【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。 刑訴応急措置法一二条は憲法に違反するものではなく、従つてその作成にあたり、
主文 本件各上告を棄却する。 理由 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。 刑訴応急措置法一二条は憲法に違反するものではなく、従つてその作成にあたり、反対訊問の機会を与えなかつた検事聴取書の如き書類を、右法条の制限内において証拠としても憲法三七条二項の趣旨に反しないことは、当裁判所大法廷の判例に示されているとおりである(昭和二三年(れ)第八三三号、同二四年五月一八日大法廷判決―最高裁判所刑事判例集三巻六号七八九頁以下)。 そして、本件について見るに所論聴取書の供述者のうち、AB、C(論旨にDとあるは誤記と認める)、Eは原審における共同被告人であるから、前記措置法一二条の制限を受けないことは当裁判所の判例に徴して明らかであり(昭和二二年(れ)第二〇八号、同二三年二月九日第一小法廷判決―前同判例集二巻二号五六頁以下)、Fについては原審において被告人又は弁護人から同条所定の請求をした形跡は、原審公判調書中に、認められない。従つて、原判決が所論の聴取書を証拠としたことは少しも違法でなく論旨は理由がない。 同第二点及び第四点について。 原判決は各被告人の供述や共同被告人の供述のみによつて所論の事実を認定しているのではなく、(イ)同判示第一の事実については押収にかゝる売渡証書一通(証第七号)及び登記簿謄本の各存在及び右書類中の記載を(ロ)、同判示第二及び第三の事実については第一の認定事実、Fの司法警察官に対する供述及び鑑定書の記載をも綜合して右各事実を認定しているのである(Fは本件殺人の被害者Gの妻女であつて、これを共同被告人であるとする論旨は誤りである)。 そして、被告人H及びIに対する原判示第一及び第二の事実について見るに、原- 1 -判決が右被告人両名の公判外の自白を証拠とするにあたつて補 つて、これを共同被告人であるとする論旨は誤りである)。 そして、被告人H及びIに対する原判示第一及び第二の事実について見るに、原- 1 -判決が右被告人両名の公判外の自白を証拠とするにあたつて補強証拠とした前記共同被告人の各供述及びその他の証拠は右自白の真実性を直接間接に保障し、同被告人等の判示犯行を裏書するに十分である(共犯者たる共同被告人の供述が他の共犯者の自白の補強証拠となり得ることは当裁判所の屡々判例とするところであり、右被告人両名の各供述も共同被告人の供述として互に他の補強証拠となり得る)。又被告人Jに対する原判示第三の事実については、同被告人の自白はないけれども、原判決が証拠として挙示する原審相被告人Aの検事に対する供述中には被告人Jが原判示の如き殺人幇助の言動に出た旨の供述があり、同判決挙示の被告人Jの供述及び共同被告人の供述その他の証拠は、右Aの供述が架空のものでないことを保障するものと認められ、特に被告人Jの供述中判示の如き本件殺人の謀議が同被告人方で行われ同被告人もその場に同座して相談にあずかつた旨の供述は、同被告人と判示殺人幇助の事実との結び附をも裏書するに十分である。 以上の次第であるから、原判決には所論のような違法はなく論旨はいずれも理由がない。 同第三点について。 原判決は所論Aの検事聴取書を唯一の証拠として、上告人等を有罪としたものでないことは前段に説示したとおりであり、原判決挙示の証拠を綜合すれば判示事実を認めるに十分であつて、其の間何ら実験則乃至採証の法則に違反するところはない。所論は原判決が証拠とした被告人H等の供述の片言隻句を捉え或はAと被告人H及び殺人被害者Gとの関係又はAの性格言動を云々して右各供述の証拠力を攻撃するに過ぎないから論旨は理由がない。 弁護人西山三郎の上告趣意について。 被告人H等の供述の片言隻句を捉え或はAと被告人H及び殺人被害者Gとの関係又はAの性格言動を云々して右各供述の証拠力を攻撃するに過ぎないから論旨は理由がない。 弁護人西山三郎の上告趣意について。 原判決挙示の証拠によれば、被告人Jの判示助言は、原審相被告人A等が偶々G殺害の成功謝金額につき「五万円出す」「五万円は安い十万円出せ」「九万円で辛- 2 -抱しろ」と折衝を重ねていた際に、傍で被告人Jが「その位でやつてやれ、礼金は引受けた」と述べたものであつて、結局AからC等に右謝金として九万円を支払う約束の下に右G殺害の謀議が成立し、C等においてこれを実行した事実を認めることができるのであるから、仮令所論の如く実行正犯たるC等において右助言によつて殺意を強固にしたとか、或は殺人の実行を引受けた旨供述した事跡がないとしても、特段の事情の認められない本件においては、判示助言によつて本件殺人の犯行が容易にせられたものと推認することができる。従つて、原判決が挙示の証拠によつて斯く認定したことには何ら所論の如き違法はない。論旨は理由がない。 よつて、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。 右は全裁判官一致の意見である。 検察官安平政吉関与昭和二五年七月一九日最高裁判所大法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官長谷川太一郎裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一裁判官井上登裁判官栗山茂裁判官真野毅 裁判官井上登裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官小谷勝重裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎- 3 -裁判官岩松三郎裁判官河村又介裁判官穂積重遠- 4 -
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