【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中一〇〇日を原判決の刑に算入する。 理 由 本件控訴の趣意は、弁護人杉浦栄一が提出した控訴趣意
主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中一〇〇日を原判決の刑に算入する。 理由 本件控訴の趣意は、弁護人杉浦栄一が提出した控訴趣意書に、これに対する答弁は、東京高等検察庁検察官検事田代則提出した答弁書にぞれそれ記載されたとおりであるから、これらを引用し、これに対して、当裁判所は、次のとおり判断する。 控訴趣意第一点(事実誤認)について所論は、要するに被告人の自白した多数の窃盗の事実についてその真実性を担保するに足りる補強証拠を欠いている、というにある。 しかしながら、窃盗の事実の自白に対して被害者の被害届のみで補強証拠とするに足りることはすでに最高裁判所の判例(最高裁決定昭和二九年五月四日刑集八巻五号六二七頁)であるところ、原審記録を仔細に検討するに、原判決に証拠の標目として掲記されている各被害届等の各記載は、被害の年月日時、被害の場所及び被害金額や被害物件が被告人の自白と合致しているのみならず、被害の模様においてそのすべてがバール様なもので入口の鍵又は錠前などが破壊されたり戸をこじあけられたりしており、あるいは現金等の保管場所がバール又はドライバー様のもので破壊されたりこじあけられたりしている旨の記載があるが、実況見分調書や供述調書によつて右被害の模様の各事実が認められるところ、被告人の自白にかかる本件各事実は、すべてバールやドライバーを携行して現場に臨み、それらを使用して各入口の鍵や錠前などを破壊するか、戸をこじあけるなどして屋内に入り、現金等が鍵のかかつた場所に収納してあるとバールやドライバーを使つて壊すかこじあけるかして窃取していたものであつて、この窃取の態様において各被害届の記載(あるいは原判決には掲記されていないが、実況見分調書又は供述調書と併せて認めら てあるとバールやドライバーを使つて壊すかこじあけるかして窃取していたものであつて、この窃取の態様において各被害届の記載(あるいは原判決には掲記されていないが、実況見分調書又は供述調書と併せて認められる記載)と合致していて著しい特徴をなしていることが認められる。してみると、原判決掲記の各被害届は被告人の窃盗又は窃盗未遂の自白の真実性を十分に担保するに足りる証拠ということができ、これらのみを補強証拠として掲記した原判決の事実の認定に誤りがあるとするわけにはいかない。論旨は理由がない。 控訴趣意第二点(法令適用の誤り)所論は、要するに、住居侵入罪の「侵入」とはあくまで内部に入ることであつて、原判決第三の各事実は被告人はたんに根屋上を逃げたにすぎないのであるから、この行為を住居侵入罪に間擬することは法令の適用の誤りである、というにある。そこで原審記録を精査すると、被告人は昭和五三年七月一九日午前四時三〇分ころ警察官の職務尋問を免れるため、Aビル南側の高さ約一・四五メートルのブロツク塀にあがり、そこから右ビルとB居宅の境にある高さ約一・六〇メートルのブロック塀に乗り移り、さらに同人方庭にある梅の木に登り、そこから同人方住居の屋根の上にあがり、瓦葺の上をがたがたと音をたてながら走りまわり、ついで同日午前四時四〇分ころ右屋根から屋根伝いに隣りのAビルの屋根の上にあがり、さらに同日午前四時五〇分ころ屋根が続いている株式会社Cの事務所兼社宅の屋根の上にあがり、社宅で寝ていたDにとがめられ、右屋根から西側の車庫のプラスチツク製の屋根に飛び降り、その際右屋根<要旨>を踏み抜き、その屋根の上を歩いて道路に降りたことが認められる。住居侵入罪の「侵入」の対象となる住</要旨>居又は人の看守する建造物の範囲は、住居等の平穏を保護法益とする法の趣旨に則して考う 要旨>を踏み抜き、その屋根の上を歩いて道路に降りたことが認められる。住居侵入罪の「侵入」の対象となる住</要旨>居又は人の看守する建造物の範囲は、住居等の平穏を保護法益とする法の趣旨に則して考うべきところ、住居及び建造物の屋根は構造上それらの構築物の重要な一部であつて、その目的からいつて通常屋内にて起居している者の頭上に位置するものであるから、屋内で起居する者に無断でそれらの屋根の上にあがることは、住居等の平穏を害する「侵入」に当るといわなければならない。すなわち住居等の屋根の上は、住居侵入罪の住居又は建造物の一部であると解する。したがつて原判決には法令適用の誤りはない。論旨は理由がない。 控訴趣意第三点(量刑不当)について所論は、原判決に事実の誤認があることを前提として量刑の不当を主張するものであるが、原判決には事実誤認の点はないことはすでに説示したとおりであるので、所論は前提を欠いている。のみならず、原審記録及び当審の事実取調の結果も参酌して検討するに、被告人の本件犯行とくに窃盗及び同未遂の回数、その方法、被害金額、被害の範囲、さらに窃盗の前科が五犯あることなとに徴すると、被告人が深く反省し、約五〇名に近い被害者に総額約一三〇万円に近い現金の弁償をしていることを考慮してみても、原判決の懲役四年六月の刑はやむをえないものと認められるから、原判決の刑は相当であつて、不当に重すぎるということはない。論旨は理由がない。 よつて、刑訴法三九六条により本件控訴を棄却し、刑法二一条により当審における未決勾留日数中一〇〇日を原判決の刑に算入し、当審における訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用してこれを全部被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官小松正富裁判官石丸俊彦裁判官礒邊衛) における訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用してこれを全部被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官小松正富裁判官石丸俊彦裁判官礒邊衛)
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