【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 原告会社 被告がいずれも昭和四一年三月二九日付で原告に対し、原告の昭和三七年四月一日 から昭和三
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告会社被告がいずれも昭和四一年三月二九日付で原告に対し、原告の昭和三七年四月一日から昭和三八年三月三一日までの事業年度分の法人税についてした更正処分、並びに、昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日まで及び昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの各事業年度分の法人税についてした各更正処分及び重加算税賦課決定処分(いずれも裁決で一部取り消された後のもの)を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告主文同旨の判決。 第二当事者の事実上の主張一本件請求の原因事実(一) 原告会社は、浴場営業をしていたものであるが、白色申告者である原告会社が、昭和三七年四月一日から昭和三八年三月三一日までの事業年度(以下昭和三七事業年度という)、昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度(以下昭和三八事業年度という)及び昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度(以下昭和三九事業年度という)分の法人税についてした確定申告、これに対して被告がした更正及び重加算税賦課決定、原告会社がした異議申立及びこれに対する被告の決定、原告会社の審査請求及びこれに対する訴外大阪国税局長の裁決の各経緯と内容は、別表1記載のとおりである。 (二) しかし、原告会社の本件各事業年度の所得金額は、原告会社が確定申告をした額以上には出ないから、本件各更正処分と各重加算税賦課決定処分(いずれも裁決で一部取り消された後のもの。以下本件各処分という)は、原告会社の所得金額を過大に認定した違法がある。 (三) そこで、原告会社は、本件各処分の取消しを求める。 二被告の答弁と主張(認否)本件請求の原因事実中、(一)の事実は認め、( 処分という)は、原告会社の所得金額を過大に認定した違法がある。 (三) そこで、原告会社は、本件各処分の取消しを求める。 二被告の答弁と主張(認否)本件請求の原因事実中、(一)の事実は認め、(二)の事実は争う。 (主張)(一) 原告会社は、肩書住所地に第一営業所である勇湯を、<地名略>に第二営業所である伊東温泉を経営している白色申告の法人である。 (二) 原告会社は勇湯と伊東温泉の入金伝票を作成しただけで、帳簿はこの伝票を整理したにすぎず、最も重要な現金管理ができていなかつた。したがつて、原告会社の備付帳簿は不正確なものであり、この帳簿書類によつて、正確な所得金額を計算することはできない。 (三) そこで、被告は本件各事業年度の使用水道量と雑品の仕入額とから、売上金額を推計して原告会社の所得金額を算定した。その算定結果は、表2(その内訳と計算式は表3ないし表6)のとおりであつて、この額は、本件各更正の所得金額を上回るから、被告がした本件各更正処分は適法である。 (四) 人浴収入金額の推計方法の正当性について詳述する。 (1) 法人税法(昭和四〇年法律第三四号による改正前)三一条二項は、推計課税の方法として、資産増減法、単位当り額法(効率法)、比率法を例示している。 ところで、原告会社と原告会社の代表者とは、多額の仮名預金や出所不明の簿外資産をもつていたから、原告会社の資産と負債を全部把握し、原告会社の所得と代表者個人の所得を分離することが困難な事情にあつた。そこで資産増減法は採用することができないし、浴場業の場合、従業員数、浴槽規模などが必ずしも入浴客数に比例しないから、従業員数その他の事業の規模などによるところの比率法を採用することはできない。結局、単位当り額法が、もつとも合理的な推計方法であり、これは、課税庁が浴場業者に対する税務調 入浴客数に比例しないから、従業員数その他の事業の規模などによるところの比率法を採用することはできない。結局、単位当り額法が、もつとも合理的な推計方法であり、これは、課税庁が浴場業者に対する税務調査で通常採用している方法でもある。 (2) その方法は、使用した水一立方メートル当りの入浴料金を基礎にして入浴収入金額を算出する方法であるが、これは、浴場所在場所が地域的に同じなら入浴客一人当りの水の使用量が平均しており、使用水量の数値が正確に把握できるので合理性がある。 (3) 被告が、比準同業者として訴外有限会社大黒湯(以下大黒湯という)を選定した理由は次のとおりである。 (ア) 大黒湯の記帳状況には信頼性があつた。つまり大黒湯は、それまで一度も更正処分を受けたことがないのに対し、他の同地域の同業者には非違があり、その記帳をただちに採用できない有様であつた。 (イ) 大黒湯と原告会社の勇湯とは一五〇メートル程度しか離れておらず、大黒湯と伊東温泉とは南海電車で一駅違いで、原告会社の勇湯と伊東温泉との毎月の水使用量を大黒湯のそれと比較したとき、両者の増減形態が極めて類似していた。 (五) 雑品、牛乳等の売上金額を表3記載のとおり算出したが、その際適用した差益率(売上利益の売上高に対する割合)二〇パーセントは、浴場業者の雑収入にかかる通常の差益率の最低値である。 (六) 被告のした各重加算税賦課決定は次の理由で適法である。 原告会社は、日々の収入金額を過少に伝票に記載したうえ、それに基づいて確定申告をし、その発覚を避けるため仮装名義の別口預金口座を設けて所得を隠匿していた。これは、原告会社のような不特定多数の顧客を対象とする業者の場合、課税庁の調査を著しく困難にするもので、国税通則法六八条一項に該当する。 原告会社の昭和三八、三九事業年度の重加算税額の算 匿していた。これは、原告会社のような不特定多数の顧客を対象とする業者の場合、課税庁の調査を著しく困難にするもので、国税通則法六八条一項に該当する。 原告会社の昭和三八、三九事業年度の重加算税額の算出過程は表7(1)(2)記載のとおりであり、本件各重加算税賦課決定はその範囲内で行われたから適法である。なお、本件原決定では重加算税賦課の課税標準となる税額の全部について重加算税を賦課してはいない(表1参照)が、被告は、本件訴訟では、その全部について賦課すべき旨主張する。 三被告の主張に対する原告会社の認否及び主張(一) 原告会社が、勇湯と伊東温泉とを経営していること、本件各事業年度の水道の使用量、浴槽の容積、営業費のうち(二)雑品等購入費の金額以外の金額が被告主張どおりであること、浴場業者の雑収入の通常の差益率が二〇パーセントであること、以上のことは認めるが、その余は争う。 原告会社の本件各事業年度の所得金額は表8のとおりである。 (二) 被告の推計は、その要件を欠いているから不適法である。 所得金額の算定に当つては、実額によることが原則であつて、実額算定の資料を欠くなどの事情によつてそれが不可能である場合でなければ推計によることは許されない。ところで、原告会社は、各営業所の毎日の売上を正確に売上伝票に記載し、三、四日ごとないし月に二、三回順次訴外A方に持参して、同人が出納帳に転記していたし、また、二、三日分の売上金を、合わせて原告会社代表者らが順次銀行に預け入れていた(もつとも、つり銭用に若干の小銭を残しておくことはあつたが、それは翌日分の売上に加算していた)。したがつて、右出納帳は原告会社の現金収入を正確に記載した信頼すべきものであるから、実額によつて算定すべきである。 (三) 被告の推計は、合理性を欠いているので不適法である。以下、それに 算していた)。したがつて、右出納帳は原告会社の現金収入を正確に記載した信頼すべきものであるから、実額によつて算定すべきである。 (三) 被告の推計は、合理性を欠いているので不適法である。以下、それについて詳述する。 (1) 表8の売上金額から、雑品等購入費に差益率二〇パーセントを適用して得られた雑品等売上金額を控除すると入浴収入金額が算出できる。 昭和三七事業年度六二六万一、四二〇円(計算)(1) 売上金額六三六万五、八九五円(2) 雑品等購入費八万三、五八〇円(1) -(2)/1-0.2=6、261、420昭和三八事業年度七四五万五、五九一円(計算)(1) 売上金額七六六万四、四九一円(2) 雑品等購入費一七万五、一二〇円(1) -(2)/1-0.2=7、455、591昭和三九事業年度八三九万一、〇三一円(計算)(1) 売上金額八五三万二、〇三一円(2) 雑品等購入費一一万二、八〇〇円(1) -(2)/1-0.2=8、391、031被告が主張する一人あたり平均入浴料金(表9参照)昭和三七事業年度一七、二〇一円同三八事業年度一八、二七六円同三九事業年度二〇、四四六円この平均入浴料金で、入浴料収入金額を除すと年間入浴人員が算出できる。 昭和三七事業年度三六四、〇一四人同三八事業年度四〇七、八八九人同三九事業年度四一〇、三九九人一〇 日に一日の休業と、伊東温泉の昭和三七事業年度中の八〇日の休業を加味すると、両事業所の年間総営業日数は、昭和三七事業年度から順次、五八〇日、六六〇日、六六〇日となり、一営業所当り一日入浴人員は、次のとおりになる。 昭和三七事業年度六二七人同三八事業年度六一八人同三九事業年度六二一人勇湯の入浴者の概数は、入浴予想家庭四七五戸のうち家庭風呂所有家庭 り、一営業所当り一日入浴人員は、次のとおりになる。 昭和三七事業年度六二七人同三八事業年度六一八人同三九事業年度六二一人勇湯の入浴者の概数は、入浴予想家庭四七五戸のうち家庭風呂所有家庭(一四・二六パーセント)を差し引くと四〇八戸、四人家族で一、六三〇人、平均してその三分の一が入浴するとして一日五四一人、伊東温泉のそれは、入浴予想家庭三六〇戸のうち家庭風呂所有家庭(同率)を差し引くと三〇九戸、四人家族で一、二三五人、平均してその三分の一が入浴するとして一日四一二人になる。 この概数からして、原告会社の算出した六一八人ないし六二七人は正当な人数である。 ところが、被告が主張する入浴収入金額を基礎にすると、表9のとおり一日平均入浴人員が約一、〇〇〇人にもなり、殊に昭和三八事業年度には一日平均一、一九二人が入浴したことになるが、これは、勇湯と伊東温泉とに、付近の住民全員が殆んど毎日入浴したことになり甚だ不合理である。 (2) 勇湯は、建物が古く、構造が旧式で、釜の上部付近の湯槽にひび割れが生じ、多量の漏水があり、終業時にほぼ満水にしておいても翌朝には殆んど空になつている始末である。 勇湯の壁にも割目ができ、その中を通した導管の水も不断に漏れているし、直径一インチの導管で営業時間中不断に浴槽外に滝をかたどつた流水設備がある。 2 伊東温泉には、浴室外庭に滝の設備をし多量の水を流している。 以上の点から、水道使用量を推計の基礎にするのは不適当である。 勇湯は、漏水がひどくその修理には建物を建てかえる必要があつた。しかし、原告会社には、その資力がなく、事業不振のため昭和四一年三月三一日解散し清算中である。 (3) 被告は、大黒湯を比準同業者に選んでいるが、大黒湯の外に多くの同業者があり、大黒湯は、水道のほかに井戸水も使用しているのである。比準同 事業不振のため昭和四一年三月三一日解散し清算中である。 (3) 被告は、大黒湯を比準同業者に選んでいるが、大黒湯の外に多くの同業者があり、大黒湯は、水道のほかに井戸水も使用しているのである。比準同業者として、一業者だけを選び、しかも特異な業者を選んで原告会社と対比することに合理性はない。 (4) 被告は、表6で、原告会社が訴外新大阪牛乳販売(株)から牛乳等を購入したとしているが、それは原告会社ではなく訴外B個人が購入したものである。 (四) 原告会社が収入金額の一部を仮装、隠ぺいしたことも、簿外資産として蓄積していたこともない。 (五) 原告会社の所得金額は表8記載のとおりであり、この金額は原告会社が確定申告をした所得金額を下回るものであるから、本件更正処分は違法である。 四被告の反論(一) 被告が主張している入浴収入金額による一日一営業所当りの入浴人員は、表9のとおり九六五人ないし一、一九二人に試算されるが、この数は経験則上不合理ではない。 勇湯は、伊東温泉のある<地名略>は、人口二〇万人前後世帯数五万七、〇〇〇ないし六万五、〇〇〇戸の過密地域であり、家庭風呂の所有割合は一四・二六パーセントにすぎない(大阪市内のそれは二五・三八パーセント)。とりわけ、勇湯、伊東温泉のあるところは、<地名略>内でも特別過密地域で浴場営業に最適の場所であり、労働者が多く、労働者の入浴回数が多いことは周知の事実である。 (二) 勇湯の水漏れについては、原告会社の主張どおり水漏れ分を控除して推計しているし、伊東温泉の滝のための水の使用量は無視してもよい程度のものである。 大黒湯の使用した井戸水も、推計の際、使用量を認定し、水道使用量に加算している。このことは、比準同業者の水一立方メートル当りの入浴料金を算出する場合低額に、つまり原告会社に有利に処理したこと る。 大黒湯の使用した井戸水も、推計の際、使用量を認定し、水道使用量に加算している。このことは、比準同業者の水一立方メートル当りの入浴料金を算出する場合低額に、つまり原告会社に有利に処理したことになるのである。 原告会社は、昭和四一年三月三一日解散したが、勇湯は、訴外Cが、伊東温泉は訴外Dがそれぞれ個人で引き続き経営し、その後それぞれ新会社を設立して経営に当つている。したがつて、原告会社が解散したのは、採算がとれなくなつたからではない。 第三証拠関係(省略)○ 理由一本件請求の原因事実中、(一)の事実(原告会社の昭和三七ないし昭和三九事業年度の法人税更正の経緯)及び原告会社が勇湯と伊東温泉とを経営していた事実、以上の事実は、当事者間に争いがない。 二推計について(一) 課税庁が、法人税を課す前提となる事業年度の所得の実額を調査しようとしても、白色申告の法人の帳簿書類が不備であつたり、帳簿の記載内容が不正確な場合には、推計によつて所得額を認定して課税することが許される(法人税法(昭和四〇年法律第三四号による改正前)三一条二項)が、その推計方法は、事案にそくし合理的な計算方式をとらなければならないと解するのが相当である。 本件では、被告は、白色申告者である原告会社の各事業年度の帳簿の記載が不正確であるため、比準同業者として有限会社大黒湯を選び、単位当り額法(効率法)によつて、原告会社の各事業年度の所得金額を推計して主張している。そこで、以下その適法性について判断を進める。 (二) 入浴収入金額の推計の適法性(原告会社の記帳の正確性)について(1) 成立に争いがない甲第九号証の一ないし三、弁論の全趣旨によつて成立が認められる同第一五ないし第一七号証の各一、二、同第二〇ないし第二二号証の各一、二、公文書であるから成立が認められる乙第一 (1) 成立に争いがない甲第九号証の一ないし三、弁論の全趣旨によつて成立が認められる同第一五ないし第一七号証の各一、二、同第二〇ないし第二二号証の各一、二、公文書であるから成立が認められる乙第一八号証、証人A、同D(一部)、同Eの各証言によると次のことが認められ、この認定に反する証人Dの証言の一部や原告会社代表者の本人尋問の結果は採用しないし、ほかにこの認定に反する証拠はない。 (ア) 原告会社は、各事業年度の貸借対照表、財産目録、損益計算書と、これらの基礎になる総勘定元帳、金銭出納帳、銀行勘定帳をそれぞれ備え付けていた。 しかし、この帳簿の記帳は、税理士などの資格のない訴外Aが本業のかたわら無報酬でしていた。 (イ) その方法は、原告会社代表者訴外Cらが作成した入金伝票、領収書などをAに数日分まとめて届け、Aがこれをまとめて金銭出納帳などに移記していた。 (ウ) したがつて、記帳者であるAは、金銭出納帳の現金残高が、日々の現金実際有高と照合できていなかつた。しかし、公衆浴場では、入浴料という現金収入を確実に日々その都度集計しないことには、その日の売上げの把握が困難である。 (エ) 原告会社の日々の入金額を把握するため記帳されていた入金伝票は、年月日、曜日に誤記があつたり、端数が処理されている。 (オ) 原告会社の入金伝票、金銭出納帳、銀行勘定帳をそれぞれ比較検討したとき、少なくとも表10に指摘したとおりの不一致や不完全な点がある。 (2) 以上認定の事実によると、原告会社備付の帳簿類の記帳自体に不完全な箇所があるとしなければならない。 さらに重要なことは、これらの帳簿が原告会社の経理の実体を正確に反映しているといいうるためには、その基礎となつた入金伝票が現実の入金を正確に反映したものでなければならないことである。ところが、原告会社代表者の なことは、これらの帳簿が原告会社の経理の実体を正確に反映しているといいうるためには、その基礎となつた入金伝票が現実の入金を正確に反映したものでなければならないことである。ところが、原告会社代表者の署名押印部分の成立について争いがないから真正に作成されたものと推定される乙第一、第二号証、Dの署名部分の成立について争いがないので真正に作成されたものと推定される同第三号証によると、原告会社代表者Cらはその浴場営業による現金収入の一部を除外し、この部分を入金伝票に記載しなかつたことが認められ、この認定の妨げになる証拠はない。もつとも、原告会社代表者の本人尋問の結果中には、乙第一号証は内容がわからぬままに署名押印したもの、同第二号証は白紙に署名押印したものでそれらに記載された供述をしたことはないとの部分、証人Dの証言中には、同第三号証には署名したがそれに記載された供述をしたことはないとの部分がある。しかし、これらの部分は、いずれもあいまいで不明確であるばかりか、乙第一ないし第三号証の記載内容及び証人Eの証言と対比したとき、これらの部分は信用することができない。 また、原告会社は右帳簿によつて算出した売上金額は原告会社主張の売上金額になると主張しているが、その額は後記(三)(四)のとおり推計によつて算出された売上金額と著しく異なるのであつて、このことは右帳簿の記載内容の正確性を疑わせるものである。 このように、右帳簿によつては、原告会社の売上金額を実額で認定することは不可能であり、他に実額で売上金額を認定できる資料は見当らない。したがつて、被告が推計によつて原告会社の売上金額を算出したことは適法であるといわなければならない。 (三) 入浴収入金額の推計方法の合理性について(1) 被告は、比準同業者として大黒湯を選んだわけであるが、前掲乙第一八号 つて原告会社の売上金額を算出したことは適法であるといわなければならない。 (三) 入浴収入金額の推計方法の合理性について(1) 被告は、比準同業者として大黒湯を選んだわけであるが、前掲乙第一八号証、原告会社代表者の本人尋問の結果によつて成立が認められる甲第六ないし第八号証、証人住永満の証言によると、次のことが認められ、この認定に反する証拠はない。 (ア) 大黒湯は、勇湯の南一五〇メートル、伊東温泉とも同じ<地名略>内にあり、勇渇に一番近い法人組織の公衆浴場であり、この三者の所在地域の間で、人口密度、家庭風呂所有者割合が極めて類似している。 (イ) 大黒湯の水道使用量(成立に争いがない乙第一九号証の一)は、勇湯や伊東温泉のそれ(同第一四号証の二)より少ないが、毎月の使用量の増減形態が類似している。 (ウ) 一般に浴場営業では、水の使用量と入浴者数とが比例する。つまり入浴者一人当りの水の使用量には自ら限度がある。 (エ) 大黒湯は、勇湯、伊東温泉と同様、サウナ、スチームなどの特殊設備がなく浴場業以外の収入がない。 (オ) 大黒湯の昭和三七ないし昭和三九事業年度の法人税の確定申告が正確であつた。 以上認定の事実によると、被告が大黒湯を比準同業者に選んで水の使用量から水一立方メートル当りの収入金額を推計したことには相当の理由があるとしなければならない。 (2) 原告会社は、比準同業者として選定された者がただ一業者に過ぎないから推計に合理性がないと主張しているが、その選定された同業者が比準同業者としての適格性があり、しかも適格性のある同業者を外に求めることができない場合には、比準同業者は一業者で足りるとしなければならない。したがつて、比準同業者が一業者であることによつて、推計が直ちに不合理になるわけのものではない。そのうえ条件の異なる同業者をいく ができない場合には、比準同業者は一業者で足りるとしなければならない。したがつて、比準同業者が一業者であることによつて、推計が直ちに不合理になるわけのものではない。そのうえ条件の異なる同業者をいくつも集めて平均値を出すと、かえつて実態から遠ざかることになり、具体的妥当性を欠く結果を招来する虞れがあるのである。 本件では、被告が大黒湯を比準同業者に選んだことには、前記認定の合理性がある以上、比準同業者が一業者にすぎないからといつて、被告のこの推計に合理性を欠くとする原告会社の主張は失当である。 (3) 原告会社は、勇湯は漏水がひどく水道使用量によつて推計をするべきではないと主張している。 しかし、被告は、推計に当り、表5のとおり勇湯の漏水を原告会社の主張どおり認めて売上を推計する基礎となる水道使用量から減じているのである。そうして検証の結果及び弁論の全趣旨によると、被告が漏水として減じた量は、原告会社の用いていた浴槽三杯分の水が毎営業日ごとに漏れるものとして算出された量に等しいことが認められ、この認定に反する証拠はない。 そうすると、被告が勇湯の漏水分として減じた量は相当と認められるから、原告のこの主張は的外れである。 (4) 原告会社は、伊東温泉では浴室外庭に滝の設備をして多量の水を流していたと主張し、証人Dの証言中には、その量が全使用量の三分の一に当るとの供述があるほか、この量がどれだけかを認める証拠はない。 なお、検証の結果では一〇分当り〇・〇二三立方メートル位であることが認められる。 そうすると、D証人の右供述部分は採用できないし、一日一立方メートルとして一年間三二九立方メートル(一年の営業日数二三九日)という僅かなものにすぎない。したがつて、勇湯の水漏れ分として原告会社主張どおり多量のものが差し引かれているから、そのうえ、伊東温泉の ートルとして一年間三二九立方メートル(一年の営業日数二三九日)という僅かなものにすぎない。したがつて、勇湯の水漏れ分として原告会社主張どおり多量のものが差し引かれているから、そのうえ、伊東温泉の滝の分として差し引く必要はない。 (5) 原告会社は、大黒湯が井戸水を使用しているから比準同業者として不適当であると主張しているが、表4の(2)の水使用量には、毎月一七〇立方メートルの割合による井戸水の使用量が加えられていることは、成立に争いがない乙第一九号証の一の大黒湯の水道使用量の合計と対比したとき明白であり、右の井戸水使用量は前掲乙第一八号証によつて相当と認められるから、この主張は採用できない。 (6) 前掲の乙第一八号証、同第一九号証の一によつて、大黒湯の昭和三七ないし昭和三九事業年度の入浴収入金額及び水使用量は、表4の(1)、(2)のとおりであることが認められ、この認定に反する証拠はない。 そこで、大黒湯の各事業年度の水一立方メートル当りの収入金額を算出し、当事者間に争いがない原告会社の全水道使用量から、水漏れと排水ロスを表5のとおり計算したうえで差し引くと、結局原告会社の昭和三七ないし昭和三九事業年度の入浴収入金額は、被告主張どおり表3の(1)の金額になることは計算上明らかである、そうして、この単位当り額法による本訴推計には合理性があるとしなければならない。そのわけは、推計方法が事案に適切であり、推計の基礎となつた事実が正確であるばかりか、推計方法自体が合理的であるからである。 (7) 原告会社は、被告の主張する推計による入浴収入金額を基礎にすると、一営業所の一日当りの入浴人数が約一〇〇〇人にもなり実情に全くそぐわないと主張している。 しかし、原告会社は、正確な一日の入浴者数を把握しているわけではなく、原告会社代表者の本人尋問の結果中に と、一営業所の一日当りの入浴人数が約一〇〇〇人にもなり実情に全くそぐわないと主張している。 しかし、原告会社は、正確な一日の入浴者数を把握しているわけではなく、原告会社代表者の本人尋問の結果中には、代表者であるCが勇湯の番台に座つていての感じとして一日四五〇人位ではないかという供述があるだけである。 被告のした試算では、表9のとおり、一事業所の一日当りの入浴人員は、九六五人ないし一、一九二人になる。なお、この試算のための資料は、成立に争いがない乙第八号証の二である。 ところで、成立に争いがない乙第一〇号証の二によると、<地名略>の人口は二一万四、〇〇〇人ないし二一万五、〇〇〇人で、大阪市の中では人口の密集した区であること、<地名略>は、家庭風呂の普及率が、昭和四三年の統計で、一四パーセントであり、大阪全市のそれが、二五パーセントであること、以上のことが認められこの認定に反する証拠はない。 そうして、<地名略>には、労働者の多いことは当裁判所に顕著な事実であるから、以上のことを考えたとき、被告の試算による表9の入浴人員が常識に反するほど多いとはいえない。 大黒湯について表9の方法で一日の入浴人員を算出すると、昭和三七事業年度六五二人、昭和三八事業年度六七四人、昭和三九事業年度六〇一人になる。この数は、原告会社が算出した概数である六一八人ないし六二七人に近い人数である。しかし、原告会社の水道使用量は、大黒湯のそれより多いのであるから、原告会社の勇湯、伊東温泉の一日当りの入浴人員が、大黒湯のそれを上回るのは当然である。 (四) 雑品、牛乳等の売上金額の推計について(1) 浴場業者の雑収入の通常の差益率が二〇パーセントであることは、当事者間に争いがない。 (2) 原告会社の雑品、牛乳の仕入金額が表6のとおりであることは、証人Fの証言によつて成立 推計について(1) 浴場業者の雑収入の通常の差益率が二〇パーセントであることは、当事者間に争いがない。 (2) 原告会社の雑品、牛乳の仕入金額が表6のとおりであることは、証人Fの証言によつて成立が認められる乙第五ないし第七号証、同第一七号証や同証言によつて認められ、この認定に反する原告会社代表者の本人尋問の結果は採用しないし、ほかにこの認定に反する証拠はない。 (3) そうすると、雑品牛乳等の売上金額が表3の(2)のとおりであることは計算上明らかであり、この推計も相当である。 (五) 本件各事業年度の営業費のうち(二)雑品等購入費の金額以外の金額が被告主張どおりであることは原告会社の認めるところであり、(二)雑品等仕入金額が被告主張どおりであることは右(四)の(2)で認定したとおりである。 (六) そうすると、原告会社の昭和三七ないし昭和三九事業年度の所得金額は、表2の(3)記載の額になることは計算上明らかである。そうしてこれは、本件各処分の所得金額を上回つているから、本件各更正処分は適法である。 三重加算税賦課決定について原告会社が申告した本件各事業年度の所得金額と、右に認定した原告会社の本件各事業年度の所得金額とを比較したとき、原告会社が申告したそれは、著しく過少であるといわなければならない。そうして、原告会社の帳簿類の記帳が不正確であり、原告会社の代表者らが、売上を正確に記帳せず、売上除外をしたことは、前記二(二)の(2)に認定したとおりである。そのうえ、原告会社代表者の本人尋問の結果によると、原告会社の各事業年度の確定申告は、右帳簿を基礎としてされたことが認められこの認定に反する証拠はない。 このように売上除外による虚偽の帳簿作成と、確定申告とが計数上符合している場合には、原告会社が脱税目的で故意に所得の一部を隠ぺいしたものと推 礎としてされたことが認められこの認定に反する証拠はない。 このように売上除外による虚偽の帳簿作成と、確定申告とが計数上符合している場合には、原告会社が脱税目的で故意に所得の一部を隠ぺいしたものと推認されるから、国税通則法六八条が規定する重加算税を賦課することのできる要件を満たしているとしなければならない。 そうして、被告が本件でした推計による原告会社の昭和三八、三九事業年度の所得金額を基礎に重加算税額を計算すると、その額が表7の(1)(2)の額になることは計算上明らかである。この額は、本件各重加算税賦課決定処分の際の重加算税額を上回るから、本件請求のうち、重加算税賦課決定の取消しを求める部分は理由がないことに帰着する。 四むすび以上の次第で、本件各処分は、いずれも適法であるから、原告会社の本件請求は失当として棄却を免れない。そこで行政事件訴訟法七条、民訴法八九条に従い主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長井関正裕西尾進)表10(省略)
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