(主文)被告人を懲役2年に処する。 未決勾留日数中50日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 (犯罪事実)被告人は,電気工事,水道施設工事等を業とするA株式会社の会長として同社を実質的に経営していたものであるが,同社の代表取締役の地位にあったBと共謀のうえ,Cが平成11年4月25日に施行された青森県上北郡a村長選挙に立候補することを表明してその準備活動をしていた同月16日ころ,同県同郡b町字cd番地e所在の飲食店「D」において,前記選挙に当選し,同年5月1日から,同村長として,同村が発注する各種公共工事に関し,指名競争入札における参加者の指名,請負契約の締結等の職務を統括管理するようになった前記C及び前記選挙に当たり同人の後援会長で選挙運動者であったEに対し,前記Cが同村長に就任後担当すべき前記職務に関し,同社を指名競争入札参加業者として指名するなど有利便宜な取計らいをしてもらいたい旨の請託をし,その謝礼の趣旨のもとに,同月20日ころ,同村大字f字g番地hi所在のF方東側路上において,現金300万円を供与し,もって,前記Cが将来担当すべき職務に関し,賄賂を供与したものである。 (量刑の理由) 1 本件は,電気工事,水道施設工事等を業とする会社のオーナー会長で同社を実質的に経営していた被告人が,同社の代表取締役と共謀のうえ,a村長選挙の準備期間中,同選挙に立候補し当選したC及び同人の後援会長で選挙運動者であった者に対し,Cが同村長に就任後,本来業者間の自由かつ公平な競争により受注されるべき同村発注の公共工事について,前記会社を指名競争入札参加業者として指名してもらうなど有利便宜な取計らいを受けたい旨の請託をし,その謝礼として現金300万円を贈与した事案である。 2 被告人が経営していた 発注の公共工事について,前記会社を指名競争入札参加業者として指名してもらうなど有利便宜な取計らいを受けたい旨の請託をし,その謝礼として現金300万円を贈与した事案である。 2 被告人が経営していた会社は,a村発注の公共工事の入札参加業者としての指名を受けていたところ,被告人は,前記選挙において同村村長が交替して同社が指名から外されることを恐れて,同村発注の公共工事の指名業者としての地位を確保し,同工事を受注するための方策として,前記選挙の準備活動をしていたC及びその後援会長である選挙運動者に賄賂を供与したもので,村長選挙が実施される以前から,金銭の力でa村政の公正な執行を歪めようとしたものである。 しかも,本件贈賄額は300万円と多額であるうえ,前記会社は,実際にも,当選後の前記Cによってa村の指名業者に選ばれ,同村発注の複数の工事を受注して利益を得ており,その弊害は重大で,a村政に対する村民らの信頼を著しく損ねたものである。 被告人は,昭和62年6月,j市発注の公共工事を受注しようとしてj市長に対して現金170万円を交付した贈賄事件で,懲役1年6月執行猶予4年の有罪判決を受けており,自己の経営する会社の利益を図るために,再び同種本件犯行を繰り返したもので,犯情は極めて悪質である。被告人は,市町村長に多額の賄賂を贈ることによって,自己の経営する会社の業績の拡大を図っており,本件犯行も,この経営方針の下に行われたものであって,会社経営者としての被告人の規範意識は麻痺しているといわざるを得ず,厳しく非難されなければならず,この際,実刑に処してその刑事責任の重さを深く自覚させることも考慮すべきところである。 3 しかしながら,被告人の経営する会社は,本件発覚後,資金繰りに行き詰まり,現在,破産手続が進行中であること,被告人が現在76歳の てその刑事責任の重さを深く自覚させることも考慮すべきところである。 3 しかしながら,被告人の経営する会社は,本件発覚後,資金繰りに行き詰まり,現在,破産手続が進行中であること,被告人が現在76歳の高齢で体調も芳しくないこともあって,再犯の虞れは減少したといえること,本件犯行について反省の情を示していること,被告人の妻が,今後再犯に及ばないように監督して行く旨当公判廷で述べていることなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。 4 そこで,これらの諸事情を総合考慮して,被告人に対し,主文掲記の刑を科したうえ,今回に限り,その刑の執行を猶予し,社会内で自力更生する機会を与えることとする。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役2年)裁判長裁判官山内昭善裁判官結城剛行裁判官吉田静香
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