平成18(行ウ)428 建築物是正命令等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年1月31日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文18,067 文字)

主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 主位的請求東京都杉並区長は,別紙物件目録記載の建築物について,建築基準法43条1項に違反する部分を是正するために,同法9条1項に基づく是正命令権限を行使せよ。 予備的請求東京都杉並区長が,別紙物件目録記載の建築物について,建築基準法43条1項に違反する部分を是正するために,同法9条1項に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることを確認する。 第2事案の概要 本件は,東京都杉並区(以下「杉並区」という。)に建設中の別紙物件目録記載の建築物(以下「本件建築物」という。)について,①本件建築物の敷地が実質的には道路に接しておらず,また,②建築確認申請では本件建築物は1個の建築物とされているにもかかわらず,実際に建築されようとしている建築物は2個であり,これらのことから,本件建築物は建築基準法43条1項に違反する違法建築物であるとして,本件建築物の敷地の隣接地に居住する原告が,主位的には,特定行政庁である杉並区長に同法9条1項に基づく是正命令権限を行使することを求めるとともに,予備的には,杉並区長が同項に基づく是正 命令権限を行使しないことが違法であることの確認を求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,以下のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実又は証拠及び弁論の全趣旨等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。 (1)本件建築物に係る建築確認処分杉並区建築主事は,平成15年9月9日,杉並区α×××番11,16,18,19及び21の土地(別紙図面1中の青色の線で囲まれた範囲内の土地。以下「本件敷地」という。)上に計画された本件建築物に係る建築確認 建築主事は,平成15年9月9日,杉並区α×××番11,16,18,19及び21の土地(別紙図面1中の青色の線で囲まれた範囲内の土地。以下「本件敷地」という。)上に計画された本件建築物に係る建築確認申請を受理し,同年12月25日付けで建築確認処分(以下「本件確認処分」という。)をした(甲1,6の2,乙3)。 (2)建築計画の概要ア本件確認処分に係る建築計画(以下「本件建築計画」という。)の概要は,別紙物件目録記載の事項(ただし,敷地面積,建築面積及び延べ面積を除く。)のほか,次のとおりである(甲1)。 (ア)建築主A(イ)容積率80%(ウ)建ぺい率40%(エ)敷地面積240.18㎡(オ)建築面積95.96㎡(カ)延べ面積239.11㎡(キ)主要用途長屋 (ク)建築物の数 (ケ)工事着手予定日平成15年11月15日(コ)工事完了予定日平成16年4月30日イ本件確認処分後,敷地の再測量の結果に基づき,本件建築計画のうち,敷地面積,建築面積及び延べ面積並びに建築物の配置及び形状について,次のとおり訂正又は変更がされ,平成16年3月30日,当該訂正又は変更に係る報告が杉並区建築主事に受理された(甲1)。 (ア)敷地面積訂正後240.58㎡(イ)建築面積変更後94.17㎡(ウ)延べ面積変更後218.14㎡(エ)建築物の配置及び形状変更後別紙図面2のとおり(3)位置指定道路の存在本件敷地の東端は,建築基準法42条1項5号に基づく位置の指定(昭和30年7月28日付け第869号)を受けた道路(別紙図面1中の赤色の線で囲まれた範囲内の土地。以下「本件位置指定道路」という。)に接している。そして,上記指定がされた際の図面(甲5)には,本件位置指定道路について,道路幅員4メー を受けた道路(別紙図面1中の赤色の線で囲まれた範囲内の土地。以下「本件位置指定道路」という。)に接している。そして,上記指定がされた際の図面(甲5)には,本件位置指定道路について,道路幅員4メートル,道路延長38メートルの各記載がある。 なお,原告は,本件敷地が本件位置指定道路に接していることを争っているが,後記(6)のとおり,原告が提起した本件確認処分の取消しを求める訴えでは,本件敷地が本件位置指定道路に2メートル以上接していると判断されて,原告の上記主張は排斥されている。(甲3の1,5,6の2)(4)原告の自宅 原告は,本件敷地に隣接する杉並区α×××番17,20及び28の土地(別紙図面1中の緑色の線で囲まれた範囲内の土地。以下「原告敷地」という。)上に所在する建物に居住している(甲3の1,6の2,乙3,弁論の全趣旨)。 (5)本件位置指定道路と本件敷地の接する部分付近の現況本件位置指定道路の北側(別紙図面3中の斜線部分付近)には,既存の建築物が存在している。そして,本件敷地の東端付近には,同図面記載のとおり,本件位置指定道路上にその一部がはみ出すように,同建築物の外階段が存在している。 また,別紙図面1中の30,31,82の各点を順次結んだ直線付近には,原告の前主のBが平成10年2月ころに設置した門扉(以下「本件門扉」という。)のレールが固定されている。本件門扉は,いわゆるアコーディオンタイプの可動式のものであり,本件門扉が閉じられた状態でなければ,レールが固定された部分も通行することが可能である。(甲3の1,6の2,7,8,弁論の全趣旨)(6)原告による審査請求と行政訴訟の提起等原告は,平成16年2月4日,杉並区建築審査会に対し,本件確認処分の取消しを求めて審査請求をしたが,同審査会は,同年5月12日付けで原告 弁論の全趣旨)(6)原告による審査請求と行政訴訟の提起等原告は,平成16年2月4日,杉並区建築審査会に対し,本件確認処分の取消しを求めて審査請求をしたが,同審査会は,同年5月12日付けで原告の審査請求を棄却する裁決をした。このため,原告は,同月31日,国土交通大臣に対する再審査請求をするとともに,杉並区建築主事を被告として,本件確認処分の取消しを求める訴え(以下「前訴」という。)を当庁に提起した。 前訴において,原告は,本件敷地は本件位置指定道路に1.88メートルしか接しておらず,建築基準法43条1項の要件を満たさない違法があるなどと主張したが,当庁民事第3部は,平成17年2月4日,これらの主張をすべて排斥し,本件敷地は本件位置指定道路に2メートル以上接している旨認定して,原告の請求を棄却する判決(以下「前訴第1審判決」という。)を言い渡した。そして,前訴第1審判決は,同年5月18日にされた控訴審判決及び同年10月28日にされた上告審決定において維持され,確定した。 また,国土交通大臣は,平成18年3月31日付けで原告の再審査請求を棄却する裁決をした。(甲2の1,2の2,3の1,3の2,弁論の全趣旨) 当事者の主張の要旨(1)本案前の争点(原告の主張)ア重大な損害を生ずるおそれがあること(ア)このまま本件建築物の建設工事が進行し,接道要件及び一敷地一建築物の原則に違反する建築物が完成して,その利用が進むと,本件敷地は実際には1メートル程度の接道しか確保されていないため,火災発生時に消防隊等の進入及び消火活動に困難を来し,火災が拡大する可能性が十分に想定できる。この場合には,隣接地に居住する原告は,近隣の住民とともに生命身体の危機にさらされることが明らかである。 そして,重大な損害を生ずるおそれの有無の判断は, し,火災が拡大する可能性が十分に想定できる。この場合には,隣接地に居住する原告は,近隣の住民とともに生命身体の危機にさらされることが明らかである。 そして,重大な損害を生ずるおそれの有無の判断は,事実審の口頭弁論終結時を基準とすべきところ,本件建築物は,既に建築確認を受けて, 工事に着手されており,かつ,木造であることからすると,着工から3か月もあれば完成してしまい,口頭弁論終結時においては原告が主張する火災等の防災上の危険は現実のものとなる。また,現在でも,鉄筋が組まれて放置されている状態であって,鉄筋がさびることによる倒壊の危険性は否定することができない。 したがって,口頭弁論終結時には,重大な損害を生ずるおそれが認められる可能性は極めて高いから,主位的請求である義務付けの訴えは,行政事件訴訟法37条の2第1項所定の要件を満たしている。 なお,本件では,本件確認処分がされてから,処分の執行停止や民事上の仮処分等がされたわけではなく,建築主が事実上遅々とした工事の進行を行っている状態であるが,これは何ら法的に工事の進行が止められている状態ではなく,そのことを考慮すべきではない。 (イ)義務付けの訴えが新設された行政事件訴訟法の改正法に関する文献においては,重大な損害とは,原告の被る損害について,その救済の必要性という部分に着目して,司法権と行政権の役割分担の中で義務付け訴訟を用いる必要性があるかどうかを考量するという趣旨であり,形式的な厳格さを求めるものではなく,具体的な事案に応じて,国民の権利利益救済の実効性を高めるための新しいツールである直接型義務付け訴訟を適切に活用することが今後の裁判実務に求められる姿勢であるなどとされている。 訴状において,原告側が一応の違法性に関する主張を行った状態は,それが明白に主張自体失当である である直接型義務付け訴訟を適切に活用することが今後の裁判実務に求められる姿勢であるなどとされている。 訴状において,原告側が一応の違法性に関する主張を行った状態は,それが明白に主張自体失当であるような場合を除いて,重大な損害を生 じるおそれが訴訟手続上認められる状態となったというべきであり,行政庁側において適切な調査,解明義務に立った主張立証を行うことが必要となり,後は双方の主張立証を踏まえた裁判所の本案判断にゆだねられるというべきである。 義務付け訴訟における重大な損害の概念の解釈運用に際しては,参議院における行政事件訴訟法改正の際の附帯決議として,「義務付けの訴え及び差止めの訴えについては,取消訴訟を中心とした訴訟の仕組みを改め,その要件等を明確化し,救済方法を拡充するという今回の改正の趣旨を生かし,柔軟な運用がされるべき趣旨であることについて周知徹底に努めること。」について,格段の配慮をすることが決議されている。 この附帯決議は,裁判においても,当然にその趣旨が尊重されるべきである。 イ是正命令権限を行使すべき一義的に明白な義務があること特定行政庁は,すべての建築基準法違反について是正すべき義務があるわけではなく,同法9条の是正命令権限を行使するに当たり,一定の裁量を有している。この裁量は,①違反の有無,内容及び程度,②違反によって阻害される行政目的の内容及び程度,③違反により近隣住民の受ける被害の内容及び程度,④是正命令により建築主の受ける不利益の程度,⑤建築主による自発的な違反解消措置の執られる見込み,及び⑥建築主に対する指導など他の手段による違反解消の見込みを考慮して行使されるべきものであり,具体的事情の下において,当該権限が付与された趣旨,目的に照らし,当該権限を行使しないことが著しく不合理であり,裁量権の濫用, 導など他の手段による違反解消の見込みを考慮して行使されるべきものであり,具体的事情の下において,当該権限が付与された趣旨,目的に照らし,当該権限を行使しないことが著しく不合理であり,裁量権の濫用, 逸脱と認められるような特段の事情がある場合には,当該権限を行使すべき一義的に明白な義務があるとされている。 本件においては,①接道要件及び一敷地一建築物の原則という建築基準法の基本的な規定に違反するものであって,しかも,実質的に1メートル程度しか接道が確保されておらず,さらに,そのような敷地に独立した建築物を2つ建築しようとするものであり,違反の内容及び程度とも重大であること,②接道要件,一敷地一建築物の原則は,都市の防災,居住者の安全を維持することを目的としているところ,建築基準法の定める接道が確保できない建築物が出現することにより,これらの行政目的が大きく阻害されること,③本件敷地は,戸建て低層住宅に取り囲まれ,自動車の進入の余地の全くない敷地であるため,本件建築物の完成後に本件建築物において火災が発生したときには,消火が困難であって,原告を始めとする近隣住民の生命及び財産が重大な危険にさらされる可能性が高いこと,④本件敷地は,そもそも建物の建築が不可能な土地であって,是正命令により仮に全面的な撤去が命じられたとしても,本来の状態に戻るだけで,建築主が想定外の不利益を被ることはないこと,⑤建築主はこれまで原告が審査請求を行ってきた間も建築工事を進めており,また,本件確認処分の内容とは異なる建築物の建築工事を行っている可能性もあり,自発的な違反解消措置が執られる見込みがないこと,⑥特定行政庁は,これまで建築主に対して何ら適切な指導を行っておらず,是正命令を判決により義務付けること以外の方法による違反状態の解消の見込みがないことからす 反解消措置が執られる見込みがないこと,⑥特定行政庁は,これまで建築主に対して何ら適切な指導を行っておらず,是正命令を判決により義務付けること以外の方法による違反状態の解消の見込みがないことからすれば,特定行政庁には,是正命令権限を行使すべき一義的に明白な義務があると いうべきである。 ウ「一定の処分」ということができること行政事件訴訟法37条の2は,一定の処分の義務付けの訴えを容認しているところ,これは,一定の幅を持った行政的権限の行使についても,義務付けの訴えの対象として認める趣旨であり,行政裁量のある行政処分など,具体的な処分を特定することができない場合でも,一定の抽象的義務付けの訴えを許容する趣旨である。 本件において,是正命令は不利益処分であり,行政手続法の適用を受けるほか,不利益処分をいつ,どのような形で,だれに対して課すかについては特定行政庁に一定の裁量が認められる。したがって,本件請求の趣旨のような一定の処分の抽象的義務付けの訴えが容認されるべきである。 エ不作為の違法確認の訴えに補充性等が認められること仮に義務付けの訴えが認められない場合であっても,予備的請求である不作為の違法確認の訴えは,いわゆる無名抗告訴訟として認められるべきである。 なお,行政事件訴訟法37条の3第6項には,いわゆる申請型義務付けの訴えにつき,「裁判所は,審理の状況その他の事情を考慮して,第3項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは,当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。」と規定しており,第三者による非申請型義務付けの訴えにおいても,違法性の確認のみの必要性は否定されないと考える。 そして,「他に救済手段がないこと」という要件は,行政事件訴訟法の 改正の流れによれば,原告 おり,第三者による非申請型義務付けの訴えにおいても,違法性の確認のみの必要性は否定されないと考える。 そして,「他に救済手段がないこと」という要件は,行政事件訴訟法の 改正の流れによれば,原告の権利救済のために特別な手段が設けられている場合に他の方法によることは,合理的な制度の在り方を没却するという趣旨で設けられた要件と考えられる。そうであるとするならば,前述のように行政事件訴訟法37条の3第6項によっても必要性が認められている以上,予備的請求である不作為の違法確認の訴えを認めても,合理的な制度の在り方を没却するものではなく,「他に救済手段がないこと」という要件も充足するものと考える。 なお,主位的請求としての義務付けの訴えの提起が可能であるから,予備的請求としての不作為の違法確認の訴えの必要性がないという論理は成り立たない。予備的請求は,主位的請求が認められない場合についての請求であり,これを主位的請求の提起が可能であるという理由で否定することは論理的に矛盾している。 (被告の主張)ア重大な損害を生ずるおそれがないこと原告の主位的請求は,いわゆる非申請型義務付けの訴え(行政事件訴訟法37条の2)であるから,一定の処分がされないことにより重大な損害を生じるおそれがあり,かつ,その損害を避けるために他に適当な方法がないときに限り提起し得るものである。 ここにいう重大な損害を生ずるおそれの有無の判断は,現時点の状況を前提にされるべきであるから,本件建築物の工事状況に照らせば,現時点において,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるとすることは到底できない。 なぜなら,本件において,仮に原告に重大な損害を生ずるおそれが認められるとすれば,それは違法な建築物が実際に現出し,更にそれが使用される段階において初めて認められるものであり 到底できない。 なぜなら,本件において,仮に原告に重大な損害を生ずるおそれが認められるとすれば,それは違法な建築物が実際に現出し,更にそれが使用される段階において初めて認められるものであり,かつ,その段階で是正すれば足りる性格のものであるところ,本件建築物の現段階における状況は,本件建築物の北側の地下室部分の基礎部分(外壁)とその南東側部分の基礎部分についてのコンクリート基礎工事がされているにすぎず,この状況から見る限り,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるとして,現時点において直ちにこれを是正しなければならないものということは到底できないからである。 確かに,原告の主張するところによれば,本件敷地は接道要件を満たしていないことから,工事そのものが許されないということも考えられるが,仮にそうであるとしても,重大な損害を生ずるおそれとの関係での現時点での対応については上記事情に変わるところはない。 以上のとおり,原告には,現時点において重大な損害を生ずるおそれはなく,主位的請求である義務付けの訴えは不適法である。 イ不作為の違法確認の訴えに補充性等が認められないこと原告は,予備的請求として,特定行政庁が建築基準法9条1項に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることの確認を求めているが,行政事件訴訟法に規定されているこの種の不作為の違法確認の訴えは,同法37条により,処分又は裁決についての申請をした者に限り,提起することができるとされており,原告が同条の訴えを提起することができないことは明らかである。 また,原告が,いわゆる無名抗告訴訟として,予備的請求に係る不作為の違法確認の訴えを提起したものと解したとしても,無名抗告訴訟としての不作為の違法確認の訴えは,他の救済手段がないことが要件とされているから,主位的請求 る無名抗告訴訟として,予備的請求に係る不作為の違法確認の訴えを提起したものと解したとしても,無名抗告訴訟としての不作為の違法確認の訴えは,他の救済手段がないことが要件とされているから,主位的請求である義務付けの訴えのようなより直接的な訴えが認められている現在,この種の訴えを認める必要はなく,予備的請求に係る不作為の違法確認の訴えは不適法である。 (2)本案の争点(原告の主張)ア実質的に有効な接道が確保されていないこと(ア)前記審査請求の裁決や前訴の判決においては,図面等に基づいて,本件敷地が本件位置指定道路に2メートル以上接道している旨の認定がされた。しかし,仮に図面上,本件敷地が本件位置指定道路に接道しているとしても,現実には2メートルの通行可能幅員は全く確保できていない。本来,建築確認における接道の有無を判断する対象としての道路については,敷地の利用における防災や安全性等の面からの規定であることから,未完成の都市計画道路の場合以外には,実際の敷地利用において利用可能な形状が確保されていることが必要というべきである。 本件敷地は本件位置指定道路に2メートル以上接しているとして,本件確認処分がされ,審査請求の裁決及び前訴の判決においてもこれが認められている。しかし,本件敷地付近の本件位置指定道路の指定図(甲5)は,その指定範囲が現地でどこに該当するのかが不明確であり,現地とのそごも明らかである。上記道路位置指定図によれば,幅員4メー トルの範囲が道路として確保されているとされているが,現況実測図によると公道入口付近においても3.8メートル前後と4メートルには足りず,本件敷地に近いところでは,3.3メートル程度の幅員しかない。 (イ)本件敷地の旧所有者とBとの間には,旧所有者が提起した構築物撤去請求事件の確定判決(以 3.8メートル前後と4メートルには足りず,本件敷地に近いところでは,3.3メートル程度の幅員しかない。 (イ)本件敷地の旧所有者とBとの間には,旧所有者が提起した構築物撤去請求事件の確定判決(以下「別件判決」という。)がある。別件判決においては,原告敷地の一部分(別紙図面3中のイ,ロ,ハ,ニ,イの各点を順次結んだ直線で囲まれた部分)が本件位置指定道路に含まれていることは否定され,本件敷地の旧所有者は本件門扉等の撤去請求ができないとされている。 また,前記前提事実のとおり,本件位置指定道路と本件敷地とが接する部分の付近には,既存建築物の外階段が存在している。このため,別件判決により本件敷地の所有者に通行権が認められていない部分と既存建築物及びその外階段により通行が不可能な部分を除くと,本件敷地の所有者が通行することが可能な幅員は,この部分で1メートル程度にすぎない。公道に至る通行可能な幅員が1メートル程度しか確保できない現状では,仮に観念上の位置指定道路が存在しているとしても,防火上,避難上,交通上等の著しい支障を来している状態であり,本件位置指定道路は,少なくとも本件敷地に対する関係では,建築基準法43条の道路としての要件を満たしておらず,これに接していたとしても本件敷地は現実に建築基準法43条に適合していない。 (ウ)前訴第1審判決及び控訴審判決は,本件確認処分の違法性を争ったものであるところ,建築確認処分は,図面上から当該予定建築物の違法 性を判断するものであって,予定建築物が図面上適法と判断されても,実際に建てられた建築物が適法とは限らない。建築確認処分は,建築前の時点で建築物の適法性を担保する制度であるにすぎず,図面上適法なものとして建築確認がされた物件につき,建築申請内容とは相違する違法な建築行為が行われた場合に 法とは限らない。建築確認処分は,建築前の時点で建築物の適法性を担保する制度であるにすぎず,図面上適法なものとして建築確認がされた物件につき,建築申請内容とは相違する違法な建築行為が行われた場合には,建築確認処分の取消訴訟において争えるものではない。 このように,前訴の判決の既判力は,本件建築物の図面上の適法性に及ぶのみであって,実際上違法な建築がされつつある本件建築物の適法性には及ばない。したがって,本件には前訴の判決の既判力は及ばない。 イ一敷地一建築物の原則に違反していること本件建築物は,本件確認処分上,本件敷地に1つの建築物として計画され,本件確認処分がされている。ところが,現在工事中の基礎は,2つに分かれており,確認申請書の計画図面と現実の基礎の配置は大きく異なっており,本件敷地上には2つの建築物が建築される可能性が高い。 甲第8号証によれば,本件建築物の地下室部分と既に構築された地上階の基礎部分とは,離れて存在している。仮に,地上階において,地下部分の上の階と他の部分がつながっているとすると,その基礎に関しても現在存在している布基礎の立ち上がり部分が地下部分とつながっているのが通常であるが,現状は基礎は離れて存在しており,常識的な施工手順からは,このように分離した基礎の上に一体の建築物が構築されることは想定し難い。 本件敷地上に別々の建築物を建築することは,一敷地一建築物の原則を 定めた建築基準法施行令1条1項に違反する行為であって,前記アのとおり2メートル以上の接道が欠如していることに加え,接道の全くない建築物も出現することとなり,防災上の危険性が一層高まることとなる。 (被告の主張)ア本件敷地が接道要件を満たしていること(ア)まず,現実に2メートル以上接道することが必要であるとする原告の主張の当否は別とし ととなり,防災上の危険性が一層高まることとなる。 (被告の主張)ア本件敷地が接道要件を満たしていること(ア)まず,現実に2メートル以上接道することが必要であるとする原告の主張の当否は別としても,本件敷地が本件位置指定道路に2メートル以上接していることを前提として本件敷地が建築基準法43条1項に違反するものではないことについては,前訴の判決において既に判示されているところであり,これに反する判決後の事実,事情は一切主張されていないのであるから,本件敷地が同項に違反するとの主張が前訴の判決の既判力に抵触することは明らかである。 この点について,原告は,現実に有効な道路への接道が確保されていないという判断をすることは,前訴判決の既判力に抵触するものではないと主張する。しかし,判決の既判力は判決主文ないしその訴訟物について生ずるところ,行政処分の取消訴訟における訴訟物は当該処分の適法性ないし違法性であるから,本件敷地が建築基準法43条1項に違反するとして本件確認処分の取消しが争われた前訴の判決の既判力が,本件敷地には同項に抵触する違法はないという点に存することは明らかである。すなわち,本件確認処分の適法性は,本件敷地と本件位置指定道路の関係については,現地を実際に測量して作成された実測図等に基づいて現実に本件敷地が本件道路と2メートル以上接しているとの判断の 下に確認されたものであるから,本件敷地が本件位置指定道路に2メートル以上接していることについては当然に前訴の既判力が及ぶものである。 仮にこれが認められないとしても,本件訴訟においてこの事実を争うことは,紛争の蒸し返しに当たるものであり,信義則上許されない。 (イ)しかも,現時点において通行可能な道路部分の幅が約1メートル程度しかないという点については,原告側が意図的に本 てこの事実を争うことは,紛争の蒸し返しに当たるものであり,信義則上許されない。 (イ)しかも,現時点において通行可能な道路部分の幅が約1メートル程度しかないという点については,原告側が意図的に本件位置指定道路内に突出して設けた本件門扉等によって違法に作出された状況ということができるのであるから,この状態を前提として本件敷地の違法を主張することは失当である。 また,原告は,別件判決において,本件門扉等が設けられた土地部分が本件位置指定道路に含まれることは否定され,それらの撤去請求が排斥された旨主張しているが,別件判決は,必ずしも本件位置指定道路の位置を正確に確定した上で請求を排斥したものではなく,請求が棄却された主な理由は,本件敷地が長年空き地であったから,旧所有者には人格的権利としての妨害排除請求権は認められないという点にあったことは明らかである。 イ一敷地一建築物の原則に違反していないこと原告は,現時点で2つのコンクリート部分(基礎部分)が独立して存在することを根拠に,実際には2つの建築物が建築される可能性が高いと主張するが,原告のこの主張は明らかな誤認によるものである。すなわち,甲第8号証中の2つのコンクリート部分のうち,左奥のコンクリート工作 物は,北側部分に設けられる地下室の外壁部分であり,右手前のコンクリート部分は,南東側部分の基礎となる部分であり,両者は今後連続したコンクリート基礎でつなげられるものである。 したがって,原告の主張は全くの誤解である。 ウ杉並区長には裁量権の逸脱がないこと以上のとおり,本件において特定行政庁である杉並区長が建築基準法9条1項に基づく是正命令権限を行使しなければならない事情は一切存在しないが,仮にこの主張が認められなかったとしても,行政庁には行政権の行使について一定の裁量が認めら 政庁である杉並区長が建築基準法9条1項に基づく是正命令権限を行使しなければならない事情は一切存在しないが,仮にこの主張が認められなかったとしても,行政庁には行政権の行使について一定の裁量が認められているのであるから,行政庁が権限の行使をしないからといって直ちにその不作為が違法となるものではなく,行政庁が権限を行使しないことがその裁量権の範囲を超え,又はその濫用となると認められる場合に限って,その不行使が違法となると解すべきである。 そうすると,本件においては,原告が主張するような点について仮に違法と評価される点が認められるとしても,前述のような工事状況からする限り,現時点で直ちに工作物の撤去を求めたり,工事の続行を禁止したりしなければならない特段の事情は一切認められないのであるから,杉並区長が現時点においてこれら権限の行使をしないからといってそれが直ちに裁量権を逸脱した違法な不作為であるとすることはできない。 第3争点に対する判断 主位的請求である義務付けの訴えの適否について(1)主位的請求は,本件建築物が建築基準法43条1項に違反するとして,同 項に違反する部分を是正するために,同法9条1項に基づく是正命令権限の行使を求めるものであるところ,同法は,違法建築物の敷地の隣接地その他の近隣に居住する者につき,特定行政庁に対する是正命令権限の行使についての申請権を認めていないから,原告の主位的請求に係る訴えは,行政事件訴訟法3条6項1号に規定されるいわゆる非申請型の義務付けの訴えである。 非申請型の義務付けの訴えは,行政事件訴訟法37条の2第1項により,一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができるものとされている。 そこで,原告が 条の2第1項により,一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができるものとされている。 そこで,原告が求める是正命令権限が行使されないことにより,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるか否かについて,以下検討する。 (2)原告は,このまま本件建築物の建設工事が進行し,接道要件及び一敷地一建築物の原則に違反する建築物が完成して,その利用が進むと,本件敷地は実際には1メートル程度の接道しか確保されていないため,火災発生時に消防隊等の進入及び消火活動に困難を来し,火災が拡大する可能性が十分に想定できるとした上で,この場合には,隣接地に居住する原告は,近隣の住民とともに生命身体の危機にさらされることが明らかであり,さらに,現在においても,鉄筋が組まれて放置されている状態であって,鉄筋がさびることによる倒壊の危険性は否定することができないとして,是正命令権限の行使がされないことにより,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるなどと主張する。 しかしながら,仮に,建築物の敷地が接道要件等を満たしていないことに より火災発生時における消火活動等に困難を来し,その結果,近隣住民等に重大な損害を生ずるおそれがあるとしても,それは,違法建築物の建設が相当程度に進ちょくし,当該建築物につき火災等の危険が生じた時点で初めて認められるものであって,かつ,そのような危険が生じた時点で,特定行政庁が建築主等に対して是正命令を発令すれば,特段の事情がない限り,近隣住民等について実際に生命身体の危機が生ずることを回避することは可能というべきである。 そこで,本件建築物の建設工事の進行状況を見るに,甲第8号証によると,平成18年7月の時点においては,本件建築物の北側の地下室部分 に生命身体の危機が生ずることを回避することは可能というべきである。 そこで,本件建築物の建設工事の進行状況を見るに,甲第8号証によると,平成18年7月の時点においては,本件建築物の北側の地下室部分の基礎部分及びその南東側部分の基礎部分についてコンクリート基礎工事がされているにすぎず,また,同年4月以降,ほとんど本件建築物の建設工事は進行していないことが認められる。このような工事の進ちょく状況からすると,現時点においては,仮に本件建築物が接道要件等を満たしていなかったとしても,本件建築物につき火災や倒壊等の危険が生じているとはいい難く,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるとして,現時点において直ちにこれを是正しなければならない必要性は,認めることができないというべきである。 さらに,前記前提事実のとおり,本件敷地は本件位置指定道路に接しており,本件敷地から公道に出るまでの通路状部分における通行可能な幅員は,最も狭い箇所であっても,本件門扉が開かれた状態では2メートル以上が確保されているのであるから,火災等の緊急時に消火活動等に特段の支障が生じるものとは認め難いというべきである。そうすると,本件建築物の建築工事の終了後においても,隣接地に居住する原告が生命身体の危機にさらされ るとは認めることができないというべきである。 (3)以上によれば,本件建築物についての是正命令権限が行使されないことにより,原告に重大な損害を生ずるおそれがあるということはできないから,その余の点について検討するまでもなく,主位的請求は,行政事件訴訟法37条の2第1項所定の要件を欠き,不適法というべきである。 なお,原告は,その他にも,原告に重大な損害を生ずるおそれが存する根拠として,るる主張するが,いずれも独自の見解に基づくものであって,採用することができな 所定の要件を欠き,不適法というべきである。 なお,原告は,その他にも,原告に重大な損害を生ずるおそれが存する根拠として,るる主張するが,いずれも独自の見解に基づくものであって,採用することができない。 予備的請求である不作為の違法確認の訴えの適否について(1)前述のとおり,建築基準法は,違法建築物の敷地の隣接地その他の近隣に居住する者につき,特定行政庁に対する是正命令権限の行使についての申請権を認めていないから,予備的請求である不作為の違法確認の訴えは,行政事件訴訟法3条5項,37条に規定する不作為の違法確認の訴えではなく,いわゆる無名抗告訴訟の1つであると解される。 予備的請求である不作為の違法確認の訴えは,特定行政庁が本件建築物に係る是正命令を発令しないことが違法であることの確認を求めるものであって,行政庁の公権力の不行使の違法確認を求める確認訴訟であるが,その実質は,当該不行使が違法であることを確認することにより,行政庁に対して公権力の行使を間接的に義務付けることを求めるものであるから,義務付け訴訟としての性質を有する無名抗告訴訟と解される。 (2)ところで,抗告訴訟の類型を規定した行政事件訴訟法3条は,同条2項ないし7項に定める法定抗告訴訟以外のいわゆる無名抗告訴訟についても,こ れを否定する趣旨とは解されないから,無名抗告訴訟は,その訴えの性質に即して,一定の要件の下で許容されているというべきである。そして,義務付け訴訟としての性質を有する無名抗告訴訟が許容されるためには,憲法上の三権分立の原則から,行政権の行使又は不行使について行政庁の有する第一次的判断権が尊重されるべきものであること,同法は,法定抗告訴訟として6つの訴訟類型を定め,原則としてこれらの法定抗告訴訟によって国民の権利救済が図られることを予定してい について行政庁の有する第一次的判断権が尊重されるべきものであること,同法は,法定抗告訴訟として6つの訴訟類型を定め,原則としてこれらの法定抗告訴訟によって国民の権利救済が図られることを予定していることなどからすれば,①行政庁が当該権限を行使すべきこと又は行使すべきでないことが一義的に明白であって,行政庁の第一次的判断権を尊重することが重要でない場合(一義的明白性の要件),②事前審査を認めないと,行政庁の作為又は不作為によって受ける損害が大きく,事前救済の必要性があること(緊急性の要件),③他に適切な救済方法がないこと(補充性の要件)の各要件をいずれも満たしていることが必要であると解される。 (3)そこで,これを予備的請求について見るに,前記1において判示したように,本件建築物の工事は,北側の地下室部分の基礎部分及びその南東側部分の基礎部分についてコンクリート基礎工事がされているにすぎず,現時点においては,本件建築物につき火災や倒壊等の危険が生じているとはいい難いこと,本件敷地から公道に出るまでの通路状部分における通行可能な幅員は,最も狭い箇所であっても,本件門扉が開かれた状態では2メートル以上が確保されており,火災等の緊急時に消火活動等に特段の支障が生じるものとは認め難いことからすると,本件では,事前審査を認めないと,行政庁の作為又は不作為によって原告が受ける損害が大きく,事前救済の必要性があると いうことはできないから,無名抗告訴訟としての不作為の違法確認の訴えが許容される要件を満たさないというべきである。 したがって,その余の点について検討するまでもなく,予備的請求に係る訴えも不適法である。 本件建築物が建築基準法43条1項の要件を満たしているか否かについて(1)事案にかんがみ,本件建築物が建築基準法43条1項の要件 ついて検討するまでもなく,予備的請求に係る訴えも不適法である。 本件建築物が建築基準法43条1項の要件を満たしているか否かについて(1)事案にかんがみ,本件建築物が建築基準法43条1項の要件を満たしているか否かについて検討する。 (2)本件敷地と本件位置指定道路との接道長が2メートル以上であることについては,原告と杉並区建築主事との間で争われた前訴第1審判決及び控訴審判決においても既に判示されているところであり,この点に加えて前記前提事実及び弁論の全趣旨を総合すると,本件敷地は,本件位置指定道路に2メートル以上接しているものと認められる。 なお,前記前提事実のとおり,前訴において,原告は,本件敷地と本件位置指定道路との接道長が1.88メートルであり,本件確認処分には,建築基準法43条1項の要件を満たさない違法があるなどと主張したが,これらの主張はすべて排斥されて,本件敷地は本件位置指定道路に2メートル以上接している旨認定され,かかる判断は控訴審及び上告審においても維持されているのであって,本件訴訟において,原告がこれに反する前訴の判決の基準時後の事実又は事情は一切主張していないことからすると,本件訴訟においてこの事実を争うことは,紛争の蒸し返しにほかならず,信義則上許されないものというべきである。 (3)また,原告は,建築基準法43条1項の要件を満たしているというために は,図面上接道しているのみでなく,現実にも2メートル以上接道することが必要であるとした上で,現時点において通行可能な通路部分の幅が約1メートル程度しかないことから,本件敷地は同法43条1項の要件を満たしておらず,本件建築物は違法建築物である旨主張する。 しかしながら,現時点において通行可能な道路部分の幅が約1メートル程度しかないとする点については,前記前 ら,本件敷地は同法43条1項の要件を満たしておらず,本件建築物は違法建築物である旨主張する。 しかしながら,現時点において通行可能な道路部分の幅が約1メートル程度しかないとする点については,前記前提事実のとおり,本件門扉はいわゆるアコーディオンタイプの可動式のものであり,本件門扉が閉じられた状態でなければ,レールが固定された部分も通行することが可能である上,本件門扉は,原告の前主であるBが本件位置指定道路内に突出して設けたものであることを考慮すれば,本件門扉によって通行可能な道路部分の幅が約1メートル程度に狭められているという状態を前提として,原告が本件敷地の違法を主張することは失当というべきである(仮に,本件門扉の設置により本件敷地が建築基準法43条1項の要件を満たさなくなるのであれば,本件門扉の設置行為は,同法45条1項にいう「私道の廃止又は変更」に当たり,特定行政庁である杉並区長は,同法45条,9条2項ないし6項に基づき,是正命令権限を行使することができると解する余地がある。)。 (4)なお,原告は,別件判決において,上記門扉等が設けられた土地部分が本件位置指定道路に含まれることが否定され,それらの撤去請求が排斥された旨主張している。 しかしながら,別件判決を子細に検討すると,別件判決は,本件位置指定道路が指定された際の図面には現地再現性がなく,本件門扉が存在する土地部分の辺りが道路位置指定を受けたことはうかがわれるが,原告敷地のうち 道路位置指定を受けた部分と本件門扉が存在する土地の部分とが一致するとはいえないとしたものであって,本件位置指定道路の位置を正確に確定した上で請求を棄却したものではなく,請求が棄却された主な理由は,本件敷地が長年空き地であり,当該土地部分が日常生活上不可欠な道路として使用されていた事実は認め ,本件位置指定道路の位置を正確に確定した上で請求を棄却したものではなく,請求が棄却された主な理由は,本件敷地が長年空き地であり,当該土地部分が日常生活上不可欠な道路として使用されていた事実は認めることができず,また,原告敷地のうち本件門扉の存する部分を通らなくても,徒歩又は自転車であれば本件敷地から公道に出ることは可能であるとして,本件敷地の旧所有者には人格権的権利としての妨害排除請求権は認められないという点にあったことが明らかである。このように,原告の上記主張は,別件判決を正解しないものであって,失当というべきである。 (5)さらに,原告は,現時点で2つのコンクリート部分(基礎部分)が独立して存在することを根拠に,本件建築物は建築確認上は1つの建築物として計画されているが,実際には2つの建築物が建築される可能性が高いと主張する。 しかしながら,証拠(甲8,乙4)によると,甲第8号証中の2つのコンクリート部分のうち,左奥のコンクリート工作物は,北側部分に設けられる地下室の外壁部分であり,右手前のコンクリート部分は,南東側部分の基礎となる部分であることが認められるのであって,被告の主張するように,今後,これら2つのコンクリート部分が連続したコンクリート基礎により連結されて,全体として1つの建築物が建築される可能性も十分にあり得るところといわなければならないから,原告の上記主張は,採用することができない。 なお,仮に,原告の主張するように,本件敷地に建築確認とは異なる2つの建築物が建築された場合には,特定行政庁が建築主等に対して建築基準法9条1項に基づく是正命令権限を行使できることはいうまでもなく,また,当該建築物が2つの建築物であることが明らかになった後に是正命令が発令されれば,原告を含む近隣住民等について実際に生命身体の危 法9条1項に基づく是正命令権限を行使できることはいうまでもなく,また,当該建築物が2つの建築物であることが明らかになった後に是正命令が発令されれば,原告を含む近隣住民等について実際に生命身体の危機が生ずることを回避することは十分に可能と考えられる。 第4 結論 よって,本件訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官市原義孝裁判官島村典男

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