主文 原略式命令を破棄する。 本件公訴を棄却する。 理由 記録によれば,平成12年6月22日東京簡易裁判所は,同日付けの被告人に対する道路交通法違反被告事件の公訴提起に基づき,「被告人は,平成12年6月3日午前10時11分ころ,道路標識により,その最高速度が50㎞毎時と指定されている東京都千代田区a町b番付近道路において,その最高速度を35㎞超える85㎞毎時の速度で大型自動二輪車を運転して走行したものである。」との事実を認定し,道路交通法22条1項,4条1項,118条1項2号,同法施行令1条の2,刑法18条,刑訴法348条を適用し,「被告人を罰金6万円に処する。これを完納することができないときは金5000円を1日に換算した期間(端数を生じたときはそれを1日に換算する)被告人を労役場に留置する。第1項の金額を仮に納付することを命ずる。」との略式命令を発付し,この略式命令は,正式裁判請求期間の経過により,同年7月7日確定したこと,同記録中の交通事件原票には,本件違反場所の最高速度は道路標識等により50㎞毎時と指定されている旨の記載があり,原裁判記録中にはこれに反する資料はなかったことが認められる。 しかしながら,当審の事実取調べの結果によれば,本件違反場所は,最高速度について何らの指定もされておらず,道路交通法22条1項,同法施行令11条に規定する法定最高速度60㎞毎時が適用される道路であったから,被告人の速度超過は正しくは25㎞毎時となり,同法125条1項により反則行為となると認められる。したがって,被告人に対しては,同法130条により,同法127条の通告をし,同法128条の納付期間が経過した後でなければ公訴を提起することができな- 1 -い。そうすると,公訴提起を受けた れる。したがって,被告人に対しては,同法130条により,同法127条の通告をし,同法128条の納付期間が経過した後でなければ公訴を提起することができな- 1 -い。そうすると,公訴提起を受けた東京簡易裁判所としては,刑訴法463条1項に従い,事件を通常の手続に移した上,同法338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったにもかかわらず,前記公訴事実につき有罪を認定して略式命令を発付したものであるから,この略式命令は,法令に違反していることが明らかである。 よって,本件非常上告は理由があり,しかも原略式命令は被告人のために不利益であるから,刑訴法458条1号ただし書により,原略式命令を破棄し,同法338条4号により本件公訴を棄却することとし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官井上隆久公判出席(裁判長裁判官深澤武久裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官町田顯)- 2 -
▼ クリックして全文を表示