平成10(行コ)8 損害賠償請求控訴事件(原審・広島地方裁判所平成元年(行ウ)第9号)

裁判年月日・裁判所
平成15年7月29日 広島高等裁判所 広島地方裁判所 平成1(行ウ)9 住民訴訟
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判決文本文29,222 文字)

主文 原判決中,控訴人らと被控訴人らに関する部分を次のとおり変更する。 (1)控訴人A,同B,同株式会社C及び同Dは,福山市に対し,各自金5003万0311円及びこれに対する控訴人A及び同Bについては平成元年4月5日から,同株式会社Cについては平成元年4月6日から,同Dについては平成元年4月8日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)控訴人Eは,福山市に対し,金3704万1984円及びこれに対する平成元年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)控訴人Fは,福山市に対し,金276万2198円及びこれに対する平成元年4月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)被控訴人らの控訴人A,同B,同E,同F,同株式会社C及び同Dに対するその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,控訴人A,同B,同株式会社C,同D及び同Eと被控訴人らとの間では,第1,2審を通じて4分し,その1を同控訴人ら5名の,その3を被控訴人らの各負担とし,控訴人Fと被控訴人らとの間では,第1,2審を通じて10分し,その1を同控訴人の,その9を被控訴人らの各負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人ら(1)原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 (2)被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 被控訴人ら本件各控訴を棄却する。 第2事案の概要 本件は,福山市の住民である被控訴人らが,福山市が控訴人株式会社C(以下「控訴人C」という)に発注した町内清掃等に係る汚土収集運搬業務。 の委託契約に基づく公金支出が違法であるとして,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「法」という)242条の2第1項4号に基づ。 き,福山市に代位して,控訴人C及び当時同社の取締役で実質的な 契約に基づく公金支出が違法であるとして,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「法」という)242条の2第1項4号に基づ。 き,福山市に代位して,控訴人C及び当時同社の取締役で実質的な経営者であり,その後代表取締役に就任した控訴人D,当時の市長(控訴人A,当時の。)助役(控訴人B,同F,同E)並びに当時の収入役(原審被告G)に対し,。 それぞれ福山市への損害賠償をするよう求めた事案である。 すなわち,被控訴人らは,(1)前記汚土収集運搬業務の委託契約には,汚土以外の物件の収集運搬業務は含まれていないにもかかわらず,控訴人Cは,同Dをして,従業員らに汚土以外の物件を収集運搬させ,委託料の支払を請求したのに対し,福山市はこれに対しても公金を支出した,(2)控訴人Cは,同Dをして,従業員らに福山市からの指示書による具体的な指示のないまま勝手に収集運搬させた物件の委託料の支払を請求したのに対し,福山市はこれに対しても公金を支出した,(3)前記汚土収集運搬業務の委託契約は,随意契約によっているが,同委託契約は,随意契約の制限に関する法令に違反して締結されており違法であるだけでなく無効である,等を主張して,控訴人らに対し,福山市に対する損害賠償(控訴人A,同B,原審被告G,控訴人C及び同Dに対し各自1億7171万5397円,同Eに対し1億3772万5612円,同Fに対し3398万9785円及びこれらに対する訴状送達の日の翌日〔控訴人Eにつき平成元年4月4日,控訴人A,同B,同F及び原審被告Gにつき同月5日,控訴人Cにつき同月6日,同Dにつき同月8日〕からそれぞれ支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めたものである。 その余の事案の概要及び争点に関する当事者の主張は,原判決の事実中「第二当事者の主張」欄記載の き同月8日〕からそれぞれ支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めたものである。 その余の事案の概要及び争点に関する当事者の主張は,原判決の事実中「第二当事者の主張」欄記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決13頁6行目の「処理期限日と」を「処理期限日とを」に,23頁2行目の「知り得うべかりし」を「知り得べかりし」に,37頁8行目の「調査等」を「調査等を」に,57頁9行目の「請求書を」を「請求書の」に,60頁3行目の「該当する」を「該当するか」にそれぞれ改める。 。)原審は,前記(1)ないし(3)の被控訴人らの主張を認め,控訴人A,同B,同E,同C及び同Dに対する請求の一部を,同Fに対する請求の全部をそれぞれ認容したが,原審被告Gに対する請求は,同被告の委託料支出行為の決裁について法243条の2に規定する故意又は重過失が認められないとして棄却した。 これを不服として控訴人らから提起されたのが,本件控訴事件である(なお,原審被告Gについてされた原審判決は,そのまま確定した。 。) 当審における争点は,原審におけると同様であって,前記1(1)ないし(3)及び(4)各控訴人らの責任の有無に加えて,(5)福山市の損害の有無及び損害額の点であるが,特に(5)の点が重点的に争われるところとなった。 当審における当事者の主張は次のとおりである。 (1)控訴人らア本件各契約上「汚土」とは「町内会等地域住民の奉仕活動,その他による用排水路,道路,側溝等のしゅんせつ清掃作業によって収集された汚土,雑草,その他混合物」と定義されている。本件各契約(福山市が控訴人Cに対して汚土の収集運搬を委託した契約)は,町内会等が実施する清掃美化活動の実態を考慮して「汚土」を定義しているところ,その内容は「道路,溝,公, 物」と定義されている。本件各契約(福山市が控訴人Cに対して汚土の収集運搬を委託した契約)は,町内会等が実施する清掃美化活動の実態を考慮して「汚土」を定義しているところ,その内容は「道路,溝,公,園等の清掃「道路,公園の除草,清掃」等であるから,これらの活動から発」,,。 生する物件としては「汚土」だけでなく,雑草その他雑多なものが存在するしたがって「汚土」には,汚土のほか,汚土を含まない雑草やその他のゴミ,も含まれる。また,町内会等の清掃美化活動によらないものでも,外見上は清掃美化活動によるものかどうかの判断が困難なものや不法投棄物であっても汚土と一緒に投棄されていてその分別が困難なものについては,これらを個別に判断して「汚土」と取扱いを区別することは現実的ではなく,経済的にも見合わないことから,本件各契約の「汚土」に含まれると解すべきである。 さらに,不法投棄物であることが明白な場合,厳密には「汚土」に当たるとはいえない場合であっても,これを「汚土」に含めて解釈することには十分な正当性があるというべきである。すなわち,福山市の区域内である以上,福山市には,その収集・運搬・処理の義務があるところ(平成11年法律第87号による改正前の地方自治法2条3項7号〔以下「法2条3項7号」,という,廃棄物処理法6条1項,同法6条の2第1項,昭和62年度に控。〕)訴人Cに処理が委託されるまで,その処理は一般廃棄物処理業者にスポットの方法で委託されており,同業者は日常的な業務の時間外にこれを処理していたため,処理が遅れがちとなり市民から多くの苦情が寄せられ,その対応が急務となった。そこで,福山市としては,不法投棄物は道路脇に投棄されることが多いことに着目し,昭和62年度は,道路の管理を所管する土木部が清掃汚土の収集運搬業務を所管す の苦情が寄せられ,その対応が急務となった。そこで,福山市としては,不法投棄物は道路脇に投棄されることが多いことに着目し,昭和62年度は,道路の管理を所管する土木部が清掃汚土の収集運搬業務を所管するとともに不法投棄物の処理も控訴人Cに委託することに決定したものである。その結果,迅速に不法投棄物の処理が行われるようになったのであり,福山市の判断には合理性がある。 イ本件各契約に基づく公金の支出に関しては,事前の指示書がなく,搬入伝票に記載された車両台数に対応した数量が記載された指示書が後日作成されている場合があるが,これをもって,事前の指示書のない公金支出が違法であるということはできない。 すなわち,あらかじめ指示書に記載される台数は,担当職員の目測によるものであることから,指示書で指示台数を確定することは事実上不可能であり,処理後に搬入伝票で台数を確定するほかない。指示書に記載された指示台数はあくまでも業者が配車するための目安を示したという程度のものにすぎず,委託料算定の基礎となる車両台数は処理後に搬入伝票により確定されると考えるべきである。したがって,搬入伝票に対応する指示書が一切なければ格別,指示書に対応した搬入伝票については,当該搬入伝票に指示台数を超えた台数が記載されていることをもって当該公金支出を違法ということはできないというべきである。 ウ本件各契約については,廃棄物処理法及び同法施行令のみが適用され,法234条1,2項,同法施行令167条の2は適用されない。 すなわち,法234条の対象となる契約は,その例示からみて,地方公共団体が私人と対等の立場において締結する私法上の契約をいうものであることは明らかであり,公法上の契約を含むものではないと解されるところ,本件各契約にかかる廃棄物の処理等は市町村の処理すべき本来の行政事 体が私人と対等の立場において締結する私法上の契約をいうものであることは明らかであり,公法上の契約を含むものではないと解されるところ,本件各契約にかかる廃棄物の処理等は市町村の処理すべき本来の行政事務(固有事務)を私人に委託するものであるから,公法上の契約であることは明らかであり,法234条は適用されず,一般廃棄物の収集等の業務の公共性にかんがみ,経済性の確保の要請よりも業務遂行の適正を重視する廃棄物処理法のみが適用され,したがって,契約締結の方法を一般競争入札,指名競争入札又は随意契約のいずれにするかは市町村の裁量に委ねられているものと解すべきである(札幌高裁昭和54年11月14日判決。行政事件裁判例集30巻11号1862頁参照。 )仮に,本件各契約に法234条が適用されるとしても,原審で主張したとおり,同法施行令167条の2第1項2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当し,市長はこれを随意契約の方法により締結することができるというべきである。 すなわち,本件各契約に係る業務は,控訴人Cに委託する以前は福山市が直営で行っていたことからも明らかなとおり,公共的な業務であり,経済性の確保の要請よりも業務遂行の適正の要請が高いものであって,廃棄物処理法,同法施行規則の趣旨に則り,随意契約の方法により締結することこそが本則というべきである。実際,福山市に限らず多数の自治体が随意契約の方法で一般廃棄物の収集運搬業務の委託契約を締結しているし,福山市においては,平成元年以降本件各契約に係る業務は競争入札の方法で契約が締結されて行われているが,サービスの低下が住民から指摘されている。 原判決は,控訴人Aらは,同Dを恐れて本件各契約を随意契約の方法で締結した旨認定する。 しかし,前記のとおり,本件各契約を随意契約の方法で締結するこ いるが,サービスの低下が住民から指摘されている。 原判決は,控訴人Aらは,同Dを恐れて本件各契約を随意契約の方法で締結した旨認定する。 しかし,前記のとおり,本件各契約を随意契約の方法で締結することは,廃棄物処理法等の趣旨に則ったものであること,福山市における一般廃棄物の収集運搬業務の民間委託も,多数の自治体同様随意契約の方法で締結されていること,控訴人Cと昭和55年度以降随意契約により清掃汚土の収集運搬業務を委託してきた経緯から,これを一般入札の方法に変更するとなると,控訴人Cに対して減車補償を行わなければならないことが懸念されたことなどから,控訴人Aは,随意契約による方法を選択したのであって,裁量権の逸脱又は濫用はない。もっとも,複数業者から見積書を徴しなかったという福山市契約規則に反する取扱いはあったが,福山市が昭和61年1月ころ担当者から控訴人C以外の複数業者に事実上見積書の提出を求めたが結局見積書の提出がなかったことや控訴人Cの見積額はいわゆる三省基準に基づいて適正に算定された予定価格を下回るものであったことに照らせば,実質的には,福山市契約規則に反するところはなく,したがって,市長である控訴人Aに裁量権の濫用又は逸脱があったということはできない。 エ仮に本件各契約の締結及びこれに関連する支出負担行為が違法であるとしても,控訴人らに責任はない。 (ア)控訴人A控訴人Aは,本件各契約を随意契約の方法で締結する際,環境事業部等の担当者に法令解釈上の問題点について検討させ,法に反しないこと,福山市における一般廃棄物の収集運搬業務の民間委託契約が多数の自治体と同様に随意契約の方法で締結されていること,昭和55年度以降随意契約により継続してきた経過からして,単年度契約であってもこれを打ち切るには減車補償が必要となる可能性があると 委託契約が多数の自治体と同様に随意契約の方法で締結されていること,昭和55年度以降随意契約により継続してきた経過からして,単年度契約であってもこれを打ち切るには減車補償が必要となる可能性があると考えられたこと等から本件各契約を締結したのであり,当時の状況において,控訴人Aに,控訴人Cとの契約を打ち切って一般競争入札の方法により契約を締結することを期待することはできなかったのであって,控訴人Aに過失はないというべきである。 また,本件で公金支出が問題となっているのは昭和62年12月22日から昭和63年12月21日までの間であるが,当時汚土収集に関する指示書や搬入伝票の作成・交付等は土木部土木建設課長の専決事項であり,本件委託料の支払については土木部長の専決事項であったところ,控訴人Aは事前の指示書によらず汚土の収集運搬が行われていたことや汚土外物件(ただし,不法投棄物を除く)の収集運搬を行いこれについて公金が支出されているこ。 とを知らなかったものであり,また,これを知りあるいは知り得たとして阻止ないし是正することも期待できなかったから,控訴人Aに責任はない。 (イ)控訴人F,同B及び同Eは,いずれも福山市の元助役であるところ,本件各契約の締結権限は,福山市事務決裁規程6条(18)により市長の権限とされており,助役は市長の補助機関たる職員にすぎず,市長の指揮監督に服すべき立場にあるから(法154条,市長の権限とされている事項につい)て,助役が損害賠償責任を負うことはない。 助役の就任期間は,控訴人Fが昭和58年9月16日から昭和62年9月15日まで,同Bが昭和60年10月25日から平成元年2月28日まで,同Eが昭和62年12月18日から平成7年12月17日までであるところ,福山市助役事務分担規程によれば,自己が分担する事務に関しての 5日まで,同Bが昭和60年10月25日から平成元年2月28日まで,同Eが昭和62年12月18日から平成7年12月17日までであるところ,福山市助役事務分担規程によれば,自己が分担する事務に関してのみ下級補助職員に対する指揮監督上の責任を負担するものである。したがって,昭和62年12月22日から昭和63年12月21日までの間,汚土収集に関する事務を所管していた土木部についての担当は控訴人Eであり,担当外であった控訴人F及び同Bには,指揮監督上の故意又は過失はないというべきである。 また,助役は,部課長等下級補助職員の専決に属する事項について,当該補助職員が違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により阻止しなかったときに限り損害賠償責任を負うべきであると解すべきところ,控訴人F,同B及び同Eは,本件各契約により事前の指示書によらない汚土の収集運搬が行われていたことやいわゆる汚土外物件が収集運搬されていたことを知らず,またこのような収集運搬に対する公金の支出を個別具体的に阻止することを期待できるような事情がなかったことは控訴人Aの場合と同様であり,補助職員に対する指揮監督上の故意又は過失はないというべきである。特に控訴人Fについては,昭和62年9月15日に退職しており,昭和62年度の清掃汚土の運搬収集の業務委託契約を随意契約の方法で締結したことに関して責任を生じる余地があるとしても,昭和62年12月21日から昭和63年12月21日までの間の同契約の履行に関しては,同契約に係る事務が適正に行われるよう補助職員を指揮監督すべき義務はなかった。 (ウ)控訴人C及び同D本件各契約を随意契約の方法で締結することは,前記ウのとおり,もとより違法となるものではないが,加えて昭和55年当時,清掃汚土の収集運搬業務の委託契約 べき義務はなかった。 (ウ)控訴人C及び同D本件各契約を随意契約の方法で締結することは,前記ウのとおり,もとより違法となるものではないが,加えて昭和55年当時,清掃汚土の収集運搬業務の委託契約を締結しようとする業者が他になかったことから,控訴人Cは福山市に依頼され,同契約を締結してきた経過があり,控訴人C及び同Dが本件各契約を随意契約の方法で締結すること及びこれの継続を切望することに何ら違法性はない。 また,控訴人Cは,専ら福山市の指示に基づいて汚土の収集運搬を行ってきた(ただし,刑事事件となった従業員らの建設残土の搬入は除く)ところ,福山市の担当職員が指示する目的物が本件各契約の目的外物件。 であると判断することはできず,まして,これを収集運搬する運転手において判断できるはずもないのであって,汚土外物件を収集運搬したことに違法性はない。控訴人Dが同Cの従業員に対し汚土外物件を収集運搬するよう指示したことがないことも同控訴人に対する刑事事件の控訴審判決(広島高等裁判所平成2年(う)第101号)のとおりである。 もっとも,事前の指示書による指示台数と実際の搬入台数が一致しないことはあったが,福山市の担当職員が搬入台数を目測により見積もって指示台数の記載をすることから,町内清掃が一時期に集中し,大量の汚土が発生した場合見積もり台数に多数の齟齬が生じることもあり,追加発注等は必然的に発生するものであったから,事前の指示書の台数と搬入台数の齟齬をもって,控訴人Cが無断搬入したものと認めることはできない。 オ仮に本件各契約の締結が違法であったとしても,福山市には,前記アのとおり,不法投棄物を処理すべき義務があり,控訴人C以外に委託しても同様な費用を要したのであるから,福山市に何ら損害は発生していないというべきである。 すなわち,清掃汚土の も,福山市には,前記アのとおり,不法投棄物を処理すべき義務があり,控訴人C以外に委託しても同様な費用を要したのであるから,福山市に何ら損害は発生していないというべきである。 すなわち,清掃汚土の収集運搬業務を昭和60年度に下水道部に移管するまでは,汚土についても不法投棄物についても環境事業部が担当しており,その委託料は同一の積算基準で算出されていた。その積算基準とは,処理に必要とされる車両1台について借り上げる方式を前提とし,同車両を運行するに必要な費用の月額を計算し,これに処理に必要な台数を乗じた上,予備車を確保しておく必要から予備車両の維持の費用を加算する方法で行われており,1車あたりの月額費用は同一であった。また,下水道部に移管された昭和60年度以降は,1車1回当たりの単価は,一般の土木工事積算基準で算出されたものに従来の環境事業部の契約金額を加味して,1万8500円とされた。両者は積算の基準が異なることから単純に比較することはできないが,昭和59年度と昭和60年度の1トン当たりの処理単価を比較すると,昭和60年度の処理単価は大幅に減額となっている。そのことからすると,控訴人Cによる不法投棄物の処理費用が,環境事業部が担当していた当時よりも高価であったということはできず,不法投棄物の処理を控訴人Cが行ったことによって福山市に損害は発生していない(なお,清掃汚土の収集運搬委託業務に係る1車1回当たりの単価は昭和63年度にかけて年々上昇しているが,概ね物価上昇程度のものであって一般廃棄物処理費用についても同様の上昇はあったものと考えられる。 。)カ仮に控訴人らの主張が認められないとしても,次のとおり,原判決の損害算定には誤りがある。 (ア)原判決は,昭和62年12月22日から昭和63年12月21日までの間の汚土外物件の収 る。 。)カ仮に控訴人らの主張が認められないとしても,次のとおり,原判決の損害算定には誤りがある。 (ア)原判決は,昭和62年12月22日から昭和63年12月21日までの間の汚土外物件の収集,搬入台数又は指示書のない汚土収集搬入台数の合計を,全搬入台数9323台のうち6715台と認定しているが,同期間の前記全搬入台数のうち,汚土及び汚土を含む混合物を搬入した台数は6775台,汚土を含まないもの(ゴミ,草,木,袋等)を搬入した台数1927台,不法投棄物を搬入した台数585台,搬入伝票の欄外未記入のもの36台(甲1住18頁1行目から7行目及び別表(1))であり,原審認定の損害額は多額にすぎる。 (イ)原判決は,H町,I町,J町,K町,L町,M町,N町及びO町が収集場所として記載されたものをすべて汚土外物件の収集を指示したものであり違法な公金支出であると認定するが,これらのうち,少なくともI町,J町,K町及びN町では町内会等による清掃美化活動が行われており(甲54,H町,I町,J町及びK町には汚土の一時的集積場(ステーション)が)あったほか,L町,M町及びO町についても工場関係者の清掃作業により「汚土」が排出されたことも考えられるのであって,町名から一律に汚土外物件に対する公金支出であるとはいえない。 キ被控訴人らの主張に対する反論被控訴人らは,本件各契約に基づく支出負担行為について,予算の流用を禁止した法220条2項に反する違法な予算執行である旨主張する。 (ア)しかし,福山市では,町内清掃汚土委託料を(款)土木費(項)道路橋りょう費(目)道路維持費(節)委託料として予算化しているのは被控訴人ら主張のとおりであるが,昭和62,63年度予算においては,これにとどまらず(款)土木費(項)水路費(目)水路維持改良費(節)委託, う費(目)道路維持費(節)委託料として予算化しているのは被控訴人ら主張のとおりであるが,昭和62,63年度予算においては,これにとどまらず(款)土木費(項)水路費(目)水路維持改良費(節)委託,料としても予算化している(福山市一般会計予算書並びに予算に関する説明「書」の「水路維持改良費」に係る説明欄には「汚泥収集運搬委託料」の記載はないが,同説明書欄の「水路維持費」中「排水路浚渫費」に含まれることが調査嘱託の結果認められる。そして,昭和62,63年度の予算執行に対する。)決算の承認も行われている。 (イ)不法投棄物に関しては,前記イのとおり福山市が清掃業務の実態を踏まえて本件各契約に含めて処理することを決定したものであり,このような判断・解釈には十分な正当性が認められ,行政裁量の範囲内というべきであるから,この点についても違法性はない。 (2)被控訴人らア福山市は,町内清掃汚土委託料を(款)土木費(項)道路橋りょう費(目)道路維持費(節)汚泥収集処理費として予算計上しているにもかかわらず,昭和62,63年度の町内清掃汚土委託料の予算執行にあたり(款),土木費(項)水路費(目)水路維持改良費(節)委託料から支出した。同支出は,福山市昭和62,63年度予算第5条(法220条2項ただし書を受けて,各項に計上した給料,職員手当及び共済費に係る予算額に過不足を生じた場合に限り,同一款内での経費の各項の間の流用を認めた規定)に抵触し,各款の間,各項の間の予算の流用を禁止している法220条2項に反するだけでなく,議会の議決を経ない違法なものである。 イ本件各契約における「汚土」とは,契約締結に至る経過や契約上の文言からすれば,一般廃棄物や環境事業部清掃管理課の所管する不法投棄物を含まない「しゅんせつ清掃作業により発生した汚土」で のである。 イ本件各契約における「汚土」とは,契約締結に至る経過や契約上の文言からすれば,一般廃棄物や環境事業部清掃管理課の所管する不法投棄物を含まない「しゅんせつ清掃作業により発生した汚土」であることが明らかである(したがって,本件各契約上「道路,側溝等」とあるのは「道路側溝等」であり,しゅんせつ清掃作業の対象とならない側溝のない道路は含まれないと解すべきである。したがって,不法投棄物に関しては,本来,環境事業部清掃。)管理課が(款)衛生費(項)清掃費(目)塵芥処理費(節)委託料(塵芥収集運搬委託料)の予算をもって廃棄物委託業者に発注するか,福山市直営をもって収集・運搬すべきものであって,これを控訴人ら主張のように本件各契約に含めて(款)土木費(項)水路費(目)水路維持改良費(節)委託料から支出することは,歳出予算の流用禁止(法220条2項)に抵触する違法な支出負担行為である。 ウ控訴人らの主張に対する反論(ア)一般廃棄物処理業務を委託する契約については,廃棄物処理法及び同法施行令のみが適用され,法234条1,2項,同法施行令167条の2の適用はないとする控訴人らの主張は争う。 公法契約は一般的には可能であるが,実際には法律が明示的にこれを認める場合又は法律自らが規制していない限られた範囲において,しかも法規に抵触しない限度においてのみ有効に成立し得るものであって,固有事務に関する契約であるからといって直ちに公法上の契約となるものではない。 この点をおくとしても,本件各契約にいう「汚土」は廃棄物処理法2条に定める廃棄物ではなく,前記イのとおり本件各契約には文言上廃棄物の収集運搬が含まれていないことは明らかであるから,廃棄物処理法等は適用されず,法234条1,2項等が適用されるべきである。 すなわち,控訴人Cは,福山市に対 前記イのとおり本件各契約には文言上廃棄物の収集運搬が含まれていないことは明らかであるから,廃棄物処理法等は適用されず,法234条1,2項等が適用されるべきである。 すなわち,控訴人Cは,福山市に対し,昭和44年廃棄物委託処理業者の許可申請をしたが却下された際,衛生局長Pが「将来的には福山市の廃棄物処理業者にしてやる」と口約束したことから,これをたてに,福山市。 に廃棄物処理業者の許可を出すよう繰り返し圧力を加えていたという経緯があり,昭和54年環境事業部清掃管理課長のQが,当時の助役,環境事業部長,衛生局長らと協議の上,従来廃棄物処理許可業者に委託していた「汚土」を控訴人Cに委託することにより,同社を廃棄物処理許可業者に加えないで,それまでの問題を解決することにしたのである。つまり,福山市は,控訴人Cを廃棄物処理許可業者に加えないため,一般廃棄物又は不法投棄物とみなされない「汚土」の収集運搬を控訴人Cに委託したもので,本件各契約に廃棄物の収集運搬は含まれていないし,汚土の収集運搬は廃棄物の収集運搬には当たらない。 (イ)控訴人らは,公金支出が違法であるとしても,不法投棄物に関しては,福山市に処理義務がある以上損害は発生していない旨主張する。しかし,そもそも本件の不法投棄物について福山市に処理義務があるとすること自体根拠がないし,福山市が本来処理すべき義務を負う不法投棄物の処理量及びその費用が不明である以上,損害がないとする理由はない。 すなわち,福山市の汚土は,昭和58年度をピークに減少しているにもかかわらず,昭和62,63年度に控訴人Cによる搬入量が急激に増加し,平成元年には大きく減少に転じていること,控訴人らが主張する「汚土外不用物件及び不法投棄物」とは道路や水路に散乱している紙,缶,瓶等であり,さして重量のあるものではないこと る搬入量が急激に増加し,平成元年には大きく減少に転じていること,控訴人らが主張する「汚土外不用物件及び不法投棄物」とは道路や水路に散乱している紙,缶,瓶等であり,さして重量のあるものではないことからすると,昭和62,63年度に控訴人Cが搬入したものには大量の私有地上にある山土,建設残土が含まれていたものと考えざるをない。そして,これらについては,福山市に収集すべき義務はないのであるから,これらの搬入にかかる委託料の支払は,福山市の損害となる。 また,本件各契約における契約単価は,平成元年度における単価を上回る上,本件各契約と同期の一般廃棄物のトン当たり委託料と比較しても異常な高額であることからも,福山市に損害が生じていることは明らかである。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人らの福山市に対する損害賠償責任を認めるべきであるが,損害額及び各控訴人らの損害賠償額については,一部変更して減額すべきものと判断する。その理由は,損害額及び各控訴人らの損害賠償額に関する部分を除き,次のとおり付加・訂正し,後記2のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断(損害額等についての判断を含む)を付加するほか,原。 判決理由説示のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決78頁10行目の「R1」を「R2」に改める。 (2)80頁末行の「一六九」の次に「170,171」を加え,81頁、1行目の「被告」から「D本人」までを「原審及び当審における控訴人E,同A及び原審における控訴人D各本人」に改める。 (3)84頁末行の「委託契約を」を「委託契約が」に,85頁8行目の「市役所にし」を「市役所に対し」に,90頁10行目の「締結するに際」を「締結する際」に,97頁7行目の「積む込んで」を「積み込んで」に,104頁10行目の「検討される」を「検 」に,85頁8行目の「市役所にし」を「市役所に対し」に,90頁10行目の「締結するに際」を「締結する際」に,97頁7行目の「積む込んで」を「積み込んで」に,104頁10行目の「検討される」を「検討され」にそれぞれ改める。 。 (4)105頁2行目の「環境衛生部清掃管理課は」を次のとおり改める「それまで環境衛生部清掃管理課が,発生する都度,一般廃棄物処理委託業者にスポットで委託して処理してきたが,一般廃棄物処理委託業者は,不法投棄物の処理は,日常的な業務外に行わなければならなかったことから処理が遅れたり,不十分になったりする状況にあったところ,同課は」(5)106頁5行目末尾の次に次のとおり加える。 「ただ,控訴人Dが同Cを委託業者にするよう福山市に対して強硬に申し入れていたことから,当時の担当者が控訴人Dに対し,将来的には控訴人Cに優先的に委託するかのような発言をしていた」。 (6)106頁9行目の「しかし」から同末行までを次のとおり改める。 「控訴人Dは,昭和44年当時の担当者の前記発言をたてに,福山市に対し,控訴人Cを優先的に委託業者に選定するよう,強硬かつ執拗に要求を続けていた」。 (7)108頁8行目の次に次のとおり加える。 「福山市が,昭和55年当時,控訴人Dに対してこのような措置を採ったのは,同控訴人が福山市に対し,控訴人Cを廃棄物処理委託業者にするよう,強硬かつ執拗な申入れを継続しており,福山市としても何らかの解決を図る必要に迫られていたが,控訴人Cを委託業者に選定することは困難であったことから,一般廃棄物の範疇ではないとの認識のもとに町内清掃等による道路側溝,水路などの清掃汚土の収集運搬をCに委託することにより長年の懸案を解決するためであった。なお,従来汚土の収集運搬は一般廃棄物処理を委託された12業者が行っ との認識のもとに町内清掃等による道路側溝,水路などの清掃汚土の収集運搬をCに委託することにより長年の懸案を解決するためであった。なお,従来汚土の収集運搬は一般廃棄物処理を委託された12業者が行っていたため,福山市はこれらの業者の同意を得た上,控訴人Cに汚土の収集運搬を委託しなければならなかった」。 (8)123頁7行目の次に次のとおり加える。 「こうしたことから,控訴人Aも昭和59年ころ,清掃汚土の収集運搬業務の委託契約を随意契約の方法で締結することに問題がないかを,担当職員に検討させたことがあったが,福山市においても他の多数の自治体と同様一般廃棄物処理の委託契約を随意契約の方法で締結していることから法令上問題がないとしてそのままにし,昭和61年ころには,前記委託契約を一般入札の方法で締結することを検討したこともあったが,減車補償の問題が生じる可能性があるとして,引き続き控訴人Cに委託することとした」。 (9)128頁8行目の「一六九」の次に「187」を,133頁2行、,目の「S総務部長が」の次に「同年10月6日には控訴人A他1名が」をそ、,れぞれ加える。 (10)136頁4行目の「必要事項」を「必要事項を」に改める。 (11)138頁7行目の「Dは」の次に「平成元年9月25日」を加え、,る。 (12)140頁8行目の「処理は」を「処理し」に改める。 (13)143頁4行目から8行目までを削除する。 (14)150頁5行目の「みれる」を「みられる」に,158頁4行目の「念書等の」を「念書等を」に,159頁3行目の「総務課長」を「総務部長」に,164頁3行目の「判断の」を「判断を」に,5行目の「過去」を「過去に」に,165頁8行目の「福山住民」を「福山市の住民」に,166頁2行目の「裁量権の」を「裁量権を」に,同 長」を「総務部長」に,164頁3行目の「判断の」を「判断を」に,5行目の「過去」を「過去に」に,165頁8行目の「福山住民」を「福山市の住民」に,166頁2行目の「裁量権の」を「裁量権を」に,同6行目の「二三四一項」を「234条1項」に,170頁4行目の「伴う」を「伴い」に,172頁3行目の「屈服しため」を「屈服したため」にそれぞれ改める。 (15)180頁9行目から181頁5行目までを次のとおり改める。 「そうすると,控訴人Cの取締役で実質的な経営者(代表者)である同Dは,本件各契約において収集搬入すべき物件が汚土であり,その収集搬入のためには,福山市からの指示書が必要であるということを認識していたにもかかわらず,控訴人Cの従業員らに対し,M埋立地への搬入回数を増やすようにとの業務命令を発し,指示書に基づかない収集搬入を行わせる違法な行為により,控訴人Cにおいて,搬入物件台数に相当する金員を委託料名下に違法に領得したのであるから,控訴人Cは,同不法行為(民法44条)により福山市に生じた損害を賠償すべき責任がある」。 (16)182頁1行目の「脅迫によりに」を「脅迫により」に改める。 当審における控訴人らの主張に対する判断(損害額等に関する判断を含む)。 (1)控訴人らは,本件各契約にいう「汚土」には,汚土だけでなく,汚土を含まない雑草やその他のゴミを含み,さらに不法投棄物についても本件各契約に基づいて処理することに正当性がある旨主張する。 しかしながら,清掃汚土の収集運搬業務を控訴人Cに委託するようになった経緯,すなわち,控訴人Dの強硬かつ執拗な廃物処理委託業者への選定要請問題を解決するため,従前一般廃棄物処理委託業者に委託していた業務のうち,汚土収集運搬の部分のみを控訴人Cに委託するようになったこと,本件各契約の契約書 の強硬かつ執拗な廃物処理委託業者への選定要請問題を解決するため,従前一般廃棄物処理委託業者に委託していた業務のうち,汚土収集運搬の部分のみを控訴人Cに委託するようになったこと,本件各契約の契約書にも「町内清掃等にかかる汚土収集運搬委託契約書」と収集運搬の対象が「汚土」である旨明記されている上,同契約上「汚土」とは「町内会等地域住民の奉仕活動,その他による用排水路,道路,側溝等のしゅんせつ清掃作業によって収集された汚土,雑草,その他混合物」とされ,しゅんせつ清掃作業を前提とし,汚土を含まないものは対象となっていないものと解されることなどからすると,汚土外物件や不法投棄物は本件各契約にいう「汚土」には含まれないものというべきである。特に不法投棄物に関しては,当時,清掃汚土の収集運搬の業務を所管していた土木部では,環境衛生部清掃管理課から不法投棄物の処理の依頼を受けた際,担当者であるR2建設課長,T係長及びU主任は,当初これを1か月程度放置するなどし,不法投棄物については,むしろ,本件各契約の対象とはなっていないとの認識をもっていたこともうかがえる。V土木部長,控訴人Eも同様であり(原審証人V,原審及び当審における控訴人E本人,控訴人Eは,不法投棄物が当然に本件各契約に含まれる)との解釈によるというよりも,道路管理者として放置できないとの判断から,本件各契約に基づいて控訴人Cに不法投棄物の処理をさせる決定をしている。 福山市としては,本件各契約で対象とされた「汚土」以外の物件(区域内の一般廃棄物や不法投棄物)を処理する義務のある場合があるとしても,それについては,原審認定のとおり,別途検討作業,必要な手続(決裁,予算の承認)を経るべきであり,汚土外物件や不法投棄物を「汚土」に含めて本件各契約に基づき収集運搬することは,これらの検討作業や ,それについては,原審認定のとおり,別途検討作業,必要な手続(決裁,予算の承認)を経るべきであり,汚土外物件や不法投棄物を「汚土」に含めて本件各契約に基づき収集運搬することは,これらの検討作業や必要な手続を潜脱し,廃棄物処理法の趣旨にも反することになるのであって,許されない。 (2)控訴人らは,事前の指示書に記載される台数は,担当職員の目測によるものであることから,事前の指示書で指示台数を確定することは事実上不可能であり,処理後に搬入伝票で台数を確定するほかない旨主張する。 確かに,事前の指示書に記載される台数は,現場確認をした担当職員の目測を前提としており,実際には事前の指示書に記載される台数どおりの搬入台数では過不足を生じる場合がないとはいえない。 しかしながら,原審認定の本件各契約の内容及びその履行手続とその実態からみると,事前の指示書は,個々具体的に業務内容を指示するというにとどまらず,支出すべき委託料の金額を確定する際の基礎的な資料となり,また,控訴人Cによる恣意的な搬入を防止し,本件各契約が適正に履行されることを確保するための重要な手続上の資料であるというべきである。したがって,福山市の担当者としては,目測と実際の搬入に必要な台数との間に齟齬があれば再度現場確認をした上で,更に発注すべきなのであって,こうした手続を経ず,事前の指示台数を超えてされた収集運搬は履行手続に反するものであり,違法というべきである。 なお,控訴人らは,再度の現場確認と発注の方法を採るにしても,控訴人Cの従業員が,福山市の担当者の現認していないところで,指示外物件を運び,指示台数では不足したと申告して過大な委託料を請求することも考えられ,適正な履行確保はできないとも主張する。しかし,指示台数を超える場合に再度現場確認をして発注する方法と無制限に指示 外物件を運び,指示台数では不足したと申告して過大な委託料を請求することも考えられ,適正な履行確保はできないとも主張する。しかし,指示台数を超える場合に再度現場確認をして発注する方法と無制限に指示台数を超える搬入を容認する方法(事後的に指示書を作成することを含む)とを比較すれば,完全に違。 法行為を防止することが可能とはいえないにしても,前者の方が適正な履行確保に有効であることは明らかなのであって,控訴人らの主張は到底採用できない。 (3)控訴人らは,本件各契約には廃棄物処理法のみが適用され,法234条は適用されない旨主張する。 確かに汚土収集運搬処理業務は,その性質上公共性の高いことは否定できないが,本件各契約の委託業務の内容は,原審認定のとおり,町内清掃により排出された汚土を福山市の担当職員の指示により2トントラックにスコップ等で人力により積み込み,M埋立地まで運搬搬入するという単純なものであり,汚土を収集運搬する作業員及び運搬に使用するトラックは,福山市に届け出れば足り(届出も昭和60年からはされていない,本件の委託業務を行う。)につき,作業員に特別な資格は要求されておらず,また,2トントラックに特別な装備等は必要とされていなかった。もともと,福山市は,昭和55年当時,控訴人Dの強硬かつ執拗な廃棄物処理委託業者への選定要請の問題を解決するために,控訴人Cに清掃汚土の収集運搬業務を委託したのであって,控訴人Cは廃棄物処理業務の委託業者としての要件を充たしていなかったのである。すなわち,当時,福山市としては,汚土収集運搬処理業務に関しては,廃棄物処理業務の委託業者としての要件を充たしていなくても問題のない業務であるとの認識であったということができる。このようなことからすれば,汚土収集運搬業務が公共性の高い業務であるとしても, ては,廃棄物処理業務の委託業者としての要件を充たしていなくても問題のない業務であるとの認識であったということができる。このようなことからすれば,汚土収集運搬業務が公共性の高い業務であるとしても,そのことから廃棄物処理法のみが適用され,法234条は適用されないというべきではなく,むしろ,前記内容等に照らし,本件各契約は,法234条1項にいう「売買,賃借,請負その他の契約」に該当すると解するのが相当である。 また,控訴人らは,法234条1項が適用されるとしても,本件各契約を随意契約の方法で締結したことに裁量権の濫用又は逸脱はない旨主張する。 汚土収集運搬処理業務の公共性の高さについては前記のとおりであるが,原審認定のとおり,本件各契約に係る委託業務の内容は代替性のある単純作業であり,控訴人C以外の汚土収集運搬業務の遂行可能な廃棄物処理業者による競争入札の方法により汚土収集運搬委託契約を締結することは可能であったというべきである。福山市は,控訴人Dの強硬かつ執拗な申し入れの結果,控訴人Cに対して清掃汚土の収集運搬業務を委託したのであって,能力,信用,技術,経験等について他の業者との比較検討もせず,契約締結にあたり控訴人C以外の業者からの見積もりを徴することもしていない。以来,控訴人Dのいうままに本件各契約の締結に至り,さらに,契約の履行についても搬入伝票をあらかじめ一括して交付し,指示書に基づかない搬入に対する委託料の支払を容認するなどしている。このような本件各契約においては,まさに,随意契約によった結果としての種々の弊害が明らかとなっているのである。そして,平成元年度以降競争入札の方法が採用されるようになって,平均単価は控訴人Cに委託していた当時よりも相当に低額になっている(なお,控訴人Fは,当審における本人尋問において,競争入札になっ る。そして,平成元年度以降競争入札の方法が採用されるようになって,平均単価は控訴人Cに委託していた当時よりも相当に低額になっている(なお,控訴人Fは,当審における本人尋問において,競争入札になって以降サービスの質が低下したといった趣旨の供述をするが,その裏付けはなく,仮にそのような面があったとしても,競争入札の方法が変更された形跡もないことからすれば,競争入札の方法による弊害はほとんどないものと容易に推認できる。このようなことか。)らすれば,控訴人Cを相手方として選定し,本件各契約を随意契約の方法により締結したことは,その裁量権を逸脱又は濫用したものというべきである。 なお,控訴人Aは,昭和59年ころ,随意契約に関する法令上の問題を検討したが,他の地方公共団体でも一般廃棄物処理業務を随意契約による方法で委託していることから問題はないとの結論に至った旨供述する(当審における控訴人A本人)が,本件各契約にかかる業務は,前記のとおり代替可能な単純作業であって,福山市も,廃棄物処理委託業者としての資格要件は必要ないと認識するようなものであったから,その他の一般廃棄物処理業務と同一には論じられないというべきであるし,控訴人Cに委託するに至った控訴人Dとの交渉経緯等に照らせば,控訴人Cと本件各契約を随意契約の方法で締結することは違法であったというほかない。また,控訴人らは,昭和61年1月ころ控訴人C以外の複数業者に対し見積書の提出を求めたが結局見積書の提出がなかった旨主張し,さらに,控訴人Aは,そのころ競争入札の方法も検討したが,減車補償の問題が生じる可能性が考えられたため断念した旨供述する(当審における控訴人A本人。しかしながら,平成元年度は競争入札が現実に実施さ)れ,控訴人C以外の複数業者に清掃汚土の収集運搬業務が委託されていること じる可能性が考えられたため断念した旨供述する(当審における控訴人A本人。しかしながら,平成元年度は競争入札が現実に実施さ)れ,控訴人C以外の複数業者に清掃汚土の収集運搬業務が委託されていることからみて,複数業者に見積書の提出を求めたというのは疑わしく,また,昭和61年当時競争入札の実施が不可能であったとは考えられない。減車補償の問題にしても,本件各契約を含め,それまでの控訴人Cとの清掃汚土の収集運搬業務の委託契約においても,単年度契約であること,契約終了後福山市が控訴人Cに対して便宜供与をしたり,控訴人Cが補償要求をしないことが明約されているのであるから,減車補償の可能性は,競争入札を困難とする事情にはならない。 (4)以上のとおりであり,その余の点について判断するまでもなく,汚土外物件の処理及び事前の指示書に基づかない処理に対する委託料の支払が違法な公金な支出にあたり,また,本件各契約は,随意契約によることができないにもかかわらず,随意契約の方法で締結されたものであり,随意契約の方法を制限する法令に反するものであるから,原審認定のとおり,違法であり,本件各契約の効力は無効である。 (5)アところで,控訴人Aは,本件各契約を随意契約の方法で締結したことに過失はなく,また,本件公金支出が問題になっていた期間事前の指示書によらない収集運搬が行われていることや汚土外物件の収集運搬が行われていたことは知らず,これを知りあるいは知り得たとして阻止ないし是正することも期待できなかった旨主張する。 しかしながら,昭和60年前後ころから,汚土の収集運搬の委託について,控訴人C一社が独占していること,搬入量が年々増加していること,単価の相当性や不法投棄物等の収集等で何度も福山市議会において問題とされてきたこと,昭和60年4月1日付けで,控訴人C の委託について,控訴人C一社が独占していること,搬入量が年々増加していること,単価の相当性や不法投棄物等の収集等で何度も福山市議会において問題とされてきたこと,昭和60年4月1日付けで,控訴人Cとの間で控訴人Aは,昭和60年度の町内清掃汚土収集運搬について「昨年度実績(3820車)については双方努力するものとする」等を内容とする覚書(甲31)を交わす(控。 訴人Aは直接文書の作成には関与していないとしても,当審における控訴人Fの供述によれば,その内容については事前に承認していたことが認められる)などしており,本件各契約締結以前にすでに控訴人Cとの随意契約に関。 しては種々問題のあることが窺われていたことは明らかであり,控訴人Aとしては,このころから調査をすることが可能であったし,十分な調査をしていれば,汚土外物件の搬入や事前の指示書のない搬入の事実を含め,事実を知り,そして,本件各契約の締結,その違法な履行を回避することが可能であったというべきである。ところが,昭和59年ころの法令上の検討にしても,昭和61年の一般競争入札への移行についての検討にしても,いずれも表面的なものにとどまっており,その内容からしておよそ問題解決のための真摯な検討がされたとはいえないのであって(控訴人Cとの清掃汚土の収集運搬業務の委託契約は,内容及び経緯からみて,福山市における一般廃棄物の処理契約と同様に論じられないことは控訴人Aにおいても容易に知り得たというべきであるし,一般競争入札導入の支障になったという減車補償問題は何ら支障にならないことが契約文言上明らかである,このような検討をしたからといって,控訴人。)Aが,その責任を免れることはできないというべきである。 イ控訴人F,同B及び同Eは,福山市の元助役であって,市長の補助機関たる職員にすぎない ある,このような検討をしたからといって,控訴人。)Aが,その責任を免れることはできないというべきである。 イ控訴人F,同B及び同Eは,福山市の元助役であって,市長の補助機関たる職員にすぎないから,市長の権限とされる事項について,助役が損害賠償責任を負うことはない旨主張する。 確かに,助役であるからといって,直ちに市長の権限とされる事項について,損害賠償責任を負わなければならないと考えることのできないことは同控訴人ら主張のとおりである。しかしながら,助役は,市長を補佐し,その補助機関たる職員の担任する事務を監督する義務がある(法167条)のであって,助役の職務は,市長との関係では,市長がその権限行使を適正に行えるよう補佐することにあるのであるから,この補佐を怠れば,それにより福山市から委任を受けた者としての善良なる管理者の注意義務に反したとして賠償責任を負わなければならない。そうすると,前記アのとおり,本件各契約締結の以前から控訴人Cとの清掃汚土の収集運搬業務の委託契約をめぐる問題点が指摘され,同控訴人らにおいても,控訴人Dへの対応には苦慮していたのであるから,本件各契約締結について,また,その履行についての調査は可能であり,同調査によって事実(汚土外物件の搬入や事前の指示書のない搬入の事実を含む)を知り,これに基づいて市長に正確な情報を提供し,検討を促すこ。 とによって市長がその権限を適正に行使できるよう補佐することはもとより,補助職員に対する適切な指揮監督もまた可能であったのに,これらを怠り,本件各契約の締結及びその履行を容認,放置してきたのであるから,控訴人らもその責任を免れないというべきである。なお,控訴人F及び同Bは,福山市助役事務分担規程上,本件各契約を所管していた土木部の担当ではないから責任はない旨主張するが,同分 てきたのであるから,控訴人らもその責任を免れないというべきである。なお,控訴人F及び同Bは,福山市助役事務分担規程上,本件各契約を所管していた土木部の担当ではないから責任はない旨主張するが,同分担規程は,福山市内部で助役の事務分掌を規定したものにすぎず,助役の職務権限を制限するものではない上,控訴人Bは支出命令書への決裁,控訴人Fは本件各契約締結伺いへの決裁をしていることなどからして,本件各契約の締結及びその履行に直接,間接に関与していたものであるから,土木部の業務が担当外であるからといって,助役としての責任を免れるものではない。 もっとも,控訴人Fについては,昭和62年9月15日に退職していることからすると,控訴人Cと昭和62年度の清掃汚土の収集運搬業務の委託契約を随意契約の方法で締結したことについては,前記のとおり責任を免れないが,退職後に行われたその履行については,もはや補助職員を指揮監督し得る立場にはなかったのであるから,責任を認めることはできない。 ウ控訴人C及び同Dは,福山市の指示書に従って汚土の収集運搬をしてきたのであって,それが違法かどうかは,同控訴人ら,ましてや控訴人Cの従業員には判断できなかった旨主張する。 しかしながら,控訴人Cの実質的な代表者として本件各契約の締結にあたった控訴人Dは,原審認定のとおり,自らあるいは従業員を通じて福山市に対して指示書を出すよう要望したり,指示書に関係なく搬入台数を増やすよう従業員に指示したりしている。このようなことからすると,控訴人Dは,本件各契約内容を熟知し,汚土外物件は契約対象外であること,搬入には事前の指示書が必要なことを知りながら,福山市に働きかけ,従業員に違法な行為をさせてきたというべきであるから,控訴人C及び同Dもまた責任を免れない。 本件各契約を随意契約の方法によ あること,搬入には事前の指示書が必要なことを知りながら,福山市に働きかけ,従業員に違法な行為をさせてきたというべきであるから,控訴人C及び同Dもまた責任を免れない。 本件各契約を随意契約の方法により締結したことについても,原審認定のとおり,控訴人Cの実質的な代表者であった同Dが福山市の担当者を含めた関係者に対し,清掃汚土の収集運搬業務の委託契約の継続を,暴行,脅迫によるなど強硬かつ執拗に要請してきた結果であり,本件各契約の締結についての控訴人Dの不法行為は明らかであるから,この点に関しても控訴人C及び同Dは責任を免れない。 (6)本件違法行為によって福山市に生じた損害の有無及び額は,次のとおりである。 法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟において住民が代位行使する損害賠償請求権は,民法その他の私法上の損害賠償請求権と異なるところはないというべきであるから,損害の有無,その額については,損益相殺が問題になる場合はこれを行った上で確定すべきものである。したがって,財務会計上の行為により普通地方公共団体に損害が生じたとしても,他方,同行為の結果,その地方公共団体が利益を得,あるいは支出を免れることによって利得をしている場合,損益相殺の可否については,両者の間に相当因果関係があると認められる限りは,これを行うことができる(最高裁第三小法廷平成6年12月20日判決。民集48巻8号1676頁。 )ア汚土外物件の収集搬入による損害本件における汚土外物件の収集搬入については,本件各契約に違反してされたものであり,そのための公金支出が違法であることは前記のとおりであるが,汚土外物件であっても,事前の指示書に基づくものについては,福山市に処理する義務があったというべきである。すなわち,普通地方公共団体は,清掃,美化等に関する事項を処理しなけれ 前記のとおりであるが,汚土外物件であっても,事前の指示書に基づくものについては,福山市に処理する義務があったというべきである。すなわち,普通地方公共団体は,清掃,美化等に関する事項を処理しなければならず(法2条3項7号,)その区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定め,その計画に従って一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集,運搬,処分しなければならないとされており(廃棄物処理法6条1項,6条の2第1項,特に,指示)書に基づく収集等の指示は,現場確認を前提とするものである以上,福山市において収集搬入の必要性を確認した上で行われるのが一般的であると考えられるからである。したがって,汚土外物件の収集搬入に関して福山市に生じた損害は,福山市がCに対して支払った委託料から,これらの汚土外物件を処理するに必要とされる相当な費用を控除した残額ということになる。 この点に関し,控訴人らは,控訴人Cに対する委託料は,同控訴人に委託する以前の環境事業部の所管のころの金額とほぼ同様であるとして,福山市に損害は生じていない旨主張するが,環境事業部の所管当時の正確な費用は不明であるし,控訴人Cに清掃汚土の収集運搬業務を下水道部が所管するようになった昭和60年当時の単価の積算根拠は不明で資料もないこと(乙22,23)などに鑑みると,控訴人らの前記主張は採用することができない。 また,被控訴人らは,控訴人Cが汚土の少ない時期に収集搬入していたのは私有地上の山土や建設残土である(これらについては,福山市に処理義務はない)旨主張するが,少なくとも福山市に事前の指示書のあるものに。 ついては,同主張事実を認めるに足りる的確な証拠はないというほかはない(なお,控訴人Dについての刑事事件に係る建設残土の収集搬入に対する委託料相当額422万3000円が被害 の指示書のあるものに。 ついては,同主張事実を認めるに足りる的確な証拠はないというほかはない(なお,控訴人Dについての刑事事件に係る建設残土の収集搬入に対する委託料相当額422万3000円が被害弁償として同控訴人から福山市に対して支払われていることは,先にみたとおりである。 。)ところで,乙22,23によれば,昭和59年度には一般廃棄物処理と汚土処理の1車当たりの処理費用が同一の積算基準で計算されていたこと,また,不法投棄物の処理は昭和60年度まで一般廃棄物処理業者にスポットで委託しており,昭和59年度と同様の積算基準で一般廃棄物処理業者に委託していたことが認められる。これらによれば,福山市に処理義務のある汚土外物件(不法投棄物を含む)の処理には,一般廃棄物処理とほぼ同様の費用を要。 するものと認めるのが相当である。そして,甲180(福山市一般会計予算「書並びに予算に関する説明書)及び188(市政概要)の各4,5によれ」「」ば,一般廃棄物のトン当たりの委託料は,昭和62年度1万0130円,昭和63年度1万0312円であることが認められる。また,甲1の別表(2),甲153ないし158によれば,福山市における昭和62年12月から平成7年3月までの汚土の搬入台数及び処理重量(ただし,控訴人Cの分には汚土外物件が含まれている)は別紙のとおりであること,このうち,昭和62年12。 月から昭和63年12月までは控訴人Cの搬入台数及び処理重量であるところ,昭和62年度(昭和62年12月から昭和63年3月まで)は,全搬入台数2043台,全処理重量1746.64トンであり,昭和63年度(昭和63年4月から12月まで)は,全搬入台数7280台,全処理重量6944.80トンであることが認められる。これらによれば,控訴人Cによる1台当たりの平 量1746.64トンであり,昭和63年度(昭和63年4月から12月まで)は,全搬入台数7280台,全処理重量6944.80トンであることが認められる。これらによれば,控訴人Cによる1台当たりの平均処理重量は昭和62年度0.8549トン(以下切り捨て,昭和63年)度0.9539トン(以下切り捨て)となるから,汚土外物件の処理について必要とされる相当な費用としては,1台当たり,昭和62年度8660円(1万0130円×0.8549,昭和63年度9836円(1万0312円×)0.9539)であるというべきである(いずれも円未満切り捨て。 )(ア)昭和62年度(昭和62年12月22日から昭和63年3月31日までの搬入分)同年度の単価は2万0400円であり,汚土外物件処理の相当単価は8660円であるから,この差額に指示書に基づく汚土外物件の収集搬入台数(原判決別表三の2によれば1221台である)を乗じたものが損害と。 なり,具体的には次のとおりである。 (2万0400円-8660円)×1221台=1433万4540円(イ)昭和63年度(昭和63年4月1日から同年12月22日までの搬入分)同年度の単価は2万0600円であり,汚土外物件処理の相当単価は9836円であるから,この差額に指示書に基づく汚土外物件の収集搬入台数(原判決別表三の2によれば1531台である)を乗じたものが損害と。 なり,具体的には次のとおりである。 (2万0600円-9836円)×1531台=1647万9684円イ指示書に基づかない収集搬入による損害福山市の事前の指示書に基づかずにされた汚土の収集搬入については,本件各契約に基づかない違法なものであり,そのための公金支出が違法であることは前記のとおりであるが,指示書に基づかないものであっても,汚土につい の指示書に基づかずにされた汚土の収集搬入については,本件各契約に基づかない違法なものであり,そのための公金支出が違法であることは前記のとおりであるが,指示書に基づかないものであっても,汚土については,先に見た法2条3項7号や廃棄物処理法6条1項,6条の2第1項の各規定に照らすと,普通地方公共団体である福山市としては,これを処理する義務があるというべきである。もっとも,指示書がないもので汚土として収集搬入された物件のすべてが汚土であると言えるかについては疑いがなくはない。特に,本件違法行為が行われた昭和62,3年度の収集搬入台数に比しその後(違法行為の終了後)のそれは大幅に減少していることからすると,その疑いの念は一層強まるところである。しかしながら,本件違法行為時点では収集搬入の対象とされていた不法投棄物は,その後(違法行為後)には対象から外されていたのであるから,前記収集搬入台数の大幅な増減のみから直ちに前記のような疑念が根拠付けられるとは断定できないのであり,前記の刑事事件に係る建設残土分以外に,汚土として収集搬入された物件の中に福山市に処理義務のない建設残土がどれだけ含まれていたかを明らかにする的確な証拠はないというほかはない(その意味で,損害について立証責任を負担している被控訴人ら側に些か厳しい判断をすることとならざるを得ないところではある。 。)そして,福山市に生じた損害としては,後記ウ(随意契約の方法により本件各契約を締結したことによる損害)についての場合と同様に考えるのを相当とすべきであり,したがって,本件各契約の単価と本件各契約締結の直近の平成元年度の競争入札により決定された落札単価の平均値(1台当たり1万4369円)との差額に,指示書に基づかず汚土として収集運搬された台数(原判決別表二の2及び三の2によれば, 件各契約締結の直近の平成元年度の競争入札により決定された落札単価の平均値(1台当たり1万4369円)との差額に,指示書に基づかず汚土として収集運搬された台数(原判決別表二の2及び三の2によれば,昭和62年度が19台,昭和63年度が1150台である)を乗じたものと認めるのが相当である。 。 これによれば,各年度の具体的な損害額は次のとおりである。 (ア)昭和62年度(昭和62年12月22日から昭和63年3月31日までの分)(2万0400円-1万4369円)×19台=11万4589円(イ)昭和63年度(昭和63年4月1日から同年12月22日までの分)(2万0600円-1万4369円)×1150台=716万5650円ウ随意契約の方法により本件各契約を締結したことによる損害同損害は,他のとるべき契約方法(競争入札に基づく方法)をとっていれば福山市が支出しなかったはずの金額であり,その金額は,少なくとも,本件各契約の単価と本件各契約締結の直近の平成元年度の競争入札により決定された落札単価の平均値(1台当たり1万4369円)との差額に,指示書に基づく汚土の収集運搬台数(原判決別表三の2によれば,昭和62年度458台,昭和63年度2150台である)を乗じたものとみるのが相当である。 。 したがって,各年度の具体的な損害額は次のとおりである。 (ア)昭和62年度(昭和62年12月22日から昭和63年3月31日までの搬入分)(2万0400円-1万4369円)×458台=276万2198円(イ)昭和63年度(昭和63年4月1日から同年12月22日までの搬入分)(2万0600円-1万4369円)×2150台=1339万6650円エアないしウの合計額5425万3311円オ損害の填補及びそれを控除した最終損害額5003万031 日までの搬入分)(2万0600円-1万4369円)×2150台=1339万6650円エアないしウの合計額5425万3311円オ損害の填補及びそれを控除した最終損害額5003万0311円前記のとおり(原判決判示,控訴人Dは,建設残土の違法搬入に)ついての詐欺被告事件において,同違法収集搬入(起訴分。昭和63年4月から6月の間の205台分)に対する委託料相当額422万3000円を被害弁償として福山市に返済しているから,前記損害額から同弁償額を控除した残額は5003万0311円となる。 (7)各控訴人らが賠償すべき損害額は次のとおりである。 ア控訴人A,同B,同C及び同D同控訴人らは,汚土外物件及び事前の指示書に基づかない汚土の収集搬入に対する委託料支払により福山市が被った損害及び本件各契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害を賠償すべき責任があり,同控訴人らが福山市に対して填補すべき損害額は,前記オの5003万0311円である。 イ控訴人E同控訴人は,昭和63年度の汚土の収集搬入に対する委託料支払により福山市が被った損害及び本件各契約のうち昭和63年度の契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害を賠償すべき責任があり,同控訴人が福山市に対して填補すべき損害額は,前記(6)ア(イ),イ(イ)及び同ウ(イ)の合計3704万1984円である。 ウ同F控訴人Fは,昭和62年9月15日まで助役であったが,その後退職したので,本件各契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害のうち昭和62年度分について賠償すべき責任があり,同控訴人が福山市に対して填補すべき損害額は,前記(6)ウ(ア)の276万2198円である。 以上の次第で,被控訴人らの本訴請求は,控訴人ら各自に対し前記2 62年度分について賠償すべき責任があり,同控訴人が福山市に対して填補すべき損害額は,前記(6)ウ(ア)の276万2198円である。 以上の次第で,被控訴人らの本訴請求は,控訴人ら各自に対し前記2(7)の金額(及び遅延損害金)の支払を求める限度で理由があるから,これと異なる原判決を変更することとする。 よって,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官鈴木敏之裁判官松井千鶴子裁判官工藤涼二前記当事者間の頭書事件について,先に当裁判所が平成15年7月29日に言い渡した判決中一部脱漏部分があったので,その追加として次のとおり判決する。 主文 控訴人A,同B,同株式会社C及び同Dは,福山市に対し,各自金5748万7400円及びこれに対する控訴人A及び同Bについては平成元年4月5日から,同株式会社Cについては平成元年4月6日から,同Dについては平成元年4月8日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 控訴人Eは,福山市に対し,金5044万9400円及びこれに対する平成元年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも控訴人A,同B,同株式会C,同D及び同Eの負担とする。 理由 先に言い渡した判決の「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」欄2(4)において,汚土外物件の処理及び事前の指示書に基づかない処理に対する委託料の支払が違法であると認定したところ,このうち事前の指示書に基づかない汚土外物件の処理による損害額についての判断が脱漏していたので,この点について次のとおり追加する。 (1)事前の指示書に基づかない汚土外物件の処理による損害額ア昭和62年度(昭和62年12月22日から昭和63年3月31日までの搬入分)同年度の単価 たので,この点について次のとおり追加する。 (1)事前の指示書に基づかない汚土外物件の処理による損害額ア昭和62年度(昭和62年12月22日から昭和63年3月31日までの搬入分)同年度の単価は2万0400円であり,指示書に基づかない汚土外物件の搬入台数は345台(1566台-1221台。原判決別表二の2によれば汚土外物件の搬入総台数は1566台であり,このうち指示書のあるものは同別表三の2によれば1221台である)であるから,。 損害額は次のとおりとなる。 2万0400円×345台=703万8000円イ昭和63年度(昭和63年4月1日から同年12月22日までの搬入分)同年度の単価は2万0600円であり,指示書に基づかない汚土外物件の搬入台数は2449台(3980台-1531台。原判決別表二の2によれば汚土外物件の搬入総台数は3980台であり,このうち指示。 ,書のあるものは同別表三の2によれば1531台である)であるから損害額は次のとおりとなる。 2万0600円×2449台=5044万9400円(2)各控訴人らが賠償すべき損害額は次のとおりである。 ア控訴人A,同B,同株式会社C及び同Dは,汚土外物件及び事前の指示書に基づかない汚土の収集搬入に対する委託料支払により福山市が被った損害並びに本件各契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害を賠償すべき責任があり,同控訴人らが福山市に対して填補すべき損害額は,先に言い渡した判決の「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」欄2(7)アの5003万0311円の外に,前記(1)ア及びイの合計額である5748万7400円である(合計で1億0751万7711円となる。 。)イ控訴人Eは,汚土外物件及び事前の指示書に基づかない汚士の収集搬入に対する委託料支払により福山 )ア及びイの合計額である5748万7400円である(合計で1億0751万7711円となる。 。)イ控訴人Eは,汚土外物件及び事前の指示書に基づかない汚士の収集搬入に対する委託料支払により福山市が被った損害並びに本件各契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害のうち昭和63年度分について賠償すべき責任があり,同控訴人が福山市に対して填補すべき損害額は,先に言い渡した判決の「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」欄2(7)イの3704万1984円の外に,前記(1)イの5044万9400円である(合計で8749万1384円となる。 。)(なお,控訴人Fは,先に言い渡した判決「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」欄2(7)ウのとおり,本件各契約を随意契約により締結したことにより福山市の被った損害のうち昭和62年度分について賠償すべき責任があるにとどまり,同(5)イのとおり,退職後の履行部分である指示書に基づかない汚土外物件の搬入による損害については,これを賠償すべき義務はない)。 よって,以上のとおり追加し,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官鈴木敏之裁判官松井千鶴子裁判官工藤涼二

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