令和6年3月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(ワ)第30281号特許権等侵害差止等請求事件(第1事件)令和3年(ワ)第30283号特許権等侵害差止等請求事件(第2事件)令和3年(ワ)第30290号特許権等侵害差止等請求事件(第3事件)口頭弁論終結日令和6年2月5日 判決 原告ジー・オー・ピー株式会社 同訴訟代理人弁護士小林幸夫 弓削田博同訴訟復代理人弁護士平田慎二同補佐人弁理士國分孝悦栗川典幸関直方古野久美子 第1事件被告エスアールエス株式会社(以下「被告エスアールエス」という。) 同訴訟代理人弁護士秋山亘 第2事件被告株式会社大同機械(以下「被告大同機械」という。) 第3事件被告板橋建材工業株式会社(以下「被告板橋建材工業」という。) 板橋建材工業株式会社(以下「被告板橋建材」という。) 上記2名訴訟代理人弁護士中 岡 起代子 鈴 木 佑一郎 上記2名訴訟代理人弁理士小島浩嗣 主文 1 被告エスアールエス及び被告大同機械は、別紙被告製品目録記載の製品を販売し、貸渡し又は販売若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告板橋建材は、別紙被告製品目録記載の製品を製造し、販売し又は販売の 申出をしてはならない。 3 被告エスアールエスは、別紙被告製品目録記載の製品を廃棄せよ。 4 被告大同機械及び被告板橋建材は、別紙被告製品目録記載の製品(別紙被告製品の構成目録記載の構成態様を具備しているが製品として完成するに至らないものを含む。)を廃棄せよ。 5 被告エスアールエスは、原告に対し、78万2630円及びこれに対する令和3年12月9日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 6 被告大同機械は、原告に対し、655万2290円及びこれに対する令和3年12月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 7 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 8 訴訟費用は、第1事件ないし第3事件を通じ、原告に生じた費用の10分の4、被告エスアールエスに生じた費用の2分の1、被告大同機械に生じた費用の5分の1及び被告板橋建材に生じた費用の2分の1を原告の負担とし、原告に生じた費用の50分の9及び被告エスアールエスに生じた費用の 被告エスアールエスに生じた費用の2分の1、被告大同機械に生じた費用の5分の1及び被告板橋建材に生じた費用の2分の1を原告の負担とし、原告に生じた費用の50分の9及び被告エスアールエスに生じた費用の2分の1を被告エスアールエスの負担とし、原告に生じた費用の25分の6及び被告大同 機械に生じた費用の5分の4を被告大同機械の負担とし、原告及び被告板橋建 材に生じたその余の費用を被告板橋建材の負担とする。 9 この判決は、第1項ないし第6項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件 (1) 主文第1項(ただし、被告エスアールエスに係る部分に限る。)及び第3項と同旨(2) 被告エスアールエスは、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和3年12月9日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 第2事件 (1) 被告大同機械は、別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)を製造し、販売し、貸渡し又は販売若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 (2) 主文第4項(ただし、被告大同機械に係る部分に限る。)と同旨(3) 被告大同機械は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和3年1 2月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 3 第3事件(1) 主文第2項及び第4項(ただし、被告板橋建材に係る部分に限る。)と同旨(2) 被告板橋建材は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和3年1 2月19日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、別紙原告特許権目録記載1及び2の各特許(以下、順に「本件特許1」、「本件特許2」といい、これらを併せて「本件各特許」 みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、別紙原告特許権目録記載1及び2の各特許(以下、順に「本件特許1」、「本件特許2」といい、これらを併せて「本件各特許」という。)に係る特許権(以下、順に「本件特許権1」、「本件特許権2」といい、これらを 併せて「本件各特許権」という。)の特許権者であり、別紙原告意匠権目録記 載1及び2の各意匠(以下、順に「本件意匠1」、「本件意匠2」といい、これらを併せて「本件各意匠」という。)に係る意匠権(以下、順に「本件意匠権1」、「本件意匠権2」といい、これらを併せて「本件各意匠権」という。)の意匠権者である原告が、被告製品は本件特許1の請求項1ないし4に係る発明の技術的範囲に属するから、その製造等は本件特許権1を侵害するとともに、 被告製品の製造等は本件特許権2及び本件各意匠権を侵害するとみなされる(特許法101条1号、意匠法38条1号イ)と主張して、特許法100条1項及び2項並びに意匠法37条1項及び2項に基づき、被告エスアールエスに対しては、被告製品の販売、貸渡し等の差止め及び廃棄を、被告大同機械に対しては、被告製品の製造、販売、貸渡し等の差止め及び廃棄(ただし、廃棄に ついては被告製品の半製品も対象とする。)を、被告板橋建材に対しては、被告製品の製造、販売等の差止め及び廃棄(ただし、廃棄については被告製品の半製品も対象とする。)をそれぞれ求め、民法709条に基づき、被告らに対し、1100万円及びこれに対する各訴状送達の日の翌日(被告エスアールエスについては令和3年12月9日、被告大同機械については同月8日、被告板 橋建材については同月19日)から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案 スについては令和3年12月9日、被告大同機械については同月8日、被告板 橋建材については同月19日)から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者 ア原告は、建設及び仮設資材を主とした製品の開発・製造・販売・レンタル等を業とする株式会社であって、本件各特許権の特許権者であり、かつ、本件各意匠権の意匠権者である。 イ被告エスアールエスは、土木建設機械器具、電気機械器具、運搬用機械器具、建築用仮設資材等及びこれらの部品・消耗品の製造、販売、賃貸借 等を業とする株式会社である。 ウ被告大同機械は、建設用機械及び工具の販売等を業とする株式会社である。 エ被告板橋建材は、建設用資材及び機材の販売等を業とする株式会社である。 (2) 本件各特許及び本件各意匠の出願経過(甲1ないし4、8ないし11、乙 5、6、7、17、19及び20)本件各特許及び本件各意匠の出願経過等は次のとおりである。 ア本件各特許本件特許1(請求項の数7)は、平成28年11月7日(優先日同年8月31日(以下「本件優先日」という。)、優先権主張国日本)にされた特 許出願(特願2016-217337。以下「本件原出願」という。)につき、平成30年6月20日、特許法44条1項の規定による分割出願(特願2018-117200。同特許の明細書及び図面を併せて「本件明細書1」という。)をし、特許を受けたものであり、本件特許2(請求項の数4)は、本件原出願につき、令和元年6月14日に同項の規定によ 特願2018-117200。同特許の明細書及び図面を併せて「本件明細書1」という。)をし、特許を受けたものであり、本件特許2(請求項の数4)は、本件原出願につき、令和元年6月14日に同項の規定によ る分割出願(特願2019-111243。同特許の明細書及び図面を併せて「本件明細書2」という。)をし、特許を受けたものである。なお、本件原出願の公開特許公報は、平成30年3月15日公開された。 イ本件各意匠本件意匠1は、本件原出願につき平成30年6月20日、特許法44条 1項の規定による分割出願(特願2018-117272。以下、「本件分割出願1」といい、同出願の明細書及び図面を併せて「本件分割出願明細書1」という。)をし、更に同月22日に意匠法13条1項の規定による変更出願(意願2018-13726。以下「本件意匠出願1」という。)をし、意匠登録を受けたものであり、本件意匠2は、本件原出願に つき同月20日、特許法44条1項の規定による分割出願(特願2018 -117221。以下「本件分割出願2」といい、同出願の明細書及び図面を併せて「本件分割出願明細書2」という。)をし、更に同月22日に意匠法13条1項の規定による変更出願(意願2018-13727。以下「本件意匠出願2」という。)を受けたものである。 本件意匠1及び2の意匠に係る物品は、いずれも「運搬台車用の手押部 材」である。本件意匠1は、意匠登録第1623018号公報(甲9)の【図面】(別紙原告意匠権目録1の【図面】と同一である。)の実線であらわされた部分に係る部分意匠であり、本件意匠2は、意匠登録第1623019号公報(甲11)の【図面】(別紙原告意匠権目録2の【図面】と同一である。)の実線であらわされた部分に係る部分意匠である。 わされた部分に係る部分意匠であり、本件意匠2は、意匠登録第1623019号公報(甲11)の【図面】(別紙原告意匠権目録2の【図面】と同一である。)の実線であらわされた部分に係る部分意匠である。 (3) 本件特許1の特許請求の範囲本件特許1の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである(以下、各請求項を順次「請求項1-1」、「請求項1-2」などといい、各請求項に係る発明を順次「本件発明1-1」、「本件発明1-2」などといい、本件発明1-1ないし1-4を併せて「本件発明1」という。甲1、2)。 ア請求項1運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側 に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形であることを特徴とする保護部材。 イ請求項2 前記保護部は、円板状であることを特徴とする請求項1に記載の保護部材。 ウ請求項3運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、 使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、 前記保護部は、円板状であることを特徴とする保護部材。 エ請求項4前記グリップ部は、略円筒状であって、前記グリップ部の内部 保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、 前記保護部は、円板状であることを特徴とする保護部材。 エ請求項4前記グリップ部は、略円筒状であって、前記グリップ部の内部に前記取付穴が位置していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の保護部材。 (4) 本件特許2の特許請求の範囲本件特許2の特許請求の範囲の記載のうち、請求項1の記載は以下のとおりである(以下、同請求項に係る発明を「本件発明2」といい、本件発明1と併せて「本件各発明」という。甲3、4)。 運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運 搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出さ せて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する 保護部と、を有することを特徴とする手押部材。 (5) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明の構成要件の分説は以下のとおりである。 ア本件発明1-1(請求項1)1-1A 運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部 材に対して取り付けられる保護部材であって、1-1B 使用者が手で掴むグリップ部と、1-1C 前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、 1-1D 前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、1-1E 前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から せて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、 1-1D 前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、1-1E 前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形であること1-1F を特徴とする保護部材。 イ本件発明1-2(請求項2) 1-2A 前記保護部は、円板状であること1-2B を特徴とする請求項1に記載の保護部材。 ウ本件発明1-3(請求項3)1-3A 運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、 1-3B 使用者が手で掴むグリップ部と、1-3C 前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、1-3D 前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、 1-3E 前記保護部は、円板状であること 1-3F を特徴とする保護部材。 エ本件発明1-4(請求項4)1-4A 前記グリップ部は、略円筒状であって、1-4B 前記グリップ部の内部に前記取付穴が位置していること1-4C を特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の保護 部材。 オ本件発明22A 運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、 2B 使用者が手で掴むグリップ部と、2C 前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グ 2B 使用者が手で掴むグリップ部と、2C 前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有すること 2D を特徴とする手押部材。 (6) 本件発明2に係る特許請求の範囲の記載の訂正請求被告大同機械は、本件特許2の請求項1に係る発明について特許無効審判請求(無効2022-800006号)をした。特許庁は、令和5年3月15日に、本件特許2の請求項1に係る発明についての特許を無効にするとの 審決の予告をし、原告は、同年5月19日付けで、本件発明に係る特許請求の範囲を訂正し、本件明細書の対応する記載を訂正する旨の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。同訂正による本件発明2の特許請求の範囲は、構成要件2Cに相当する部分を以下の構成要件2C’及び2D’の記載とするほかは、本件発明2と異なるところはない(下線部は本件訂正に 係る部分。以下、本件特許2の請求項1に係る発明を「本件訂正発明」とい う。)。 2C’ 前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有する手押部材で あって、2D’ 前記保護部が設けられた保護部材は一体に形成された部材からなり、前記手押部材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有すること(7) 原告による運搬台車の手押部材貸与 原告は、「ヘラクレスCUBE」との名称の運搬台車 材の長尺状かつパイプ状の本体部材を挿入して前記本体部材に装着するための取付穴を有すること(7) 原告による運搬台車の手押部材貸与 原告は、「ヘラクレスCUBE」との名称の運搬台車(以下「原告運搬台車」という。)を販売しているところ、同運搬台車のオプション品として、「HCハンドガード」との名称の運搬台車の手押部材(以下「原告製品」という。)を販売及び貸与している(甲15、39、弁論の全趣旨)。 (8) 被告らの行為 ア被告板橋建材は、業として、遅くとも平成30年12月28日からから、被告製品の製造、販売及び販売の申出をしている。 イ被告大同機械は、被告板橋建材から被告製品を購入し、業として、遅くとも令和元年12月頃から被告製品の販売、貸渡し及び販売若しくは貸渡しの申出をしている。 ウ被告エスアールエスは、被告大同機械から被告製品を購入し、業として、遅くとも令和元年12月頃から被告製品の販売、貸渡し及び販売若しくは貸渡しの申出をしている。 (9) 被告製品の構成及び構成要件充足性並びに形状被告製品の構成は、別紙被告製品の構成目録記載のとおりであり(ただし、 下線部には争いがある。)、被告製品は、構成要件1-1Bないし1-1F、 1-2A、1-3Bないし1-3F、1-4A及び1-4Bを充足し、単管に取り付けられた被告製品は、構成要件2B、2C及び2Dを充足する。 被告製品の形状は、別紙被告意匠目録記載のとおりである。 3 争点(1) 文言侵害の成否(争点1) ア被告製品が本件発明1-1の技術的範囲に属するか(争点1-1)イ被告製品が本件発明1-2の技術的範囲に属するか(争点1-2)ウ被告製品が本件発明1-3の技術的範囲に属するか(争点1-3)エ 告製品が本件発明1-1の技術的範囲に属するか(争点1-1)イ被告製品が本件発明1-2の技術的範囲に属するか(争点1-2)ウ被告製品が本件発明1-3の技術的範囲に属するか(争点1-3)エ被告製品が本件発明1-4の技術的範囲に属するか(争点1-4)(2) 被告製品の製造等に本件特許権2の間接侵害(特許法101条1号)が成 立するか(争点2)(3) 無効論(争点3)ア公然実施を理由とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如(争点3-1)イ平成28年2月1日発行の「安全スタッフ」(乙9。以下「乙9文献」という。)又は同月15日発行の「安全スタッフ」(乙10。以下「乙10 文献」という。)を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如(争点3-2)ウ特開平11-342848号公報(乙1。以下「乙1文献」という。)を主引用例とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如(争点3-3)エ意匠登録第1399969号公報(乙12。以下「乙12文献」という。)を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如(争点3-4) オ明確性要件違反(争点3-5)(4) 乙9発明を主引用例とし、乙3発明を副引用例とする無効の抗弁に対する訂正の再抗弁の成否(争点4)(5) 本件各意匠と被告製品の意匠の類否(争点5)(6) 被告製品の製造等に本件各意匠権の間接侵害(意匠法38条1号イ)が成 立するか(争点6) (7) 本件各意匠が意匠登録無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点7)(8) 損害の発生及び額(争点8)(9) 差止め及び廃棄の必要性(争点9)第3 争点に関する当事者の主張 別紙「当事者の主張」記載のとおり第4 当裁判所の判断 1 本件明細書1及び2の記載 及び額(争点8)(9) 差止め及び廃棄の必要性(争点9)第3 争点に関する当事者の主張 別紙「当事者の主張」記載のとおり第4 当裁判所の判断 1 本件明細書1及び2の記載事項等(1) 本件明細書1(甲2)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する図1、4及び5については別紙明細書図面目録1ないし3の図面を参照)。 ア 【技術分野】【0001】本発明は、保護部材に関する。特に、使用者の手に運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにする保護する保護部材等に関する。 【背景技術】 【0002】建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の四隅部等に単管を挿入可能な構成を有するものがある。例えば、特許文献1には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が四隅部に設けられた運搬台車が開示されている。このような構成であれば、運搬台車の使用者は、 運搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手押し棒として用いることができる。 【発明が解決しようとする課題】【0004】ところで、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒 を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する 物体に接触する虞がある。 本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とする。 イ 【課題を解決するための手段】 【0005】本発明は、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グ 隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないように保護する保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形であることを特徴とする。 本発明は、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、使用者が手で掴むグリ ップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、前記保護部は、円板状であることを特徴とする。 ウ 【発明の効果】 【0006】本発明によれば、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることができる。 エ 【発明を実施するための形態】【0008】 以下に、実施形態に係る運搬台車および手押部材について図面を参 照して説明する。なお、説明の便宜上、以下の各実施形態で示す手押部材および保護部材の上下方向は、手押部材が台車本体部に装着された状態での方向を基準とする。また、運搬台車の前後方向を運搬台車の長手方向とし、左右方向を運搬台車の短手方向とする。ただし、本実施形態の運搬台車は、前後左右を含め任意の方向に走行することが できる。 【0009】<第1の実施形態>図1は、第1の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示す図である。 運搬台 左右を含め任意の方向に走行することが できる。 【0009】<第1の実施形態>図1は、第1の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示す図である。 運搬台車1は、台車本体部20、走行部30、手押部材40を備えている。 まず、台車本体部20について説明する。 台車本体部20は複数のフレーム部等が連結して構成され、運搬物を積載する。台車本体部20は、平面視において前後方向を長手方向と し、左右方向を短手方向とする矩形状である。台車本体部20は、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21d、コーナ部材22、補強フレーム部(補強部)25、載置板26等を有している。 【0017】 グリップ部43は、略円筒状であり、使用者が片手で掴むことができる(握ることができる)寸法を有する。使用者が片手で掴めるように、例えば、長さ( 上下方向寸法) は100~200mmの範囲が好適であり、更には120~180mmの範囲が好適である。また、本体部材41に単管を用いる場合には、例えば、外径は50~60mmの範囲が 好適である。ただし、具体的な寸法は特に限定されるものではない。ま た、グリップ部43の表面には、滑り止めのための凹凸パターンが設けられていてもよい。 【0022】ここで、第1の実施形態に係る手押部材40の効果について、図4と図5を参照して説明する。図4と図5は、手押部材40の効果を説明す る図である。具体的には、図4は、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近した状態を模式的に示す図である。図5は、運搬台車1の運搬物Bである板材が手押部材40の上端部に寄り掛かった状態を模式的に示す図で 搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近した状態を模式的に示す図である。図5は、運搬台車1の運搬物Bである板材が手押部材40の上端部に寄り掛かった状態を模式的に示す図である。 【0023】 図4に示すように、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近することがある。この際、本体部材41の上端部に保護部材42が装着されておらず、使用者が単に本体部材41の上端部を直接的に掴んでいると、使用者の手H(指や手の甲)が物体Wに接触したり、本体部材41と物体Wとに挟まれたりすることがある。 これに対して、図4に示すように、本体部材41の上端部に保護部材42を装着し、保護部材42のグリップ部43を掴んでいると(握っていると)、手押部材40の上端部が物体Wに接近した際に、第1の保護部44や第2の保護部45が物体Wに接触するため、グリップ部43を掴んでいる使用者の手Hが物体Wに接触することが防止または抑制される。 【0024】図5に示すように、板状の資材を運搬台車1で運搬する際には、板状の資材を手押部材40の上端部に寄り掛けておくことがある。この際、運搬物Bである板状の資材を保護部材42の第1の保護部44に寄り掛けることによって、使用者が手押部材40を掴むスペースを確保でき、 かつ、使用者の手H(特に指)が運搬物Bに接触することを防止または 抑制できる。ここで、第1の保護部44の側面47は斜め上側に向かって膨出する曲面であり、上面48は上側に向かって膨出する曲面であり、側面47と上面48とは曲面によって滑らかにつながっている。このため、第1の保護部44の斜め上方に運搬物Bが寄り掛かった場合には、曲面で運搬物Bを受けることになる。したがって、運搬 する曲面であり、側面47と上面48とは曲面によって滑らかにつながっている。このため、第1の保護部44の斜め上方に運搬物Bが寄り掛かった場合には、曲面で運搬物Bを受けることになる。したがって、運搬物Bに接触痕が 形成されることが防止または抑制される。 (2) 本件明細書2(甲4)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する図1、4及び5については別紙明細書図面目録1ないし3の図面を参照)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、手押部材および運搬台車に関する。特に、使用者の手に運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにする保護する手押部材等に関する。 【背景技術】【0002】 建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の四隅部等に単管を挿入可能な構成を有するものがある。例えば、特許文献1には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が四隅部に設けられた運搬台車が開示されている。このような構成であれば、運搬台車の使用者は、運搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手押し棒と して用いることができる。 【発明が解決しようとする課題】【0004】ところで、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する 物体に接触する虞がある。 本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とする。 イ 【課題を解決するための手段】【0005】 本発明は、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材で めの手段】【0005】 本発明は、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側 に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有することを特徴とする。 本発明は、運搬物を積載して走行部によって走行する台車本体部と、前記台車本体部の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材と、を 有する運搬台車であって、前記手押部材は、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有することを特徴とする。 ウ 【発明の効果】【0006】本発明によれば、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることができる。 エ 【発明を実施するための形態】 【0008】 以下に、実施形態に係る運搬台車および手押部材について図面を参照して説明する。なお、説明の便宜上、以下の各実施形態で示す手押部材および保護部材の上下方向は、手押部材が台車本体部に装着された状態での方向を基準とする。また、運搬台車の前後方向を運搬台車の長手方向とし、左右方向を運搬台車の短手方向とする。ただし、本 実施形態の運搬台車は、前後左右を含め任意の方向に走行す に装着された状態での方向を基準とする。また、運搬台車の前後方向を運搬台車の長手方向とし、左右方向を運搬台車の短手方向とする。ただし、本 実施形態の運搬台車は、前後左右を含め任意の方向に走行することができる。 【0009】<第1の実施形態>図1は、第1の実施形態に係る運搬台車および手押部材の構成例を示 す図である。 運搬台車1は、台車本体部20、走行部30、手押部材40を備えている。 まず、台車本体部20について説明する。 台車本体部20は複数のフレーム部等が連結して構成され、運搬物を 積載する。台車本体部20は、平面視において前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする矩形状である。台車本体部20は、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21d、コーナ部材22、補強フレーム部(補強部)25、載置板26等を有している。 【0022】ここで、第1の実施形態に係る手押部材40の効果について、図4と図5を参照して説明する。図4と図5は、手押部材40の効果を説明する図である。具体的には、図4は、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近した状態を模式的に示す図であ る。図5は、運搬台車1の運搬物Bである板材が手押部材40の上端部 に寄り掛かった状態を模式的に示す図である。 【0023】図4に示すように、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近することがある。この際、本体部材41の上端部に保護部材42が装着されておらず、使用者が単に本体部材41の 上端部を直接的に掴んでいると、使用者の手H(指や手の甲)が物体Wに接触したり、本体部材41と物体W 。この際、本体部材41の上端部に保護部材42が装着されておらず、使用者が単に本体部材41の 上端部を直接的に掴んでいると、使用者の手H(指や手の甲)が物体Wに接触したり、本体部材41と物体Wとに挟まれたりすることがある。 これに対して、図4に示すように、本体部材41の上端部に保護部材42を装着し、保護部材42のグリップ部43を掴んでいると(握っていると)、手押部材40の上端部が物体Wに接近した際に、第1の保護部 44や第2の保護部45が物体Wに接触するため、グリップ部43を掴んでいる使用者の手Hが物体Wに接触することが防止または抑制される。 【0024】図5に示すように、板状の資材を運搬台車1で運搬する際には、板状の資材を手押部材40の上端部に寄り掛けておくことがある。この際、 運搬物Bである板状の資材を保護部材42の第1の保護部44に寄り掛けることによって、使用者が手押部材40を掴むスペースを確保でき、かつ、使用者の手H(特に指)が運搬物Bに接触することを防止または抑制できる。ここで、第1の保護部44の側面47は斜め上側に向かって膨出する曲面であり、上面48は上側に向かって膨出する曲面であり、 側面47と上面48とは曲面によって滑らかにつながっている。このため、第1の保護部44の斜め上方に運搬物Bが寄り掛かった場合には、曲面で運搬物Bを受けることになる。したがって、運搬物Bに接触痕が形成されることが防止または抑制される。 (3) 前記(1)及び(2)の記載事項によれば、本件明細書1及び2には、それぞれ 本件発明1及び2に関し、次のような開示があることが認められる。 ア本件明細書1の開示事項(ア) 建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の4隅部等に単管を挿入可能な構成 本件発明1及び2に関し、次のような開示があることが認められる。 ア本件明細書1の開示事項(ア) 建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の4隅部等に単管を挿入可能な構成を有するものがあるところ、例えば、従来技術として、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が4隅部に設けられた運搬台車があり、このような構成であれば、運搬台車の使用者は、運 搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手押し棒として用いることができる(【0002】)。しかし、このような構成では、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある(【0004】)。 (イ) 「本発明」は、前記(ア)のような問題点を解決するため、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とするものであり、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面より も外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、前記棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形であることを特徴とする保護部材、前記保護部は、円板状であることを特徴とする保護部材、及び、前記グリップ部は、略円筒状で あって、前記グリップ部の内部に前記取付穴が位置していることを特徴とする保護部材に関するものである(【0001】、【0004】、【0005】及び【0017】)。「本発明」は、これにより、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に 部に前記取付穴が位置していることを特徴とする保護部材に関するものである(【0001】、【0004】、【0005】及び【0017】)。「本発明」は、これにより、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることができるとの効果を奏する(【0006】)。 イ本件明細書2の開示事項 (ア) 建設現場等で使用される運搬台車には、運搬台車の本体の4隅部等に単管を挿入可能な構成を有するものがあるところ、例えば、特許文献1には、手押し棒として単管を挿入可能なコーナ部材が4隅部に設けられた運搬台車が開示されており、このような構成であれば、運搬台車の使用者は、運搬台車の移動の際に、運搬台車の本体に差し込んだ単管を手 押し棒として用いることができる(【0002】)。しかし、このような構成では、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある(【0004】)。 (イ) 「本発明」は、前記(ア)のような問題点を解決するため、使用者の手 が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにすることを目的とするものであり、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材であって、使用者が手で掴むグリップ部と、前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重な らない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有することを特徴とする手押部材に関するものである(【0001】、【0004】及び【0005】)。「本発明」は、これによ て前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部と、を有することを特徴とする手押部材に関するものである(【0001】、【0004】及び【0005】)。「本発明」は、これにより、使用者の手が運搬台車の周辺の物体等に接触しないようにする ことができるとの効果を奏する(【0006】)。 2 争点1-1(被告製品が本件発明1-1の技術的範囲に属するか)、争点1-2(被告製品が本件発明1-2の技術的範囲に属するか)、争点1-3(被告製品が本件発明1-3の技術的範囲に属するか)及び争点1-4(被告製品が本件発明1-4の技術的範囲に属するか)について (1) 「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材」の解釈 構成要件1-1Aには、「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材」との記載があるところ、このうち「運搬台車の4隅に位置する」との文言からは、この「4隅」が「運搬台車」における「位置」を示すものであると理解することができ、かつ、「4隅に位置する」が「挿入孔」の直前に記載されていることから、「4隅」が「挿入孔」の「位置」を示す ものと理解することができる。そうすると、上記の記載は、その文言上、運搬台車の「挿入孔」の位置が「運搬台車の4隅」であることを特定しているといえ、反面、「挿入孔」に挿入される「長尺の棒状部材」の数は特定されていないから、「長尺の棒状部材」は、「運搬台車の4隅」に位置する全ての「挿入孔」に挿入するものに限られず、「運搬台車」の通常の用法に照らし、 少なくとも、そのうち2つないし4つの挿入孔に「棒状部材」が挿入される場合を含むものと解すべきである。 (2) 被告製品の構成の認定及びあてはめ被告製品が、運搬台車の4隅に位置する挿入孔の 少なくとも、そのうち2つないし4つの挿入孔に「棒状部材」が挿入される場合を含むものと解すべきである。 (2) 被告製品の構成の認定及びあてはめ被告製品が、運搬台車の4隅に位置する挿入孔のうち、2つないし4つの挿入孔に挿入された単管に取り付けられて使用されることは、当事者間に争 いがない。 そして、上記の単管が「長尺の棒状部材」に該当することについても、当事者間に争いはないから、被告製品は、構成要件1-1Aの「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材」に該当する。 (3) 小括以上によれば、被告製品は、構成要件1-Aを充足し、本件発明1-1ないし1-4の技術的範囲に属する。 3 争点2(被告製品の製造等に本件特許権2の間接侵害(特許法101条1号)が成立するか)について (1) 単管に取り付けられた被告製品は、本件発明2の技術的範囲に属するか ア 「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され…た長尺状の手押部材」の解釈前記2(1)で説示したところと同様の理由により、構成要件2Aの「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔」は、その文言上、運搬台車に位置する「挿入孔」の位置が「運搬台車の4隅」であることを 特定しているといえ、反面、「挿入孔」に挿入される「手押部材」の数は特定されていないから、「手押部材」は、「運搬台車の4隅」に位置する全ての「挿入孔」に挿入するものに限られず、「運搬台車」の通常の用法に照らし、少なくとも、2つないし4つの挿入孔に手押部材が挿入される場合を含むものと解すべきである。 イ被告製品の構成の認定及びあてはめ被告製品が、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔のうち も、2つないし4つの挿入孔に手押部材が挿入される場合を含むものと解すべきである。 イ被告製品の構成の認定及びあてはめ被告製品が、運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔のうち、2つないし4つの挿入孔に挿入された単管に取り付けて使用されるものであることは、当事者間に争いがない。 そして、被告製品が取り付けられた単管が、運搬台車を走行させるとき に使用者が手で押すための上下方向に沿った長尺状の手押部材であることも、当事者間に争いがないから、単管に取り付けられた被告製品は、構成要件2Aを充足し、本件発明2の技術的範囲に属するといえる。 (2) 「その物の生産にのみ用いる物」に該当するか被告製品は、運搬台車に挿入される単管に取り付けられて使用されるもの であると認められ(甲26、乙18、弁論の全趣旨)、他方で、これ以外の用途が存在することや、汎用品であるといった事情はうかがわれないから、被告製品は、本件発明2に係る手押部材の「生産にのみ用いる物」に該当すると認められる。 これに対し、被告らは、構成要件2Aの「運搬台車の4隅に位置する上下 方向に沿った挿入孔に挿入され…た長尺状の手押部材」が運搬台車の4隅に 位置する4本の手押部材を意味するという解釈を前提に、被告製品は、運搬台車に2本のみ挿入された手押部材にも使用されるから、社会通念上、経済的及び実用的な他の用途が存在する旨主張する。しかし、前記(1)アで説示したとおり、構成要件2Aの「手押部材」については、2つないし4つの挿入孔に挿入される場合を含むものと解すべきであるから、被告らの上記主張 は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 (3) 小括したがって、被告らが、業として、被告製品の生産、譲渡、貸渡し又 を含むものと解すべきであるから、被告らの上記主張 は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 (3) 小括したがって、被告らが、業として、被告製品の生産、譲渡、貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出をした行為(前提事実(8))については、本件特許権2の間接侵害(特許法101条1号)が成立する。 4 争点3-1(公然実施を理由とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如)について(1) 公然実施の時期について証拠(乙8、35)によれば、長岡産業は、台車を握る手を保護する用途に用いるため、平成26年2月から、「パイプカバー(安全カバー)」の販売 を開始し、平成28年3月から、同「パイプカバー(安全カバー)」とはその外径及び厚みが異なる「ペフ安全カバー」の販売を開始し、同年8月22日、「パイプカバー(安全カバー)」と同一構成の商品である「台車用安全カバーおててまもるくん」の販売を開始したことが認められる。したがって、上記のいずれの商品も、本件優先日である同月31日よりも前に、長岡産業 によって同社の顧客に販売されていたことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。 以上の経緯によれば、「台車用安全カバーおててまもるくん」と同一構成の「パイプカバー(安全カバー)」が販売開始された平成26年2月には、乙8文献に記載された商品の販売によって、同商品に係る発明が公然実施さ れたと認められる。 (2) 本件発明1-1との対比ア発明の認定乙8文献には、運搬台車の逆U字状金属パイプのカーブ部に、側面の切り込みを開いて金属パイプを挟み込むように取り付けられる、略円筒形の台車用安全用カバーの写真及び台車用安全カバーを金属パイプに取り付け た後、金属パイプの水平部を人の イプのカーブ部に、側面の切り込みを開いて金属パイプを挟み込むように取り付けられる、略円筒形の台車用安全用カバーの写真及び台車用安全カバーを金属パイプに取り付け た後、金属パイプの水平部を人の手が握っている写真(別紙図面等目録記載1の写真参照)が掲載されており、この写真とともに、「台車用安全カバー」、「事故防止にお役に立ちます!」及び「台車運搬時の安全対策品」との記載があることが認められ、同写真及び記載にある商品の販売によって、次の構成を有する発明(以下「乙8-1-1’発明」という。)が公 然実施されたと認められる。 乙8-1-1a’ 運搬台車の逆U字状金属パイプに対して取り付けられる台車用安全用カバーからなる保護部材であって、乙8-1-1b’ 前記運搬台車の逆U字状金属パイプが台車の使用 者が手で掴むグリップ部を備え、乙8-1-1c’ 前記運搬台車の逆U字状金属パイプのグリップ部より下方に位置し、壁と台車との間に手が挟まれる事故を防止する台車用安全カバーと、乙8-1-1d’ 台車用安全カバーは取付穴を有し、 乙8-1-1e’ 台車用安全カバーは、円筒形である乙8-1-1f’ ことを特徴とする保護部材イ対比(ア) 構成要件1-1Aと構成乙8-1-1a’の対比本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「長尺の棒 状部材」が、「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入され」(構成要件 1-1A)、かつ、「前記取付穴に前記棒状部材が挿入される」(構成要件1-1E)との記載があり、この記載から、「棒状部材」の一端が運搬台車の挿入孔に挿入され、かつ、他端が取付穴に挿入され得る構成を有していることを規定していると理解できるが、本件特許1の特許請求の範囲及び本件明細 記載があり、この記載から、「棒状部材」の一端が運搬台車の挿入孔に挿入され、かつ、他端が取付穴に挿入され得る構成を有していることを規定していると理解できるが、本件特許1の特許請求の範囲及び本件明細書1には、「棒状」を明確に定義又は特定する記載 はない。 この点、広辞苑第5版(乙42)において、「棒」とは、「①手に持てるほどの細長い木・竹・金属などの称。」を意味するとされていることから、通常、「棒状」とは、「手に持てるほどの細長い木・竹・金属のようなもの」を意味すると認められ、構成要件1-1Eの「棒状」もこの ように理解することができる。 そして、乙8文献には、台車用安全カバーが運搬台車の逆U字状金属パイプ(以下「パイプ部材」ともいう。)に対して取り付けられ、人の手が同パイプ部材の水平部を把持している様子が掲載されていること(別紙図面等目録記載1の写真参照)に照らして、乙8―1-1’発明 においては、同パイプ部材の水平部を握って運搬台車を操作することが想定されているといえる。したがって、上記のパイプ部材は、手に持てるほどの細長い金属であると理解することができ、「棒状」の部材であるといえる。 この点について、原告は、「棒状部材」とは、曲がった部分のない一 直線の部材であることを意味しており、乙8-1-1’発明は、本件発明1-1の「棒状部材」の構成を備えない旨主張するが、前記の「棒状」の通常の意味に照らし、本件発明1-1の「棒状部材」との文言が、曲がった部分のない一直線の部材であることまで規定しているものと解することは困難である。よって、原告の上記主張は採用することができな い。 ただし、乙8文献によっても、乙8-1-1’発明のパイプ部材は、「挿入孔」に挿入されているとは認め難いため ことは困難である。よって、原告の上記主張は採用することができな い。 ただし、乙8文献によっても、乙8-1-1’発明のパイプ部材は、「挿入孔」に挿入されているとは認め難いため、この点は相違点となる。 したがって、乙8-1-1’発明は、構成要件1-1Aの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (イ) 構成要件1-1Bと構成乙8-1-1b’の対比 本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「…保護部材であって、…グリップ部と、…保護部と、…を有し」(構成要件1-1Aないし1-1D)との記載があり、この記載から、「保護部材」が「グリップ部」と「保護部」を備えると理解することができる。 これに対し、乙8文献には、パイプ部材に台車用安全カバーを装着 後、人の手が同パイプ部材の水平部を把持している様子の写真が掲載されていること(別紙図面等目録記載1の写真参照)に照らすと、乙8―1-1’発明は、「保護部材」に相当する台車用安全カバーが「グリップ部」に相当する構成を備えているのではなく、運搬台車のパイプ部材が「グリップ部」に相当する構成を備えているにすぎないと認められる から、本件発明1-1の「保護部材」が「グリップ部」を備えるとの構成を有しているとはいえない。 したがって、乙8-1-1’発明は、構成要件1-1Bの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (ウ) 構成要件1-1Cと構成乙8-1-1c’の対比 本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて…保護する保護部」(構成要件1-1C)、「前記保護部は、略円形である」(構成要件1-1E)との記載があり、この記載から、「保護部」と 部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて…保護する保護部」(構成要件1-1C)、「前記保護部は、略円形である」(構成要件1-1E)との記載があり、この記載から、「保護部」と「グリップ部」との位置関係としては、「保護部」が「グリップ部」 の下側に位置しており、略円形である「保護部」の外周面と「グリップ 部」の外周面の位置関係としては、「保護部」の外周面が「グリップ部」の外周面と比較して相対的に「外側」に突出していると理解することができる。 これに対し、乙8文献には、台車用安全カバーがパイプ部材のカーブ部に取り付けられ、人の手が同パイプ部材の水平部を把持している様子 の写真が掲載されていること(別紙図面等目録記載1の写真参照)に照らすと、乙8-1-1’発明の台車用安全カバーは、運搬台車のパイプ部材の「グリップ部」より下方に位置し、壁とパイプ部材の間に手が挟まれる事故を防止する台車用安全カバーではあるけれども、パイプ部材のカーブ部に取り付けられるものであって、台車用安全カバーの軸方向 とパイプ部材の水平部に存在する「グリップ部」の軸方向とが異なると認められるから、台車用安全カバーと「グリップ部」とは、台車用安全カバーの外周面が「グリップ部」の外周面の外側にあるか否かを比較できる位置関係にない。 したがって、乙8-1-1’発明は、構成要件1-1Cの構成を備え ない点で、本件発明1-1と相違する。 (エ) 構成要件1-1Dと構成乙8-1-1d’の対比本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、」(構成要件1-1D)及び「…を特徴とする保護部材。」(構成要件1-1F)との記載があり、この記載か ら、「挿入」とは、「棒状部材 (請求項1)には、「棒状部材が挿入される取付穴と、を有し、」(構成要件1-1D)及び「…を特徴とする保護部材。」(構成要件1-1F)との記載があり、この記載か ら、「挿入」とは、「棒状部材」の棒軸と「保護部材」の穴軸とを一致させて差し込む態様であると理解することができる。 しかし、乙8文献には、台車用安全カバーが、同台車用安全カバーに設けられた切り込みからパイプ部材を挟み込む方法によりパイプ部材に取り付けられる様子の写真が掲載されており、パイプ部材を台車用安全 カバーの切り込みを閉じた状態で台車用安全カバーの穴に挿入して使用 する使用態様があることをうかがわせる記載や写真の掲載はないこと(別紙図面等目録記載1の写真等参照)に照らすと、乙8-1-1’発明の台車用安全カバーは、台車用安全カバーに設けられた切り込みからパイプ部材を挟み込む方法により取り付けるための「取付穴」を有していると認められるが、パイプ部材の棒軸と取付穴の穴軸を一致させて差 し込む「挿入」態様の「取付穴」を有しているとはいえない。 したがって、乙8-1-1’発明は、構成要件1-1Dの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (オ) 構成要件1-1Eと構成乙8-1-1e’の対比本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「前記取付 穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形であること」(1-1E)との記載があるところ、「棒状部材」が「取付穴」に「挿入」されるものであるという両者の関係に照らすと、「略円形」とは、「棒状部材」の棒軸と「取付穴」の穴軸が一致している状態において、同棒軸又は同穴軸の方向から見た「保護部」の形状であると 理解することができる。 これに対し、乙8-1-1’発明の 形」とは、「棒状部材」の棒軸と「取付穴」の穴軸が一致している状態において、同棒軸又は同穴軸の方向から見た「保護部」の形状であると 理解することができる。 これに対し、乙8-1-1’発明の台車用安全カバーは、前記(エ)で説示したとおり、台車用安全カバーに設けられた切り込みから、パイプ部材を挟み込む方法により取り付けられるから、そもそも、「取付穴にパイプ部材が挿入される方向」を観念できない。また、上記台車用安全 カバーは、挟み込む方法により取り付ける方向から見ても、略円形であるとはいえないし、台車用安全カバーが取り付けられた状態、すなわち、「棒状部材」の棒軸と「取付穴」の穴軸が一致している状態においても、「棒状部材」がカーブしているため、穴軸又は棒軸方向から見て略円形であるとはいえない。 したがって、乙8-1-1’発明は、構成要件1-1Eの構成を備え ない点で、本件発明1-1と相違する。 (カ) 構成要件1-1Fと構成乙8-1-1f’の対比本件発明1-1は、構成要件1-1Aないし1-1Dの構成を備える「保護部材」であるのに対して、乙8-1-1’発明の台車用安全カバーは、これらの構成を備える「保護部材」とはいえないから、乙8-1 -1’発明は、構成要件1-1Fの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 ウ相違点の認定前記ア及びイによれば、本件発明1-1と乙8-1-1’発明との相違点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件1-1Aの構成に係る相違点本件発明1-1の「棒状部材」は「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される」のに対して、乙8-1-1’発明の棒状部材は運搬台車の挿入孔に挿入されているとはいえない点(以下、4において「相違点1-①」という。 1の「棒状部材」は「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される」のに対して、乙8-1-1’発明の棒状部材は運搬台車の挿入孔に挿入されているとはいえない点(以下、4において「相違点1-①」という。) (イ) 構成要件1-1Bの構成に係る相違点本件発明1-1は、「保護部材」が「使用者が手で掴むグリップ部」を備えるものであるのに対して、乙8-1-1’発明は、運搬台車のパイプ部材が使用者が手で掴むグリップ部を備えており、台車用安全カバーが同グリップ部を備えるものではない点(以下、4において「相違点 1-②」という。)(ウ) 構成要件1-1Cの構成に係る相違点本件発明1-1は、「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」であるのに対して、乙8-1-1’発明は、壁と台車との間に 手が挟まれる事故を防止する台車用安全カバーではあるけれども、パイ プ部材のカーブ部に取り付けられるため、台車用安全用カバーの外周面はグリップ部の外周面と比較できる位置関係にない点(以下、4において「相違点1-③」という。)(エ) 構成要件1-1D及び1-1Eの構成に係る相違点本件発明1-1は、「前記棒状部材が挿入される取付穴」であり、「取 付穴」に「前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形である」のに対して、乙8-1-1’発明の台車用安全カバーは切れ込みにパイプ部材を挟み込むものであり、挟み込む方向から見て略円形であるとはいえないし、台車用安全カバーを取り付けた状態においても、穴軸又は棒軸方向から見て略円形であるとはいえない点(以下、4 において「相違点1-④」という。)(3) 本件発明1-2との対比ア発明 、台車用安全カバーを取り付けた状態においても、穴軸又は棒軸方向から見て略円形であるとはいえない点(以下、4 において「相違点1-④」という。)(3) 本件発明1-2との対比ア発明の認定乙8文献に記載された商品の販売によって、次の構成を有する発明(以下「乙8-1-2’発明」という。)が公然実施されたと認められる。 乙8-1-2a’ 台車用安全カバーは円柱形状であること乙8-1-2b’ を特徴とする、乙8-1-1a’ないし乙8-1-1e’の構成を備える保護部材イ対比本件発明1-2に係る特許請求の範囲(請求項2)には、「前記保護部 は、円板状である…」との記載があるところ、同記載から、「保護部」は円板のような形状であると理解できるが、本件特許1の特許請求の範囲及び本件明細書1には、「円板」を明確に定義又は特定する記載はない。 そして、広辞苑第7版によれば、「円板」は、「まるい平面板。」を意味するとされ、また、「状」とは、「①すがた。ありさま。」を意味するもの にすぎないことに照らすと、「保護部」は、丸い平面板の形状であると理 解できる。 乙8-1-2’発明の台車用安全カバーの上面及び下面はいずれも平らな円形であり、同発明の台車用安全カバーは、丸い平面板の形状である「保護部」に相当するといえる。この点、乙8-1-2’発明の台車用安全カバーは厚みがある形状であると認められるが(乙8)、本件発明1- 2の特許請求の範囲(請求項2)の記載及び本件明細書1の記載から、構成要件1-2Aが平面板の厚みの有無及び程度を規定していると理解することはできず、乙8-1-2’発明の台車用安全カバーに厚みがあることは、台車用安全カバーが丸い平面板の形状すなわち「円板状」に相当する 件1-2Aが平面板の厚みの有無及び程度を規定していると理解することはできず、乙8-1-2’発明の台車用安全カバーに厚みがあることは、台車用安全カバーが丸い平面板の形状すなわち「円板状」に相当するとの認定を妨げないというべきである。 したがって、本件発明1-1と乙8-1-2’発明は、構成要件1-2Aの構成を備える点で一致する。 ウ相違点の認定前記ア及びイによれば、本件発明1-2と乙8-1-2’発明との相違点は、前記(2)ウの相違点1-①ないし1-④と同一であると認められる。 (4) 本件発明1-3との対比ア発明の認定乙8文献に記載された商品の販売によって、次の構成を有する発明(以下「乙8-1-3’発明」という。)が公然実施されたと認められる。 乙8-1-3a’ 運搬台車の逆U字状金属パイプに対して取り付けら れる台車用安全用カバーからなる保護部材であって、乙8-1-3b’ 運搬台車の逆U字状金属パイプが運搬台車の使用者が手で掴むグリップ部を備え、乙8-1-3c’ 運搬台車の逆U字状金属パイプのグリップ部の下側に位置し、壁と運搬台車との間に手が挟まれる事故 を防止する台車用安全カバーと、 乙8-1-3d’ 台車用安全カバーは取付穴を有し、乙8-1-3e’ 台車用安全カバーは、円柱形上である乙8-1-3f’ ことを特徴とする保護部材イ相違点の認定前記(2)及び(3)で説示したところによれば、本件発明1-3と乙8-1 -3’発明の相違点は、相違点1-①ないし1-④と同一であると認められる。 (5) 本件発明1-4との対比ア発明の認定乙8文献に記載された商品の販売によって、次の構成を有する発明(以 下「乙8-1-4’発明」と ①ないし1-④と同一であると認められる。 (5) 本件発明1-4との対比ア発明の認定乙8文献に記載された商品の販売によって、次の構成を有する発明(以 下「乙8-1-4’発明」という。)が公然実施されたと認められる。 乙8-1-4c’ 乙8-1-1a’ないし乙8-1-1e’、乙8-1-2a’及び乙8-1-2b’又は乙8-1-3a’ないし乙8-1-3e’の何れかの構成を備える保護部材。 イ相違点の認定前記(2)及び(3)で説示したところによれば、本件発明1-4と乙8-1-4’発明には、相違点1-①ないし1-④があると認められ、さらに、両発明には、本件発明1-4の構成に係る次の相違点があると認められる。 (ア) 構成要件1-4Aに係る相違点 本件発明1-4は、「グリップ部」が「略円筒状」であるのに対して、乙8-1-4’発明のパイプ部材は、「略円筒状」ではあるけれども、グリップ部を構成するものではない点(以下、4において「相違点1-⑤」という。)。 (イ) 構成要件1-4Bに係る相違点 本件発明1-4は、「グリップ部の内部に前記取付穴が位置している」 との構成を有しているのに対して、乙8-1-4’発明は、パイプ部材の内部に穴があったとしても「取付穴」としての構成を備えない点(以下、4において「相違点1-⑥」という。)。 (6) 本件発明2との対比ア発明の認定 乙8文献に記載された商品の販売によって、次の構成を有する発明(以下「乙8-2’発明」という。)が公然実施されたと認められる。 乙8―2a’ 運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための逆U字状金属パイプであって、乙8-2b’ 逆U字状金属パイプの水平部にあり、台車の使用者が 手で 施されたと認められる。 乙8―2a’ 運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための逆U字状金属パイプであって、乙8-2b’ 逆U字状金属パイプの水平部にあり、台車の使用者が 手で掴むグリップ部と、乙8-2c’ 逆U字状金属パイプのカーブ部にあり、壁と台車との間に手が挟まれる事故を防止する台車用安全カバー(保護部)と、を有する乙8-2d’ ことを特徴とするパイプ部材 イ対比(ア) 構成要件2Aと構成乙8-2a’の対比本件発明2に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され…前記上下方向に沿った長尺状の手押部材…」(構成要件2A)との記載があるところ、同記 載から、「長尺状の手押部材」は、挿入孔の上下方向と一致した上下方向に沿って長く延びる「手押部材」であると理解できる。 これに対し、乙8文献によれば、乙8-2’発明の台車用安全カバーが取り付けられるのは、逆U字状のパイプ部材であると認められるところ、このパイプ部材は、上下方向に沿って長く延びているものとはいえ ない。また、乙8文献によっても、乙8-2’発明のパイプ部材は、挿 入孔に挿入されているものとは認め難い。 したがって、乙8-2’発明は、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入され…前記上下方向に沿った長尺状の手押部材…」(構成要件2A)の構成を有しているとはいえず、この点で本件発明2と相違する。 (イ) 構成要件2Bと構成乙8-2b’の対比本件発明2に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「…手押部材であって、」(構成要件2A)、「使用者が手で掴むグリップ部と、」(構成要件2B)、「…保護部と、…」(構成要件2C)、「を特徴とする手押部 件発明2に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「…手押部材であって、」(構成要件2A)、「使用者が手で掴むグリップ部と、」(構成要件2B)、「…保護部と、…」(構成要件2C)、「を特徴とする手押部材」(構成要件2D)との記載があるところ、同記載から、「手押部材」 は、「グリップ部」と「保護部」を有すると理解することができ、また、前記(ア)で説示したとおり、「手押部材」が上下方向に沿って長く延びる「手押部材」であると理解できることを考慮すると、「グリップ部」は、「手押部材」と同様に、上下方向に位置すると理解することができる。 これに対し、前記(2)イ(ウ)で説示したとおり、乙8-2’発明の使用者が手で掴む部分は、パイプ部材の水平部であるから、上下方向に位置する「グリップ部」の構成を有しているとはいえない。 したがって、乙8-2’発明は、構成要件2Bの構成を備えない点で、本件発明2と相違する。 (ウ) 構成要件2Cと構成乙8-2c’の対比本件発明2に係る特許請求の範囲(請求項1)には、「…前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて…保護部と…」(構成要件2C)との記載があり、この記載から、「保護部」 と「グリップ部」との位置関係としては、「保護部」が「上下方向に対 して直交する方向」すなわち水平方向から見て「グリップ部」と重ならない位置に配置されており、略円形である「保護部」の外周面と「グリップ部」の外周面との位置関係としては、「保護部」の外周面が「グリップ部」の外周面と比較して相対的に「外側」に突出していると理解することができる。 しかし、乙8-2’発明は、壁と台車との間に手が挟まれる 面との位置関係としては、「保護部」の外周面が「グリップ部」の外周面と比較して相対的に「外側」に突出していると理解することができる。 しかし、乙8-2’発明は、壁と台車との間に手が挟まれる事故を防止する台車用安全カバーではあるけれども、この台車用安全カバーは、パイプ部材のカーブ部に取り付けられるものであって、台車用安全カバーの軸方向とパイプ部材の水平部に存在する「グリップ部」の軸方向とが異なることから、台車用安全カバーの外周面が「グリップ部」の外周 面の外側にあるか否かを比較できる位置関係にない。 したがって、乙8-2’発明は、構成要件2Cの構成を備えない点で、本件発明2と相違する。 (エ) 構成要件2Dと構成乙8-2d’の対比本件発明2は、構成要件2Aないし2Cの構成を備える「保護部材」 を有することを特徴とする「手押部材」(構成要件2D)であるのに対して、乙8-2’発明の台車用安全カバーは、これらの構成を備える「保護部材」とはいえないから、乙8-2’発明は、構成要件2Dの構成を備えない点で、本件発明2と相違する。 ウ相違点の認定 前記ア及びイによれば、本件発明2と乙8-2’発明との相違点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件2A及び2Bの構成に係る相違点本件発明2は、「手押部材」が「挿入孔に挿入され」ており、「手押部材」及び「グリップ部」が「上下方向に沿っ」ているのに対して、乙8 -2’発明は、手押部材が運搬台車の挿入孔に挿入されているとはいえ ず、また、台車用安全カバーが取り付けられるパイプ部材は、逆U字状で、「グリップ部」が手押部材の水平部にある点(以下、4において「相違点2-①」という。)(イ) 構成要件2Cの構成に係る相違点本件発明2は、 全カバーが取り付けられるパイプ部材は、逆U字状で、「グリップ部」が手押部材の水平部にある点(以下、4において「相違点2-①」という。)(イ) 構成要件2Cの構成に係る相違点本件発明2は、「保護部」が「前記上下方向に対して直交する方向か ら見て前記グリップ部と重ならない位置に配置される」のに対して、乙8-2’発明は、「保護部」がカーブ部に配置され、「グリップ部」が水平方向に配置されるため、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置される」構成とはならない点(以下、4において「相違点2-②」という。) また、本件発明2は、「保護部」を「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させ」ることで「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」のに対して、乙8-2’発明の台車用安全用カバーは、壁と台車との間に手が挟まれる事故を防止するものではあるけれども、台車用安全用カバーの外周面は、グリップ部の外周面の外 側にあるか否かを比較できる位置関係にない点(以下、4において「相違点2-③」という。)エ小括以上によれば、本件発明1-1ないし1-4及び本件発明2と公然実施されたと認められる乙8-1-1’発明ないし乙8-1-4’発明及び乙 8-2’発明の間には相違点があるから、本件発明1-1ないし1-4及び本件発明2について、公然実施を理由とする新規性の欠如は認められない。 (7) 進歩性の欠如についてア周知技術について (ア) 運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材につ いて被告らが根拠資料として指摘する文献のうち、少なくとも本件優先日前に頒布された刊行物である乙12文献、乙33文献、乙44文献及び乙52 る挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材につ いて被告らが根拠資料として指摘する文献のうち、少なくとも本件優先日前に頒布された刊行物である乙12文献、乙33文献、乙44文献及び乙52文献には、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入され、上下方向に延びる直線状の棒状部材が記載されているから、上記棒状部材に係 る技術は本件優先日前において周知であったことが認められる(以下、この技術を「周知技術①」という。)。 (イ) 運搬台車の直線状の棒状部材に対して取り付けられる、棒状部材とは別体のグリップ部について被告らが根拠資料として指摘する文献のうち、少なくとも本件優先日 前に頒布された刊行物である乙14文献、乙16文献、乙37文献及び乙38文献には、運搬台車の直線状の棒状部材に対して取り付けられる、棒状部材とは別体のグリップ部が記載されているから、上記グリップ部に係る技術は本件優先日前において周知であったことが認められる(以下、この技術を「周知技術②」という。)。 (ウ) 保護部とグリップ部を一体化した保護部材について被告らは、乙14文献、乙37文献、乙39文献、乙40文献、乙41文献及び乙43文献の記載を根拠に、本件優先日前において、保護部とグリップ部を一体化した保護部材に係る技術は周知であったと主張する。 しかし、以下のとおり、これらの文献により被告ら主張の周知技術を認定することはできない。 a 乙14文献、乙37文献、乙39文献及び乙40文献に記載された保護部は、グリップ部を持つ拳の周囲を囲むような形状(サーベルの護拳様の保護部)をしており、本件各発明に係る、略円形であり、か つ、グリップ部の下部にある保護部(刀の鍔様の保護部)とは、形状 やその位置関係が異なるとい むような形状(サーベルの護拳様の保護部)をしており、本件各発明に係る、略円形であり、か つ、グリップ部の下部にある保護部(刀の鍔様の保護部)とは、形状 やその位置関係が異なるといえる。したがって、上記各文献により、被告ら主張に係る周知技術を認定することはできない。 b 乙41文献には、ローリフトのハンドル装置に関する発明が記載されているところ、同ハンドルは、アクセルグリップの把持部を回転させることにより、ローリフトのドライブホイールを駆動することがで きる機能を有するもので、運搬台車を人力で押して動かすための手押部材又はこれに取り付ける保護部材とはその技術分野を異にしているといえる。したがって、乙41文献により、運搬台車の手押部材又はこれに取り付ける保護部材の技術分野における周知技術を認定することはできない。 c 乙43文献には、長尺のホースあるいは電気ケーブルを巻き取り、又は巻き戻すために用いるリールを備えた手押し運搬車の形状が記載されており、同運搬車の水平ハンドルにはグリップ部が設けられ、その内側には略円形状の部材が取り付けられていることが認められる。 しかし、乙43文献には、前記略円形状の部材が周囲の物体から手 を保護するための部材であることを示唆する記載はない。また、乙43文献に記載された手押し運搬車の地面との接地部にはタイヤが記載されていることと、前記略円形状の部材と上記タイヤとの位置関係に照らすと、前記略円形状の部材は、リールにホース等を巻き取る又は巻き戻す際に、リールを横倒しにした状態とし、タイヤと前記略円形 状の部材の4点で運搬車を安定的に接地させるための接地部材であることがうかがわれる。 そうすると、前記略円形状の部材が、周囲の物体から手を保護する保護部とし 態とし、タイヤと前記略円形 状の部材の4点で運搬車を安定的に接地させるための接地部材であることがうかがわれる。 そうすると、前記略円形状の部材が、周囲の物体から手を保護する保護部として機能する部材とはいえず、乙43文献により被告ら主張の周知技術を認定することはできない。 イ容易想到性について (ア) 本件発明1-1について被告らは、仮に相違点が存在するとしても、乙8文献に記載された発明の台車用安全カバーを、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材(周知技術①)の手で握る部分の下側に取り付ける動機付けがあり、運搬台車とグリップ部を別の部材として、保護部と 一体としたグリップ部を取り付けることは周知技術であったから、上記台車用安全カバーを、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材の手で握る部分の下側に取り付けて得られた構成から、本件発明1-1の構成を達成することは、当業者の設計変更の範囲内にすぎない旨主張する。 そこで検討すると、前記ア(ア)のとおり、相違点1-①、相違点1-③及び相違点④に係る構成を埋めるためには、乙8-1-1’発明に周知技術①を適用する必要があるところ、証拠(乙9、10)及び弁論の全趣旨によれば、周知技術①に係る運搬台車において、握った手が挟まれるという事故が発生するという課題があったことが知られていたと認 められる。しかし、周知技術①に内在する課題が上記の乙8-1-1’発明の課題と共通することを認めるに足りる証拠はなく、また、乙8文献において、周知技術①を適用することの示唆があるとはうかがわれない上、本件全証拠によっても、その他、当業者が相違点1-①の構成に周知技術①を適用する動機付けを基礎付ける事実を認める 、また、乙8文献において、周知技術①を適用することの示唆があるとはうかがわれない上、本件全証拠によっても、その他、当業者が相違点1-①の構成に周知技術①を適用する動機付けを基礎付ける事実を認めることはできな い。そうすると、被告らが指摘するように乙8-1-1’発明の台車用安全カバーを周知技術①の上記棒状部材に取り付けることが技術的に可能であるとしても、本件優先日前において、当業者がそのような適用をする動機付けがあったとまでは認められないというべきである。 また、前記ア(イ)のとおり、相違点1-②の構成に相当する本件優先 日前の周知技術②を認めることができるものの、前記ア(ウ)で説示した とおり、グリップ部と保護部を一体化した保護部材に係る技術が本件優先日前において周知であったとは認められないし、本件全証拠によっても、グリップ部と保護部との一体化が当業者による設計変更の範囲内であることを基礎付ける事実は認められない。 以上によれば、本件発明1-1について、乙8-1-1’発明に基づ く進歩性の欠如を認めることはできないというべきである。 (イ) 本件発明1-2ないし1-4について被告は、前記(ア)と同様の理由で、本件発明1-2ないし1-4を発明することは容易である旨主張する。 しかし、前記(3)ないし(5)のとおり、乙8-1-2’発明ないし乙8 -1-4’発明も、それぞれ相違点1-①ないし1-④を有していると認められるところ、前記(ア)で説示したとおり、それらの相違点について容易想到性を認めることができないから、被告らの上記主張はいずれも理由がない。 (ウ) 本件発明2について 被告らは、仮に相違点が存在するとしても、乙8文献に記載された商品の販売によって公然実施された発明の台車 きないから、被告らの上記主張はいずれも理由がない。 (ウ) 本件発明2について 被告らは、仮に相違点が存在するとしても、乙8文献に記載された商品の販売によって公然実施された発明の台車用安全カバーを運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材に取り付ける動機付けがあると主張するが、前記(6)のとおり、本件発明2と乙8-2’発明との間には、被告らの主張する相違点とは異なる相違点2-①ない し2-③が存在すると認められるから、被告らの主張は理由がないということになる。 なお、相違点2-①については、前記ア(ア)のとおり、その構成に対応する本件優先日前の周知技術①を認めることができるものの、前記(ア)で説示したところと同様の理由により、相違点2-①に周知技術① を適用することについて、容易想到性を認めることができない。 (8) 小括以上によれば、公然実施を理由とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如に係る被告らの主張はいずれも理由がないというべきである。 5 争点3-2(乙9文献又は乙10文献を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如)について (1) 本件発明1-1との対比ア発明の認定乙9文献又は乙10文献には、運搬台車の使用者が運搬台車の長尺の棒状部材を握って操作する様子の写真が掲載され、その様子についての説明が記載されていること(別紙図面等目録記載2及び3の写真参照)に照ら し、長尺の棒状部材に、運搬台車の使用者が手で掴むグリップ部を有する運搬台車(以下「乙9-1-1’発明」という。)が記載されていると認められる。 この点について、被告らは、乙9文献又は乙10文献には、乙9-1-1’発明の運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材 -1-1’発明」という。)が記載されていると認められる。 この点について、被告らは、乙9文献又は乙10文献には、乙9-1-1’発明の運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材 が開示されている旨主張するが、同各文献の記載を見ても、乙9-1-1’発明の運搬台車の4隅に挿入孔があるかどうか、また、長尺の棒状部材が同挿入孔に挿入されているかどうかは明確ではないといわざるを得ず、同主張を採用することはできない。 イ相違点の認定 前記アの認定によれば、本件発明1-1と乙9-1-1’発明との相違点は次のとおりであると認められる。 本件発明1-1は、「使用者が手で掴むグリップ部」(構成要件1-1B)と「前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように 保護する保護部」(構成要件1-1C)と「前記棒状部材が挿入される取 付穴」(構成要件1-1D)とを有する「保護部材」であって、「保護部材」は、「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の棒状部材に対して取り付けられる」(構成要件1-1A)ものであり、かつ「前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形」(構成要件1-1E)であるのに対して、乙9-1-1’発明は保護部材 を備えない点(以下、5において「相違点1-①」という。)(2) 本件発明1-2との対比乙9文献又は乙10文献には、乙9-1-1’発明と同一の構成を有する発明(以下「乙9-1-2’発明」という。)が記載されている。 本件発明1-2と乙9-1-2’発明は、前記(1)イの相違点1-①に加 えて、次の点において相違する。 本件発明1-2は、「保護部」が「 「乙9-1-2’発明」という。)が記載されている。 本件発明1-2と乙9-1-2’発明は、前記(1)イの相違点1-①に加 えて、次の点において相違する。 本件発明1-2は、「保護部」が「円板状である」(構成要件1-2A)のに対し、乙9-1-2’発明には保護部を備える保護部材がない点(以下、5において「相違点1-②」という。)(3) 本件発明1-3との対比 乙9文献又は乙10文献には、乙9-1-1’発明と同一の構成を有する発明(以下「乙9-1-3’発明」という。)が記載されている。 本件発明1-3と乙9-1-3’発明の相違点は、前記(2)の相違点と同一である。 (4) 本件発明1-4との対比 乙9文献又は乙10文献には、乙9-1-1’発明と同一の構成を有する発明(以下「乙9-1-4’発明」という。)が記載されている。 ア本件発明1-1を引用する本件発明1-4との対比本件発明1-1を引用する本件発明1-4と乙9-1-4’発明は、前記(1)イの相違点1-①に加えて、次の点において相違する。 本件発明1-4の「グリップ部の内部に」棒状部材が挿入される「取付 穴」(構成要件1-4B)が位置している「請求項1ないし3の何れか1項に記載の保護部材」(構成要件1-4C)であるのに対し、乙9-1-4’発明はグリップ部を備える保護部材がない点(以下、5において「相違点1-③」という。)イ本件発明1-2又は本件発明1-3を引用する本件発明1-4との対比 本件発明1-2又は本件発明1-3を引用する本件発明1-4と乙9-1-4’発明は、相違点1-①ないし相違点1-③の点で相違する。 (5) 本件発明2との対比ア発明の認定乙9文献又は乙10文献には、運搬台車の使用者が運搬台車 る本件発明1-4と乙9-1-4’発明は、相違点1-①ないし相違点1-③の点で相違する。 (5) 本件発明2との対比ア発明の認定乙9文献又は乙10文献には、運搬台車の使用者が運搬台車の長尺の棒 状部材を握って操作する様子の写真が掲載され、その様子についての説明が記載されていること(別紙図面等目録記載2及び3の写真参照)に照らし、運搬台車を走行させるときに使用者が手で掴むグリップ部を有する上下方向に沿った長尺上の手押部材(以下「乙9-2’発明」という。)が記載されていると認められる。 イ相違点の認定前記アの認定によれば、本件発明2と乙9-2’発明との相違点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件2Aに係る相違点本件発明2は、「運搬台車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔 に挿入され、前記運搬台車を走行させるときに使用者が手で押すための前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」(構成要件2A)であるのに対して、乙9-2’発明は、4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔の有無が不明であり、長尺状の手押部材が挿入孔の上下方向に沿ったものであるのか不明である点(以下、5において「相違点2-①」という。) (イ) 構成要件2Cに係る相違点 本件発明2は、「手押部材」が「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対して、乙9-2’発明は、保護部を有していない点(以下、5において「相違 点2-②」という。)(6) 容易想到性ア本件発明1-1について(ア) 乙8-1-1発明を副引用発明とす に対して、乙9-2’発明は、保護部を有していない点(以下、5において「相違 点2-②」という。)(6) 容易想到性ア本件発明1-1について(ア) 乙8-1-1発明を副引用発明とする容易想到性について被告らは、乙9-1-1発明に、乙8-1-1発明を組み合わせるこ とによって、本件発明1-1の構成を得ることができるから、当業者が本件発明1-1を発明することは容易であったと主張する。 しかし、前記4(2)イ(イ)のとおり、乙8文献に記載された商品の販売によって公然実施されたと認められる乙8-1-1’発明の「グリップ部」は、運搬台車のパイプ部材が有するものであり、「保護部」に相当 する台車用安全カバーと一体のものではないから、乙9-1-1’発明に乙8-1-1’発明を組み合わせたとしても、相違点1-①のうち、「保護部材」が「グリップ部」と「保護部」を備えること、すなわち、「グリップ部」と「保護部」が一体となった構成を得ることはできないから、被告らの上記主張は理由がないというべきである。 (イ) 乙3発明を副引用発明とする容易想到性について被告らは、乙9-1-1発明に、乙3発明を組み合わせることによって、本件発明1-1の構成を得ることができるから、当業者が本件発明1-1を発明することは容易であったと主張する。 そこで検討すると、乙3文献には、運搬台車を手で押すための水平方 向の棒状部材に、2分割をして挟み込みねじ止めをして取り付ける取付 穴を有し、上記棒状部材のグリップ部の外周面よりも外側に突出させてグリップ部を掴んだ手が挟まれるのを防止する、円板状の部材である鍔状のガードに係る発明(被告ら主張の乙3発明)が記載されていると認められる(別紙図面等目録記載9の図面参照)。 しか に突出させてグリップ部を掴んだ手が挟まれるのを防止する、円板状の部材である鍔状のガードに係る発明(被告ら主張の乙3発明)が記載されていると認められる(別紙図面等目録記載9の図面参照)。 しかし、乙3発明のグリップ部は、運搬台車を手で押すための水平方 向の棒状部材が有するものであり、鍔状のガードと一体のものではないから、乙9-1-1’発明に乙3発明を組み合わせたとしても、相違点1-①のうち、「保護部材」が、「グリップ部」と「保護部」を備えること、すなわち、「グリップ部」と「保護部」が一体となった構成を得ることはできないから、被告らの上記主張は理由がないというべきである。 イ本件発明1-2ないし1-4について被告らは、前記アと同様の理由で、当業者が本件発明1-2ないし1-4を発明することは容易であった旨主張するところ、前記(2)ないし(4)のとおり、本件発明1-2ないし1-4と乙8-1-2’発明ないし乙8-1-4’発明との間にも、それぞれ相違点1-①が存在すると認められ るから、前記アで説示したとおり、被告らの主張はいずれも理由がないというべきである。 ウ本件発明2について(ア) 乙8-2発明を副引用発明とする容易想到性について被告らは、乙9-2発明と乙8-2発明は、その技術分野が共通し、 課題も共通するため、乙9-2発明に乙8-2発明を組み合わせる強い動機付けがあったといえ、当業者が本件発明2を発明することは容易であったと主張する。 そこで検討すると、乙9-2’発明と乙8文献に記載された商品の販売によって公然実施されたと認められる乙8-2’発明とでは、いずれ も運搬台車に関する発明であるという点で、技術分野の関連性があると いえる。 また、証拠(乙9、10)及び 品の販売によって公然実施されたと認められる乙8-2’発明とでは、いずれ も運搬台車に関する発明であるという点で、技術分野の関連性があると いえる。 また、証拠(乙9、10)及び弁論の全趣旨によれば、本件優先日前において、運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材については、同棒状部材を正しく握ったとしてもその握った手が挟まれるという事故が発生するという課題が存在したことが認められる。 この課題は、乙9-2’発明と乙8-2’発明とに共通するものであったといえる。 他方で、乙8-2’発明の台車用安全カバーを乙9-2’発明の上記棒状部材に取り付けることが、技術的に可能であったとしても、本件優先日前において、上記棒状部材に台車用安全カバーを取り付ければ、台 車用安全カバーが先に壁等に接触し、グリップ部を握った手と壁との間に隙間が確保され、使用者の手を保護することができるという技術思想が存在していたことを認めるに足りる証拠はない。また、乙9文献及び乙10文献並びに乙8文献のいずれにおいても、乙9-2’発明に乙8-2’発明を組み合わせることの示唆はうかがわれない。 よって、乙9-2’発明と乙8-2’発明は、その技術分野に関連性があり、課題が共通することを考慮してもなお、これらを組み合わせる動機付けがあったとまではいい難く、本件優先日前において当業者が本件発明2を発明することが容易であったとはいえないから、被告らの上記主張は理由がない。 (イ) 乙3発明を副引用発明とする容易想到性について被告らは、前記(ア)と同様の理由で、乙3発明の鍔状のガード及びグリップ部を、乙9-2発明の長尺状の棒状部材に取り付ける強い動機付けがあったといえ、本件発明2を発明することが容易であった旨 いて被告らは、前記(ア)と同様の理由で、乙3発明の鍔状のガード及びグリップ部を、乙9-2発明の長尺状の棒状部材に取り付ける強い動機付けがあったといえ、本件発明2を発明することが容易であった旨主張する。 しかし、前記(ア)で説示したとおり、乙9-2’発明には、その棒状 部材を握った手が挟まれるという事故が発生するという課題が存在したと認められ、乙9-2’発明と乙3発明とは、この課題において共通すると認められるものの、上記棒状部材に鍔状のガードを取り付ければ、鍔状のガードが先に壁等に接触し、グリップ部を握った手と壁との間に隙間が確保され、使用者の手を保護することができるという技術思想が あったことを認めるに足りる証拠はない。 この点について、被告らは、乙3発明の鍔状のガードは、運搬台車の荷台に積載された荷物から手を保護する機能を有しているから、乙3文献には上記技術思想が開示されていると主張するものと理解できるが、次のとおり、同主張は採用することができない。 すなわち、別紙図面等目録記載7の図面には、「台車取り廻し作業で、設備やパレット等との間で手指の挟まれることを防止するため、取っ手の取り付けと正しい持ち手位置の表示を行う。」及び「積荷との干渉を防止するために、支柱と取っ手間の距離を80mm以上確保する。」との記載並びに鍔状のガードの直径は「100φ」すなわち100mmで ある旨の記載があること、証拠(甲36、乙60)及び弁論の全趣旨によれば、人の拳の手のひらから中手骨頭までの長さは約40mm前後であると認められることに照らすと、乙3発明の鍔状のガードは、運搬台車の積荷から手を保護するための部材ではなく、運搬台車の取り廻し作業中に手が運搬台車の側方に存在する設備やパレットに接触する m前後であると認められることに照らすと、乙3発明の鍔状のガードは、運搬台車の積荷から手を保護するための部材ではなく、運搬台車の取り廻し作業中に手が運搬台車の側方に存在する設備やパレットに接触するおそれ があることから、手を正しい持ち手位置に位置させるためのエンドストッパーであると認めるのが相当である。 そうすると、乙9-2’発明の課題解決に対応する技術思想と乙3発明の鍔状のガードの役割すなわち技術思想とは異なっているといえ、乙3文献に乙9-2’発明の課題解決に対応する技術思想が開示されてい るとは認められず、また、乙9文献及び乙10文献並びに乙3文献のい ずれにおいても、乙9-2’発明に乙3発明を適用することについての示唆があるとも認められないというべきである。 よって、乙9-2’発明と乙3発明は、その技術分野が共通し、課題が共通することを考慮してもなお、これらを組み合わせる動機付けがあったとまではいい難く、被告らの上記主張は理由がない。 (7) 小括以上によれば、乙9文献又は乙10文献を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如に係る被告らの主張はいずれも理由がないというべきである。 6 争点3-3(乙1文献を主引用例とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如)について (1) 本件発明1-1との対比ア発明の認定乙1文献においては、「…手押し車が移動中に通路の側壁や荷物、機器に衝突すると、これらに傷つけたり、破損したりする虞れがある。また、手押し車に載せている荷物に損傷を与える虞れがある。」(【0005】)、 「したがって、この種の手押し車には、手押しハンドルや車輪の近辺などに、各種の衝撃緩衝用部材が取り付けられていた。」(【0006】)、「【発明が解決しようとする課題】 。」(【0005】)、 「したがって、この種の手押し車には、手押しハンドルや車輪の近辺などに、各種の衝撃緩衝用部材が取り付けられていた。」(【0006】)、「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の手押し車の衝撃緩衝用部材は、その取り付けられた位置から簡単に移動させることができないので、手押し車を使用する通路の状況等に応じて、手押し車や荷物が損 傷する部位が異なってきても、その部位に応じた位置に移動させることができず、衝撃緩衝用部材としての役目をなさないことがあるという課題を有していた。」(【0007】)及び「…この発明に係る手押し車の衝撃緩衝用部材は、…切欠部2に手の指を差し込むなどして係止孔1aをこじ開けることにより、…手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bの下 部に取り付けたり、図11に示したように、手押し車Hの手押しハンドル 4の立ち上がり部4bの上部に取り付けたり、図12に示したように、手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bの中間部に取り付けたりすることができる。」(【0022】)との記載並びに図1及び図11(別紙図面等目録記載4及び6の図面参照)がある。これらの記載や図面に照らすと、乙1文献には次の構成を有する発明(以下「乙1-1-1’発明」 という。)が記載されていると認められる。 乙1-1-1a’ 手押し車の4隅に位置する挿入孔に挿入される逆U字状パイプであるハンドル4に衝撃緩衝用部材の本体1(保護部)が取り付けられている衝撃緩衝用部材であって、 乙1-1-1b’ 手押し車のハンドル4に使用者が手で掴む水平方向に延びる手押し部4aを備え、乙1-1-1c’ 手押し車の手押し部4aより下方に位置し、壁等と手押し車との間の衝突による破損 乙1-1-1b’ 手押し車のハンドル4に使用者が手で掴む水平方向に延びる手押し部4aを備え、乙1-1-1c’ 手押し車の手押し部4aより下方に位置し、壁等と手押し車との間の衝突による破損を防止する衝撃緩衝用部材の本体1であり、 乙1-1-1d’ 衝撃緩衝用部材の本体1は係止孔1a(取付穴)を有し、乙1-1-1e’ 衝撃緩衝用部材の本体1は、円盤形状である乙1-1-1f’ ことを特徴とする衝撃緩衝用部材イ対比 (ア) 構成要件1-1Aと構成乙1-1-1a’の対比前記4(2)イ(ア)で既に説示したとおり、構成要件1-Aの「棒状」とは、「手に持てるほどの細長い木・竹・金属のようなもの」を意味すると理解することができる。 そして、乙1文献の「…衝撃緩衝用部材は、…係止孔1aをこじ開け ることにより、…手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bの 下部に取り付けたり、図11に示したように、手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bの上部に取り付けたり、…手押し車Hの手押しハンドル4の立ち上がり部4bの中間部に取り付けたりすることができる。」(【0022】)との記載から、衝撃緩衝用部材の本体1が運搬台車の逆U字状のハンドル4の立ち上がり部4bに対して取り付けられる と認められること、図11(別紙図面等目録記載6の図面参照)の4aの部材に、「手押し部4」との名称が付されていることからすると、手押し車Hの使用者は、ハンドル4の手押し部4aを握って運搬台車を操作することが想定されていると認められることから、ハンドル4は、手に持てるほどの細長い金属であり、「棒状」の部材であるといえる。 したがって、本件発明1-1と乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Aの構 定されていると認められることから、ハンドル4は、手に持てるほどの細長い金属であり、「棒状」の部材であるといえる。 したがって、本件発明1-1と乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Aの構成を備える点で一致する。 (イ) 構成要件1-1Bと構成乙1-1-1b’の対比前記4(2)イ(イ)で既に説示したとおり、本件発明1-1に係る特許請求の範囲(請求項1)の記載から、「保護部材」が、「グリップ部」と 「保護部」を備えると理解することができる。 これに対し、乙1文献の「手押し車Hの手押しハンドル4の手押し部4a」(【0021】)との記載及び図6(別紙図面等目録記載5の図面参照)に照らすと、乙1―1-1’発明は、「保護部材」に相当する衝撃緩衝用部材の本体1が手押し部4aを備えているのではなく、運搬台 車のハンドル4が手押し部4aを備えているにすぎないと認められるから、本件発明1-1の「保護部材」が「グリップ部」を備えるとの構成を有しているとはいえない。 したがって、乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Bの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (ウ) 構成要件1-1Cと構成乙1-1-1c’の対比 本件発明1-1の特許請求の範囲(請求項1)には、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」(構成要件1-1C)との記載があり、この記載から、構成要件1-1Cは、「保護部」について、「グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」という機能を果たす構成であると理解できる。また、 前記4(2)イ(ウ)で既に説示したとおり、「保護部」と「グリップ部」との位置関係としては、「保護部」が「グリップ部」の下側に位置しており略円形である「保護部」の外周面 ると理解できる。また、 前記4(2)イ(ウ)で既に説示したとおり、「保護部」と「グリップ部」との位置関係としては、「保護部」が「グリップ部」の下側に位置しており略円形である「保護部」の外周面と「グリップ部」の外周面の位置関係としては、「保護部」の外周面が「グリップ部」の外周面と比較して相対的に「外側」に突出していると理解することができる。 これに対して、乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、衝突防止機能はあるけれども、上下方向の立ち上がり部4bに取り付けられるから、水平方向に延びる手押し部4aと「外側」かどうか比較できる位置関係にない。 したがって、乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Cの構成を備え ない点で、本件発明1-1と相違する。 (エ) 構成要件1-1Dと構成乙1-1-1d’の対比前記4(2)イ(エ)で既に説示したとおり、構成要件1-1Dの「挿入」とは、「棒状部材」の棒軸と、「保護部材」の穴軸とを一致させて差し込む態様であると理解することができる。 しかし、乙1文献の前記(ア)の段落【0022】の記載及び「図5、6に示したように、前記したのと同様な凸凹部5a、5bと、切口2aに設けたネジ孔6に本体1の切片に設けた通孔7からネジ8を捩じ込むようにしたネジ止め構造を組み合わせたものとしている。」【0019】との記載並びに図6(別紙図面等目録記載5の図面参照)に照らすと、 乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、切欠部2から挟み込み、又は 分割した本体1をネジ止めで取り付けるものであって、係止孔1aに挿入するものではないと認められる。 したがって、乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Dの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (オ) 構成要件1-1Eと構成乙1- あって、係止孔1aに挿入するものではないと認められる。 したがって、乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Dの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 (オ) 構成要件1-1Eと構成乙1-1-1e’の対比 前記4(2)イ(オ)で既に説示したとおり、構成要件1-1Eの「略円形」とは、「取付穴」の穴軸と「棒状部材」の棒軸が一致している状態において、同穴軸又は同棒軸から見た「保護部」の形状であると理解することができる。 そして、乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、係止孔1aに行き 当たる切欠部2から、係止孔1aをこじ開け、逆U字状のハンドル4の立ち上がり部4bを挟み込む等の方法により取り付けられるため(前記(エ))、取付穴に立ち上がり部4bが挿入される方向は観念できないが、衝撃緩衝用部材が取り付けられた状態、すなわち取付穴の穴軸と立ち上がり部4bの縦軸が一致する状態における穴軸又は縦軸方向から見た保 護部の形状は、略円形であるといえる。 したがって、本件発明1-1と乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Eの構成を備える点で一致する。 (カ) 構成要件1-1Fと構成乙1-1-1f’の対比本件発明1-1は、構成要件1-1Aないし1-1Dの構成を備え る「保護部材」であるのに対して、乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、構成要件1-1Bないし1-1Cの構成を備える「保護部材」とはいえないから、乙1-1-1’発明は、構成要件1-1Fの構成を備えない点で、本件発明1-1と相違する。 ウ相違点の認定 前記ア及びイによれば、本件発明1-1と乙1-1-1’発明との相違 点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件1-1Bの構成に係る相違点本件発明1-1は、「保護部材」が「グ 前記ア及びイによれば、本件発明1-1と乙1-1-1’発明との相違 点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件1-1Bの構成に係る相違点本件発明1-1は、「保護部材」が「グリップ部」を備えるのに対して、乙1-1-1’発明は、手押し車のハンドル4が手押し部4aを備える点(以下、6において「相違点1-①」という。) (イ) 構成要件1-1Cの構成に係る相違点本件発明1-1は、「長尺の棒状部材に対して取り付けられる保護部材」であって、「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」であるのに対して、乙1-1-1’発明は、壁等と手押し車 との間の衝突による破損を防止する衝撃緩衝用部材であって、手押し部4aが水平方向に延びるため、衝撃緩衝用部材の外側は手押し部4aの外周面と比較できる位置関係にない点(以下、6において「相違点1-②」という。)(ウ) 構成要件1-1Dの構成に係る相違点 本件発明1-1の保護部は、「前記棒状部材が挿入される取付穴」を有するのに対して、乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、切れ込みにハンドル4の立ち上がり部4bを挟み込むことで取り付けるか、分割した本体1をネジ止めで取り付けるものである点(以下、6において「相違点1-③」という。) (2) 本件発明1-2との対比ア発明の認定乙1文献には、次の構成を有する発明(以下「乙1-1-2’発明」という。)が記載されていると認められる。 乙1-1-2a’ 衝撃緩衝用部材は円盤状であること 乙1-1-2b’ を特徴とする、乙1-1-1a’ないし乙1-1 -1e’の構成を備える保護部材イ対比前記4(3)イで説 -2a’ 衝撃緩衝用部材は円盤状であること 乙1-1-2b’ を特徴とする、乙1-1-1a’ないし乙1-1 -1e’の構成を備える保護部材イ対比前記4(3)イで説示したとおり、構成要件1-2Aの「保護部」は、丸い平面板の形状であると認められる。 そして、乙1-1-2’発明の衝撃緩衝用部材は、円盤状であり、丸い 平面板の形状であるといえる。 したがって、本件発明1-2と乙1-1-2’発明は、構成要件1-2Aの構成を備える点で一致する。 ウ相違点の認定前記ア及びイ並びに前記(1)で説示したところによれば、本件発明1- 2と乙1-1-2’発明との相違点は、相違点1-①ないし1-③と同一であると認められる。 (3) 本件発明1-3との対比ア乙1文献に記載された発明の認定乙1文献には、次の構成を有する発明(以下「乙1-1-3’発明」と いう。)が記載されている。 乙1-1-3a’ 手押し車の4隅に位置する挿入孔に挿入される逆U字状パイプであるハンドル4に衝撃緩衝用部材の本体1(保護部)が取り付けられている衝撃緩衝用部材であって、 乙1-1-3b’ 手押し車のハンドル4に使用者が手で掴む水平方向に延びる手押し部4aを備え、乙1-1-3c’ 手押し車の手押し部4aより下方に位置し、壁等と手押し車との間の衝突による破損を防止する衝撃緩衝用部材の本体1であり、 乙1-1-3d’ 衝撃緩衝用部材の本体1は係止孔1a(取付穴) を有し、乙1-1-3e’ 衝撃緩衝用部材の本体1は、円盤状である乙1-1-3f’ ことを特徴とする衝撃緩衝用部材イ相違点の認定前記ア並びに前記(1)及び(2)で説示したところによれば、本件発明 乙1-1-3e’ 衝撃緩衝用部材の本体1は、円盤状である乙1-1-3f’ ことを特徴とする衝撃緩衝用部材イ相違点の認定前記ア並びに前記(1)及び(2)で説示したところによれば、本件発明1- 3と乙1-1-3’発明の相違点は、相違点1-①ないし1-③と同一であると認められる。 (4) 本件発明1-4との対比ア乙1文献に記載された発明の認定乙1文献には、次の構成を有する発明(以下「乙1-1-4’発明」と いう。)が記載されている。 乙1-1-4c’ 乙1-1-1a’ないし乙1-1-1f’、乙1-1-2a’及び乙1-1-2b’又は乙1-1-3a’ないし乙1-1-3e’の何れかの構成を備える保護部材。 イ相違点の認定前記ア及び前記(1)ないし(3)で説示したところによれば、本件発明1-4と乙1-1-4’発明には、相違点1-①ないし1-③があると認められ、さらに、両発明には、次の相違点があると認められる。 (ア) 構成要件1-4Aに係る相違点 本件発明1-4は、「グリップ部」が、「略円筒状」であるのに対して、乙8-1-4’発明のパイプ部材は「略円筒状」ではあるけれども保護部を構成するものではない点(以下、6において「相違点1-④」という。)(イ) 構成要件1-4Bに係る相違点 本件発明1-4は、「グリップ部の内部に前記取付穴が位置している」 との構成を有しているのに対して、乙8-1-4’発明は、パイプ部材の内部に穴があったとしても「取付穴」としての構成を備えない点(以下、6において「相違点1-⑤」という。)(5) 本件発明2との対比ア発明の認定 乙1文献には、次の構成を有する発明(以下「乙1-2’発明」という。)が記載されている。 乙1― 以下、6において「相違点1-⑤」という。)(5) 本件発明2との対比ア発明の認定 乙1文献には、次の構成を有する発明(以下「乙1-2’発明」という。)が記載されている。 乙1―2a’ 手押し車を走行させるときに使用者が手で押すための手押し車の4隅に位置する上下方向に沿った挿入孔に挿入される逆U字状の手押部材であるハンドル4であ って、乙1-2b’ ハンドル4に使用者が手で掴む水平方向に延びる手押し部4aと、乙1-2c’ 壁等と手押し車との間の衝突による破損を防止する衝撃緩衝用部材の本体1と、を有する 乙1-2d’ ことを特徴とする手押部材イ対比(ア) 構成要件2Aと構成乙1-2a’の対比前記4(6)イ(ア)で既に説示したとおり、構成要件2Aの「長尺状の手押部材」は、挿入孔の上下方向と一致した上下方向に沿って長く延びる 「手押部材」であると理解できる。 そして、乙1文献の図11(別紙図面等目録記載6の図面参照)の記載によれば、乙1-2’発明のハンドル4の立ち上がり部4bは、運搬台車の4隅に位置する挿入孔及び挿入孔の上下方向と一致した上下方向に延びていると認められる。 したがって、本件発明2と乙1-2’発明は、構成要件2Aの構成を 備える点で一致する。 (イ) 構成要件2Bと構成乙1-2b’の対比前記4(6)イ(イ)で既に説示したとおり、構成要件2Bの「グリップ部」は、「手押部材」と同様に、上下方向に位置することを規定しているものと理解できる。 これに対し、乙1文献の図11(別紙図面等目録記載6の図面)によれば、乙1-2’発明の使用者が手で掴む部分は、ハンドル4のうち、水平方向に延びる手押し部4aであると認められるから、上下方向の これに対し、乙1文献の図11(別紙図面等目録記載6の図面)によれば、乙1-2’発明の使用者が手で掴む部分は、ハンドル4のうち、水平方向に延びる手押し部4aであると認められるから、上下方向の「グリップ部」の構成を有しているとはいえない。 したがって、乙1-2’発明は、構成要件2Bの構成を備えない点で、 本件発明2と相違する。 (ウ) 構成要件2Cと構成乙1-2c’の対比前記4(6)イ(ウ)で既に説示したとおり、構成要件2Cの「保護部」と「グリップ部」との位置関係としては、「保護部」が「上下方向に対して直交する方向」すなわち水平方向から見て「グリップ部」と重ならな い位置に配置されており、略円形である「保護部」の外周面と「グリップ部」の外周面との位置関係としては、「保護部」の外周面が「グリップ部」の外周面と比較して相対的に「外側」に突出していると理解することができる。 しかし、乙1-2’発明は、壁等と手押し車との間の衝突による破損 を防止する衝撃緩衝用部材を備えるけれども、乙1文献の図11(別紙図面等目録記載6の図面参照)によれば、同部材はハンドル4の立ち上がり部4bに取り付けられると認められるため、衝撃緩衝用部材の外周面が水平方向に延びる手押し部4aの外周面と「外側」であるかを比較できる位置関係にない。 したがって、乙1-2’発明は、構成要件2Cの構成を備えない点で、 本件発明2と相違する。 (エ) 構成要件2Dと構成乙1-2d’の対比本件発明2は、構成要件2Aないし2Cの構成を備える「保護部材」を有することを特徴とする「手押部材」(構成要件2D)であるのに対して、乙1-2’発明の衝撃緩衝用部材は、構成要件2B及び2Cの構 成を備える「保護部材」とはいえないから、乙1- る「保護部材」を有することを特徴とする「手押部材」(構成要件2D)であるのに対して、乙1-2’発明の衝撃緩衝用部材は、構成要件2B及び2Cの構 成を備える「保護部材」とはいえないから、乙1-2’発明は、構成要件2Dの構成を備えない点で、本件発明2と相違する。 ウ相違点の認定前記ア及びイによれば、本件発明2と乙1-2’発明の相違点は次のとおりであると認められる。 (ア) 構成要件2Bに係る相違点本件発明2は、「前記上下方向に沿った長尺状の手押部材」が「グリップ部」と「保護部」を有するのに対して、乙1-2’発明は、逆U字状のハンドル4が手押し部4aと衝撃緩衝用部材の本体1を有し、手押し部4aが水平である点(以下、6において「相違点2-①」という。) (イ) 構成要件2Cに係る相違点本件発明2は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」であるのに対して、乙1-2’発明は、 壁等と手押し車との間の衝突による破損を防止する衝撃緩衝用部材であって、手押し部4aが水平方向に延びるため、衝撃緩衝用部材の外側は手押し部4aの外周面と比較できる位置関係にない点(以下、6において「相違点2-②」という。)エ小括 以上によれば、本件発明1-1ないし1-4及び本件発明2と乙1文献 に記載された乙1-1-1’発明ないし乙1-1-4’発明及び乙1-2’発明の間には相違点があるから、本件発明1-1ないし1-4及び本件発明2について、乙1文献を引用例とする新規性の欠如は認められない。 (6) 容易想到性についてア本件発明1- 明及び乙1-2’発明の間には相違点があるから、本件発明1-1ないし1-4及び本件発明2について、乙1文献を引用例とする新規性の欠如は認められない。 (6) 容易想到性についてア本件発明1-1について 被告らは、仮に相違点が存在するとしても、乙1文献に記載された発明に周知技術①を適用することで、本件発明1-1と同じ構成を達成することができる旨主張する。 しかし、乙1文献に記載された発明に、周知技術①を適用しても、グリップ部と保護部が一体化していないから、相違点1-①を埋めることはで きないし、保護部と一体化したグリップ部がない以上、相違点1-②を埋めることもできない。 さらに、乙1文献の【0022】の記載(前記(1)イ(ア))に照らすと、乙1-1-1’発明の衝撃緩衝用部材は、挟み込みやねじ止めなどにより、ハンドル4の任意の位置に取り付けることができるという機能を有すると ころ、あえてそのような機能を捨象して、本件発明1-1のように端部からの挿入でしか保護部を取り付けることができない態様とする動機付けは認め難いというべきであり、当業者が相違点1-③の構成について容易に想到できたとは認められない。 したがって、本件発明1-1について、乙1文献を主引用例とする進歩 性の欠如を認めることはできないというべきである。 イ本件発明1-2ないし1-4について被告らは、前記アと同様の理由で、本件発明1-2ないし1-4を発明することは容易である旨主張する。 しかし、前記(2)ないし(4)のとおり、乙1-1-2’発明ないし乙1- 1-4’発明も、それぞれ相違点1-①ないし1-③を有していると認め られるところ、前記アで説示したとおり、相違点を埋めて本件発明1-1と同一の構成を達 -1-2’発明ないし乙1- 1-4’発明も、それぞれ相違点1-①ないし1-③を有していると認め られるところ、前記アで説示したとおり、相違点を埋めて本件発明1-1と同一の構成を達成することができないか、相違点についての容易想到性を認めることができないから、被告らの上記主張はいずれも理由がない。 ウ本件発明2について被告らは、仮に相違点が存在するとしても、乙1文献に記載された発明 の運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺状の棒状部材に取り付ける動機付けがあると主張するが、前記(5)のとおり、本件発明2と乙1-2’発明との間には、被告らの主張する相違点とは異なる相違点2-①及び2-②が存在すると認められるから、被告らの主張は理由がないということになる。 なお、相違点2-①については、前記アで説示したのと同様の理由により、容易想到性を認めることができない。 (7) 小括以上によれば、乙1文献を主引用例とする本件各発明の新規性又は進歩性欠如に係る被告らの主張はいずれも理由がないというべきである。 7 争点3-4(乙12文献を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如)について(1) 本件発明1-1との対比ア発明の認定乙12文献には、4隅に位置する挿入孔に上下方向に延びる棒状部材が 挿入された運搬台車の写真が掲載されており(別紙図面等目録記載11の写真参照)、この運搬台車の形態に照らすと、乙12文献には、被告らの主張する乙12-1-1発明が記載されていると認められる。 イ相違点の認定前記アの認定によれば、本件発明1-1と乙12-1-1発明との相違 点は次のとおりであると認められる。 本件発明1-1は、「使用者が手で掴むグリップ部」と イ相違点の認定前記アの認定によれば、本件発明1-1と乙12-1-1発明との相違 点は次のとおりであると認められる。 本件発明1-1は、「使用者が手で掴むグリップ部」と「前記グリップ部の下側に位置し、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」と「前記棒状部材が挿入される取付穴」とを有する「保護部材」であって、「保護部材」は、「運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される長尺の 棒状部材に対して取り付けられる」ものであり、かつ「前記取付穴に前記棒状部材が挿入される方向から見て、前記保護部は、略円形」であるのに対して、乙12-1-1発明は保護部材を備えない点(以下、7において「相違点1-①」という。)(2) 本件発明1-2との対比 乙12文献には、乙12-1-1発明と同一の構成を有する乙12-1-2発明が記載されている。 本件発明1-2と乙12-1-2発明は、前記(1)イの相違点1-①に加えて、次の点において相違する。 本件発明1-2は、保護部が円板状であるのに対し、乙12-1-2発明 は、円板状である保護部を備えない点(以下、7において「相違点1-②」という。)(3) 本件発明1-3との対比乙12文献には、乙12-1-1発明と同一の構成を有する乙12-1-3発明が記載されている。 本件発明1-3と乙12-1-3発明の相違点は、前記(2)の相違点と同一である。 (4) 本件発明1-4との対比乙12文献には、乙12-1-1発明と同一の構成を有する乙12-1-4発明が記載されている。 ア本件発明1-1を引用する本件発明1-4との対比 本件発明1-1を引用する本件発明1 2文献には、乙12-1-1発明と同一の構成を有する乙12-1-4発明が記載されている。 ア本件発明1-1を引用する本件発明1-4との対比 本件発明1-1を引用する本件発明1-4と乙12-1-4発明は、前記(1)イの相違点1-①に加えて、次の点において相違する。 本件発明1-4の「グリップ部」の内部に「棒状部材が挿入される取付穴」(構成要件1-4B)が位置している「請求項1ないし3の何れか1項に記載の保護部材」(構成要件1-4C)であるのに対し、乙12-1 -4発明はグリップ部を備える保護部材がない点(以下、7において「相違点1-③」という。)イ本件発明1-2又は本件発明1-3を引用する本件発明1-4との対比本件発明1-2又は本件発明1-3を引用する本件発明1-4と乙12-1-4発明は、相違点1-①ないし相違点1-③の点で相違する。 (5) 本件発明2との対比ア発明の認定乙12文献には、乙12-2発明が記載されている。 イ相違点の認定本件発明2は、「手押部材」が「前記上下方向に対して直交する方向か ら見て前記グリップ部と重ならない位置に配置されると共に、前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」を有するのに対して、乙12-2発明は、保護部を有していない点(以下、7において「相違点2」という。) (6) 容易想到性についてア本件発明1-1について(ア) 乙41文献を副引用例とする容易想到性についてa 発明の認定乙41文献の「本考案は、ローリフトのハンドル装置に関する。」 【0001】、「前記アクセルグリップ2は、運転者が直接握る部分で ある把持部2Aと についてa 発明の認定乙41文献の「本考案は、ローリフトのハンドル装置に関する。」 【0001】、「前記アクセルグリップ2は、運転者が直接握る部分で ある把持部2Aと、該把持部2Aの外側端に形成された膨出部2Bとから構成される。」及び「図6に示す如く、X方向の障害物に対しては、膨出部2Bの外側端面により運転者の手を保護しうるとともに、Y方向については、膨出部2Bの、円周部分により運転者の手を保護する事が可能となる。」【0015】の記載及び図6(別紙図面等目録 記載10の図面参照)に照らすと、乙41文献には、運転者が直接握る部分である把持部2Aと、把持部2Aの外側端に形成された膨出部2Bと、枢軸3に嵌入装着するための穴を有し、膨出部2Bは、その半径方向に膨出させた円盤状であり、X方向(左右方向)の障害物に対しては、膨出部2Bの外側端面により運転者の手を保護し得るとと もに、Y方向(前後方向)については、膨出部2Bの円周部分により運転者の手を保護する事が可能な、アクセルグリップ2に係る発明が記載されていると認められる。 b 乙12-1-1発明に乙41発明を組み合わせる動機付けについて被告らは、乙12-1-1発明と乙41発明は、課題及び技術分野 を共通にするから、乙12-1-1発明に乙41発明を組み合わせる強い動機付けがあり、これらを組み合わせることにより本件発明1-1-1の構成を得ることができると主張する。 しかし、前記(6)ア(ア)bに記載のとおり、乙41発明は、ローリフトのハンドル装置に関する発明であり、運搬台車を人力で押して動か すための手押部材又はこれに取り付ける保護部材とは、その技術分野を異にしているといえる。 また、乙12文献及び乙41文献において、乙12-1 置に関する発明であり、運搬台車を人力で押して動か すための手押部材又はこれに取り付ける保護部材とは、その技術分野を異にしているといえる。 また、乙12文献及び乙41文献において、乙12-1-1発明に乙41発明を適用することの示唆もうかがわれない。 したがって、乙12-1-1発明と乙41発明は、その課題が共通 していることを考慮してもなお、乙12-1-1発明に乙41発明を 適用する動機付けがあったとは認められない。 c 乙12-1-1発明と乙41発明を組み合わせることにより得られる構成について前記aのとおり、乙41発明の膨出部2Bは、X方向及びY方向の障害物から運転者の手を保護する機能を有しているから、乙12-1-1 発明に乙41発明を適用し、膨出部2Bの機能を利用して課題を解決するには、膨出部2Bを手押部材の端部に取り付ける必要がある。そうすると、乙12-1-1発明と乙41発明を組み合わせて得られる構成は、保護部が「前記グリップ部の下側に位置」するとの構成(構成要件1-1C)を備えているとはいえない。 被告らは、膨出部2Bがグリップ部の下になるように取り付けることで、保護部が「前記グリップ部の下側に位置」するとの構成を得ることができる旨主張する。しかし、被告らの主張する取付方法によると、膨出部2Bの円盤軸方向(X方向)保護機能を捨象することになるため、当業者が、あえてそのような膨出部2Bの装着方向の変更をしてまで、 乙12-1-1発明に乙41発明を適用する動機付けは認め難いといわざるを得ない。したがって、被告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 乙43文献を副引用例とする容易想到性について前記4(7)ア(ウ)c記載のとおり、乙43文献には、長尺のホースある 得ない。したがって、被告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 乙43文献を副引用例とする容易想到性について前記4(7)ア(ウ)c記載のとおり、乙43文献には、長尺のホースある いは電気ケーブルを巻き取り、又は巻き戻すために用いるリールを備えた手押し運搬車に係る発明が記載されており、同運搬車の水平ハンドルにはグリップ部が設けられ、その内側には略円形状の部材が取り付けられていることが認められる。 そして、被告らは、乙12-1-1発明と乙43発明は、課題及び技 術分野を共通にするから、乙12-1-1発明に乙43発明を組み合わ せる強い動機付けがあり、これらを組み合わせることにより本件発明1-1-1の構成を得ることができると主張する。 しかし、前記4(7)ア(ウ)cのとおり、乙43発明の略円形状の部材が、周囲の物体から手を保護する保護部として機能するとはいえないから、乙12-1-1発明に乙43発明を組み合わせても、グリップ部を掴ん だ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部を備える構成とはならず、相違点1-①に係る本件発明1-1の構成を得ることはできない上、乙12-1-1発明と乙43発明の課題が共通するとも認められず、また、乙12文献及び乙43文献において、乙12-1-1発明に乙43発明を適用することの示唆もうかがわれないから、両発明を組み 合わせる動機付けも認められないというべきである。 したがって、被告らの上記主張は理由がない。 イ本件発明1-2ないし1-4について被告らは、前記アと同様の理由で、本件発明1-2ないし1-4を発明することは容易である旨主張するところ、前記(2)ないし(4)のとおり、 乙12-1-2発明ないし乙12-1-4発明も、それぞれ相違 らは、前記アと同様の理由で、本件発明1-2ないし1-4を発明することは容易である旨主張するところ、前記(2)ないし(4)のとおり、 乙12-1-2発明ないし乙12-1-4発明も、それぞれ相違点1-①を有することから、前記アで説示したとおり、被告らの同主張は理由がない。 ウ本件発明2について(ア) 乙41発明を副引用発明とする容易想到性について 被告らは、乙12-2発明と乙41発明は、その技術分野が共通し、課題も共通するため、乙12-2発明と乙41発明を組み合わせる強い動機付けがあったといえ、本件発明2を発明することは容易であったと主張する。 しかし、前記ア(ア)bで説示したのと同様の理由により、乙12-2 発明と乙41発明は、その技術分野を異にしているといえ、また、乙1 2文献及び乙41文献において、乙12-2発明に乙41発明を適用することの示唆もうかがわれないから、乙12-2発明と乙41発明を組み合わせる動機付けがあったとは認められない。 したがって、被告らの上記主張は理由がない。 (イ) 乙43発明を副引用発明とする容易想到性について 被告らは、乙12-2発明と乙43発明は、その技術分野が共通し、課題も共通するため、乙12-2発明と乙43発明を組み合わせる強い動機付けがあったといえ、本件発明2を発明することは容易であったと主張する。 しかし、前記ア(イ)のとおり、乙43発明の略円形状の部材が周囲の 物体から手を保護する保護部として機能するとはいえず、乙12-2発明と乙43発明を組み合わせても、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部を備える構成(相違点2に係る構成)とはならないから、被告らの上記主張は理由がない。 (7) 小括 3発明を組み合わせても、グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部を備える構成(相違点2に係る構成)とはならないから、被告らの上記主張は理由がない。 (7) 小括 以上によれば、乙12文献を主引用例とする本件各発明の進歩性欠如の被告らの主張はいずれも理由がない。 8 争点3-5(明確性要件違反)について(1) 「周囲の物体」(構成要件1-1C、1-3C及び2C)の文言の明確性について 本件発明1-1、本件発明1-3及び本件発明2に係る特許請求の範囲には、「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させて前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する保護部」との記載がある。 この記載から、「保護部」とは、「保護部」を「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させ」ることによって、「保護部」が「前記グリップ部を掴ん だ手」よりも先に「周囲の物体」に接触することで、「前記グリップ部を掴 んだ手が周囲の物体に接触しないように保護」するものであることを理解することができる。 また、本件明細書1には、「ところで、手押し棒を用いて運搬台車を移動させる際には、手押し棒を掴んでいる(握っている)使用者の手が壁等といった周辺に存在する物体に接触する虞がある。」(【0004】)、「ここで、第 1の実施形態に係る手押部材40の効果について、…具体的には、図4は、運搬台車1の移動中において、手押部材40の上端部が壁等の物体Wに接近した状態を模式的に示す図である。図5は、運搬台車1の運搬物Bである板材が手押部材40の上端部に寄り掛かった状態を模式的に示す図である。」(【0022】)、「図5に示すように、板状の資材を運搬台車1で運搬する際 には、板状の資材を手押部材40の上 物Bである板材が手押部材40の上端部に寄り掛かった状態を模式的に示す図である。」(【0022】)、「図5に示すように、板状の資材を運搬台車1で運搬する際 には、板状の資材を手押部材40の上端部に寄り掛けておくことがある。この際、運搬物Bである板状の資材を保護部材42の第1の保護部44に寄り掛けることによって、使用者が手押部材40を掴むスペースを確保でき、かつ、使用者の手H(特に指)が運搬物Bに接触することを防止または抑制できる。」(【0024】との記載があり(前記1(1))、本件明細書2にも同様 の記載がある(前記1(2))。 これらの記載を併せ考慮すると、「周囲の物体」とは、「前記グリップ部を掴んだ手」の「周囲」にある「物体」であって、「前記グリップ部を掴んだ手」に、接触するおそれのあるもの全てを意味するといえる。 したがって、「周囲の物体」(構成要件1-1C、1-3C及び2C)の文 言は、本件発明1-1、本件発明1-3及び本件発明2に係る特許請求の範囲の記載及び本件明細書1及び2の記載に照らして明確であるといえる。 (2) その余の構成要件1-1C、1-3C及び2Cの構成の明確性についてア本件特許1について被告らは、本件発明1-1及び本件発明1-3に係る特許請求の範囲の 記載は、機能的クレームであり、「グリップ部」と「保護部」の間隔が不 明であって、また、本件明細書1及び2の記載を参酌したとしても、「保護部」がどの程度「グリップ部」よりも外側に突出していなければならないのかについて何ら記載されていないから、それらの構成が不明確である旨主張する。 しかし、前記4(2)イ(イ)で説示したとおり、本件発明1-1及び本件発 明1-3に係る特許請求の範囲の記載からは、「保護部材」が「グ されていないから、それらの構成が不明確である旨主張する。 しかし、前記4(2)イ(イ)で説示したとおり、本件発明1-1及び本件発 明1-3に係る特許請求の範囲の記載からは、「保護部材」が「グリップ部」と「保護部」を備えること、すなわち、グリップ部と保護部は一体となっていることを理解することができ、「グリップ部」と「保護部」の間に間隔がある構成を除外しているといえるから、被告らの主張は、その前提に誤りがあり、理由がないというべきである。 また、前記(1)で説示したとおり、本件発明1-1及び本件発明1-3に係る特許請求の範囲の記載から、「保護部」は、「保護部」を「前記グリップ部の外周面よりも外側に突出させ」ることによって、「保護部」が「前記グリップ部を掴んだ手」よりも先に「周囲の物体」に接触することで、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護」 するものであることが理解できる。 したがって、「保護部」については、「グリップ部」を掴んだ手より大きいものであることが明らかにされているといえ、その点について、本件発明1-1及び1-3に係る特許請求の範囲の記載が不明確であるということはできない。 イ本件特許2について被告らは、本件発明2に係る特許請求の範囲の記載についても、前記アと同様の理由から、不明確である旨主張する。 しかし、本件発明2に係る特許請求の範囲の記載は、「前記上下方向に対して直交する方向から見て前記グリップ部と重ならない位置に配置され る…」ことと併せて、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないように保護する」と規定していることから、「グリップ部」と「保護部」の間隔は、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」こと 部を掴んだ手が周囲の物体に接触し ないように保護する」と規定していることから、「グリップ部」と「保護部」の間隔は、「前記グリップ部を掴んだ手が周囲の物体に接触しないように保護する」ことができる範囲内であればよいことを理解することができ、不明確であるということはできない。 また、前記アで既に説示したとおり、「保護部」については、グリップ 部を掴んだ手より大きいものであることが明らかにされているといえ、不明確であるということはできない。 したがって、本件発明2に係る特許請求の範囲の記載が不明確であるとの被告らの主張は理由がない。 9 争点5(本件各意匠と被告製品の意匠の類否)について (1) 認定事実ア本件意匠1について別紙原告意匠権目録1の【図面】によれば、本件意匠1の基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおりであると認められる。 (ア) 基本的構成態様 1A 全体が、円筒状のグリップ部と、該グリップ部の外周面よりも外側に突出させる円形状の保護部を有する。 (イ) 具体的構成態様グリップ部は、1B 手押部材の上端部に設けられ、手押部材との比率が縦方向で1 対7であり、1C 直径は手押部材と同一である。 1D グリップ部の表面は凹凸がない。 円形状の部材は、1E 手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は3である。 1F 円形状の部材は、グリップ部の下端に設けられており、 1G 円形状の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りされた形状になっている。 1H 円形状の部材の底面は平面である。 1I 保護部を底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成されている。 (ウ) 被告らの主張についてa 被告 取りされた形状になっている。 1H 円形状の部材の底面は平面である。 1I 保護部を底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成されている。 (ウ) 被告らの主張についてa 被告らは、上面から見ると円筒状の内部が空洞であることや、円形状の部材が手押部材の下端に取り付けられた補強部材の上方かつ取付部材の直上に位置することも、本件意匠1の構成態様であると主張する。 確かに、一定の機能及び用途を有する「物品」を離れての意匠はあり得ず、部分意匠においても、部分意匠に係る物品において、意匠登録を受けた部分がどのような機能及び用途を有するものであるかを、その類否判断の際に参酌すべき場合があり、また、物品全体の形態との関係における、部分意匠として意匠登録を受けた部分の相対的な位 置、大きさ、範囲についても、破線部によって具体的に示された形状を参酌して定めるべき場合はあるといえる。前記(イ)の具体的構成態様1Bの構成は、このような観点を踏まえて、部分意匠の物品全体との相対的な位置関係を明らかにするものである。 他方で、部分意匠制度は,破線部によって示された物品全体の形態 について、同一又は類似の物品の意匠と異なるところがあっても、部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の場合に、登録を受けた部分意匠を保護しようとするものであるから、部分意匠の認定において、破線部で示された部分の形状等が、当該意匠を構成する一部として直接問題とされるべきものではない。 そこで検討すると、被告らの主張は、部分意匠の物品全体との相対 的な位置関係を明らかにする趣旨を超えて、破線で示された部分の形状や、破線で示された他の部品が存在することを指摘し、当該他の部品と実線で示された部分との位置関係を、当該意匠を構成する一 的な位置関係を明らかにする趣旨を超えて、破線で示された部分の形状や、破線で示された他の部品が存在することを指摘し、当該他の部品と実線で示された部分との位置関係を、当該意匠を構成する一部として特定し、問題とするものであるから、同主張を採用することはできない。 b また、被告らは、グリップ部と円形状の部材とは別部材から構成されていることも本件意匠1の構成態様である旨主張する。 しかし、別紙原告意匠権目録記載1の【図面】の記載から、グリップ部と円形状の部材が別部材から構成されているか否かを看取することはできないから、被告らの上記主張は採用することができない。 イ本件意匠2別紙原告意匠権目録1の【図面】によれば、本件意匠2の基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおりであると認められる。 (ア) 基本的構成態様2A グリップ部の外周面よりも外側に突出された円形状の保護 部。 (イ) 具体的構成態様2B 手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は3である。 2C 円形状の部材は、手押部材の縦の長さを7等分した場合、上 部から数えて1分割目に位置しており、2D 円形状の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りされた形状になっている。 2E 円形状の部材の底面は平面である。 2F 保護部を底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成 されている。 (ウ) 被告らの主張について被告らは、本件意匠2の円形状の部材は、手押部材の下端に取り付けられた補強部材の上方かつ取付部材の直上に位置すること、グリップ部とは別部材から構成されていることも構成態様として主張するが、前記ア(ウ)で説示したとおり、同主張は採用することができない。 ウ被 補強部材の上方かつ取付部材の直上に位置すること、グリップ部とは別部材から構成されていることも構成態様として主張するが、前記ア(ウ)で説示したとおり、同主張は採用することができない。 ウ被告製品に係る形状(ア) 運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠1に相当する部分について運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠1に相当する部分は、次の基本的構成態様及び具体的構成態様から成る(前提事実(9)。 以下、この部分の意匠を「被告意匠1’」という。)。 a 基本的構成態様1A’ 全体が、円筒状のグリップ部と、該グリップ部の外周面よりも外側に突出させる円形状の保護部を有する。 b 具体的構成態様 グリップ部は、1B’ 手押部材の上端部に設けられ、手押部材との比率が縦方向で1対6.7ないし7.55であり、1C’ 直径は手押部材よりもやや長く、1D’ グリップ部の外周面には円環状の凸条が等間隔に9本形成 されている。 円形状の部材は、1E’ 手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は 2. 6ないし2.7であり、1F’ 円形状の部材は、手押部材の上端部に設けられたグリッ プ部の下端に設けられており、 1G’ 円形状の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りされた形状になっており、1H’ 円形状の部材の底面は平面である。 1I’ 保護部を底面から見ると、底面は中心の取付穴から放射状に8本のリブが形成されている。 (イ) 運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠2に相当する部分について運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠2に相当する部分は、次の基本的構成態様及び具体的構成態様からなる イ) 運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠2に相当する部分について運搬台車の単管の上端部に取り付けた場合の本件意匠2に相当する部分は、次の基本的構成態様及び具体的構成態様からなる(前提事実(9)。 以下、この部分を「被告意匠2’」という。)。 a 基本的構成態様2A’ グリップ部の外周面よりも外側に突出された円形状の保護部。 b 具体的構成態様2B’ 手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は2.6 ないし2.7であり、2C’ 円形状の部材は、手押部材の縦の長さを6.7等分ないし7.55等分した場合、上部から数えて1分割目に位置しており、2D’ 円形状の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りさ れた形状になっており、2E’ 円形状の部材の上面は平面である。 2F’ 保護部を底面から見ると、底面は中心の取付穴から放射状に8本のリブが形成されている。 (ウ) 被告らの主張について 被告らは、被告製品が取付可能な単管の長さは、1mのほか、90c m、120cm等、それ以外の長さのものも存在しているところ、単管が90cmの場合は1対6.70ないし6.81、単管が120cmの場合は1対8.92ないし9.03となり、それ以外の比率も存在するから、グリップ部と単管の比率は1対7にはならないと主張する。 しかし、被告大同機械のウェブサイトにおいて、被告運搬台車においては、安全性の観点から1m以下の単管を使用するよう記載されていると認められること(甲26、弁論の全趣旨)に照らすと、被告製品は、通常1m以下の単管に使用されるものと認められるから、単管が120cmの場合の比率も考慮すべきであるとの被告の主張は採用で きないというべきである。 (2) 全趣旨)に照らすと、被告製品は、通常1m以下の単管に使用されるものと認められるから、単管が120cmの場合の比率も考慮すべきであるとの被告の主張は採用で きないというべきである。 (2) 意匠に係る物品の同一性本件各意匠に係る物品は、いずれも「運搬台車用の手押部材」である一方、被告製品は、ハンドグリップであり、運搬台車の単管の上端部に取り付けられ、その場合には、運搬台車の単管とともに運搬台車の手押部材(以下 「被告意匠に係る物品」という。)となる(甲26、乙18)。 そして、別紙原告意匠権目録の【意匠に係る物品の説明】及び【使用状態を示す参考図】並びに被告大同機械の販売する「楽輪車」のカタログの記載(乙18)に照らすと、本件各意匠に係る物品と、被告意匠に係る物品は、運搬台車に取り付けられて使用され、グリップ部を握った手を周囲の物体か ら保護する機能を有する物品であり、その用途と機能を同一にするといえる。 したがって、本件各意匠に係る物品と被告意匠に係る物品は、同一であると認められる。 (3) 意匠に係る形状の類似性についてア本件意匠1と(単管に取り付けられた)被告意匠1’との対比 (ア) 共通点 本件意匠1と被告意匠1’は、いずれも、円筒状のグリップ部と、該グリップ部の外周面よりも外側に突出させる円形状の保護部を有する点(1A及び1A’)、グリップ部が手押部材の上端部に設けられる点(1B及び1B’)、円形状の部材は、グリップ部の下端に設けられている点(1F及び1F’)、円形状の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面 取りされた形状になっている点(1G及び1G’)、円形状の部材の底面はいずれも平面である点(1H及び1H’)において共通する。 (イ) 差異点本件 の上側及び下側外周縁は、それぞれ面 取りされた形状になっている点(1G及び1G’)、円形状の部材の底面はいずれも平面である点(1H及び1H’)において共通する。 (イ) 差異点本件意匠1と被告意匠1’は、本件意匠1においては、手押部材とグリップ部の比率が縦方向で1対7であるのに対し、被告意匠1’は手押 部材とグリップ部の比率が縦方向で1対6.7ないし7.55である点(1B及び1B’)、本件意匠1のグリップ部の直径は手押部材と同一であるのに対し、被告意匠1’はグリップ部の直径は手押部材よりもやや長い点(1C及び1C’)、本件意匠1のグリップ部の表面は凹凸がないのに対し、被告意匠1’はグリップ部の外周面には円環状の凸条が等間 隔に9本形成されている点(1D及び1D’)、本件意匠1においては、手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は3であるのに対し、被告意匠1’の手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は2. 6ないし2.7である点(1E及び1E’)、本件意匠1は、保護部を底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成されているのに対し、 被告意匠1’は、保護部を底面から見ると、底面は中心の取付穴から放射状に8本のリブが形成されている点(1I及び1I’)で相違する。 イ本件意匠2と(単管に取り付けられた)被告意匠2’との対比(ア) 共通点本件意匠2と被告意匠2’は、いずれも、グリップ部の外周面より も外側に突出された円形状の保護部である点(2A及び2A’)、円形状 の部材の上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りされた形状になっている点(2D及び2D’)、円形状の部材の底面はいずれも平面である点(2E及び2E’)で共通する。 (イ) 差異点本件意匠2において 上側及び下側外周縁は、それぞれ面取りされた形状になっている点(2D及び2D’)、円形状の部材の底面はいずれも平面である点(2E及び2E’)で共通する。 (イ) 差異点本件意匠2においては、手押部材の直径を1とすると円形状の部材の 直径は3であるのに対し、被告意匠2’の手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は2.6ないし2.7である(2B及び2B’)、本件意匠2の円形状の部材は、手押部材の縦の長さを7等分した場合、上部から数えて1分割目に位置するのに対し、被告意匠2’の円形状の部材は、手押部材の縦の長さを6.7等分ないし7.55等分した 場合、上部から数えて1分割目に位置している点(2C及び2C’)、本件意匠2は、保護部を底面から見ると、底面には中心に取付穴が形成されているのに対し、被告意匠2’は、保護部を底面から見ると、底面は中心の取付穴から放射状に8本のリブが形成されている点(2F及び2F’)で相違する。 ウ本件意匠の要部(ア) 本件意匠1の要部登録意匠と対比すべき相手方の製品に係る意匠とが類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとされており(意匠法24条2項)、意匠を全体として観察することを要 するが、この場合、意匠に係る物品の性質、用途及び使用態様、公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を参酌して、取引者ないし需要者の最も注意をひきやすい部分を意匠の要部として把握し、登録意匠と相手方意匠とが、意匠の要部において構成態様を共通にしているか否かを重視して、観察を行うべきである。このことは、部分意匠においても異な るものではないというべきである。 そして、前記(2)のとおり、本件意匠1に係る物品と被告意匠に係る物品は 重視して、観察を行うべきである。このことは、部分意匠においても異な るものではないというべきである。 そして、前記(2)のとおり、本件意匠1に係る物品と被告意匠に係る物品は、いずれも運搬台車用の手押部材であるから、本件意匠1に係る物品の需要者は、運搬台車の使用者であるといえる。加えて、前記(2)の本件意匠1に係る物品の用途及び機能に照らすと、需要者は、運搬台車使用時における、すなわち人の目の高さから見た(斜め上から見た) グリップ部の握りやすさや、保護部の形状に最も関心を有するといえる。 また、原告及び被告らが主張する公知意匠を検討しても、斜め上から見た本件意匠1のグリップ部の形状と保護部の形状を組み合わせた形状を持つ公知意匠はないといえる。 そうすると、看者である需要者の最も注意を引く部分は、前記(1)ア の本件意匠1の構成態様のうち、運搬台車使用時における、グリップ部の形状と保護部の形状を組み合わせた形状を表す1A、1D、1E及び1Gの構成であるといえる。 他方で、1H及び1Iも、保護部の形状ではあるが、既に説示したとおり、需要者は、運搬台車使用時におけるグリップ部の握りやすさや、 保護部の形状すなわち、斜め上から見た手押部材の形状に最も関心を有しているといえ、保護部の底面から見た形状に着目するとはいい難い。 したがって、1H及び1Iは、いずれも要部であるとはいえない。 (イ) 本件意匠2の要部前記(ア)で既に説示したとおり、本件意匠2に係る物品の需要者、す なわち運搬台車の使用者は、運搬台車使用時におけるグリップ部の握りやすさや、保護部の形状に最も関心を有するといえる。 また、乙1公知意匠には、底面が平面であり、底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成され 使用者は、運搬台車使用時におけるグリップ部の握りやすさや、保護部の形状に最も関心を有するといえる。 また、乙1公知意匠には、底面が平面であり、底面から見ると、底面には中心に取り付け穴が形成されており、その上面部及び下面部は面取りされた形状となっている円形状の部材が開示されている。 そうすると、看者である需要者の最も注意を引く部分は、前記(1)イ の本件意匠2の構成態様のうち、運搬台車使用時における保護部の形状を表す2Bの構成であるといえる。 エ前記ウを踏まえた差異点の評価(ア) 本件意匠1と被告意匠1’原告は、本件意匠1は、正面から見たとき、略アルファベットの逆 「T」字の美感を生ずるものであり、保護部が円形であることから丸みを帯びた柔らかな印象を与えると主張する。 そして、上記検討した本件意匠1と被告意匠1’の共通点(前記(3)ア(ア))によれば、いずれも、正面から見たとき、略アルファベットの逆「T」字の美感を生じさせるといえる。 この点について、本件意匠1のグリップ部の表面は凹凸がないのに対し、被告意匠1’はグリップ部の外周面には円環状の凸条が等間隔に9本形成されている点は、要部に関する差異点であるが、その凹凸は大きいものではなく、被告意匠1’から生じる略アルファベットの逆「T」字の美感を凌駕するほどの差異であるとは評価できない。 また、上記検討した本件意匠1と被告意匠1’の共通点(前記(3)ア(ア))のうち、グリップ部が円筒状である点及び保護部が円形であることに照らせば、いずれも丸みを帯びた柔らかな美感を生じさせているといえる。 この点について、被告らは、被告意匠1’においては、グリップ部の 外周面に円環状の凸条が等間隔に9本形成されている(1D’)こ 、いずれも丸みを帯びた柔らかな美感を生じさせているといえる。 この点について、被告らは、被告意匠1’においては、グリップ部の 外周面に円環状の凸条が等間隔に9本形成されている(1D’)ことに照らせば、堅牢なごつごつした美感を生じさせる旨主張する。確かに、この点は要部に関する差異点ではあるが、既に説示したとおり、その凹凸は大きいものではないから、上記差異点は、上記美感を凌駕するほどの差異点であるとはいい難い。したがって、被告らの主張は採用するこ とができない。 また、本件意匠1においては、手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は3であるのに対し、被告意匠1’の手押部材の直径を1とすると円形状の部材の直径は2.6ないし2.7である点は、要部に係る差異点であると認められるが、上記美感に影響を与えるような差異点であるとはいい難い。 さらに、上記差異点は、手押部材として使われる単管の直径が通常48.6mm程度であると認められること(弁論の全趣旨)に照らすと、微細な差異であるといえ、他の両意匠の共通点に照らしても、本件意匠1全体の美感を凌駕するものとはいえない。 以上によれば、本件意匠1と被告意匠1’は類似するといえる。 (イ) 本件意匠2と被告意匠2’原告は、前記(ア)と同様に、本件意匠2は、保護部が円形であることから丸みを帯びた柔らかな印象を与えると主張する。 そして、上記検討した本件意匠2と被告意匠2’の共通点(前記(3)イ(ア))によれば、本件意匠2及び被告意匠2’のいずれからも丸みを 帯びた美感を生じさせるといえ、前記(3)イ(イ)の差異点を考慮しても、本件意匠2全体の美感を凌駕するものとはいえない。 したがって、本件意匠2と被告意匠2’は類似するといえる。 みを 帯びた美感を生じさせるといえ、前記(3)イ(イ)の差異点を考慮しても、本件意匠2全体の美感を凌駕するものとはいえない。 したがって、本件意匠2と被告意匠2’は類似するといえる。 10 争点6(被告製品の製造等に本件各意匠権の間接侵害(意匠法38条1号イ)が成立するか)について 前記9(2)で説示したとおり、被告製品は、ハンドグリップであり、運搬台車の単管の上端部に取り付けられ、その場合には、運搬台車の単管とともに運搬台車の手押部材となる。 そして、被告製品が、運搬台車の単管以外のものに取り付けられ、手押部材とは異なる機能又は用途を有するに至ることはないと認められるから(弁 論の全趣旨)、被告製品は、運搬台車の単管の上端部に取り付けられ、運搬 台車の手押部材の「製造にのみ用いる物品」(意匠法38条1号イ)であると認められる。 この点について、被告らは、被告製品は、被告運搬台車に挿入される手押部材以外にも使用され、様々な長さの単管に取付可能であり、グリップ部と単管全体の長さが本件各意匠のように一定の関係にはならないなどと主張す る。 しかし、仮に被告製品が種類の異なる運搬台車や単管に取り付けられるとしても、運搬台車の単管の上端部に取り付けられて、運搬台車の手押部材の「製造にのみ用いる物品」であることには何ら変わりがないから、被告らの上記主張は採用することができない。 11 争点7(本件各意匠が意匠登録無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について(1) 被告らは、本件各意匠は、本件分割出願明細書1及び本件分割出願明細書2にはなかった底面図を新たに加えて本件意匠出願1及び本件意匠出願2をし、登録に至ったものであり、本件分割出願1及び本件分割出願2に 係る意匠 匠は、本件分割出願明細書1及び本件分割出願明細書2にはなかった底面図を新たに加えて本件意匠出願1及び本件意匠出願2をし、登録に至ったものであり、本件分割出願1及び本件分割出願2に 係る意匠は、本件意匠出願1及び本件意匠出願2に係る意匠と同一性があるとは認められないから、本件分割出願1及び本件分割出願2の出願時の遡及効を享受できず、本件各意匠の新規性及び創作容易性の判断基準となる優先日は、本件各意匠への出願変更を行った平成30年6月22日とされるべきである旨主張する。 しかし、本件分割出願明細書1及び本件分割出願明細書2の【図8】(a)及び(b)の図面(別紙分割出願明細書図面目録記載の(a)及び(b)の図面参照)から、保護部の上面と下面はいずれも平行であり、保護部上面は丸い平面であると看取できること、また、同明細書には「保護部64は、グリップ部62の外周面よりも外側に突出する円板状であり」 との記載(【0036】)があること、「円板状」とは、丸い平面板の形状 を意味すること(前記4(3)イ)に照らすと、「円板状」である保護部の下面も上面と同様に丸い平面であることが理解できるというべきである。 そして、本件意匠出願1及び本件意匠出願2に係る意匠の底面は、丸い平面であると認められるから(前提事実(2)イ)、本件分割出願明細書1及び本件分割出願明細書2から明確に認識できる意匠と同一であるといえ る。 したがって、本件分割出願1及び本件分割出願2に係る意匠は、本件意匠出願1及び本件意匠出願2に係る意匠と同一性があるとは認められないことを前提とする被告らの上記主張は理由がない。 (2) 被告らは、本件各意匠のグリップ部と保護部とが一体であるという原告 の主張を前提とするのであれば、本件分割出願 性があるとは認められないことを前提とする被告らの上記主張は理由がない。 (2) 被告らは、本件各意匠のグリップ部と保護部とが一体であるという原告 の主張を前提とするのであれば、本件分割出願明細書1及び本件分割出願明細書2には開示されていない内容を意匠として出願したことになるから、本件分割出願1及び本件分割出願2からの変更出願は適法でないものとして、これによっても出願時の遡及効を享受することができない旨主張する。 しかし、別紙原告意匠権目録記載1及び同2の図面を見ても、本件各意 匠のグリップ部と保護部とが一体であるかどうかは明らかではなく、原告も、本件各意匠のグリップ部と保護部とが一体であるか別体であるかは、本件各意匠の図面において外見上現れていない旨主張するにすぎないから、被告らの主張は、その前提を誤っており、理由がないというべきである。 (3) 小括 以上によれば、本件分割出願1及び本件分割出願2からの変更出願は適法ではないことを前提に、本件各意匠がいずれも新規性又は創作非容易性を欠くものであって無効であるとの被告らの主張は、いずれも理由がないというべきである。 12 争点8(損害の発生及び額)について (1) 特許法102条2項及び意匠法39条2項適用の可否について ア特許法102条2項は、民法の原則の下では、特許権侵害によって特許権者が被った損害の賠償を求めるためには、特許権者において、損害の発生及び額、これと特許権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の塡補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、 侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額を特許権者の損害額と推定するとして、立 には困難が伴い、その結果、妥当な損害の塡補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、 侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額を特許権者の損害額と推定するとして、立証の困難性の軽減を図った規定であり、意匠法39条2項も、これと同趣旨の規定である。そして、特許権者又は意匠権者に、侵害者による特許権侵害行為又は意匠権侵害がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場 合には、特許法102条2項又は意匠法39条2項の適用が認められると解すべきである。 イ前提事実(7)のとおり、原告は、手押部材である原告製品を販売及び貸与しているところ、原告製品は、本件各特許権及び本件各意匠権の実施品である。 そして、証拠(甲26、乙18)によれば、被告製品は、ハンドグリップであり、運搬台車の単管の上端部に取り付けられ、その場合には、運搬台車の単管とともに運搬台車の手押部材となることが認められる。 そうすると、被告製品は、運搬台車の単管に取り付けることにより、 原告製品と代替可能な手押部材となることから、手押部材である原告製品と市場において競合する関係にあるといえ、被告らが被告製品を販売しなければ、原告製品を販売することによる営業上の利益が得られたであろうという事情が認められる。 以上によれば、本件において、特許法102条2項及び意匠法39 条2項の適用が認められる。 これに対し、被告らは、原告製品が、外径42.7mmの単管にアダプター及び黄色い円形の部材がリベットで固定された手押部材であって形状が特殊であるため、原告運搬台車にしか使えない専用品であり、これをJIS規格で定められた外形48.6mmの単管が挿入される運搬台車に取り付けるためには、アダプター トで固定された手押部材であって形状が特殊であるため、原告運搬台車にしか使えない専用品であり、これをJIS規格で定められた外形48.6mmの単管が挿入される運搬台車に取り付けるためには、アダプターと上記黄色い円形の 部材を外して取り付ける必要があって、仮に同単管に取り付けたとしても、単管がぐらつくなど安全性に問題があるから、原告製品を同単管が挿入される運搬台車に取り付けることは現実的ではないとして、原告製品と被告製品とは市場が競合しない旨主張する。 しかし、市場に存在する運搬台車の挿入孔が全てJIS規格で定め られた単管にのみ適合するように設計されていることを認めるに足りる証拠はないし、原告製品をJIS規格で定められた外形48.6mmの単管が挿入される運搬台車に取り付ける場合の安全性や手間の点はさておき、原告製品からアダプターと黄色の円形の部材を取り外すことにより、上記運搬台車に挿入して使用することは一応可能である と認められるから(甲42)、代替可能性が全くないとはいえず、原告製品は被告製品とは完全に市場が競合しないとはいえない。 また、被告らは、原告製品は原告運搬台車とセットで貸与されており、原告製品の単体での販売及び貸与は行われておらず、原告の原則的な業務形態は貸与であるから、被告製品を主に譲渡している被告ら とは市場が競合しない旨主張するが、本件全証拠によっても、被告らがその主張の前提とする事実を認めることはできない。 したがって、被告らの上記主張はいずれも採用することができない。 (2) 限界利益被告らの限界利益の額が以下のとおりであることは、当事者間に争い がない。 ア被告大同機械の限界利益(ア) 平成30年12月28日から令和元年6月6日まで 被告らの限界利益の額が以下のとおりであることは、当事者間に争い がない。 ア被告大同機械の限界利益(ア) 平成30年12月28日から令和元年6月6日まで●(省略)●(イ) 令和元年6月7日から現在まで●(省略)● イ被告板橋建材の限界利益(ア) 平成30年12月28日から令和元年6月6日まで●(省略)●(イ) 令和元年6月7日から現在まで●(省略)● ウ被告エスアールエスの限界利益78万2630円(3) 推定覆滅事由ア被告大同機械について(ア) 市場の非同一性について 被告大同機械は、前記(1)イにおいて主張した特許法102条2項及び意匠法39条2項の適用に関する事由を、それらの規定による推定の覆滅事由としても主張する。 そこで検討すると、証拠(甲15)によれば、原告製品は、外径42.7mmの単管の、運搬台車の挿入孔に挿入される挿入部(以下、 単に「挿入部」という。)に、アダプター及び黄色い円形の部材がリベットで固定されているため、挿入部は、原告運搬台車の挿入孔の形状に合わせた専用設計とされており、単管だけの場合と異なり、挿入部が円柱状とはなっていないことが認められる。 また、証拠(乙67ないし69、87ないし92)及び弁論の全趣 旨)によれば、市場には、少なくとも被告運搬台車、長谷川工業株式 会社のNTK6-1275イットン台車、株式会社ピカコーポレイションのアルミ台車CAFタフキャリー(CAF)、アルインコ株式会社の台車DunkPro、株式会社ナカオのアルロ 川工業株式 会社のNTK6-1275イットン台車、株式会社ピカコーポレイションのアルミ台車CAFタフキャリー(CAF)、アルインコ株式会社の台車DunkPro、株式会社ナカオのアルロックキャリー、朝日機材株式会社のALクォーク、その他の会社が販売するアルミ台車が存在し、それらの台車の挿入孔の形状に照らして、原告製品をそ のまま挿入することは困難であると認められる。 以上によれば、既に上記のような運搬台車を所有し、同運搬台車に保護部材を取り付けることを希望する者は、アダプターや黄色い円形の部材を取り外した上でこれを使用する必要があり、また、仮にこれを取り付けたとしても、挿入孔の内径が50mmの被告運搬台車(甲 26)及び外径48.6mmの単管を使用することを前提に設計された運搬台車(乙87、90)に使用する際には、単管の外形よりも挿入孔が大きいため、ぐらつきを生じ、安全性や操作性に影響が生じるものといえ(乙97)、原告製品を購入することを選択するとは考え難い。 他方で、被告製品の購入者のうち、運搬台車及び単管の新調又は買い替えを検討している者や、原告製品をそのまま使用しても安全性、操作性に支障が生じない運搬台車を保有している者であれば、原告製品を購入する可能性を否定できないから、被告らの指摘する事情を覆滅事由として考慮することは困難である。 被告大同機械は、この点について、被告製品の購入者のうち●(省略)●が被告運搬台車を購入又はレンタルしている顧客であり、このような顧客による被告製品の購入数の全体の購入数に占める割合は、●(省略)●となるから、少なくとも同割合の顧客に販売した分については、被告製品の市場と原告製品の市場が異なり、被告製品を購入 しなかった場合に原 数の全体の購入数に占める割合は、●(省略)●となるから、少なくとも同割合の顧客に販売した分については、被告製品の市場と原告製品の市場が異なり、被告製品を購入 しなかった場合に原告製品を購入したはずであるとはいえないと主張する。 しかし、被告大同機械の主張を裏付ける証拠としては、同被告の営業部長の陳述書(乙94)及び被告製品の販売実績をまとめた書面(乙64)が提出されているものの、被告製品の購入者の被告運搬台 車の購入の有無、購入数、購入時期等を裏付ける証拠は提出されていないことから、それらの陳述書等の信用性を直ちに肯定することはできない。 また、仮に上記の陳述書の信用性を肯定できたとしても、被告製品の購入者が運搬台車の新規購入や買い替えを検討していたかどうかは 明らかではないから、いずれにしても被告大同機械の主張を採用することはできないというべきである。 (イ) 競合品の存在について被告大同機械は、被告製品の購入者がわざわざその所有する運搬台車を買い替えてまで原告製品を購入することは考え難く、被告製品の 競合品を購入するはずである旨主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、被告製品の購入者が運搬台車の追加購入や買い替えを検討していたかどうかは明らかではない上、仮にこのような購入者の割合が判明したとしても、そもそも被告製品の競合品の市場占有率を認めるに足りる証拠はないから、競合品の存在を覆滅 事由とすることは相当ではない。 (ウ) 営業努力について被告大同機械は、顧客から現場図面を受け取り、これのみに基づき、3000種類を超える取扱商品の中から必要な仮設機材の種類や台数を迅速に顧客に提案し、顧客が必要な機材を一括発注できる体制を持 っており、同被告の顧客のうち、被 を受け取り、これのみに基づき、3000種類を超える取扱商品の中から必要な仮設機材の種類や台数を迅速に顧客に提案し、顧客が必要な機材を一括発注できる体制を持 っており、同被告の顧客のうち、被告製品のみを購入した顧客は僅か ●(省略)●のみであったし、同被告から被告製品を購入した顧客のうち、●(省略)●が楽輪車を購入またはレンタルしている顧客である旨主張する。 しかし、被告大同機械が主張する一括発注のサービスが通常のサービスとは異なる特有のものであることの立証はされていないから、同 被告主張の営業努力を覆滅事由として考慮することは相当ではない。 (エ) 被告製品の性能について被告大同機械は、被告製品は、①レンタル品である原告製品に比べ、長期間使用する場合のコストが低く抑えられ、②単管への着脱が簡単であり、③材質もゴムで弾力性があるため、衝突しても建物等を傷つ けづらく、また、手が滑りにくく、衝撃が緩和され、④ごつごつしたデザインで、安全性が高いという印象を与えるという特徴がある旨主張する。 しかし、上記①は、原告製品がレンタル品であることを前提とした主張であるところ、前記(ア)のとおり、原告製品がレンタルのみされ ているものであることを認めるに足りる証拠はないから、同主張を採用することはできない。 また、上記②ないし④については、確かに、被告製品は単管への着脱が簡単で材質もゴムで弾力性があるとの点は長所であるといえるが、原告製品は、その保護部に弾力性がないため、より手を保護する機能 が高いといえるし、手押部材を運搬台車に取り付けるのみで、別途保保護部を取り付ける必要がない点で簡便であるともいえることを考慮すると、被告製品の性能の方が原告製品の性能よりも優れているとか、被告製品の いといえるし、手押部材を運搬台車に取り付けるのみで、別途保保護部を取り付ける必要がない点で簡便であるともいえることを考慮すると、被告製品の性能の方が原告製品の性能よりも優れているとか、被告製品の方が安全性が高いとの印象を与えるとまではいい難く、この点に係る被告大同機械の主張は採用することができない。 したがって、被告大同機械の上記主張はいずれも採用することができないというべきである。 (オ) 部分にのみ実施(意匠法39条2項に関する覆滅事由)について被告大同機械は、被告製品が本件意匠権2のみを侵害することを前提として、本件意匠権2は、本件意匠権2に係る物品の部分にのみ実 施されているから、本件意匠権2の寄与度に応じて覆滅されるべきである旨主張するが、前記9のとおり、被告製品の販売、貸与等は本件意匠権1も侵害するから、同主張は採用することができない。 イ被告板橋建材について被告板橋建材は、被告運搬台車を使用する被告大同機械及び●(省 略)●のみに被告製品を譲渡していたため、被告製品を購入しないとしても、原告製品ではなく、被告運搬台車に使用することができる被告製品の競合品を購入するはずである旨主張する。 証拠(乙70、80)によれば、被告大同機械と●(省略)●は、共同で被告運搬台車を開発し、同被告は、被告運搬台車を使用してい ること、●(省略)●は、同被告から被告運搬台車を●(省略)●購入していることが認められる。 上記事実関係によれば、被告大同機械及び●(省略)●が被告運搬台車以外の運搬台車を使用することは考え難い上、これを前提とすると、前記アのとおり、取付けの手間が生じ、操作性や安全性に問題が 生じる原告製品を購入して使用することも考え難く、被告運搬台車に適合する単管及び 車を使用することは考え難い上、これを前提とすると、前記アのとおり、取付けの手間が生じ、操作性や安全性に問題が 生じる原告製品を購入して使用することも考え難く、被告運搬台車に適合する単管及び被告製品の競合品であるPSグリップ(弁論の全趣旨)、Hスペーサ(乙74)、アットグローブ(乙73)などを購入して使用することが自然であると考えられる。 以上の点を考慮すると、被告板橋建材の限界利益は、100パーセ ント覆滅されると解するのが相当である。 ウ被告エスアールエスについて(ア) 営業努力について被告エスアールエスは、その既存の顧客に対して他の建設機器等の付属品として被告製品を販売又は貸与していたものであるなどと主張するが、仮にそのような事実があったとしても、同被告から被告製品 を購入した顧客が、同被告から被告製品を購入しなければ原告製品を購入したとはいえないから、覆滅事由として十分な主張であるとはいえない。 よって、被告エスアールエスの上記主張は採用することができない。 (イ) 市場の非同一性、競合品の存在、被告製品の性能、部分にのみ実施 されていることについて前記アで説示したのと同様の理由により、被告エスアールエスが主張する事情を覆滅事由として考慮することはできない。 (4) 小括以上によれば、被告大同機械の侵害により原告が受けた損害の額は● (省略)●となり、被告エスアールエスの侵害により原告が受けた損害の額は78万2630円となる。 13 争点9(差止め及び廃棄の必要性)について(1) 被告大同機械及び被告板橋建材に対する差止めの必要性について証拠(乙66、80ないし84)及び弁論の全趣旨によれば、被告板橋 建材は、中国の製造会社3社(以下「本件各製 について(1) 被告大同機械及び被告板橋建材に対する差止めの必要性について証拠(乙66、80ないし84)及び弁論の全趣旨によれば、被告板橋 建材は、中国の製造会社3社(以下「本件各製造会社」という。)に被告製品の製造を委託し、これを輸入していたところ、本件各製造会社に対して、今後一切、被告製品を発注することはない旨通知したこと、令和4年4月22日の販売を最後に、被告大同機械及び●(省略)●に対する被告製品の販売を終了し、その販売先に対して被告製品の販売を終了すること を通知し、合計●(省略)●個の在庫を廃棄したことが認められる。 また、証拠(乙62、63、77ないし79)によれば、被告大同機械は、令和5年3月24日の出荷を最後に被告製品の販売を終了し、その販売先に対して被告製品の販売を終了することを通知したこと、合計●(省略)●個の在庫を廃棄したことが認められる。 他方で、本件各製造会社が既に金型を廃棄した等本件各製造会社による 再製造が困難であると認めるに足りる証拠はなく、未だ被告板橋建材が本件各製造会社に対して再度製造委託をするおそれが消滅したとはいい難く、この点は、被告板橋建材が、本件各製造会社に対して、今後一切、被告製品を発注することはない旨通知したことを考慮しても同様である。 また、被告板橋建材による被告製品の製造委託のおそれを否定できない 以上、被告大同機械が被告板橋建材から被告製品を購入し、第三者に販売するおそれが消滅したとはいい難く、この点は、被告大同機械が、その販売先に対して被告製品の販売を終了することを通知したことを考慮しても同様である。 以上によれば、口頭弁論終結時において、被告板橋建材が再度被告製品 を製造又は販売するおそれ及び被告大同機械が再度被告製品を販 製品の販売を終了することを通知したことを考慮しても同様である。 以上によれば、口頭弁論終結時において、被告板橋建材が再度被告製品 を製造又は販売するおそれ及び被告大同機械が再度被告製品を販売又は貸与するおそれが認められ、この限度で差止め及び廃棄の必要性が認められる。 他方で、本件において、被告大同機械が、被告製品の製造をしていたことを認めるに足りる証拠はないから、被告大同機械に対し、被告製品の製 造の差止めを命じる必要性は認められない。 (2) 被告エスアールエスに対する差止めの必要性について被告エスアールエスは、前提事実(8)ウのとおり、被告大同機械から被告製品を購入し、遅くとも令和元年12月頃から被告製品の販売、貸渡し及び販売若しくは貸渡しの申出をしていたことに照らすと、被告エスアー ルエスに対し、被告製品の販売及び貸渡し等の差止めを命じる必要性が認 められる。 第5 結論以上の次第で、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は、被告エスアールエスに対しては、被告製品の販売、貸渡し等の差止め及び廃棄並びに不法行為に基づく損害賠償請求のうち一部(78万2630円)、被告 大同機械に対しては、被告製品の販売、貸渡し等の差止め及び廃棄(ただし、廃棄については被告製品の半製品も対象とする。)並びに不法行為に基づく損害賠償請求の一部(655万2290円)、被告板橋建材に対しては、被告製品の製造、販売等の差止め及び廃棄(ただし、廃棄については被告製品の半製品も対象とする。)の限度で理由があるから、その限度で認容することとし、 その余をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 その限度で認容することとし、その余をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 バヒスバラン薫 裁判官 木村洋一 (別紙)被告製品目録 「楽輪車用グリップ」又は「単管グリップ」と称する運搬台車用保護部材以上 (別紙)原告特許権目録 ① 本件特許1【特許番号】特許第6535792号【出願日】平成30年6月20日【分割の表示】特願2016-217337の分割【原出願日】平成28年11月7日【登録日】令和1年6月7日【発明の名称】保護部材 ② 本件特許2【特許番号】特許第6783478号【出願日】令和1年6月14日【分割の表示】特願2016-217337の分割【原出願日】平成28年11月7日【登録日】令和2年10月26日【発明の名称】手押部材および運搬台車 以上 (別紙)原告意匠権目録 1 本件意匠1【登録番号】意匠登録第1623018号【登録日】平成30年12月28日【意匠に係る物品】運搬台車用の手 (別紙)原告意匠権目録 1 本件意匠1【登録番号】 意匠登録第1623018号 【登録日】 平成30年12月28日【意匠に係る物品】運搬台車用の手押部材【部分意匠】【出願日】平成28年11月7日【変更の表示】特願2018-117272の変更 【意匠に係る物品の説明】 本物品は、運搬台車用の手押部材である。使用状態を示す参考図に示すように、手押部材は、運搬台車の4隅に選択的に取付けられ、運搬台車を走行させるときに使用者が手で押したり引いたりするための部材である。手押部材は、使用者が手 で掴むグリップ部と、グリップ部の外周面よりも外側に突出させる保護部と、を有することで、グリップ部を掴んだ手が周辺の物体に接触しないようにすることができる。 【意匠の説明】 実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けよ うとする部分である。背面図は正面図と同一に表れるので省略する。左側面図は右側面図と同一に表れるので省略する。 【図面】【正面図】 【右側面図】 【平面図】 【底面図】 【拡大平面図】 【斜視図】 【使用状態を示す参考図】 2 本件意匠2【登録番号】 意匠登録第1623019号【登 【使用状態を示す参考図】 2 本件意匠2【登録番号】 意匠登録第1623019号【登録日】 平成30年12月28日【意匠に係る物品】 運搬台車用の手押部材【部分意匠】 【出願日】 平成28年11月7日【変更の表示】特願2018-117221の変更【意匠に係る物品の説明】 本物品は、運搬台車用の手押部材である。使用状態を示す参考図に示すように、手押部材は、運搬台車の4隅に選択的に取付けられ、運搬台車を走行さ せるときに使用者が手で押したり引いたりするための部材である。手押部材は、使用者が手で掴むグリップ部と、グリップ部の外周面よりも外側に突出させる保護部と、を有することで、グリップ部を掴んだ手が周辺の物体に接触しないようにすることがで きる。 【意匠の説明】 実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。背面図は正面図と同一に表れるので省略する。左側面図は右側面図と同一に表れるので省略する。 【図面】【正面図】 【右側面図】 【平面図】 【底面図】 【拡大平面図】 【斜視図】 【使用状態を示す参考図】 【斜視図】 【使用状態を示す参考図】 (別紙)被告製品の構成目録 a 運搬台車の4隅に位置する挿入孔に挿入される単管に対して取付可能なハンドグリップであって、 b 使用者が手で掴むグリップ部と、 c グリップ部の下側に位置し、グリップ部の外周面よりも外側に突出させた円板部と、 d 単管が挿入される取付穴を有し、 e 取付穴に単管が挿入される方向から見て、円板部は、略円形である f ハンドグリップ。 以上 (別紙)被告意匠目録 【正面図】 【右側面図】 正面図と同一であるため略 【平面図】 【底面図】 【拡大平面図】平面図と同一であるため略 【斜視図】 【使用状態を示す参考図】 以上 (別紙)明細書図面目録 1 図1 2 図4 3 図5 以上 (別紙)分割出願明細書図面目録 以上 (別紙)図面等目録 図5 以上 (別紙)分割出願明細書図面目録 以上 (別紙)図面等目録 4 【図1】 5 【図6】 以上
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