令和5年2月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第19221号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和4年11月18日判決 原告 株式会社宮本製作所同訴訟代理人弁護士 鮫島正洋杉尾雄一被告株式会社HappyAdwords同訴訟代理人弁護士 羽鳥正靖 主文 1 被告は、別紙物件目録記載の被告製品を販売し、又は販売の申出をしてはならない。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は、別紙物件目録記載の被告製品を製造し、販売し、又は販売の申出をしてはならない。 第2 事案の概要本件は、発明の名称を「洗濯用洗浄補助用品及びこれを用いた洗濯方法」とする特許第5312663号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告に対し、被告が別紙物件目録記載の被告製品(以下「被告製品」という。)を製造、販売及び販売 の申出をする行為が本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)に当たるとして、特許法100条1項に基づき、被告製品の製造、販売及び販売の申出の差止めを求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は、マグネシウム製品の開発、製造、販売等を業とする株式会社であり、本件特許権を有している。 イ被 り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は、マグネシウム製品の開発、製造、販売等を業とする株式会社であり、本件特許権を有している。 イ被告は、マグネシウム粒の販売等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許ア原告は、平成24年11月5日、本件特許に係る特許出願(特願2012-243302号)をし、平成25年7月12日、本件特許権の設定の登録(請求項の数7)を受けた。 イ本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載は、以下のとおりである(以下、各請求項に係る発明を、順次、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」といい、これらを併せて「本件各発明」という。)。 (ア) 請求項1複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する 粒子を、水を透過する網体で封入してなることを特徴とする洗濯用洗浄補助用品。 (イ) 請求項2粒子が金属マグネシウム(Mg)単体を実質的に100重量%含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯用洗浄補助用品。 (ウ) 請求項3粒子の平均粒径が1.0~9.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯用洗浄補助用品。 (3) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明の構成要件を分説した結果は、以下のとおりである(以下、分 説した構成要件を、頭書の符号に対応させて、「構成要件1A」などという。)。 ア本件発明1 1A 複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子を、水を透過する網体で封入してなる1B ことを特徴とする洗濯用洗浄補助用品。 イ本件発明22A 粒子が金属マグネシウム(Mg)単体を実質的に100重量 50重量%以上含有する粒子を、水を透過する網体で封入してなる1B ことを特徴とする洗濯用洗浄補助用品。 イ本件発明22A 粒子が金属マグネシウム(Mg)単体を実質的に100重量%含 有するものである2B ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯用洗浄補助用品。 ウ本件発明33A 粒子の平均粒径が1.0~9.0mmである3B ことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯用洗浄補助用品。 (4) 原告による「洗たくマグちゃん」の販売(甲9ないし18、23ないし60、68ないし70、74、75、78及び81並びに弁論の全趣旨)原告は、平成25年9月から、「洗たくマグちゃん」という名称で、本件各発明の実施品である洗濯用洗浄補助用品(以下「原告製品」という。)の販売を開始した。 原告製品は、平成30年9月にテレビ番組で紹介されたことを契機に、多数のテレビ番組、雑誌、新聞、ウェブサイト、著名人や芸能人のブログ等で取り上げられるようになり、令和2年1月頃までには、全国的に周知された洗濯用洗浄補助用品となった。 また、原告製品は、全国規模の実店舗や、インターネットのショッピング サイトで販売され、令和2年5月までに、少なくとも500万個が販売された。 (5) 被告の行為(甲93、94及び140並びに弁論の全趣旨)ア被告による被告製品の販売被告は、遅くとも令和元年7月29日から、金属マグネシウムの粒子の 販売及び販売の申出を開始し、令和2年1月ないし3月頃から、業として、被告製品の販売(無償譲渡を含む。以下同じ。)及び販売の申出を開始したが、遅くとも口頭弁論終結時までには販売及び販売の申出が停止された。 イ被告製品の商品説明の表示(ア 、業として、被告製品の販売(無償譲渡を含む。以下同じ。)及び販売の申出を開始したが、遅くとも口頭弁論終結時までには販売及び販売の申出が停止された。 イ被告製品の商品説明の表示(ア) 被告製品の商品パッケージの記載被告製品の商品パッケージには、「BATH」、「WASH」及び「CLEAN」の記載がある。 (イ) インターネットショッピングサイトAmazonにおける被告製品販 売ページの記載インターネットショッピングサイトAmazonにおける被告製品販売ページ(以下「本件ウェブページ」という。)には、「DIY」及び「【洗濯に】 高純度のマグネシウムペレットを水の中に入れると水道水が弱アルカリイオン水に変化します。この弱アルカリイオン水には臭い 成分の分解や洗浄力があります。」、「部屋干しの生乾きの嫌な臭いに・雨の日の洗濯物の嫌な臭いに・タオルの生乾きの嫌な臭いに」などの記載がある。 (6) 本件訴訟提起前の交渉経緯(甲124及び134)原告は、被告に対し、令和元年10月11日、被告製品を販売する行為が 本件特許権を侵害する旨を記載した通知書(以下「本件通知書」という。)を送付し、被告製品の販売中止等を求め、被告は同月15日、これを受領した。 被告は、原告に対し、同年12月24日付け「ご連絡」と題する書面を送付し、被告製品の販売が本件特許権を侵害することを争い、原告の要求に応 じることができない旨を明らかにした。 2 争点(1) 被告製品の製造、販売及び販売の申出による間接侵害の成否(争点1)(2) 差止めの必要性の有無(争点2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品の製造、販売及び販売の申出による間接侵害の成否)について(原告の主張) (2) 差止めの必要性の有無(争点2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品の製造、販売及び販売の申出による間接侵害の成否)について(原告の主張) 被告は、自ら金属マグネシウムの粒子を洗濯ネットに封入した洗濯用洗浄補助用品を製造、販売等すると、本件特許権を侵害することから、これを回避する目的で、被告製品に係る金属マグネシウムの粒子を製造、販売等し、購入者に、金属マグネシウムの粒子を洗濯ネットに封入させて本件各発明に係る洗濯用洗浄補助用品を生産させているのであり、次の各要件を満たすことから、本 件特許権の間接侵害(特許法101条2号)が成立する。 (1) 金属マグネシウムの粒子を洗濯ネットに封入して製造された洗濯用洗浄補助用品が本件各発明の技術的範囲に属すること被告製品は、下記aないしcの構成(以下、順次「構成a」、「構成b」などという。)を有しており、これを前提とすると、被告製品に係る金属マグ ネシウムの粒子を洗濯ネットに封入して製造された洗濯用洗浄補助用品は、本件各発明の技術的範囲に属するといえる。 記a 純度が約99.95%であって、平均粒径が5mmの金属マグネシウムの粒子からなり、 b 洗濯用洗浄補助用品の手作りの用途に用いることが商品説明に記載された、c 複数の金属マグネシウムの粒子。 (2) 被告製品が本件各発明に係る「物の生産に用いる物」であり、本件各発明による「課題の解決に不可欠なもの」であることについて 本件各発明に係る洗濯用洗浄補助用品は、被告製品に係る金属マグネシウムの粒子を洗濯ネットに封入することにより生産できることから、被告製品は、本件各発明に係る洗濯用洗浄補助用品の生産に用いられるものといえる。 また、本件特許に 用品は、被告製品に係る金属マグネシウムの粒子を洗濯ネットに封入することにより生産できることから、被告製品は、本件各発明に係る洗濯用洗浄補助用品の生産に用いられるものといえる。 また、本件特許に係る特許出願の願書に添付された明細書(以下「本件 明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)の記載によれば、本件発明1の課題は、従来技術とは異なり、洗濯後の繊維製品に残存する汚れ自体を、金属マグネシウム (Mg)単体の作用により減少させることによって、生乾き臭の発生を防止しようとするものであるところ(【0006】)、本件発明1は、かかる課題を解決するために、金属マグネシウム(Mg)単体と水との反応により発生する水素が、界面活性剤の汚れを落とす作用を促進させることを見出して(【0007】)、構成要件1Aの「金属マグネシウム(Mg)単体を5 0重量%以上含有する粒子」を洗濯用洗浄補助用品として用いる構成を採用したものであるといえる。 したがって、本件発明1は、「金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子」を備える点に、従来技術に見られない特徴的技術手段が存在する。 そして、被告製品は、「純度が約99.95%であって、平均粒径が5mmの金属マグネシウムの粒子」の構成を有し、請求項1に係る本件発明1の構成要件1Aを備えるものであるから、特許法101条2号の「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当する。請求項1に従属する請求項2及び3に係る本件発明2及び3についても同様である。 (3) 「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当しないことについて被疑侵害品が「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当するか否かを判 ても同様である。 (3) 「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当しないことについて被疑侵害品が「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当するか否かを判断した裁判例は、被疑侵害品の用途、構成、需要者等の限定があるかどうかを考慮する一方で、被疑侵害品の市場の流通量を考慮し ていない。 被告製品は、「純度が約99.95%であって、平均粒径が5mmの金属マグネシウムの粒子」(構成a)であり、日本国内の市場で広く取引されているアルミ合金添加用途、ダイカスト用途及び鉄鋼脱硫剤用途の金属マグネシウムとは、純度、形状及び用途が全く異なり、用途、構成及び需要者 が限定される特注品である。 また、被告製品は、「洗濯用洗浄補助用品の手作りの用途に用いることが商品説明に記載され」(構成b)ており、その記載内容が被告製品を洗濯ネ ットの網体に封入して用いる旨の説明であることは明らかであるから、本件各発明の実施のために設計された製品であるといえる。 この点、被告は、被告製品と同様の構成を備える金属マグネシウムの粒子は、市場において多数販売されており、容易に入手可能であるなどと主張する。しかし、特許法101条2号が間接侵害の要件として「日本国内 において広く一般に流通しているものを除く。」と規定した趣旨は、取引の安全性を確保するために、汎用品を間接侵害の対象外とした点にあるところ、被告が市場において入手可能であると主張する金属マグネシウムの粒子は、被告製品と同様、本件各発明の実施のために設計された間接侵害品であり、そもそも間接侵害品について取引の安全性を確保する必要はない から、上記の趣旨は妥当しない。 また、原告は、被告製品と同様の金属マグネシウムの粒子を発見した後、速やかに販売 接侵害品であり、そもそも間接侵害品について取引の安全性を確保する必要はない から、上記の趣旨は妥当しない。 また、原告は、被告製品と同様の金属マグネシウムの粒子を発見した後、速やかに販売の停止を求め、実際にこれを停止させてきたものであり、遅くとも口頭弁論終結時において、被告製品は、市場において広く取引され、たやすく入手できるものであったとはいえない。 したがって、被告製品は「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当しない。 (4) 主観的要件についてア本件各発明が特許発明であることの認識について原告製品は、被告が金属マグネシウムの粒子の製造、販売等を開始し た令和元年7月以前の時点で、既に日本国内において周知であり、高い関心が集まっていたこと、原告製品以外に、金属マグネシウムの粒子を用いた洗濯用洗浄補助用品は存在しないこと、被告は、日用品の販売等を行う事業者にすぎず、金属マグネシウムを原料とした製品を開発する事業者ではなく、自ら被告製品を開発したとは考え難く、第三者の製品 を模倣した可能性が高いことからすると、被告が原告製品の存在を知って被告製品の製造、販売等を開始したことは明らかである。 そして、原告製品のホームページ及び商品パッケージには、本件特許 権の特許番号が明確に表示されている。 したがって、被告は、被告製品の販売開始時点から、本件各発明が「特許発明であること」及び被告製品が「その発明の実施に用いられること」を知っていたことは明らかである。 イ被告製品が本件各発明の実施に用いられることの認識について 被告の従業員であるAは、令和元年6月26日、原告の仕入担当者宛てに、「洗濯マグネシウムを御社のブランドで販売しませんか?御社のブランドラベルを貼っ に用いられることの認識について 被告の従業員であるAは、令和元年6月26日、原告の仕入担当者宛てに、「洗濯マグネシウムを御社のブランドで販売しませんか?御社のブランドラベルを貼って納品いたします。卸価格は下記となります。600g(洗濯マグちゃん12個分のマグネシウム)1,480円(税抜)…」などと記載されたメールを送信し、被告製品を用いて原告製品の名 称とほぼ同一の「洗濯マグちゃん」を生産できることを説明しているのであるから、被告は、被告製品の販売開始前から原告製品の存在を知っていたといえること、被告製品の広告に「DIY」の文言を記載していることなどからすると、被告は、被告製品が原告製品と同様に、洗濯ネットに封入して使用されることを認識していたことは明らかである。 これに対し、被告は、被告製品の購入者が、被告製品を「網目の細かいネット」、「無数の微細な穴を空けたビニール袋」、「水を通す布地の巾着袋」又は「マグボール」に入れて使用することもあり、本件各発明を実施する態様で被告製品を使用するとは限らないから、被告に被告製品が本件各発明の実施に用いられることの認識はなかったなどと主張する。 しかし、本件発明1の構成要件1Aの「網体」は、「水を透過する網体」と記載されていることからも明らかなとおり、水を透過することができれば「網体」に該当するといえ、網目の細かさや粗さは特に問題とならない。このことは、本件明細書に「この網体自体の織り方としては、水を透過するものであれば各種の織り方が採用できる。」(【0025】)と 記載されていることからも明らかである。 したがって、被告の主張する、「網目の細かいネット」、「水を通す布地の巾着袋」及び「マグボール」は、いずれも構成要件1Aの「網体」に )と 記載されていることからも明らかである。 したがって、被告の主張する、「網目の細かいネット」、「水を通す布地の巾着袋」及び「マグボール」は、いずれも構成要件1Aの「網体」に 該当する。 よって、被告の主張するとおり、被告製品の購入者が被告製品を「網目の細かいネット」、「水を通す布地の巾着袋」又は「マグボール」に入れて使用することが考えられたとしても、これらはいずれも本件各発明を実施する態様での使用方法であるから、被告の主張は理由がない。 また、被告の主張する「無数の微細な穴を空けたビニール袋」について、このようなビニール袋を用いると、洗濯中にビニール袋が破れて金属マグネシウムの粒子が流出するといえるから、このような使用方法は現実的ではなく、この点の被告の主張も理由がない。 さらに、被告は、被告製品の購入者が、被告製品をそのまま洗濯桶に 投入してつけ置き洗いに使用することも考えられるなどと主張するが、被告製品は、構成bを備えるものであることからすると、被告製品に、これをそのまま洗濯桶に投入してつけ置き洗いに使用するという使用方法が想定されているとはいえず、この点に関する被告の主張も理由がない。 ウ仮に、被告が被告製品の販売を開始した時点において前記ア及びイの事実を知らなかったとしても、原告は、被告に対し、本件通知書において、被告製品を販売する行為が本件特許権を侵害する旨の警告を行っており、被告は、遅くとも令和元年10月15日には本件通知書を受領していることから、同日には、本件各発明が「特許発明であること」及び被告製品が 「その発明の実施に用いられること」を知るに至っている。 エ小括以上のとおり、被告製品の製造、販売及び販売の申出による本件特許権の間接侵害(特許法101条2号 あること」及び被告製品が 「その発明の実施に用いられること」を知るに至っている。 エ小括以上のとおり、被告製品の製造、販売及び販売の申出による本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)が成立する。 (被告の主張) ①被告製品に係る金属マグネシウムの粒子が、構成a及びcを備えていることは争わないが、構成bを備えているとはいえず、②被告製品に係る金属マグネシウムの粒子は「日本国内において広く一般に流通しているもの」に 該当し、③被告が「その発明が特許発明であること及びその物がその発明に用いられることを知りながら」金属マグネシウムの粒子を販売したとはいえないため、特許法101条2号の要件を満たさず、被告製品を販売等する行為について間接侵害は成立しない。なお、原告は、被告が被告製品を製造していると主張して、被告に対して、被告製品の製造の差止めを求めているが、 被告は被告製品の製造をしていないから、原告のこの点に係る請求は理由がない。 (1) 被告製品が本件各発明に係る「物の生産に用いる物」であり、本件各発明による「課題の解決に不可欠なもの」に該当するかについて被告製品が本件各発明に係る「物の生産に用いる物」に該当することは 争うが、「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するとの原告の主張は積極的には争わない。 (2) 「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当するかについて「日本国内において広く一般に流通しているもの」には、ねじ、釘などのように国内に広く一般に流通しているもののほか、特注するまでもなく市場 で一般に入手可能な規格品・普及品も含まれると解される。 被告製品は、純度が約99.95%であって、平均粒径が5mmの複数の金属マグネシウムの粒子であ いるもののほか、特注するまでもなく市場 で一般に入手可能な規格品・普及品も含まれると解される。 被告製品は、純度が約99.95%であって、平均粒径が5mmの複数の金属マグネシウムの粒子である。そして、被告製品と規格が同一又は類似の金属マグネシウムの粒子は、インターネット上のショッピングサイトである楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング等で、多数の業者によ る販売がされている。また、インターネット上の価格比較サイトである「価格.com」においては、販売されている金属マグネシウムの粒子の価格比較のページも作られている。したがって、少なくとも被告製品に係る金属マグネシウムの粒子は、既に日本国内における一般的な流通品として市場形成がされており、国内において広く一般に流通しているもの又は市場で一般に入手 可能な規格品であるといえる。 また、被告は、令和元年5月頃に、金属マグネシウムの粒子の効能に着目し、日本国内向けに中国産の高純度金属マグネシウムの粒子を輸入販売して いるB社から高純度金属マグネシウムの粒子を購入し、日本市場向けに販売するようになったのであり、B社は、遅くとも同月頃には、日本市場向けに高純度金属マグネシウムの粒子を輸入販売していたといえる。 さらに、被告が被告製品の販売を開始した前後には、日本市場において複数の業者が高純度金属マグネシウムの粒子を販売していた。そのため、遅く とも同月頃には、日本市場において高純度金属マグネシウムの粒子が一般的に流通していたといえる。 加えて、同年6月頃以降も、多数の業者が日本市場向けに高純度金属マグネシウムの粒子の販売を開始するようになったもので、遅くとも口頭弁論終結時までには、高純度金属マグネシウムの粒子は「日本国内において広く一 般に流 も、多数の業者が日本市場向けに高純度金属マグネシウムの粒子の販売を開始するようになったもので、遅くとも口頭弁論終結時までには、高純度金属マグネシウムの粒子は「日本国内において広く一 般に流通しているもの」となったといえる。 (3) 主観的要件についてア本件各発明が特許発明であることの認識について被告は、被告製品の販売を開始した当時、原告製品の存在を知らなかったから、原告からの特許権侵害の責任追及を免れる目的で被告製品を販 売したものではなく、被告において本件各発明が特許発明であることを知っていたとの主張は否認する。 もっとも、被告は、原告代理人が送付した本件通知書によって、本件各発明が特許発明であることを認識した。 そのため、被告は、平成30年10月11日以降の時点で本件各発明に ついて「その発明が特許発明であること」を知っていたことは認める。 イ被告製品が本件各発明の実施に用いられることの認識について被告製品は、布地の巾着袋等に入れて洗濯機に投入して洗濯を行う使用方法や、洗濯桶にそのまま投入し、つけ置き洗いを行う使用方法も想定されていたのであり、被告は、被告製品が本件各発明の実施に用いられ ることの認識を有していなかった。 すなわち、構成要件1Aの、「水を透過する網体で封入してなる」の「網」の通常の意味は、「糸・ひも・針金などを格子状に粗く編んだもの」 (旺文社国語辞典第十一版)、「(鳥・魚などをとるために)糸などを粗く編んで作った道具。また広く、針金・ひもなどを編んで作ったもの」(岩波国語辞典第八版)などであるとされている。そうすると、構成要件1Aの、「水を透過する網体で封入してなる」の「網体」とは、「糸等を目が粗い格子状に編んだ物体」と解釈するべきである。上記解釈は 」(岩波国語辞典第八版)などであるとされている。そうすると、構成要件1Aの、「水を透過する網体で封入してなる」の「網体」とは、「糸等を目が粗い格子状に編んだ物体」と解釈するべきである。上記解釈は、本件 明細書において、「糸等を目が粗い格子状に編んだ物体」と考えられる図が記載されていることからも、妥当な解釈であるといえる。上記解釈によれば、網目が粗いネットであれば「網体」に該当する一方、網目の細かいネット、無数の微細な穴を空けたビニール袋、水を通す布地の巾着袋等は「網体」に該当しないといえる。 また、「網体」に該当しない物品として、マグネシウム粒を封入するボール状の物体(いわゆるマグボール)も存在しているから、購入者によっては、マグボールを使用して洗濯を行うことも十分あり得る。 以上のことから、被告が被告製品を販売等していたとしても、直ちに「その物がその発明について用いられること」を知っていたことにはな らない。 ウ小括以上のとおり、被告製品の製造、販売及び販売の申出による本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)が成立するとは認められない。 2 争点2(差止めの必要性の有無)について (原告の主張)前記1(原告の主張)のとおり、被告製品の製造、販売及び販売の申出をする行為は、原告の本件特許権を侵害するものとみなされる。 原告は、本件訴訟提起前、被告に対し、事前に警告を行ったが、被告は、自らの行為が特許権侵害に該当することを一切認めず、現在も被告製品の製造、 販売及び販売の申出を続けている。 したがって、被告に対し、被告製品の製造、販売及び販売の申出を差し止める必要性が認められる。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書 ている。 したがって、被告に対し、被告製品の製造、販売及び販売の申出を差し止める必要性が認められる。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等(1) 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下のとおりの記載がある(下記記 載中に引用する図1及び2については別紙図面目録を参照)。 ア 【技術分野】【0001】本発明は、衣類などの繊維製品を洗濯した後に部屋干しした場合にも、乾燥後の繊維製品にいわゆる生乾き臭といわれる異臭(以下、「生乾き臭」 という。)が発生するのを抑制するために、洗濯の際に洗濯用洗剤とともに使用する洗濯用洗浄補助用品及びこれを用いた洗濯方法に関するものである。 【背景技術】【0002】 衣類などの繊維製品を洗濯後に部屋干しした場合には、しばしば、乾燥後の繊維製品に生乾き臭が発生する。このような生乾き臭は、洗濯により除去しきれなかった皮脂や蛋白などの汚れ(以下、単に「汚れ」という。)に菌が作用して引き起こされるものと考えられている。 【0003】 生乾き臭の発生を抑制するために、特許文献1には洗剤に抗菌剤を配合して用いる技術、特許文献2、3には柔軟剤に抗菌剤を配合して用いる技術が開示されている。また、発生した生乾き臭を消臭するために、特許文献4には抗菌剤を含有する消臭剤を用いる技術が開示されている。 【0004】 一方、マグネシウムを含有する粒子を利用する技術として、特許文献5には、家庭用電気洗濯機を用いる洗濯において、マグネシウム10~40重量%、鉄5~20重量%、カルシウム8~30重量%、珪素25~40 重量%をそれぞれ含有する洗濯石を用いることにより、洗 には、家庭用電気洗濯機を用いる洗濯において、マグネシウム10~40重量%、鉄5~20重量%、カルシウム8~30重量%、珪素25~40 重量%をそれぞれ含有する洗濯石を用いることにより、洗剤量を低減するか、全く使用することなく、汚れを除去することができる技術が開示されている。また、特許文献6、7には、マグネシウム粒子を水に投入して、活性水素を含む水素水を製造する技術が開示されている。 イ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】生乾き臭の発生を防止するために、特許文献1~3記載の発明では抗菌剤により菌の繁殖を抑制しており、また、特許文献4記載の発明では消臭剤により空間に漂う生乾き臭を消臭しているが、本発明の狙いは、これらとは異なり、生乾き臭が発生する根本原因である、洗濯後の繊維製品に残 存する汚れ自体を、金属マグネシウム(Mg)単体の作用により減少させることによって、生乾き臭の発生を防止しようとするものである。 ウ 【課題を解決するための手段】【0007】衣類等の繊維製品の洗濯においては、洗濯用洗剤に含まれる、親水基及 び親油基を有する界面活性剤の親油基が汚れに付き、親水基がこの汚れを水の中に引き離すことによって汚れが落とされるものであるが、本願発明者らは、金属マグネシウム(Mg)単体と水との反応により発生する水素が、界面活性剤の汚れを落とす作用を促進させることを見出してこの発明をなしたものである。 エ 【発明の効果】【0008】本発明においては、複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子を、水を透過する網体で封入してなる洗濯用洗浄補助用品を洗濯時に用いることにより、洗濯用洗剤に含まれる、界面 活性剤の汚れを落とす作用を促進させて汚れ自体を減 単体を50重量%以上含有する粒子を、水を透過する網体で封入してなる洗濯用洗浄補助用品を洗濯時に用いることにより、洗濯用洗剤に含まれる、界面 活性剤の汚れを落とす作用を促進させて汚れ自体を減少することができるので、繊維製品を室内で自然乾燥させても、乾燥後の繊維製品に生乾き臭が発生することを防止できる。さらに、洗濯用洗剤に抗菌剤といっ た余分な成分を配合する必要がないため、経済的であり、また、過敏症の人の健康に影響を与えることも少なくなる。 オ 【発明を実施するための形態】【0010】本発明は、汚れ自体を減少させ、繊維製品を室内で自然乾燥させても、 乾燥後の繊維製品に生乾き臭が発生することが防止できる洗濯用洗浄補助用品及びこれを用いた洗濯方法であって、具体的には、複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子(以下、「マグネシウム粒子」という。)を、水を透過する網体に封入してなる洗濯用洗浄補助用品及びこれを用いた洗濯方法に関するものである。 【0019】本発明の洗濯用洗浄補助用品に用いられるマグネシウム粒子の組成としては、上記のように、金属マグネシウム(Mg)単体は室温の水と比較的ゆっくりと反応して水素を発生することから、水素の発生量を多くするため、金属マグネシウム(Mg)単体を比較的高い割合で含有するも のが好ましい。 【0020】本発明の「金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子」とは、金属マグネシウム(Mg)単体を比較的高い割合で含有する粒子を意味しており、具体的には、金属マグネシウム(Mg)単体を5 0重量%以上含有するものであり、80重量%以上含有するものが好ましく、実質的に100重量%含有するものがより好ましい。…【0022】 ており、具体的には、金属マグネシウム(Mg)単体を5 0重量%以上含有するものであり、80重量%以上含有するものが好ましく、実質的に100重量%含有するものがより好ましい。…【0022】本発明の洗濯用洗浄補助用品に用いられるマグネシウム粒子の平均粒径は、単位体積当たりの表面積を大きくして水素の発生量多くする観点か らは小さいほど好ましいが、小さくするにしたがい粒子の強度が低下し、取り扱いも難しくなるため、製造及び使用上の観点から、平均粒径は1. 0~9.0mmであることが好ましく、3.0~7.0mmであること がより好ましく、4.0~6.0mmであることが最も好ましい。 【0023】本発明の洗濯用洗浄補助用品は、複数個の、マグネシウム粒子を、水を透過する網体で封入したものであるので、使用時には洗濯槽に入れやすく、使用後には洗濯槽から取り出しやすいものとなっている。 【0024】この網体の素材は、耐水性があるものであれば、各種天然繊維、合成繊維を用いることができるが、強度が高く、使用後の乾燥が容易で、洗濯時に着色傾向の小さいポリエステル繊維を用いることが好ましい。 【0025】 この網体自体の織り方としては、水を透過するものであれば各種の織り方が採用できる。また、網体によるマグネシウム粒子の封入手段としては、マグネシウム粒子が漏れ出さないものであれば各種の封入手段が採用できるが、洗濯に繰り返し使用しても、網体に穴が開いたり、縫製部が解けないよう、網体を複数層にする、縫製部に補強布を縫い付けることが好まし い。また、網体に取手を取り付けておけば、使用後に洗濯槽から取り出したり、乾燥したりする場合に便利である。 カ 【実施例】【0029】図1に示す洗濯機用洗浄補助用品の第 ことが好まし い。また、網体に取手を取り付けておけば、使用後に洗濯槽から取り出したり、乾燥したりする場合に便利である。 カ 【実施例】【0029】図1に示す洗濯機用洗浄補助用品の第一の実施例は、網袋2内に複数 個のマグネシウム粒子1を封入するとともに、網袋2の隅部に取手9を取り付けたものである。 【0031】次に、図2に示す洗濯機用洗浄補助用品の第二の実施例は、網袋を2層(内部網体3及び外部網体4)にして補強するとともに、縁部に補強 布5を縫い付けて縫製部を補強することにより、封入したマグネシウム粒子1が漏れ出しにくくしたものである。この補助用品では、補強布5の一端を縁部から外方向に延長することで、取手9を形成している。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 ア衣類などの繊維製品の生乾き臭は、洗濯により除去しきれなかった皮脂や蛋白などの汚れに菌が作用して引き起こされるものと考えられているところ、従来、生乾き臭の発生を抑制するために、洗剤や柔軟剤に抗菌剤を 配合して用いる技術が存在し、また、発生した生乾き臭を消臭するために、抗菌剤を含有する消臭剤を用いる技術が存在しており、一方、マグネシウムを含有する粒子を利用する技術として、家庭用電気洗濯機を用いる洗濯において、マグネシウム等を含有する洗濯石を用いることにより、洗剤量を低減するか、全く使用することなく、汚れを除去することができる技術 や、マグネシウム粒子を水に投入して、活性水素を含む水素水を製造する技術が存在した(【0002】ないし【0004】)。 イ 「本発明」は、前記アの従来技術とは異なり、生乾き臭が発生する根本原因である、洗濯後の繊維製品に残存する して、活性水素を含む水素水を製造する技術が存在した(【0002】ないし【0004】)。 イ 「本発明」は、前記アの従来技術とは異なり、生乾き臭が発生する根本原因である、洗濯後の繊維製品に残存する汚れ自体を、金属マグネシウム(Mg)単体の作用により減少させることによって、生乾き臭の発生を防 止することを目的とし、金属マグネシウム(Mg)単体と水との反応により発生する水素が、界面活性剤の汚れを落とす作用を促進させることを見出したものであり、複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子を、水を透過する網体で封入してなる洗濯用洗浄補助用品を洗濯時に用いることにより、洗濯用洗剤に含まれる、界面活性剤 の汚れを落とす作用を促進させて汚れ自体を減少することができるので、繊維製品を室内で自然乾燥させても、乾燥後の繊維製品に生乾き臭が発生することを防止でき、さらに、洗濯用洗剤に抗菌剤といった余分な成分を配合する必要がないため、経済的であり、また、過敏症の人の健康に影響を与えることも少なくなるとの効果を奏する(【0006】ないし【00 08】)。 2 争点1(被告製品の製造、販売及び販売の申出による間接侵害の成否)について (1) 被告製品が本件各発明に係る物の生産に用いる物といえるかについてア被告製品の構成について前記前提事実(5)イのとおり、被告製品の商品パッケージには、洗濯を意味する「WASH」の記載があること、被告製品の販売ページである本件ウェブページには、「DIY」、「【洗濯に】 高純度のマグネシウムペ レットを水の中に入れると水道水が弱アルカリイオン水に変化します。 この弱アルカリイオン水には臭い成分の分解や洗浄力があります」、「部屋干しの生乾きの嫌な臭いに・雨の日の洗濯物 のマグネシウムペ レットを水の中に入れると水道水が弱アルカリイオン水に変化します。 この弱アルカリイオン水には臭い成分の分解や洗浄力があります」、「部屋干しの生乾きの嫌な臭いに・雨の日の洗濯物の嫌な臭いに・タオルの生乾きの嫌な臭いに」との記載があることが認められる。 そして、「DIY」とは、「DoItYourself」の頭字語であり、「手作り をする」という意味も有していると認められること(弁論の全趣旨)、被告製品の商品パッケージ及び本件ウェブページの上記記載が、洗濯物の汚れを減少させ、生乾きの臭いを防止するという被告製品の効能を得るためには、金属マグネシウムの粒子を水道水と反応させつつ洗濯をする必要があることを示唆していること、金属マグネシウムの粒子をそのまま洗濯機 又は洗濯桶に投入すると、洗濯終了後に金属マグネシウムの粒子の回収の手間がかかることはたやすく予想できることに照らせば、上記被告製品の商品パッケージ及び本件ウェブページの記載に接した被告製品の購入者は、購入した被告製品を洗濯ネット等の水を透過する入れ物に封入し、これを洗濯機等に入れて洗濯を行うという使用方法が説明されていると理解する といえる。 したがって、上記被告製品の商品パッケージの記載及び本件ウェブページの記載は、被告製品を用いて洗濯用洗浄補助用品を手作りし、洗濯をするとの被告製品の用途の説明をした記載であることは明らかであり、被告製品は構成bを有していると認められる。 そして、本件において、被告製品が構成a及びcを備えていることは当事者間において争いがない。 以上のことから、被告製品は、構成aないしcの全ての構成を有してい ると認められる。 イ洗濯に用いるために洗濯ネットに被告製品を封入して製造された物 とは当事者間において争いがない。 以上のことから、被告製品は、構成aないしcの全ての構成を有してい ると認められる。 イ洗濯に用いるために洗濯ネットに被告製品を封入して製造された物品が本件各発明の技術的範囲に属するかについて(ア) 本件発明1について被告製品は、「純度が約99.95%…の金属マグネシウムの粒子」 である(構成a)ところ、これは、「金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子」(構成要件1A)に該当する。 また、被告製品は、「複数の金属マグネシウムの粒子」(構成c)であるから、金属マグネシウムの粒子は「複数個」(構成要件1A)あるといえる。 さらに、被告製品が封入される「洗濯ネット」は、「水を透過する網体」(構成要件1A)に該当し、洗濯に用いるために洗濯ネットに被告製品を封入して製造された物品は、「水を透過する網体に封入してなる」(構成要件1A)「ことを特徴とする洗濯用洗浄補助用品」(構成要件1B)に該当するといえる。 以上によれば、洗濯ネットに被告製品を封入して製造された物品は、構成要件1A及び1Bを充足する。 (イ) 本件発明2について被告製品の金属マグネシウムの粒子は、「純度が約99.95%」であるところ(構成a)、これは、金属マグネシウムの含有量が実質的に 100重量%であることに相当するから、「純度が約99.95%…の金属マグネシウムの粒子」(構成a)は、「粒子が金属マグネシウム(Mg)単体を実質的に100重量%含有するものである」(構成要件2A)に該当する。 そして、前記(ア)の認定を前提とすると、洗濯に用いるために洗濯ネ ットに被告製品を封入して製造された物品は、「ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯用洗浄補助用品。」 件2A)に該当する。 そして、前記(ア)の認定を前提とすると、洗濯に用いるために洗濯ネ ットに被告製品を封入して製造された物品は、「ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯用洗浄補助用品。」(構成要件2B)に該当する。 以上によれば、被告製品を洗濯ネットに封入して製造された物品は、 構成要件2A及び2Bを充足する。 (ウ) 本件発明3について被告製品は、「平均粒径が5mmの金属マグネシウムの粒子からなる」(構成a)ところ、その粒子の平均粒径は1.0から9.0mmの範囲内にあるから、「粒子の平均粒径が1.0~9.0mmである」(構成要 件3A)に該当する。 そして、前記(ア)及び(イ)の認定を前提とすると、洗濯に用いるために被告製品を洗濯ネットに入れて製造された物品は、「ことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯用洗浄補助用品。」(構成要件3B)に該当する。 以上によれば、被告製品を洗濯ネットに封入して製造された物品は、構成要件3A及び3Bを充足する。 (エ) 小括以上によれば、洗濯に用いるために洗濯ネットに被告製品を封入して製造された物品は、本件各発明の技術的範囲に属する。 ウ 「その物の生産に用いる物」について前記イのとおり、洗濯に用いるために洗濯ネットに被告製品に係る金属マグネシウムの粒子を封入して製造された物品は、本件各発明の技術的範囲に属するから、被告製品は、本件各発明に係る物の生産に用いる物であるといえる。 (2) 「課題の解決に不可欠なもの」について本件明細書の記載によれば、本件各発明の課題は、洗濯後の繊維製品に残存する汚れ自体を、金属マグネシウム(Mg)単体の作用により減少させることによって、生乾き臭の発生を防止しようとするもので 本件明細書の記載によれば、本件各発明の課題は、洗濯後の繊維製品に残存する汚れ自体を、金属マグネシウム(Mg)単体の作用により減少させることによって、生乾き臭の発生を防止しようとするものであり(【0006】)、かかる課題を解決するために、金属マグネシウム(Mg)単体と水と の反応により発生する水素が、界面活性剤による汚れを落とす作用を促進させることを見出し(【0007】)、構成要件1Aの「金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子」を洗濯用洗浄補助用品として用い る構成を採用したものであると認められる。 そして、被告製品は、前記(1)イ(ア)のとおり、構成要件1Aを充足するものであり、本件ウェブページには、被告製品を洗濯に用いることで、金属マグネシウム(Mg)単体の作用により洗濯後の繊維製品に残存する汚れ自体を減少させ、生乾き臭の発生を防止することができることが示唆されている から、本件ウェブページの記載を前提とすると、被告製品は、本件各発明の課題の解決に不可欠なものに該当するというべきである。 (3) 「日本国内において広く一般に流通しているもの」についてア特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは、典型的には、ねじ、釘、電球、トランジスター等の、日本 国内において広く普及している一般的な製品、すなわち、特注品ではなく、他の用途にも用いることができ、市場において一般に入手可能な状態にある規格品、普及品を意味するものと解するのが相当である。 本件においては、前記(1)アのとおり、被告製品には、購入後に洗濯ネットに入れて洗濯用洗浄補助用品を手作りし、洗濯物と一緒に洗濯をす る旨の使用方法が付されている。そして、本件明細書には、洗濯用洗浄 いては、前記(1)アのとおり、被告製品には、購入後に洗濯ネットに入れて洗濯用洗浄補助用品を手作りし、洗濯物と一緒に洗濯をす る旨の使用方法が付されている。そして、本件明細書には、洗濯用洗浄補助用品として用いられる金属マグネシウムの粒子の組成は、金属マグネシウム(Mg)単体を実質的に100重量%含有するものがより好ましく(【0020】)、洗濯洗浄補助用品として用いられる金属マグネシウムの粒子の平均粒径は、4.0~6.0mmであることが最も好ましい (【0022】)と記載されているところ、前記(1)イのとおり、被告製品は、これらの点をいずれも満たしている。そうすると、被告製品を洗濯ネットに封入することにより、必ず本件各発明の構成要件を充足する洗濯用洗浄補助用品が完成するといえるから、被告製品は、本件各発明の実施にのみ用いる場合を含んでいると認められ、上記のような単なる規 格品や普及品であるということはできない。 以上によれば、被告製品は、「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当するとは認められない。 イこれに対し、被告は、被告製品に係る金属マグネシウムの粒子と同じ構成を備える金属マグネシウムの粒子が市場に多数流通しており、遅くとも口頭弁論終結時までには、日本国内において広く一般に流通しているものになったといえると主張する。 しかし、「日本国内において広く一般に流通しているもの」の要件は、 市場において一般に入手可能な状態にある規格品、普及品の生産、譲渡等まで間接侵害行為に含めることは取引の安定性の確保の観点から好ましくないため、間接侵害規定の対象外としたものであり、このような立法趣旨に照らすと、被告製品が市場において多数流通していたとしても、これのみをもって、「日本国内において広く一 性の確保の観点から好ましくないため、間接侵害規定の対象外としたものであり、このような立法趣旨に照らすと、被告製品が市場において多数流通していたとしても、これのみをもって、「日本国内において広く一般に流通しているもの」に 該当するということはできない。 したがって、被告の主張は採用することができない。 (4) 主観的要件について間接侵害の主観的要件を具備すべき時点は、差止請求の関係では、差止請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時である。 そして、前記前提事実(4)のとおり、原告製品は、令和2年1月頃までには、全国的に周知された商品となっていたこと、本件ウェブページには、被告製品の購入者によるレビューが記載されているところ、令和2年4月から同年7月にかけてレビューを記載した購入者45人のうち、20人の購入者が、被告製品をネットに封入して洗濯に使用した旨を記載しており、7人の 購入者が「まぐちゃん」、「マグちゃん」、「洗濯マグちゃん」、「洗濯〇〇ちゃん」などと、洗濯用洗浄補助用品である原告製品の名称に言及したと解される記載をしていることを認めるに足る証拠(甲111)が提出されていることからすると、被告は、遅くとも口頭弁論終結時までには、被告製品に係る金属マグネシウムの粒子が、本件各発明が特許発明であること及び被告製品 が本件各発明の実施に用いられることを知ったと認められる(当裁判所に顕著な事実)。 これに対し、被告は、被告製品については、構成要件1Aの「網体」に は含まれない、布地の巾着袋等に被告製品を入れて洗濯機に投入して洗濯を行う使用方法などが想定されていたのであり、被告には被告製品が本件各発明の実施に用いられることの認識はない旨主張する。 しかし、「網」は、被告が主張する意味のほか 製品を入れて洗濯機に投入して洗濯を行う使用方法などが想定されていたのであり、被告には被告製品が本件各発明の実施に用いられることの認識はない旨主張する。 しかし、「網」は、被告が主張する意味のほかにも、「鳥獣や魚などをとるために、糸や針金を編んで造った道具。また、一般に、糸や針金を編ん で造ったもの。」(広辞苑第7版)の意味もあると認められること、本件明細書においては、「網体」の意義について、「本発明の洗濯用洗浄補助用品は、複数個の、マグネシウム粒子を、水を透過する網体で封入したものであるので、使用時には洗濯槽に入れやすく、使用後には洗濯槽から取り出しやすいものとなっている。」(【0023】)、「この網体の素材は、耐水性 があるものであれば、各種天然繊維、合成繊維を用いることができるが、強度が高く、使用後の乾燥が容易で、洗濯時に着色傾向の小さいポリエステル繊維を用いることが好ましい。」(【0024】)、「この網体自体の織り方としては、水を透過するものであれば各種の織り方が採用できる。」(【0025】)と記載されているのみで、網目の細かさについては言及されてい ないことからすると、被告が主張する使用方法も、本件各発明を実施する態様による使用方法であることに変わりはないといえる。 したがって、被告が、購入者が構成要件1Aの「網体」には含まれない、布地の巾着袋等に被告製品を入れて洗濯機に投入して洗濯を行う使用方法が想定されていたとしても、被告において被告製品が本件各発明の実施に 用いられることの認識があったことを否定する事情とはならなない。 (5) 小括したがって、被告が、業として、被告製品の販売又は販売の申出等をした行為(前記前提事実(5)ア)について、本件特許権の特許法101条2号の間接侵害が成立する とはならなない。 (5) 小括したがって、被告が、業として、被告製品の販売又は販売の申出等をした行為(前記前提事実(5)ア)について、本件特許権の特許法101条2号の間接侵害が成立する。 他方で、被告が被告製品の製造をしたとの事実を認めるに足りる証拠はないから、被告による被告製品の製造行為について、本件特許権の特許法101条2号の間接侵害が成立するとの原告の主張は理由がない。 3 争点2(差止めの必要性の有無)について前記2のとおり、被告が被告製品について販売又は販売の申出をすることは、本件特許権を侵害するものとみなされる。 そして、前記前提事実(6)のとおり、原告が、被告に対し、令和元年10月11日、被告製品を販売する行為が本件特許権を侵害する旨を記載した本件通 知書を送付したところ、被告は、原告に対し、同年12月24日付け「ご連絡」と題する書面を送付し、被告製品の販売は本件特許権を侵害していないとして、原告の要求に応じることができない旨を明らかにしたことが認められる。 本件訴訟係属前における被告の上記回答内容に加え、本件訴訟において、被告が前記第3の被告の主張のとおり主張して本件特許権の間接侵害の成立を争 っていること、証拠(乙9、10)及び弁論の全趣旨によれば、高純度金属マグネシウムの粒子を日本国内に輸出する業者が存在することが認められ、これを輸入して販売することは比較的容易であると考えられることに照らすと、現時点において、被告が被告製品を販売していないこと(前記前提事実(5)ア)を踏まえても、被告に対し、被告製品を販売又は販売の申出をする行為を差し 止める必要があると認めるのが相当である。 4 結論以上によれば、原告の請求は、被告による被告製品の販売又は販売の申出 踏まえても、被告に対し、被告製品を販売又は販売の申出をする行為を差し止める必要があると認めるのが相当である。 4 結論以上によれば、原告の請求は、被告による被告製品の販売又は販売の申出の差止めを求める限度で理由があるからこれを認容することとし、その余は理由がないからこれを棄却することとして、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法61条、64条ただし書を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 バヒスバラン薫 (別紙)物件目録 被告製品:下記の商品を含む、品名に「Hap pyMag」を含むマグネシウム粒子。 記 ⑴ 品名 HappyMag 容量 150g ⑵ 品名 HappyMag 容量 300g ⑶ 品名 HappyMag 容量 400g ⑷ 品名 HappyMag 容量 600g ⑸ 品名 HappyMag 容量 1200g ⑹ 品名 HappyMag 容量 2400g ⑺ 品名 HappyMag 容量 3000g ⑻ 品名 HappyMag 容量 5000g ⑼ 品名 HappyMag HappyMag容量 2400g 品名 HappyMag容量 3000g 品名 HappyMag容量 5000g 品名 HappyMag容量 10kg 品名 HappyMag容量 15kg 品名 HappyMag容量 25kg以上 (別紙)図面目録 【図1】 【図2】
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