【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人中島宇吉の上告理由第一点について。 所論は、被上告人が第一審にお
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人中島宇吉の上告理由第一点について。 所論は、被上告人が第一審においてした所論の請求の趣旨及び原因の変更について、原判決が、民訴二三二条にいう請求の基礎に変更がないとした判断を非難し、かつこの変更によつて訴訟手続を著しく遅滞せしめたと主張する。しかし原審は、被上告人がはじめ共有持分の確認及び共有地から伐採した丸太の価格の分与を請求したのを、上告人が丸太を他に処分したため、請求の趣旨及び原因を変更し、その丸太の価格のうち自己の持分の割合に相当する金額を損害賠償として訴求するとしたのは、両者の請求の基礎とする経済的利益においてなんら異なるところはないと判断したのであつて、その判断は正当である。そしてまた記録によれば、第一審においてはじめ本件につき五回にわたる口頭弁論を経たが、後準備手続に移し、第七回の準備手続において請求を変更し、その後五回の準備手続を経たことがうかがわれるが、準備手続の続行が右請求の変更に基くものであることは記録上認めることはできない。されば前記請求の変更により著しく訴訟手続を遅滞せしめるものであるとの所論の理由を認めることはできない。 同第二点について。 所論は、原審が本件につき、原告D被告E間水戸地方裁判所大正十年(ワ)第三六号事件判決(以下前事件判決という)の既判力を認めたのは、民訴(大正一五年法律六一号)二〇一条を遡及適用した違法があると主張する。右民訴二〇一条は、いわゆる旧民訴(大正一五年法律六一号、昭和四年勅令一〇五号により昭和四年一〇月一日より施行)において既判力の主観的範囲につき新たに設けられた規定であ- 1 -ること所論のとおりであり、また民訴施行法(大正一五年法律六二号 法律六一号、昭和四年勅令一〇五号により昭和四年一〇月一日より施行)において既判力の主観的範囲につき新たに設けられた規定であ- 1 -ること所論のとおりであり、また民訴施行法(大正一五年法律六二号)二条は、新法施行前に生じた事項にもこれを適用するが、旧法により生じた効力を妨げないという趣旨を規定していることも所論のとおりである。そして右施行法二条により、新法施行前に確定した判決は、新法二〇一条所定の効力を有するものと解すべきであるから、原判決が所論の前事件判決が、大正一四年六月二四日上告棄却の判決言渡(甲第八号証、記録三三九丁)により確定した第一審判決(甲第四号証、記録三三二丁)であつて、これにより原告Dに対し被告Eの敗訴が確定したという事実を認定した上、右被告の承継人である上告人等に対し、右原告の承継人である被上告人は民訴二〇一条により、本件土地が、勝訴の原告Dの単独所有であることを主張し得る旨を判示したのは正当である。所論はこれと反対の見解に立つて違法を主張するのであつて採用のかぎりでない。 同第三点について。 所論前段の限定承認を前提とする主張は、いわれなき独自の見解であつて、判断のかぎりでない。所論後段は、相続と登記との関係について、これまた理由なき独自の見解を主張するのであつて採用のかぎりでない。(所論は多くの大審院判例を引用して判例違反を主張するが、いずれも本件に適切でないこと明らかである)。 同第四点について。 所論は、上告人Aが前々主F及び前主Gの占有を併せて二〇年の時効が完成したと主張し、これを排斥した原判決を非難する。しかし原判示は、所論のF及びGが本件係争土地(乙地)の三分の一の持分権行使の意思をもつてする占有をした事実が認められないとしたのであつて、占有自体を否定したものではない。所論は結局原審の証拠の採 しかし原判示は、所論のF及びGが本件係争土地(乙地)の三分の一の持分権行使の意思をもつてする占有をした事実が認められないとしたのであつて、占有自体を否定したものではない。所論は結局原審の証拠の採否、事実認定を非難するにすぎない。 同第五点について。 所論の前段は、原判決が、前事件判決について認定した事実と異なる独自の主張- 2 -をするのであつて判断のかぎりでない。同後段は、原判決は、所論三名の共有の登記が事実に符合しないと判示しながら、その登記にあるDの共有持分の公売による所有権移転を認めたのは、理由にくいちがいがあるという趣旨の主張であるが、右三名の共有の登記が存在し、その一人となつているDの共有持分について国税滞納処分により公売が行われたという事実を肯定しても、それで直ちに右三名の共有関係を肯定することにはならないから、原判決に、所論のような違法があるとはいえない。(原判決は、公売関係の説示において「右のような公売競落のあつた事実は当事者間に争ないところであるから、その効果については検討の余地が存するけれども……」といつている。)同第六点について。 所論は、原判決の引用する前事件判決は、三十年前のことに属し、右事件の被告Eが敗訴した事実について悪意であるというだけで、本件立木の伐採につき上告人等に過失の責任を認めるのは、注意義務の解釈につき違法があるという趣旨に帰する。しかし原判決の挙示する証拠によれば、原判決の判断を不当であるとはいえない。所論は採用できない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判官裁判官小林俊三裁判官島保 主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判官裁判官小林俊三裁判官島保裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官高橋潔- 3 -
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