令和2(ワ)4272等 商標権侵害差止等請求事件、不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年12月5日 大阪地方裁判所
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判決文本文39,970 文字)

- 1 -令和4年12月5日判決言渡同日判決原本交付裁判所書記官令和2年(ワ)第4272号商標権侵害差止等請求事件(第1事件)令和3年(ワ)第5999号不正競争行為差止等請求事件(第2事件)口頭弁論終結の日令和4年10月3日判決 第1事件原告慧大有限公司(商標登録上の表記フェダルエンタープライズカンパニーリミテッド)(以下「原告」という。) 第2事件被告株式会社リーダーバイクジャパン(以下「第2事件被告」という。)上記両名訴訟代理人弁護士古庄俊哉同訴訟復代理人弁護士手代木啓同訴訟代理人弁護士稲葉和香子 第1事件被告兼第2事件原告株式会社BROTURES(以下「被告」という。)同訴訟代理人弁護士渡邉穣同横井康真 主文 1 被告は、別紙被告標章目録記載の標章を付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品及び付属品を販売し、販売のために展示し、輸入してはならない。 2 被告は、別紙被告標章目録記載の標章を付した自転車、自 転車フレームその他自転車の部品及び付属品を廃棄せよ。 - 2 - 3 被告は、別紙ウェブサイト目録記載1ないし3の各ウェブサイトから別紙被告標章目録記載の標章を削除せよ。 4 被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和2年6月12日から支払 2 - 3 被告は、別紙ウェブサイト目録記載1ないし3の各ウェブサイトから別紙被告標章目録記載の標章を削除せよ。 4 被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和2年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告の第2事件に係る請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は、第1事件及び第2事件を通じて被告の負担とする。 7 この判決は、第4項に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 第1事件主文第1項ないし第4項と同旨 2 第2事件(1) 第2事件被告は、別紙第2事件被告標章目録記載1ないし8の各標章を 付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品及び付属品を製造し、輸出し、販売し、引き渡し、又は販売のために展示してはならない。 (2) 第2事件被告は、別紙第2事件被告標章目録記載1ないし8の各標章を付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品及び付属品を廃棄せよ。 (3) 第2事件被告は、別紙ウェブサイト目録記載4のウェブサイトから別紙 第2事件被告標章目録記載1ないし8の各標章を削除せよ。 (4) 第2事件被告は、被告に対し、1000万円及びこれに対する令和3年7月8日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、以下の各事案である。 (1) 第1事件- 3 -別紙本件商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい、本件商標権に係る商標を「本件商標」という。)を有する原告が、被告に対し、別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。被告標章が本件商標に類似するとの点は争いがない。)を付して自転車及び自転車用部品等を販売する行為が 商標」という。)を有する原告が、被告に対し、別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。被告標章が本件商標に類似するとの点は争いがない。)を付して自転車及び自転車用部品等を販売する行為が本件商標権の侵害に当たるとして、商標法36条1項、2項、3 7条1号に基づき、被告標章を付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品及び付属品(以下「被告商品」という。)の販売、販売のための展示、輸入の差止め、被告商品の廃棄、ウェブサイトからの被告標章の削除を求めるとともに、商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償の一部請求として、1000万円及びこれに対する前記行為の後である令和2年6月12日から支 払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案(2) 第2事件別紙被告商品表示目録記載の標章(以下「被告表示」という。)を使用する被告が、被告表示が被告の商品等表示として需要者の間に広く認識されて おり、別紙第2事件被告標章目録記載の標章(以下「第2事件被告表示」という。)が被告表示と同一又は類似の商品等表示であり、第2事件被告が第2事件被告表示を使用した商品を販売する行為が不正競争防止法2条1号の不正競争に当たるとして、第2事件被告に対し、不正競争防止法3条に基づき、第2事件被告表示を付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品 及び付属品(以下「原告商品」という。)の製造、輸出、販売、引渡し、販売のための展示の差止め、原告商品の廃棄、ウェブサイトからの第2事件被告表示の削除を求めるとともに、不正競争防止法4条に基づく損害賠償の一部請求として、1000万円及びこれに対する前記行為の後である令和3年7月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損 告表示の削除を求めるとともに、不正競争防止法4条に基づく損害賠償の一部請求として、1000万円及びこれに対する前記行為の後である令和3年7月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払 を求める事案- 4 - 2 前提事実(証拠を掲げていない事実は争いのない事実である。なお、枝番号のある証拠は、特に示さない限り、全ての枝番号を含む。以下同じ。)(1) 当事者等原告は、自転車及び自転車用部品等の輸出、販売等を目的とし、台湾法の下で設立された法人である。 被告は、自転車販売店の経営、外国製自転車、自転車用品及び自転車用部品、付属品の輸入販売代理店業等を目的とする株式会社である。 第2事件被告は、平成30年4月に設立された、自転車販売店の経営等を目的とする株式会社である(乙61)。 (2) 本件商標権 原告は、本件商標の登録商標権者である。本件商標の出願日、登録日、指定商品等は、別紙本件商標権目録各記載のとおりである(甲7、8)。 本件商標は、平成11年頃から、米国カリフォルニア州<以下略>所在の米国法人であるLeaderBike, LLC(以下「旧リーダー社」という。)が自社の自転車(ピストバイクと称される競技用タイプの自転車)に付して使用 してきたものであり、旧リーダー社の創業者であるP1が、我が国において平成24年11月6日に登録出願し、平成25年3月22日に商標登録されたものである。 P1は、平成28年7月26日、旧リーダー社は、同年8月10日、それぞれ米国において米国法(Chapter 7)に基づく破産を申し立て、併合され た両破産事件の管財人(Trustee、以下同事件の管財人を単に「管財人」という。)は、平成29年10月5日、原告に れ米国において米国法(Chapter 7)に基づく破産を申し立て、併合され た両破産事件の管財人(Trustee、以下同事件の管財人を単に「管財人」という。)は、平成29年10月5日、原告に対し、本件商標権を含む米国以外の国及び地域における旧リーダー社及びP1(以下両名を総称して「旧リーダー社等」という。)名義の商標権とそれに関連する事業ののれん(goodwill)、自転車製品の鋳型等を譲渡した(甲23)。 原告は、平成29年10月26日、本件商標権の移転登録を受けた(甲- 5 -7)。 (3) 原告の事業等ア原告は、昭和53年に設立され、旧リーダー社の設立当初から、同社向け自転車、自転車部品等を製造していた業者であり、旧リーダー社は、原告から本件商標を付した自転車等を輸入して自社の製品として米国、欧州、 日本などで販売していた(甲1、弁論の全趣旨)。 イ原告は、平成29年2月21日、管財人との間で、旧リーダー社等の事業に係る在庫製品、コンピューターその他の資産、商標権、のれん、許認可その他の権利利益を原告に譲渡する旨の資産譲渡契約を締結し、米国連邦倒産裁判所の許可を受けて、同年10月5日、本件商標権を含む米国以 外の国及び地域における資産及び権利利益の譲渡を受けた。同日、原告の指示により、原告代表者の息子が代表者であるFirewheelUSA, LLC(現在の商号はLeaderBikesLLC。以下「新リーダー社」という。)は、管財人から、旧リーダー社等の米国における資産及び権利利益の譲渡を受けた(甲23、26)。 ウ原告は、平成29年11月29日、大阪税関長に対し、本件商標権の侵害物品について、関税法69条の13第1項に基づく輸入差止めを申し立てた(甲11)。 エ原告 た(甲23、26)。 ウ原告は、平成29年11月29日、大阪税関長に対し、本件商標権の侵害物品について、関税法69条の13第1項に基づく輸入差止めを申し立てた(甲11)。 エ原告は、平成30年5月28日頃、原告との間で本件商標を付した自転車等の販売代理店契約を締結していた第2事件被告に向けて、本件商標を 付した原告商品を輸出した(甲69)。 原告は、令和元年5月10日、新リーダー社及び第2事件被告と連名で、被告に対し、本件商標の使用を止めるよう求めた(甲14)。 オ原告は、平成30年5月30日、「LEADERBIKES」がやや特徴ある英文字で表記される標章を商標として出願し、同年8月10日その 登録(第6070405号)を受けた(乙6。以下「乙6商標」とい- 6 -う。)。 被告は、特許庁に対し、乙6商標につき無効審判を申し立てたが(無効2019-890049)、同請求は成り立たない旨の審決がされた(甲45)。 (4) 被告の事業等(甲12、13、24、乙2、5、10、14、15、1 8~36)ア P2は、平成21年4月頃から、「JAHLIFE」の屋号で自転車及び関連商品の販売を行っていたが、平成22年7月26日頃から、旧リーダー社から本件商標の付された自転車等を輸入して販売するようになった。 イ被告代表者は、平成23年1月15日、設立準備中の被告 (「BROTURES 」)の「CEO 」として、旧リーダー社との間で、「BROTURES」を日本国内における旧リーダー社が製造する自転車等の独占的な販売店とする販売店契約(以下「本件販売店契約」という。)を締結した(乙15)。 被告は、同年2月25日、設立登記された。 旧リーダー社は、同年10月~11月頃か 転車等の独占的な販売店とする販売店契約(以下「本件販売店契約」という。)を締結した(乙15)。 被告は、同年2月25日、設立登記された。 旧リーダー社は、同年10月~11月頃から、被告に対し、本件商標を付した自転車等を輸出するようになった。 ウ被告は、平成24年頃から、店舗やECサイトにおけるエンドユーザーへの直接販売に加えて、少なくとも19社の自転車販売業者に対して、旧リーダー社から輸入した自転車を卸売するようになった。 エ被告は、平成27年頃に旧リーダー社が倒産状態に陥り、商品の供給が途絶えたため、原告及び新リーダー社以外の第三者から本件商標と類似する被告標章を付した自転車等を輸入して販売するようになった。 オ被告は、平成30年3月5日、輸入しようとした自転車等に本件商標と類似する被告標章が付されており、東京税関大井出張所において輸入して はならない貨物に該当するとされ、そのままでは輸入ができなかったこと- 7 -から、同年4月23日頃までに当該自転車等から被告標章を削除する作業を行った上で、輸入した(甲12、13)。 カ被告は、平成30年12月25日、本田技研工業株式会社が商標権者であった「LEADER」と「リーダー」を二段表記した商標について、指定商品のうち、「自転車並びにそれらの部品及び附属品」に係る権利の譲渡を受 けて、移転登録(登録4129208-2号。以下、「乙5商標」という。)を受けた。 (5) 第2事件被告の事業(乙61、62)第2事件被告は、平成30年4月18日、自転車販売店の経営等を目的として設立された。 第2事件被告は、同年5月28日頃、原告から本件商標を付した原告商品を輸入し、同年8月頃から「LEADERBIKE」の正規輸入代理店とし 、自転車販売店の経営等を目的として設立された。 第2事件被告は、同年5月28日頃、原告から本件商標を付した原告商品を輸入し、同年8月頃から「LEADERBIKE」の正規輸入代理店として日本国内で販売している。 3 争点(第1事件関係) (1) 先使用権(商標法32条1項)が成立するか(争点1(抗弁))(2) 権利濫用該当性(抗弁)ア不当な目的による商標権行使に係る権利濫用該当性(争点2-1)イ商標法4条1項11号を理由とする権利濫用該当性(争点2-2)(3) 商標権侵害に係る損害の発生及び損害額(争点3) (第2事件関係(請求原因))(4) 被告表示の「他人の」商品等表示該当性及び周知性(争点4)(5) 被告表示と第2事件被告表示が類似するか(争点5)(6) 被告表示と第2事件被告表示の混同のおそれ(争点6)(7) 不正競争に係る損害の発生及び損害額(争点7) 4 当事者の主張- 8 -(1) 先使用権が成立するか(争点1)(被告の主張)ア使用の経緯被告代表者は、被告設立前の平成22年頃、米国で人気を獲得していた旧リーダー社の自転車を輸入販売することを企画し、P1と交渉の上、当 時経営に関与していた「JAHLIFE」のP2名義で旧リーダー社から自転車を輸入して販売するようになった。 被告は、平成23年1月15日、旧リーダー社との間で本件販売店契約を締結し、同年2月25日、設立登記を完了し、商号を「JAHLIFE」から現在のものに変更した。本件販売店契約上、日本国内における宣伝広告等 の営業活動に必要な費用や売れなかった場合の損失リスク等の事業リスクは全て被告が負担することが前提とされており、実質的には独占的に購入する権利が付 件販売店契約上、日本国内における宣伝広告等 の営業活動に必要な費用や売れなかった場合の損失リスク等の事業リスクは全て被告が負担することが前提とされており、実質的には独占的に購入する権利が付与された商品売買基本契約と同内容であった。 イ周知性被告は、インターネットを通じた広報活動をするとともに店舗での対面 販売を通じた顧客とのコミュニケーションや知人・友人を通じた口コミ活動等、地道な宣伝広報活動を続け、日本国内における本件商標を付した自転車の認知度は上がり、商品の売上も上がった。平成22年の仕入れ総額は、194万2722円程度であったが、平成23年には5503万5065円に増加した。被告は、平成23年7月30日、フラッグショップと して原宿店をオープンし、販路を拡張した。これらの経緯により、平成23年頃には、日本国内においては、「LEADERBIKE」といえば被告の商品であるものとして、エンドユーザーに認識されるようになっていた。 また、被告は、平成24年頃には、少なくとも19の業者に対して本件商標を付した自転車関連商品を卸売するようになり、国内の自転車販売業 者の間でも、「LEADERBIKE」といえば被告の商品という認識が広がった。 - 9 -これらの事情によれば、被告において本件商標登録出願前から本件商標(被告標章)を使用していた結果、本件商標の登録出願時において、単に輸入品を取り扱う販売代理店という地位ではなく、本件商標を付した自転車関連商品を自らの主力商品として販売する国内事業者という需要者からの認識を獲得しており、本件商標は、被告の販売事業に係る商品を表示す るものとして需要者の間に広く認識されていたといえるから、被告は被告標章について商標法32条1項に基づく先使用権を 需要者からの認識を獲得しており、本件商標は、被告の販売事業に係る商品を表示す るものとして需要者の間に広く認識されていたといえるから、被告は被告標章について商標法32条1項に基づく先使用権を有する。 (原告の主張)被告が日本において本件商標を使用して旧リーダー社の製品を販売していたのは、あくまで旧リーダー社から許可を受けた販売代理店としての行為で ある。旧リーダー社は、平成11年に米国カリフォルニア州で発祥した「LEADER」ブランドのピストバイクの人気メーカーであり、被告が旧リーダー社の販売代理店として商品を販売する際も、「LEADER」ブランドが米国カリフォルニアで発祥したピストバイクブランドであるというブランドストーリーを基礎として、「LEADER」ブランドの商品の出所が被告自身ではなく旧 リーダー社に由来することを示して、旧リーダー社が確立した「LEADER」ブランドのイメージ、信用力及び顧客誘引力を利用して販売活動を行ってきたものである。被告は、旧リーダー社の「LEADER」ブランドの商品を表示するものとして旧リーダー社のために本件商標を表示していたにすぎない。需要者及び取引者に「LEADER」ブランドの商品の出所として認識されていたのは あくまでも旧リーダー社であって、本件商標が被告の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に認識されることはあり得ない。 被告は、多数の海外ブランドのピストバイク等を取り扱うセレクトショップであり、被告の取り扱うブランドの一つが「LEADER」ブランドであるにすぎないから、需要者が認識するのは、被告が「LEADER」ブランドを日本国内 の総代理店として取り扱っているということであり、「LEADER」ブランドが- 10 -被告自身のブランドで すぎないから、需要者が認識するのは、被告が「LEADER」ブランドを日本国内 の総代理店として取り扱っているということであり、「LEADER」ブランドが- 10 -被告自身のブランドであるということではない。 (2) 不当な目的による商標権行使に係る権利濫用該当性(争点2-1)(被告の主張)ア被告の権利の正当性被告は、本件商標が登録出願される以前から、旧リーダー社から 「LEADER」ブランドの商品の販売権を獲得し、平成22年から現在に至るまで本件商標を含む「LEADER」ブランドの商品について広報・販売活動を継続してブランディングを行い、日本国内における「LEADER」ブランドの確立に寄与してきたのであり、本件商標を含む「LEADER」ブランドに関する権利が正当に帰属すべき者である。 旧リーダー社は、米国内においては「LEADER」ブランドの信用力や顧客吸引力を獲得していたとしても、日本においては商品とカタログを出荷しただけであり、日本における営業成果や「LEADER」ブランドに化体する信用は被告にのみ帰属している。 日本でほとんど認知されていなかった「LEADER」ブランドの商品を日本 国内で紹介してその名を広めたのは被告であり、日本の需要者及び取引者は、被告の扱う商品が米国製品ないしカリフォルニア発祥の商品であるという認識は持つとしても、その日本における販売主体は旧リーダー社ではなく、被告であると認識する。 被告は、ピストバイク専門店として知られており、「LEADERBIKE」は、 被告が価値ある商品として提案し、カスタマイズして売り出す主力商品として知られているから、日本の需要者は、「LEADERBIKE」という商品表示を見たとき、旧リーダー社製の商品とし 」は、 被告が価値ある商品として提案し、カスタマイズして売り出す主力商品として知られているから、日本の需要者は、「LEADERBIKE」という商品表示を見たとき、旧リーダー社製の商品として認識するのではなく、被告がカスタマイズして売り出した商品として認識する。 イ原告の不当な目的 原告は、旧リーダー社の破産に乗じて本件商標権を獲得したことを奇貨- 11 -として、被告を排除して被告が確立した日本国内の「LEADER」ブランドを独占的に使用し、類似商品を販売することによって利益を得ようとする不当な目的で本件商標権を行使している。 ウ以上の事情によれば、原告の被告に対する本件商標権の行使は、権利の濫用に当たる。 (原告の主張)ア 「LEADER」ブランドの信用力や顧客吸引力が被告に帰属しないこと被告は、旧リーダー社の販売代理店として「LEADER」ブランドの商品を販売してきた者であり、多数の海外ブランドのピストバイク等を取り扱うピストバイク専門店であって、現在も「LEADERBIKE 総代理店」であると 称しているのであって、「LEADER」ブランドを被告自身のブランドではなく、旧リーダー社のブランドであることを前提に販売活動を行ってきたにすぎない。 被告の販売行為は、「LEADER」ブランドの商品の販売主体として被告自身の業務上の信用を吸引力として販売するものではなく、あくまで旧リー ダー社の「LEADER」ブランドの商品を販売するものにすぎず、需要者及び取引者に「LEADER」ブランドの商品の出所として認識されていたのは旧リーダー社である。 被告は、旧リーダー社の代理店を称している上、広告宣伝においても、「LEADER」ブランドが米国で確立された旧リーダー社の R」ブランドの商品の出所として認識されていたのは旧リーダー社である。 被告は、旧リーダー社の代理店を称している上、広告宣伝においても、「LEADER」ブランドが米国で確立された旧リーダー社のブランドであるこ とを全面的に利用している。 被告は、旧リーダー社と販売店契約を締結して、旧リーダー社の許諾の下で商品の販売を行ってきたにすぎないにもかかわらず、旧リーダー社の倒産後即時に「LEADER」ブランドの商品を無断で製造し始め、販売を継続しているのであり、被告の行為は「LEADER」ブランドの乗っ取り行為であ り、商取引上の信義にもとるものであるというほかなく、かかる被告に- 12 -「LEADER」ブランドの信用が帰属することはない。 イ原告の権利行使が正当であること原告は、旧リーダー社の設立当初から、同社に自転車や自転車部品を供給していた製造業者であり、旧リーダー社等の破産手続きにおいて米国以外の国及び地域における「LEADER」ブランドの資産を正当に承継した者で ある。原告は、旧リーダー社等の破産を受けて、日本を含む世界の市場において旧リーダー社に帰属していた「LEADER」ブランドの自転車の販売を行うべく、一切の資産の譲渡を受けたものであり、被告に対しても、原告から「LEADER」ブランドの商品を購入する意思はないかと打診したが、被告はこれを断り、第三者から輸入した被告標章を付した自転車等の販売を 継続しているばかりか、第2事件被告の取引先に対し、原告商品が「類似品」であるなどと通知し、原告による日本における「LEADER」ブランドの展開を阻止・困難にしようとしている。このような被告に対し、本件商標権を行使することは、本件商標権を含む「LEADER」ブランドに関する資産の譲渡を受け による日本における「LEADER」ブランドの展開を阻止・困難にしようとしている。このような被告に対し、本件商標権を行使することは、本件商標権を含む「LEADER」ブランドに関する資産の譲渡を受けた原告として正当な行為である。 ウ以上の事情によれば、原告の被告に対する本件商標権の行使が権利の濫用に当たることはない。 (3) 商標法4条1項11号を理由とする権利濫用該当性(争点2-2)(被告の主張)本件商標は、その出願前に登録されたテイラー・メイド・ゴルフ・カンパ ニー・インコーポレイテッドの登録商標(登録第4558386号(乙11)。以下「乙11商標」という。)及びトヨタ自動車株式会社の登録商標(登録第2387164号(乙12)以下「乙12商標」という。)に類似しており、かつ、その指定商品にも類似性があることから、商標法4条1項11号に違反して登録されたものであり、無効事由がある。 本件商標は、出願から5年が経過しているため、無効の抗弁そのものを主- 13 -張することはできないが、無効事由が存在するような商標に基づく権利行使は権利の濫用に該当する。 本件商標と乙11商標は、指定商品が同一ではないが、乙11商標の指定商品のうち、第28類「その他の運動用具」は、自転車やその付属品もスポーツ用品店で販売されていることからすれば、本件商標の指定商品に類似す る。また、本件商標と乙11商標は、一見して外観と配色が類似しており、誤認混同のおそれがある。 本件商標と乙12商標は、指定商品が同一であり、いずれも楕円様の枠内にアルファベットの「L」の形が施され、配色も、白と黒の配色を交換して使用されることもあり、称呼も、あえて生じるとすれば「エル」であって、 同一であるから、両者は類似 り、いずれも楕円様の枠内にアルファベットの「L」の形が施され、配色も、白と黒の配色を交換して使用されることもあり、称呼も、あえて生じるとすれば「エル」であって、 同一であるから、両者は類似するというべきであり、誤認混同のおそれもある。 (原告の主張)本件において、被告は無効の抗弁を主張することができないにもかかわらず、本件商標権の行使が権利濫用に当たるとすれば、商標法4条1項11号 の登録障害事由の私益規定に違反してなされた商標登録について、商標使用の安定化・権利関係の安定化のために除斥期間を設けた商標法47条1項の趣旨を没却することになる。商品又は役務の出所の混同防止のためにすでに商標権が設定されている場合にこれと抵触する商標について登録しないという当然の法理を定めた商標法4条1項11号の趣旨に鑑みても、除斥期間経 過後に、先願に係る商標の商標権者ではない被告に対して権利行使を認めることが、客観的に公正な競争秩序の維持等という商標法の目的に反するものではないから、被告の権利濫用の抗弁は失当である。 本件商標が「L」を略逆三角形で囲んだデザインであるのに対し、乙11商標は、「T」からデザインされたと思われる図形を略逆三角形で囲んだデ ザインであり、外観上の印象が大きく異なっている上、乙11商標の商標権- 14 -者はゴルフ用品を扱うメーカーであり、需要者が異なるから、混同のおそれもない。 本件商標が略逆三角形の図形に太く力強い線でやや左寄りに略逆三角形の図形と間隔なく「L」の文字が配置されているのに対し、乙12商標は、楕円形の図形に楕円形と同じ太さ・丸みをもった統一的なデザインの線でやや 右寄りに左下に間隔をあけて「L」の文字が配置されているという外観の相違があるから類似しない。 るのに対し、乙12商標は、楕円形の図形に楕円形と同じ太さ・丸みをもった統一的なデザインの線でやや 右寄りに左下に間隔をあけて「L」の文字が配置されているという外観の相違があるから類似しない。 (4) 商標権侵害に係る損害の発生及び損害額(争点3)(原告の主張)ア商標法38条2項の適用について 原告は、第2事件被告を通じて、日本国内において、本件商標を付した自転車、自転車フレームその他自転車の部品及び附属品を販売している。 第2事件被告が日本国内において本件商標を付した原告商品の販売を開始したのは、平成30年8月頃であるが、原告は、遅くとも同年5月には第2事件被告の注文を受けて本件商標を付した原告商品を第2事件被告に 向けて輸出した。したがって、原告は、遅くとも同月から日本国内市場に向けた商品の販売を開始していたのであり、同月以降は原被告間に競業関係が成立しており、侵害者の侵害行為による商標権者の損害の発生という商標法38条2項の適用の前提が満たされたというべきである。したがって、本件における商標法38条2項の適用は、遅くとも同月からの被告が 受けた利益に対してされるべきである。 イ損害額について●(省略)●(オ) 商標法38条2項及び3項の重畳適用(予備的主張)仮に、被告による非競業期間、営業努力又は被告標章以外の商標による 売上貢献の主張により商標法38条2項の推定が覆滅され損害額が減額さ- 15 -れるとしても、当該減額分の侵害態様も無許諾の商標使用であることに変わりはない以上、原告には、なお侵害者から得べかりし実施料の損失という損害は残る。 したがって、商標法38条2項の主張に基づく損害のうち推定が覆滅された部分については、同条3項の重畳適用が認めら りはない以上、原告には、なお侵害者から得べかりし実施料の損失という損害は残る。 したがって、商標法38条2項の主張に基づく損害のうち推定が覆滅された部分については、同条3項の重畳適用が認められるべきであり、本件 における実施料相当額の料率は、前記(エ)のとおり20%である。 ウ被告の主張について(ア) 販売数及び売上額被告は、平成30年5月9日時点において、直営店で被告標章を付した商品を多数販売しており、ウェブサイトにおいても被告標章が付された商 品の写真が掲載され続けており、平成30年3月5日に被告標章を付した商品を輸入しようとして税関に差止められていることからすれば、被告の主張する新ロゴへの変更は信用できない。 被告は、平成29年10月26日以降に被告が販売した被告標章を付した商品の販売数が286セットであったと主張し、後にこれを撤回したが、 撤回は許されない。また、損害論の審理開始から半年以上経過した弁論終結間際となって被告が新証拠を持ち出して従前の主張を撤回することは、訴訟の完結を遅延させるものであることが明らかであり、当該新証拠は、いずれも前に提出することができたものであり、民訴法156条の適切な時期から後れたことに合理的理由がなく、弁護士による訴訟追行であるこ とも考慮すれば、故意又は重大な過失があるから、民訴法157条1項により却下されるべきである。 被告がメールでロゴの変更を指示したという証拠(乙94)は、ロゴのデザイン業者が工場に指示するという不自然なものであり、「Kagero」シリーズのヘッドバッジが変更され得ることが推認されるのみであり、他の 商品や他の箇所については、変更されていない可能性があり、現実に、ヘ- 16 -ッドチューブのロゴが変更されて ro」シリーズのヘッドバッジが変更され得ることが推認されるのみであり、他の 商品や他の箇所については、変更されていない可能性があり、現実に、ヘ- 16 -ッドチューブのロゴが変更されているが、サドルの下部やフロントフォーク部分には被告標章が付されている商品(甲60)が存在する。同様に他のメール(乙96)も不自然であり、使用禁止の対象となる対象が被告標章であることが明示されていない。 被告は、倉庫に保管している商品のうち75台が売買成約済みであると するが、エンドユーザーへの販売においては受注から発送まで3週間ないし1か月のタイムラグが生じることを理由とする単なる想像であり、被告自身がブログ(甲71)において受注から発送まで通常1週間であり、即日納車の場合もあることを記載している事実に反する上、仮に原告が本件商標権を取得する以前に売買契約が成立していても、引渡しがそれ以降に 行われていれば商標権侵害に当たる。 (イ) 利益額被告は、完成車として販売した商品も含めて全てをフレームセットとして販売したものと仮定して、被告が得た利益を計算すべきと主張するが、被告標章を付した完成車を輸入してそのまま完成車として販売している以 上、被告による侵害行為は被告標章を付した完成車の販売であり、完成車については完成車全体の売上額を基礎にして利益を計算すべきである。 被告は、仕入れ代金相当額について証拠(乙86、88)を提出しているが、全て外国語で表記されており、各項目が何を示すものか不明であり、金額の単位も「$」であり、いかなる通貨が基準になっているか、どのよ うにして日本円に換算したかが不明であるから、客観的証拠が示されていないに等しい。 輸入経費についても、具体的な内容が不明であり、当該輸入 あり、いかなる通貨が基準になっているか、どのよ うにして日本円に換算したかが不明であるから、客観的証拠が示されていないに等しい。 輸入経費についても、具体的な内容が不明であり、当該輸入経費が被告標章を付した商品を販売するに際して直接関連して追加的に必要となる費用であることが立証されていない。 配送料及び保管料については、単なる見積書(乙90)があるのみで、- 17 -当該金額が実際に支出されたことが示されておらず、具体的内容も不明であるので、売上高から控除されるべき経費に該当しない。 (ウ) 推定覆滅事由被告は、被告標章を付した商品の売上は、被告の営業努力と「LEADER」の文字商標の顧客誘引力によるものであると主張するが、本件商標と同一 である被告標章は、旧リーダー社の商品であることを示す標章として需要者の間で認識されており、被告標章単体でも十分な出所識別機能を備え、顧客誘引力を有している。被告自身やピストバイクを取り扱う事業者のインターネット上の記事において、被告標章が旧リーダー社の商品であることを示し、顧客誘引力を有することが示されており、被告は、期間限定で 被告標章をアレンジしたステッカーを顧客に配布したこともある。 (被告の主張)ア商標法38条2項について被告は、原告が日本国内での商品の販売を開始した平成30年8月の時点では、以下のとおり、被告標章を付した商品の販売を終了しており、市 場における事業の競合は発生していないので、商標法38条2項の推定の基礎を欠く。 (ア) 被告は、平成29年7月頃、新しいロゴデザインの制作を業者に発注し、同月9日、4通りのロゴデザインが提示されたところ、被告は検討の上、新デザイン(LB ロゴ)を決定し、同月17日、デザイン業 (ア) 被告は、平成29年7月頃、新しいロゴデザインの制作を業者に発注し、同月9日、4通りのロゴデザインが提示されたところ、被告は検討の上、新デザイン(LB ロゴ)を決定し、同月17日、デザイン業者から海 外のLEADER 商品製造工場に対し、今後被告標章を使用しないように指示し、同月22日、デザイン業者から工場に対し、LB ロゴへの変更を指示した。 (イ) 被告は、平成29年10月23日に輸入した商品を同月27日にブログで紹介しているが、これにはLB ロゴが使用されており、同日に輸入し た商品は製造工場の同一ラインで同じロゴを付して製造しているから、同- 18 -月23日に輸入した商品にはLB ロゴが付されている。同様に同年11月22日に輸入した商品も同年12月1日にブログで紹介しているとおり、LB ロゴが使用されている。被告は、同年末から平成30年初に「KAGERO」という商品名のLEADERBIKE2018年モデルの販売を開始しているが、これにもLB ロゴが付されている。 (ウ) 平成30年3月5日に税関で差止められたのは、海外のLEADER 商品製造工場のミスでチェーンステー部分のみ被告標章が付された状態で出荷されてしまったというイレギュラーな事象である。 (エ) 原告が指摘するブログ(甲46~60)で紹介した商品は、平成29年モデルの売れ残りをセールに出したものや、再塗装や部品の組み替えを して限定販売したものを紹介したものであり、平成29年10月26日から平成30年12月末日までの売り上げのほとんどはLB ロゴを付した商品を販売したことによるものであって、被告標章を付した商品の販売数は、最大で下記イ(ア)の174台である。 イ商標法38条2項に基づく損害額について ●(省略)● はLB ロゴを付した商品を販売したことによるものであって、被告標章を付した商品の販売数は、最大で下記イ(ア)の174台である。 イ商標法38条2項に基づく損害額について ●(省略)●被告は、雑誌媒体やブログ、SNSを通じた地道な広報活動、イベント開催、多店舗展開を通じた市場開発努力、商品のカスタマイズに関する提案力と技術力に裏打ちされた販売力等の営業努力により、ピストバイクの専門店として認知されている。 「LEADER」ブランドの商品は、太めのアルミ製で三角形の形状のトライアングルフレームの一辺に「LEADER」という太いゴシック体で記された標章のもつ出所識別機能によって需要者に識別されており、これと切り離された被告標章単体では出所識別機能はなく、顧客吸引力がない。 ●(省略)● (5) 被告表示の「他人の」商品等表示該当性及び周知性(争点4)- 19 -(被告の主張)被告表示は、本件商標と同一である被告標章と「LEADER」の文字標章からなるものであるところ、前記(1)(被告の主張)イのとおり、本件商標の登録出願前から被告標章を使用していた結果、本件商標の登録出願時において、被告標章が被告の販売事業に係る商品を表示するものとして需要 者の間に広く認識されていた。同様に、被告は、「LEADER」の文字標章も使用しており、やはり、被告の商品を表示する標章として、需要者に広く認識されていた。その後も、被告は、日本国内において「LEADERBIKE」の販売実績を積み重ね、平成28年~●(省略)●平成27年頃、旧リーダー社が倒産状態に陥り、被告に商品供給ができ なくなった後は、被告が発注主体となって海外の工場に製造指示を出して商品を製造し、これを輸入して販売してい ●(省略)●平成27年頃、旧リーダー社が倒産状態に陥り、被告に商品供給ができ なくなった後は、被告が発注主体となって海外の工場に製造指示を出して商品を製造し、これを輸入して販売している。仮に被告表示に対する需要者からの信用が旧リーダー社に向けられていたのであれば、旧リーダー社が倒産したことにより信用が失墜し商品も売れなくなるはずであるが、「LEADERBIKE」が変わらず売れ続けているのは、「LEADERBIKE」が被告 の商品として需要者から認識され、信用を獲得していることの証左である。 ピストバイクは、変速ギアのないシングルギアであり、かつ、固定ギアでブレーキがないことを特徴とする競技用の自転車であり、その魅力はデザイン性の高さにあり、主に20代~40代の男性でストリート系のデザインを志向し、おしゃれなアイテムを欲する特定の層をターゲットにした ニッチな商材であるところ、需要者は日本国内に点在しており、日本国内で「LEADERBIKE」を製造販売しているのは被告だけであり、日本国内で「LEADERBIKE」を購入した者は全て被告の「LEADERBIKE」を購入したことになる。加えて、被告の卸売先も日本全国に散らばっているため、被告表示は、日本全国に点在しているピストバイクの需要者から広く認識され ている。 - 20 -被告は、旧リーダー社が米国で行っていたようにフレームを販売するのではなく、完成車を販売し、元来のピストバイクにはないブレーキを取り付け、日本人向けのサイズやデザインを企画設計し、旧リーダー社を介して詳細な製造指示を工場に対して行うなど、米国仕様の商品を日本人に受け入れられるように改良したオリジナル商品を販売していたのであり、被 告は、ただの輸入販売代理店で 画設計し、旧リーダー社を介して詳細な製造指示を工場に対して行うなど、米国仕様の商品を日本人に受け入れられるように改良したオリジナル商品を販売していたのであり、被 告は、ただの輸入販売代理店ではなく、「LEADERBIKE」という米国ブランドを利用しつつ、自ら主体的に商品を製造販売してきた。また、被告は、年に2~3回は中国又は台湾の製造工場を訪れて商品のクオリティチェックを行い、販売して引き渡した商品に不具合が発生した際も被告が対応し、商品の品質管理や品質保証を行う主体でもあった。 以上によれば、被告表示は、ストリート系のファッション志向でピストバイクというニッチな商品を欲する特定の需要者の間では、ピストバイク専門店たる被告の主力商品として広く認識されている。 他方で、旧リーダー社は、被告のオーダーに従って商品を中国の工場から供給していたにすぎず、日本国内における販売活動は全て被告が主体的 かつ独占的に行ってきたのであり、旧リーダー社は日本国内においては商品等表示の主体として認知されていない。 また、被告は、ピストバイクの取扱業者から、被告表示のライセンスを受けて商品開発を行っている業者であるとの認識を得るに至っており、被告と旧リーダー社は、被告表示を利用して日本国内における商品化を目指 したグループと評価でき、旧リーダー社の倒産後は、商品化グループの成果を引き継いで国内販売を継続したことにより、日本国内においては被告表示は被告の商品であることを示す商品等表示として周知されるに至ったという評価が可能である。 (第2事件被告の主張) 前記(1)(原告の主張)のとおり、本件商標と同一である被告標章は旧- 21 -リーダー社の商品を表示する標章であり、被告の商品を表示する標章では ある。 (第2事件被告の主張) 前記(1)(原告の主張)のとおり、本件商標と同一である被告標章は旧- 21 -リーダー社の商品を表示する標章であり、被告の商品を表示する標章ではない。同様に、「LEADER」の文字標章も旧リーダー社の商品を表示する標章である。被告表示は、旧リーダー社の破産手続の中で、原告が米国以外の国及び地域における旧リーダー社の商標やのれん等の資産の譲渡を受けたことにより、原告の商品を表示する標章となっている。 原告が旧リーダー社から指示を受けて被告に納入した商品は、全て旧リーダー社の規格品であり、被告が商品の企画設計を行っていた事実はない。 ブレーキを取り付ける仕様の変更は、旧リーダー社がイギリス、スペイン、香港、台湾及び韓国向けに販売していた商品も同様であって、被告独自のものではないし、ヘッドチューブの本件商標をシールからエンボス加工に 変更したのも旧リーダー社の決定であり、原告がこれを受けてエンボス加工の本件商標を付したヘッドチューブを製造することができる工場に製造を委託したものである。 被告は、旧リーダー社と同一の商品化事業を営むグループと評価できると主張するが、被告は、代理店であることを表示し、多数のピストバイク ブランドを取り扱うセレクトショップであるから、旧リーダー社とともに一つの営業主体のごとく機能するグループの一員とはいえない上、旧リーダー社の倒産後は旧リーダー社及び原告と無関係に被告表示を付した商品を販売しているからなおさらグループとはいえず、被告表示は、旧リーダー社や旧リーダー社から商標やのれん等の資産を承継取得した原告との関 係で、「他人の商品等表示」とはいえない。 (6) 被告表示と第2事件被告表示が類似するか(争点5)(被告の主張) ーダー社や旧リーダー社から商標やのれん等の資産を承継取得した原告との関 係で、「他人の商品等表示」とはいえない。 (6) 被告表示と第2事件被告表示が類似するか(争点5)(被告の主張)被告表示のうち「LEADER 」の文字標章と第2事件被告表示のうち「LEADERBIKES」の文字標章は、「BIKES(=自転車)」という一般名詞が追 加されているか否かの違いにすぎない。「LEADERBIKES」が等間隔で記され- 22 -ているとしても、特に独創性を持った造語ではなく、「LEADER 」と「BIKES」という2つの単語が併記された標章であることは一見して明らかであり、その主要部分である「LEADER」部分において両標章は外観および称呼が一致している。 また、「LEADERBIKES 」の標章からは、先導者や指導者を意味する 「LEADER」という名前を冠したバイク(自転車)という観念が発生する。被告の「LEADER」という標章も同様に先導者や指導者を意味する「LEADER」という名前を冠した自転車という観念が発生するから、両標章は類似している。 (第2事件被告の主張)第2事件被告表示のうち「LEADERBIKES」の文字標章は、同じ書体で同じ 大きさで等間隔に「LEADERBIKES」の文字を書してなり、ややデザイン化された特殊な書体で一連一体にまとまり良く配置されているから、一連一体の標章であり、外観、称呼において被告表示の「LEADER」標章と相違する。観念においても、「LEADER」標章は、先導者、指導者等の観念を生じるが、「LEADERBIKES」標章は、造語であって特定の観念を生じないから、相違す る。 (7) 被告表示と第2事件被告表示の混同のおそれ(争点6)( は、先導者、指導者等の観念を生じるが、「LEADERBIKES」標章は、造語であって特定の観念を生じないから、相違す る。 (7) 被告表示と第2事件被告表示の混同のおそれ(争点6)(被告の主張)被告表示と第2事件被告表示は、類似しているのみならず、その標章が付されている商品の形状や規格を表す表記も酷似していることから、需要者に よる混同のおそれは高い。 (第2事件被告の主張) 被告表示のうち「LEADER 」標章と第2事件被告表示のうち「LEADERBIKES」標章は、明らかに非類似であって、混同のおそれはない。 (8) 不正競争に係る損害の発生及び損害額(争点7) (被告の主張)- 23 -第2事件被告の商品の売り上げが被告の5分の1程度と見積もったとしても、その年間売り上げは3000万円を下ることはない。第2事件被告の平成30年8月以降の売上額は、少なくとも1億円であり、そのうち利益が3割程度と見積もると、第2事件被告は、3000万円以上の利益を得ている。 そうすると、不正競争防止法5条2項により推定される損害額は、300 0万円である。 また、弁護士費用相当額は、300万円である。 したがって、第2事件被告の不正競争により原告が被った損害額は、3300万円である。 (第2事件被告の主張) 争う。 第3 当裁判所の判断 1 先使用権の成否(争点1)について(1) 前記前提事実及び証拠(乙1、10、14~36、52、53、弁論の全趣旨)によれば、以下の事実が認められる。 ア被告標章使用の経緯P2は、平成21年4月頃から、「JAHLIFE」の屋号で、旧リーダー社以外のメーカーの自転車及び関連商品を販売していたところ、平成 以下の事実が認められる。 ア被告標章使用の経緯P2は、平成21年4月頃から、「JAHLIFE」の屋号で、旧リーダー社以外のメーカーの自転車及び関連商品を販売していたところ、平成22年7月26日頃から、旧リーダー社から本件商標の付された自転車を輸入して、他のメーカーの自転車とともに販売するようになった。 被告代表者は、平成23年1月15日、旧リーダー社との間で、本件販売店契約を締結し、被告は、同年10月~11月頃から、旧リーダー社から本件商標(被告標章)の付された自転車を輸入するようになった。 被告は、同年2月25日に設立された後、「JAHLIFE」の店舗(横浜店)を被告の店舗として利用し、同年7月30日には原宿店を新設し、引 き続き旧リーダー社の商品と他のメーカーの商品を販売した。 - 24 -被告は、平成24年1月から11月にかけ、19の自転車販売業者に対して、本件商標が付された旧リーダー社の商品を卸売販売した。P2及び被告は、平成22年7月26日頃から平成23年12月9日頃までの間に、70万米ドルを超える仕入れ代金相当の本件商標が付された旧リーダー社の商品を輸入し、被告は、平成24年2月16日頃から同年8月30 日頃までの間に、39万米ドルを超える仕入れ代金相当の本件商標が付された旧リーダー社の商品を輸入し、それぞれ日本国内で販売した。 イ本件代理店契約の内容本件代理店契約は、被告を、旧リーダー社が製造する自転車、部品、付属品等について、日本国内における独占的な販売店とするものとされてい る一方、旧リーダー社が商品を製造して被告に供給し、独断で商品の設計変更や製造中止を行えるものとされ、被告が独自に旧リーダー社の商品の設計変更や製造を行う権利や旧リーダー社 るものとされてい る一方、旧リーダー社が商品を製造して被告に供給し、独断で商品の設計変更や製造中止を行えるものとされ、被告が独自に旧リーダー社の商品の設計変更や製造を行う権利や旧リーダー社を介さずに商品を輸入する権利は認められていなかった。 また、被告は、旧リーダー社の商品の品質を検査する権利を有し、品質 基準に満たない場合には旧リーダー社から補償を受けられることとされ、旧リーダー社は、被告に対し、本件代理店契約の有効期間中は、日本国内において、販売及び販売促進のために、旧リーダー社が登録した商標を使用することができ、被告が当該商標を使用するにあたっては、旧リーダー社から当該商標の付されたカタログ、ポスター等のサンプル資料の提供 を受けることができるとされていた。 ウ被告標章の使用態様旧リーダー社は、原告に商品を製造させるに際して、本件商標を付させ、被告に輸出していた。旧リーダー社の商品は、ピストバイクと称される固定ギアの競技用タイプの自転車及びその関連商品であり、被告におけ る完成車の小売価格は10万円を下らないものであった。 - 25 -平成23年頃に被告が使用していたカタログは、旧リーダー社が作成した英文のもの(乙1)であり、被告に関する記載はなく、平成24年についても、商品紹介に旧リーダー社の「LEADERBIKEUSA 2012 CATALOG」が使用されていた。 平成24年11月頃までの間に、被告がインターネットのブログ上で行 った宣伝広告においては、本件商標(被告標章)の付された旧リーダー社の製造に係る商品については「LEADERBIKE」と称し、当該商品の製造元は米国<以下略>に本社があるとし、被告は、その日本総代理店であるとしていた。また、被告は、旧 標章)の付された旧リーダー社の製造に係る商品については「LEADERBIKE」と称し、当該商品の製造元は米国<以下略>に本社があるとし、被告は、その日本総代理店であるとしていた。また、被告は、旧リーダー社製商品とそれ以外のメーカー製のパーツを、各メーカーの標章が付されたままの状態で組み合わせた商品をオ リジナルカスタムと称していた。 エ被告の業態平成22年2月に開設された被告の横浜店のツイッターアカウントにおける投稿では、被告は、自転車の販売、整備、修理を行う店舗であり、LEADER、DOSNOVENTA を始め国内では手に入りにくいピストバイクのセレク トショップであること、カスタムオーダーができることを表示しており、平成23年7月に開設された被告の原宿店のツイッターでは、被告は、LeaderBike、Cinelli、Dosnoventa といったブランドを中心としたコンセプトショップであり、世界に1台の自転車を提案することを表示していた。 (2) 本件商標の需要者は、自転車を購入しようとする一般消費者であるが、ピストバイクという専門性の高い自転車であって、それなりに高額な商品であることを踏まえると、趣味・嗜好性に重点を置いて自転車を購入する者が主な需要者といえる。そのような需要者は日本全国に存在すると考えられ、被告もインターネットを通じて日本全国の需要者に向けて営業活動をしてい たものと認められるから、被告標章が需要者の間に広く認識されていたとい- 26 -うには、被告標章が日本全国において周知であることを要するというべきである。 そして、前記(1)アのとおり、P2及び被告の輸入量は、一自転車店の扱う嗜好品としての自転車としてはそれなりに多数であって、本件商標出願前に、日本国内 知であることを要するというべきである。 そして、前記(1)アのとおり、P2及び被告の輸入量は、一自転車店の扱う嗜好品としての自転車としてはそれなりに多数であって、本件商標出願前に、日本国内で被告標章が付された自転車が多数販売されたということがで きる。 しかしながら、本件商標登録出願日時点の被告の店舗数は少なく、卸売先を含めても、日本全国を網羅しているとはいえない。そして、本件商標登録出願前の被告標章を付した被告の宣伝広告は、各店舗の広告のほか、被告自身のブログやツイッターアカウントでの投稿等にとどまり、被告標章が広く 需要者に知られていたことを認めるには足りない。被告は、店舗での対面販売を通じた顧客とのコミュニケーションや口コミ活動等の地道な宣伝活動により被告標章が需要者に広く知られるに至ったと主張するが、被告の直営店舗数は少なく、全国の需要者が被告の店舗を訪問したとは考え難く、いわゆる口コミ活動の影響力が全国の需要者に及んだことを示す客観的な証拠もな いから、採用することはできない。 そうすると、被告標章は、本件商標登録出願前に、日本全国の需要者において広く認識されていたと認めるには足りない。 (3) また、前記(1)のとおり、本件商標登録出願前において、本件商標は、旧リーダー社が原告に自転車を製造させるに際して付したものであり、被告が 独自に自転車及び関連商品に被告標章を付して販売していたものではない。 そして、被告が本件商標を付した旧リーダー社の商品を需要者に紹介するにあたっては、被告に関する記載のない旧リーダー社が作成したカタログが用いられ、需要者に対し、旧リーダー社は米国に本社を置く自転車メーカーであることが示されていた。前記(2)のとおり、本件商標を付した商品は、 高 する記載のない旧リーダー社が作成したカタログが用いられ、需要者に対し、旧リーダー社は米国に本社を置く自転車メーカーであることが示されていた。前記(2)のとおり、本件商標を付した商品は、 高額な嗜好性の高い需要が主であり、ブランドイメージが重視されることか- 27 -ら、被告においても、本件商標を付した商品が米国のブランドであることを積極的に表示していたものである。 さらに、P2及び被告は、被告横浜店が「JAHLIFE」の屋号であった時期を含めて、旧リーダー社以外の海外メーカーのピストバイクも販売しており、海外メーカー製の輸入ピストバイクのセレクトショップとして、各メー カーの標章が付された正規品の完成車やパーツを販売していたほか、各メーカーの標章が付されたパーツを組み合わせた自転車をオリジナルカスタムと称して販売しており、これを需要者に宣伝していた。被告は、直営店舗で小売りするのみならず、本件商標が付された旧リーダー社の商品を日本国内の他の自転車販売店に卸売りしており、本件商標が付された旧リーダー社の商 品は、日本国内において、被告の店舗以外でも販売されていた。 これらの事情によれば、本件商標登録出願の際、需要者において、本件商標は旧リーダー社によって付された旧リーダー社の商品を表示するものとしてのみ認識されていたものと認められ、これに加えて、セレクトショップを称し、旧リーダー社の商品と競合メーカーの商品を販売し、各メーカーの標 章に手を加えずにパーツを組み合わせた商品をも販売していた被告の業務に係る商品あるいは被告の自転車販売業務を表示するものとして認識されていたとは認められない。 被告は、需要者から、「LEADERBIKE」といえば被告の商品であり、本件商標を付した自転車関連商品を主 品あるいは被告の自転車販売業務を表示するものとして認識されていたとは認められない。 被告は、需要者から、「LEADERBIKE」といえば被告の商品であり、本件商標を付した自転車関連商品を主力商品として販売する国内事業者という認 識を獲得したと主張する。しかし、前記(1)の認定事実からすれば、需要者において被告が独自に旧リーダー社の商品ではない商品に本件商標を付していると認識する余地はなく、被告において異なるメーカーの標章が付されたパーツを独自に組み合わせた自転車は、本件商標のみが付された旧リーダー社の正規品とは明らかに区別されるものであって、被告が旧リーダー社の商 品を主力として販売する自転車販売店として需要者に認識されたとしても、- 28 -需要者に生ずる認識は、被告は本件商標が付された旧リーダー社の商品を含む複数の海外メーカーのピストバイクを販売する自転車販売店であるというにとどまり、需要者が本件商標を被告の商品ないし販売事業を表示するものとして認識していたことにはならないことは明らかである。被告の主張はそれ自体失当である。 なお、被告の取引先業者の陳述書(乙60、63)には、被告の商品を扱う取引先は、「LEADERBIKE」は被告が旧リーダー社からライセンスを受けて商品企画、製造、販売を全て担っている商品と認識していた旨の記載があるが、本件代理店契約に明らかに反する上、被告すら旧リーダー社を介して工場に指示をしていたと主張しており、客観的にも、被告において、被告標 章を付した商品が旧リーダー社の関与なく被告の独自の企画により中国で製造された商品であることを需要者に知らしめていたことを認めるに足りる証拠はないから、到底採用の限りでない。 (4) 以上によれば、本件商標の登録出願日時点に の関与なく被告の独自の企画により中国で製造された商品であることを需要者に知らしめていたことを認めるに足りる証拠はないから、到底採用の限りでない。 (4) 以上によれば、本件商標の登録出願日時点において、被告標章が商標法32条1項にいう自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要 者の間に広く認識されていた標章であったとは認められず、先使用権を主張する旨の被告の抗弁は、理由がない。 2 不当な目的による商標権行使に係る権利濫用該当性(争点2-1)について(1) 被告は、平成22年から現在まで本件商標を含む「LEADER」ブランドの商品について広報・販売活動を継続し、日本国内における「LEADER」ブラン ドの確立に寄与した一方、旧リーダー社は、商品とカタログを出荷しただけであり、日本における営業成果や「LEADER」ブランドに化体する信用は被告にのみ帰属しているから、本件商標を含む「LEADER」ブランドに関する権利が正当に帰属すべき者であると主張する。 しかしながら、前記1(1)のとおり、旧リーダー社との契約上、被告には 商品に独自に本件商標を付す権利はなく、本件商標の登録出願当時、本件商- 29 -標の付された商品は旧リーダー社の商品として宣伝され、需要者においても、本件商標は旧リーダー社が自社の商品であることを表示するものとして付したものであると認識していたのであり、証拠(甲16~22)及び弁論の全趣旨によれば、平成27年頃に旧リーダー社が倒産状態に陥り、商品の供給が途絶えた後は、被告において独自に被告標章を付した商品を旧リーダ ー社製であるかのように装っていたことが認められるから、被告標章に化体する信用は、旧リーダー社に帰属するものであり、「LEADER」ブランドの確立に被告が貢献し 被告標章を付した商品を旧リーダ ー社製であるかのように装っていたことが認められるから、被告標章に化体する信用は、旧リーダー社に帰属するものであり、「LEADER」ブランドの確立に被告が貢献したからといって、本件商標権や「LEADER」ブランドに関する権利が被告に帰属すべきものになるということはできない。 被告は、本件商標を見た日本の需要者及び取引者は、被告の扱う商品が米 国製品ないしカリフォルニア発祥の製品であるという認識を持つとしても、日本における販売主体は被告であると認識すると主張するが、前記(1)のとおり、需要者は、本件商標が付された商品を単に米国製品ないしカリフォルニア発祥の製品と認識するのではなく、旧リーダー社の商品と認識するのであって、被告の販売する商品は旧リーダー社の商品以外の海外メーカーの商 品もあり、旧リーダー社の商品は被告の卸売先の自転車店でも販売されていたのであるから、本件商標を見た需要者が日本における被告の商品あるいは販売活動を表示する商標であると認識するとはおよそ考え難い。 さらに、被告は、「LEADERBIKE」はピストバイク専門店である被告が提案し、カスタマイズして売り出す商品として知られていると主張するが、前 記1(1)のとおり、被告は、本件商標を付した部品を他のメーカーの標章を付した部品と組み合わせて完成車として販売する場合には、(オリジナル)カスタム商品として販売しているのであり、被告が独自にカスタマイズした他メーカーの商品を「LEADERBIKE」と称して販売しているわけではないから、需要者において、本件商標が被告においてカスタマイズして販売する商 品であることを表示する商標であると認識するとは認められない。 - 30 -しかも、証拠(甲4、35 けではないから、需要者において、本件商標が被告においてカスタマイズして販売する商 品であることを表示する商標であると認識するとは認められない。 - 30 -しかも、証拠(甲4、35~44)によれば、被告は、平成27年頃から、被告が独自に海外工場に製造させて輸入販売する「LEADERBIKE」が旧リーダー社製であるかのように装うばかりでなく、「正規代理店」を称して旧リーダー社との本件販売店契約が存続しているかのように装っていたことが認められ、原告が製造した旧リーダー社の正規品と酷似した類似商品を旧 リーダー社や原告ないし新リーダー社の許諾なく製造し無断で被告標章を付して販売し続けた結果、そのような情を知らない需要者において被告標章が旧リーダー社の商品を表示するものと認識され続けているにすぎないから、到底、被告が本件商標を含む「LEADER」ブランドに関する権利が正当に帰属すべき者であるとはいえない。 (2) また、被告は、原告が旧リーダー社の破産に乗じて本件商標権を獲得したことを奇貨として、被告を排除して被告が確立した日本国内の「LEADER」ブランドを独占的に使用し類似商品を販売することによって利益を得ようとする不当な目的で本件商標権を行使していると主張する。 しかしながら、前記前提事実のとおり、原告は、旧リーダー社の商品の製 造元であったのであり、本件商標権や旧リーダー社の商品のブランド力を利用して自己の製造する商品の販売を継続するために、旧リーダー社等の破産手続において管財人を通じて米国の裁判所の許可を受けて本件商標権等を取得することは、何ら不当であるとはいえない。また、前記(1)のとおり、被告は、原告が本件商標権を取得する以前から、旧リーダー社の商品ではな く、旧リーダー社に無断 許可を受けて本件商標権等を取得することは、何ら不当であるとはいえない。また、前記(1)のとおり、被告は、原告が本件商標権を取得する以前から、旧リーダー社の商品ではな く、旧リーダー社に無断で被告標章を付した類似商品を販売し続けており、証拠(甲25)によれば、原告が本件商標権の移転登録を受けた後も、第2事件被告の取引先に対し、被告が「LEADERBIKES」製品の輸入総代理店であると称して通知書を送付しており、需要者をして被告の販売する被告標章を付した商品が商標権者の許諾を受けた商品であるかのように誤認させる行動 をしているとの状況のもとでは、原告が被告に対し、本件商標権を行使する- 31 -ことは、むしろ商標法の趣旨に即した正当な目的に基づくものといえる。 (3) 以上によれば、原告の被告に対する本件商標権の行使が、権利が正当に帰属すべき者に対する不当な目的による権利行使として権利濫用に当たるとはいえない。 3 商標法4条1項11号を理由とする権利濫用該当性(争点2-2)について (1) 本件商標は、商標権の設定登録の日から、被告が本件訴訟において商標法4条1項11号該当性の主張をするまでに、同号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま5年を経過している。 商標法47条1項は、商標登録が同法4条1項11号の規定に違反してされたときは、商標権の設定登録の日から5年の除斥期間を経過した後はその 商標登録についての無効審判を請求することができない旨を定めており、その趣旨は、同号の規定に違反する商標登録は無効とされるべきものであるが、商標登録の無効審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは、商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために、商標登録の有効性を争い得ない 録は無効とされるべきものであるが、商標登録の無効審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは、商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために、商標登録の有効性を争い得ないものとしたことにあると解される(最高裁平 成15年(行ヒ)第353号同17年7月11日第二小法廷判決・裁判集民事217号317頁参照)。そして、商標法39条において準用される特許法104条の3第1項の規定(以下「本件規定」という。)によれば、商標権侵害訴訟において、商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、商標権者は相手方に対しその権利を行使することができな いとされているところ、上記のとおり商標権の設定登録の日から5年を経過した後は商標法47条1項の規定により同法4条1項11号該当を理由とする商標登録の無効審判を請求することができないのであるから、この無効審判が請求されないまま上記の期間を経過した後に商標権侵害訴訟の相手方が商標登録の無効理由の存在を主張しても、同訴訟において商標登録が無効審 判により無効にされるべきものと認める余地はない。また、上記の期間経過- 32 -後であっても商標権侵害訴訟において商標法4条1項11号該当を理由として本件規定に係る抗弁を主張し得ることとすると、商標権者は、商標権侵害訴訟を提起しても、相手方からそのような抗弁を主張されることによって自らの権利を行使することができなくなり、商標登録がされたことによる既存の継続的な状態を保護するものとした同法47条1項の上記趣旨が没却され ることとなる。 そうすると、商標法4条1項11号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては、商標権侵害訴訟の相手方は、その ることとなる。 そうすると、商標法4条1項11号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては、商標権侵害訴訟の相手方は、その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって、本件規定に係る抗弁を主張することが 許されないと解するのが相当である(最高裁平成27年(受)第1876号同29年2月28日第三小法廷判決・民集71巻2号221頁参照)。 同様に、上記の期間経過後であっても商標権侵害訴訟において、登録商標が同号に該当するものとして何人に対しても商標の使用の差止め等を求めることが権利の濫用に当たり許されないものと解すると、同法47条1項の趣 旨が没却されることになるから、同法4条1項11号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては、商標権侵害訴訟の相手方が同項11号該当性に係る「他人の登録商標」の商標権者であるなどの特段の事情がない限り、その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって、権利濫用 に係る抗弁を主張することが許されないと解するのが相当である。 (2) 本件においては、被告は、乙11商標及び乙12商標の商標権者ではなく、専用使用権の設定を受け、又は通常使用権の許諾を受けるなどの事情もない全く無関係の者であるから、上記特段の事情があるとはいえず、権利濫用の抗弁を主張することは許されない。 (3) 以上によれば、被告は、本件商標の指定商品と同一の商品に、本件商標- 33 -と類似する被告標章を使用していると認められ、被告の抗弁はいずれも成り立たないから、被告の行為は本件商標権を侵害するものというべきである。 4 商標権侵 商品と同一の商品に、本件商標- 33 -と類似する被告標章を使用していると認められ、被告の抗弁はいずれも成り立たないから、被告の行為は本件商標権を侵害するものというべきである。 4 商標権侵害に係る損害の発生及び損害額(争点3)について(1) 前記認定によれば、被告が、本件商標権が移転登録された平成29年10月26日から、自転車及びその部品並びに附属品に被告標章を使用してい たことは、本件商標権を侵害するものである。そして、被告には当該行為につき過失が推定される(商標法39条、特許法103条)から、被告は、本件商標権侵害によって原告が被った損害を賠償する義務がある。 (2) 本件商標の使用態様について後掲の証拠、前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認め られる。 ア第2事件被告は、平成30年4月18日に設立され、原告は、第2事件被告との間で本件商標を付した自転車等の販売代理店契約を締結した上、第2事件被告に本件商標を付した原告商品を販売し、同年5月28日頃、第2事件被告は、原告商品を輸入し、同年8月頃から日本国内で販売を開 始した。 イ本件商標は、原告商品のヘッドチューブ(自転車前部のハンドルやフロントフォーク等を接続する部分)、シートチューブ(自転車後部のシートポストやチェーンステー、ペダル等を接続する部分)、チェーンステー(自転車後部のシートチューブやペダル、後輪等を接続する部分)、フロ ントフォーク(自転車前部のヘッドチューブや前輪を接続する部分)及びシートポスト(自転車後部のシートチューブやサドルを接続する部分)に付されている(乙7)。 (3) 被告の「LEADERBIKE」商品における被告標章及びその他の標章の使用態様について 後掲の証拠、前記前提 シートチューブやサドルを接続する部分)に付されている(乙7)。 (3) 被告の「LEADERBIKE」商品における被告標章及びその他の標章の使用態様について 後掲の証拠、前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認め- 34 -られる。 ア被告標章は、被告商品のヘッドチューブ、シートチューブ、チェーンステー、フロントフォーク及びシートポストに付されている(甲6、9、16~21)。 被告商品のダウンチューブ(自転車下部のヘッドチューブやシートチュ ーブ、ペダル等を接続する部分)、チェーンステー及びフロントフォークには、欧文字横書きで「LEADER」と記載されている(甲6、9、16~21、46~60。以下、この記載を「被告文字標章」という。)。もっとも、ダウンチューブに被告文字標章が記載されていない被告商品も存在する(甲17、57)。 被告商品のトップチューブ(自転車上部のヘッドチューブやシートチューブを接続する部分)には、旧リーダー社の商品や原告商品と共通する被告商品の形式を示す番号(721、725、735)や欧文字(CURE)が記載されている(甲6、9、16~21、46~60)。 イ被告は、平成30年1月25日から同年9月29日にかけて、被告のウ ェブサイトに被告商品の広告を掲載した(甲46~60)。 被告は、平成30年5月9日、大阪店の店頭に被告商品を展示して販売していた(甲6、70)。(被告は、この事実を否認するが、その根拠となる被告商品の販売履歴を明らかにせず、撮影日時が改ざんされていることを窺わせる証拠がない以上、認定を妨げるものではない。) 被告は、同年8月3日から同年9月5日にかけて、被告のツイッターアカウントで被告商品の広告を掲載した(甲 時が改ざんされていることを窺わせる証拠がない以上、認定を妨げるものではない。) 被告は、同年8月3日から同年9月5日にかけて、被告のツイッターアカウントで被告商品の広告を掲載した(甲10)。 被告は、令和元年5月18日、被告のウェブサイトにおいて、被告商品の広告を掲載した(乙50の9)。 被告は、令和2年4月24日及び同月27日時点で、被告のオンライン ショッピングサイトにおいて、被告商品の写真を掲載して商品を販売して- 35 -いた(甲9、16~21)。被告は、同月24日時点で、被告のオンラインショッピングサイトにおいて、被告商品のシートポストの写真を掲載して、「2019年よりはL ロゴはないモデルとなります。」と表示して商品を販売していた(甲22)。 被告は、同年10月7日時点で、被告のオンラインショッピングサイト において、被告商品の写真を掲載して商品を紹介していた(甲27)。 被告は、令和4年1月6日時点で、Amazon のショッピングサイトにおいて、被告商品の写真を掲載して商品を販売していた(甲62)。 ウ被告は、平成29年10月27日から平成30年3月28日にかけて、被告のウェブサイトにおいて、被告文字標章が付されているが、ヘッドチ ューブに被告標章ではなく、同様の辺が曲線からなる逆三角形様(盾状)の図形内に「LB」の欧文字が記載されたロゴマーク(以下「被告ロゴ1」という。)や被告ロゴ1に翼様の文様等が付加されたロゴマーク(以下「被告ロゴ2」という。)が付された商品やヘッドチューブが無地である商品の広告を掲載した(乙77~83、95)。 被告は、平成31年2月14日から令和2年8月24日にかけて、被告のウェブサイトにおいて、被告文字標章が付されているが、 ューブが無地である商品の広告を掲載した(乙77~83、95)。 被告は、平成31年2月14日から令和2年8月24日にかけて、被告のウェブサイトにおいて、被告文字標章が付されているが、ヘッドチューブに被告標章ではなく、六角形の図形内に「LEADER」の欧文字が記載されたロゴマーク(以下「被告ロゴ3」という。)が付された商品の広告を掲載した(乙8、50の6~15)。 (4) 商標法38条2項の適用についてア原告は、遅くとも平成30年5月以降の商標権侵害行為に係る損害について商標法38条2項に基づく損害額の算定を主張するのに対し、被告は、原告は同年8月以前には日本国内において原告商品を販売していないから、同項の適用はない旨主張する。 商標法38条2項は、民法の原則の下では、商標権侵害によって商標権- 36 -者が被った損害の賠償を求めるためには、商標権者において、損害の発生及び額、これと商標権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の填補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益額を商標権者の損害額と推定 するとして、立証の困難性の軽減を図った規定であるから、商標権者に、侵害者による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、商標法38条2項の適用が認められると解すべきである。そして、商標権者である原告が日本国内で事業を行っていない場合でも、販売代理店契約を締結した日本の販売事業者である第2事 件被告に原告商品を輸出すれば、現実に第2事件被告が日本国内で商品を販売する前であっても、日本国内で販売ないし販売の申出が可能な 場合でも、販売代理店契約を締結した日本の販売事業者である第2事 件被告に原告商品を輸出すれば、現実に第2事件被告が日本国内で商品を販売する前であっても、日本国内で販売ないし販売の申出が可能な状態となっており、被告が被告商品を販売することにより、第2事件被告が原告商品を販売することが妨げられ、ひいては原告の利益が損なわれる関係にあるといえるから、前記前提事実のとおり、原告が第2事件被告に原告商 品を輸出した同年5月28日以降の商標権侵害行為に係る損害について、商標法38条2項の適用があると認められる。 イ被告は、平成29年7月頃、被告標章に替わる新しいロゴデザインとして被告ロゴ1を採用し、その後に製造された商品には被告標章が付されておらず、平成30年8月時点で被告商品の販売は終了しているから、原告 商品とは市場における事業の競合がなく、商標法38条2項の適用がない旨主張する。 しかしながら、前記(3)イのとおり、原告が原告商品を輸出した同年5月28日以降も、被告が被告商品を販売していたことは明らかであり、商標法38条2項の適用がある。 (5) 商標法38条2項に基づく損害額について- 37 -ア被告商品の売上額原告は、平成29年10月26日から平成30年12月31日までの期間の被告による商標権侵害行為に係る損害賠償を請求しているところ、前記(4)のとおり、同年5月28日以降の商標権侵害行為について商標法38条2項の適用があるから、同日から同年12月31日まで(以下「本件 侵害期間」という。)に被告が被告商品の販売により受けた利益の額が原告の損害額と推定される。 原告は、被告の「LEADER」商品の総売上額(乙39、40、42、43、45、46)を被告製品の売上額と認定すべき 。)に被告が被告商品の販売により受けた利益の額が原告の損害額と推定される。 原告は、被告の「LEADER」商品の総売上額(乙39、40、42、43、45、46)を被告製品の売上額と認定すべき旨主張するが、前記(3)ウのとおり、商品名が「LEADER」であって被告文字標章が付されてい ても、被告標章が付されていない商品が少なからず販売されていたことは明らかであり、前記前提事実(4)オのとおり、同年4月23日頃までに被告標章を削除して輸入した商品も被告標章が付されない状態で販売されたものと考えられ、「LEADER」商品の総売上額には被告商品ではない商品が相当数含まれていることが明らかであるから、当該売上額をもって被告製 品の売上額と認定することはできない。 また、被告は、被告標章が付されていない「LEADER」商品の販売数量ないし売上額と区別された被告商品のみに係る販売数量ないし売上額を明らかにしないが、被告商品は国外で製造された輸入品であり、それほど長期間在庫にとどまることなく販売されることは被告の自認するところである から、証拠上認定できる被告商品の在庫数量及び輸入数量から販売数量及び売上額を推認することが相当である。 ●(省略)●被告は、同年7月17日、デザイン業者から被告商品の製造工場へ被告標章を使用しないよう指示があり、同月22日、デザイン業者から製造工 場に対し、被告ロゴ1への変更の指示があったため、その後に輸入した商- 38 -品には被告ロゴ1又は2が使用されており、被告商品ではなく、平成30年3月5日に輸入しようとした被告商品は、工場のミスでチェーンステー部分のみ被告標章が付された状態で出荷されたものであると主張する。 しかしながら、工場への指示の根拠とされる証拠(乙9 平成30年3月5日に輸入しようとした被告商品は、工場のミスでチェーンステー部分のみ被告標章が付された状態で出荷されたものであると主張する。 しかしながら、工場への指示の根拠とされる証拠(乙94、96)によっても、誰が誰に宛てて指示を出したものか全く不明であり、被告が現実 に輸入した商品との関連性が確認できない上、当該指示においては被告ロゴ1を「Kagero」に使用することとされているにもかかわらず、平成29年12月20日及び同月21日に被告のウェブサイトにおいて新商品として紹介された「KAGERO」には被告ロゴ2が付されている写真が掲載されており(乙79、80)、これらが最終的に指示どおり実行されたとも認め 難い。そして、前記前提事実のとおり、平成30年3月5日に至っても被告商品が輸入されようとしていたことからすれば、仮に被告において工場に対し、被告標章に替えて被告ロゴ1ないし2の使用を指示したことがあったとしても、その指示は徹底されなかったことが明らかである。被告商品の製造工場において被告の指示によりいったん被告標章から被告ロゴ1 ないし2への変更が完了したにもかかわらず、再度被告標章に戻されるとは考え難く、同日輸入しようとした商品には全て被告標章が付されていたのであるから、少なくとも同日輸入しようとした被告商品の以前に生産された商品には、被告標章が付されていたものと推認される。 そうすると、平成29年10月23日及び同年11月22日に被告が輸 入した商品は全て被告商品であったと認めるのが相当であり、被告の主張は採用できない。 また、被告は、同年10月27日に被告のブログで紹介した被告ロゴ1が付された商品が同月23日に輸入された商品であり、同年12月1日に被告のブログで紹介した被告ロゴ1が付 主張は採用できない。 また、被告は、同年10月27日に被告のブログで紹介した被告ロゴ1が付された商品が同月23日に輸入された商品であり、同年12月1日に被告のブログで紹介した被告ロゴ1が付された商品が同年11月22日に 輸入された商品であると主張するが、被告は、個々の商品がいつ輸入され- 39 -たものであり、いつ販売されたものであるかを確認することができないとして被告商品のみに係る販売数量や売上額を開示していないのであるから、ブログに掲載された商品がいつ輸入されたものであるかについて明確な根拠があるとは考え難く、採用できない。 ●(省略)● 被告は、KAGERO は、同年末から平成30年初にLB ロゴを付して販売したモデルであると主張するが、証拠(乙79、80)によれば、平成29年12月22日発売とされており、同月20日及び同月21日の時点で被告ロゴ2が付された完成車の写真が掲載されているから、被告ロゴ2が付されたKAGERO が同月28日に輸入されたものであるとはいえない。 また、前記前提事実(3)ウのとおり、原告は、同年11月29日、大阪税関長に対し関税法69条の13第1項に基づく輸入差止めを申し立てているが、同申立て対象の輸入の時期、場所等は予測に基づくものであって(甲12)全ての侵害物品が確実に税関に発見されるとは限らないから、同日以降、被告商品が輸入されることがあり得ないとはいえない。 そして、前記(イ)のとおり、被告が平成30年3月5日より前に輸入した「LEADER」商品は、全て被告商品であったと認めるのが相当であるから、平成29年12月28日に輸入した商品も被告商品であったと認められ、被告の主張は採用できない。 なお、平成30年3月5日に被告商品の輸入ができ 、全て被告商品であったと認めるのが相当であるから、平成29年12月28日に輸入した商品も被告商品であったと認められ、被告の主張は採用できない。 なお、平成30年3月5日に被告商品の輸入ができなくなり、被告標章 の削除作業を要したことからすれば、重ねて被告商品の輸入を試みるとは考え難く、再度税関に被告商品が発見されることもなかったことからすれば、同日以降は、全ての部分の被告標章について、被告ロゴ1又は2もしくは3への変更が行われたものと考えられ、新たに被告商品が輸入されたものとは認められない。 ●(省略)●- 40 -(6) 推定覆滅事由について被告は、被告標章の使用を止め、被告ロゴ1ないし3を付した商品を販売するようになってからも「LEADER」関連商品の売り上げに影響がなく、被告商品は、被告による市場開発努力や営業努力により売上を伸ばしているものであり、「LEADER」ブランドの商品は、太めのアルミ製で三角形の形状のト ライアングルフレームの一辺に「LEADER」という太いゴシック体で記された標章(被告文字標章)の持つ出所識別機能によって需要者に識別されており、被告標章には顧客吸引力がないと主張し、商標法38条2項の推定の95パーセントが覆滅される旨を主張する。 しかしながら、前記(3)のとおり、被告標章は、被告商品のヘッドチュー ブという正面から見て最も目立つ位置に表示されており、側面から見てもチェーンステー、フロントフォーク、シートポストに表示されており、被告商品を象徴する商標であることが明らかである。 平成30年以降について被告の主張する売上額は、前記のとおり被告商品と被告標章の付されていない「LEADER」商品が混在しており、被告標章を使 用しないことによ ることが明らかである。 平成30年以降について被告の主張する売上額は、前記のとおり被告商品と被告標章の付されていない「LEADER」商品が混在しており、被告標章を使 用しないことによる販売への影響を正確に把握することができない上、被告の主張によっても、被告において被告標章を付さない「LEADER」商品の販売を開始して間もない時期に当たる平成30年及び平成31年(令和元年)は、明らかに売上額が低下しており、被告標章とは無関係の売上低下であることを裏付ける具体的な証拠もない。被告の主張する雑誌やブログ、SN S、イベント等を通じた市場開発努力や店頭における営業努力は、他の自転車販売店の営業活動において行われているものと具体的にどのように異なるのか明らかではなく、特段の営業努力があることを認めるに足りる証拠はない。また、前記のとおり、明らかに目立つ位置に表示されている被告標章があるにもかかわらず、需要者がこれによって商品を識別せず、もっぱら太め のアルミ製のトライアングルフレームのダウンチューブに被告文字標章が付- 41 -されているという特徴によって商品を識別するとは考え難く、需要者がそのように認識することを裏付ける証拠もない。 そして、被告商品は、小売価格が1台10万円~20万円以上の高額な商品であって、ピストバイクという趣味・嗜好性の高い商品であるから、需要者にとっては、日本では希少な米国カリフォルニア州<以下略>で開発され た商品であるというブランドイメージが重要であって、乗り心地等の実用的な性能を主として訴求する商品ではないことからすれば、旧リーダー社の商品であることを表示する被告標章の顧客吸引力は極めて高いものというべきであり、被告の主張する事情は、いずれも商標法38条2項の推定を覆滅さ 主として訴求する商品ではないことからすれば、旧リーダー社の商品であることを表示する被告標章の顧客吸引力は極めて高いものというべきであり、被告の主張する事情は、いずれも商標法38条2項の推定を覆滅させるものとはいえない。 (7) 弁護士費用原告は、被告による本件商標権侵害行為と因果関係のある弁護士費用相当損害額として300万円を主張するところ、原告が弁護士を代理人として本件訴訟を追行したことは当裁判所に顕著であり、損害額等を勘案すれば、相当因果関係のある弁護士費用は300万円を下らないものというべきであ る。 (8) 以上によれば、被告の平成30年12月31日までの本件商標権侵害行為について商標法38条2項に基づき推定される損害額5506万4441円に弁護士費用相当損害額300万円を加えた損害額は、5806万4441円であり、一部請求として1000万円を請求する原告の請求には理由が あり、原告の請求する遅延損害金の起算日(令和2年6月12日)は不法行為日及び損害発生日より後であることは明らかであり、平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の利率が適用されるべきことも明らかであるから、原告主張の遅延損害金の起算日及び利率には理由がある。 原告は、選択的主張として、商標法38条3項に基づく損害額を主張する が、前記のとおり同条2項に基づく損害額を上回らないことが明らかであ- 42 -る。また、原告は、予備的主張として、同項の推定が覆滅された部分について同条3項の適用を主張するが、本件においては、本件商標移転登録後、本件侵害期間前の期間に販売された被告商品はないものとして算定しており、同条2項の推定の覆滅も認めていないから、同条3項の適用の余地はない。 5 被告標章の使用差止め、予 ては、本件商標移転登録後、本件侵害期間前の期間に販売された被告商品はないものとして算定しており、同条2項の推定の覆滅も認めていないから、同条3項の適用の余地はない。 5 被告標章の使用差止め、予防措置請求について 被告は、被告標章の使用を止め、被告ロゴ1~3に変更した旨主張するが、第2事件において、本件商標(被告標章)を含む被告表示が被告の周知の商品等表示であるなどと主張している上、前記(3)イのとおり、被告標章の使用を止める措置は徹底されておらず、令和4年1月6日時点でも、依然としてウェブサイト上で被告商品が掲載されているのであるから、なお、被告商品の販 売、販売のための展示、輸入を差し止める必要があるものと認められる。また、上記の経緯に鑑みると、被告において被告商品を保有し続けているものと考えられるから、侵害予防措置としての被告商品の廃棄請求及びウェブサイトからの被告標章の削除請求にも理由があるものといえる。 6 被告表示の周知性(争点4)について (1) 前記1及び2のとおり、被告表示のうち被告標章は、旧リーダー社の商品を表示するものであるから、旧リーダー社から本件商標権の移転登録を受けた商標権者である原告及び原告と代理店契約を締結して原告商品を輸入販売している第2事件被告にとって、「他人の商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)に該当しない。 また、被告表示のうち、被告文字標章は、欧文字横書きの「LEADER」の文字列からなる表示であって、被告標章とともに被告商品に付されている以上は、明らかに旧リーダー社の商品であることを表示するものというほかないから、被告標章と同様に、第2事件被告にとって、「他人の商品等表示」に該当しない。 (2) 被告は、旧リーダー社が倒産状態に陥った に旧リーダー社の商品であることを表示するものというほかないから、被告標章と同様に、第2事件被告にとって、「他人の商品等表示」に該当しない。 (2) 被告は、旧リーダー社が倒産状態に陥った後も被告表示を付した商品が- 43 -売れ続けていることから、「LEADERBIKE」が被告の商品として需要者に認識されているといえると主張するが、そもそも被告は、需要者に対し、旧リーダー社が倒産状態に陥り、被告が無断で被告商品を製造販売することになったことを告知せず、被告商品が旧リーダー社製であるかのように表示し続けたのであるから、旧リーダー社が倒産状態に陥った後も被告商品が売れ続 けていることは、被告表示が被告の商品を表示するものであると需要者に認識されていることを示す事情とはいえない。 また、被告は、被告商品の企画設計を行い、旧リーダー社を介して製造指示を行い、製造工場を訪問してクオリティチェックを行い、商品の不具合対応も行ったと主張するが、これを認めるに足りる客観的証拠はない上、商品 の企画設計の提案や工場への指示は旧リーダー社を介している限りは販売店であることと矛盾するものではないし、販売店として品質に気を配り、独自の不具合対応をしたとしても、販売店としての付加価値を高める営業活動にすぎず、あくまで被告商品が旧リーダー社製として販売されている以上、これらの事情が需要者に対して、被告が販売店ではなく被告商品の製造元であ るとの認識をもたらす余地はない。 被告は、旧リーダー社と被告とが被告表示を利用して日本国内における商品化を目指したグループと評価できると主張するが、被告は、旧リーダー社の商品と競合する他のメーカーの商品も販売するセレクトショップであり、他のメーカーの商品と独自に組み合わせたカスタマイズ おける商品化を目指したグループと評価できると主張するが、被告は、旧リーダー社の商品と競合する他のメーカーの商品も販売するセレクトショップであり、他のメーカーの商品と独自に組み合わせたカスタマイズも行っているのであ るから、およそ同一の商品化事業を営むグループということはできず、需要者からそのように認識されることも考え難い。 (3) 以上によれば、被告表示は、第2事件被告との関係で、「他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているもの」とはいえず、被告の主張は採用できない。 そうすると、その余の点(争点5~7)を検討するまでもなく、被告の第- 44 -2事件被告に対する請求は、いずれも理由がない。 7 結論以上によれば、第1事件に係る原告の請求は、いずれも理由があるから認容し、第2事件に係る被告の請求は、いずれも理由がないので棄却することとする。 よって、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 杉浦一輝 裁判官 布目真利子- 45 -別紙本件商標権目録登録商標 登録番号商標登録第5568215号出願日 真利子- 45 -別紙本件商標権目録登録商標 登録番号商標登録第5568215号出願日平成24年11月6日登録日平成25年3月22日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第12類自転車、自転車用フレーム、自転車用フォーク、自転車用タイ ヤ、自転車用ハンドルステム、自転車用シートポスト、その他の自転車の部品及び附属品 - 46 -別紙被告標章目録以下に示す各写真のうち赤枠で囲んだ部分。 ① シートポストに付された標章 ② ヘッドチューブ及びシートチューブに付された標章 - 47 -③ フロントフォークに付された標章 ④ チェーンステーに付された標章 - 48 -別紙ウェブサイト目録 1 https://store.brotures.com/ 2 https://www.rakuten.ne.jp/gold/brotures/ 3 https://twitter.com/BROTURES 4 http://leader-bikes.jp/#link1- 49 -別紙第2事件被告標章目録 1 735フラッグシップモデルフレームセットに付された標章(但し、画像中の黄色線で囲んだ部分。2以下の画像についても同様) 2 735TR 完成車に付された標章 - 50 - 3 721TR 完成車に付された標章 4 725TR 完成車に付された標章 (上記 標章 3 721TR 完成車に付された標章 4 725TR 完成車に付された標章 (上記フレーム部分を拡大した画像。但し白文字の「LEADER」は被告代理人が黒字標章箇所をわかりやすくトレースしたもの) 5 シートポストに付された標章(なお、上記1の画像の一部を拡大した画像) 6 ヘッドチューブに付された標章 7 フロントフォークに付された標章 8 チェーンステーに付された標章(上記画像のチェーンステー部分を拡大した画像) 別紙被告商品表示目録 1 725TR 完成車に付された商品表示(但し、画像中の黄色線で囲んだ部分。2以下の画像についても同様) 2 735TR 完成車に付された商品表示 3 721TR 完成車に付された商品表示 4 シートポストに付された商品表示(但し、上記1の画像のシートポスト部分を拡大した画像) 5 ヘッドチューブに付された商品表示 6 フロントフォークに付された商品表示(但し、上記1の画像のフロントフォーク部分を拡大した画像) 7 チェーンステー及びシートチューブに付された商品表示 商品表示(但し、上記1の画像のフロントフォーク部分を拡大した画像)- 57 - 7 チェーンステー及びシートチューブに付された商品表示

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