【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 弁護人勅使河原直三郎の控訴趣意並びに同弁護人の陳述した被告人名義の控訴趣 意は別紙記載のとおりである。 弁護人の控訴趣
主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人勅使河原直三郎の控訴趣意並びに同弁護人の陳述した被告人名義の控訴趣意は別紙記載のとおりである。 弁護人の控訴趣意のうち擬律錯誤を主張する点についておよそ被告人の為にする上訴は下級裁判所の裁判に対する不服の申立であつて不利益の裁判を是正して利益と為すことを求むるを以て、その本質と為すものであるから被告人は下級裁判所の裁判が自己に不利益な場合でなければ之に対し上訴権を有しないものであると、いわなければならない。しかし裁判が被告人に不利益であるか否かは、一にその主文を標準として客観的に定むることを要し、裁判の理由及被告人の主観的事情等は之を問うことを要しないものである。何となれば裁判は理由の如何を問はず一に其の主文によつて定まりその利益と不利益とは主文の内容に関する刑事訴訟法上における価値判断であつて即ち被告人をして刑事に関する責任を一時若くは永久に免れしむるの結果に至るか否かによつて決すべきものであるかちである。本件について考えると所論は被告人は昭和二十六年一月十七日自宅でその製造しえ焼酎一斗五升一合を所持していたという公訴事実に対し原審は犯罪を構成しないという理由のもとに公訴棄却したのは誤りで無罪を宣告すべきであるというのであるがその判決の当否如何に拘らす公訴棄却はその結果として被告人は既に受けた公訴の関係を<要旨>離脱し、いまだ被告人とならない以前の状態に復したことになるのであるから、その判決は結局被告人に利益</要旨>であることは疑を容れない。従つて此の点については被告人は上訴権を有しないものと解するのが相当である。論旨は採用の限りでない被告人の控訴趣意のうち前段について所論は原判決の罰金刑を体刑にして、その執行猶予の宣言を求めるというので 点については被告人は上訴権を有しないものと解するのが相当である。論旨は採用の限りでない被告人の控訴趣意のうち前段について所論は原判決の罰金刑を体刑にして、その執行猶予の宣言を求めるというのであるが刑法第十条の規定に照し鑑みるに右は被告人に利益である処分を覆し其の不利益に原判決を是正せしめんとする結果になるので前段説示の理由により斯る控訴理由は許すべからざるものである、論旨は理由がない。 弁護人の控訴趣意のうち量刑不当の主張並びに被告人の控訴趣意のうち後段について記録を精査し、所論の事情を参酌し、被告人の本件犯行の動機、態様、経歴、その他諸般の情状を斟酌して考察するも原審が本件につき被告人に対し科した刑が重きに過ぎるものとは認められないから論旨はいずれも理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い、本件控訴を棄却すべきものとし主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官大野正太郎裁判官松村美佐男裁判官蓮見重治)
▼ クリックして全文を表示