平成21(行ウ)465 総合設計許可処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年10月15日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文51,594 文字)

- 1 - 主文 1 原告宗教法人P1及び原告P2の訴えをいずれも却下する。 2 その余の原告らの訴えに係る請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 東京都知事(以下「都知事」という。)がP3株式会社(以下「P3」という。)及び株式会社P4(以下「P4」といい,P3と併せて「本件申請者ら」という。)に対してした平成21年2月27日付け○都市建指建第○号の総合設計許可処分(以下「本件許可処分」という。)を取り消す。 2 被告財団法人P5(以下「被告P5」という。)がP3に対してした平成22年4月13日付け確認番号○号の建築確認処分(以下「本件確認処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要本件は,本件申請者らが建築を計画した別紙建築物目録記載の共同住宅・保育所用ビルである建築物(以下「本件建築物」といい,本件建築物の敷地(別紙建築物目録記載3「建設地」参照)を「本件敷地」という。)につき,① 本件申請者らに対し,都知事が,建築基準法59条の2第1項に基づく許可処分(本件許可処分)を行い,② P3に対し,被告P5が,建築基準法6条の2第1項,88条1項に基づき,本件建築物の建築計画(以下「本件建築計画」という。なお,後記のとおり本件建築物の建築計画には変更が施されているものの,変更の前後を区別することはしない。)に係る建築確認処分を行い,その後のいわゆる変更確認処分や審査請求における取消し等を経た後に平成22年4月13日付けで本件確認処分を行ったところ,本件建築物の建築・築造予定地の近隣に事務所を構える宗教法人及び近隣に居住する住民(以下,これらを総称して「原告ら」という。 取消し等を経た後に平成22年4月13日付けで本件確認処分を行ったところ,本件建築物の建築・築造予定地の近隣に事務所を構える宗教法人及び近隣に居住する住民(以下,これらを総称して「原告ら」という。)が,① 本件許可処分は,同法59条の2第1項所定の要件を具備し - 2 -ていないにもかかわらず同項を適用して本来許容され得る範囲を超えて容積率の緩和を許可している点で違法である,② 本件確認処分は,違法な本件許可処分を前提としているから違法であるなどとして,本件許可処分及び本件確認処分の各取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め(1) 総合設計許可建築基準法59条の2第1項は,その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で,特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい,その他の市町村の区域については都道府県知事をいうが,同法97条の2第1項又は97条の3第1項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については,都道府県知事とする(同法2条35号)。)が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建ぺい率,容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したもの(以下,この同法59条の2第1項に基づく許可を「総合設計許可」という。)の容積率又は各部分の高さは,その許可の範囲内において,同法52条1項から9項まで,57条の2第6項(容積率)又は55条1項,56条(各部分の高さ)の規定による限度を超えるものとすることができる旨定め,同法59条の2第2項は,同法44条2項の準用により,特定行政庁は,総合設計許可をする場合においては,あらかじめ,建築審査会の同意を得なけれ )の規定による限度を超えるものとすることができる旨定め,同法59条の2第2項は,同法44条2項の準用により,特定行政庁は,総合設計許可をする場合においては,あらかじめ,建築審査会の同意を得なければならない旨定めている。 (2) 建築確認建築基準法6条1項(同法6条の2第1項によるみなし適用の場合を含む。)は,建築主は,同項各号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定(建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定その他建築物の敷地,構造又は建 - 3 -築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならないと規定する。 2 前提事実(争いのない事実及び顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告宗教法人P1(以下「原告P1」という。)は,肩書所在地に主たる事務所を置き,P6を本尊とし,一宗の総本山としてP7宗の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成し,その他この寺院の目的を達成するための業務及び公益事業その他の事業を行うことを目的とする宗教法人である。(現在事項全部証明書)原告P8,原告P9,原告P10,原告P11及び原告P2(上記5名を総称して「原告5名」という。)は,いずれも肩書住所地に居住する者である。 原告P8は本件敷地の北東側約61.5m,原告P9は本件敷地の北東側約89.4m,原告P10は本件敷地の北側約11.5m,原告P11は本件敷地の東側約20.7m,原告P2は本件敷地の北側数百mの位置にそれぞれ居住し,原告P1は本件建物の東 告P9は本件敷地の北東側約89.4m,原告P10は本件敷地の北側約11.5m,原告P11は本件敷地の東側約20.7m,原告P2は本件敷地の北側数百mの位置にそれぞれ居住し,原告P1は本件建物の東側約209mの位置に土地を所有している。原告5名及び原告P1の各居住場所ないし所在地等と本件敷地との位置関係は,別紙図面1ないし3のとおりである。 (以上につき,甲2の1~3)本件建物が完成した場合,原告P8,原告P9及び原告P10は,これにより冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間においてその自宅敷地に一定の日照の阻害を受ける。原告P11は,これにより冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間における日照の阻害を - 4 -受けることはないものの,少なくとも春秋分日の真太陽時による午後4時ころ及び夏至日の真太陽時による午後3時以降の日影の影響を受ける。 (甲8の3・4)また,原告らはいずれも本件建築物から半径600m以内に居住又は所在するところ,同範囲の風洞模型等によって本件建築物の風環境調査が実施された結果,本件建築物の建設前における風環境評価のランクは2以下(本件敷地の周囲付近においてはランク1)であり,本件建築物の建設後における風環境評価のランクは,本件建築物の周辺において同ランク3ないし4を記録するが,植栽,生垣等の暴風対策を施して行われた実験例における風環境評価のランクでは上記範囲のすべての地点において同ランク2以下となっている。(甲9,乙A2)イ都知事は,本件敷地における本件建築計画について,本件申請者らに対し,後記(2)イ(ウ)のとおり本件許可処分をした者であり,被告東京都に所属し,かつ,被告東京都の代表者である。 ウ被告P5は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の 本件申請者らに対し,後記(2)イ(ウ)のとおり本件許可処分をした者であり,被告東京都に所属し,かつ,被告東京都の代表者である。 ウ被告P5は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより指定を受けた者(指定確認検査機関)であり,後記(2)イ(オ),(キ),(シ)及び(セ)のとおり本件敷地における本件建築計画について建築確認処分又は変更確認処分(本件確認処分を含む。)をした者である。 (2) 事実経過ア本件敷地本件建築計画の敷地である本件敷地は,別紙建築物目録記載3「建設地」欄記載のとおりであり,その面積は6339.97㎡である(本件敷地の形状については別紙図面1参照)。 本件敷地は,用途地域を商業地域(都市計画法8条1項1号)として指定された区域内に存し,また防火地域(同法9条20項)として指定され - 5 -ているが,日影規制が設けられた地域ではない。 イ本件許可処分及び本件確認処分と本件訴訟の経緯(ア) 平成20年8月25日,本件申請者らは,本件敷地を取得し,本件敷地の一部に存在した老朽化したマンションの建て替えとして,本件建築計画について,都知事に対し,建築基準法59条の2第1項に基づき,総合設計許可を申請した。 (イ) 平成20年12月19日,本件敷地は,上記アのとおり用途地域を商業地域として指定されている地域であったことから,東京都総合設計許可要綱実施細目(以下「実施細目」という。)第7,2)に基づき,都知事は,公聴会を開催した。(甲20,乙A7)(ウ) 平成21年1月19日,都知事は,東京都建築審査会の同意を得た(建築基準法59条の2第2項,同法44条2項)上で,同年2月27日,同法59条の2第1項の規定に基づいて本件許可処分(○都市建指建第○号)をした。 日,都知事は,東京都建築審査会の同意を得た(建築基準法59条の2第2項,同法44条2項)上で,同年2月27日,同法59条の2第1項の規定に基づいて本件許可処分(○都市建指建第○号)をした。 本件許可処分は,本件敷地の基準容積率が500%であったところを,容積率対象延べ面積の敷地面積に対する割合を278.32%割り増して,778.32%とするものである。 (以上につき,乙A1)(エ) 平成21年3月16日,原告らは,本件許可処分について,東京都建築審査会に対し,建築基準法94条1項の規定に基づく審査請求をした。(乙B1)(オ) 平成21年3月31日,被告P5が,本件建築計画について,建築基準法6条の2に基づき建築確認処分(以下「第1回確認処分」という。)をした。(乙B1)(カ) 平成21年5月29日,原告らは,第1回確認処分について,東京都建築審査会に対し,建築基準法94条1項の規定に基づき審査請求を - 6 -した。(乙B1)(キ) 平成21年7月23日,被告P5が,本件建築計画について,建築基準法6条の2に基づき変更建築確認処分(以下「第2回確認処分」という。)をした。(乙B1)(ク) 平成21年9月18日,原告らは,第2回確認処分について,東京都建築審査会に対し,建築基準法94条第1項の規定に基づく審査請求をした。(乙B1)(ケ) 原告らは,平成21年9月24日,本件許可処分及び第2回確認処分の各取消しを求めて本件訴訟を提起した。(顕著な事実)(コ) 平成21年12月15日,本件許可処分に係る本件建築物について,P3は,P12株式会社及びP13株式会社と共に建築主等変更届を台東区役所に提出した。(乙A21)(サ) 平成21年12月14日,東京都建築審査会は,上記(エ),(カ)及び(ク)の各 について,P3は,P12株式会社及びP13株式会社と共に建築主等変更届を台東区役所に提出した。(乙A21)(サ) 平成21年12月14日,東京都建築審査会は,上記(エ),(カ)及び(ク)の各審査請求についての審理を併合した上,原告P1及び原告P2の各審査請求をいずれも却下したが,その余の原告らの審査請求について,本件許可処分には違法はないとして,その取消しを求める審査請求をいずれも棄却する一方,第1回確認処分及び第2回確認処分をいずれも取り消す旨の裁決をし,同月22日付けで裁決書謄本を送付した。 (乙B1)(シ) 平成22年1月8日,上記(サ)の裁決による取消しを受けて,被告P5が,本件建築計画について,建築基準法6条の2に基づき,変更した内容の建築確認処分(以下「第3回確認処分」という。)を行った。 (乙B2)(ス) 原告らは,平成22年3月1日,上記(ケ)の本件訴訟における請求のうち,第2回確認処分の取消しを求める請求の部分を第3回確認処分の取消しを求める請求に交換的に変更した。(顕著な事実) - 7 -(セ) 平成22年4月13日,被告P5が,本件建築計画について,建築基準法6条の2に基づき,第3回確認処分を変更して本件確認処分(確認番号○号)をした。(争いのない事実)なお,本件確認処分においては,本件建築物の36階共用室に面したバルコニーにおける空調室外機置場を囲うルーバーの設置の取りやめ,地下1階共用室と地下2階駐車場の上部となる吹き抜け部分との仕切りを共用室側に移動させたこと,1階東側の駐輪場スロープ部分と屋内の直通階段から屋外への出入口に至る避難経路部分とを仕切る壁を避難経路側へ移動させたこと等に伴って床面積の減少があり,容積率が778. 32%であったものが,778.30%に変更された。 (ソ) 内の直通階段から屋外への出入口に至る避難経路部分とを仕切る壁を避難経路側へ移動させたこと等に伴って床面積の減少があり,容積率が778. 32%であったものが,778.30%に変更された。 (ソ) 原告らは,平成22年5月31日,上記(ス)のとおり訴えの交換的変更をしたのちの本件訴訟(上記(ケ)参照)の請求のうち,第3回確認処分の取消しを求める請求の部分を本件確認処分の取消しを求める請求に交換的に変更した。(顕著な事実)(タ) なお,本件許可処分及び本件確認処分の前提となる本件建築物の概要は,別紙建築物目録記載のとおりである。 ウ審査請求における裁決について本件建築物に係る建築確認処分は上記変遷を経ており,本件訴えもこれに応じた上記経緯をたどっているところ,本件訴えのうち本件確認処分の取消しを求める請求は,当初,第2回確認処分の取消しを求めるものであったが,第2回確認処分は審査請求における裁決において取り消され,その後,被告P5により,これと実質的に同一の内容を有する第3回確認処分及び本件確認処分が順次されたことを受けて,原告において訴えの交換的変更を行ったものである。そして,これら訴えの変更後の請求については確認処分に対する審査請求をして裁決を経ていることがうかがわれないところではあるが,東京都建築審査会は,平成21年12月14日付け裁 - 8 -決において,本件許可処分には違法はないとして,その取消しを求める審査請求を棄却する判断を示しており,本件許可処分が違法であることを前提として本件確認処分の取消しを求める審査請求をしたとしても,これが棄却されることは明らかということができ,裁決を経ないで取消しの訴えを提起したことにつき正当な理由(行政事件訴訟法8条2項3号参照)があるものと認めることができる(なお,被告P5 たとしても,これが棄却されることは明らかということができ,裁決を経ないで取消しの訴えを提起したことにつき正当な理由(行政事件訴訟法8条2項3号参照)があるものと認めることができる(なお,被告P5においても,この点に異議を述べることなく答弁をしている。)。 3 争点本件の争点は,以下のとおりである。 (1) 本案前の争点ア本件許可処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否イ本件確認処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否(2) 本案の争点ア本件許可処分(建築基準法59条の2第1項)の適法性イ本件確認処分(建築基準法6条1項)の適法性 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)ア(本件許可処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否)について(原告らの主張の要旨)ア建築基準法59条の2第1項は,建築物の建築が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,①当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物並びに②当該建築物により日照,通風等を阻害される周辺の他の建築物に居住する者の健康を個々人の個別的利益として保護しているほか,③後記イ(ウ)のとおり,快適な居住空間を確保するために,日照,開放感等の - 9 -法律上の利益のみならず,景観利益(良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益をいう。以下同じ。)もまた考慮されるべき法律上の利益として,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,①総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けること れるべき法律上の利益として,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,①総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し若しくはこれを所有する者又は②当該建築物により日照,通風等を阻害される周辺の他の建築物の居住者のほか,③当該建築物により景観利益を侵害される者もまた,当該総合設計許可の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有する者として,原告適格を有すると解するのが相当である。 イ(ア) ①について原告P10は本件敷地の北側11.5m,原告P11は本件敷地の東側20.7m,原告P8は本件敷地の北東側61.5m,原告P9は本件敷地の北東側89.4mの位置に居住しており(以下において,原告P10,原告P11,原告P8及び原告P9を「原告4名」という。),原告P1は本件敷地の東側約209mの位置に土地を所有しているところ,少なくとも本件建築物の高さ(133.53m)と同じ水平距離の範囲内にある建築物に居住する者である原告4名は,本件建物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想されるし,本件建物の高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者である原告P1も,仮に本件建物が倒壊した場合の破片の飛散や粉塵等による影響を受けることが確実であり,この点は公聴会の開催通知の周知対象者とされていることから明らかである。 なお,原告P2においても,本件建築物の建築によってその住人700世帯,2000人の増加により,災害時等における避難者の増加とそ - 10 -れによる一時集合場所や避難所の許容限度を超えた混雑等が見込まれ,災害時における避難の利益,すなわちその生命,身体が直接的に被害を 人の増加により,災害時等における避難者の増加とそ - 10 -れによる一時集合場所や避難所の許容限度を超えた混雑等が見込まれ,災害時における避難の利益,すなわちその生命,身体が直接的に被害を受けるおそれがある。 (イ) ②について本件建築物が完成した場合,原告4名は,その自宅敷地に約1時間の日照の阻害を受ける。また,風環境評価において原告P11及び原告P10の居住地付近は影響度2並びに原告P8及び原告P9の居住地付近は影響度1とされており,いずれも本件建築物による風害の影響の可能性が指摘されている上,通風には,単なる通風阻害だけでなく,風速の増大等の風の流れの変化による影響をも当然に含むというべきであるから,風害の影響が及ぶ者には原告適格が認められる。 (ウ) ③についてa 総合設計制度は,景観を考慮した上で容積率の緩和等の許可をする制度である以上,当該制度の本質は景観影響と容積率とのバーターであるから,総合設計許可処分がされることで侵害される景観利益は行政法規上も保護される利益であるし,東京都総合設計許可要綱(以下「本件許可要綱」という。)において,総合設計制度の基本目標として「ケ都市景観の創造」が明記されていることに照らせば,建築基準法59条の2第1項と景観法は,景観の保護という点において目的を共通にする法令に該当するといえ,これらを併せて考慮すると,上記景観は客観的価値を有しており,かつ,その景観利益は原告適格を基礎付ける法律上の利益ということができる。さらに,総合設計許可をするに当たり,商業地域において100m以上の高さを有する建築物については,その建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者については,公聴会の開催の周知が義務付けられ(実施細目(甲7 上の高さを有する建築物については,その建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者については,公聴会の開催の周知が義務付けられ(実施細目(甲7,乙A7)) - 11 -かつ,上記の範囲に該当する者については「近隣関係住民」(東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(以下「紛争予防条例」という。)2条4号イ(乙A8))として紛争予防条例の適用対象とされている。以上によれば,建築基準法59条の2第1項は,快適な居住空間を確保するために景観利益もまた考慮されるべき法律上の利益として,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解される。 b そして,原告P1(必ずしも法人格を前提としない。)は,800年以上の歴史を有し,庶民信仰の中核として在り続けてきた上,戦火を免れた1677年築造の本坊や回遊式庭園が存し,その景観には文化的な価値がある。原告P1においては,このような経緯や価値を踏まえ,近隣の住民と共に,その参拝経路における景観の維持及び境内の周辺地域をも含めて景観阻害建築物の出現防止に心を砕いてきた。 その結果,原告P1からの景観は,広義の文化的景観として保護されるべき可能性があるものであって,「台東区思い出の景観30選」の一つとされ,重要な景観拠点とされている上,原告P1の周辺地域は台東区景観計画において景観形成特別地区とされる予定であって,上記景観が客観的価値を有していることは行政においても承認されている。 上記事情からすると,「良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者」は景観利益を有しており,これを侵害される者には,本件許可処分の取消訴訟における原告適格が認められるといえ,原告P1はもちろん,原告5名は 近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者」は景観利益を有しており,これを侵害される者には,本件許可処分の取消訴訟における原告適格が認められるといえ,原告P1はもちろん,原告5名は,本件建築物に近接する地域内に居住する者として,これまで良好な景観を日常的に享受してきたのであり,「良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者」として景観利益を有しているから,原 - 12 -告適格を有している。 ウしたがって,本件許可処分の取消しの訴えにおける原告適格は,本件建築物により景観利益が侵害されることを理由として原告らに認められるほか,本件建築物の倒壊,炎上等による被害を被ること並びに日照及び通風が侵害されることを理由として原告4名及び原告P1に,災害時等における避難の利益(生命・身体)が侵害されることを理由として原告P2に認められる。 (被告東京都の主張の要旨)ア原告らの主張の要旨イ(ア)について(ア) 原告P1は,本件建築物の倒壊,炎上等により影響を受け得る範囲内に土地の権利を有している旨主張する。 しかし,土地だけを所有している者については,本件建築物の倒壊,炎上等があったとしても,「居住者」とは異なり,生命・身体への危険は認められず,その財産としての土地への直接的かつ重大な被害も認められないから,建築基準法59条の2第1項が一定の範囲の地域に存する土地を個々の個別的利益として保護していると解する趣旨を含むことはできない。また,本件敷地はそもそも高度地区による制限がなく,本件許可処分も容積率の緩和のみで隣地斜線制限を含む高さに関する緩和を行っていないから,紛争予防条例の趣旨及び目的を考慮しても,本件建築物の高さと同程度を超える範囲において本件建築物の倒壊,炎上等による直 処分も容積率の緩和のみで隣地斜線制限を含む高さに関する緩和を行っていないから,紛争予防条例の趣旨及び目的を考慮しても,本件建築物の高さと同程度を超える範囲において本件建築物の倒壊,炎上等による直接的な被害が発生することは考えがたい。 (イ) 原告P2は,本件許可処分によって避難所等が許容限度を超えた混雑に陥り,避難の利益が害される旨主張するが,そこで同原告がいうのは一時集合場所(避難場所へ避難する前に,近隣の避難者が一時的に集合して様子をみる場所又は避難者が避難のために一時的に集団を形成する場所)であって避難所ではないから,原告P2についての上記主張は, - 13 -その前提において誤りがあり,失当である。 イ原告らの主張の要旨イ(イ)について原告らの居住地における本件建築物の防風対策後の風環境は,風環境評価予測手法として広く用いられる「風速出現頻度に基づく風環境評価尺度の評価ランクにおいて「ランク2」以下となっており(乙A2),本件建築物に起因する風害は特に発生しない。 ウ原告らの主張の要旨イ(ウ)について原告P1を除く原告らについては,原告各人のいかなる「良好な景観」が侵害されるとするのかが具体的に主張立証されていない。 原告P1についても,当該地域には既に同程度の高さを有する建築物(P14)が存在しており,本件建築物が完成した場合に本件建築物が見えること(可能性)と,これにより侵害される景観が景観利益とされる理由を具体的に明らかにしていない上,原告P1の境内地内からの宗教的な景観あるいはその外の原告らの景観については,重要文化的景観としての選定もされておらず,法律上,民主的手続により定められた行政法規,当該地域の条例等をみても,当該景観を個別に法律上保護しているとは認められない。したがって,この 観については,重要文化的景観としての選定もされておらず,法律上,民主的手続により定められた行政法規,当該地域の条例等をみても,当該景観を個別に法律上保護しているとは認められない。したがって,このような景観が建築基準法59条の2第1項において法律上の保護の対象とされているものと解することはできない。また,原告P1は,本件許可処分において本件敷地の敷地境界から400m以上離れた土地に宗教的施設を所有しあるいは当該施設で宗教活動を行うものであって,その眺望を侵害されない利益が個別具体的に保護されているとは解されず,景観が同項において法律上の保護の対象とされているものと解することはできない。 エしたがって,原告らが主張する景観利益は,本件許可処分の原告適格を基礎付けるものではないし,原告P1及び原告P2は,本件許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。 - 14 -(2) 争点(1)イ(本件確認処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否)について(原告らの主張の要旨)建築基準法6条1項に規定する建築確認制度は,総合設計許可制度によって保護しようとしている利益の保護をも目的としたものであることに照らせば,同法59条の2第1項の総合設計許可処分の取消しを求める場合の原告適格と同様に解され,①建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し若しくはこれを所有する者又は②当該建築物により日照,通風等を阻害される周辺の他の建築物の居住者のほか,③当該建築物により景観利益を侵害される者もまた,当該建築確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有する者として,原告適格を有すると解するのが相当である。 そして,上記(1)(原告らの主張の要旨)イのとおり,原告らには,それぞ る者もまた,当該建築確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有する者として,原告適格を有すると解するのが相当である。 そして,上記(1)(原告らの主張の要旨)イのとおり,原告らには,それぞれ上記①ないし③に該当することを理由として,本件許可処分の取消しを求める法律上の利益がある。したがって,原告らは,本件確認処分の取消しの訴えにおける原告適格を有する。 (被告P5の主張の要旨)本件許可処分の取消しの訴えに係る原告適格についての被告東京都の主張と同様であり,原告P1及び原告P2は,本件確認処分の取消しの訴えに係る原告適格を有さず,また,原告らが主張する景観利益は,本件確認処分の原告適格を基礎付けるものではない。 (3) 争点(2)ア(本件許可処分の適法性)について(原告らの主張の要旨)ア本件許可処分は,本件許可要綱(第1,2)に反し,「市街地の環境の整備」とならないこと(ア) 総合設計許可(建築基準法59条の2第1項)の取扱方針として定 - 15 -められている本件許可要綱の第1,2「基本目標」に照らせば,計画建築物を建設することにより,本件建築計画の周辺住宅群に対する「市街地環境の悪化」や「防災機能の低下」がある場合には,本件許可要綱・総合設計制度の趣旨を逸脱し,裁量逸脱の違法が認められるところ,本件建築計画によれば,本件建築物の完成によって周囲の風環境は明らかに悪化し,これに対して講じられる対策も対策の名に値しないものであるから,市街地環境の整備改善及び防災強化に反し,裁量逸脱の違法がある。 (イ) 東京都の行政計画に違反すること本件許可要綱では,いわゆる技術基準を満たすことを前提に,「東京都の行政計画」に適合するかを審査することとされているところ(本件許可要綱の第1,1。同第1,2。同第1, の行政計画に違反すること本件許可要綱では,いわゆる技術基準を満たすことを前提に,「東京都の行政計画」に適合するかを審査することとされているところ(本件許可要綱の第1,1。同第1,2。同第1,3),本件建築物は,以下のとおり「東京都の行政計画の理念に沿った」ものではないから本件許可要綱に適合するとはいえず,「市街地の環境の整備に資する」(建築基準法59条の2第1項)ものではないから,裁量逸脱の違法があり,取り消されるべきである。 a 「都市計画区域の整備,開発及び保全の方針」に反すること本件許可要綱のいう「東京都の行政計画」の一つとして「都市計画区域の整備,開発及び保全の方針」(以下「本件都市計画マスタープラン」という。)が定められており(甲3。都市計画法6条の2第1項参照),本件建築物は,本件都市計画マスタープランにおける「α・β副都心」エリアとしてセンター・コア再生ゾーンに存在する(仮に本件敷地が当該エリアに属しないとしても,わずか数十m外れるだけであるから当該エリアと一体としてみることができる。)ところ,当該「α・β副都心」エリアについては,「街区単位の整備により防災性の向上を図り,街並みや地域の雰囲気を活かした新しいにぎわいの - 16 -ある下町を形成」するものとされている。(甲3)しかしながら,本件建築物は高さ133mを超える超高層マンションであって「下町形成」(甲3)の対極に位置する巨大構造物であるから「街並みや地域の雰囲気を活かす」(甲3)ものではない。また,本件建物は,その街区の東側に多数の低層住宅群が隣接するから「街区単位の整備」(甲3)にも当たらず(甲2の住宅地図参照。),その低層住宅群の前面道路は現状では幅員4mを下回っており,防災上不利なもののまま改善されていないから,「防災性の向上」 隣接するから「街区単位の整備」(甲3)にも当たらず(甲2の住宅地図参照。),その低層住宅群の前面道路は現状では幅員4mを下回っており,防災上不利なもののまま改善されていないから,「防災性の向上」があるともいえない。 したがって,本件建築物は,本件都市計画マスタープランに違反する。 b 東京都住宅マスタープランに反すること本件許可要綱のいう「東京都の行政計画」の一つとして,「東京都住宅マスタープラン」(以下「本件住宅マスタープラン」という。)が定められており(甲4),本件建築物は,本件住宅マスタープランにおけるセンター・コア再生ゾーンに位置しており,「統一感のあるまち並みの形成等に配慮しつつ,…職住のバランスのとれた複合市街地を形成」することとされている。 しかしながら,本件建築物は高さ133mを超える超高層マンションであって周辺の建物から突出したものであるから,「統一感のあるまち並み」(甲4)を破壊し,また,本件建築物のほとんどが住居として使用されることから,現状において店舗兼住宅も少なくない本件敷地における急激な人口増加を招き「職住のバランス」(甲4)を崩壊させるものであって,現況の優良な「複合市街地」(甲4)を破壊する。さらに,本件住宅マスタープランにおいても,β地域の属するセンター・コア再生ゾーンでは「建て替えに際して周辺環境との調和 - 17 -やまち並み景観等への配慮」が目指されており,超高層建築に向け建築基準法の基準を緩和するのではなく,これら基準を厳格に適用することがこれにかなうというべきであって,本件建物が古いマンションの建て替えであることに照らしても,高さ制限を緩和する都市開発諸制度の活用は許されない。 したがって,本件許可処分は,本件住宅マスタープランに違反する。 c 台東区都市計画マ 物が古いマンションの建て替えであることに照らしても,高さ制限を緩和する都市開発諸制度の活用は許されない。 したがって,本件許可処分は,本件住宅マスタープランに違反する。 c 台東区都市計画マスタープラン及び台東区住宅マスタープランに反すること台東区においては,台東区都市計画マスタープラン(以下,「本件台東区マスタープラン」という。甲5)及び「台東区住宅マスタープラン」(甲6)が定められているところ,これらは,東京都の都市計画決定である本件都市計画マスタープラン(甲3)及び本件住宅マスタープラン(甲4)の下位計画として,上記行政計画を詳細化,具体化するものとして(甲5参照),本件許可要綱のいう「東京都の行政計画」の一つとなる。 (a) 「中低層地(5階建まで),複合市街地への誘導」に反すること本件台東区マスタープランにおける土地利用方針図においては,本件建築物の位置するエリアを①複合市街地,かつ,②中・低層地(おおむね3~5階程度)と定めている(甲5の25頁の20番の地域)。しかるに,本件建築物は地上37階建て,最高高さ133. 53mという超高層マンションであるから,総合設計許可制度の運用に当たっての基本目標である「中・低層地」(おおむね3~5階程度)(甲5)に合うものではない。また,本件建築物はそのほとんどが住宅としての機能に当てられるが,当該地域は,店舗,事務所,作業所等の幅広い併用住宅の共存・調和が基本目標(複合市街 - 18 -地)となっているから,総合設計制度に当たっての基本目標である「複合市街地」(甲5)に合うものではない。さらに,本件台東区マスタープランにおいては,「幹線道路の背後の街区では,建物の共同化により,土地の高度利用を進め」との記載があるも,土地の高度利用が「超高層建築」を意味するも に合うものではない。さらに,本件台東区マスタープランにおいては,「幹線道路の背後の街区では,建物の共同化により,土地の高度利用を進め」との記載があるも,土地の高度利用が「超高層建築」を意味するものではない。 (b) 「歴史ある文化資源をまちの目印として特徴づける」に反すること本件台東区マスタープランは,「まち中に点在する歴史ある文化資源は,下町の生活に結びついた地域を表現する景観要素としてとらえ,まちの目印となるように特徴づけを進める」(甲5)と定めており,本件建築物の位置するβ地域は,原告P1を中心として歴史的・文化的特徴のある地域として重要な地域であるから,原告P1周辺の景観,観光資源に配慮し,地域の魅力を高めていくことを考える必要がある。 しかしながら,本件建築物は,特に原告P1境内からのパノラマ的眺望を阻害し,原告P1周辺の景観に悪影響を及ぼすものであって,本件台東区マスタープランのいう「歴史ある文化資源」を「景観要素としてとらえ,まちの目印となるように特徴づけを進める。」(甲5の49頁)に反する。 (c) 「まちの歴史に配慮し,街並みの分断を感じさせない」に反すること本件台東区マスタープランは,「規模の大きい建物等を建設する際には,まちの歴史に配慮し,表情や賑わいの連続性の確保等,街並みの分断を感じさせない仕掛けづくりを進める」(甲5)と定めているところ,本件建築物周辺の建築物の大部分は3階建て以下の高さであるのに対し,本件建築物は,最高高さ133.53mとい - 19 -う高層建築物として周辺の建物群から突出しているから,「表情の連続性の確保」は認められず,「街並みを分断」(甲5)するものである。 (d) 本件建築物の東側道路に狭あい道路を残していること被告東京都は,本件建築計画は,狭あ ら突出しているから,「表情の連続性の確保」は認められず,「街並みを分断」(甲5)するものである。 (d) 本件建築物の東側道路に狭あい道路を残していること被告東京都は,本件建築計画は,狭あい道路の拡幅等を進めるものであるとするが,本件建築物の東側において一部接道する道路の幅員は2.5mであり,いわゆる二項道路(建築基準法42条2項参照)に該当するにもかかわらず,当該道路の拡幅等は一切行われていない。したがって,本件建築計画が狭あい道路の拡幅等を進めるものに該当しない。 (e) 総合設計許可制度が予定されていないこと台東区住宅マスタープランには「5 商業・業務集積ゾーン」においては「住宅を供給する場合については,市街地住宅総合設計制度,市街地複合住宅総合設計制度等を活用」を主な整備手法とする旨記載され(甲19),商業・業務集積ゾーンは幹線道路沿いに限って高層建築を許容する一方,「複合市街地ゾーン」においては「幹線道路の背後地は,それぞれの地域性を踏まえた中層・低層の市街地整備を誘導する。」とし(台東区住宅マスタープラン(甲6)),幹線道路の内側では住環境に配慮した中低層の建物を予定し,総合設計制度の活用について言及していないから,総合設計制度を利用した超高層建築は予定されていない。 本件敷地についても,総合設計制度等の活用が予定される商業・業務集積ゾーンではなく「複合市街地ゾーン」に位置する幹線道路の内側部分に位置する以上,総合設計制度を利用した超高層建築は予定されていないから,本件許可処分は台東区住宅マスタープランに違反する。 - 20 -イ都市計画法6条の2第3項の趣旨及び都市計画法18条の2第4項の趣旨に反し,「市街地の環境の整備」とならないこと本件許可処分を行うに当たっては,本件許可処分 違反する。 - 20 -イ都市計画法6条の2第3項の趣旨及び都市計画法18条の2第4項の趣旨に反し,「市街地の環境の整備」とならないこと本件許可処分を行うに当たっては,本件許可処分を与えることが「市街地の環境の整備改善に資する」(建築基準法59条の2第1項)ことを要するところ,その判断に当たっては,都市計画法等の関係法令の趣旨も考慮しなければならないと解するべきである。 (ア) そして,本件許可処分は,空地を設けることにより容積率,高さ制限の緩和を得られる点で都市計画である特定街区(都市計画法9条19項)と類似するから,本件建築計画にも同法6条の2第3項の趣旨は及ぶべきであり,本件許可処分も「整備,開発及び保全の方針」に即したものであるべきである。しかるに,前記ア(イ)a,bのとおり,本件建築物は,同条1項に基づいて定められた本件都市計画マスタープラン(甲3)及び本件住宅マスタープラン(甲4)に反するほか,その下位計画として同法18条の2第1項に基づいて定められた本件台東区マスタープラン(甲5)及び台東区住宅マスタープラン(甲6)に反するから,本件都市計画は「整備,開発及び保全の方針」(同法6条の2第3項)に反するものとして同項及び同法18条の2第3項の各趣旨に違反し,ひいては「市街地の環境の整備」(建築基準法59条の2第1項)にも反するから違法である。 (イ) また,都市計画法18条の2第4項は,「市町村が定める都市計画は,基本方針に即したものでなければならない。」と規定しているが,本件建築計画は,上記ア(イ)cのとおり本件台東区マスタープラン(甲5)及び台東区住宅マスタープラン(甲6)に反するから「市町村の定める基本方針に即した」ものではなく,都市計画法18条の2第4項の趣旨に反し,「市街地の環境の整備」( り本件台東区マスタープラン(甲5)及び台東区住宅マスタープラン(甲6)に反するから「市町村の定める基本方針に即した」ものではなく,都市計画法18条の2第4項の趣旨に反し,「市街地の環境の整備」(建築基準法59条の2第1項)に反し,違法である。 - 21 -(被告東京都の主張の要旨)ア本件許可処分が本件許可要綱に違反するか否か。 被告東京都においては,総合設計許可制度の積極的な運用を図ることとし,本件許可要綱を定め,総合設計許可の基準及び規制緩和の程度を明確化しているところ,本件建築物の建築計画は,建築基準法施行令及び本件許可要綱に定める基準をいずれも満たしている。そして,本件許可要綱は,総合設計許可の要件となる基準を広く一般に示したものであり,当該基準は許可に当たっての必要条件としての性格を持つものであるから,建築計画が許可の条件を十分に満たすか否かについては,本件許可要綱の基準を満たすことに加え,当該建築物の建築計画が市街地の環境の整備改善に資するか否かを総合設計許可制度の趣旨及び基本目標に照らして判断する必要がある。そして,本件許可処分は,本件許可要綱(乙A5)に基づく審査の結果,「交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく」,かつ「市街地の環境の整備改善に資すると認めて」,東京都建築審査会の同意を得て許可処分をしたもので,都知事の判断に裁量権の逸脱濫用はなく,適法である。 イ原告らの法律上の利益に関する違法事由について(ア) 原告らが違法性の根拠として主張する各事実が生ずるか疑問があるところ,その点をおくとしても,取消訴訟においては,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできない(行政事件訴訟法10条1項)ので,原告ら本人に直接的・具体的な被害が生ずることが想定されるもので も,取消訴訟においては,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできない(行政事件訴訟法10条1項)ので,原告ら本人に直接的・具体的な被害が生ずることが想定されるものでない限り,自己の法律上の利益に関係するとはいえないところ,原告ら本人に直接的・具体的な被害が生ずることが主張・立証されていないから,原告らの主張は失当である。 (イ) 本件建築物の主たる構造は鉄筋コンクリート造とされており,倒壊・炎上等の被害について,構造等における違法性は認められないし, - 22 -本件建築物は免震構造を採用する予定であり,倒壊,崩壊しにくい,耐火建築物が予定されている。なお,原告らは,倒壊・炎上等の危険に関する具体的な違法性を主張立証していない。 (ウ) 日影については,本件敷地周辺は日影規制のない商業地域であり,受忍限度内のものとして違法性は認められない。 また,風害については,本件敷地及びその周辺における風環境は許容範囲内である。 ウ本件許可処分が都市計画法6条の2第3項の趣旨及び同法18条の2第4項の趣旨に違反し,「市街地の環境の整備」にならないとの原告の主張が失当であること総合設計許可制度(建築基準法59条の2第1項)は,都市計画法に基づくものではないから,同法6条の2第3項及び同法18条の2第4項の趣旨に反することをもって違法理由とすることは失当である。 エ本件建築計画は「東京都の行政計画の理念に沿った」ものであるから,これに反することを理由として「市街地の環境の整備改善に資する」(建築基準法59条の2第1項)に当たらないとする(及び,都市計画法6条の2第3項の趣旨及び同法18条の2第4項の趣旨に反し,建築基準法59条の2第1項に反する)原告らの主張が失当であること(ア)a 本件都市 9条の2第1項)に当たらないとする(及び,都市計画法6条の2第3項の趣旨及び同法18条の2第4項の趣旨に反し,建築基準法59条の2第1項に反する)原告らの主張が失当であること(ア)a 本件都市計画マスタープラン(甲3)は,都市計画法6条の2第1項に基づいて定められたものであるところ,本件許可処分は本件都市計画マスタープラン(甲3)に反するものではなく,むしろこれに沿ったものである。 原告らが主張する本件都市計画マスタープラン(甲3)の「⑨α・β」とは,「センター・コア再生ゾーン」として記載された「副都心(新宿,…α・β…)」のことであるが,本件敷地は,「α・β副都心」エリアから外れているから(乙A3),「⑨α・β」エリアに含 - 23 -まれるとの前提に立った原告らの主張は失当である。本件敷地は,本件都市計画マスタープラン(甲3)の「都市づくりの進め方の概略的方向(参考附図-5)」(乙A4)において,「発達した交通利便性等を活かしながら,街区再編まちづくり,都市開発諸制度,市街地再開発事業などを活用し,必要に応じて日影規制の合理化を併せて行いながら,土地の高度利用を通じて都市居住を重点的に進める地域」に位置しているところ,本件計画は,都市開発諸制度の一つである総合設計制度を使い,土地の高度利用を進め,老朽化したマンションの建て替えに併せて良好な住宅の供給を行う計画であって,本件許可処分は「都市計画区域の整備,開発及び保全の方針」に沿ったものである。 b 原告らは,本件住宅マスタープラン(甲4)における活動地が,本件敷地が幹線道路の沿道ではないにもかかわらず,幹線道路の沿道地域等に該当する部分を引き合いに出すなどしており,失当である。むしろ,本件計画は,事務所や店舗が多数立地するα・β副都心に近接する場所において,土地 路の沿道ではないにもかかわらず,幹線道路の沿道地域等に該当する部分を引き合いに出すなどしており,失当である。むしろ,本件計画は,事務所や店舗が多数立地するα・β副都心に近接する場所において,土地開発諸制度の一つである総合設計制度を使い,良好な住宅を供給するもので,本件住宅マスタープランに沿ったものである。 (イ)a 原告らは,本件台東区マスタープラン及び台東区住宅マスタープランに反する旨主張するが,これらは区市町村がより地域に密着した見地から,地域別の整備課題や地域の将来像をきめ細かく総合的に策定するものであって,都市計画区域全域について,一区市町村を越える広域的な見地から,都道府県が,区域区分をはじめとした都市計画の基本的な方針を定める東京都の行政計画に該当せず,本件許可処分が,市町村マスタープランである本件台東区マスタープランとの不整合を理由として違法とされることはない。 b 本件台東区マスタープランにおいては,複合市街地ゾーンにおいて, - 24 -幹線道路の背後の街区での建物の共同化等による土地の高度利用とオープンスペースの創出,狭あい道路の拡幅等を進め,居住環境に配慮した土地利用を図るものであるところ,本件許可処分は,複合市街地ゾーンに位置する幹線道路の背後の街区において,建物の共同化,土地の高度利用とオープンスペースの創出をし,かつ,狭あい道路の拡幅等を進めるものであるから,本件台東区マスタープランに整合するものである。また,本件敷地は建物形態について「中・低層地」に属するものの,複合市街地が総合設計制度による建築物の活用を想定していることに照らし,「3ないし5階」以外の建物や総合設計許可による建築物を許可しない趣旨とは解されない。原告らが狭あい道路の解消につながっていない旨指摘する本件建築物の東側道路につい 活用を想定していることに照らし,「3ないし5階」以外の建物や総合設計許可による建築物を許可しない趣旨とは解されない。原告らが狭あい道路の解消につながっていない旨指摘する本件建築物の東側道路についても,当該接する部分について道路中心線から2mまで後退し,後退した道路に接して公開空地である歩道状空地を幅員4mで設ける予定であるので,狭あい道路解消に向けた計画(乙A16参照)である。台東区長においても,本件建築計画を本件台東区マスタープランとの関係で是認し「本件計画を進めることに支障はない」としている。 c 本件許可処分は台東区住宅マスタープランに反しないこと台東区住宅マスタープランにおいて,複合市街地ゾーンに関する記述に総合設計許可制度の活用についての積極的記載がないものの,複合市街地ゾーンにおいて記載がないことをもって同ゾーンでの総合設計許可による建築物を許可しないことを趣旨とするものとは解されない。むしろ,台東区住宅マスタープランにおける「複合市街地ゾーン」<整備の方針>によれば,「多様な市街地整備を進める」(甲6)とされ,総合設計許可が排除されているとはいい難い上,台東区住宅マスタープランは,複合市街地において総合設計許可制度の活用が想定している(乙A14,19)台東区都市計画マスタープランの土地利 - 25 -用方針等を踏まえたものであることに照らせば,本件建築物に係る建築計画は,台東区住宅マスタープランに反するものではない。 (4) 争点(2)イ(本件確認処分の適法性)について(原告らの主張の要旨)本件確認処分は,本件許可処分を前提とする同一敷地の同一の建築物の建築確認処分であるから,上記(3)(原告らの主張の要旨)のとおり本件許可処分が違法である以上,違法である。 (被告P5の主張の要旨)上記( ,本件許可処分を前提とする同一敷地の同一の建築物の建築確認処分であるから,上記(3)(原告らの主張の要旨)のとおり本件許可処分が違法である以上,違法である。 (被告P5の主張の要旨)上記(3)(被告東京都の主張の要旨)のとおり,本件許可処分は適法であるから,本件確認処分も適法である。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)ア(本件許可認処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否)について(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,当該処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場 - 26 -合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の 当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2) 上記1(1)の観点から,本件許可処分の相手方以外の者である原告らが,本件許可処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ア建築基準法は,52条及び57条の2において建築物の容積率制限,55条及び56条において高さ制限を定めているところ,これらの規定は,本来,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むものと解するのが相当である。そして,同法59条の2第1項は,上記の制限を超える建築物の建築につき,一定規模以上の広さの敷地を有し,かつ,敷地内に一定規模以上の空地を有する場合において,安全,防火等の観点から支障がないと認められることなどの要件を満たすときに限り,これらの制限を緩和することを認めている。容積率制限や高さ制限の規定の上記の趣旨・目的等をも考慮すれば,同項の規定は,これらの制限を緩和して大規模な建築物を建築することを可能にする一方で,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができる ,同項の規定は,これらの制限を緩和して大規模な建築物を建築することを可能にする一方で,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,当該建築物が地震,火災等により倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物や - 27 -その居住者に重大な被害が及ぶことがないよう適切な設計がされていることなどを審査し,安全,防火,衛生等の観点から支障がないと認められる場合にのみ許可をすることとしているものと解される(最高裁平成9年(行ツ)第7号同14年1月22日第三小法廷判決・民集56巻1号46頁参照)。以上のような同項の趣旨・目的,同項が総合設計許可を通して保護しようとしている利益の内容・性質等に加え,同法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的とするものである(1条)ことにかんがみれば,同項は,上記許可に係る建築物の建築が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,(a)当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,(b)当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物について,その居住者の健康を,それぞれ個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,①総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,それぞれ総合設計許可の取消しを求めるにつき法律上 ることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,それぞれ総合設計許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である(前掲最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決,最高裁平成9年(行ツ)第159号同14年3月28日第一小法廷判決・民集56巻3号613号参照)。 イ(ア) 前記前提事実及び証拠(甲8の1ないし4,乙A12)によれば,本件建築物は,その高さが133.53m であること,原告P10は本件敷地の北側約11.5m,原告P11は本件敷地の東側約20.7m,原告P8は本件敷地の北東側約61.5m,原告P9は本件敷地の北東 - 28 -側約89.4mの位置に居住すること,原告4名は,本件建築物が完成した場合には,これにより少なくとも冬至日又は春秋分日及び夏至日において日照阻害を受けることが認められるから,原告4名は,① 本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者に該当するとともに,② 本件建築物により日照阻害を受ける周辺の建築物に居住する者に該当するので,上記ア①及び②(日照阻害)の各観点において,本件許可処分の取消しにつき原告適格を有する。また,前記前提事実及び証拠(甲2の1ないし3,9,乙A2)によれば,本件建築物の完成によって,本件建築物(本件敷地)が所在する区画の周囲の道路付近及び本件建築物(本件敷地)が所在する区画と道路を挟んでその東側に隣接する区画の周囲においては風環境に変化が生じる(風速出現頻度に基づく風環境評価尺度(P15らの評価尺度)において,ランク1からランク2への変化。)ところ,原告P する区画と道路を挟んでその東側に隣接する区画の周囲においては風環境に変化が生じる(風速出現頻度に基づく風環境評価尺度(P15らの評価尺度)において,ランク1からランク2への変化。)ところ,原告P10は本件敷地の存する区画の道路を挟んで北側に隣接した区画に,原告P11は本件敷地の存する区画の道路を挟んで東側に隣接した区画にそれぞれ居住していることが認められるから,原告P10及び原告P11は,通風阻害を受ける周辺の建築物に居住する者に該当するので,上記ア②(通風阻害)の観点においても,本件許可処分の取消しにつき原告適格を有する。 (イ) 他方,前記前提事実によれば,原告P1は,本件敷地の東側約209mに土地を所有するものの,当該土地上の建築物に居住し又はこれを所有する者ではないから,①総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者のいずれにも該当しない。また,前記前提事実によれば,原告P2は本件建物の北側に居住するも, - 29 -原告P2が居住する建物は,本件敷地の北側数百mの位置に存在するのであって(したがって,要綱細目における公聴会の開催通知の周知対象者ですらない。),本件全証拠によっても,日照,通風の影響を受ける具体的事情を認めることができないから,①総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者のいずれにも該当しない。したがって,原告P1及び原告P2は,本件許可処分の取消しにつき原告適格を有しないものといわ 有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者のいずれにも該当しない。したがって,原告P1及び原告P2は,本件許可処分の取消しにつき原告適格を有しないものといわざるを得ない。 ウ(ア) 以上に対し,原告らは,<ア> P1境内付近の景観は歴史的かつ文化的景観として客観的価値を有し,その価値は行政においても承認されている上,本件許可要綱における総合設計制度の基本目標として「都市景観の創造」が明記されており,景観法の規定に照らしても,景観利益が原告適格を基礎付ける法律上の利益に該当するとするほか,<イ> 原告P1においては,本件建築物の高さ2倍の水平距離の範囲内において土地を有している以上,土地上に建物が存在するか否かにかかわらず原告適格が認められるべきであるとし,<ウ> 原告P2においては,本件建築物が居住用建物であるところ,人口増加により災害時等に利用される避難所等が許容限度を超えてしまい,これにより生命,身体が侵害されるおそれがあるとし,本件処分によって原告らの当該利益を侵害されるおそれがある旨主張する。 (イ) <ア>について原告らは,P1境内を中心とする当該地域の景観が,台東区において,これを景観計画区域とする台東区の景観計画の策定によって保護される予定であるとし,景観法8条及び同法の趣旨に加え,建築基準法59条の2第1項の総合設計許可が景観と容積率等の規制の緩和を引換えにす - 30 -るものであって,その取扱方針を定める本件許可要綱においても,総合設計制度の基本目標として「都市景観の創造」が明記されていることを併せ考慮すれば,同項は景観利益を個々人の個人的利益として保護するものであると主張する。 なるほど,都市の景観は,それが,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境 造」が明記されていることを併せ考慮すれば,同項は景観利益を個々人の個人的利益として保護するものであると主張する。 なるほど,都市の景観は,それが,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成する場合には,客観的価値を有するものというべきであり,また,このような良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者は,良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであって,これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は,「景観権」という権利性を有するものとまでは認められないものの,法律上保護に値するものと解される(最高裁平成17年(受)第364号同18年3月30日第一小法廷判決・民集60巻3号948頁参照)。 証拠(甲11の1及び2,12,25,37,38,39の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,地域に根ざし歴史的かつ文化的価値を有するP1の景観は「台東区思い出の景観30選」の一つとして,地域における重要な景観拠点とされ,P1及びP16の周辺地域(以下「P1周辺地域」という。)は台東区景観計画において景観形成特別地区とされることが予定されているなど,当該地域における景観の価値は相当程度客観的に評価されており,P1周辺地域の景観は,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成するものとして一定の客観的価値を有することは否定することができない。 そして,景観法8条2項は,景観計画においては,景観計画の区域,同区域における良好な景観の形成に関する方針,良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項等を定めるものと定めており,景観行政団 - 31 -体において景観計画を定めることにより,景観計画区域内において良好な景 景観の形成に関する方針,良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項等を定めるものと定めており,景観行政団 - 31 -体において景観計画を定めることにより,景観計画区域内において良好な景観の形成のための行為制限を設け,同区域の良好な景観を保全しようとしているものと解されるから,仮に今後台東区の景観計画によりP1周辺地域が景観計画区域と指定された場合には,東京都全域が既に東京都の景観計画区域に指定されている(乙A22)ことに加え,台東区という特別区の事情に即した内容を有する景観計画が策定されることとなる結果,当該地域又はこれに近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者の景観利益の保護に資することになるものと思われる。 しかしながら,前記(1)の諸点にかんがみても,処分を定めた行政法規が,景観利益を一般公益として保護しようとするにとどまらず,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するためには,良好な景観の整備保全が図られることを目的としていることが明らかであり,保護すべき景観の内容,範囲,保護の態様等が具体的にうかがわれるなど,その趣旨を明確に読み取ることができることが必要というべきである。すなわち,景観といっても,その対象となる内容及び範囲を一義的に画することが直ちにできるものではなく,その価値は,そもそも見る者の主観的な評価に係る要素が多い。前記のように,その景観に客観的価値があるとして景観利益が肯定され得る場合であっても,その景観利益は,景観の性質,態様によっても異なり得るし,社会の変化に伴って変化し得るものであって,これが侵害された場合に被侵害者の生活妨害や健康被害を生じさせるという性質のものではなく(前掲最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決参照),景観(利益)阻害の有無 に伴って変化し得るものであって,これが侵害された場合に被侵害者の生活妨害や健康被害を生じさせるという性質のものではなく(前掲最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決参照),景観(利益)阻害の有無や程度も,健康被害や日照・通風阻害等とは異なり主観的な価値判断に依拠する部分が大きい。また,景観利益は,連続的かつ無限定な広がりを有し得る周辺地域の居住者や来訪者等の不特定多数者からの眺 - 32 -め,風景をその対象とするものであり,客体の面からも主体の面からも,処分の結果が直接影響を及ぼすことになる範囲が性質上当然に特定されるというものではなく,法律上保護すべき範囲は必ずしも明白ではない。 このような景観利益の内容,性質等からすれば,処分を定めた行政法規及びその関連法令により,保護すべき景観の内容,範囲,保護の態様等が具体的にうかがわれることになるのでなければ,処分を定めた行政法規が景観利益を一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解することは困難である。 しかるところ,本件許可処分の根拠法規である建築基準法59条の2第1項は,上記アで説示したとおり,建築される建築物の規模,形態等を抑制し,建築される建築物の敷地上に必要な空間を確保することにより,周辺の他の建築物を保護し,これを通じてその居住者,所有者の前記のような具体的利益の保護を図るものであって,「市街地の環境の整備改善に資する」と認めるという許可要件の定めはあるものの,総合設計許可をするに当たって良好な景観の形成(整備保全)を図ることにつながり得る法令上の基準としては,特定行政庁による裁量判断における考慮にゆだねられる部分を除けば,敷地内に一定程度以上の空地を有し,かつ,その敷地面積が一定の規模以上であること 保全)を図ることにつながり得る法令上の基準としては,特定行政庁による裁量判断における考慮にゆだねられる部分を除けば,敷地内に一定程度以上の空地を有し,かつ,その敷地面積が一定の規模以上であることが要求されるにとどまり(しかも,同項が容積率の規制等を緩和するのは,一定規模以上の敷地内に広い空地を確保できる場合であるから,景観を直接の理由とするものではない。),保護すべき具体的景観の範囲,具体的な保護の態様等を特に定めた規定はなく,上記の「市街地の環境の整備改善に資する」という観点からの抽象的一般的な規制をするにとどまる。建築基準法の目的も,国民の生命,健康及び財産の保護を図ること(1条)にあり,前記のような性質を有する景観利益を個別具体的に保護することをその - 33 -趣旨・目的としていると見ることはできない。また,景観法は,景観計画を定める場合に住民の意見を反映させることを要求し(景観法9条1項),住民による景観計画策定等の提案を認めている(同法11条1項)が,建築基準法59条の2第1項の許可をするか否かの判断において,景観計画について具体的に考慮すべきことを定める法令の規定はなく(なお,景観法61条1項は,市町村が市街地の良好な景観の形成を図るため都市計画に景観地区を定めることができるとし,建築基準法68条は,景観地区内においては,建築物の高さは,景観地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度又は最低限度が定められたときは,当該最高限度以下又は当該最低限度以上でなければならない(1項)などと規定しているが,その場合には,そもそも同法59条の2第1項の許可によってこの制限を免れることはできない。),同項の許可に当たって景観計画区域(予定区域)内の住民等の景観利益を保護すべきものとする趣旨などをうかがうことはできな そもそも同法59条の2第1項の許可によってこの制限を免れることはできない。),同項の許可に当たって景観計画区域(予定区域)内の住民等の景観利益を保護すべきものとする趣旨などをうかがうことはできない。景観法が良好な景観の形成の達成等を目的としていること(1条,2条)から直ちに,建築基準法59条の2第1項の許可の判断において,良好な景観を一般的公益の一つとして考慮することが求められる(景観法2条2項以下参照)以上に,景観利益を個別的利益として保護することが要求されているとまで解すべき根拠もない。そうすると,建築基準法59条の2第1項は,同法の趣旨・目的を考慮し,これに関係するものとして景観法の規定や同法の趣旨・目的を参酌したとしても,一般的公益としての景観利益を保護することをもって環境の整備改善を図ろうとするにとどまるものと解すべきであり,一定範囲の地域住民の具体的な景観を享受する利益を個別的に保護する趣旨を含むものとは解されない。また,総合設計制度の取扱方針を定めた本件許可要綱において設けられた基本目標の中に「都市景観の創造」が明記されている点についても,本件許可要綱は行政計 - 34 -画であって行政法規と解することができないし,この点をおくとしても,本件許可要綱は総合設計許可の取扱方針として上記特定行政庁の裁量判断に枠組みを持たせるものであるが,その基本目標には「都市景観の創造」のみならず「良好な建築・住宅ストックの形成」,「敷地の集約による質の高い市街地形成」等も併せて掲げられていることに照らせば,上記「都市景観の創造」もいくつかある目標の一つにすぎないのであって,これをして地域住民の具体的な景観を享受する利益を個別的に保護する趣旨を読み取ることはできないから,上記の抽象的一般的な規制の域を超えるものではない。なお,台 かある目標の一つにすぎないのであって,これをして地域住民の具体的な景観を享受する利益を個別的に保護する趣旨を読み取ることはできないから,上記の抽象的一般的な規制の域を超えるものではない。なお,台東区におけるP1周辺地域を景観計画区域とする景観計画はいまだ定められておらず,関係条例等により当該地域における景観利益を個別に保護すべきことが定められているといった事情もうかがえない。 もとより,前掲最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決は,不法行為の成否の場面において,景観利益が民法709条に規定される「法律上保護される利益」に当たると判示したものであり,景観利益をもって直ちに総合設計許可に係る抗告訴訟の原告適格を認める根拠とすることができるとしたものではない。 したがって,建築基準法59条の2第1項等の規定により,総合設計許可に係る計画建築物の周辺住民の景観利益が個別的に保護されていると解することはできず,これらの利益は一般的公益の中で保護されているにとどまるというべきである。そして,原告適格の有無は,前記(1)のとおり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むか否かという観点から判断すべきところ,総合設計許可の根拠法規である建築基準法の趣旨・目的を考慮し,景観法を関係法令に当たるものとして, - 35 -その趣旨・目的を参酌したとしても,総合設計許可において地域住民の景観利益が個別的に保護されていると解されないことは以上に判断したとおりであるから,原告らの上記主張<ア>は採用することができない。 (ウ) <イ>について確かに,実施細目(乙A7)及び紛争予防条例(2条4号イ,7条。 いると解されないことは以上に判断したとおりであるから,原告らの上記主張<ア>は採用することができない。 (ウ) <イ>について確かに,実施細目(乙A7)及び紛争予防条例(2条4号イ,7条。 乙A8)は,原告らが主張する範囲の土地又は建築物に関して権利を有する者について公聴会の周知対象者とし,あるいは,建築主とのあっせんを行うものとされ,土地に関して権利を有する者と建築物に関して権利を有する者を区別していない。 しかしながら,原告P1は,その所有する土地が本件敷地の東側約209mに位置することを理由として法律上の利害関係が存在する旨主張するところ,本件建築物が倒壊あるいは炎上等した場合に周辺の建物の居住者や所有者が直接的な被害を受けることが予想されるというのであれば,その居住者及び所有者は生命,健康及び財産の保護の観点から直接的な被害を受ける者に当たるということができるものの,原告P1は上記土地上に建物を有しているなどの主張はしておらず,単に土地についての権利を有するにすぎない原告P1が上記倒壊,炎上等による直接的な被害を被ることをうかがわせる事情はない(本件敷地からP1の境内までは概ね400m程度離れている(その間には数本の道路が存在する(甲2の2参照)。)以上,原告P1が本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想されるということもできない。)。 そして,上記実施細目(乙A7)は公聴会の周知対象者である利害関係人の範囲について,建物について権利を有する者と土地について権利を有する者を区別していないものの,実施細目は計画建築物の構造等を問題とすることなく用途地域の区分によって公聴会開催の要否の基準を定められていることからすると,必ずしも計画建築物の倒壊,炎上等が - 36 -存在した場合に及ぶ被害の 目は計画建築物の構造等を問題とすることなく用途地域の区分によって公聴会開催の要否の基準を定められていることからすると,必ずしも計画建築物の倒壊,炎上等が - 36 -存在した場合に及ぶ被害のみに着目して利害関係人の範囲を決しているとは解されないし,実際上も仮に計画建築物の倒壊,炎上等が存在した場合に及ぶ被害の内容は建物と土地とでは大きく異なると考えられるから,実施細目が定める利害関係人の範囲に含まれることを理由として同項が計画建築物の倒壊,炎上等が存在した場合に土地の権利を有する者の利益を個別的利益としても保護する趣旨を含むと解する実質的な裏付けとなるものではない。また,紛争予防条例は建築主と近隣関係住民との間のいわゆる民間対民間の間での紛争の調整を図り良好な近隣関係を保持するものであって(4条等参照),客観性の乏しい主観的な利益(例えば,景観利益なども含む。)をも含めて広く調整の対象するものと解されるから,紛争予防条例に定める近隣関係住民に当たり同条例の適用があるということをもって,総合設計許可処分の取消訴訟を提起する原告適格を有しているということはできない。 なお,建物が存在しない土地においては,当該建築物により日照,通風を阻害される居住者も観念することはできない(②参照)。 したがって,原告ら主張の上記利益が「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項)に当たるということはできないから,原告P1に本件許可処分の取消訴訟を提起する原告適格を認めることはできない。 (エ) <ウ>について上記のとおり,建築基準法59条の2第1項は,建築される建築物の規模,形態等を抑制し,建築される建築物の敷地上に必要な空間を確保することにより,周辺の他の建築物を保護し,これを通じてその居住者,所有者の具体的利益の保護を図るものである 項は,建築される建築物の規模,形態等を抑制し,建築される建築物の敷地上に必要な空間を確保することにより,周辺の他の建築物を保護し,これを通じてその居住者,所有者の具体的利益の保護を図るものであるから,同項が保護する周辺の他の建築物の居住者,所有者の具体的利益は,上記のような量的な空間規制による周辺の建築物の保護という方法によって保護されるになじむものに限られるというべきところ,計画建築物の建築により,その近 - 37 -隣に居住する者が利用する避難所等が許容度を超えて混雑することで侵害ないし危険にさらされる利益(生命,身体を含む。)は,建築される建築物の規模,形態等を抑制し,建築される建築物の敷地上に必要な空間を確保することにより保護される関係にないといわざるを得ない。上記のように避難所等が許容度を超えて混雑することで侵害ないし危険にさらされる利益の保護は建築される建築物の利用形態や実際の利用状況に左右されるものであり,建築される建築物の敷地上に必要な空間を確保することにより保護されるものということはできない。そうであるとすると,同項は,避難所等が許容度を超えて混雑することで侵害ないし危険にさらされることのない利益をそれが帰属する個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできない。 したがって,原告ら主張の上記利益が「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項)に当たるということはできないから,原告P2に本件許可処分の取消訴訟を提起する原告適格を認めることはできない。 (3) したがって,原告らのうち原告4名は,上記(2)ア(a)及び(b)の利益を自己の法律上の利益として,本件許可処分の取消しを求める原告適格を有するが,原告P1及び原告P2は,本件許可処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する 名は,上記(2)ア(a)及び(b)の利益を自己の法律上の利益として,本件許可処分の取消しを求める原告適格を有するが,原告P1及び原告P2は,本件許可処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとはいえないから,本件許可処分の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しないといわざるを得ない(したがって,原告P1及び原告P2の本件許可処分の取消しを求める訴えの部分は,いずれも不適法である。)。 2 争点(1)イ(本件確認処分の取消しの訴えに係る原告適格の存否)について(1) 上記1(1)の観点から,本件確認処分の相手方以外の者である原告らが,本件確認処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ア建築基準法は,建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的とするものである(1 - 38 -条)ところ,建築確認は,同法6条1項(同法6条の2第1項によるみなし適用の場合を含む。以下同じ。)に基づき,建築主事又は指定確認検査機関が,建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果が付与されている。そして,前記のとおり,建築基準法は,建築物に関し,同法52条及び57条の2において容積率制限,同法55条及び56条において高さ制限を定めているところ,これらの規定は,本来,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼す ,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むものと解される(前掲最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決参照)。 以上のような建築基準法6条1項の趣旨・目的,同項が建築確認を通して保護しようとしている利益の内容・性質等に加え,上記の同法の趣旨・目的(1条)にかんがみれば,同法6条1項は,同項による確認の対象となる建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物の保護を図るとともに,(a)当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,(b)当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物について,その居住者の健康を,それぞれ個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,①建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び - 39 -②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,それぞれ当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 イ前記1(2)イ(ア)で認定した事実によれば,原告4名は,①本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者に該当するとともに,②日照阻害を受ける周辺の建築物に居住す 定した事実によれば,原告4名は,①本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者に該当するとともに,②日照阻害を受ける周辺の建築物に居住する者に該当するので,上記ア①及び②(日照阻害)の各観点において,本件確認処分の取消しにつき原告適格を有し,また,原告P10及び原告P11は,通風阻害を受ける周辺の建築物に居住する者に該当する(甲9)ので,上記ア②(通風阻害)の観点においても,本件許可処分の取消しにつき原告適格を有する。 他方,原告P1及び原告P2は,前記1(2)イ(イ)で判示したところと同様の理由から,いずれも本件許可処分の取消しにつき原告適格を有しないものといわざるを得ない。 ウ以上に対し,原告らは,本件確認処分の取消訴訟の原告適格についても,建築基準法6条1項の建築基準関係規定に同法59条の2第1項が含まれることから,上記1(2)ウ(ア)と同様に,<ア> 原告P1付近の景観は歴史的かつ文化的景観として客観的価値を有し,その価値は行政においても承認されている上,本件許可要綱における総合設計制度の基本目標として「都市景観の創造」が明記されおり,景観法の規定に照らしても,景観利益が原告適格を基礎付ける法律上の利益に該当するとし,<イ> 原告P1においては,本件建築物の高さ2倍の水平距離の範囲内において土地を有している以上,土地上に建物が存在するか否かにかかわらず原告適格が認められるべきであるとし,<ウ> 原告P2においては,本件建築物が居住用建物であるところ,人口増加により災害時等に利用される避難所等が許容限 - 40 -度を超えてしまい,これにより生命,身体が侵害されるおそれがあるとし,本件処分によって原告らの当該利益を侵害されるおそれがある旨主張するが,これ 害時等に利用される避難所等が許容限 - 40 -度を超えてしまい,これにより生命,身体が侵害されるおそれがあるとし,本件処分によって原告らの当該利益を侵害されるおそれがある旨主張するが,これらの主張を採用することができないことは前記1(2)ウ(イ)ないし(エ)で説示したところと同様である(なお,上記<ア>に関し,本件敷地を含む地域が景観地区に指定されているといった事実もうかがうことはできない。)。 (2) したがって,原告らのうち原告4名は,上記(1)ア(a)及び(b)の利益を自己の法律上の利益として,本件確認処分の取消しを求める原告適格を有するが,原告P1及び原告P2は,本件確認処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとはいえないから,本件確認処分の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しないといわざるを得ない(したがって,原告P1及び原告P2の本件確認処分の取消しを求める訴えの部分は,いずれも不適法である。)。 3 争点(2)ア(本件許可処分の適法性)について(1) 建築基準法59条の2第1項は,①その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であること,②特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建ぺい率,容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めたことを,容積率制限の緩和等の要件として規定している。 (2) そこで,まず,本件許可処分が上記①の要件を満たしているか否かを検討するに,証拠(甲1,乙A1,6)及び弁論の全趣旨によれば,(a)本件敷地の基準建ぺい率は100.00%であるため,本件建築物の場合,建築基準法59条の2第1項及び建築基準法施行令136条1項に規定する空地率は20 ,乙A1,6)及び弁論の全趣旨によれば,(a)本件敷地の基準建ぺい率は100.00%であるため,本件建築物の場合,建築基準法59条の2第1項及び建築基準法施行令136条1項に規定する空地率は20%(120%-100%=20%)となるところ,本件敷地内の空地面積は3810.53㎡(敷地面積6339.97㎡から建築面積(工作物 - 41 -の水平投影面積を含む。)2529.44㎡を控除したもの)であり,その敷地面積に対する割合(空地率)は60.10%(3810.53÷6339.97×100=60.10%)であるから,上記政令で定める空地を有し,(b)本件敷地は,商業地域であり,同法59条の2第1項,同施行令136条3項及び東京都におけるその取扱方針としての本件許可要綱第2の1(2)により,敷地面積の最低限度は500㎡となるところ,本件敷地の面積は6339.97㎡であることから,敷地面積が政令で定める規模以上であることになる。(甲1)したがって,本件建築物は,上記①の要件を満たしている。 (3) 次に,上記②の要件を満たしているか否かについて検討する。 ア上記②の要件は,その文言自体が概括的かつ抽象的である上,法令上,具体的基準等を定めた明文規定を見いだすことはできない。前記1(2)アのとおり,建築基準法59条の2第1項の規定をみるに,同項は,容積率制限及び高さ制限の緩和を認めて大規模な建築物を建築することを可能にする一方で,必要な空間を確保することにより,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,当該建築物が地震,火災等により倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないよう適切な設 な居住環境を確保することができるようにするとともに,当該建築物が地震,火災等により倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないよう適切な設計がされていることなどを審査し,安全,防火,衛生等の観点から支障がないと認められる場合に許可をすることとしているものと解されることにかんがみると,上記②の要件の諸要素を専門的,技術的な見地から検討することが予定されているというべきである。そうであるとすると,上記②の要件を満たしているか否かの判断に関しては,特定行政庁の合理的な裁量にゆだねられているものと解される。 イそこで,上記アの見地から,本件建築物につき上記②の要件を満たすと - 42 -した本件許可処分における都知事の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したといえるか否かについて検討するに,前記前提事実並びに証拠(乙A5,11,15ないし17,24)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 東京都においては,「東京都の行政計画の理念に基づき,良好な市街地環境の整備改善等に寄与する建築計画に対し本制度(注:総合設計制度)の積極的な活用を図るため,総合設計許可の取扱方針として本要綱を定める」として,本件許可要綱が定められている。(乙A5p1)a 本件許可要綱においては,市街地住宅の供給の促進に資することを目的として,住宅の用途に供する部分の床面積の合計(中略)が敷地面積に割増容積率を乗じて得た数値以上となる建築計画に適用する総合設計を市街地住宅総合設計といい,特別区の区域等をその適用区域としている。そして,本件許可要綱に定める法令要件(本件許可要綱の第2の1)及び付加要件(本件許可要綱の第2の2)に適合し,かつ,緩和基準(本件許可要綱の第4の4に定める容 区の区域等をその適用区域としている。そして,本件許可要綱に定める法令要件(本件許可要綱の第2の1)及び付加要件(本件許可要綱の第2の2)に適合し,かつ,緩和基準(本件許可要綱の第4の4に定める容積率制限の緩和基準)に適合する建築計画について,容積率制限(建築基準法52条第1項から8項までの規定及び同法57条の2第6項の規定)の緩和の対象としている。(乙A5)b 本件許可要綱における法令要件,緩和基準等は,以下のとおりである。 (a) 法令要件は,建築基準法59条の2第1項及び同施行令136条等に定める前記(2)の要件,すなわち,①計画建築物の敷地内における空地率の最低限度は,当該敷地の建ぺい率が55%以上100%以下のものについて,120から当該基準建ぺい率を控除した数値であること,②計画建築物の敷地面積の最低限度は,第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域の各地域以外の地域は - 43 -500㎡であることである。(乙A5)(b) 付加要件として,①計画建築物の敷地は用途地域の種別に応じて前面道路の幅員に条件を設けているところ,商業地域等においては,8m以上の幅員の道路に接しなければならないとし,②計画建築物の敷地の接道長については,上記①の数値以上の幅員を有する道路に当該敷地境界線の長さの合計の6分の1以上が接するものとし(乙A5),③計画建築物の敷地内における有効公開空地率の最低限度は,当該敷地の基準容積率が500%以上の場合10%とし,④計画建築物の敷地には,原則として歩道状空地及び広場状空地を設けることとし(乙A5),⑤計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から敷地境界線及び歩道状空地で通行可能な部分までの水平距離は,当該計画建築物の計画建築物の高さ(中略)の平方根の2分の1以上であること(乙 し(乙A5),⑤計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から敷地境界線及び歩道状空地で通行可能な部分までの水平距離は,当該計画建築物の計画建築物の高さ(中略)の平方根の2分の1以上であること(乙A5)を要するとしている。 なお,公開空地とは,計画建築物の敷地内の空地又は開放空間のうち,日常一般に公開される部分であり,<ア>これがいわゆる歩道状空地の場合には,3m以上の幅員等の所定の要件を満たすもので,前面道路に沿って設ける歩行者用の空地又は開放空地をいい,<イ>これがいわゆる広場状空地の場合には,最も狭い部分の幅が4m以上であり,商業地域等においては100㎡以上であり,かつ,全周長の8分の1以上が道路等に接するもので,歩道状空地等に該当せず,一団の形態をなすものとされる。そして,有効公開空地率とは,各公開空地に係る所定の有効面積に所定の有効係数を乗じて算出した有効面積の合計を敷地面積で控除したものに100を乗じた数値(%)とされる。 (以上につき,乙A5)(c) 緩和基準として,計画建築物の敷地内に公開空地等(当該計画 - 44 -敷地内及び公開空地等)の有効公開空地率が,上記付加要件③に係る数値(10%)を超えるもの)を設ける場合は,その容積率の限度を緩和するとされ,その緩和の限度として,市街地住宅総合設計におけるセンター・コア・エリア内(都心部を除く。)かつ環状○号線の内側の区域であり,敷地面積が5000㎡以上30000㎡未満であるから,次の数式によって算出することとされる。(乙A5)((有効公開空地率(%)-基本要件に定める有効公開空地率の最低限度(%))×((基本容積率(%)/400)+3)×敷地規模別係数(1+(敷地面積㎡-500㎡)/(30000㎡-500㎡))×(0.1×(9+((計画敷地の周長 要件に定める有効公開空地率の最低限度(%))×((基本容積率(%)/400)+3)×敷地規模別係数(1+(敷地面積㎡-500㎡)/(30000㎡-500㎡))×(0.1×(9+((計画敷地の周長の6分の1以上に接する道路の幅員(m))-6)/6)))ただし,割増容積率の最高限度は基準容積率の0.75倍又は300パーセントのいずれか低い数値とする。 なお,公益施設等による割増容積率は,基準容積率(%)を50で除した数値に80を加えた数値をその限度として,公益施設等の床面積に応じて緩和する。(乙A5)(イ) 本件敷地は,東京都台東区γ×番地1~4,・6~8・10・11・23~25・27,同××番地13の一部・14・同×××番地14~19に所在し,用途地域が商業地域に指定されており,その面積は6339.97㎡,周長348.14mである。 また,本件敷地の前面道路幅員は,北面11.0m(接道長60.00m),南面8.0m(接道長59.44m),西面6.0m,東面(現況2.89m〔拡幅後3.35m〕)であり,基準建ぺい率100%,基準容積率500%とされている。なお,本件敷地道路を挟んだ北側にには,P17公園が存在する。 - 45 -(以上につき,乙A15及び16)(ウ) 本件許可処分に係る申請は,平成20年8月25日にされているところ,本件申請者らは,本件敷地の周辺は「P18開通により新たなβの玄関口として,重要なエリア」になっているとし,「今回計画は,P18β駅からも至近距離に位置しており,市街地環境の整備改善を図り,良好な建築・住宅ストックの形成に寄与することを主眼とした分譲マンションの開発に適したエリア」において,既存の「マンションの老朽化に伴う建て替えと,周辺権利者も含めた一体的な計画にすることにより, 良好な建築・住宅ストックの形成に寄与することを主眼とした分譲マンションの開発に適したエリア」において,既存の「マンションの老朽化に伴う建て替えと,周辺権利者も含めた一体的な計画にすることにより,土地の共同化による市街地環境の整備改善,合理的な利用と建物の共同化による歩行空間や敷地内広場などの公共的な空地・空間を確保する」ものとして本件建築計画の理由としている。そして,多彩なバリエーションの質の高い住宅を供給することにより,多世代にわたる人の定住を誘導し,「良好な建築・住宅ストックの形成,都心居住の推進,職と住のバランスのとれた都市の形成」に配慮し,建物を共同化して不燃化と免震化を図り,土地を共同化して敷地内空地を広く設けるとともに,防災倉庫や災害時用便所等を備えるなどして,北側公園や区の施設との連携した周辺地域の防災拠点としての機能を補い,もって「公共施設機能の補完,市街地の防災強化,敷地の集約による質の高い市街地形成」に配慮し,敷地内及び建物内のバリアフリー化に努め,「福祉のまちづくり」に配慮し及び敷地内の空地は極力緑化に努め,「緑化の推進」に配慮するなどし,市街地環境の整備改善等を図るとしている。(乙A11)そして,申請に係る本件建築計画の内容は,本件建築物の主要用途を共同住宅・保育所とし,構造・規模を鉄筋コンクリート造地上37階・地下2階・塔屋2階であり,最高高さ133.53m,緩和項目を容積率制限とするものである。(甲1,乙A15)なお,本件建築計画において,外壁後退距離は32.563mないし - 46 -7.454mとされ,本件建築物の東側道路については,当該接する部分について道路中心線から2mまで後退させ,後退した道路に接して公開空地である歩道状空地を幅員4mで設けるものとされていた。(乙A16) 54mとされ,本件建築物の東側道路については,当該接する部分について道路中心線から2mまで後退させ,後退した道路に接して公開空地である歩道状空地を幅員4mで設けるものとされていた。(乙A16)(エ) 本件敷地には,上記許可申請をするに当たり,公開空地として,①歩道状空地(空地面積889.40㎡,有効対象面積857.11㎡,有効面積2060.89㎡,有効公開空地率32.50%),②歩道状空地(その他)(空地面積116.18㎡,有効対象面積111.99㎡,有効面積111.99㎡,有効公開空地率1.77%),③広場状空地(空地面積2017.42㎡,有効対象面積1880.70㎡,有効面積2256.83㎡,有効公開空地率35.59%)とされ,空地面積合計3023.00㎡,有効対象面積合計2849.80㎡,有効面積合計4429.71㎡である。(乙A15)上記によれば,有効面積の合計は4429.71㎡となり,敷地面積は6339.97㎡であるから,全体としての有効公開空地率は69. 86%(4429.71㎡/6339.97㎡×100=69.86%)となる。(乙A15)(オ) 本件建築計画においては,本件建築物には公益施設等として東京都認証保育所(174.96㎡),防災倉庫及び災害時用便所が存在する。 (乙A15ないし乙A17)(カ)a 東京都においては,本件都市計画マスタープランが定められているところ,これによれば,東京を5つのゾーンに区分し,α・βを含む副都心を都心等とともにセンター・コア再生ゾーンに位置付け,都心を楽しむ都心居住が推進され職住バランスの回復や国際都市にふさわしい良質な居住環境創出されるという将来像が描かれ,都市再開発諸制度を活用して土地の高度利用を通じて都心居住を重点的に進める - 47 -地域とされている れ職住バランスの回復や国際都市にふさわしい良質な居住環境創出されるという将来像が描かれ,都市再開発諸制度を活用して土地の高度利用を通じて都心居住を重点的に進める - 47 -地域とされている。(乙A24)b また,本件住宅マスタープランによれば,上記センター・コア再生ゾーンにおいては,施策展開の方針として,居住機能の強化を図る区域とされ,都市開発諸制度等の適切な運用等を図りながら,住宅を含む優良な開発プロジェクトの誘導等を行い,職住のバランスのとれた複合市街地を形成してすることとされている。(乙A24)(キ) 本件建築計画によれば,本件建築物は1LDKが114戸,2LDKが265戸,3LDKが306戸及び4LDKが8戸が予定されており,これらを供給することにより,前記のとおり,多世代にわたる人の定住を誘導し,建物を共同化して不燃化と免震化を図り,土地を共同して敷地内空地を広く設けるとともに,防災倉庫や災害時用便所等を備えるなどして,北側の公園や台東区の施設と連携した周辺地域の防災拠点としての機能を補い,また,敷地内の空地は極力緑化に努めてうるおいと安らぎを与える空間を目指すものとされた。(乙A11,15,16)(ク) 本件許可処分は,所定の条件を付した上で上記(ウ)に係る申請内容を許可するものであり,本件敷地は,その基準容積率が500%であったところを,278.32%割り増して,778.32%とするものである。(乙A1)ウ(ア) 上記イ(ア)によれば,建築基準法59条の2第1項における特定行政庁の総合設計許可の裁量判断において,裁量の逸脱又は濫用があるか否かを判断するに当たっては,東京都においては,「東京都の行政計画の理念に基づき,良好な市街地環境の整備改善等に寄与する建築計画に対し本制度(注:総合設計制度)の積 いて,裁量の逸脱又は濫用があるか否かを判断するに当たっては,東京都においては,「東京都の行政計画の理念に基づき,良好な市街地環境の整備改善等に寄与する建築計画に対し本制度(注:総合設計制度)の積極的な活用を図るため,総合設計許可の取扱方針として」本件許可要綱が定められていることに照らし,平等原則等の観点からも,本件許可処分が本件許可要綱にかなったものであるか否かが重要な事情となるところ,上記イ(ア)の緩和基準に上記 - 48 -イ(イ)ないし(オ)の各事実を当てはめて検討すると,以下のとおりとなる。 (イ) ① 法令要件を満たすことは前記(2)のとおりであり,② 本件敷地は幅員11mの道路に接道するから前面道路の幅員(8m)を満たし,③ 本件敷地の全周長348.14mであるところ,本件敷地は上記幅員11mの北側道路は前面道路に60m,幅員8mの南側道路に59. 44mにわたってそれぞれ接道し(合計119.44m),接道長を敷地周長で除した数値は34.3%(約2.91分の1)となるから,接道長さ(敷地境界線の1/6であり58.02m)を満たし,④ 敷地内空地率は60.10%(空地面積3810.53㎡/敷地面積6339.97㎡×100%=60.10%)であるから基準建ぺい率100%を前提とする敷地内空地率の最低限度(20%)を満たし,⑤ 有効公開空地率が69.86%であるから基準容積率を500%とする有効公開空地率の最低限度(10%)を満たし,⑥ 広場状公開空地は642. 98㎡であるから,商業地域において要求される広場状公開空地の最低限度(100㎡)を満たし,⑦ 外壁後退距離は7.454m以上の距離がとられているから,本件建築物の最高高さ(133.53m)を前提とする必要後退距離5.778m(√133.53/2.00=5. 度(100㎡)を満たし,⑦ 外壁後退距離は7.454m以上の距離がとられているから,本件建築物の最高高さ(133.53m)を前提とする必要後退距離5.778m(√133.53/2.00=5. 778)は確保(上記後退距離のとれない部分は落下物対策を行う。)されている。 そして,これらを前提として市街地住宅総合設計における容積率割計算式により算定した<ア>公開空地及び敷地規模による割増及び<イ>公益施設等による割増は以下のとおりとなる。 <ア>公開空地及び敷地規模による割増 297.65%(69.86-10.00)×((500/400)+3)×(1+((6339.97-500)/(30000-500))×(0. - 49 -1×(9+(11-6)/6))=297.65%<イ>公益施設等による割増 2.75%174.96㎡/6339.97㎡=2.75%上記<ア>公開空地及び敷地規模による割増及び<イ>公益施設等による割増の合計は300.40%となるものの,上限値が定められているから割増は300%となり,割増後の容積率は800%となる。 そして,本件許可処分は,本件敷地の容積率を500%から778. 32%に緩和するものであり,上記緩和基準の範囲内であるから本件許可要綱にかなったものと認められる。 (ウ) また,上記イ(カ)及び(キ)の認定事実によれば,東京都においては,本件都市計画マスタープランが策定され,本件敷地を含む地域を都市再開発諸制度を活用して土地の高度利用を通じて都心居住を重点的に進める地域とし,また,本件住宅マスタープランが策定され,同地域を居住機能の強化を図る区域とし,都市開発諸制度等の適切な運用等を図りながら,住宅を含む優良な開発プロジェクトの誘導等を行い,職住のバランスのと とし,また,本件住宅マスタープランが策定され,同地域を居住機能の強化を図る区域とし,都市開発諸制度等の適切な運用等を図りながら,住宅を含む優良な開発プロジェクトの誘導等を行い,職住のバランスのとれた複合市街地を形成することとしているところ,本件許可処分に係る本件建築計画によれば,本件建築物は鉄筋コンクリート造であって,1LDKが114戸,2LDKが265戸,3LDKが306戸及び4LDKが8戸の供給と防災倉庫や災害時用便所を備えることが予定されており,多世代にわたる人の定住を誘導し,建物を共同化して不燃化を図り,土地を共同して敷地内空地を広く設けるとともに,防災・災害対策機能を備え周辺地域の防災に資する機能を有するものであり,また,敷地内の空地は極力緑化に努めてうるおいと安らぎを与える空間を目指すなどしたものであることが認められる。したがって,本件建築計画は上記本件都市計画マスタープラン及び本件住宅マスタープランに適合するものということができる。 - 50 -エこの点,原告らは,本件許可処分の違法性として,前記第2の4(3)(原告らの主張の要旨)のとおり,本件建築計画及び本件建築物は,① その完成によって風環境を悪化させるものであり,風環境の変化への対策も不十分であるから本件許可要綱に違反する,② 本件建物はセンター・コア再生ゾーン中の「α・β副都心」エリアに位置しているにもかかわらず,本件敷地の東側に低層建物を残し「街区単位の整備」や「街並みや地域の雰囲気を活かす」ことにつながるものではなく,狭あい道路が放置され「防災性の向上」にもつながらないから,本件都市計画マスタープランに反する,③ 本件建築物はセンター・コア再生ゾーンに位置しているにかかわらず,「統一感のあるまち並み」,「職住のバランス」を破壊し,「まち並み景 」にもつながらないから,本件都市計画マスタープランに反する,③ 本件建築物はセンター・コア再生ゾーンに位置しているにかかわらず,「統一感のあるまち並み」,「職住のバランス」を破壊し,「まち並み景観等への配慮」がされていないから,本件住宅マスタープランに反する,④ 本件建築物は,「中低層地,複合市街地への誘導」,「歴史ある文化資源をまちの目印として特徴づけ」,「まちの歴史に配慮し,街並みの分断を感じさせない」といったものではなく,また,「狭あい道路」を残すものであるから,本件台東区マスタープランに反する,⑤ 本件建築物は総合設計許可制度の利用が許されない複合市街地ゾーンにおいてこれを利用するものであり,台東区住宅マスタープランに反する,として,特定行政庁である都知事の裁量権の逸脱を主張するので,以下検討する。 (ア) 本件建築物の建設による風の影響の支障(上記主張①)について風による影響は施工前と施工後の影響力の対比として示されるところ,証拠(甲9,乙A2)によれば,本件建築物の完成後の風の影響を受ける地域は,本件建築物が存在する区画及びその東隣の各街区において,レベルが1から2に変化するものの,レベル2は住宅街や公園において許容範囲とされている程度であることに照らせば,原告らが受ける風による影響は受忍限度内というべきである。なお,原告らにおいて,風環境の変化への対策が不十分である旨主張する点は,具体性を欠いた - 51 -ものであって採用することはできない。 (イ) 各マスタープランに反する旨の主張についてa 本件都市計画マスタープランに反する旨の主張(上記主張②)について原告らの主張②についてみるに,東京都の行政計画である本件都市計画マスタープランの文理に反することや一般的公益としての景観利益(前記1(2)の タープランに反する旨の主張(上記主張②)について原告らの主張②についてみるに,東京都の行政計画である本件都市計画マスタープランの文理に反することや一般的公益としての景観利益(前記1(2)のとおり建築基準法59条の2第1項は景観利益を個別的に保護する趣旨を含むとは解されないため,景観利益は一般的公益にとどまる。)の侵害のみをいうのであれば,これら原告が主張する内容については同項が原告ら自身の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものとは解されず,このような違法事由は,原告らの自己の法律上の利益に関係のない違法というべきであるから,行政事件訴訟法10条1項により,本件訴訟において取消しの理由として主張することはできないというべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第46号平成元年2月17日第二小法廷判決・民集43巻2号56号参照)。 もっとも,原告らの上記主張②については,これらを善解すれば,街区内における不均衡な建築物の存在や狭あい道路が周囲の風環境に影響を及ぼし,あるいは,建築物の倒壊,炎上等に影響を与えるなど,原告らの自己の法律上の利益にかかわる違法を主張するものとみる余地もあるから,本件事案の内容・性質,訴訟の経緯にかんがみ,上記の点をおいて,念のため本件許可処分と本件都市計画マスタープランとの関係について検討する。(以下,bないしdにおいて検討する原告らの上記主張③ないし⑤についても,上述と同様の問題があるが,同様の観点から念のために検討することとする。)原告らの主張は,本件建築物の本件敷地が「副都心(α・β)」に - 52 -該当することを前提とするが,証拠(乙A3)及び弁論の全趣旨によれば,本件敷地は「α・β副都心」エリアには存在しないから(本件都市計画マスタープラン。乙A3参照),「⑨α・β」 に - 52 -該当することを前提とするが,証拠(乙A3)及び弁論の全趣旨によれば,本件敷地は「α・β副都心」エリアには存在しないから(本件都市計画マスタープラン。乙A3参照),「⑨α・β」エリアに含まれることを前提とした原告らの主張は失当である。その点をおくとしても,前記イ(カ)の認定事実及び証拠(甲3,乙A24)によれば,本件都市計画マスタープランは,東京都を5つのゾーンに区分し,それぞれのゾーンおける特性・将来像等を定めたものであるところ,これら区分は「都市計画の共通の目標を示し,もって,当該都市計画区域の役割を明確にする」ために設けられていること(甲3)に照らせば,各ゾーンにおいて定められている将来像等も都市計画の指針としての目標にすぎないと位置付けられるべきであるし,また,将来像として「地域的特性を踏まえ,住居系の高容積率メニュー,中高層階住居専用地区,地区計画等の諸制度の活用により,都市を楽しむ都心居住が推進され,職住バランスが回復するとともに,良好な住環境の保全,商業や工業などの機能を合わせ持つ複合市街地の形成が推進され,国際都市にふさわしい良質な居住環境が創出されている。」などとされていること(甲3)からすると,総合設計許可等を行うことが予定されているといえる。加えて,本件敷地は,「都市づくりの進め方の概略的方向(参考附図-5)」(乙A4)において,「発達した交通利便性等を活かしながら,街区再編まちづくり,都市開発諸制度,市街地再開発事業などを活用し,必要に応じて日影規制の合理化を併せて行いながら,土地の高度利用を通じて都心居住を重点的に進める地域」に位置しているところ,本件計画は,都市開発諸制度の一つである総合設計制度を使い,P18β駅の周辺地域において土地の高度利用を進め,老朽化したマンションの建て替 通じて都心居住を重点的に進める地域」に位置しているところ,本件計画は,都市開発諸制度の一つである総合設計制度を使い,P18β駅の周辺地域において土地の高度利用を進め,老朽化したマンションの建て替えに併せて住宅の供給を行う計画であって(乙A11参照),隣接する区立公園等と併せて本件 - 53 -建築物に設けられる空地や防災倉庫等により周辺地域の防災機能の補完にも配慮がされていることからすると,本件許可処分は上記「都市計画区域の整備,開発及び保全の方針」に沿っているとも評価できる。 なお,原告らは,本件敷地の東側には低層住宅が残る以上「街区単位の整備」ではなく,東側前面道路の幅員は4mを下回っているとして「防災性の向上」がないとするが,本件建築計画は,本件敷地は既存の老朽化したマンション建て替えに際し,周辺権利者を含めて一体的に計画されたものであるから,その方向性は「街区単位」の整備と同じであるとも評し得るものである上,本件建築計画によれば幅員が4mとなるように計画され(乙A16),少なくとも本件建築計画に係る部分については道路が拡幅されているといえる以上,「防災性の向上」がないとまではいうことができず,この点に関する原告らの主張に理由はない。 b 本件住宅マスタープランに反する旨の主張(上記主張③)について証拠(甲4,乙A11,16)及び弁論の全趣旨によれば,本件住宅マスタープラン(甲4)においては,本件敷地を含むセンター・コアゾーンは,施策展開の方向として,住居機能の強化を図る区域とされ,「都心・副都心の周辺地域や幹線道路の沿道地域など,業務・商業機能が中心の市街地では,風環境への配慮や緑化の推進などヒートアイランド対策や,文化財庭園等の周辺の眺望の保全,幹線道路の沿道における緑豊かな広がりをもった統一感のあるまち 沿道地域など,業務・商業機能が中心の市街地では,風環境への配慮や緑化の推進などヒートアイランド対策や,文化財庭園等の周辺の眺望の保全,幹線道路の沿道における緑豊かな広がりをもった統一感のあるまち並みの形成等に配慮しつつ,地区計画や都市開発諸制度等の適切な運用(中略)等を図りながら,民間活力による都市機能の更新・再編を促し,それに合わせて,住宅を含む優良な開発プロジェクトの誘導等を行い,職住のバランスのとれた複合市街地を形成していきます。」とされていること(甲4)に照らせば,原告らが本件許可処分との齟齬を指摘する点 - 54 -は,「職住のバランス」に関する点を除けばいずれも施策展開の方向性における考慮要素の一つとされているにとどまるものであって,仮にこれらの点に反するとしても,他方で,本件許可処分に当たっては風環境や緑化にも配慮がされていることがうかがわれること(乙A11,16)に照らせば,本件許可処分が結論において本件住宅マスタープランに反するということはできない上,本件建築物によって「職住のバランス」がどの程度崩れるかなどの点は具体的に明らかにされていない。これらの事情に照らせば,本件許可処分が本件住宅マスタープランに反していることをうかがわせる事情はないというべきである。 なお,原告らは,センター・コア再生ゾーンであってもβ地域のいては建築基準法の基準を緩和するのではなく,これを厳格に適用すべきとするが,本件住宅マスタープランは,地区計画や都市開発諸制度等の適切な運用を前提に民間活力による都市機能の更新・再編を図るものであるから,殊更に建築基準法の基準を厳格にするものとは解されず(あくまで,周辺環境への配慮を求めるものと解される。),この点に関する原告らの主張に理由はない。 c 本件台東区マスタープランに反する あるから,殊更に建築基準法の基準を厳格にするものとは解されず(あくまで,周辺環境への配慮を求めるものと解される。),この点に関する原告らの主張に理由はない。 c 本件台東区マスタープランに反する旨の主張(上記主張④)について本件台東区マスタープランは,特別区である台東区が作成した行政計画であって東京都の行政計画に該当しないから,仮にこれらに反する点があったとしても,直ちに本件許可処分が違法になることはないというべきである。 もっとも,本件許可処分に当たっての裁量判断において本件台東区マスタープランへの適合性が検討されることは十分に合理性があると考え得るから,反面これとの抵触関係も一応問題となるというべきと - 55 -ころ,上記イ(カ)及び(キ)の認定事実及び証拠(甲5,乙A13,16,24)によれば,<ア> 本件敷地は建物形態を「中・低層地」とする地域に属するものの,本件台東区マスタープランは「基本的な方針」(都市計画法18条の2第1項参照)とされ,基本理念であり目標とされるにすぎず,また,複合市街地において,「幹線道路の背後の街区では,建物の共同化等により,土地の高度利用を進め,オープンスペースの創出や狭あい道路の拡幅等を進め,居住環境に配慮した土地利用を図る」(甲5)とされていることに照らせば,総合設計許可等の利用が予定されているといえ,そうであるとすると,「3ないし5階」の建物以外の存在を許容しない趣旨とは到底考えられない。 加えて,原告らにおいて図解部分を重視すべきと主張する点も,図解には「イメージ」などと記載され(甲5),それによっては当該地域で予定されている建築物の範囲が明確に規定されているとはいい難く,この記載をもってそこに記載された高さ・構造以外の建物や総合設計許可による建築物を許可しないことを含 (甲5),それによっては当該地域で予定されている建築物の範囲が明確に規定されているとはいい難く,この記載をもってそこに記載された高さ・構造以外の建物や総合設計許可による建築物を許可しないことを含むとは到底解されない。 また,<イ> 原告らが狭あい道路の解消につながっていない旨指摘する本件建築物の東側道路については,当該接する部分について道路中心線から2mまで後退させ,後退した道路に接して公開空地地である歩道状空地を幅員4mで設けるものとして計画・許可されたものであって(乙A16参照),本件許可処分は狭あい道路解消に向けたものである。そして,本件許可処分に係る計画内容をみるに,本件建築物の住居部分には1LDKタイプから4LDKタイプのものまでいずれも複数戸存在し,保育所部分も存在することからすると,本件台東区マスタープランにおいて,住宅・住環境整備方針としては,若者から高齢者,単身者から多世代同居世帯まで,多様な人が住める環境,住み続けられる環境を整え,子育て世帯を中心に定住を促す質の高い住 - 56 -まいを誘導するとされる点(乙A24)に沿ったものといえる上,その敷地は幹線道路の背後の街区であり「複合市街地」に属するところ,本件計画は,建物の共同化等による土地の高度利用とオープンスペースの創出,狭あい道路の拡幅等を進めるものであることからすれば,本件許可処分は本件台東区マスタープランに沿うものであり,本件許可処分が本件台東区マスタープランに反しないことは,台東区長においても確認され,「本件計画を進めることに支障はない」旨の回答をしているから(乙A13),いずれにしてもこの点に関する原告の主張に理由はない。 d 台東区住宅マスタープランに反する旨の主張(上記主張⑤)について台東区住宅マスタープランは,特別区である台東 ているから(乙A13),いずれにしてもこの点に関する原告の主張に理由はない。 d 台東区住宅マスタープランに反する旨の主張(上記主張⑤)について台東区住宅マスタープランは,特別区である台東区が作成した行政計画であって東京都の行政計画に該当しないから,仮にこれらに反する点があったとしても,直ちに本件許可処分が違法になることはないというべきである。 もっとも,本件許可処分に当たっての裁量判断において台東区住宅マスタープランへの適合性が検討されることは十分に合理性があると考え得るから,反面これとの抵触関係も一応問題となるというべきところ,台東区住宅マスタープランにおいて,本件敷地が位置する複合市街地ゾーンに関する記載として総合設計許可等の記載がないとしても,証拠(甲5,乙A14,19,24)によれば,台東区住宅マスタープランは住宅市街地としての特性に応じて6つのゾーンに区分し,ゾーン別の特性,整備の方針,主な整備手法を示すものにすぎないから,これによる分類に総合設計許可等の記載がないことをもって,これらが直ちに禁止ないし制限されていると解することはできないし,台東区においては,台東区マスタープランが策定され,土地利用 - 57 -方針が定められているところ(甲5),本件建築物は幹線道路に面していない区画に存する鉄筋コンクリート造(地上37階建)の居住用等の建物であるから,産業機能の充実と併せて居住機能の強化を図り,地域の活性化と個性を引き出す複合かつ多様な市街地整備を進めるとともに,幹線道路の背後地は,それぞれの地域性を踏まえた中層・低層の市街地整備を誘導し,木造住宅密集地においては建物の共同化や不燃化を促進し,その整備に当たって,住まいの共同化等を進め,居住機能の確保と住環境の向上を図るものとされていること(乙A24 中層・低層の市街地整備を誘導し,木造住宅密集地においては建物の共同化や不燃化を促進し,その整備に当たって,住まいの共同化等を進め,居住機能の確保と住環境の向上を図るものとされていること(乙A24)に沿ったものであるし,上記のとおり「複合市街地ゾーン」においては総合設計許可制度の活用が想定されていること(甲5,乙A14,19)に照らせば,本件許可処分も台東区住宅マスタープランに沿うものというべきであり,この点に関する原告の主張は理由がない。 (ウ) 原告らは,上記(ア)のほか,日照障害,建物の倒壊等については,具体的な違法事由を主張していない(本件敷地を含む地域においては日影規制のない商業地域であり,本件建築物による平均地盤面からの高さ6.5mの地点で測定した冬至における日影は,受忍限度の範囲内のものである(乙A12参照)。)。 オ以上によれば,本件許可処分は本件敷地が位置する場所において効力を有する行政計画(東京都の行政計画のみならず台東区のそれを含む。)に沿っている上,特定行政庁である都知事において,本件建築物の建築計画が,上記②の要件(交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建ぺい率,容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すること)を満たしていると判断して,本件建築物の建築計画について本件許可処分をしたことにつき,裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったということはできない。 (4) そして,他に本件許可処分について違法事由となり得る事情の存在はう - 58 -かがわれない以上,本件許可処分は適法であるというべきである。 4 争点(2)イ(本件確認処分の適法性)について建築基準法6条1項(同法6条の2第1項によるみなし適用の場合を含む。)は,建築 かがわれない以上,本件許可処分は適法であるというべきである。 4 争点(2)イ(本件確認処分の適法性)について建築基準法6条1項(同法6条の2第1項によるみなし適用の場合を含む。)は,建築主は,同項各号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならないと規定するところ,上記3のとおり,本件建築確認申請に先立ってされた本件許可処分は適法であり,また,本件全証拠によっても,本件確認処分が建築基準関係規定に違反していることをうかがわせる事情は認められない。 これに対し,原告らは,本件確認処分について,本件許可処分が違法である以上,違法である旨の主張するが,本件許可処分が適法であることは前記3のとおりであり,他に本件確認処分の違法性についての主張をしていない。 そうであるとすると,本件確認処分が同法6条1項(同法6条の2第1項)に違反していると認められないことは明らかというべきであるから,本件確認処分は適法であり,原告らの主張を採用することはできない。 第4 結論よって,本件訴えのうち,原告P1及び原告P2の訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,その余の原告らの訴えに係る請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神 裕 - 59 - 裁判官林 史高 裁判官新宮智之 判長 裁判官 川神裕 裁判官 林史高 裁判官 新宮智之

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