主文 1 被告らは,香芝市に対し,連帯して30万4103円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,香芝市に対し,164万0879円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,香芝市の住民である原告が,香芝市消防団(以下「消防団」ともいう。)に香芝市が交付した平成12年度奈良県消防操法大会(以下「本件大会」という。)参加事業助成金(以下「本件助成金」という。)の使途が違法であるなどと主張し,香芝市長及び消防団長である被告らに対して,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号により,香芝市に代位して,損害賠償をそれぞれ求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告は,香芝市の住民である。 イ被告A(以下「被告A」という。)は,香芝市長の地位にあった者,被告B(以下「被告B」という。)は,消防団長であった者である。 (2) 香芝市消防操法大会参加助成金交付要綱(乙1の6,以下「要綱」という。)の規定第1条(趣旨)市は,奈良県消防操法大会の参加選手育成及び団員間の協力体制を図るため,消防操法大会参加事業に対し,予算の範囲内において助成金を交付することに関して必要な事項を定めるものとする。 第2条(助成対象)助成金の交付対象は,香芝市消防団の操法参加事業に必要な経費とする。 第3条(助成額)助成額は,市長が定める額とする。 第4条(助成金交付の申請) 1 助成金 定めるものとする。 第2条(助成対象)助成金の交付対象は,香芝市消防団の操法参加事業に必要な経費とする。 第3条(助成額)助成額は,市長が定める額とする。 第4条(助成金交付の申請) 1 助成金の交付の申請をしようとする者は,助成金交付申請書(第1号様式)に次の各号に定める書類を添えて,市長に提出しなければならない。 (1) 事業計画書(第2号様式)(2) 収支予算書(第3号様式)(以下,省略)第5条(交付の決定)市長は,前条の申請があったときは,当該申請に係る書類の審査及び必要に応じて行う調査等により,速やかに助成金を交付するかどうかを決定するものとする。 (中略)第8条(実績報告) 1 助成事業者等は,助成事業等終了後,速やかに助成事業等実績報告書(第5号様式)その他市長が必要と認める書類を市長に提出しなければならない。 2 助成金の交付の決定に係る係る会計年度が終了したときは,速やかに収支決算書(第6号様式)を市長に提出しなければならない。 第9条(助成金の交付) 1 助成金は,前項の規定により確定した額を助成事業等が完了した後において交付するものとする。ただし,市長が助成金の交付の目的を達成するため特に必要があると認めるときは,助成事業等の完了前に助成金の全部又は一部を交付することができる。 2 助成事業者等は,前項の規定により助成金の交付を受けようとするときは助成金交付請求書(第7号様式)を市長に提出しなければならない。 第10条(返還命令等)市長は,助成事業者等が次の各号のいずれかに該当するときは,助成金を交付せず若しくは減額し,又は全部若しくは一部を期限を定めて返還を命ずることができる。 (1) 省略(2) 助成金を目的外に使用したとき(以下,省略)(3) 本件助成金の交付ア被告Bは,平成12年4月18日(以 し,又は全部若しくは一部を期限を定めて返還を命ずることができる。 (1) 省略(2) 助成金を目的外に使用したとき(以下,省略)(3) 本件助成金の交付ア被告Bは,平成12年4月18日(以下,年を明示しないときはすべて平成12年における月日を指す。),消防団長として,要綱4条に基づき,実施年度を平成12年度,事業の目的を「参加選手の育成及び団員間の協力を図るため」,事業の名称を「消防操法大会参加事業」,事業費を200万円,事業の実施期日を5月8日から8月24日,事業の概要を「奈良県消防操法大会参加及びそれに伴う訓練等」として,助成金の交付を申請した(乙1の2ないし4,6,7)。 イ被告Aは,香芝市長として,4月26日,消防団に対し,本件助成金として200万円を支出することを決定した。被告Bは,消防団長として,同日,要綱9条2項に基づき,本件助成金200万円の交付を請求し,香芝市助役は,同年5月8日,専決権者として,本件助成金につき,支出科目を(款)消防費,(項)消防費,(目)非常備消防費,(節)負担金補助及び交付金として,200万円を支出した(乙1の1,5)。 ウ被告Bは,平成13年3月31日,香芝市長宛に,要綱8条に基づく助成事業等実績報告書(以下「実績報告書」という。)を,下記の内容の収支決算書を添えて提出した(乙2の2,なお,実績報告書によれば,支出は合計210万1314円であるが,本件監査請求の結果によれば,支出は合計210万0667円とされ,実績報告書に記載された金額と647円の誤差があった。)。被告Aは,同日付けで本件助成金の交付金額を200万円と確定した(乙2の4)。 (収支決算書の内容)収入本件助成金 200万円支出作業服,手袋,シューズ等 19万1778円選手,団員等慰労費, 成金の交付金額を200万円と確定した(乙2の4)。 (収支決算書の内容)収入本件助成金 200万円支出作業服,手袋,シューズ等 19万1778円選手,団員等慰労費,昼食,飲物他 81万2329円第一分団の訓練費用 100万円合計 200万4107円(不足分は消防本部が負担)(第一分団に交付された上記100万円の使途の内訳)激励会費 11万0243円備品代 5万2500円強力ライト乾電池他 9533円ビデオテープ代 3129円訓練飲物代 26万0820円飲物用氷代 3万2000円ホース巻板,定規他 5万2500円訓練弁当代 1万7610円夕食代補助 22万2500円祝勝会 19万8975円優勝記念品代(選手) 7万4025円精勤者記念品代(選手外) 6万3372円合計 109万7207円(不足分9万7207円は第一分団会計が負担)(3) 原告の住民監査請求と本訴提起原告は,平成13年8月16日付けで,香芝市監査委員に対し,本件助成金について住民監査請求をした(甲1,以下「本件監査請求」という。)。監査委員は,同年10月15日付けで,平成12年5月28日付け,同年6月9日付け及び同年7月28日付けの3件の支出(合計50万5343円)については監査請求期間を経過したものとして却下し,その余の支出(合計159万5324円)について監査を行った上,請求を棄却する旨の決定をし(甲2),そのころ原告にその旨を通知した。 2 争点(1) 被告Bの被告適格 を経過したものとして却下し,その余の支出(合計159万5324円)について監査を行った上,請求を棄却する旨の決定をし(甲2),そのころ原告にその旨を通知した。 2 争点(1) 被告Bの被告適格(2) 本件監査請求の却下部分について,監査請求を経たものといえるか否か。 (3) 本件助成金の使途が違法といえるか否か。 (4) 被告らの責任及び損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)ついて(被告B)被告Bは,消防団長として,本件大会に団員らを参加させるため,要綱に従って,本件助成金の交付を申請したにすぎないから,被告Bのこの行為は法242条の2第1項4号の財務会計上の行為に該当しない。 2 争点(2)について(被告ら)原告が,本件監査請求をしたのは平成13年8月16日であるが,原告が問題とする本件助成金として交付された200万円からの食糧費関連支出のうち,平成12年5月28日付け,同年6月9日付け及び同年7月28日付けの3件に対応する合計50万5343円の分については,法242条2項所定の期間を徒過しているから,本件訴えは,監査査請求前置の要件を欠き,不適法である。 (原告)本件助成金の支出時には個々の使途は明らかではなく,助成金の支出が違法か否かは,最終報告を受け,精算がなされて初めて確定するというべきである。本件は,被告Aが市長として,その是正措置を怠る事実を問題としているのであり,本件が違法な公金支出を問題とするものであるとしても,監査請求期間の起算は,個々の支出が行われた日によるのではなく,本件助成金の精算手続が行われた平成13年3月31日とすべきである。 3 争点(3)について(原告)(1) 助成金については,地方自治法1条による公共団体としての公益性,有効性はもちろん,同法2条14項,15項の効率性 われた平成13年3月31日とすべきである。 3 争点(3)について(原告)(1) 助成金については,地方自治法1条による公共団体としての公益性,有効性はもちろん,同法2条14項,15項の効率性,経済性を満足するものでなければならない。本件助成金は,消防団が本件大会に参加するための費用を補助すべく交付されたものであって,全く自由に使ってもよいというものではなく,その使途はあくまでも公共目的に添うものでなければならない。 (2) 消防団においては,本件助成金から,「宴会」などの食事代や飲料代として継続的に多額の出費がなされ,本件助成金の大半である164万0879円が飲食代として使われている。被告Bは,本件助成金として交付された200万円のうち,その大半の100万円を第一分団に丸投げし,消防団の本部,第一分団ともその大半を飲食費に使っている。飲物のすべてが缶コーヒーやスポーツドリンクとは信じ難いし,8月24日の慰労会や9月3日の祝勝会についての支出は,公費をもって負担するものとしては,飲酒を伴うもので高額過ぎる。これらの支出は,消防団の団員が別途報酬その他の経費を受けていることからいっても,本件助成金の趣旨からいっても,違法不当である。 (被告ら)消防団に助成金等を交付することが適当であるか否かは,市議会によって政策的見地から検討されるべき事柄に属する。本件助成金からの個々の支出内容についても,その単価が1000円以下のものが大部分であって,その支出目的も,訓練時の飲物や昼食の弁当,夕食補助といったものであるところ,このような支出は,消防団員の訓練に必要なものとして社会通念上許容される範囲にとどまるといえる。 単価が1000円を超えるものについても,その妥当性を判断するに当たっては,単に単価の多寡だけによるべきではなく,消防団の役割とそ の訓練に必要なものとして社会通念上許容される範囲にとどまるといえる。 単価が1000円を超えるものについても,その妥当性を判断するに当たっては,単に単価の多寡だけによるべきではなく,消防団の役割とその特殊性,従来からの慣行などを考慮し,県大会に出場して優秀な成績を収めるべく訓練を重ねていることに対する慰労と報償にふさわしい金額の支出であるかどうかによって判断すべきである。このような観点に立って具体的な支出の内容をみたとき,いずれも本件大会に出場する消防団の活動を助成するものとして妥当性があり,社会通念上許容されるものである。 4 争点(4)について(原告)(1) 被告Aの責任本件助成金の支出は助役が専決しているが,市長である被告Aは,その支出について,適正な交付及び支出の監督をすべき責任があり,その目的に照らし不当な支出があったときは,返還を命じる等の措置を取るべき責任がある。本件助成金は,香芝市長が200万円の範囲内での必要最小限の支出を消防団長に委任し,後日,実績報告書の提出により,その支出の適否を点検するものになっているところ,被告Aは,香芝市長として,本件助成金の使途が分かり得る実績報告書を受け取りながら,その支出の適正さを審査せず,「宴会」と分かる支出分を含めて,これを適正な支出であるとして承認し,本件助成金の支出について是正措置を取るべきであったのに,これを怠った。したがって,被告Aは不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (2) 被告Bの責任被告Bは,本件助成金について,第一分団への横流しを含め,その大半を飲食費に使い,自らも飲食に加わることでそれを享受していた。被告Bは,正当な支出範囲を超えた点については香芝市に損害を与えたものであり,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (被告A)香芝市において,消防団への らも飲食に加わることでそれを享受していた。被告Bは,正当な支出範囲を超えた点については香芝市に損害を与えたものであり,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (被告A)香芝市において,消防団への奈良県消防操法大会参加事業助成金として,平成6年度から隔年で200万円ずつが交付されているところ,被告Aは,市長として,本件助成金について,前例を踏襲して,予算のとおり支出したにすぎず,不法行為の構成要件である故意・過失は存在しない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告Bの被告適格)について(1) 原告は,本件訴えにつき,被告Bに対して,「法242条の2第1項4号」に基づく請求であるというのみで,それ以上の法的構成を明らかにしない。これに対し,被告Bは,自らは同号の「当該職員」に当たらないとの本案前の答弁をしているが,原告側は全くこれに応答しない。 (2) 法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは,当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者,及びこれらの者から権限の委任を受けるなどしてその権限を有するに至った者を広く意味し,その反面,およそそのような権限を有する地位ないし職にあると認められない者はこれに該当しないと解するのが相当であるところ(最高裁判所昭和62年4月10日判決・民集41巻3号239頁参照),被告Bが,同号の「当該職員」に当たらないことは明らかである。そうすると,原告の被告Bに対する訴えは不適法として却下を免れないといえなくもない。 (3) しかしながら,本件においては,原告は,被告Aの本件助成金の支出はともかく,専ら被告Bが団長を務める消防団による本件助成金の具体的使途が違法である旨主張し,被告Aがそれについて何らの是正措置を取らなかったことを問題に おいては,原告は,被告Aの本件助成金の支出はともかく,専ら被告Bが団長を務める消防団による本件助成金の具体的使途が違法である旨主張し,被告Aがそれについて何らの是正措置を取らなかったことを問題にしている。これを合理的に解釈すれば,本件訴えは,被告Bを不法行為者とし,被告Aがこれに対する損害賠償請求を怠っている事実を違法であるとして,被告らに対し是正を求めて損害賠償請求を行っているものとみることができ,そうすると,原告の被告Bに対する訴えは,同号後段の「相手方」に対する訴えとみる余地があるから,適法というべきであり,この点についての被告Bの主張は採用できない。 2 争点(2)(監査請求の却下部分が監査請求前置の要件をみたしているか)について(1) 本件訴えについては,原告がこれに先立ち行った本件監査請求の一部が監査期間を徒過したものとして却下されていることから,本件訴えのうちこの部分に相当する部分が,住民訴訟の適法要件である監査請求前置をみたすか否かが問題となる。 (2) 証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,原告が行った本件監査請求の内容は,本件助成金の使途のうち,本件大会に参加した第一分団以外の団員の慰労費,昼食,飲物等名下での81万2929円,及び,第一分団の費用とされた100万円から激励会名下の飲食費として11万0243円,飲物代26万0820円,氷代3万2000円,弁当代1万7610円,夕食代補助22万2500円,祝勝会費19万8975円を問題とし,これらは,本来個人で負担すべき飲食費を公費で賄うもので,助成事業の対象として不法なものが圧倒的であると主張した上,このような違法な公金支出を決済し実行した市長(被告A)と消防団長(被告B)らに対し,損害賠償金ないし不当利得金を香芝市に返還,補てんさせるなどの措置を求めるものと認め が圧倒的であると主張した上,このような違法な公金支出を決済し実行した市長(被告A)と消防団長(被告B)らに対し,損害賠償金ないし不当利得金を香芝市に返還,補てんさせるなどの措置を求めるものと認められる。この事実からすれば,原告が本件監査請求の対象としたのは,本件助成金の支出額が確定した段階で,精算手続として行われる財務会計上の行為の違法又は不当,あるいは,本件助成金の交付を受けた消防団の団長である被告Bに対する損害賠償請求権の行使を怠る事実であると解される。 (3) ところで,法242条2項本文は,怠る事実については監査請求期間の制限を規定していないのであって,これは,継続的行為について,それが存続する限りは監査請求期間を制限しないこととしているのと同様に,怠る事実が存在する限りはこれを制限しないこととするものと解され,ただ,怠る事実を対象としてされた監査請求であっても,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象とするものである場合には,例外的に,当該行為のあった日又は終わった日を基準として同条項を適用すべきものと解される(最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決,民集41巻1号122頁参照)。したがって,監査委員が怠る事実の監査を遂げるためには,特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,当該怠る事実を対象としてされた監査請求は,上記制限規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに同制限規定を適用すべきものではないと解するのが相当である(最高裁判所平成14年7月2日第三小法廷判決,裁判所時報1218号1頁 てされた監査請求は,上記制限規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに同制限規定を適用すべきものではないと解するのが相当である(最高裁判所平成14年7月2日第三小法廷判決,裁判所時報1218号1頁参照)。 上記のとおり,本件監査請求の対象事項は,本件助成金の支出額が確定した段階で精算手続として行われる財務会計上の行為の違法又は不当,あるいは,本件助成金の交付を受けた消防団長である被告Bに対する損害賠償請求権の行使を怠る事実であると解される。香芝市が被告らに対して有する損害賠償請求権の行使を怠る事実については,原告の主張するところによれば,被告Bが消防団に交付された本件助成金をその目的外に支出した不法行為により発生した損害賠償請求権についてのものということになる。そうすると,本件監査請求を遂げるためには,監査委員は,消防団における本件助成金からの個々の支出の当否について検討しなければならないけれども(香芝市長による本件助成金の支出やその精算手続による支出額の確定が財務会計法規に違反する違法なものであったとされて初めて香芝市の被告らに対する損害賠償請求権が発生するものではなく),消防団による本件助成金の使途が不法行為法上違法の評価を受けるものであること,これにより香芝市に損害が発生したことなどを確定しさえすれば足りるのであるから,本件監査請求の対象は,それは財務会計上の行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権とはいえない。したがって,本件は,上記例外的に,監査請求権期間の制限規定が適用される場合に当たらないというべきである。 (4) そうすると,監査委員が,本件監査請求の一部について,監査請求期間徒過を理由に却下したことは違法であるから,本件訴えのうち本件監査請求の却下部分に相当する部分についても,住民訴訟における監査 (4) そうすると,監査委員が,本件監査請求の一部について,監査請求期間徒過を理由に却下したことは違法であるから,本件訴えのうち本件監査請求の却下部分に相当する部分についても,住民訴訟における監査請求前置の要件に欠けるところはなく,適法である。したがって,被告らのこの点についての主張は採用できない。 3 争点(3)について(1) 前提事実,証拠(甲3ないし5,乙1の1から7,乙2の1から4,乙4から6,8及び9,証人C)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の各事実を認めることができる。 ア消防団について(ア) 市町村は,消防事務を処理するため,条例の定めるところにより消防団を設置しなければならないところ(消防組織法9条3号,15条以下),香芝市においては,地方公務員34名で組織される常備消防である香芝消防署のほか,香芝市消防団に関する条例(乙5,以下「条例」という。)に基づき,非常備消防である消防団が設置されている。消防団は,団長,副団長2名の下,地域ごとの第一から第五分団の各分団員の合計123人によって組織されている。 (イ) 消防団は,消火活動のほか,水害その他の災害時の救助活動等にも出動しており,消火活動への出動回数は年10回から18回程度である。消防団においては,団員が,消火活動をはじめとする災害に適切に対処するため,災害対策基本法に基づく防災訓練,年2回実施される地域防災訓練及びそのための10回程度の事前訓練,月1回の定例会,香芝消防署及び近隣市町との共同訓練等を実施しているほか,これに加えて,消防操法の訓練をしており,平成12年5月8日から同年8月24日までの間に43回の訓練を実施した。 (ウ) 消防団の団員は,他に仕事を持ちながら各人の意思で入団し,特別職(非常勤)の地方公務員として,報酬等(職務報酬, 8日から同年8月24日までの間に43回の訓練を実施した。 (ウ) 消防団の団員は,他に仕事を持ちながら各人の意思で入団し,特別職(非常勤)の地方公務員として,報酬等(職務報酬,出勤報酬,技術報酬,費用弁償)が支給され,報酬は団長を経て各団員に支給されることとなっており(条例12条,13条),職務報酬は年額6万5000円,出動報酬は年額4万5000円である。この報酬は,年2回に分けて,各分団の口座に一括して振り込まれ,団員個人に支給されずに,各消防分団で一括管理され,会議費や訓練時の賄い等必要な経費として費消されている。 イ本件大会について(ア) 奈良県において,消防団員の消防技術の向上と士気の高揚を図り,もって,火災時における迅速的確な消防活動に資する目的のもとに,県内の消防団を対象とする消防操法大会が隔年ごとに開催されており,消防団は平成4年から参加している。 (イ) 本件大会(第18回奈良県消防操法大会)は,平成12年8月24日に実施され,消防団の第一分団がポンプ車操法の部に出場し,優勝を果たした。 ウ本件助成金の支出(ア) 香芝市においては,平成12年8月に本件大会が開催される予定であったため,同年度の当初予算に本件助成金として200万円が計上されていた。なお,香芝市においては,消防団に対し,平成6年以降,奈良県消防操法大会が開催される隔年ごとに,要綱に基づき,助成金200万円が支出されているほか,平成8年及び平成12年に全国大会に出場した際には,そのために別途助成金を交付している。 (イ) 本件助成金は,消防団に交付された後,本部に100万円,第一分団に訓練費用として100万円が割り当てられ,それぞれにおいて適宜支出がなされた。 その使途のうち,飲食代金に関する支出合計164万0879円の内容(支出額, に交付された後,本部に100万円,第一分団に訓練費用として100万円が割り当てられ,それぞれにおいて適宜支出がなされた。 その使途のうち,飲食代金に関する支出合計164万0879円の内容(支出額,支出先,参加者一人当たりの価格(以下「単価」という。)等)は別表1に記載のとおりである。 (2) まず,原告の主張するところによれば,本件助成金の支出自体の違法性も問題にするので,この点について検討する。 ア前提事実,上記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,本件助成金の支出は,要綱に基づくものであり,しかも,香芝市の平成12年度予算案の一部として,市議会において審議,議決がなされていることが明らかであるから,手続的には何ら違法の問題は生じない。 イまた,本件助成金は,法232条の2の「寄付又は補助」に当たるものといえるところ,地方公共団体が事務を処理するための個々の公金支出の適否については,当該地方公共団体が当該事務の目的,内容等に照らして適正かつ円滑な事務処理を行う見地から,当該地方公共団体の裁量に委ねられており,また,法232条の2の「公益上の必要性」についても,それが様々な行政目的を考慮した政策的な判断が要求されるものであることに鑑みると,当該「寄付又は補助」としての公金支出が社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の濫用に当たると認められる場合に限って違法となるものと解するのが相当である。 これを本件についてみると,被告Aが本件助成金を支出したことについては,「公益上の必要性」があったことは明らかである。そして,支出の決定時点では,使途は定まっているものの詳細は未定の部分があり,その使途の適否をすべて判断することはできないことからすると,消防団からの請求額のとおりに支出額を決定したことが特に不合理でなければ,香芝市の消防行政の適正の見地か いるものの詳細は未定の部分があり,その使途の適否をすべて判断することはできないことからすると,消防団からの請求額のとおりに支出額を決定したことが特に不合理でなければ,香芝市の消防行政の適正の見地からして社会通念上著しく妥当性を欠くものとはいえないというべきである。そうして,本件全証拠によるも,被告Aのした本件助成金の支出決定が不合理であるとの事情が存在するとは認められないから,被告Aの上記支出決定には裁量権の濫用はなかったものというべきである。 よって,本件助成金の支出に違法がないことが明らかである。 (3) 本件助成金の支出を決定したことについて違法はないと認められるが,本件助成金は,消防団が奈良県消防操法大会の参加選手育成及び団員間の協力態勢を図る目的で,消防操法大会参加事業に対し,そのために必要な経費に用いるために交付されるものであり(要綱1条,2条),その性質からみて,その目的の範囲内であれば,交付を受けた消防団において,その裁量により自由に使途を決めることができるものであるけれども,社会通念上その目的に反するといえる使途に費消した場合には,裁量権を逸脱・濫用したものとして,その使途の違法性が問われ,市長は,交付を受けた者に対し,違法な使途に係る支出相当額の返還を求める義務があるというべきである。 なお,その使途が本件助成金の目的の範囲内にあったかどうかの判断に当たっては,以下の事情を考慮すべきである。すなわち,本件助成金が公金から支出されているものであることに鑑みれば,普通地方公共団体の事務処理に当たって住民の福祉の増進に努めるとともに最少経費で最大効果を挙げるようにしなければならず(法2条14項),地方公共団体の経費はその目的達成のための必要最小限度を超えて支出してはならないとされている(地方財政法4条1項)こと,他方, ともに最少経費で最大効果を挙げるようにしなければならず(法2条14項),地方公共団体の経費はその目的達成のための必要最小限度を超えて支出してはならないとされている(地方財政法4条1項)こと,他方,消防団が地方公共団体の機関として,常備消防とともに市民の安全について重要な役割を担っており,その重要性が一般にも認識されていること,消防団員がその役割を果たすべく日ごろから厳しい訓練を重ねていること,その構成員たる団員は地域住民が各人の意思で入団する特別職(非常勤)の地方公務員であり,自己の職業を有しながら,消防団員としての訓練,志気の高揚や保持,秩序の維持に努めなければならないことなどから,個々の団員の個人的側面にも一定の配慮が必要であるといえ,消防団が地方公共団体の機関としての機能のほかに法人格なき社団として団員の福利厚生面を受け持つ職域団体的な側面を持つものであることは否定できないこと,消防団員は条例に基づき,報酬や費用弁償として金員が支給されているが,個々の日常の訓練や消防活動に十分見合うものとは必ずしもいえず,実際の費用弁償を行おうとすれば,それ以上の多額の公費からの出費を必要とすることなどを考えたとき,本件助成金から一定額を,消防団員の慰労等のため報償的性格を有する支出することも,その目的の範囲内にあるものとして,許される場合があるというべきである。 (4) そこで,上記(1)のウ(イ)で認定した個々の支出内容について,それが社会通念上本件助成金の交付の目的に反しないかどうかについて検討する。 ア消防団本部関係(ア) 選手激励会(別表1番号1)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号1の支出は,本件大会出場選手(以下「選手」という。)6人,団長,消防本部関係者12人,事務方8人(合計27人)が参加して行われた選手激励 番号1)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号1の支出は,本件大会出場選手(以下「選手」という。)6人,団長,消防本部関係者12人,事務方8人(合計27人)が参加して行われた選手激励会に関する費用で,単価が1万2222円であると認められる。本件大会の出場選手を激励する目的で会食を行うこと,その際,消防本部関係者も参加することから,社会通念上儀礼の範囲内で節度のある飲食のための費用を支出すること自体は許容されるというべきであるが,1名当たりの費用が1万円を超えるというのは,公費から支出された本件助成金をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。本件において,選手の激励や社会的儀礼(この点についても,消防本部と消防団という,対外的関係というよりもむしろ対内関係といえるものであることにも留意すべきである。)という点を考慮しても,激励会のために本件助成金から支出が許容される金額は,社会通念上,単価6000円を限度とするのが相当であり,6000円を超える部分の支出は,裁量権を濫用するものとして違法となるというべきである。 (イ) 予行演習後食事(別表1番号2)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号2の支出は,本件大会の約1か月前に行われた予行演習後に選手,団長,分団員,消防本部関係者2人及び事務方6人(合計33名)の夕食代に関する費用で,単価が1973円と認められるが。この支出は,夕食代としてはそれほど高額ではないこと,本件大会参加を目的する予行演習を行ったことに対する報償的な性格も加味すれば,その内容に照らし,社会通念上相当な範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (ウ) 大会当日飲料(別表1番号3及び4)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号3及び4の各支出は ,社会通念上相当な範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (ウ) 大会当日飲料(別表1番号3及び4)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号3及び4の各支出は,本件大会当日に用意された飲料に関する費用であると認められるところ,その対象になっているのは,選手ではなく,応援に参加した分団員や消防本部関係者,事務方の者らであるが,単価は393円でそれほど高額ではないこと,その内容に照らし,社会通念上相当な範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (エ) 県大会慰労会(別表1番号5)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号5の支出は,本件大会終了後に文化センターにおいて,選手,市長,議長,消防委員,消防団長,分団関係者19人,消防本部関係者12人,事務方11人,その他2人(合計54人)が参加して開催された慰労会の飲食代金に関するもので,合計が34万2885円,単価が6350円であると認められる。前記■で説示したところからすると,消防団第一分団が本件大会で好成績を挙げるべく訓練に励み,無事本件大会を終了したこと,それに加えて,本件第一分団はポンプ車の部で優勝したこと等からして,その慰労のために,市の消防行政の責任者である市長などの参加も得た上で慰労会を行うこと,その際,市長,議長及び消防委員なども参加するのであるから,本件助成金から社会通念上儀礼の範囲内で節度のある飲食のための費用を支出すること自体は許容されるというべきであるし,開催場所が文化センターであるなど,一定の配慮がなされていることが窺えるけれども,その支出の性格からして,激励会についてと同様に,単価が6000円を超える部分については,公費をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。したがって, されていることが窺えるけれども,その支出の性格からして,激励会についてと同様に,単価が6000円を超える部分については,公費をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。したがって,単価が6000円を超える部分の支出は,裁量権を濫用するものとして違法となるというべきである。 (オ) 大会日昼食(別表1番号6)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号6の支出は,大会当日に,奈良県消防協会より有料で支給された昼食代であると認められる。そうすると,この支出は,本件大会参加という本件助成金の目的の範囲内にあるというべきであり,単価も945円であって,その内容に照らし,社会通念上相当な範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 イ第一分団関係(ア) 分団打合せ(別表1番号7)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号7の支出は,平成12年5月28日に養老の滝香芝店で行われた第一分団の打合せに関する費用であると認められる。消防団員が日中は個々の仕事に従事していることから,消防団の職務についての打合せや訓練等は終業後である夕刻に行われることになり,その際に夕食を取る暇もなく参加する者も多いことが容易に推測できるから,打合せの際に適当な夕食を用意し,そのための費用を本件助成金から支出すること自体は必ずしもその目的に反するとはいえない。しかしながら,上記認定のとおり本件打合せの開催場所は居酒屋であり,通常,打合せを行うにはふさわしくなく,打合せというのは単に名目,形式にすぎず,単なる会食であったと疑う余地もあるし,実際に打合せが行われていたとしても,飲酒を伴うものであったと認められる上,分団の対内的な打合せに伴う夕食に一人当たり4593円を支出するのは不適切であり,社会通念上許容されないものと 地もあるし,実際に打合せが行われていたとしても,飲酒を伴うものであったと認められる上,分団の対内的な打合せに伴う夕食に一人当たり4593円を支出するのは不適切であり,社会通念上許容されないものといわざるを得ない。そうすると,本件打合せに要した費用として本件助成金から支出することが社会通念上許容されるのは,一人当たり下記■の夕食補助と同額の500円であり,これを超える部分の支出は,裁量権を濫用するものとして違法となるというべきである。 (イ) 夕食補助(別表1番号8,10,13及び17)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号8,10,13及び17の各支出は,本件助成金の事業期間内に行われた訓練(予行練習を除く42回)の際ごとに,単価が500円として,のべ445名に対し支出されたも費用の合計であることが認められる。消防団員は昼間は個々の仕事に携わり,その終業後,本件大会参加のために訓練を行っており,仕事の関係上,夕食を取らずに参加する者が多いと推認できること,また,条例にこのような特別な訓練に対する報酬や費用弁償の定めがないことからすれば,この支出は,本件大会参加という本件助成金の目的の範囲内にあるというべきであり,単価も500円であって,その内容に照らし,社会通念上相当な範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (ウ) 飲物代(別表1番号9,11,14及び16),氷代(別表1番号18)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号9,11,14,16及び18の各支出は,各訓練の際の飲物代及び氷代であると認められる。訓練の時期が5月から8月という初夏から盛夏にかけての暑い時期であり,消防操法の訓練は屋外で行われることを考えると,訓練時に飲物や氷を用意することは必要であるし,単価もいずれも300円 認められる。訓練の時期が5月から8月という初夏から盛夏にかけての暑い時期であり,消防操法の訓練は屋外で行われることを考えると,訓練時に飲物や氷を用意することは必要であるし,単価もいずれも300円以内と低額であること,その目的や単価からして酒類とは考えられないことなどからすれば,社会通念の範囲内と認められるから,本件大会参加という本件助成金の目的の範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (エ) 昼食弁当代(別表1番号12及び15)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号12及び15の各支出は,訓練準備等に参加した団員が,昼食時に弁当を購入した代金であり,単価はそれぞれ418円,439円であると認められる。これらの支出は,いずれも昼食代としては相応のものであり,本件大会参加という本件助成金の目的の範囲内にある支出と認めることができるから,違法であるとはいえない。 (オ) 分団祝勝会(別表1番号19)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,別表1番号19の支出は,第一分団が本件大会に優勝したことによる祝勝会についての支出で,参加人員30名で合計が19万8975円,単価が6633円であると認められる。祝勝会の性格からみて当然飲酒を伴うものであるところ,厳しい訓練の結果,優勝という成果を得たことに対する報償的な性格を加味しても,社会通念上許容される範囲内の支出であるということはできない。公費をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。上記激励会等と同様に単価が6000円を超える部分については,公費をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。したがって,単価が6000円を超える部分の支出は,裁量権を濫用するものとして違法となるというべきである。 ウなお,被告らは,本件助成金 をもって負担するものとしては高額にすぎるといわざるを得ない。したがって,単価が6000円を超える部分の支出は,裁量権を濫用するものとして違法となるというべきである。 ウなお,被告らは,本件助成金の支出の妥当性を判断する際には,単価の多寡だけではなく,消防団の役割とその特殊性,従来からの慣行などを考慮し,県大会に出場して優秀な成績を収めるべく訓練を重ねていることに対する慰労と報償にふさわしい金額の支出であるといえるかどうかによって,支出の妥当性を判断すべきであり,単価が1000円を超えるものについても,いずれも,本件大会に出場する消防団の活動を助成するものとして妥当性があり,社会通念上許容する範囲にとどまるものであると主張する。 確かに,証拠(乙8,9,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,消防団員らに対する報酬や費用弁償は必ずしも十分とはいえない上,相互に親睦を図り,団員の士気の高揚と技能の向上を図るため,団員個人の収入とせず,消防分団で一括管理され,会議費や訓練時の賄い等必要な経費として費消されていること,仮に,訓練等に要する費用に該当するとして,条例に則り弁償した場合,その額は極めて多額となること,また,香芝市の消防行政を常勤の消防署員のみで処理するとした場合,それに見合う職員を採用しなければならなくなり,その人件費をはじめとする費用は,消防団で賄っている現体制と比較すると,膨大となることが想像するに難くない。しかし,このような消防団の特殊性から,本件助成金の使途として,一定限度の額を報償的性格を持たせるとしても,消防団員は,非常勤とはいえ地方公務員なのであるから,この点を過度に強調することは地方自治法204条の2の趣旨に反するといわなければならず,別表1の各支出すべてが適法であるとする被告らの主張は失当である。 4 争点(4)( 地方公務員なのであるから,この点を過度に強調することは地方自治法204条の2の趣旨に反するといわなければならず,別表1の各支出すべてが適法であるとする被告らの主張は失当である。 4 争点(4)(損害額及び被告らの責任)について(1) 被告Bの責任ア証拠(乙1の1から7,乙2の1から4,乙3から5,8,9,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,消防団は団体としての組織を備え,代表の方法等団体としての主要な点が確定していること等から権利能力なき社団と認められるところ,本件補助金の交付の相手方は,消防団であって,被告B個人でないことが明らかである。ところで,権利能力なき社団の代表者の行為が,社団を代表して行ったものとして,社団自体に不法行為責任が生ずる場合(民法44条1項参照),当該代表者個人においても行為の相手方に対する不法行為責任を負うとするためには,当該代表者について,当該行為によって相手方に損害を与えることにつき,故意又は過失があることが必要である。 イこれを本件についてみるに,前記のとおり,被告Bは,消防団長として,本件助成金の交付に係る手続を行った者であり,本件助成金の交付目的を踏まえて,その目的の範囲内でこれを適正に使用し,かつ,団員らがそのように使用するよう指導監督する義務を負うところ,この義務を怠り,本件助成金の交付目的を逸脱し,裁量権を濫用した支出を容認し,また,別表1番号1及び5の支出については,被告B自身が参加してこれによる利益を享受していたのであることが明らかであり,したがって,被告Bにおいて,上記目的を逸脱した支出分について,香芝市に対し違法な損害を与えることにつき,少なくとも過失があったというべきであり,これらの正当な支出範囲を超えた分について,香芝市に同額の損害を与えているものとして不法行為責任がある。 ついて,香芝市に対し違法な損害を与えることにつき,少なくとも過失があったというべきであり,これらの正当な支出範囲を超えた分について,香芝市に同額の損害を与えているものとして不法行為責任がある。 (2) 被告Aの責任被告Aは,香芝市長として,市の財産の取得,管理及び処分の事務を担当する者であり(法149条6号),地方公共団体の行政運営が住民の負担において行われていることに鑑みれば,助成金等についても事前に十分な予算統制をした上で支出し,事後においては,その使途について厳正な検討を行うべき義務を有しているというべきであるし,実際,要綱には,市長が本件助成金の返還を求めうる場合の一つとして,助成金の目的外使用を定めている(要綱10条■)。しかし,本件において,被告Aは,消防団から実績報告書の提出を受けた際,本件助成金の使途の適法性について十分に検討するべきであったのに,これを怠り,これまで本件助成金が支出されてきた慣例に従って,具体的な支出の必要性や相当性について何ら精査,検討することなく,漫然と本件助成金の交付金額を確定させたことが認められるから,違法な支出があることを認識せず,返還を求めるなどの是正措置を取らなかったことにつき少なくとも過失があったというべきである。したがって,被告Aは,香芝市に対し,上記正当な支出範囲を超えた分について,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (3) 損害額について以上検討してきたところからすれば,本件助成金のうち,交付の目的外の使途に費消された額は,別表1番号1,5及び19の各支出のうち単価6000円を超える部分と,別表1番号7の支出のうち単価500円を超える部分であり,その合計は別表2のとおり30万4103円となる。これについては,消防団長である被告Bの行為により,香芝市にそれに相当する額の損 える部分と,別表1番号7の支出のうち単価500円を超える部分であり,その合計は別表2のとおり30万4103円となる。これについては,消防団長である被告Bの行為により,香芝市にそれに相当する額の損害を生じさせているというべきであり,また,被告Aにおいて,これについて賠償なり返還を求めることをすべきところ,同被告がこれを怠っているため,香芝市に同額の損害を生じさせているものというべきである。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,被告らに対し,連帯して,30万4103円の支払いを求める限度で理由があるから,これを認容し,その余については理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。なお,仮執行宣言は相当でないので付さない。 奈良地方裁判所第2民事部裁判長裁判官宮城雅之裁判官島川勝裁判官谷口真紀
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