2,869 文字
主文 本件上告を棄却する。理由 被告人の上告趣意第一、第二、第六、第七及び第九点について。論旨はすべて、証拠の取捨判断について原審を非難し或は原審の事実誤認、訴訟法違反を主張するに帰するのであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第三点について。論旨は、原審の憲法三七条一、二項違反を主張する。しかし、憲法三七条一項所定の「公平なる裁判所の裁判」とは、組織及び構成において偏頗のおそれのない裁判所の裁判を意味し、具体的事件について、法律の誤解、事実誤認又は取調不十分等があつたとしても、同条項違反のあるものとなし得ないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決、集二巻五号四四七頁、昭和二六年(あ)第三〇五一号同二七年一月一一日第二小法廷判決、集六巻一号八〇頁参照。)また、憲法三七条二項は、裁判所が被告人又は弁護人の申請した証人を、不必要と思料するものまでも悉く尋問するを要する趣旨でないことも亦、当裁判所の判例の示すところである。(昭和二二年(れ)第二三〇号同二三年七月二九日大法廷判決、集二巻九号一〇四五頁参照。)したがつて、所論の如き事由を以つて、原判決が憲法三七条一、二項に違反するものとはなし得ない。論旨は理由がない。同第四点について。論旨前半は、第一審判決後、公判調書閲覧願を、ついで控訴審判決後、公判記録閲覧申請をそれぞれ提出したにも拘らず、いづれに対しても裁判所の回答なく、後者の場合、公判調書についての異議申立期間を経過する結果に至らしめたのは、被- 1 -告人の防禦権の行使を妨げ、刑事訴訟法に違反し、引いては憲法に定めた基本的人権を侵害し、正義に反することゝなる旨主張する。しかし、第一審判決後、公判調 経過する結果に至らしめたのは、被- 1 -告人の防禦権の行使を妨げ、刑事訴訟法に違反し、引いては憲法に定めた基本的人権を侵害し、正義に反することゝなる旨主張する。 、後者の場合、公判調書についての異議申立期間を経過する結果に至らしめたのは、被- 1 -告人の防禦権の行使を妨げ、刑事訴訟法に違反し、引いては憲法に定めた基本的人権を侵害し、正義に反することゝなる旨主張する。しかし、第一審判決後、公判調 経過する結果に至らしめたのは、被- 1 -告人の防禦権の行使を妨げ、刑事訴訟法に違反し、引いては憲法に定めた基本的人権を侵害し、正義に反することゝなる旨主張する。しかし、第一審判決後、公判調書閲覧願が提出せられ、これに対する裁判所の回答がなかつたか否かは、記録上明かでないばかりでなく、かゝる事由は、控訴趣意として主張されて居らず、原審も亦何ら判断して居らぬから、適法な上告理由とならない。また被告人が原判決後、公判記録閲覧申請(公判調書の閲覧を申請したものと認められる。被告人本人には、公判調書以外の公判記録を閲覧する権利はない。)をしたにも拘らず、控訴審において、公判調書を閲覧させなかつたのは、妥当ではない。そこで職権を以つて調査するに、同閲覧申請が原審に受付けられたのは、昭和三四年一月二八日であり、原審の最終公判期日(判決宣告)は、同月一三日であつたことが明かにされたから、刑訴五一条一項により、公判調書の記載の正確性につき異議を申立てたにしても、同条二項に定める一四日の異議申立期間経過後であり、既に公判調書の正確性を争えなくなつた後であつたことは、疑ない。かつ原審より被告人に対し、所論の申請を最高裁判所になすべき旨の同月二八日附回答(原審においての公判調書閲覧拒否と解すべきもの)を発送し、これが昭和三四年一月三〇日被告人に到達して居ることは、被告人の認める所である。それにも拘らず被告人は、当裁判所において被告人のため弁護人を選任し、被告人自身公判調書を閲覧する権利を喪失するに至るまで、この回答に対し何等異議を述べた形跡がない。しかも、当審において国選弁護人が記録を精査して、上告趣意書を作成提出して居る。かゝる場合、被告人をして公判調書を閲覧せしめなかつたとの一事を以つて、直ちに、被告人の防禦権の行使を妨げたものとはいえない 、当審において国選弁護人が記録を精査して、上告趣意書を作成提出して居る。かゝる場合、被告人をして公判調書を閲覧せしめなかつたとの一事を以つて、直ちに、被告人の防禦権の行使を妨げたものとはいえないのであつて、違憲の主張はその前提を欠くのみならず、判決に影響する手続違反があつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとも認められない。 以つて、直ちに、被告人の防禦権の行使を妨げたものとはいえない 、当審において国選弁護人が記録を精査して、上告趣意書を作成提出して居る。かゝる場合、被告人をして公判調書を閲覧せしめなかつたとの一事を以つて、直ちに、被告人の防禦権の行使を妨げたものとはいえないのであつて、違憲の主張はその前提を欠くのみならず、判決に影響する手続違反があつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとも認められない。- 2 -論旨後半は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。論旨はすべて採用できない。同第五点について。諭旨は、原審の憲法一一条違反を主張するけれども、その実質は訴訟法違反、事実誤認を以つて原審を攻撃し、原審の証拠判断を非難するに帰するのであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第八点について。論旨中、被告人を逮捕した手続の違憲、違法を主張する部分があるけれども、所論の如き場合、逮捕の違憲、違法そのものを、上告理由とすることのできないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二三年(れ)第七七四号同二三年一二月一日大法廷判決、集二巻一三号一六七九頁参照。)それのみならず、記録を精査しても、本件逮捕が、所論の如く刑訴二一二条に違反するとせらるべき事由を認むるに足る資料がない。その余の部分は、違憲をも主張するけれども、原判決のどこが、憲法のどの条規に違反するかを明かにして居らぬばかりでなく、その実質は、訴訟法違反、事実誤認の主張を出ないのであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。論旨は、すべて採用できない。弁護人北村巖の上告趣意について。論旨は、事実誤認、訴訟法違反の主張に帰するのであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四〇八条、一八一条一項但 て。論旨は、事実誤認、訴訟法違反の主張に帰するのであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四〇八条、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。- 3 -昭和三四年六月三〇日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官石坂修一裁判官島保裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官高橋潔- 4 -
▼ クリックして全文を表示