平成28(ワ)289 伊方原発運転差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月5日 広島地方裁判所 棄却
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判決文本文331,674 文字)

判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ字3番耕地40番地3において、伊方原子力発電所の発電用原子炉1号機、発電用原子炉2号機及び発電用原子炉3号機を運転してはならない(第1事件原告Aを除く。)。 2 被告は、原告らそれぞれに対し、別紙当事者目録1~9の末尾記載の訴状送達の日から第1項記載の伊方原子力発電所の発電用原子炉各号機の使用済み核燃料全部が原子炉廃止措置として搬出されるまで、1か月当たり1万円を支払え。 (以下、略語は別紙略語表による。なお、敬称略。)第2 事案の概要と前提事実 1 事案の概要本件は、原告らが、伊方原子力発電所の本件各号機を設置している被告に対し、本件各号機の運転によって原告らの生命、身体、健康等に対する危険が生じており、また、被告の本件各号機の運転はこのような危険を発生させていることから不法行為に該当するとして、人格権侵害を理由とする本件各号機の運転の差止めを求めるとともに、第1~第9事件の各訴状送達の日から本件各号機の使用済み核燃料全部が原子炉廃止措置として搬出されるまでの、第1~第9事件の各原告に対する1か月当たり1万円の損害賠償を求める事案である。 2 前提事実(当事者、原子力発電所の仕組み等、原子力発電所に対する規制等、本件各号機の稼働状況等)当事者間に争いのない事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、容易に認定できる事実は以下のとおりである。 ⑴ 当事者原告らは広島県等の都道府県に居住する者である。 被告は、一部地域を除く四国4県への電力供給を行う一般電気事業者であり、愛媛県西宇 実は以下のとおりである。 ⑴ 当事者原告らは広島県等の都道府県に居住する者である。 被告は、一部地域を除く四国4県への電力供給を行う一般電気事業者であり、愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ字3番耕地40番地3所在の伊方原子力発電所において、原子炉等規制法2条5項所定の発電用原子炉3機(本件各号機)を設置している発電用原子炉設置者(同法43条の3の5第1項、同法43条の3の8第1項)である。 ⑵ 原子力発電の仕組み及び伊方原子力発電所の発電用原子炉の設備原子力発電は、核分裂の連鎖反応によって持続的に生じるエネルギーを利用して発電するものであり、その仕組みの詳細は、別紙「原子力発電の仕組み」記載のとおりである。 また、伊方原子力発電所の発電用原子炉は、加圧水型原子炉(PWR)であり、燃料からエネルギーを取り出すための原子炉、原子炉から取り出した熱エネルギーを二次冷却材に伝達する一次冷却設備、蒸気によってタービンを回転させるための二次冷却設備、発電し電気を供給するための電気設備、緊急時の安全性を確保するための工学的安全施設、使用済燃料を保管するための使用済燃料ピット等により構成されるところ、その基本構成の詳細は、別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構成」記載のとおりである。 ⑶ 原子力発電所に対する規制等ア従前の原子力発電所に対する規制等(乙2、乙3、乙25、乙28、弁論の全趣旨)昭和30年12月19日、原子力利用の推進に関する原子力基本法及び原子力委員会設置法が制定され、原子力利用に関する行政の民主的運営を図るため総理府(当時)に原子力委員会が設置された。また、昭和32年6月10日には、原子力基本法の精神に則り、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和目的に限られること等を る行政の民主的運営を図るため総理府(当時)に原子力委員会が設置された。また、昭和32年6月10日には、原子力基本法の精神に則り、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和目的に限られること等を確保するとともに、これらによる災害 を防止し、核燃料物質を防護し、原子炉の設置及び運転等に関する必要な規制等を行うことなどを目的とする原子炉等規制法が制定された。 原子力委員会は、昭和53年9月29日、原子力利用の安全審査の経験を踏まえ、地震学、地質学等の知見を工学的に判断して「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について」(乙25)を策定した。また、同年10月に同委員会から分離する形で設置された原子力安全委員会は、昭和56年7月20日付けで、新たな知見により前記「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針について」の見直しを行い(旧耐震指針)、平成18年9月19日付けで、地震学及び地震工学に関する新たな知見の蓄積並びに発電用軽水炉施設の耐震設計技術の改良及び進歩を反映し、旧耐震指針を見直した(新耐震指針。乙28)。 なお、後記ウの原子力規制委員会が設立されるまでは、原子力事業者に対して直接規制を行うのは規制行政庁(経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省等)であり、原子力安全委員会は、規制行政庁から独立した組織として、専門的・中立的な立場から、原子炉設置許可申請等の2次審査、規制調査その他の手段により、規制行政庁を監視・監査することとされていた。 イ東北地方太平洋沖地震と福島原発事故等(甲A1~甲A25、乙3、乙80、乙81、乙118)平成23年3月11日、三陸沖の太平洋海底を震源とする海溝型のプレート間地震(Mw9.0、Mj8.4)が発生した(東北地方太平洋沖地震)。 福島第一原子力発電所には沸騰水型原子炉(BWR)の発 8)平成23年3月11日、三陸沖の太平洋海底を震源とする海溝型のプレート間地震(Mw9.0、Mj8.4)が発生した(東北地方太平洋沖地震)。 福島第一原子力発電所には沸騰水型原子炉(BWR)の発電用原子炉1~6号機が設置されていたが、このうち運転中であった1~3号機は、地震を感知した直後に自動的に緊急停止したものの、地震により外部電源を失い、代わりに交流動力電源を供給すべく作動した非常用ディーゼル発電機もその後襲来した津波の影響により停止し、同時に原子炉の熱を海に逃がすための海水ポンプも津波により破損し、さらに原子炉の冷却にかかわる注水・減圧 等に必要な直流電源設備も津波により損傷・喪失した。この結果、1号機及び2号機は全電源を、3号機は全交流電源を、いずれも喪失して原子炉に対する冷却機能を失うことになり、相次いで炉心溶融を起こし、さらに落下した炉心が原子炉容器の底を貫通して原子炉格納容器に落下し、原子炉建屋の水素爆発(1号機及び3号機)、ブローアウトパネルの脱落による原子炉建屋内部と外気との連絡(2号機)及びベント(原子炉格納容器内の圧力を下げるために放射性物質を含む空気をあえて排出する措置。1号機及び3号機)等を生じさせ、放射性物質が大量に外部に放出されることとなった(福島原発事故)。 政府は、福島第一原子力発電所施設の周辺環境に大量放出された放射性物質の放射能によって、長期間かつ広範囲の周辺住民等の生命、身体及び健康等に重大な危害が生じると判断し、広範囲にわたる避難指示を出すとともに広範囲にわたる避難区域の指定をした。本件訴訟口頭弁論終結時点においても、同指定の全面解除はなされていない。 ウ新規制基準の制定等(乙233等及び弁論の全趣旨)福島原発事故に関する原因究明のための調査・検証を行うことで再発防止等 訴訟口頭弁論終結時点においても、同指定の全面解除はなされていない。 ウ新規制基準の制定等(乙233等及び弁論の全趣旨)福島原発事故に関する原因究明のための調査・検証を行うことで再発防止等に関する政策提言を行うことを目的として設置された東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(通称:政府事故調)は、その報告書において、独立性と透明性を確保した新たな規制機関の設立を提言した。これを踏まえ、平成24年6月20日、福島原発事故を契機に明らかとなった問題等を解消するための施策を策定又は実施する機関を設置することで、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする設置法が成立され、同月27日の同法の施行に伴い原子力規制委員会が発足し、その事務局として原子力規制庁が設置されるとともに、原子力安全委員会は廃止された。また、同日原子炉等規制法が改正され、その施行に伴い、原子力規制委員会規則、告 示及び内規等が制定又は改正されることとなった(これらの制定又は改正を併せて行政実務上「新規制基準」と称している。)。 改正後の原子炉等規制法43条の3の5第1項(原子炉設置許可)及び同法43条の3の8第1項(原子炉設置変更許可)は、発電用原子炉を設置しようとする者や、発電用原子炉の設置許可を受けた後、発電用原子炉施設の位置、構造及び設備の変更等を行おうとする者は、その設置や変更等について原子力規制委員会に許可申請をしなければならない旨を規定している。 また、改正後の原子炉等規制法43条の3の6第1項4号は、「上記許可申請があった場合、原子力規制委員会は、発電用原子炉施設等が災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであることを確認する」旨を の3の6第1項4号は、「上記許可申請があった場合、原子力規制委員会は、発電用原子炉施設等が災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであることを確認する」旨を規定している。同規定により原子炉設置・変更等を許可するか否かの判断をするための基準を原子力規制委員会規則として定めることが必要となったため、原子力規制委員会は、同委員会の下に「発電用軽水型原子炉の新規制基準に関する検討チーム」(新規制基準検討チーム)、「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準に関する検討チーム」(地震津波基準検討チーム)等の各種検討チームを立ち上げて検討させた。 このうち新規制基準検討チームは、平成24年10月以降、IAEAの安全基準、米国、英国等の主要国の各規制内容のほか、福島原発事故を踏まえた各事故調査委員会の主な指摘事項の内容に関するものを整理し、これらと原子力安全委員会が策定した安全設計審査指針等とを比較した上で、国や地域等の特性に配慮しつつ、我が国の規制として適切な内容を検討した。また、原子力安全委員会の下で取りまとめられた耐震指針等のうち、地震及び津波に関わる安全設計方針として求められている各要件について改めて分類、整理し、必要な見直しを行った上で基準骨子案の構成要 素とする方針を示した。また、地震津波基準検討チームは、この方針に基づき、同年11月以降、地震及び津波について、IAEAの安全基準、米国、フランス及びドイツの各規制内容のほか、福島原発事故を踏まえた各事故調査委員会の主な指摘事項のうち耐震関係基準の内容に関するものを整理し、これらと新耐震指針とを比較した上で、国や地域等の特性に配慮しつつ、我が国の規制として適切な内容を検討するとともに、発電用原子炉施設における安全対策 項のうち耐震関係基準の内容に関するものを整理し、これらと新耐震指針とを比較した上で、国や地域等の特性に配慮しつつ、我が国の規制として適切な内容を検討するとともに、発電用原子炉施設における安全対策への取組みの実態を確認するため、電気事業者に対するヒアリングを実施し、併せて東北電力女川原子力発電所の現地調査を実施し、これらの結果も踏まえ、安全審査の高度化を図るべき事項についての検討を進めた。 新規制基準検討チームや地震津波基準検討チーム等の各種検討チームは、原子力規制委員会担当委員や多様な学問分野の外部有識者をはじめ、原子力規制庁及び旧独立行政法人原子力安全基盤機構の職員らの出席の下、多数回に及ぶ会合を開いて検討を重ねた。また、原子力規制委員会は、上記各種検討チームが開いた会合に供された資料及び議事録をウェブサイト上で公開した。 原子力規制委員会は、上記の検討の過程で、平成25年4月から同年5月にかけて、原子力規制委員会規則等のほか同委員会における審査基準に関する内規等を意見公募手続(パブリックコメント)に付した。地震津波基準検討チームは同年6月6日に開いた第13回会合において地震に関する審査基準を定めた内規について、新規制基準検討チームは同月3日に開いた第23回会合において地震を除く各種事象の審査基準を定めた内規や原子力規制委員会規則等について、それぞれ同手続で募った意見を踏まえて各々その検討を行った。その結果、後記で詳述する一連の規制基準が整備されるとともに、それを受けた内規である各審査基準が策定されるに至った。 原子力規制委員会は、原子力規制委員会規則として制定された設置許可基準規則の条文の解釈を示すために、設置許可基準規則解釈を策定した。 また、原子炉設置許可等の申請がなされた場 原子力規制委員会は、原子力規制委員会規則として制定された設置許可基準規則の条文の解釈を示すために、設置許可基準規則解釈を策定した。 また、原子炉設置許可等の申請がなされた場合に行う設置許可基準規則等に適合しているか否かの審査に活用するため、平成25年6月19日付けの、「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」(原管地発第1306192号)(地震ガイド)、「基準津波及び耐津波設計方針に係る審査ガイド」(原管地発第1306193号)(津波ガイド)、「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(原規技発第13061910号)(火山ガイド)、「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド」(原管地発第1306191号)(地質ガイド)、「基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価に係る審査ガイド」(原管地発第1306194号)(地盤ガイド)、「原子力発電所の外部火災影響評価ガイド」(原規技発第13061912号)(外部火災影響評価ガイド)等を策定した(乙16(1~3頁))。なお、その後各種ガイドは適宜の改正を重ねているが、当事者の主張との関係で必要な改正については改正年を示すことで改正前後のガイドと区別することとする。 再稼働のための申請とその許認可等a 発電用原子炉設置者が発電用原子炉施設の設置又は変更等を行おうとする場合には、前記のとおり、その設置や変更等について原子力規制委員会の許可(設置変更許可)を受ける必要がある(原子炉等規制法43条の3の5第1項、同法43条の3の8第1項)。 また、発電用原子炉設置者が発電用原子炉施設の設置又は変更等の工事をしようとする場合には、工事の計画について原子力規制委員会の認可(工事計画認可)を受ける必要がある(原子炉等規制法43条の3の9第1項)。 さらに 者が発電用原子炉施設の設置又は変更等の工事をしようとする場合には、工事の計画について原子力規制委員会の認可(工事計画認可)を受ける必要がある(原子炉等規制法43条の3の9第1項)。 さらに、工事後の発電用原子炉施設を使用する前に、工事について原 子力規制委員会の検査(使用前検査)を受けなければならず、合格した後でなければ、使用することができない(同法43条の3の11第3項)。 そして、発電用原子炉設置者は、発電用原子炉の設置工事の着手前に、原子力規制委員会の定めるところによる保安規定(保安管理体制、運転管理、保守管理、保安教育、品質保証等に関する規定(実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則92条参照))について原子力規制委員会の認可(保安規定認可)を受けなければならず、保安規定を変更しようとするときも同様(保安規定変更認可)である(同法43条の3の24第1項)。 b 新規制基準策定前に設置されてその後停止した原子炉を同基準策定後に再稼働させる場合には、発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会に対し、設置変更許可、工事計画認可及び保安規定変更認可の各申請を行い、同委員会による新規制基準への適合性審査を経た上で設置変更許可、工事計画認可及び保安規定変更認可を受けるとともに、工事計画認可を受けて工事をした施設について使用前検査に合格する必要がある(設置変更許可申請、工事計画認可申請及び保安規定変更認可申請の各申請を併せたものを以後「再稼働申請」と称し、各許認可を併せたものを以後「再稼働許可」と称する。)。 ⑷ 本件各号機の稼働状況等ア本件1号機昭和47年に設置許可を得て昭和52年に運転を開始した本件1号機は、平成23年9月4日に定期検査に入ると同時に運転を停止し、平成28年5月10日付けで電気事業法上 の稼働状況等ア本件1号機昭和47年に設置許可を得て昭和52年に運転を開始した本件1号機は、平成23年9月4日に定期検査に入ると同時に運転を停止し、平成28年5月10日付けで電気事業法上の発電事業の用に供する発電用電気工作物として廃止され、同年12月26日付けで原子力規制委員会に対する廃止措置計画の認可申請(原子炉等規制法43条の3の34第2項)を行い、平成29年6月28日付けで同計画の認可を得て、同年9月12日より廃止措置作 業を開始した。なお、使用済燃料は本件3号機の使用済燃料ピットに輸送の上、保管されている。(乙1、乙2、乙107、乙321、乙322、乙512、乙513)。 イ本件2号機昭和52年に設置許可を得て昭和57年に運転を開始した本件2号機は、平成24年1月13日に定期検査に入ると同時に運転を停止し、平成30年5月23日付けで電気事業法上の発電事業の用に供する発電用の電気工作物として廃止され、同年10月10日付けで原子力規制委員会に対する廃止措置計画の認可申請を行い、令和2年10月7日付けで同計画の認可を得て、令和3年1月7日より廃止措置作業を開始した。なお、使用済燃料は本件2号機及び本件3号機の使用済燃料ピットで保管されている。(乙2、乙323、乙324、乙514~乙516)ウ本件3号機昭和61年に設置許可を得て平成6年に運転を開始した本件3号機は、平成23年4月29日に定期検査に入ると同時に運転を停止したが、被告は、平成25年7月8日、原子力規制委員会に対し、本件3号機について再稼働申請をした。再稼働申請のうち、設置変更許可申請については、平成27年5月21日から同年6月19日までの間に、原子力規制委員会が作成した本件3号機の原子炉施設の変更をめぐる審査書案に対する科学的・技術 をした。再稼働申請のうち、設置変更許可申請については、平成27年5月21日から同年6月19日までの間に、原子力規制委員会が作成した本件3号機の原子炉施設の変更をめぐる審査書案に対する科学的・技術的意見の公募手続(パブリックコメント)が実施され、同年7月15日に開催された平成27年度第19回原子力規制委員会において「四国電力株式会社伊方原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3号施設の変更)に関する審査書」の案が了承され、同申請に対する原子力規制委員会の許可処分がされた。また、再稼働申請のうち、工事計画認可申請については平成28年3月23日に、保安規定変更認可申請については同年4月19日に、それぞれ原子力規制委員会の認可処分がされた。上 記許認可申請に係る審査は、その終了までに、原子力規制委員会による78回に及ぶ審査会合、事務局による約600回に及ぶヒアリングがそれぞれ行われ、その際、被告は、原子力規制委員会等の求めに応じ、適宜補足の説明資料等を提出している。 本件3号機は、同年9月7日、本件3号機に係る安全対策工事の内容が認可を受けた工事計画どおりであることなどを確認する検査(使用前検査)が終了し、通常運転を再開した。 (乙2、乙13、乙16、乙37、乙62、乙87~乙89、乙116、乙132、乙600、乙601等)。 被告は、本件3号機について、平成28年9月の通常運転再開後も設備の追加設置等に伴う設置変更許可申請等を行っている。本件訴訟の当事者の主張に関連するものとしては、特定重大事故等対処施設関係の申請(乙205、乙636~乙645、乙649、乙650)、非常用ガスタービン発電機の設置関係の申請(乙314、乙634、乙635、乙647、乙648)、令和3年の地震ガイドの改正を踏まえた基準地震動の追 205、乙636~乙645、乙649、乙650)、非常用ガスタービン発電機の設置関係の申請(乙314、乙634、乙635、乙647、乙648)、令和3年の地震ガイドの改正を踏まえた基準地震動の追加に関する申請(乙618、乙619)がなされ、それぞれ許認可処分がされている。また、特定重大事故等対処施設及び非常用ガスタービン発電機については、使用前検査を終了し、供用を開始している(乙651~乙655)。 第3 関連規則等本件における争点(後記第4参照)に関する当事者の主張に関連する規則等の内容は、以下のとおりである。 1 地震関係(別紙「地震関係の関連規則等」記載のとおり) 2 津波関係(別紙「津波関係の関連規則等」記載のとおり) 3 火山噴火関係(別紙「火山噴火関係の関連規則等」記載のとおり) 4 地すべり関係(別紙「地すべり関係の関連規則等」記載のとおり) 5 水蒸気爆発関係(別紙「水蒸気爆発関係の関連規則等」記載のとおり) 6 外部人為事象に対する安全確保対策関係(別紙「外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等」記載のとおり) 7 その他安全確保対策関係(別紙「その他安全確保対策関係の関連規則等」記載のとおり)第4 争点本件は、前記第2の1(事案の概要)記載のとおり、原告らが本件各号機の運転によって原告らの生命、身体、健康等に対する危険が生じているとして、人格権(生命、身体、健康等に関する権利)侵害を理由とする本件各号機の運転の差止めと損害賠償を求めている事案であり、具体的には、以下の点が争いとなっている。 1 本件1・2号機の位置付け(争点1) 2 発電用原子炉の運転差止等請求訴訟における判断枠組み(争点2) 3 地震に対する安全確保対策(争点3) 4 津波に対する安全確 なっている。 1 本件1・2号機の位置付け(争点1) 2 発電用原子炉の運転差止等請求訴訟における判断枠組み(争点2) 3 地震に対する安全確保対策(争点3) 4 津波に対する安全確保対策(争点4) 5 火山噴火に対する安全確保対策(争点5) 6 地すべりに対する安全確保対策(争点6) 7 水蒸気爆発に対する安全確保対策(争点7) 8 外部人為事象に対する安全確保対策(争点8) 9 その他安全確保対策(争点9) 避難計画(争点10)第5 当事者の主張第4の各争点に関する当事者の主張は、別紙「争点1に関する当事者の主張」~別紙「争点10に関する当事者の主張」記載(略)のとおりである。 第6 当裁判所の判断 1 争点1(本件1・2号機の位置付け)について本件1・2号機は、前記第2の2⑷ア及び同イ記載のとおり、平成23年ある いは平成24年に運転を停止した上で、電気事業法上の発電事業の用に供する発電用電気工作物として廃止され、原子力規制委員会から廃止措置計画の認可を得て、廃止措置作業を開始しているから、運転を再開することも継続的に運転することもあり得ず、したがって、その運転によって原告らの生命、身体、健康等に対する具体的危険性を生じさせることはない。 そこで、以下の争点に関しては、もっぱら本件3号機について検討することとする。 2 争点2(発電用原子炉の運転差止等請求訴訟における判断枠組み)について⑴ 原告らは、本件3号機の運転によって原告らの生命、身体、健康等が侵害される危険が生じており、また、被告の本件3号機の運転はこのような危険を発生させていることから不法行為に該当するとして、人格権侵害を理由とする本件3号機の運転の差止め及び損害賠償を求めている。 ⑵ 人格権(生命、身 おり、また、被告の本件3号機の運転はこのような危険を発生させていることから不法行為に該当するとして、人格権侵害を理由とする本件3号機の運転の差止め及び損害賠償を求めている。 ⑵ 人格権(生命、身体、健康等に係る権利)侵害を理由とする差止請求・損害賠償請求訴訟においては、原則として、原告に、その生命、身体、健康等を侵害する具体的危険が存在することについての主張立証責任があるというべきである。 ただし、発電用原子炉の運転に係る安全性が確保されず、当該発電用原子炉から周辺環境に放射性物質が大量放出されるという原発事故が発生したときは、放出された放射性物質の放射能によって、長期間かつ広範囲の周辺住民等の生命、身体及び健康等に重大な危害が生じることは明らかである。そして、上記のような原発事故は、地震、津波等の自然災害事象、飛行機等の落下事故等、テロリズムによる攻撃等といった人為的事象、当該発電用原子炉施設の各種設備の不備等や当該設備の操作に関する人為的ミス等などに起因して生じることが想定されるから、発電用原子炉を運転しようとする原子力事業者は、当該発電用原子炉から放射性物質が周辺の環境に放出されて当該施設の周辺住民等の生命、身体及び健康等に重大な危害を及ぼすことがないよう、上記の 事象に関する調査、資料や知見の収集、検討、分析、評価等によって、当該事象についての安全性確保対策を講じるべきといえる。そうすると、発電用原子炉の運転差止等請求訴訟においては、まずは、被告である原子力事業者が、発電用原子炉の運転に係る安全性が確保されていることについて主張立証すべきであり、この主張立証がなされないときは、発電用原子炉の運転が安全性を欠き、原告の生命、身体及び健康等を侵害する具体的危険が存在することになるというべきである。 ところで、科学 いて主張立証すべきであり、この主張立証がなされないときは、発電用原子炉の運転が安全性を欠き、原告の生命、身体及び健康等を侵害する具体的危険が存在することになるというべきである。 ところで、科学技術を利用した各種の機器、装置等の稼働に関しては、自然災害事象において絶対はなく、人為的事象、設備の不備等や操作に関する人為的ミス等を完全に防ぐことはできない以上、絶対的に安全ということはできず、常に何等かの程度の事故発生の危険性を伴うところ、その危険性が社会通念上容認できる水準以下であると考えられる場合又はその危険性の程度が人間によって管理できると考えられる場合には、その危険性の程度と科学技術の利用により得られる利益の大きさとの比較考量の上で、これを安全なものとして利用することが社会的に許容されているといえる。そして、前記第2の2⑶ウのとおり、我が国は、自然災害事象に加え、想定された設備的安全対策が機能しなかったことによって発生した福島原発事故を踏まえ、発電用原子炉の運転により原子力発電を行うことについて社会的に許容される程度の安全性を確保すべく、原子力規制委員会に、国際機関及び諸外国の安全基準や規制等のほか福島原発事故を踏まえた各事故調査委員会の主な指摘事項を整理させ、これらを踏まえて、我が国の地域等の特性に配慮しつつ、前記の様々な事象に対する安全性の確保に関する各専門分野の学識経験者等による科学的、専門技術的知見に基づく合理的な判断基準としての新規制基準案を策定させ、同案の内容につき意見公募手続を経た上で新規制基準として制定し、同基準に適合しなければ原子力事業者の発電用原子炉の運転を許さないものとすることとしたといえる(乙233参照)。そうすると、原子力事業者が新規制基準、とりわけ安全 確保対策基準である設置許可基準規則及び ければ原子力事業者の発電用原子炉の運転を許さないものとすることとしたといえる(乙233参照)。そうすると、原子力事業者が新規制基準、とりわけ安全 確保対策基準である設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈を踏まえた申請を行い、原子力規制委員会が当該申請内容が同基準に適合していると確認・判断してこれを許認可をしている場合には、社会的に許容される程度の安全性が確保されていることが推認されるというべきである。 そして、上記許認可がされてもなお安全性が確保されたということはできないと原告が主張する場合には、原子力規制委員会が策定した新規制基準、とりわけ安全確保対策基準である設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈が現在の科学的、専門技術的知見に照らして合理性を欠くこと、発電用原子炉の運転が新規制基準、とりわけ安全確保対策基準である設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈の設定する安全性の基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断が合理性を欠くことなどの理由により、その運転が安全性を欠き、原告の生命、身体及び健康等を侵害する具体的危険が存在することについて、すなわち上記の安全性の確保の推認が覆されることについて、原告が反論反証すべきである。 ⑶ 本件において、被告は、原告らが安全性が確保されていないと主張する事象(前記第4(争点)の3~9)を含む、安全確保対策基準である設置許可基準規則及び同規則解釈が対策を求める各種事象に対する安全確保対策を行ったとして本件3号機に関する再稼働申請等(再稼働許可後になされた申請を含む。)を行い、原子力規制委員会はこれを許認可(再稼働許可後になされた申請に対するものを含む。)しているのであるから(前記第2の2⑷ウ参照)、上記事象に関しては安全性が確保されていることが推認されることにな 行い、原子力規制委員会はこれを許認可(再稼働許可後になされた申請に対するものを含む。)しているのであるから(前記第2の2⑷ウ参照)、上記事象に関しては安全性が確保されていることが推認されることになる。したがって、前記第4(争点)3~9に関する原告らの主張に理由があるか否かは、原告らの反論反証により、原子力規制委員会が策定した新規制基準、とりわけ設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈が現在の科学的、専門技術的知見に照らして合理性を欠くこと、本件3号機の運転が新規制基準、とりわけ設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈に適合するとした原子力規制委 員会の確認及び判断が合理性を欠くことなどの理由により、その運転が安全性を欠き、その結果、原告らの生命、身体及び健康等を侵害する具体的危険が存在するといえるか否か、すなわち、上記の安全性の確保の推認が覆されるか否かによって判断されることになる。 ⑷ 原告らは争点2に関しその他にもるる主張するが、採用の限りではない。 3 争点3(地震に対する安全確保対策)について⑴ 地震とは、地下の岩盤にプレートの動きによる歪みエネルギーが蓄積され、岩盤がその歪みエネルギーによる力に耐えきれなくなって断層を境に破壊を起こしてそれまでに蓄えられていた歪みエネルギーを放出する現象をいうとされ、その規模を示す指標としてMが用いられる。これに対し、地震動とは、地震によってもたらされる大地の揺れを指し、その指標としては震度又は加速度(単位はガル)が用いられる。Mは一つの地震について一つ定まるのに対し、震度又は加速度は一つの地震について観測地点ごとに異なる。(乙22(5~10頁)、弁論の全趣旨)そのため、設置許可基準規則4条及び39条、同規則解釈及び地震ガイドは、地震に対する安全確保対策については、 加速度は一つの地震について観測地点ごとに異なる。(乙22(5~10頁)、弁論の全趣旨)そのため、設置許可基準規則4条及び39条、同規則解釈及び地震ガイドは、地震に対する安全確保対策については、地震自体に対する対策ではなく、評価対象となる地点(原子力発電所敷地)において耐震設計の基準となる地震動(基準地震動)を策定し、当該基準地震動に対して安全性を確保できるような耐震設計を行うことによる対策を求めている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、地震ガイドに従って地震に関する調査・検討を行い、伊方原子力発電所敷地における基準地震動Ss-1(震源を特定して策定する地震動のうち、応答スペクトルに基づく手法による基準地震動)、Ss-2-1~Ss-2-8(震源を特定して策定する地震動のうち、断層モデルに基づく手法による基準地震動)、Ss-3-1~Ss―3-2(震源を特定せず策定する地震動)を策定し、うち最大値であるSs―1-Hの650ガルを基準地震動Ssとし、本件3号機が基準地震動Ssに対して 安全性を確保できるよう耐震設計をし、その設備が基準地震動に対して相応の耐震裕度も有しているとして、原子力規制委員会に再稼働申請を行い(その要旨は、別紙「地震に関する再稼働申請の内容」記載のとおり。)、原子力規制委員会は、地震についての被告の検討・評価が設置許可基準規則に適合し地震ガイドを踏まえていることを確認したなどとして(乙16(9~33頁、269~272頁)参照)、再稼働許可をした。なお、平成29年12月に長期評価の改訂(長期評価(第二版))により基準地震動策定の際に検討用地震とした地震の断層に関する改訂が行われたが、被告は、平成30年5月に使用済燃料乾式貯蔵施設の設置変更許可申請に係る審査において、同改訂の内容が伊方原子力発電所の により基準地震動策定の際に検討用地震とした地震の断層に関する改訂が行われたが、被告は、平成30年5月に使用済燃料乾式貯蔵施設の設置変更許可申請に係る審査において、同改訂の内容が伊方原子力発電所の基準地震動Ssを策定する地震動評価において考慮済みであり、同基準地震動に影響を与えるものではないことを説明し、原子力規制委員会は、その説明を踏まえ、上記申請を許可している(乙460、乙462、乙463(19~21頁))。また、令和3年4月21日に設置許可基準規則解釈及び地震ガイドが一部改正され(乙592、乙593)、震源を特定せず策定する地震動としての「全国共通に考慮すべき地震動」の策定にあたって、標準応答スペクトルを用いて地震動評価を行うことになったことから、被告は、新たに基準地震動Ss-3-3を策定し、同年7月15日付けで、これを基準地震動に追加する旨の原子炉設置許可申請を行い(乙600)(ただし、耐震安全性を確認する基準地震動Ssは650ガルを維持)、原子力規制委員会は、令和5年5月24日、同申請を許可した(乙618)。 これに対し、原告らは、①被告の策定した基準地震動が過去の地震における地震動と比較して過小である上、基準地震動策定の前提となる地震学に十分な予測力がないため、基準地震動の策定には限界がある、②地震ガイドに従ったとする基準地震動の策定が不適切である、③令和3年の設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの改正において設定することとされた標準応答スペクトルが不適切である上、被告は、これに伴い策定した基準地震動Ss-3-3が基準 地震動Ss-1を超過している部分があるにもかかわらず、基準地震動Ssを従前のまま維持しており、不適切である、④地震ガイドにおける基準地震動の超過確率が不適切であるとして、被告の地震に対する安全確保 地震動Ss-1を超過している部分があるにもかかわらず、基準地震動Ssを従前のまま維持しており、不適切である、④地震ガイドにおける基準地震動の超過確率が不適切であるとして、被告の地震に対する安全確保対策が不十分であって、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険性が生じていると主張する。そこで、以下、順次検討する。 ⑵ 被告の策定した基準地震動が過去の地震における地震動と比較して過小である上、基準地震動策定の前提となる地震学に十分な予測力がないため基準地震動の策定には限界があるとの原告らの主張についてア原告らは、「設置許可基準規則は、発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれが生じないよう、基準地震動を策定し、同基準地震動に対して発電用原子炉施設の安全機能が損なわれるおそれがないような設計にすることを求めているところ、被告は、策定した基準地震動を踏まえて650ガルを超える地震動は本件3号機を襲来しないとして、本件3号機の最大基準地震動を650ガルとして設計する計画を申請し、原子力規制委員会はこれを承認した。しかし、①我が国においては過去約20年の間に650ガルを超えた地震動が発生し、あるいは過去約10年の間に原子力事業者が策定した基準地震動を超える地震が発生していること、②東北地方太平洋沖地震の際に観測された女川原子力発電所及び福島第一原子力発電所の地震動からすれば、南海トラフの巨大地震が発生したときには、その震源域にある伊方原子力発電所においては、被告の策定した基準地震動を超える地震動が生じることになるといえることから、被告の策定した基準地震動は過小である。」旨主張する。 しかしながら、ある観測地点の地震動は、震源特性(地震波を放出した震源断層の大きさ、断層面の破壊の仕方等)、伝播特性(震源から観測地点までの 被告の策定した基準地震動は過小である。」旨主張する。 しかしながら、ある観測地点の地震動は、震源特性(地震波を放出した震源断層の大きさ、断層面の破壊の仕方等)、伝播特性(震源から観測地点までの間にある岩盤の構造や物性などに影響を受ける地震波の伝播の仕方)及び地盤の増幅特性(地震波は地盤の影響を受けて地表に達するが、その際、柔 らかい地盤では揺れが増幅され、硬い地盤では振れが増幅され難いといった、観測地点における地盤の特性)等の影響を大きく受けることは明らかであるところ、これらのいわゆる地域特性を比較検討することなく、単に過去の観測地点の地震動の数値と伊方原子力発電所敷地に関して策定された地震動の数値のみを比較するだけでは、被告の策定した基準地震動が過小なものであるということはできない。 また、原告らが指摘する「原子力事業者が策定した基準地震動を超える地震」は、平成17年8月16日の宮城県沖地震(観測地点は女川原子力発電所敷地)、平成19年3月25日の能登半島沖地震(観測地点は志賀原子力発電所敷地)、同年7月16日の新潟県中越沖地震(観測地点は柏崎刈羽原子力発電所敷地)、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震(観測地点は福島第一原子力発電所敷地及び女川原子力発電所敷地)であるところ、前記第2の2⑶ウ及び第3の1のとおり、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に起因して発生した福島原発事故を踏まえて、平成25年に新規制基準が制定・改正されたこと、とりわけ、地震及び地震動に関しては、原告らの指摘する上記各地震を含む過去の大型地震に関する情報も踏まえた上で地震ガイドが策定されたことからすれば、原子力事業者が地震ガイドに則って基準地震動を策定したとし、原子力規制委員会が策定された基準地震動は地震ガイド等に適合していると 地震に関する情報も踏まえた上で地震ガイドが策定されたことからすれば、原子力事業者が地震ガイドに則って基準地震動を策定したとし、原子力規制委員会が策定された基準地震動は地震ガイド等に適合していると判断したときには、原告らの指摘する上記各地震に関する情報も踏まえた基準地震動が策定されたものということができる。さらに、原告らが指摘する「原子力事業者が策定した基準地震動」とは、新規制基準前の旧耐震指針あるいは新耐震指針に則って策定した基準地震動であり、被告も新耐震指針に則って伊方原子力発電所敷地の基準地震動を570ガルとしていたこと(乙21(Ⅳ-36~Ⅳ-40、Ⅳ-83))を踏まえれば、「新規制基準前の耐震指針に則って原子力事業者が策定した基準地震動を超える地震動が生じた」ことのみから、新耐震指針よりも 詳細な調査・検討を求めることで地震動評価手法を高度化したとされる新規制基準に則って被告が策定した基準地震動が過小に評価されていることになるものではない。 イ原告らは、基準地震動策定の前提となる地震学に十分な予測の力がないため、基準地震動の策定には限界があるから、本件3号機の耐震性はあまりに脆弱というべきであると主張する。 確かに、現在の科学的知見では、正確な地震(震源場所、規模等)の予測は不可能であるといえよう。しかしながら、これまでに生じた地震の各種のデータの分析や各種の調査結果があり、それらに基づく研究論文等が存在するところ、これらを通じ、地震の震源特性、地震波の伝播特性、地盤の増幅特性等を考慮して、念のために保守的な評価を加えることにより、特定の評価地点(原子力発電所敷地)における信頼性のある基準地震動を策定することは可能であると考えられる。少なくとも、現在の科学的知見により正確な地震予測が不可能であることのみをもっ ることにより、特定の評価地点(原子力発電所敷地)における信頼性のある基準地震動を策定することは可能であると考えられる。少なくとも、現在の科学的知見により正確な地震予測が不可能であることのみをもって、従前からの様々な情報等に基づき地震に関する専門分野の学識経験者等が科学的、専門技術的知見に基づき合理的な判断基準として規定した新規制基準に則り策定された基準地震動の評価が過小であるということはできない。 ⑶ 被告の基準地震動の策定が不適切であるとの原告らの主張について原告らは、「地震ガイドによれば、基準地震動は、内陸地殻内地震(陸のプレートの内部で発生するもの(地震ガイドⅠ.1.3⑶参照))、プレート間地震(2つのプレートの境界面で発生するもの(地震ガイドⅠ.1.3⑷参照))及び海洋プレート内地震(海のプレートの内部で発生するもの(地震ガイドⅠ. 1.3⑸参照))のそれぞれについて検討用地震を選定し、当該検討用地震ごとの『敷地ごとに震源を特定して策定する地震動』(地震ガイドⅠ.2⑵、Ⅰ. 3)及び『震源を特定せず策定する地震動』(地震ガイドⅠ.2⑶、Ⅰ.4)について、それぞれ解放基盤表面(やわらかい上部地盤や建物の振動による影 響を全く受けない岩盤の表面)における水平方向及び鉛直方向の地震動として策定することとなっている(地震ガイドⅠ.2)。この点、被告は、地震ガイドに則って基準地震動を策定した旨主張するが、被告の策定過程はいずれの局面においても不適切な点がある。」旨主張する。そこで以下、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」の被告の策定過程が不適切であるとの原告らの主張を順次検討する。 ア 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関して不適切な点があるとの原告らの主張について 震源を特定せず策定する地震動」の被告の策定過程が不適切であるとの原告らの主張を順次検討する。 ア 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関して不適切な点があるとの原告らの主張についてばらつきが正確に評価されていないため、被告の設定する地震規模が過小に評価されている等の原告らの主張についてa 地震ガイドは、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動については、検討用地震を選定し(地震ガイドⅠ.3.2.1)、検討用地震ごとに震源として想定する断層の形状等を評価し(地震ガイドⅠ.3.2.2)、震源特性パラメータを設定した(地震ガイドⅠ.3.2.3)上で、地震動評価を行うよう指示している(地震動Ⅰ.3.3)。そして、震源特性パラメータの設定に際しては、「震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連付ける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が十分に検討されていることを確認し、その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」とする(地震ガイドⅠ.3.2.3⑵)。この点に関し、原告らは、「地震規模を設定する際に用いられる経験式(実測結果からその諸量の間の関係を式の形で表したもの)は、実際に過去において発生した地震の地震動記録に基づき地震動を統計的に処理することにより算出される平均像にすぎず、基データを確認すると標準偏差の倍半分程度のばらつきがある(甲B33、甲B59、甲B60、甲B62、甲B142、甲B 143)。したがって、経験式を用いるときはこのばらつきを考慮すべきところ、被告はこれを考慮していないため、地震規模の設定が過小に評価されている。」旨主張する。 確かに、各種の経験式は、過去実際に起こった地 したがって、経験式を用いるときはこのばらつきを考慮すべきところ、被告はこれを考慮していないため、地震規模の設定が過小に評価されている。」旨主張する。 確かに、各種の経験式は、過去実際に起こった地震の観測記録等のデータを回帰分析して、科学的に有意な関係を表す式であるから、複雑な自然現象である基の観測記録のデータは、それぞれの地震の震源特性、観測地点への地震波の伝播特性、観測地点付近の地盤の増幅特性等によってばらつくことになる(乙541~乙544、乙553)。地震ガイドⅠ.3.2.3⑵の「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」旨の記載は、経験式を用いて地震規模を設定するときは、当該観測記録のデータにそのようなばらつきがあることを踏まえて、観測地点の持つ「ばらつき」が反映されるように、これを評価地点(原子力発電所敷地)の「不確かさ」(設置許可基準規則解釈別記2の4条5項2号⑤参照)として考慮することを求めているものと解される。 この点、被告は、伊方原子力発電所の敷地に関して調査・検討を行った上で、同敷地に関する地震の震源特性、地震波の伝播特性、地盤の増幅特性等を把握し、これを地震動評価に反映させるべく、設置許可基準規則解釈別記2の4条5項2号⑤に基づき不確かさを分析した上で、地震発生時の環境に左右される偶然的な不確かさ及び事前に平均モデルを特定することが困難な認識論的不確かさについては最も厳しいものを、事前に平均モデルを特定できる認識論的不確かさについては当該モデルを、それぞれ基本値として伊方原子力発電所敷地の基本震源モデルを策定し、さらに事前に平均モデルを特定できる認識論的不確かさについては独自に保守的なパラメータ(平均モデルと異なる値)を設定して基本震源モデ れぞれ基本値として伊方原子力発電所敷地の基本震源モデルを策定し、さらに事前に平均モデルを特定できる認識論的不確かさについては独自に保守的なパラメータ(平均モデルと異なる値)を設定して基本震源モデルに掛け合わせた上で(乙13(6-3-1~6-3-1 24頁、6-5-31~6-5-35頁)、乙37(20~27頁、36~37頁))、経験式を用いているのであるから、地震規模の設定や地震動の策定の際に、経験式が有するばらつきを考慮しているということができるし、原子力規制委員会も被告が「経験式が有するばらつき」を考慮しているとの判断をしている(乙16(14~18頁))ところである。したがって、被告が設定する地震規模が「経験式が有するばらつき」を考慮していないために過小に評価されているということはできない。 なお、原告らは断層モデルを用いた手法において採用されているスケーリング則も経験式であり、故に有することになるスケーリング則のばらつきに関しても被告がこれを考慮していないために地震動の評価が過小となる旨の主張をしているが、被告はスケーリング則に関しても「経験式が有するばらつき」を「不確かさ」として考慮しているといえるため、この点に関する原告らの主張も採用できない。 b 原告らは、地震ガイドⅠ.3.2.3⑵の「経験式のばらつき」は地震ガイドⅠ.3.3.3⑴の「応答スペクトルに基づく地震動の評価過程に伴う不確かさ」及び同⑵の「断層モデルを用いた手法による地震動の評価過程に伴う不確かさ」と別の規定であるから、別の規定の「不確かさ」を考慮することによっては地震ガイドⅠ.3.2.3⑵の「経験式のばらつき」を考慮したことにはならず、経験式によって算出される平均値に何らかの上乗せをする必要があるか否かを別途検討すべきである旨主張する。 し によっては地震ガイドⅠ.3.2.3⑵の「経験式のばらつき」を考慮したことにはならず、経験式によって算出される平均値に何らかの上乗せをする必要があるか否かを別途検討すべきである旨主張する。 しかしながら、地震等検討小委員会の委員らが、「『不確かさ』が、実際の観測値の散らばり、つまり『ばらつき』が生じた原因ともいうべきものであることからすると、基準地震動の策定の実務においては、使用される経験式や物理式から算出される建前上の真値からの偏差は、これを観測値(結果)としてみると『ばらつき』であり、他方、モデルに取 り込んで検討すべきもの(原因)と考えれば『不確かさ』である」旨述べていること(乙541~乙544)からすれば、原告らの上記主張は採用できない。なお、地震等検討小委員会の委員らの上記供述の内容は、地震ガイドを作成した原子力規制委員会が「式の基となった観測データのばらつきを反映して計算結果に数値を上乗せする方法は用いていない。このような方法は、強震動予測レシピ(注記:本件では「レシピ」と略。強震動予測手法の各種の構成要素についての考え方を取りまとめたもので、強震動を高精度に予測するための標準的な方法論とされる。)で示された方法ではなく、かつこのような方法の科学的根拠を承知していないからである。」と指摘していること(乙553)や、令和4年に改正された地震ガイドに対する意見公募手続(パブリックコメント)における原告らの主張と同旨の意見に対し、原子力規制庁が上記指摘と同旨の回答をし、原子力規制委員会が同回答を了承していること(乙606(5頁)、乙607(別紙1(9~47頁))、令和4年6月8日に改正された地震ガイド等において、経験式に関する記載が上記の趣旨に従い整理されたこと(乙602(1~3頁)、乙606(6頁))からも裏 (5頁)、乙607(別紙1(9~47頁))、令和4年6月8日に改正された地震ガイド等において、経験式に関する記載が上記の趣旨に従い整理されたこと(乙602(1~3頁)、乙606(6頁))からも裏付けられているといえる。 内陸地殻内地震の基準地震動の策定に関して不適切な点があるとの原告らの主張について原告らは、内陸地殻内地震の基準地震動の策定において、①検討用地震の選定が不十分である、②応答スペクトルに基づく地震動評価の際、設定した地震規模が過小である上、用いた耐専スペクトルが恣意的に適用されている、③断層モデルを用いた手法による地震動評価の際、グリーン関数、各種スケーリング則及び不確かさの考慮において問題があると主張するので、以下、順次検討する。 a 検討用地震の選定が不十分であるとの原告らの主張について ⒜ 検討用地震として選定された地震の震源断層である中央構造線断層帯の断層傾きを90度とすることが問題であるとの原告らの主張について被告は、内陸地殻内地震の検討用地震として、伊方原子力発電所の敷地のある佐田岬半島北側の沖合い約8kmにある断層群(約42km)、伊予セグメント(セグメントとは活断層の活動の最小単位である。)等の活断層を震源断層とする地震を選定し、かつ、当該活断層の傾斜角を90度(鉛直)とした。 これに対し、原告らは、伊方原子力発電所周辺の地質条件からすれば、活断層は南側が高い南傾斜で南側上がりの逆断層(水平方向から岩盤が圧縮され、断層面を挟んで上側の岩盤がずり上がる動きをした断層)成分を持つ横ずれ断層(岩盤に圧縮や伸張がかかり、断層を挟んで、それぞれの岩盤が逆方向にずれる動きをした断層)と考えるべきであり(甲B36)、その場合、活断層自体は伊方原子力発電所の沖合い約8kmに存在するとして 断層(岩盤に圧縮や伸張がかかり、断層を挟んで、それぞれの岩盤が逆方向にずれる動きをした断層)と考えるべきであり(甲B36)、その場合、活断層自体は伊方原子力発電所の沖合い約8kmに存在するとしても、実際に地震を発生させる断層面は伊方原子力発電所直下にある可能性がある上、逆断層の場合は正断層(水平の方向に岩盤が引っ張られることにより、断層面を境にして、上側の岩盤が下へ滑り落ちる動きをした断層)の場合よりも大きな地震になりやすいところ、被告がこれらの点を検討していないことは問題である旨主張する。 しかしながら、BやC等は伊方原子力発電所の敷地前海域の断層群が南傾斜の逆断層であるとするものの(甲B35、甲B36(3頁)、甲B98、甲B187)、長期評価(第二版)では、中角度の北傾斜との見解と高角度との見解が併記されており、南傾斜との見解は提示されていない(乙325(32頁、57頁)、乙668-1(18頁、55頁)、乙722)。また、伊予灘セグメント(伊方原子力発電所敷地 前面海域の断層帯)は横ずれ成分が卓越し、豊予海峡セグメント(伊予灘セグメントより西方)では横ずれ断層に正断層が混在する旨の研究があり(乙147(3頁))、被告の調査等によっても、伊予灘セグメントでは、南北方向に顕著な標高差が見られず、横ずれの卓越するほぼ鉛直の震源断層であるとの判断がされているところ(乙13(6-3-37頁、6-3-64頁、6-3-211~6-3-220頁))、これらの研究・調査等・判断が誤っていることをうかがわせる証拠はない。さらに、レシピでは、横ずれ断層においては緩く傾斜する断層面は考えにくいため、断層の傾斜角を推定する資料がない場合は90度で評価するよう求められている上(乙126(4頁))、海上音波探査による探査断面を対象とした解析 横ずれ断層においては緩く傾斜する断層面は考えにくいため、断層の傾斜角を推定する資料がない場合は90度で評価するよう求められている上(乙126(4頁))、海上音波探査による探査断面を対象とした解析の結果により北傾斜する地質境界としての中央構造線が高角度の活断層によって変位を受けている可能性が示唆されている(乙610(32~34頁))。以上からすれば、被告が中央構造線断層帯が南傾斜の逆断層である点を検討していないことには問題があるとする原告らの主張は採用できない。 なお、前記のとおり、被告は、中央構造線断層帯についてほぼ鉛直であると評価した上で、地震動の策定を行っているが、平成29年12月に改訂された長期評価(第二版)には、中央構造線断層帯の傾斜角について中角度(北傾斜)と高角度の両論が併記され、断層帯全体としては、中角度(北傾斜)の可能性が高いとの記載がある(乙325(33頁))。しかしながら、北傾斜する地質境界断層が高角度の活断層によって変位を受けている可能性を示唆する資料(乙460(29頁))があること、別府重点には、報告者(国立大学法人京都大学大学院理学研究科)が行った豊予海峡部における音波探査の結果により、高角度の断層が地質境界に変位を与えている可能性が指摘されていること(乙461(413頁、416頁))、長期評価(第二版)には、 「中角度の可能性が高いと判断したが、高角度の可能性を否定する確実な証拠はなく、かつ、横ずれ断層が中角度で活動した事例はない」旨の記載もあること(乙325(61頁))、中角度の場合は、断層強度や摩擦係数が相対的に小さく、その結果地震動も相対的に小さいと想定されるため、断層傾斜角について鉛直を基本ケースとして想定する方が保守的と考えられていることからすれば、長期評価(第二版)の改訂を踏 や摩擦係数が相対的に小さく、その結果地震動も相対的に小さいと想定されるため、断層傾斜角について鉛直を基本ケースとして想定する方が保守的と考えられていることからすれば、長期評価(第二版)の改訂を踏まえても、検討用地震の断層傾斜を鉛直と評価した上で地震動の策定をすることは合理的といえる。 ⒝ 伊方原子力発電所から沖合い2km以内の佐田岬半島北側沿岸部付近に活断層としての中央構造線があるにも関わらず、これを被告が評価も調査もしていないため、検討用地震の選定が不適切である上、地震ガイドに反するとの原告らの主張についてⅰ(ⅰ) 九州北部から関東へ横断する、地質の大きくなる境の断層線を中央構造線(MTL)というが、中央構造線には、北側の和泉層群あるいは領家帯(領家花こう岩類)と南側の三波川帯(三波川変成岩類)との境である「地質境界としての中央構造線」と最近の地質年代における活動が確認されている「活動層としての中央構造線」があるとされ、これを区別するために前者を「地質境界としての中央構造線」と、後者を「中央構造線断層帯」と称している。 原告らは、「被告は伊方原子力発電所の敷地の沖合い約8kmのところにある中央構造線断層帯における地震を想定しているが、それより南の沖合い2km以内の佐田岬半島北側沿岸部付近にある、北側を和泉層群及び領家帯とし南側を三波川帯とする接合面である地質境界としての中央構造線も活断層であるから、地質境界としての中央構造線における地震も検討されるべきであ る」旨主張し、地質境界としての中央構造線が活断層である理由として、要旨、以下のとおり述べる。 伊予灘海域の西方に位置する別府湾には、正断層運動の結果としてのハーフグラーベン(半地溝)が形成され、これが湾外へと続いていることが確認されている。別府湾と同じ地 して、要旨、以下のとおり述べる。 伊予灘海域の西方に位置する別府湾には、正断層運動の結果としてのハーフグラーベン(半地溝)が形成され、これが湾外へと続いていることが確認されている。別府湾と同じ地下構造である伊予灘海域も沖縄トラフから別府市―島原地溝帯までと同様に伸長応力場であるといえることからすれば、伊予灘にも、今もなお、正断層運動の結果としてのハーフグラーベンが形成され続けているといえる。ハーフグラーベンが形成されていることは、被告の海上音波探査結果からもうかがわれる上、長期評価(第二版)にも、別府湾から伊予灘までハーフグラーベンが存在しており、それは中央構造線の活動の結果であることを示唆する記載がある(乙325(31頁、33頁))。また、三波川帯と和泉層郡及び領家帯との接合面である地質境界としての中央構造線には、領家帯が三波川帯をずり落ちたことによる堆積層の変位(へこみ)が認められるところ、これは中央構造線が正断層運動をした結果であるといえる。以上からすれば、佐田岬半島北側沿岸部付近の中央構造線は活断層(正断層)であることが強くうかがわれるというべきである。 また、佐田岬半島北岸に存在する小さな岬等の先端は想定される中央構造線に平行に滑らかに切り取られたようにそろって切り立った崖となっており、その前面海域は沿岸から急に深くなって海底へと続いているが、このような地形的特徴(活断層の存在をうかがわせるリニアメントといえる。)に照らせば、佐田岬半島北側沿岸部には活断層が存在するというべきである。 さらに、熊本地震において、布田川断層(横ずれ成分が卓越) と出ノ口断層(正断層成分が卓越)が地下で収れんして一体として活動していることが判明したことからしても(D証言)、横ずれ断層として活動している中央構造線断層帯と、正 (横ずれ成分が卓越) と出ノ口断層(正断層成分が卓越)が地下で収れんして一体として活動していることが判明したことからしても(D証言)、横ずれ断層として活動している中央構造線断層帯と、正断層として活動している地質境界としての中央構造線とが、地下で収れんし、一体として活動していることが考えられる。 なお、被告は、伊方灘について十分な海上音波探査を行い、伊方原子力発電所敷地沖合い2km以内には断層が活動していれば生じるはずの堆積層の変位が認められないことを確認し、原告らが指摘する付近に活断層はないと判断したと主張する。しかし、被告が行ったのは二次元探査であって、三次元探査ではないから解析が不十分である上、堆積層の変位がないことをもって正断層運動の存在が否定されるものではないこと、変位量が小さい可能性があること、堆積層が地殻変動によって陸上化した際に地上の風雨によって浸食された可能性があること、海底における潮流によって堆積層が浸食された可能性があることなどからすれば、被告の行った海上音波検査の結果(堆積層の変位が認められないこと)によって活断層がないといえるものではない。 (ⅱ) その上で、原告らは、「新規制基準は、震源からの距離が近い場合の地震動の評価の方法を特に注意深く定めている。この点、長期評価(第二版)には、『伊予灘南縁の中央構造線が活断層である可能性を考慮に入れておくことが必要』であるところ、『伊予灘南縁、佐田岬半島沿岸の中央構造線については現在のところまで探査がなされて』おらず、『今後の詳細な調査が求められる』旨、すなわち十分な調査がなされていない旨記載されている。そうすると、原子力発電所の敷地の沖合い2km以内という佐田岬北側沿岸部付近(伊方発電所敷地前面)を十分に精査がなされないまま、 被告が なわち十分な調査がなされていない旨記載されている。そうすると、原子力発電所の敷地の沖合い2km以内という佐田岬北側沿岸部付近(伊方発電所敷地前面)を十分に精査がなされないまま、 被告が本件3号機の再稼働申請をし、原子力規制委員会が再稼働許可をしていることは、新規制基準に適合していないことになる。」旨主張する。 なお、原告らのいう「新規制基準が震源から極近の場合の地震動評価の方法を特に注意深く定めている」とのくだりは、地震ガイドⅠ.3.3.2⑷④が「震源が敷地に極めて近い場合」には、「十分な精査」を求めていることを指すと解される。 ⅱ(ⅰ) しかしながら、原告らの「沖合い2km以内の佐田岬半島北側沿岸部付近に活断層としての中央構造線が存在する」旨の主張は、以下の理由により、採用できない。 まず、原告らは、伊予灘では現在もなお正断層運動の結果とされるハーフグラーベン構造が形成され続けている旨主張するところ、確かに、長期評価(第二版)には、「伊予灘から豊予海峡を経て別府湾に至る地域では、中央構造線の北側に新規堆積物によって充填された狭長な半地溝状堆積盆地が続くと推定されている」旨の記載がある(乙325(30頁))。しかし、長期評価(第二版)を作成した地震調査委員会は、伊予灘の中央構造線断層帯は横ずれ断層であり、別府湾の断層は正断層であるとし(乙39(2頁、11頁)、乙40(1~4頁))、長期評価(第二版)と同日付けで公表された「四国地域の活断層の長期評価(第一版)」は、伊予灘では、鮮新世以降に正断層運動があったが、約70万年前以降は横ずれ運動が卓越していると評価している(乙464(7頁))ことからすれば、約70万年以上前に、北傾斜の領家帯と三波川帯との地質境界が震源断層として活動し、それに伴って上記の「半地溝状 年前以降は横ずれ運動が卓越していると評価している(乙464(7頁))ことからすれば、約70万年以上前に、北傾斜の領家帯と三波川帯との地質境界が震源断層として活動し、それに伴って上記の「半地溝状堆積盆地」が形成されたと解することはできるものの、約70万年前以降も現在に至るまでなお、伊予灘におい てハーフグラーベン構造を形成し続けている正断層活動があるとの原告らの主張は採用できない。 また、原告らが指摘する沖縄トラフから九州地方中部地域の応力場は、別府湾・豊後水道で止まっており、伊予灘海域を含む四国地方の応力場とはつながっていないとされている(甲B178(410頁)、乙464(7頁)、乙584(11頁))ため、伊予灘と別府湾の地下構造が同様とは考え難い。 さらに、仮に伊予灘にハーフグラーベンが形成されるのであれば、その形成過程に鑑みて堆積層が大きく南側に傾斜する(南に厚く北に向かって薄く堆積する)はずであり、Eもその旨述べる(甲B46)が、被告の海上音波探査結果によれば、伊予灘は約100万年前に堆積したとされるT層よりも上部の層はおおむね平坦に近い堆積状況にあり(乙13(6-3-37頁、6-3-64頁、6-3-211~6-3-220頁))、断層として活動すれば見られるはずの堆積層の変位が見られないこと(乙466、乙467、乙470、乙471~乙473、乙485及び乙486、乙626(8頁))から、少なくとも約100万年以上は断層活動の影響を受けていないといえる。原告らは変位が認められないことについて様々な可能性等を指摘するが、原告らの指摘する事情によって平坦に近い堆積状況になるとは考え難い。なお、原告らは、被告の行った海上音波検査は二次元検査であって三次元検査ではなかったことから、上記の検査結果をもって変位がない 、原告らの指摘する事情によって平坦に近い堆積状況になるとは考え難い。なお、原告らは、被告の行った海上音波検査は二次元検査であって三次元検査ではなかったことから、上記の検査結果をもって変位がないということはできない旨主張するが、Fの陳述書(乙485(13~14頁))及び地質調査会社の意見書(乙585)によれば、断層を覆う新期堆積層に断層運動による変位・変形構造が見つかるかの判断に関しては二次元探査で十分であることが認められ るから、上記の原告らの主張は採用できない。 加えて、長期評価(第二版)には「中央構造線断層帯が下方において中角である中央構造線を切断している事実が確認されないことと、400km以上にわたる中央構造線に平行してごく近傍にのみ活断層帯が随伴する事実は、中角である中央構造線の活動に伴って浅部における中央構造線断層帯(活断層)が形成・成長しているという考えを支持する。」との記載(乙325(33頁))があるが、同記載部分の前には、「中央構造線断層帯(活断層帯)が高角傾斜であることは両論とも一致している」との記載があること(乙325(33頁))からすれば、「中央構造線に平行してごく近傍にのみ」存在すると記載される活断層帯とは、被告がその存在を指摘する沖合い約8kmの高角の活断層のことを指していると解するのが相当である。 原告らは、音波探査の結果、三波川帯と領家帯との会合部において堆積層の凹みが生じているが、これは地質境界としての中央構造線の正断層活動の結果であることが強くうかがわれる旨主張する。しかし、「地質境界としての中央構造線」の正断層の活動の結果、堆積層の凹みが生じているのであれば、それが海底において連続して見られるはずであるが、実際には、凹み(地溝)と高まり(バルジ)が直線的な配列で交互に並ぶとい しての中央構造線」の正断層の活動の結果、堆積層の凹みが生じているのであれば、それが海底において連続して見られるはずであるが、実際には、凹み(地溝)と高まり(バルジ)が直線的な配列で交互に並ぶという、横ずれ断層の活動によって形成される特徴的な地形が確認されているため(乙125、乙473(2~3頁)、乙610(33頁)、乙669(21頁))、原告らの指摘する、部分的に存在する凹みを、正断層活動の結果ということはできない。 なお、原告らは、佐田岬半島北岸の地形的特徴は活断層の存在を示唆するリニアメントとみることができるから、その海底には 活断層が存在することがうかがわれるとも主張するが、被告の調査結果からは活断層の存在をうかがわせるリニアメントの存在は確認されていない(乙13(6-3-19~6-3-21頁、6-3-75~82頁、6-3-179頁)上、同調査が不十分であったことをうかがわせる証拠はなく、原告らがその裏付け資料として提出するパンフレット(甲B56(15頁))によって、活断層の存在をうかがわせるリニアメントの存在を認定するのは困難である。また、原告らは、熊本地震における布田川断層(横ずれ成分が卓越)と出ノ口断層(正断層成分が卓越)の関係(甲B196(9頁・図8))と同様の動態が、伊予灘では、横ずれ断層として活動する中央構造線断層帯と正断層として活動する地質境界としての中央構造線の関係において認められ(E証人)、地下深部で収れんすることで一つの断層として活動しているとも主張するが、出ノ口断層の傾斜角(60度程度の高度)(甲B196(9頁・図8)参照)と地質境界としての中央構造線の傾斜角(約20度)(乙467(7頁))に違いがある上、伊予灘は横ずれ断層が卓越しているが、伊予灘の西方の豊予海峡―由布院区間は正断層 甲B196(9頁・図8)参照)と地質境界としての中央構造線の傾斜角(約20度)(乙467(7頁))に違いがある上、伊予灘は横ずれ断層が卓越しているが、伊予灘の西方の豊予海峡―由布院区間は正断層であるとされている(乙325(14頁)、乙464(7頁))のであるから、豊予海峡―由布院区間よりさらに西方に位置する断層の動態を伊予灘に当てはめることが直ちに適当とは考え難い。 (ⅱ) 確かに、平成29年に公表された長期評価(第二版)には、「三波川帯と領家帯上面の接合部以浅の中央構造線も活断層である可能性を考慮に入れておく必要があると考えられる。伊予灘南縁、佐田岬北側沿岸の中央構造線については現在までのところ探査がなされていないために活断層と認定されていない。今後の詳細 な調査が求められる。」との記載がある(乙325(31頁))。 しかしながら、被告は、平成25年の海上音波探査において、伊方原子力発電所敷地の沖合いの伊予灘南縁までの海底地形や詳細な活断層分布を調査し、佐田岬北側沿岸部には活断層は見出されなかったとしていること(乙13(6-3-257頁)。なお、乙150参照)、活断層がないとの被告の調査結果は平成26年にヒアリング資料(乙150。平成2年10月にGほか(2020)(乙484)として査読論文化。なお、その他の資料として乙122、乙123参照。)として原子力規制委員会に提出され、原子力規制委員会が同資料も踏まえて再稼働許可をしていること、各種資料等(乙466、乙470、乙472、乙477の1~13、乙478の1~20、乙483(34~40頁)、乙485、乙486、乙487(5~7頁)、乙488)によれば、地震調査委員会の委員らは上記の被告の海上音波探査資料の存在を認識しないまま長期評価(第二版)を作成したものと 483(34~40頁)、乙485、乙486、乙487(5~7頁)、乙488)によれば、地震調査委員会の委員らは上記の被告の海上音波探査資料の存在を認識しないまま長期評価(第二版)を作成したものと考えられることから、長期評価(第二版)の前記記載をもって、佐田岬北側沿岸部の活断層調査がなされていないということはできない。 ⅲ 以上からすれば、原告らの「佐田岬北側沿岸部付近(伊方原子力発電所敷地の沖合い2km以内)という極近距離のところに活断層があるにもかかわらず、被告も原子力規制委員会もこれを検討用地震として検討していない。そして、同所の探査がなされていないことは、地震ガイドⅠ.3.3.2⑷④に反している。」旨の主張を採用することはできない。 b 応答スペクトルに基づく地震動評価が不適切であるとの原告らの主張について応答スペクトル(ある地震動が固有周期を異にする種々の構造物に対 して、それぞれどの程度の大きさの揺れ(応答)を生じさせるかという性質(周期特性)を、縦軸に加速度や速度等の最大応答値、横軸に固有周期をとって描いたもの)に基づく地震動評価とは、実際は広がりを持った断層面から放出される地震波(周囲に比べ特に強い地震波を出すとされる断層面領域を「アスペリティ」という。)を、ある一つの震源から放出されるものと仮想して(点震源)、地震の規模や観測地点までの距離等から経験式である距離減衰式(地震の発生場所から観測地点が遠くなればなるほど地震動は小さくなる(距離減衰)という現象を、過去に発生した数多くの実際の地震のデータを基にして回帰分析し、地震の規模と震源からの距離等との関係により、想定される地震による揺れの最大加速度、応答スペクトル等を経験的に算定する関係式)を用いて評価地点(原子力発電所敷地)における地震動を にして回帰分析し、地震の規模と震源からの距離等との関係により、想定される地震による揺れの最大加速度、応答スペクトル等を経験的に算定する関係式)を用いて評価地点(原子力発電所敷地)における地震動を予測することにより、これを評価する手法である。 応答スペクトルに基づく手法は、観測記録に基づく経験的な関係に拠っていることから、経験式の作成に用いた観測記録が豊富な範囲では信頼性の高い評価が可能とされる。 ⒜ 被告が応答スペクトルを用いるに際して設定する地震の規模が過小であるとの原告らの主張について被告は、内陸地殻内地震についての応答スペクトルに基づく地震動評価にあたっての基本震源モデルの断層長さを、最大規模を想定するとの観点から480km(中央構造線断層帯とその西側に位置する別府―万年山断層帯との全区間)を基本としながら、部分破壊も考慮することとして、54km(中央構造線断層帯のうちの伊方原子力発電所敷地前面海域の断層群(断層長さ約42km)に活動セグメントの両端をそれぞれ引張性ジョグ(断層破壊の末端)の中間まで延長した距離)、69km(伊方原子力発電所敷地前面海域の断層群の両端に あるジョグのさらに両端までの距離)、130km(四国北西部から豊予海峡における中央構造線断層帯の活動セグメントのうちの川上セグメント(約36km)、伊予セグメント(約23km)及び伊方原子力発電所敷地前面海域の断層帯)でも評価を行うこととした上で(乙37(29頁))、それらの断層のパラメータとしての地震規模をMw7.2~7.9とした(甲B38(122~129頁))。これに対し、原告らは、地震調査委員会(長期評価(一部改訂))は平成23年に、愛媛県は平成25年に、中央構造線断層帯の地震規模はMw7. 9~Mw8.4と予想しているから、被告の 22~129頁))。これに対し、原告らは、地震調査委員会(長期評価(一部改訂))は平成23年に、愛媛県は平成25年に、中央構造線断層帯の地震規模はMw7. 9~Mw8.4と予想しているから、被告の想定する地震規模は過小であると主張する。 しかしながら、被告は断層長さ480kmと130kmのケースにおける地震規模をMj8.5とMj8.1としているところ(甲B38(126~129頁))、長期評価(一部改訂)での「四国全域―伊予灘(鳴門断層及び鳴門南断層―伊予灘西部断層)」あるいは「断層全体(当麻断層―伊予灘西部断層)」を活動区間とするケースのMの評価は「8.0もしくはそれ以上」(乙39(77頁)表3参照)(注記:我が国で単に「マグニチュード(M)」と記載する場合は、気象庁マグニチュード(Mj)を指す。)である。また、断層運動の力のモーメント(エネルギー)を示す地震モーメントM0(Mwの算出に用いる)は、断層面の剛性率、断層面積の合計、震源断層全体での平均すべり量の平均の積とされるところ(乙126(5頁、8頁))、長期評価(一部改訂)は、7mと設定した地表変位量が断層の平均すべり量と同じであり、かつ、全長にわたって平均すべり量が同一であると仮定した上で、Mwを算出しているが(乙39(77~78頁))、地表変位量は平均すべり量の概ね2~3倍とする見解(乙145)からすれば、平均すべり量を一律7mと設定すると地表最大変位は14~21m となり、地表最大の変位量は断層長さがほぼ100kmで約10mに飽和するとの知見(乙146)に整合しないうえ、四国西部の中央構造線断層帯のうち伊予断層において確認された地表変位量は2~3mであるとの確認結果(乙151(127頁))にも整合しないから、平均すべり量を一律7mとした上で算出されたMw( うえ、四国西部の中央構造線断層帯のうち伊予断層において確認された地表変位量は2~3mであるとの確認結果(乙151(127頁))にも整合しないから、平均すべり量を一律7mとした上で算出されたMw(長期評価(一部改訂)の値)は伊予灘の断層における実際のMwを上回る可能性が生じる。さらに、長期評価(一部改訂)を作成した地震調査委員会は予測地図(2014)においてレシピに従って震源断層のモデル化を行っているが、ここで算出されたMwは、長期評価(一部改訂)の想定をいずれも下回っており、予測地図(2014)が示す活動区間のうち、石鎚山脈北縁西部―伊予灘の活動区間で設定するMw7.4は被告の評価(Mw7.5)をも下回る(乙37(126~127頁))。 そもそも長期評価(一部改訂)は、以上の点を踏まえて、記載したMwをそのまま地震動評価の算出に用いることに留意すべきであるとの注意喚起をしている(乙39(78頁))ことからすれば、地震調査委員会(長期評価(一部改訂))や愛媛県の想定値と単純比較するのみで被告の設定した地震規模が過小であるということはできない。 ⒝ 耐専スペクトルの適用排除が恣意的であり、その結果、地震動が過小となっているとの原告らの主張についてⅰ 原告らは、「被告は、応答スペクトルに基づく地震動評価の際に用いる距離減衰式について、基本的には耐専スペクトルを用いるとしながら、震源地(沖合い約8kmの中央構造線断層帯)と評価地点(伊方原子力発電所敷地)との距離が近く、当該距離の観測記録が少ないことを理由に、一部のケースで耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いている。しかしながら、被告が耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いたケースにおいて耐専スペクトルで計算すると、 基準地震動650ガルを超える数値となるから、被告は耐専ス の距離減衰式を用いている。しかしながら、被告が耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いたケースにおいて耐専スペクトルで計算すると、 基準地震動650ガルを超える数値となるから、被告は耐専スペクトルを恣意的に適用し、地震動を過小に評価しているといえる。実際、他の電力会社は震源地と評価地点(原子力発電所敷地)との距離が近くても耐専スペクトルを適用している。」旨主張する。なお、耐専スペクトルとは、原子力発電所の耐震設計用として整理された距離減衰式の一つで、解放基盤相当の硬い岩盤における観測記録に基づいて策定された距離減衰式であり、M、等価震源距離(点震源から等価なエネルギーを受けるよう定義された距離。遠距離、中距離、近距離及び極近距離の4種類がある。)、解放基盤表面の弾性波速度、地震基盤から表層の卓越周期を用いて、評価地点(原子力発電所敷地)の水平方向及び鉛直方向の地震動の応答スペクトルを評価する経験式である(乙179(31~33頁)参照)。 確かに、被告は、検討ケース(断層長さ×断層傾斜角の組合せ)として、①断層長さ54kmの鉛直、②断層長さ54kmの北傾斜、③断層長さ69kmの鉛直、④断層長さ69kmの北傾斜、⑤断層長さ130kmの鉛直、⑥断層長さ130kmの北傾斜、⑦断層長さ480kmの鉛直、⑧断層長さ480kmの北傾斜の8ケースを解析することとした上で、①③⑤については耐専スペクトル以外の距離減衰式を適用している。 しかしながら、前記b柱書のとおり、応答スペクトルに基づく手法は経験式の作成に用いた観測記録が豊富な範囲で信用性の高い評価が可能とされるところ、当該経験式の一つである耐専スペクトルについては、極近距離を下回る範囲においては未だ十分な観測記録があるとはいえないので個別のケースごとに十分な吟味が必要であると の高い評価が可能とされるところ、当該経験式の一つである耐専スペクトルについては、極近距離を下回る範囲においては未だ十分な観測記録があるとはいえないので個別のケースごとに十分な吟味が必要であるとされている(乙129(10頁、31~35頁、43~44頁)、乙130、乙131)上、耐専スペクトルの基データの範囲 は、M=5.5~7.0、等価震源距離=28~202kmとされており(乙179(45頁))、この範囲を外れる場合にはその適用の可否を慎重に判断する必要があるといえるのであるから、伊方原子力発電所敷地から沖合い8kmにある活断層を震源とする地震の地震動評価を行うに当たっては、耐専スペクトル以外の距離減衰式を適用したことが直ちに不適切であるということはできない。また、被告は、レシピに従い、耐専スペクトルを適用した場合の評価結果とその他の距離減衰式及び断層モデルによる評価結果とを対比し、かい離の大きかった①③⑤のケースではその他の距離減衰式を採用し、かい離の少なかった②④⑥のケースでは耐専スペクトルを採用しているのであるから(乙37(108頁、122~132頁)、乙126(35~37頁))、地震ガイドの「応答スペクトルに基づく地震動評価において、用いられている地震記録の地震規模、震源距離等から、適用条件、適用範囲について検討した上で、経験式(距離減衰式)が適切に選定されていることを確認する」(地震ガイドⅠ.3.3.1⑴①1))との規定に即しているといえる。なお、原告らが指摘する「他の電力会社の震源距離が近くとも耐専スペクトルを用いた例」については、耐専スペクトルの適用範囲内(乙179(33頁の表1.2.3.2-1参照))の事例であったり他の距離減衰式とのかい離の程度が小さかったりするなど耐専スペクトルが適用可能であった いた例」については、耐専スペクトルの適用範囲内(乙179(33頁の表1.2.3.2-1参照))の事例であったり他の距離減衰式とのかい離の程度が小さかったりするなど耐専スペクトルが適用可能であった例といえること(甲B144(45頁)、乙493(6⑴-7-5-47頁、同59頁))からすれば、原告らが指摘するような例があることをもって、被告が耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いたことが不適切であるということはできない。 ⅱ 原告らは、被告が耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いたことについて、①地盤条件・種別のVs(地盤におけるS波伝播速度) が伊方原子力発電所敷地のVsに適合していない、②断層面が南傾斜である可能性を考慮できない、③アスペリティの位置の不確定さや震源近傍に起こる破壊伝播効果であるNFRD効果を反映させることができない、④基となるデータが海外のものが大半である上、偏りが大きく、断層距離10km程度から距離が短くなると加速度が頭打ちになるような前提が採用されることになるなどの問題があるから、不適切であると主張する。 しかしながら、被告が用いた耐専スペクトル以外の距離減衰式が信頼性のないものであることをうかがわせる証拠はないこと、地震ガイドⅠ.3.3.1⑴①1)の記載内容(応答スペクトルに基づく地震動評価において、用いられている地震記録の地震規模、震源距離等から、適用条件、適用範囲について検討した上で、経験式(距離減衰式)が適切に選定されていることを確認する)や、被告が用いた耐専スペクトル以外の距離減衰式に認められる、用いるパラメータ、基となるデータの範囲、地盤条件等による手法ごとの特色(乙37(96~107頁))からすれば、それぞれ手法のメリット・デメリットを考慮した上で評価地点(原子力発電所敷地)の地域特性 いるパラメータ、基となるデータの範囲、地盤条件等による手法ごとの特色(乙37(96~107頁))からすれば、それぞれ手法のメリット・デメリットを考慮した上で評価地点(原子力発電所敷地)の地域特性を踏まえて、適切な距離減衰式を選定することが重要であると考えられること、被告は、適用可能な他の距離減衰式及び断層モデルによる評価結果と対比して、地震動レベルが概ね整合的であることが確認できたものについて適用可能と判断し、結果的には、全ての距離減衰式について検討した結果を元に基準地震動を策定しているといえること(乙37(108頁、122~132頁)、震源に非常に近い場合には地震動レベルが飽和することが知られている(乙162(14頁)、乙495(35頁)、乙496(S472))ため、耐専スペクトル以外の距離減衰式において断層距離が10kmよ り短くなると加速度が頭打ちになることは不自然ではないことからすると、原告らの指摘する点をもって、耐専スペクトル以外の距離減衰式を用いたことが不適切であるということはできない。 c 断層モデルを用いた手法による地震動評価が不適切であるとの原告らの主張について断層モデルを用いた手法による地震動評価とは、地震の原因となる断層をモデル化し(断層モデル)、このモデルを基に地震動を評価する手法である。応答スペクトルに基づく地震動評価手法が震源を点として捉えるのに対し、断層モデルを用いた手法では、広がりをもった面(周囲に比べ特に強い地震波を出すとされる断層面領域が「アスペリティ」である。)として震源を捉え、断層運動により岩盤が破壊する現象を再現するものであり、震源断層面を細分化した各要素から放出される小地震の地震波形を合成することで評価地点の地震波形を計算する手法である(要素となる小地震が要素地震 断層運動により岩盤が破壊する現象を再現するものであり、震源断層面を細分化した各要素から放出される小地震の地震波形を合成することで評価地点の地震波形を計算する手法である(要素となる小地震が要素地震、ここから得られる地震波形がグリーン関数、うち観測記録を用いたものが経験的グリーン関数、適切な観測記録が得られない場合に用いられるのが統計的グリーン関数である。)。 応答スペクトルに基づく地震動評価が、少ないパラメータにより地震動を求めることができる比較的簡便な手法であるのに対し、断層モデルを用いた手法による地震動評価は、断層モデルを設定するのに多くのパラメータを必要とするものの、地震動の諸特性を表現することが可能な精緻な手法とされる。また、地震の重なりを模擬してより実現象に近い過程を考慮することで、応答スペクトルに基づく手法では考慮することができない断層の詳細な破壊過程を反映できるため、特に震源が評価地点に近い場合などにおいて、信頼性の高い評価が可能な手法とされる。 なお、上記の多くのパラメータの設定には、評価地点周辺の地質、活断層、地震活動等に関する詳細な情報とともに、スケーリング則(断層長 さ・幅・面積、応力降下量、地震モーメント(断層運動としての地震の規模を表すもの)、アスペリティ面積等の間に存在する一定の相似則又はこれを経験的に関係式で示したもの)を活用することとなるが、スケーリング則はその基礎となるデータや計算に用いるパラメータなどによってそれぞれに特徴を有しているため、断層パラメータの設定にあたっては適切な手法を選択する必要があるとされる(上記パラメータ中の「応力降下量」とは、震源断層面における地震発生直前の応力(歪み)と地震発生後の応力(歪み)の差であるところの断層面の応力(歪み)の解放量をいい、断層面の面積当た があるとされる(上記パラメータ中の「応力降下量」とは、震源断層面における地震発生直前の応力(歪み)と地震発生後の応力(歪み)の差であるところの断層面の応力(歪み)の解放量をいい、断層面の面積当たりの応力降下量を平均応力降下量と、アスペリティ面積当たりの応力降下量をアスペリティ応力降下量という。)。 ⒜ 断層モデル手法に基づく地震動評価において、被告の用いたグリーン関数に問題があるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、内陸地殻内地震の地震動評価を行うにあたって、要素地震として内陸地殻内地震とまったく性質の異なる海洋プレート内地震を、しかも1つだけ用いているため、要素地震の地震波形であるグリーン関数の適正さに疑問がある」旨主張する。 確かに、被告は海洋プレート内地震(具体的には、2001年芸予地震の余震である安芸灘の地震(M5.2))を要素地震として採用しているが、これは、同地震の際の伊方原子力発電所敷地の観測記録を用いるためと考えられる(乙13(6-5-41頁)参照)。また、被告は、観測記録を用いる経験的グリーン関数を用いた評価と適切な観測記録が得られない場合に用いる統計的グリーン関数を用いた評価を比較し、上記観測記録による経験的グリーン関数を用いた評価の方が厳しい結果となったことから、経験的グリーン関数を採用している(乙13(6-5-41頁))。そうすると、内陸地殻内地震と全く性 質の異なる海洋プレート内地震を1つだけしか用いられないことが「適切な観測記録が得られない場合」といえるとしても、その場合の統計的グリーン関数よりも厳しい評価となる、すなわちより保守的な評価となる経験的グリーン関数を採用することをもって、グリーン関数の適正さに疑義が生じるということはできない。 ⒝ 断層モデルの手法による地震動評価 関数よりも厳しい評価となる、すなわちより保守的な評価となる経験的グリーン関数を採用することをもって、グリーン関数の適正さに疑義が生じるということはできない。 ⒝ 断層モデルの手法による地震動評価において、Hほか(2011)を用いたことが不適切であるとの原告らの主張についてⅰ 被告は、断層モデルを用いた手法による地震動評価におけるパラメータに係るスケーリング則について、基本的にはHほか(2011)を用いている。 原告らは、Hほか(2011)について、①海外の地震データを基本とするパラメータは日本国内の地震には適用できないとされているから(甲B73~甲B75)、海外の地震データが多く含まれるHほか(2011)はスケーリング則として不適切である、②長大断層について検証を経ていないから、適切なスケーリング則かどうかがわからない、③Hほか(2011)では、平均応力降下量を3.4MPa、アスペリティ応力降下量を12.2MPa、断層幅を15km、アスペリティ面積比率(断層全体の面積におけるアスペリティの総面積の比率)を27.9%としているが、Hほか(2011)で用いられている)/exp( 5.0 maxmaxWSWSMoの式において、震源断層幅(Wmax)15kmを国内地震の平均断層幅12kmとし、Hほか(2011)でまとめられている回帰曲線に可能な限り離れないように平均応力降下量(Δσ)の値を微調整したところ、3.4MPaではなく4.3MPaが求められた上、アスペリティ面積比率を地震調査委員会が採用する22%として算定す ると、アスペリティ応力降下量は19.5MPaとなるから、アスペリティ応力降下量が地震動評価のパラメータの中でも最も大きな影響を与えることを踏まえると(地震ガ 採用する22%として算定す ると、アスペリティ応力降下量は19.5MPaとなるから、アスペリティ応力降下量が地震動評価のパラメータの中でも最も大きな影響を与えることを踏まえると(地震ガイドⅠ.3.3.3⑵①1)参照)、Hほか(2011)による地震動は過小評価といえる、④長期評価(一部改訂)では平均すべり量を7mとしているところ、Hほか(2011)は断層長さが長くなっても平均すべり量が約3mで飽和することを前提とするが、飽和しないとの見解を採用した場合と比較すると、地震規模が過小評価になる、といった問題があると主張する。 ⅱ しかしながら、Hほか(2011)については、長大断層に対する評価手法として検証され、その妥当性が確認されている(乙37(196~207頁)、乙136~乙139)ことからすれば、海外データを用いていることをもって不適切ということはできないし、我が国には存在しない長大断層から発生した地震による強震記録による検証を経ていないことをもって、その内容が不適切なものとなるということもできない。 また、原告らは、「Hほか(2011)において15kmとされる震源断層幅を国内地震の平均断層幅12kmに変更した上で、その結果が適切な回帰曲線となるよう平均応力降下量の値を微調整したところ、平均応力降下量は4.3MPaとなった」旨主張するが、断層幅が15kmではない断層による地震を検証する際にHほか(2011)で設定されている値をそのまま使用しても、妥当な地震動評価が可能であることが確認されている(乙137、乙138)上、被告はHほか(2011)を断層幅13kmの中央構造線断層帯に適用できることを確認しており(乙140(118頁))、原子力規制委員会も、この点に関する意見公募手続(パブリックコメン ト)の 告はHほか(2011)を断層幅13kmの中央構造線断層帯に適用できることを確認しており(乙140(118頁))、原子力規制委員会も、この点に関する意見公募手続(パブリックコメン ト)の意見に対し、適用することに問題がないことを審査で確認した旨回答している(乙506(10~11頁))ところ、これらの確認に不備があることをうかがわせるに足りる証拠はないことからすれば、断層幅を15kmから12kmに変更する理由はなく、したがって、適切な回帰曲線になるよう調整する必要もないから、調整の結果である4.3MPaの値の方が適切であるということはできない。したがってまた、4.3MPaを前提に、Hほか(2011)と異なるアスペリティ面積比率を採用した上で、アスペリティ応力降下量を算出し直す理由もないといえるから、算出結果の19. 5MPaの値の方が適切であるということもできない。そもそも、Hほか(2011)は、既存の方法による長大断層のパラメータ設定における課題をまとめた上で、Ietal(2010)による平均動的応力降下量を算定する近似式を用いて、J・K(2001)による破壊面積と地震モーメントの経験的関係式を見直し、Hほか(2001)による短周期レベルと地震モーメントの経験的関係式を見直して、固定値として、平均応力降下量34bar(3. 4MPa)及びアスペリティ応力降下量122bar(12.2MPa)を求めたと説明されている(乙43(2048~2049頁)上、その固定値については、LandM(2000)に基づく平均応力降下量及びアスペリティの応力降下量の固定値と概ね一致している(乙37(54頁))ところ、このような経緯で出された固定値を変更する旨の原告らの主張は、スケーリング則たるHほか(2001)が有する各種の要素の間に存 リティの応力降下量の固定値と概ね一致している(乙37(54頁))ところ、このような経緯で出された固定値を変更する旨の原告らの主張は、スケーリング則たるHほか(2001)が有する各種の要素の間に存在する一定の相似則または経験的関係則を崩すことになるため、採用の限りではない。 そして、平均すべり量を7mとすることに疑義があり、地質調査の結果(乙151(127頁))を踏まえれば、平均すべり量を3m とすることが妥当であることは、前記bのとおりである。また、Nほか(2009)及びNほか(2010)によって、中央構造線断層帯のような長大断層に限れば、地表最大変位量は平均すべり量の概ね2~3倍、地表最大変位量は断層長さがほぼ100kmで約10mに飽和する知見が示されており(乙145、乙146)、すべり量が断層長さに比例して一様には大きくならず一定程度で飽和するということに関しては、OandP(2001)等でも指摘されており、理論的にも、Q(2010)による解析的な検証の結果等から確認されている(乙153(10~12頁)。なお、乙126(5頁)参照)。そうすると、「飽和しない」との知見も採用した上で検討しなければ不適切な結果となるとの原告らの主張は採用できない。さらに、被告は、中央構造線断層帯の震源断層の主要パラメータの設定にあたり、断層長さ480km、130km及び54kmそれぞれのモデルについて、Hほか(2011)を用いた評価のほか、LandM(2000)を用いた評価や、LandM(2000)及びJ・K(2001)を用いた評価を行い、その際、断層パラメータの1つである断層のすべり量についてもそれぞれの手法から導いている(乙37(52~54頁、57~92頁))ところ、被告によるすべり量の設定は、Retal.( た評価を行い、その際、断層パラメータの1つである断層のすべり量についてもそれぞれの手法から導いている(乙37(52~54頁、57~92頁))ところ、被告によるすべり量の設定は、Retal.(2015)から導かれる平均すべり量(3~5m))と基本的に整合的している(乙37(26頁))上、LandM(2000)を用いた評価では、Retal.(2015)から導かれる平均すべり量よりも大きめの値を設定して、すなわち保守的に評価を行っているといえる(乙37(26頁))。 以上からすれば、原告らの指摘を踏まえても、Hほか(2011)を用いることが地震規模あるいは地震動を過小評価することにな るということはできない。 ⒞ 断層モデルの手法による地震動評価において、LandM(2000)を用いたことが不適切であるとの原告らの主張について被告は、断層モデルを用いた手法による地震動評価におけるパラメータに係るスケーリング則について、基本的にはHほか(2011)を用いるものの、断層長さ約480km及び約130kmのモデルでは、Hほか(2011)と並び、長大断層を含んだデータに基づいて開発された手法の一つとされるLandM(2000)も用いている。 原告らは、①LandM(2000)は平均応力降下量を3.1MPaとするが、その値は断層幅が15kmであることを前提としているところ、中央構造線断層帯の断層長さ480km・傾斜角90度のケースの基本断層幅は12.2kmであるから、平均応力降下量が過小となっていること、②長大断層について十分な検証が行われていないことから、LandM(2000)は不適切なスケーリング則であると主張する。 しかしながら、レシピにおいて円形の破壊面を想定することが困難な長大な断層に対 層について十分な検証が行われていないことから、LandM(2000)は不適切なスケーリング則であると主張する。 しかしながら、レシピにおいて円形の破壊面を想定することが困難な長大な断層に対して用いる方法としてLandM(2000)が提案されていること(乙126(11頁))、地震調査委員会では、山崎断層(長さ約80km)の強震動評価において、震源断層全体の平均応力降下量としてLandM(2000)による応力降下量3. 1MPaを用いたケースで、アスペリティ応力降下量が既往の調査・研究成果とおおよそ対応した数値を推定できたとされていること(乙141(31枚目))からすれば、LandM(2000)を用いた評価が不適切であるということはできない。また、長大断層についての検証がなされていないことから、直ちに不適切なスケーリング則で あるということもできない。 ⒟ 断層モデルの手法による地震動評価において、J・K(2001)を用いたことが不適切であるとの原告らの主張について被告は、断層モデルを用いた手法による地震動評価におけるパラメータに係るスケーリング則について、基本的にはHほか(2011)を用いるものの、断層長さ約54kmのモデルでは、レシピの提案を踏まえ、J・K(2001)の地震モーメントにLandM(2000)の平均応力降下量を組み合わせて用いる手法(J・Kの手法)でも評価を行っている。 原告らは、①SがJ・K(2001)について地震規模を過小評価するおそれがある旨繰り返し指摘していること(甲B76~甲B81)、②平成18年の中央防災会議においても、過小評価するおそれがあることが示唆されていること(甲B82、甲B83)、③強震動を高精度の予測するための標準的な方法論であるレシピには、当初は地震動 1)、②平成18年の中央防災会議においても、過小評価するおそれがあることが示唆されていること(甲B82、甲B83)、③強震動を高精度の予測するための標準的な方法論であるレシピには、当初は地震動の評価においてJ・K(2001)のみが記載されていたところ(甲B85)、平成20年の修正レシピにおいてはT式も併記されており(甲B86)、当該修正に関し、J・K(2001)を用いる場合は、例えば併せてT式についても検討して比較するなど、結果的に不自然なことが生じていないか注意しながら検討してもらいたい旨の説明がなされている(甲B148)ほか、長期評価(一部改訂)においても、活断層から発生する地震の規模の想定には、J・K(2001)を用いず、T式とU(1977)が用いられていること(乙39(77頁))、④断層長さ54km・鉛直のケースについてT式を適用して地震規模を算出すると、地震モーメントは約2倍、応力降下量は1.6倍になるため、基準地震動が約730ガルになること、⑤断層長さ69km・鉛直のケースにT式に適用すると、900ガル程度に なることを指摘した上で、J・K(2001)のみならず、T式等も用いて地震動を策定し、いずれか大きい方を採用した上で、さらにそこからばらつきを考慮しなければ、地震動評価として保守性に欠けることは明らかである旨主張する。 しかしながら、J・K(2001)はレシピを通じて広く実用されており、1995年以降の国内の内陸地殻内地震のデータと整合的であることが確認されている(乙142~乙144)。また、レシピでは、個別の断層帯について詳細に強震動評価することが目的とされてきたところ、多数の活断層を評価する必要性も生じたことから、一部の断層パラメータの設定を簡便化した方法であり(乙155(2-1頁))あるいは 別の断層帯について詳細に強震動評価することが目的とされてきたところ、多数の活断層を評価する必要性も生じたことから、一部の断層パラメータの設定を簡便化した方法であり(乙155(2-1頁))あるいは日本各地で長期評価された多数の活断層帯で発生する地震の強震動を一定以上の品質で安定的に計算することができる(乙126(1頁))T式が追加された旨の説明がなされており、レシピにおけるJ・K(2001)の位置付けに変化はないとされている(乙507、乙508(44~53頁))。さらに、J・K(2001)は調査等により得られた震源断層の詳細な情報を反映して地震動評価を行うものであるが、T式は断層長さと地震のMとの関係式であるから、地震動評価においてより詳細な情報が反映されるJ・K(2001)を用いることが不適切であるということはできない(乙509(9~10頁))。そして、修正されたレシピにおいて、「例えば併せてT式を検討して比較すること」を提案する趣旨が「結果に不自然なことが生じていないか注意しながら検討」することである旨の説明がなされていることからすれば(甲B148参照)、被告が震源断層について複数のスケーリング則を用いて地震動を計算していることは、レシピの求める「結果に不自然なことが生じていないか注意しながら検討」することになっているといえる。加えて、中央防災会議の調査会のグ ラフ(甲B82の図2.3.2)については関係式の基となった地震データがそれぞれ異なっているため、単純に比較していずれの関係式が合理的かを決定することはできず、同グラフをもって、中央防災会議がJ・K(2001)を用いた場合に過小評価のおそれがあることを示唆したということはできない。なお、J・K(2001)を用いると地震モーメントが過小評価となるとのSの指摘につ をもって、中央防災会議がJ・K(2001)を用いた場合に過小評価のおそれがあることを示唆したということはできない。なお、J・K(2001)を用いると地震モーメントが過小評価となるとのSの指摘については、同指摘を受けた原子力規制委員会が、検討の結果、J・K(2001)を用いた基準地震動の策定を見直す必要はないとの結論を出している(乙154(3頁)、乙509(10頁))。ちなみに、Sの指摘は傾斜角が垂直あるいは垂直に近い断層を評価対象とした場合に関するものであるが(甲B81(654頁))、被告は、J・K(2001)を用いる断層長さ約54kmのケースについて断層傾斜角を北傾斜30度とするケースも検討していること、断層傾斜が垂直なケースにおいても、J・K(2001)よりも大きめの地震モーメントを与えるHほか(2011)による地震動評価も行っていることから、Sの指摘をもって直ちに被告の行った地震動評価が不合理なものとなるものではない。 以上からすれば、原告らの指摘を踏まえても、被告が断層モデルの手法による地震動評価に関してJ・K(2001)を用いたことが不適切であることをうかがわせる事情は認められないから、原告らの主張は採用しない。 ⒠ 被告の不確かさの考慮が不十分であるとの原告らの主張についてⅰ 設置許可基準規則解釈別記2の4条5項(基準地震動策定の際の方針を定めた項)2号⑤は、「基準地震動の策定過程に伴う各種不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始地点 等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方の解釈の違いによる不確かさ)については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で」考慮するこ 等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方の解釈の違いによる不確かさ)については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で」考慮することとしている。 原告らは、この不確かさの考慮において、「被告は、基本震源モデルを設定した上で、①応力降下量、②アスペリティの水平方向の位置、③傾斜角(北傾斜と南傾斜)、④破壊伝播速度の4つの不確かさについては独自の不確かさとして追加考慮して、地震動の評価を行っているが、次のとおり、不確かさの考慮が不十分である」旨主張する。すなわち、①については、応力降下量の不確かさを追加考慮するに当たり、基本震源モデルにおける応力降下量の1.5倍若しくは25MPaあるいは30MPaのいずれか大きい方という基準を採るべきところ、被告は1.5倍若しくは20MPaのいずれか大きい方という基準を採用しているため、基本震源モデルの応力降下量が過小であることもあって、不確かさの考慮として不十分な結果となっている、そのことは、他の文献や観測記録において、それ以上の値が示されていることからも裏付けられる、と主張する。 ②については、アスペリティを伊方原子力発電所敷地に最も近い位置、すなわち同敷地の真正面に置いたケースを基本とすべきところ、被告は基本震源モデルにおいてセグメントごとにほぼ均一に配置し、最も伊方原子力発電所敷地に近い同地正面沖合いには、ジョグがあることを理由としてアスペリティを置かず、追加考慮として同敷地正面沖合いにアスペリティを置いているにすぎないから、不確かさの考慮として不十分であると主張する。③については、基本震源モデルにおいて断層の傾斜角を北方向に中角度(40度)とすべきところ、鉛直としていることから、不確かさの考慮として不十分 である の考慮として不十分であると主張する。③については、基本震源モデルにおいて断層の傾斜角を北方向に中角度(40度)とすべきところ、鉛直としていることから、不確かさの考慮として不十分 であると主張する。④については、平均的破壊伝播速度(Vr=0. 72Vs)のほか破壊伝播速度Vr=0.87Vsの場合の評価も行ったと主張するが、どのような地質学的要因で平均値より早い破壊伝播速度が生じるのか明らかではないから、不確かさの考慮として不十分であると主張する。 ⅱ しかしながら、①についていえば、不確かさとして1.5倍又は20MPaのどちらか大きい方を考慮することは、原子力安全・保安院耐震安全審査室における意見聴取会の出席者の議論(一度は25MPaという提案もあった)の末の総意といえる(甲B149(6~7頁、39頁)、乙156(5~7頁)、乙500(3枚目)、乙501(1頁)、乙554(36~37頁))。確かに、これを超える値を示す知見があるが(甲B218、乙142(145頁、147頁))、アスペリティの応力降下量はこれを設定するための震源断層モデル設定手法やアスペリティ面積比の設定値やパラメータの設定手順等によって異なることがうかがわれること(甲218の図4(1083頁)、乙43の図9(2047頁)、乙126(10頁)、乙142(145頁、147頁、154頁、155頁)、乙555、乙556(30枚目)、乙557(56~57頁)等参照)からすれば、ある知見におけるアスペリティの応力降下量の数値と単純比較すると小さい値であるということにより、直ちに、原子力安全・保安院耐震安全審査室における意見聴取会の出席者の議論の末の総意の内容が、基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさの考慮として不適切であり、ひいてはこれに基づき策定され により、直ちに、原子力安全・保安院耐震安全審査室における意見聴取会の出席者の議論の末の総意の内容が、基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさの考慮として不適切であり、ひいてはこれに基づき策定された地震動が過小評価であるということはできない。 また、②については、レシピが「アスペリティの位置・個数」の項で、「震源断層のモデルのアスペリティの位置は、活断層調査か ら1回の地震イベントによる変位量分布、もしくは平均変位速度(平均的なずれの速度)の分布から設定することとされ、個数については、研究成果を参照し、状況に応じて1セグメント(注記:活動区間)あたり1個か2個に設定すること、また、平均的な地震動を推定することを目的とする場合で平均変位速度の分布などの情報に基づき設定できない場合には、やや簡便化したパラメータ設定として、アスペリティが1個の場合には中央付近、複数ある場合にはバランスよく配分し、設定するケースを基本ケースとすること」(乙126(9頁))としているところ、被告は、アスペリティの個数は、短いセグメントには1個、長いセグメントには2個設定し、その位置は、ジョグ(断層破壊の停止域。変位量は小さいとされる。)に隣接する東西のセグメントの最も敷地寄りに設置していると説明している(乙37(51頁)、乙610(43頁))のであるから、レシピが基本ケースを設定する際に指示している内容どおりに被告が基準震源モデル(アスペリティの水平方向の位置関係)を設定しているといえる。また、伊方沖で二つの活動セグメント(伊予長浜沖活動セグメントと三机沖活動セグメント)を区分することで伊方原子力発電所の敷地正面の海域にジョグが存在するとの見解があり(甲B217、乙486(15頁)、乙502(1頁、84頁))、産業技術総合研究所は「活断層デ 三机沖活動セグメント)を区分することで伊方原子力発電所の敷地正面の海域にジョグが存在するとの見解があり(甲B217、乙486(15頁)、乙502(1頁、84頁))、産業技術総合研究所は「活断層データベース」において同見解を採用している(乙503)ところ、レシピではアスペリティの位置は変位量と対応関係にあるとされているのであるから(乙126(9頁))、断層破壊の停止域(乙498参照)であって変位量が小さいとされるジョグにアスペリティを設置しないことを基本とし、すなわち、基本震源モデルでは伊方原子力発電所敷地正面海域にアスペリティを設置せず、ただし、追加考慮として、同域にアスペリティ を配置した場合の評価も行っていることが、不確かさの考慮として不十分ということはできない。 ③については、横ずれ断層の場合は、断層が中角度であると、断層面積が大きくなり、通常の断層よりも断層の強度や摩擦係数が小さいこと、すなわち応力降下量が小さくなることが知られている(乙325(33頁)、乙466(16頁)、乙504。なお、乙460(44頁)、乙462、乙505参照。)。そうすると、震源断層を鉛直とする方が北傾斜(40度)とするよりも地震動が大きくなる(保守的になる)から、北傾斜(40度)ではなく鉛直を基本ケースにしていることが不確かさの考慮として不十分であるということはできない。 ④については、被告は、破壊伝播速度について、レシピに基づき、信頼性のある知見として、V(1976) によるS波速度の0.72倍を採用した上で、2001年Kunlun地震や2002年Denali地震等の海外の長大な横ずれ断層で発生した地震において、破壊伝播速度が地震発生層のS波速度よりも速いという事例が観測されていることから、横ずれ断層である中央構造線断層帯に や2002年Denali地震等の海外の長大な横ずれ断層で発生した地震において、破壊伝播速度が地震発生層のS波速度よりも速いという事例が観測されていることから、横ずれ断層である中央構造線断層帯においては、長さ約480km及び約130kmのケースにおいて、破壊伝播速度とS波速度が一致する場合を検討することで平均値よりも早い伝播速度が生じる場合を評価することとし、約54kmのケースでも、Wほか(2003)による破壊伝播速度のばらつきを考慮した場合も評価することとした(乙13(6-5-32頁))と述べているところ、以上の説明をもって、「どのような地質学的要因で平均値より早い破壊伝播速度が生じるのか」が説明できていないということはできない。 ⒡ 被告が不確かさを重畳的に考慮していないことが不十分であると の原告の主張について原告らは、設置許可基準規則解釈別記2の4条5項2号⑤や地震ガイドが、地震動の評価過程に伴う不確かさについて、「必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮すること」を求めているところ、被告は前記⒠で考慮することとした独立した不確かさ(応力降下量、アスペリティの位置、傾斜角(北傾斜と南傾斜)、破壊伝播速度)を、基本震源モデルに単独で組み合わせるにとどまり、独立した不確かさを重畳的に組み合わせていないため、被告の不確かさの考慮は不十分であると主張する。 しかしながら、地震ガイドは、地震動評価においては、震源特性(震源モデル)、伝播特性(地殻・上部マントル構造)、サイト特性(深部・浅部地下構造)における各種の不確かさが含まれるため、これらの不確かさ要因を偶然的不確かさ(地震発生時の環境に左右されて地震の度に変化する不確かさ)と認識論的不確かさ(調査精度や知見の限界を要因とする不確かさ) における各種の不確かさが含まれるため、これらの不確かさ要因を偶然的不確かさ(地震発生時の環境に左右されて地震の度に変化する不確かさ)と認識論的不確かさ(調査精度や知見の限界を要因とする不確かさ)に分類して、分析を適切に行うことを求めているところ(地震ガイドⅠ.3.3.3.⑵②2)参照)、被告は、地震動評価における震源特性、伝播特性及びサイト特性における各種不確かさを、認識論的不確かさと偶然的不確かさに分類し、認識論的不確かさのうち平均モデルを事前に特定し難いもの及び偶然的不確かさについては、その不確かさを厳しい条件で場合によっては複数を想定して基本震源モデルに織り込んで考慮することとし、認識論的不確かさのうち事前の調査や経験式等に基づいて平均モデルを特定できるものについては同平均モデルを基本震源モデルに織り込んで考慮するという方法で、基本震源モデルを数通り策定し、その上で、認識論的不確かさのうち事前の調査や経験式等に基づいて平均モデルを特定できるものについては、そのような調査や経験式等からは想定さ れがたいケースを想定して独立した不確かさとし、これを基本モデルに掛け合わせた約100通りのケースについて地震動評価を行うという手法を採っている(乙37(20~24頁、36~37頁)、乙610(55~56頁))のであるから、基本震源モデル自体に不確かさが組み合わされている上、基本震源モデル自体を数通り策定することでさらに不確かさが組み合わされることになり、しかもこれらの基本震源モデルに独立した不確かさをさらに組み合わせているのであるから、設置許可基準規則解釈や地震ガイドが求めている「必要に応じて不確かさを組み合わせる」ことによる考慮がなされているということができる。 また、新規制基準検討チームの会合においてXが「不確かさを から、設置許可基準規則解釈や地震ガイドが求めている「必要に応じて不確かさを組み合わせる」ことによる考慮がなされているということができる。 また、新規制基準検討チームの会合においてXが「不確かさを全部重ねると極端なことになる」旨述べている(乙495(33頁))ことからすれば、各種の不確かさを織り込んだ基本震源モデルに、独自の不確かさをしかも重畳的に考慮しなければ、設置許可基準規則解釈や地震ガイドが求める「必要に応じて不確かさを組み合わせる」ことにならないということはできない。 以上から、上記の原告らの主張は採用しない。 プレート間地震の基準地震動の策定に関して不適切な点があるとの原告らの主張についてa 南海トラフの巨大地震に対する被告の評価が過小であるため、基準地震動が過小評価となっているとの原告らの主張について⒜ 原告らは、被告がプレート間地震の検討用地震として南海トラフの巨大地震を選定しているのは当然であるが、応答スペクトルに基づく地震動評価のパラメータのうちの地震規模をMw8.3としているのは不適切であって、パラメータとしての地震規模はMw9.0とすべきであると主張し、その根拠として、地震調査研究推進本部及び内閣 府が平成25年に南海トラフにつきM8~9クラスの地震が30年内に60~70%という高確率で発生すると発表していること(甲B10の1~3、甲B11)、M9クラスの地震が起こることを複数の専門家が指摘等していること(甲B12~甲B17)、東北地方太平洋沖地震(Mj8.4)では500kmの断層が動いたと言われているが、南海トラフの巨大地震であれば、東海から南海まで700km、さらには1000kmを超す断層が動くことも想定されるから、地震規模はさらに大きくなることが考えられることを挙げる。なお、原告 ているが、南海トラフの巨大地震であれば、東海から南海まで700km、さらには1000kmを超す断層が動くことも想定されるから、地震規模はさらに大きくなることが考えられることを挙げる。なお、原告らは、被告が「内閣府検討会が南海トラフの巨大地震(Mw9.0)について応答スペクトルに基づく地震動評価のパラメータとしてMw8.3を採用している」と指摘していることに対し、内閣府検討会は基本的には一般防災を目的としているのであるから、原発事故防止を目的とする場合には、同事故の重大性に鑑み改めてMを推計する必要があると主張する。 また、原告らは、南海トラフにおける東海、東南海、南海の3つのセグメントにおいて地震が連動発生した場合には、揺れの時間がそれだけ長くなり、伊方原子力発電所敷地での強い揺れが10分以上続くことが考えられるが、被告は揺れの継続時間を109.7秒としか評価していないため、不当であると主張する。 さらに、原告らは、Mj8.4の東北地方太平洋沖地震の場合、太平洋プレート上面から約60km離れたところにある女川原子力発電所及び福島第一原子力発電所において観測された地震動が636ガルあるいは675ガルであったことからすれば、M9クラスの南海トラフ巨大地震が生じた場合、フィリピン海プレート上面から約35km離れた、震源域北西端真上にある伊方原子力発電所では、策定された基準地震動650ガルを優に超える地震動が発生することが予 想されると主張する。 ⒝ しかしながら、以下のとおり、原告らの主張は採用できない。 ⅰ 地震規模をMw8.3としていることについて内閣府検討会(2012a)には、「2011年東北地方太平洋沖地震において、経験的手法である距離減衰式から求められる、地震規模であるパラメータMwは8.2~8.3程 w8.3としていることについて内閣府検討会(2012a)には、「2011年東北地方太平洋沖地震において、経験的手法である距離減衰式から求められる、地震規模であるパラメータMwは8.2~8.3程度であり、すべり量や応力降下量など断層運動から求められる地震の規模Mw9.0と比べると相当小さな値となっている」旨、「中央防災会議(2003)は、想定された東海・東南海・南海地震はMw8.7の地震であるが、その地震に適用する経験的手法のパラメータMwは8.0である」旨、「東北地方太平洋沖地震の震度分布に適用された経験式のパラメータMwは8.2~8.3と評価されており、南海トラフ巨大地震の規模が東北地方太平洋沖地震と同じMw9.0であることから、パラメータMwは、東北地方太平洋沖地震の経験式のパラメータMwと同じ8.3を用いることとする」旨記載されている(乙161(3頁、24頁))。そうすると、耐専スペクトルの適用可能範囲の上限がM8.5とされている(乙179(45頁))ことからしても、耐専スペクトルを用いる応答スペクトルに基づく地震動評価に際し、被告がMw8.3を用いたこと(乙13(6-5-39頁))が不合理ということはできない。 また、南海トラフの巨大地震は、震源断層面が大きく、断層の破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると考えられる地震であるが、このような場合には、拡がりを持った面として震源をとらえ、断層運動により岩盤が破壊する現象を再現する断層モデルを用いた手法による地震動評価の方が、震源を点と捉える応答スペクトルを用いた地震動評価(前記b柱書)よりも上記の影響を地震動評 価に反映させることができると考えられるところ、被告は、これらを踏まえて断層モデルを用いた手法(=耐専スペクトルを用いない手法)による地震動評価 前記b柱書)よりも上記の影響を地震動評 価に反映させることができると考えられるところ、被告は、これらを踏まえて断層モデルを用いた手法(=耐専スペクトルを用いない手法)による地震動評価においては地震の規模をMw9.0とし(乙13(6-5-35頁、6-5-39頁及び6-5-43頁を比較参照))、その結果としての地震動は基準地震動Ss-1(応答スペクトルを用いた地震動評価)を下回っている(乙13(6-5-236頁))のであるから、プレート間地震について応答スペクトルに基づく地震動評価のパラメータをMw8.3としたことが、最終的な基準地震動の策定において不適切な結果をもたらしているということはできない。 ⅱ 揺れの継続時間について震源地と敷地までの距離が長いほど地震動は減衰するとされる。 そうすると、原告らが主張するように南海トラフの3つのセグメントが時間差で連動したとしても、伊方原子力発電所の敷地において、安全性に影響を与えるほどの大きな地震動が原告らの主張する程度の時間継続するということはできない。 ⅲ 東北地方太平洋沖地震との比較について原告らは、東北地方太平洋沖地震の場合との比較を行うが、特定の観測・評価地点の地震動は地域特性の影響を受けるものであることは前記⑵ア記載のとおりであって、単純に震源地と観測・評価地点との距離を比較するだけで地震動の評価が過小であるか否かが判断されることになるものではない。 b 被告の地震動の評価手法が不適切であるとの原告らの主張について⒜ 原告らは、プレート間地震に関する被告の地震動の評価における応答スペクトルを用いた手法と断層モデルを用いた手法のいずれにおいても、以下のとおり、不適切な点があると主張する。 まず、被告は応答スペクトル手法において等価震源距離( 動の評価における応答スペクトルを用いた手法と断層モデルを用いた手法のいずれにおいても、以下のとおり、不適切な点があると主張する。 まず、被告は応答スペクトル手法において等価震源距離(断層面全体の影響を考慮した距離)を用いる距離減衰式を適用しているが、内閣府検討会や中央防災会議は断層最短距離(評価地点から断層面までの最短距離)を用いるY・Z(1999)を適用している。断層最短距離を用いる場合はMw9クラスの地震動最大値はMw8クラスと同程度であるが、等価震源距離を用いる場合はそのようなことにはならない上、評価地点から断層面までの距離が近いときには、断層最短距離を用いた場合と等価震源距離を用いた場合を比較すると、後者は前者よりもMw9クラスにおいてMw8クラスの数倍大きくなる。そうすると、等価震源距離を用いながら地震規模をMw8.3に止めることは低いパラメータを設定していることになるから、適切なパラメータの設定を求める地震ガイドⅠ.3.3.2⑷①1)に適合しない。 次に、経験式である耐専スペクトルには大きなばらつきがある上、プレート間地震は内陸地殻内地震以上にばらつきが大きいため、相応の考慮が必要なところ、被告はそのような考慮をしていない。 さらに、被告は、断層モデルを用いた手法による地震動評価における最大加速度が東北地方太平洋沖地震における地震動と対比してあまりに過小であるとの原告らの指摘に対し、太平洋プレートにおける地震とフィリピン海プレートにおける地震を対比すると、太平洋プレートの地震の方が短周期レベルで大きい上、地盤の固さや伝播特性に差があると主張する。しかし、太平洋プレートのプレート間地震の短周期レベルが他の地震と比較して大きいものが発生しやすいという一般的傾向があるものの、フィリピン海プレートのプレート間 固さや伝播特性に差があると主張する。しかし、太平洋プレートのプレート間地震の短周期レベルが他の地震と比較して大きいものが発生しやすいという一般的傾向があるものの、フィリピン海プレートのプレート間地震との差を定量化できるものではないし、南海トラフ巨大地震の地震動の観測記録は存在しないから、伝播特性を把握できない。 ⒝ しかしながら、地震規模をMw8.3とすることの妥当性について は、前記a⒝ⅰのとおりである。また、距離減衰式は観測記録に強く依存するため適用範囲に十分留意する必要があるとされるところ、耐専スペクトルはM8.5までの地震動評価に適用できるよう策定された手法とされている(乙179(45頁))のであるから、当該適用範囲を超えるM9の地震動の評価値が妥当な値とは考え難く(なお、耐専スペクトルの限界及びそれでも一定の範囲で耐専スペクトルを用いることの合理性については、前記b⒝ⅰ参照)、この値を採用しなければ、直ちに不適切な評価となるということはできない。 また、ばらつきの考慮の趣旨は、前記aのとおり、対象となる地震の震源特性、評価地点への地震波の伝播特性、評価地点付近の地盤の増幅特性等を、地震規模や地震動評価に的確に反映されるようにする必要があるということであり、この点は不確かさの考慮によって検討されているところであるから、ばらつきが大きいということをもって別途の考慮をしなければならないわけではない。 さらに、南海トラフの巨大地震に対する地震動評価結果と東北地方太平洋沖地震の際の観測値とがかけ離れているとしても、地域特性の相違が考えられるため、単純な比較ができるものではないし、フィリピン海プレートのプレート間地震(南海トラフの巨大地震はこれに含まれる。)が太平洋プレートのプレート間地震(東北地方太平洋沖地 域特性の相違が考えられるため、単純な比較ができるものではないし、フィリピン海プレートのプレート間地震(南海トラフの巨大地震はこれに含まれる。)が太平洋プレートのプレート間地震(東北地方太平洋沖地震はこれに含まれる。)よりも小さめとなることについては、各種の文献(乙560(74頁)、乙561(75頁))で指摘されているところである。なお、原告らは、南海トラフ巨大地震の地震動の観測記録が存在しないため、伝播特性を把握できない旨主張するが、応答スペクトルに基づく地震動評価は、過去に得られた多数の地震観測記録に基づき経験的に地震動レベルが計算できる手法であるし、断層モデルを用いた手法による地震動評価は、観測記録がない場合であっても 評価可能な統計的グリーン関数を用いる手法であるから、南海トラフの地震観測記録が存在しないために同記録に基づいた伝播特性を把握することができないことをもって、地震動評価ができなくなるというものではない。 cSPGAについての原告らの主張について被告は、断層モデルについて、内閣府(2012b)で採用されている「構造物に被害をもたらすような短周期の強震動を発生している領域」であるSMGA(強震動生成域)モデルを採用している(乙162(1頁))。 原告らは、東北地方太平洋沖地震に関してCらが提唱したSPGA(強震動パルス生成域)モデルによればパルス波(特定の周期を持つ地震動)をほぼ再現することができたから、南海トラフの巨大地震に関してもSPGAモデルを採用すべきであり、伊方原子力発電所からプレート境界までを被告の主張する41kmと仮定し、SPGAの中で最も強力なSPGA4を伊方原子力発電所直下に仮配置して試算すると、最大加速度は約1900ガルと算出されたとして、被告が策定した基準地震動650ガル を被告の主張する41kmと仮定し、SPGAの中で最も強力なSPGA4を伊方原子力発電所直下に仮配置して試算すると、最大加速度は約1900ガルと算出されたとして、被告が策定した基準地震動650ガルが過小であると主張する。 しかしながら、公的な検討会やレシピには地震動の評価手法としてSMGAモデルが用いられており(乙126、乙162(1頁、8頁等))、同モデルが現在でも一般に有用性・有効性が広く認知されているところ、太平洋プレートとフィリピン海プレートとでは発生する地震動が異なることを踏まえれば、太平洋プレートにおける東北地方太平洋沖地震の記録から特定されたSPGAモデルを、フィリピン海プレートにおける伊方原子力発電所の敷地周辺の地域で発生する地震にそのまま応用しなければ、地震動評価として不適切となるということはできない。 また、内閣府検討会(2011)(乙162(8頁、30~31頁)) 及び内閣府検討会(2012b)(乙163(41頁))によれば、伊方原子力発電所の敷地直下は深部低周波地震の発生領域であるといえるところ、深部低周波地震の発生領域は、特に強い地震波を発生させるような断層すべりが起きる可能性は低いと考えられている。予測地図(2014)も、伊方原子力発電所の敷地直下の領域におけるプレート間地震の発生割合を0とし(乙152(112頁、119~120頁))、南海トラフ沿いのM7.6以上の地震の断層面を伊方原子力発電所の敷地直下には想定していない(乙152(113~114頁、125頁))。 そうすると、伊方原子力発電所直下にSPGAの中でも最も強力なSPGA4を配置しなければ、地震動評価として不適切であるということはできない。 以上からすると、伊方原子力発電所直下にSPGA4を配置した上での試算値を基準に、被告の策 PGAの中でも最も強力なSPGA4を配置しなければ、地震動評価として不適切であるということはできない。 以上からすると、伊方原子力発電所直下にSPGA4を配置した上での試算値を基準に、被告の策定した基準地震動が過小評価であるとする原告らの主張は採用できない。 海洋プレート内地震の基準地震動の策定に関して不適切な点があるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、海洋プレート内地震の検討用地震として、M6.9の1649年安芸・伊予地震を選定し、地震規模を既往最大のMw7.0として計算している。しかし、伊方原子力発電所が所在する安芸灘~伊予灘~豊後水道は、M7前後の海洋プレート内地震が高い頻度で発生してきた海域である上、伊方原子力発電所の敷地近傍では最近400年の間にM7前後の海洋プレート内地震が発生していないことからすれば、近い将来大規模な地震が発生するおそれがあるといえる。加えて、予測地図(2014)(甲B41・119~120頁)に安芸灘~伊予灘~豊後水道領域の海洋プレート内地震の最大Mが8.0とされていることや、国内観測史上最大の海洋プレート内地震である1994年の北海道東方沖地震がM8. 2であったこと、海洋プレート内地震である1911年奄美大島近海の地震がM8.0であること、東北電力が、女川原子力発電所の基準地震動評価に際して、海洋プレート内地震の地震規模をM7.5としているところ、伊方原子力発電所からフィリピン海プレートまでの距離は女川原子力発電所から太平洋プレートまでの距離よりも短いことなどからすれば、検討用地震の地震規模はM8.0とすべきである。」旨主張する。 しかしながら、予測地図(2014)(甲B41・119~120頁)において安芸灘~伊予灘~豊後水道領域の海洋プレート内地震の最大Mが8.0で 地震の地震規模はM8.0とすべきである。」旨主張する。 しかしながら、予測地図(2014)(甲B41・119~120頁)において安芸灘~伊予灘~豊後水道領域の海洋プレート内地震の最大Mが8.0であると記載されていることの根拠とされる1911年奄美大島近海の地震は、最近の研究ではプレート間地震と評価され、同地震がフィリピン海プレート内で発生した可能性は小さいとされている(乙167(238~239頁)、乙168(7頁))上、琉球海溝のプレートと伊方原子力発電所の敷地周辺のプレートは生成年代が異なっていることから、琉球海溝で発生する地震と同等の規模の地震が伊方原子力発電所の敷地周辺に発生するという見解に根拠があるとは言い難い。また、フィリピン海プレート内地震と太平洋プレート内地震では地域特性が異なるため、女川原子力発電所における地震動の評価と伊方原子力発電所における地震動の評価を単純に比較することはできない。 以上からすれば、原告らの指摘によって、被告が海洋プレート内地震の検討用地震としてM6.9の1649年安芸・伊予地震を選定し、地震規模をMw7.0としたことが、地震動の過小評価となるということはできない。 繰り返し地震の発生が考慮されていないとの原告らの主張について原告らは、「M9クラスの南海トラフの巨大地震が発生した場合、余震が発生したり(甲B133、甲B134(11頁)参照)、M8を超える中央構造線活断層帯を震源とする地震や海洋プレート内地震が連動したり (甲B27(192頁)参照)することにより、地震が繰り返され、揺れの時間も相当に長くなることが考えられる。この場合、建物・構築物については、剛性の低下や塑性変形(応力を除荷しても元の形に戻らず変形が残る現象)を起こし、損傷の可能性が大きくなると 繰り返され、揺れの時間も相当に長くなることが考えられる。この場合、建物・構築物については、剛性の低下や塑性変形(応力を除荷しても元の形に戻らず変形が残る現象)を起こし、損傷の可能性が大きくなると考えられるし、剛性の低下によって固有周期が長周期側に変化して、想定していた応答加速度を超えることにより、安全性が損なわれる可能性が考えられる。また、機器・配管系についても、剛性の低下や塑性変形を起こし、損傷の可能性が大きくなることが考えられる上、原子炉建屋の剛性が低下し、固有周期が長周期側に変化した場合、機器・配管系において想定していない揺れが発生し、安全性が損なわれる可能性がある。これらの点について、被告は弾性設計により対応したと述べるところ、それでは不十分である。」旨主張する。 しかしながら、大規模な地震が発生した場合に、規模の大きい余震が発生したり地震の連動が生じたりすることは十分想定されるから、設置許可基準規則4条1項が設計基準対象施設について地震力に十分耐えることを求めている中には、余震や地震の連動の影響にも耐えることも含まれていると解される。そのため、同規則解釈別記2の4条3項1号は、基準地震動Ssを踏まえた弾性設計(応力を受けて変形してもその力が除去されれば元に戻るような構造・強度での設計)を求めている上、被告は、弾性設計を行った上、本件3号機が基準地震動Ssによる地震動によって塑性変形に至る場合でも、建物・構築物において構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること、また、機器・配管系レベルに止まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼすことがないことを確認したとし(乙50(資13-1-10~資13-1-12頁)、乙33 こと、また、機器・配管系レベルに止まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼすことがないことを確認したとし(乙50(資13-1-10~資13-1-12頁)、乙333(資13-9-2~資13-9-10頁))、原子力規制委員会は、その旨の確認をしている(乙16(24~28頁))。これに対 し、原告らは被告の対応策が不十分である具体的理由を摘示していない。 また、地震の繰り返しにより、建物・構築物の剛性が低下して固有周期が変化するのか、仮に、原告らの主張するとおり長期周期側に変化するとして、建物・構築物や機器・配管系の揺れがどう変化し、その変化によりどのような結果が具体的に生じるのか、具体的にどのように安全性が損なわれるのかは不明である(なお、機器・配管系の耐震安全性評価に用いる床応答スペクトルについては、建屋固有周期のシフトを考慮し、周期方向に±10%の拡幅を行っている(乙69(資13-7-2))。 以上からすれば、「余震や地震の連動により剛性の低下や塑性変形が起こり、損傷の可能性が大きくなる」との原告らの抽象的な指摘によって、本件3号機について設計上の安全性が損なわれる可能性があるということはできない。 イ 「震源を特定せず策定する基準地震動」に関して不適切な点があるとの原告らの主張について地震ガイドによれば、「震源を特定せず策定する地震動」とは、原子力発電所敷地近傍における詳細な調査の結果にかかわらず、全国の原子力発電所敷地において共通的に考慮すべき地震動であり、その策定においては、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定すること 、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定することとされている。また、過去の内陸地殻内地震を検討対象地震として選定する際には、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」(地震ガイドⅠ.4.2.1⑵(いわゆる⑵型地震)。令和3年の設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの改正により「全国共通に考慮すべき地震」と改称。)(震源の位置も規模も推定できない地震(Mw6.5未満の地震))を適切に選定し、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認 された地震」(地震ガイドⅠ.4.2.1⑶(いわゆる⑶型地震)。令和3年の設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの改正により「地域性を考慮する地震動」と改称。)(震源断層がほぼ地震発生層の厚さ全体に広がっているが推定できない地震(Mw6.5以上の地震))を必要に応じて選定することとされている。令和3年の改正前の地震ガイドには、収集対象となる内陸地殻内地震の例として表―1において16のケースが列挙されているが、うちMw6.5以上の地震は、2008年岩手・宮城内陸地震及び2000年鳥取県西部地震である。 なお、以下では、及びで令和3年の改正前の地震ガイド及びこれに基づく被告の地震動評価に関する検討を、で令和3年の改正後の地震ガイド及びこれに基づく被告の地震動評価に関する検討を行う。 収集されている検討対象用地震が不適切であるとの原告らの主張について原告らは、①⑵型地震と⑶型地震はMw6.5を基準として区別されているが、Mw6.5以上あるいはMw7.0以上の⑵型地震(震源の位置も規模も推定でき 用地震が不適切であるとの原告らの主張について原告らは、①⑵型地震と⑶型地震はMw6.5を基準として区別されているが、Mw6.5以上あるいはMw7.0以上の⑵型地震(震源の位置も規模も推定できない地震)も存在するため(甲B87)、地震ガイドの⑵型地震及び⑶型地震に関する規定自体に合理性がない、②地震ガイドは16のケースを挙げているが、2007年能登半島地震(Mw6.9)と同年新潟中越沖地震(Mw6.8)が対象となっていない点で不十分であると主張する。 しかしながら、Mw6.5を基準として区分するのは、Mw6.5より大きな地殻内地震は何等かの痕跡を残すとのa(1986)の知見等を根拠とするものである。また、甲B第87号証(307頁)において特定して指摘されているMw6.5以上の地震のうち、2008年岩手・宮城内陸地震及び2000年鳥取県西部地震は地表付近に一部痕跡が確認された地震であり、2004年新潟県中越地震、2005年福岡県北西沖地震、 2007年能登半島地震及び同年新潟県中越沖地震は、原子力規制委員会の検討の結果、詳細な調査をすれば事前に震源断層を特定できる地震とされたものである(乙132(12~13頁)、乙173)から、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」ではないため、Mw6.5以上の⑵型地震が存在するということはできない。さらに、2007年の能登半島沖地震と新潟中越沖地震は、「事前に震源断層を特定できる地震」とされているため(乙173(22頁、25頁))、⑶型地震ということはできない。 したがって、収集されている対象検討用地震が不適切であるとの原告らの主張は採用できない。 被告の地震動評価が不適切であるとの原告らの主張についてa ⑵型地震について原告らは、「被告は、⑵型地震と ている対象検討用地震が不適切であるとの原告らの主張は採用できない。 被告の地震動評価が不適切であるとの原告らの主張についてa ⑵型地震について原告らは、「被告は、⑵型地震として、地震ガイドⅠの表―1のうち2004年北海道留萌支庁南部地震を地震動の評価対象とし、最大加速度は震源近傍のHKD020観測点における1127ガル、その基盤地震動は620ガルと評価している。しかし、財団法人地域地盤環境研究所の平成23年3月付け「震源を特定せず策定する地震動に関する計算業務報告書」(甲B91)によれば、南北方向に最大1700ガルになり、破壊開始点を変更させた上、破壊伝播効果をも加味した場合、水平方向で最大2000ガルとなることがわかり、この数値で策定すると、伊方原子力発電所敷地の基準地震動は1038ガルになる。また、2004年北海道留萌支庁南部地震はMw5.7(M6.1)だが、JNESがM6.5の横ずれ断層によって最大1340ガルの地震動が生じることを明らかにしている(甲B92)ことからすれば、上記の1038ガルも現実的な数字であることが理解できる。」旨主張する。 しかしながら、地震ガイドは、「震源を特定せず策定する地震動」は観 測記録を基に評価・策定することとしているところ(地震ガイドⅠ.4. 1⑴、乙132(別紙1(12頁、14頁))、財団法人地域地盤環境研究所による解析記録は仮想的な震源モデル(断層面)を構築して地震動を評価するものであり(甲B91(2-2頁、2-9頁))、JNESによる検討は、「原子力発電所の耐震設計用入力地震動に係る評価法の検討に資するため、地表に断層変位等の明瞭なこん跡を残さない伏在断層地震のうち、断層の破壊領域の位置と大きさがあらかじめ特定しにくい地震による地震動に関 力発電所の耐震設計用入力地震動に係る評価法の検討に資するため、地表に断層変位等の明瞭なこん跡を残さない伏在断層地震のうち、断層の破壊領域の位置と大きさがあらかじめ特定しにくい地震による地震動に関する確率論的な検討」(乙176(1-1頁))であって、仮想的なモデルに仮想的な条件を複数重畳させた数多くの解析評価を行うものであり、観測記録そのものではない(乙176(1-1~1-5頁))から、「震源を特定して策定する地震動」の対象とはなり得ない。 b ⑶型地震について⒜ 原告らは、地震ガイドⅠの表―1の⑶型地震である2008年岩手・宮城内陸地震及び2000年鳥取県西部地震のうち、被告が検討対象として2000年鳥取県西部地震のみを取り上げ、2008年岩手・宮城内陸地震を取り上げていないことは不当であると主張する。 そして、被告が取り上げない理由として地域差を挙げていることについて、地震ガイドに例示された⑵型地震との検討に際しては、多少の地域差があることを前提としながらその観測記録を用いているにも関わらず、⑶型地震については地域差を理由に排除するのは背理であると主張する。 また、原告らは、2000年鳥取県西部地震について、賀祥ダム監査廊観測点で代表させているが、同地震のTTRH02(日野)観測点では、地上において、南北方向927ガル、鉛直方向776ガル、地中において東西方向575ガル、鉛直方向318ガルとかなり大き い地震動を記録しているから、このデータも検討されるべきところ、被告はこれを検討していないため、不適切であると主張する。 ⒝ しかしながら、⑵型地震については、検討対象地震を「地表地震断層が出現しない」地震から「適切に」選定すること(地震ガイドⅠ. 4.2.1⑵)が求められているのに対し、⑶型地震について 主張する。 ⒝ しかしながら、⑵型地震については、検討対象地震を「地表地震断層が出現しない」地震から「適切に」選定すること(地震ガイドⅠ. 4.2.1⑵)が求められているのに対し、⑶型地震については、検討対象地震を「地表に一部の痕跡が確認された」地震から「必要に応じて」選定すること(地震ガイドⅠ.4.2.1⑶)が求められている上、⑶型地震については、「活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部の軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があることが考えられる。このことを踏まえ、観測記録収集の対象の地震としては、以下(略)の地震を個別に検討する必要がある」とされる(地震ガイドⅠ.4.2.1【解説】⑵)。そうすると、地震ガイドは、⑶型地震については地域差を考慮して必要に応じて対象地震を検討することを求めているということができるから、2000年鳥取県西部地震の震源域及び2008年岩手・宮城内陸地震の震源域と伊方原子力発電所の敷地との地域差が認められるものの、2000年鳥取県西部地震の立地は大局的にはいずれも西南日本の東西圧縮横ずれの応力場であることを踏まえて⑶型地震として考慮することとし、より地域差の顕著な2008年岩手・宮城内陸地震については⑶型地震として考慮しないこととした被告の判断が不適切であるということはできない。このことは、令和3年に設置許可基準規則解釈及び地震ガイドが改正されたが、震源を特定せず策定する地震動のうちの従前の「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」(Mw6.5以上の地震)(⑶型地震)の名称が「地域性を考慮する地震動」に変更され、改正 後の地震ガイドⅠ.4.2.1【解説】⑵ 地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」(Mw6.5以上の地震)(⑶型地震)の名称が「地域性を考慮する地震動」に変更され、改正 後の地震ガイドⅠ.4.2.1【解説】⑵に「活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があることが考えられる。このことを踏まえ、観測記録収集対象の地震としては、以下の地震のうち震源近傍において地震動が観測されたものを個別に検討する必要がある。」、「①活断層の密度が少なく活動度が低いと考えられる地域で発生した地震(例:2000年鳥取県西部地震)、②上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する地域で発生した地震(例:2008年岩手・宮城内陸地震)」と記載されていることからも裏付けられる。 また、鳥取県西部地震におけるTTRH02の観測記録は、精度の高い地盤情報が得られていないことに加え、地表記録の一部周期帯に観測小屋の揺れの影響が含まれているなどの問題があることが知られているため、基準地震動が上部地盤や建物の振動による影響を全く受けない岩盤の表面(解放基盤表面)で設定するものとされていること(地震ガイドⅠ.1.3⑴参照)からすれば、被告がこれを採用しなかったことに特段不適切な点は見受けられない。 したがって、原告らの主張は採用しない。 令和3年の設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの改正について令和3年の設置許可基準規則解釈及び地震ガイドの改正により、震源を特定せず策定する地震動を策定する際の「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」(Mw6.5程度未満の地震)(⑵型地震)について「全国共通に考慮すべき地震」と名称変更するとともに、「全国共通に考慮すべき地震」を踏ま 動を策定する際の「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」(Mw6.5程度未満の地震)(⑵型地震)について「全国共通に考慮すべき地震」と名称変更するとともに、「全国共通に考慮すべき地震」を踏まえた地震動の策定に当たっては、2004年北海道留萌支庁南部地震の観測記録から推定した基盤地震動に加えて、原子力規制委員会が策定した標準応答スペクトルを用いることとなった。被告は、これを 受けて基準地震動Ss-3-3を策定し、これを基準地震動に追加する旨の原子炉設置許可申請を行ったが(乙600)、その際、耐震安全性を確認する基準地震動Ssは従前の650ガルを維持し、原子力規制委員会は、その内容で同申請を許可した(乙618)。 原告らは、①設定された標準応答スペクトルの策定にあたって収集された地震のうちの2.3%の地震が標準応答スペクトルを超過していることからすれば、改正後の地震ガイドにおける標準応答スペクトルの設定自体が不合理であり、当該標準応答スペクトルに基づき基準地震動を策定しても、本件3号機の耐震安全性が確保されたということはできない旨、②被告が標準応答スペクトルを踏まえて策定した基準地震動Ss-3-3の応答スペクトルと本件3号機の基準地震動Ss-1の応答スペクトルを比較すると、基準地震動Ss-1を基準地震動Ss-3-3が超えている部分があるため、基準地震動Ss-1の650ガルを耐震安全性を確認する基準地震動として維持することは、本件3号機の耐震安全性を確保することにはならない旨主張する。 しかしながら、①については、当該2.3%の地震の存在を考慮しなければ「標準」的な応答スペクトルを策定したということはできず、ひいては耐震安全性を害することになる具体的理由が指摘されているということはできない。また、②についても、被告も認 地震の存在を考慮しなければ「標準」的な応答スペクトルを策定したということはできず、ひいては耐震安全性を害することになる具体的理由が指摘されているということはできない。また、②についても、被告も認める「基準地震動Ss-1の応答スペクトルに対する、基準地震動Ss-3-3の応答スペクトルの超過部分(2点)の存在」については、その影響が軽微であるとされているところであり(乙609(43~44頁)、乙686(8~9頁)、乙687(33頁)、b証言)、2点の超過部分の存在を考慮しなければ耐震安全性を害することになる具体的理由が指摘されているということはできない。 したがって、標準応答スペクトルの策定及び被告の基準地震動Ss-3 -3の策定に関する原告らの主張を採用することはできない。 ⑷ 基準地震動の超過確率が不適切であるとの原告らの主張について設置許可基準規則4条3項は、策定した基準地震動に対して安全機能が損なわれるおそれがないことを求め、設置許可基準規則解釈別記2の4条5項4号は、基準地震動を策定するための「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」の策定においては、それぞれが対応する超過確率(特定の地点で特定の期間内に基準地震動を超える地震動が発生する確率)を参照し、それぞれ策定された地震動の応答スペクトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握することを要求している。 この点、原告らは、①被告を含む各電力会社の想定する基準地震動の超過確率は、10⁻⁴~10⁻⁶/年程度、すなわち1万年~100万年に1回程度であるが、平成17年以降、延べ18基の原子炉の施設敷地で基準地震動を超える地震が発生しているから、我が国の商業用原子炉数が50基とすれば、1基の原子炉当たり約33年に1回超過していること 1回程度であるが、平成17年以降、延べ18基の原子炉の施設敷地で基準地震動を超える地震が発生しているから、我が国の商業用原子炉数が50基とすれば、1基の原子炉当たり約33年に1回超過していることになるため、各電力会社の想定する超過確率は不適切である、②多くの地震学者等から、基準地震動の超過確率は現実の現象を反映していないという指摘がされており、その原因は基準地震動の策定そのものの欠陥の結果であると主張する。 しかしながら、伊方原子力発電所以外の原子力発電所の敷地において過去に基準地震動(新規制基準前の基準に基づき策定された基準地震動)を超過した事例を基に、地域特性や基準地震動の策定過程等を検討することなく全国平均を出すことのみでは、伊方原子力発電所に関して新規制基準に基づき算出された超過確率が不適切であるということはできない。また、地震ガイドが超過確率の評価手法として用いることを指示する実施基準:2007(地震ガイドⅠ. 6.1.【解説】参照)は、学識者、実務者の長年にわたる議論と公正な手続を経て策定されたものであるから(乙177)、これが現実の現象を反映していないとの見解があることをもって、その内容が不適切であるということはでき ない。 ⑸ 原告らはその他にもるる主張するが、いずれも安全性の推認を覆すには足りないため、採用できない。 4 争点4(津波に対する安全対策)について⑴ 津波に関しては、設置許可基準規則5条、同規則解釈及び津波ガイドが制定され、基準津波を策定した上で、同基準津波に対して安全性を確保できるような施設設計を行うことが求められている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、津波ガイドに従い津波に関する調査・検討を行い、本件3号機に影響を与える可能性のある基準津波を策定し、本件3号機が基準津波に 計を行うことが求められている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、津波ガイドに従い津波に関する調査・検討を行い、本件3号機に影響を与える可能性のある基準津波を策定し、本件3号機が基準津波に対する安全性を確保していることを確認したとして原子力規制委員会に再稼働申請を行い(その要旨は、別紙「津波に関する再稼働申請の内容」記載のとおり。)、原子力規制委員会は、津波についての被告の検討・評価は設置許可基準規則に適合し津波ガイドを踏まえていることを確認したなどとして(乙16(33~55頁、273頁)参照)、再稼働許可をした。 これに対し、原告らは、①プレート間地震である南海トラフの巨大地震を過小評価している上、被告の想定が国際慣習・国際基準に反している、②海域活断層に関する被告の検討が不十分であると主張し、その結果、津波に対する安全確保対策が十分であるとはいえず、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険性が生じていると主張する。そこで、以下、順次検討する。 ⑵ プレート間地震の評価が過小であるとの原告らの主張についてアプレート間地震である南海トラフの地震について過小評価をしているとの原告らの主張について原告らは、「設置許可基準規則5条及び設置許可基準規則解釈別記3は、津波の発生要因及びその組合せを複数選定し、適切な基準津波を策定することを求め、また、発生要因の一つとしてプレート間地震に伴う津波を挙げており、さらに、津波ガイド3.3.2【解説】⑵③は、プレート間地震に起 因する津波に関しては南海トラフから琉球海溝までの連動する地震(Mw9. 6)を想定するよう求めている。しかしながら、被告は、南海トラフの巨大地震(Mw9.1)と琉球海溝北部から中部における波源(Mw9.0)の2つを設定するだけで、南 球海溝までの連動する地震(Mw9. 6)を想定するよう求めている。しかしながら、被告は、南海トラフの巨大地震(Mw9.1)と琉球海溝北部から中部における波源(Mw9.0)の2つを設定するだけで、南海トラフと琉球海溝が同時に連動するようなモデルを想定しておらず、プレート間地震である南海トラフの地震の規模を過小評価して基準津波を策定している。」旨主張する。 確かに、津波ガイド3.3.2(プレート間地震に起因する津波波源の設定)の【解説】⑵(プレート間地震に起因する津波の波源設定の対象領域の例示)では、南海トラフから南西諸島海沿いの領域を津波波源とした場合の地震規模を最大Mw9.6程度としている。しかしながら、同【解説】⑷(プレート間地震に起因する津波波源の設定例)では、内閣府検討会(津波断層モデル編)は駿河湾から日向灘までの範囲を対象とした南海トラフにおける最大クラスの津波波源モデル(Mw9.1)を設定していることを指摘している。南海トラフから南西諸島海沿いの領域を津波波源とした場合の地震規模が最大Mw9.6であるのに対し、駿河湾から日向灘までの範囲を対象とした南海トラフにおける地震規模がMw9.1とされているのは、前者が後者よりも津波波源を南方(伊方原子力発電所敷地から遠ざかる方向)に延長した結果と考えられるところ、津波波源が遠ざかるほど観測地における地震規模の影響は減少するとされていることからすれば、南海トラフから南西諸島沿いまでの領域(琉球海溝南部までの領域)を津波波源としたMw9.6の地震を検討するとしても、駿河湾から日向灘までの領域を津波波源とするMw9.1の地震を検討したときよりも伊方原子力発電所敷地における津波の影響が大きくなるとは考え難い。そうすると、被告が、基準津波を検討するに当たり、津波波源を南海トラフ及 での領域を津波波源とするMw9.1の地震を検討したときよりも伊方原子力発電所敷地における津波の影響が大きくなるとは考え難い。そうすると、被告が、基準津波を検討するに当たり、津波波源を南海トラフ及び琉球海溝北部から中部を想定波源として(乙13(6-7-7~6-7-12頁))、津波ガイド3.3.2【解説】⑷の記載に従い、内閣府検討会(津波断層モデル編)のMw9.1及び Mw9.0(琉球海溝北部から中部を波源とする場合)の2つを採用したことが、基準津波の策定において地震規模を過小評価したことになるということはできない。 なお、原告らは、内閣府検討会(津波断層モデル編)に「一般的な防災対策を検討するための最大クラスの地震・津波を検討したものであり、より安全性に配慮する必要のある個別施設については、個別の設計基準等に基づいた地震・津波の推計が改めて必要である」旨記載されているところ、「より安全性に配慮する必要のある個別施設」の代表格が原子力発電所であるから、被告が内閣府検討会(津波断層モデル編)記載のM9.1を採用することは、内閣府検討会(津波断層モデル編)の意思に反するとも主張する。しかしながら、津波ガイドは上記記載を考慮した上で内閣府検討会(津波断層モデル編)のM9.1を提示していると考えられることからすれば、被告がM9. 1を採用することが内閣府検討会(津波断層モデル編)の意思に反するということはできない。 イ被告の想定が国際慣習・国際基準に反するとの原告らの主張について原告らは、IAEAが平成27年8月31日に公表した文書(甲B126)において、「津波ハザードの評価にあたっては、再来期間が1万年単位の確率で発生する津波データを考慮し、そのデータがない場合には、歴史記録のある最大の深度又は規模に上乗せし、震源 た文書(甲B126)において、「津波ハザードの評価にあたっては、再来期間が1万年単位の確率で発生する津波データを考慮し、そのデータがない場合には、歴史記録のある最大の深度又は規模に上乗せし、震源をサイトから最短距離におくとの国際慣行があった」旨、「Mw9.5のチリ地震やMw9.2のアラスカ地震を踏まえた検討を行っていれば、福島第一原子力発電所においても、日本海溝における地震の最大地震規模として同程度の地震規模を想定することが可能であった(すなわち、東北地方太平洋沖地震を想定することが可能であった)」旨の記載があることを指摘し、これらによれば、歴史時代の最大規模の地震(1707年宝永地震)のM8.6に0.5を上乗せしたに過ぎない被告の南海トラフの巨大地震に伴う津波の想定(Mw9.1)は、明ら かに過小評価であり、Mw9.6を想定すべきであると主張する。 しかしながら、内閣府は、平成23年9月28日に中央防災会議が公表した報告書に「今後、地震・津波の想定を行うに当たっては、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討していくべき」旨の記載があることを受けて、内閣府検討会(津波断層モデル篇)を作成し(乙190(1頁))、検討の結果、南海トラフにおいて発生し得る最大クラスの地震・津波としてMw9.1を想定しており(乙190(10頁))、津波ガイド3. 3.2【解説】⑷はこの内閣府の検討結果に言及しているのであるから、「地震・津波の想定にあたっては、歴史記録のある最大の震度または規模に上乗せし、震源をサイトから最短距離におくとの国際慣行」があったとしても、南海トラフの巨大地震における地震・津波としてMw9.1を想定することが当該「国際慣行」に反するということはできない。また、IAEAは、チリ地震やアラスカ地震を踏まえ の国際慣行」があったとしても、南海トラフの巨大地震における地震・津波としてMw9.1を想定することが当該「国際慣行」に反するということはできない。また、IAEAは、チリ地震やアラスカ地震を踏まえた検討を行っていれば、「日本海溝における」地震の最大地震規模として同程度の地震規模を想定することが可能であったと指摘するのみである。細長い海底盆地のうち深さが6kmより浅いものがトラフ、6kmを超えるものが海溝であって、太平洋プレートと北米プレートのプレート境界である日本海溝とフィリピンプレートとユーラシアプレートのプレート境界である南海トラフとは別の海底盆地であるから(乙22参照)、日本海溝に関する上記指摘を、「南海トラフにおける地震の最大地震規模を想定するに際し、チリ地震やアラスカ地震の地震規模を検討すべきである」との指摘であるということはできない。したがって、被告の想定する地震規模が国際慣習・国際基準に反して過小であるとの原告らの主張は採用することはできない。 ⑶ 海域活断層の考慮に関する原告らの主張についてア被告は歴史上の「慶長豊予地震」に伴う津波を考慮していないので、津波ガイドに反し、想定が不当であるとの原告らの主張について 津波ガイドは、基準津波の策定における津波を発生させる要因として、プレート間地震のほか、海域の活断層による地殻内地震を挙げている(3.1. 1⑴)。また、「基準津波を選定する際には、その規模が、周辺敷地における津波堆積物等の地質学的証拠や歴史記録等から推定される津波の規模を超えていること」や、「歴史記録については、震源像が明らかにできない場合であっても、規模が大きかったと考えられるものについて十分に考慮」することを求めている(3.6.1⑴及び⑵)。 原告らは、上記記載を受けて 、「歴史記録については、震源像が明らかにできない場合であっても、規模が大きかったと考えられるものについて十分に考慮」することを求めている(3.6.1⑴及び⑵)。 原告らは、上記記載を受けて、「被告は、1596年(慶長元年)の別府湾における『慶長豊予地震』に伴う津波について、別府湾沿岸のみの記録しかないことから、基準津波の策定の考慮要素から外した」が、同地震に伴う津波が伊方原子力発電所の所在地に影響を与えたことは、古文書から合理的に推測できる(①愛媛県西条市広江の「廣江之由来」には、慶長元年に大地震があった旨の記載がある、②「小松邑誌」によれば、広江村に隣接する北条村の鶴ケ岡八幡宮では、この地震のため、本殿等の外板が転倒して地中に埋もれた旨の記載がある、③松山市南部の保免地区の「古蹟俗談」には、伊予郡保免村(現在の松山市保免)で、日招八幡宮の本殿や西林寺村の薬師寺が本堂から仁王門までが倒壊した旨の記載がある、④「藤堂高虎遺帳」には、伊予の国宇和島城が破壊した旨の記載がある、⑤以上からして、「慶長豊予地震」は、愛媛県西条市広江で震度7、松山市保免で震度6強、宇和島で震度6弱の地震と考えられる、⑥豊後国各地ではM7.6程度の地震であったことがうかがわれる「慶長豊予地震」に伴う津波について、別府湾周辺の4点で浸水標高5.5m~10.6mであったことが推定できている、⑦「慶長豊予地震」は中央構造線を構成する複数の活断層の連動した地震であったであろうから、中央構造線活断層に近い伊方原子力発電所敷地では、震度6ないし7の地震があり、津波は6~10mであったと推測できる)(甲B37、甲B130等)として、「慶長豊予地震」に伴う津波を除外した被告の想 定が不当である旨主張する。 しかしながら、原告らが指摘する古文書の記載 mであったと推測できる)(甲B37、甲B130等)として、「慶長豊予地震」に伴う津波を除外した被告の想 定が不当である旨主張する。 しかしながら、原告らが指摘する古文書の記載からは愛媛県内で震度6ないし7の地震が起こったことは推測できるものの、愛媛県内の地震に関する記載がありながら同県内の津波に関する記載がないことからすれば、少なくとも原告らの主張するような6~10mの津波が愛媛県内で発生したであろうことを推測することは困難である。また、別府湾沿岸地域の津波に最も大きな影響を及ぼすと考えられる別府-万年山断層帯は上下変位が大きく津波も大きくなりやすい正断層であるのに対し、伊方原子力発電所敷地前面の伊予灘に位置する中央構造線断層帯は上下変位が小さく津波も大きくなりにくい横ずれ断層であることからすれば(乙39(2頁、11頁)、乙40(1~4頁))、別府湾岸で発生した津波と同程度の津波が伊方原子力発電所敷地付近で発生したと推定するのは合理性に欠ける。 なお、被告は、海域の活断層に想定される地震に伴う津波の波源の設定において、原告らが「慶長豊予地震」と呼んでいる1596年「慶長豊後地震」について、「豊予海峡断層を佐田岬西端まで延伸することで、保守側に地震規模が大きくなるように設定した」としていること(乙13(6-7-12~6-7-14頁)からすれば、被告は同地震も基準津波の策定において考慮したものということができる。 イ海域の活断層の長さを短く設定した上で地震規模想定区間のすべり量を検討していることが不当であるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、中央構造線断層帯と別府-万年山断層帯の連動による400kmを超える長大断層を考慮するとしながらも、カスケードモデル(活断層がいくつも数珠つなぎに連結された構造) 主張について原告らは、「被告は、中央構造線断層帯と別府-万年山断層帯の連動による400kmを超える長大断層を考慮するとしながらも、カスケードモデル(活断層がいくつも数珠つなぎに連結された構造)が支持されることを理由として、結局は伊予セグメントと敷地前面海域の断層群をあわせた87kmを地震規模想定区間としてすべり量を検討している。しかしながら、断層の連動が長くなるとすべり量が大きくなるという考え方があることからすれ ば、100km未満に区分された活断層について地震規模やすべり量を検討することは不当である。」旨主張する。 しかしながら、地震調査研究推進本部による「活断層の長期評価手法」報告書には、「長さが100kmを超えるような長大な活断層については、活動時のずれの量が飽和する可能性が指摘されている」ところ、「長さが断層の幅の4倍に満たない場合にはT(1975)に基づき地震規模を想定し、それを超える場合には長さが4倍を超えないように区分した区間が連動するモデルを設定した」旨記載されていること(乙185(26頁))、地震規模を算出するために用いられた経験式(c(1998))の適用範囲が断層長さ85kmであること(乙135(213頁))を踏まえれば、中央構造線断層帯のうちの伊方原子力発電所敷地前面海域の断層群(約54km)と伊予セグメント(約33km)(乙39(2頁)。なお、断層幅につき、約15km(甲B123(46頁))を地震規模想定区間とすることは合理的であって、400kmを超える長大断層を考慮しないと地震規模やすべり量の検討として不当であるということはできない。 ウ被告が津波ガイドの求める不確かさを考慮していないとの原告らの主張について原告らは、「長期評価(一部改訂)は、当麻断層-伊予灘西部断層の360km連動 して不当であるということはできない。 ウ被告が津波ガイドの求める不確かさを考慮していないとの原告らの主張について原告らは、「長期評価(一部改訂)は、当麻断層-伊予灘西部断層の360km連動ケースで最大Mw8.4と想定しているところ、被告は、伊予セグメント、敷地前面海域の断層群及び別府―万年山断層帯を併せた約130kmの区間とした上、当該区間をさらにセグメントごとに分けた上で、Mw7. 1~7.6程度の波源モデルを想定している(甲B123(46~47頁))ため、十分な津波想定とはいえない。」旨主張する。 しかしながら、「当麻断層-伊予灘西部断層の360km」には海域のほか陸域が含まれているのであるから、津波の波源となり得ない陸域を除いた区間を検討することが不適切であるということはできない。また、津波評価 において重要となるのはすべり量(変位量)であるが、すべり量については、「長大断層に限ると震源断層での平均すべり量は地表最大変位量の1/2~1/3倍との関係となる」旨(乙145)、「断層が長くなるに従い地表最大変位量も大きくなるが、長さが100kmを超えるあたりで地表最大変位量が約10mに飽和する」旨(乙146)解されているところ、130kmであれば飽和域にあると考えられる上、被告は、四国西部の中央構造線断層帯の1回あたりのすべり量が2~4mとの知見(乙151)に対し、セグメントごとにすべり量を7.37~7.59mと設定している(甲B123(46~47頁))のであるから、津波の想定として不十分であるということはできない。 エ被告が津波ガイドの求める傾斜角等のパラメータの不確かさの反映を行っていないとの原告らの主張について原告らは、「津波ガイドは、海域の活断層による地殻内地震に起因する津波波源の設定に関し、当該地震 被告が津波ガイドの求める傾斜角等のパラメータの不確かさの反映を行っていないとの原告らの主張について原告らは、「津波ガイドは、海域の活断層による地殻内地震に起因する津波波源の設定に関し、当該地震については、地震発生層の厚さの限界を考慮し、傾斜角等のパラメータの不確かさを反映して、適切なスケーリング則に基づいて地震規模を設定していることを確認すること(3.3.4⑵)を求めているところ、被告は、基準地震動の策定においては、断層傾斜角につき、北傾斜80度のほか、北傾斜30度も考慮していたにもかかわらず、基準津波の策定においては北傾斜80度しか考慮していない。これでは、傾斜角等のパラメータの不確かさを反映しているとはいえない。」旨主張する。 しかしながら、傾斜角が低くなると地盤の上下変動量は小さくなることから、津波発生源としての影響は小さくなると考えられるため、低角度を検討していないことが不確かさを考慮していないことになるものではない。なお、被告は、平成25年7月の設置変更許可申請において、念のため北傾斜30度モデルも想定してシミュレーションを行い、結果として、津波発生源としての影響が小さく、基準津波に選定されるに至っていないことを確認してい る(乙197・6⑶-7-6-10、6⑶-7-6-58参照)。 ⑷ 原告らはその他にもるる主張するが、いずれも安全性の推認を覆すには足りないため、採用できない。 5 争点5(火山噴火に対する安全対策)について⑴ 火山噴火に関しては、設置許可基準規則6条、同規則解釈及び火山ガイドが制定されている。このうち火山ガイドは、原子力発電所運用期間(当該発電用原子炉が最初に使用前検査に合格した日から起算して最長60年(原子炉等規制法43条の3の32第1項及び第3項参照))中に設計対応不可能な火山事 。このうち火山ガイドは、原子力発電所運用期間(当該発電用原子炉が最初に使用前検査に合格した日から起算して最長60年(原子炉等規制法43条の3の32第1項及び第3項参照))中に設計対応不可能な火山事象(火砕物密度流等)が原子力発電所敷地に影響を及ぼすか否かの検討を求め、影響を及ぼす場合には立地不適として原子力発電所の設置自体を許可しないこととし、他方で、影響を及ぼさない場合(立地不適ではない場合)であっても、原子力発電所敷地に影響を及ぼす可能性があると考えられる降下火砕物等に対する安全確保対策を施すことを求めている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、伊方原子力発電所の運用期間中において、設計対応不可能な火山事象が伊方原子力発電所の敷地に影響を及ぼすことはないこと(立地不適ではないこと)を確認するとともに、伊方原子力発電所に影響を及ぼす可能性があると考えられる降下火砕物の伊方原子力発電所敷地における最大層厚を15cmと設定し、この堆積厚さ15cmの降下火砕物に対して、本件3号機の安全機能を維持できるよう対策を講じているとして、原子力規制委員会に再稼働申請を行い(その要旨は、別紙「火山噴火に関する再稼働申請等の内容」記載のとおり。ただし、後記の理由により、降下火砕物が直接及ぼす影響に関する第3の2⑴イを除く。)、原子力規制委員会は、火山噴火についての被告の検討・評価は火山ガイドを踏まえていることを確認したとして(乙16(55~56頁、63~71頁)参照。ただし、後記の理由により、降下火砕物が直接及ぼす影響に関する部分を除く。)、再稼働許可をした。 また、平成29年11月の火山ガイドの改正により、降下火砕物については気中降下火砕物濃度を算定して安全性を確認することとなったため(乙216)、被告は、改正後の火山 をした。 また、平成29年11月の火山ガイドの改正により、降下火砕物については気中降下火砕物濃度を算定して安全性を確認することとなったため(乙216)、被告は、改正後の火山ガイドに定める手法によって伊方原子力発電所の敷地で想定する15cmに対応する気中降下火砕物濃度を3.1g/㎥と算出して(乙432)、原子力委員会にその旨の変更許可を申請し(その要旨は、別紙「火山に関する再稼働申請等の内容」第3の2⑴イ記載のとおり。)、その内容で原子力規制委員会の許可を得た(乙430、乙436)。 これに対し、原告らは、①火山ガイド自体が不適切であるから、これを踏まえた対応がなされたとしても安全性が確保されたことにはならない、②火山ガイドが要求する設計対応不可能な火山事象についての被告の検討が不十分である、③火山ガイドが要求する降下火砕物についての被告の影響評価が不十分である、と主張し、その結果、火山噴火に対する安全確保対策が不十分であって、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険性が生じていると主張する。そこで、以下、順次検討する(なお、③のうち気中降下火砕物濃度については、平成29年11月の火山ガイドの改正内容を踏まえた検討のみ行う。)。 ⑵ 火山ガイド自体が不適切であるとする原告らの主張についてア火山ガイドの立地評価が不適切であるとの原告らの主張について原告らは、「火山ガイドは、原子力発電所にとって設計対応不可能な火山事象(火砕物密度流等)が当該原子力発電所に到達する可能性の大小をもって、原子力発電所の立地としての適不適を判断することとしている。これは、検討対象火山の噴火の時期及び規模が相当前の時点で的確に予測できることを前提としているといえるが、最新の知見によっても噴火の時期及び規模につ 所の立地としての適不適を判断することとしている。これは、検討対象火山の噴火の時期及び規模が相当前の時点で的確に予測できることを前提としているといえるが、最新の知見によっても噴火の時期及び規模についての的確な予測は困難であるとされているのであるから、予測できることを前提とする火山ガイドは不適切である。また、『設計対応不可能な火山事象が当該原子力発電所に到達する可能性の大小』によって立地の適否を判断することは、巨大噴火の影響を過小評価するものといわざるを得ず、こ の点においても火山ガイドは不適切である。さらに、発電用原子炉施設の安全性確保のために立地評価を行う趣旨からすれば、予測困難性を踏まえて、過去の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象(火砕物密度流等)が原子力発電所に到達したと考えられる火山が当該原子力発電所の地理的領域内に存在する場合には、原則として立地不適とすべきであるところ、そうしていない点(「運用期間中」に限定して、噴火により設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達するかを検討している点)においても火山ガイドは不適切である。」旨主張する。 しかしながら、原子力規制庁が火山ガイドの考え方を整理したものとして平成30年3月7日付けで公表した「原子力発電所の火山影響評価ガイドにおける『設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価』に関する基本的な考え方について」(乙230)には、巨大噴火に関しては、「これを想定した法規制や防災対策が原子力安全規制以外の分野においては行われていないことからすれば、巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される水準であると判断できる」ことを前提に、「現在の火山学の知見に照らした火山学的調査を十分に行った上で、火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認で スクは、社会通念上容認される水準であると判断できる」ことを前提に、「現在の火山学の知見に照らした火山学的調査を十分に行った上で、火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認でき、かつ、運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるとはいえない場合は、少なくとも運用期間中は、『巨大噴火の可能性が十分に小さい』と判断できる」と記載されていることからすれば、火山ガイドが、原子力事業者に対し、火山噴火の時期及び規模を予測させた上で、立地の適不適を判断させているということはできない。そして、巨大噴火の可能性の有無の評価自体はそれまでも行われてきていること(乙235、乙431(9頁)、乙439(33頁)、乙440(68頁)、乙441、乙442(33~35頁))からすれば、立地の適不適を、火山学の知見に照らした火山学的調査を行った上で、火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないことが確認でき、かつ運 用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるといえるか否かの観点から検討させ、「噴火による設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達する可能性の大小」として判断させることが不適切であるということはできないし、このような判断をすることが巨大噴火の影響を過小評価することになるということもできない。 また、上記の検討の結果、運用期間中の噴火の可能性が小さいと評価されたにもかかわらず、過去の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象が到達した範囲内であれば、原子力発電所の立地として不適であるとしなければ不当であるということもできない。 イ火山ガイドの基準は、IAEAの基準と比較して、安全性を担保した基準とはいえないとの原告らの主張について原告らは 発電所の立地として不適であるとしなければ不当であるということもできない。 イ火山ガイドの基準は、IAEAの基準と比較して、安全性を担保した基準とはいえないとの原告らの主張について原告らは、「原子力規制委員会は、火山ガイドの作成に先立ち、VEI7及びVEI6クラスの噴火については、設計基準事故の頻度(プラントの寿命中に1回の頻度)が10-1~10-2/年になることを前提に、それより低頻度である10-3~10-4/年程度であるとしている(甲C10(6~7頁))が、IAEAは既設炉の早期大規模放射性物質放出確率を10万年に1回未満とすることを国際基準としており、そのような巨大噴火を考慮に入れない火山ガイドは適切ではない」旨、「IAEAの火山に関する基準であるSSG-21は、1000万年前以降に活動している火山については基本的に活動可能性があると評価し、例外的に、前期更新世(約78万年前)以前の段階で、徐々に活動期間が長くなったり噴火規模が小さくなったりすることで、明らかな減衰傾向・明白な休止がみられる場合には将来の活動可能性を否定できる場合があるとしているところ、火山ガイドは、『前期更新世よりも以前』といった閾値を設けることなく、単純に、最後の活動終了からの期間(最後の噴火から現在まで)が、最大活動休止期間よりも長くなれば、将来の活動可能性を否定できるかのような定めになっているから、火山ガイドの基準 はIAEAの基準と比較して安全性を担保した基準とはいえない」旨主張する。 しかしながら、IAEAは、火山に関する基準を設定するにあたって、全世界のホットスポット(マントル深部から高温の上昇流が上昇してくる場所)上に存在する火山等数百万年あるいは1000万年を超えて活動が続く火山をも対象としているのであるから、その基準を、 あたって、全世界のホットスポット(マントル深部から高温の上昇流が上昇してくる場所)上に存在する火山等数百万年あるいは1000万年を超えて活動が続く火山をも対象としているのであるから、その基準を、数十万年から100万年の寿命と考えられているプレートの沈込帯の日本列島の火山(乙208(33頁)、乙229(78頁)、乙233(303~304頁)参照)にそのまま適用することが適切であるということはできない。 また、火山ガイドが原子力発電所に影響を及ぼし得る火山を「第四紀(注記:約258万年前から現在まで)に活動した火山」としている(火山ガイド3)ことについて、原子力規制委員会は、「日本には、258万年間の休止期間を経た後に火山活動を再開させた火山は存在しておらず、258万年前までに活動を終えた日本の火山が火山活動を再開させる蓋然性は極めて低い」こと、「個々の火山の活動において、同一のマグマ供給系の火山活動期間は、数十万年から100万年程度と考えられており、過去258万年に活動した火山を評価することはこの期間を優に包含すること」などから、「第四紀以前に火山活動があった火山で、第四紀の活動が認められない火山は既にその活動を停止しているとみなせる」と説明している(乙233(302~304頁))ところ、このような考え方が安全性の担保に欠くものということはできない。 ⑶ 設計対応不可能な火山事象の検討について火山ガイドは、設計対応不可能な火山事象である火砕物密度流等についての可能性評価を行うことを求めている(火山ガイド4.1⑴)。この点、被告は、検討の結果、本件3号機の運用期間中(平成6年の運転開始の根拠となった使用前検査の日を起算日とする、最長60年)に設計対応不可能な火山事象であ る火砕物密度流等が伊方原子力発電所敷地まで到達す の結果、本件3号機の運用期間中(平成6年の運転開始の根拠となった使用前検査の日を起算日とする、最長60年)に設計対応不可能な火山事象であ る火砕物密度流等が伊方原子力発電所敷地まで到達することはないとしているところ、原告らは被告の検討が不十分である旨主張するので、以下、順次検討する。 ア阿蘇4噴火の火砕物密度流が伊方原子力発電所敷地に到達したことから、同敷地は原子力発電所の立地として不適切であるとの原告らの主張について阿蘇4噴火の火砕物密度流が伊方原子力発電所敷地に達していたとする原告らの主張について原告らは、約9万年前に発生した阿蘇4噴火により設計対応不可能な火山事象である火砕物密度流が伊方原子力発電所の敷地に到達していたから、同発電所敷地は原子力発電所の立地として不適であると主張する。 しかしながら、過去の阿蘇の巨大噴火とされる阿蘇1噴火~阿蘇4噴火について、その火砕流やその堆積物が九州北部・中部及び山口県南部に到達したことをうかがわせる証拠はあるが、伊方原子力発電所の敷地に到達したことをうかがわせる証拠はない(乙220、乙231、乙276~乙281)。また、原告らがその主張の根拠とするd・e(2011)及びdの陳述書(甲C16)は、現地の実態調査を踏まえていない上(甲C50(48ページ)参照)、「伊方原子力発電所の敷地に阿蘇4噴火の火砕流が到達した。また、四国西部一帯も火災サージ(火砕流から分離して発生する)に襲われた。」旨のdの見解については、d自身が大規模火砕流は噴出口からおおむね同心円状に広がったとみられることを前提とする推論や「常識的判断」の結果であると述べており、地形などの個別地点の異同を考慮しない理由や、佐賀関半島(阿蘇からすると伊方原子力発電所敷地方向にある半島。同半島東端部から とみられることを前提とする推論や「常識的判断」の結果であると述べており、地形などの個別地点の異同を考慮しない理由や、佐賀関半島(阿蘇からすると伊方原子力発電所敷地方向にある半島。同半島東端部から同敷地までは50km以上の距離がある。)には火砕流台地が形成されておらず、阿蘇4火砕流堆積物は佐賀関半島東端では認められない(乙231、乙276(13~18頁))理由が 合理的に説明されていないこと、火砕サージは火砕流の到達範囲の近傍に限られる(乙209(120頁)、乙213(145~146頁)、乙277(日本語訳))から、火砕流の到達範囲からはるかに離れた四国西部一帯が火砕サージに襲われるとの推論に根拠があるということはできないことから、採用の限りではない。 なお、dは、伊方原子力発電所の敷地付近で阿蘇4噴火の火山灰等が最大で125cm堆積していることを裏付けるノート(甲C51)を入手したとし、これを根拠に火砕流そのものが現在の伊方原子力発電所敷地に大きな影響を与えたに違いない旨、別件の同種訴訟において証言している(甲C50)。しかしながら、当該ノートに記載されている試料の採取者は、同試料は本件3号機が建設されるに当たり被告から地質調査を依頼された際に採取した試料であり、記載されている数字は、現場における試料の厚さではなく、当該試料が採取された「25cmごとに分割された地表面からの区間深度」である上、当該試料は崖錐堆積物(崖や急斜面から崩落した岩屑類がその斜面の下部に堆積したもの)が風化した赤色土から多くの異質物と混在した中で採取された粒子にすぎず、当該区間深度全体が阿蘇4噴火の火山灰等であるわけではない旨述べており(乙657)、この供述内容を前提とすれば、dは、火山灰等の粒子の存在が確認されたことをもって、火砕流あるいは火 た粒子にすぎず、当該区間深度全体が阿蘇4噴火の火山灰等であるわけではない旨述べており(乙657)、この供述内容を前提とすれば、dは、火山灰等の粒子の存在が確認されたことをもって、火砕流あるいは火砕サージが伊方原子力発電所に到達していたと述べていることになるため、上記のdの証言は採用できない。 原子力規制委員会が阿蘇4噴火を理由に伊方原子力発電所を立地不適としなかったことに根拠はないとする原告らの主張について原告らは、原子力規制委員会が阿蘇4噴火を理由に立地不適との判断をしなかった根拠は、①敷地に近い佐田岬半島や敷地周辺の地質調査の結果、阿蘇4噴火の火砕流堆積物が確認されていないこと、②現在の阿蘇の状態が、阿蘇4噴火の頃と異なり、f(1988)に基づく仮説である噴火ス テージ論における後カルデラ火山噴火ステージ(地下のマグマが巨大噴火を起こすような噴出率や組成をしていないステージ)にあると判断されたこと、③gandh(2001)、i(2000)、jほか (2005)によると、現在の阿蘇の地下浅所には大規模な珪長質マグマ溜まり(大噴火の原因となる)の存在が推定されないこと(なお、マグマ溜まりが玄武岩質であれば、大噴火は起こりにくいとされる。)、④現在の阿蘇においては、基線変化(地下のマグマ溜まりの膨張や地殻変動等をうかがわせる、2つの観測点間の距離の変化)が認められないことにあるところ、①については、被告自身の調査であるから信用できず、②及び④については、火山噴火の発生予測ができない以上、理由とならず、③についてはそのような推定はできないのであるから(甲C28)、不当である旨主張する。 しかしながら、①については、その調査内容が不当であることをうかがわせる事情は証拠上認定できない。 また、②及び④につ な推定はできないのであるから(甲C28)、不当である旨主張する。 しかしながら、①については、その調査内容が不当であることをうかがわせる事情は証拠上認定できない。 また、②及び④については、前記⑵アのとおり、現在の火山学の知見からは火山噴火の発生予測ができないことをもって、巨大噴火の可能性の有無の評価が不可能となるものではないから、採用できない。 さらに、③については、阿蘇の活動履歴の検討及び地球物理学的地球化学的調査等の結果、阿蘇4噴火後に地下浅部に伊方原子力発電所運用期間中に巨大噴火を引き起こす原因となる大規模な珪長質マグマ溜まりの存在は想定されない旨、阿蘇の中岳から約3~4km西の草千里付近の地下約6kmにマグマ溜まりが存在することが推定されるが、中岳の火山活動の供給源となる玄武岩質マグマであり、規模の点でも拡がりが制限されており、かつ縮小傾向にあると考えられる旨の見解(乙217、乙218、乙220~乙222、乙224、乙226(284頁)、乙227(141頁)、乙228(285~286頁、228~290頁)、乙229、乙231、乙232、乙238、乙243(99頁)、乙246、乙247(2 82~283頁)、乙249~乙252、乙254~乙261、乙263~乙267、乙272~乙275、乙423の1~3、乙426、乙427、乙429、乙440~乙446、乙455、乙522(日本語訳1頁))があり、これらの見解が不適切であることをうかがわせる事情は認められない。また、噴火が起こるには地下に噴火可能なマグマが蓄積される必要があり、巨大噴火であるほどマグマの地殻内への大量蓄積が必要条件とされるところ(乙228)、上記のとおり、現時点では巨大噴火を引き起こす原因となる大規模な珪長質マグマ溜まりが想定されない される必要があり、巨大噴火であるほどマグマの地殻内への大量蓄積が必要条件とされるところ(乙228)、上記のとおり、現時点では巨大噴火を引き起こす原因となる大規模な珪長質マグマ溜まりが想定されないにもかかわらず、伊方原子力発電所の運用期間中(最初の使用前検査に合格した日から起算して最長60年)に、急速に巨大噴火を発生させるようなマグマ溜まりが形成され、巨大噴火が引き起される可能性があることを裏付けるに足りる証拠もない。なお、原告らが引用するkの「阿蘇の地下10kmより深い部分にマグマ溜まりがあり、それが全体として非常に大きな噴火を引き起こす可能性がある」旨の見解(甲C28)については、地下約15kmにマグマ溜まりと考えられる変動源の存在を認めつつも、水又は溶融したマグマの存在する領域の底部に当たるものであって、大規模な噴火を起こすような状態ではないとの見解(乙232)や、地下約15kmのマグマ溜まりと前記の地下約6kmのマグマ溜まり(玄武岩質)との関連を指摘する見解(乙266)がある上、k自身、巨大噴火活動は地下数キロの地点に巨大珪長質のマグマ溜まりができることから始まる旨述べており(乙451(83頁))、地下10kmより深い部分のマグマ溜まりが巨大噴火を引き起こす可能性を否定しているといえること、密度の小さい珪長質マグマだまりは地下浅部に蓄積されると考えられている(乙221、乙224、乙226、乙259)ため、kの上記供述には裏付けがあるといえること、最新の知見であるletal.(2017)では、阿蘇のカルデラ内及びその周辺の深さ15~23kmに低速度領域が広がっていることが認め られるものの、熱源が存在しないため、新たな溶融マグマは生成されていないとされていること(乙453)からして、採用できない。また、原告ら 5~23kmに低速度領域が広がっていることが認め られるものの、熱源が存在しないため、新たな溶融マグマは生成されていないとされていること(乙453)からして、採用できない。また、原告らは、巨大噴火を引き起こすのは珪長質マグマとは限らない旨主張するが、その旨の意見を述べるmは、その著書において、巨大噴火のマグマ溜まりは珪長質マグマである旨認めているため(乙733(103頁))、原告らの上記主張も採用できない。 イ被告の行った火砕流シミュレーションが不適切であるとの原告らの主張について原告らは、被告が立地評価を行うに当たり用いた解析ソフトは小規模火砕流のシミュレーションのために用いることが想定されており、阿蘇4噴火のような大規模火砕流の解析に用いることは想定されていないのであるから、阿蘇4噴火に関して同ソフトを用いたシミュレーションを行うことは不適切である旨、同ソフトによるシミュレーションに当たり、高さ6kmの噴煙柱を想定しているが、阿蘇4噴火の噴煙は30~40km程度であったことと比較して、過小評価である点、噴火の場合は四方八方に火砕流堆積物が広がるところ、シミュレーション結果は火砕流がほぼ一方向に流れるものとなっている点、阿蘇4噴火後の現在の地形を前提としてシミュレーションしている点においても不適切である旨主張し、そのようなシミュレーションの結果をもってしては、火砕流が伊方発電所の敷地に到達していない根拠にはならないと主張する。 しかしながら、被告は、火砕流シミュレーションの目的を「阿蘇カルデラから東方(伊方原子力発電所敷地の方向)へ向かう阿蘇4噴火の火砕流は佐賀関半島等を地形的な障害とするため、伊方原子力発電所の敷地に到達しにくいことを確認すること」としているところ、このような目的であれば、小規模火砕流のシミ 敷地の方向)へ向かう阿蘇4噴火の火砕流は佐賀関半島等を地形的な障害とするため、伊方原子力発電所の敷地に到達しにくいことを確認すること」としているところ、このような目的であれば、小規模火砕流のシミュレーション解析ソフトを用いることが不適切であるということはできないし、阿蘇4噴火程度の噴煙を上げる噴火を想定していな いこと、火砕流がほぼ一方向(伊方原子力発電所の方向)に流れるものとしていること、現在の地形を前提としていることなどが不適切であるということもできない。 そもそも、被告は、シミュレーションの結果のみならず、前記のとおり佐田岬半島における調査によっても阿蘇4噴火の火砕流堆積物が見つかっていないこと、伊方原子力発電所の敷地と阿蘇の間には海域があり、約130kmの距離があること、阿蘇からすると伊方原子力発電所敷地方向にある佐賀関半島(同半島東端部から同敷地までは50km以上の距離がある。)には火砕流台地が形成されておらず、阿蘇4火砕流堆積物は佐賀関半島東端では認められないことなどを総合的に勘案して、阿蘇4噴火による火砕流は伊方原子力発電所の敷地まで達していないと判断した旨主張しているのであるから、仮にシミュレーションが小規模火山噴火等を想定しているなどの理由により阿蘇4噴火のシミュレーションとして不適切であるとしても、そのことをもって阿蘇4噴火の際の火砕流が伊方発電所の敷地に到達したことになるものではない。 ウ阿蘇4規模の噴火を考慮する必要がないことが定量的に示されたとの被告の主張に対する原告らの反論について被告は、本件3号機運転差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件において、広島高等裁判所が平成29年12月13日に阿蘇4噴火を理由に原決定を変更して本件3号機の運転の差止めを認めた決定を受けて、専門家ら 3号機運転差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件において、広島高等裁判所が平成29年12月13日に阿蘇4噴火を理由に原決定を変更して本件3号機の運転の差止めを認めた決定を受けて、専門家らに検討を依頼したところ、同専門家らは、BBN(ベイズ統計学に基づく手法)を用いて、現在の阿蘇の状況を前提として、今後100年以内に阿蘇4噴火規模の巨大噴火が発生する可能性を10-9と定量的に評価した(乙423の1~3)と主張する。 これに対して、原告らは、①阿蘇の噴火の可能性を求めるBBNモデルはマグマの堆積を説明しようとするものとされるが(乙423の1~3)、そ もそも現在の阿蘇に存在するマグマの堆積を精度よく求めることはできないとされていること(甲C26、27)、②ベイズ統計学の適用によって求まる巨大噴火の確率は、地震ハザードにおける超過確率と同等に扱える精度を有するものではないとされ、原子力規制委員会も、従前から繰り返し火山事象について精度の良い確率論的な評価はできないとしていること(甲C30、甲C31、乙238、乙424)、③そもそもベイズ統計学自体、判断者の主観による確率から出発しているものであって、科学的ではないと批判されていること(甲C32)から、阿蘇4噴火規模の噴火を考慮する必要がないことが定量的に示されたとする被告の主張は失当であると主張する。 しかしながら、被告の前記の主張をみるに、BBNを用いて今後100年以内に阿蘇4規模の巨大噴火が発生する可能性を定量的に評価できるとの専門家の評価の証拠化(乙423の1~3)は、広島高等裁判所の前記決定を踏まえて、被告や原子力規制委員会の「噴火による設計対応不可能な火山事象が伊方原子力発電所に到達する可能性は小さい」という評価判断の正当性について追加的に提出した証拠である 島高等裁判所の前記決定を踏まえて、被告や原子力規制委員会の「噴火による設計対応不可能な火山事象が伊方原子力発電所に到達する可能性は小さい」という評価判断の正当性について追加的に提出した証拠であるから、これまで説示したとおり同評価判断が不適切であるといえない以上、追加証拠が阿蘇4噴火を考慮する必要がないことを定量的に示すものでなかったとしても、そのことをもって上記評価判断が不適切なものに転化するものではない。 エ被告はVEI6以下の噴火の可能性を評価していないとの原告らの主張について原告らは、「今後100年間における阿蘇4噴火規模の噴火が発生する可能性」を評価している、すなわち、VEI7の噴火の発生可能性を評価しているにすぎず、破局的噴火には至らないがこれに準ずる規模の噴火の発生可能性についての評価になっていない旨主張する。 しかしながら、火山ガイドは「設計対応不可能な火山事象が伊方原子力発電所の敷地に影響を及ぼすか否か」の検討を求めているのであって、VEI の規模を踏まえた検討を求めているものではないから、原告らの主張は前提において失当である。 オ被告が前提とする噴火ステージ論を根拠にしては、巨大噴火を否定できないとの原告らの主張について原告らは、「現在の阿蘇に珪長質マグマ(巨大噴火が起きやすい)は生成されておらず、苦鉄質マグマ(巨大噴火が起きにくい)が噴出物を支配している状態が続いており、阿蘇は後カルデラ期であって、現在の阿蘇のマグマは巨大噴火が起こるような噴出率や組成をしていない」との被告の評価は噴火ステージ論を前提とするものであるところ、同論は仮説にすぎないから同論を根拠として巨大噴火を否定することはできないのであって、阿蘇の地下のマグマ溜まりが巨大噴火を起こす可能性があると主 の評価は噴火ステージ論を前提とするものであるところ、同論は仮説にすぎないから同論を根拠として巨大噴火を否定することはできないのであって、阿蘇の地下のマグマ溜まりが巨大噴火を起こす可能性があると主張する。 原告らの指摘する「噴火ステージ論」は、地質学的な調査に基づいて明らかにした南九州のカルデラ火山の噴火履歴をその噴火の態様に基づき複数の噴火ステージのサイクルに整理したf(1988)の知見であると考えられるところ、被告は、再稼働申請において同論に言及するも(乙13(6-8-10))、同論のみに基づいて巨大噴火の本件3号機の運転期間中の発生を検討しているものではないから(前記ア参照)、上記の原告らの主張は採用できない。 ⑷ 降下火砕物の影響評価について火山ガイドは、原子力発電所に設計対応不可能な火山事象による影響を及ぼし得る火山が抽出されなかったとしても、当該原子力発電所又はその周辺で観測された降下火砕物の最大積載量を踏まえて、降下火砕物の影響を評価検討することを求めている(火山ガイド3及び6)。その影響の確認として、直接的影響については、降下火砕物の積載荷重に対して安全機能を有する構築物等の健全性が維持されることや安全上重要な設備が閉塞等によりその機能を喪失しないこと、換気空調系統のフィルタ目詰まりあるいは非常用ディーゼル発電機 の損傷等による系統・機能の機能喪失が生じないこと(その一環として、平成29年の火山ガイド改正においては、気中降下火砕物濃度を推定することとされた。)などを確認することを求め(火山ガイド6.1⑶⒜)、間接的影響については、原子力発電所外での影響(長期間の外部電源の喪失及び交通の途絶)を考慮し、燃料油等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉等の安全性を損なわれないように対応が取れることを確認 間接的影響については、原子力発電所外での影響(長期間の外部電源の喪失及び交通の途絶)を考慮し、燃料油等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉等の安全性を損なわれないように対応が取れることを確認することを求めている(火山ガイド6.1⑶⒝)。 原告らは、降下火砕物の直接的・間接的影響評価に関する被告の検討が不適切である旨主張するため、以下、順次検討する。 ア被告の降下火砕物の層厚や気中降下火砕物濃度に関する評価が不当であるとの原告らの主張について被告は、伊方原子力発電所の運用期間中の活動可能性を考慮すべき火山の噴火として九重山の約5万年前の噴火と同規模の噴火を選定し、その伊方原子力発電所敷地への降下火砕物の層厚を15cmと設定した(乙13(6-8-13~6-8-17頁))。また、降下火砕物の直接的影響を検討するに当たり、平成29年11月に改正された火山ガイドに定める手法によって伊方原子力発電所の敷地で想定する15cmに対応する気中降下火砕物濃度を3.1g/㎥と算出した(乙432)。 これに対し、原告らは、降下火砕物厚層15cmというのは過小な想定である旨、大気中降下火砕物濃度も過小評価している旨主張するため、以下、順次検討する。 被告が想定した降下火砕物の層厚が過小であるとの原告らの主張について原告らは、被告が阿蘇カルデラにおける「後カルデラ噴火ステージ」最大の噴火たる草千里ヶ浜軽石(噴出物量2.39km³)や九重山における九重第一軽石(噴出物量5km³)といった過去の噴火(VEI5クラス)を検 討し、伊方原子力発電所敷地における降下火砕物の最大層厚を15cmと想定している(乙13(6-8-13~6-8-16頁))が、この想定には、阿蘇4噴火より発生頻度の高い南九州地方におけるVEI7クラスの噴火(姶 力発電所敷地における降下火砕物の最大層厚を15cmと想定している(乙13(6-8-13~6-8-16頁))が、この想定には、阿蘇4噴火より発生頻度の高い南九州地方におけるVEI7クラスの噴火(姶良カルデラの姶良Tn噴火、阿多カルデラの阿多鳥浜噴火、阿多噴火、鬼界カルデラの鬼界葛原噴火、鬼界アカホヤ噴火など多数)を検討すべきである点、阿蘇の草千里の比較的浅い所にマグマ溜まりの存在が推測され、同マグマ溜まりから巨大噴火が引き起こされる可能性があることや、別府―島原地溝帯周辺や阿蘇の火山活動が最近活発になっていることや、南海トラフの巨大地震が噴火を誘発すると考えられていることからすると、阿蘇におけるVEI6クラスの噴火により15cmを超える降下火砕物が堆積する可能性があることを検討すべき点、VEI5クラスであっても、想定最大層厚を超えることは考えられる点において、問題がある旨主張する。 しかしながら、南九州の火山については、いずれも大規模な火山活動が近い将来発生する状況にはないと考えられており(乙232(32頁)、乙262(17頁)、乙283(23頁))、この考察が不合理であることをうかがわせるに足りる証拠はないこと、同火山は南方に位置するため、偏西風の影響で四国南方沖に降灰すると考えられる上、過去の既往最大の噴火を踏まえても、九重山の噴火における降灰物の方が伊方原子力発電所に及ぼす影響が大きいとの被告の想定に誤りがあることをうかがわせるに足りる証拠はないこと、降下物火山灰が高精度に記録されている愛媛県西予市の宇和盆地(伊方原子力発電所の南東)の記録において、巨大噴火を除きこれらの火山に関して堆積厚さ15cmを超えるものはなく(乙254)、その他既往最大の噴火に基づきシミュレーションをした結果(乙13(6-8-13~6-8-16頁) )の記録において、巨大噴火を除きこれらの火山に関して堆積厚さ15cmを超えるものはなく(乙254)、その他既往最大の噴火に基づきシミュレーションをした結果(乙13(6-8-13~6-8-16頁))を超えた層厚を考慮すべき事情を裏付ける証拠はないこと、原告らの指摘するマグマ溜まりについては、前 記⑶アで述べたとおり、中岳の活動に関連する爆発的な噴火をしにくい玄武岩質であると考えられている上、全体として縮小傾向にあるとされていることからすれば、降下火砕物の最大層厚を15cmとする被告の想定に問題があるとの原告らの主張は採用できない。 被告が用いた粒径分布が実測値と類似しないから、被告の算定した気中降下火砕物濃度は過小であるとの原告らの主張について原告らは、被告は平成29年に改正された火山ガイドの添付1「気中降下火砕物濃度の推定手法について」に従って計算しているが、その際の推定に用いた粒径分布が実測値(甲C35(8頁)、甲C37(609頁、612頁))と比較して大きすぎるため、当該濃度が過小評価となっている旨主張する。 しかしながら、改正後の火山ガイドの手法は、降下火砕物の粒径の大小にかかわらず同時に降灰が起こると仮定していること、粒子の凝集を考慮しないことなどから、実際の降灰現象と比較して保守的な値となるとされる(乙431(29頁))。また、粒径分布は、火山事象により原子力発電所敷地において降灰(堆積)する降下火砕物の粒径の度数分布であるから(乙431(28頁))、他の火山の噴火事例におけるある特定の地点の降下火砕物の粒径分布と比較することが適切とは考えられない。さらに、九重第一降下軽石の全粒度組成は被告がシミュレーションで用いたものよりも粗粒である(乙535)上、細粒の粒子は単独で落下できず、凝集することが 粒径分布と比較することが適切とは考えられない。さらに、九重第一降下軽石の全粒度組成は被告がシミュレーションで用いたものよりも粗粒である(乙535)上、細粒の粒子は単独で落下できず、凝集することが判明しているから(甲C37(616頁)、乙533(94頁)、乙536(15頁)(日本語訳1枚目))、被告の用いた粒径分布が伊方原子力発電所敷地への降下火砕物の粒径分布として大きすぎ、濃度計算が過小評価となるということはできない。 イ被告の想定を超える降下火砕物により機器等の機能喪失等が生じる可能性があるとの原告らの主張について 原告らは、被告の想定を超える降下火砕物によって、原子炉施設の機器等の機能喪失等が生じるから、降下火砕物に関する間接影響への対応ができておらず、安全性が確保されていないと主張するため、検討する。 外部電源喪失の可能性について原告らは、降下火砕物が水を含んだ状態で電柱の碍子等に付着すると、同部分の絶縁性が弱くなり、漏電が起きて、広範囲に同時多発的な停電が引き起こされる、あるいは、水を含んだ降下火砕物の重みで、送電線の切断や電柱の倒壊が複数個所で発生し、これによって停電が引き起こされる、その結果、外部電源が長時間喪失されることになり、原子炉施設を「冷やす」ことができず、炉心溶融等を引き起こすことになる旨主張する。 しかしながら、被告は、本件3号機において、降下火砕物の影響によって全交流電源を喪失した場合であっても、建屋内にあり電源を必要としないタービン動補助給水ポンプを用いて冷却を継続する旨、この場合に冷却に用いる水源を補助給水タンク及び2次系純粋タンクに限定しても約6. 5日間にわたる冷却が可能である旨、タービン動補助給水ポンプが機能喪失した場合でも炉心を冷却するために、予め降灰前までに建 合に冷却に用いる水源を補助給水タンク及び2次系純粋タンクに限定しても約6. 5日間にわたる冷却が可能である旨、タービン動補助給水ポンプが機能喪失した場合でも炉心を冷却するために、予め降灰前までに建屋内に搬入、配置したポンプ車等による上記発生器への注水による炉心冷却手段を確保した旨述べるところ(乙436(7頁))、この説明内容に特段不合理な点はない(なお、電源喪失の場合の対策一般論については、後記9⑺参照)。 フィルタ交換の困難性について火山ガイド6.1⑶⒜③は、外気取入口からの火山灰の侵入による換気空調系統のフィルタの目詰まりを起こさないことを求めている。この点に関し、原告らは、フィルタの目詰まりについてはフィルタを交換するほかないが、大気中濃度が被告の想定を大きく上回れば、交換の頻度は非常に短期間で行う必要があるところ、大気中濃度は被告の想定を84倍上回ることが考えられるから、フィルタ閉塞時間は15分程度となり、フィルタ の交換が間に合わず、目詰まりを起こすことが考えられる旨、被告はフィルタ交換に要する時間を1時間と見積もっているが、降灰により歩行・通行が困難となったり、視界不良となったりすることが考えられる上、防塵マスクを装着しての作業は、特に外部電源が喪失した夜間であれば、困難を極めることになるから、フィルタ交換が間に合わない可能性がある旨主張する。 しかしながら、84倍という数字は、原告らの主張する「匿名を希望する研究者」が算定した結果というにすぎず、しかもその裏付けとなる証拠が提出されていないのであるから、被告の想定を大きく上回ることを大前提とする「フィルタ閉塞時間が想定より短くなり、フィルタの交換が間に合わず、目詰まりを起こす」との原告らの主張は採用できない。また、降灰時の作業が困難となって、時間があ 想定を大きく上回ることを大前提とする「フィルタ閉塞時間が想定より短くなり、フィルタの交換が間に合わず、目詰まりを起こす」との原告らの主張は採用できない。また、降灰時の作業が困難となって、時間がある程度かかることは想定されるものの、同作業が困難を極め、フィルタ交換が間に合わないとの事態が発生するであろうことを認定あるいは推認するに足りる証拠はない。 降下火砕物の非常用ディーゼル発電機への影響に関する原告らの主張について原告らは、フィルタが目詰まりを起こし、非常用ディーゼル発電機内にうまく酸素が供給されず、不完全燃焼により非常用ディーゼル発電機が機能喪失することが想定される旨、降下火砕物が吸気フィルタに捕集されず、非常用ディーゼル発電機の機関内に侵入し、シリンダの部材を摩耗させたり、閉塞・焼付・固着を起こしたりすることで、非常用ディーゼル発電機が機能喪失することが想定される旨主張する。 フィルタの目詰まりに対してはフィルタ交換を行うほかないが、交換が間に合わない可能性がある旨の原告らの主張については、前記のとおりである。 また、降下火砕物の機関内侵入については、非常用ディーゼル発電機の 吸入口は下向きである上、火山灰フィルタを設置し、カートリッジ式フィルタに高性能フィルタ(堆積厚さ15cmに対応する集計分布の火山灰に対して99.9%捕集できることが確認されている。)が設置され、その交換・清掃に要する時間は1時間程度とされているところ(乙290、乙292、乙293)、このような対策が取られてもなお、降下火砕物が非常用ディーゼル発電機の機関内に侵入し、同発電機の機能喪失が生じるであろうことをうかがわせるに足りる事情を認めることはできない。 よって、原告らの主張は採用できない。 ⑸ 原告らはその他にもるる主張するが、 ゼル発電機の機関内に侵入し、同発電機の機能喪失が生じるであろうことをうかがわせるに足りる事情を認めることはできない。 よって、原告らの主張は採用できない。 ⑸ 原告らはその他にもるる主張するが、いずれも安全性の推認を覆すには足りないため、採用できない。 6 争点6(地すべりに対する安全対策)について⑴ 地すべりに関しては、設置許可基準規則3条、4条及び6条並びに地質ガイド及び地盤ガイドが制定されており、想定される地すべり(地震に起因する地すべりを含む。)に対する安全確保対策を講じることが求められている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、地すべりに関しては、敷地及び敷地周辺における地形、地質、地質構造等に係る詳細な調査に基づき、伊方原子力発電所の安全上重要な施設の基礎地盤及び周辺斜面が基準地震動Ssによる地震力に対しても十分な安定性を有し、本件3号機の安全性が損なわれるような地すべりが生じることはなく、本件3号機の安全性は確保したとして原子力規制委員会に再稼働申請を行い(その要旨は、別紙「地すべりに関する再稼働申請の内容」記載のとおり。)、原子力規制委員会は、重要安全施設付近には急斜面、地すべり地形の存在は認められないため、地すべりに対しては設計上考慮する必要はないが、信頼性のある過去の記録を調査し、安全施設への影響を最大限考慮し、地すべりの被害のおそれがある場所に重要安全施設を設置せず、被害のおそれがある重要安全施設以外の安全施設については、安全上の機能別重要度に応じて要求される安全機能を損なわない設計がされることに より安全施設の安全機能が損なわれない方針としていることを確認したとして(乙16(78~80頁))、再稼働許可をした。 これに対し、原告らは、①伊方原子力発電所の敷地は、地震を誘引として地 より安全施設の安全機能が損なわれない方針としていることを確認したとして(乙16(78~80頁))、再稼働許可をした。 これに対し、原告らは、①伊方原子力発電所の敷地は、地震を誘引として地すべりを引き起こす危険性が極めて高い、②伊方原子力発電所の敷地に関するn鑑定書(甲B118)によれば、同敷地は地すべりが起こりやすいために原子力発電所の敷地として不適切である、③伊方原子力発電所の敷地のすぐ東側の斜面で大規模な斜面移動体がみられるから、この点からしても伊方原子力発電所の敷地は地すべりの可能性が高いといえる、④伊方原子力発電所周辺において、近時においても地すべりが多発しているから、この点からしても伊方原子力発電所の敷地は地すべりの可能性が高いといえる、⑤被告自身、耐津波設計方針に関する補足資料において、地すべりの発生を自認していると主張し、したがって、地すべりに対する安全性が確保されているといえないから、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険性が生じていると主張する。そこで、以下、順次検討する。 ⑵ 伊方原子力発電所の敷地は、地震を誘引として地すべりを引き起こす危険性が極めて高いから、立地として不適切であるとの原告らの主張についてア伊方原子力発電所近隣の斜面や敷地内傾斜により、地すべりの危険性があるとの原告らの主張について原告らは、本件3号機の原子炉建屋の南側斜面は、高さが地上約82mであり、地上から32m付近までは傾斜が60度、その上も傾斜が45度であり、伊方原子力発電所の敷地の斜面は一般に20~30度の北傾斜であるところ、地震による地すべりは傾斜が10~25度でも発生するから(甲B105(223頁)、甲B107(22頁))、伊方原子力発電所における地すべりの危険性は高いと主張する。 しかしながら、 であるところ、地震による地すべりは傾斜が10~25度でも発生するから(甲B105(223頁)、甲B107(22頁))、伊方原子力発電所における地すべりの危険性は高いと主張する。 しかしながら、被告は、別紙「地すべりに関する再稼働申請の内容」のとおり、本件3号機の安全上重要な施設の周辺斜面について、安全上重要な施 設との離隔距離や地すべりが生じた場合の方向を考慮して、評価の対象とする斜面を選定し、解析モデルを作成し、基準地震動Ssを用いた解析により周辺斜面の安定性を評価し、本件3号機の周辺斜面はすべりに対して十分な安全性を有していることを確認した、この評価について原子力規制委員会も確認したと主張しているところ(乙13(6-3-119~6-3-123頁、6-3-171~6-3-173頁、6-3-427~6-3-439頁、6-3-445~6-3-447頁))、乙16(20~21頁))、原告らの指摘によっても、被告の講じた上記措置等が不十分であって地すべりの危険性が高いということはできない。 イ伊方原子力発電所の敷地では地すべりが起きやすいとの原告らの主張について原告らは、「伊方原子力発電所が立地する佐田岬半島は、一般に著しい片理が発達しており、薄く板状あるいは小片状に割れやすいという性質を持つ片岩類が分布する三波川帯に属し、日本でも有数の地すべり地帯である。」、「佐田岬半島北岸部はダメージゾーン(断層の近傍で、断層の成長する過程によって様々な向きに亀裂と小断層運動が起こった領域をいい、その結果、岩石が破砕され、隙間が多く水の染み込みやすい未固結のものに変わり、地盤として脆くなっている領域)である。」などと主張して、立地的に地すべりが起こりやすく危険であるとする。 しかしながら、別紙「地すべりに関する再稼働申請の内容 染み込みやすい未固結のものに変わり、地盤として脆くなっている領域)である。」などと主張して、立地的に地すべりが起こりやすく危険であるとする。 しかしながら、別紙「地すべりに関する再稼働申請の内容」によれば、被告は、伊方原子力発電所の建設時に、敷地周辺の地質等について極めて詳細な調査を行い、その地質、地質構造等を明らかにするとともに、各種試験によって、地盤を構成する岩盤の物理的・工学的性質を十分把握し、伊方原子力発電所の地盤が堅硬な岩盤であり十分な安定性を有していること(注記:ダメージゾーンではないこと)を確認しているとし(乙13(6-3-1~6-3-124頁、6-3-324~6-3-325頁)、乙41)、また、 伊方原子力発電所建設の際に、表土や風化した地盤を削り取り(注記:結晶片岩がもろくなるのは、風化が進んだ場合であることから、これを除去する作業)、風化していない新鮮かつ堅硬な岩盤を露出させた上で安全上重要な設備を設置し、周辺斜面について、同様に地すべりの可能性のある表土や風化した岩盤を削り取るなどの対策を講じており、伊方原子力発電所が設置されている基盤岩盤は基準地震動Ssが作用した場合でも十分な地耐力を有することを確認していると主張しているところ、被告が行った上記の確認や対策が不十分であることをうかがわせるに足りる証拠はない。 ⑶ n鑑定書(甲B118)に基づく原告らの主張についてア原告らは、昭和51年12月30日付けn鑑定書(甲B118)を引用し、伊方原子力発電所の敷地の地盤が、全て一様ではなく、硬質・均質な岩質を有する部分もあるが、片理(岩石や岩石を構成する鉱物が方向性をもって並んだ面のことで、片理面から層理の層ごとにはがすことができる性質を有する。)が著しく発達している部分もあること、伊方原子力発電所 有する部分もあるが、片理(岩石や岩石を構成する鉱物が方向性をもって並んだ面のことで、片理面から層理の層ごとにはがすことができる性質を有する。)が著しく発達している部分もあること、伊方原子力発電所の敷地の結晶片岩(板状あるいは柱状の鉱物が方向性をもって配列した片理と呼ばれる面状構造を持つ岩石。片理に沿って板状に割れやすい。)には、大小の断層の多数が存在し、大部分の断層は開口しており、断層の中には破砕帯をなしているもの、さらには断層粘土を挟むものも少なくないこと、三波川結晶片岩地帯は、日本有数の地すべり多発地帯であることなどから、原子力発電所の立地としてふさわしくない旨主張する。 しかしながら、被告が詳細な地盤等の調査をしたことは前記⑵のとおりであって(乙13は平成27年7月付け、乙41は平成25年7月付けである。)、昭和51年付けのn鑑定書の上記指摘をもってその内容が覆るということはできない。 イ原告らは、n鑑定書(甲B118)を引用し、地すべりを発生させる要因とされる①地質構造、②地形、③地下水及び降雨、④地震及び⑤乱開発に関 し、①については、伊方原子力発電所の敷地は結晶片岩であり局所的に物性の異なる部分があることが指摘されていること、②については、地すべりの証跡が地形的に明瞭に残されていること、③については、伊方原子力発電所の敷地に地下水があることや集中豪雨などの異常気象が多発していること、④については、中央構造線断層帯及び南海トラフで発生する地震の影響が考えられること、⑤については、伊方原子力発電所建設工事等の人工的な地形変化の影響があることから、伊方原子力発電所の敷地は、いずれの要因も有しているといえ、地すべりが発生する危険があると主張する。 しかしながら、①については、敷地が結晶片岩であって局所的に物性 な地形変化の影響があることから、伊方原子力発電所の敷地は、いずれの要因も有しているといえ、地すべりが発生する危険があると主張する。 しかしながら、①については、敷地が結晶片岩であって局所的に物性の異なる部分があることの指摘のみでは、前記⑵イのとおり、地すべりの危険性が高いということはできない。また、②については、指摘されている証跡部分が特定されていない。さらに、③については、被告は、伊方原子力発電所の地下水位の観測結果では地下水位がCL級岩盤上端より深い位置にあるところを、保守的に、斜面部についてはCL級岩盤上端に、建屋部については建屋底面に、その他の箇所については地表面にそれぞれ地下水位を設定することで、実質的に地下水で地盤が飽和している状態を想定してすべり安全性に係る評価を行っているから、当該すべり安全性に係る評価に地下水等の問題は織り込み済みであるとしているところ(乙13(6-3-115頁、6-3-121頁、6-3-442~6-3-443頁、6-3-448頁))、原告らの指摘によっては、上記の地下水等の対策に係る措置が不十分であって、地すべりの危険性が高いということはできない。そして、④については、被告は、中央構造断層帯や南海トラフの地震も踏まえて策定した基準地震動Ssによる地震力が作用した場合を想定した地すべり評価を行っていると主張しているところ(乙13(6-3-112~6-3-118頁))、原告らの指摘によっては、上記の評価が不適切であって、地すべりの危険性が高いということはできない。加えて、⑤については、被告は、前記 ⑵イのとおり、伊方原子力発電所敷地として地すべり等に対する安全性を確保すべく工事等を行っているとしており、また、南側斜面については、斜面表面に保護工(ロックアンカー 、ロックボルト 、鉄 ⑵イのとおり、伊方原子力発電所敷地として地すべり等に対する安全性を確保すべく工事等を行っているとしており、また、南側斜面については、斜面表面に保護工(ロックアンカー 、ロックボルト 、鉄筋コンクリート製の擁壁・格子枠)を施した上で、適切に保守管理を実施していると述べているところ(乙15(43~44頁、図表―10頁))、これらの工事や保守管理等では人工的な地形変化による地すべり発生危険の対策として不十分であることをうかがわせる事情は認められない。 ⑷ 原告らの、伊方原子力発電所の敷地のすぐ東側の斜面で大規模な斜面移動体がみられるとの主張について原告らは、独立行政法人防災科学技術研究所の地すべり地形分布図(甲B120)によれば、伊方原子力発電所のすぐ東側の斜面に大規模な斜面移動体が認められることから、同地点において、過去に大規模な斜面変動が生じていることは明らかであると主張する。 しかしながら、同分布図については、同研究所から「学術的には空中写真判読による地形学的予察図であり、ごく一部を除き、判読した地すべり地形について現地調査を実施していない」などの留意事項が示され、「このことを正しく理解せずに使用すると、重大な意思決定の誤りを招く恐れがある」旨の告知がなされていること(乙181)、被告は、現地調査を行い、同研究所の指摘する上記地すべり地形とされる箇所について、当該斜面の上部、中腹、末端部及び海岸部において緩みのない(地すべりを起こすような亀裂の開口部やこれに伴う風化の進行等がない)緑色片岩の露頭を確認した結果、当該斜面は大規模な斜面変動による地形であることは考え難いとして、原子力規制委員会に対して地すべりの痕跡ではないことを説明し、了承を得ていること(乙182(63~70頁)、乙183(23頁))からすると、原告らの な斜面変動による地形であることは考え難いとして、原子力規制委員会に対して地すべりの痕跡ではないことを説明し、了承を得ていること(乙182(63~70頁)、乙183(23頁))からすると、原告らの指摘をもって、本件3号機に影響を与えるような地すべりが生じる危険性があるということはできない。 ⑸ 伊方原子力発電所周辺において、近時においても地すべりが多発しているとの原告らの主張について原告らは、伊方原子力発電所の西方に設置された名取トンネルが、地すべり等により、最終的に平成17年に閉鎖されたこと、平成28年に伊方原子力発電所の敷地周辺斜面で土砂崩れが生じ、土砂が同敷地内に流入する事態が生じていること、行政機関において、地すべりの誘因である巨大地震の発生が推定されていることなどからすれば、伊方原子力発電所の敷地及び周辺斜面において地すべりが発生する危険性は極めて高いと主張する。 しかしながら、被告は、名取トンネルが地すべり等により閉鎖されたことや平成28年に土砂崩れが生じたことは認めつつ、いずれも現地調査の結果、本件3号機の安全性は確保されていることを確認した旨主張し、再稼働申請時の申請書(乙13)や使用前検査前の通報連絡内容(乙184)を提出するところ、これらの証拠の内容が不適切であることをうかがわせる証拠はないから、伊方原子力発電所の近隣において原告らの指摘する地すべりや土砂崩れが発生したことのみをもって、伊方原子力発電所敷地及び周辺において本件3号機の安全性を脅かすような地すべりの危険があるということはできない。 ⑹ 被告が地すべりの発生を自認しているとの原告らの主張について原告らは、被告が耐津波設計方針に関する補足説明資料において、伊方原子力発電所の敷地東側で地すべり津波が発生しその きない。 ⑹ 被告が地すべりの発生を自認しているとの原告らの主張について原告らは、被告が耐津波設計方針に関する補足説明資料において、伊方原子力発電所の敷地東側で地すべり津波が発生しその影響が同敷地に及ぶ可能性に触れているから、被告は地すべりの発生を自認していると主張する。 しかしながら、原告らの指摘は、地震及び降雨による地すべりにより伊方原子力発電所敷地に影響を与えるような津波を生じる可能性は極めて低いとの評価の後に、「伊予灘沿岸部の地すべりに伴う津波のリスクは小さいものの、津波に対する備えに万全を期し、発電所の更なる安全性向上を図る観点から、沿岸部の自然斜面で降雨地すべりが発生して岩屑流(地すべり土塊)が海面に突入することで生じる津波の影響評価を行うこととする」(乙13(6-7- 19~6-7-23頁))と記載されている部分を指すものと解されるところ、同記載をもって、被告が本件3号機の運転が安全性を欠くことになるような地すべりの発生を自認したということはできない。 ⑺ 原告らはその他にもるる主張するが、いずれも安全性の推認を覆すには足りないため、採用できない。 7 争点7(水蒸気爆発に対する安全対策)について⑴ア原子炉格納容器内の水蒸気爆発は原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出の原因の一つと考えられているところ、この点に関しては、設置許可基準規則37条及び51条並びに重大事故等防止技術的能力基準が制定されている。 重大事故等の拡大の防止等に関する規定である設置許可基準規則37条2項は、「発電用原子炉施設は、重大事故が発生した場合において、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければなら 可基準規則37条2項は、「発電用原子炉施設は、重大事故が発生した場合において、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない」旨定め、設置許可基準規則解釈37条2-1は、同「重大事故が発生した場合」に必ず想定する格納容器破損モードとして、「原子炉圧力容器等の溶融燃料―冷却材相互作用」(FCI)(原子炉に重大な事故が発生し、溶融した炉心燃料と冷却材(水等)が接触する際の伝熱及び化学反応。高温の溶融炉心と低温の冷却材が接触することに伴い、原子炉格納容器破損を生じさせるほどの衝撃が発生することが想定される。)と「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)(原子炉に重大な事故が発生し、溶融した炉心が原子炉圧力容器(注記:被告は本件3号機の構成において「原子炉容器」と表記しているため(別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構成」の1⑴参照)、以下では、設置許可基準規則解釈等における「原子炉圧力容器」について、本件3号機に関しては「原子炉容器」と表記する。)を貫通し、原子炉圧力容器の外側にある原子炉格納容器の下部のキャビティに落下した場合、同キャビティを形成するコンクリー トが溶融炉心により侵食されることにより、原子炉格納容器の破損が生じることが想定される。)を挙げ、これを防止するために必要な措置を求めている。 また、重大事故等の中でも原子炉格納容器下部に落下する溶融炉心を冷却するための設備に関する規定である設置許可基準規則51条は、「発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備を設けなければならない。」旨定め、設置許可基準規則 、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備を設けなければならない。」旨定め、設置許可基準規則解釈51条1項は、同「必要な設備」について、以下に掲げる措置またはこれと同等以上の効果を有する設備であるとした上で、a)として「原子炉格納容器下部注水設備を設置すること。」を掲げる。 さらに、重大事故等防止技術的能力基準Ⅱ.1.8は、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な手順等が適切に設備されていることを求めている。 イ上記アに関する被告の再稼働申請と原子力規制委員会の判断について被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)対策については、代替格納容器スプレイポンプによる代替格納容器スプレイにより原子炉格納容器の下部キャビティに水を張り、そこに溶融して原子炉容器を貫通落下してきた炉心を落とし込む方法を採用するとともに、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備(乙13(8-9-69~8-9-79頁))や手順等(乙13(添付十追補1.8-1~1.8-8頁))を整備し、この方法による対策の有効性を確認した(乙13(10-7-2-150~10-7-2-172頁))旨、溶融炉心が原子炉格納容器の下部キャビティに張られた水と接触することで生じ得る「原子炉容器等の溶融燃料―冷却材相互作用」(FCI)の対策に ついては、接触に伴い格納容器破損を生じさせるほどの衝撃を伴うものとして水蒸気爆発と水蒸気爆発には至らない圧力変化である圧力スパイクが考えられるところ、実機において水蒸気爆発が 対策に ついては、接触に伴い格納容器破損を生じさせるほどの衝撃を伴うものとして水蒸気爆発と水蒸気爆発には至らない圧力変化である圧力スパイクが考えられるところ、実機において水蒸気爆発が発生する可能性は極めて低いと考えられるため、圧力スパイクについて考慮することとし、これに対する安全性が確保されていることを確認した(乙13(10-7-2-10~10-7-2-19頁、10-7-2-104~10-7-2-112頁、10-7-2-170~10-7-2-172頁、10-7-2-217頁、乙13追補2Ⅲ3.2-9~3.2-12頁、3.2-34頁の図の5-1-4、3.2-37頁の図5-2-4、3.2-40頁の図5-3-4、3. 2-43頁の図5-4-4)旨をそれぞれ述べた。 原子力規制委員会が、FCI対策の説明において被告が水蒸気爆発は実機において発生する可能性は極めて低いとした根拠を整理して提示するよう被告に求めたところ、被告は、実機において想定される溶融物(二酸化ウランとジルコニウムの混合溶融物)を用いた水蒸気爆発に関する大規模実験であるCOTELS(コテルス)、FARO(ファロ)及びKROTOS(クロトス)を挙げたうえで、これらの実験においては、その一部で水蒸気爆発が生じているものの、外部トリガーが与えられるあるいは実機では想定できない条件下に置かれるといった状態下での発生であるから、実機においては水蒸気爆発の発生は考えにくいとの説明を行った。また、原子力規制委員会が「軽水炉シビアアクシデント時の炉外水蒸気爆発による格納容器破損確率の評価」と題するJAEAレポート(甲E13)に対する被告の見解を示すよう求めたところ、被告は、同レポートでは、水蒸気爆発の規模が最も大きくなる時刻に、液―液直接接触が生じるような外部トリガーを与え水蒸 価」と題するJAEAレポート(甲E13)に対する被告の見解を示すよう求めたところ、被告は、同レポートでは、水蒸気爆発の規模が最も大きくなる時刻に、液―液直接接触が生じるような外部トリガーを与え水蒸気爆発を誘発しており、また、液体の運動エネルギーを大きく評価しているところ、これらの実験における想定は実機とは異なっているため、同レポートの内容をもってしても実機においては水蒸気爆発の発生の可能性は極めて低 いとする見解を示した。(乙16(201~202頁、334~344頁))原子力規制委員会は、被告による事故シーケンス等の選定が適切である旨及び重大事故等対策の有効性評価が妥当である旨確認したとして(乙16(118頁以下))、再稼働許可をした。上記の確認において、同委員会は、被告が「溶融炉心・コンクリート相互作用」対策として「溶融炉心が落下するまでに原子炉格納容器下部キャビティに十分な水量を貯水する方法」を採用したことを確認するとともに、被告が「溶融炉心が水中に落下したときの水蒸気爆発の発生の可能性は極めて低く、生じる可能性のある圧力スパイクについての対策を講じ、圧力スパイクによって原子炉格納容器の破損に至ることがないと確認した」旨の申請をしていることにつき、妥当と判断した上で、設置許可基準規則51条及び重大事故等防止技術的能力基準Ⅱ.1.8における要求事項に対応し、かつ適切に整備されていること、設置許可基準規則37条において位置づけられた重大事故等対処設備及び手順等を含み、適切に整備される方針であることが確認されたとしている(乙16(200頁、336~344頁))。 ウ前記イに関する原告らの主張について前記イに関し、原告らは、諸外国での実験結果やプロジェクト、我が国の水蒸気爆発に関するJAEAレポートによれば、「溶融 (200頁、336~344頁))。 ウ前記イに関する原告らの主張について前記イに関し、原告らは、諸外国での実験結果やプロジェクト、我が国の水蒸気爆発に関するJAEAレポートによれば、「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)対策として溶融炉心を原子炉格納容器の下部キャビティに張った水の中に落とす方法を採用すると、溶融炉心と水との接触により水蒸気爆発が起こり得ると主張し、このことは、諸外国がコアキャッチャー(溶融・落下した炉心(コア)を受け止める装置であり、耐熱性の材料で作られた容器で格納容器下部コンクリートをカバーし、コア・コンクリート反応を防ぐことを目的とする(甲E6(338頁))。「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)対策であり、水を用いない方法。)を導入していることからも裏付けられるし、福島第一原子力発電所2号機においては水蒸気 爆発が発生した可能性があることからもうかがわれるとする。そして、水蒸気爆発が生じた場合には、その衝撃等により原子炉格納容器が破損して工場等外への放射性物質の異常放出が生じることになるから、溶融炉心を冷却するための設備として溶融炉心と水の接触という方法を採用する設備を提示(設置許可基準規則解釈51条1項a))する新規制基準は基準として合理性を欠き、また被告の溶融炉心冷却方法が設置許可基準規則37条あるいは重大事故等防止技術的能力基準Ⅱ.1.8に適合するとの原子力規制委員会の判断は合理性を欠く、さらには、原子力規制委員会が水蒸気爆発に関する最新の世界的知見ともいうべきセレナプロジェクトの成果を無視したことについても合理性を欠くとして、水蒸気爆発の観点から、本件3号機の運転によって、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険が生じるおそれがあると主張する。 そこで、以 クトの成果を無視したことについても合理性を欠くとして、水蒸気爆発の観点から、本件3号機の運転によって、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険が生じるおそれがあると主張する。 そこで、以下、順次検討する。 ⑵ 諸外国での実験結果やプロジェクト、我が国の水蒸気爆発に関するレポートについてア諸外国で実施されたFCI実験の結果について原告らは、諸外国で「圧力容器内を対象に溶融物が水プールに落下した場合の水蒸気爆発の発生の有無を調べること等」を目的とした実験、具体的には、FARO(欧州委員会共同研究センター(JRC)のスラブ研究所における実験)、KROTOS(FARO計画の一環として行われた実験)、COTELS(原子力発電技術機構(NUPEC)が行った実験)、TOROI(韓国原子力研究所(KAERI)における実験)が実施されていること及びその結果からすれば、溶融炉心と水の接触により水蒸気爆発が起こり得るといえると主張する。 しかしながら、COTELS及びFAROでは、水蒸気爆発を誘発する外部トリガーが加えられておらず、水蒸気爆発は発生していない。また、KR OTOSでは、一部で外部トリガーが加えられ(150気圧の圧縮ガスを放出する(乙305(3~4頁))、その一部において水蒸気爆発が発生しているが、本件3号機において、原子炉格納容器内に厳しい事象が発生したと想定した場合の圧力ですら約3.4気圧にとどまっており(乙13(10-7-2-10~10-7-2-19頁、10-7-2-106~10-7-2-112頁、10-7-2-217頁の第7.2.1.1.9図))、原子炉格納容器下部キャビティでも大きな圧力変化は生じていないと想定されている(乙13(追補2.Ⅲ「第3部MAAPコード」添付2溶融炉心と 12頁、10-7-2-217頁の第7.2.1.1.9図))、原子炉格納容器下部キャビティでも大きな圧力変化は生じていないと想定されている(乙13(追補2.Ⅲ「第3部MAAPコード」添付2溶融炉心と冷却水の相互作用について3.2-34頁の図5-1-4、同3.2-37頁の図5-2-4、同3.2-40頁の図5-3-4、同3.2-43頁の図5-4-4))。さらに、TOROIでは、外部トリガーが加えられた(爆薬による90気圧程度の圧力がかけられた)場合に水蒸気爆発が生じているが、外部トリガーを与えていないケースにおいても水蒸気爆発が発生しているところ、その場合は、溶融物温度(炉心溶融する温度)が3500~3800K、過熱度(溶融してから上昇する温度)が830~1130Kという条件になっていると解され(甲E7、甲E11の2、乙309、乙310)、実機を模擬した解析結果や論文あるいは福島原発事故時の福島第一原子力発電所の炉心については、溶融物温度は最高で3000Kまで、過熱度は300K程度とされている(甲E12の1(13頁)、甲E12の2(13頁)、乙13(10-7-2-216頁)、乙308(34頁)乙629(13頁、30頁、46頁))ことからすれば、実機にはない高過熱度が加えられているといえる。 以上からすれば、前記各実験からは、実機では想定されない高圧あるいは高過熱度が設定された場合に、水蒸気爆発が発生しているということができる(乙311(別紙1の64頁))。 イセレナプロジェクト(甲E10~甲E12、乙404)について セレナプロジェクトとは、溶融炉心と冷却水の相互作用(FCI)に関連して残存する課題の解決を目指す国際的経済協力開発機構(OECD)事業であって、FCIのエネルギーレベルの理解と予測範囲をリスク管 セレナプロジェクトとは、溶融炉心と冷却水の相互作用(FCI)に関連して残存する課題の解決を目指す国際的経済協力開発機構(OECD)事業であって、FCIのエネルギーレベルの理解と予測範囲をリスク管理上望ましいレベルにするために、FCIの機序とエネルギーレベルの理解及び実機における構造物への荷重の規模を予想するための十分な信頼性を持つ手法のそれぞれの集束を目指すことを目的として掲げ、フェーズ1では、当時用いられていた荷重予測の計算コードの能力を評価し、コードの予測可能性に影響を与える不確かさを特定し、計算コードの予測能力を確認することを目的とし、フェーズ2では、必要に応じて、不確かさの解消のための解析的又は実験的事業を実行することを目的とした。そして、「圧力容器外SE爆発(水蒸気爆発)の計算による予測荷重は従来から報告された値よりも、幾らか小さくなったが、以前としてばらつきの大きいままである。この意味では、本事業で圧力容器外の水蒸気爆発に関する課題が決定的解決に至ったとは言えない」として、プロジェクトを終了した。 セレナプロジェクトは、実機内で水蒸気爆発が発生することを前提とした上で、計算コードの予測能力を確認すること等が目的であったため、実機内で水蒸気爆発が発生する可能性についての検証は行われておらず、また、いずれの試験においても水蒸気爆発を発生させるために外部トリガーとして強い圧力(実機で想定されない程度のもの)が付加されている。 なお、水蒸気爆発に関する分野の第一人者であり、セレナプロジェクトのフェーズ1の責任者であったoは、「どんな溶融燃料と冷却材の混合物でも十分なエネルギーが供給されれば水蒸気爆発は発生し得る。問題は、どれだけのエネルギーがあれば十分か、実験系の中で水蒸気爆発を発生させるに必要な外部刺激のエネル 、「どんな溶融燃料と冷却材の混合物でも十分なエネルギーが供給されれば水蒸気爆発は発生し得る。問題は、どれだけのエネルギーがあれば十分か、実験系の中で水蒸気爆発を発生させるに必要な外部刺激のエネルギーが、原子炉事故での炉心溶融の間に生じる内部事象の中に見出せるかどうかを確かめることである。過去の研究では、この点について結論が出ておらず、近い将来においても、この分野の研究の進展は ほとんど期待できない。このことが、次のように考える理由である。すなわち、水蒸気爆発のリスクについての現在の研究では、FCIがあれば水蒸気爆発は必ず起きると考える。そして、周辺の構造に関しての結果を査定する。 このことが水蒸気爆発に耐性を持つ構造をデザインし、さらに、それに応じて過酷事故処理戦略を明確にする助けとなる。」旨の見解を発表している(甲E31の1・2)が、現在までにこの問題に関する新たな論文は出ていない。 ウ JAEAレポートについてJAEAレポートは、水蒸気爆発による格納容器破損シナリオのうち、原子炉(圧力)容器内の場合は、炉内の熱水力条件が強い水蒸気爆発の発生しにくい条件であるため、リスクの観点で解決済と考えられている一方、原子炉(圧力)容器外(原子炉格納容器内)の場合は、溶融炉心が比較的低圧で高サブクール度の大量の冷却水と接触する(溶融炉心の温度と冷却水の温度の差が非常に大きい状態で溶融炉心と冷却水が接触する)可能性があり、強い水蒸気爆発の発生可能性を除外できず、また、原子炉(圧力)容器外における水蒸気爆発による格納容器破損のシナリオは炉型に強く依存し一般的な結論を導き難く個別に評価する必要があるとして、日本で想定されている典型的な軽水炉を想定したモデルプラントにおいて、水蒸気爆発が起きた場合の負荷の確率分布及び格納容器破損確率分 に強く依存し一般的な結論を導き難く個別に評価する必要があるとして、日本で想定されている典型的な軽水炉を想定したモデルプラントにおいて、水蒸気爆発が起きた場合の負荷の確率分布及び格納容器破損確率分布を評価することを目的として、作成されたものである(甲E13(ⅰ頁、1頁、33頁))。 JAEAレポートは、水蒸気爆発が起こることを前提とする確率評価を目的とするものであって、実機において水蒸気爆発が起こる可能性について検証するものではないため、実機で想定されない40MPa(400気圧)の圧力をトリガーとして用いている(甲E13(22頁、34頁))。 エ以上の実験結果等からすれば、原子炉格納容器内で溶融燃料と冷却材が接触した場合には、「十分なエネルギーが供給されれば」水蒸気爆発は発生することを前提に、水蒸気爆発を発生させるに必要なエネルギーが原子炉格納 容器内の内部事象の中に見出せるかとの課題や、原子炉格納容器内において水蒸気爆発が起こった場合に同容器が破損する可能性があるかとの課題を解明するための実験や分析が世界的になされている事実、外部トリガーにより高圧力をかけるか高過熱度とするかした場合、すなわち実機内では想定できない条件下にある場合の一部で原子炉格納容器内において水蒸気爆発が発生した事実は認定できる。しかしながら、そのことをもって、実機である原子炉格納容器内で溶融燃料と冷却材が接触した場合に水蒸気爆発が発生する可能性があるとの事実までは認定できず、したがって、被告が再稼働申請において「実機において水蒸気爆発が発生する可能性は極めて低いと考えられる」とし、原子力規制委員会が、被告に追加説明を求めた上で、「被告による事故シーケンス等の選定が適切であり、重大事故等対策の有効性評価が妥当である」、すなわち「原子炉格納容器の破 めて低いと考えられる」とし、原子力規制委員会が、被告に追加説明を求めた上で、「被告による事故シーケンス等の選定が適切であり、重大事故等対策の有効性評価が妥当である」、すなわち「原子炉格納容器の破損等を防止するための必要な措置」が講じられている(設置許可基準規則37条2項参照)あるいは「原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な手順等が適切に整備されている」(重大事故等防止技術的能力基準Ⅱ.1.8参照)と判断したことが不合理である、あるいは、そもそも「溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備」として「原子炉格納容器下部注水設備を設置すること。」(すなわち、溶融燃料と冷却材とを接触させる方法で炉心を冷却させること)を掲げること(設置許可基準規則解釈51条1項a)参照)が基準として不合理であるということはできない。 なお、原告らは、原子力規制委員会は本件3号機の再稼働許可をするに際して最新の知見であるセレナプロジェクトの成果を検討していなかったのであるから、最新の科学的知見を参照せずに再稼働許可をすることとした原子力規制委員会の判断は不合理であって、本件3号機の運転は安全性を欠くことになる旨主張する。しかしながら、原告らも主張するとおり、原子力規 制委員会はセレナプロジェクトに関するパブリックコメントに対して回答していること(甲E22の1・2参照)、前記イのとおり、セレナプロジェクトは、水蒸気爆発の発生を前提としていたため実機内で想定されない程度の外部トリガーを付加して実験を行っている上、結局、水蒸気爆発に関する課題に対する解決を与えられないまま終了していることからすれば、前記の回答以上に、原子力規制委員会がセレナプロジェクトについて言及 外部トリガーを付加して実験を行っている上、結局、水蒸気爆発に関する課題に対する解決を与えられないまま終了していることからすれば、前記の回答以上に、原子力規制委員会がセレナプロジェクトについて言及していないとしても、そのことをもって、原子力規制委員会が最新の知見を検討しないまま再稼働許可をしたということはできず、少なくとも最新の知見による解決策(セレナプロジェクトではこれが示されていない。)を検討していないということはできないから、原告らの上記主張は採用できない。 ⑶ 諸外国がコアキャッチャーを導入していることについて原告らは、諸外国が「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)対策として、冷却水を用いないコアキャッチャーの設置という方法を採用していることをもって、諸外国が水蒸気爆発発生の危険性を認識していることは明らかであると主張する。なお、2016年3月の「原子力発電所の設計のためのIAEA安全要件の適用に関する考慮事項」(甲E23の1・2)には、「格納容器の障壁性に損傷を与えかねない水蒸気爆発を排除するために望まれる方法は、如何なる想定事故シナリオにおいても、溶融炉心の水中落下を避けることであり、炉心溶融物が水中に落下するシナリオの場合、水蒸気爆発による格納容器の健全性に対するリスクが事実上排除されていることが証明されなければならない」旨の記載がある。 しかしながら、諸外国が、既設のコアキャッチャーの設置されていない原子炉格納容器機について、コアキャッチャーを設置させたことを示す証拠はないこと(乙311(別紙2の9頁参照))、IAEAが全世界に対し、既設のコアキャッチャーの設置されていない原子炉格納容器について、コアキャッチャーを設置するよう要求していることを示す証拠はないことからすれば、諸外国や ))、IAEAが全世界に対し、既設のコアキャッチャーの設置されていない原子炉格納容器について、コアキャッチャーを設置するよう要求していることを示す証拠はないことからすれば、諸外国や IAEAが、今後建設する原子炉格納容器にコアキャッチャーの設置という方法を採用するとの方針を掲げているということはできるとしても、現時点で「原子炉格納容器下部のキャビティに水を張り、そこに原子炉容器を徒過し落下してきた溶融炉心を落とし込む方法」を否定し、同方法では水蒸気爆発が発生し、格納容器が破損する具体的危険性があると認識しているということはできない。 ⑷ 福島第一原子力発電所2号機における水蒸気爆発の可能性について原告らは、福島第一原子力発電所2号機において水蒸気爆発が発生した可能性が否定できないため、本件3号機における水蒸気爆発発生の可能性も否定できない旨主張する。 しかしながら、そもそも、福島第一原子力発電所において水蒸気爆発が生じたことを客観的に裏付ける資料はない。また、仮に原告らが指摘する水蒸気爆発を検討するとしても、同水蒸気爆発は原子炉(圧力)容器内におけるものである(甲E25(87頁))ところ、原子炉(圧力)容器内の水蒸気爆発については、原子炉格納容器の破損及びそれによる放射性物質の大量放出につながるリスクは解決済とされている(セレナプロジェクトのフェーズ1総括(甲E11の2(39頁)、JAEAレポート(甲E13(1頁))。そうすると、仮に原告らの主張するとおり、福島第一原子力発電所2号機の原子炉(圧力)容器内において水蒸気爆発が発生していたとしても、そのことをもって、本件3号機の原子炉格納容器内で水蒸気爆発が発生し、これにより同容器が破損し、工場等外に放射性物質が大量放出される具体的危険性があるということはできない。 が発生していたとしても、そのことをもって、本件3号機の原子炉格納容器内で水蒸気爆発が発生し、これにより同容器が破損し、工場等外に放射性物質が大量放出される具体的危険性があるということはできない。 ⑸ よって、水蒸気爆発に関する原告らの主張を採用することはできない。なお、原告らは水蒸気爆発に関してそのほかにもるる主張するが、いずれも採用の限りではない。 8 争点8(外部人為事象に対する安全対策)について ⑴ 原発事故を発生させる事象としては、前記の地震、津波等の自然災害事象のほか、外部人為による事象(飛来物(航空機落下等)、ダムの崩壊、近隣工場等の火災等(以上、故意によらないもの)、テロリズムによる攻撃等(以上、故意によるもの))が想定されるところ、設置許可基準規則はこのような外部人為事象に対する安全性の確保の検討も求めている(同規則6条3項、7条参照)。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、外部人為事象に対する安全対策の一部として、①伊方原子力発電所内の航空機落下確率が、航空機落下確率評価基準において防護設計を要することとなる基準(10-7(回/炉・年))を超えなかったため、航空機落下に対する防護を設計上考慮する必要はないとし、②敷地内へ航空機が落下した場合の火災発生に対しては、外部火災影響評価ガイドに則り、本件3号機の安全機能が損なわれないような設計としたとし、③テロリズムによる攻撃に対しては、攻撃により発生する事故に対応する対策を講じたとして原子力規制委員会に再稼働申請を行い(その要旨は、別紙「外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容」記載(ただし、第2の1⑵を除く。))のとおり。)、原子力規制委員会は、安全施設の安全機能が損なわれない方針としているあるいは設置許可基準規則に適合している 対する安全対策に関する再稼働申請等の内容」記載(ただし、第2の1⑵を除く。))のとおり。)、原子力規制委員会は、安全施設の安全機能が損なわれない方針としているあるいは設置許可基準規則に適合しているとして(乙16(56~57頁、71~72頁、75~77頁、80~83頁、422~427頁))、再稼働許可をした。なお、被告は、平成29年にテロリズムによる攻撃に対する人的対策としての従業員の信頼性確認制度を導入し、同年10月31日付けで原子力規制委員会の認可を得て(乙201)、その翌日から運用を開始している。また、テロリズム攻撃事象に対する特定重大事故等対処施設(設置許可基準規則2条2項12号)については、令和2年に別紙「外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容」第2の1⑵のとおりの内容で設置等に関する申請等を行い、原子力規制委員会の許認可処分を受け、さらに使用前検査を終了し、供用を開始している(乙649~乙655)。 これに対し、原告らは、外部人為事象のうちの上記の点(航空機落下事象、 航空機落下による火災事象及びテロリズム攻撃事象)について、各基準等がいずれも安全性基準としての合理性を欠くか、安全性基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断が合理性を欠いており、対策として不十分であるため、放射性物質漏出・拡散の危険性が具体的に存在し、ひいては、原告らの生命、身体、健康等を侵害する具体的危険が生じると主張する。そこで、以下、順次検討する。 ⑵ 航空機落下確率につき不適切であるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、伊方原子力発電所内の航空機落下確率は航空機落下確率評価基準において防護設計を要することとされる10-7(回/炉・年)を超えていないとの結果が算出されたとする。しかし、このような結 告らは、「被告は、伊方原子力発電所内の航空機落下確率は航空機落下確率評価基準において防護設計を要することとされる10-7(回/炉・年)を超えていないとの結果が算出されたとする。しかし、このような結果が算出されたのは、被告が、自衛隊機又は米軍機の基地内での事故を対象外としたり、有視界飛行方式民間航空機の落下事故や訓練区域内で訓練中及び訓練空域外を飛行中の自衛隊機又は米軍機の落下事故について全国平均値を用いたり、小型機であることや事故による損傷が中破・小破あるいは損傷なしであることや滑走中や地上での事故であることなどを理由としてこれらを対象外としたりすることで、ひたすら確率を下げる仕組みを採用した結果にすぎない。したがって、基準値を下回る結果が算出されたとしても、そのことをもって、安全性の基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断に合理性があったということはできず、その運転は安全性を欠くというべきである。」旨主張する。 しかしながら、自衛隊機又は米軍機の基地内での事故を伊方原子力発電所敷地内における航空機落下事故の確率を算出する際に検討すべき合理的理由はない。また、自衛隊機及び米軍機については、国土交通省により原子力関係施設付近での訓練が規制され、米軍もこれを周知徹底する旨の回答をしていること(乙200)、有視界飛行方式民間航空機については、原子力関係施設付近の上空での最低安全高度以下の高度での飛行に係る国土交通大臣の許可(航空法81条ただし書)は与えられないことになっている上(乙199)、機長は、出 発前に航空情報を確認することとなっているが(航空法73条の2)、航空情報には原子力施設の場所及びその概要が含まれており、原子力施設上空の飛行をできる限り避けるよう周知徹底が図られており、かつ、原子炉施設には灯火が設置 ることとなっているが(航空法73条の2)、航空情報には原子力施設の場所及びその概要が含まれており、原子力施設上空の飛行をできる限り避けるよう周知徹底が図られており、かつ、原子炉施設には灯火が設置され、機長の視認性の向上が高められていること(航空法75条参照)(乙198(解説―2~3頁))からすれば、本来は原子力関係施設における航空機落下事故の確率は全国平均値よりも低くなるはずのところを、同確率について全国平均値を採用していることは、むしろ保守的な値を採用したものといえる(乙198(解説―8~9頁))。さらに、原告らが対象外とすべきではないとした事故(小型機の事故、中破・小破あるいは損傷なしの事故、滑走中や地上での事故など、原子力関係施設への航空機落下に繋がるとは想定されない事故)が、航空機が原子炉施設に落下する確率を算出するに当たって想定されなければならない事象ということはできない。したがって、原告らの主張は採用しない。 ⑶ 航空機の伊方原子力発電所敷地内落下に伴い発生する火災につき不適切であるとの原告らの主張について原告らは、「外部火災影響評価書ガイドは、原子力発電所敷地に航空機が落下することを設計上考慮しない場合における、敷地外の航空機の落下の際の火災を考慮する基準に過ぎず、敷地内の航空機落下に耐えられることを示す基準ではないから、新規制基準は航空機の伊方原子力発電所敷地内落下に伴い発生する火災についての安全性基準としての合理性を欠く」旨主張する。 しかしながら、外部火災影響評価書ガイドは、航空機落下に伴う火災について、発電所敷地内に航空機が落下する場合には、その発火点は敷地内とすることとしており(甲D4(3頁))、被告も敷地へ航空機が落下して搭載された全燃料が発火した場合を想定して火災発生から燃料燃えつきまでの間の外壁等 内に航空機が落下する場合には、その発火点は敷地内とすることとしており(甲D4(3頁))、被告も敷地へ航空機が落下して搭載された全燃料が発火した場合を想定して火災発生から燃料燃えつきまでの間の外壁等の温度が許容値以下となるような設計をしたとして再稼働申請をし、この点について原子力規制委員会の確認を得ているのであるから(乙13(8-1-3 73~8-1-376頁)、乙16(75~77頁))、外部火災影響評価書ガイドが「敷地外」の航空機の落下の際の火災の考慮基準であることを前提とする原告らの主張は採用の限りではない。 ⑷ テロリズム攻撃事象への対策として不適切であるとの原告らの主張についてア設置許可基準規則にテロリズム攻撃事象に対する安全確保対策規定がなく、原子炉等規制法1条に対応していないとの原告らの主張について原告らは、設置許可基準規則6条3項はテロリストの故意による攻撃を排除しているため、テロリズムによる事故発生について必要な規制を行うこととする原子炉等規制法1条に対応していないから、外部人為事象のうちテロリズム攻撃事象に対する安全確保に関する規律がない旨主張する。 しかしながら、設置許可基準規則7条は故意による原子炉施設への人や物の不法侵入・不法持込みへの対策を求めているのであるから、設置許可基準規則がテロリズムによる故意による攻撃についての規制を置いていないということはできない。 また、確かに、原子炉等規制法1条はテロリズム等の発生も想定した規制を行う旨規定し、原子力災害対策特別措置法3条は、原子力事業者に原子力災害の拡大防止等について誠意をもって必要な措置を講じる責務がある旨規定しているが、原子炉等規制法43条の3の6第1項3号は、原子力発電所を設置しようとする者に、独自にテロリズムによる攻撃を防止しあ 災害の拡大防止等について誠意をもって必要な措置を講じる責務がある旨規定しているが、原子炉等規制法43条の3の6第1項3号は、原子力発電所を設置しようとする者に、独自にテロリズムによる攻撃を防止しあるいは鎮圧することは求めておらず、攻撃による重大事故の発生及びその拡大の防止のための措置を求めているにすぎないことからすれば、原子炉等規制法1条の「テロリズム等の発生も想定した規制」とは、テロリズムに対する予防及び鎮圧等のための規制ではなく、テロリズムによる攻撃により発生する重大事故及びその拡大の防止のための規制と解するのが相当である。そもそも、テロリズムに対する予防及び鎮圧等は、基本的には警察の責務とされ(警察 法2条1項参照)、また、テロリズムの攻撃等が想定される場合には、国が、主導的役割をもって「警備体制の強化、原子力事業所における深層防護の徹底、被害の状況に応じた対応策の整備その他原子力災害の防止に関し万全の措置を講」じつつ、関係機関と相互に連携協力して事態に対処することとされているのであるから(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律105条、原子力災害対策特別措置法4条1項、4条の2等参照)、原子力事業者としては、敷地内等の警備体制を強化し、テロリズムの攻撃等により発生することが想定される原子力発電所事故に対する対応策を整備すれば足りるというべきである。そして、テロリズム等により発生した事故への対策に関しては、重大事故等防止技術的能力基準(乙765)により、その整備に関する規律が置かれており、原子力事業者としては設置許可申請あるいは再稼働申請に関して同基準に適合していることを示す必要があることとされているのであるから、設置許可基準規則を含む新規制基準が原子炉等規制法1条に対応できていないとの原告らの ては設置許可申請あるいは再稼働申請に関して同基準に適合していることを示す必要があることとされているのであるから、設置許可基準規則を含む新規制基準が原子炉等規制法1条に対応できていないとの原告らの主張も採用できない。 なお、被告は設置許可基準規則7条あるいは重大事故等防止技術的能力基準を踏まえてテロリズム等により発生した事故への対策を講じた等として再稼働申請をし、原子力規制委員会の確認を得ている(乙13(8-1-484~8-1-485頁)、乙16(82~83頁、276~278頁))。 イテロリズム攻撃事象への対策とされる特定重大事故対処施設につき不適切であるとの原告らの主張について原告らは、テロリズム攻撃事象への対策とされる特定重大事故対処施設は、故意による攻撃の場合に放射性物質が発電用原子炉施設外に放出されることを容認した上での施設にすぎないし、その具体的内容は全て機密として扱われており、安全性が担保されているかどうかの判断をすることができないものであるから、新規制基準における特定重大事故対処施設が存在することによって、安全性の基準に適合するとした原子力規制委員会の審査及び判断 に合理性が認められるということはできない、と主張する。 しかしながら、テロリズム対策である特定重大事故対処施設の詳細が公開されていないことについては、その性質上当然のことといえるから、公開されていないことをもって安全確保に欠けることになるものではない。 9 争点9(その他安全確保対策)について⑴ 発電用原子炉の運転における安全確保のためには、争点3~8記載の各種事象についての対策が講じられる必要があるが、原子力発電所の各種設備等の不備等や各種設備等に関する人為的ミス等についても対策が講じられる必要がある。前記第2の2⑶記載 ためには、争点3~8記載の各種事象についての対策が講じられる必要があるが、原子力発電所の各種設備等の不備等や各種設備等に関する人為的ミス等についても対策が講じられる必要がある。前記第2の2⑶記載のとおり、地震や津波による電源喪失により安全対策機能であった冷却機能が働かなくなったこと等により発生した福島原発事故を踏まえ、原子炉等規制法が改正され、新規制基準が定められたが、このうち原告らの主張との関係でいえば、設置許可基準規則10条(誤操作の防止措置)、12条(安全機能の確保、安全機能設備についての多重性、多様性及び独立性の確保等)、33条(非常用電源設備等についての多重性、多様性及び独立性の確保等)37条~43条(運転時の異常な過度変化及び設計基準事故を超える重大事故等への対処)、57条(電源喪失により重大事故等が発生した場合の対策)、58条(計測機器によるパラメータの計測が困難となった場合における対策)等が定められている。 被告は、本件3号機の再稼働申請に当たり、前記3~8記載の各種事象に対する安全対策の他に、原子力発電所内部の安全確保対策(異常事態の発生を防止する対策、異常事態が発生したことを早期に検知する対策、異常事態が発生した場合に、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という方法による安全確保対策)を講じあるいは福島原発事故を踏まえて強化させたとし、また、重大事故等発生時の体制及び手順を整備した上で、的確に対応できるよう教育及び訓練を計画的に実施することとしたとし(その要旨は、別紙「その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容」記載のとおり。)、原子力 安全委員会はその内容が新規制基準に適合していることを確認したとして(乙16(85~95頁、119~265頁、273頁、275~278頁、28 働申請の内容」記載のとおり。)、原子力 安全委員会はその内容が新規制基準に適合していることを確認したとして(乙16(85~95頁、119~265頁、273頁、275~278頁、284~288頁、380~381頁、384~394頁))、再稼働許可をした。 これに対し、原告らは、①安全確保対策用の機械設備が故障するあるいは人為的ミスが生じることにより、当該設備において想定されていた安全確保対策が発動されない可能性があり、そのような可能性についての対策が講じられていないため、被告の安全対策は不十分である旨、②被告は、異常事態の発生を防止する対策、異常事態が発生したことを早期に検知する対策、異常事態が発生した場合に、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という方法による安全確保対策を講じあるいは強化し、原子力規制委員会による確認を得ていると主張するが、❶原子炉の自己制御性、❷原子炉トリップ信号の作動性、❸崩壊熱の除去性、❹原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時の原子炉冷却手段、❺外部電源喪失時の電源確保、❻ECCSの作動性、❼原子炉格納容器スプレイ設備の点においていずれも不十分である旨、その結果、原告らの生命、身体、健康等への侵害の具体的危険性が生じている旨主張している。そこで、以下、順次検討する。 ⑵ 安全確保対策用の機械設備が故障するあるいは人為的ミスが生じることにより、当該設備において想定されていた安全確保対策が発動されない可能性があり、そのような可能性についての対策が講じられていないため、被告の安全対策は不十分であるとの原告らの主張についてア原告らは、機械設備の故障や人為的ミス等により安全対策設備が不作動や誤作動を起こし、想定されていた安全確保対策が機能しない可能性がある旨、発電用原子炉施設のような るとの原告らの主張についてア原告らは、機械設備の故障や人為的ミス等により安全対策設備が不作動や誤作動を起こし、想定されていた安全確保対策が機能しない可能性がある旨、発電用原子炉施設のような万が一にも大規模な事故を起こしてはならない設備についてはどこまでも深く対策を講ずるべきであるが、その点で被告の行った安全確保対策は不十分である旨主張する。そして、具体的には、①被告は、余裕を持たせた評価を行うことで、設置許可基準規則12条が求める 共通要因故障(二以上の系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因による故障)の発生の防止をしていると主張するが、防止ではなく発生の可能性を小さくしようとしているにすぎない上、想定した条件を超える事態が生じ得ることに対して講じられるべき多重防衛による対策を講じていないのであるから、被告の起こった安全確保対策は不十分である、②被告は、偶発的な機器の故障や人的ミス等の発生を完全に排除することは物理的に不可能であることから、異常発生防止策を講じつつ、偶発的な機器の故障や人的ミス等は発生するものとして(単一故障の仮定)、安全上重要な設備について、多重性、多様性、独立性を有する設備とすることで、偶発的な故障や人的ミス等が発生した結果、ある特定の機器が有していた安全機能を喪失したとしても、別の機器が有する安全機能を損なうことを防止していると主張するが、現実問題として、多重性や多様性、独立性を確保することは困難な場合があり、2つ以上の機器類の同時故障や人的ミス等の可能性をなくすことはできない以上、想定外の事故発生のリスクは残るから、被告の行った安全確保対策は不十分であると主張する。 しかしながら、前記⑴のとおり、被告は、設置許可基準規則等に従って対策(異常発生防止対策、異常拡大 ない以上、想定外の事故発生のリスクは残るから、被告の行った安全確保対策は不十分であると主張する。 しかしながら、前記⑴のとおり、被告は、設置許可基準規則等に従って対策(異常発生防止対策、異常拡大防止対策、放射性物質以上放出防止対策)を講じ、保安規定(乙78)を定め、機械設備の故障に関しては、定期的に起動試験等を行い健全性を確認するなどし、人為的ミスに関しては、人員配置、各種管理対策、手順書の作成、訓練等を行うなどすることとしたとして、再稼働申請を行い(乙13、乙78)、原子力規制委員会は、その内容について新規制基準に適合している旨の確認・判断をし、保安規定を認可している上、伊方原子力発電所には随時原子力規制庁による立入検査(原子炉等規制法68条参照。乙540参照)が行われているところであるから、原告らが指摘する点に関しては安全性が確保されていることについての推認が働くというべきである。原告らが、それでもなお本件3号機の運転が安全性を欠 き、原告らの生命、身体、健康等に対する具体的危険性があるというのであれば、原告らにおいて、上記の安全性の確保についての推認が覆されることについて具体的に反論反証すべきといえるが、その点に関する原告らの主張立証はないため、原告らの上記主張を採用することはできない。 イ原告らは、「被告は、異常発生防止対策の一環として、異常発生時に、放射性物質を『閉じ込める』ことにより、放射性物質の環境への大量の放出を防止すると主張する。しかし、結局は原子炉格納容器のみで閉じ込め機能を果たすことになっているところ、過酷事故時には、原子炉格納容器さえも種々の爆発や高温・高圧、格納容器のベント等により閉じ込め機能を失う可能性があるから、異常発生防止対策としては不十分である。」と主張する。 確かに、前記第2の2 過酷事故時には、原子炉格納容器さえも種々の爆発や高温・高圧、格納容器のベント等により閉じ込め機能を失う可能性があるから、異常発生防止対策としては不十分である。」と主張する。 確かに、前記第2の2⑶イ記載のとおり、福島第一原子力発電所では、放射性物質を「閉じ込める」ことが原子炉格納容器に期待された機能であったが、東北地方太平洋沖地震による地震や津波の影響で電源を喪失したこと等により、原子炉建屋の水素爆発、ブローアウトパネルの脱落等を起こし、原子炉格納容器は閉じ込め機能を失い、放射性物質が大量放出される事態が生じた。ただし、新規制基準、とりわけ設置許可基準規則及びこれに基づく同規則解釈はこれらを踏まえて制定されたものであり、本件3号機については、被告が同基準を踏まえて申請し、原子力規制委員会が同基準に適合していることを確認した上で運転再開しているのであるから、原告らの「福島原発事故に鑑みれば、過酷事故時には原子炉格納容器さえも閉じ込め機能を失う可能性がある」との指摘をもって、本件3号機について異常発生防止対策が不十分であるということはできない。 ⑶ 原子炉の自己制御性が常に働くとは限らないとの原告らの主張についてア原子炉の自己制御性とは別紙「原子力発電の仕組み」1のとおり、原子力発電は、ウラン235の原子核が中性子を吸収して核分裂を起こして中性子を発生させ、この発生し た中性子の一部が別のウラン235の原子核に吸収されて次の核分裂を起こすという核分裂連鎖反応によって、持続的に発生する核分裂時のエネルギーを取り出して、これを利用するものである。なお、別紙「原子力発電の仕組み」1のとおり、中性子を減速させた方が核分裂の確率は上がる。 本件3号機のような軽水型原子炉内には、炉心を冷却するとともに、原子炉内で発生したエネ 利用するものである。なお、別紙「原子力発電の仕組み」1のとおり、中性子を減速させた方が核分裂の確率は上がる。 本件3号機のような軽水型原子炉内には、炉心を冷却するとともに、原子炉内で発生したエネルギーを取り出すための一次冷却材である水が入れられているが、この水は、核分裂の確率を上げるために中性子を減速させるための減速材の役割も兼ねている(別紙「原子力発電の仕組み」3参照)。そして、水がその減速効果を発揮させれば、核分裂が促進されることになるが、核分裂時に発生するエネルギーにより冷却材でもある水の温度が上昇すると、水の密度が低下することになり、それにより中性子を減速させる効果が薄れ、結果として核分裂が抑制されることになる。これが、本件において当事者が指摘する「原子炉の自己制御性」である。 なお、本件3号機では、中性子を吸収しやすいホウ素を一次冷却材であり減速材である水に添加し、一次冷却材のホウ素濃度を調整することによって、原子炉内の中性子の数を調整し、核分裂の連鎖を安定した状態になるようにしている(別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構成」1⑶ア参照)。 イ原告らは、次のような理由から、本件3号機の自己制御性が働かない可能性があると主張する。すなわち、①原子炉の自己制御性を維持するには、減速材温度係数(減速材である水の温度変化による原子炉内の中性子数の増減比(実効増倍率)の変化の割合を表す係数)を、減速材/冷却材の温度が上がるときには核反応が抑制され反応度が下がる負の状態にしなければならないところ、ホウ素濃度が高い状態で減速材/冷却材の温度が上昇すると減速材中のホウ素の密度が温度上昇による減速材の密度の低下とともに減少することによってホウ素による中性子の吸収が減少し、減速材温度係数が正になる(核分裂反応が増加する)ことがある の温度が上昇すると減速材中のホウ素の密度が温度上昇による減速材の密度の低下とともに減少することによってホウ素による中性子の吸収が減少し、減速材温度係数が正になる(核分裂反応が増加する)ことがあるため、常に核反応の自己制御性 が働くというわけではない。②運転停止中のループ(一次冷却材管により接続されることによって形成される巡回回路。本件3号機には3組ある。別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構成」2参照)において一次冷却材ポンプが誤作動した場合には、正の反応度に転化し、自己制御性が働かないことが考えられる。③減速材/冷却材の温度が急激に下がると、核反応が促進されるところ、メルトダウンが危惧される緊急時にはホウ酸水を入れる余裕がなく、冷たい真水を入れざるを得ないことも十分想定され、そのため核反応が促進されることが考えられ、このようなときには核反応の制御は非常に複雑になり、温度や圧力等様々な外乱があった場合には、核反応が急激に増加する事故が発生するリスクを生じるため、安易に自己制御性があるということはできない。④被告は、フェイル・セーフ・システム(構成部品の破損や誤作動・誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に動作するよう仕向けるような設計手法)やインターロック・システム(ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構とすることで、安全・保安を確保するシステム)を導入したというが、どこまで導入されているか不明であり、事故発生の可能性は否定し得ない。 しかしながら、①については、被告は、再稼働申請時に、本件3号機では、中性子の吸収効果が大きいガドリニア入り二酸化ウラン燃料を使用することなどによって、ホウ素濃度が高く温度も上昇した状態になっても、減速材温度係数が負の値になるようにしていると説明しているところ(乙1 中性子の吸収効果が大きいガドリニア入り二酸化ウラン燃料を使用することなどによって、ホウ素濃度が高く温度も上昇した状態になっても、減速材温度係数が負の値になるようにしていると説明しているところ(乙13(8-3-45~8-3-46頁)、乙400(136頁)参照、乙401、乙402(159頁)参照)、この説明に不適切な点は見出せない。なお、仮に減速材温度係数が正になりかねないような異常が生じれば、常時監視している各種パラメータの制限値を超え、原子炉トリップ信号が発信されて制御棒(中性子を吸収しやすい性質をもつ銀・インジウム・カドミウム合金を用いたもの)が挿入され、原子炉は自動停止することになる。 また、②については、被告は、本件3号機では通常運転中にループを停止する部分運転停止の予定はないが、仮に運転停止中のループの一次冷却材ポンプが誤作動を起こしたとしても、本件3号機では、定格熱出力運転(原子力の熱出力を定格値で一定に保って運転する方法)を行うこととなっている旨、仮に出力上昇が生じても、これを一時的なものにとどめ、すぐに安定な定常状態に戻ることを確認している旨、再稼働申請の際に説明している(乙13(10-2-25~10-2-27頁)参照)ところ、この説明に不備があることをうかがわせる証拠はない。 さらに、③については、一次系冷却材の喪失等によって注水の必要がある状況下では原子炉トリップによって中性子を吸収する(核反応を抑制する)制御棒が挿入されることになっている上、被告はあくまでホウ酸水が注水されるのが基本である旨主張することからすれば、原告らの「緊急事態には真水を注水せざるを得ない事態があり得、そのような場合には、核反応の制御が複雑かつ急激なものとなることが考えられる」との主張は、安全性を覆す反論反証足り得るものでは らすれば、原告らの「緊急事態には真水を注水せざるを得ない事態があり得、そのような場合には、核反応の制御が複雑かつ急激なものとなることが考えられる」との主張は、安全性を覆す反論反証足り得るものではない。 そして、④については、フェイル・セーフ・システムやインターロック・システムの導入程度が不明であることをもって、自己制御性が働かない可能性が生じることにはならない。 ⑷ 原子炉トリップ信号が発せられず、制御棒が挿入されない可能性があるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、検出器で異常を早期に検知するようにしており、検出器が検知した値が設定値を超えるなど異常な状態になった場合は、原子炉保護設備から原子炉トリップ(原子炉の運転中に異常が発生した場合に、制御棒を挿入して核分裂反応を速やかに停止させること)信号が発せられ、自動的に制御棒が挿入され、原子炉を緊急停止させると主張する。しかし、異常発生時に確実に機能する保証はないし、検出器が故障するとトリップ信号は発せられない 上、発せられたとしても、自重で挿入される制御棒が不作動や誤作動を起こす可能性があり、これにより原子炉を停止させられないことが考えられる。」旨主張する。 これに対し、被告は、再稼働申請時に、原子炉トリップ信号に関する設備は、多重性を備えたものであり、駆動源の喪失等に対し原子炉トリップをさせる方向に作動するよう設計されている(フェイル・セーフ)ほか、自動で原子炉トリップ信号が発せられない場合でも、異常なパラメータが観測された場合には、24時間体制で運転状況を監視している運転員によって、手動で原子炉トリップをさせることができる等と説明している(乙13(8-6-13~8-6-15頁、8-6-28頁、8-6-51~8-6-52頁、8-6-59~8-6-61頁 している運転員によって、手動で原子炉トリップをさせることができる等と説明している(乙13(8-6-13~8-6-15頁、8-6-28頁、8-6-51~8-6-52頁、8-6-59~8-6-61頁))。設備機器の故障等や人為的なミスに関しては、前記⑵記載のとおりであり、また、上記の説明に不備があることをうかがわせる事情は証拠上認定できないから、原告らの主張は採用できない。 ⑸ 崩壊熱の除去ができない可能性があるとの原告らの主張について原告らは、「被告は、原子炉が停止した後、崩壊熱(原子炉停止後にも続く核分裂生成物の崩壊により発生する熱)を、主給水ポンプ等を用いて、主給水ポンプ等が故障等により使用できない場合でも補助給水設備を使用するなどして、除去することができる」と主張するが、想定した範囲内の故障や事故に対する対策に限られている上、機器の故障や人為的なミスにより崩壊熱を除去できず炉心溶融するリスクがある旨主張する。 しかし、この点に関しても、前記⑵記載のとおりであって、原告らの主張は採用できない。 ⑹ 原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時の原子炉冷却手段に関する審査基準が合理性を欠くとの原告らの主張について原告らは、原子炉冷却材圧力バウンダリ(原子炉の通常運転時に、原子炉冷却材を内包して原子炉と同じ圧力条件となり、運転時の異常な過渡変化時及び 事故時の過酷な条件下で圧力障壁を形成するもの)高圧時の原子炉冷却手段に関する審査基準が合理性を欠く、具体的には、設置許可基準規則45条及び同規則解釈45条は、本件3号機のようなPWRの場合、「冷却機能喪失に備えて、タービン動補助給水ポンプにより冷却するため、現場での可搬型重大事故防止設備を用いた弁の操作により、その起動及び十分な期間の運転継続を行う可搬型重大事故防止設備等を の場合、「冷却機能喪失に備えて、タービン動補助給水ポンプにより冷却するため、現場での可搬型重大事故防止設備を用いた弁の操作により、その起動及び十分な期間の運転継続を行う可搬型重大事故防止設備等を整備する」ことを要求しているが、可搬型設備は手動によるところ、全電源を喪失し冷却機能も喪失するほどの状態であれば、手動による起動及び運転継続が可能かは極めて疑問である上、可搬式設備については、異変状態においては設備移動や屋外操作に困難を伴うため、常設型にすべきであるとの指摘もあることに鑑みれば、上記の要求は合理性を欠く、また、設置許可基準規則解釈45条1項⑴によれば、現場での人力による弁の操作ができる場合には、タービン動補助給水ポンプの起動は、可搬型重大事故防止設備を必要としないことになるが、常設設備であっても手動である限りは、安全性を欠くから、上記の規律は合理性を欠くと主張する。 しかしながら、新規制基準は、対応の柔軟性や耐震性の点で有利な可搬型設備を用いて重大事故等に対応することを基本として考えられている(乙102(4~5頁))ところ、原告らのいう「指摘」をもってそのような考え方が不適切なものとなるものではない。また、被告は、可搬型重大事故等対処設備について、車両型設備、ボンベ設備等の転倒評価、構造強度評価等の評価を実施し、基準地震動Ssによって重大事故等に対処するための機能を損なわないことを確認し、重大事故等が発生した場合の対応につき、手順書や体制、設備等を整備し、事故時の混乱の中でも迅速かつ適切に対応できるよう、様々な訓練を繰り返し行っている旨の申請を行い(乙13(10-5-11~10-5-35頁)、乙65、乙66)、再稼働申請はこれを踏まえて許可を得ている。したがって、原告らの「全電源を喪失し冷却機能も喪失するほどの状態であれば、 る旨の申請を行い(乙13(10-5-11~10-5-35頁)、乙65、乙66)、再稼働申請はこれを踏まえて許可を得ている。したがって、原告らの「全電源を喪失し冷却機能も喪失するほどの状態であれば、手動による操作は安全性を欠く」との抽象的指摘をもって、被告の対応が不適 切なものとなるものではない。 ⑺ 外部電源喪失の場合の電源確保が十分ではないとの原告らの主張についてア伊方原子力発電所では、発電機によって発生した電気を、送配電網を通じて各需要家に供給するほか、伊方原子力発電所内の機器を運転するために供給しているが、発電機の停止中は伊方原子力発電所内の機器を運転するのに必要な電気を外部電源から得ており、さらに外部電源が喪失した場合に備えて代替電源設備を設けている(別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構成」4参照)。 ところで、福島原発事故は、発電用原子炉の自動緊急停止による発電の停止、外部電源の喪失及び代替電源供給手段の損傷・喪失により、原子炉の冷却に関わる注水・減圧等ができなくなったことにより生じた。そこで、設置許可基準規則では、外部電源喪失の場合の電源確保に関する各種の規定を置いている(同規則12条、14条、33条、57条等)。原告らは、同規定に関して外部電源喪失の場合の電源確保等について被告が講じた対策が、以下のとおり不十分であると主張する。 被告は、外部電源が喪失した場合に備えて非常用電源を設置したと主張するが、非常用電源が確実に機能するとはいえない上、その燃料保有量を定格出力で3.5日分、最低必要な負荷を前提とすると7日分としているところ、この日数に確たる根拠はなく、福島原発事故を踏まえると、それ以上の日数分の燃料を保有すべきである。 被告は、本件各号機間で非常用電源を融通可能としたと主張するが、本件 と7日分としているところ、この日数に確たる根拠はなく、福島原発事故を踏まえると、それ以上の日数分の燃料を保有すべきである。 被告は、本件各号機間で非常用電源を融通可能としたと主張するが、本件各号機間で電源を融通可能とすることは、逆にトラブルが号機間をまたがって発生して事故が拡大するおそれがあるし、融通させる操作において人為的ミスが生じる可能性がある。 外部電源のバックアップとして機能すべき非常用電源設備である電源車やミニローリーなどの可搬型設備は手動によるものであるところ、全電 源を喪失したり冷却機能を喪失したりする状態の中で手動で起動及び運転継続ができるか極めて疑問である上、燃料枯渇や故障等の可能性があるし、運搬や移動、燃料補給に関して支障が生じる可能性がある。 被告は全交流動力電源が喪失した場合の対策として、ⓐ空冷式非常用発電装置及び非常用ガスタービン発電機による発電、ⓑタービン動補助給水ポンプによる2次系冷却手段、ⓒ充てんポンプ(自己冷却式)による炉心注水手段を挙げているが、いずれも以下のような問題がある。 ⓐのうち空冷式非常用発電装置については、海抜32mの場所に設置されており、動力用の燃料の重油タンクからミニローリーによって燃料補給をする必要があるが、非常時に確実に機能するとは考え難い。また、同発電装置の機能は7日間と設定されているが、福島原発事故を踏まえれば、対策として十分とはいえない。さらに、空冷式は大量の空気を取り入れて内燃機関を冷却するため、給気システムが健全であることが必要であるところ、火山灰等の大量降下により目詰まりする危険があり、その場合にはフィルタの交換不全などが考えられるため、信頼性が高くない。 ⓐのうち非常用ガスタービン発電機については、中央制御室から起動信号が発信されること、 大量降下により目詰まりする危険があり、その場合にはフィルタの交換不全などが考えられるため、信頼性が高くない。 ⓐのうち非常用ガスタービン発電機については、中央制御室から起動信号が発信されること、それを受ける制御盤が健全であること、既設非常用高圧母線へのケーブル等の接続が確保されていること、既設非常用高圧母線が正常に機能していること、十分な燃料があること、燃料油移送ポンプやガスタービン用燃料タンク、ガスタービン及び発電機が健全であること等が前提であって、いずれかに欠陥があれば機能しない可能性があるため、信頼性がない。 また、空冷式非常用発電装置にしても非常用ガスタービン発電機にしても、給電のための活動開始から非常用高圧母線受電までの所要時間が約30分とされているところ、30分でできる保証はないし、事故の状況によっては、30分で間に合わない可能性もあるし、いずれも遠隔操作による ところ、遠隔操作ができなくなることもあり得る上、基準地震動を超える地震が来たときには機能しない可能性がある。被告は、空冷式非常用発電装置と非常用ガスタービン発電機が共通要因によって同時に機能喪失しないように設計したと主張するが、位置的に近い部分では、火災や爆発的な事故が共通要因故障の原因になりうるし、非常用高圧母線や配電盤などが故障すれば、結果として同時に機能喪失することも考えられる。 ⓑについては、回転機械であるため、軸受けや軸封部などの軸回りのトラブルが発生する可能性がある上、一次系配管が破断したり、タービン動補助給水ポンプに問題が発生したり、補助給水タンク等の水源が確保されなくなったり、主蒸気逃し弁が機能しなかったりしたときには、2次系の冷却ができなくなる。 ⓒについては、過去、主軸が折れたり、通常は動作しない逃し弁が動作したりする事故 水タンク等の水源が確保されなくなったり、主蒸気逃し弁が機能しなかったりしたときには、2次系の冷却ができなくなる。 ⓒについては、過去、主軸が折れたり、通常は動作しない逃し弁が動作したりする事故が起こっている。 イしかしながら、原告らの主張は、いずれも以下のとおり、採用できない。 設置許可基準規則33条7項は、非常用電源設備及びその附属設備は、事故に対処するための機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない旨定め、同規則解釈33条7項は、同規則33条7項に規定する「十分な容量」とは、7日間の外部電源喪失を仮定しても、非常用ディーゼル発電機等の連続運転により必要とする電力を供給できることをいうとする(乙67)。そして、7日間と設定した理由については、福島原発事故の例では免震重要棟のガスタービン発電機の燃料供給に3日程度を要したため、より保守的に7日間と設定したとの説明がなされている(乙233(182頁))ところ、この点について不適切な点は見当たらない。加えて、被告は、燃料を7日分確保した上で、本件3号機に関しては、事故発生後6日間までに外部支援が受けられることを確認していること(乙313(57-8-3~57-8-4頁)、乙315(43-4頁)、 乙311(別紙1の41~42ページ))を踏まえると、原告らの指摘をもって、非常用電源の燃料保有量が不足しているということはできない。 本件各号機間での電源融通に関し、意図しないタイミングでの電気融通を防止するため、運転員が状況確認して手動で遮断器投入等を行うこととしているとの被告の対策(乙13(追補1.14-16~追補1.14-19頁)、乙315(57-7-15-~57-5-20頁))が、原告らの指摘を踏まえると、不十分あるいは不適切である 等を行うこととしているとの被告の対策(乙13(追補1.14-16~追補1.14-19頁)、乙315(57-7-15-~57-5-20頁))が、原告らの指摘を踏まえると、不十分あるいは不適切であるということはできない。 被告は、重大事故等が発生した場合の電源車やミニローリーなどの可搬型設備の運搬、移動、燃料補給等に支障がないような対策を講じているとし、その内容について原子力規制委員会の確認が得られているところ(乙13(338~342、8-1-18~8-1-24頁、8-1-609~8-1-611頁)、乙16(275~278頁)、乙65、乙313(57-8-1~57-8-15頁))、原告らの指摘をもってしても、その対策が不適切であるということはできない。 電源喪失の場合の対策の一つである空冷式非常用発電装置についての原告らの指摘は、確実に機能するとは考え難いあるいは機能の設定が7日間とされているのは不十分であるというものであるが、前者については前記⑵のとおりであり、後者については前記のとおりである。また、原告らは、空冷式非常用発電装置は大量の火山灰が降下する状況においては故障する可能性が高いと主張するが、被告は、空冷式は水冷用の冷却水を供給する海水ポンプ等が津波等で機能喪失しても機能を維持できるという長所を有するものであって、本件3号機は大規模な降灰があったときには非常用ディーゼル発電機によって電源を確保することとしているのであるから、降灰下で空冷式非常用発電装置が機能するかどうかを問題にする必要はない。 また、非常用ガスタービンに対する原告らの指摘は、いずれも設計時の 設定が想定どおりに機能しない場合を指摘するものにすぎず、前記⑵のとおりであって、対策として不十分であるということはできない。 常用ガスタービンに対する原告らの指摘は、いずれも設計時の 設定が想定どおりに機能しない場合を指摘するものにすぎず、前記⑵のとおりであって、対策として不十分であるということはできない。 さらに、空冷式非常用発電装置及び非常用ガスタービンに対する指摘は、いずれも確実に機能しない可能性があるという主張につきるところ、この点については前記⑵に記載したとおりである。 そして、タービンポンプによる2次系冷却手段や充てんポンプ(自己冷却式)による炉心注水手段についての原告らの主張は、設備のトラブルの発生可能性等の指摘にとどまっている上、被告は本件3号機の充てんポンプの主軸が損傷したとの事故について原因を突き止めて再発防止策を講じている(乙317~乙319)のであるから、原告らの指摘をもって安全性が確保されていないことになるものではない。 ⑻ ECCSが不動作、誤作動することについて被告が対応策を講じていないとの原告らの主張について原告らは、被告はLOCA(一次冷却材喪失事故)発生時の処置としてECCS(非常用炉心冷却設備)による蓄圧注入系、高圧注入系、低圧注入系による冷却を挙げるが、機器の故障等による不作動、誤作動があり得るし、実際、海外ではECCSの不作動や誤作動の事例が公表されているところ、被告がこれを踏まえた対応策を取っているということはできないと主張する。 しかしながら、前記⑵のとおり、不作動・誤作動の可能性があるという指摘をもって、被告の対策が不適切であることになるものではない。また、原告らが海外の事例として指摘する甲F第2号証は、「過去に経験したECCS作動事象の内から事象発生の経緯・原因等を調査し、その傾向を把握することにより、ECCSが作動するようなプラント状態に至った事象の再発防止策について考察」するため(甲 証は、「過去に経験したECCS作動事象の内から事象発生の経緯・原因等を調査し、その傾向を把握することにより、ECCSが作動するようなプラント状態に至った事象の再発防止策について考察」するため(甲F2(502頁))、1983年4月~1992年3月までの約10年間に米国ウエスティングハウス社型の加圧水原子炉(PWR)で発生した事象(機器の故障あるいは運転員等の不注意が原因となって温度・圧 力・流量・レベルが実際に変動することにより、ECCS作動信号が発せられた事象、及び、作動条件を充たす状態になっていないにもかかわらず、電気信号系の故障あるいは運転員等の不注意により作動信号が発せられた事象)の原因等を調査分析し、ECCSが実信号及び誤発信のいずれにおいても、ECCSが作動すべきプラント状態に至ればECCSが作動していることを示した上で、ECCS作動が要求されるようなプラント状態に至らないよう再発防止策を提示するものであるから、原告らが主張しようとする内容の裏付けとなるものではない。さらに、被告は、各種の試験及び検査等の保全活動を定期的かつ継続的に実施するとともに、点検や操作に当たっての手順書を定め、遵守することにより、ECCS機能の信頼性及びECCS操作の信頼性を確保している旨主張しているところ(乙13(8-5-36~8-5-37頁)、乙78(4-167~4-170頁、8-1~8-7頁、添付6)、乙320参照)、その内容が不合理であることをうかがわせるに足りる証拠はない。そうすると、原告らの指摘をもって、被告の対策が不十分あるいは不適切であるということはできない。 ⑼ 原子炉格納容器スプレイ設備が不十分であるとの原告らの主張について原子炉格納容器スプレイ設備とは、別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構造」5⑶のとおり、L 適切であるということはできない。 ⑼ 原子炉格納容器スプレイ設備が不十分であるとの原告らの主張について原子炉格納容器スプレイ設備とは、別紙「伊方原子力発電所の設備の基本構造」5⑶のとおり、LOCA等が発生した場合に、圧力上昇を抑え、放射性ヨウ素等を除去するための薬剤を添加されたホウ酸水を添加させる設備である。 原告らは、原子炉格納容器スプレイ設備について、故障等により作動しない可能性や争点7の水蒸気爆発により格納容器が破壊される可能性があること、充てんのための原子炉格納容器スプレイポンプの使用ができない場合には人為的に代替格納容器スプレイポンプにより冷却水を炉心に直接注入することとされているが、タイミングよく人為的に切り替えることができるのか疑問があることから、安全性が確保されているとはいえないと主張する。 しかしながら、故障等の可能性やタイミングよく人為的に切り替えられない 可能性に関しては、前記⑵のとおり、その指摘のみをもって安全確保対策として不十分であるといえることになるものではないし、水蒸気爆発の可能性に関しては前記7のとおりであるから、原告らの主張は採用できない。 ⑽ 原告らはその他にもるる主張するが、いずれも安全性の推認を覆すには足りないため、採用できない。 10 争点10(避難計画)について原告らは、被告の立てている避難計画には不備がある旨主張する。 しかしながら、前記3~9のとおり、被告が各論点について安全対策を講じたことを前提に再稼働申請等を行い、原子力規制委員会がこれについて新規制基準に適合している等の判断を行ったことにより安全性の確保が推認されるところ、原告らは、この推認を覆し、原告らの生命、身体、健康等が侵害される具体的危険性が存在するといえるほどの反論反証はできていない。したが している等の判断を行ったことにより安全性の確保が推認されるところ、原告らは、この推認を覆し、原告らの生命、身体、健康等が侵害される具体的危険性が存在するといえるほどの反論反証はできていない。したがって、具体的危険の発生を前提とする避難計画に関する争点10は検討するまでもない。 第7 結論以上のとおり、本件1・2号機については廃止措置作業が開始しているため、本件3号機については、その運転による原告らへの生命、身体、健康等への侵害についての具体的危険性が認められないため、原告らの請求はいずれも理由がないからいずれの請求も棄却することとし、主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官大浜寿美 裁判官長谷川健太郎 裁判官森谷謙太 当事者目録(139ページ~185ページ)は省略 別紙略語表 別紙略語表(五十音順、アルファベット順) [あ行]○J:J京都大学名誉教授○J・K(2001):J・K「シナリオ地震の強震動予測」地学雑誌110号849頁(2001)(甲B213)○J・Kの手法:J・K(2001)(甲B213)の地震モーメントにLandM(2000)(甲B212の1)の平均応力降下量を組み合わせて用いる手法○B:B高知大学総合研究センター防災部門特任教授○n:n和光大学教授 [か行]○外部火災影響評価ガイド:「原子力発電所の外部火災影響評価ガイド」(原規技発第13061912号)(甲D4)○sほか(2003) 任教授○n:n和光大学教授 [か行]○外部火災影響評価ガイド:「原子力発電所の外部火災影響評価ガイド」(原規技発第13061912号)(甲D4)○sほか(2003):sほか「日本列島と周辺海域の地震地体構造区分」地震第2輯第55巻389-406頁(2003)(乙191)※ ウェブサイト掲載に当たって省略した部分に記載されていた略語については省略(省略前の別紙略語表は224ページまで。) 別紙略語表 ○火山ガイド:「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(原規技発第13061910号)。なお、その後改訂が重ねられているが、改訂の前後を通じて「火山ガイド」という(甲C1、乙216、乙233、乙431参照)。 ○賀祥ダム監査廊:鳥取県にある賀祥ダムの監査廊○「活断層の長期評価手法」報告書:地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価部会「暫定版「活断層の長期評価手法」報告書」(2010年)(乙185)○qほか(2004):qほか「震源を事前に特定できない内陸地殻内地震による地震動レベル-地質学的調査による地震の分類と強震観測記録に基づく上限レベルの検討-」日本地震工学会論文集第4巻第4号46頁(2004)(乙29)○基準地震動:地震動とは、地震の発生によって放出されたエネルギーが特定の地点に到達し、地点の地盤を揺らす場合の当該揺れのことを指すが、このうち、原子力発電所の耐震設計において基準とすべき地震動○基準地震動Ss:基準地震動S1及び基準地震動S2を一本化したもの。基準地震動の策定の際に、震源として考慮する活断層の活動時期の範囲が拡張されるとともに、基準地震動の策定方法が当時の科学的・技術的知見に基づき、安全上重要な施設・設備の耐震設計におい 本化したもの。基準地震動の策定の際に、震源として考慮する活断層の活動時期の範囲が拡張されるとともに、基準地震動の策定方法が当時の科学的・技術的知見に基づき、安全上重要な施設・設備の耐震設計において基準とする地震動として、敷地周辺の地質・地質構造並びに地震活動性等の地震学的及び地震工学的見地から施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生 別紙略語表 する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切なものを策定しなければならないと定められ、発電用原子炉施設のうち重要施設(耐震重要度分類がSクラスの施設)は、基準地震動Ssに対してその安全機能を保持できることが必要である旨定められた。 〇クロトス:KROTOS。欧州JRCがイスプラ研究所において行った実験で,あえてトリガーを与える実験を実施している。KROTOSはギリシャ語で爆発を意味する。 ○慶長豊予地震:1596年(慶長元年)9月(閏7月)に発生した別府湾を震源とする地震○原子力安全基盤機構:独立行政法人原子力安全基盤機構○原子炉設置許可:原子炉等規制法(後記参照)43条の3の5第1項において求められている、発電用原子炉を設置しようとする者が原子力規制委員会から受けなければならない許可○原子炉設置変更許可:原子炉等規制法(後記参照)43条の3の8第1項において求められている、設置した発電用原子炉に関する変更を行おうとする者が原子力規制委員会から受けなければならない許可○原子炉等規制法:「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年法律第166号)。福島原発事故(後記参照)を踏まえ、平成24年 別紙略語表 6月27日法律第47号等により改正されているが 燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(昭和32年法律第166号)。福島原発事故(後記参照)を踏まえ、平成24年 別紙略語表 6月27日法律第47号等により改正されているが、改正の前後を通じて、「原子炉等規制法」という。 ○航空機落下確率評価基準:「実用発電用原子炉施設への航空機落下確率に対する評価基準」(平成14・07・29原院第4号(平成14年7月30日原子力安全・保安院制定)(甲D2、乙198))。なお、平成21年6月25日に一部改正がなされているが(平成21・06・25原院第1号(平成21年6月30日原子力安全・保安院制定)(甲D3))、改正の前後を通じて「航空機落下確率評価基準」という。 ○工事計画認可:原子炉等規制法43条の3の9第1項において求められている、発電用原子炉施設の設置又は変更の工事に着手する前に、当該工事の設計及び工事の方法その他の工事の計画について原子力規制委員会から得なければならない認可〇コテルス:COTELS。財団法人原子力発電技術機構がカザフスタン国立原子力センターにおいて行った実験。COTELSはCoolabilityTestwithLAVA/SLAVAの略称。 [さ行]○再稼働申請:新規制基準(後記参照)制定後最初に行われた新規制基準への適合性確認に係る原子炉設置変更許可、工事計画認可及び保安規定変更認可(後記参照)の各申請を併せたもの○yほか(2013) 別紙略語表 :yほか「物理探査・室内試験に基づく2004年留萌支庁南部の地震によるK-NET港町観測点(HKD020)の基盤地震動とサイト特性評価」電力中央研究所報告(2013)(乙46)○産業技術総合研究所:国立研究開発法人産業技術総合研 4年留萌支庁南部の地震によるK-NET港町観測点(HKD020)の基盤地震動とサイト特性評価」電力中央研究所報告(2013)(乙46)○産業技術総合研究所:国立研究開発法人産業技術総合研究所○地震ガイド:「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」(原管地発第1306192号)。なお、その後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「地震ガイド」という(乙44、乙593、乙602)。 ○地震調査委員会:地震調査研究推進本部地震調査委員会○地震調査委員会(2005b):地震調査研究推進本部地震調査委員会「別府-万年山断層帯の長期評価について」(2005)(乙40)○地震津波基準検討チーム:原子炉等規制法43条の3の6第1項4号を受けて、原子力規制委員会の下に設置された「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準に関する検討チーム」○実施基準:2007:社団法人日本原子力学会「原子力発電所の地震を起因とした確率論的安全評価実施基準:2007」)(乙177)○S:S東京大学名誉教授(元原子力規制委員会委員)○修正レシピ:レシピ(後記参照)の中でも、平成20年4月11日以降改訂のもの 別紙略語表 〇重大事故等防止技術的能力基準:「実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の重大事故発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力に係る審査基準」(原規技発第1306197号)。なお、その後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「重大事故等防止技術的能力基準」という。 (乙765)○使用前検査:原子炉等規制法43条の3の11第3項において求められている、工事後使用前に受けなければならない原子力規制委員会の検査○新規制基準 止技術的能力基準」という。 (乙765)○使用前検査:原子炉等規制法43条の3の11第3項において求められている、工事後使用前に受けなければならない原子力規制委員会の検査○新規制基準:平成24年6月改正後の原子炉等規制法の施行に伴い、原子力規制委員会規則、告示及び内規が制定又は改正されたが、これらのうち行政手続法上の命令等に該当するものの総称○新規制基準検討チーム:原子炉等規制法43条の3の6第1項4号を受けて、原子力規制委員会の下に設置された「発電用軽水型原子炉の新規制基準に関する検討チーム」〇審査会合:原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(甲E15~甲E17)○審査書:原子力規制委員会「四国電力株式会社伊方発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3号原子炉施設の変更)に関する審査書」(2015)(乙16)○k 別紙略語表 :k京都大学大学院理学研究科地球熱学研究施設火山研究センター所属○zほか(2007):zほか「わが国の降下火山灰データベース作成」地質調査研究報告第58巻第9/10号261-321頁(2007)。zほか(2007)の「付表1詳細版」(産業技術総合研究所地質調査総合センターのウェブサイトhttps://www.gsj.jp/publications/bulletin/bull2007/bull58-09.html に掲載)が乙531。 ○設置許可基準規則:「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」(平成25年原子力規制委員会規則第5号)。なお、制定後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「設置許可基準規則」という(乙67、乙592)。 ○設置許可基準規則解釈:設置許可基準規則の解 (平成25年原子力規制委員会規則第5号)。なお、制定後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「設置許可基準規則」という(乙67、乙592)。 ○設置許可基準規則解釈:設置許可基準規則の解釈を示す「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(平成25年6月19日原規技発第1306193号)。なお、制定後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「設置許可基準規則解釈」という(乙67、乙592参照)。 ○設置法:原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号)〇セレナプロジェクト:SERENACo-ordinatedProgramme。原子炉の環境における水蒸気爆発で生じる負荷を予測するための燃料-冷却材相互作用(FCI)コンピュータコードの能力を評価するためにOECD(後記参照)が立ち上げたプロジェクト。SERENAとはS 別紙略語表 teamExplosionResolutionforNuclearApplicationsの略称。 [た行]○iほか(2000):iほか「MT法による阿蘇カルデラの比抵抗断面」CA研究会論文集23頁(2000)(未提出)○Gほか(2020):Gほか「地震探査結果に基づく四国北西沖伊予灘海域における中央構造線の分布及び活動性」活断層研究第53号13頁(2020)(乙484)○c(1998):c「日本列島における地殻内地震のスケーリング則-地震断層の影響および地震被害の関連-」地震第2輯第51巻211頁(1998)(甲B74、乙135)○m:m神戸大学名誉教授兼海洋底探査センター客員教授○H:H株式会社大崎総合研究所研究部長博士(工学)○Hほか(2011):Hほ 巻211頁(1998)(甲B74、乙135)○m:m神戸大学名誉教授兼海洋底探査センター客員教授○H:H株式会社大崎総合研究所研究部長博士(工学)○Hほか(2011):Hほか「長大横ずれ断層による内陸地震の平均動的応力降下量の推定と強震動予測のためのアスペリティモデルの設定方法への応用」日本建築学会構造系論文集第76巻第670号2041頁(2011)(甲B72、乙43)○地質ガイド 別紙略語表 :「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド」(原管地発第1306191号)。なお、その後改訂が重ねられているが、改訂の前後を通じて「地質ガイド」という。(乙603参照)○中央防災会議(2003):内閣府中央防災会議事務局「中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(第16回) 資料2 東南海、南海地震に関する報告(案) 平成15年12月16日」(2003)(未提出)○長期評価(一部改訂):地震調査研究推進本部地震調査委員会「中央構造線断層帯(金剛山地東縁― 伊予灘)の長期評価(一部改訂)について」(2011)(甲B31、乙39)。地震調査委員会(2011)と同一。 ○長期評価(第二版):地震調査研究推進本部地震調査委員会「中央構造線断層帯(金剛山地東縁― 由布院)の長期評価(第二版)」(2017)(甲B150、乙325)○Y・Z(1999):Y・Z「断層タイプおよび地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式」日本建築学会構造系論文集第64巻第523号63頁(1999)(未提出)○津波ガイド:「基準津波及び耐津波設計方針に係る審査ガイド」(原管地発第1306193号)。なお、その後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「 第523号63頁(1999)(未提出)○津波ガイド:「基準津波及び耐津波設計方針に係る審査ガイド」(原管地発第1306193号)。なお、その後改正が重ねられているが、改正の前後を通じて「津波ガイド」という(甲B18、乙189)。 ○東京電力:東京電力株式会社(現:東京電力ホールディングス株式会社) 別紙略語表 ○東北地方太平洋沖地震:平成23年3月11日に発生した三陸沖の太平洋海底を震源とする海溝型のプレート間地震(Mw9.0)○東北電力:東北電力株式会社○土木学会(2002):土木学会原子力土木委員会津波評価部会「原子力発電所の津波評価技術」(2002)(乙186)〇トロイ:TROI。KAERI(後記参照)に設置されている実験装置。TROIはTestforRealcoriumInteractionwithwaterの略称。 [な行]○内閣府検討会:内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」○内閣府検討会(津波断層モデル編):内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会「南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)津波断層モデル編― 津波断層モデルと津波高・浸水域等について― 」(2012)(乙190)○内閣府検討会(2011):内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会「南海トラフの巨大地震モデル検討会中間とりまとめ」(2011)(乙163)○内閣府検討会(2012a):内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会「南海トラフの巨大地震 別紙略語表 による震度分布・津波高について(第一次報告)」(2012)(乙161)○内閣府検討会(2012b):内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会「南海トラ 別紙略語表 による震度分布・津波高について(第一次報告)」(2012)(乙161)○内閣府検討会(2012b):内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会「南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)強震断層モデル編― 強震断層モデルと震度分布について― 」(2012)(乙162)○u・v(2014):u・v「九重火山のテフラ層序」月刊地球第36号281頁(2014)(未提出)○C:C国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所地震防災研究領域領域長 [は行]○F:F香川大学創造工学部教授 ○E:E広島大学大学院先進理工系科学研究科研究員〇ファロ:FARO。欧州JRCがイスプラ研究所において行った実験。FAROはFurnaceAndReleaseOvenの略称。 ○福島原発事故:東北地方太平洋沖地震を起因として福島第一原子力発電所において生じた一連の事故の総称 別紙略語表 ○福島第一原子力発電所:東京電力福島第一原子力発電所○X:X国立研究開発法人防災科学技術研究所社会防災システム研究部門長○別府重点:文部科学省研究開発局・国立大学法人京都大学大学院理学研究科「別府-万年山断層帯(大分平野-由布院断層帯東部)における重点的な調査観測平成26~28年度成果報告書」(2017)(乙461)○保安規定変更認可:原子炉等規制法43条の3の24第1項において求められている、保安規定を変更するときに、発電用原子炉施設の設置又は変更の工事に着手する前に原子力規制委員会から得なければならない認可○本件1号機:伊方発電所の発電用原子炉1号機○本件2号機:伊方発電所の発電用原子炉2号機 発電用原子炉施設の設置又は変更の工事に着手する前に原子力規制委員会から得なければならない認可○本件1号機:伊方発電所の発電用原子炉1号機○本件2号機:伊方発電所の発電用原子炉2号機○本件1・2号機:本件1号機及び本件2号機の総称○本件3号機:伊方発電所の発電用原子炉3号機○本件各号機:本件1号機、本件2号機及び本件3号機の総称 [ま行]○o 別紙略語表 :o。セレナプロジェクト・フェーズ1のコーディネーター。 ○d:d東京都立大学名誉教授○d・e(2011):d・e「新編火山灰アトラス[日本列島とその周辺]」東京大学出版会(2011)。なお、乙219はd・e(2011)を抜粋したもの。 ○T(1975):T「活断層から発生する地震の規模と周期について」地震第2輯第28巻269-283頁(1975)(乙133)○T式:T東京大学名誉教授が、T「活断層から発生する地震の規模と周期について」地震第2輯第28巻269頁(1975)(甲B63、乙133)において提案した、断層長さと地震のマグニチュードとの関係を表す経験式○Wほか(2003):Wほか「すべりの時空間的不均質性のモデル化」科学技術振興調整費成果報告書「地震災害軽減のための強震動予測マスターモデルに関する研究」(2003)(未提出)○jほか(2005):jほか「阿蘇カルデラ形成後に活動した多様なマグマとそれらの成因関係について」火山第50巻第5号269頁(2005)(乙247)○Nほか(2009):Nほか「長大断層に関するスケーリング則― 海外で発生した長大断層での地震の解析事例― 」)日本地震学会講演予稿集(2009)(乙145) 別紙略語表 Nほか(2009):Nほか「長大断層に関するスケーリング則― 海外で発生した長大断層での地震の解析事例― 」)日本地震学会講演予稿集(2009)(乙145) 別紙略語表 ○Nほか(2010):Nほか「内陸の長大断層に関するスケーリング則の検討」日本地震学会講演予稿集(2010)(乙146) [や行]○予測地図(2014):地震調査研究推進本部地震調査委員会「全国地震動予測地図2014年版~全国の地震動ハザードを概観して~」(2014)の付録1。なお、甲B41は、予測地図(2014)の付録1のうち1~37頁、90~128頁、225~253頁、303~305頁、384~393頁)。乙152は、予測地図(2014)の付録1のうち、1~37頁、90~134頁、169~187頁。乙127は、予測地図(2014)の別冊のうち1~10頁、296~299頁。 [ら行]○留萌支庁南部地震:2004年12月14日に発生した北海道留萌支庁南部を震源とする地震(Mj6.1、Mw5.7、傾斜角25度)○レシピ:地震調査研究推進本部地震調査委員会「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(「レシピ」)」。平成17年に初めて作成された後、改訂が重ねられているが、改訂の前後を通じて「レシピ」という。ただし、「(イ)の方法(注記:T等から地震規模を設定し震源断層モデルを設定する方法)」に関する記載が加わった平成20年4月11日以降改訂のレシピを特に指す場合には「修正レシピ」という。その内容は、地 別紙略語表 震調査委員会において実施してきた強震動評価に関する検討結果から、強震動予測手法の構成要素となる震源特性、地下構造モデル、強震動計算、予測結果の検証の現状における手法や震源特 略語表 震調査委員会において実施してきた強震動評価に関する検討結果から、強震動予測手法の構成要素となる震源特性、地下構造モデル、強震動計算、予測結果の検証の現状における手法や震源特性パラメータの設定にあたっての考え方について取りまとめたもので、震源断層を特定した地震を想定した場合の強震動を高精度に予測するための、「誰がやっても同じ答えが得られる標準的な方法論」の確立を目指し、今後も検討、修正、改訂していくことを前提としている。(甲B84、乙27、乙126、乙508参照) [アルファベット]○letal.(2017):lほか「Low-velocityzonesinthecrustbeneathAsocaldera,Kyushu, Japan, derivedfromreceiverfunctionanalyses」JournalofGeophysicalResearch: SolidEarth, Volume122, Issue3, 2013-2033, 2017.(乙453)○BBN:ベイズ統計学に基づいて専門家の評価を定量化できる手法。BBNはBayesianBeliefNetworkの略称。 ○BWR:沸騰水型原子炉。BWRはBoilingWaterReacterの略称。 ○COTELS:上記「コテルス」欄参照○ECCS:非常用炉心冷却設備(EmergencyCо reCо о lin 別紙略語表 gSystem)○FARO:上記「ファロ」欄参照〇FCI:溶融燃料-冷却材相互作用(Fuel-CoolantInteraction)。溶融燃料と冷却材が接触して一時的な圧力の急上昇が生じる可能性が ○FARO:上記「ファロ」欄参照〇FCI:溶融燃料-冷却材相互作用(Fuel-CoolantInteraction)。溶融燃料と冷却材が接触して一時的な圧力の急上昇が生じる可能性があり、このときに発生するエネルギーが大きいと構造物が破壊され格納容器が破損する場合があるが、このような溶融炉心と冷却材との接触及びそれに伴って引き起こされる現象。 ○LandM(2000):L, M「Regionaldifferenceinscalinglawsforlargeearthquakesanditstectonicimplication 」PureandAppliedGeophysics,Vol.157, 2283-2302, 2000.(未提出)○IAEA:国際原子力機関。IAEAはInternationalAtomicEnergyAgencyの略称。 ○Ietal(2010):Iほか「Improvementofkinematicfaultmodelsforpredictingstrongmotionsbydynamicrupturingsimulation -Evaluationofproportionalityconstantbetweenstressdropandseismicmomentinstrike-slipinlandearthquakes- 」FirstKashiwazakiInternationalSymposiumonSeismicSafetyofNuclearInstallations, 2010.(未提出)〇JAEA:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構。J ymposiumonSeismicSafetyofNuclearInstallations, 2010.(未提出)〇JAEA:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構。JAEAはJapanA 別紙略語表 tomicEnergyAgencyの略称。 〇JAEAレポート:甲ほか「軽水炉シビアアクシデント時の炉外水蒸気爆発による格納容器破損確率の評価」JAEA-Research2007-072(2007)(甲E13)○JEAG4625-2009:日本電気協会「原子力発電所火山影響評価技術指針」(2009)(未提出)○JNES:独立行政法人原子力安全基盤機構。JNESはJapanNuclearEnergySafetyOrganizationの略称。 〇KAERI:韓国原子力研究所。KAERIはKoreaAtomicEnergyResearchInstituteの略称。 ○U(1977):U「Theenergyreleaseingreatearthquakes」JournalofGeophysicalResearch, Vol.82, 2981-2987, 1977.(未提出)○Q(2010):Q「Slip-LengthScalingLawforStrike-SlipMultipleSegmentEarthquakesBasedonDynamicRuptureSimulations」Bull. Seism.Soc. Am., Vol.100, No.2, 473-481, 2010.(未提出)○K-NET:全国強震観測網。K-NETはKyoshinNetの略称。(甲B164) 別紙 oc. Am., Vol.100, No.2, 473-481, 2010.(未提出)○K-NET:全国強震観測網。K-NETはKyoshinNetの略称。(甲B164) 別紙略語表 ○KROTOS:上記「クロトス」欄参照○LOCA:一次冷却材喪失事故。LOCAはLо ss-Of-Cо о lantAccidentの略称。 ○M:マグニチュード。地震そのものの規模(エネルギー量)を表す指標。(乙22(7頁)、乙23(17頁))。日本で単にMと報告される数値は、一般的に気象庁の定める指標値(Mj)をいう。 〇MAAP:米国電力研究所(EPRI)が所有するシビアアクシデント解析コード。MAAPはModularAccidentAnalysisProgramの略称。 ○MCCI:溶融炉心とキャビティ床コンクリートの接触によって、コンクリートが浸食され、ベースマット溶融貫通に至る可能性があるが、このような溶融炉心とコンクリートの接触及びそれに伴って引き起こされる現象(コンクリートの浸食及び不揮発性ガスの発生)のことを指す。MCCIはMoltenCoreConcreteInteractionの略称。 ○Mj:日本において地震が発するエネルギーの大きさを対数で表した指標値である気象庁マグニチュード。 ○Mw:モーメントマグニチュード。主に中規模以上の地震における地震その 別紙略語表 ものの規模(エネルギー量)を表す国際的指標。断層面の剛性率・断層面積の合計・断層全体の変位量の平均の積である地震モーメントから算出される。(乙22(7頁))○Retal.(2015):Rほか「ScalingRelationsofSourceP 面積の合計・断層全体の変位量の平均の積である地震モーメントから算出される。(乙22(7頁))○Retal.(2015):Rほか「ScalingRelationsofSourceParametersofEarthquakesOccurringonInlandCrustalMega-FaultSystems 」PureAppl.Geophys.,172,1371-1381,2015.(未提出)○f(1988):f「Thelatequaternarytephralayersfromthecalderavolcanoesinandaroundkagoshimabay,southernkyushu,japan 」GeographicalReportsofTokyoMetropolitanUniversity, 23, 49 -122, 1988.(乙448)○NFRD効果:震源近傍に起こる断層破壊の指向性効果。NFRDはNearFaultRuptureDirectivityの略。 ○petal.(2002):pほか「Responsespectrafordesignpurposeofstiffstructuresonstiffstructuresonrocksites」OECDWorkshopontheRelationsbetweenSeismologicalDATAandSeismicEngineering, pp.399 -408,2002.(未提出)。岩盤における観測記録に基づく距離減衰式が示されており、一般社団法人日本電気協会原子力発電耐震設計専門部会にて議論・検討されたことから ering, pp.399 -408,2002.(未提出)。岩盤における観測記録に基づく距離減衰式が示されており、一般社団法人日本電気協会原子力発電耐震設計専門部会にて議論・検討されたことから、「耐専スペクトル」又は「耐専式」とも呼ばれている。なお、petal.(2002)は,英文の論文であるが,その手法については,JEAG4601― 2007(乙42)及びJEAG4601― 2015(乙179)において具体的内容が紹 別紙略語表 介されている。 〇NUPEC:原子力発電技術機構。NUPECはNuclearPowerEngineeringCorporationの略称。 〇OECD:経済協力開発機構。OECDはOrganisationforEconomicCo-operationandDevelopmentの略称。 ○PWR:加圧水型原子炉。PWRはPressurizedWaterReacterの略称。 ○RCIC:原子炉隔離時冷却系。RCICはReactorCoreIsolationCoolingsystemの略称。 ○OandP(2001):O, P「Slip-lengthscalinginlargeearthquakes' Observationsandtheoryandimplicationsforearthquakephysics」 GEOPHYSICALRESEARCHLETTERS, VOL. 28, NO. 15, 2995-2998, 2001.(未提出)○a(1986):a「SmallandLargeEarthquakes: TheEffectoftheThicknessofSeis 995-2998, 2001.(未提出)○a(1986):a「SmallandLargeEarthquakes: TheEffectoftheThicknessofSeismogenicLayerandtheFreeSurface 」 EarthquakeSourceMechanics, AGUGeophysicalMonograph 37, pp209-216, 1986.(未提出)○SMGA:強震動生成域(StrongMotionGeneration 別紙略語表 Area)。プレート間で発生する巨大地震に伴い多様な周期をもつ波が観測されるところ、構造物に被害をもたらすような短周期の強震動を発生している領域。断層面全体の中で特に強い地震波(強震動)を発生させる一部の領域。Cは、一辺が数十km程度の領域から、まんべんなく強震動が生成されるとする震源モデルを「SMGAモデル」としている。 ○SPGA:強震動パルス生成域(Strong-motionPulseGenerationArea)。東北地方太平洋沖地震をはじめとする海溝型巨大地震において特徴的な強震動パルスのパルス幅と調和的なサイズ(一辺が数km程度)のサブイベントから構成される震源モデルをCは「SPGAモデル」としている。 ○SSG― 21:IAEASafetyStandardsseriesNo. SSG-21 「VolcanicHazardsinSiteEvaluationforNuclearInstallations」(2012)(甲C11、乙419)。SSGはSpecificSafetyGuideの略称。 ○g & h(2001):g, h「Th orNuclearInstallations」(2012)(甲C11、乙419)。SSGはSpecificSafetyGuideの略称。 ○g & h(2001):g, h「Three-dimensionalseismicvelocitystructurebeneathAsoVolcano, Kyushu, Japan」BullVolcanol 63, 326–344, 2001.(未提出)○w(1983):w「Atheoreticalmodelfordispersionoftephra 」ArcVolcanism :PhysicsandTectonics :95-116, TerraScientificPublishing.95-113, 1983(未提出) 別紙略語表 ○TOROI:上記「トロイ」欄参照○VEI:火山爆発指数。VolcanicExplosivityIndexの略称。火山灰や火山礫などの火砕物の噴出量に基づき、噴火の規模を0(噴出物量1万㎥未満)から8(1000k㎥以上)の9段階に対数で区分したものであり、VEI7は100k㎥以上1000k㎥未満、VEI6は10k㎥以上100k㎥未満、VEI5は1k㎥以上10k㎥未満、VEI4は0.1k㎥以上1k㎥未満である。 以上 別紙原子力発電の仕組み 別紙原子力発電の仕組み 1 核分裂の仕組み全ての物質は元素(原子)から成っており、原子の中心には原子核(陽子と中性子の集合体)がある。 1個の原子核が複数の原子核に分裂する現象を核分裂というが、核分裂性核種の一つであるウラン235の原子核は、中性子を吸収すると2個(まれに3個)に核 原子核(陽子と中性子の集合体)がある。 1個の原子核が複数の原子核に分裂する現象を核分裂というが、核分裂性核種の一つであるウラン235の原子核は、中性子を吸収すると2個(まれに3個)に核分裂しやすい性質を有しており、核分裂の際に、大きなエネルギーとともに、核分裂生成物(放射性物質であるヨウ素131、キセノン133等)及び2個又は3個の速度の速い中性子(高速中性子)を発生させる。発生した中性子の一部 が別のウラン235の原子核に吸収されて次の核分裂を起こすが、このような核分裂が次々と繰り返されることを核分裂連鎖反応という。 原子力発電は、核分裂連鎖反応によって、持続的に生じるエネルギーを利用して発電するものである。 ウラン235の原子核が中性子を吸収して核分裂する確率は、速度の遅い中性 子(熱中性子)の場合に大きくなるが、高速中性子の平均速度は、約2万km/秒と速いため、熱中性子を利用して核分裂連鎖反応を行わせる種類の原子炉では、高速中性子の速度を熱中性子の速度(約2.2km/秒)まで減速させる必要があり、このため、減速材が用いられる。減速材を使用することで、高速中性子が減速材中の軽い元素の原子核と衝突を繰り返し、高速中性子の速度が減少し、熱 中性子となる。 また、核分裂を安定的に持続させていくためには、核分裂を起こす中性子の数を調整することが必要であり、このため、原子炉では、中性子を吸収しやすい性質をもつ制御材を用いている。(乙3(20~21頁、25頁)) 2 原子力発電の仕組み 別紙原子力発電の仕組み 原子力発電は、核分裂反応によって生じるエネルギーを熱エネルギーとして取り出し、この熱エネルギーを発電に利用するものである。つまり、原子力発電では、原子炉において取り 力発電の仕組み 原子力発電は、核分裂反応によって生じるエネルギーを熱エネルギーとして取り出し、この熱エネルギーを発電に利用するものである。つまり、原子力発電では、原子炉において取り出した熱エネルギーによって蒸気を発生させ、この蒸気でタービンを回転させて発電を行う。一方、火力発電では、石炭、石油等の化石燃料が燃焼する際に生じる熱エネルギーによって蒸気を発生させ、この蒸気でタ ービンを回転させて発電を行う。このように、原子力発電と火力発電とは、熱エネルギーの取り出し方が異なるが、蒸気でタービンを回転させて発電を行う点では同じである。(乙3(20~21頁)) 3 原子炉の種類原子炉内には、前述のとおり、高速中性子の速度を熱中性子の速度まで減速さ せるために、減速材が用いられている。減速材には、軽水(普通の水)、黒鉛等が用いられるが、減速材として軽水を用い、減速材を冷却材(炉心を冷却するとともに、原子炉で発生したエネルギーを取り出すための媒介となるもの)と兼用するものを軽水炉という。 軽水炉は、タービン蒸気の発生のさせ方によって、沸騰水型原子炉(BWR) と加圧水型原子炉(PWR)に区分される。 沸騰水型原子炉(BWR)は、冷却材を原子炉内で沸騰させることにより、発生した蒸気を直接、タービンに送って発電する。 加圧水型原子炉(PWR)は、一次冷却系と二次冷却系を有し、原子炉で発生させた高温高圧の一次冷却材のもつエネルギーを、蒸気発生器を介して二次冷却 系に伝達し、二次冷却系で発生した蒸気をタービンに送って発電する。 (乙3(21~22頁))以上 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 加圧水型原子炉(PWR)である伊方原子力発 電する。 (乙3(21~22頁))以上 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 加圧水型原子炉(PWR)である伊方原子力発電所の主な設備は、燃料から熱エネルギーを取り出すための原子炉、原子炉から取り出した熱エネルギーを二次冷却材に伝達する一次冷却設備、蒸気によってタービンを回転させるための二次 冷却設備及び発電し電気を供給するための電気設備に加え、緊急時の安全性を確保するための工学的安全施設、使用済燃料を保管するための使用済燃料ピット等である。 1 原子炉原子炉は、核分裂連鎖反応により発生する熱エネルギーを安全かつ有効に取り 出す設備である。原子炉は、原子炉容器、核分裂を起こして熱エネルギーを発生させる燃料集合体及び原子炉内の中性子の数を調整し核分裂を制御する制御材等で構成されており、その内部には一次冷却材である水(軽水)が満たされている。(乙12(8-3-1頁以下)、乙13(8-3-1頁以下))。 ⑴ 原子炉容器 原子炉容器は、燃料集合体等を収納する容器で、低合金鋼を材料とし、胴部の厚さが本件1・2号機では約17cm、本件3号機では約20cmである。 通常運転時の圧力・温度はもちろん、原子炉内の圧力・温度の異常上昇時にも、また、地震の際に生じる荷重にも十分耐えられる強固な構造となっている。また、低合金鋼は、鉄に合金元素(マンガン、モリブデン、ニッケル等)を加え た金属材料であり、こうすることで金属材料の強度が増し、耐食性(腐食作用に耐える性質)も向上する。さらに、一時冷却材は原子炉容器内面の一次冷却材と接触する部分には、腐食を防ぐためという理由でステンレス鋼が内張りされている。(乙12(8-4-5~8-4-6頁、8-4-20頁 える性質)も向上する。さらに、一時冷却材は原子炉容器内面の一次冷却材と接触する部分には、腐食を防ぐためという理由でステンレス鋼が内張りされている。(乙12(8-4-5~8-4-6頁、8-4-20頁)、乙13(8-3-97頁、8-5-4~8-5-6頁、8-5-183頁、8-5-26 1頁)) 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 ⑵ 燃料集合体燃料集合体は、ペレットを燃料被覆管の中に詰めた燃料棒を束ねたものである。 ペレットは、原子力発電の燃料となるウランと酸素との化合物である二酸化ウランの粉末をプレス装置で成型し焼き固めたものを主に用いる。伊方原子力 発電所で使用しているペレットは、直径及び高さとも約10mmの円柱状のものである。 ペレットを、長さ約3.9mのジルコニウム基合金製の管(燃料被覆管)に入れて密封溶接されたものが燃料棒であり、この燃料棒を格子状に束ねたものが燃料集合体である。燃料棒は、14行14列(本件1・2号機)又は17行1 7列(本件3号機)の正方格子状に束ね、この束である燃料集合体を本件1・2号機は各121体、本件3号機は157体、それぞれ装荷する仕様となっている。 (乙12(8-3-1頁、8-3-7~8-3-8頁、8-3-68~8-3-71頁)、乙13(8-3-1頁、8-3-8頁及び8-3-74~8-3 -80頁))⑶ 制御材原子炉において核分裂を安定的に持続させ制御していくためには、核分裂を起こす中性子の数を調整することが必要であり、制御材は、この調整に用いるものである。伊方原子力発電所では、制御材として、ホウ素、制御棒等 を用いている。 アホウ素ホウ素は、中性子を吸収しやすい性質があるため、一次冷却材に添加し、一次冷却材の 用いるものである。伊方原子力発電所では、制御材として、ホウ素、制御棒等 を用いている。 アホウ素ホウ素は、中性子を吸収しやすい性質があるため、一次冷却材に添加し、一次冷却材のホウ素濃度を調整することによって、原子炉内の中性子の数を調整し、核分裂の連鎖を安定した状態に制御する。一次冷却材のホウ素の濃 度の調整は、平常運転時においては化学体積制御設備で行っており、ホウ酸 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 タンク等を用いて濃度を調整したホウ酸水を充てんポンプによって一次冷却設備に注入するなどして行う。(乙12(8-3-23頁、8-6-1~8-6-8頁、8-6-32~8-6-38頁、8-7-19~8-7-20頁)、乙13(8-3-44~45頁、8-5-131~8-5-141頁、8-5-230~8-5-237頁)) 一次冷却材のホウ素濃度は、燃料集合体の取替直後は原子炉内のウラン235の濃度が高く核分裂が発生しやすい状況にあることから、核分裂を抑えるために高めに調整している。また、燃料集合体の取替後、ウラン235が核分裂するにつれて、徐々に原子炉内のウラン235の濃度が低くなって核分裂が発生しにくくなっていくことから、これに合わせてホウ素濃度を徐々 に下げ、原子炉内のウラン235の濃度に関わらず原子炉の出力が一定になるよう制御している。ホウ素を用いた制御は、主にこのような比較的ゆっくりした反応度変化に対する制御に用いている。 イ制御棒制御棒は、中性子を吸収しやすい性質をもつ銀・インジウム・カドミウム 合金を用いたものであり、伊方原子力発電所では、燃料集合体の上部から挿入できるよう組み込まれており、制御棒の先端(下端)は、常に燃料集合体の中に入った状態となっている インジウム・カドミウム 合金を用いたものであり、伊方原子力発電所では、燃料集合体の上部から挿入できるよう組み込まれており、制御棒の先端(下端)は、常に燃料集合体の中に入った状態となっている。また、1つの燃料集合体に挿入される制御棒の全ては上部で束ねられており、これを制御棒クラスタと呼ぶ。この制御棒クラスタを制御棒クラスタ駆動装置によって保持するとともに、原子炉内 で上下に駆動させることで、原子炉内の中性子の数を調整し、核分裂の連鎖を安定した状態に制御する。通常運転時には、ほぼ全ての制御棒が引き抜かれた状態で原子炉内の核分裂反応は安定しているが、タービン出力が変化するなど急な原子炉出力調整の必要が生じた際には自動で上下駆動し原子炉出力を安定的に制御する。 また、緊急時には、制御棒クラスタが自動的に炉内に挿入され、原子炉を 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 停止する。この際は、原子炉トリップ遮断器が開放され(つまり、制御棒クラスタ駆動装置への電源が遮断され)、制御棒クラスタを保持する力がなくなることにより、制御棒クラスタが自重で落下する仕組みとなっている。この緊急に制御棒を炉心に挿入し核反応を停止させることを、原子炉トリップという。 (乙12(8-3-23~8-3-27頁、8-3-73頁、8-3-75頁、8-7-28~8-7-35頁、8-7-47頁)、乙13(8-3-27頁、8-3-29~33頁、8-3-81頁、8-6-133頁、10-1-8~10-1-10頁))⑷ 一次冷却材 一次冷却材は、燃料集合体における核分裂により発生する熱エネルギーを吸収し、蒸気発生器を介して、発電のためのタービンの回転に用いる蒸気を発生させる二次冷却系に伝達する。また、減速材として、同核分 一次冷却材は、燃料集合体における核分裂により発生する熱エネルギーを吸収し、蒸気発生器を介して、発電のためのタービンの回転に用いる蒸気を発生させる二次冷却系に伝達する。また、減速材として、同核分裂により発生する中性子のうちの高速中性子の速度を減少させて熱中性子とすることでウラン235の核分裂を起こしやすくさせるとともに、添加させるホウ素の濃度によ って中性子数を調整することで、核分裂の連鎖を安定した状態に制御する。ただし、同時に、同核分裂により発生する放射性物質を含有することになる。 2 一次冷却設備一次冷却設備は、原子炉内で核分裂によって生じた熱エネルギーによって高温となった一次冷却材を蒸気発生器に送り、蒸気発生器内において一次冷却材の熱 エネルギーを二次冷却材に伝え、二次冷却材に熱エネルギーを伝えて低温になった一次冷却材を、再び原子炉に戻し循環させる機能をもつ。 一次冷却設備は、主に加圧器、蒸気発生器及び一次冷却材ポンプから構成されており、原子炉及びこれらの設備は、一次冷却材管によって接続され循環回路を形成している。この回路を本件1・2号機は2組、本件3号機は3組有している (ただし、加圧器は本件各号機にそれぞれ1つを設置)。このような一次冷却設 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 備による循環回路は、放射性物質を閉じ込めるために全体として一つの障壁を形成しており、この障壁となる範囲のことを原子炉冷却材圧力バウンダリと呼称している。(乙12(8-4-1~8-4-5頁)、乙13(8-5-1~8-5-4頁、8-5-259~260頁、8-5-266~8-5-267頁))⑴ 加圧器 加圧器は、原子炉で高温になった一次冷却材が沸騰しないように高い圧力をかけ、かつ、一次冷却材の熱膨張 -4頁、8-5-259~260頁、8-5-266~8-5-267頁))⑴ 加圧器 加圧器は、原子炉で高温になった一次冷却材が沸騰しないように高い圧力をかけ、かつ、一次冷却材の熱膨張及び収縮による圧力変動を緩和し、一次冷却材の圧力を一定に維持する機能を有する。加圧器による加圧は、その底部に設置した電熱ヒータで加圧器内部の水を加熱することによって行う。また、加圧器には、加圧器スプレイ並びに加圧器逃がし弁及び加圧器安全弁を 設けている。加圧器スプレイは、負荷変動に伴う圧力上昇に対して低温側配管から水を取り入れて加圧器内にスプレイすることによって加圧器内部の蒸気を凝縮させて圧力を下げる働きをする。加圧器逃がし弁及び加圧器安全弁は、加圧器スプレイの制御範囲を超える圧力上昇があった場合に作動し、一次冷却材の圧力が過度に上昇することを防止する。加圧器は低合金鋼製で、 内面はステンレス鋼を内張りしている。(乙12(8-4-10~8-4-12頁、8-4-23頁)、乙13(8-5-16頁、8-5-186頁、8-5-265頁))⑵ 蒸気発生器蒸気発生器は、一次冷却材の熱エネルギーを二次冷却材に伝えるための装置 であり、熱交換器の役割を果たす。具体的には、蒸気発生器の内部にある約3380本の逆U字型をした伝熱管(外径約22mm、厚さ約1.3mm)の内部を高温の一次冷却材が通ることで、伝熱管の外側の二次冷却材に熱エネルギーを伝えて、蒸気を発生させる仕組みとなっている。 蒸気発生器の材料としては、本体には低合金鋼を、伝熱管には特殊熱処理さ れた690系ニッケル基合金を用いているが、この合金は、優れた耐食性を有 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 している。また、伝熱管が逆U字型に曲がってい は特殊熱処理さ れた690系ニッケル基合金を用いているが、この合金は、優れた耐食性を有 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 している。また、伝熱管が逆U字型に曲がっている部分には、振動及び摩耗を防止するために、伝熱管と伝熱管の間に、振止め金具を設置している。 (乙12(8-4-6~8-4-9頁、8-4-21頁)、乙13(8-5-6~8-5-8頁、8-5-184頁、8-5-262~8-5-263頁))⑶ 一次冷却材ポンプ 一次冷却材ポンプは、蒸気発生器を出た一次冷却材を原子炉容器に戻して循環させるための電動ポンプであり、炉心で発熱している燃料棒から熱を取り出すのに必要な一次冷却材流量を確保できる容量を有している(乙12(8-4-9~8-4-10頁、8-4-22頁)、乙13(8-5-16頁、8-5-185頁))。 3 二次冷却設備二次冷却設備は、蒸気発生器内で熱交換を行って一次冷却材を除熱するとともに蒸気となった二次冷却材をタービンに送り、発電した後の蒸気を水に変えた後で、再び蒸気発生器に戻すための設備であり、主蒸気逃がし弁、タービン、復水器、主給水ポンプ、補助給水設備等から構成されている。なお、二次冷却材は、 放射性物質を含む一次冷却材とは隔離されているため、放射性物質を含んでいない。 ⑴ 主蒸気逃がし弁主蒸気逃がし弁は、二次冷却設備の系統の圧力が上昇した場合に、主蒸気を大気中に放出してその流量を制御することによって、余剰となった原子炉 の発生熱を除去するための設備である(乙12(8-9-2頁、8-9-18頁)、乙13(8-5-165頁及び8-5-248頁))。 ⑵ タービンタービンは、蒸気発生器で発生した蒸気によって高速回転する羽根車であり、蒸気の持つエ る(乙12(8-9-2頁、8-9-18頁)、乙13(8-5-165頁及び8-5-248頁))。 ⑵ タービンタービンは、蒸気発生器で発生した蒸気によって高速回転する羽根車であり、蒸気の持つエネルギーを機械的動力に変換し、この変換した力を発電機 に伝える装置である(乙12(8-9-6~8-9-7頁、8-9-19 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 頁)、乙13(8-5-166~8-5-167頁、8-5-249頁))。 ⑶ 復水器復水器は、タービンで使用した蒸気を海水との熱交換によって冷却凝縮し、水に戻すための装置である(乙12(8-9-11頁、8-9-23 頁)、乙13(8-5-171~8-5-172頁、8-5-251頁))。 ⑷ 主給水ポンプ主給水ポンプは、復水器で蒸気から水に戻された二次冷却材を蒸気発生器へ戻すための装置である(乙12(8-9-13頁、8-9-26頁)、乙 13(8-5-174頁及び8-5-254頁))。 ⑸ 補助給水設備原子炉が停止した後にも、核分裂生成物の崩壊により発生する熱(崩壊熱)等があるため、これらの残留熱を除去する冷却手段を確保する必要がある。通常は、主給水ポンプを用いた二次冷却材の循環により、蒸気発生器へ の二次冷却材の給水を継続して、原子炉の残留熱を一次冷却材から蒸気発生器を通じて二次冷却材へ伝えることなどで残留熱を除去する。主給水ポンプが使えない場合などに、蒸気発生器に給水して、原子炉の冷却を可能とする設備が補助給水設備である。 補助給水設備には、電動補助給水ポンプとタービン動補助給水ポンプとが ある。電動補助給水ポンプは、外部電源が失われた場合でも、非常用ディーゼル発電機により稼働させることが可能であり、また、タービン動補助給 には、電動補助給水ポンプとタービン動補助給水ポンプとが ある。電動補助給水ポンプは、外部電源が失われた場合でも、非常用ディーゼル発電機により稼働させることが可能であり、また、タービン動補助給水ポンプは、蒸気発生器で発生する蒸気で稼働するため、外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの電力供給が失われた場合にも稼働させることが可能である。(乙12(8-9-14頁、8-9-26~8-9-27頁)、乙 13(8-5-161頁、8-5-163頁、8-5-175~8-5-1 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 76頁、8-5-241~8-5-242頁、8-5-255頁)) 4 電気設備タービンの回転によって発電機において電気が発生し、発生した電気は送電線に送られ、送配電網を通じて各需要家に供給される。 また、伊方原子力発電所内の機器を運転するのに必要な電気は、通常運転時に おいては発電機から変圧器を通じて供給するが、発電機の起動時及び停止中には、外部電源から供給を受ける。 さらに、発電機が停止し、かつ、外部電源が喪失した場合に備えて、非常用ディーゼル発電機が設けられている。原子炉の温度、圧力等を監視・制御するために必要な機器については、発電機、外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの 電気の供給が喪失した場合に備え、直流電源設備を設けている。 ⑴ 発電機発電機は、二次冷却設備のタービンに同軸で直結され、タービンが回転するエネルギーをもとに電気を発生させる設備である。発生した電気は、需要家への供給に加えて、伊方原子力発電所内の機器に供給される。(乙12 (8-8-4頁、8-8-15頁)、乙13(8-10-38~8-10-39頁))⑵ 外部電源外部電源は、伊方原子力発電所の外部で発電 て、伊方原子力発電所内の機器に供給される。(乙12 (8-8-4頁、8-8-15頁)、乙13(8-10-38~8-10-39頁))⑵ 外部電源外部電源は、伊方原子力発電所の外部で発電した電気を伊方原子力発電所に供給するための設備であり、発電機の停止中に伊方原子力発電所内の機器 を運転するのに必要な電気の供給源である。本件1・2号機においては、大洲変電所からの2ルート4回線、八幡浜変電所からの1ルート1回線の送電線によって、本件3号機においては、川内変電所からの1ルート2回線、大洲変電所からの2ルート4回線(本件1・本件2号機と共通)の送電線によって供給を受けることができる。また、それぞれ亀浦変電所からの配電線に よって供給を受けることができる。(乙12(8-8-1~8-8-3頁、 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 8-8-13頁)、乙13(8-10-33~8-10-38頁)、乙14(5頁)、乙15(図表-48頁))⑶ 非常用ディーゼル発電機非常用ディーゼル発電機は、発電機が停止しかつ外部電源が喪失した場合に、発電所の安全を確保するために必要な設備を起動するための設備であ る。伊方原子力発電所では、1台で必要な容量を有する非常用ディーゼル発電機を各号機に2台ずつ各々建屋内の別の部屋に備えており、本件3号機においては、2台それぞれが7日間にわたって必要な電力を供給することができるだけの燃料を備蓄している。また、伊方原子力発電所においては、本件各号機をケーブルで接続して相互に電力を融通できるようにしており、例え ば、本件3号機の非常用ディーゼル発電機が2台とも使えない場合に本件2号機の非常用ディーゼル発電機を本件3号機の電源として使用することができる。(乙12(8-8-6~ るようにしており、例え ば、本件3号機の非常用ディーゼル発電機が2台とも使えない場合に本件2号機の非常用ディーゼル発電機を本件3号機の電源として使用することができる。(乙12(8-8-6~8-8-8頁、8-8-20頁)、乙13(8-10-1頁、8-10-5~8-10-9頁及び8-10-135~136頁)、乙15(110頁)、乙16(382頁)) ⑷ 直流電源設備直流電源設備は、本件各号機に2組のそれぞれ独立した蓄電池、充電器、直流コントロールセンタ等で構成する。外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの交流電源を全て喪失した場合であっても、直流電源設備によって、原子炉の温度、圧力等を監視・制御するために必要な機器に電気を供給する ことができる。(乙12(8-8-8~8-8-9頁、8-8-21頁)、乙13(8-10-9~8-10-10頁、8-10-137~8-10-138頁)) 5 工学的安全施設⑴ 原子炉格納施設 放射性物質を閉じ込める施設として、原子炉格納容器及びコンクリート遮 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 へい壁を設けている。 原子炉格納容器は、原子炉、一次冷却設備等を囲っている気密性の極めて高い密封容器で、炭素鋼を材料としている。その内容量は、本件1・2号機ではそれぞれ約4万200㎥、本件3号機では約6万7400㎥であり、胴部の厚さは本件1・2号機では約3.5cm、本件3号機では約4.5cmで ある。原子炉格納容器は、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する配管の破損により一次冷却材喪失事故(Lоss-Of-CооlantAccident(LOCA))等が発生した場合に圧力障壁となり、放射性物質の放出に対する障壁となる。 また、コンクリート遮へい壁は、原 損により一次冷却材喪失事故(Lоss-Of-CооlantAccident(LOCA))等が発生した場合に圧力障壁となり、放射性物質の放出に対する障壁となる。 また、コンクリート遮へい壁は、原子炉格納容器のさらに外側をコンクリ ートで囲んでおり、胴部の厚さ(最大)は本件1号機では約80cm、本件2号機では約90cm、本件3号機では約140cmである。 原子炉格納容器とコンクリート遮へい壁の間には密閉された円環状空間であるアニュラス部を設け、二重格納の機能を持たせている。 (乙12(8-5-10~8-5-15頁、8-5-24~8-5-25 頁)、乙13(8-9-1~8-9-8頁、8-9-142頁、8-9-191頁))⑵ 非常用炉心冷却設備非常用炉心冷却設備(EmergencyCоreCооlingSystem(ECCS))は、仮にLOCA等が発生して一次冷却材が減 少し原子炉を冷却する機能が低下した場合であっても、原子炉にホウ酸水を注入することで、燃料の重大な損傷を防止するための設備である。ECCSには、蓄圧注入系、高圧注入系及び低圧注入系があり、それぞれ複数の系統を設けている。 蓄圧注入系は、LOCA等が発生し、一次冷却系の圧力が低下すると、自 動的に、ホウ酸水を原子炉容器内に注入する。ホウ酸水は蓄圧タンク内に封 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 入した窒素ガスの圧力によって注入されるため、外部電源等の駆動源は必要としない。 高圧注入系及び低圧注入系は、電動ポンプにより、ホウ酸水を原子炉容器内に注入する。高圧注入系で用いるポンプは高圧注入ポンプ、低圧注入系で用いるポンプは余熱除去ポンプであり、系統ごとに1台ずつ設置されてい る。 (乙12(8-5-3~8-5- 酸水を原子炉容器内に注入する。高圧注入系で用いるポンプは高圧注入ポンプ、低圧注入系で用いるポンプは余熱除去ポンプであり、系統ごとに1台ずつ設置されてい る。 (乙12(8-5-3~8-5-10頁、8-5-22~8-5-23頁)、乙13(8-5-28~8-5-35頁、8-5-195~8-5-196頁))⑶ 原子炉格納容器スプレイ設備原子炉格納容器スプレイ設備は、格納容器スプレイポンプ、スプレイリン グ等で構成されている。LOCA等が発生した場合に、核分裂により生成された放射性ヨウ素を吸収しやすくなる薬剤を添加しながら原子炉格納容器内にホウ酸水を噴霧することで、原子炉格納容器内の水蒸気を凝固させて圧力上昇を抑えるとともに、原子炉格納容器内に浮遊する放射性ヨウ素等を除去する機能を持つ。(乙12(8-5-16~8-5-19頁、8-5-26 頁)、乙13(8-9-11~8-9-16頁、8-9-159~8-9-160頁))⑷ アニュラス空気再循環設備アニュラス空気再循環設備は、アニュラス排気ファン、アニュラス排気フィルタユニット等で構成されている。LOCA等が発生した場合に、アニュ ラス部を負圧に保ちながら、原子炉格納容器からアニュラス部に漏えいした空気を浄化しながら再循環し、この空気に含まれる放射性物質の外部への放出を抑制する。アニュラス排気フィルタユニットは、ヨウ素除去効率95%以上、粒子除去効率99%以上の性能を持っている。(乙12(8-5-19~8-5-20頁、8-5-27頁)、乙13(8-9-17~8-9- 20頁及び8-9-176~8-9-177頁)) 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 6 使用済燃料ピット使用済燃料ピットは、原子炉から取り出された使用済燃料を貯 20頁及び8-9-176~8-9-177頁)) 別紙伊方原子力発電所の設備の基本構成 6 使用済燃料ピット使用済燃料ピットは、原子炉から取り出された使用済燃料を貯蔵する設備である。本件1・2号機においては原子炉補助建屋内に、本件3号機においては燃料取扱棟内に設置されており、壁面及び底部を鉄筋コンクリート造とし、その内面にステンレス鋼板を内張り(ライニング)した強固な構造物である。 使用済燃料ピットは、通常、水位約12mのホウ酸水で満たされており、使用済燃料から発生する崩壊熱を除去するために冷却設備により継続的に冷却され、水温約40℃以下に保たれている。使用済燃料ピット内では、長さ約4mの使用済燃料を燃料ラックに垂直に立てた状態で収納しており、使用済燃料の上端から水面までの水位は約8mと、使用済燃料からの放射線を遮へいするのに十分な水 深が確保されている。そして、使用済燃料ピットの水位等は常時監視されており、蒸発等によって失われる使用済燃料ピット水を補給するための設備を備えている。 ちなみに、使用済燃料ピットは、その水面の高さが構内道路と同程度であることに加え、構内道路に近接した場所に配置されているため、車両や要員のアクセ ス性は非常に高く、外部からの注水も容易である。 (乙12(8-6-16~8-6-20頁、8-6-22~8-6-25頁、8-6-42~8-6-44頁)、乙13(8-4-1~4頁、8-4-7~8-4-8頁、8-4-12~8-4-14頁、8-4-19~8-4-35頁及び8-4-38~46頁)) 以上 別紙地震関係の関連規則等 別紙地震関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈⑴ 設置許可基準規則4条1項関係 -38~46頁)) 以上 別紙地震関係の関連規則等 別紙地震関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈⑴ 設置許可基準規則4条1項関係設置許可基準規則4条1項は、設計基準対象施設は、地震力に十分耐えるこ とができるものでなければならない旨規定する。 設置許可基準規則解釈別記2は4条1項において「第4条第1項に規定する『地震力に十分に耐える』とは、ある地震力に対して施設全体としておおむね弾性範囲の設計がなされることをいう。この場合、上記の『弾性範囲の設計』とは、施設を弾性体とみなして応力解析を行い、施設各部の応力を許容限界以 下に留めることをいう。また、この場合、上記の『許容限界』とは、必ずしも厳密な弾性限界ではなく、局部的に弾性限界を超える場合を容認しつつも施設全体としておおむね弾性範囲に留まり得ることをいう。」と規定し、4条3項1号において、Sクラスの施設については、「弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留 まる範囲で耐えること。」、「建物・構築物については、常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせ、その結果発生する応力に対して、建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度を許容限界とすること。」、「機器・配管系については、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じる それぞれの荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。なお、『運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重』については、地震によって引き起 る地震力又は静的地震力を組み合わせた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること。なお、『運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重』については、地震によって引き起こされるおそれのある事象によって作用する荷重及び地震によって引き起こされるおそれのない事象であっても、いったん事故が発生 した場合、長時間継続する事象による荷重は、その事故事象の発生確率、継続 別紙地震関係の関連規則等 時間及び地震動の超過確率の関係を踏まえ、適切な地震力と組み合わせて考慮すること。」を耐震設計の方針とするよう規定する。 ⑵ 設置許可基準規則4条2項関係設置許可基準規則4条2項は、地震力の算定について、「地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線 による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。」と規定する。 設置許可基準規則解釈別記2の4条4項は、「地震力」のうちの「弾性設計用地震動による地震力」の「算定」に当たっては、基準地震動との応答スペクトルの比率の値が、目安として0.5を下回らないような値で、工学的判断に基づいて設定することなどを規定する。 ⑶ 設置許可基準規則4条3項関係設置許可基準規則4条3項は、耐震重要施設(設計基準対象施設(発電用原子炉施設のうち、運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故(発生頻度が、運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって、当該状態が発生した場合には発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれがある事故)の 発生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となる施設)のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆へ 物質が放出するおそれがある事故)の 発生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となる施設)のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きい施設(設置許可基準規則2条2項4号、同項7号、同規則3条1項参照)は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(基 準地震動による地震力)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない旨定めている。 設置許可基準規則解釈別記2の4条5項は、基準地震動は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとし、 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する 別紙地震関係の関連規則等 地震動」をそれぞれ策定する旨を定めている。うち2号③では、プレート間地震及び海洋プレート内地震に関しては、国内のみならず世界で起きた大規模な地震を踏まえ、地震の発生機構及びテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で震源領域の設定を行うことを求め、2号④ⅰでは、検討用地震ごとの応答スぺクトルに基づく地震動評価を行う際には、地震の規模及び震源距離等に基づ き地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を適切に考慮して地震動評価を行うことを求め、2号⑤では、基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については、敷地 におけ 、地震発生層の上端深さ・下端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については、敷地 における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮することを求め、2号⑥では、震源が敷地に極めて近い場合は、2号⑤の各種不確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、さ らに十分な余裕を考慮して基準地震動を策定することを求め、3号では、「震源を特定せず策定する地震動」については、解放基盤面までの地震波の伝播特性を必要に応じて応答スペクトルの設定に反映するとともに、設定された応答スペクトルに対して、地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を適切に考慮すること、「震源を特定せず策定する地震動」として策定 された基準地震動の妥当性については、申請時における最新の科学的・技術的知見を踏まえて個別に確認し、その際には、地表に明瞭な痕跡を示さない震源断層に起因する震源近傍の地震動について、確率論的な評価等、各種の不確かさを考慮した評価を参考とすることを求め、4号では、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」については、 それぞれが対応する超過確率を参照し、それぞれ策定された地震動の応答スペ 別紙地震関係の関連規則等 クトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握することを求めている。なお、3号に関しては、令和3年の改正において、「震源を特定せず策定する地震動」の策定にあたっては、①号として 等 クトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握することを求めている。なお、3号に関しては、令和3年の改正において、「震源を特定せず策定する地震動」の策定にあたっては、①号として「全国共通に考慮すべき地震動」及び「地域性を考慮する地震動」の2種類を検討対象とすること、②号として「全国共通に考慮すべき地震動」の策定に当たっては、震源近傍における観測記録を基に 得られた知見(「2004年北海道留萌支庁南部の地震において、防災科学技術研究所が運用する全国強震観測網の港町観測点における観測記録から推定した基準地震動」及び「震源近傍の多数の地震動の記録に基づいて策定した地震基盤相当面における標準的な応答スペクトル(標準応答スペクトル)として次の図(略)に示すもの」をすべて用いること、③号として「地域性を考慮す る地震動」の検討の結果、この地震動を策定する場合にあっては、事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震について、震源近傍における観測記録を用いることとすることが、追加されている。 設置許可基準規則解釈別記2の4条6項は、基準地震動に対する設計基準対 象施設の設計に当たり、建物・構築物については、「常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し安全余裕を有していること」を求め、機器・配管系については、「通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び 事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合せた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること」及び「塑性ひずみが生じる 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び 事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合せた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること」及び「塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと」を求めている。 ⑷ 設置許可基準規則39条1項関係 別紙地震関係の関連規則等 設置許可基準規則39条1項は、重大事故等対処施設は、所定の要件を満たすものでなければならないとし、その1号において、「常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。)基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。」と規定して いる。 2 地震ガイド(乙44、乙593)地震ガイドは、設置許可基準規則解釈別記2の4条5項に記載された「方針」を敷衍する。うち、当事者の主張に関連している部分は、以下のとおりである。 Ⅰ.基準地震動 1.総則1.1 目的(略)1.2 適用範囲(略)1.3 用語の定義⑴ 「解放基盤表面」とは、基準地震動(「発電用原子炉施設における耐震設 計指針平成18年9月19日原子力安全委員会決定」における基準地震動の規定と同様)を策定するために基盤面上の表層や構造物が無いものとして仮想的に設定する自由表面をいうのであって、著しい高低差がなく、ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、概ねせん断波速度Vs=700m/s以上の硬質地盤で あって、著しい風化を受けていない 、著しい高低差がなく、ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、概ねせん断波速度Vs=700m/s以上の硬質地盤で あって、著しい風化を受けていないものをいう。 ⑵ 「地震基盤」とは、せん断波速度Vs=3000m/s程度以上の地層をいう。 ⑶ 「内陸地殻内地震」とは、陸のプレートの上部地殻地震発生層に生じる地震をいい、海岸のやや沖合で起こるものを含む。 ⑷ 「プレート間地震」とは、相接する二つのプレートの境界面で発生する 別紙地震関係の関連規則等 地震をいう。 ⑸ 「海洋プレート内地震」とは、沈み込む(沈み込んだ)海洋プレート内部で発生する地震をいい、海溝軸付近ないしそのやや沖合で発生する「沈み込む海洋プレート内の地震(アウターライズ地震)」と、海溝軸付近から陸側で発生する「沈み込んだ海洋プレート内の地震(スラブ内地震)」の2 種類に分けられる。 ⑹ 「震源を特定せず策定する地震動」とは、敷地周辺の状況等を十分考慮した詳細な調査を実施しても、なお敷地近傍において発生する可能性のある内陸地殻内の地震の全てを事前に評価しうるとは言い切れないことから、敷地近傍における詳細な調査の結果にかかわらず、全ての敷地(対象 サイト)において共通的に考慮すべき地震動であると意味付けた地震動をいう。 2.基本方針⑴ 基準地震動は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、それぞれ解放基盤表面における水 平方向及び鉛直方向の地震動として策定されていること。 ⑵ 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、敷地に大きな影響を与えると予想される び鉛直方向の地震動として策定されていること。 ⑵ 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(検討用地震)を複数選定し、選定した検討用地震ごとに不確かさを考慮して、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モ デルを用いた手法による地震動評価により、それぞれ解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定されていること。不確かさの考慮については、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的パラメータについて分析した上で、必要に応じて不確かさを組み合わせるなどの適切な手法を用いて評価すること。 ⑶ 「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連付けること 別紙地震関係の関連規則等 が困難な過去の内陸地殻内地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し、これらを基に各種の不確かさを考慮して、敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定されていること。 ⑷ 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」を相補的に考慮することによって、敷地で発生する可能性 のある地震動全体を考慮した地震動として策定されていること。 3.敷地ごとに震源を特定して策定する地震動3.1 策定方針⑴ 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の策定においては、検討用地震ごとに「応答スペクトルに基づく地震動評価」及び「断層モデルを 用いた手法による地震動評価」に基づき策定されている必要がある。なお、地震動評価に当たっては、敷地における地震観測記録を踏まえて、地震発生様式、地震波の伝播経路等に応じた諸特性(その地域における特性を含む。)が十分 震動評価」に基づき策定されている必要がある。なお、地震動評価に当たっては、敷地における地震観測記録を踏まえて、地震発生様式、地震波の伝播経路等に応じた諸特性(その地域における特性を含む。)が十分に考慮されている必要がある。 ⑵ 震源が敷地に近く、その破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると 考えられる地震については、断層モデルを用いた手法が重視されている必要がある。 3.2 検討用地震の選定3.2.1 地震の分類⑴ 内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、活 断層の性質や地震発生状況を精査し、中・小・微小地震の分布、応力場、地震発生様式(プレートの形状・運動・相互作用を含む。)に関する既往の研究成果等を総合的に検討して、検討用地震が複数選定されていることを確認する。 ⑵ 施設の構造に免震構造を採用する等、やや長周期の地震応答が卓越する 施設等がある場合は、必要に応じてやや長周期の地震動が卓越するような 別紙地震関係の関連規則等 地震が検討用地震として適切に選定されていることを確認する。 3.2.2 震源として想定する断層の形状等の評価⑴ 内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、各種の調査及び観測等により震源として想定する断層の形状等の評価が適切に行われていることを確認する。 ⑵ 検討用地震による地震動を断層モデル等により詳細に評価した結果、断層の位置、長さ等の震源特性パラメータの設定やその不確かさ等の評価においてより詳細な情報が必要となった場合、変動地形学的調査、地表地質調査、地球物理学的調査等の追加調査の実施を求めるとともに、追加調査の後、それらの詳細な情報が十分得られていることを確認する。 3.2.3 報が必要となった場合、変動地形学的調査、地表地質調査、地球物理学的調査等の追加調査の実施を求めるとともに、追加調査の後、それらの詳細な情報が十分得られていることを確認する。 3.2.3 震源特性パラメータの設定⑴ 内陸地殻内地震の起震断層、活動区間およびプレート間地震の震源領域に対応する震源特性パラメータに関して、既存文献の調査、変動地形学的調査、地表地質調査、地球物理学的調査の結果を踏まえ適切に設定されていることを確認する。 ⑵ 震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が十分に検討されていることを確認する。その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある。 ⑶ プレート間地震及び海洋プレート内地震の規模の設定においては、敷地周辺において過去に発生した地震の規模、すべり量、震源領域の広がり等に関する地形・地質学的、地震学的及び測地学的な直接・間接的な情報が可能な限り活用されていることを確認する。国内のみならず世界で起きた大規模な地震を踏まえ、地震の発生機構やテクトニクス的背景の類似性を 考慮した上で震源領域が設定されていることを確認する。特に、スラブ内 別紙地震関係の関連規則等 地震についてはアスペリティの応力降下量(短周期レベル)が適切に設定されていることを確認する。 ⑷ 長大な活断層については、断層の長さ、地震発生層の厚さ、断層傾斜角、1回の地震の断層変位、断層間相互作用(活断層の連動)等に関する最新の研究成果を十分考慮して、地震の規模や震源断層モデルが設定されてい ることを確認する。 ⑸ 孤立した長さ 厚さ、断層傾斜角、1回の地震の断層変位、断層間相互作用(活断層の連動)等に関する最新の研究成果を十分考慮して、地震の規模や震源断層モデルが設定されてい ることを確認する。 ⑸ 孤立した長さの短い活断層については、地震発生層の厚さ、地震発生機構、断層破壊過程、スケーリング則等に関する最新の研究成果を十分に考慮して、地震規模や震源断層モデルが設定されていることを確認する。 3.3 地震動評価 3.3.1 応答スぺクトルに基づく地震動評価⑴ 検討用地震ごとに適切な手法を用いて応答スペクトルが評価され、それらを基に設定された応答スペクトルに対して、地震動の継続時間、振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性が適切に設定され、地震動評価が行われていることを確認する。 ①経験式(距離減衰式)の選定1)応答スペクトルに基づく地震動評価において、用いられている地震記録の地震規模、震源距離等から、適用条件、適用範囲について検討した上で、経験式(距離減衰式)が適切に選定されていることを確認する。 2)参照する距離減衰式に応じて適切なパラメータを設定する必要があり、併せて震源断層の拡がりや不均質性、断層破壊の伝播や震源メカニズムの影響が適切に考慮されていることを確認する。 ②地震波伝播特性(サイト特性)の評価1)水平及び鉛直地震動の応答スペクトルは、参照する距離減衰式の特徴 を踏まえ、敷地周辺の地下構造に基づく地震波の伝播特性(サイト特 別紙地震関係の関連規則等 性)の影響を考慮して適切に評価されていることを確認する。 2)敷地における地震観測記録が存在する場合には、それらを収集・整理・解析し、地震の発生様式や地域性を考慮して地震波の伝播特性の影響を評価し、応答スペクトルに反 切に評価されていることを確認する。 2)敷地における地震観測記録が存在する場合には、それらを収集・整理・解析し、地震の発生様式や地域性を考慮して地震波の伝播特性の影響を評価し、応答スペクトルに反映させていることを確認する。 3.3.2 断層モデルを用いた手法による地震動評価 ⑴ 検討用地震ごとに適切な手法を用いて震源特性パラメータが設定され、地震動評価が行われていることを確認する。 ⑵ 観測記録がある場合には、記録の精度や想定する震源断層の特徴を踏まえ、要素地震としての適性について慎重に検討した上で、経験的グリーン関数法による地震動評価が行われていることを確認する。 ⑶ 統計的グリーン関数法及びハイブリッド法(理論的手法と統計的あるいは経験的グリーン関数法を組み合わせたものをいう。)による地震動評価においては、地質・地質構造等の調査結果に基づき、各々の手法に応じて地震波の伝播特性が適切に評価されていることを確認する。 ⑷ 経験的グリーン関数法、統計的グリーン関数法、ハイブリッド法以外の 手法を用いる場合には、その手法の妥当性が示されていることを確認する。 ①震源モデルの設定1)震源断層のパラメータは、活断層調査結果等に基づき、地震調査研究推進本部による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」等の最新の研究成果を考慮し、設定されていることを確認する。 2)アスペリティの位置が活断層調査等によって設定できる場合は、その根拠が示されていることを確認する。根拠がない場合は、敷地への影響を考慮して安全側に設定されている必要がある。なお、アスペリティの応力降下量(短周期レベル)については、新潟県中越沖地震を踏まえて設定されていることを確認する。 ②経験的グリーン関数法による地震動評価 ている必要がある。なお、アスペリティの応力降下量(短周期レベル)については、新潟県中越沖地震を踏まえて設定されていることを確認する。 ②経験的グリーン関数法による地震動評価 別紙地震関係の関連規則等 1)経験的グリーン関数法を適用する場合には、観測記録の得られた地点と解放基盤表面との相違を適切に評価する必要がある。また、経験的グリーン関数法に用いられる要素地震については、地震の規模、震源位置、震源深さ、メカニズム等の各種のパラメータの設定が妥当であることを確認する。 ③統計的グリーン関数法及びハイブリッド法による地震動評価1)統計的グリーン関数法やハイブリッド法による地震動評価においては、震源から評価地点までの地震波の伝播特性、地震基盤からの増幅特性が地盤調査結果等に基づき評価されていることを確認する。 2)ハイブリッド法を用いる場合の長周期側と短周期側の接続周期は、そ れぞれの手法の制度や用いた地下構造モデルを考慮して適切に設定されていることを確認する。また、地下構造モデルは地震観測記録等によってその妥当性が検討されていることを確認する。 ④震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価1)震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価においては、地表に変位を 伴う断層全体(地表地震断層から震源断層までの断層全体)を考慮した上で、震源モデルの形状及び位置の妥当性、敷地及びそこに設置する施設との位置関係、並びに震源特性パラメータの設定の妥当性について詳細に検討されていることを確認する。 2)これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、各種の不 確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新 検討されていることを確認する。 2)これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上、各種の不 確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で、さらに十分な余裕を考慮して地震動が評価されていることを確認する。特に、評価地点近傍に存在する強震動生成領域(アスペリティ)での応力降下量などの強震動の生成強度に関するパラメータ、強震動 生成領域同士の破壊開始時間のずれや破壊進行パターンの設定にお 別紙地震関係の関連規則等 いて、不確かさを考慮し、破壊シナリオが適切に考慮されていることを確認する。 3)なお、震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を取り込んだ手法により、地表に変位を伴う国内外被害地震の震源極近傍の地震動記録に対して適切な再現解析を行い、震源モデルに基 づく短周期地震動、長周期地震動及び永久変位を十分に説明できていることを確認する。この場合、特に永久変位・変形についても実現象を適切に再現できていることを確認する。さらに、浅部における断層のずれの進展の不均質性が地震動評価へ及ぼす影響を検討するとともに、浅部における断層のずれの不確かさが十分に評価されているこ とを確認する。 4)震源が敷地に極めて近い場合の地震動評価においては、破壊伝播効果が地震動へ与える影響について、十分に精査されていることを確認する。また、水平動成分に加えて上下動成分の評価が適切に行われていることを確認する。 ⑤地下構造モデルの設定(省略)3.3.3 不確かさの考慮⑴ 応答スペクトルに基づく地震動の評価過程に伴う不確かさについて、適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。地震動評価において ⑤地下構造モデルの設定(省略)3.3.3 不確かさの考慮⑴ 応答スペクトルに基づく地震動の評価過程に伴う不確かさについて、適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。地震動評価においては、用いる距離減衰式の特徴や適用性、地盤特性が考慮されている必要がある。 ⑵ 断層モデルを用いた手法による地震動の評価過程に伴う不確かさについて、適切な手法を用いて考慮されていることを確認する。併せて、震源特性パラメータの不確かさについて、その設定の考え方が明確にされていることを確認する。 ①支配的な震源特性パラメータ等の分析 1)震源モデルの不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の上端深さ・下 別紙地震関係の関連規則等 端深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等の不確かさ、並びにそれらに係る考え方、解釈の違いによる不確かさ)を考慮する場合には、敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析し、その結果を地震動評価に反映させることが必要である。特にアスペリティ の位置・応力降下量は破壊開始点の設定等が重要であり、震源モデルの不確かさとして適切に評価されていることを確認する。 ②必要に応じた不確かさの組み合わせによる適切な考慮1)地震動の評価過程に伴う不確かさについては、必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮されていることを確認 する。 2)地震動評価においては、震源特性(震源モデル)、伝播特性(地殻・上部マントル構造)、サイト特性(深部・浅部地下構造)における各種の不確かさが含まれるため、これらの不確実さ要因を偶然的不確実さと認識論的不確実さに分類して分析が適切になされているこ 播特性(地殻・上部マントル構造)、サイト特性(深部・浅部地下構造)における各種の不確かさが含まれるため、これらの不確実さ要因を偶然的不確実さと認識論的不確実さに分類して分析が適切になされていることを確 認する。 4 震源を特定せず策定する地震動4.1 策定方針⑴ 「震源を特定せず策定する地震動」は、震源と活断層を関連づけることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観 測記録を収集し、これらを基に各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定されている必要がある。 ⑵ 応答スペクトルの設定においては、解放基盤表面までの地震波の伝播特性が反映されている必要がある。また、敷地及び敷地周辺の地下構造(深部・浅部地盤構造)が地震波の伝播特性に与える影響が適切に評価されて いる必要がある。 別紙地震関係の関連規則等 ⑶ 地震動の策定においては、設定された応答スペクトルに対して、地震動の継続時間、振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性が適切に評価されている必要がある。 ⑷ なお、「震源を特定せず策定する地震動」として策定された基準地震動の妥当性については、最新の科学的・技術的知見を踏まえて個別に確認す る。その際には、地表に明瞭な痕跡を示さない震源断層に起因する震源近傍の地震動について、確率論的な評価等、各種の不確かさを考慮した評価が適切に行われている必要がある。 4.2 地震動評価4.2.1 検討対象地震の選定と震源近傍の観測記録の収集 ⑴ 震源と活断層を関連づけることが困難な過去の内陸地殻内の地震を検討対象地震として適切に選定し、それらの地震時に得られた震源近傍における観測記録を適切かつ十分に収集していることを確認する。 ⑴ 震源と活断層を関連づけることが困難な過去の内陸地殻内の地震を検討対象地震として適切に選定し、それらの地震時に得られた震源近傍における観測記録を適切かつ十分に収集していることを確認する。 ⑵ 検討対象地震の選定においては、地震規模のスケーリング(スケーリング則が不連続となる地震規模)の観点から、「地表地震断層が出現しない 可能性がある地震」を適切に選定していることを確認する。 ⑶ また、検討対象地震の選定の際には、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」についても検討を加え、必要に応じて選定していることを確認する。 【解説】 ⑴「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」は、断層破壊領域が地震発生層の内部に留まり、国内においてどこでも発生すると考えられる地震で、震源の位置も規模もわからない地震として地震学的検討から全国共通に考慮すべき地震(震源の位置も規模も推定できない地震(Mw6.5未満の地震))であり、震源近傍において強震動が観測 された地震を対象とする。 別紙地震関係の関連規則等 ⑵「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は、震源断層がほぼ地震発生層の厚さ全体に広がっているものの、地表地震断層としてその全容を表すまでには至っていない地震(震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上の地震)であり、孤立した長さの短い活断層による 地震が相当する。なお、活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があることが考えられる。このこ る。なお、活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があることが考えられる。このことを踏まえ、観測記録収集対象の地震としては、以下の地震を個別に検討する必要がある。 主文 ①孤立した長さの短い活断層による地震 ②活断層の密度が少なく活動度が低いと考えられる地域で発生した地震 ③上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する地域で発生した地震 ④震源を特定せず策定する地震動の評価において、収集対象となる内陸地殻内の地震例を表―1に示す。 表―1 収集対象となる内陸地殻内の地震の例 № 地震名日時(省略) 規模 1 2008年岩手・宮城内陸地震 Mw6.9 2 2000年鳥取県西部地震 Mw6.6 3 2011年長野県北部地震 Mw6.2 4 1997年3月鹿児島県北西部地震 Mw6.1 5 2003年宮城県北部地震 Mw6.1 6 1996年宮城県北部(鬼首)地震 Mw6.0 7 1997年5月鹿児島県北西部地震 Mw6.0 8 1998年岩手県内陸北部地震 Mw5.9 9 2011年静岡県東部地震 Mw5.9 10 1997年山口県北部地震 Mw5.8 11 2011年茨城県北部地震 Mw5.8 12 2013年栃木県北部地震 Mw5.8 13 2004年北海道留萌支庁南部地震 Mw5.7 14 2005年福岡県西方沖地震の最大余震 Mw5.4 15 2012年茨城県北部地震 Mw5.2 16 2011年和歌山県北部地震 Mw 年北海道留萌支庁南部地震 Mw5.7 2005 年福岡県西方沖地震の最大余震 Mw5.4 2012 年茨城県北部地震 Mw5.2 2011 年和歌山県北部地震 Mw5.0 ※令和3年に改正された地震ガイドにより、4.2.1⑵以下が、次のとおり改正された。 ⑵ 「全国共通に考慮すべき地震動」の検討対象地震の選定においては、地震規模のスケーリング(スケーリング則が不連続となる地震規模)の観点 から、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」を適切に選定していることを確認する。 ⑶ 「地域性を考慮する地震動」の検討対象地震の選定の際には、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」についても検討を加え、必要に応じて選定して いることを確認する。 【解説】⑴「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」は、断層破壊領域が地震発生層の内部に留まり、国内においてどこでも発生すると考えられる地震で、震源の位置及び規模が推定できない地震として地震学的 検討から全国共通に考慮すべき地震(Mw6.5未満の地震)であり、震源近傍において地震動が観測された地震を対象とする。 ⑵「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、 別紙地震関係の関連規則等 地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は、震源断層がほぼ地震発生層の厚さ全体に広がっているものの、地表地震断層としてその全容を表すまでには至っておらず、震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上の地震)である。なお、活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に 軟岩や火山岩、堆 至っておらず、震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上の地震)である。なお、活断層や地表地震断層の出現要因の可能性として、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に 軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域性があることが考えられる。このことを踏まえ、観測記録収集対象の地震としては、以下の地震のうち震源近傍において地震動が観測されたものを個別に検討する必要がある。 ①活断層の密度が少なく活動度が低いと考えられる地域で発生した 地震(例:2000年鳥取県西部地震)②上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する地域で発生した地震(例:2008年岩手・宮城内陸地震)⑶許可基準解釈別記2第4条第5項第3号②に掲げる知見については、知見そのものの再度の妥当性確認は要しない。 4.2.2 応答スペクトル(地震動レベル)の設定と妥当性確認⑴ 震源を特定せず策定する地震動の応答スペクトル(地震動レベル)は、解放基盤表面までの地震波の伝播特性が反映され、敷地の地盤物性が加味されるとともに、個々の観測記録の特徴(周期特性)を踏まえるなど、適切に設定されていることを確認する。 【解説】⑴設定された応答スペクトル(地震動レベル)の妥当性の確認として、例えば原子力安全基盤機構による「震源を特定しにくい地震による地震動:2005」、「震源を特定せず策定する地震動:2009」等に基づく地震動の超過確率別スペクトルを参照する。併せ て、旧原子力安全委員会による「仮想震源を用いた面的地震動評 別紙地震関係の関連規則等 価」に基づき地震動の妥当性が検討されていることを確認するのが望ましい。 ※令和3年に改正された地震ガイドにおいて、⑵が追加されるとともに、 動評 別紙地震関係の関連規則等 価」に基づき地震動の妥当性が検討されていることを確認するのが望ましい。 ※令和3年に改正された地震ガイドにおいて、⑵が追加されるとともに、【解説】が以下のように改められた。 ⑵ 震源を特定せず策定する地震動の応答スペクトル(地震動レベル)が以 下のとおり設定されていることを確認する。 ①「全国共通に考慮すべき地震動」については、許可基準解釈別記2第4条第5項第3号②に掲げる知見を用いて解放基盤表面における応答スペクトル(地震動レベル)が設定されていること。 ②「地域性を考慮する地震動」については、検討対象地震の震源周辺及び 敷地周辺における地質構造や変動地形の類似性等を考慮し、その結果を踏まえて必要に応じて収集した観測記録に基づき適切な応答スペクトル(地震動レベル)が設定されていること【解説】⑴設定された応答スペクトル(地震動レベル)の妥当性の確認におい て確率論的な評価を参考とする場合は、例えば、原子力安全基盤機構による「震源を特定しにくい地震による地震動の検討に関する報告書:2005」、「震源を特定せず策定する地震動の設定に係る検討に関する報告書:2009」等に基づく地震動の超過確率別スペクトルを参照する。併せて、原子力安全委員会による「仮想震源を 用いた面的地震動評価」に基づき地震動の妥当性が検討されていることを確認するのが望ましい。 5 基準地震動5.1 策定方針⑴ 基準地震動は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源 を特定せず策定する地震動」の評価結果を踏まえて、基準地震動の策定過 別紙地震関係の関連規則等 程に伴う各種の不確かさを考慮して適切に策定されている必要があ 及び「震源 を特定せず策定する地震動」の評価結果を踏まえて、基準地震動の策定過 別紙地震関係の関連規則等 程に伴う各種の不確かさを考慮して適切に策定されている必要がある。 ⑵ 基準地震動の策定に当たっては、敷地における地震観測記録を踏まえて、地震発生様式、地震波の伝播経路等に応じた諸特性(その地域における特性を含む。)が十分に考慮されている必要がある。 ⑶ 施設の構造に免震構造を採用する等、やや長周期の地震応答が卓越する 施設等がある場合は、その周波数特性に着目して地震動評価を実施し、必要に応じて他の施設とは別に基準地震動が策定されている必要がある。 5.2 基準地震動の策定⑴ 応答スペクトルに基づく手法による基準地震動は、検討用地震ごとに評価した応答スペクトルを下回らないように作成する必要があり、その際の 振幅包絡線は、地震動の継続時間に留意して設定されていることを確認する。 ⑵ 断層モデルを用いた手法による基準地震動は、施設に与える影響の観点から地震動の諸特性(周波数特性、継続時間、位相特性等)を考慮して、別途評価した応答スペクトルとの関係を踏まえつつ複数の地震動評価結 果から策定されていることを確認する。なお、応答スペクトルに基づく基準地震動が全周期帯にわたって断層モデルを用いた基準地震動を有意に上回る場合には、応答スペクトルに基づく基準地震動で代表させることができる。 ⑶ 震源を特定せず策定する地震動による基準地震動は、設定された応答ス ペクトルに対して、地震動の継続時間、振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性が適切に考慮されていることを確認する。 ⑷ 基準地震動は、最新の知見や震源近傍等で得られた観測記録によってその妥当性が確認されていることを確認する。 6.超 振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性が適切に考慮されていることを確認する。 ⑷ 基準地震動は、最新の知見や震源近傍等で得られた観測記録によってその妥当性が確認されていることを確認する。 6.超過確率 6.1 評価方針 別紙地震関係の関連規則等 ⑴ 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、それぞれ策定された地震動の応答スペクトルがどの程度の超過確率に相当するかを確認する。 ⑵ 超過確率を参照する際には、基準地震動の応答スペクトルと地震ハザード解析による一様ハザードスペクトルを比較するとともに、当該結果の妥 当性を確認する。 【解説】⑴地震ハザード解析による一様ハザードスペクトルの算定においては、例えば日本原子力学会による「原子力発電所の地震を起因とした確率論的安全評価実施基準:2007」や地震調査研究推進本部による「確 率論的地震動予測地図」、原子力安全基盤機構による「震源を特定しにくい地震による地震動:2005」、「震源を特定せず策定する地震動:2009」等に示される手法を適宜参考にして評価する。 6.2 基準地震動の超過確率(略)6.2.3 地震動評価モデルの設定(略) 6.2.4 ロジックツリーの作成(略)6.2.5 地震ハザード評価(略)6.2.6 基準地震動の超過確率の参照(略)7.入力地震動(略)Ⅱ. 耐震設計方針 1.総則(略) 2 基本方針(略) 3 耐震重要度分類耐震重要度分類の定義が下記を踏まえ妥当であることを確認する。また、施設の具体的な耐震重要度分類の妥当性について確認する。 3.1 Sクラスの施設 別紙地震関 重要度分類耐震重要度分類の定義が下記を踏まえ妥当であることを確認する。また、施設の具体的な耐震重要度分類の妥当性について確認する。 3.1 Sクラスの施設 別紙地震関係の関連規則等 ・地震により発生する可能性のある事象に対して、原子炉を停止し、炉心を冷却するために必要な機能を持つ施設・自ら放射性物質を内蔵している施設・当該施設に直接関係しておりその機能喪失により放射性物質を外部に拡散する可能性のある施設 ・これらの施設の機能喪失により事故に至った場合の影響を緩和し、環境への放射線による影響を軽減するために必要な機能を持つ施設・これらの重要な安全機能を支援するために必要となる施設・地震に伴って発生する可能性のある津波による安全機能の喪失を防止するために必要となる施設 3.2 Bクラスの施設(略)3.3 Cクラスの施設(略) 4 弾性設計用地震動弾性設計用地震動の策定方針が下記を踏まえ妥当であることを確認する。 なお、基準地震動については、本ガイドの「Ⅰ.基準地震動」にて妥当性を 確認する。 ・弾性設計用地震動の具体的な設定値及び設定根拠・弾性設計用地震動は、基準地震動との応答スペクトルの比率が目安として0.5を下回らないような値で工学的判断に基づいて設計すること 5 地震力の算定方法 5.1 地震応答解析による地震力(略)5.2 静的地震力5.2.1 建物・構築物・水平地震力は、地震層せん断力係数に、次に示す施設の重要度分類に応じた係数を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定すること Sクラス 3.0、Bクラス 1.5、Cクラス 1.0 平地震力は、地震層せん断力係数に、次に示す施設の重要度分類に応じた係数を乗じ、さらに当該層以上の重量を乗じて算定すること Sクラス 3.0、Bクラス 1.5、Cクラス 1.0 別紙地震関係の関連規則等 ・建物・構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることを確認すること。 ・Sクラスの施設については、水平地震力と鉛直地震力が同時に不利な方向の組合せで作用するものとすること。 5.2.2 機器・配管系 ・各耐震クラスの地震力は、上記5.2.1に示す地震層せん断力係数に施設の重要度分類に応じた係数を乗じたものを水平震度とし、当該水平震度及び上記5.2.1の鉛直震度をそれぞれ20%増しとした震度より求めること・水平地震力と鉛直地震力は同時に不利な方向の組合せで作用すること 6 荷重の組合せと許容限界荷重の組合せと許容限界の考え方が、下記を踏まえ妥当であることを確認する。 なお、本項記載の荷重の組合せと許容限界の規定以外の場合であっても、その妥当性が試験等により確認されていれば、これらの適用を妨げない。 6.1 建物・構築物6.1.1 Sクラスの建物・構築物⑴ 基準地震動との組合せと許容限界常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形 能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること⑵ 弾性設計用地震動との組合せと許容限界常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組合せ、その結果発生する応力に対し を有していること⑵ 弾性設計用地震動との組合せと許容限界常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と、弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組合せ、その結果発生する応力に対して、 建築基準法等の安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度 別紙地震関係の関連規則等 を許容限界とすること6.1.2 Bクラスの建物・構築物(略)6.1.3 Cクラスの建物・構築物(略)6.2 機器・配管系6.2.1 Sクラスの機器・配管系 ⑴ 基準地震動との組合せと許容限界・通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合わせた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること・上記により求まる荷重により塑性ひずみが生じる場合であっても、その 量が微少なレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼすことがないこと・動的機能等については、基準地震動による応答に対して、その設備に要求される機能を保持すること。具体的には、実証試験等により確認されている機能維持加速度等を許容限界とすること ⑵ 弾性設計用地震との組合せと許容限界・通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と弾性設計用地震動による地震力又は静的地震力を組合せた荷重条件に対して、応答が全体的におおむね弾性状態に留まること6.2.2 Bクラスの機器・配管系(略) 6.2.3 Cクラスの機器・配管系(略)6.3 津波防護施設、浸水防止設備等(略)7. 設計における留意事項(略)以上 別紙 スの機器・配管系(略) 6.2.3 Cクラスの機器・配管系(略)6.3 津波防護施設、浸水防止設備等(略)7. 設計における留意事項(略)以上 別紙津波関係の関連規則等 別紙津波関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈設置許可基準規則5条は、設計基準対象施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある津波(基準津波)に対して安全機能が損な われるおそれがないものでなければならない旨定めている。 設置許可基準規則解釈別記3は、基準津波について、「最新の科学的・技術的知見を踏まえ、波源海域から敷地周辺までの海底地形、地質構造及び地震活動性等の地震学的見地から想定することが適切なものを策定すること。また、津波の発生要因として、地震のほか、地すべり、斜面崩壊その他の地震以外の要因、及び これらの組合せによるものを複数選定し、不確かさを考慮して数値解析を実施し、策定すること。また、基準津波の時刻歴波形を示す際は、敷地前面海域の海底地形の特徴を踏まえ、時刻歴波形に対して施設からの反射波の影響が微少となるよう、施設から離れた沿岸域における津波を用いること。なお、基準津波の策定に当たっての調査については、目的に応じた調査手法を選定するとともに、調査手 法の適用条件及び精度等に配慮することによって、調査結果の信頼性と精度を確保すること。」とし、一定の方針により策定する旨を定めている。 2 津波ガイド(甲B18、乙189、乙593、乙602)津波ガイドは、設置許可基準規則解釈別記3に記載された「方針」について、敷衍して以下のとおりとする。うち、当事者の主張に関連する部分は、「Ⅰ.基準 津波」のうちの以下のとおりである。 津波ガイドは、設置許可基準規則解釈別記3に記載された「方針」について、敷衍して以下のとおりとする。うち、当事者の主張に関連する部分は、「Ⅰ.基準 津波」のうちの以下のとおりである。 1.総則1.1 目的(省略)1.2 適用範囲(省略)2.基本方針 施設の安全設計に用いる基準津波は、最新の科学的・技術的知見を踏まえ、 別紙津波関係の関連規則等 波源海域から敷地周辺までの海底地形、地質構造及び地震活動性等の地震学的見地から想定することが適切なものとして策定すること。 3.基準津波の策定3.1 津波の発生要因の選定3.1.1 津波発生要因の検討 ⑴ 津波を発生させる要因として、以下の事象を検討していることを確認する。 ・プレート間地震・海洋プレート内地震・海域の活断層による地殻内地震 ・陸上及び海底での地すべり、斜面崩壊・火山現象(噴火、山体崩壊、カルデラ陥没等)⑵ プレート間地震では、津波を派生させる要因として、以下の事象を考慮していることを確認する。 ・プレート境界での大きなすべりにより強い揺れと大きな津波を生成する 地震及び海溝直近の分岐断層まで同時に活動する地震・プレート境界(海溝近傍)でのゆっくりとした大きなすべりにより強い揺れは伴わないが大きな津波を生成する津波地震・上記の同時発生⑶ 海洋プレート内地震では、津波を発生させる要因として、海溝軸の外側 で発生する地震を考慮していることを確認する。 ⑷ 海域の活断層による地殻内地震では、津波を発生させる要因として、海岸のやや沖合の陸側のプレート(大陸プレート)内部 要因として、海溝軸の外側 で発生する地震を考慮していることを確認する。 ⑷ 海域の活断層による地殻内地震では、津波を発生させる要因として、海岸のやや沖合の陸側のプレート(大陸プレート)内部で発生する地震を考慮していることを確認する。 ⑸ 地すべり、斜面崩壊の要因となる事象(地震、火山現象、豪雨等)を適 切に考慮していることを確認する。また、活断層が少ない地域においても、 別紙津波関係の関連規則等 過去に地すべりや斜面崩壊が発生したことを示す地形や地質構造が見られる場合には、地すべりや斜面崩壊による津波の発生を適切に考慮していることを確認する。 3.1.2 津波発生要因の組合せ⑴ 津波発生要因に係るサイトの地学的背景、津波発生要因の関連性を踏ま え、次に示す組合せについて考慮していることを確認する。 ・プレート間地震とその他の地震・地震と地すべり・地震と斜面崩壊・地震と山体崩壊 3.2 基準津波の策定方針⑴(略)⑵ 基準津波の策定に当たっては、最新の知見に基づき、科学的想像力を発揮し、十分な不確かさを考慮していることを確認する。 3.3 津波波源の設定 3.3.1 国内外の津波事例の考慮(略)3.3.2 プレート間地震に起因する津波波源の設定⑴ プレート間地震については、地震発生域の深さの下限から海溝軸までが震源域となる地震(断層幅が飽和するような地震)を考慮していることを確認する。 ⑵ その際、地震発生域の下限の深さとしては、地震による地殻上下変動を考慮し、対象施設の敷地における津波の影響が最大となるように設定されていることを確認する。 ⑶ 対象海域における既往地震の発生位置や規模 際、地震発生域の下限の深さとしては、地震による地殻上下変動を考慮し、対象施設の敷地における津波の影響が最大となるように設定されていることを確認する。 ⑶ 対象海域における既往地震の発生位置や規模を参考に、プレート境界面の領域区分(以下「セグメント」という。)を設定し、セグメントの組合せ により、津波波源の位置、面積、規模を設定していることを確認する。 別紙津波関係の関連規則等 ⑷ 上記⑶のセグメントの組合せに応じた津波波源の総面積に対し、地震の規模に関するスケーリング則に基づいてモーメントマグニチュード及び平均すべり量を設定していることを確認する。その際、剛性率の異なるセグメントを組み合わせる場合には、剛性率の違いを考慮して適切にモーメントマグニチュード及び平均すべり量を設定していることを確認する。 ⑸ モーメントマグニチュードの大きさに応じて津波波源のすべり分布の不均一性を考慮して段階的にすべり量を設定していることを確認する。その際、最大すべりが海溝付近に設定されていることを確認する。 ⑹ Mw9クラスの巨大津波の場合には、破壊様式(破壊伝播方向、破壊伝播速度)の影響が考慮されていることを確認する。 ⑺ 海溝付近における津波地震の発生を考慮していることを確認する。 ⑻ 海溝付近にプレート境界から分岐した断層(分岐断層)の存在が否定できない場合には、プレート間地震との連動を考慮していることを確認する。 【解説】⑴ プレート間地震に起因する津波発生事例 過去に発生したMw9以上のプレート間地震による巨大津波の例としては、年代順に、1952年カムチャツカ地震(Mw9.0)、1960年チリ地震(Mw9.5)、1964年アラスカ地震(Mw9.2)、2004年スマ たMw9以上のプレート間地震による巨大津波の例としては、年代順に、1952年カムチャツカ地震(Mw9.0)、1960年チリ地震(Mw9.5)、1964年アラスカ地震(Mw9.2)、2004年スマトラ沖地震(Mw9.1)、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)が挙げられる。 また、津波地震の発生事例としては、1946年アリューシャン地震(Mt9.3)及び1896年明治三陸地震(Mt8.6-9.0)が挙げられる。 ⑵ プレート間地震に起因する津波の波源設定の対象領域の例示日本周辺海域における既往津波の発生の有無に捉われることなく、日 本周辺のプレート構造及び国内外で発生したMw9クラスの巨大地震 別紙津波関係の関連規則等 による津波を考慮すると、プレート間地震に起因する津波波源の設定は、解説図1に示す3つの領域が対象となる。各領域範囲を津波波源とした場合の地震規模を以下に示す。(地震規模は参考値である。)①千島海溝から日本海溝沿いの領域(最大Mw9.6程度)②伊豆・小笠原海溝沿いの領域(最大Mw9.2程度) ③南海トラフから南西諸島海溝沿いの領域(最大Mw9.6程度)⑶ 2011年東北地方太平洋沖地震津波の波源モデルの分析(略)⑷ プレート間地震に起因する津波波源の設定例内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」では、2011年東北地方太平洋沖地震及び世界の巨大地震の解析事例の調査に基づいて、 駿河湾から日向灘までの範囲を対象とした南海トラフにおける最大クラスの津波波源モデル(Mw9.1)を設定している。 この津波波源モデルは、以下の特徴を有する。 ・平均すべり量は、波源全体の面積に対し地震の規模に関するスケーリング則に 南海トラフにおける最大クラスの津波波源モデル(Mw9.1)を設定している。 この津波波源モデルは、以下の特徴を有する。 ・平均すべり量は、波源全体の面積に対し地震の規模に関するスケーリング則に基づき設定されている。 ・すべり分布の不均一性として、海溝付近に大すべり域(平均すべり量の2倍を設定する領域)及び超大すべり域(平均すべり量の4倍を設定する領域)が考慮されている。 ・分岐断層が活動するケースや破壊開始点、破壊伝達速度等の影響を考慮した場合も検討されている。 ただし、この海域のテクトニクス的背景は2004年スマトラ沖地震と類似していることから、津波波源の領域は、南海トラフから南西諸島海溝まで含めた領域が対象となる。 3.3.3 海洋プレート内地震に起因する津波波源の設定(略)3.3.4 海域の活断層による地殻内地震に起因する津波波源の設定 ⑴ 海域の活断層の調査結果に基づいて、将来の活動を否定できない海域の 別紙津波関係の関連規則等 活断層に想定される地殻内地震を対象に津波波源を設定していることを確認する。 ⑵ 当該地震については、地震発生層の厚さの限界を考慮し、傾斜角等のパラメータの不確かさを反映して、適切なスケーリング則に基づいて地震規模を設定していることを確認する。 【解説】⑴ 海域の活断層による地殻内地震に起因する津波発生事例(略)⑵ 海域の活断層による地殻内地震に起因する津波波源の設定例(略)3.3.5 地すべり等に起因する津波波源の設定(略)3.3.6 火山現象に起因する津波波源の設定(略) 3.3.7 津波波源のモデル化に係る不確かさの考慮⑴ 津波波源のモデル化に当たって べり等に起因する津波波源の設定(略)3.3.6 火山現象に起因する津波波源の設定(略) 3.3.7 津波波源のモデル化に係る不確かさの考慮⑴ 津波波源のモデル化に当たっては、発生要因に応じて津波波源の規模に影響するパラメータについて不確かさを考慮していることを確認する。例えば、地震起因の津波では、断層の位置や走向等の各種パラメータ及びすべりの不均一性等に係る不確かさを考慮していることを確認する。 ⑵ 複数の震源が連動して破壊が広範囲に及ぶことが想定される場合には、破壊様式(破壊伝播方向、破壊伝播速度)に係る不確かさを考慮していることを確認する。 ⑶ 各種パラメータの不確かさの設定については、その範囲及び科学的根拠が明示されていることを確認する。科学的根拠が示せない場合でも、最新 の科学的・技術的知見を踏まえ、安全評価の観点から十分な幅をもって設定されていることを確認する。 ⑷ 波源特性の不確かさの要因(断層の位置、長さ、幅、走向、傾斜角、すべり量、すべり角、すべり分布、破壊開始点、破壊伝播速度等)及びその大きさの程度並びにそれらに係る考え方、解釈の違いによる不確かさが偶 然的不確実さ及び認識論的不確実さに分類されていることを確認する。 別紙津波関係の関連規則等 ⑸ これら認識論的不確実さの要因については、それぞれの不確実さの幅を設定した上で、不確実さの組合せをロジックツリーにより明示されていることを確認する。 3.4 津波評価手法及び評価条件(略)3.4.1 評価手法(略) 3.4.2 数値計算等の妥当性の検討(略)3.5 津波評価結果からの基準津波の選定(略)3.5.1 基準津波の選定方針(略)3.5. 4.1 評価手法(略) 3.4.2 数値計算等の妥当性の検討(略)3.5 津波評価結果からの基準津波の選定(略)3.5.1 基準津波の選定方針(略)3.5.2 基準津波の定義方法(略)3.6 基準津波の選定結果の検証 3.6.1 地質学的証拠及び歴史記録等による確認⑴ 基準津波を選定する際には、その規模が、敷地周辺における津波堆積物等の地質学的証拠や歴史記録等から推定される津波の規模を超えていることを確認する。 ⑵ 歴史記録については、震源像が明らかにできない場合であっても規模が 大きかったと考えられるものについて十分に考慮されていることを確認する。 ⑶ 歴史記録や伝承の信頼性については、複数の専門家による客観的な評価が参照されていることを確認する。 ⑷ 津波の観測記録、古文書等に記された歴史記録、伝承、考古学的調査の 資料等の既存文献等の調査・分析により、敷地周辺において過去に来襲した可能性のある津波の発生時期、規模、要因等について、できるだけ過去に遡って把握できていることを確認する。 3.6.2 行政機関による既往評価との比較(略)4. 超過確率の参照(略) 4.1 評価方針(略) 別紙津波関係の関連規則等 4.2 津波水位に係る超過確率の評価フロー(略)4.3 津波ハザード評価関連情報の収集・分析(略)4.4 津波発生モデルの設定(略)4.5 津波発生・伝播モデルの設定及び数値計算(略)4.6 不確実さを考慮したロジックツリーの作成(略) 4.7 津波ハザード曲線の作成(略)5. 調査及び評価手法に係る留意事項(略)5.1 及び数値計算(略)4.6 不確実さを考慮したロジックツリーの作成(略) 4.7 津波ハザード曲線の作成(略)5. 調査及び評価手法に係る留意事項(略)5.1 最新の知見の考慮(略)5.2 資料等の充足度及び精度に関する考慮(略)5.3 既往資料との比較(略) 5.4 全プロセスの明示(略)以上 別紙火山噴火関係の関連規則等 別紙火山噴火関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈設置許可基準規則6条1項は、安全施設(設計基準対象施設のうち、安全機能(発電用原子炉施設の安全性を確保するために必要な機能)を有する施設(設置 許可基準規則2条2項5号、8号参照))は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない旨定めている。 設置許可基準規則解釈6条2項は、「想定される自然現象」として、火山の影響等を挙げている。 2 火山ガイド(甲C1、乙216、乙431)火山ガイドは、設置許可基準規則及び同規則解釈を敷衍する。うち、当事者の主張と関連する部分は、以下のとおりである。 1.総則(略)1.1 一般(略) 1.2 適用範囲(略)1.3 関連法規等(略)1.4 用語の定義⑴ 火山火山は、噴火活動で形成された特徴的な形態をもつ地形もしくは構造で ある。通常地形的高まりである凸の地形であるが、カルデラのように、沈降・陥没によって生じた凹地形の場合もある。 ⑵ 火山活動火山活動は、地下のマグマが地表またはその近くまで上昇して冷却固化するまでの間に引き起こす 凸の地形であるが、カルデラのように、沈降・陥没によって生じた凹地形の場合もある。 ⑵ 火山活動火山活動は、地下のマグマが地表またはその近くまで上昇して冷却固化するまでの間に引き起こす様々な作用で、貫入・噴火・熱水活動・火山性 地震などが含まれる。 別紙火山噴火関係の関連規則等 ⑶ 火山事象火山災害を引き起こすおそれのある、火山に関連したあらゆる事象若しくは一連の現象。火山事象には噴火を含めてもよく、通常は火山で発生する地滑りなどの非噴火によるものも含める。 ⑷ 原子力発電所の運用期間 原子力発電所の運用期間とは、原子力発電所に核燃料物質が存在する期間とする。 ⑸ 地理的領域火山影響評価が実施される原子力発電所周辺の領域を指す。原子力発電所から半径160kmの範囲の領域とする。 ⑹ 第四紀及び完新世第四紀は地質時代の1つで、約258万年前から現在までの期間。完新世は第四紀の区分のうちで最も新しいものであり、約1万1700年前から現在までの期間。 ⑺ マグマ溜まり マグマで満たされた、地下の貯留層。こうしたマグマ溜まりでは冷却により晶出した鉱物の分離、若しくは新しいマグマの注入・混合によりマグマ組成の変化が普通に起こる。 ⑻ 降下火砕物大きさ、形状、組成若しくは形成方法に関係なく、火山から噴出された あらゆる種類の火山砕屑物で降下する物を指す。 ⑼ 火山灰爆発性破砕の様々なプロセスによって生じる平均直径2mm未満の火山岩の破片。 ⑽ 火砕物密度流 火山噴火で生じた火山ガス、火砕物の混合物が斜面を流れ下る現象の総 別紙火山噴火関 破砕の様々なプロセスによって生じる平均直径2mm未満の火山岩の破片。 ⑽ 火砕物密度流 火山噴火で生じた火山ガス、火砕物の混合物が斜面を流れ下る現象の総 別紙火山噴火関係の関連規則等 称(すなわち、火砕流、サージ及びブラスト)⑾ 火砕流広い意味での火砕流は、火砕物密度流と同じく火山ガスと火砕物の混合物が斜面を流れ下る現象である。ただし、研究者によっては高温の流れに限定して用いられることも多い。こうした高温流は通常、噴煙柱若しくは ドームの崩壊によって形成され、急速に斜面を流れ下る。火砕流は大きな砕屑岩(岩塊、火山弾)を運ぶことが可能であり、通常は地形の勾配に従う。火砕流内の温度は多くの場合、500℃を超える。速度は火砕流がどのようにして、どこで発生したか、及び流れる斜面に応じて異なるが、一般的には50~100km/hとされている。 ⑿ 火砕サージ火砕物密度流のうち、比較的流れの密度が小さく乱流性が高いもの。火砕サージは爆発的噴火により火口から直接発生する場合や、濃度の高い火砕流から分離して生じることもある。火砕サージは、大半の火砕流よりも地形の勾配による制約を受けない。 (13)(以下略)2.原子力発電所に影響を及ぼす火山影響評価の流れ火山影響評価は、図1(省略)に従い、立地評価と影響評価の2段階で行う。 立地評価では、まず原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出を行い、 影響を及ぼし得る火山が抽出された場合には、抽出された火山の火山活動に関する個別評価を行う。即ち、設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価を行う。(解説―1(省略))影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された場合は、火山活動のモ 関する個別評価を行う。即ち、設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価を行う。(解説―1(省略))影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された場合は、火山活動のモニタリングと火山活動の兆候把握時の対応を適切に行うことを条件として、個々 の火山事象に対する影響評価を行う。一方、設計対応不可能な火山事象が原 別紙火山噴火関係の関連規則等 子力発電所運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価されない場合は、原子力発電所の立地は不適と考えられる。 影響評価では、個々の火山事象への設計対応及び運転対応の妥当性について評価を行う。 3.原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出 原子力発電所の地理的領域に対して、文献調査等で第四紀に活動した火山を抽出する。(解説―2、3)第四紀に活動した火山について、3.1文献調査、3.2地形・地質調査及び火山学的調査を行い、火山の活動履歴、噴火規模及びその影響範囲等を把握する。 次に3.3将来の火山活動可能性の評価を行う。この場合、地域特性、マグマの性質等により火山活動の特性や規模が異なることから、個々の火山噴出物の種類、分布、地形、規模、噴火タイプ、噴火パターン、活動間隔等を総合的に検討する必要がある。なお、類似火山の活動を参照することも重要である。 本章で原子力発電所に影響を及ぼし得るとして抽出された火山について、4章で原子力発電所の運用期間中における火山活動に関する個別評価を、5章で火山活動のモニタリング及び異常を示す兆候を把握した時の対応の検討を行うこととする。 原子力発電所に影響を及ぼし得る火山が抽出されない場合は、当該原子力 発電所又はそ 価を、5章で火山活動のモニタリング及び異常を示す兆候を把握した時の対応の検討を行うこととする。 原子力発電所に影響を及ぼし得る火山が抽出されない場合は、当該原子力 発電所又はその周辺で観測された降下火砕物の最大積載量を基に、後述する6.1で降下火砕物の影響を評価する。 解説―2.第四紀に活動した火山に関しては、日本火山学会、産業技術総合研究所がデータベースを提供している。2009年に国際地質科学連合(IUGS)が第四紀の再定義を行い、わが国も受け入 れて下限が変更(181万年から258万年に変更)されること 別紙火山噴火関係の関連規則等 となった。この定義に従ったデータベースを用いる必要がある。 解説-3.第四紀以前に火山活動があった火山で、第四紀の活動が認められない火山は既にその活動を停止しているとみなせる。従って、第四紀に活動した火山を調査の対象とする。 ※令和元年12月に改正された火山ガイドにおいて、解説―3は次のよう に改められた。 「火山活動に関する個別評価」は、設計対応不可能な火山事象が発生する時期及びその規模を的確に予測できることを前提とするものではなく、現在の火山学の知見に照らして現在の火山の状態を評価するものである。」 3.1 文献調査文献調査では、地理的領域の火山とその現象、噴出物に関する既存の文献を集約し、あるいはデータベースを活用し、原子力発電所周辺の第四紀火山についての概略(火山噴出物、火山噴出中心位置、噴出物種類、活動時期、噴出物分布等)を把握し、最新の知見も参照の上、地理的領域における火山 源の存在と分布を決定する。本調査結果は、地形・地質調査を行うための基礎資料として用いる。 3.2 地形・地質調査及 出物分布等)を把握し、最新の知見も参照の上、地理的領域における火山 源の存在と分布を決定する。本調査結果は、地形・地質調査を行うための基礎資料として用いる。 3.2 地形・地質調査及び火山学的調査⑴ 地形調査地形調査では、既存の地形図、航空写真等を用いた判読及び海底地形デ ータ等に基づき、火山地形の把握を行う。また、必要に応じて航空測量による最新データの取得を行うことも有効である。 ⑵ 地質調査地質調査では、文献調査及び地形調査によって、活動位置・規模・様式や噴出時期等の活動履歴の評価に十分な情報が得られなかった場合、当該 調査等を行い、原子力発電所周辺の地理的領域の火山噴出物の噴出中心位 別紙火山噴火関係の関連規則等 置、噴出物種類、活動時期、噴出物(堆積物)分布等の評価に必要な情報を収集する。 調査においては、露頭もしくはボーリング、ピット掘削等により火山噴火物の試料採取・分析・年代測定等を行い、詳細な情報の収集・評価を実施する。(解説―4(省略)) ⑶ 火山学的調査地質調査において、火山灰、火砕流、溶岩流等の火山噴出物(堆積物)が認められた場合、火山学的な調査を行う。 原子力発電所周辺で確認された火山灰については、以下の調査を行う。 ① 堆積物の範囲、厚さ、量、粒径及び分散軸を示す等層厚線図と等 値線図② 堆積物の等価静荷重(湿潤及び乾燥)原子力発電所近隣に影響を与えた可能性のある火砕流、火砕サージ若しくは火山性ブラストによって発生する識別可能な各堆積物については、以下の調査を行う。 ① 定置物の厚さ、量、密度、区間分布② 重力によって動くか、若しくは火山性ブラストによって方向付け くは火山性ブラストによって発生する識別可能な各堆積物については、以下の調査を行う。 ① 定置物の厚さ、量、密度、区間分布② 重力によって動くか、若しくは火山性ブラストによって方向付けられる流動の方向と運動エネルギーに影響を与えた地形的特徴に関するデータ(こうした流動が測定可能な堆積物を残さずに通過した可能性のある区域も明らかにするのがよい) 溶岩流、火山泥流、土石流若しくは岩屑なだれによって生じる識別可能な各堆積物については、以下の調査を行う。 ① これらの流動現象が押し寄せる区域、並びにその堆積物の厚さ及び量② 定置物の推定温度、速度、動圧の推定値 ③ 発生源からの流動経路及び流動の速度と分布に影響を与えた地 別紙火山噴火関係の関連規則等 形的特徴、並びに現在の地形と堆積物との関係に関するデータ3.3 将来の火山活動可能性⑴ 完新世に活動を行った火山完新世における活動の有無を確認する。完新世に活動を行った火山は、将来の活動可能性があることを示すものとして広く受け入れられている ことから、これを将来活動の可能性のある火山とする。(解説―5)⑵ 完新世に活動を行っていない火山地理的領域にある第四紀火山のうち、完新世に活動を行っていない火山については3.1及び3.2の調査結果を基に、当該火山の第四紀の噴火時期、噴火規模、活動の休止期間を示す階段ダイヤグラムを作成し、より 古い時期の活動を評価する。(解説―6、7)検討対象火山の過去の活動を示す階段ダイヤグラムにおいて、火山活動が終息する傾向が顕著であり、最後の活動終了からの期間が、過去の最大休止期間より長い等、将来の活動可能性が無いと判断できる場合は、火山活動に関する4章の個 動を示す階段ダイヤグラムにおいて、火山活動が終息する傾向が顕著であり、最後の活動終了からの期間が、過去の最大休止期間より長い等、将来の活動可能性が無いと判断できる場合は、火山活動に関する4章の個別評価対象外とする。それ以外の火山は、将来の火 山活動可能性が否定できない火山として、4章の個別評価対象の火山とする。(解説―8(省略))将来の火山活動可能性は無いと評価された場合、原子力発電所又はその周辺で観測された降下火砕物の最大堆積量を基に、後述する6.1降下火砕物の影響を評価する。 解説―5.気象庁の火山噴火予知連絡会では、「概ね1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義(2003年)しており、本評価ガイドでは、これらを完新世に活動を行った火山とする。2011年6月時点で、活火山の数は110となっている。 解説―6.IAEASSG-21では、火山系の時間と量の関係、若し 別紙火山噴火関係の関連規則等 くは岩石学的傾向を基に評価することが可能であるとしている。 例えば、時間と量の関係は、更新世初期若しくはそれより古い期間における火山活動の明確な衰弱傾向や明白な休止を示す場合がある。こうした状況では、新たな火山活動の可能性が極めて低いと言うことができるとしている。 解説―7.火山活動が終息していると判断する際に、後述する4.2地球物理学的及び地球化学的調査を追加的に行い、現在の火山の状態を示すことにより、火山活動が終息していることを示すことも可能である。 4.原子力発電所の運用期間における火山活動に関する個別評価 3章で、将来の活動可能性があると評価した火山については、原子力発電所の運用期間中におい とを示すことも可能である。 4.原子力発電所の運用期間における火山活動に関する個別評価 3章で、将来の活動可能性があると評価した火山については、原子力発電所の運用期間中において設計対応が不可能な火山事象を伴う火山活動の可能性の評価を行う。この際、検討対象火山の活動を科学的に把握する観点から、過去の火山活動履歴とともに、必要に応じて、4.2地球物理学的及び地球化学的調査を行い、現在の火山の活動の状況も併せて評価することとす る。具体的には、地球物理学的観点からは、検討対象火山に関連するマグマ溜まりの規模や位置、マグマの供給系に関連する地下構造等について、地球化学的観点からは、検討対象火山の火山噴出物等について分析することにより、火山の活動状況を把握する。 4.1 設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価 ⑴ 設計対応不可能な火山事象設計対応不可能な火山事象は6章に示す火山事象の内、6.2火砕物密流度、6.3溶岩流、6.4岩屑なだれ、地滑り及び斜面崩壊、6.8新しい火口の開口、6.11地殻変動の5事象とする。設計対応不可能な火山事象については、検討対象火山と原子力発電所間の距離が表1(略)に 示す原子力発電所との位置関係に記載の距離より大きい場合、その火山事 別紙火山噴火関係の関連規則等 象を評価の対象外とすることができる。 ⑵ 火山活動の可能性評価3章の調査結果と必要に応じて実施する4.2地球物理学的及び地球化学的調査の結果を基に、原子力発電所の運用期間中における検討対象火山の活動の可能性を総合的に評価する。評価の結果、検討対象火山の活動の 可能性が十分小さい場合には、過去の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象が原子力発電 の運用期間中における検討対象火山の活動の可能性を総合的に評価する。評価の結果、検討対象火山の活動の 可能性が十分小さい場合には、過去の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達したと考えられる火山を抽出し、5章に従い火山活動のモニタリングを実施し、運用期間中において火山活動を継続的に評価する。 検討対象火山の活動の可能性が十分小さいと判断できない場合は、⑶火 山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価を実施する。 ※令和元年12月に改正された火山ガイドにおいて、⑵は以下のとおりに改められた。 「3.の調査結果と必要に応じて実施する4.2地球物理学的及び地球化学的調査の結果を基に、原子力発電所の運用期間中における検討対象 火山の活動の可能性を総合的に評価する。検討対象火山の活動の可能性が十分小さいと判断できない場合は、「⑶火山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価」を実施する。 なお、検討対象火山(過去に巨大噴火が発生したものに限る。)の活動の可能性の評価に当たり、巨大噴火については、噴火に至る過程が十分 に解明されておらず、また発生すれば広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こす火山活動であるが、低頻度な火山事象であり有史において観測されたことがないこと等を踏まえて評価を行うことが適切である。当該火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないと評価でき、運用期間中における巨大噴火の可能性を示す科学的に合理性 のある具体的な根拠が得られていない場合は、運用期間中における巨大 別紙火山噴火関係の関連規則等 噴火の可能性は十分に小さいと判断できる(解説―10、11(省略))。 ⑶ 火山活動の規模と設計 ていない場合は、運用期間中における巨大 別紙火山噴火関係の関連規則等 噴火の可能性は十分に小さいと判断できる(解説―10、11(省略))。 ⑶ 火山活動の規模と設計対応不可能な火山事象の評価検討対象火山の調査結果から噴火規模を推定する。調査結果から噴火の規模を推定できない場合は、検討対象火山の過去最大の噴火規模とする。 次に設定した噴火規模における設計対応不可能な火山事象が原子力発 電所に到達する可能性が十分小さいかどうかを評価する。評価では、検討対象火山の調査から噴火規模を設定した場合には、類似の火山における設計対応不可能な火山事象の影響範囲を参考に判断する。過去最大の噴火規模から設定した場合には、検討対象火山での設計対応不可能な火山事象の痕跡等から影響範囲を判断する。いずれの方法によっても、影響範囲を判 断できない場合には、設計対応不可能な火山事象の国内既往最大到達距離を影響範囲とする。 設計対応不可能な火山事象が原子力発電所に到達する可能性が十分小さいと評価できない場合には、原子力発電所の立地は不適と考えらえる。 十分小さいと評価できる場合には、過去の最大規模の噴火により設計対応 不可能な火山事象が原子力発電所に到達したと考えられる火山については、モニタリング対象とし、5章に従い火山活動のモニタリングを実施し、運用期間中に火山活動の継続的な評価を行う。 4.2 地球物理学的及び地球化学的調査地球物理学的調査では、地震波速度構造、重力構造、比抵抗構造、地震 活動及び地殻変動に関する検討を実施し、マグマ溜まりの規模や位置、マグマの供給系に関係する地下構造等について調査する。(解説―8、9、10、11、12)解説―8.地震波速度構造 び地殻変動に関する検討を実施し、マグマ溜まりの規模や位置、マグマの供給系に関係する地下構造等について調査する。(解説―8、9、10、11、12)解説―8.地震波速度構造地震探査の解析により求める地震波速度の空間分布 解説―9.重力構造 別紙火山噴火関係の関連規則等 重力探査(精密な重力測定)により求める密度の空間分布解説―10.比抵抗構造電磁気探査により求める比抵抗の空間分布解説―11.地震活動火山周辺における地震発生現象 解説―12.地殻変動GPS測量等によりもとめる火山活動に伴う地殻の変形現象5.火山活動のモニタリング個別評価により運用期間中の火山活動の可能性が十分小さいと評価した火山であっても、設計対応不可能な火山事象が発電所に到達したと考えられ る火山に対しては、噴火可能性が十分小さいことを継続的に確認することを目的として運用期間中のモニタリングを行う。噴火可能性につながるモニタリング結果が観測された場合には、必要な判断・対応をとる必要がある。 5.1 監視対象火山過去の最大規模の噴火により設計対応不可能な火山事象が原子力発電所 に到達したと考えられる火山を監視対象火山とする。 5.2 監視項目(省略)5.3 定期的評価モニタリング結果を定期的に評価し、当該火山の活動状況を把握し、状況に変化がないことを確認すること。(必要に応じて、地球物理学及び地球化 学的調査を実施する。)その際、火山活動状況のモニタリング結果の評価は、第三者(火山専門家等)の助言を得る方針とする 変化がないことを確認すること。(必要に応じて、地球物理学及び地球化 学的調査を実施する。)その際、火山活動状況のモニタリング結果の評価は、第三者(火山専門家等)の助言を得る方針とする。 事業者が実施すべきモニタリングは、原子炉の運転停止、核燃料の搬出等を行うための監視であり、火山専門家のみならず、原子力やその関連技術者 により構成され、透明・公平性のあるモニタリング結果の評価を行う仕組み 別紙火山噴火関係の関連規則等 を構築する。 また、モニタリング結果については、公的な関係機関等に情報を提供し共有することが望ましい。 5.4 火山活動の兆候を把握した場合の対処モニタリングにより、火山活動の兆候を把握した場合の対処方針等を定め ること。 ⑴ 対処を講じるために把握すべき火山活動の兆候と、その兆候を把握した場合に対処を講じるための判断条件⑵ 火山活動のモニタリングにより把握された兆候に基づき、火山活動の監視を実施する公的機関の火山の活動情報を参考にして対処を実施する方 針⑶ 火山活動の兆候を把握した場合の対処として、原子炉の停止、適切な核燃料の搬出等が実施される方針6.原子力発電所への火山事象の影響評価原子力発電所の運用期間中において設計対応不可能な火山事象によって 原子力発電所の安全性に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された火山について、それが噴火した場合、原子力発電所の安全性に影響を与える可能性のある火山事象を表1(省略)に従い抽出し、その影響評価を行う。 ただし、降下火砕物に関しては、火山抽出の結果にかかわらず、原子力発電所の敷地及びその周辺調査から求められる単位面積あたりの質量と同等 の火砕物が降下するものとする。なお、 影響評価を行う。 ただし、降下火砕物に関しては、火山抽出の結果にかかわらず、原子力発電所の敷地及びその周辺調査から求められる単位面積あたりの質量と同等 の火砕物が降下するものとする。なお、敷地及び敷地周辺で確認された降下火砕物で、噴出源が同定でき、その噴出源が将来噴火する可能性が否定できる場合は考慮対象から除外する。 また、噴火による降下火砕物の積載量を評価すること。(解説―14(省略)) 抽出された火山事象に対して、4章及び5章の調査結果等を踏まえて、原 別紙火山噴火関係の関連規則等 子力発電所への影響評価を行うための、各事象の特性と規模を設定する。 (解説―15)以下に、各火山事象の影響評価の方法を示す。 解説―15.原子力発電所との位置関係について表1(省略)に記載の距離は、原子力発電所火山影響評価技術 指針(JEAG4625)から引用した。JEAG4625では、調査対象火山事象と原子力発電所との距離は、わが国における第四紀火山の火山噴出物の既往最大到達距離を参考に設定している。また、噴出中心又は発生源の位置が不明な場合には、第四紀火山の火山噴出物等の既往最大到達距離と噴出物の分布を参考 にしてその位置を想定する。 例えば、噴出中心と原子力発電所との距離が、表中の位置関係より短ければ、火山事象により原子力発電所が影響を受ける可能性があると考えられる。 6.1 降下火砕物 ⑴ 降下火砕物の影響⒜ 直接的影響降下火砕物は、最も広い範囲に及ぶ火山事象で、ごくわずかな火山灰の堆積でも、原子力発電所の通常運転を妨げる可能性がある。降下火砕物により、原子力発電所の構造物への静的負荷、粒子の衝 ⒜ 直接的影響降下火砕物は、最も広い範囲に及ぶ火山事象で、ごくわずかな火山灰の堆積でも、原子力発電所の通常運転を妨げる可能性がある。降下火砕物により、原子力発電所の構造物への静的負荷、粒子の衝突、水循環系 の閉塞及びその内部における磨耗、換気系、電気系及び計装制御系に対する機械的及び化学的影響、並びに原子力発電所周辺の大気汚染等の影響が挙げられる。 降雨・降雪などの自然現象は、火山灰等の堆積物の静的負荷を著しく増大させる可能性がある。火山灰粒子には、化学的腐食や給水の汚染を 引き起こす成分(塩素イオン、フッ素イオン、硫化物イオン等)が含ま 別紙火山噴火関係の関連規則等 れている。 ⒝ 間接的影響前述のように、降下火砕物は広範囲に及ぶことから、原子力発電所周辺の社会インフラに影響を及ぼす。この中には、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限事象が発生し得 ることも考慮する必要がある。 ⑵ 降下火砕物による原子力発電所への影響評価降下火砕物の影響評価では、降下火砕物の降灰量、堆積速度、堆積期間及び火山灰等の特性などの設定、並びに降雨等の同時期に想定される気象条件が火山灰等特性に及ぼす影響を考慮し、それらの原子炉施設又はその附属設 備への影響を評価し、必要な場合には対策がとられ、求められている安全機能が担保されることを評価する。(解説―16、18)⑶ 確認事項直接的影響の確認事項①降下火砕物堆積荷重に対して、安全機能を有する構築物、系統及び機器 の健全性が維持されること。 ②降下火砕物により、取水設備、原子炉補機冷却海水系統、格納容器ベント設備等の安全上重要な設備が閉塞等によりその機能を喪失しないこと。 ③外気取入口からの 器 の健全性が維持されること。 ②降下火砕物により、取水設備、原子炉補機冷却海水系統、格納容器ベント設備等の安全上重要な設備が閉塞等によりその機能を喪失しないこと。 ③外気取入口からの火山灰の侵入により、換気空調系統のフィルタの目詰 まり、非常用ディーゼル発電機の損傷等による系統・機器の機能喪失がなく、加えて中央制御室における居住環境を維持すること。(解説―17)④必要に応じて、原子力発電所内の構築物、系統及び機器における降下火砕物の除去等の対応が取れること。 ⒝間接的影響の確認事項 別紙火山噴火関係の関連規則等 原子力発電所外での影響(長期間の外部電源の喪失及び交通の途絶)を考慮し、燃料油等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉及び使用済燃料プールの安全性を損なわれないように対応が取れること。 解説―16.原子力発電所内及びその周辺敷地において降下火砕物の堆積が観測されない場合は、次の方法により降灰量を設定する。 ✓類似する火山の降下火砕物堆積物の情報を基に求める。 ✓対象となる火山の総噴出量、噴煙柱高度、全粒径度分布、及びその領域における風速分布の変動を高度及び関連パラメータの関数として、原子力発電所における降下火砕物の数値シミュレーションを行うことにより求める。数値シミュレーションに 際しては、過去の噴火履歴等の関連パラメータ、及び類似の火山降下火砕物堆積物等の情報を参考とすることができる。 解説―17.堆積速度、堆積期間については、類似火山の事象やシミュレーション等に基づいて評価する。(注記:平成29年11月の火山ガイドの改正に伴い、「また、外気取入口から侵入する火山灰の 想定に当たっては、添付1(省略)の「気中降下火砕物濃度 事象やシミュレーション等に基づいて評価する。(注記:平成29年11月の火山ガイドの改正に伴い、「また、外気取入口から侵入する火山灰の 想定に当たっては、添付1(省略)の「気中降下火砕物濃度の推定方法について」を参照して推定した気中降下火砕物濃度を用いる。堆積速度、堆積期間及び気中降下火砕物濃度は、原子力発電所への間接的な影響の評価にも用いる。」との文言が付け加えられた。) 解説―18.火山灰の特性としては粒度分布、化学的特性等がある。 6.2 火砕物密度流⑴ 火砕物密度流の影響 直接的影響火砕物密度流は、火砕流、サージ及びブラストの総称で、高速で移動 し、通常は高温(例えば、300℃超)であるため、その流路の建物等 別紙火山噴火関係の関連規則等 に及ぼす影響は深刻である。また、影響の範囲が広く地形によって抑制できる程度が低く、通常はほとんどの地形的障害物を乗り越える。さらに、状況によっては地形的障害物を乗り越え、大きな水域を横断して流れることが分かっている。このような火砕物密度流の直接的な影響は設計対応が不可能であることから、原子力発電所の立地は不適と考えられ る。 ⒝ 間接的影響前述のように、火砕流・火砕サージの影響は広範囲に及ぶことから、原子力発電所周辺の社会インフラに影響を及ぼす。この中には、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセ スの制限が発生しうることも考慮する必要がある。 ⑵ 火砕物密度流による原子力発電所への影響評価原子力発電所の運用期間中に活動可能性のある火山それぞれに対する火砕物密度流の評価では、対象火山の火砕物密度流の規模、堆積物量 ⑵ 火砕物密度流による原子力発電所への影響評価原子力発電所の運用期間中に活動可能性のある火山それぞれに対する火砕物密度流の評価では、対象火山の火砕物密度流の規模、堆積物量などの観点から原子力発電所への影響を示し、設計対応の可否を評価する。 (解 説―19)⑶ 間接的影響の確認事項原子力発電所外での影響(長期間の外部電源の喪失及び交通の途絶)を考慮し、燃料油等の備蓄又は外部からの支援等により、原子炉及び使用済燃料プールの安全性を損なわないように対応が取れること。 解説―19.IAEASSG-21では、火砕物密度流からの影響は、設計及び運転による措置によって緩和できないとしている。 以上 別紙地すべり関係の関連規則等 別紙地すべり関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈⑴ 設置許可基準規則3条関係設置許可基準規則3条1項は「設計基準対象施設は、次条第二項の規定によ り算定する地震力(設計基準対象施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(以下「耐震重要施設」という。)にあっては、同条第三項に規定する基準地震動による地震力を含む。)が作用した場合においても当該設計基準対象施設を十分に支持することができる地盤に設けなければならない。」 と規定し、設置許可基準規則解釈別記1の3条1項は、「設計基準対象施設を十分に支持することができる」とは、設計基準対象施設について、自重及び運転時の荷重等に加え、地震力が作用した場合においても、接地圧に対する十分な支持力を有する設計であることをいうと規定する。 設置許可基準規則3条2項は「 る」とは、設計基準対象施設について、自重及び運転時の荷重等に加え、地震力が作用した場合においても、接地圧に対する十分な支持力を有する設計であることをいうと規定する。 設置許可基準規則3条2項は「耐震重要施設は、変形した場合においてもそ の安全機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。」と規定し、設置許可基準規則解釈別記1の3条2項は、「変形」とは、地震発生に伴う地殻変動によって生じる支持地盤の傾斜及び撓み並びに地震発生に伴う建物・構築物間の不当沈下、液状化及び揺すり込み沈下等の周辺地盤の変状をいうと規定する。 設置許可基準規則3条3項は「耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。」と規定し、設置許可基準規則解釈別記1の3条3項は、「変位」とは、将来活動する可能性のある断層等が活動することにより、地盤に与えるずれをいうと規定する。 ⑵ 設置許可基準規則4条関係 設置許可基準規則4条は、4項において「耐震重要施設は、前項の地震の発 別紙地すべり関係の関連規則等 生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」と規定し、設置許可基準規則解釈別記2の4条8項は、「第4条第4項は、耐震重要施設の周辺斜面について、基準地震動による地震力を作用させた安定解析を行い、崩壊のおそれがないことを確認するとともに、崩壊のおそれがある場合には、当該部分の除去及び敷地内土 木工作物による斜面の保持等の措置を講じることにより耐震重要施設に影響を及ぼすことがないようにすることをいう。」と規定する。 ⑶ 設置許可基準規則6条関係設置許可基準規則6条は、1項において、「安全施設は想定される自然現象(地震及び により耐震重要施設に影響を及ぼすことがないようにすることをいう。」と規定する。 ⑶ 設置許可基準規則6条関係設置許可基準規則6条は、1項において、「安全施設は想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全 機能を損なわないものでなければならない。」と規定し、2項において「重要安全施設は、当該重要安全施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。」と規定する。 設置許可基準規則解釈6条2項は、設置許可基準規則6条1項の「想定され る自然現象」を列挙しているが、そのうちの一つが「地すべり」である。 2 地すべり関係のガイドには、地質ガイド(乙603)及び地盤ガイド(乙677)がある。 以上 別紙水蒸気爆発関係の関連規則等 別紙水蒸気爆発関係の関連規則等 1 設置許可基準規則及び同規則解釈⑴ 設置許可基準規則37条関係設置許可基準規則37条2項は、「発電用原子炉施設は、重大事故が発生し た場合において、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。」と規定する。 設置許可基準規則解釈37条2-1(a)は、設置許可基準規則37条2項の「重大事故が発生した場合」において必ず想定する格納容器破損モードとして、 「原子炉圧力容器外の溶融燃料―冷却材相互作用」(FCI)と「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)を挙げている。また、設置許可基準規則解釈37条2-2は、設置許可基準規則37条2項の「原子炉格納容器の破損及び工場 燃料―冷却材相互作用」(FCI)と「溶融炉心・コンクリート相互作用」(MCCI)を挙げている。また、設置許可基準規則解釈37条2-2は、設置許可基準規則37条2項の「原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたもの」の要件として「想定する格納容器破損モードに対して、原子炉格 納容器の破損を防止し、かつ、放射性物質が異常な水準で敷地外へ放出されることを防止する対策に有効性があることを確認する。」ことを挙げ、37条2-3は、同条2-2の「有効性があることを確認する」対象の評価項目として、「溶融炉心による侵食によって、原子炉格納容器の構造部材の支持機能が喪失しないこと及び溶融炉心が適切に冷却されること。」(⒤)を挙げている。 ⑵ 設置許可基準規則51条関係設置許可基準規則51条は、「発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備を設けなければならない。」と規定する。 設置許可基準規則解釈51条1項は、「第51条に規定する『溶融し、原子炉 別紙水蒸気爆発関係の関連規則等 格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備』とは、以下に掲げる措置又はこれらと同等以上の効果を有する措置を行うための設備をいう。」と規定し、同項a)は、「原子炉格納容器下部注水設備を設置すること。」と規定している。 2 重大事故等防止技術的能力基準(乙765) 原子炉等規制法第43条の3の6第1項第3号に規定する技術的能力の審査を行う際の審査基準として、原子力規制委員会は、平成25年6月19日、重大事故等防止技術的能力基準を 能力基準(乙765) 原子炉等規制法第43条の3の6第1項第3号に規定する技術的能力の審査を行う際の審査基準として、原子力規制委員会は、平成25年6月19日、重大事故等防止技術的能力基準を定めた。 Ⅰ 定義(略)Ⅱ 要求事項 発電用原子炉施設において、重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。以下同じ)若しくは重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)が発生した場合(中略)における当該事故等に対処するために必要な体制の整備に関し、原子炉等規制法第43条の3の24第1項の規定に基づく保安規定等において、以下の項目が規定される方針であること を確認すること。(以下略)1.重大事故等対策における要求事項1.0~1.7(略)1.8 原子炉格納容器下部の冷却等のための手順等発電用原子炉設置者において、炉心の著しい損傷が発生した場合において 原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な手順等が適切に設備されているか、又は整備される方針が適切に示されていること。 1.9~1.19(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの 対応における要求事項(略) 別紙水蒸気爆発関係の関連規則等 Ⅲ 要求事項の解釈要求事項の規定については、以下のとおり解釈する。 なお、本項においては、要求事項を満たすために必要な措置のうち、手順等の整備が中心となるものを例示したものである。重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力には、以下の解釈において 規定する内容に加え、設置許可基準規則に基づいて整備される が中心となるものを例示したものである。重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力には、以下の解釈において 規定する内容に加え、設置許可基準規則に基づいて整備される設備の運用手順等についても当然含まれるものであり、これらを含めて手順等が適切に整備されなければならない。(以下略)1.重大事故等対策における要求事項の解釈1.0~1.5(略) 1.6 原子炉格納容器内の冷却等のための手順等【解釈】 1 第1項に規定する「原子炉格納容器内の圧力及び温度を低下させるために必要な手順等」及び第2項に規定する「原子炉格納容器内の圧力及び温度並びに放射性物質の濃度を低下させるために必要な手順等」とは、以下 に掲げる措置又はこれらと同等以上の効果を有する措置を行うための手順等をいう。 ⑴ 炉心の著しい損傷を防止するための原子炉格納容器の冷却等a)設計基準事故対処設備が有する原子炉格納容器内の冷却機能が喪失した場合において炉心の著しい損傷を防止するため、格納容器スプレ イ代替注水設備により、原子炉格納容器内の圧力及び温度を低下させるために必要な手順等を整備すること。 ⑵ 原子炉格納容器の破損を防止するための原子炉格納容器の冷却等a)炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、格納容器スプレイ代替注水設備により、原子炉格納容 器内の圧力及び温度並びに放射性物質の濃度を低下させるために必 別紙水蒸気爆発関係の関連規則等 要な手順等を整備すること。 1.7~1.19(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対応における要求事項の解釈(略)以上 連規則等 要な手順等を整備すること。 1.7~1.19(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対応における要求事項の解釈(略)以上 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 1 原子炉等規制法関係原子炉等規制法1条は、「原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行う」ことを同 法の目的と定めている。 また、原子炉等規制法43条の3の6第1項は、原子力規制委員会が、発電用原子炉を設置しようとする者の設置許可申請を許可する際に、適合の有無を検討する事項を定めているが、同項3号として、「その者(注記:発電用原子炉を設置しようとする者)に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力 規制委員会規則で定める重大な事故をいう。後略)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること」を挙げている。 2 原子力災害対策特別措置法関係原子力災害対策特別措置法3条は、「原子力事業者は、この法律又は関係法律 の規定に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する。」と規定する。 また、同法4条1項は、「国は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原 子力災害対策本部の設置、地方公共団体への必要な指示その他緊急事態応急対策の実施のために必要な措置並びに原子 定する。 また、同法4条1項は、「国は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原 子力災害対策本部の設置、地方公共団体への必要な指示その他緊急事態応急対策の実施のために必要な措置並びに原子力災害予防対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第三条第一項の責務を遂行しなければならない。」と規定し、同法4条の2は、「国は、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為による 原子力災害の発生も想定し、これに伴う被害の最小化を図る観点から、警備体 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 制の強化、原子力事業所における深層防護の徹底、被害の状況に応じた対応策の整備その他原子力災害の防止に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と規定する。 3 「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」関係「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」は、10 5条において、ミサイル攻撃等の大規模なテロ攻撃に関し、国は、緊急対処事態として対策本部を設置し、原子力災害への対処、放射性物質による汚染への対処等にあたること規定されるとともに、原子力事業者は、国と連携してこれに対処することを規定している。 4 設置許可基準規則及び同規則解釈 ⑴ 設置許可基準規則2条関係設置許可基準規則2条2項12号は、「特定重大事故等対処施設」について「重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において、原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性 物質の異常な水準の放出を抑制するためのものをいう。」と より炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において、原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性 物質の異常な水準の放出を抑制するためのものをいう。」と規定している。 ⑵ 設置許可基準規則6条関係設置許可基準規則6条3項は、「安全施設は、工場等内又はその周辺において想定される発電用原子炉施設の安全性を損なわせる原因となるおそれがある事象であって、人為によるもの(故意によるものを除く。)に対して安全機能 を損なわないものでなければならない。」と規定し、同規則解釈6条8項は、「第3項に規定する「発電用原子炉施設の安全性を損なわせる原因となるおそれがある事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。)」とは、敷地及び敷地周辺の状況をもとに選択されるものであり、飛来物(航空機落下等)(中略)等をいう。なお、上記の航空機落下については、「実用発電用原子炉施 設への航空機落下確率の評価基準について」(平成14・07・29原院第4号 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 (平成14年7月30日原子力安全・保安院制定)(注記:航空機落下確率評価基準))等に基づき、防護設計の要否について確認する。」と規定する。 ⑶ 設置許可基準規則7条関係設置許可基準規則7条は、「発電用原子炉施設への人の不法な進入、爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそ れがある物件が持ち込まれること等を防止するための設備を設けなければならない」旨規定する。 ⑷ 設置許可基準規則42条関係設置許可基準規則42条は「工場等には、次に掲げるところにより、特定重大事故等対処施設を設けなければならない。」として、1号において「原 定する。 ⑷ 設置許可基準規則42条関係設置許可基準規則42条は「工場等には、次に掲げるところにより、特定重大事故等対処施設を設けなければならない。」として、1号において「原 子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。」、2号において「原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備を有するものであること。」、3号において「原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムの発生後、発電用原子炉施設の外か らの支援が受けられるまでの間、使用できるものであること。」と規定する。 ⑸ 設置許可基準規則43条関係設置許可基準規則43条3項5号は、「地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故対処 設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。」と規定し、設置許可基準規則解釈43条7項は、「第3項第5号について、可搬型重大事故等対処設備の保管場所は、故意による大型航空機の衝突も考慮すること。(中略)又は、故意による大型航空機の衝突に対して頑健性を有すること。」と規定する。 5 外部人為事象(故意のものを除く。)に関する航空機落下確率評価基準及び外 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 部火災影響評価ガイド⑴ 航空機落下確率評価基準(甲D2、甲D3)(うち、当事者の主張と関連する部分)1.目的(略)2.基本方針(略) 3.原子炉施設への航空機落下確率に関する判断基準航空機落下を「想定される外部 、甲D3)(うち、当事者の主張と関連する部分)1.目的(略)2.基本方針(略) 3.原子炉施設への航空機落下確率に関する判断基準航空機落下を「想定される外部人為事象」として設計上考慮するか否かを判断するための具体的な基準は、以下のとおりとする(解説3-1、解説3-2)。 ① 4.に示す標準的な評価方法に基づき、原子炉施設へ航空機が落下 する確率を評価し、それら評価結果の総和が10-7(回/炉・年)を超えないこと。 ② ①を満足しない場合には、当該原子炉施設の立地点における状況を現実的に考慮した評価を行い、その妥当性を確認した上で、当該原子炉施設への航空機落下の発生確率の総和が10-7(回/炉・年)を超 えないこと。 なお、上記①を満足しない場合としては、(以下略)4.原子炉施設への航空機落下確率の評価手法本基準で評価対象とする航空機は、固定翼機(ジェット旅客機等)と回転翼機(ヘリコプター)とする(解説4-1)。 これらを対象に、原子炉施設への航空機落下についてその発生確率を評価するに当たっては、以下に示すような原子炉施設の周辺環境を考慮する必要がある。 ・原子炉施設周辺における計器飛行方式で飛行する民間航空機の飛行場の有無 ・原子炉施設上空における航空路の有無 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 ・原子炉施設周辺における自衛隊機又は在日米軍機(以下、「米軍機」という。)の基地の有無・原子炉施設及びその周辺上空における自衛隊機又は米軍機の訓練・試験空域(以下、「訓練空域」という。)の有無・原子炉施設上空における自衛隊機又は という。)の基地の有無・原子炉施設及びその周辺上空における自衛隊機又は米軍機の訓練・試験空域(以下、「訓練空域」という。)の有無・原子炉施設上空における自衛隊機又は米軍機の基地―訓練空域間往復 経路の有無こうした周辺環境及びこれまでの事故実績を踏まえ、以下のように航空機の落下事故を分類して、原子炉施設への航空機落下の発生確率評価を行うものとする。 1)計器飛行方式民間航空機の落下事故 ①飛行場での離着陸時における落下事故②航空路を巡航中の落下事故2)有視界飛行方式民間航空機の落下事故3)自衛隊機又は米軍機の落下事故①訓練空域内を訓練中及び訓練空域周辺を飛行中の落下事故 ②基地―訓練空域間を往復時の落下事故ただし、離着陸時において基地外に落下した事故は②に含むものとするが、自衛隊機又は米軍機の基地内での事故は、当該航空機が原子炉施設に到達する可能性はないと考えられるため対象外とする。 以下では、上記分類ごとに標準的な評価手法を示す。(以下略) 解説1-1 本基準の位置付け(略)解説1-2 他の原子力施設への本基準適用上の注意(略)解説2 原子炉施設上空における航空規制等の現状(略)解説3-1 諸外国における航空機落下に関する基準(略)解説3―2 諸外国の航空機落下に関する判断基準に対する本基準の保守 性(略) 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 解説4-1 評価対象航空機本基準では、原則として、固定翼機と回転翼機を評価対象としているが、評価にあた 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 解説4-1 評価対象航空機本基準では、原則として、固定翼機と回転翼機を評価対象としているが、評価にあたっては、それぞれの特徴や現時点での運行状況、過去の事故実績等を考慮し、以下の観点で評価上の取扱を整理する必要がある。(以下略) (1)固定翼機、回転翼機とも、最大離陸重量が5700kgを超える「大型機」とそれ以下の「小型機」とに分類する。 (2)現在の航空機の運航状況を踏まえて、定期航空運送事業者所有の商業用航空機及び個人所有の一般航空機(これらを総称して「民間航空機」という。)、自衛隊所有の航空機(「自衛隊機」とい う。)及び在日米軍所有の航空機(「米軍機」という。)に分類する。 (3)「民間航空機」は、その飛行形態に応じて、「計器飛行方式」と「有視界飛行方式」とに分け、さらに、運行状況を踏まえて「定期便」と「不定期便」に分類する。 表1(略)に示すように、民間航空機については、旅客機など大型 固定翼機で計器飛行方式の定期便、パトロール機など大型固定翼機で有視界飛行方式の不定期便並びに小型固定翼機及び回転翼機で有視界飛行方式の不定期便は評価対象とするが、小型固定翼機及び回転翼機の定期便については、定期航空運送事業者の登録機数の割合から運航頻度が大型固定翼機の定期便の数%であると判断できることから 評価対象外とする。また、計器飛行方式で飛行する大型固定翼機の不定期便は、定期便と比べて運航回数が極めて少ないことから評価対象外とする。なお、小型固定翼機及び回転翼機の不定期便では、リクエストベースで計器飛行方式による飛行が可能となっているが、原則として有視界飛行方式による飛行形態をとって が極めて少ないことから評価対象外とする。なお、小型固定翼機及び回転翼機の不定期便では、リクエストベースで計器飛行方式による飛行が可能となっているが、原則として有視界飛行方式による飛行形態をとっていることから、有視界飛 行方式民間航空機の落下事故に含めて評価するものとする。 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 一方、「自衛隊機」と「米軍機」については、現時点での運航状況や過去の事故実績を踏まえて、大型固定翼機、小型固定翼機、大型回転翼機及び小型回転翼機の4種類とも評価対象とする。 解説4-2 評価手法の保守性(略)解説4-3 離着陸時及び巡航中の計器飛行方式民間航空機の原子炉施設 への落下確率評価における入力パラメータ等に関する考え方(略)解説4-4 有視界飛行方式で飛行する民間航空機の落下確率評価における入力パラメータ等の考え方(略)解説4-5 訓練空域内で訓練中及び訓練空域外を飛行中の自衛隊機あるいは米軍機の落下確率評価における対象航空機及び入力パラメ ータに関する考え方(略)解説4-6 基地と訓練空域間往復経路(略)⑵ 外部火災影響評価ガイド(甲D4)外部火災影響評価ガイドには、設置許可基準規則6条に挙げられた外部火災の防護対策が施されていることについて評価するための手順が記載されてい る。うち、当事者の主張と関連する部分は、以下のとおりである。 1.序文1.1 外部火災とは(略)1.2 適用範囲(略)1.3 関連法規(略) 1.4 用語の定義(略)2.外部火災による影響2.1 外部火災負荷とその特性(略)2.2 施設への影響形態(略) 1.3 関連法規(略) 1.4 用語の定義(略)2.外部火災による影響2.1 外部火災負荷とその特性(略)2.2 施設への影響形態(略)3.外部火災の防護 3.1 設計目標・確認事項(略) 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 3.2 防護手段(略)4.外部火災の影響評価4.1 考慮すべき発電所敷地外の火災(1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略) (3)航空機墜落による火災航空機の墜落に伴う火災により、原子炉施設が、その影響を受けないよう適切な防護措置が施されており、その二次的な影響も含めて、原子炉施設の安全性を損なうことのない設計とする。(解説―2)(解説―1)発火点の設定について(略) (解説―2)航空機墜落の評価について旧原子力安全・保安院が平成14年7月30日付けで定め、平成21年6月30日付けで改正した「実用発電用原子炉施設への航空機落下確率に対する評価基準について」(平成21・06・25原院第1号(平成21年6月30日原子力安全・保安院制定))等に基づき、原子 炉施設の敷地広さを考慮して、評価の要否について判断する。 4.2 発電所敷地外での火災影響の検討4.2.1 火災の規模火災の規模として、輻射熱、火炎の強度・面積・形状、伝播速度を考慮する。 (1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略)(3)航空機墜落による火災発電所の敷地内であって航空機墜落の可能性を 慮する。 (1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略)(3)航空機墜落による火災発電所の敷地内であって航空機墜落の可能性を無視できない範囲の最も厳しい場所に航空機搭載の燃料の全部が発火した場合の火災 を、工学的判断に基づいて原子炉施設への影響を保守的に評価するよ 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 う設定する。 4.2.2 二次的影響の検討(1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(3)航空機墜落による火災 火災の二次的影響として以下を考慮する・ばい煙等による安全上重要な設備に対する影響等(燃焼生成物の換気又は空気供給系からの侵入による電気故障、非常用ディーゼル発電機の故障、有毒ガスによる影響等)4.3 火災の影響評価 火災の影響評価では以下を評価する。 ・火災の規模に対する原子炉施設の十分な防火機能・想定される二次的影響に対する防護対策(1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略) (3)航空機墜落による火災評価パラメータとして以下を評価すること。 ・輻射強度(想定火災の輻射熱に対する原子炉施設の熱影響評価)・ばい煙等への対策航空機墜落による火災の評価(ばい煙等への対策を除く。)につ いては附属書C(略)に示す。 4.4 火災の影響評価判断の考え方(1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略)(3)航空機墜落による火災 ・原子炉施設の外壁、天井 (略)に示す。 4.4 火災の影響評価判断の考え方(1)森林火災(略)(2)近隣の産業施設の火災・爆発(略)(3)航空機墜落による火災 ・原子炉施設の外壁、天井スラブが想定火災の熱影響に対して許容限 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 界値以下であること。 ・原子炉施設の換気系統へのばい煙の影響がダンパの設置等により考慮されていること。 ・有毒ガスの発生が想定される場合、居住空間へ影響を及ぼさないように対策が考慮されていること。 5.附則(略) 6 重大事故等防止技術的能力審査基準(乙765)Ⅰ 定義(略)Ⅱ 要求事項発電用原子炉施設において、(中略)大規模な自然災害若しくは故意による 大型航空機の衝突その他のテロリズムによる発電用原子炉施設の大規模な損壊が発生するおそれがある場合若しくは発生した場合における当該事故等に対処するために必要な体制の整備に関し、原子炉等規制法43条の3の24第1項の規定に基づく保安規定等において以下の項目が規定される方針であることを確認すること。(以下略) 1.重大事故等対策における要求事項(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応における要求事項2.1 可搬型設備等による対応発電用原子炉設置者において、大規模な自然災害又は故意による大型航空 機の衝突その他のテロリズムによる発電用原子炉施設の大規模な損壊(以下「大規模損壊」という。)が発生するおそれがある場合又は発生した場合における体制の整備に関し、以下の項目についての手順書が適切に整備されているか、又は整備される方針が適切に示されていること。また、当該手順書に従って う。)が発生するおそれがある場合又は発生した場合における体制の整備に関し、以下の項目についての手順書が適切に整備されているか、又は整備される方針が適切に示されていること。また、当該手順書に従って活動を行うための体制及び資機材が適切に整備されているか、又は整 備される方針が適切に示されていること。 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 一大規模損壊発生時における大規模な火災が発生した場合における消火活動に関すること。 二大規模損壊発生時における炉心の著しい損傷を緩和するための対策に関すること。 三大規模損壊発生時における原子炉格納容器の破損を緩和するための 対策に関すること。 四大規模損壊発生時における使用済燃料貯蔵槽の水位を確保するための対策及び燃料体の著しい損傷を緩和するための対策に関すること。 五大規模損壊発生時における放射性物質の放出を低減するための対策に関すること。 2.2 特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体制の整備発電用原子炉設置者において、特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体制が適切に整備されているか、又は整備される方針が適切に示されていること。 Ⅲ 要求事項の解釈 要求事項の規定については、以下のとおり解釈する。 なお、本項においては、要求事項を満たすために必要な措置のうち、手順等の整備が中心となるものを例示したものである。重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力には、以下の解釈において規定する内容に加え、設置許可基準規則に基づいて整備される設備の運用手順 等についても当然含まれるものであり、これらを含めて手順等が適切に整備されな に必要な技術的能力には、以下の解釈において規定する内容に加え、設置許可基準規則に基づいて整備される設備の運用手順 等についても当然含まれるものであり、これらを含めて手順等が適切に整備されなければならない。(以下略)1.重大事故等対策における要求事項の解釈(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応における要求事項の解釈 2.1 可搬型設備等による対応 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 【解釈】 1 発電用原子炉設置者において、大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる発電用原子炉施設の大規模な損壊が発生した場合において、第1号から第5号までに掲げる活動を実施するために必要な手順書、体制及び資機材等を適切に整備する方針であること。 2 第1号に規定する「大規模損壊発生時における大規模な火災が発生した場合における消火活動」について、発電用原子炉設置者は、故意による大型航空機の衝突による外部火災を想定し、泡放水砲等を用いた消火活動についての手順等を整備する方針であること。 3 発電用原子炉設置者は、本規程における「1.重大事故等対策における 要求事項」の以下の項目について、大規模な自然災害を想定した手順等を整備する方針であること。 1.2 原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時に発電用原子炉を冷却するための手順等1.3 原子炉冷却材圧力バウンダリを減圧するための手順等 1.4 原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための手順等1.5 最終ヒートシンクへ熱を輸送するための手順等1.6 原子炉格納容器内の冷却等の 1.4 原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための手順等1.5 最終ヒートシンクへ熱を輸送するための手順等1.6 原子炉格納容器内の冷却等のための手順等1.7 原子炉格納容器の過圧破損を防止するための手順等 1.8 原子炉格納容器下部の溶融炉心を冷却するための手順等1.9 水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための手順等1.10 水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための手順等1.11 使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための手順等1.12 工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための手順等 1.13 重大事故等の収束に必要となる水の供給手順等 別紙外部人為事象に対する安全確保対策関係の関連規則等 1.14 電源の確保に関する手順等 4 発電用原子炉設置者は、上記3の項目について、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムも想定した手順等を整備する方針であること2.2 特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体制の整備【解釈】 1 発電用原子炉設置者において、工場等において故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において、原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を抑制するため、特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体制を整備する方針で あること。 2 発電用原子炉設置者において、工場等外部からの支援が受けられるまでの間(例えば、少なくとも7日間)、特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体 を整備する方針で あること。 2 発電用原子炉設置者において、工場等外部からの支援が受けられるまでの間(例えば、少なくとも7日間)、特定重大事故等対処施設の機能を維持するための体制を整備する方針であること。 以上 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 1 原子力発電所の安全:設計(SSR-2/1(Rev.1))について(乙233(64頁~66頁))IAEAは、国際原子力機関憲章3条A6項に基づき、IAEA安全基準を作 成している。そのうちの一つである「原子力発電所の安全:設計」(SSR-2/1(Rev.1))(SafetyofNuclearPowerPlants:Design、SpecificSaftyRequirementsNo.SSR-2/1(Rev.1))では、深層防護の考え方を設計に適用し、5つの異なる防護レベルにより構築している。 第1の防護レベルは、通常運転状態からの逸脱と安全上重要な機器等の故障を 防止することを目的として、品質管理及び適切で実証された工学的手法に従って、発電所が健全でかつ保守的に立地、設計、建設、保守及び運転されることを要求するものである。 第2の防護レベルは、発電所で運転期間中に予期される事象が事故状態に拡大することを防止するために、通常運転状態からの逸脱を検知し、管理することを 目的として、設計で特定の系統と仕組みを備えること、それらの有効性を安全解析により確認すること、さらに運転期間中に予期される事象を発生させる起因事象を防止するか、さもなければその影響を最小に留め、発電所を安全な状態に戻す運転手順の確立を要求するものである。 第3の防護レベルは、運転期間中に予期 に運転期間中に予期される事象を発生させる起因事象を防止するか、さもなければその影響を最小に留め、発電所を安全な状態に戻す運転手順の確立を要求するものである。 第3の防護レベルは、運転期間中に予期される事象又は想定起因事象が拡大し て前段のレベルで制御できず、また、設計基準事故に進展した場合において、固有の安全性及び工学的な安全の仕組み又はその一方並びに手順により、事故を超える状態に拡大することを防止するとともに発電所を安全な状態に戻すことができることを要求するものである。 第4の防護レベルは、第3の防護レベルでの対策が失敗した場合を想定し、事 故の拡大を防止し、重大事故の影響を緩和することを要求するものである。重大 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 事故等に対する安全上の目的は、時間的にも適用範囲においても限られた防護措置のみで対処可能とするとともに、敷地外の汚染を回避又は最小化することである。また、早期の放射性物質の放出又は大量の放射性物質の放出を引き起こす事故シーケンスの発生の可能性を十分に低くすることによって実質的に排除できることを要求するものである。 第5の防護レベルは、重大事故に起因して発生しうる放射性物質の放出による影響を緩和することを目的として、十分な装備を備えた緊急時対応施設の整備と、所内と所外の緊急事態の対応に関する緊急時計画と緊急時手順の整備が必要であるというものである。 設置許可基準規則は、第2章(3条から36条まで)「設計基準対象施設」(発 電用原子炉施設のうち、運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となるもの(設置許可基準規則2条2項7号))において、第1から第3の防護レベルに想定する事項を、第3章(3 転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となるもの(設置許可基準規則2条2項7号))において、第1から第3の防護レベルに想定する事項を、第3章(37条から62条まで)「重大事故等対処施設」(重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。)又は重大事故に対処する ための機能を有する施設(設置許可基準規則2条2項11号))において、主に第4の防護レベルに相当する事項をそれぞれ規定している。 2 設置許可基準規則及び同規則解釈⑴ 第2章(設計基準対象施設)ア設置許可基準規則3条~9条関係 設置許可基準規則3条は、設計基準対象施設の地盤の安全性確保について、同規則4条は地震による損傷の防止について、同規則5条は津波による損傷の防止について、同規則6条は外部からの衝撃による損傷の防止について、同規則7条は発電用原子炉施設への人の不法な侵入等の防止について、同規則8条は火災による損傷の防止について、同規則9条は溢水による損傷の防 止等について規定している。このうち、同規則8条は、「設計基準対象施設 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 は、火災により発電用原子炉施設の安全性が損なわれないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、早期に火災発生を感知する設備(括弧内略)及び消火を行う設備(括弧内略)並びに火災の影響を軽減する機能を有するものでなければならない。」と規定している。 イ設置許可基準規則10条関係 設置許可基準規則10条1項は、「設計基準対象施設は、誤操作を防止するための措置を講じたものでなければならない。」旨、同条2項は、「安全施設は、容易に操作することができるものでなければなら 設置許可基準規則10条1項は、「設計基準対象施設は、誤操作を防止するための措置を講じたものでなければならない。」旨、同条2項は、「安全施設は、容易に操作することができるものでなければならない。」旨規定する。 ウ設置許可基準規則12条関係 設置許可基準規則12条1項は、「安全施設は、その安全機能の重要度に応じて、安全機能が確保されたものでなければならない。」旨、同条2項は、「安全機能を有する系統のうち、安全機能の重要度が特に高い安全機能を有するものは、当該系統を構成する機械又は器具の単一故障(単一の原因によって一つの機械又は器具が所定の安全機能を失うこと(従属要因による多重 故障を含む。)をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、当該系統を構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性(注記:同一の機能を有し、かつ、同一の構造、動作原理その他の性質を有する二以上の系統又は機器が同一の発電用原子炉施設に存在すること(同規則2条2項17号))又は多 様性(注記:同一の機能を有する二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、これらの構造、動作原理その他の性質が異なることにより、共通要因(二以上の系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因をいう。以下同じ。)又は従属要因(単一の原因によって確実に系統又は機器に故障を発生させることとなる要因をいう。以 下同じ。)によって同時にその機能が損なわれないこと(同規則同条同項1 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 8号))を確保し、及び独立性(注記:二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、物理的方法その他の 同規則同条同項1 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 8号))を確保し、及び独立性(注記:二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、物理的方法その他の方法によりそれぞれ互いに分離することにより、共通要因又は従属要因によって同時にその機能が損なわれないこと(同規則同条同項19号))を確保するものでなければならない。」旨規定している。 エ設置許可基準規則14条関係設置許可基準規則14条は、「発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から開始されるまでの間、発電用原子炉を安全に停止し、かつ、発電用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するとともに、原子炉格納 容器の健全性を確保するための設備が動作することができるよう、これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電池その他の設計基準事故に対処するための電源設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。」とし、設置許可基準規則解釈14条は、設置許可基準規則14条について、「全交流動力電源喪失(外部電源喪失及び非常用所内交流動力電源喪失の重 畳)に備えて、非常用所内直流電源設備は、原子炉の安全停止、停止後の冷却及び原子炉格納容器の健全性の確保のために必要とする電気容量を一定時間(重大事故等に対処するための電源設備から電力が供給されるまでの間)確保できること。」と規定する。 オ設置許可基準規則23条関係 設置許可基準規則23条は計測制御系統施設についての規定であり、炉心、原子炉冷却材圧力バウンダリ及び原子炉格納容器バウンダリ並びにこれらに関連する系統の健全性を確保するために監視することが必要なパラメータは、通常運転時 は計測制御系統施設についての規定であり、炉心、原子炉冷却材圧力バウンダリ及び原子炉格納容器バウンダリ並びにこれらに関連する系統の健全性を確保するために監視することが必要なパラメータは、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時においても想定される範囲内に制御できるものとすること(1号)などを規定している。 カ設置許可基準規則33条関係 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 設置許可基準規則33条は、2項において「発電用原子炉施設には非常用電源設備を設けなければならない。」と規定するとともに、7項において「非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保し、その系統を構成する機械又は器具の単一故障が発生した場合であっても、運転時の異常な過渡変化時又は設計基準事故時において 工学的安全施設及び設計基準事故に対処するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない。」と規定し、設置許可基準規則解釈33条7項は、「第7項に規定する『十分な容量』とは、7日間の外部電源喪失を仮定しても、非常用ディーゼル発電機等の連続運転により必要とする電力を供給できることをいう。非常用ディーゼル発電 機等の燃料を貯蔵する設備(耐震重要度分類Sクラス)は、7日分の連続運転に必要な容量以上を敷地内に貯蔵できるものであること。」と規定する。 ⑵ 第3章(重大事故等対処施設)ア設置許可基準規則37条~41条関係 設置許可基準規則37条は、上記の事故発生に対する対応によってもなお複数の機器が同時に機能喪失する状況を仮定して重大事故等対策を講じることを要求し、同規則38条~41条は、重大事故等対策に用いる設備について、地震等による損傷の防止 故発生に対する対応によってもなお複数の機器が同時に機能喪失する状況を仮定して重大事故等対策を講じることを要求し、同規則38条~41条は、重大事故等対策に用いる設備について、地震等による損傷の防止を要求している。このうち、火災に関する同規則41条は、「重大事故等対処施設は、火災により重大事故等に対 処するために必要な機能を損なうおそれがないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、火災感知設備及び消火設備を有するものでなければならない。」と規定する。 イ設置許可基準規則43条関係設置許可基準規則43条2項は、重大事故等対処設備のうち常設のもの (重大事故等対処設備のうち可搬型のもの(以下「可搬型重大事故等対処 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要な発電用原子炉施設内の常設の配管、弁、ケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)は、前項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。」と規定し、1号において「想定される重大事故等の収束に必要な容量を有するもので あること。」と、2号において「二以上の発電用原子炉施設において共用するものでないこと。(以下略)」と、3号において「常設重大事故防止設備は、共通要因によって設計基準事故対処設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。」とする。 設置許可基準規則43条3項は、「可搬型重大事故等対処設備に関しては、第一項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。」と規定し、1号において「想定される重大事故等の収束に必要な容量に加え、十分に余裕のある容量を有 「可搬型重大事故等対処設備に関しては、第一項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。」と規定し、1号において「想定される重大事故等の収束に必要な容量に加え、十分に余裕のある容量を有するものであること。」を、2号において「常設設備(発電用原子炉施設と接続されている設備又は短時間に発電用 原子炉施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、二以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講じたものであること。」と、3号において「常設設備と接続するものにあっては、共通要因に よって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(原子炉建屋の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けるものであること。」と、4号において「想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができ るよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所へ 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 の遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。」と、5号において「地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故対処設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。」と、6号において「想定される重大事故等が発 生した場合において可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の 故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。」と、6号において「想定される重大事故等が発 生した場合において可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講じたものであること。」と、7号において「重大事故防止設備のうち可搬型のものは、共通要因によって、設計基準事故対処設備の安全機能、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若しくは注水機能又は常設重大事故防 止設備の重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。」とする。なお、同規則解釈43条4項は、「第2項第3号及び第3項第7号に規定する『適切な措置を講じたもの』とは、可能な限り多様性を考慮したものをいう。」と規定する。 エ設置許可基準規則44条関係設置許可基準規則44条は、「発電用原子炉施設には、運転時の異常な過渡変化時において発電用原子炉の運転を緊急に停止することができない事象が発生するおそれがある場合又は当該事象が発生した場合においても炉心の著しい損傷を防止するため、原子炉冷却材圧力バウンダリ及び原子炉格 納容器の健全性を維持するとともに、発電用原子炉を未臨界に移行するために必要な設備を設けなければならない。」と規定し、同規則解釈44条2項は、第44条に規定する「発電用原子炉を未臨界に移行するために必要な設備」の1つとして、本件3号機のような加圧水型原子炉(PWR)の場合、「化学体積制御設備又は非常用炉心冷却設備による十分な量のほう酸水注 入を実施する設備を整備すること」を挙げている。 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 オ設置許可基準規則45条 は非常用炉心冷却設備による十分な量のほう酸水注 入を実施する設備を整備すること」を挙げている。 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 オ設置許可基準規則45条関係設置許可基準規則45条は「発電用原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリが高圧の状態であって、設計基準事故対処設備が有する発電用原子炉の冷却機能が喪失した場合においても炉心の著しい損傷を防止するため、発電用原子炉を冷却するために必要な設備を設けなければならな い。」と規定し、設置許可基準規則解釈45条1項は、「発電用原子炉を冷却するために必要な設備」として、電源喪失等時に原子炉隔離時冷却系等(RCIC等)により発電用原子炉を冷却するための措置を行う設備として、可搬型重大事故防止設備(可搬型バッテリ又は窒素ボンベ等)を用いた弁の操作により、あるいは、現場での人力による弁の操作により、原 子炉隔離時冷却系等の起動及び十分な期間(原子炉冷却材圧力バウンダリの減圧対策及び原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時の冷却対策の準備が整うまでの期間)の運転継続を行うために必要な設備を挙げている。 カ設置許可基準規則57条関係設置許可基準規則57条1項は、「発電用原子炉施設には、設計基準事故 対処設備の電源が喪失したことにより重大事故等が発生した場合において炉心の著しい損傷、原子炉格納容器の破損、貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷及び運転停止中原子炉内燃料体の著しい損傷を防止するために必要な電力を確保するために必要な設備を設けなければならない。」と、同条2項は、「発電用原子炉施設には、第三十三条第二項の規定により設置される非 常用電源設備及び前項の規定により設置される電源設備のほか、設計基準事故対処設備の電源が喪失し ばならない。」と、同条2項は、「発電用原子炉施設には、第三十三条第二項の規定により設置される非 常用電源設備及び前項の規定により設置される電源設備のほか、設計基準事故対処設備の電源が喪失したことにより重大事故等が発生した場合において炉心の著しい損傷、原子炉格納容器の破損、貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷及び運転停止中原子炉内燃料体の著しい損傷を防止するための常設の直流電源設備を設けなければならない」と規定している。 キ設置許可基準規則58条関係 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 設置許可基準規則58条は、「発電用原子炉施設には、重大事故等が発生し、計測機器(非常用のものを含む。)の故障により当該重大事故等に対処するために監視することが必要なパラメータを計測することが困難となった場合において当該パラメータを推定するために有効な情報を把握できる設備を設けなければならない。」と規定する。 3 重大事故等防止技術的能力審査基準(乙765)Ⅰ 定義(略)Ⅱ 要求事項発電用原子炉施設において、重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過度変化及び設計基準事故を除く。以下同じ。)若しくは重大事故(以下 「重大事故等」と総称する。)が発生した場合又は大規模な自然災害若しくは故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる発電用原子炉施設の大規模な損壊が発生するおそれがある場合若しくは発生した場合における当該事故等に対処するために必要な体制の整備に関し、原子炉等規制法第43条の3の24第1項の規定に基づく保安規定等において、以下の項目が規定され る方針であることを確認すること。(後略)1.重大事故等対策における要求事項1.0 共通事 法第43条の3の24第1項の規定に基づく保安規定等において、以下の項目が規定され る方針であることを確認すること。(後略)1.重大事故等対策における要求事項1.0 共通事項⑴ 重大事故等対処設備に係る要求事項① 切替えの容易性 発電用原子炉設置者において、本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えるために必要な手順等が適切に整備されているか、又は整備される方針が適切に示されていること。 ② アクセスルートの確保 発電用原子炉設置者において、想定される重大事故等が発生した場合 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 において、可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場又は事業所(以下「工場等」という。)内の道路及び通路が確保できるよう、実効性のある運用管理を行う方針であること。 ⑵ 復旧作業に係る要求事項 ① 予備品等の確保発電用原子炉設置者において、重要安全施設(設置許可基準規則第2条第9号に規定する重要安全施設をいう。)の取替え可能な機器及び部品等について、適切な予備品及び予備品への取替のために必要な機材等を確保する方針であること。 ② 保管場所発電用原子炉設置者において、上記予備品等を、外部事象の影響を受けにくい場所に、位置的分散などを考慮して保管する方針であること。 ③ アクセスルートの確保発電用原子炉設置者において、想定される重大事故等が発生した場合 において、設備の復旧作業のため、工 などを考慮して保管する方針であること。 ③ アクセスルートの確保発電用原子炉設置者において、想定される重大事故等が発生した場合 において、設備の復旧作業のため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、実効性のある運用管理を行う方針であること。 ⑶ 支援に係る要求事項発電用原子炉設置者において、工場等内であらかじめ用意された手段(重大事故等対処設備、予備品及び燃料等)により、事故発生後7日間は 事故収束対応を維持できる方針であること。 また、関係機関と協議・合意の上、外部からの支援計画を定める方針であること。 さらに、工場等外であらかじめ用意された手段(重大事故等対処設備、予備品及び燃料等)により、事象発生後6日間までに支援を受けられる方 針であること。 別紙その他安全確保対策関係の関連規則等 ⑷ 手順書の整備、訓練の実施及び体制の整備発電用原子炉設置者において、重大事故等に的確かつ柔軟に対処できるよう、あらかじめ手順書を整備し、訓練を行うとともに人員を確保する等の必要な体制の適切な整備が行われているか、又は整備される方針が適切に示されていること。 1.1~1.19(略)2.大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応における要求事項(略)Ⅲ 要求事項の解釈(略)以上 別紙争点1に関する当事者の主張~別紙争点10に関する当事者の主張(316ページ~906ページ)は省略 別紙地震に関する再稼働申請の内容 別紙地震に関する再稼働申請の内容 第1 新規制基準の制定後に実施した地震動評価及び基準地 (316ページ~906ページ)は省略 別紙地震に関する再稼働申請の内容 別紙地震に関する再稼働申請の内容 第1 新規制基準の制定後に実施した地震動評価及び基準地震動の策定被告は、福島原発事故を踏まえて新規制基準が制定されたことを受けて、改めて新規制基準に従い最新の知見も踏まえて伊方原子力発電所の基準地震動Ss を策定した。 1 基準地震動策定の流れ基準地震動Ssは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について、それぞれ敷地の解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動として策定する。 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は、敷地周辺における地震発生状況、活断層の性質等を考慮し、地震発生様式等による地震の分類を行った上で、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(検討用地震)を選定し、選定した検討用地震に対して、震源特性等の不確かさを適切に考慮し、応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価の 双方を行い、この結果に基づき策定する。また、「震源を特定せず策定する地震動」は、敷地周辺の状況等を十分考慮した詳細な調査を実施しても、なお敷地近傍において発生する可能性のある内陸地殻内地震の全てを事前に評価し得るとは言い切れないとの観点から、震源と活断層とを関連付けることが困難な過去の内陸地殻内地震について得られた震源近傍における観測記録に基づき策 定する。 2 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動⑴ 検討用地震の候補とする地震の選定被告は、敷地周辺における過去の被害地震から、規模、位置等に関する最新の知見をもとに、伊方原子力発電所敷地に影響を及ぼすと考えられる地震を選 定し、これ ⑴ 検討用地震の候補とする地震の選定被告は、敷地周辺における過去の被害地震から、規模、位置等に関する最新の知見をもとに、伊方原子力発電所敷地に影響を及ぼすと考えられる地震を選 定し、これらの地震に、国の機関等による知見、活断層の分布状況から敷地周 別紙地震に関する再稼働申請の内容 辺に想定した地震を加え、地震発生様式ごとに整理・分類して、検討用地震の候補とする地震を選定した。 ア被害地震の調査被告は、敷地周辺の被害地震について、地震史料及び明治以降の地震観測記録を基に、地震の震央位置、規模等をまとめた地震カタログ(「最新版日 本被害地震総覧」、「宇津カタログ(1982)」、「気象庁地震カタログ」等)による調査を行った。この調査によって抽出した地震について、規模及び位置等に関する最新の知見をもとに敷地に影響を及ぼす地震として、敷地の震度が5弱(1996年以前は旧気象庁震度階級でⅤ)程度以上であったと推定される地震を以下のとおり選定した。(乙13(6-5-13~6- 5-16頁、6-5-53~6-5-56頁)、乙37(7~10頁))・土佐その他南海・東海・西海諸道の地震(684年、M8 1/4)・日向灘の地震(1498年、M7 1/4)・安芸・伊予の地震(1649年、M6.9)・宝永地震(1707年、M8.9) ・安政南海地震(1854年、M8.4)・伊予西部の地震(1854年、M7.0)・豊後水道の地震(1968年、M6.6)イ国の機関等による知見地震調査委員会は、長期的な観点から、南海トラフ沿いの地震について、 四国沖から浜名湖沖までの領域を震源域とする地震を想定し、その評価のとりまとめを行った。そして、次の南海トラフ沿いの地震の発生位置(領域) は、長期的な観点から、南海トラフ沿いの地震について、 四国沖から浜名湖沖までの領域を震源域とする地震を想定し、その評価のとりまとめを行った。そして、次の南海トラフ沿いの地震の発生位置(領域)及び震源域の形態を、既往の調査結果から総合的に判断し、モデルを提案した(想定南海地震(地震調査委員会、M8.4))。また、日向灘のプレート間地震についても、1968年日向灘地震及び1662年の日向灘の地震 に係る強震動評価を実施し、モデルを示している(日向灘の地震(地震調査 別紙地震に関する再稼働申請の内容 委員会、M7.6))。(乙13(6-5-9~6-5-10頁)、乙37(9頁))中央防災会議は、「東南海・南海地震等に関する専門調査会」を設置し、東南海・南海地震などの過去の地震発生例を参考にして、東海地震、東南海地震及び南海地震を様々に組み合わせたケースを想定した検討を行い、想定 南海地震としてモデルを設定した(想定南海地震(中央防災会議、M8.6))(乙13(6-5-10~6-5-12頁)、乙37(9頁))。 内閣府検討会は、南海トラフの巨大地震を対象として、過去に南海トラフで発生した地震の特徴やフィリピン海プレートの構造等に関する特徴などの現時点の科学的知見に基づきあらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨 大な地震として、駿河湾から日向灘までを震源断層域とするM9クラスを想定した検討を行った。そして、南海トラフの巨大地震として4ケースのモデルを設定している。伊方原子力発電所敷地に最も影響があると考えられるのは、強震動生成域(断層面の中でも特に強い地震波(地震動)を発生させる領域)が最も敷地の近傍に配置されている「陸側ケース」(M9.0)であ る。(乙13(6-5-12~6-5-13頁) れるのは、強震動生成域(断層面の中でも特に強い地震波(地震動)を発生させる領域)が最も敷地の近傍に配置されている「陸側ケース」(M9.0)であ る。(乙13(6-5-12~6-5-13頁)、乙37(9頁))また、地震調査研究推進本部地震調査委員会による、フィリピン海プレートのプレート間及びプレート内の震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の地域区分(乙38(3-79頁))を考慮し、伊方原子力発電所を含む区分及びこれに隣接する区分において過去に発生した海洋プレート内地震に ついて、最新の知見を踏まえて整理すると、各領域において最も規模が大きなものは、領域1においては①2004年の地震(M7.4)、領域2においては②1769年の地震(M7.4)、伊方原子力発電所を含む領域3においては③1854年の地震(M7.0)及び領域4においては④1909年の地震(M7.3)となった。これらの地震のうち、③以外の地震は、震 央距離が離れているため、そのままでは伊方原子力発電所への影響は大きく 別紙地震に関する再稼働申請の内容 ないが、被告は、各領域の範囲で地震が発生する位置をあらかじめ特定することは困難であるとの安全側の考え方に立ち、地震動評価をする上では、①、②及び④の地震を各領域の最も伊方原子力発電所に影響を与える位置で発生するものとした。そして、①を震央距離約225km の位置に(アウターライズ地震(海側のプレートと大陸側のプレートが接する海溝の海寄りに 存在する、海側のプレートが地形的に隆起した領域で発生する地震(M7. 4))、②を震央距離約77km の位置に(日向灘の浅い地震(M7.4))、④を震央距離約59km の位置に(九州の深い地震(M7.3))それぞれ想定することとした。(乙13(6- する地震(M7. 4))、②を震央距離約77km の位置に(日向灘の浅い地震(M7.4))、④を震央距離約59km の位置に(九州の深い地震(M7.3))それぞれ想定することとした。(乙13(6-5-18~6-5-19頁)、乙37(8頁)) ウ敷地周辺の地震発生様式及び地震発生状況伊方原子力発電所周辺の地震活動は、太平洋側沖合いの南海トラフから陸側へ沈み込む海洋プレートと陸域プレートとの境界付近で発生するプレート間地震、海洋プレート内で発生する地震、陸域及び沿岸で発生する内陸地殻内地震の3つに大きく分けることができる。気象庁一元化震源のうち敷地 周辺で発生したM5未満の地震(微小地震)の分布状況の調査、敷地周辺で発生した過去の地震に関する知見等を踏まえると、敷地周辺で発生する地震の主な特徴は概ね次のとおりである。すなわち、①プレート間地震は、南海トラフ沿いでM8程度の大地震が約100年から150年の間隔で発生し、日向灘周辺ではM7程度の地震が十数年から数十年に一度の割合で発生し ている。②海洋プレート内地震は、安芸灘や伊予灘など瀬戸内海の西部から豊後水道付近のやや深いところ(約30~70kmの深さ)でM7程度の地震が発生している。そして、過去に敷地周辺の沿岸地域に被害をもたらした地震が知られている。③内陸地殻内地震は、敷地近傍においてほとんど発生しておらず(若干認められるものもM2未満と小さい。)、大分県別府付近 でM7程度の地震が発生している。(乙13(6-5-1~6-5-7頁)) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 エ活断層の分布状況被告は、敷地周辺の活断層の分布を把握するため、文献調査、地形調査、地表地質調査、海域地質調査、地球物理学的調査等による入念な調査を行った る再稼働申請の内容 エ活断層の分布状況被告は、敷地周辺の活断層の分布を把握するため、文献調査、地形調査、地表地質調査、海域地質調査、地球物理学的調査等による入念な調査を行った。この結果、敷地の北方には敷地前面海域の断層群(42km)、伊予セグメント(23km)、川上セグメント(36km)などから構成される中 央構造線断層帯が四国陸域から佐田岬半島西端部の北方まで分布し、敷地の沖合い約8kmを通過する。さらに西方には、別府湾-日出生断層帯(76km)が豊予海峡から別府市西方まで分布する。これら以外にも伊予灘北方の上関断層(F-15)、上関断層(F-16)等の活断層が分布する。一方、敷地の南方には、八幡浜の五反田断層(2km)、宇和海のF-21断 層(22km)が分布する。(乙13(6-5-7~6-5-9頁))一般に、中央構造線という語は、「地質境界としての中央構造線」と「活断層としての中央構造線」の両者を包含して若しくは混同して、又は区別せずに用いられているが、地震動を評価する上で考慮すべきは「活断層としての中央構造線」である。 地質境界としての中央構造線日本列島の骨格が形成された約7000万年前以前に形成されたと考えられる西南日本の中央部をほぼ縦断する地質構造上の境界線があり、地質境界としての中央構造線と呼ばれる。地質境界としての中央構造線は、四国地方においては、四国山地北麓をほぼ東西に走り、愛媛県西条市丹原 町鞍瀬付近で南へ曲がり、湾曲しながら同県伊予市双海町上灘付近から海中に没している。 地質境界としての中央構造線は、上記鞍瀬付近から上記上灘付近で海中に没するまでの間は新生代第三紀の末期(約1000万年前)以降は全く活動していないこと、及び上記上灘付近の海域における音波探査 る。 地質境界としての中央構造線は、上記鞍瀬付近から上記上灘付近で海中に没するまでの間は新生代第三紀の末期(約1000万年前)以降は全く活動していないこと、及び上記上灘付近の海域における音波探査記録によ れば地質境界上に堆積している洪積層に乱れが認められないことから、地 別紙地震に関する再稼働申請の内容 震を発生させる可能性は皆無である。つまり、地質境界としての中央構造線とは、地質構造として認定されるものであり、地震を発生させる可能性はない。なお、中央構造線の長さについて、例えば、約800㎞とか約1000㎞と言及されることがあるが、これは、地質境界としての中央構造線の長さに関するものであり、地震発生の可能性の観点からは意味をもた ない。 活断層としての中央構造線地質境界としての中央構造線と同じ位置、あるいは多少離れた位置に、最近の地質年代における活動が確認される断層が存在する部分がある。これらは、活断層としての中央構造線として、将来、地震を発生させる可能 性があるかどうかの観点から、地質境界としての中央構造線とは区別して検討しなければならない。 活断層としての中央構造線については、地震調査委員会が、中央構造線断層帯として評価している(以下では、活断層としての中央構造線を「中央構造線断層帯」と記載している。)。長期評価(一部改訂)(乙39) によれば、中央構造線断層帯は、近畿地方の金剛山地の東縁から淡路島南部の海域を経て四国北部を東西に横断し、伊予灘に達する断層帯で全体としての長さは約360kmとされ、過去の活動時期の違いなどから、①金剛山地東縁(長さ約23km)、②和泉山脈南縁(長さ約44~52km)、③紀淡海峡-鳴門海峡(長さ約43~51km)、④讃岐山脈南縁-石鎚 60kmとされ、過去の活動時期の違いなどから、①金剛山地東縁(長さ約23km)、②和泉山脈南縁(長さ約44~52km)、③紀淡海峡-鳴門海峡(長さ約43~51km)、④讃岐山脈南縁-石鎚 山脈北縁東部(長さ約130km)、⑤石鎚山脈北縁(長さ約30km)及び⑥石鎚山脈北縁西部-伊予灘(長さ約130km)の6つの区間に区分されている。一般的には、中央構造線断層帯のような長大な断層帯はいくつかの区間に分割して活動すると考えられているが、同委員会では、中央構造線断層帯の将来の活動について、上記6つの区間が個別に活動する 可能性、複数の区間が同時に活動する可能性、これら6つの区間とは異な 別紙地震に関する再稼働申請の内容 る範囲が活動する可能性、さらには、断層帯全体が同時に活動する可能性も否定できないとしている。 また、地震調査委員会(2005b)(乙40)によると、別府-万年山断層帯について、ほぼ東西方向の多数の正断層から構成されているが、断層の走向や変位の向きから「別府湾―日出生断層帯」(76km)、大 分平野-由布院断層帯(40km)等に区分されている。敷地に最も近い別府湾-日出生断層帯は、東部と西部で最新活動時期が異なり、それぞれが単独で活動すると推定されているが、全体が同時に活動する可能性、さらには、その東端が中央構造線断層帯に連続している可能性があると指摘されている。 一方、被告は、伊方原子力発電所の敷地周辺において詳細な地質調査を実施し、断層の分布形態、活動様式等の性状を特定した結果、中央構造線断層帯を構成する活断層として、伊予断層(断層の長さ約23km)、川上断層(断層の長さ約36km)及び敷地前面海域の断層群(断層の長さ約42km、伊方原子力発電所の敷地の沖合い約8kmに 中央構造線断層帯を構成する活断層として、伊予断層(断層の長さ約23km)、川上断層(断層の長さ約36km)及び敷地前面海域の断層群(断層の長さ約42km、伊方原子力発電所の敷地の沖合い約8kmに分布)が存在す ること、さらにそれぞれの断層の間に、ジョグと呼ばれる断層破壊の末端(セグメントの境界)を示唆する地質構造が分布することを確認し、敷地前面海域の断層群を区分した。ちなみに、敷地前面海域の断層群の中間あたり(伊方原子力発電所の敷地の正面の海域)にもジョグが存在しているが、規模が小さいことから安全側に判断し、セグメントの境界とみなさず に敷地前面海域の断層群を一連の活断層として判断した。 (以上、伊方原子力発電所の敷地周辺地域における中央構造線の総合的な評価につき、乙13(6-3-43~6-3-66頁)参照)オ地震の分類以上で示した地震について、地震発生様式ごとに整理・分類し、検討用地 震の候補とする地震を選定した。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 内陸地殻内地震については、前記エで示した活断層の分布状況に基づき、敷地周辺において考慮すべき活断層による内陸地殻内地震として、以下のとおり選定した。地震動評価上考慮する断層の長さとしては、敷地前面海域の断層群については、両端の引張性ジョグの中間まで延伸し54km、同様に伊予セグメントについても33kmとした。また、五反田断層については、 長さが短く(2km)孤立した断層であることから、地表で認められる活断層の長さが必ずしも震源断層の長さを示さない(地下に震源断層が広がっている)可能性を考慮し、断層長さ15km、M6.5の地震規模を想定することとした。その他の活断層の断層長さについては、F-21断層を22km、上関断層(F-15 を示さない(地下に震源断層が広がっている)可能性を考慮し、断層長さ15km、M6.5の地震規模を想定することとした。その他の活断層の断層長さについては、F-21断層を22km、上関断層(F-15)を48km、上関断層(F-16)を32kmと した。(乙13(6-5-16~6-5-17頁))・中央構造線断層帯による地震(敷地前面海域の断層群(54km)、伊予断層(33km)、金剛山地東縁-伊予灘(360km)、石鎚山脈北縁西部-伊予灘(130km))・別府湾-日出生断層帯による地震 ・F-21断層による地震・五反田断層による地震・上関断層による地震海洋プレート内地震については、南海トラフから安芸灘~伊予灘~豊後水道海域へ西北西の方向に沈み込むフィリピン海プレートで発生する海洋プ レート内地震について、歴史地震及び前記イで述べた地震調査委員会によるフィリピン海プレートのプレート間及びプレート内の震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の地域区分から想定した地震を踏まえ、以下の地震を選定した(乙13(6-5-18~6-5-19頁))。 ・安芸・伊予の地震(1649年、M6.9) ・伊予西部の地震(1854年、M7.0) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 ・豊後水道の地震(1968年、M6.6)・九州の深い地震(M7.3)・日向灘の浅い地震(M7.4)・アウターライズ地震(M7.4)プレート間地震については、歴史地震を踏まえるとともに、前記イで地震 調査研究推進本部、中央防災会議及び内閣府検討会が設定した南海トラフ沿いの震源モデル等を考慮し、南海トラフ沿いの地震及び日向灘における地震として以下の地震を選定した(乙13(6-5-19~6-5-20頁))。 ・ 、中央防災会議及び内閣府検討会が設定した南海トラフ沿いの震源モデル等を考慮し、南海トラフ沿いの地震及び日向灘における地震として以下の地震を選定した(乙13(6-5-19~6-5-20頁))。 ・土佐その他の南海・東海・西海諸道の地震(684年、M8 1/4)・宝永地震(1707年、M8.6) ・安政南海地震(1854年、M8.4)・想定南海地震(地震調査研究推進本部、M8.4)・想定南海地震(中央防災会議、M8.6)・南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(内閣府検討会、M9.0)・日向灘の地震(1498年、M7 1/4) ・日向灘の地震(地震調査研究推進本部、M7.6)⑵ 検討用地震の選定検討用地震の候補として選定した地震から、伊方原子力発電所の敷地に特に大きな影響を与えると予想される地震を地震発生様式の分類ごとに検討用地震として選定することとし、検討用地震の選定にあたっては、応答スペクトル に基づく地震動評価を行い、以下のとおり検討用地震を選定した(乙16(13~14頁)、乙37(12~19頁))。 内陸地殻内地震について、中央構造線断層帯による地震は、敷地前面海域の沖合8kmを走る断層群を含む区間として複数の断層長さを考慮するケースを検討用地震の候補として選定しているが、検討用地震の選定にあたっては、 敷地前面海域の断層群(54km)で代表させて検討を行った。その結果、敷 別紙地震に関する再稼働申請の内容 地への影響が最も大きいと考えられる地震は、敷地前面海域の断層群による地震となった。敷地前面海域の断層群は、中央構造線断層帯の一部であり、地震調査研究推進本部において中央構造線断層帯の敷地前面海域の断層群を含む複数区間の連動の可能性及び中央構造線断層帯と別府- よる地震となった。敷地前面海域の断層群は、中央構造線断層帯の一部であり、地震調査研究推進本部において中央構造線断層帯の敷地前面海域の断層群を含む複数区間の連動の可能性及び中央構造線断層帯と別府-万年山断層帯との連動の可能性が言及されていることを踏まえ、検討用地震としては、これらの連 動を含む区間を考慮した断層群による地震を選定した。(乙13(6-5-29~6-5-30頁))海洋プレート内地震について、敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は、1649年安芸・伊予の地震となったことから、これを検討用地震として選定した(乙13(6-5-30頁))。 プレート間地震について、敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は、内閣府検討会による南海トラフの巨大地震(陸側ケース)となったことから、これを検討用地震として選定した。 なお、応答スペクトルに基づく地震動評価の手法は巨大地震に対して適用できるように作成されたものではないものの、内閣府検討会は東北地方太平洋沖 地震(M9.0)について、Mを8.3と仮定して応答スペクトルに基づく地震動評価を行うことで震度分布がよく説明されたとして、南海トラフの巨大地震(M9.0)の応答スペクトルに基づく地震動評価のパラメータとしてM8. 3を採用していることから、ここでもM8.3を採用して評価を行った。(断層モデル評価においては、M9.0を設定して詳細評価を行った(後記⑷ウ)(乙 13(6-5-30~6-5-31頁))。 ⑶ 地震動評価のための敷地地盤の評価地震動評価においては、当該地点における地域特性を十分に把握することが不可欠である。震源特性や伝播特性については、個々の地震を想定する上で考慮することとなるが、増幅特性については、当該地点に固有の性質であり、ま ずは 地点における地域特性を十分に把握することが不可欠である。震源特性や伝播特性については、個々の地震を想定する上で考慮することとなるが、増幅特性については、当該地点に固有の性質であり、ま ずはこれを十分に把握することが重要である。この点、伊方原子力発電所敷地 別紙地震に関する再稼働申請の内容 地盤の地下構造は、地震動を増幅させる特異な性質のない良質な地盤である。 以下では、被告が伊方原子力発電所敷地地盤の増幅特性の有無を把握すべく実施した地下構造評価について述べる。(乙16(11~12頁))ア地震観測記録を用いた評価被告は、伊方原子力発電所敷地地盤において、1975年から地震観測(強 震及び微小地震)を実施している。これまでに観測された比較的振幅の大きな地震は、全て海洋プレート内地震であり、内陸地殻内地震、プレート間地震について振幅の大きな記録は得られていない。伊方原子力発電所で観測した地震のうち、petal.(2002)の方法(耐専スペクトル)(乙42)との比較が可能な比較的規模の大きい内陸地殻内地震(乙13(6- 5-65頁))を用いて、観測記録の応答スペクトルと耐専スペクトルにより推定した応答スペクトルの比をとって増幅特性の検討を行った。その結果、どの地震についても短周期側では観測値が予測値よりも小さい傾向を示しており、特に顕著な増幅特性を示す地震はない(乙13(6-5-146頁))。 観測値が予測値よりも小さい理由としては、伊方原子力発電所敷地の岩盤が 耐専スペクトルの想定する地盤よりも硬いこと、どれも遠方の地震であり観測記録の振幅が小さいことなどのためである。 次に、対象とする地震の規模をM2程度にまで広げて、地震波の到来方向によって特異性が見られないかの検討を行った。地震 も硬いこと、どれも遠方の地震であり観測記録の振幅が小さいことなどのためである。 次に、対象とする地震の規模をM2程度にまで広げて、地震波の到来方向によって特異性が見られないかの検討を行った。地震規模が小さく耐専スペクトルの適用範囲外であるため観測値と予測値との整合が悪く断定的な評 価はできないものの、地震の発生地域を敷地北方、東方、南方及び西方の4領域に分けて検討したところ、到来方向によって増幅特性が異なるような傾向はない。 (以上、乙13(6-5-21~6-5-23頁、6-5-145~6-5-148頁)、乙41(1~8頁)) イ深部ボーリング等による評価 別紙地震に関する再稼働申請の内容 被告は、伊方原子力発電所の建設時において、最深深度で500m、孔数で140孔のボーリング調査を実施し、伊方原子力発電所の地盤構造を把握しているが、平成22年から深部ボーリング調査を実施し、伊方原子力発電所敷地のさらに地下深部までの地質及び地盤物性を把握するとともに、深部の地下構造に起因する地震動の増幅特性がないことを確認した。 深部ボーリング調査は、伊方原子力発電所敷地の南西部(荷揚岸壁付近)において、深度2000m、500m、160m、5mの4孔のボーリング孔を掘削するもので、深度2000mまでの連続したボーリングコアを採取し、これを観察して地質柱状図(地質断面図の一種で、地層の堆積した順序、厚さ、地層区分などを、模様や記号によって縦に細長い柱条にあらわしたも の)を作成するとともに、深部ボーリング孔内において物理検層(ボーリング孔内に各種測定器(検層器)を降下させ、検層器から得られる物理量(S波速度、密度、温度等)を用いて、地層中の地質情報を連続的に計測する手法)やオフセットVSP探 ング孔内において物理検層(ボーリング孔内に各種測定器(検層器)を降下させ、検層器から得られる物理量(S波速度、密度、温度等)を用いて、地層中の地質情報を連続的に計測する手法)やオフセットVSP探査(地表に震源を設置してボーリング孔内の受振器で地震波を観測することにより、ボーリング孔周辺の地下構造を調査する 手法をVSP探査といい、特に、震源をボーリング孔から離れた地点に設置する方法をオフセットVSP探査と呼ぶ。)を実施した。そして、従来のボーリング調査の結果と合わせて地下構造の検証を行った。また、地下深部における地震動を観測し、地表で観測した地震動との比較を行うことにより実際に地震動が増幅しないことを検証することなどを目的に、各ボーリング孔 底部に地震計を設置し、地震観測を開始した。 (以上、乙41(21~23頁、30頁、47~53頁))深部ボーリング調査の結果は、以下のとおりであり、伊方原子力発電所の敷地地盤は速度構造的に特異性を有する地盤ではない。 (乙13(6-5-20~6-5-21頁)) 地質構造 別紙地震に関する再稼働申請の内容 深部ボーリング調査の調査地点では、地表付近に埋立土や風化岩が薄く分布するものの深度約50mで新鮮な岩盤となり、深度約50mから深度約2000mまで堅硬かつ緻密な結晶片岩(片理のある広域変成岩を結晶片岩という。緑色片岩、泥質片岩、珪質片岩及び砂室片岩はいずれも結晶片岩の一種である。)が連続する。敷地の地盤を構成する緑色片岩の下位 に三波川変成岩類のうち主に泥質片岩が分布し、緑色片岩、珪質片岩及び砂質片岩の薄層を挟む。地表部の緑色片岩を主体とする地層とその下位の泥質片岩を主体とする地層の境界面は緩く北へ傾斜していると推定され、本件3号機の炉心 ち主に泥質片岩が分布し、緑色片岩、珪質片岩及び砂質片岩の薄層を挟む。地表部の緑色片岩を主体とする地層とその下位の泥質片岩を主体とする地層の境界面は緩く北へ傾斜していると推定され、本件3号機の炉心位置では深度約350m以深が泥質片岩主体となっている。(乙41(25~36頁) 速度構造深部ボーリング孔内での物理検層の結果によると、P波速度及びS波速度は地下深部に至るにつれて漸増し、地盤の密度は岩種に応じてやや変化するものの、深度方向への大きな増減傾向は認められない。 地表に震源を設置して地震波を人工的に発生させ、地下の地層境界面 (反射面)で反射した地震波をボーリング孔内の受振器で観測することにより、ボーリング孔周辺の地下構造を調査する手法であるオフセットVSP探査によると、大規模な断層を示唆する不連続、地震動の特異な増幅の要因となる低速度域及び褶曲構造は認められず、伊方原子力発電所の敷地地盤の速度構造(地震波の速度分布)は、乱れがなく、均質である。 (以上、乙41(38~45頁、55~58頁))ウ解放基盤表面の設定以上のような伊方原子力発電所の敷地地盤に係る状況を総合的に判断し、原子炉建屋及びその周りの地盤は、約2600m/秒のS波速度を持つ堅固な岩盤が十分な広がりと深さを持っていることが確認されていることを踏 まえ、敷地高さと同じ標高10mを解放基盤表面として設定する(乙13(6 別紙地震に関する再稼働申請の内容 -5-23頁))。 ⑷ 地震動評価検討用地震として選定した上記の敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震、1649年安芸・伊予の地震及び南海トラフの巨大地震について、地震の発生様式等に応じた震源特性、伝播特性及び敷地地盤の増幅特性を考慮 た上記の敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震、1649年安芸・伊予の地震及び南海トラフの巨大地震について、地震の発生様式等に応じた震源特性、伝播特性及び敷地地盤の増幅特性を考慮 した上で、それぞれ応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を行い、その結果得られた地震動を、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動とした。 応答スペクトルに基づく地震動評価については、①解放基盤表面の強震動として評価できること、②水平方向及び鉛直方向の強震動が評価できること、③ 震源の拡がりを考慮できること、④敷地における強震観測記録を用いて地域特性等が考慮できることに着目し、耐専スペクトルの方法によることを基本とした。ただし、応答スペクトルによる手法は経験的手法であり、その手法の基礎となったデータの質・量によってその適用範囲が異なることから、評価にあたってはその適用性を慎重に検討した。 断層モデルを用いた手法による地震動評価では、敷地での観測記録から適切な要素地震(断層モデルを用いた手法による地震動評価においては、断層面全体を小断層面に分断し、破壊の進展に応じ、小断層面から発生する地震波形を重ね合わせて評価を実施するところ、要素地震とは、小断層面から生じる地震波形を作成するために各小断層に当てはめる地震のことをいう。)が得られて いる場合には、経験的グリーン関数法(実際に発生した小さな地震の観測記録のうち、地震動評価に用いるのに適切な観測記録(要素地震)を足し合わせて大きな地震による揺れを計算する方法)を用いること、適切な要素地震が得られていない場合には、統計的グリーン関数法(経験的グリーン関数法で用いる適切な観測記録の代わりに小さな地震による揺れとして人工的に時刻歴波形 を 算する方法)を用いること、適切な要素地震が得られていない場合には、統計的グリーン関数法(経験的グリーン関数法で用いる適切な観測記録の代わりに小さな地震による揺れとして人工的に時刻歴波形 を作成し、それを足し合わせて大きな地震による揺れを計算する方法)又は統 別紙地震に関する再稼働申請の内容 計的グリーン関数法と経験的グリーン関数法の双方)を用いることで評価を行った。 また、地震動評価における不確かさの考慮については、評価結果に与える影響が大きいと考えられる震源要素を選定し、その影響の度合いを評価した。 (以上、乙16(14~18頁)) ア内陸地殻内地震基本震源モデル内陸地殻内地震については、敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)を選定した上で、基本震源モデルの設定にあたっては、隣り合う活動セグメントとの連動、アスペリティ位置等の不確かさをあらかじめ織り込んだ (乙37(20~24頁))。断層長さについては、最大規模を想定するとの観点から、中央構造線断層帯と九州側の別府-万年山断層帯が全区間(480km)において連動するケースを基本としつつ、四国西部の区間(130km)で連動するケース及び敷地前面海域セグメント(54km)単独で活動するケースについてもそれぞれ不確かさを考慮した解析を行 うこととした(乙13(6-5-31頁)、乙37(36~37頁))。 また、断層モデルを用いた手法による地震動評価において必要なパラメータ(地震モーメント(断層運動としての地震の規模を表すもので、断層付近の岩盤の硬さを表す剛性率、断層の平均すべり量、断層面積の積として表される。)、平均応力降下量、アスペリティの応力降下量等)を設定す る上で用いるスケーリング則については、地震規模、平均応 近の岩盤の硬さを表す剛性率、断層の平均すべり量、断層面積の積として表される。)、平均応力降下量、アスペリティの応力降下量等)を設定す る上で用いるスケーリング則については、地震規模、平均応力降下量、アスペリティの応力降下量を一連で設定できること、異なる長さの断層(480km、130km、54km)に対して適用可能であり、断層長さの影響を同一の手法で評価できることから、Hほか(2011)(乙43)を基本として採用した(乙37(25~27頁))。そして、断層長さ4 80km及び130kmのモデルではLandM(2000)のスケー 別紙地震に関する再稼働申請の内容 リング則を、54kmのモデルではJ・K(2001)の地震モーメントにLandM(2000)の平均応力降下量を組み合わせて用いる手法(J・Kの手法)をそれぞれ基本震源モデルに織り込むこととした(乙37(36頁~37頁))。断層長さ480km及び130kmのモデルでLandM(2000)を採用したのは、当時提案されている主要なスケー リング則のうち、同手法が、Hほか(2011)と並び、長大断層を含んだデータに基づいて開発された手法の一つであり、地震調査研究推進本部による強震動予測レシピ(乙27)においても長大断層の知見としてこの手法による平均応力降下量を用いる手法が提案されていることを踏まえたものである(乙37(40頁、42頁))。54kmのモデルでJ・Kの 手法を採用したのは、地震調査研究推進本部による強震動予測レシピにおいてこれらを用いる手法が提案されているためである(乙37(44頁))。 不確かさの考慮被告は、不確かさの考慮にあたり、地震動評価における各種の不確かさの分類・分析を行い、地震発生時の環境に左右され れらを用いる手法が提案されているためである(乙37(44頁))。 不確かさの考慮被告は、不確かさの考慮にあたり、地震動評価における各種の不確かさの分類・分析を行い、地震発生時の環境に左右される偶然的な不確かさ(破 壊開始点)及び事前にモデルを特定することが困難な不確かさ(アスペリティ深さ、断層長さ(連動)等)についてはあらかじめ基本震源モデルに織り込むこととし、事前の調査、経験式等によってモデルを特定することが可能な不確かさ、すなわち、①応力降下量、②断層傾斜角(北傾斜)、③断層傾斜角(南傾斜)、④破壊伝播速度(破壊開始点から始まった破壊 が震源断層面を拡がっていく速度)及び⑤アスペリティの平面位置については基本震源モデルの不確かさに重畳させる、独立した不確かさとして考慮することとした。①については、2007年新潟県中越沖地震の震源特性として、短周期レベルが平均的な値の1.5倍程度大きかったという指摘があるところ、これは、ひずみ集中帯に位置する逆断層タイプの地震と いう地域性によると考えられるため、本来ならば、過去の地震観測記録に 別紙地震に関する再稼働申請の内容 基づいて伊方原子力発電所周辺で発生する地震の震源特性の分析を行うべきところであるが、伊方原子力発電所周辺では規模の大きい内陸地殻内地震は発生していないことを踏まえ、中越沖地震の知見を反映し、短周期レベルと相関関係のある応力降下量を基本震源モデルの1.5倍又は20MPaとした場合の評価を行うものである。②については、敷地前面海域 の断層群の震源断層は横ずれ断層と推定されるため傾斜角が高角度である可能性が高いが、活断層としての中央構造線が北へ傾斜する地質境界と一致する可能性を完全には否定できないことから、横ずれ断層については の断層群の震源断層は横ずれ断層と推定されるため傾斜角が高角度である可能性が高いが、活断層としての中央構造線が北へ傾斜する地質境界と一致する可能性を完全には否定できないことから、横ずれ断層については、傾斜角90度のみならず、北に傾斜させた場合の評価を行うものである。 また、③については、断層傾斜角のばらつきを踏まえ、敷地側に傾斜する 場合を考慮し、横ずれ断層について南に80度傾斜させた場合の評価を行うものである。④については、海外の長大な活断層の破壊伝播速度がS波速度を超える事例があるとの知見を踏まえ、長さ約480km及び約130kmのケースについては破壊伝播速度Vr=Vs(Vsは地震発生層(地殻内で地震が発生する深さは一般にある特定の深さ範囲に限定され ており、地震発生層とはその深さ範囲を示す。その層厚は地下の温度の差異などに左右され、地域によって異なる。)のS波速度)の場合の評価を行う。また、長さ約54kmのケースについては、平均的な破壊伝播速度の不確かさに関する知見を踏まえ破壊伝播速度Vr=0.87Vsの場合の評価を行うものである。⑤については、基本的にはジョグにアスペリテ ィは想定されないものの、完全には否定できないことから、敷地正面のジョグにアスペリティを配置する場合の評価を行うものである。(乙13(6-5-31~6-5-33頁、6-5-70~6-5-75頁)、乙37(20~24頁、37頁))なお、LandM(2000)を用いた断層長さ480km及び13 0kmのモデルでは、Hほか(2011)による検討結果から、影響が比 別紙地震に関する再稼働申請の内容 較的大きかった①応力降下量と④破壊伝播速度を考慮することとした。 (乙37(40頁、42頁))ちなみに、各基本震源モ 結果から、影響が比 別紙地震に関する再稼働申請の内容 較的大きかった①応力降下量と④破壊伝播速度を考慮することとした。 (乙37(40頁、42頁))ちなみに、各基本震源モデルを解析したところ、断層長さの基本となる480kmから断層長さを変えても地震動レベルはほぼ変わらない結果が得られた。したがって、断層長さ130km及び54kmにおける各不 確かさケースの地震動レベルについても、断層長さ480kmにおける各不確かさケースの地震動レベルとほぼ等しいと推定される(乙37(180頁、183頁、186頁))。このため、断層長さ54kmでJ・Kの手法を用いる場合の各不確かさケース(断層長さ480kmではJ・Kの手法を用いていない。)と、断層長さ54kmでHほか(2011)を用 いる場合における破壊伝播速度の不確かさケース(断層長さ480kmでの不確かさケースとは設定値が異なる。)とを除き、断層長さを130km及び54kmにおける各不確かさケースの評価結果については、断層長さ480kmにおける各不確かさケースの評価結果で代表させることとした(例えば、断層長さ130kmでHほか(2011)のスケーリング 則を用いて応力降下量の不確かさを考慮するケースについては、断層長さ480kmでHほか(2011)のスケーリング則を用いて応力降下量の不確かさを考慮するケースで代表させた。)(乙13(6-5-42頁)、乙37(45頁))。 次に、応答スペクトルに基づく地震動評価では、断層長さ480km、 130km及び54kmの3つの基本ケースそれぞれについて、不確かさの考慮として、断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルを考慮した。 さらに、念のために断層長さを69kmとするケースについても、断層傾斜角が鉛直のモ kmの3つの基本ケースそれぞれについて、不確かさの考慮として、断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルを考慮した。 さらに、念のために断層長さを69kmとするケースについても、断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルとをそれぞれ評価し、基準地震動Ssの策定において考慮することとした。この断層長さ69kmというのは、 敷地前面海域の断層群(54km)の両端にあるジョグのさらに両端まで 別紙地震に関する再稼働申請の内容 連動することを想定するものである。ジョグは、断層の破壊が停止し、乗り移る領域のため、変位量は低減するはずであって、ジョグの変位量を大きく想定する断層長さ69kmのモデルは科学的には考えられないものであるが(本来、このような場合、ジョグで破壊が停止せずさらに長い区間で連動することを意味する。)、従来の地震動評価(新規制基準制定以 前の地震動評価)においては断層長さ(連動)に係る不確かさの考慮として念のために評価していたものである。現在の地震動評価においては、断層長さ480km及び130kmを基本震源モデルとして設定していることから、69kmの連動ケースはこれに含まれていると考えられる(乙37(33~34頁))。断層モデルを用いた手法による地震動評価では、 断層長さを変えても地震動レベルは変わらないことを確認しているのは上記のとおりである。しかしながら、応答スペクトルに基づく地震動評価のうち、耐専スペクトルを用いた評価では、断層長さ130kmの地震動レベルが断層長さ480km の地震動レベルを上回るケースがある(乙37(136頁、138頁))など、評価手法の特性の影響がある可能性も考 えられるため、断層長さを69kmとするケースについても、念のために考慮することとしたものである。 回るケースがある(乙37(136頁、138頁))など、評価手法の特性の影響がある可能性も考 えられるため、断層長さを69kmとするケースについても、念のために考慮することとしたものである。(乙37(95頁))応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価においては、断層長さを480km、130km及び54kmの3ケースに69kmのケースを加え、それぞれ に断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルを考慮した。また、適用する手法(距離減衰式)については、耐専スペクトルを基本とするものの、敷地前面海域の断層群が敷地近傍に位置することから、検討ケースごとに距離及び地震規模の観点から適用性を吟味した上で、各種の応答スペクトルによる手法や断層モデルの結果と対比して適用性の検証を行った。その 結果、断層長さ130km、69km及び54kmの断層傾斜角が鉛直と 別紙地震に関する再稼働申請の内容 なる3つのケースについては、耐専スペクトルによる評価結果が過大となったことから(乙37(109~120頁))、耐専スペクトル以外の複数の距離減衰式を用いた評価を行った。上記3ケース以外のケースについては、耐専スペクトルを含む、複数の距離減衰式によって評価を行った。 ちなみに、上記3ケースにおいて耐専スペクトルによる評価結果が過大と なったのは、耐専スペクトルを構築するのに用いられた地震記録には、敷地前面海域の断層群のように敷地との距離が8kmという至近に位置するケースは含まれていないためである。一方、480kmケースや北傾斜ケースが適用できたのは、断層が長くなったことや敷地から離れる方向に傾斜することにより震源距離が長くなったことによるものである。(乙1 3(6-5-36~6-5- 方、480kmケースや北傾斜ケースが適用できたのは、断層が長くなったことや敷地から離れる方向に傾斜することにより震源距離が長くなったことによるものである。(乙1 3(6-5-36~6-5-39頁、6-5-197頁))断層モデルを用いた手法による地震動評価断層モデルを用いた手法による地震動評価を行うにあたっては、まず、中央構造線断層帯及び別府-万年山断層帯の連動を考慮した480kmの基本震源モデルについて、統計的グリーン関数法及び経験的グリーン関 数法により評価し、両者を比較した。なお、経験的グリーン関数法に用いる要素地震は、2001年芸予地震の余震である安芸灘の地震(M5.2)の敷地における観測記録を用いた。適用にあたっては、当該地震がスラブ内地震(沈み込む海洋プレート(スラブ)の内部で破断を生じることによって引き起こされる地震であり、発生様式としては海洋プレート内地震に 分類される。)であるため、内陸地殻内地震の評価に用いることができるよう、距離及びパラメータ(地震モーメント、応力降下量等)を補正した。 比較の結果、両者は整合的であることを確認したが、原子炉施設に影響の大きい周期0.1秒付近の地震動については経験的グリーン関数法の結果の方が厳しい結果を与えるものであったことから原子炉施設への影響度 の観点から、断層モデルを用いた手法による地震動評価においては、経験 別紙地震に関する再稼働申請の内容 的グリーン関数法を採用した。(乙13(6-5-41~6-5-42頁、6-5-202~6-5-220頁、6-5-221~6-5-223頁)、乙37(152~155頁))イ海洋プレート内地震基本震源モデル 海洋プレート内地震については、1649年安芸・伊予の地震(M6. 5-220頁、6-5-221~6-5-223頁)、乙37(152~155頁))イ海洋プレート内地震基本震源モデル 海洋プレート内地震については、1649年安芸・伊予の地震(M6. 9)を検討用地震として選定したが、基本震源モデルの設定にあたっては、地震発生位置と規模の不確かさをあらかじめ織り込むこととし、敷地下方に既往最大規模(1854年伊予西部地震のM7.0)の地震を仮定するなどし、「想定スラブ内地震」として地震動評価を行った。 不確かさの考慮不確かさの考慮においては、1649年安芸・伊予の地震(M6.9)を再現したモデルをM7.0に較正したケース、敷地の真下に想定する地震規模をM7.2としたケース、アスペリティの位置を断層上端に配置したケース、敷地東方の領域に水平に近い断層面を考慮したケース(M7. 4)を設定した(乙13(6-5-33~6-5-34頁))。 応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価では、耐専スペクトルの適用範囲内にあることから、耐専スペクトルに基づき評価を行った(乙13(6-5-39頁、6-5-198~6-5-199頁))。 断層モデルを用いた手法による地震動評価断層モデルを用いた手法による地震動評価では、敷地で得られた2001年芸予地震の余震である安芸灘の地震の観測記録を要素地震とした経験的グリーン関数法により評価を行った(乙13(6-5-42~6-5-43頁、6-5-224~6-5-228頁))。 ウプレート間地震 別紙地震に関する再稼働申請の内容 基本震源モデル基本震源モデルとしては、内閣府検討会(2012)の南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(M9.0)を採用することとした。 不 別紙地震に関する再稼働申請の内容 基本震源モデル基本震源モデルとしては、内閣府検討会(2012)の南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(M9.0)を採用することとした。 不確かさの考慮このモデルは、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震とし て、過去最大規模の宝永地震(M8.6)や中央防災会議(2003)の想定南海地震モデル(M8.6)を上回る想定で作成されたモデルであるため、十分に不確かさが考慮されたものであるが、設定された強震動生成域に加え、さらに敷地直下にも強震動生成域を追加配置する不確かさの考慮を行った(乙13(6-5-35頁))。 応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価では、パラメータとしてMw8.3を採用する。この場合、耐専スペクトルの適用範囲内にあることから、耐専スペクトルに基づき評価を行った。(乙13(6-5-39頁、6-5-200頁)) 断層モデルを用いた手法による地震動評価断層モデルを用いた手法による地震動評価では、内閣府検討会の震源モデルに基づき、地震規模としてMw9.0を採用するとともに、適切な要素地震が得られていないことや内閣府検討会が統計的グリーン関数法を用いていることを踏まえ、統計的グリーン関数法及びハイブリッド合成法 (短期周期域の評価に適している経験的グリーン関数法又は統計的グリーン関数法により計算した地震動と、長周期帯の評価に適している理論的手法(断層のずれ方や、震源断層から地震波が評価地点まで伝達する経路上の地震構造を詳細にモデル化して、理論的に揺れを計算する方法)により計算した地震動を組み合わせて広い周期帯で精度よく地震動を評価す る手法)により評価を行った(乙13(6-5-35頁、6-5 上の地震構造を詳細にモデル化して、理論的に揺れを計算する方法)により計算した地震動を組み合わせて広い周期帯で精度よく地震動を評価す る手法)により評価を行った(乙13(6-5-35頁、6-5-43頁、 別紙地震に関する再稼働申請の内容 6-5-101頁、6-5-229頁))。 3 震源を特定せず策定する地震動伊方原子力発電所敷地周辺の状況等を十分考慮した詳細な調査を実施してもなお、敷地近傍において発生する可能性がある内陸地殻内地震の全てを事前に評価し得るとは言い切れないとの観点から、基準地震動Ssの策定にあたって は、震源を特定せず策定する地震動も考慮することとなっている。 ⑴ qほか(2004)の知見震源を特定せず策定する地震動に関する代表的な知見として、qほか(2004)(乙29)がある。震源を特定せず策定する地震動は、改訂後の耐震設計審査指針で規定されていたものとその考え方において違いはないため、従来同 様に、qほか(2004)が提案する「地震基盤における地震動」を震源を特定せず策定する地震動として考慮することとした。 ⑵ 震源近傍の観測記録の収集・検討被告が観測記録の収集対象として検討した地震は、地震ガイドⅠ.が表―1で例示する16地震である(被告独自でも調査を行ったが、結果として、16 地震以外に震源を特定せず策定する地震動の評価において考慮すべき地震はなかった。)。 同ガイドは、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震を検討対象地震として選定することとしている。そして、その選定においては、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」を適切に選定するととも に、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡 いる。そして、その選定においては、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」を適切に選定するととも に、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」についても検討を加えて必要に応じて選定することを求めている。 「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」は、断層破壊領域が地震発生層の内部に留まり、国内においてどこでも発生すると考えられる地震で、震 源の位置も規模も分からない地震として地震学的検討から全国共通に考慮す 別紙地震に関する再稼働申請の内容 べき地震(震源の位置も規模も推定できない地震(Mw6.5未満の地震))とされ、このうち、震源近傍において強震動(被害をもたらすような強い地震動)が観測された地震である地震ガイドⅠ.表-1のNo.3~16が対象となる。 これらの地震の観測記録を収集したところ、No.13の2004年北海道留萌支庁南部地震では信頼性の高い観測記録が得られたものの、その他の観測記 録は、qほか(2004)による応答スペクトルを下回るものであったり、観測記録が観測地点の地盤の影響を受けた信頼性の低いものであったりしたため、考慮の対象から除外した(乙45(70~124頁))。 2004年北海道留萌支庁南部地震は、震源近傍の観測点において1127ガルという大きな加速度を観測したものである。当初、観測記録は、地表のも のしか得られず、既存の地盤情報も十分ではなかったが、観測地点の地盤についてボーリング調査等が行われ、yほか(2013)(乙46)によって信頼性の高い地盤モデルが得られたものである。yほか(2013)は、S波速度が938m/秒となる深さ41mを基盤層に設定した上で解析評価を行い、基盤地震動の最大加速度は5 013)(乙46)によって信頼性の高い地盤モデルが得られたものである。yほか(2013)は、S波速度が938m/秒となる深さ41mを基盤層に設定した上で解析評価を行い、基盤地震動の最大加速度は585ガルで地表観測記録の約1/2となる(観測記録 の加速度は地盤の影響によって増幅している)ことを明らかにした。また、yほか(2013)以降の追加調査によって得られた試験データを用いて解析を行ったところ、基盤地震動の最大加速度は561ガルとなり、yほか(2013)よりもやや小さめに評価された。伊方原子力発電所の敷地地盤のS波速度が2600m/秒である(より硬い地盤である)ことを考慮すれば、この観測 記録を伊方原子力発電所の地震動評価に用いればさらに小さい評価となるところ、不確かさを保守的に考慮した上で、さらに原子力発電所の耐震性に求められる保守性をも勘案して、2004年北海道留萌支庁南部地震の基盤地震動を620ガルに引き上げた地震動を震源を特定せず策定する地震動として考慮した。(乙45(125~153頁)) 一方、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、 別紙地震に関する再稼働申請の内容 地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は、震源断層がほぼ地震発生層の厚さ全体に広がっているものの、地表地震断層としてその全容を表すまでには至っていない地震(震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上の地震))とされており、地震ガイドⅠ.表―1のNo.1の2008年岩手・宮城内陸地震及びNo.2の2000年鳥取県西部地震が対象となる。地表に断層が出現 するか否かの要因としては、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に軟岩、火山岩又は堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があ 00年鳥取県西部地震が対象となる。地表に断層が出現 するか否かの要因としては、地域によって活断層の成熟度が異なること、上部に軟岩、火山岩又は堆積層が厚く分布する場合や地質体の違い等の地域差があることが考えられるため、震源を特定せず策定する地震動の評価においてこれらの地震を考慮するにあたっては、原子力発電所ごとに地域差の検討を行う必要がある。 被告が伊方原子力発電所の立地地点と2008年岩手・宮城内陸地震及び2000年鳥取県西部地震の震源域との地域差等について詳細に検討を行ったところ、いずれも伊方原子力発電所の立地地点とは地域差が顕著である。具体的には、2008年岩手・宮城内陸地震の震源域については、地形、第四紀火山との位置関係、地質、応力場(地球表面の地殻内(地層)にどのような力が 加わっているかを示すもので、水平方向に両方向から押されて入れば圧縮応力場、両方に引っ張られていれば引張応力場という。)、微小地震の発生状況等において、伊方原子力発電所の立地地点とは特徴が大きく異なっており、特に、同地震の震源域には新第三紀以降の火山岩、堆積岩が厚く分布しているのに対し、伊方原子力発電所の立地地点には堅硬かつ緻密な結晶片岩が少なくとも地 下2kmまで連続している。2000年鳥取県西部地震の震源域については、地震テクトニクス(プレートテクトニクス(地球表面で起こる地震、火山噴火などの地学現象の原因やメカニズムを、地球表面を覆うプレート運動で説明する考え)をはじめとする理論や観測記録から把握される、応力場の状況、地震発生プロセス及び発生メカニズム等の地震発生環境のこと)が異なり、活断層 の成熟度及びこれに寄与する歪み蓄積速度や地下の均質性において地域差が 別紙地震に関する再稼働申請の内容 ス及び発生メカニズム等の地震発生環境のこと)が異なり、活断層 の成熟度及びこれに寄与する歪み蓄積速度や地下の均質性において地域差が 別紙地震に関する再稼働申請の内容 認められる。さらには、両地震の震源域と伊方原子力発電所の立地地点では地震地体構造が異なっていることから、地震の起こり方も異なる。こうした事実を踏まえると、両地震のような地震が伊方原子力発電所の立地地点において発生することは考え難く、基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイドの規定に照らしても、震源を特定せず策定する地震動として評価する必要はないと考 えられる。(乙45(4~69頁))しかしながら、2000年鳥取県西部地震については、大局的には伊方原子力発電所の立地地点と同じく西南日本の東西圧縮横ずれの応力場にあることから、基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイドよりも保守的に、地震が発生する地下深部の構造について、さらに慎重な検討を行ってきた。その結果、 重力異常(重力の実測値とその緯度での標準重力との差であり、地下構造を推定する際に用いられる。例えば、地下に高密度の岩石があると、重力値は標準重力値よりも大きくなる。)に有意な地域差は認められなかったものの、主に中央構造線や第四紀火山との位置関係に関連して両地域の深部地下構造に違いがあると考えられるものであった(乙47(73~87頁))。したがって、 慎重な検討を行った結果としても、伊方原子力発電所の立地地点と2000年鳥取県西部地震の震源域とでは基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイドに示された「活断層の成熟度」に地域差が認められ、地震が発生する深部地下構造にも違いがあり、2000年鳥取県西部地震を震源を特定せず策定する地震動の評価において考慮する必然性はないと考えら 査ガイドに示された「活断層の成熟度」に地域差が認められ、地震が発生する深部地下構造にも違いがあり、2000年鳥取県西部地震を震源を特定せず策定する地震動の評価において考慮する必然性はないと考えられるものの、自然現象の 評価と将来予測には不確かさが残ること、大局的にはいずれも西南日本の東西圧縮横ずれの応力場であることを踏まえ、さらには、原子力安全に対する信頼向上の観点から、より保守的に同地震の観測記録を震源を特定せず策定する地震動として考慮することとした(乙47(89頁))。 2000年鳥取県西部地震については、鳥取県にある賀祥ダムの監査廊(ダ ム堤内の管理用通路)に設置された地震計による信頼性の高い観測記録が得ら 別紙地震に関する再稼働申請の内容 れている。国立研究開発法人防災科学技術研究所の強震観測網によっても信頼性の高い観測記録が得られているが、賀祥ダム(監査廊)の観測記録がこれを概ね上回ることなどから、震源を特定せず策定する地震動による基準地震動Ssの検討においては賀祥ダム(監査廊)の観測記録で代表させることとした。 (乙47(91頁)) (乙13(6-546~6-5-47頁)、乙13(6-5-45~6-5-46頁、乙16(18~19頁)) 4 基準地震動Ssの策定基準地震動Ssは、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動及び震源を特定せず策定する地震動の評価結果に基づき、敷地の解放基盤表面における水平 方向及び鉛直方向の地震動として策定する。 ⑴ 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動敷地ごとに震源を特定して策定する地震動のうち、応答スペクトルに基づく手法による地震動評価において求めた応答スペクトル及び基準地震動S2(本件3号機建設時の基準地震動)の応答スペクトルを包絡す 動敷地ごとに震源を特定して策定する地震動のうち、応答スペクトルに基づく手法による地震動評価において求めた応答スペクトル及び基準地震動S2(本件3号機建設時の基準地震動)の応答スペクトルを包絡するように、設計用応 答スペクトルを設定し、水平方向の基準地震動Ss-1Hを設定するとともに、鉛直方向については、Ss-1Hに対して、耐専スペクトルの鉛直方向の地盤増幅率を乗じて基準地震動Ss-1Vを設定した(乙13(6-5-48頁)、乙37(221~228頁))。 また、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動のうち、断層モデルを用い た手法による地震動評価の結果(乙37(230頁))、本件3号機の施設に与える影響が大きいケースとして、内陸地殻内地震(中央構造線断層帯による地震)における検討ケースのうち、断層長さ480kmでHほか(2011)のスケーリング則を用いて応力降下量の不確かさを考慮したケース、断層長さ480kmでLandM(2000)のスケーリング則を用いて応力降下量の 不確かさを考慮したケース及び断層長さ54kmでJ・Kの手法を用いて応力 別紙地震に関する再稼働申請の内容 降下量の不確かさを考慮したケースを選定し、経験的グリーン関数法と理論的手法によるハイブリッド合成を行った。その結果、上記の基準地震動Ss-1を一部の周期帯において超えた7ケースを基準地震動Ss-2-1~基準地震動Ss-2-7とした。(乙13(6-5-48~6-5-49頁)、乙37(231頁)) ところで、断層モデルに基づく地震動評価では経験的グリーン関数法を適用しているが、経験的グリーン関数法は、実際に発生した比較的小さな地震の観測記録(地震波)を足し合わせて想定する断層による大きな地震による揺れを計算する方 づく地震動評価では経験的グリーン関数法を適用しているが、経験的グリーン関数法は、実際に発生した比較的小さな地震の観測記録(地震波)を足し合わせて想定する断層による大きな地震による揺れを計算する方法であるため、その結果には採用した観測記録(要素地震)の特徴が反映されることになる。被告が実施した中央構造線断層帯に係る経験的グリ ーン関数を用いた評価では、東西方向の地震動の周期0.2~0.3秒で基準地震動Ss-1を超過する結果が得られているが、南北方向の地震動の長周期側では比較的小さく評価される傾向が見られた。これは中央構造線断層帯と同様に伊方原子力発電所敷地の北方に震源を持つ要素地震の地震波の伝播特性等を反映した結果であるものの、仮に、要素地震の南北方向の地震動が東西方 向の地震動と同程度のレベルであったとすれば、南北方向でも基準地震動Ss-1を超過する可能性も否定できない。そこで、東西方向の周期0.2~0. 3秒で基準地震動Ss-1を超過するケースのうち、基準地震動Ss-1を超過する度合いが大きく、かつスケーリング則として基本に考えているHほか(2011)に基づいて評価した断層長さ480km で応力降下量の不確かさ (20MPa)を考慮したケースについて、工学的判断として、東西方向と南北方向の地震波を入れ替えたケースを仮想してSs-2-8として設定した。 (乙13(6-5-49~6-5-50頁)、乙37(232頁))なお、プレート間地震及び海洋プレート内地震ではSs-1を下回ることから、いずれの地震も基準地震動Ss-2としては設定しない。 (以上、乙16(19~20頁)、乙37(237頁、239頁)) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 ⑵ 震源を特定せず策定する地震動被告は、震源と 設定しない。 (以上、乙16(19~20頁)、乙37(237頁、239頁)) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 ⑵ 震源を特定せず策定する地震動被告は、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内地震の震源近傍の観測記録を収集するにあたり、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」及び「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」について検討を行った。そし て、「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」としては、2004年北海道留萌支庁南部地震の際に、K-NET港町観測点で観測した記録について、地盤物性値を踏まえた解析を行った結果、信頼性の高い基盤地震動が得られたことから、これに不確かさを保守的に考慮するなどした最大加速度620ガルの地震動を震源を特定せず策定する地震動として採用した(乙45(70~1 24頁))。また、「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」としては、2000年鳥取県西部地震について、地震ガイドを踏まえて、伊方原子力発電所の敷地との地域差等について慎重に検討を進めた結果、地域差等が認められるものの、自然現象の評価と将来予測には不確かさが残ることや、大局的には伊方原子力発 電所の敷地と同じく西南日本の東西圧縮横ずれの応力場にあることを踏まえ、原子力安全に対する信頼向上の観点などから、より保守的に同地震の観測記録を震源を特定せず策定する地震動として考慮することとし、鳥取県にある賀祥ダムの監査廊(ダム堤内の管理用通路)に設置された地震計で得られた信頼性の高い観測記録を震源を特定せず策定する地震動として採用した(乙47(8 9~91頁))。 することとし、鳥取県にある賀祥ダムの監査廊(ダム堤内の管理用通路)に設置された地震計で得られた信頼性の高い観測記録を震源を特定せず策定する地震動として採用した(乙47(8 9~91頁))。 ⑶ 基準地震動Ssの最大加速度ア応答スペクトルに基づく地震動評価より策定した基準地震動Ssについては、同評価によって算定された応答スペクトルを包絡するよう設計用応答スペクトルを設定し、基準地震動Ss-1(1波)を策定した(乙37(9 3~142頁、221~228頁))。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 イ断層モデルを用いた手法による地震動評価より策定した基準地震動Ssについては、内陸地殻内地震、海洋プレート内地震及びプレート間地震に関する評価の結果、本件3号機の施設に与える影響が大きいケースとして、内陸地殻内地震(敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震)における検討ケースを選定し、経験的グリーン関数法と理論的手法によるハイ ブリッド合成を行った(乙37(230頁))。その結果、上記の基準地震動Ss-1を一部の周期帯において超えた7ケースを基準地震動Ss-2-1~基準地震動Ss-2-7とした。(乙13(6-5-48~6-5-49頁、6-5-238頁)、乙37(231頁))また、断層モデルを用いた手法による地震動評価では経験的グリーン関 数法を適用しているが、経験的グリーン関数法による評価結果には要素地震の特徴が反映されることになる。被告が実施した敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)に係る経験的グリーン関数法を用いた評価では、東西方向の地震動の周期0.2~0.3秒で基準地震動Ss-1を超過する結果が得られているが、南北方向の地震動の長周期側では比較的小さく評 価され )に係る経験的グリーン関数法を用いた評価では、東西方向の地震動の周期0.2~0.3秒で基準地震動Ss-1を超過する結果が得られているが、南北方向の地震動の長周期側では比較的小さく評 価される傾向が見られた。このため、東西方向の周期0.2~0.3秒で基準地震動Ss-1を超過するケースのうち、基準地震動Ss-1を超過する度合いが大きいケースについて、工学的判断として、東西方向と南北方向の地震波を入れ替えたケースを仮想して基準地震動Ss-2-8として設定した。(乙13(6-5-49~6-5-50頁)、乙37(23 2頁))プレート間地震及び海洋プレート内地震では、いずれも基準地震動Ss-1を下回る結果となったことから、基準地震動Ss-2としては設定していない。 ウ震源を特定せず策定する地震動については、qほか(2004)の応答ス ペクトルを考慮するとともに、2004年北海道留萌支庁南部地震及び20 別紙地震に関する再稼働申請の内容 00年鳥取県西部地震における観測記録を基に「震源を特定せず策定する地震動」による基準地震動Ss-3(2波)を策定した(乙45、乙47)。 以上の結果、基準地震動Ssとして基準地震動Ss-1では1ケース、基準地震動Ss-2は8ケース、基準地震動Ss-3は2ケースをそれぞれ設定したことになるが、これらの最大加速度の一覧は以下の表のとおりであ る。そこで、被告は、その中の最大値であるSs-1Hの650ガルを基準地震動Ssとした。(乙13(6-5-50~6-5-51頁、6-5-110頁、6-5-241~6-5-251頁)) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 基準地震動Ssの最大加速度基準地震動Ss最大加速度振幅(cm/s2) 別紙地震に関する再稼働申請の内容 基準地震動Ssの最大加速度基準地震動Ss最大加速度振幅(cm/s2)震源を特定して策定する地震動 応答スペクトルに基づく手法による基準地震動Ss設計用模擬地震波水平動Ss-1H 鉛直動Ss-1V 断層モデルを用いた手法による基準地震動Ss敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯) 480km連動・Hの手法・⊿σ20MPa・西破壊水平動NS成分Ss-2-1NS 水平動EW成分Ss-2-1EW 鉛直動UD成分Ss-2-1UD 480km連動・Hの手法・⊿σ20MPa・中央破壊水平動NS成分Ss-2-2NS 水平動EW成分Ss-2-2EW 鉛直動UD成分Ss-2-2UD 480km連動・Hの手法・⊿σ20MPa・第1アスペリティ西破壊水平動NS成分Ss-2-3NS 水平動EW成分Ss-2-3EW 鉛直動UD成分Ss-2-3UD 480km連動・L&Mの手法・⊿σ1.5倍・西破壊水平動NS成分Ss-2-4NS 水平動EW成分Ss-2-4EW 鉛直動UD成分Ss-2-4UD 480km連動・L&Mの手法・⊿σ1.5倍・中央破壊水平動NS成分Ss-2-5NS 水平動EW成分Ss-2-5EW 鉛直動UD成分Ss-2-5UD 480km 連動・L&Mの手法・⊿σ1.5 倍・中央破壊水平動NS成分Ss-2-5NS 水平動EW成分Ss-2-5EW 鉛直動UD成分Ss-2-5UD 480km 連動・L&Mの手法・⊿σ1.5 倍・東破壊水平動NS成分Ss-2-6NS 水平動EW成分Ss-2-6EW 鉛直動UD成分Ss-2-6UD 54km・J・Kの手法・⊿σ1.5 倍・中央破壊水平動NS成分Ss-2-7NS 水平動EW成分Ss-2-7EW 鉛直動UD成分Ss-2-7UD 480km 連動・Hの手法・⊿σ20MPa・中央破壊・入れ替え水平動NS成分Ss-2-8NS 水平動EW成分Ss-2-8EW 鉛直動UD成分Ss-2-8UD 震源を特定せず策定する地震動 2004 年北海道留萌支庁南部地震を考慮した地震動水平動Ss-3-1H 鉛直動Ss-3-1V 2000 年鳥取県西部地震賀祥ダムの観測記録水平動NS成分Ss-3-2NS 水平動EW成分Ss-3-2EW 鉛直動UD成分Ss-3-2UD 別紙地震に関する再稼働申請の内容 5 基準地震動Ssの年超過確率被告は、基準地震動Ssを策定するにあたり、詳細な調査を尽くした上で、様々な不確かさを考慮するなどして、余裕をもった保守的な評価を行っていることから、伊方原子力発電所において基準地震動Ssを超過する地震動が発生することは、確率的に完全に否定す な調査を尽くした上で、様々な不確かさを考慮するなどして、余裕をもった保守的な評価を行っていることから、伊方原子力発電所において基準地震動Ssを超過する地震動が発生することは、確率的に完全に否定することはできないとしても、まず考えられ ない。被告は、このことを定量的に確認するため、基準地震動Ssの年超過確率を算定した。 ⑴ 年超過確率の算定方法年超過確率の算定は、実施基準:2007に基づき、「特定震源モデルに基づく評価」及び「領域震源モデルに基づく評価」を実施した。 「特定震源モデルに基づく評価」は、一つの地震に対して、震源の位置、規模及び発生頻度を特定して扱うモデルで、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に対応する。敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震、その他の活断層で発生する地震及び南海地震を考慮した。 「領域震源モデルに基づく評価」は、ある拡がりを持った領域の中で発生す る地震群として取扱うモデルで、「震源を特定せず策定する地震動」に対応する。活断層の存在が知られていないところで発生し得る内陸地殻内地震、南海地震以外のフィリピン海プレートで発生する地震(プレート間地震及び海洋プレート内地震)を考慮した。 そして、両モデルにおける年超過確率を足し合わせて、全体としての年超過 確率を算定した。 ⑵ 年超過確率の算定結果基準地震動Ss-1の応答スペクトルと全体としての年超過確率を示す曲線(一様ハザードスペクトル)とを比較すると、基準地震動Ss-1の年超過確率は、10-4~10-6/年程度、つまり、1万年~100万年に1回程度と なり、基準地震動Ss-1を超過する地震動が発生する可能性が極めて低いこ 別紙地震に関する再稼働申請の内容 とが確認できた。同 、つまり、1万年~100万年に1回程度と なり、基準地震動Ss-1を超過する地震動が発生する可能性が極めて低いこ 別紙地震に関する再稼働申請の内容 とが確認できた。同様の比較から、基準地震動Ss-2及び基準地震動Ss-3の年超過確率も同程度であることを確認した。(乙13(6-5-51~6-5-52頁、6-5-252~6-5-260頁)、乙16(20頁))第2 耐震安全性の確保について 1 伊方原子力発電所建設時の耐震設計の基本的な考え方について ⑴ 耐震設計の基本方針について被告は、伊方原子力発電所の設計における基本方針として、建物・構築物は原則として剛構造とし、重要な建物・構築物は岩盤に直接支持させることとした。これは、こうすることによって、表層地盤による地震動の増幅を回避し、地震時に重要な施設、配管等の変形をできる限り抑えることができ、かつ、地 盤破壊や不等沈下による影響を避けることができるからである。(乙13(8-1-1664~8-1-165頁))そして、被告は、この基本方針に基づき、原子炉施設の構築物は、原則として鉄筋コンクリート造等の剛構造とし、原子炉格納施設(原子炉格納容器及びその関連施設)などの重要な施設は、詳細な調査に基づき確認された十分な地 耐力を有する堅硬な岩盤に直接コンクリート基礎を構築した。また、地震動による揺れを小さくするために、機器については、多数の基礎ボルトで構築物に取り付け、配管については多数のサポートで構築物に支持させている(例えば、本件3号機の蒸気発生器支持構造につき乙13(8-5-7頁、8-5-267頁)参照)。 ⑵ 重要度分類に応じた耐震設計について被告は、伊方原子力発電所を建設する際、建物・構築物及び機器・配管系を地震によ 生器支持構造につき乙13(8-5-7頁、8-5-267頁)参照)。 ⑵ 重要度分類に応じた耐震設計について被告は、伊方原子力発電所を建設する際、建物・構築物及び機器・配管系を地震により発生する可能性のある環境への放射線による影響の観点、すなわち、原子力発電所の安全を確保する上での重要度に応じてA(新規制基準におけるS。以下同じ。)、B及びCの3クラスに分類(本件3号機については、Aクラ スのうち特に重要な施設を限定してさらにAsクラスとして分類)し、この分 別紙地震に関する再稼働申請の内容 類に応じた耐震設計を行った。このように耐震設計を行うにあたり、重要度に応じた分類を行う前提には、「グレーデッドアプローチ(gradedapproach)」と呼ばれる考え方がある。「グレーデッドアプローチ」は、安全確保のための資源は有限であり、その有限の資源をどのように分配すれば最も有効で、最も高い安全性を確保できるかという観点から相対的なグレードを定 め、そのグレードに応じた資源の分配を行うことによって、より高い安全性を確保しようとする考え方である。この考え方は、IAEAの基本安全原則(IAEA安全基準シリーズNo.SF-1(2006))の原則5にも、「許認可取得者が安全のために投入する資源及び規制の範囲と厳格さ並びにその適用は、放射線リスクの程度及びそれらの実用的な管理のしやすさに見合ったもの でなければならない。」(旧独立行政法人原子力安全基盤機構による日本語訳、乙48)と規定されており、原子力発電の安全確保に対する基本的かつ重要なアプローチの方法として、国際的にも広く採用されている。 各クラスの分類は、以下のとおりであるが、これを敷衍すれば次のとおりである。Aクラスに分類するのは、原子炉 の安全確保に対する基本的かつ重要なアプローチの方法として、国際的にも広く採用されている。 各クラスの分類は、以下のとおりであるが、これを敷衍すれば次のとおりである。Aクラスに分類するのは、原子炉冷却材圧力バウンダリ(原子炉施設の うち、一次冷却材を内包し、異常時に圧力障壁となるもの)、原子炉格納施設等、その機能喪失により原子炉の重大な損傷に至る可能性のある施設及び周辺公衆の災害を防止するために緊要な施設である。つまり、Aクラスの施設は、これらの安全性さえ維持できれば、本件3号機の原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という安全機能を確保することができる施設であ る。Bクラスに分類するのは、放射性廃棄物処理施設、燃料取替クレーン等、放射性物質に関連する施設でAクラス以外の施設である。Cクラスに分類するのは、タービン設備、補助ボイラ等、Aクラス及びBクラス以外の施設である。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 耐震設計上の重要度分類分類分類の考え方クラス別施設の主要設備(例)Aクラス自ら放射性物質を内蔵しているか又は内蔵している施設に直接関係しており、その機能喪失により放射性物質を外部に放散する可能性のあるもの及びこれらの事態を防止するために必要なもの並びにこれら事故発生の際に、外部に放散される放射性物質による影響を低減させるために必要なものであって、その影響、効果の大きいもの・炉内構造物・制御棒クラスタ・蒸気発生器・一次冷却材管・余熱除去ポンプ・余熱除去設備配管・原子炉容器・原子炉格納容器Bクラス上記において、影響、効果が比較的小さいもの・放射性廃棄物処理設備・燃料取替クレーンCクラスAクラス、Bクラ プ・余熱除去設備配管・原子炉容器・原子炉格納容器Bクラス上記において、影響、効果が比較的小さいもの・放射性廃棄物処理設備・燃料取替クレーンCクラスAクラス、Bクラス以外であって、一般産業施設と同等の安全性を保持すればよいもの・タービン設備・補助ボイラ そして、被告は、各々の重要度及び施設別に応じた地震力を用いた静的解析を行い、これに加え、Aクラスの施設については、耐震設計において基準とする地震動を用いた動的解析を行った。そして、各クラスの施設がこれらの解析 から求められる地震力に対して、十分な余裕を持って安全性が確保できるよう、伊方原子力発電所の耐震設計を行った。(乙12(8-1-15~8-1-16頁、8-1-47頁以下)、乙24(8-1-7~8-1-8頁)、乙26(8-1-106頁以下))このように耐震設計において基準とする地震動を用いた動的解析をAクラ スの施設に対して行うのは、Aクラスの施設の安全性さえ確保できれば、伊方 別紙地震に関する再稼働申請の内容 原子力発電所の原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という安全機能を維持することができるため、Aクラスの施設を、耐震設計の基準とする地震動に対して安全性を確保できるよう設計することにより、伊方原子力発電所全体として耐震設計の基準とする地震動に対する安全性を確保できるからである。 ちなみに、伊方原子力発電所の施設は、重要度分類に応じた地震力に対する安全性が確保できるよう耐震設計を行っているが、これは、各々の設備がそれぞれの重要度分類に応じた地震力を超える地震力に対して直ちにその機能を失うことを意味するものではない。詳細は後述するが、各施設は、それぞれ上記地震力に対して十 行っているが、これは、各々の設備がそれぞれの重要度分類に応じた地震力を超える地震力に対して直ちにその機能を失うことを意味するものではない。詳細は後述するが、各施設は、それぞれ上記地震力に対して十分な余裕をもって設計を行うため、例えば、設計の基準と なる地震動を超える地震動が引き起こされたとしても、施設は直ちに機能を喪失するわけではない。 2 伊方原子力発電所建設以降における耐震安全性の確認について⑴ 新規制基準を踏まえた本件3号機の耐震安全性について被告は、新規制基準を踏まえて策定した新たな基準地震動Ssを踏まえ、本 件3号機の施設のうち、最も重要な施設について、基準地震動Ssによっても機能を失うことのないよう耐震安全性を確保することにより、本件3号機の耐震安全性を確保している。また、被告は、新たに策定した基準地震動Ssが従来よりも大きな地震動であることなどを踏まえた耐震安全性向上工事を実施するとともに、新規制基準を踏まえて基準地震動Ssに対する耐震安全性を確保 すべき施設を拡充し、本件3号機の耐震安全性の強化を図っている。 ア耐震設計方針について耐震重要度分類被告は、設計基準対象施設(原子力発電所の安全設計の基本となる施設で、新規制基準において「運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発 生を防止し、又はこれらの拡大を防止するために必要となるもの」(設置 別紙地震に関する再稼働申請の内容 許可基準規則2条2項7号)と定義された施設)について、Sクラス、Bクラス及びCクラスにそれぞれ分類(耐震重要度分類)を行っている。このSクラス、Bクラス及びCクラスという耐震重要度分類について、新規制基準では、Sクラスの施設として、津波防護施設、浸水防止設備等(福島原発事故を踏まえ れぞれ分類(耐震重要度分類)を行っている。このSクラス、Bクラス及びCクラスという耐震重要度分類について、新規制基準では、Sクラスの施設として、津波防護施設、浸水防止設備等(福島原発事故を踏まえて津波による浸水対策のために設けた水密扉、貫通部 の止水措置等)が加わっているものの、改訂後の耐震設計審査指針における分類と同様に、基本的には、それぞれ本件3号機建設時に分類したAクラス(Asクラスを含む)、Bクラス及びCクラスに相当するものである。 すなわち、本件3号機においてSクラスに分類した施設は、いわゆる安全上重要な施設に位置付けられるもので、Sクラスの施設の耐震安全性を確 保することができれば、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という安全機能を維持することができる。このため、Sクラスの施設について、基準地震動Ssによる地震力に対する耐震性を持たせることにより、本件3号機の高い耐震安全性を確保しているのである。 耐震設計に用いた地震力 Sクラスの施設は、基準地震動Ssによる地震力に対して、安全機能を維持するとともに、弾性設計用地震動Sd(基準地震動Ssに0.5を下回らない係数を乗じて設定するもの)による地震力又は建築基準法が定める3倍(機器・配管系は3.6倍)の静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対して、おおむね弾性状態に留まる範囲で耐えられるもの(弾性設 計)としている(乙50)。このように弾性設計を行うことにより、耐震安全上の余裕が生まれる(後記⑵参照)。 イ基準地震動Ssに対する耐震安全性について被告は、基準地震動Ssの評価対象となる設備、新たに設置する設備等、工事計画認可申請の対象となる設備について、上記耐震設計方針に従って耐 震安全性評価を行い、本件3号機が耐震 安全性について被告は、基準地震動Ssの評価対象となる設備、新たに設置する設備等、工事計画認可申請の対象となる設備について、上記耐震設計方針に従って耐 震安全性評価を行い、本件3号機が耐震安全性を有していることを確認した。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 以下では、原子力発電所の安全性を確保する上で最も重要なSクラスの施設が基準地震動Ssに対する耐震安全性を有すること、すなわち、本件3号機が耐震安全性を確保していることについて、対象となる施設を建物・構築物及び機器・配管系とに分けて説明する。 なお、被告は、基準地震動Ssとして11通りの地震動を策定しているが、 これら全てに対する、Sクラス施設の耐震安全性を評価している。また、評価対象となる設備は膨大なものであるため、評価結果については、建物・構築物及び機器・配管系それぞれの代表的な設備等を例示しているが、当然ながら、評価対象全ての施設が必要な耐震安全性を確保していることを確認しており、以下において具体的に数値を示していないからといって、当該施設 が耐震安全性を有していないわけではない。 建物・構築物a 評価の方法原子力発電所の耐震安全性評価においては、基準地震動Ssに対する応答性状を適切に反映するモデルを設定する必要がある。一般的には、 建物・構築物の重量分布を各階とも床面に集中させ、部位の剛性や減衰などを考慮した質点系モデルが使われている。一つの質点で表すモデルを単質点モデルといい、複数の質点で表す質点系モデルを多質点モデルという。 次に、建物・構築物のモデルに地震波(地震力)を入力し、そのモデ ルがどのように揺れるか、どのような力が働くかなどについて解析(地震応答解析)を行う。そして、モデルの各階に働く力・変 いう。 次に、建物・構築物のモデルに地震波(地震力)を入力し、そのモデ ルがどのように揺れるか、どのような力が働くかなどについて解析(地震応答解析)を行う。そして、モデルの各階に働く力・変形を基に、建物・構築物の各部材(壁、柱、梁等)を評価する。 ちなみに、基準地震動Ssは、様々な周期の地震波を含んでおり(つまり、様々な周期特性を有しており)、建物・構築物の固有周期によっ て、揺れの大きさが大きく異なる。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 本件3号機においても、基準地震動Ssによる評価対象の建物・構築物をモデル化し、基準地震動Ssを当該モデルに入力して、基準地震動Ssに対する地震応答解析を行った。 そして、上記解析により、モデルの各層の鉄筋コンクリート造耐震壁のせん断ひずみの最大値を評価し、この最大値(評価値)が評価基準値 を超えないこと、すなわち、基準地震動Ssに対する耐震安全性を有していることを確認した。 せん断ひずみは、せん断力(ずれを生じさせる力)によって変形(せん断変形)する際の変形の割合のことをいい、耐震壁の場合、地震動によって生じるせん断変形を耐震壁の高さで除すことで求められる。評価 基準値は、原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601)(乙51)に基づき、既往の実験結果のばらつきも考慮して評価した鉄筋コンクリート造耐震壁の終局せん断ひずみ(4.0×10-3)に余裕を持たせて、より厳しい値となる2.0×10-3と設定した。 b 評価結果 本件3号機の安全上重要な建物・構築物のうち、代表的な施設として原子炉建屋及び原子炉補助建屋について、基準地震動Ssの地震応答解析による耐震安全性評価結果を以下に示す(乙52、乙53)。表中の評価値の欄には、基準地震動 な建物・構築物のうち、代表的な施設として原子炉建屋及び原子炉補助建屋について、基準地震動Ssの地震応答解析による耐震安全性評価結果を以下に示す(乙52、乙53)。表中の評価値の欄には、基準地震動Ssによる各層の耐震壁のせん断ひずみのうちの最大値を記載している。本件3号機の原子炉建屋及び原子炉補助 建屋のせん断ひずみの最大値はいずれも評価基準値を下回っており、本件3号機の各建屋は基準地震動Ssに対する耐震安全性を有している。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 原子炉建屋及び原子炉補助建屋の耐震安全性評価結果(本件3号機)評価対象評価部位評価値評価基準値旧Ss※新Ss※原子炉建屋耐震壁0.63×10-30.65×10-32.0×10-3原子炉補助建屋耐震壁0.84×10-31.01×10-3※ 「新Ss」の欄は、新たに策定した基準地震動Ss(最大加速度650ガル)に対する評価値を記載し、「旧Ss」の欄は「新Ss」策定以前の基準地震動Ss(最大加速度570ガル)に対する評価値を記載。 機器・配管系a 評価の方法機器・配管系の耐震安全性評価にあたっては、建物・構築物について構築したモデルに基準地震動Ssを入力し、それぞれの建屋の各階の揺れを求める。 次に、この各階の揺れ(床応答波)を基に、当該各床に設置している機器・配管系(の本体や床に固定するためのボルト等の支持構造物)に生じる応力等(評価値)を求め、これを材料ごとに規格(JEAG4601及び発電用原子力設備規格設計・建設規格(JSMESNC1))を基に設定した評価基準値と比較し、評価値が評価基準値を超えないこ とをもって、機器・配管系の耐震安全性を確認した。 G4601及び発電用原子力設備規格設計・建設規格(JSMESNC1))を基に設定した評価基準値と比較し、評価値が評価基準値を超えないこ とをもって、機器・配管系の耐震安全性を確認した。そして、動的機器(弁、ポンプ等)については、試験又は解析によって動作することが確認されている加速度と基準地震動Ssがもたらす加速度との比較によって、機能が維持できることも確認した。また、制御棒の挿入性について、安全解析の際に条件として用いた原子炉内への挿入時間(2.5秒) を評価基準値とし、基準地震動Ssによる地震力が作用しても当該時間以内に挿入されることを確認した。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 b 評価結果本件3号機の安全上重要な機器・配管系について、その代表的な設備の評価結果を以下に示す。評価値は、いずれも評価基準値を下回っており、本件3号機の安全上重要な機器・配管系は基準地震動Ssに対して耐震安全性を有している(乙54~乙61、乙62(3~6頁))。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 代表的な機器・配管系の耐震安全性評価結果(本件3号機)対象機器評価部位単位評価値評価基準値※2旧Ss※1新Ss※1炉内構造物ラジアルサポート応力[MPa] 制御棒(挿入性)-時間[秒]2.212.392.50蒸気発生器管台応力[MPa] 一次冷却材管管台応力[MPa] 余熱除去ポンプボルト応力[MPa] 余熱除去設備配管配管本体応力[MPa] 管台応力[MPa] 余熱除去ポンプボルト応力[MPa] 余熱除去設備配管配管本体応力[MPa] 旧Ss:401新Ss:361原子炉容器管台応力[MPa] 原子炉格納容器本体胴部座屈0.880.911.0※1 「新Ss」の欄は、新たに策定した基準地震動Ss(最大加速度650ガル)に対する評価値を記載し、「旧Ss」の欄は「新Ss」策定以前の基準地震動Ss(最大加速度570ガル)に対する評価値を記載。 ※2 余熱除去設備配管の評価基準値については、旧Ssと新Ssとで評価結果が厳しくなる部位 が異なっているため、それぞれの評価基準値を記載。 ウ耐震安全性向上工事の実施について基準地震動Ssが従来よりも大きくなった場合、施設の性状等によって程度の大小はあるものの、一般的には評価値が大きくなると考えられるため、 別紙地震に関する再稼働申請の内容 施設の耐震性が同じであれば、従来の評価結果と比較して耐震安全上の余裕は低下することになる。 本件3号機においては、従来から適切に耐震安全上の余裕を確保しているため、耐震安全上の余裕が多少低下したとしても耐震安全性が損なわれるわけではないが、引き続き、適切に耐震安全上の余裕を確保し、高いレベルで の耐震安全性を確保するため、一部の設備について、耐震安全性向上工事を実施した(乙63)。 耐震安全性向上工事は、本件3号機の主要設備の681か所において、機器・配管系の支持構造物の追加設置又は強度の高いものへの取替え、基礎の拡張及び取付ボルトの追加設置等を行い、平成27年 乙63)。 耐震安全性向上工事は、本件3号機の主要設備の681か所において、機器・配管系の支持構造物の追加設置又は強度の高いものへの取替え、基礎の拡張及び取付ボルトの追加設置等を行い、平成27年9月までに当該工事を 完了した。 エ Sクラス以外の施設の基準地震動Ssに対する耐震安全性について新規制基準では、①重大事故等対処施設(新規制基準において「重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。 以下同じ。)又は重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)に対処するた めの機能を有する施設」(設置許可基準規則2条2項11号)と定義された施設)の耐震安全性に係る要求が追加されるとともに、②波及的影響を及ぼすおそれのある、Sクラスの施設及び常設耐震重要重大事故防止設備又は常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設以外の施設(下位クラス施設)の対象が拡充されている。①については、重大事故等対処施設とし て新たに設置した設備のみを対象とするものではなく、例えばSクラス施設が機能を喪失した場合に発生する重大事故等に対処するために、従来から備えられているBクラスの設備を当該Sクラス施設の代替施設として使用することも想定しており、当該Bクラスの設備にSクラスと同じく基準地震動Ssへの耐震安全性が求められている。また、②については、例えばCクラ スの施設が基準地震動Ssによって倒壊し、隣接するSクラスの施設の安全 別紙地震に関する再稼働申請の内容 機能を毀損させることのないよう基準地震動Ssに対する当該Cクラスの施設の耐震安全性の確認が求められている。耐震設計審査指針においても考慮が求められていたもの(重大事故等対処施設に係る考慮は除く。)であるが、新規制基準で いよう基準地震動Ssに対する当該Cクラスの施設の耐震安全性の確認が求められている。耐震設計審査指針においても考慮が求められていたもの(重大事故等対処施設に係る考慮は除く。)であるが、新規制基準では、より明確に、波及的影響として考慮すべき事項が示されており、その結果、基準地震動Ssによる評価の対象となる施設の範囲が 広がっている。 以下、本件3号機における、重大事故等対処施設及び波及的影響を考慮すべき下位クラス施設の基準地震動Ssに対する耐震安全性について述べる。 重大事故等対処施設の耐震安全性重大事故等対処施設についても、設計基準対象施設と同様に、施設の各 設備が有する重大事故等に対処するために必要な機能及び設置状態を踏まえた分類を行った上で、分類ごとに必要な耐震安全性を確保している。 まず、重大事故等対処設備を常設重大事故等対処設備と可搬型重大事故等対処設備に分類し、このうち、常設重大事故等対処設備を常設重大事故防止設備及び常設重大事故緩和設備に分類した。さらに、常設重大事故防止 設備を常設耐震重要重大事故防止設備及び常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備に分類した。 そして、常設耐震重要重大事故防止設備又は常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設については、基準地震動Ssによる地震力に対して必要な機能が損なわれるおそれのない設計とし、常設耐震重要重大 事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設については、当該設備が代替する機能を有する設計基準事故対処設備の耐震重要度分類のクラスに適用される地震力に十分に耐えることができる設計とした(乙50、乙62(26~31頁))。 例えば、緊急時対策所は、Cクラスであるが、常設重大事故緩和設備に 該当する 耐震重要度分類のクラスに適用される地震力に十分に耐えることができる設計とした(乙50、乙62(26~31頁))。 例えば、緊急時対策所は、Cクラスであるが、常設重大事故緩和設備に 該当するため、基準地震動Ssに対する耐震安全性を有している(乙64)。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 可搬型重大事故等対処設備については、車両型設備、ボンベ設備等の転倒評価、構造強度評価等の評価を実施し、基準地震動Ssによって重大事故等に対処するための機能を損なわないことを確認している(乙65、乙66)。 また、被告は、重大事故等対処設備が、設計基準事故対処設備の安全機 能等と、環境条件、地震、津波その他の自然現象等による共通要因によって、同時にその機能が損なわれることのないよう可能な限り、多様性、独立性及び位置的分散を考慮して適切な措置を講じ、高い信頼性を確保している。例えば、屋外に保管するポンプ車や電源車は、少なくとも2セットは原子炉建屋から100m以上の離隔距離を確保して保管するとともに、 代替する設計基準事故対処設備が屋外設置の場合には当該設備から100m以上の離隔を確保している。 (乙13(8-1-21~8-1-24)、乙16(276頁以下))波及的影響の考慮新規制基準は、Sクラスの施設及び常設耐震重要重大事故防止設備又は 常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(上位クラス施設)は、下位クラス施設の波及的影響によって、それぞれの安全機能及び重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれることのないよう求めている(設置許可基準規則4条3項、同39条1項1号及び3号並びに設置許可基準規則解釈別記2の6)。被告は、①設置地盤及び地震応答性状の 相違等に起因する相対変位又は われることのないよう求めている(設置許可基準規則4条3項、同39条1項1号及び3号並びに設置許可基準規則解釈別記2の6)。被告は、①設置地盤及び地震応答性状の 相違等に起因する相対変位又は不等沈下による影響、②上位クラス施設と下位クラス施設との接続部における相互影響、③建屋内における下位クラス施設の損傷、転倒及び落下等による上位クラス施設への影響、④建屋外における下位クラス施設の損傷、転倒及び落下等による上位クラス施設への影響、の4つの観点から調査、検討等を行い、波及的影響によって、上 位クラス施設の安全機能又は重大事故等に対処するために必要な機能を 別紙地震に関する再稼働申請の内容 損なわないように設計を行うべき施設を選定し、基準地震動Ssに対する耐震安全性を確保した。(乙62(5頁、29~30頁))例えば、上記①の観点から、波及的影響を及ぼすおそれのある下位クラス施設として選定したタービン建屋が、上位クラス施設である原子炉建屋及び原子炉補助建屋に対して波及的影響を及ぼさないことを確認した。具 体的には、基準地震動Ssに対する地震応答解析を行い、タービン建屋と隣接する上位クラス施設の原子炉建屋及び原子炉補助建屋との相対変位がタービン建屋と原子炉建屋及び原子炉補助建屋との離隔を超えて接触すること、つまり、地震動で隣接する建屋同士が揺れて衝突することによって、原子炉建屋及び原子炉補助建屋の機能が損なわれないことを確認す るとともに、タービン建屋が崩壊に至らないことを確認した(乙68)。 ⑵ 耐震安全上の余裕ア弾性設計等による余裕原子力発電所の施設は、耐震重要度分類におけるSクラスの施設では弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力に対して施設全体としてお おむね弾性 震安全上の余裕ア弾性設計等による余裕原子力発電所の施設は、耐震重要度分類におけるSクラスの施設では弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力に対して施設全体としてお おむね弾性(物体に力を加えると変形するが、加えられた力を除去すると、変形を残すことなく完全に元の形に戻る性質)状態に留まる範囲(弾性範囲)で耐えられるように設計(弾性設計)することなどによって、十分な耐震安全上の余裕を確保することとなっている。 原子力発電所の施設は弾性設計がなされていることについて 設置許可基準規則4条1項は、耐震重要施設を含む「設計基準対象施設」について、「地震力に十分耐えることができるものでなければならない」ことを要求している。この「地震力に十分耐える」とは、「ある地震力に対して施設全体としておおむね弾性範囲の設計がなされること」(設置許可基準規則解釈別記2の第4条第1項)とされる。すなわち、設置許可基 準規則においては、基準地震動Ssによる地震力に対して、耐震重要度分 別紙地震に関する再稼働申請の内容 類上の重要施設の安全機能が保持されることが、耐震安全上の要求事項の基本としつつ、さらに、基準地震動Ssに対する施設の安全機能の保持をより高い精度で確認するため、別途、弾性設計用地震動Sdを設定し、この弾性設計用地震動Sdによる地震力に対し施設全体としておおむね弾性範囲に留まっていることを確認することとしている。 一般的に、設備・構造物の弾性限界と破壊・破断が生じて要求される安全機能を失う限界(建物・構築物の終局耐力(弾性範囲を超えて構造物に加わる力を漸次増加させていった際に、構造物の変形又はひずみが著しく増加し、構造物の機能を喪失する限界の荷重)及び機器・配管系の破断延性限界(金属 (建物・構築物の終局耐力(弾性範囲を超えて構造物に加わる力を漸次増加させていった際に、構造物の変形又はひずみが著しく増加し、構造物の機能を喪失する限界の荷重)及び機器・配管系の破断延性限界(金属が伸びや絞りなどの著しい塑性変形を伴って破断に至る際の、 破断に至る力))との間には大きな差(耐震安全上の余裕)があり、弾性設計された設備・構造物は、弾性設計で考慮した地震動を超える地震動に対しても耐えられる余裕を持った設計となる。また、弾性範囲では、入力する地震動と構造物の応答とが比例関係にあり、算定される応答値の精度も比較的高い。このため、弾性設計を行うことによって、安全機能の保持 を高い精度で確認することができる。 さらに、耐震重要度分類におけるSクラスの施設については、弾性設計用地震動Sdによる地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しておおむね弾性状態に留まる範囲で耐えることが求められている(設置許可基準規則別記2の4条3項3号一)。静的地震力による設計手 法は、一般建築物で広く用いられており、原子力施設の設計においても古くから用いられ設計実績も豊富で一般建築物の構造基準である建築基準法との対比も分かりやすいことから、基準地震動Ssや弾性設計用地震動Sdによる動的解析と併せてSクラス施設の耐震設計の信頼性を高める役割を担っている。 このように、耐震重要度分類におけるSクラスの施設は、弾性範囲の設 別紙地震に関する再稼働申請の内容 計であることについて、厳格かつ重層的な検討が求められており、そうすることにより、高い耐震安全性を確保することになっている。 そして、本件3号機についても、弾性設計を行い、高い耐震安全性を確保している。すなわち、本件3号機の耐震重要度Sクラスの施 れており、そうすることにより、高い耐震安全性を確保することになっている。 そして、本件3号機についても、弾性設計を行い、高い耐震安全性を確保している。すなわち、本件3号機の耐震重要度Sクラスの施設については、弾性設計用地震動Sd(基準地震動Ssに0.5を下回らない係数を 乗じて設定するもの)による地震力又は建築基準法が定める3倍(機器・配管系は3.6倍)の地震力のいずれか大きい方の地震力に対して、おおむね弾性状態に留まる範囲で耐えられるものとし(乙50(資13-1-12頁、資13-1-10~資料13-1-12頁)、乙333(資13-9-2~資13-9-10頁))、その上で、基準地震動Ssによって もその機能が失われないことを確認している。 原子力発電所の施設は耐震安全上の余裕を十分確保していることについて新規制基準のもと、設置許可基準規則4条3項では、「耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震 による加速度によって作用する地震力(基準地震動による地震力)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」と定められている。この「安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない」ことを満たすため、設置許可基準規則解釈別記2の第4条第6項一では、基準地震動に対する設計基準対象施設の設計にあたり、建物・構 築物については、「常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること」が求められ、機器・配管系については、「通常運転時、運転時の異常な過渡変化時 及び事 (終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること」が求められ、機器・配管系については、「通常運転時、運転時の異常な過渡変化時 及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合 別紙地震に関する再稼働申請の内容 せた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること」及び「塑性ひずみ(弾性範囲の限界を超え、加えられた力を除いても元の形に戻らなくなる変形)が生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと」が求められている。これを受け、地震ガイドでは、 Sクラスの建物・構築物について、「常時作用している荷重及び運転時に作用する荷重と基準地震動による地震力との組合せに対して、当該建物・構築物が構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、建物・構築物の終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること」(地震ガイドⅡ6.1.1⑴)、Sクラスの機器・配管系につい て、「通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時に生じるそれぞれの荷重と基準地震動による地震力を組み合せた荷重条件に対して、その施設に要求される機能を保持すること」及び「塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼさないこと」(地震ガイド Ⅱ6.2.1⑴)が求められている。 被告は、以下の表のとおり、本件3号機のSクラスの施設が上記の地震ガイドの要求に沿って設定された耐震設計時の判定の基準である評価基準値を満足し、評価基準値に対しても余裕を確保していることを確認して 被告は、以下の表のとおり、本件3号機のSクラスの施設が上記の地震ガイドの要求に沿って設定された耐震設計時の判定の基準である評価基準値を満足し、評価基準値に対しても余裕を確保していることを確認している。これにより、基準地震動Ssによる地震力によって塑性変形に至る 場合でも、建物・構築物においては、構造物全体としての変形能力(終局耐力時の変形)について十分な余裕を有し、終局耐力に対し妥当な安全余裕を有していること、また、機器・配管系においては、塑性ひずみが生じる場合であっても、その量が小さなレベルに留まって破断延性限界に十分な余裕を有し、その施設に要求される機能に影響を及ぼすことがないこと を確認している。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 原子炉建屋及び原子炉補助建屋の耐震安全性評価結果(本件3号機)評価対象評価部位評価値評価基準値旧Ss※新Ss※原子炉建屋耐震壁0.63×10-30.65×10-32.0×10-3原子炉補助建屋耐震壁0.84×10-31.01×10-3※ 「新Ss」の欄は、新規制基準による基準地震動Ss(最大加速度650ガル)に対する評価値を記載し、「旧Ss」の欄は新規制基準以前の基準地震動Ss(最大加速度570ガル)に対する評価値を記載。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 代表的な機器・配管系の耐震安全性評価結果(本件3号機)対象機器評価部位単位評価値評価基準値※2旧Ss※1新Ss※1炉内構造物ラジアルサポート応力[MPa] 制御棒(挿入性)-時間[秒]2.212.392.50蒸気発 ※1新Ss※1炉内構造物ラジアルサポート応力[MPa] 制御棒(挿入性)-時間[秒]2.212.392.50蒸気発生器管台応力[MPa] 一次冷却材管管台応力[MPa] 余熱除去ポンプボルト応力[MPa] 余熱除去設備配管配管本体応力[MPa] 旧Ss:401新Ss:361原子炉容器管台応力[MPa] 原子炉格納容器本体胴部座屈0.880.911.0※1 「新Ss」の欄は、新規制基準による基準地震動Ss(最大加速度650ガル)に対する評価値を記載し、「旧Ss」の欄は新規制基準以前の基準地震動Ss(最大加速度570ガル)に対する評価値を記載。 ※2 余熱除去設備配管の評価基準値については、旧Ssと新Ssとで評価結果が厳しくなる部位 が異なっているため、それぞれの評価基準値を記載。 さらに、後述するとおり、実際の設計においては、評価値の算出において、計算結果が保守的となるよう計算条件を設定していること、評価基準値も、要求される安全機能を失う限界となる終局耐力や破断延性限界に対 別紙地震に関する再稼働申請の内容 して十分余裕を持った値を設定していること、設計、製作及び施工の各段階において、必要とされる強度を上回るよう材料の強度、寸法等に余裕を持たせていること(本件3号機は、認可を受けた工事計画通りに適切に施工し(乙116)、耐震安全上の余裕を確保している。)により耐震安全上の余裕を確保し れる強度を上回るよう材料の強度、寸法等に余裕を持たせていること(本件3号機は、認可を受けた工事計画通りに適切に施工し(乙116)、耐震安全上の余裕を確保している。)により耐震安全上の余裕を確保している。 イ耐震設計の過程で生まれる余裕耐震設計を行う過程においても、耐震安全上の余裕が生まれる。評価値を算定する際には、計算結果が保守的となるよう計算条件を設定している。例えば、機器・配管系の耐震安全性評価では、機器・配管系を設置している各階床の揺れ(床応答波)を用いるが、評価に用いる床応答 波から応答スペクトル(設計用床応答スペクトル)を作成する際には、得られた床応答スペクトルをそのまま用いるわけではなく、周期軸方向に±10%拡幅することにより余裕を与えて設定する。 また、耐震設計における施設に係る応力を解析するにあたり、モデルに入力する施設の各位置に対する地震力について、地震応答解析において求 められた動的地震力の最大値を静的地震力として用いる際には、大きな発生値が算定され、余裕が生じる。これは、実際の地震力は、時々刻々と変化する動的地震力であるのに対し、静的に用いることで構造物にほんの一瞬作用するだけの動的地震力の最大値が変化せず、一定の力で作用し続けると仮定するものであり、このような仮定は安全側の余裕を生じさせる。 また、耐震設計を行う際、基準地震動等を用いて解析を行い、その解析において算定された評価値を基に設計を行うことになるが、その際、設計上の評価値とこの評価基準値とをぴたりと一致するように設計するのではなく、評価値が評価基準値を下回るよう設計する。したがって、評価値と評価基準値との間には必ず差が生じることになる。この差も耐 震安全上の余裕となる。 別紙地震に関する再稼働 るのではなく、評価値が評価基準値を下回るよう設計する。したがって、評価値と評価基準値との間には必ず差が生じることになる。この差も耐 震安全上の余裕となる。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 耐震設計時の判定の基準となる評価基準値も、機能維持限界値に対して十分余裕を持った値を設定することなどにより余裕を生じさせている。例えば、本件3号機の建物・構築物に係る耐震安全性評価において、鉄筋コンクリート造耐震壁の評価基準値は、原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601)に基づき、終局せん断ひずみ(4.0×10 -3)に対して、2倍の余裕を持たせて、より厳しい値となる2.0×10-3と設定している(乙70)。 ウ耐震設計以外の設計から生まれる余裕原子力発電所は、地震動の影響のみではなく、自重、内圧及び熱荷重に加え、事故時の荷重に対する強度設計、放射線防護の観点から行われる遮へい 設計、回転機器の振動防止対策等の様々な要素を考慮した上で、そのうちで最も厳しい条件を満足するように余裕をもった設計を行っている(乙12(8-1-5頁)、乙26(8-1-7頁、8-11-1頁))。これらの設計、製作及び施工の各段階において、必要とされる強度を上回るよう材料の強度、寸法等に余裕を持たせており、出来上がったものは相応の実力を有し ている。 そして、耐震設計において、地震荷重に、自重、内圧及び熱荷重、さらには事故時の荷重を組み合わせて強度設計を行っており(乙12(8-1-60~8-1-61頁)、乙26(8-1-7頁、8-1-111~8-1-114頁))、これによっても耐震上の余裕が生まれる。 エ耐震安全上の余裕に係る評価、実証試験等伊方原子力発電所が耐震安全上の余裕を有することは、次のと -7頁、8-1-111~8-1-114頁))、これによっても耐震上の余裕が生まれる。 エ耐震安全上の余裕に係る評価、実証試験等伊方原子力発電所が耐震安全上の余裕を有することは、次のとおり、評価、実証試験等によって実証されている。 被告は、福島原発事故の後、原子力安全・保安院の指示を受け、発電用原子炉施設の安全性に関する総合評価、いわゆるストレステストを実 施した(乙15、乙71、乙72)。ストレステストでは、当時の基準地 別紙地震に関する再稼働申請の内容 震動Ss(最大加速度570ガル)に対するクリフエッジ(燃料が重大な損傷に至る状態等、事象が進展、急変し状況が大きく変わる境)を求め、本件3号機が1.50倍の裕度を有していることを確認した。 財団法人原子力発電技術機構(当時)による原子力発電施設耐震信頼性実証試験では、安全上重要な設備につき、実機に近い縮尺模型試験体 を試験台に乗せ、地震動を模擬した振動を与えて実際に揺さぶることにより、設備の耐震安全性及び耐震裕度を確認するための試験等が行われた。そして、全ての試験対象施設について、地震時(後)における強度及び機能の維持が実証され、基準地震動S2(耐震設計審査指針に基づく基準地震動S2に相当する実証試験用の地震動で、試験結果が厳しく なるよう設定したもの)を超える地震動に対しても十分な耐震安全性の余裕を有することが確認された。例えば、原子炉格納容器は、振動台の性能限界(試験体の重量、寸法により異なる)である887ガルまで加振しても損傷せず(乙73(14、19頁))、また、配管は、同約1900ガルで加振した結果、5回目の加振でようやく機能喪失に至った (乙73、乙74)。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 傷せず(乙73(14、19頁))、また、配管は、同約1900ガルで加振した結果、5回目の加振でようやく機能喪失に至った (乙73、乙74)。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 PWRの設備に係る試験入力波の最大加速度試験対象強度実証試験注2限界加振試験注2原子炉格納容器(鋼製)[①1/3.7 ②350t ③約3800t]注1591ガル 887ガル[1.5倍]注3炉内構造物[①1/1 ②555t ③約500t] 注1729ガル 1094ガル[1.5倍]注3一次冷却設備[①1/2.5 ②525t ③約1000t] 注11433ガル 2866ガル[2.0倍]注3原子炉容器[①1/1.5 ②700t ③約850t] 注1714ガル 961ガル[1.3倍]注3非常用ディーゼル発電機システム※クランク軸など複数の部分試験1360ガル 1770ガル[1.3倍]注3電算機システム[①1/1 ②81t ③約300t] 注1526ガル 2262ガル[4.3倍]注3原子炉停止時冷却系[①1/1 ②294t ③約300t] 注11800ガル 2700ガル[1.5倍]注3主蒸気系[①1/2.5 ②190t ③約200t] 注11940ガル 4850ガル[2.5倍]注3原子炉格納容器(プレストレスコンクリート製)[①1/10 ②757t ③約27000t] 注1557ガル 3398ガル[6.1倍]注3※機能喪失制振サポート支持重機器[①1/2.5 ②550t ③約600t] 注11824ガル 5290ガル[2.9倍]注3配管 ガル 3398ガル[6.1倍]注3※機能喪失制振サポート支持重機器[①1/2.5 ②550t ③約600t] 注11824ガル 5290ガル[2.9倍]注3配管(一般化モデル)[①1/1 ②200t ③-] 注1―1900ガル※加振5回目で機能喪失注1 [ ] 内は、①縮尺、②試験体重量(支持構造物の重量含み)、③実機重量を示す。 注2 記載値は縮尺比や付加質量等に基づく相似則により試算した、実機相当の最大加速度を示す(一般化モデルとした配管のみ実際の試験体入力波)。 ・強度実証試験:基準地震動S2 応答波最大加速度 ・限界加振試験:振動台性能限界時又は試験体機能喪失時における最大加速度注3 [ ]内は、強度実証試験における基準地震動S2応答波に対する比率を示す。 別紙地震に関する再稼働申請の内容 2007年新潟県中越沖地震の際には、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に基準地震動S2(当時、同発電所で設定していたもの)の約1.2倍~3.8倍の地震動がもたらされたと推計されたが、同発電所の基本的な安全機能(原子炉を「止める」、炉心を「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」)は維持されていた(乙31)。また、IAEAの調査報告書 でも、大きな損害が生じなかった要因として「設計プロセスの様々な段階で設計余裕が加えられていることに起因している」と評価された(乙75)。 原子力発電所では、一般建物に要求される静的地震力の3倍の静的地震力を用いてSクラスの施設の耐震設計を行っている。そして、こうし た静的地震力を用いた耐震設計によっても耐震安全上の余裕が生じる。 このことは、一般建物に関する地震被害調査結果を見るとわかる。例えば、1995年兵庫県南 耐震設計を行っている。そして、こうし た静的地震力を用いた耐震設計によっても耐震安全上の余裕が生じる。 このことは、一般建物に関する地震被害調査結果を見るとわかる。例えば、1995年兵庫県南部地震後の鉄筋コンクリート造建物に対する全数被害調査結果によれば、原子炉建屋と同じ壁式鉄筋コンクリート造建物に関しては被害率4.5%に過ぎず、その被害も大半が軽微なもので あり、大破・中破の被害の原因はほとんどが地盤の変状によるものであった(乙76(516頁))。このように、一般建物であっても、静的地震力で耐震設計を行うことにより、高い耐震安全上の余裕を有しているのであり、その3倍の静的地震力を耐震設計に用いている原子力発電所は、相応の耐震安全上の余裕が生じる。 以上 別紙津波に関する再稼働申請の内容 別紙津波に関する再稼働申請の内容 1 基準津波の策定被告は、津波の評価において、文献調査並びに敷地及び敷地周辺の津波堆積物に関する調査により抽出した、過去に伊方原子力発電所の敷地に影響を及ぼした と考えられる既往津波を考慮した上で、敷地に影響を及ぼすと考えられる、海域の活断層による地震及びプレート間地震に伴う津波並びに火山現象、地すべり等の地震以外の事象に起因する津波の選定を行い、数値シミュレーションによる津波水位の算定を行ったとした。また、これらの津波発生要因の組み合わせ(重畳)についても、伊方原子力発電所への影響等を検討し、数値シミュレーションによ る評価を行ったとした。 そして、評価結果のうち、本件3号機へ最も大きな影響を与える津波を基準津波として策定することとした。 なお、以下において評価結果として記載している水位変動の値は、水位上昇側は朔望平均満潮位(T.P.+1.62 結果のうち、本件3号機へ最も大きな影響を与える津波を基準津波として策定することとした。 なお、以下において評価結果として記載している水位変動の値は、水位上昇側は朔望平均満潮位(T.P.+1.62m)を、水位下降側は朔望平均干潮位(T. P.-1.69m)を考慮した値を示している 。 ⑴ 既往津波に関する調査被告は、伊方原子力発電所の敷地に影響を及ぼしたと考えられる既往津波に関し、文献調査及び津波堆積物に関する調査を行った。 文献調査の結果、瀬戸内海地域を震源とする地震による津波記録としては1 596年に発生した別府湾における豊後地震による津波の記録があるものの、被害の記録は別府湾沿岸のみであり、伊方原子力発電所の敷地周辺において被害があったという記録はなかった。太平洋側で発生する南海トラフ沿いのプレート境界地震に伴う津波については、過去の津波痕跡高さからも瀬戸内海沿岸における津波高さは最大で3m程度とされている。 また、敷地前面海域である伊予灘をはじめ、別府湾、周防灘及び豊後水道の 別紙津波に関する再稼働申請の内容 沿岸部を調査対象とし、当該地域における津波堆積物の報告事例を調査した。 その結果、豊後水道沿岸では比較的顕著な津波の痕跡が残されているものの、佐田岬西端の調査地点ではこれらの痕跡は残っておらず、太平洋側から伊方原子力発電所が立地する伊予灘側に入り込んでくる津波の影響は小さいと考えられる。また、瀬戸内海側においても、正断層型の海底活断層が分布する別府 湾では津波の痕跡が見られるものの、横ずれ型の海底活断層が分布する伊予灘での津波の痕跡を報告したものはなかった。(乙13(6-7-1~6-7-5頁))⑵ 津波発生要因の検討(対象津波の選定)と津波評価上記の調査結果等を踏 の、横ずれ型の海底活断層が分布する伊予灘での津波の痕跡を報告したものはなかった。(乙13(6-7-1~6-7-5頁))⑵ 津波発生要因の検討(対象津波の選定)と津波評価上記の調査結果等を踏まえ、津波発生要因ごとの検討を行い、数値シミュレ ーションによる評価の対象とする津波(対象津波)の選定を行った。そして、対象津波について、不確かさを考慮した数値シミュレーションを実施し、伊方原子力発電所への影響を評価した。 ア地震に起因する津波の検討被告は、本件3号機に影響を与える可能性がある地震に起因する津波とし て、海域の活断層に想定される地震に伴う津波及びプレート境界付近に想定される地震に伴う津波について検討した。 なお、被告は、海洋プレート内地震に伴う津波については、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込む境界(南海トラフ)よりも海側、つまり、本件3号機に影響を与える可能性のあるプレート間地震に伴う津波 よりも遠方での発生が想定されるが、想定される津波の規模及び敷地とプレート境界との位置関係から、プレート境界付近に想定される地震に伴う津波と比較して影響が小さいことは明らかであるとして、その影響は、プレート境界付近に想定される地震に伴う津波に包含されるものとして、個別の検討は必要ないと判断した。 海域の活断層による地震に伴う津波の検討 別紙津波に関する再稼働申請の内容 敷地に最も近い海域の活断層は、敷地前面海域の断層群であり、横ずれの断層である。横ずれ断層は、地震に伴って大きな津波が生じる可能性は低いが、仮に縦ずれとなるすべり成分を加味して津波を想定した場合には、敷地との距離から見て当該断層群に想定される地震による津波が伊方原子力発電所に影響を及ぼす可能性が高いと きな津波が生じる可能性は低いが、仮に縦ずれとなるすべり成分を加味して津波を想定した場合には、敷地との距離から見て当該断層群に想定される地震による津波が伊方原子力発電所に影響を及ぼす可能性が高いと考えられるとして、海域の活断 層については当該断層群の地震による津波を対象津波として選定することとした。そして、敷地前面海域の断層群(長さ54km)は、中央構造線断層帯を構成する活断層であることから、地震動評価と同様、中央構造線断層帯及び別府-万年山断層帯の連動を最大限考慮する(長さ480km)こととした上で、津波評価に影響する伊予灘から別府湾にかけての海域を 横断する、伊予セグメント、敷地前面海域の断層群及び別府-万年山断層帯の3区間(全長約130km)での連動を考慮した。 また、被告は、地震規模については、地震調査研究推進本部による「活断層の長期評価手法」報告書(乙185)の長大断層の地震規模の考え方(乙185(26頁))に基づき、土木学会(2002)(乙186)に記 載のc(1998)(乙135)の手法で設定した。伊予セグメント(断層長さ約33km)及び敷地前面海域の断層群(断層長さ約54km)については、断層長さ約87km を地震規模想定区間とし、c(1998)(乙135)に基づき断層長さより地震規模を設定した。別府-万年山断層帯については、別府湾沿岸に甚大な津波被害を及ぼしたとされる豊後地震津波の 痕跡高を精緻に再現する波源モデルを用いて大分県(2013)(乙187)が津波浸水予測を実施している(乙187(1~2頁))。このため、大分県(2013)(乙187)の断層モデル(大分県モデル)を用いることを基本とし、豊予海峡断層を佐田岬西端まで延伸することで、保守的に地震規模が大きくなるように設定した(乙188( )。このため、大分県(2013)(乙187)の断層モデル(大分県モデル)を用いることを基本とし、豊予海峡断層を佐田岬西端まで延伸することで、保守的に地震規模が大きくなるように設定した(乙188(43~44頁))。 被告は、数値シミュレーションの実施にあたっては、不確かさを考慮し、 別紙津波に関する再稼働申請の内容 断層傾斜角、すべり角、すべり量等、計算に必要なデータをそれぞれ複数設定し、様々な組み合わせを検討した。その結果、水位上昇は最大でT.P.+7.56m(評価地点:本件3号機敷地前面)であり、水位下降はT.P.-4.08m(評価地点:本件3号機海水取水口)であった。 (以上、乙13(6-7-12~6-7-16頁、6-7-38~6-7 -39頁、6-7-66頁))プレート間地震に伴う津波の検討被告は、既往津波に関する文献調査の結果、プレート境界付近に想定される地震に伴う津波については、南海トラフ沿いのプレート境界で発生する地震に伴う津波を検討対象とした。 南海トラフ沿いのプレート境界における地震に伴う津波のモデルについては、過去の地震津波に基づくものがある他、過去の津波の波高を包絡するように設定された中央防災会議の「想定東南海・南海津波」、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震を踏まえてこれを上回る地震規模で設定された、南海トラフの巨大地震対策を検討する際に想定すべき最大ク ラスの地震を想定した内閣府検討会の「南海トラフの巨大地震に伴う津波」がある。被告は上記のうち、地震規模が最も大きく、本件3号機に対して最も影響が大きいと考えられる津波、すなわち「南海トラフの巨大地震に伴う津波」を対象津波として選定した。 また、津波ガイド (乙189)では、プレート間地震に起因す が最も大きく、本件3号機に対して最も影響が大きいと考えられる津波、すなわち「南海トラフの巨大地震に伴う津波」を対象津波として選定した。 また、津波ガイド (乙189)では、プレート間地震に起因する津波波 源を設定する対象領域として、3つの領域を例示しており、南海トラフについては、南海トラフから南西諸島海溝まで含めた領域を対象領域として区分している(津波ガイド3.3.2〔解説〕⑵)。そして、南海トラフの海域は、テクトニクス的背景が2004年スマトラ島沖地震と類似しているとの指摘があること等を踏まえ、「南海トラフから南西諸島海溝までの 領域を対象とした津波」についても、検討用津波として選定した。 別紙津波に関する再稼働申請の内容 a 南海トラフの巨大地震に伴う津波内閣府検討会は、東北地方太平洋沖地震を契機として中央防災会議の下に設置された「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」により示された「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討していくべきである」との考え方に基づ き、発生し得る最大クラスの地震・津波を検討し、公表している(内閣府検討会(2012)(乙190(1~3頁)))。 想定津波波源域については、東側(駿河湾側)は駿河湾における南海トラフのトラフ軸から、南西側(日向灘側)は九州・パラオ海嶺の北側付近でフィリピン海プレート境界面の深さ約30km からそれよりもや や深い深部低周波地震が発生している領域まで(日向灘の領域はプレート境界面の深さ約40km まで)としている。 津波波源モデルの設定にあたっては、南海トラフで発生した過去の地震に加えて、世界の海溝型地震の震源断層モデルの調査結果も踏まえて、地震規模(Mw9.1)を設定する さ約40km まで)としている。 津波波源モデルの設定にあたっては、南海トラフで発生した過去の地震に加えて、世界の海溝型地震の震源断層モデルの調査結果も踏まえて、地震規模(Mw9.1)を設定するとともに、津波水位への影響が大き い断層のすべり量に関して、「大すべり域(約20m)」、「超大すべり域(約40m)」の設定を行っている。波源が広大であるため、「大すべり域」等の設定位置により地域毎の影響度合いが異なることから、「大すべり域」等の位置を複数想定し、全11ケースの検討を実施している。 被告は、内閣府検討会が公表した全11ケースのうち、本件3号機へ の影響が大きいと考えられる四国沖から九州沖に大すべり域及び超大すべり域が設定されているケース(乙190(7頁、49頁)のケース⑤(「四国沖~九州沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定したケース))による津波を対象津波として選定した(いわゆる、南海トラフの巨大地震に伴う津波)。 南海トラフの巨大地震に伴う津波の数値シミュレーションの結果、水 別紙津波に関する再稼働申請の内容 位上昇は最大でT.P.+2.45m(=0.83m+1.62m、評価地点:本件3号機敷地前面)であり、水位下降は最大でT.P.-2.55m(=-0.86m-1.69m、評価地点:本件3号機海水取水口)であった。 b 南海トラフから南西諸島海溝までの領域を対象とした津波 被告は、南海トラフから南西諸島海溝までの領域を対象とした津波については、この海域の「テクトニクス的背景が2004年スマトラ島沖地震と類似している」との指摘がなされていることを踏まえ、同地震をはじめとする世界の超巨大地震(Mw9.0程度以上の地震)の発生地域において、地震との関連性が高い「プレート境界 004年スマトラ島沖地震と類似している」との指摘がなされていることを踏まえ、同地震をはじめとする世界の超巨大地震(Mw9.0程度以上の地震)の発生地域において、地震との関連性が高い「プレート境界面の固着域 」に着目 した分析を行い、この海域において超巨大地震の発生が想定されるか否か等について検討を行った。 南海トラフから南西諸島までの海域で発生する地震について、sほか(2003)(乙191)の地震地体構造区分等を参考に、4つの領域(南海トラフ、琉球海溝北部、琉球海溝中部、琉球海溝南部)に区分し、 各領域での固着域に関する分析及び領域境界を越えて固着域が破壊する可能性の検討を行ったところ、4つの各領域内における最大規模の歴史地震は、南海トラフではMw8.5クラス、琉球海溝北部・中部ではそれぞれMw8.0クラス、琉球海溝南部ではMw8.5クラスであり、南海トラフから南西諸島までの領域においては、世界の超巨大地震発生 地域にみられるような規模の大きな固着域はなく、各領域内で知られている歴史地震の規模と整合的な規模の固着域が想定された。さらに、固着域及び構造的な境界に関する分析結果から、南海トラフから南西諸島までの領域において、各領域を横断するような破壊伝播(スケーリング的な連動)を考慮する必要はないと被告は考えた。 しかしながら、不確かさを十分に安全側に考慮し、さらに東北地方太 別紙津波に関する再稼働申請の内容 平洋沖地震での教訓を踏まえ、科学的・技術的知見に基づく想定を超える事態があり得るとの観点から、被告は、東北地方太平洋沖地震と同様のMw9.0クラスの地震を想定することとし、本件3号機への影響が最も大きくなるよう琉球海溝北部から中部の領域での連動を考慮し、プレート境界面の破壊の の観点から、被告は、東北地方太平洋沖地震と同様のMw9.0クラスの地震を想定することとし、本件3号機への影響が最も大きくなるよう琉球海溝北部から中部の領域での連動を考慮し、プレート境界面の破壊の伝わり方が異なる3ケースの津波波源を設定し た。 そして、被告は、数値シミュレーションの結果、水位上昇は最大でT.P.+2.02m(=0.40m+1.62m、評価地点:本件3号機敷地前面)であり、取水口における水位下降はT.P.-2.05m(=-0.36m-1.69m、評価地点:本件3号機海水取水口)となり、 「南海トラフの巨大地震に伴う津波」に比べ、本件3号機への影響は小さいことを確認した。 (以上、乙13(6-7-7~6-7-12頁、6-7-35頁))イ海底及び陸上での地すべりに伴う津波の検討海底地すべりについて 伊方原子力発電所の敷地は外洋からの津波の影響が小さい瀬戸内海の伊予灘に面しており、その海底地形は極めて平坦であり、また敷地周辺において海底地すべりによる津波被害があったという記録も見当たらない。 さらに、敷地周辺の海底地形判読を行うとともに、音波探査記録を用いた検討も行ったが、伊方原子力発電所の敷地周辺に海底地すべりの痕跡は認 められなかった。このため、仮に海底地すべりを要因とする津波があったとしても本件3号機に与える影響は、他の要因による津波に比べ小さいものであると判断した。 陸上での地すべりについて伊方原子力発電所の敷地周辺の陸域には、三波川帯の塩基性片岩が広く 分布し、地すべりの痕跡が点在している。地すべりを引き起こす「きっか 別紙津波に関する再稼働申請の内容 け」としては地震又は降雨が考えられる。このうち、地震に伴う地すべりについては、地すべり学会 跡が点在している。地すべりを引き起こす「きっか 別紙津波に関する再稼働申請の内容 け」としては地震又は降雨が考えられる。このうち、地震に伴う地すべりについては、地すべり学会(2012)(乙192)によって総括されており、豊後地震(中央構造線断層帯の延長部が活動したとされている地震)の際に大分県で発生した事例を含め、過去の地震に伴う地すべりの発生箇所が整理されているが、伊方原子力発電所の敷地周辺において地震に伴う 10万㎥を超える地すべりの報告はない(乙192(1~13頁、表3))。 また、四国における三波川帯の大規模崩壊は、剣山北東から石鎚山南方の四国山地部で多く、中央構造線沿いではむしろ少ないとの指摘もある(t(1986)(乙193))。これらのことを踏まえれば、伊方原子力発電所の敷地周辺において地震に伴う地すべりが発生し、敷地に影響を与えるよ うな津波を生じる可能性は極めて低い。一方、三波川変成岩類分布域においては、古い地すべり地が部分的に降雨地すべりを発生した事例の報告があることなどから、伊方原子力発電所の敷地周辺で見られる地すべりの痕跡は降雨に伴う地すべりによるものであると考えられる。しかし、その多くは地形の開析状況等から形成時期が非常に古く、現在は安定しているこ とから、降雨に伴う地すべりによって伊方原子力発電所の敷地に影響を与えるような津波を生じる可能性は低い。また、敷地周辺では深層崩壊の報告事例も認められない。こうしたことなどから、伊予灘沿岸部の地すべりに伴う津波のリスクは小さいと考えられるものの、福島原発事故の経験を踏まえ、津波に対する備えに万全を期し、津波に対する安全余裕を十分に 確保する観点から、沿岸部の自然斜面で降雨に伴う地すべりが発生して岩屑流(地すべり土塊)が海 るものの、福島原発事故の経験を踏まえ、津波に対する備えに万全を期し、津波に対する安全余裕を十分に 確保する観点から、沿岸部の自然斜面で降雨に伴う地すべりが発生して岩屑流(地すべり土塊)が海面に突入することで生じる津波について影響を検討することとした。検討の対象とする地すべり地点の選定にあたっては、防災科学技術研究所の地すべり地形分布図に示された地すべり地形及び1万分の1空中写真を用いた独自の地形判読によって敷地付近の伊予灘 沿岸部に分布する地すべり地形を抽出し、地表踏査等によって地すべりの 別紙津波に関する再稼働申請の内容 認定、さらには地すべり範囲の確認を行い、縮尺5千分の1の地形図に整理した。認定した地すべり地について、その規模と敷地までの距離等を勘案し、立神岩、小島、海岬西、海岬及び亀浦の5地点において発生する地すべりに伴う津波を対象津波として選定した。 数値シミュレーションの結果、水位上昇は最大でT.P.+6.35m(= 4.73m+1.62m、評価地点:本件3号機敷地前面)であり、水位下降は最大でT.P.-3.36m(=-1.67m-1.69m、評価地点:本件3号機海水取水口)であった。 (以上、乙13(6-7-19~23頁、6-7-43頁))ウ火山現象に伴う津波の検討 伊方原子力発電所の敷地前面海域である伊予灘沿岸において将来の活動性を考慮する火山としては、伊予灘西方の別府湾沿いに位置する鶴見岳が存在する。別府湾沿岸では、鹿鳴越などの古い第四紀火山が過去に大規模な山体崩壊を発生させた痕跡が岩屑なだれ堆積物として残っている。また、歴史時代(文献等の記録が残っている時代)にも、1596年に発生した豊 後地震に伴って内陸の水口山北斜面で津江岩屑なだれが発生している を発生させた痕跡が岩屑なだれ堆積物として残っている。また、歴史時代(文献等の記録が残っている時代)にも、1596年に発生した豊 後地震に伴って内陸の水口山北斜面で津江岩屑なだれが発生している。この地震の際には沿岸の高崎山で崖崩れが発生したとされ、津波の二次的な要因となった可能性も指摘されている。 このようなことから、本件3号機への影響を考慮すべき津波として、別府湾沿岸の火山の山体崩壊に起因する津波を考慮することとし、中でも活 火山であり山体規模も突出して大きい鶴見岳(伽藍岳含む。)の山体崩壊に伴う津波を検討することとした。検討にあたっては、鶴見岳の地形、過去の崩壊規模等を考慮し、山体が大きく別府湾への崩壊物の流入量も大きい鶴見岳東麓の崩壊を想定することとし、①既往最大規模の山体崩壊(崩壊土砂の体積:2000万㎥)及び②仮想的に山頂を含む大規模な山体崩壊(同 5億4000万㎥)に起因する津波を対象津波として選定した。 別紙津波に関する再稼働申請の内容 数値シミュレーションの結果、最も厳しいケースとなったのは水位上昇側及び水位下降側のいずれも仮想的なケースである上記②であり、水位上昇は最大でT.P.+2.56m(=0.94m+1.62m、評価地点:本件3号機敷地前面)であり、水位下降は最大でT.P.-2.40m(=-0. 71m-1.69m、評価地点:本件3号機海水取水口)であった。 なお、津波の要因となる火山現象としては、山体崩壊以外にも、海底火山の噴火、火砕流等が考えられるが、伊方原子力発電所において活動を考慮すべき火山には海底火山は存在せず、また、これらの火山の火砕流堆積物の分布も内陸部に限定されることから、これらを要因とする津波の発生は想定されない。 (以上、乙13(6 において活動を考慮すべき火山には海底火山は存在せず、また、これらの火山の火砕流堆積物の分布も内陸部に限定されることから、これらを要因とする津波の発生は想定されない。 (以上、乙13(6-7-16~19頁、6-7-42頁))エ重畳津波の検討上記の津波発生要因は、相互の関連性が低いことから、基本的にはこれらの組み合わせを考慮する必要はないと考えられる(例えば、南海トラフの巨大地震に伴う津波と敷地前面海域の断層群による地震に伴う津波については、 これらの震源域が互いに遠く離れていることなどから関連性は低い。)。 しかしながら、敷地前面海域の断層群の地震によって上記で評価対象とした地すべりより小規模な地すべり又は斜面崩壊が発生する可能性は否定できないことなどから、津波に対する備えに万全を期し、さらなる安全性向上を図る観点から、敷地前面海域の断層群による地震に伴う津波と地すべりに伴 う津波(地震に伴う小規模な地すべり又は斜面崩壊はこれに包含される。)をあえて重畳させ、数値シミュレーションによる評価を行った。 数値シミュレーションの実施にあたっては、地震発生後、地すべりが発生するタイミングを調整するなどの不確かさを考慮し、十分に安全側の結果が得られるよう複数の検討ケースで評価を行った。数値シミュレーションの結 果、水位上昇は最大でT.P.+8.12m(評価地点:本件3号機敷地前面) 別紙津波に関する再稼働申請の内容 であり、水位下降は最大でT.P.-4.60m(評価地点:本件3号機海水取水口)であった。 (以上、乙13(6-7-23~6-7-25頁、6-7-44~6-7-45頁)、乙16(37~38頁))オ基準津波の策定 以上の数値シミュレーションによる評価を踏まえ、本 )であった。 (以上、乙13(6-7-23~6-7-25頁、6-7-44~6-7-45頁)、乙16(37~38頁))オ基準津波の策定 以上の数値シミュレーションによる評価を踏まえ、本件3号機に最も大きな影響を与える津波を基準津波として策定することとした(乙13(6-7-25~6-7-27頁、6-7-46~6-7-47頁、6-7-49頁))。 そして、施設からの反射波の影響が微小となるよう、敷地から沖合いへ約2. 5km 離れた水深約47mの地点を定義地点として選定し、以下の5波の基準津 波を策定した。 別紙津波に関する再稼働申請の内容 ( )内の数値は朔望平均満潮位(T.P.+1.62m)又は朔望平均干潮位(T.P.-1.69m)を考慮した値基準津波定義地点における時刻歴水位(基準津波1) (基準津波2) (基準津波3) (基準津波4) (基準津波5) 1.17m(T.P.+2.79m)1.88m(T.P.+3.50m)1.14m(T.P.+2.76m)-1.18m(T.P.-2.87m)1.17m(T.P.+2.79m) 別紙津波に関する再稼働申請の内容 2 基準津波による影響の評価被告は、基準津波による水位変動について、最も大きな水位上昇時においても伊方原子力発電所の敷地高さを十分に下回っていること、最も大きな水位低下時においても本件3号機の海水ポンプの取水可能な最低水位を上回っていること(海水の取水が維持できること)など、基準津波が本件3号機の安全性に影響を 及ぼすものではないことを確認したとした。 ⑴ 津波による 本件3号機の海水ポンプの取水可能な最低水位を上回っていること(海水の取水が維持できること)など、基準津波が本件3号機の安全性に影響を 及ぼすものではないことを確認したとした。 ⑴ 津波による水位上昇に対する安全性伊方原子力発電所の安全上重要な設備を内包する建屋を設置する敷地の高さT.P.+10mに対し、津波による最高水位は朔望平均満潮位を考慮してもT.P.+8.12mである。敷地高さは、地殻変動による沈降量(約0.3~ 0.4m)及び高潮等のさらなる潮位の不確かさ(約0.5m)を考慮しても、津波による最高水位を上回っていることから、津波による溯上波が地上部から敷地に到達及び流入することはない。また、取水路、放水路等の経路についても、必要に応じて浸水対策を講じており、地上部以外から津波が流入することもない。(乙13(8-1-189~8-1-194頁、8-1-196~8- 1-197頁)、乙16(44~45頁))さらに、被告は、安全上重要な機器を内包する建屋及び区画(原子炉格納容器、原子炉建屋、原子炉補助建屋、海水ポンプエリア等)を浸水防護重点化範囲として設定し、上記の福島第一原子力発電所事故を踏まえた浸水対策などにより、当該範囲を津波の影響等から隔離している。すなわち、浸水防護重点化 範囲の境界において、津波による浸水の可能性のある経路及び浸入口を特定し、扉を水密扉とするほか、貫通部の隙間部に仕切板を取り付けるなどの浸水対策をT.P.+14.2mまで講じており、万が一、敷地に津波が浸入する事態が生じたとしても、安全性に影響がないようにしている。(乙13(8-1-197~8-1-201頁)、乙16(45~49頁)) 別紙津波に関する再稼働申請の内容 ⑵ 津波による水位低下に対 性に影響がないようにしている。(乙13(8-1-197~8-1-201頁)、乙16(45~49頁)) 別紙津波に関する再稼働申請の内容 ⑵ 津波による水位低下に対する安全性海水の取水が維持できることについては、海水ポンプの吸込口が位置する海水ピットポンプ室の水位で判断する。本件3号機の海水ピットポンプ室の水位低下の最も厳しいケースは、朔望平均干潮位を考慮してもT.P.-3.26mであり、地殻変動による隆起量(約0.3m)及びさらなる潮位の不確かさ(約 0.2m)を考慮した場合でも海水ポンプの取水機能を保持するために必要な最低水位T.P.-4.10mを上回っており、海水ポンプの取水機能を維持することができる。 ちなみに、被告は、本件3号機の海水ピットポンプ室における取水機能を確保するための対策として、海水ピット内に開閉式のゲート(フラップゲート) を有する海水ピット堰を設置し、基準津波により海水ピットポンプ室の水位が最も低下する時間においても海水ポンプの継続運転が可能となるよう対策を講じている(上記の水位は、この海水ピット堰を考慮に入れた上で算定した数値である。)。海水ピット堰のフラップゲートは、堰内外の水圧差で作動する設計としており、通常運転時及び押し津波到来時には「開」となっているが、引 き津波に転じて潮位(海水ピット堰外の水位)が海水ピット堰内の水位より低下すると「閉」となる。これにより海水ポンプの取水に必要な海水ピット堰内の水位を維持することができる。(以上、乙13(8-1-201~8-1-203頁)、乙16(49~50頁)、乙62(8頁)) 以上 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 1~8-1-203頁)、乙16(49~50頁)、乙62(8頁)) 以上 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 第1 伊方原子力発電所に影響を及ぼし得る火山被告は、伊方原子力発電所の地理的領域内における第四紀火山のうち、伊方原子力発電所の運用期間中に伊方原子力発電所に影響を及ぼし得る火山(火山ガイ ド1.4⑸により半径160kmの範囲の火山)として鶴見岳、由布岳、九重山、阿蘇及び阿武火山群を抽出した。このうち、設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性の評価(立地評価)を行う対象となる火山としては、後述するとおり、阿蘇の既往最大の噴火である約9万年前の阿蘇4噴火後における既往最大の阿蘇の噴火(草千里ヶ浜軽石の噴火)とした。また、 抽出した火山について、原子力発電所の安全性に影響を与える火山事象についての影響評価(本件で論点となっているのは降下火砕物に関するものであるため、以下では、これに限定して言及する。)を行い、降下火砕物による直接的影響に対しても間接的影響に対しても、安全機能を損なわない設計とした。 (乙13(6-8-4~6-8-16頁、8-1-344~8-1-358頁)) 第2 立地評価火山ガイドでは、原子力発電所に影響を及ぼし得る地域的領域内の火山についての設計対応不可能な火山事象が原子力発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分小さいか否かを評価し、十分小さいと言えないときには立地不適切となる(立地評価)。被告は、以下の理由により、伊方原子力発電所の運用期間中に 地域的領域内である阿蘇で巨大噴火が起きる可能性は十分小さいと判断できるとした。 1 活動履歴に基づく検討阿蘇で る(立地評価)。被告は、以下の理由により、伊方原子力発電所の運用期間中に 地域的領域内である阿蘇で巨大噴火が起きる可能性は十分小さいと判断できるとした。 1 活動履歴に基づく検討阿蘇では、約27万年前に阿蘇1噴火が、約14万年前に阿蘇2噴火が、約12万年前に阿蘇3噴火が、約9万年前に阿蘇4噴火があり、いずれも巨大噴火と されている。現在の阿蘇カルデラ内には、阿蘇4噴火直後に活動を開始した火山 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 の複合体である中央火山丘群(阿蘇山)がほぼ東西に配列している。阿蘇の活動履歴について、阿蘇1噴火以前を先カルデラ期、阿蘇1噴火から阿蘇4噴火までの期間をカルデラ形成期、カルデラ形成期後現在に至るまでの期間を後カルデラ期と称する。 そして、阿蘇の活動履歴を検討したところ、以下の理由により、現在の阿蘇は、 巨大噴火が起こるような状態ではないと考えられる。 すなわち、巨大噴火では、一般的に巨大な珪長質マグマ溜まりが想定されるが、後カルデラ期の噴出物からの検討によれば、そのような巨大な珪長質マグマ溜まりは想定されない。具体的には、阿蘇カルデラ内の玄武岩マグマの噴出物と珪長質マグマの噴出物の分布関係から後カルデラ期には巨大な珪長質マグマ溜まり が存在しないと考えられること、1万年前以降の玄武岩質の噴火の卓越から珪長質マグマの生産率は減少して大規模な珪長質マグマの蓄積がないと考えられること、噴出物の岩質の多様性等から後カルデラ期には複数の独立した小規模マグマ溜まりが形成されたと考えられることから、後カルデラ期には巨大な珪長質マグマ溜まりは存在しないと考えられる。また、マグマの成因の違いの指標となる ストロンチウム同位体比の特徴や噴出物に含まれる微量元素の特徴の違いか えられることから、後カルデラ期には巨大な珪長質マグマ溜まりは存在しないと考えられる。また、マグマの成因の違いの指標となる ストロンチウム同位体比の特徴や噴出物に含まれる微量元素の特徴の違いからは、マグマの生成の状況はカルデラ形成期以前と後カルデラ期で異なると考えられる。 また、後カルデラ期の噴火の態様からの検討によれば、カルデラ形成期は大規模な噴火が繰り返し発生していたのに対し、後カルデラ期の噴火活動は、カルデ ラ形成期と比較して、噴火の規模が明らかに小さくなっており、カルデラ形成期と後カルデラ期では阿蘇の活動性が異なっていると考えられる。また、後カルデラ期は、珪長質な噴火が減少傾向で、カルデラ形成期にあった相当程度大規模なプリニー式噴火が多発するような状態への移行とは逆の傾向にあり、まして巨大噴火の発生が示唆されるような傾向もない。 そして、巨大噴火の前兆現象に関して研究した知見があるところ、現在の阿蘇 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 においてそのような前兆現象は認められず、阿蘇では巨大噴火の発生が示唆されるような状況にはない。 (乙209、乙211~乙213、乙220、乙227、乙231、乙243、乙246、乙247、乙249~乙258) 2 地球物理学的調査による検討 阿蘇では、これまでに各種機関によって、阿蘇の地下構造について地球物理学的調査が行われている。被告は、同調査の結果、巨大噴火を発生させるマグマ溜まりは、珪長質かつ巨大で地下浅部に達している可能性が高いと考えられるところ、阿蘇の地下浅部には、地下約6kmのマグマ溜まりが確認されているものの、このマグマ溜まりは中岳の活動に関連する玄武岩質であると考えられること、同 マグマ溜まりは、規模の点でも広がりが制限 ろ、阿蘇の地下浅部には、地下約6kmのマグマ溜まりが確認されているものの、このマグマ溜まりは中岳の活動に関連する玄武岩質であると考えられること、同 マグマ溜まりは、規模の点でも広がりが制限されていること、かつ縮小傾向にあることから、巨大噴火を起こすとは考え難いことから、「各種の地球物理学的調査から明らかにされている阿蘇の地下構造からは、現在の阿蘇には、巨大噴火を起こすようなマグマ溜まりが存在しない」とした。 また、マグマの蓄積状況・増減について、測地学的研究によって得られた阿蘇 カルデラ内の地殻変動データと地下構造等に関する知見等から総合的に検討した結果からも、現在の阿蘇は巨大噴火が起こるような状態ではないと考えられること、巨大噴火では、火山活動に伴う地殻の変動について、巨大なマグマ溜まりの形成を伴うマグマの蓄積及びマグマ溜まりの拡大に従って、地表に大きな変形があるとされているが、阿蘇では、このような継続的かつ広域的な地盤の隆起は 認められず、逆に阿蘇カルデラ全体の地盤が継続的に火山性と考えられる沈降を示していることからしても、現在の阿蘇は、巨大噴火に向けたマグマ溜まりの拡大が認められるような状態ではないと考えられる。 (乙208、乙217、乙218、乙220、乙221、乙232、乙250、乙259~乙261、乙263~乙269、乙273) 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 3 堆積物からの検討被告は、調査の結果、阿蘇1噴火~阿蘇4噴火による火砕流による堆積物は九州にとどまっており、伊方原子力発電所の敷地に到達していないと評価した(乙13(6-8-8~乙6―8―10頁)、乙276、乙278~乙280)。 4 伊方原子力発電所の運用期間中に考慮すべき阿蘇の噴火規模について 伊方原子力発電所の敷地に到達していないと評価した(乙13(6-8-8~乙6―8―10頁)、乙276、乙278~乙280)。 4 伊方原子力発電所の運用期間中に考慮すべき阿蘇の噴火規模について 被告は、伊方原子力発電所の運用期間中に考慮する噴火は、後カルデラ期に基づくことが妥当であり、同期の既往最大の噴火である約3万年前の草千里ヶ浜軽石の噴火を考慮するのが保守的であると考えられるとした。 そして、草千里ヶ浜軽石の噴火を含めた後カルデラ期の火砕流堆積物はいずれも阿蘇カルデラ内に留まることから、伊方原子力発電所の運用期間中において、 伊方原子力発電所の敷地に、阿蘇の噴火を原因として設計対応不可能な火山事象が到達して影響を及ぶ可能性は十分に小さいと評価し、伊方原子力発電所の敷地が立地不適となることはないとした。 (乙13(6-8-4頁~6-8-12頁)) 5 被告は、以上のような検討を総合的に評価すれば、伊方原子力発電所の地域的 領域内で運用期間中に巨大噴火が起きる可能性は十分に小さいとした(乙13(6-8-1~6-8-12頁)、乙226、乙232、乙255、乙274)。 第3 影響評価火山ガイドでは、原子力発電所に影響を及ぼし得る火山が抽出されなかったとしても、当該原子力発電所又はその周辺で観測された降火砕物の最大積載量を踏 まえて、降火砕物の影響を評価することとしている(火山ガイド3及び6。影響評価)。被告は、伊方原子力発電所の安全性に影響を及ぼす可能性のある火山事象を抽出し、伊方原子力発電所の運用期間中に同発電所の安全性に与える影響の有無について個別に評価した結果、同発電所に影響を及ぼす可能性のある火山事象は降下火砕物のみであることを確認し、降下火砕物については、後述のとおり、 伊方原子力 同発電所の安全性に与える影響の有無について個別に評価した結果、同発電所に影響を及ぼす可能性のある火山事象は降下火砕物のみであることを確認し、降下火砕物については、後述のとおり、 伊方原子力発電所の運用期間中に伊方原子力発電所の敷地に最も大きな影響を 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 及ぼすと考えられる九重山の噴火を想定することとし、地質調査及びシミュレーションの結果を総合して保守的に検討し、考慮すべき降下火砕物の堆積厚さを15cmと評価した。また、火山ガイドでは、広範囲に及ぶ降下火砕物により、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限市場が発生しうることも考慮する必要があるとされていること(火山ガイド6. 1降下火砕物(1)⒝参照)から、この安全確保対策上の観点の検討も行った。 1 被告による降下火砕物の層厚の評価について伊方原子力発電所の地理的領域内に存在する同発電所の運用期間中の活動可能性を考慮すべき5つの火山のうち、阿蘇において本件3号機の運用期間中に考慮する噴火は、後カルデラ期における既往最大の草千里ヶ浜軽石の噴火と同規模 の噴火であるが、草千里ヶ浜軽石の噴火の火山灰堆積物は、九州内陸部に限られ伊方原子力発電所の敷地周辺では認められない。また、残る4つの火山のうち、九重山を除く3つの火山についても、それぞれの火山の伊方原子力発電所の運用期間中に考慮する噴火規模の噴火の火山灰堆積物は、伊方原子力発電所の位置する四国で確認されていない。残る九重山について、伊方原子力発電所の運用期間 中において考慮する噴火である約5万年前の噴火の火山灰堆積物は、伊方原子力発電所の敷地周辺ではほぼ0cmであるものの、四国南西端の高知県宿毛市で堆積物が確認されている。九 力発電所の運用期間 中において考慮する噴火である約5万年前の噴火の火山灰堆積物は、伊方原子力発電所の敷地周辺ではほぼ0cmであるものの、四国南西端の高知県宿毛市で堆積物が確認されている。九重山の約5万年前の噴火の規模は阿蘇において考慮する噴火規模の草千里ヶ浜軽石の噴火の規模よりも大きく、位置関係も阿蘇よりも九重山の方が伊方原子力発電所の敷地に近いので、阿蘇において伊方原子力発電 所の運用期間中に考慮する噴火よりも、九重山において同期間に考慮する噴火の方が伊方原子力発電所に及ぼす影響が大きい。 また、伊方原子力発電所の160km圏外には、南九州にカルデラ火山(①阿多カルデラ、②加久藤・小林カルデラ、③姶良カルデラ及び④鬼界カルデラ)があるものの、いずれも巨大噴火が差し迫った状態ではなく、かつ、伊方原子力発 電所の運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 根拠があるとはいえない。(乙232、乙254、乙262、乙283)。 そこで、九重山の約5万年前の噴火による火山灰について、現在の気象条件を考慮した伊方原子力発電所の敷地における降下火山灰シミュレーションを検討したところ、火山灰体積(噴出量)について、算定根拠等がはっきり示されていない知見ではあるものの、zほか(2007)に基づく火山灰体積より大きな火 山灰体積(6.2㎦)を提唱する知見(u・v(2014))を採用し、風向きにつき、本来は風が安定して吹き難い九重山から伊方原子力発電所の方角(北東~東北東方向)に、降灰中、連続して吹き続けるという条件設定に基づいてシミュレーションを行ったところ、伊方原子力発電所の敷地における降下火砕物の層厚は最大で14cmとなったため、被告は、保守性 北東~東北東方向)に、降灰中、連続して吹き続けるという条件設定に基づいてシミュレーションを行ったところ、伊方原子力発電所の敷地における降下火砕物の層厚は最大で14cmとなったため、被告は、保守性を加味して、伊方原子力発電 所の設計において考慮する降下火砕物の層厚として15cmを設定した。(乙13(6-8-13~6-8-16頁))なお、被告は、火山灰データを活用して、伊方原子力発電所における降下火山灰の層厚について確率論的評価を行ったところ、厚さがcmオーダーとなる火山灰の降下頻度は、巨大噴火を含めても、1万年に1回程度と低頻度であり、15 cmを超える降灰は35万年評価で年超過確率1.7~2.5×10-5と非常に低いことが判明した(乙13(6-8-16~6-8-17頁、6-8-30頁、乙255、乙258、乙285)。 以上から、九重山における約5万年前の噴火の規模に基づく被告の伊方原子力発電所における降下火砕物の層厚の評価は合理的かつ保守的なものである。 2 降下火砕物に対する安全確保対策⑴ 直接的影響についてア直接的影響に対する設計について被告は、本件3号機の施設について、降下火砕物が堆積し難い構造とするとともに、降下火砕物の荷重に対して十分な余裕を持たせた許容荷重を設定 するなどして、降下火砕物の荷重により本件3号機の健全性が損なわれない 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 設計とした(乙13(8-1-349~8-1-350頁))。 次に、降下火砕物の荷重以外の直接的影響として、降下火砕物による構造物への化学的影響(腐食)、水循環系の閉塞、内部における摩耗及び化学的影響(腐食)、電気系及び計装制御系に対する機械的影響(閉塞)等を考慮し、それらの影響によって本件3号 して、降下火砕物による構造物への化学的影響(腐食)、水循環系の閉塞、内部における摩耗及び化学的影響(腐食)、電気系及び計装制御系に対する機械的影響(閉塞)等を考慮し、それらの影響によって本件3号機の安全機能が損なわれない設計とした。 外気吸入口からの降下火砕物の侵入への対策としては、降下火砕物を含む空気の流路となる施設を抽出し、それらの施設について、開口部を下向きに設置するなどして降下火砕物が流路に侵入し難い設計とするとともに、外気を取り入れる換気空調設備やディーゼル発電機(吸気消音器)にそれぞれフィルタを設置し、さらに降下火砕物がフィルタに付着した場合でも取替又は清 掃が可能な構造とすることで、降下火砕物により閉塞しない設計としたとする。また、ディーゼル発電機関は、フィルタを通過した小さな粒径の降下火砕物が侵入した場合でも閉塞しない設計とするとともに、降下火砕物による摩耗により機能を失わない設計とした。(乙13(8-1-350~8-1-356頁)) イ降下火砕物の大気中濃度に係る安全確保対策について平成29年11月29日付けで火山ガイドのうち、降下火砕物の大気中濃度に関する改正がされた(乙216)。具体的には、火山ガイド6.1⑶⒜③(外気取入口からの火山灰の侵入による、換気空調系統のフィルタの目詰まり、非常用ディーゼル発電機の損傷等による系統・機器の機能喪失等の防 止)の解説17において、従前は類似火山の事象やシミュレーションに基づいて評価することとされていたところ、新たに添付された「気中降下火砕物の濃度の推定方法について」の手法による気中降下火砕物濃度も踏まえて評価することとされた。被告は、再稼働申請時には当時の火山ガイド記載の手法に基づき降下火災物の大気中濃度を測定したが、上記改正を踏まえ、改正 推定方法について」の手法による気中降下火砕物濃度も踏まえて評価することとされた。被告は、再稼働申請時には当時の火山ガイド記載の手法に基づき降下火災物の大気中濃度を測定したが、上記改正を踏まえ、改正 後の上記手法に基づき、伊方原子力発電所の敷地で想定する15cmに対応 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 する気中降下火砕物濃度(大気中濃度)を3.1g/㎥と算出し(乙290(4頁))、この3.1g/㎥の降下火砕物の濃度に対して非常用ディーゼル発電機2系統を同時に機能維持できるよう、非常用ディーゼル発電機の吸気口に着脱する火山灰フィルタを設置するなどの対策をすることとした。 大気中濃度の設定 a 気中降下火砕物濃度の算定手法について火山ガイドは、「降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法」と「数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法」のうちのいずれかによることとしているところ(乙431(29頁))、被告は、本件3号機の設置変更許可の段 階で既に降灰量を設定しており、「降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法」の方が堆積層厚の想定と一貫性のある評価となることや「数値シミュレーションにより気中降下火砕物濃度を推定する手法」は数値シミュレーションで使用する噴煙高さの設定や噴出率の時間変化等に課題を残していることを勘案し、 「降灰継続時間を仮定して降灰量から気中降下火砕物濃度を推定する手法」を採用して原子力規制委員会の認可を受けている(乙432(別紙3)、乙431)。そこで、以下では、当該手法による算定の詳細について述べる。 ⅰ まず、前提条件として、伊方原子力発電所においては、層厚15 ㎝の降下火砕物の堆 受けている(乙432(別紙3)、乙431)。そこで、以下では、当該手法による算定の詳細について述べる。 ⅰ まず、前提条件として、伊方原子力発電所においては、層厚15 ㎝の降下火砕物の堆積(総降灰量としては150,000g/㎡の堆積)を想定しているところ、算定にあたっては、火山ガイド(乙431(30頁))に従って、その全量が24時間のうちに降下してくると仮定する。 次に、被告は、降下火砕物の堆積層厚を数値シミュレーションを 踏まえて設定しているため、火山ガイド(乙431(30頁))に 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 従って、数値シミュレーションの際の粒径分布(Tephra2による粒径分布)を用い、降下火砕物の粒径ごとに当該粒径の粒子が降下火砕物全体の中に占める割合(%)を設定する。そして、総降灰量に当該割合を乗じることで粒径ごとの降下火砕物の降灰量(g/㎡)を算出する。 ここで、降灰量(g/㎡)は、どの程度の密度(気中濃度)の降下火砕物が、どの程度の降下速度(終端速度)で、どの程度の時間降下し続けるか(堆積時間)で決まるものであるため、以下の算定式で表すことができる(乙434(15頁))。 降灰量(g/㎡) =気中濃度(g/㎥)×終端速度(m/秒)×堆積時間上式を変形すると、以下のとおり、気中濃度を求める算定式を導くことができる。 気中濃度(g/㎥)=降灰量(g/㎡)÷堆積時間÷終端速度(m/秒) なお、「降灰量(g/㎡)÷堆積時間」は降下火砕物の堆積速度(g/秒・㎡)を意味するため、より簡潔に気中濃度を求める算定式を示せば、以下のようになる。 気中濃度(g/㎥)=堆積速度(g/秒・㎡)÷終端速度(m/秒) 以上から、粒径ごとの堆積速度(g 秒・㎡)を意味するため、より簡潔に気中濃度を求める算定式を示せば、以下のようになる。 気中濃度(g/㎥)=堆積速度(g/秒・㎡)÷終端速度(m/秒) 以上から、粒径ごとの堆積速度(g/秒・㎡)と粒径ごとの終端速度(m/秒)が分かれば、粒径ごとの気中濃度(g/㎥)を算定することができるところ、まず、堆積速度(g/秒・㎡)は、上記のとおり、降下火砕物の全量が24時間で降下するものと仮定するため、粒径ごとの降灰量を24時間(86,400秒)で除するこ とにより求まる。次に、降下火砕物の粒径ごとの終端速度(m/秒) 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 は降下火砕物の粒径と終端速度との関係を整理した知見(w(1983) )から求まる。したがって、粒径ごとの気中濃度(g/㎥)を算定することができる。 そして最後に、上記で算定した粒径ごとの気中濃度を全て合計すると、3.1g/㎥の気中降下火砕物濃度が求まる。 ⅱ 以上の気中降下火砕物濃度の算定手法は、本来は、粒径の小さな降下火砕物は降下速度が非常に小さいため地表に降下してくるまでに相当な時間を要すると考えられ、24時間以内には降下できないものもあるところ、あえて降下火砕物の粒径の大小に関わらず24時間のうちに同時に降灰すると仮定している点で保守的な算定 方法となっている。また、粒径の小さな降下火砕物は降下する過程で凝集するところ、凝集することで粒径が大きくなった降下火砕物は終端速度が大きくなるため、上記の算定式からすれば終端速度が大きい方が気中降下火砕物濃度は小さくなるにもかかわらず、あえて凝集を考慮していない点でも保守的な算定方法となっている。 (乙435(94~96頁))気中降下火砕物濃度を踏まえた安全確保対策について 下火砕物濃度は小さくなるにもかかわらず、あえて凝集を考慮していない点でも保守的な算定方法となっている。 (乙435(94~96頁))気中降下火砕物濃度を踏まえた安全確保対策について被告は、火山灰フィルタを用いて、気中降下火砕物濃度として想定される数g/㎥オーダーの降下火砕物の濃度に対しても、非常用ディーゼル発電機2系統を同時に機能維持できることを確認した上で、一層の安 全を確保する観点から、さらなる対策として、仮に非常用ディーゼル発電機が機能を喪失して全交流電源喪失に至った場合であっても、長期間にわたって原子炉の冷却を継続し、本件3号機の安全を確保することができることを確認した。 a 火山灰フィルタによる安全性の確保について ⒜ 火山灰フィルタの仕組みについて 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 被告は、平成29年12月に、本件3号機の非常用ディーゼル発電機の吸気口に着脱可能な火山灰フィルタの設置工事を完了している。 火山灰フィルタは、筐体の中にカートリッジ式フィルタの挿入機構を持つものであり、降下火砕物の影響が予想される場合には、筐 体ごと非常用ディーゼル発電機の吸気消音器に接続する構造である。 この火山灰フィルタは、通常時は、非常用ディーゼル発電機の吸気消音器の周囲の架台(作業足場)上に置き、使用時は、架台上を人力で移動させて非常用ディーゼル発電機の吸気消音器に接続する。持ち運びし易い分割構造にするとともに、大きい筐体部材には取付用 のガイドレールを設置することから、火山灰フィルタは容易に移動させることが可能である。架台は、グレーチング(鋼材を格子状に組んだ溝蓋)であることから、架台を通して吸気することができる。 また、火山灰フィルタに装着されるカート から、火山灰フィルタは容易に移動させることが可能である。架台は、グレーチング(鋼材を格子状に組んだ溝蓋)であることから、架台を通して吸気することができる。 また、火山灰フィルタに装着されるカートリッジ式フィルタは、ボルト等で固定されておらず、そのまま筐体から横方向に引き抜く、 あるいは筐体に挿入することで容易に取外し、取付けができる。このため、フィルタの取外し、取付けに要する時間はわずかである。 そして、カートリッジ式フィルタは、14枚に分割されて火山灰フィルタに装着され、カートリッジ式フィルタの交換時には塞ぎ板を吸気消音器側に挿入することで降下火砕物の流入を防止できるた め、非常用ディーゼル発電機の運転を継続しながら確実に、順次、交換を行うことができる。このようにカートリッジ式フィルタを順次交換することによって、個々のカートリッジ式フィルタが閉塞するまでに時間差が生まれるので、カートリッジ式フィルタの交換中に、仮に一部のカートリッジ式フィルタが閉塞するような高い降下火砕 物の大気中濃度となったとしても、全てのカートリッジ式フィルタ 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 が同時に閉塞することはなく、閉塞していない残りのカートリッジ式フィルタで流量を確保できる限り、非常用ディーゼル発電機の運転を継続できる。 火山灰フィルタは、3.1g/㎥の降下火砕物の濃度に対して、仮にフィルタを全く交換しなくても、カートリッジ式フィルタの交換、 清掃に要する時間(1時間)は閉塞しない(必要な流量を確保できる)よう設計したものであるが、その後より高性能なフィルタを採用した改良型フィルタに変更を進めており、さらに閉塞しにくくなっている。 ちなみに、火山灰フィルタは、下向きから吸気する構造となって よう設計したものであるが、その後より高性能なフィルタを採用した改良型フィルタに変更を進めており、さらに閉塞しにくくなっている。 ちなみに、火山灰フィルタは、下向きから吸気する構造となって いるため、フィルタ上部を覆う傘部分によって降下火砕物が傘部分下側に回り込んでフィルタに到達することが抑制されて降下火砕物の吸込み量が低減されると考えられるが、上記の閉塞時間はこの効果を考慮していない。 以上のとおり、非常用ディーゼル発電機は、火山灰フィルタを装 着することによって、気中降下火砕物濃度として想定されるような数g/㎥オーダーで、下向きから吸気する効果を考慮せず降下火砕物が全量フィルタに捕集されると仮定したとしても、非常用ディーゼル発電機の機能を十分維持できる。 (乙290、乙292) ⒝ さらなる安全性向上のための対策について被告は、火山灰フィルタを設置して、気中降下火砕物濃度として想定される高い濃度に対しても対応できるよう対策を行ったところであるが、火山灰フィルタの設置後、火山灰フィルタに挿入して使用するカートリッジ式フィルタについて、さらに高性能なフィルタが開発 されたことから、被告は、この高性能フィルタを採用する改良型のカ 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 ートリッジ式フィルタを採用して安全性を向上させている。 改良型のカートリッジ式フィルタに採用されている高性能フィルタは、フィルタの形状を従来の平面型からひだ形状(プリーツ形状)に変更してフィルタの有効面積を増大させるとともに、フィルタの網目の大きさ(目合い)を小さくして捕集能力を向上させている。 具体的には、改良型のカートリッジ式フィルタが採用する高性能フィルタについて、本件3号機で設定した層厚15㎝の降下火 、フィルタの網目の大きさ(目合い)を小さくして捕集能力を向上させている。 具体的には、改良型のカートリッジ式フィルタが採用する高性能フィルタについて、本件3号機で設定した層厚15㎝の降下火砕物が降灰開始後24時間で堆積した状態に対応する大気中濃度3.1g/㎥、粒径分布に調整した火山灰を、本件3号機の非常用ディーゼル発電機の吸気流量で直接フィルタに吹き付け性能把握する試験を行った結 果、フィルタが閉塞するまでの時間は3時間以上に向上していること(従前のカートリッジ式フィルタでは、1時間以上)、捕集率について、設定した堆積厚さ15㎝に対応する粒径分布(粒径120μmを含む。)の火山灰に対して99.9%に向上していること(従前のカートリッジ式フィルタでは、粒径120μm以上の降下火砕物に対し て90%)を確認している。 一方、カートリッジ式フィルタの交換、清掃作業の内容は、カートリッジ式フィルタを変更したことによっても基本的に変わるものではないので、カートリッジ式フィルタの交換、清掃に要する時間は、前記で述べたとおり、1班での作業で1時間程度であり、より余裕 をもって対応することが可能となっている。 (乙292、乙293)⑵ 間接的影響に対する設計について火山ガイドは、降下火砕物の影響により、広範囲な送電網の損傷による長期の外部電源喪失や原子力発電所へのアクセス制限事象についても考慮するよ う指示するところ、被告は、以下の対策を講じている。 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 ア降下火砕物による間接的影響としては、降下火砕物が送電設備の絶縁低下を生じさせることによって広範囲にわたって送電網が損傷し、伊方原子力発電所に接続している外部電源が失われる可能性が考えら ア降下火砕物による間接的影響としては、降下火砕物が送電設備の絶縁低下を生じさせることによって広範囲にわたって送電網が損傷し、伊方原子力発電所に接続している外部電源が失われる可能性が考えられるが、被告は、仮に外部電源が失われたとしても非常用ディーゼル発電機により原子炉停止後の原子炉及び使用済燃料ピットの冷却等を行うための電源供給を継続す ることで、安全性が損なわれない設計としている(乙13(8-1-344~8-1-358頁))。加えて、被告は、福島原発事故の教訓を踏まえてさらなる電源の多様化を図るため、空冷式非常用発電装置(乙13(8-10-16~8-10-17頁))を設置するとともに、本件1号機、本件2号機及び本件3号機をそれぞれケーブルで接続して相互に電力を融通できるよ うにする(乙15(110頁))などして電源供給の信頼性向上に努めている。 そもそも、一般に、高圧の送電線は、低圧の配電線と比較して、碍子が火山灰の付着しにくい構造となっているために火山灰の影響を受け難く(乙295(11頁))、また、変電施設等の除灰を適切に行うなどして停電の予 防措置を講じることが可能であることから、現実的には、降下火砕物の影響によって、容易に本件3号機に接続している計6回線の外部電源全てが失われるものではない。実際、過去に九州地方で発生した主な火山噴火に伴う降灰の送配電施設への影響を見ても、170kV以上の送変電設備において、供給支障や設備被害は生じておらず(乙296)、また、セントヘレンズ山 の1980年の噴火において、降灰被害を受けたエレンズバーグ(降灰量約6㎜)、リッツビル(降灰量約76㎜)等の地域を見ても、送配電設備に大きな被害はなかった(乙297)。 イ非常用ディーゼル発電機が機能喪失したとしても て、降灰被害を受けたエレンズバーグ(降灰量約6㎜)、リッツビル(降灰量約76㎜)等の地域を見ても、送配電設備に大きな被害はなかった(乙297)。 イ非常用ディーゼル発電機が機能喪失したとしても原子炉の冷却が可能であることについて 被告は、非常用ディーゼル発電機の機能維持に万全を期しているところで 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 はあるが、一方で、一層の安全を確保する観点から、さらなる対策として、仮に降下火砕物の影響によって非常用ディーゼル発電機が機能を喪失して全交流電源喪失に至った場合であっても、長期間にわたって原子炉の冷却を継続し、本件3号機の安全を確保することができることを確認している。 具体的には、本件3号機には、電力供給を必要としない原子炉の冷却手段 として、蒸気発生器で発生する蒸気で稼働するタービン動補助給水ポンプを用いた冷却方法があるところ、タービン動補助給水ポンプを稼働させるためには、水源からタービン動補助給水ポンプに給水を行う必要があるが、本件3号機においては、動力源がなくともタービン動補助給水ポンプに給水が可能な水源(電動あるいは内燃機関等の動力の介在を必要とせず、高低差を利 用した水流によって給水が可能な水源)によって約17.1日間にわたって原子炉の冷却が可能であり、給水に動力源が必要な水源も含めれば約20. 2日間にわたって原子炉の冷却が可能であることを確認している。加えて、本件3号機の水源のみならず本件1・2号機に係る水源を活用すれば、動力源がなくとも給水が可能な水源を用いて合計約24.4日にわたって、給水 に動力源が必要な水源も含めて用いれば合計約65.5日間にわたって本件3号機の原子炉を冷却し、安全を確保することができることを確認している。 (乙2 源を用いて合計約24.4日にわたって、給水 に動力源が必要な水源も含めて用いれば合計約65.5日間にわたって本件3号機の原子炉を冷却し、安全を確保することができることを確認している。 (乙294(18頁))また、冷却に用いる水源のうち、本件3号機の補助給水タンク及び2次系純水タンクは、恒設のラインでタービン動補助給水ポンプと接続されている ため、ホースの接続等の作業は不要であるところ、水源を本件3号機の補助給水タンク及び2次系純水タンクに限ってみても約6.5日間にわたって冷却が可能である。ちなみに、上記の対策で用いるタービン動補助給水ポンプは原子炉建屋内に設置しているため、降下火砕物の影響を受けない。加えて、被告は、代替電源設備その他の炉心を冷却するために必要な設備の機能を維 持するための対策に関し、外部電源及び非常用ディーゼル発電機が機能喪失 別紙火山噴火に関する再稼働申請等の内容 し、並びに上記のタービン動補助給水ポンプが機能喪失した場合でも炉心を冷却するために、予め降灰開始前までに建屋内に搬入、配置したポンプ車等による蒸気発生器への注水による炉心冷却手段を確保したが、この対策については、噴火後、伊方原子力発電所の敷地で降灰が開始するまでには十分に時間があるので、降灰開始前までにポンプ車等の必要な可搬型設備の建屋内 への搬入、ホース等の接続を終えることができる上、降灰中は、建屋内での運転、作業となることから、降下火砕物の大気中濃度の影響をほとんど受けずに炉心の冷却が可能な対策である。これらの対策に係る体制の整備については、被告は保安規定の変更認可申請を行い、対策の内容や手順が一部改正後の実用炉規則等に適合していることについて、平成30年12月17日に 原子力規制委員会の確認を受け に係る体制の整備については、被告は保安規定の変更認可申請を行い、対策の内容や手順が一部改正後の実用炉規則等に適合していることについて、平成30年12月17日に 原子力規制委員会の確認を受けている(乙430、乙436)。 したがって、本件3号機においては、万が一、降下火砕物の大気中濃度が高い環境下において全交流電源を喪失するような事態が発生したとしても、放射性物質が環境に大量に放出されるような事態に至る具体的危険性はない。 以上 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 原子力発電所において、安全上重要な施設を支持する地盤が、十分な強度を有していなかったり、地震動の影響などで大きく変形(地盤の撓み、傾斜等)したり、変位(地盤のずれ)が生じたりすれば、建屋及びその内部の機器等が損傷し、 安全上重要な設備の機能が失われる可能性がある。このため、原子力発電所の建設にあたっては、敷地及びその周辺地域の地形、地質等について詳細な調査を行い、当該立地地点の地盤に係る安全性を確保しておく必要がある。 被告は、伊方原子力発電所の建設時に、地形、地質等に関する極めて詳細な調査を行い、その地質、地質構造を明らかにするとともに、各種試験等によって、 地盤を構成する岩盤の物理的・工学的性質を十分に把握した。具体的には、伊方原子力発電所の敷地において、地表地質調査、地表弾性波探査 、ボーリング調査、試掘抗調査 、掘削面観察、深部ボーリング調査等を実施している。地表弾性波探査では、34測線、総延長14600mにわたる探査を実施し、ボーリング調査では、孔数約150孔、総掘進長約7900mのボーリング調査を実施し た。深部ボーリング調査では、深度約2000mまでの連続した 34測線、総延長14600mにわたる探査を実施し、ボーリング調査では、孔数約150孔、総掘進長約7900mのボーリング調査を実施し た。深部ボーリング調査では、深度約2000mまでの連続したボーリングコアを採取して地下深部までの地質及び地盤物性を把握した。また、原子炉設置位置付近での試掘抗調査では、原子炉設置位置の直上部で十字に交わる南北方向約110m、東西方向約150mを中心に合計約300mの試掘抗を掘削し、構成岩石及びその分布、断層の有無、片理面及び節理面の走向・傾斜等を直接観察し、 基礎岩盤の地質学的性質を把握・検討した。そして、試掘坑内においては、岩盤試験(平板載荷試験 、岩盤せん断試験等)を実施し、基礎岩盤の工学的性質を把握した。(乙13(6-3-73~6-3-112頁))さらに、被告は、伊方原子力発電所の敷地が原子力発電所の立地地点として適地であることを確認して以降も、新たな知見の収集に努め、適宜、より精度の高 い情報を基に伊方原子力発電所の地盤に係る安全性を確保している。 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 以下、詳述する。 1 敷地周辺地域の地質環境が基礎地盤の安定性を損なうものではないことについて被告は、伊方原子力発電所の敷地周辺地域の地質及び地質構造を把握するため、陸域において、既往文献調査、地形調査、地表地質調査、地球物理学的調査等を、 海域において、既往文献調査、海底地形調査、海上音波探査、地球物理学的調査等を実施した(乙13(6-3-1~6-3-7頁))。 ⑴ 陸域の地質が安定していること伊方原子力発電所は、四国の西端に突出した佐田岬半島の付け根付近に位置し、瀬戸内海の伊予灘に面している。 伊方原子力発電所の敷地周辺地域の陸域は、中央構造線 陸域の地質が安定していること伊方原子力発電所は、四国の西端に突出した佐田岬半島の付け根付近に位置し、瀬戸内海の伊予灘に面している。 伊方原子力発電所の敷地周辺地域の陸域は、中央構造線によって北側の西南日本内帯と南側の西南日本外帯に分けられる。敷地周辺の西南日本内帯は領家帯に属し、高温高圧型の変成作用を受けた領家変成岩類、領家花こう岩類等が分布する。敷地周辺の西南日本外帯の地質は、三波川帯 、秩父累帯及び四万十帯に分けられる。伊方原子力発電所敷地は、西南日本外帯に位置しており、 中央構造線を北限とする三波川帯に属する。 中央構造線は、敷地周辺で最も重要な断層であり、四国中東部から松山平野南縁を東西に通過して伊予市双海町上灘付近で伊予灘に入る。北側の和泉層群と南側の三波川変成岩類とを境とする地質境界としての中央構造線と活断層としての中央構造線とは区別される。(乙13(6-3-19~6-3-21 頁))三波川帯には、三波川変成岩類が帯状に分布している。三波川変成岩類は、主に塩基性片岩(緑色片岩)、泥質片岩、砂質片岩、珪質片岩等から成り、地下の深いところで低温高圧型の変成作用を受けて形成されたものである。伊方原子力発電所周辺に分布する三波川変成岩類は、主に白亜紀(約1億年前)頃 に地下深部で変成作用を受け、その後上昇して古い時代に地表付近に位置して 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 以降大きな変成作用を受けていない。また、変成作用によって形成された片理がほぼ水平であり堅硬かつ緻密な岩盤であることから、地表に上昇して以降、大きな変形や破砕も受けていない。したがって、伊方原子力発電所の敷地周辺の陸域は、長期間にわたって地質的に安定している。(乙13(6-3-8~6-3-12頁)) ることから、地表に上昇して以降、大きな変形や破砕も受けていない。したがって、伊方原子力発電所の敷地周辺の陸域は、長期間にわたって地質的に安定している。(乙13(6-3-8~6-3-12頁)) ⑵ 海域の中央構造線が伊方原子力発電所敷地の地盤の安定性を損なわないこと敷地周辺の海域は、佐田岬半島によって北側の伊予灘と南側の宇和海とに二分されている。伊方原子力発電所の敷地前面海域の伊予灘には、陸域に分布する中央構造線断層帯の最西端である伊予市双海町高野川沖から南西方向に細 長く幅を持って雁行配列する一連の断層群が認められる。海底には上灘沖から大洲市長浜町沖を経て三崎沖まで細長い凹みを形成し、北東-南西方向に直線状に配列している。このように、敷地前面海域には、中央構造線断層帯に属する断層群が分布する。(乙13(6-3-31~6-3-32頁、6-3-36~6-3-39頁)) 中央構造線断層帯の断層運動が伊方原子力発電所敷地の地盤に変位や変形をもたらすことも考えられるが、中央構造線断層帯と敷地とは約8km離れていること、深部ボーリング孔を利用した地下構造調査の結果、伊方原子力発電所の敷地内断層と中央構造線断層帯との連続性は認められないこと、また、中央構造線断層帯が活動した場合の地殻変動に伴う伊方原子力発電所敷地の地 盤の傾斜を評価したところ、最大傾斜は1/28000と無視し得る程度であったことから、中央構造線断層帯の断層運動は、伊方原子力発電所敷地の地盤の安定性を損なうものではない。(乙13(6-3-118~6-3-119頁)) 2 敷地の地盤において伊方原子力発電所の安全上重要な設備に損傷を与えるよ 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 うな変位等が生じないことについて 3-119頁)) 2 敷地の地盤において伊方原子力発電所の安全上重要な設備に損傷を与えるよ 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 うな変位等が生じないことについて被告は、伊方原子力発電所の敷地内において、地表地質調査、地表弾性波探査、ボーリング調査、試掘坑調査、掘削面観察、深部ボーリング調査、地下水位調査等を実施した(乙13(6-3-73~6-3-75頁))。 ⑴ 伊方原子力発電所敷地の地盤が安定していること 敷地は三波川帯に位置している。敷地の地盤は三波川変成岩類のうち主に塩基性片岩で構成されており、敷地内の塩基性片岩は片理があるものの、一般に剥離性が弱く、塊状かつ堅硬である(乙13(6-3-76頁))。また、ボーリング調査の結果、伊方原子力発電所敷地の地盤においては、堅硬な塩基性片岩が深度数百mまで連続し、それ以深においても少なくとも深度約2000m までは堅硬かつ緻密な泥質片岩を主体とする結晶片岩が連続している。そして、ボーリング調査の結果や深部ボーリング孔を利用した地下構造調査の結果からは、伊方原子力発電所の敷地地盤は地下深部までほぼ水平成層かつ均質な層が連続し、地表から深度約2000mまで連続する。 また、敷地は火山フロントから大きく南東に外れて第四紀火山と離隔があり、 敷地近傍に火山岩の貫入も認められない。 したがって、伊方原子力発電所敷地は、基礎地盤となる良質な岩盤が十分な広がりを有しており、安定した地盤である。 ⑵ 敷地内断層は変位を生じさせるものではないこと地形調査によると、伊方原子力発電所敷地には、後期更新世以降の断層活動 を示唆する変位地形・リニアメントは認められないものの、小規模な断層が観察される。これらの断層の破砕幅はほとんどが10cm未満で、大 よると、伊方原子力発電所敷地には、後期更新世以降の断層活動 を示唆する変位地形・リニアメントは認められないものの、小規模な断層が観察される。これらの断層の破砕幅はほとんどが10cm未満で、大部分が固結して軟質部を含まず、片理の引きずりが見られるなど地下深所で形成された特徴を示している。(乙13(6-3-75~6-3-78頁))敷地内断層の活動性については、地震を発生させる震源として考慮する必要 性に加え、地盤の安定性の観点から、地震活動などに伴って永久変位を生じさ 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 せる可能性について検討が必要となるが、伊方原子力発電所の敷地内断層は、いずれも規模は小さく、地下深部への連続性もないことなどから、地震を発生させる活断層として考慮すべき断層であるとは考えられない(乙16(12~13頁))。したがって、以下では、地震活動などに伴って永久変位を生じさせる可能性があるか否かについて述べる。 ア被告は、伊方原子力発電所の建設時において、試掘坑調査、X線写真を用いた断層内物質の分析などを行い、伊方原子力発電所の敷地内断層が将来も活動することがない断層であることを確認した。また、伊方原子力発電所の建設後も継続的に新知見への取り組みを積極的に進めている。 イ被告は、福島第一原子力発電所事故を契機に、敷地内断層について、伊方 原子力発電所建設時に採取したボーリングコアや断層露頭などで観察できる断層の性状を詳細に検討し、活動性が問題とならないことを改めて確認した。この被告の評価結果は、平成24年8月10日に開催された国の「地震・津波に関する意見聴取会」において審議され、審議の結果、問題がないことの確認を受けている。(乙17、乙18) ウその後、新規制基準が制 結果は、平成24年8月10日に開催された国の「地震・津波に関する意見聴取会」において審議され、審議の結果、問題がないことの確認を受けている。(乙17、乙18) ウその後、新規制基準が制定されたことを踏まえて、被告は、改めて、本件3号機の断層による変位に係る安全性について、付近の断層を、さらに詳細に検討し、活動性がないことを慎重に評価した。 エ以下では、被告が敷地内断層の活動性評価について行った具体的な検討内容について説明する。 一般に、地表付近の浅いところで活動した断層は、断層面に沿って岩石が破砕されたり、すり潰されたりすることにより、粘土状の軟質部を伴うが、地下の深いところで形成された場合は、地下深部の温度と圧力によって断層内物質が固結し、岩石化する。つまり、断層内物質が岩石化している場合には、地下深くに位置していた古い時代に活動したもので、かつ、 地上付近に位置して以降は活動していないと評価できる。そして、被告は、 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容 慎重に検討するため、まずは岩石化していると考えられる(軟質部を含まない)断層を肉眼観察により選別し、選別した断層について、さらに物理試験、針貫入試験 、薄片観察等を行い、古い時代に地下深部で生成した断層が地表付近に位置して以降の新しい時代には活動していないことを確認した。 一方、地下深くにおいて活動し、地上付近に位置して以降は活動していない断層であっても、地下水が細粒部に浸入し軟質化することなどによって、断層内物質が軟質部を伴う場合がある。このため、被告は、肉眼観察により断層内物質に軟質部を伴う断層については、試掘坑内で採取した断層部分の薄片及び研磨片について顕微鏡を用いて、断層内物質の微細な構 造の観察を行うこ 場合がある。このため、被告は、肉眼観察により断層内物質に軟質部を伴う断層については、試掘坑内で採取した断層部分の薄片及び研磨片について顕微鏡を用いて、断層内物質の微細な構 造の観察を行うことにより、活動性の有無を判断することとし、古い時代の地下深部における鉱物脈の生成以降の活動は認められないことを確認した。 そして、被告は、本件3号機周辺の敷地内断層はいずれも後期更新世よりもはるかに古い時代から活動しておらず、将来も活動することがない断 層であることを確認した。 以上のことから、伊方原子力発電所の敷地内断層は、将来活動する可能性のない断層であり、後述のすべり安全率の解析評価も踏まえれば、いずれも地震活動等に伴って伊方原子力発電所敷地の地盤に永久変位を生じさせる可能性はなく、地盤の安定性の観点から問題となるようなものでは ない。 (以上、乙13(6-3-77~6-3-82頁、6-3-94~99頁)、乙16(30~31頁)) 3 基礎地盤が十分な地耐力を有することについて(本件3号機の基礎地盤の安定性について) 被告は、伊方原子力発電所の建設にあたって、原子炉設置位置付近の基礎地盤 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1000 の性状を把握するため、原子炉設置位置付近において、地表弾性波探査 、ボーリング探査、試掘坑調査 、掘削面観察等を実施し、地質、地質構造の検討を実施した。試掘坑内においては、平板載荷試験 、岩盤せん断試験 、弾性波試験等の岩盤試験を実施するとともに、岩石の物理的・力学的特性を把握するボーリングコアによる岩石試験を実施した。(乙13(6-3-84頁~6-3-93頁)) これらの詳細調査の結果、基礎地盤を構成する緑色片岩がS波速度として2600m/秒を有する非 性を把握するボーリングコアによる岩石試験を実施した。(乙13(6-3-84頁~6-3-93頁)) これらの詳細調査の結果、基礎地盤を構成する緑色片岩がS波速度として2600m/秒を有する非常に堅硬で、原子炉施設を設置するのに十分に適した岩盤であることを確認した上で(乙13(6-3-103頁))、伊方原子力発電所を設置する基礎地盤が、安全上重要な施設を支持するための十分な地耐力(支持力、すべり安全性及び地盤の沈下、傾斜等に対する安全性(変形に対する抵抗力))を 有することを確認するとともに、伊方原子力発電所の建設後も最新の知見や地震動評価を反映して十分な安全性を有することを確認してきた。また、被告は、基準地震動Ssを新規制基準の制定後に新たに策定しており、まずは本件3号機について、この基準地震動Ssに対する安全性の確認を行った。以下、伊方原子力発電所を設置する基礎地盤に係る安全性の確認について詳細を述べる。 ⑴ 十分な支持力を有すること基礎地盤の支持力が十分でなければ、当該基礎地盤に設置する施設の重量を支えきれず、基礎地盤を構成する岩盤が破壊され、施設が傾斜又は転倒するなどして損傷するおそれがある。このため、安全上重要な施設を設置する基礎地盤は、十分な支持力を有していなければならない。 被告が試掘横坑内の岩盤で実施した平板載荷試験では、伊方原子力発電所の各号機の基礎地盤の岩盤はいずれも最大7.84N/㎟(1㎡当たり800t)程度までの繰り返し荷重に対しても十分に弾性的な性状(荷重を除去すると元の状態に戻る性質)を示していることから、極限支持力は7.84N/㎟(1㎡当たり800t)以上であると評価できる。 これに対し、被告は、地震時における原子炉建屋基礎底面に係る最大荷重(下 別紙地すべりに を示していることから、極限支持力は7.84N/㎟(1㎡当たり800t)以上であると評価できる。 これに対し、被告は、地震時における原子炉建屋基礎底面に係る最大荷重(下 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1001 方向への荷重)を評価しており、本件3号機については、最新の地震動評価に基づいても最大荷重は約2.2N/㎟(1㎡当たり約220t)であることから、本件3号機の基礎地盤は十分な支持力を有している。したがって、支持力に対する十分な安全性(つまり、岩盤破壊が生じない。)を確保している。(乙13(6-3-104~6-3-105頁、6-3-117頁)、乙16(31~ 32頁))⑵ すべり安全性(せん断抵抗力)を有することア仮に原子力発電所の基礎地盤に岩盤の密着が弱い部分があり、そこに地震力が作用するなどして亀裂が生じ、当該亀裂(すべり面)を境にして基礎地盤に変位(ずれ、地すべり)が生じれば、当該地盤に設置している施設が損 傷する可能性がある。このため、安全上重要な施設を設置する基礎地盤は、すべりに対する安全性を十分に有していなければならない。 被告が実施したボーリング調査及び試掘横坑内での地質調査の結果によれば、伊方原子力発電所の基礎地盤は、全般的に堅硬である(乙13(6-3-94頁))。基礎地盤には数本の破砕帯が見られたが、これら については、いずれも小規模で、将来活動する可能性のある断層ではない。また、岩石試料によるせん断試験及び試掘トレンチ内における岩盤のせん断試験から求められたせん断強度を用い、安全上重要な施設を設置する基礎地盤について、地震が作用した場合のすべり安全率を解析評価しており、地震活動に伴って伊方原子力発電所敷地の地盤に永久変位 を生じさせる可能性もない。 伊 用い、安全上重要な施設を設置する基礎地盤について、地震が作用した場合のすべり安全率を解析評価しており、地震活動に伴って伊方原子力発電所敷地の地盤に永久変位 を生じさせる可能性もない。 伊方原子力発電所の各号機の安全上重要な施設を設置する基礎地盤は、見直し前の基準地震動Ssが作用した場合でもすべり安全率が1.9以上と十分に余裕を有していることを確認していたところ(乙19、乙20、乙21(Ⅴ-11~Ⅴ-12頁、Ⅴ-34頁))、新規制基準制定後 に新たに基準地震動Ssを策定したことを受けて、まず本件3号機の基 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1002 礎地盤について、見直し後の基準地震動Ssが作用した場合のすべり安全率を解析評価した結果、いずれの地点においても、すべり安全率は1. 8以上と基準値1.5を十分に上回り、本件3号機の基礎地盤は、すべりに対して十分な安全性(せん断抵抗力)を有していることを確認した(乙13(6-3-116~6-3-117頁)、乙16(31~32頁))。 イ評価の方針原子力発電所の安全性を確保するためには、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という安全機能に関係する耐震重要施設の基礎地盤の安定性が基準地震動Ssによる地震力によって損なわれないことが重要である。また、運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を 超える事象が発生した場合において炉心の著しい損傷を防止し、炉心の著しい損傷に至る事象が発生した場合においても原子炉格納容器の破損を防止し、又は、炉心の著しい損傷等の影響を緩和する設備を設置する常設の施設(常設耐震重要重大事故防止設備又は常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(常設重大事故等対処施設)を設置する基礎地 盤の安定 著しい損傷等の影響を緩和する設備を設置する常設の施設(常設耐震重要重大事故防止設備又は常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(常設重大事故等対処施設)を設置する基礎地 盤の安定性が損なわれないことも重要である。 そこで被告は、本件3号機の耐震重要施設及び常設重大事故等対処施設の基礎地盤について、基準地震動Ssによる地震力が作用した場合においても、本件3号機の基礎地盤がすべりに対して安定的であること、すなわち地すべりが生じないかどうかについての評価を行った。 評価の方法被告は、まず、本件3号機の基礎地盤を構成する岩盤について、被告が実施した詳細な調査の結果に基づき、解析用物性値(解析を行うために、岩盤の持つ様々な性質を数値化したもの)を設定し、評価対象とする断面を選定して解析モデルを作成した上で、基準地震動Ssを用いた解析を行 うことにより、本件3号機の基礎地盤の安定性を評価した。 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1003 a 解析用物性値の設定被告は、本件3号機の基礎地盤を構成する岩盤について解析用物性値を設定するにあたり、まず、一般的に広く用いられている電中研方式(x氏が「土木技術者のための地質学入門」(1964年)で明らかにした、風化の有無、節理間隔、ハンマーの打音等に基づいて岩盤を分類する方 式)の分類法を参考に、地質調査結果に基づき、堅い岩盤から順に、CH級、CM級、CL級及びD級の4段階に岩盤分類を行った。その上で、同一の岩盤分類においても、風化の程度、割れ目の状態等によって強度特性等に幅があることを考慮し、解析用岩盤分類として、I級①~③(CH級)、Ⅱ級(CM級)及びⅢ級(CL級、D級及び表土等。評価対象の 地盤に応じてより詳細にⅢ級①及び②を設定 等によって強度特性等に幅があることを考慮し、解析用岩盤分類として、I級①~③(CH級)、Ⅱ級(CM級)及びⅢ級(CL級、D級及び表土等。評価対象の 地盤に応じてより詳細にⅢ級①及び②を設定)に分類した。 そして、それらの解析用岩盤分類に応じて、強度特性のばらつきを安全側に考慮した上で解析用物性値を設定した。例えば、岩盤は「片理面に沿う方向」(片理面に平行な方向)に割れやすく、「片理面を切る方向」(片理面に垂直な方向)には割れにくい性質を有するところ、解析を行 う場合には、想定されるすべり面における実際の岩盤の片理の方向にかかわらず、一律、強度の下限相当に対応する「片理面に沿う方向」に割れる際の岩盤強度を解析用物性値として設定している。また、敷地内にみられる断層の解析用物性値については、断層内部に粘土状の軟質部を介さず岩石相当の物性を有していると判断できる断層とそれ以外の断 層とに分けて設定した。(乙13(6-3-112~6-3-113頁、6-3-163~6-3-164頁))b 評価対象断面の選定被告は、地形、地質及び敷地内断層の性状を考慮し、本件3号機原子炉建屋に対する評価対象断面として本件3号機原子炉建屋の炉心で直 交する2断面(X-X’断面、Y-Y’断面)、緊急時対策所に対する評 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1004 価対象断面として緊急時対策所を通り直交する2断面(A-A’断面、B-B’断面)及び斜面に正対する1断面(C-C’断面)、重油タンクに対する評価対象断面として重油タンクを通り直交する2断面(D-D’断面、E-E’断面)を選定した。 本件3号機原子炉建屋、緊急時対策所及び重油タンクを除く耐震重要 施設及び常設重大事故等対処施設については、本件3号機原子炉建 クを通り直交する2断面(D-D’断面、E-E’断面)を選定した。 本件3号機原子炉建屋、緊急時対策所及び重油タンクを除く耐震重要 施設及び常設重大事故等対処施設については、本件3号機原子炉建屋、緊急時対策所及び重油タンクのいずれかと同等の標高、岩種及び岩級の地盤に支持されていることなどから、本件3号機原子炉建屋、緊急時対策所及び重油タンクの基礎地盤の評価で代表させることとした。 (以上、乙13(6-3-113~6-3-114頁、6-3-426 ~6-3-433頁)c 解析モデルの作成解析モデルの作成にあたっては、原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601-2008(乙180))を参考に、まずは簡易的な評価手法を用いて、本件3号機原子炉建屋、緊急時対策所及び重油タンクの 各施設に係る評価対象断面の中で最も評価が厳しくなる断面を絞り込んだ上で、当該断面について解析モデルを作成することとした。 このため、被告は、まず評価対象断面に対して簡便法(円弧すべり面及び複合すべり面を想定し、静的地震力(実際には時々刻々と変化する地震動を時間とともに変化しない一定の力として仮定した地震力)を用 いて簡易にすべり安全率を算定する手法)による評価を行い、最も評価が厳しくなる断面の絞り込みを行った。 そして、絞り込みの結果、すべり安全率が最も厳しくなる(すなわち、すべり安全率の数字が最も小さくなる)1断面(本件3号機原子炉建屋についてはX-X’断面、緊急時対策所についてはA-A’断面、重油 タンクについてはD-D’断面)をそれぞれ選定した上で、解析用岩盤 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1005 分類を踏まえて解析モデルを作成し、動的解析(時々刻々と変化する地震動に対して地盤が受ける力、変形等を をそれぞれ選定した上で、解析用岩盤 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1005 分類を踏まえて解析モデルを作成し、動的解析(時々刻々と変化する地震動に対して地盤が受ける力、変形等を求める解析)による詳細なすべり安全率評価を行った。 (以上、乙13(6-3-114頁、6-3-165頁、6-3-434~6-3-439頁)) 評価内容及び評価結果伊方原子力発電所敷地の地盤は、主に塩基性片岩で構成され、敷地内の塩基性片岩は片理があるものの、一般に剥離性が弱く、塊状かつ堅硬であり、良質な岩盤が十分な広がりを有し、敷地内に観察される断層はいずれも変位を生じさせるものではなく、地盤の安定性に影響を及ぼさない。し かし、地震発生時には、地震力が作用することにより、地盤をすべらそうとする力(せん断力)が働くため、原子炉施設の基礎地盤は、地震発生時にも十分なすべり安全性(せん断抵抗力)を有するものでなければならない。 そこで被告は、基準地震動Ssによる地震力が作用した場合でも本件3 号機の基礎地盤が十分なすべり安全性を有していることを確認するため、基準地震動Ssとして策定した全11波(Ss-1(1波)、Ss-2(8波)及びSs-3(2波))を用いて、本件3号機原子炉建屋(X-X’断面)、緊急時対策所(A-A’断面)及び重油タンク(D-D’断面)の想定すべり面におけるすべり安全率を解析・評価した。想定すべり面として は、構造物基礎底面沿いのすべり面、簡便法により抽出したすべり面、断層沿いのすべり面及び応力状態を考慮したすべり面(局所安全係数(地盤の小部分ごとの安全係数)やモビライズド面(岩盤がせん断破壊しやすい方向)を考慮したすべり面)をそれぞれ検討した。 この結果、基礎地盤におけるすべり安全率の最小値 慮したすべり面(局所安全係数(地盤の小部分ごとの安全係数)やモビライズド面(岩盤がせん断破壊しやすい方向)を考慮したすべり面)をそれぞれ検討した。 この結果、基礎地盤におけるすべり安全率の最小値は、本件3号機原子 炉建屋基礎地盤(X-X’断面)で1.8、緊急時対策所基礎地盤(A- 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1006 A’断面)で2.1、重油タンク基礎地盤(D-D’断面)で2.0であり、いずれも評価基準値(1.5) を上回っている(乙13(6-3-116頁、6-3-166~6-3-168頁))。 また、全体で最もすべり安全率が小さくなるすべり面(「断層(軟質含)沿いのすべり面(モビライズド面を考慮したすべり面)」、すべり安全率は 1.8)に対し、更なる地盤物性のばらつき等を考慮した場合でも、すべり安全率は同等の値であった(有効数字未満の値に若干の減少はあったが、すべり安全率は変わらず1.8となった。)(乙13(6-3-117頁))。 以上から、本件3号機の基礎地盤は、十分なすべり安全性(せん断抵抗力)を有している。 ⑶ 地盤の沈下及び傾斜に対する安全性(変形に対する抵抗力)を確保していること基礎地盤に地震力が作用した場合には、変形が生じる可能性があり、仮に安全上重要な施設を設置する地盤に大きな沈下や傾斜が生じた場合には、当該施設が損傷する可能性がある。このため、安全上重要な施設を設置する基礎地盤 は、地震動の影響を受けた場合に生じる沈下や傾斜によって、当該施設の機能を損なうことのないよう安全性を確保する必要がある。 伊方原子力発電所の基礎地盤については、平板載荷試験の結果から、7.84N/㎟(1㎡当たり800t)程度の荷重に対する変形量が1㎜未満であり、沈下に対する十分な安全性 安全性を確保する必要がある。 伊方原子力発電所の基礎地盤については、平板載荷試験の結果から、7.84N/㎟(1㎡当たり800t)程度の荷重に対する変形量が1㎜未満であり、沈下に対する十分な安全性を有している(乙13(6-3-104~6-3- 105頁、6-3-397~6-3-403頁))。 また、これを踏まえて、地震時において本件3号機の原子炉建屋の基礎底面に生じる傾斜を算定した結果、最大傾斜は1/29000であり、基準地震動Ssが作用した場合に生じる地殻変動による最大傾斜1/28000を考慮した場合でも、最大で1/14000となり、基礎地盤及び周辺斜面の安定性 評価に係る審査ガイド(原子力規制委員会平成25年6月)が定める評価基準 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1007 値の目安である1/2000を十分に下回っている(乙13(6-3-117~6-3-119頁)、乙16(32~33頁))。 したがって、本件3号機の基礎地盤は、沈下及び傾斜に対する十分な安全性(変形に対する抵抗力)を有している。 ちなみに、伊方原子力発電所の安全上重要な施設は、全て岩盤に支持させて いることから、仮に地震発生時において、周辺地盤に変状(不等沈下、液状化及び揺すり込み沈下)が生じたとしても、その影響を受けるおそれはない(乙13(6-3-118頁)、乙16(32~33頁))。 4 基準地震動Ssによる地震力に対する周辺斜面の安定性(本件3号機の周辺斜面の安全性について ⑴ 安全上重要な施設の周辺斜面において地すべりが発生した場合、崩壊した土塊により当該施設が損傷する可能性がある。このため、当該斜面において、地すべりが生じることのないよう、すべりに対する安全性を確保する必要がある。 被告は、その規模と態様から 発生した場合、崩壊した土塊により当該施設が損傷する可能性がある。このため、当該斜面において、地すべりが生じることのないよう、すべりに対する安全性を確保する必要がある。 被告は、その規模と態様から伊方原子力発電所全体で見て最も考慮すべき斜面と考えられる本件3号機南側の斜面を含む本件3号機の安全上重要な施設 の周辺斜面についての安定性を、以下のとおり評価した。 ⑵ 評価の方針基礎地盤と同様の観点から、本件3号機の周辺斜面が基準地震動Ssによる地震力により崩壊し、耐震重要施設及び常設重大事故等対処施設の安全機能が重大な影響を受けないことを確認する。 ⑶ 評価の方法被告は、本件3号機の周辺斜面について、基礎地盤の安定性評価と概ね同様の手順で解析モデルを作成し、基準地震動Ssを用いた解析を行うことにより、周辺斜面の安定性を評価した。 ア解析用物性値の設定 解析用物性値は、基礎地盤と同様に、風化の程度、割れ目の状態等を考慮 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1008 して設定した(乙13(6-3-119頁、6-3-163~6-3-164頁))。 イ評価対象斜面の抽出及び評価対象断面の選定被告は、まず、耐震重要施設及び常設重大事故等対処施設と周辺斜面との離隔距離や崩壊した場合のすべりの向きを考慮して、安定性評価の対象とす る斜面として、本件3号機原子炉建屋の周辺斜面、空冷式非常用発電装置の周辺斜面及び海水ピットの周辺斜面をそれぞれ抽出した。その上で、各評価対象斜面について、周辺斜面の岩級、勾配、高さ、敷地内断層の性状等を考慮して、斜面の高さが高い断面、斜面の勾配が急な断面等、最も厳しい評価となると想定される断面を選定し、評価対象断面とした。(乙13(6-3- 120頁、6-3-4 高さ、敷地内断層の性状等を考慮して、斜面の高さが高い断面、斜面の勾配が急な断面等、最も厳しい評価となると想定される断面を選定し、評価対象断面とした。(乙13(6-3- 120頁、6-3-427~6-3-433頁、6-3-445頁))ウ解析モデルの作成解析モデルの作成にあたっては、基礎地盤と同様に、評価対象断面に対して簡便法を用いた絞り込みを行い、すべり安全率が最も厳しくなる1断面(本件3号機原子炉建屋及び空冷式非常用発電装置の周辺斜面については いずれもX-X’断面、海水ピットの周辺斜面についてはC-C’断面)をそれぞれ選定した上で解析モデルを作成した。 なお、E-E’断面については、斜面の高さ(約30m)に対して、重油タンクと東側斜面の法尻との離隔距離(約90m)が十分に確保できており、斜面崩壊が生じたとしても重油タンクに影響を及ぼさないことから、詳細な 解析評価の必要性はないと判断した。 (以上、乙13(6-3-120~6-3-121頁、6-3-171頁、6-3-434~6-3-439頁、6-3-446~6-3-447頁))⑷ 評価内容及び評価結果被告は、本件3号機の周辺斜面が十分なすべり安全性を有することを確認 するため、基準地震動Ssとして策定した全11波(Ss-1(1波)、S 別紙地すべりに対する再稼働申請の内容1009 s-2(8波)及びSs-3(2波))を用いて、本件3号機原子炉建屋の周辺斜面、空冷式非常用発電装置の周辺斜面(いずれもX-X’断面)及び海水ピットの周辺斜面(C-C’断面)の想定すべり面におけるすべり安全率を解析・評価した。想定すべり面としては、簡便法により抽出したすべり面、断層沿いのすべり面及び応力状態を考慮したすべり面(局所安全係数や モビライ -C’断面)の想定すべり面におけるすべり安全率を解析・評価した。想定すべり面としては、簡便法により抽出したすべり面、断層沿いのすべり面及び応力状態を考慮したすべり面(局所安全係数や モビライズド面を考慮したすべり面)についてそれぞれ検討した。 以上の解析・評価により得られたすべり安全率について、各想定すべり面において最小となったすべり安全率(すべり安全率の最小値は、X-X’断面で1.3、C-C’断面で2.3であり、いずれも評価基準値(1.2)を上回る。 また、全体で最もすべり安全率が小さくなるすべり面(「要素安全率が低い領域を考慮したすべり面」、すべり安全率は1.3)に対し、更なる地盤物性のばらつき等を考慮した場合でも、すべり安全率は同等の値であった(有効数字未満の値に若干の減少はあったが、すべり安全率は変わらず1. 3となった。)。 (以上、乙13(6-3-122~6-3-123頁、6-3-172~6-3-173頁))ちなみに、全体で最も小さなすべり安全率を示したすべり面を含むX-X’断面の斜面は、本件3号機の南側斜面であるが、当該斜面を含む本件3号機原子炉建屋周辺斜面は、斜面表面に保護工(ロックアンカー 、ロックボル ト 、鉄筋コンクリート製の擁壁・格子枠)を施した上で、適切に保守管理を実施している。すべり安全率の解析にあたっては、これらの保護工の効果を考慮していないため、本件3号機の南側斜面を含む本件3号機原子炉建屋周辺斜面の実耐力としては、上記の安定性評価の結果よりもさらに大きな裕度を有していることになる。(乙15(43~44頁、図表-10頁)) 以上 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1010 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働 になる。(乙15(43~44頁、図表-10頁)) 以上 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1010 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容 第1 外部人為事象(故意によるものを除く。)に対する設計上の考慮 1 航空機落下に対する設計上の考慮⑴ 航空機落下に係る検討方針 原子炉施設への航空機落下に対する防護設計の要否を検討するにあたっては、設置許可基準規則解釈6条8項において引用されている航空機落下確率評価基準等に基づき、航空機落下確率が10-7回/炉・年を超えるか否かを基準として判断することとされている。 ⑵ 航空機落下確率の評価 被告は、日本国内における過去の航空機落下事故の実績を基に、落下事故を以下のカテゴリに分類し、そのカテゴリごとに落下確率を求めることとした。 被告が選定した航空機落下事故のカテゴリ1)計器飛行方式民間航空機の落下事故① 飛行場での離着陸時における落下事故※② 航空路を巡航中の落下事故2)有視界飛行方式民間航空機の落下事故3)自衛隊機又は米軍機の落下事故① 訓練空域内で訓練中及び訓練空域外を飛行中の落下事故② 基地-訓練空域間往復時の落下事故※ 伊方原子力発電所は、滑走路方向に対して±60°扇形区域から外れているた め、「①飛行場での離着陸時における落下事故」は評価対象外とする。 そして、被告は、これらの分類を踏まえて、上記各カテゴリの航空機落下事故が発生する確率を航空機落下確率評価基準に定められた手法に従って算定した。 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1011 その結果は以下の表のとおりであり、各カテゴリの航空機落下確率の 価基準に定められた手法に従って算定した。 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1011 その結果は以下の表のとおりであり、各カテゴリの航空機落下確率の総和(合計)は、約6.5×10-8回/炉・年となった。そして、これは、防護設計の要否判断の基準である10-7回/炉・年を超えない確率であるため、被告は、本件3号機においては航空機落下に対する防護について設計上考慮する必要がないと判断した(乙13(8-1-479頁))。 航空機落下事故のカテゴリごとの落下確率1)計器飛行方式民間航空機の落下事故① 飛行場での離着陸時における落下事故―(評価対象外)② 航空路を巡航中の落下事故9.41×10-102)有視界飛行方式民間航空機の落下事故1.45×10-83)自衛隊機又は米軍機の落下事故① 訓練空域内で訓練中及び訓練空域外を飛行中の落下事故2.43×10-8② 基地-訓練空域間往復時の落下事故2.43×10-8合計約6.5×10-8 2 発電所内の航空機落下による火災への対応上記1⑵で述べたとおり、本件3号機における航空機落下確率は10-7回/ 炉・年を超えることがなく、すなわち、本件3号機の評価対象施設に航空機が落下することを設計上考慮する必要はないものの、外部火災の評価では、評価対象施設から一定程度離れた地点(落下確率が10-7回/炉・年以上となる範囲)に航空機が落下した場合に発生する火災により本件3号機の安全性が損なわれることがないかを確認することになる。 この点、被告は、外部火災影響評価ガイドを踏まえ、航空機落下事故の発生状況や機種による飛行形態の違いに関する最新の知見を基に、航空機を種類別に分 われることがないかを確認することになる。 この点、被告は、外部火災影響評価ガイドを踏まえ、航空機落下事故の発生状況や機種による飛行形態の違いに関する最新の知見を基に、航空機を種類別に分 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1012 類し、その種類ごとに燃料積載量が最大の航空機を選定し、その航空機ごとの落下確率に関する知見を基に、敷地内において航空機落下確率が10-7回/炉・年以上となる区域を、選定された航空機ごとに特定し、その中で本件3号機の安全施設から最も近い場所に航空機が落下し、搭載された全燃料が発火した場合の火災を想定している。なお、落下実績がない航空機については、保守的に落下実績 を0.5回としている。その上で、選定された航空機ごとの燃料積載量と落下地点から本件3号機の安全施設までの距離を基に、輻射強度が最大となる航空機の種類を特定し、その落下による火災を想定している。 上記の発電所敷地内への航空機落下による火災の想定に基づき、被告は、火災が発生してから燃料が燃え尽きるまでの間、安全施設に係る外壁等の温度が許容 値以下となるよう設計することで、本件3号機の安全機能が損なわれないようにしたと説明した(乙13(8-1-373~8-1-376頁)、乙16(75~77頁))。 第2 外部人為事象(故意によるもの。)に対する設計上の考慮被告は、原子炉等規制法、国民保護法等を踏まえて、本件3号機に係る故意に よる外部人為事象への対応を講じたとした。 1 設置許可基準規則を踏まえた対策⑴ 可搬型重大事故等対処設備原子炉等規制法43条の3の6第1項4号を受けて定められた設置許可基準規則は、原子炉施設への人の不法な侵入、爆発性又は易燃性を有する物件そ の他人に危害を 策⑴ 可搬型重大事故等対処設備原子炉等規制法43条の3の6第1項4号を受けて定められた設置許可基準規則は、原子炉施設への人の不法な侵入、爆発性又は易燃性を有する物件そ の他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること、及び不正アクセス行為を防止するための設備を設けることを要求しており(設置許可基準規則7条)、不正アクセス行為には、サイバーテロへの対策も含まれるとしている。また、同規則は、可搬型重大事故等対処設備について、地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリ ズムによる影響を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1013 保管することを要求している(設置許可基準規則43条3項5号)。 これらを踏まえ、被告は、安全上重要な設備を含む区域を設定し、その区域を人の容易な侵入を防止するための柵、鉄筋コンクリート造の壁等の障壁によって防護した上で、巡視、監視等を行うことにより、接近管理及び出入管理を適切に行うとともに、探知施設を設け、警報、映像等を集中監視している。さ らに、防護された区域の内部においても、施錠管理により、原子炉施設等の防護のために必要な設備又は装置の操作に係る情報システムへの不法な接近を防止している。また、伊方原子力発電所に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷する恐れがある物件を持ち込むこと(郵便物等による発電所外からの爆破物及び有害物質の持ち込みを含む。) を防止するため、持込み点検を実施するとともに、サイバーテロを含む不正アクセス行為を防止するため、原子炉施設等の防護のために必要な設備又は装置の操作に係る情報シ 有害物質の持ち込みを含む。) を防止するため、持込み点検を実施するとともに、サイバーテロを含む不正アクセス行為を防止するため、原子炉施設等の防護のために必要な設備又は装置の操作に係る情報システムが、電気通信回線を通じた不正アクセス行為を受けることがないよう、当該情報システムに対する外部からのアクセスを遮断している。 また、被告は、地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響を考慮し、屋内の可搬型重大事故等対処設備について、可能な限り常設重大事故防止設備と位置的分散を図り複数箇所に分散して保管している。さらに、屋外に保管する可搬型重大事故等対処設備のうち水又は電力を供給するための注水設備及び電源設備は必要となる容量等を 賄うことができる設備の2セットについて、また、それ以外のものは必要となる容量等を賄うことができる設備の1セットについて、それぞれ原子炉建屋及び原子炉補助建屋から100mの離隔距離を確保するとともに、当該可搬型重大事故等対処設備がその機能を代替する屋外の設計基準事故対処設備等から100mの離隔距離を確保した上で、複数箇所に分散して保管している。加え て、当該可搬型重大事故等対処設備がその機能を代替する屋外の常設重大事故 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1014 等対処設備からも、少なくとも1セットは100mの離隔距離を確保して保管している。 (乙13(8-1-484~8-1-485頁、8-1-595~8-1-598頁)、乙16(82~83頁、276~278頁))。 ⑵ 特定重大事故等対処施設 特定重大事故等対処施設は、重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著し 16(82~83頁、276~278頁))。 ⑵ 特定重大事故等対処施設 特定重大事故等対処施設は、重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において、原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を抑制するための施設であるところ(設置許可基準規則2条2項12号(乙592(5頁)))、原子炉 建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること(設置許可基準規則42条1号)、原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備を有するものであること(同条2号)及び原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムの発生後、発電用原子炉施設の外から の支援が受けられるまでの間、使用できるものであること(同条3号)が要求されている(乙592(95頁))。また、自然現象に対しては、基準地震動による地震力に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないことなどが要求されている(設置許可基準規則38条、同39条、同40条(乙592(86~87頁、88~89頁、90頁)))。 特定重大事故等対処施設については、被告は、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対して原子炉格納容器の破損を防止するための施設として、特定重大事故等対処施設、具体的には、①原子炉内の圧力を遠隔操作で下げる「減圧操作設備」、②原子炉容器及び原子炉格納容器への「注水設備」、③原子炉格納容器の破損を防止する「原子炉格納容器過圧破損防止設備(フィ ルタ付ベント設備)」、④上記①~③の設備を制御するための 圧操作設備」、②原子炉容器及び原子炉格納容器への「注水設備」、③原子炉格納容器の破損を防止する「原子炉格納容器過圧破損防止設備(フィ ルタ付ベント設備)」、④上記①~③の設備を制御するための「緊急時制御室」、 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1015 ⑤原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備に電力を供給するための「電源設備(発電機)」等を設置する旨の設置変更許可申請、工事計画認可申請(5分割)及び保安規定変更認可申請をした(乙314、乙636~乙645、乙649、乙650)。 2 重大事故等防止技術的能力基準を踏まえた対策 原子炉等規制法43条の3の6第1項3号は、原子力発電所を設置する者が重大事故等対策に係る技術的能力を有していることを求めており、具体的には、原子力規制委員会が定める重大事故等防止技術的能力基準において、大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによって原子炉施設の大規模な損壊が生じた場合における体制の整備(原子炉施設の損壊した状況の おける消火活動の実施や炉心、原子炉格納容器の損傷を緩和するための対策等)に関し、手順書の整備、当該手順書に従って活動を行うための体制及び資機材の整備が要求されている(重大事故等防止技術的能力基準2.1)。 これを踏まえ、被告は、以下のとおり大規模な損壊が生じた場合における体制の整備を行っている(乙13(10-5-36~10-5-102頁)、乙16 (422~427頁))。 ⑴ 手順書の整備大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる大規模損壊の発生時には、施設の損壊状況等の迅速な把握を試みるとともに断片的に得られる情報、確保できる人員及び使用可能な設備により、 模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる大規模損壊の発生時には、施設の損壊状況等の迅速な把握を試みるとともに断片的に得られる情報、確保できる人員及び使用可能な設備により、環境へ の放射性物質の放出低減を最優先に考えた対応を行うこととし、重大事故等対策において整備する手順等に加えて、可搬型重大事故等対処設備による対応を中心とした多様性及び柔軟性を持たせた手順等を整備している。 ⑵ 教育、訓練の実施大規模損壊への対応のための発電所災害対策要員(協力会社含む。)への教 育及び訓練については、重大事故等対策にて実施する教育及び訓練に加え、大 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1016 規模損壊時に対応する手順及び事故対応用の資機材等の取扱い等を習得するための教育及び訓練を実施している。具体的には、大規模損壊発生時に通常の指揮命令系統が機能しない場合を想定して原子力防災管理者及び連絡責任者への個別の教育及び訓練を実施するとともに、発電所災害対策要員が、それぞれに割り当てられた役割に応じた対応だけでなく、本来の役割とは異なる作業 等についても流動性をもって対応できるよう、発電所災害対策要員に対する教育及び訓練の充実を図っている。 ⑶ 体制の整備大規模損壊発生時の体制については、通常の原子力防災体制を基本としつつ、通常とは異なる対応が必要となる場合にも流動性を持って大規模損壊発生時 の対応手順に従った活動を行うことができるよう、夜間・休日の人員確保や他号機の運転員による応援態勢を考慮して体制を整備している。発電所災害対策本部要員等が活動を行うにあたっての拠点は、剛構造の緊急時対策所を基本としつつ、発電所災害対策要員に対し必要な指揮命令ができる通信連絡設備を による応援態勢を考慮して体制を整備している。発電所災害対策本部要員等が活動を行うにあたっての拠点は、剛構造の緊急時対策所を基本としつつ、発電所災害対策要員に対し必要な指揮命令ができる通信連絡設備を配備している総合事務所棟(免震構造)も状況に応じて活用することとしている。 また、大規模損壊発生時における発電所外部からの支援体制として、災害対策本部(松山、高松)が速やかに確立できるよう体制を整備するとともに、他の原子力事業者及び原子力緊急事態支援組織へ応援要請し、技術的な支援が受けられるよう体制を整備している。さらに、協力会社から現場作業や資機材輸送等に係る要員の派遣を要請できる体制、プラントメーカによる技術的支援を 受けられる体制も構築している。 ⑷ 設備及び資機材の整備大規模損壊発生時の対応手順に従って活動を行うために必要な可搬型重大事故等対処設備は、共通要因による損傷を防止することができるよう、同等の機能を有する設計基準事故対処設備及び常設重大事故等対処設備と同時に外 部事象の影響を受けにくい場所に保管するとともに、同時に複数の可搬型重大 別紙外部人為事象に対する安全対策に関する再稼働申請等の内容1017 事故等対処設備が機能喪失しないよう、可搬型重大事故等対処設備同士の距離を十分に離して、複数箇所に分散して配置している。 また、大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズム発生時の対応に必要な資機材は、原子炉建屋及び原子炉補助建屋から100m以上離隔距離を確保した場所に分散して配備することとし、①消火活動を実 施するために着用する防護具、消火薬剤、可搬型泡放水砲等、②高線量の環境下において事故対応を行うための高線量対応防護服等、③指揮者と現場間、発電所外等との連絡のため ることとし、①消火活動を実 施するために着用する防護具、消火薬剤、可搬型泡放水砲等、②高線量の環境下において事故対応を行うための高線量対応防護服等、③指揮者と現場間、発電所外等との連絡のための多様な通信機器等を配備している。 3 国民保護法等を踏まえた対策ミサイル攻撃等の大規模なテロ攻撃に対しては、国民保護法等に基づき、緊急 対処事態として国が対策本部を設置し、原子力災害への対処、放射性物質による汚染への対処等にあたり、被告を含む原子力事業者は、国と連携してこれに対処することとしている。 以上 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1018 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容 第1 事故防止に係る安全確保対策原子力発電所において、放射性物質が環境に大量に放出される危険性を顕在化させないためには、何らかの異常が発生した場合であっても、放射性物質を 閉じ込める障壁の機能を維持することが必要である。 そこで、被告は、伊方原子力発電所において五重の障壁による閉じ込め機能を維持し、異常が発生した場合に、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という事故防止に係る安全確保対策を講じるとともに、この安全確保対策に用いる安全上重要な設備については、その安全機能を喪失し ないよう耐震安全性を備えるとともに、多重性又は多様性及び独立性を有する設備とするなど、様々な保守性を確保し高い信頼性を持たせている。(乙13(8-1-7頁)、乙50(資13-1-6頁))。 また、事故防止に係る安全確保対策を講ずるにあたっては、①放射性物質の異常放出につながるような異常が伊方原子力発電所に発生することを未然に防 止するための対策(異常発生防止対策)を講じ、次に、 また、事故防止に係る安全確保対策を講ずるにあたっては、①放射性物質の異常放出につながるような異常が伊方原子力発電所に発生することを未然に防 止するための対策(異常発生防止対策)を講じ、次に、②仮に何らかの異常が発生した場合であっても、その異常を放射性物質の放出のおそれのある状態までには拡大させないための対策(異常拡大防止対策)を講じ、さらには、③異常が拡大した場合であっても、放射性物質を環境に大量には放出しないための対策(放射性物質異常放出防止対策)を講じ、それぞれの段階について、前段 否定の考え方に立った上で、後続のレベルに期待せず当該レベルで異常の発生・拡大を防止するという深層防護の考え方を採用している。 1 異常発生防止対策伊方原子力発電所において何らかの異常が発生した場合、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」ことにより、五重の障壁の健全 性を維持して放射性物質の環境への大量の放出を防止するのであるが、原子炉 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1019 の安定した運転を維持し、そもそも異常が発生すること自体を未然に防止することは、安全上、極めて重要である。このため、被告は、以下の対策を講じている。 ⑴ 原子炉の安定した運転を維持するための対策ア自己制御性を有する原子炉の採用 被告は、伊方原子力発電所に、何らかの原因で核分裂反応が増加した場合、核分裂が常に自動的に抑制されるという性質(自己制御性)を有する原子炉を採用している。具体的には、減速材に水を使用することによる「減速材の温度効果(密度効果)」、原子炉内に装荷する燃料として低濃縮ウランを使用することによる「燃料のドップラー効果」等によって、温 度が上昇すると自動的に核分裂反応が抑制され、温 とによる「減速材の温度効果(密度効果)」、原子炉内に装荷する燃料として低濃縮ウランを使用することによる「燃料のドップラー効果」等によって、温 度が上昇すると自動的に核分裂反応が抑制され、温度が下がると自動的に核分裂反応が促進されることとなり、安定した原子炉の運転が可能である。(乙13(8-1-11頁、8-1-76~8-1-77頁、8-3-45~8-3-46頁))イ原子炉出力等の安定制御 原子炉の安定した運転を維持するということは、原子炉の出力、圧力等を安定して制御することである。このため、被告は、本件3号機に、制御棒制御系、加圧器圧力制御系等の設備を設けている。原子炉出力は、制御棒が炉心から引き抜かれた状態で一次冷却材のホウ素濃度を調整することで制御しているが、タービン出力が変化するなど原子炉出力を調整する必 要が生じた場合にも、制御棒制御系によって制御棒を自動で上下駆動させることで、安定的に制御される。一次冷却材の圧力についても、加圧器圧力制御系によって、あらかじめ設定した圧力に維持されるよう自動的に制御される。これらの制御設備の計測設備を中央制御室の制御盤に配置し、運転員が常時これらを集中的に監視、制御している。(乙13(8-6- 1頁、8-6-3~6頁)) 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1020 ウ誤作動及び誤操作を防止するシステムの採用被告は、伊方原子力発電所において、誤作動や誤操作により異常が発生することを防止するため、異常が発生した場合に常に安全側に作動するフェイル・セーフ・システムや、一定の条件が揃わなければ操作しようとしても動かないようなインターロック・システムの仕組みを採用している。 フェイル・セーフ・システムの例としては、電源が失われた ェイル・セーフ・システムや、一定の条件が揃わなければ操作しようとしても動かないようなインターロック・システムの仕組みを採用している。 フェイル・セーフ・システムの例としては、電源が失われた場合には、制御棒を原子炉容器の上部で保持する制御棒クラスタ駆動装置の電源も遮断され、その結果制御棒が自重で落下し、炉内に挿入されるという仕組みが挙げられる。 インターロック・システムの例としては、運転員が制御棒を引き抜く操 作をしようとしても、既に一定以上の出力状態にある場合には、システム上、制御棒を引き抜く操作ができないという仕組みが挙げられる。 (乙13(8-1-1頁、8-1-8~8-1-9頁、8-6-1~8-6-2頁、8-3-32頁、8-6-9頁等))⑵ 放射性物質を閉じ込める機能を有する設備の健全性確保 放射性物質を閉じ込める機能を有する設備は、原子炉の運転に伴い生じる様々な温度、圧力等の条件下においてもその健全性を維持し、放射性物質を閉じ込める機能を十分に果たすものでなければならない。このため、被告は、放射性物質を閉じ込める機能を有する設備について、熱的影響による焼損及び溶融、機械的影響(圧力上昇等)による破損、化学的影響による腐食等により健 全性が失われることのないよう、その設計において十分な余裕を持たせるとともに、運転を開始した後も検査等によりその健全性を確認している。(乙13(8-5-2~8-5-4頁、8-5-19頁、8-5-131~8-5-134頁)) 2 異常拡大防止対策 被告は、伊方原子力発電所において、上記1で述べたとおり、異常を発生さ 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1021 せないための種々の対策を行っている。しかしながら、それにもかかわらず運転中に 電所において、上記1で述べたとおり、異常を発生さ 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1021 せないための種々の対策を行っている。しかしながら、それにもかかわらず運転中に何らかの異常が発生した場合には、その異常を拡大させないため、異常の発生を早期に検知するとともに、原子炉を安全に「止める」ための対策を講じている。 ⑴ 異常の早期検知 被告は、伊方原子力発電所において、何らかの異常が発生した場合、その異常の発生を早期に、かつ、確実に検知するため、原子炉計装、プロセス計装等を設置している。すなわち、原子炉の状況及び一次冷却材の温度、圧力、流量、水位等の各変化などが示す異常の兆候を、検出器で検知し、中央制御室の制御盤に警報を発することにより、24時間体制で運転状況を監視している運転員は、直ち に原子炉の停止などの適切な対応をとることができる。(乙13(8-6-11~8-6-30頁、8-6-59頁))⑵ 原子炉の停止上記⑴で述べた検出器が異常の発生又は異常の兆候を検知した場合には、必要に応じ、運転員が手動で原子炉の停止操作を行い、制御棒を炉心に挿入して 原子炉を停止する。 一方、燃料被覆管や原子炉容器の健全性に重大な影響を及ぼすおそれがある異常が発生した場合、すなわち、検出器が検知した値があらかじめ定めた設定値を超えるなど異常な状態になった場合には、原子炉保護設備から原子炉トリップ信号が発せられる(乙13(8-6-51~8-6-61頁、8-6-1 33頁))。原子炉トリップ信号が発せられると、自動的に制御棒が挿入され、原子炉を緊急停止させる(乙78(4-77頁)、乙79(資13-17-4-51-8頁)参照)。 原子炉が停止すると核分裂反応による熱の発生は止まるが、原子炉の燃料は ると、自動的に制御棒が挿入され、原子炉を緊急停止させる(乙78(4-77頁)、乙79(資13-17-4-51-8頁)参照)。 原子炉が停止すると核分裂反応による熱の発生は止まるが、原子炉の燃料は、核分裂反応が停止した後も崩壊熱等を発しているため、この崩壊熱等を確実に 除去できるよう原子炉の冷却手段を確保することが重要となる。通常は、主給 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1022 水ポンプによって蒸気発生器へ二次冷却材の供給を継続し、一次冷却材の熱を蒸気発生器で二次冷却材へ伝え、二次冷却材の熱を復水器を通じて海中へ放出することで運転停止後の崩壊熱等を除去する。また、仮に通常使用する主給水ポンプ等が故障等により使用できない場合でも原子炉を冷却できるよう、補助給水設備を使用する冷却方法や主蒸気逃がし弁及び主蒸気安全弁を使用する 冷却方法などを確保しており、これらの設備に、安全上重要な設備として格段の信頼性を持たせている。(乙13(8-5-161頁、8-5-163頁、8-5-175~8-5-176頁))以上のとおり、被告は、これらの「異常拡大防止対策」によって、仮に伊方原子力発電所において何らかの異常が発生した場合でも、原子炉を「止める」 ことで、放射性物質を環境に大量に放出しないよう、確実にペレット、燃料被覆管及び原子炉容器の障壁の中に閉じ込める。 3 放射性物質異常放出防止対策被告は、仮に異常が発生し、拡大した場合であっても、放射性物質を環境に大量に放出させないため、原子炉を「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」 ための対策を講じている。以下、一次冷却材が喪失する事象(LOCA)を例に説明する。 ⑴ 原子炉の冷却被告は、仮に、一次冷却材管が破断するなどして、LOCAが発生し、 質を「閉じ込める」 ための対策を講じている。以下、一次冷却材が喪失する事象(LOCA)を例に説明する。 ⑴ 原子炉の冷却被告は、仮に、一次冷却材管が破断するなどして、LOCAが発生し、一次冷却材が減少し原子炉を冷却する機能が低下した場合であっても、原子炉にホ ウ酸水を注入して原子炉を冷却し続けることで、燃料の重大な損傷を防止し、放射性物質の環境への大量の放出を防止することができるよう、非常用炉心冷却設備(ECCS)を設けている。ECCSは、蓄圧注入系、高圧注入系及び低圧注入系から成り、それぞれが複数の系統を設けており、多重性及び独立性を有した信頼性の高い設計としている。高圧注入系及び低圧注入系の電動ポン プへは外部電源が喪失した場合であっても、独立した2系統の非常用ディーゼ 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1023 ル発電機から給電することができる。蓄圧注入系は、LOCA等が発生し、一次冷却系の圧力が低下すると、窒素ガスの圧力によって自動的にホウ酸水が注入される仕組みとなっており、電源等の駆動源は必要としない。 また、高圧注入系及び低圧注入系の水源は燃料取替用水タンクであるが、この水位が低くなると、水源を格納容器再循環サンプに切り替え、注水を継続す る。 (乙13(44頁、8-5-28~8-5-32頁、10-3-6~10-3-20頁))⑵ 放射性物質の閉じ込めLOCAのように原子炉容器の外に放射性物質が放出される事態において は、原子炉容器の外側に設けた原子炉格納容器及びコンクリート遮へい壁が放射性物質を閉じ込める障壁となる。 原子炉格納容器は、気密性及び耐圧性に優れた十分な容積を有する炭素鋼製の円筒形容器で、LOCA等が発生した場合においては、圧力障壁となり、放 ンクリート遮へい壁が放射性物質を閉じ込める障壁となる。 原子炉格納容器は、気密性及び耐圧性に優れた十分な容積を有する炭素鋼製の円筒形容器で、LOCA等が発生した場合においては、圧力障壁となり、放射性物質の放出に対する障壁となる。その外側には、鉄筋コンクリート造のコ ンクリート遮へい壁を設置しており、放射性物質の放出に対するさらなる障壁となる。原子炉格納容器とコンクリート遮へい壁の間には密閉された円環状空間であるアニュラス部を設け、二重格納の機能を持たせている。(乙13(8-9-1~8-9-9頁))一方、LOCA等が発生した場合、一次冷却材管等から放射性物質を含む一 次冷却材が高温、高圧の水蒸気となって放出され、原子炉格納容器内の圧力が上昇する。そこで、被告は、原子炉格納容器を圧力・温度の上昇から守り、閉じ込める機能を維持するため、原子炉格納容器内に原子炉格納容器スプレイ設備を設けており、圧力が上昇した場合には、原子炉格納容器スプレイ設備が自動でホウ酸水をスプレイし、水蒸気を凝縮させて圧力を下げることで、原子炉 格納容器の健全性を保つことができる(乙13(8-9-11~8-9-16 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1024 頁))。 さらに、上記スプレイ水により原子炉格納容器内に浮遊する放射性ヨウ素等を除去するとともに、アニュラス空気再循環設備(ヨウ素除去効率95%以上、粒子除去効率99%以上)により、原子炉格納容器からアニュラス部にわずかに漏えいした空気に含まれる放射性物質の外部への放出を十分に低減する(乙 13(8-9-17~8-9-23頁))。 第2 福島原発事故後の安全確保対策について福島原発事故における教訓は、津波について適切に把握できていなかった結果、原子炉を「止 分に低減する(乙 13(8-9-17~8-9-23頁))。 第2 福島原発事故後の安全確保対策について福島原発事故における教訓は、津波について適切に把握できていなかった結果、原子炉を「止める」機能を除き、安全上重要な機能がいずれも喪失し、炉心の著しい損傷に至る事態を食い止めることができず、多重の障壁の機能も維 持できなかったことである。 伊方原子力発電所については、前記第1のとおり、事故防止に係る安全確保対策を講じ、事故発生時においても五重の障壁により、確実に放射性物質を閉じ込め、放射性物質を環境へ大量に放出する事態を防止することができるが、被告は、福島原発事故の教訓や新規制基準の制定を踏まえ、伊方原子力発電所 の安全性をさらに向上させる観点から、以下のとおり、事故防止の安全確保対策が奏功せず、炉心が著しい損傷に至るおそれのある事象、さらに炉心が著しい損傷に至る事象が発生した場合においても、安全性を確保することができるよう安全確保対策を強化している(乙13(10-6-1頁以下))。 1 炉心が著しい損傷に至るおそれのある事象に対する安全確保対策の強化 ⑴ 原子炉の停止機能が喪失する事象への対策ア原子炉の自動停止機能が喪失する事象の特徴原子炉の自動停止機能が喪失する事象としては、「主給水流量喪失」のような運転時の異常な過渡変化が発生し、原子炉の緊急停止が必要な状況で、制御棒の自動挿入による原子炉停止に失敗する事象が想定される。「主給水 流量喪失」、「負荷の喪失(出力運転中に外部送電系、蒸気タービンの故障 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1025 等により、蒸気タービンへの蒸気流量が急減し、二次冷却系の冷却能力が低下する事象)」といった、一次冷却系を加圧する事象が起因 障 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1025 等により、蒸気タービンへの蒸気流量が急減し、二次冷却系の冷却能力が低下する事象)」といった、一次冷却系を加圧する事象が起因事象の場合には、何らの対策も講じなければ、原子炉が高出力で維持され、蒸気発生器による除熱も低下するため、一次冷却系の温度及び圧力が上昇して、原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性が確保されず、また、加圧器安全弁等からの一次冷 却材の漏えいが継続することにより、炉心損傷に至る可能性がある。 したがって、原子炉の自動停止機能が喪失する事象においては、原子炉の特性である自己制御性を利用して、減速材の温度効果により原子炉出力の抑制を図るとともに、蒸気発生器による除熱を確保し、一次冷却系の過圧を防止することにより、炉心損傷を防止する。そして、長期的には炉心へホウ酸 水を注入することにより未臨界を確保し、最終的な熱の逃がし場への熱の輸送を行い、除熱をすることにより炉心の損傷を防止する必要がある。 イ原子炉の自動停止機能が喪失する事象における炉心損傷の防止原子炉の自動停止機能が喪失する事象に対して、炉心が著しい損傷に至ることなく、かつ、十分な冷却を可能とするため、被告は、主蒸気ライン隔離、 補助給水ポンプ等を自動作動させる多様化自動作動盤(ATWS緩和設備)を整備した。また、長期的な安定停止のための対策として、未臨界を確保するためにホウ酸水を緊急注入する手順を整備するとともに、炉心を冷却するために余熱除去系等により冷却する手順を整備した。 これらの対策により、原子炉の自動停止機能が喪失する事象は、次のとお り進展し、炉心の損傷は防止される。すなわち、起因事象発生後、原子炉の自動停止機能が喪失することにより、蒸気発生器の水位が低下す らの対策により、原子炉の自動停止機能が喪失する事象は、次のとお り進展し、炉心の損傷は防止される。すなわち、起因事象発生後、原子炉の自動停止機能が喪失することにより、蒸気発生器の水位が低下するが、ATWS緩和設備が原子炉の自動停止機能喪失を検知することにより、自動的に主蒸気ラインを隔離するため、トリップ失敗直後の原子炉出力に見合った蒸気発生器からの除熱が抑えられ、一時的に一次冷却系の温度が上昇して、減 速材の温度効果により原子炉出力を抑制する。その後、自動起動した補助給 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1026 水ポンプによって、蒸気発生器及び主蒸気逃がし弁を用いた冷却を行うことができるため、一次冷却系の圧力が過度に上昇することはない。また、ATWS緩和設備により原子炉出力を抑制した後は、化学体積制御設備を用いた炉心へのホウ酸水の注入により未臨界を確保するとともに、長期的には、余熱除去系による炉心冷却を継続することにより、安定的に原子炉を停止した 状態を保つことができる。 そして、被告は、これらの対策の有効性評価を行い、解析の結果、例えば「主給水流量喪失」の場合において、原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力は最高値で約18.5MPa[gage](有効性を確認するための評価項目として設定した事項は「20.59MPa[gage]を下回ること」) にとどまるなど、原子炉の自動停止機能が喪失する事象に係る炉心損傷防止対策が有効であることを確認している。 (乙13(10-7-1-90~10-7-1-114頁)及び乙16(153~160頁)参照)⑵ 原子炉の冷却機能が喪失する事象への対策 ア電源設備の強化福島原発事故では、外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの電力供給が喪 114頁)及び乙16(153~160頁)参照)⑵ 原子炉の冷却機能が喪失する事象への対策 ア電源設備の強化福島原発事故では、外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの電力供給が喪失し、原子炉の冷却機能が喪失したことが事故の大きな要因となったことから、伊方原子力発電所の電源設備を強化している。 例えば、伊方原子力発電所の外部電源は、川内変電所に連系する500 kV送電線1ルート2回線を本件3号機に、大洲変電所に連系する187kV送電線2ルート4回線を各号機に、八幡浜変電所に連系する66kV送電線1ルート1回線を本件1・2号機にそれぞれ接続することで、各号機が複数の変電所から受電できるよう回線の独立性を確保している。また、各号機に接続する送電線ルートが、特定の鉄塔に集中して架線される ことがないよう架線する鉄塔を分散することで回線の物理的分離を図って 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1027 いるところ、福島原発事故において、付近の盛り土の大規模崩落が原因で、福島第一原子力発電所に接続する送電線を架線していた鉄塔が倒壊したことを踏まえ、上記送電線路の鉄塔基礎の安定性を確認・確保した(乙84)。さらには、迅速な復旧が可能な配電線を敷設したほか、各号機間で電源を融通できるようケーブルを接続できるようにしたことで、緊急時 には、本件1・2号機において、本件3号機を通じた500kV送電線(本件3号機にしか接続していない)からの受電、本件3号機において、本件1・2号機を通じた66kV送電線(本件1・2号機にしか接続していない)からの受電を可能とした。(乙13(8-10-33~8-10-38頁)、乙14(5頁)、乙16(382頁)) 非常用ディーゼル発電機及びその付属設備について 1・2号機にしか接続していない)からの受電を可能とした。(乙13(8-10-33~8-10-38頁)、乙14(5頁)、乙16(382頁)) 非常用ディーゼル発電機及びその付属設備について、各号機にそれぞれ1台で必要な容量のものを各々別の場所に2台備えるとともに、各号機間において融通可能とした。また、外部からの支援なしにそれぞれ定格出力で3.5日にわたって連続して給電できるよう、燃料を敷地内の燃料油貯油槽及び重油タンクに貯蔵しているところ(ただし、外部電源喪失時に冷 温停止状態に移行し、その状態を維持するために最低必要な負荷だけであれば約7日にわたって給電できる(乙19、乙20、乙85)。)、本件3号機では、それぞれ定格出力で7日間以上にわたって連続して給電できるよう、重油タンクを増設した。(乙16(112~116頁)、乙62(23~25頁)) イ全交流電流が喪失する事象への対策全交流動力電源が喪失する事象の特徴全交流動力電源が喪失する事象としては、原子炉の出力運転中に外部電源が喪失した場合に、安全上重要な設備である非常用ディーゼル発電機からの電力供給が喪失する事象が想定される。このケースでは、交流動力を 駆動源とする電動補助給水ポンプによる蒸気発生器への給水、高圧注入ポ 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1028 ンプ及び低圧の余熱除去ポンプによる炉心注水等ができなくなる。また、海水ポンプが使用できなくなることにより原子炉補機冷却機能が喪失し、その結果、一次冷却材ポンプのシール部から一次冷却材の漏えいが発生すると、一次冷却材の保有水量が減少する。そして、これに対して何らの対策も講じなければ、炉心を冷却することができなくなり、炉心損傷に至る 可能性がある。 した ル部から一次冷却材の漏えいが発生すると、一次冷却材の保有水量が減少する。そして、これに対して何らの対策も講じなければ、炉心を冷却することができなくなり、炉心損傷に至る 可能性がある。 したがって、全交流動力電源が喪失する事象においては、電源回復のための措置を講じることを第一としつつ、早期に炉心を冷却し、減圧する措置を講じるとともに、一次冷却材の漏えい量が多い場合にはこれを確保するための炉心注水を行うことにより、炉心の損傷を防止する必要がある。 電源回復のための措置についてa 空冷式非常用発電装置伊方原子力発電所では、全交流動力電源が喪失する事象が発生した場合においても炉心の損傷に至らないようにするため、必要な機器への電力供給を回復するための代替電源設備として空冷式非常用発電装置を 2台設置した。空冷式非常用発電装置は、重油タンクよりミニローリーを用いて燃料を補給することとしているところ、重油タンクには、定格負荷で7日間の運転が可能となるよう必要な燃料を保有している(乙313(57-8-3~57-8-4頁)、乙316(8-10-30~8-10-31頁))。また、空冷式非常用発電装置を使用した代替電源系 統は、空冷式非常用発電装置から非常用高圧母線までの系統において、独立した電路で系統構成することにより、非常用ディーゼル発電機から非常用高圧母線までに電源系統に対して、共通要因によって同時に機能を損なわないようにしている(乙13(8-10-23頁)、乙315(57-7-1~57-7-6頁))。 b 電源車 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1029 新規制基準においては、対応の柔軟性や耐震性の点で有利な可搬型設備を用いて重大事故等に対応することを基本として考えられて 源車 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1029 新規制基準においては、対応の柔軟性や耐震性の点で有利な可搬型設備を用いて重大事故等に対応することを基本として考えられている。そこで、伊方原子力発電所では、電源車(300kVA3台、75kVA3台)をはじめとする可搬型重大事故等対処設備を配備し、それらについて、転倒評価、構造強度評価等の評価を実施し、基準地震動Ssによ って重大事故等に対処するための機能を損なわないことを確認した。また、電源車は、非常用ディーゼル発電機及び空冷式非常用発電装置から離隔距離を確保した複数個所に分散して保管することで、共通要因によって同時に機能を損なわないよう位置的分散を図った。(乙13(338~342頁、8-10-17~8-10-24頁、8-1-609~ 8-1-611頁)、乙65、乙66、乙102(4~5頁)、乙313(57-8-1~57-8-15頁))c 非常用ガスタービン発電機被告は、常設重大事故等対処設備として、空冷式非常用発電装置に加え、非常用ガスタービン発電機及び非常用ガスタービン発電機燃料油貯 油槽を追加設置している(乙205、乙634、乙647、乙651、乙652)。非常用ガスタービン発電機及び非常用ガスタービン発電機燃料油貯油槽は、地震、津波その他の自然現象、外部人為事象、溢水、火災およびサポート系の故障による共通要因によって同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、他の電源設備と独立性を有し、位置的 分散を図るものである(乙314(添付2の30~33頁))。そして、非常用ガスタービン発電機燃料油貯油槽は、重大事故等発生後7日間、非常用ガスタービン発電機の連続運転に必要な燃量に対して十分なタンク容量を有する設計としている(乙3 付2の30~33頁))。そして、非常用ガスタービン発電機燃料油貯油槽は、重大事故等発生後7日間、非常用ガスタービン発電機の連続運転に必要な燃量に対して十分なタンク容量を有する設計としている(乙315(43-4頁))。 電源回復以外の炉心冷却機能について 全交流電力電源が喪失した場合、前記の電源回復措置が図られるとと 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1030 もに、動力源として電力を必要としないタービン動補助給水ポンプが起動し、蒸気発生器二次側(蒸気発生器の伝熱管の外側(熱を受け取る側))への給水を行い、主蒸気逃がし弁から大気に原子炉の熱を放出することにより原子炉の冷却を行う(乙13(10-7-1-25~10-7-1-58頁)及び乙16(138~145頁)参照)。タービン動補助給水ポンプ が担う二次系への給水機能については、代替電源による交流動力電源回復後には電動補助給水ポンプ(2台)、蒸気発生器代替注水ポンプといった機器によって担うことが可能なほか、電源を必要としない可搬型設備である中型ポンプ車と加圧ポンプ車を組み合わせた手段等によっても担うことができる(乙13(添付十追補1.5-7頁))。なお、被告は、水源に ついては、補助給水タンク、二次系純水タンク等のほか、本件1号機及び本件2号機の水源を利用することも可能であるし(乙294(18頁))、海水を使用することも可能であるとする。 また、全交流動力電源を喪失した場合の炉心損傷防止対策では、補機冷却系が機能喪失した状態のまま原子炉の冷却を維持するが、中型ポンプ車 を用いて補機冷却系の機能を回復させる手段なども確保しているとする(乙13(添付十追補1.5-24頁以下))。 一次冷却材の漏えい量が多い場合の炉心注水について 持するが、中型ポンプ車 を用いて補機冷却系の機能を回復させる手段なども確保しているとする(乙13(添付十追補1.5-24頁以下))。 一次冷却材の漏えい量が多い場合の炉心注水について炉心冷却ができなくなり、一次冷却材ポンプのシール部から一次冷却材が漏えいした場合には、漏えい規模に応じて一次冷却材の保有水量が減少 するとともに、一次冷却系の圧力が低下するため、蓄圧注入系が作動するようにしている。上記の対応と並行して代替電源により交流動力電源を回復する作業を行い、充てんポンプ(自己冷却式)の起動準備を行う。そして、電源回復後に蓄圧注入系による注水を停止した後は、充てんポンプ(自己冷却式)による炉心注水を行うことによって、一次冷却材の保有水量を 確保することができる。充てんポンプ(自己冷却式)の使用ができない場 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1031 合には、代替格納容器スプレイポンプ(格納容器スプレイポンプが作動しない場合にこれを代替して原子炉格納容器へ注水を行うもの)により冷却水を炉心に直接注入する。これらに加えて、中型ポンプ車及び加圧ポンプ車、ディーゼル駆動式消火ポンプ、消防自動車なども整備しており、これらを用いることにより一次系への注水手段を確保している。 被告は、これらの対策の有効性評価を行い、解析の結果、一次冷却材ポンプから一次冷却材が漏えいした場合でも、炉心の冠水状態を維持することが可能であり、燃料被覆管温度は事故初期値の温度である約380℃(有効性を確認するための評価項目として設定した事項は「1200℃以下」)にとどまるなど、全交流動力電源が喪失する事象に係る炉心損傷防 止対策が有効であることを確認した。 (乙13(10-7-1-25~10-7-1-58頁 として設定した事項は「1200℃以下」)にとどまるなど、全交流動力電源が喪失する事象に係る炉心損傷防 止対策が有効であることを確認した。 (乙13(10-7-1-25~10-7-1-58頁、添付十追補1. 4-12~1.4-13頁))ウ全交流動力電源が喪失する事象以外の炉心が損傷に至る可能性がある事象における炉心の冷却 全交流動力電源が喪失する事象以外で、炉心が損傷に至る可能性のある事象の例としては、中小LOCA(例えば、直径数十センチ程度の配管の亀裂が原因となるようなもの)発生時にECCSの高圧注入機能が喪失する事象、大LOCA(例えば、一次冷却材管の両端破断(ギロチン破断)が原因となるようなもの)発生時にECCSの再循環機能が喪失する事象、過渡事象発 生時に二次冷却系からの除熱機能が喪失する事象等があるが、炉心の冷却機能を強化したことによって、上述のような事象においても炉心の著しい損傷を防止することができる。例えば、中小LOCA発生時にECCSの高圧注入機能が喪失する事象においては、補助給水ポンプ及び主蒸気逃がし弁を用いた蒸気発生器による二次系冷却によって、原子炉を減圧させ、その後低圧 の余熱除去ポンプにより炉心へ注水を行うことができる(乙13(10-7 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1032 -1-115~10-7-1-143頁)、乙16(160~164頁))。 また、大LOCA発生時にECCSの再循環機能が喪失する事象、すなわち、大LOCA時の対応操作として、通常、燃料取替用水タンクを水源とするECCSによる炉心への注水後に、長期の炉心冷却のために格納容器再循環サンプを水源とするECCS再循環運転への切替えを行うが、これに失敗する 事象を想定した場合においても、 水タンクを水源とするECCSによる炉心への注水後に、長期の炉心冷却のために格納容器再循環サンプを水源とするECCS再循環運転への切替えを行うが、これに失敗する 事象を想定した場合においても、格納容器スプレイポンプと低圧の余熱除去系ポンプの系統を接続する配管を設けており、格納容器スプレイポンプを用いた代替再循環による炉心冷却等が可能である(乙13(10-7-1-144~172頁)、乙16(164~170頁))。 なお、ECCSに関しては、性能確認(乙13(8-5-36~8-5- 37頁)、乙78(4-166~4-169頁、8-1~8-7頁、添付6)、乙320)を行うとともに、各種の試験及び検査等の保全活動を定期的かつ継続的に実施するとともに、操作手順を定めて遵守するなどして、ECCSの機能及び操作の信頼性を確保している。また、スプレイポンプは2台あり、それぞれ別系統に分離されており、260個のスプレイノズルは4段のスプ レイリングに分散させており、各機器については通気試験や定期検査で機能確認や動作確認が行われている(乙13(584頁)、乙78(4-182~183頁))上、格納容器スプレイが使用できない場合にも、原子炉格納容器内の冷却や原子炉格納容器の加圧破損を防止するための重大事故対策として、代替格納容器スプレイや格納容器再循環ユニットを用いた格納容器 内自然対流冷却の対策を整備し(乙13(199~216頁)、乙78(4-252頁等))、炉心注水への切替えに支障がないようにしている(乙13(10-7-1-28~10-7-1-29頁)、乙14(9頁))。 2 炉心が著しく損傷するに至る事象に対する安全確保対策の強化被告は、前記1の対策が奏功せず、炉心の著しい損傷が生じるに至った場合を 想定し、原子炉格納 -1-29頁)、乙14(9頁))。 2 炉心が著しく損傷するに至る事象に対する安全確保対策の強化被告は、前記1の対策が奏功せず、炉心の著しい損傷が生じるに至った場合を 想定し、原子炉格納容器が破損に至る可能性がある現象を引き起こすと想定され 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1033 る事象を抽出し、そのような事象が発生したとしても原子炉格納容器の破損を防止することができる対策を講じるとともに、その対策の有効性を確認したとしている。 ⑴ 原子炉格納容器過圧破損の特徴原子炉格納容器過圧破損に至る可能性のある事象としては、原子炉の出力運 転中に、LOCA、全交流動力電源喪失等が発生し、かつ、ECCS及び原子炉格納容器スプレイ設備等の安全上重要な設備の安全機能が喪失した場合、何も対策を講じなければ、炉心が著しく損傷し、原子炉格納容器内へ流出した高温の一次冷却材、溶融炉心の熱で発生した水蒸気等により、原子炉格納容器圧力が過剰に上昇し、原子炉格納容器の破損に至る。 ⑵ 原子炉格納容器の過圧破損の防止前記⑴のケースにおいても、原子炉格納容器過圧破損に至らないようにするためには、原子炉格納容器の雰囲気を冷却及び除熱することにより、圧力の上昇を抑制する必要がある。そこで、被告は、格納容器スプレイポンプが作動しない場合でも原子炉格納容器内へ注水できるよう代替格納容器スプレイポン プを設置するとともに、通常時において原子炉格納容器内の機器及び配管類からの放熱を除去するために設けた格納容器再循環装置(乙13の8-8-32頁及び8-8-62~63頁参照)のうちの格納容器再循環ユニットを用いて原子炉格納容器雰囲気を除熱し、減圧する手段を確保している。ちなみに、格納容器再循環ユニットは、冷却水と原子炉 3の8-8-32頁及び8-8-62~63頁参照)のうちの格納容器再循環ユニットを用いて原子炉格納容器雰囲気を除熱し、減圧する手段を確保している。ちなみに、格納容器再循環ユニットは、冷却水と原子炉格納容器内の空気の熱交換を行う装 置であるが、除熱された空気が下部へ移動することで原子炉格納容器内に自然対流が発生するため、ファンが作動しなくても、つまり電力の供給がなくても、連続した除熱が可能である。そして、冷却に用いる原子炉補機冷却水が全交流動力電源喪失などにより使用できない場合を考慮し、ディーゼル駆動式の中型ポンプ車により、格納容器再循環ユニットに冷却水として海水を供給すること を可能としている。 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1034 これらの対策により、炉心の著しい損傷に至った場合にも、原子炉格納容器の破損は防止できる。すなわち、ECCSや原子炉格納容器スプレイポンプが機能せず、炉心の著しい損傷に至った場合には、代替格納容器スプレイポンプにより原子炉格納容器への注水を行う。注水した冷却水は原子炉格納容器下部へ流入して溜まり、原子炉容器を貫通し原子炉格納容器下部に落下した溶融炉 心の冷却を行う。溶融炉心の熱を奪った冷却水は水蒸気となり原子炉格納容器の圧力を上昇させる。この水蒸気は、格納容器再循環ユニットにおいて冷却水と熱交換を行い、冷却水が吸収した熱は原子炉格納容器外へ放出される。こうして原子炉格納容器内の水蒸気が冷却され、凝縮することで原子炉格納容器内の圧力は低下する(凝縮した水は、再び原子炉格納容器下部へ流入し、溶融炉 心を冷却する。)。そして、この循環は、格納容器内の雰囲気が自然対流することで継続的に行うことができるため、長期的に格納容器過圧破損を防止することが可能である。 格納容器下部へ流入し、溶融炉 心を冷却する。)。そして、この循環は、格納容器内の雰囲気が自然対流することで継続的に行うことができるため、長期的に格納容器過圧破損を防止することが可能である。(ちなみに、全交流動力電源喪失時には、代替電源設備の起動を行い、この電力により代替格納容器スプレイポンプを作動させるが、万が一、代替電源が確保できなかった場合でも、中型ポンプ車及び加圧ポンプ車により、 海水を格納容器内にスプレイすることも可能である。)被告は、これらの対策について、厳しい結果となるよう全交流動力電源喪失(とこれに伴う原子炉補機冷却機能の喪失)をも考慮して有効性評価を行い、解析の結果、原子炉格納容器内の圧力は最高で0.335MPa[gage](有効性を確認するための評価項目として設定した事項は「0.566MPa [gage]を下回ること」)にとどまるなど、本件3号機における「原子炉格納容器過圧破損」の防止対策が有効であることを確認している。 (乙13(10-7-2-2~10-7-2-41頁)及び乙16(178~185頁)参照)なお、上記対策によっても、万が一、原子炉格納容器の破損に至った場合に は、その影響を緩和するため、大型放水砲及び大型ポンプ車により原子炉格納 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1035 容器に放水を行うなど、発電所敷地外への放射性物質の拡散の軽減を図ることとしており、そのための手順の整備、体制の整備等を行っている(乙13(8-9-104~8-9-116頁)、乙16(363~368頁)参照)。 ⑶ 原子炉格納容器過圧破損以外の原子炉格納容器が破損に至る可能性がある現象に対する原子炉格納容器による放射性物質の閉じ込め 原子炉格納容器過圧破損以外で、原子炉 63~368頁)参照)。 ⑶ 原子炉格納容器過圧破損以外の原子炉格納容器が破損に至る可能性がある現象に対する原子炉格納容器による放射性物質の閉じ込め 原子炉格納容器過圧破損以外で、原子炉格納容器の破損に至る可能性のある現象としては、原子炉格納容器内の温度が過剰に上昇する現象、炉心の損傷等により発生した水素が激しく燃焼する現象、溶融炉心によって原子炉格納容器床のコンクリートが浸食される現象などが考えられるが、原子炉格納容器の破損を防止する機能を強化したことによって、上記の現象を引き起こす事象にお いても原子炉格納容器の破損に至ることはなく、放射性物質を閉じ込めることが可能である。例えば、原子炉格納容器内の温度が過剰に上昇する事象については、原子炉格納容器過圧破損の防止と同様に、溶融炉心への注水を行うとともに、格納容器再循環ユニットにより原子炉格納容器内の雰囲気を除熱する対策を講じることとしている。また、炉心の損傷等により発生した水素が激しく 燃焼する事象については、そもそもPWRの原子炉格納容器の自由体積(原子炉格納容器内に設置された設備等の体積を除く自由空間の体積)は非常に大きいため、原子炉格納容器の健全性を脅かすような水素爆轟(衝撃波を伴いながら水素が激しく燃焼する現象)に至るほど水素濃度が上昇しないという特徴を有しているが、静的触媒式水素再結合装置を設置するとともに、さらに、電気 式水素燃焼装置(イグナイタ)を設置して水素濃度の低減を図っており、水素燃焼により、原子炉格納容器の破損に至ることはない。 (乙13(10-7-2-42~10-7-2-172頁)及び乙16(185~213頁)参照)第3 安全確保対策に係る実効性確保 被告は、伊方原子力発電所の安全確保対策を実効性あるものとするため、 (10-7-2-42~10-7-2-172頁)及び乙16(185~213頁)参照)第3 安全確保対策に係る実効性確保 被告は、伊方原子力発電所の安全確保対策を実効性あるものとするため、保安 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1036 規定に従い、保安管理体制を確立し、運転管理、保守管理、保安教育等を実施している。これらの業務を行うにあたっては、保安規定に定めた品質保証活動計画に基づく品質保証活動を実施することにより、伊方原子力発電所の安全性を維持し、さらなる向上に努めている。 1 保安管理体制 被告は、伊方原子力発電所の平常運転時はもちろんのこと、非常時においても適切に対応できるよう保安管理体制を確立している。具体的には、社長が伊方原子力発電所における保安活動に係る品質マネジメントシステムの構築及び実施並びにその有効性の継続的な改善を統括し、伊方原子力発電所の現地組織においては、発電所長が保安に関する業務を統括する。発電所長のもと、品質保証部長、 品質保証課長、保安管理課長等が品質保証に係る業務を遂行する。また、本店に原子力発電安全委員会を、発電所に伊方発電所安全運営委員会をそれぞれ設置し、保安に関する事項の審議を行う。また、運転に関し保安監督を行うための原子炉主任技術者を選任するなどしている。(乙78(3-1~3-12頁)) 2 運転管理 伊方原子力発電所の運転管理にあたっては、保安規定に定める運転上の留意事項、運転上の制限、異常時の措置等を順守する。運転員については、必要な知識を有することはもちろんのこと、運転責任者である当直長は、原子力規制委員会が定める基準に適合した者の中から選任する。安全上重要な機器等の設備は、所定の機能を発揮できるように管理している。また、原子炉 を有することはもちろんのこと、運転責任者である当直長は、原子力規制委員会が定める基準に適合した者の中から選任する。安全上重要な機器等の設備は、所定の機能を発揮できるように管理している。また、原子炉の起動及び停止、電気 出力上昇、降下等の運転操作は、中央制御室における状態監視に加え、必要に応じ現場において設備・機器の状態を正しく把握しつつ行う。また、平常運転時においても、定期的な作動試験により、平常時には稼働することがない非常用の系統・機器が必要なときにその機能を発揮できることを確認するとともに、日常的な巡視点検等を行う。(乙78(4-1~4-375頁)) 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1037 3 保守管理保守管理計画に基づき保全プログラムを策定し、点検計画や補修、取替え及び改造に係る計画等を定め、計画的な保全活動を実施している。そして、保全活動から得られた情報等から、保全の有効性を評価し、保全が有効に機能していることを確認するとともに、継続的な改善に努めている。(乙78(8-1~8-7 頁、添付6)) 4 保安教育被告は、毎年度、原子炉施設の運転及び管理を行う発電所員への保安教育実施計画を作成し、これに基づく保安教育を実施している。具体的には、関係法令や保安規定の順守に関する事項、放射線管理に関する事項、運転管理(運転操作、 巡視点検、異常時対応等に関する事項)、運転訓練(シミュレータによる運転訓練)等を実施している。また、原子炉施設に関する作業を協力会社が行う場合は、当該協力会社従業員について、入所時に安全上必要な教育(放射性物質で汚染された物の取り扱い、放射線管理、関係法令・保安規定の順守等に関する事項)が実施されていることなどの確認を行う。(乙16(8頁)、乙78 会社従業員について、入所時に安全上必要な教育(放射性物質で汚染された物の取り扱い、放射線管理、関係法令・保安規定の順守等に関する事項)が実施されていることなどの確認を行う。(乙16(8頁)、乙78(10-1~1 0-10頁)) 5 品質保証品質保証計画を定め、安全性を達成・維持・向上させるため、一般社団法人日本電気協会の「原子力発電所における安全のための品質保証規程(JEAC4111)」に従った品質マネジメントシステムに、実用発電用原子炉に係る発電用 原子炉設置者の設計及び工事に係る品質管理の方法及びその検査のための組織の技術基準に関する規則を踏まえた、伊方原子力発電所における保安活動に係る品質マネジメントシステムを確立し(Plan)、実施し(Do)、評価確認し(Check)、継続的に改善する(Act)、いわゆるPDCAサイクルによる品質保証活動を行っている(乙16(6~8頁)、乙78(2-1~2-19頁))。 別紙その他安全確保対策に関する再稼働申請の内容1038 6 重大事故等発生時の体制及び手順書の作成福島原発事故における非常用復水器(IC)に関する大きな教訓としては、全交流電源喪失状態となった場合の非常用復水器(IC)の操作や操作後の確認作業についてのマニュアルがなく、系統確認や運転操作を迅速にできなかった点が挙げられる(乙407(1.0.12-3頁))ところ、被告は、このような教訓 も踏まえて、重大事故等にも対応できるよう体制及び手順を整備している(乙408、乙412)。体制及び手順の整備に当たっては、伊方原子力発電所の重大事故等対策の実施について責任を負う伊方原子力発電所の所長が不在の場合や、伊方原子力発電所で勤務している要員の数が平日の日中と比較して限られる夜間・休日の場合 備に当たっては、伊方原子力発電所の重大事故等対策の実施について責任を負う伊方原子力発電所の所長が不在の場合や、伊方原子力発電所で勤務している要員の数が平日の日中と比較して限られる夜間・休日の場合でも、必要な活動が実施できるよう整備している。 以上

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