから採取されるフェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることを予見し得たということはできない。 また,被告Y11 は,フェロシルトが試作品であること,フェロシルトの生産により産業廃棄物処理のコスト削減という実行本部が掲げる目標の1つが達成できることについて認識していた。しかし,そのこと自体は,単にフェロシルトが産業廃棄物の減量化を目的として開発が始められ,未だ開発未了の段階であることを示すにすぎない。それが,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることの可能性を高めるものでもない。 被告Y11 が,東京本社や総務部門というQMSと直接関連しない分野を担当してきており,QMSの具体的内容に通じていないことからすれば,平成11年1月の取締役会当時,フェロシルトが試作品であるとか,これにより産業廃棄物処理費用の削減が達成でき るとの認識を有していたとしても, Sの具体的内容に通じていないことからすれば,平成11年1月の取締役会当時,フェロシルトが試作品であるとか,これにより産業廃棄物処理費用の削減が達成でき るとの認識を有していたとしても,フェロシルトが,将来,QMSに沿った取扱いがされないまま搬出されることまで予見し得たということはできない。また,他に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる事情も見いだし難い。 b 被告Y15(a) 被告Y15 の役職と属性被告Y15 は,平成7年6月から取締役中央研究所副所長,平成9年6月から取締役社長室技術企画本部副本部長兼中央研究所所長,平成10年2月から取締役社長室技術企画本部副本部長兼技術管理部長を務め,有機系事業の農薬の研究開発等を担当する技術系の取締役であった。被告Y15 は,平成11年1月当時,フェロシルトの担当取締役や実行本部の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 ところで,新製品の開発手順としてQMSに従う必要があるという点では,有機系の農薬の研究開発でも無機系事業の酸化チタンの研究開発でも変わりはない。しかし,有機事業が炭素を含む化合物を対象とするのに対し,無機系事業は鉱石等炭素を含まないものを対象としており,その取扱分野は大幅に異なっている。被告Y15 は,有機系の農薬の研究開発を担当する技術系の取締役であったから,必ずしも無機系事業の酸化チタンの研究開発に通じていたということはできない。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y15 が,平成11年1月29日の取締役会当時フェロシルト等について認識していた事情は,被告Y11 と同じく次のとおりであった。 ① 前記(2)ア(ウ)a(b)①及び②に同じ。 ② 前記(2)ア(ウ)b(b)②及び③に同じ。 時フェロシルト等について認識していた事情は,被告Y11 と同じく次のとおりであった。 ① 前記(2)ア(ウ)a(b)①及び②に同じ。 ② 前記(2)ア(ウ)b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討被告Y15 も,F社が,総クロム量の多さを理由として脱塩アイアンクレーの受入れを断ってきたことを認識していた。 しかし,被告Y15 は,技術系の取締役といっても,炭素を含む化合物を取り扱う有機系事業を担当しており,鉱石等を取り扱う無機系事業に関する化学知識を十分に備えていたとは言い難い。そうすると,被告Y15 が,平成11年1月当時,F社から総クロム量が多いことを理由に脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを認識していたからといって,三価クロムが高温下では有害な六価クロムに変質し得ることから,将来,アイアンクレーから採取されたフェロシルトが重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たというのは困難である。 また,被告Y15 も,フェロシルトが試作品であること,フェロシルトの生産により産業廃棄物処理のコスト削減の効果があることを認識していた。しかし,そのこと自体,フェロシルトが産業廃棄物の減量化を目的として開発が始められ,未だ開発未了の段階であることを示すにすぎないのは,前同様である。それが,将来,フェロシルトが開発完了手続をしないまま搬出されることの可能性を高めるものでもない。 被告Y15 が,平成7年6月の取締役就任以降,主に農薬の研究開発等の有機部門というフェロシルトやQMSと直接関連しない分野を担当し,フェロシルトの具体的な開発状況に接していなかったことからすれば,平成11年1月の取締役会当時,上記の認識を有していたからといって,フェロシルトが,将来,QMSに沿った取扱いがされないまま搬出される ェロシルトの具体的な開発状況に接していなかったことからすれば,平成11年1月の取締役会当時,上記の認識を有していたからといって,フェロシルトが,将来,QMSに沿った取扱いがされないまま搬出されることまで予見し得たとは言い難い。また,他に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる事情も見いだし難い。 c 被告Y20(a) 被告Y20 の役職と属性被告Y20 は,平成9年6月から取締役兼秘書役兼酸化チタン営業本部長付を務め,Y7 の特命により米国の農薬事業の売却交渉に当たっていた。被告Y20 は,平成11年1月当時,フェロシルトの担当取締役や実行本部の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 このように,被告Y20 は,その役職こそ酸化チタン営業本部長付きとなっていたが,実際には,その主な担当業務は,米国の農薬事業の売却交渉であり,酸化チタン事業と全く関連がない事務系の業務を担当していた。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y20 が,平成11年1月29日の取締役会当時フェロシルト等について認識していた事情は,被告Y11 と同じく次のとおりであった。 ① 前記(2)ア(ウ)a(b)①及び②に同じ。 ② 前記(2)ア(ウ)b(b)②及び③に同じ。 (c) 検討被告Y20 は,社長の被告Y7 の特命を受けて,主として米国での農薬事業の売却交渉等を主に担当していたのであるから,平成11年1月の取締役会当時,F社から総クロム量が多いことを理由に脱塩アイアンクレーの受入れを断られたことを知っていたとしても,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 また,被告Y20 が,米国農薬事業の売却交渉等を主 ていたとしても,フェロシルトが将来搬出されることにより,重金属等による環境汚染を生じさせることまで予見し得たということはできない。 また,被告Y20 が,米国農薬事業の売却交渉等を主に担当しており,フェロシルトを含む国内の状況を把握しているとは言い難いことからすれば,平成11年1月29日の取締役会当時,フェロシルトが試作品であり,フェロシルトの生産によって,産業廃棄物処理のコストの削減が達成できることの認識を持っていたとしても,将来,フェロシルトが,QMSから逸脱して搬出されることまで予見し得たとはいうことはできない。また,他に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる事情も見いだし難い。 (ウ) まとめ以上検討したところによれば,被告Y11,被告Y15 及び被告Y20 には,いずれも平成11年1月の取締役会当時,特にアイアンクレーないしフェロシルトの担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情があったとはいえない。 したがって,担当取締役の職務執行が適法であると信頼してもやむを得ないところであるから,担当取締役がフェロシルトの想定される用途に応じた安全性の調査をしたかなどの監視義務を負うことはないというべきである。 イフェロシルト搬出開始時の取締役(被告Y13,被告Y18,被告Y19)の責任フェロシルトの担当取締役及び推進会議の構成員以外のフェロシルト搬出開始時の取締役であった被告Y13,被告Y18 及び被告Y19 は,平成13年8月当時,フェロシルトがQMS上の手続を完了していない開発未了の製品であり,生産から2年6か月間,四日市工場内に山積みされてきたにもかかわらず,QMS上の搬出検査を経ていない商品であることを認識し,又は,容易に認識し得たか。 (ア) フェロシルトの担当取締役 製品であり,生産から2年6か月間,四日市工場内に山積みされてきたにもかかわらず,QMS上の搬出検査を経ていない商品であることを認識し,又は,容易に認識し得たか。 (ア) フェロシルトの担当取締役以外の取締役の負う監視義務フェロシルトの開発,生産,管理,搬出の業務を担当する取締役は,前記【乙事件関係】(1)ア(ア)a(a)及び前記(1)ア(ウ)aないしcのとおり,四日市工場長及び四日市工場副工場長であったから,フェロシルトの担当取締役ではなく,推進会議本部会構成員でもないその余の取締役は,フェロシルトの開発,生産の業務執行に関する責務を負うものではない。もとより,取締役会を構成するにすぎない取締役といえども,他の取締役を監視する責務自体は免れない。もっとも,原告X1 は,規模が大きく,生産する製品が多岐にわたっていることから,前記(3)ア(ア)(201頁)のとおり,製品の品質を確保するためにQMSを含む品質マネジメントシステムを設けることとした。そして,平成13年8月当時のQMSにおいては,品質保証室長が,四日市工場長に対し,四日市工場内における製品の開発,生産,管理,搬出がQMSに沿って実施されているかを報告し,四日市工場長がこれに基づいて品質体制の是正・改善を行うなどによって,製品の開発,生産を担当する取締役の職務執行に対する監視がされることとなっていた。 したがって,フェロシルトの開発,生産の担当でもなく,推進会議本部会の構成員でもない取締役は,フェロシルトの開発がQMSによって行われていないことを知り得たなど,特に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り,担当取締役の職務執行が適法であると信頼すれば足り,基本的に担当取締役が本件新規搬出先への搬出に際し,QMSの手続を履行した 当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り,担当取締役の職務執行が適法であると信頼すれば足り,基本的に担当取締役が本件新規搬出先への搬出に際し,QMSの手続を履行したかなどの監視義務を負うものではない。 (イ) 各被告の検討そこで,以下,各被告について検討する。 a 被告Y13(a) 被告Y13 の役職と属性被告Y13 は,平成8年6月から取締役社長室企画管理本部管理部長兼関係会社事業管理部長,平成9年6月から常務取締役社長室管理企画本部長兼情報システム部長兼財務本部長付,平成11年11月から常務取締役社長室企画開発本部長,平成12年6月から常務取締役シンガポール社社長,社長室付(特命担当)を務めていた。 被告Y13 は,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの担当取締役や推進会議本部会の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 このように被告Y13 は,原告X1 全体の予算に関わる管理部門や財務部門を務めた後,酸化チタンを生産するシンガポール工場の担当となった事務系の取締役であり,四日市工場に関連する部門を担当したことがなく,フェロシルトの開発やQMSの知識がほとんどなかったといえる。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y13 が,フェロシルトの搬出開始直後の平成13年9月3日の取締役会の当時認識していた事情は,次のとおりであった。 ① Z2 から,推進会議の実行テーマとして,産業廃棄物処理のコスト削減,再資源化対策が急務であり,「酸化チタンの生産に伴い不可避的に発生するアイアンクレー,フェロシルト等の処理コストが急増している。酸化チタン事業の存続を図る上で本問題への対応が極めて重要であることから,四日市工場を中心に対応策 酸化チタンの生産に伴い不可避的に発生するアイアンクレー,フェロシルト等の処理コストが急増している。酸化チタン事業の存続を図る上で本問題への対応が極めて重要であることから,四日市工場を中心に対応策の策定を行う。」との報告があった。 ② フェロシルトは,平成11年1月から生産が開始され,その後,長いものでは2年6か月間,四日市工場内に約30万トンも山積みされていた。 (c) 検討被告Y13 は,フェロシルトが平成11年1月から生産が開始され,四日市工場内に堆積されていることを知っており,Z2 から,平成13年9月の上記取締役会において,産業廃棄物の処理コスト削減等の問題への対応が極めて重要であり,四日市工場が対応策の策定を行うとの報告を受けていた。しかし,被告Y13 は,フェロシルトの開発やQMSと関係の極めて薄い業務を担当し,推進会議の構成員でもなく,そもそも,フェロシルトの搬出先がT国際空港ではなく本件新規搬出先へ変更されたことすら認識していなかった。 なお,平成11年1月からのフェロシルトの生産は,前記(1)イ(イ)のとおり,QMSの「現場試作による企業化検討」という段階の一環としてQMSに沿うものであったから,この点に関する被告Y13の認識は問題とならない。 確かに、Z2 は,平成13年9月の取締役会における報告において,「フェロシルトの処理コスト」という表現を使用した。しかし,これは「アイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト」というように産業廃棄物であるアイアンクレーと並んで挙げられたもので,フェロシルトのみの処理費用を特に取り上げられたものでもなかった。被告Y13 は,四日市事業所や四日市工場に関わる部門を担当したことがなかったのであるから,Z2 の上記報告から,フェロシルトが取引価値のない廃棄 みの処理費用を特に取り上げられたものでもなかった。被告Y13 は,四日市事業所や四日市工場に関わる部門を担当したことがなかったのであるから,Z2 の上記報告から,フェロシルトが取引価値のない廃棄物であるとか,QMSの開発が完了していないなどと認識し得たということはできない。 以上によれば,被告Y13 が,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っていないことを知り得たということはできない。また,他にフェロシルトの担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情も見いだし難い。 b 被告Y18(a) 被告Y18 の役職と属性被告Y18 は,前記(2)ア(ウ)g(a)のとおり,平成8年6月から,取締役開発研究本部技術研究所所長等を務めていたが,平成11年6月に取締役を退任し,平成13年6月から取締役社長室有機企画開発本部副本部長を務め,プラント建設を担当していた。被告Y18は,実行本部の本部委員であったが,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの担当取締役や推進会議本部会の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 このように被告Y18 は,技術系の取締役であり,実行本部の本部委員であった。しかし,被告Y18 の担当はプラント建設であり,その業務に必要な限りにおいてQMSの内容を知っていれば足りる立場にあった。 (b) フェロシルト等に関する認識被告Y18 が,平成13年9月3日の取締役会の当時認識していた事情は,被告Y13 と同じく,前記a(b)①,②のとおりであった。 (c) 検討被告Y18 は,フェロシルトが平成11年1月から生産が開始され,四日市工場内に堆積されていることを知っており,Z2 から,平成 と同じく,前記a(b)①,②のとおりであった。 (c) 検討被告Y18 は,フェロシルトが平成11年1月から生産が開始され,四日市工場内に堆積されていることを知っており,Z2 から,平成13年9月3日の上記取締役会において,産業廃棄物の処理コスト削減等の問題への対応が極めて重要であり,四日市工場が対応策の策定を行うとの報告を受けていた。しかし,被告Y18 は,技術系の取締役であり,実行本部の本部委員であったけれども,その担当はプラント建設であって,酸化チタンの産業廃棄物やQMSについては必ずしも詳しいわけではなかった。しかも,実行本部は約2年前(平成11年11月)に解消され,その後,フェロシルトの開発等 の産業廃棄物の再資源化業務は被告Y1 が室長を務める生産構造再構築推進室等に移された。被告Y18 が実行本部の構成員であったことに基づいて,フェロシルトについて得ることのできた情報は,試験生産が開始され,遮水材,培養土等の用途開発が実施されているという程度であった。 したがって,そのような被告Y18 が,フェロシルトの搬出先がT国際空港ではなく本件新規搬出先へ変更されたことすら認識していなかったのもやむを得ない(なお,平成11年1月からのフェロシルトの生産は,前記(1)イ(イ)cのとおりQMSに沿うものであったから,この点に関する被告Y18 の認識は問題にならないというべきである。)。 確かに、Z2 は,平成13年9月3日の取締役会における報告において,「フェロシルトの処理コスト」という表現を使用した。しかし,主にプラント建設を担当し,実行本部の解消後,産業廃棄物の再利用等の関わりが一切なくなって久しい被告Y18 にとって,「フェロシルトの処理コスト」という表現が一部説明に含まれていたとしても,その文言に着 ラント建設を担当し,実行本部の解消後,産業廃棄物の再利用等の関わりが一切なくなって久しい被告Y18 にとって,「フェロシルトの処理コスト」という表現が一部説明に含まれていたとしても,その文言に着目した上で,フェロシルトが取引価値のない廃棄物であり,QMSの開発が完了していないことを認識し得たというのは酷というべきである。 以上によれば,被告Y18 が,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っていないことを知り得たということはできない。また,他に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情も見いだし難い。 c 被告Y19(a) 被告Y19 の役職と属性被告Y19 は,平成9年6月から取締役バイオサイエンス営業企画 本部商品開発部長,平成10年6月から社長室開発企画本部中央研究所副所長兼新農薬開発・商品化推進本部副本部長を兼任した後,平成11年6月に取締役を退任し,平成13年6月から取締役バイオサイエンス営業企画本部本部長代行を務め,主に有機部門を担当する技術系の取締役であった。被告Y19 は,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの担当取締役や推進会議本部会の構成員ではなく,単に取締役会を構成する取締役に過ぎなかった。 このように被告Y19 は,技術系の取締役であったが,主に有機系事業,中でもバイオサイエンス関係の開発を担当していた。したがって,有機系事業の開発担当として,新製品の開発に適用されるQMSに関する知識が必要である。しかし,前記(3)ア(イ)b(a)(204頁)のとおり,有機系事業と無機系事業とはその取扱対象が大幅に異なっていた。被告Y19 が,有機系のバイオサイエンスの研究開発を担当する技術系の取締役であったところからすると,無機 b(a)(204頁)のとおり,有機系事業と無機系事業とはその取扱対象が大幅に異なっていた。被告Y19 が,有機系のバイオサイエンスの研究開発を担当する技術系の取締役であったところからすると,無機系事業の酸化チタン,ましてや産業廃棄物の再利用等の研究開発に通じているということはできない。 (b) フェロシルトに関する認識被告Y19 が,フェロシルトの搬出開始直後の平成13年9月3日の取締役会の当時認識していた事情は,被告Y13 と同じく,前記a(b)①,②のとおりであった。 (c) 検討被告Y19 は,フェロシルトが平成11年1月から生産が開始され,四日市工場内に堆積されていることを知っており,Z2 から,平成13年9月3日の上記取締役会において,産業廃棄物の処理コスト削減等の問題への対応が極めて重要であり,四日市工場が対応策の策定を行うとの報告を受けていた。しかし,被告Y19 は,バイオサイエンスという無機系事業である酸化チタンの産業廃棄物の再利用に関する開発とは関連のない部門を担当しており,フェロシルトの開発がQMSに沿っているかについて業務上知る機会もなかった。 そのような被告Y19 が,技術系の取締役であったとしても,フェロシルトの搬出先がT国際空港ではなく本件新規搬出先へ変更されたことすら認識していなかったのはやむを得ない(なお,平成11年1月からのフェロシルトの生産は,前記(1)イ(イ)cのとおり,QMSに沿うものであったから,この点に関する被告Y19 の認識は問題にならないというべきである。)。 確かに,Z2 は,平成13年9月3日の取締役会における報告において,「フェロシルトの処理コスト」という表現を使用した。しかし,これは「アイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト」というように産業廃棄物 ,Z2 は,平成13年9月3日の取締役会における報告において,「フェロシルトの処理コスト」という表現を使用した。しかし,これは「アイアンクレー,フェロシルト等の処理コスト」というように産業廃棄物であるアイアンクレーと並んで挙げられたもので,フェロシルトのみの処理費用を特に取り上げられたものでもなかった。被告Y19 が,技術系の取締役であったとしても,実行本部や推進会議の構成員でもなく,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等との関わりは全くなかったから,Z2 の上記報告から,フェロシルトが取引価値のない廃棄物であり,QMSの開発が完了していないことを認識し得たというのは困難である。 以上によれば,被告Y19 が,平成13年9月3日の取締役会当時,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っていないことを知り得たということはできない。また,他にフェロシルトの担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情も見いだし難い。 (ウ) まとめ以上検討したところによれば,被告Y13,被告Y18 及び被告Y19 には, いずれも平成13年9月3日の取締役会当時,特に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情があったといえないから,担当取締役の職務執行が適法であると信頼すれば足り,担当取締役が本件新規搬出先への搬出に際し,QMSの手続を履行したかなどの監視義務を負っていたということはできない。 (4) 争点(4)(損害との相当因果関係)について前記(1)ないし(3)に関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 ア義務違反行為(ア) Y23Y23 は,前記(2)イ(ウ)c(c)のとおり,推進会議本部会の構 原告X1 にフェロシルト回収費用等の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 ア義務違反行為(ア) Y23Y23 は,前記(2)イ(ウ)c(c)のとおり,推進会議本部会の構成員として,平成13年8月6日推進会議本部会の当時,本件新規搬出先の用途との関係において,QMSがどのように運用されていたのかを確認すべき義務を負っていた。にもかかわらず,Y23 は,これらを調査,確認せずに,フェロシルトの開発,生産,管理,搬出がQMSのもとでされていると信じたことには過失があったというべきである。 (イ) 被告Y5被告Y5 は,前記(1)ウ(イ)dのとおり,フェロシルト生産,管理,搬出を担当する取締役として,平成13年8月6日推進会議本部会の当時,フェロシルトについて,石材採掘跡埋立材,ゴルフ場整地用,ゴルフ場調整池埋立用,茶畑造成用としての開発がQMSに沿って完了したのかを調査,確認すべき義務を負っていた。また,被告Y5 は,前記(2)イ(ウ)e(c)のとおり,推進会議本部会構成員として,平成13年8月6日推進会議本部会の当時,本件新規搬出先の用途との関係において,QMSがどのように運用されていたのかを確認すべき義務を負っていた。にもかかわらず,被告Y5 は,これらを調査,確認せずに,フェロシルトの開 発,生産,管理,搬出がQMSのもとでされていると信じたことには過失があったというべきである。 イ原告X1 の損害発生に至る経緯(ア) Z2 は,フェロシルトの担当取締役であった被告Y5 及び被告Y1 に対し,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出作業を早急に実施するようにと述べた。被告Y1 を発議者,被告Y5 を発議管掌上位者として,同月8 Y1 に対し,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出作業を早急に実施するようにと述べた。被告Y1 を発議者,被告Y5 を発議管掌上位者として,同月8日,本件新規搬出先へフェロシルトを搬出する費用の支出に係る本件稟議が発議され,推進会議本部会構成員による合議を経て,Z2 によって,本件稟議が決裁された。 平成13年8月中旬以降,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出が開始された。被告Y1 は,フェロシルトの搬出費用について,本件稟議によって予算の枠が確定していたことから,本件新規搬出先以外の搬出について四日市工場長の決裁を取ることなく,原告X1 とI3社間の売買契約,I3社と搬出業者間の売買契約,原告X1 と搬出業者との運搬費等を支払う契約を締結し,搬出した。そして,平成17年4月までの間に,原告X1 から,フェロシルト合計約72万トンが搬出され,埋設された。 原告X1 は,平成17年6月に岐阜県,三重県からフェロシルトの回収命令が出されたことにより,上記約72万トンのフェロシルト及びその周辺の土壌の合計約160万トンについて,遅くとも平成22年12月末までに,485億8400万円の費用をかけて回収した。 (イ) 他方,フェロシルトについて,平成11年3月30日,平成13年4月12日,同年6月11日に採取された分については,M県環境保全事業団による検査が行われたが,土壌環境基準値を超えるフェロシルトは検出されなかった。  しかし,同年7月12日に採取されたフェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されている。また,I1社技術部長のZ1によって,同年8月下旬に実施された六価クロムの溶出試験においても,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出され シルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されている。また,I1社技術部長のZ1によって,同年8月下旬に実施された六価クロムの溶出試験においても,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出された。 さらに,同年10月26日にLに埋設されたフェロシルトから,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出され,I1社技術副部長のZ6 によって,同年12月に実施されたフェロシルト中の六価クロムの還元実験においても,土壌環境基準値を超える六価クロムが検出された。 以上によれば,平成13年7月12日以降に生産されたフェロシルトは,生産直後から土壌環境基準値を超える六価クロムを含むものであったといえる。また,平成13年7月12日より前に生産されたフェロシルトについても,時間の経過等により酸化が進むことによって,結果的に土壌環境基準値を超える六価クロムを含有していたことになった。 ウ検討(ア) 前記損害を生じさせた根本的な原因原告X1 に前記損害をもたらした根本的な原因は,被告Y1 が,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれることを知りながら,これを上司である四日市工場長の被告Y5 を初めとする他の取締役らに隠したまま,平成13年8月中旬から平成17年4月まで,フェロシルトを搬出し続けたことにある。 これを可能にしたのは,四日市工場においてQMSに基づく厳格な品質保証体制を設けておきながら,QMSの実施を監視すべき品質保証室長とQMSに基づいて製品を生産する側の副工場長が同一人物である被告Y1 であったことなど,品質保証体制が実効的に機能していなかったことによる。 また,フェロシルトの開発,生産の実務に当たったI1社の従業員に はフェロシルトに土壌環境基準値を超 Y1 であったことなど,品質保証体制が実効的に機能していなかったことによる。 また,フェロシルトの開発,生産の実務に当たったI1社の従業員に はフェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含まれることを知っていた者もいた。ところが,当時,I1社においては,代表取締役専務であった被告Y1 が実質的に支配していたために,I1社の代表取締役社長や代表取締役会長による監視機能が働いていなかった。I1社の従業員は,被告Y1 の上に社長や会長が存在したにもかかわらず,被告Y1 を恐れて,土壌環境基準値を超える六価クロムがフェロシルトに含まれている事実を被告Y1 の上司に報告することができなかったのである。これが,被告Y1 による長期間のフェロシルトの搬出を可能にし,親会社である原告X1 に巨額の損害を与えた結果を招いた一番の原因であったといえる。 (イ) 結論以上のほか,Y23 及び被告Y5 の上記義務違反の内容や程度,担当取締役を外れた時期,取締役自体を退任した時期等(別紙「取締役在任期間等」参照),本件に現れた一切の事情を総合して検討するならば,被告Y5 及びY23 の善管注意義務違反と因果関係が認められる損害は,次のとおりであると認めるのが相当である。 aY23本件損害485億8400万円の20%相当額 97億1680万円b 被告Y5本件損害485億8400万円の50%相当額 242億9200万円エ被告Y2 ら及び被告Y5 の主張について被告Y2 ら及び被告Y5 は,平成13年8月6日当時,被告Y5 が,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出がQMSに沿っているか否かを調査,確認したとしても,被告Y1 が,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っ  は,平成13年8月6日当時,被告Y5 が,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出がQMSに沿っているか否かを調査,確認したとしても,被告Y1 が,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っ ているかのような偽装工作を実施し,フェロシルトから土壌環境基準値を超える六価クロムが検出されたことを隠ぺいしたことにより,結果的に本件新規搬出先への搬出を阻止することはできなかったから,Y23 及び被告Y5 の上記義務違反行為と上記損害の発生との間には相当因果関係があるとはいえないと主張する。 しかし,被告Y5 が,平成13年8月6日以降,本件新規搬出先への搬出がQMSに沿っているか否かを調査,確認すれば,本件新規搬出先の用途に応じた開発計画書の作成がされていないことなどから,QMSに沿った開発手続がとられていないことが明らかになる。そうすると,本件新規搬出先への開発手続が改めて実施され,試作品の性能を確認し,品質規格案をとりまとめて開発完了報告をするために,六価クロムの溶出試験を含むフェロシルトの品質検査が行われる。これによって,フェロシルトに土壌環境基準値を超える六価クロムが含有されていることが明るみに出る可能性は十分にあった。 したがって,Y23 及び被告Y5 の上記義務違反行為と原告X1 との回収費用等相当額の損害発生との間の相当因果関係が否定されることはなく,被告Y2 ら及び被告Y5 の上記主張を採用することはできない。 (5) 争点(5)(産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反)についてア平成13年4月27日当時の取締役(被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21)上記取締役会に出席した取締役は,T国際空港にフェロシルトを搬出す 年4月27日当時の取締役(被告Y7,被告Y9,被告Y10,Y23,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y5,被告Y21)上記取締役会に出席した取締役は,T国際空港にフェロシルトを搬出する際に8億3600万円の搬出費用を計上し,フェロシルトについて,その市場価値(上記取締役会当時は不明であった。)を上回る費用を支払って搬出することを認識したから,フェロシルトの搬出の適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に 該当することを容易に認識することができたか。)。 (ア) フェロシルト搬出の適法性を調査すべき義務を基礎づける事情a 平成13年4月27日取締役会の決議の意味上記取締役会において,平成12年度決算の特別処理として,平成13年3月末時点におけるフェロシルトの在庫分27万8939トンについて,搬出費用8億3600万円(トン当たり3000円)の引当計上を酸化チタンの売上原価で実施することを承認する旨が決議された。この決議は,フェロシルトの搬出費用の決算処理に関するものであり,フェロシルトをT国際空港事業の海上埋立用土砂として平成13年9月から搬出すること自体を承認したものではない。 しかし,上記決議がなされなければ,フェロシルトを平成13年9月からT国際空港へ搬出する費用を支出することができない。したがって,上記決議をしないことにより,事実上,搬出を阻止することが可能であったといえる。そして,上記決議は決算処理に関するものであるが,平成13年4月27日取締役会に出席した取締役としては,フェロシルトの搬出が違法行為に抵触する疑いがあることを認識していたならば,上記搬出の適法性についても調査すべき義務を負うという関係にある。 b 廃棄物処理法 締役会に出席した取締役としては,フェロシルトの搬出が違法行為に抵触する疑いがあることを認識していたならば,上記搬出の適法性についても調査すべき義務を負うという関係にある。 b 廃棄物処理法の検討可能性しかも,フェロシルトは,もともと産業廃棄物であったアイアンクレーの処理費用の削減を契機として開発された。このような経緯からすれば,平成13年4月27日取締役会に出席した取締役が,フェロシルトの搬出が廃棄物処理法に抵触しないかの検討を想起するのはさほど困難なことではなかったというべきである。 c 「廃棄物」とその該当性廃棄物処理法所定の「廃棄物」に該当するかどうかは,当該物が, 自ら利用し又は他人に無償で譲渡することができないために,事業者にとって不要になった物であるかどうかにより判断されるべきである。この点は,その物の性状,排出の状況,通常の取扱形態,取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決すべきことになる(最高裁平成11年3月10日決定・刑集53巻3号339頁参照)。 本件では,原告X1が,T国際空港株式会社に対し,フェロシルトを売却するに際し,その搬出費用を負担することとされた。それが「廃棄物」の不法投棄等,廃棄物処理法に違反するか否かは,原告X1 が,T国際空港株式会社に対し,フェロシルトを売却する形式をとり,同社から代金の支払を受けるものの,その代金を上回る金員を搬出費用の名目で支払い,実質的にフェロシルトの処理費用を負担しているなど,フェロシルトに取引価値がないといえるかどうかに関わってくるものと考えられる。 そして,フェロシルトのT国際空港への搬出が最終的に廃棄物処理法違反であるかどうかの判断は,法律的な知識を基に諸事情を総合的に考慮して判断して決せられる。これを取締役のみで るものと考えられる。 そして,フェロシルトのT国際空港への搬出が最終的に廃棄物処理法違反であるかどうかの判断は,法律的な知識を基に諸事情を総合的に考慮して判断して決せられる。これを取締役のみで判断することは実際上困難であり,環境省や地方自治体等の規制当局への照会等により,フェロシルトが「廃棄物」に該当するかどうかを決するほかない。 d 平成13年4月27日取締役会の説明上記取締役会当時,客観的には,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを既に断られていた。そうであるならば,本来,T国際空港にフェロシルトを搬出する費用を支払う必要はなく,搬出費用の計上に関する決算処理も不要であるはずである。ところが,上記取締役会においては,フェロシルトが平成13年9月からT国際空港に搬出されることが確定し,搬出費用としてトン当たり3000円がかかるという虚偽の議案の説明がされた。しかし,T国際空港からフェロシルトの受入れを断られたとの事実は,上記取締役会当時,被告Y1によって隠ぺいされ,取締役ら全員に知らされていなかった。実際,これを見破るのも困難であった。そのため,上記取締役会に出席した取締役としては,上記虚偽の説明を前提とするほかなかったのである。 (イ) 平成13年4月27日取締役会に出席した取締役の負う注意義務以上によれば,平成13年4月27日取締役会に出席した取締役は,平成12年度決算の特別処理の議案の審議に際し,原告X1 がT国際空港株式会社に対し,フェロシルトの売却代金を上回る搬出費用を支払い,実質的に原告X1 がフェロシルトの処理費用を負担しているなど,フェロシルトに取引価値がなく,「廃棄物」に該当し得る事情を認識し,認識し得た場合には,その搬出が廃棄物処理法に違反しないかの調査を ,実質的に原告X1 がフェロシルトの処理費用を負担しているなど,フェロシルトに取引価値がなく,「廃棄物」に該当し得る事情を認識し,認識し得た場合には,その搬出が廃棄物処理法に違反しないかの調査を担当部署に実施させるべき義務を負っていたというべきである。 (ウ) 各被告の検討以下,各被告について検討する。 a 被告Y7(a) 役職及び属性被告Y7 は,前記(2)イ(ウ)a(a)のとおり,平成13年4月当時,代表取締役会長であり,代表取締役社長として実行本部のR会議に出席したこともあった。しかし,前記(2)ア(ウ)a(a)及び前記(2)イ(ウ)a(a)のとおり,原告X1 の規模の大きさやその取り扱う事業内容が広範にわたっていること,被告Y7 は長年にわたって代表取締役社長を務め,その間,四日市工場に直接関連する業務は担当していなかったこと,実行本部が平成11年11月に解消されてから1年以上経過していたことからすれば,一部門にしかすぎない四日市工場の酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の詳細について把握することは困難であったというべきである。 (b) フェロシルトの廃棄物性に関して認識した事情被告Y7 が,平成13年4月27日取締役会までに認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 丙事件(2)ア(ウ)a(b)①に同じ。 ② フェロシルトの搬出費用がトン当たり3000円かかる。 (c) 検討平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトの搬出費用がトン当たり3000円であることが報告されたが,フェロシルトの売却代金や上記搬出費用を支払う相手が誰であるかの説明はなかった。そうすると,被告Y7 は,上記取締役会の説明によって,四日市工場からT国際空港までのフェロシルトの運送を担当するI フェロシルトの売却代金や上記搬出費用を支払う相手が誰であるかの説明はなかった。そうすると,被告Y7 は,上記取締役会の説明によって,四日市工場からT国際空港までのフェロシルトの運送を担当するI2社ないしその他の業者に対し,トン当たり3000円を支払うものと理解するのが通常であるといえる。 また,被告Y7 が,四日市工場の酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の詳細についてまで把握していなかったことからすれば,フェロシルトの売却代金が上記搬出費用を下回るのかを予測することさえ困難であったというべきである。 したがって,被告Y7 が,上記取締役会の報告から,原告X1 がT国際空港株式会社に対して,フェロシルトの売却代金を上回る搬出費用を支払い,実質的にフェロシルトの処分費用を負担するなど,フェロシルトに取引価値がなく,「廃棄物」に該当することを認識し得たということはできない。 b 被告Y9,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y21(a) 役職と属性被告Y9 は,平成13年4月当時,代表取締役副社長社長室磁性材料特別推進本部長等,被告Y12 は常務取締役酸化チタン営業本部長,被告Y13 は常務取締役シンガポール社長,被告Y14 は常務取締役財務本部長兼管理本部長,被告Y21 代表取締役副社長,社長補佐,有機部門管掌等を務めており,前記(2)ア(ウ)c(a),同イ(ウ)b(a),同d(a),同f(a),前記(3)イ(イ)a(a)のとおり,その担当する業務はいずれも酸化チタンの産業廃棄物の再利用等との関連性が薄いものであった。したがって,上記被告らは,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等に関する知識をほとんど有していなかったといえる。 (b) フェロシルトの廃棄物性に関して認識した事情上記被告らが,平成13年4 た。したがって,上記被告らは,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等に関する知識をほとんど有していなかったといえる。 (b) フェロシルトの廃棄物性に関して認識した事情上記被告らが,平成13年4月27日取締役会までに認識していた事情は,次のとおりであった。 ① 丙事件(2)ア(ウ)a(b)①に同じ。 ② 原告X1 は,T国際空港に対し,フェロシルトを搬出するに際し,トン当たり3000円の搬出費用を酸化チタンの売上原価として計上する。すなわち,フェロシルトは,その売価は未定であるが,搬出費用としてトン当たり3000円がかかる。 ③ フェロシルトは,平成11年1月から生産を開始してから上記取締役会当時まで約2年3か月が経過しており,その間の堆積量は約30万トンであった。 ④ 原告X1 の課題と目的は,アイアンクレーをフェロシルトに切り替えることにより,産業廃棄物としてのアイアンクレーの処理費用を削減することにあった。フェロシルト単体の取引で損失を出したとしても,それがアイアンクレー全体の処理費用よりも安ければよかった。 (c) 検討上記被告らは,たとえ,フェロシルトの搬出費用(トン当たり3000円)が売却代金を上回っても,アイアンクレーの処理費用が削減できればそれでよいと認識していた。その際,上記被告らが念頭に置いていたのは,被告Y7 と同様,フェロシルトの運送を担当するI2社等に対し搬出費用を支払い,他方,フェロシルトの売却については,T国際空港株式会社との間で相応の対価で売買されるということであった。そして,上記被告らは,フェロシルトの売却代金がトン当たり1000円など搬出費用を下回り,その限りでは損失を生じさせたとしても,その損失額(トン当たり2000円)がアイアンクレーの処理費用よりも安くなれば, 記被告らは,フェロシルトの売却代金がトン当たり1000円など搬出費用を下回り,その限りでは損失を生じさせたとしても,その損失額(トン当たり2000円)がアイアンクレーの処理費用よりも安くなれば,結果として,酸化チタンのから生じる産業廃棄物の処理費用の削減になると考えていたのである。 上記被告らのこのような考えは,原告X1 とT国際空港株式会社との間においてはフェロシルトに取引価値があることを前提としている。したがって,上記被告らがフェロシルトに取引価値がないことを認識し得たということにはならない。 確かに,フェロシルトは,平成11年1月の生産開始から平成13年4月までの約2年3か月間,四日市工場内において,約30万トンも野積みにされたままであった。しかし,これは,フェロシルトがT国際空港の海上用埋立材として用いられることが確定したときのために堆積していたものであり,取締役らに対しても,その趣旨の説明がされ,そのような搬出がほぼ確実なものと認識されてきた。そうすると,上記被告らが,このことから,フェロシルトが他人に有償で譲渡することができない不要物であり,取引価値がないものであることを認識し得たということもできない。 以上によれば,上記被告らは,平成13年4月27日取締役会当時,原告X1 がT国際空港株式会社に対して,フェロシルトの売却代金を上回る搬出費用を支払い,実質的にフェロシルトの処分費用を負担するなど,フェロシルトに取引価値がなく,「廃棄物」に該当することを認識し得たということはできない。 c 被告Y10(a) 役職と属性被告Y10 は,平成13年4月当時,社長室無機企画開発本部長等を務めていたほか,前記(2)ア(ウ)d(a)のとおり,四日市工場長や四日市事業所長を務めており,技術系の取締役で (a) 役職と属性被告Y10 は,平成13年4月当時,社長室無機企画開発本部長等を務めていたほか,前記(2)ア(ウ)d(a)のとおり,四日市工場長や四日市事業所長を務めており,技術系の取締役であった。したがって,被告Y10 は,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等に関して相当程度詳しい知識を有していたといえる。 (b) フェロシルトの廃棄物性に関して認識した事情被告Y10 が,平成13年4月27日取締役会までに認識していた事情は,被告Y9 らと同じく次のとおりであった。 ① 丙事件(2)ア(ウ)a(b)①に同じ。 ② 前記b(b)②~④に同じ。 (c) 検討被告Y10 も,フェロシルトの搬出費用(トン当たり3000円)が売却代金を上回っても,アイアンクレーの処理費用が削減できればよいと認識していた。もっとも,被告Y10 は,四日市工場長等を経験していたから,酸化チタンの産業廃棄物の再利用についてはそれなりに詳しい知識を有していたといえる。しかし,当時,フェロシルトの搬出費用の支払先がT国際空港株式会社であるとの認識があったかというと,そのような事情はうかがわれない。したがって,被告Y10 も,被告Y9 らと同様,フェロシルトの運送を担当するI2社等に対し搬出費用を支払い,フェロシルトの売却については,T国際空港株式会社との間で相応の対価で売買されることを念頭に置いていたと認めるのが自然である。すなわち,フェロシルトの売却代金が搬出費用を下回り,その限りでは損失を生じさせたとしても,その損失額がアイアンクレーの処理費用より安くなれば,結果として,酸化チタンから生じる産業廃棄物の処理費用の削減になると考えていた。それは,原告X1 とT国際空港株式会社との間ではフェロシルトに取引価値があることを前提としており 費用より安くなれば,結果として,酸化チタンから生じる産業廃棄物の処理費用の削減になると考えていた。それは,原告X1 とT国際空港株式会社との間ではフェロシルトに取引価値があることを前提としており,被告Yがこのように考えていたからといって,フェロシルトに取引価値がないことを認識し得たということにはならないのは,前同様である。 確かに,フェロシルトは,平成11年1月の生産開始から約2年3か月間も,四日市工場内において,約30万トンが野積みにされたままであった。しかし,これは,フェロシルトがT国際空港の海上用埋立材として用いられることが確定したときのために堆積していたものであり,取締役らに対しても,その趣旨の説明がされ,そのような搬出がほぼ確実なものと認識されてきたのである。被告Y10 が四日市工場長等としてフェロシルトの取引価値がないことを特に知っていたと認めるに足りる事情はうかがわれない。 そうすると,被告Y10 らが,このことから,フェロシルトが他人に有償で譲渡することができない不要物であり,取引価値がないものであることを認識し得たということはできない。 以上によれば,被告Y10 は,平成13年4月27日取締役会当時,原告X1 がT国際空港株式会社に対して,フェロシルトの売却代金を上回る搬出費用を支払い,実質的にフェロシルトの処分費用を負担するなど,フェロシルトの取引価値がなく,「廃棄物」に該当することを認識し得たということはできない。 dY23,被告Y5(a) 役職と属性Y23 及び被告Y5 は,前記(1)ア(ウ)a及びbのとおり,四日市工場長としてフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったから,事務系の取締役であったとしても,酸化チタンの産業廃棄物の処理に関する知識を 告Y5 は,前記(1)ア(ウ)a及びbのとおり,四日市工場長としてフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であったから,事務系の取締役であったとしても,酸化チタンの産業廃棄物の処理に関する知識を有しておくべき立場にあったといえる。 (b) フェロシルトの廃棄物性に関して認識した事情Y23 及び被告Y5 が,平成13年4月27日取締役会までに認識していた事情は,被告Y9 らと同じく次のとおりであった。 ① 丙事件(2)ア(ウ)a(b)①に同じ。 ② 前記b(b)②ないし④に同じ。 (c) 検討Y23 及び被告Y5 は,四日市工場長としてフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であり,産業廃棄物の再利用等について知っておくべき立場にあった。しかし,当時,フェロシルトの搬出費用の支払先がT国際空港株式会社であるとの認識があったかというと,そのような事情はうかがわれない。したがって,Y23 及び被告Y5 も,被告Y9 らと同様,フェロシルトの運送を担当するI2社等に対し搬出費用を支払い,フェロシルトの売却については,T国際空港株式会社との間で相応の対価で売買されることを念頭に置いていたと考えるのが自然である。 もっとも,Y23 及び被告Y5 は,四日市工場長としてフェロシルトの開発,生産を担当する取締役であるから,搬出費用よりもフェロシルトの売却代金が下回り,フェロシルト単体の取引では損失を出す可能性があることを認識し得た。そうであるとしても,前記(5)ア(ウ)b(c)のとおり,その損失額がアイアンクレーの処理費用よりも安くなれば,結果として酸化チタンから生じる産業廃棄物の処理費用の削減になると考えていた。したがって,Y23 及び被告Y5 において,フェロシルトの取引価値がないことを認識し得たということはできな 安くなれば,結果として酸化チタンから生じる産業廃棄物の処理費用の削減になると考えていた。したがって,Y23 及び被告Y5 において,フェロシルトの取引価値がないことを認識し得たということはできない。 確かに,フェロシルトは,平成11年1月の生産開始から約2年3か月間も,四日市工場内において,約30万トンが野積みにされたままであった。しかし,これは,フェロシルトがT国際空港の海上用埋立材として用いられることが確定したときのために堆積していたものであり,取締役らに対しても,その趣旨の説明がされ,そのような搬出がほぼ確実なものと認識されてきたのである。Y23及び被告Y5が四日市工場長等としてフェロシルトの取引価値がないことを特に知っていたと認めるに足りる事情はうかがわれない。 以上によれば,Y23 及び被告Y5 についても,平成13年4月27日取締役会当時,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたことを知らされていなかったのであるから,原告X1 がT国際空港株式会社に対して,フェロシルトの売却代金を上回る搬出費用を支払い,実質的にフェロシルトの処分費用を負担するなど,フェロシルトの取引価値がなく,「廃棄物」に該当することを認識し得たということはできない。 (エ) まとめ以上検討したところによれば,被告Y7,被告Y9,被告Y10,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y21,Y23 及び被告Y5 は,いずれも平成13年4月27日の取締役会当時,フェロシルトの搬出が,産業廃棄物処理法に違反する不法投棄に該当するか否かを調査すべき義務を負うということはできない。 イ平成13年8月6日の推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役(被告Y23,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y すべき義務を負うということはできない。 イ平成13年8月6日の推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役(被告Y23,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14,被告Y22)上記推進会議に出席し,又は,同月10日付け稟議書に押印した取締役は,上記推進会議において本件新規搬出先の用途や搬出費用等の説明がされた際,本件新規搬出先へ搬出することの適法性について調査すべき義務を負っていたか(調査を行えば,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを容易に認識することができたか。)。 (ア) フェロシルト搬出の適法性を調査すべき義務を基礎づける事情a 平成13年8月6日推進会議について(a) 同日午後の推進会議本部会の位置づけ上記推進会議本部会は,前記(2)イ(ア)d(a)のとおり,構成員全員が本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出の是非(予算外の費用の支出の是非も含む。)について検討し,これを推進会議本部会として承認するか否かの意思決定する場であった。したがって,推進会議本部会の構成員が,相当の論拠をもってフェロシルトが「廃棄物」に該当し,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出が産業廃棄物処理法違反の問題があるとの意見を述べた場合,本件新規搬出先への搬出を中止することも可能であったといえる。 (b) 同日午後の推進会議本部会における説明上記推進会議本部会における被告Y5,被告Y1 及び管理部長のZ 11 による説明の主な内容は次のとおりであった。 ① アイアンクレーの再資源化には長期間の調査,検討を要する。 ② 初期段階に発生するフェロシルトは,上記①の理由から,T国際空港の海上埋立用土砂として搬出するために備蓄していた。 ③ 丙事件(2)イ(ウ アンクレーの再資源化には長期間の調査,検討を要する。 ② 初期段階に発生するフェロシルトは,上記①の理由から,T国際空港の海上埋立用土砂として搬出するために備蓄していた。 ③ 丙事件(2)イ(ウ)a(b)③に同じ。 ④ 上記①ないし③の状況から,T国際空港以外の本件新規搬出先へ搬出する計画をまとめた。 ⑤ 原告X1 は,本件新規搬出先の埋立費用としてトン当たり3000円前後を支払う。 ⑥ 本件新規搬出先への搬出は,平成13年から15年までの長期にわたり,搬出費用の合計は16億2000万円である。 (c) 上記推進会議本部会の説明内容について上記被告Y1 らの説明には,次のとおり,廃棄物処理法違反を想起させる不自然な点が含まれていた。 ① 費用の名目として「搬出費用」と「埋立費用」が混在すること原告X1 が負担するトン当たり3000円前後の費用について,「搬出費用」としている部分と「埋立費用」としている部分とが混在していた。その場合,搬出費用であれば,通常,フェロシルトを搬出先にまで運搬する費用として運送業者に対して支払うものと解される。これに対し,埋立費用であれば,文字どおり,フェロシルトの埋立てに要する費用として,フェロシルトを埋立ての用途で購入した本件新規搬出先の業者に対して支払うものと解することになる。 後者の場合,本件新規搬出先の業者は,原告X1 に対して売却代金を支払うものの,反対に原告X1 から埋立費用を受領することになる。そして,本件新規搬出先の業者が受領する埋立費用の額が売却代金を上回ることになれば,前同様,原告X1 が,売買の形式をとっているものの,実質的にはフェロシルトの処理費用を負担して本件新規搬出先の業者に処分を委託しているとの疑いが強まることになる。 ② フェロシルトの売却 れば,前同様,原告X1 が,売買の形式をとっているものの,実質的にはフェロシルトの処理費用を負担して本件新規搬出先の業者に処分を委託しているとの疑いが強まることになる。 ② フェロシルトの売却代金等の説明がないことフェロシルトの搬出先がT国際空港から本件新規搬出先へ変更されると,新たに搬出費用として総額16億円余りという多額の支出がかかる点を検討するというのに,本件新規搬出先との売買契約の内容,特に売却代金の説明がなかった。T国際空港への搬出を維持した場合の搬出費用については,フェロシルトの売却代金4億8000万円を差し引いた12億7200万円であるとの説明があったことと対比すると不自然であり,トン当たり3000円前後の搬出費用が売却代金を上回るのではないかとの疑いを回避したことがうかがわれる。 ③ フェロシルトを有償で処分していると説明されたこと被告Y5 が,Z2 からの,酸化チタンの生産コストを減少させる手段の検討は本体の酸化チタンに関わる重要事項であり,原告X1 はしないのかとの質問に対して,フェロシルトについては,「利益が出て販売に結びつく方法がなく,産業廃棄物ではないが,有償の処分が実態である。」と説明した部分があった。これは,フェロシルトが産業廃棄物に該当することを表面的には否定はしているが,原告X1 が費用を負担してフェロシルトを処分していると説明したと解することができる。 (d) まとめ以上のとおり,被告Y1 らによる説明内容を子細に検討すれば,フェロシルトを搬出するというものの,その実態は,原告X1 が本件新規搬出先に費用を支払って埋立処分をしてもらうことではないかという疑いを抱かせる。すなわち,それが廃棄物処理法に違反するのではないかとの疑念を抱かせるような不自然なところがあった 告X1 が本件新規搬出先に費用を支払って埋立処分をしてもらうことではないかという疑いを抱かせる。すなわち,それが廃棄物処理法に違反するのではないかとの疑念を抱かせるような不自然なところがあったと指摘できる。 b 平成13年8月10日付け稟議について平成13年8月10日付け稟議は,前記第3,1(8)ウ(イ)のとおり,Z2 が,平成13年4月27日取締役会で承認された搬出費用を超える費用を支出することについて決裁したものである。稟議書上に押印をしたZ2 以外の被告らは決裁権者ではなく,また,本件新規搬出先へ搬出すること自体を決裁したものでもなかった。 (a) 平成13年8月10日付け稟議書上の押印の意義参加原告らは,Z2 だけでなく,稟議書上に押印をした被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14 及び被告Y22 も決裁したと主張する。しかし,原告X1 の稟議規程には,1件10万円ないし100万円以上の予算外支出に関する稟議を決裁するのは社長であると明記されている。上記被告らは,稟議書上に押印したといっても,被告Y7 は会長欄,被告Y5 は発議分掌上位者欄,その余の者は合議者欄に押印したにすぎず,決裁欄の可決に押印したZ2とは明らかに押印した場所が異なる。したがって,上記稟議を決裁したのはZ2 のみであり,被告Y7,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y5,被告Y14 及び被告Y22 が決裁したと評価することはできない。よって,参加原告らの上記主張を採用することはできない。 もっとも,被告Y5 は,発議分掌上位者として押印しており,これは,被告Y1 が既に承認済みの搬出費用を超える費用の支出を発議することを上司として承認したとの意味を持つものといえる。これに対し,発 もっとも,被告Y5 は,発議分掌上位者として押印しており,これは,被告Y1 が既に承認済みの搬出費用を超える費用の支出を発議することを上司として承認したとの意味を持つものといえる。これに対し,発議分掌上位者である被告Y5 が押印せず,被告Y1 の上記発議を承認しなければ,上記稟議がそもそも合議者に回されることもなかった。 また,被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y14 及び被告Y22 は,合議者として特に何の意見を記載しないまま押印しているが,これは,稟議事項である搬出費用の支出について,Z2 が決裁する前に,それぞれ担当する業務から得た知識,経験に照らし,被告Y1 の発議どおりにZ2 が決裁することを了承する旨の意見を述べたという意味合いを持つ。他方,合議者が決裁に反対する旨の意見を記載した場合,Z2 がこれを無視してそのまま決裁することは難しかったといえる。そうすると,発議分掌上位者の被告Y5 や合議者である被告らが,それぞれ稟議書に押印するに当たり,相当の論拠をもってフェロシルトが「廃棄物」に該当し,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出が産業廃棄物処理法に違反するとの意見を述べた場合,Z2 の決裁を思い止まらせることが可能であったと考えられる。 他方,被告Y7 が押印したのは合議者欄とは別に設けられた会長欄である。原告X1 の稟議規程において,稟議に当たって会長が果たす役割は何ら定められていない。被告Y7 が押印したのは,Z2の決裁した後であったことからすれば,上記押印の意味合いは,Z2が決裁したことを事後に確認したにすぎなかったというべきである。 (b) 平成13年8月10日付け稟議の内容上記稟議の対象は,平成13年4月27日取締役会で承認された搬出費用を超える費用を支出することであり,本件新 たにすぎなかったというべきである。 (b) 平成13年8月10日付け稟議の内容上記稟議の対象は,平成13年4月27日取締役会で承認された搬出費用を超える費用を支出することであり,本件新規搬出先へ搬出すること自体を決裁の対象とするものではない。 しかし, 上記決裁がされなければ,平成13年4月27日取締役会で決議された範囲内において,本件新規搬出先への搬出費用に転用することは可能であるにしても,搬出費用全額を賄うことはできない。したがって,上記決裁をしなければ,事実上,本件新規搬出先への搬出を阻止することが可能であった。 (c) まとめこのように平成13年8月10日付け稟議は,Z2 において平成13年4月27日取締役会で承認された搬出費用を超える費用を支出することについて決裁したものである。しかし,上記のとおり,発議分掌上位者である被告Y5 及び合議者の被告Y21,Y23,被告Y12,被告Y14 及び被告Y22 が,それぞれの押印に際し,相当の論拠に基づいて,フェロシルトが「廃棄物」に該当し,本件新規搬出先へ搬出することは産業廃棄物処理法に違反するとの意見を述べた場合には,本件新規搬出先への搬出が中止される可能性があったといえる。 (イ) 推進会議本部会構成員の負う注意義務以上によれば,推進会議本部会の構成員は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において本件新規搬出先へ搬出するとの意思決定をするに際し,又は,平成13年8月10日付け稟議書に合議者若しくは発議分掌上位者(被告Y7 が除かれることは前記(5)イ(ア)b(a)のとおりである。)として押印するに当たり,原告X1 が本件新規搬出先に対しフェロシルトの売却代金を上回る埋立費用を支払うなど,実質的に原告X 1 が Y7 が除かれることは前記(5)イ(ア)b(a)のとおりである。)として押印するに当たり,原告X1 が本件新規搬出先に対しフェロシルトの売却代金を上回る埋立費用を支払うなど,実質的に原告X 1 がフェロシルトの処理費用を負担するものであり,フェロシルトに取引価値がなく,「廃棄物」にすることを認識し,認識し得た場合には,本件新規搬出先へ搬出することが産業廃棄物処理法に違反しないかを調査し,又は,担当部署に調査をさせるべき義務を負うものというべきである。 (ウ) 各被告の検討そこで,各被告について検討する。 a 被告Y7(a) 役職と属性被告Y7 は,平成13年8月当時,代表取締役会長であり,推進会議本部会の構成員であった。また,代表取締役社長として実行本部の構成員でもあった。しかし,前記(2)ア(ウ)a(a)のとおり,原告X1 はその事業規模が大きく,取り扱う業務内容も広範にわたっていた。被告Y7 は,長年にわたって代表取締役社長を務めていたが,その間,四日市工場に直接関連する業務を担当していなかったのである。また,被告Y7 が実行本部の構成員であったことに基づいて得ることのできた情報は,前記(2)イ(ウ)a(a)のとおり,フェロシルトの試験生産が開始され,遮水材,培養土等の用途開発が実施されているという程度である。しかも,推進会議は同年6月下旬に設置が決まり,活動が始まったばかりであった。 これによれば,被告Y7 が,一部門にしかすぎない四日市工場の酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務のその当時の詳細について把握することは困難であったというべきである。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y7 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,次のとおりであった。 細について把握することは困難であったというべきである。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y7 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,次のとおりであった。 ① 平成13年4月27日取締役会において,フェロシルトがT国際空港へ平成13年9月から搬出することが確定した旨の報告があった。 ② 前記(5)イ(ア)a(b)①ないし⑥に同じ。 (c) 検討被告Y7 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務の詳細について把握しておらず,前記(2)イ(ウ)a(c)のとおり,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたこと自体も知らされていなかった。そして,被告Y7 は,上記推進会議本部会において初めて,被告Y1らからT国際空港への搬出時期が遅れやその使用量が半減したと聞かされたのであり,その真偽を検討する時間的余裕もなかったといえる。したがって,被告Y7 が,被告Y1 らの説明を信じ,本件新規搬出先への搬出に方針転換するか否かが主要な検討対象になると思ったのもやむを得ないというべきである。 このような被告Y7 の認識を前提とすると,被告Y7 の関心事は,前記(2)イ(ウ)a(c)のとおり,専らフェロシルトの搬出にかかるコスト面にあり,被告Y1 らの説明において,フェロシルトの取引価値がないことを疑わせる埋立費用という語が用いられたり,本件新規搬出先への売却代金が明らかにされなかったり,フェロシルトは有償の処分が実態であるとの発言がされたことに注意を払うことができなかったのも無理からぬところがある。 したがって,被告Y7 が,原告X1 が本件新規搬出先に対しフェロシルトの売却代金を上回る埋立費用を支払うものであるなど,フェロ たことに注意を払うことができなかったのも無理からぬところがある。 したがって,被告Y7 が,原告X1 が本件新規搬出先に対しフェロシルトの売却代金を上回る埋立費用を支払うものであるなど,フェロシルトが取引価値のないもので廃棄物に該当することを認識し得たというのは困難である。 b 被告Y21,被告Y12,被告Y14(a) 役職と属性被告Y21 は,前記(2)イ(ウ)bのとおり,平成13年8月当時,(セ)社の取締役から原告X1 の代表取締役副社長,社長補佐(有機部門管掌)になって1年が経過し,法務本部長を兼ねるようになったばかりであった。被告Y14 も,前記(2)イ(ウ)f(a)のとおり,その当時,R社の取締役から原告X1 の財務本部長となって4年が経過したところであった。被告Y12 は,前記(2)イ(ウ)d(a)のとおり,長年営業部門を担当しており,その当時,専務取締役酸化チタン営業本部長兼機能材料営業企画本部長であった。 このように被告Y21 及び被告Y14 は原告X1 に他業種から途中入社し,被告Y12 は長年営業部門を担当しており,いずれも四日市工場に直接関連する部門を担当したことがなかった。したがって,被告Y21,被告Y12 及び被告Y14 は,担当外の酸化チタンの産業廃棄物の再利用の業務に関して,ほとんど把握していなかった。また,被告Y21 は,その当時,法務本部長であったが,原告X1 の取り扱う事業内容が広範にわたり,関係する法規も様々であった。したがって,酸化チタンの産業廃棄物の再利用の業務との関連で,産業廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するのは具体的にどのような場合であるのか正確に理解していなかったとしてもやむを得ないというべきである。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y21, 産業廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するのは具体的にどのような場合であるのか正確に理解していなかったとしてもやむを得ないというべきである。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y21,被告Y12 及び被告Y14 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,被告Y7 と同じく次のとおりであった。 ① 前記a(b)①に同じ。 ② 前記(5)イ(ア)a(b)①ないし⑥に同じ。 (c) 検討被告Y21,被告Y12 及び被告Y14 は,酸化チタンの産業廃棄物の再利用の業務の内容をほとんど把握しておらず,前記(2)イ(ウ)b(c),(2)イ(ウ)d(c),(2)イ(ウ)f(c)のとおり,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断わられたことすら知らされていなかった。したがって,上記被告らは,平成13年8月6日午後の推進会議における被告Y1 らの説明を信じ,本件新規搬出先への搬出に方針転換するか否かが主要な検討対象であると思っていた。 このような上記被告らの認識を前提とすると,上記被告らが,被告Y1 らの説明において,埋立費用という語が用いられたり,本件新規搬出先への売却代金が明らかにされなかったり,フェロシルトは有償の処分が実態であるとの発言がされたとしても,直ちにフェロシルトの取引価値がなく,廃棄物に該当することを認識し得たということはできない。 cY23(a) 役職と属性Y23は,前記(2)ア(ウ)e(a)のとおり,四日市工場長を務めた後,平成13年8月当時,産業廃棄物に関わる環境資源部を統括する地球環境本部長を務めていた。 このような経歴からすれば,Y23 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務について詳細 わる環境資源部を統括する地球環境本部長を務めていた。 このような経歴からすれば,Y23 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会の当時,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務について詳細に知るところであり,廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するのはどのような場合であるかを理解すべき立場にあったといえる。 (b) 廃棄物性について認識した事情Y23 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,被告Y7 と同じく次の①,②のほか,③であった。 ① 前記a(b)①に同じ。 ② 前記(5)イ(ア)a(b)①ないし⑥に同じ③ Y23 は,フェロシルトについて,T国際空港株式会社から受入れを断られたことを同年5月21日ころまでに知った。 (c) 検討Y23 は,T国際空港へのフェロシルトの搬出が確定したとの報告を受けた後に,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたことを知らされていた。したがって,Y23 は,同年8月6日午後の推進会議本部会の冒頭でされたT国際空港の搬出時期が大幅に遅れたたとの説明が虚偽であることを認識することが十分可能であった。そうすると,Y23 としては,その後の被告Y1 らの説明についても,虚偽が含まれていないかの疑いをもって,注意を傾けるべきであったから,埋立費用という語が用いられたり,本件新規搬出先への売却代金が明らかにされなかったり,フェロシルトは有償の処分が実態であるとの発言がされたことに気が付くことが可能であったといえる。 しかも,Y23 は,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務の詳細及び廃棄物に該当するのはどのような場合であるかを理解すべき立場にあった。したがって,Y23 は,被告Y1 らの説明に不自然な点があり,原告X1 から本件新 チタンの産業廃棄物の再利用等の業務の詳細及び廃棄物に該当するのはどのような場合であるかを理解すべき立場にあった。したがって,Y23 は,被告Y1 らの説明に不自然な点があり,原告X1 から本件新規搬出先の業者に対して売却代金を上回る費用が支払われ,実質的に原告X1 がフェロシルトの処理費用を負担するなど,フェロシルトは取引価値のないものであり,廃棄物に該当することを認識し得たというべきである。 d 被告Y5(a) 役職と属性被告Y5 は,前記(2)イ(ウ)e(a)のとおり,平成13年8月当時,四日市工場長を務めており,産業廃棄物の再利用のために開発されたフェロシルトの担当取締役であった。したがって,被告Y5 は,Y23 と同様,平成13年8月6日午後の推進会議の当時,酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務について詳細を知るところであり,廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するのはどのような場合であるかを理解しておくべき立場にあったといえる。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y5 が,平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,Y23 と同じく,次のとおりであった。 ① 前記a(b)①に同じ。 ② 前記(5)イ(ア)a(b)①ないし⑥に同じ。 ③ 被告Y5 は,フェロシルトについて,T国際空港株式会社から受入れを断られたことを同年5月上旬ころまでに知った。 (c) 検討被告Y5 は,前記(2)イ(ウ)e(c)のとおり,フェロシルトをT国際空港へ搬出することが確定したとの報告を受けていたにもかかわらず,その後,品質の問題を理由に受入れを断られたことを知った。ところが,被告Y5 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,自らT国際空港への搬出時期が遅れるとの虚偽の説 たにもかかわらず,その後,品質の問題を理由に受入れを断られたことを知った。ところが,被告Y5 は,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,自らT国際空港への搬出時期が遅れるとの虚偽の説明をしており,T国際空港への搬出を維持するか,本件新規搬出先へ搬出するかを検討するまでもないことを十分に認識していたのである。 そうすると,被告Y5 としては,その後の被告Y1 や管理部長のZ11 の説明において,埋立費用という語が用いられ,本件新規搬出先への売却代金が明らかにされなかったことに疑いをもってしかるべきであった。しかも,被告Y5 は,自ら,フェロシルトは有償の処分が実態であるという発言までしているのである。 そうすると,被告Y5 が酸化チタンの産業廃棄物の再利用等の業務の詳細及び廃棄物に該当するのはどのような場合であるかを理解しておくべき立場にあったことからすれば,原告X1 から本件新規搬出先の業者に対して売却代金を上回る費用が支払われ,実質的に原告X1 がフェロシルトの処理費用を負担するなど,フェロシルトは取引価値のないものであり,廃棄物に該当することを認識することが十分に可能であったといえる。 e 被告Y22(a) 役職と属性被告Y22 は,前記(2)イ(ウ)g(a)のとおり,四日市工場の無機系事業の研究開発に従事してきた技術系の取締役であった。もっとも,被告Y22 が主に研究開発に当たっていたのは,酸化チタンの顔料等であり,酸化チタンの産業廃棄物を再利用することではなかった。 しかも,被告Y22が取締役に就任したのは平成13年6月であり,取締役会において原告X1全体に関する報告を受けるようになって間がなく,担当業務以外の情報を取得する機会があまりなかった。 したがって,被告Y22 が,酸化チタ 役に就任したのは平成13年6月であり,取締役会において原告X1全体に関する報告を受けるようになって間がなく,担当業務以外の情報を取得する機会があまりなかった。 したがって,被告Y22 が,酸化チタンの産業廃棄物の再利用の業務の詳細を把握しておらず,廃棄物処理法上の「廃棄物」の意義について理解していなかったとしてもやむを得ないというべきである。 (b) 廃棄物性について認識した事情被告Y22 が平成13年8月6日午後の推進会議本部会までに認識した事情は,次のとおりであった。 ① 前記(2)イ(ウ)g(b)①及び②に同じ。 ② 前記(5)イ(ア)a(b)①ないし⑥に同じ。 (c) 検討被告Y22 は,酸化チタンの産業廃棄物の再利用の業務内容を把握しておらず,前記(2)イ(ウ)g(c)のとおり,T国際空港株式会社からフェロシルトの受入れを断られたことすら知らされていなかった。被告Y22 は,産業廃棄物の再利用の業務に通じておらず,上記推進会議本部会において初めて,被告Y1 らからT国際空港への搬出時期が遅れやその使用量が半減したと聞かされたのであり,その真偽を検討する時間的余裕もなかったといえる。したがって,被告Y22 が,被告Y1 らの説明を信じ,本件新規搬出先への搬出に方針転換するか否かが主要な検討対象であると思ったのもやむを得ないというべきである。 このような被告Y22 の認識を前提とすると,その関心事が専らフェロシルトの搬出にかかるコストの比較に向けられていたとしてもやむを得ない。被告Y1 らの説明が専らT国際空港と本件新規搬出先の搬出にかかる費用の比較という観点からされたことからすればなおさらである。このような事情の下では,被告Y22 が,被告Y1 らの説明において,フェロシルトの取引価値がないこと 空港と本件新規搬出先の搬出にかかる費用の比較という観点からされたことからすればなおさらである。このような事情の下では,被告Y22 が,被告Y1 らの説明において,フェロシルトの取引価値がないことを疑わせる埋立費用という語が用いられていること,フェロシルトは有償の処分が実態であるとの発言がされたこと,本件新規搬出先への売却代金が明らかにされなかったことに注意を払うことができなかったのも無理からぬところがある。 したがって,被告Y22 が,原告X1 が本件新規搬出先に対しフェロシルトの売却代金を上回る埋立費用を支払うものであるなど,フェロシルトは取引価値のないもので廃棄物に該当することを認識し得たというのは困難である。 (エ) まとめ以上によれば,被告Y7,被告Y21,被告Y12,被告Y14 及び被告Y 22 は,平成13年8月6日推進会議本部会における意思決定ないし平成13年8月10日付け稟議書に合議者若しくは発議分掌上位者として押印するに際し,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反するか否かを調査すべき義務を負っていたということはできない。 他方,Y23 及び被告Y5 は,平成13年8月6日推進会議本部会における意思決定ないし平成13年8月10日付け稟議書に合議者若しくは発議分掌上位者として押印するに際し,フェロシルトが廃棄物に該当することを認識し得たから,本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反するか否かを調査すべき義務を負っていたというべきである。にもかかわらず,Y23 及び被告Y5 が,これを調査せずに,フェロシルトが廃棄物に該当せず,本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反することはないと信じたことには過失があった。 (オ) 被告Y2 ら及 Y23 及び被告Y5 が,これを調査せずに,フェロシルトが廃棄物に該当せず,本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反することはないと信じたことには過失があった。 (オ) 被告Y2 ら及び被告Y5 の主張について被告Y2 ら及び被告Y5 は,酸化チタンやアイアンクレーに有害な物質が含まれていないこと,Y23 及び被告Y5 にはフェロシルトが土壌埋め戻し材としての品質を備えていることの認識があったことから,フェロシルトに取引価値がないことを認識し,認識し得たとはいえないと主張する。 しかし,酸化チタンやその産業廃棄物であるアイアンクレーに有害な物質が含まれていないことと,産業廃棄物であるアイアンクレーを再利用するフェロシルトに取引価値があることとは,前記(2)イ(オ)b(b)のとおり,別の事柄であるというべきである。したがって,被告Y2 ら及び被告Y5 の上記主張を採用することはできない。 また,被告Y5 は,フェロシルトの「有償の処分が実態である」というのは,フェロシルトを販売しているという意味であり,フェロシルトが取引価値のない産業廃棄物であることを認識していなかった旨供述する。しかし,被告Y5 は,フェロシルトについて,「利益が出て販売に結びつく方法がなく,有償の処分が実態である」と説明しているのであって,前後の脈絡からすれば,「有償の処分」をおよそ販売の意味であると解することはできない。したがって,被告Y5 の上記供述を採用することはできない。 ウ (損害の発生)フェロシルトの搬出費用として,いわゆる逆有償取引により,22億6700万円の損害が発生したか。 原告X1 は,D社,E社等の搬出業者や紹介者に対し,平成13年8月中旬から平成17年4月までに搬出した約72万トンのフェロシルトに 引により,22億6700万円の損害が発生したか。 原告X1 は,D社,E社等の搬出業者や紹介者に対し,平成13年8月中旬から平成17年4月までに搬出した約72万トンのフェロシルトについて,運搬費,用途開発費,改質加工費等の名目で,産業廃棄物の処分をするための費用として23億2600万円を支払った。 他方,原告X1 は,上記フェロシルトをI3社に売却することによって,5900万円の売却代金を得た。 したがって,原告X1 が,フェロシルトの上記売却代金を超える運搬費等の名目により22億6700万円(23億2600万円-5900万円)支出したことは,損害に当たるというべきである。 また,原告X1 は,平成19年6月25日,上記72万トンのフェロシルトの一部に関する不法投棄を公訴事実とする産業廃棄物処理法違反により,5000万円の罰金の支払を命じられ,後日,これを納付したことも損害に当たるというべきである。 エ (相当因果関係)前記(5)アないしイに関する各義務違反行為と,原告X1 にフェロシルト搬出費用22億6700万円及び罰金5000万円の損害が発生したこととの間に相当因果関係があるか。 (ア) 義務違反行為Y23 及び被告Y5 は,前記(5)イ(エ)のとおり,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反する不法投棄に該当するか否かを調査すべき義務を負っていたにもかかわらず,フェロシルトの本件新規搬出先への搬出が廃棄物処理法に違反することはないと信じ,何ら調査しなかった。 (イ) 原告X1 の損害発生に至る経緯Z2 は,フェロシルトの担当取締役であった被告Y5 及び被告Y1 に対し,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬 1 の損害発生に至る経緯Z2 は,フェロシルトの担当取締役であった被告Y5 及び被告Y1 に対し,平成13年8月6日午後の推進会議本部会において,本件新規搬出先へのフェロシルトの搬出作業を早急に実施するようにと述べたところ,そのほかの推進会議本部会の構成員は特に異議を述べなかった。 被告Y1 は,同月8日,被告田Y5 を発議管掌上位者として,本件新規搬出先へフェロシルトを搬出する費用の支出に係る稟議を発議し,推進会議本部会の構成員による合議を経て,Z2 によって決裁された。 これにより,本件新規搬出先へフェロシルトの搬出が開始されたのは平成13年8月中旬以降である。被告Y1 は,フェロシルトの搬出費用について,本件稟議によって予算の枠が確定していたことから,本件新規搬出先以外の搬出についても四日市工場長の決裁を取ることなく,原告X1 とI3社間の売買契約,I3社と搬出業者間の売買契約,原告X1と搬出業者との運搬費等を支払う契約を締結し,フェロシルトを搬出し続けた。 その後,平成17年4月までの間に,原告X1 から,フェロシルト合計約72万トンが搬出された。原告X1 は,上記約72万トンのフェロシルトについて,運搬費等の名目で23億2600万円を支払った。また,原告X1 は,平成19年6月25日,上記の不法投棄にかかる産業廃棄物処理法違反により,罰金5000万円の支払を命じられ,これを納付した。 (ウ) 検討原告X1 に上記各損害を生じさせた根本的な原因は,被告Y1 が,フェロシルトが取引価値のない廃棄物に該当し,廃棄物処理法に違反することを知りながら,本件新規搬出先へ売却して搬出するという形式をとることにより,平成13年8月中旬から平成17年4月まで,フェロシルトを搬出し続けたことにある。 棄物に該当し,廃棄物処理法に違反することを知りながら,本件新規搬出先へ売却して搬出するという形式をとることにより,平成13年8月中旬から平成17年4月まで,フェロシルトを搬出し続けたことにある。 以上のほか,Y23 及び被告Y5 の上記義務違反の内容や程度,担当取締役を外れた時期,取締役自体を退任した時期等(別紙「取締役在任期間等」参照),本件に現れた一切の事情を総合して検討するならば,被告Y5 及びY23 の善管注意義務違反と因果関係が認められる損害は,次のとおりであると認めるのが相当である。 aY23上記損害23億1700万円の20%相当額 4億6340万円b 被告Y5上記損害23億1700円の50%相当額 11億5850万円 3 結論以上をまとめると,次のとおりとなる。 (1) 原告X1 の甲事件に基づく請求は全部理由があり,被告Y1 は,原告X1に対し,11億1403万円の内金10億円を支払う義務がある。 (2) 参加原告らの乙事件に基づく請求(489億円)は,475億8400万円の限度で理由があり,被告Y1 は,原告X1 に対し,475億8400万円を支払う義務がある。 (3) 参加原告らの丙事件に基づく請求(489億円)は,被告Y2 について50億9010万円(〔97億1680万円+4億6340万円〕÷2),被告Y3 及び被告Y4 について各25億4505万円(〔97億1680万円+4億6340万円〕÷4),被告Y5 について254億5050万円(242億9200万円+11億5850万円。ただし,50億9010万円の限度で被告Y2 と,各25億4505万円の限度で被告Y3 及び被告Y4 と連帯して)の限度で理由がある。したがって,被告Y2,被告Y3,被告Y4 円+11億5850万円。ただし,50億9010万円の限度で被告Y2 と,各25億4505万円の限度で被告Y3 及び被告Y4 と連帯して)の限度で理由がある。したがって,被告Y2,被告Y3,被告Y4 及び被告Y5 は,原告X1 に対し,連帯して,被告Y2 について50億9010万円,被告Y3 及び被告Y4 について各25億4505万円,被告Y5 について254億5050万円を(ただし,被告Y2 らについては限定承認をしているので,いずれもY23 から相続した財産の存する限度において)支払う義務がある。 その余の被告ら(被告Y6,被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10,被告Y11,被告Y12,被告Y13,被告Y14,被告Y15,被告Y16,被告Y17,被告Y18,被告Y19,被告Y20,被告Y21,被告Y22)に対する請求はいずれも理由がない。 なお,本件の事案にかんがみるならば,仮執行宣言を付することは相当でないのでこれを付さないこととする。 (4) よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第4民事部裁判長裁判官松田 亨 裁判官西村欣也 裁判官堤 恵子

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