平成15年6月24日判決言渡平成9年(ワ)第12659号損害賠償請求事件(甲事件)平成9年(ワ)第13285号損害賠償請求事件(乙事件)平成15年(ワ)第3932号供託金還付請求権確認請求事件(反訴事件)判決主な当事者等の略称株式会社ソフトウェアジャパンを「ソフトウェアジャパン」又は「破産会社」とする。 甲事件原告,乙事件被告,反訴被告・株式会社ソフトウェアジャパン訴訟承継人破産者株式会社ソフトウェアジャパン破産管財人弁護士狐塚鉄世を「原告管財人」又は「乙事件被告管財人」又は「反訴被告管財人」とする。 甲事件原告,乙事件被告・Aを「原告A」又は「乙事件被告A」とする。 甲事件被告,乙事件原告,反訴原告・カテナ株式会社を「被告カテナ」又は「被告会社」又は「乙事件原告カテナ」又は「反訴原告カテナ」とする。 甲事件被告,乙事件原告・Bを「被告B」又は「乙事件原告B」とする。 甲事件被告,乙事件原告・Cを「被告C」又は「乙事件原告C」とする。 主文 1 甲事件原告らの請求をいずれも棄却する。 2 反訴原告カテナと反訴被告管財人との間において,別紙1(供託金目録)記載の各供託金について,反訴原告カテナが還付請求権を有することを確認する。 3 乙事件被告Aは,乙事件原告カテナに対し,金220万円及びこれに対する平成9年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 乙事件原告カテナのその余の請求,乙事件原告Bの請求及び乙事件原告Cの請求を,いずれも棄却 対し,金220万円及びこれに対する平成9年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 乙事件原告カテナのその余の請求,乙事件原告Bの請求及び乙事件原告Cの請求を,いずれも棄却する。 5 訴訟費用は,全ての事件を通じてこれを6分し,その1を被告カテナ,被告B及び被告Cの,その2を原告Aの,その余を原告管財人の,それぞれ負担とする。 6 この判決は,主文第3項及び第5項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求(甲事件,反訴事件) 1 甲事件原告管財人の請求(1) 被告カテナは,原告管財人に対し,金31億5733万6321円及びこれに対する平成11年2月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (2) 原告管財人と被告カテナとの間において,別紙1(供託金目録)記載の各供託金について,原告管財人が還付請求権を有することを確認する。 2 甲事件原告Aの請求被告らは,原告Aに対し,連帯して金10億6250万円及びこれに対する平成8年9月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 反訴原告カテナの反訴請求反訴原告カテナと反訴被告管財人との間において,別紙1(供託金目録)記載の各供託金について,反訴原告カテナが還付請求権を有することを確認する。 (乙事件) 1 東京地方裁判所平成10年(フ)第367号破産事件につき,破産会社に対し,乙事件原告カテナが金5億4107万円及びこれに対する平成9年7月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請求権を,乙事件原告Bが金1億1107万円及びこれに対する平成9年7月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請求権を,乙事件原告Cが金5657万円及びこれに対する平成9年7月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請 万円及びこれに対する平成9年7月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請求権を,乙事件原告Cが金5657万円及びこれに対する平成9年7月5日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請求権を,それぞれ破産債権として有することを確定する。 2 乙事件被告Aは,乙事件原告カテナに対して金5億4107万円及びこれに対する平成9年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を,乙事件原告Bに対して金1億1107万円及びこれに対する平成9年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を,乙事件原告Cに対して金5657万円及びこれに対する平成9年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を,それぞれ支払え。 第2 事案の概要本件は,平成8年当時コンピューター・ソフトの販売で業界第2位であったソフトウェアジャパンが,同じく業界第3位の被告カテナから20億円の融資を受け,被告カテナとの合併に合意したが,合併準備手続の中でソフトウェアジャパンの財務状況の評価をめぐって争いになり,被告カテナとの合併を取りやめたことによって生じた一連の紛争である。 甲事件は,ソフトウェアジャパン(破産宣告後に破産管財人が承継)とその社長であった原告Aが,被告カテナ,同社の社長である被告B及び同社の専務取締役であった被告Cに対し,被告らは合併意思がないのに合併を装い不当な資産評価によってソフトウェアジャパンを破産に追い込んだなどとして損害賠償を請求するとともに,否認権を行使しして上記融資の担保としてした債権譲渡の効力を争い,回収分の返還と供託された分について還付請求権の確認とを請求しているものである。 乙事件は,合併が白紙に戻った後,原告Aが業界関係者に対して被告らが合併詐欺を行ったなどと記載した文書を配布したりしたことから,被告カテナらが 分について還付請求権の確認とを請求しているものである。 乙事件は,合併が白紙に戻った後,原告Aが業界関係者に対して被告らが合併詐欺を行ったなどと記載した文書を配布したりしたことから,被告カテナらが,ソフトウェアジャパンと原告Aに対して,これらの行為は信用毀損や名誉毀損であることや,同旨の本件訴訟は不当訴訟であるなどとして,損害賠償請求をしているものである。 反訴事件は,甲事件で問題となっている供託金について,被告カテナが破産管財人に対して還付請求権の確認を求めているものである。 1 基本となる事実(証拠を掲記したもの以外は当事者間に争いがない。)(1) 当事者等アソフトウェアジャパンは,コンピューターのソフトウェア,ハードウェア及びシステムの調査,開発,販売,コンサルタント業務を主たる目的とする株式会社であり,平成8年3月期当時の資本金は4億5230万円,発行済株式総数は541万株,売上高約380億円で,ソフトウェア流通業界において業界第2位のシェアを有していた(甲11号証,甲17号証(以下「A陳述書」という。),乙55号証の1)。 なお,ソフトウェアジャパンは,平成8年10月31日に自己破産の申立てをする旨発表したものの,同日,これを撤回して以降任意整理を行っていたが,平成10年1月30日に被告カテナほかの債権者による破産申立てがなされ,同年9月7日午後3時30分,破産宣告を受け,原告管財人がその破産管財人に選任されている(乙70号証と乙122号証(以下両者を併せて「C陳述書」という。),乙125号証)。 イ原告Aは,昭和58年4月にソフトウェアジャパンの代表取締役に就任し,以後,同社の代表取締役であったが,平成8年10月15日に一旦,代表取締役を辞任したものの,同月25日から再び同社の代表取締役に復帰し,以後,同社 年4月にソフトウェアジャパンの代表取締役に就任し,以後,同社の代表取締役であったが,平成8年10月15日に一旦,代表取締役を辞任したものの,同月25日から再び同社の代表取締役に復帰し,以後,同社の代表取締役であった者である(甲11号証,乙55号証の1)。 ウ被告カテナは,昭和43年1月19日に設立された株式会社であり,コンピューター,ソフトウェア,コンピューター関連製品の販売,賃貸,輸出入等を主たる業務とし,平成3年に東京証券取引所第2部に上場した。 被告カテナは,平成2年にソフトウェア流通業務を開始し,平成5年9月に株式会社ソフトウィングと資本提携,平成6年7月に同社と合併するなどして売り上げを伸ばし,平成8年3月期におけるソフトウェアの販売実績は約256億円で,被告カテナの売上高の32.7%(ソリューションサービス16.9%,機器販売50.4%)となり,ソフトウェア流通業界におけるシェアは約20%で,業界第3位であった。また,同じく平成9年3月期におけるパソコンソフトの販売実績は約306億円で,売上高の35.7%(ソリューションサービス15.8%,機器販売48.5%)であった。 ちなみに,平成8年3月期当時の資本金は約84億円,売上高は約782億円,総資産額は約610億円であり,平成9年3月期当時の売上高は約857億円,総資産額は約649億円であった。(甲13号証,乙91号証)エ被告Bは,被告カテナの創業者であり,創業の翌年から現在まで同社の代表取締役である。また,被告Cは,平成5年に住友銀行から被告カテナに出向し,平成6年に同社の常務取締役,平成7年に専務取締役,平成10年に副社長に就任した者であり,平成8年11月18日から平成9年6月3日までの間は,ソフトウェアジャパンの取締役も務めていた。 (2) ソフトウェ 年に同社の常務取締役,平成7年に専務取締役,平成10年に副社長に就任した者であり,平成8年11月18日から平成9年6月3日までの間は,ソフトウェアジャパンの取締役も務めていた。 (2) ソフトウェアジャパンの経営状況と本件7月貸付に至る経緯アソフトウェアジャパンは,パーソナル・コンピューターのソフトウェア(以下「パソコンソフト」という。)の法人向け販売(以下「外販」という。)を主体として,平成6年3月期には,売上高約265億0700万円(前期比15%増),経常利益約1億4700万円(前期比176%増),当期利益約3500万円(前期比192%増)を計上し,平成7年3月期には,売上高約304億3600万円(前期比14.8%増),当期利益約3800万円(前期比10.3%増)を計上するなど,順調に業績を伸ばしていた。そして,平成8年3月期には,Windows95の発売やインターネット普及により,約380億4100万円の売上げ(前期比25%増)を上げたものの,商品の低価格化や競争激化の影響を受け,経常利益は約5000万円(前期比63%減)にとどまり,さらに,取引先2社が相次いで,平成7年10月に和議を申し立て,平成8年2月には自己破産の申立てをしたことにより,貸倒損失約2億0300万円,債権償却特別勘定約7200万円を繰り入れるなど,特別損失約4億円の特別損失を計上した。また,平成8年2月には,コンピュータシステムにトラブルが生じ,出入荷処理が遅れ,取引に混乱が生じる事態となった。 イこれらの事情により,平成8年春ころから,ソフトウェアジャパンの資金繰りが悪化し始めたため,代表取締役であった原告Aは,他社との提携を検討することとし,同年3月末ころ,オリックス株式会社(以下「オリックス」という。)との間で提携に向けての交渉を開始した(A陳述 金繰りが悪化し始めたため,代表取締役であった原告Aは,他社との提携を検討することとし,同年3月末ころ,オリックス株式会社(以下「オリックス」という。)との間で提携に向けての交渉を開始した(A陳述書,甲18号証ないし甲21号証,乙49号証,乙55号証の1,乙72号証,乙123号証(以下「D陳述書」という。),原告A供述)。 ウまた,ソフトウェアジャパンは,平成8年6月20日過ぎころ,アメリカの大手ソフトウェア製造会社であり,ソフトウェアジャパンの最大の仕入先であるマイクロソフト株式会社(以下「マイクロソフト社」という。)から,同年7月から取引の与信枠を20億円から3億円に圧縮することを通告されたため,同社からパソコンソフトを仕入れるためには7月初めまでに同社に対して10億円を支払う必要が生じたが,このような資金需要はソフトウェアジャパンが取引銀行に提出していた半期の資金計画にはなく,時間的にも余裕がないことから,取引銀行からの借入れは困難であると考えられた。 エそこで,原告Aは,慶応大学の先輩で,平成8年当時ソフトウェア業界第1位の株式会社ソフトバンク(以下「ソフトバンク社」という。)の元社長で,同業界内で信頼の厚いE(以下「E元社長」という。)と個人的な交流があり,平成6年ころにはソフトウェアジャパンとアドバイザリー契約も結んでいたことから,同人に融資をしてくれる金融機関の紹介を依頼した。原告Aは,E元社長が野村證券勤務時代に三和銀行で業務研修したことがあり同銀行の役員と親しいと聞いていたことから,同銀行からの融資を引き出せないかとの期待を持っていた。 しかし,E元社長は,ソフトウェアジャパンの直近3期分(平成6年3月期ないし平成8年3月期)の決算書を検討したところ,売上額は順調に拡大しているが,利益率が低く,借入額が多いこと を持っていた。 しかし,E元社長は,ソフトウェアジャパンの直近3期分(平成6年3月期ないし平成8年3月期)の決算書を検討したところ,売上額は順調に拡大しているが,利益率が低く,借入額が多いことから,金融機関からの融資が不可能であると判断し,原告Aに対して,金融機関から融資を得ることは無理なので,経営基盤のある企業と資本・業務提携をして融資を得ることを勧めた。そして,E元社長は,つなぎ融資とはいえ10億円もの融資を実行できる資金力があり,ソフトウェアジャパンとの提携を前提として先行的に融資をするとなると,業界再編に意欲的なオーナー企業しかないと考え,同年7月初め,被告カテナの代表取締役である被告Bを原告Aに引き合わせた。 オ原告Aと被告Bは,パソコンソフト業界のソフトバンク社による寡占化について危機意識を持ち,業界再編の必要性について思惑が一致したため,被告カテナがソフトウェアジャパンに対して金融支援を行い,原告Aが被告カテナに対してソフトウェアジャパンの全持株を担保として提供することなどが合意された。 なお,原告Aは,E元社長及び被告Bに対して,既にオリックスとの提携に向けて交渉を開始していることを告げていなかった(A陳述書,D陳述書,乙89号証(以下「E元社長陳述書」という。),E元社長証人,原告A供述)。 カ被告カテナは,ソフトウェアジャパンに対する融資を実行するため,平成8年7月5日,同社の直近3期分の決算書及び帝国データバンクによる企業情報(平成8年6月25日調査,同年7月5日報告,乙55号証の1)を検討し,同社の資金不足は偶発的で一時的なものであり,また,原告Aが持株すべてを担保として提供することから,同人がソフトウェアジャパンと被告カテナとの業務提携に積極的であると判断し,ソフトウェアジャパンに対して提携を前提に1 発的で一時的なものであり,また,原告Aが持株すべてを担保として提供することから,同人がソフトウェアジャパンと被告カテナとの業務提携に積極的であると判断し,ソフトウェアジャパンに対して提携を前提に10億円を融資することを決定した。 キ融資の実行は,当時,被告カテナの専務取締役であった被告Cが担当することになり,同日,ソフトウェアジャパンに出向き,弁済期限を平成9年3月末日,利率を年2.125%(但し,住友銀行の短期プライムレートにスライド),遅延損害金を年15%として,被告カテナがソフトウェアジャパンに対して10億円を貸し付ける金銭消費貸借契約と,これを担保するため,原告Aが所有するソフトウェアジャパンの株式25万株と原告Aの持株会社である株式会社Aコーポレーションが所有するソフトウェアジャパンの株式156万株,合計181万株(発行済株式総数541万株の33.4%)を被告カテナに譲渡する譲渡担保契約を締結し,被告カテナからソフトウェアジャパンに対して10億円が貸し付けられた(以下「本件7月貸付」という。)。しかし,譲渡担保に供するはずの上記ソフトウェアジャパンの株券は発行されていなかったため,被告カテナはその株券の交付を受けることができず,同株券が被告カテナに交付されたのは同年9月26日であった。 クソフトウェアジャパンは,同日,被告カテナから融資された10億円を原資として,マイクロソフト社に対して同額の支払いをした(A陳述書,乙26号証,乙55号証の2,乙57号証,乙59号証,C陳述書,D陳述書,乙86号証,原告A,被告C)。 ケ他方,被告カテナは,ソフトウェアジャパンとの提携について検討し,被告カテナあるいは関連会社との合併が最も有効であると考えたが,原告Aが合併に抵抗感があると思われたため,資金支援を含む業務提携後に合併ある 被告カテナは,ソフトウェアジャパンとの提携について検討し,被告カテナあるいは関連会社との合併が最も有効であると考えたが,原告Aが合併に抵抗感があると思われたため,資金支援を含む業務提携後に合併あるいは資本提携(合併会社設立または資本参加)することを検討していた(C陳述書)。 (3) ソフトウェアジャパンの経営改革(A陳述書,乙39号証,乙40号証,乙49号証,D陳述書)アソフトウェアジャパンは,平成8年春ころには,前記のような経営状況にあり,早急に経営改善を図る必要に迫られていたことから,メインバンクの1つである日本長期信用銀行から経営コンサルタントのD(以下「D室長」という。)を紹介され,同年7月初めから,同人を経営改革室長に任命して,経営改善及び提携交渉について原告Aをサポートするなどの仕事を担当させた。D室長は,ソフトウェア業界での実績はないものの,自動車部品メーカーや二輪車部品販売業での実績があり,その後経営コンサルタント会社を設立したもので,原告Aが以前勤務していた商社に勤務していたこともあって,原告Aとも面識があった。 イ D室長は,ソフトウェアジャパンの財務・業務関係資料を検討した結果,約30億円程度の不良資産があるとの印象を持ち,販売経費の圧縮と仕入れ・営業・管理の各部門の仕組みの改善とともに,利益率のとれなくなっているソフトウェア販売業務については,仕入れ・販売先を選別・縮小して組織としての利益率を高め,倉庫物流部門及びすでに手がけ始めていた新規事業(輸入商品・マルチメディア事業,コンピュータ教育事業)を本体から分離するという分社化を実行するしかないと考え,平成8年8月20日ころ,原告Aにその旨を説明した。 (4) オリックスとの提携交渉(甲3,4号証,A陳述書,D陳述書,原告A供述)アソフトウェアジャパンは,平成 う分社化を実行するしかないと考え,平成8年8月20日ころ,原告Aにその旨を説明した。 (4) オリックスとの提携交渉(甲3,4号証,A陳述書,D陳述書,原告A供述)アソフトウェアジャパンは,平成8年7月初めの資金ショートの危機を被告カテナからの本件7月貸付によって乗り切ったものの,同年9月後半には再び資金ショートを起こすことが予測されたため,早急に資金を調達する必要があった。原告Aは,オリックスと提携することによりその資金を調達したいとの希望を持っていたが,交渉が進展しなかったことから,同年7月ころには,①オリックスがソフトウェアジャパンの新株発行後の発行済株式総数の20%相当の新株を引き受けること,②オリックスがソフトウェアジャパンに対して,ソフトウェアジャパンの同年9月後半の資金ショートを回避するために10億円を融資すること,③基本合意書を同年8月末を目途に締結することなどを内容とする確認書案(甲4号証)を作成したが,オリックスに対してこれを提示することはできなかった。 イソフトウェアジャパンは,平成8年8月,オリックスとの提携交渉を有利に進めるため,M&Aを多く手がけている株式会社レコフに株価算定書(甲3号証,以下「本件株価算定書」という。)を作成させ,オリックスに提出した。ソフトウェアジャパンが本件株価算定書の作成を依頼するに当たって株式会社レコフに提出した資料は,会社案内,定款,商業登記簿謄本,決算報告書(平成6年ないし平成8年決算期),税務申告書(平成6年ないし平成8年決算期),月次貸借対照表(平成8年4月ないし6月),月次損益計算書(平成8年4月ないし6月),不動産登記簿謄本,固定資産課税台帳登録証明書,不動産賃貸借契約書,不良債権・不良在庫に関する資料(未入金一覧,不良債権回収状況,仕入先別在庫金額等),簿外債務 益計算書(平成8年4月ないし6月),不動産登記簿謄本,固定資産課税台帳登録証明書,不動産賃貸借契約書,不良債権・不良在庫に関する資料(未入金一覧,不良債権回収状況,仕入先別在庫金額等),簿外債務・偶発債務に関する情報,仕入・販売に関する資料(商品別年間販売実績表,仕入実績表,主要取引先別販売取引実績集計),就業規則・退職年金規定である。 ウ本件株価算定書においては,ソフトウェアジャパンの株価は1株当たり355円(額面50円)と算定された(純資産価額方式及び類似会社比準方式の折衷による)ものの,算定の過程で検討された純資産価額方式による算定の過程で,ソフトウェアジャパンには約3億2800万円の含み損があり,ソフトウェアジャパンの再調達時価純資産価額は,約マイナス1289万円と算定されていた。また,その報告書には,「本株価算定は上記の資料に基づいて行っているが,不良資産,簿外債務等に関しては適正な監査に基づいた確認をしていない。したがって,今後それらの内容が検討されることにより,算定結果に変動が生ずる可能性がある。」と注記されている。 エオリックスは,平成8年8月末ころ,公認会計士の資格を有する従業員を派遣してソフトウェアジャパンを2,3日にわたって調査し,同年9月初め,①オリックスがソフトウェアジャパンの新株発行後の発行済株式総数の20%相当額の新株を1株50円で引き受けること,②ソフトウェアジャパンが1年以内に転換社債を発行し,株式転換した場合に①と合わせた株式数が発行済み株式総数の60%となるようにすること,③オリックスからソフトウェアジャパンに対して代表取締役副社長を送り込むこと,という条件での提携案を提示した。 原告Aは,オリックスに対して,新株引受額を1株250円とすることや平成8年9月後半の資金ショートを回避するため ジャパンに対して代表取締役副社長を送り込むこと,という条件での提携案を提示した。 原告Aは,オリックスに対して,新株引受額を1株250円とすることや平成8年9月後半の資金ショートを回避するための10億円の融資,さらには原告Aがソフトウェアジャパンの増資のためにソフトウェアジャパンから借り入れた5億円の債務の肩代わりを依頼したものの,オリックスから一蹴された。 オそこで,ソフトウェアジャパンは,平成8年9月6日,オリックスに対して,同社が提示した条件で提携するとの意向を伝え,オリックスから同月9日の常務会でソフトウェアジャパンとの提携を進めることを正式に諮るとの回答を得た。その席上,オリックスから,同年7月5日に被告カテナから10億円が入金されていること(本件7月貸付)を指摘され,原告Aは,これは友情的融資であり,株券を担保に入れたものの,何の約束もしていないと回答したが,オリックスからは,同年9月9日の常務会までに被告カテナとの話を断っておくよう求められた。そして,原告Aは,同月7日,ソフトウェアジャパンの部長クラスの者に対して,オリックスと提携することになったことを発表した。 (5) 本件提携合意に至る経緯,本件提携合意(甲1号証,A陳述書,D陳述書,E元社長陳述書,原告A供述)ア原告Aは,平成8年9月6日ころ,本件7月貸付を仲介したE元社長に架電して,オリックスと提携することになった旨を伝えたが,E元社長は,原告Aからソフトウェアジャパンとオリックスとの提携について初めて聞かされ,本件7月貸付がソフトウェアジャパンと被告カテナの提携を前提としてなされたものと認識していたために驚き,ソフトウェアジャパンがオリックスあるいは被告カテナのいずれと提携するのかはっきりさせ,被告カテナと提携をしないのであれば本件7月貸付の10億円の を前提としてなされたものと認識していたために驚き,ソフトウェアジャパンがオリックスあるいは被告カテナのいずれと提携するのかはっきりさせ,被告カテナと提携をしないのであれば本件7月貸付の10億円の返済をする等しかるべき対処が必要であり,原告Aと被告Bが直接話し合う必要があると考え,原告Aに対して,同月8日にE元社長の事務所で被告Bと会談するよう求めた。 イ同年9月8日,E元社長の事務所において,原告Aと被告Bとの会談が行われた。E元社長は,午後4時30分ころ最初に到着した原告Aからオリックスとの提携条件を聞き出し,原告Aに対して,オリックスと提携した場合には,①オリックスがソフトウェアジャパンの当面の運転資金を融資することはない,②原告Aのソフトウェアジャパンにおける立場を維持できない,③原告Aのソフトウェアジャパンに対する債務5億円を返済できる目途が立たない,というデメリットがあり,ソフトウェアジャパンの再建と原告Aの個人的利益を守ることは,業界再編に強い意欲のある被告カテナとの提携でなければ期待できないとの考えを伝えた。 ウ同日午後6時ころ,E元社長が企業買収などの実務に詳しい者として招いたFや被告Bも揃ったところで,原告Aがオリックスとの提携条件を説明し,続いて原告Aに同行してきたD室長がソフトウェアジャパンが行おうとしている分社化などの経営改善策や下半期に30億円の資金が必要となることなどを説明した。さらに,原告Aは,ソフトウェアジャパンの増資のためにソフトウェアジャパンから5億円の借入があることを説明した。これに対し,被告Bは,被告カテナと合併することによって業界再編を図ろうと提案し,またソフトウェアジャパンの経営改善策や30億円の必要資金や原告Aの5億円の個人債務についても支援するとの条件を示し,仮に,ソフトウェアジャパ カテナと合併することによって業界再編を図ろうと提案し,またソフトウェアジャパンの経営改善策や30億円の必要資金や原告Aの5億円の個人債務についても支援するとの条件を示し,仮に,ソフトウェアジャパンが被告カテナと提携しないのであれば,本件7月貸付によって融資した10億円を返済するよう求めた。 エ原告AとD室長は,被告Bの条件提示を受け,午後10時ころ,別室で協議し,①オリックスは当面の資金援助には応じないこと,②オリックスと提携しても資金が必要な9月後半までに銀行から新規融資を得られるか不安があること,③オリックスとの提携では原告Aの身分保障がないのに対して,被告カテナと合併すれば原告Aの代表権は保障されること,④被告カテナと合併すれば原告Aの個人的な債務についても支援を受けられることから,被告カテナとの合併の方が有利であるとの結論に達し,被告Bに対して,年度末までに合計30億円の融資と原告A個人への支援を条件として被告カテナと合併する意思があることを伝えた。 オ被告Bは,原告Aらの提示した上記条件を受け入れることとし,原告Aと被告Bは,ソフトウェアジャパンと被告カテナが合併に向けて業務提携を進めることで合意した(以下「本件提携合意」という。)。なお,合併期日については,被告Bは1年後を提案したが,原告Aの要望により,翌平成9年4月1日とすることで合意した。 そして,本件提携合意の内容が文書化されることとなり,①被告カテナがソフトウェアジャパンに対して30億円を限度として金融支援を行うこと,②被告カテナはソフトウェアジャパンが進めているリストラスキームを尊重すること,③被告カテナとソフトウェアジャパンは両者の合併を前提として業務提携を進めること,合併は対等とし,合併期日は平成9年4月1日を目標とすること,④被告カテナは原告Aの リストラスキームを尊重すること,③被告カテナとソフトウェアジャパンは両者の合併を前提として業務提携を進めること,合併は対等とし,合併期日は平成9年4月1日を目標とすること,④被告カテナは原告Aの個人債務の解消につき,子会社の株式公開その他の方法において支援し,最終的に責任を持つこと,を内容とする合意書(甲1号証)が作成され,原告A,被告B,F及びD室長がこれに署名した。 なお,この合意書にリストラスキームの尊重(②)を入れたのは,ソフトウェアジャパンとしては経営状況を改善するため分社化を実行する必要があり,当面の運転資金の他に分社化の資金が必要であったため,これらについての資金支援も期待したことによるものである。 カまた,原告Aは,被告Bから,本件7月貸付の際に担保としたソフトウェアジャパン株式の株券が交付されていないことを指摘され,本件7月貸付の10億円も含めて,ソフトウェアジャパンの取引先に対する売掛金を担保にしてくれるよう依頼したところ,被告Bはこれを了承した。 なお,ソフトウェアジャパンは,その時点までに,株式会社ビックカメラ,株式会社ヨドバシカメラ,株式会社サンキュー高島屋,株式会社ウイングラボ,日興通信株式会社,株式会社ヤマダ電機,沖電気工業株式会社の計7社に対する売掛金債権を日本長期信用銀行に,株式会社フリーウエイ,日本電気ホームエレクトロニクス株式会社,株式会社亜土電子工業,株式会社エヌジェーケー,株式会社ソフマップの計5社に対する売掛金債権をあさひ銀行に,株式会社ソフトクリエイト,ブラザー販売株式会社,日本ユニシス株式会社,NTTデータ通信株式会社の計4社に対する売掛金債権をさくら銀行に,それぞれ担保として債権譲渡していた(以下「16社に対する売掛金債権の債権譲渡」ということがある。)。 キ原告AとD室長は 式会社,NTTデータ通信株式会社の計4社に対する売掛金債権をさくら銀行に,それぞれ担保として債権譲渡していた(以下「16社に対する売掛金債権の債権譲渡」ということがある。)。 キ原告AとD室長は,上記会談の翌日である同月9日,オリックスに赴き,同社との提携を断るとともに,ソフトウェアジャパンの取締役らに対して,被告カテナと対等合併することを発表した。 (6) 本件提携合意後の経過アソフトウェアジャパンと被告カテナは,本件提携合意後,ソフトウェアジャパンではD室長が,被告カテナでは被告Cが担当責任者となって,打ち合わせを重ね,平成8年9月18日,本件提携合意と同内容の覚書(甲6号証)を作成し,東京証券取引所に持参して内容を説明したところ,合併は株価変動要因なので,東京証券取引所での手続後でなければ合併に関する合意をしてはならないと指摘されたため,翌19日には,①双方の全国営業拠点において協力体制の構築を図ること,②各種商材の相互供給を行うこと,③被告カテナはソフトウェアジャパンのリストラ,分社化による経営効率化をサポートすること,④被告カテナがソフトウェアジャパンの情報システム再構築に協力すること,⑤被告カテナがソフトウェアジャパンの当面の資金調達について金融面で協力すること,⑥その他業務提携に必要な事項は協議して決定することという内容の業務提携に関する覚書(甲5号証)を作成し,合併に向けて業務提携したことや,合併によりソフトウェア流通業界の再編を目指すとことを記者発表した(甲5号証,甲6号証,A陳述書,乙1号証,乙33号証,C陳述書,D陳述書,乙74号証)。 イ上記アの打ち合わせの中で,D室長は,被告Cに対して,銀行等借入金残高一覧表(乙103号証)及び第15期(下期)借入金返済表(乙104号証)を示すなどしながら,ソフトウェ 述書,乙74号証)。 イ上記アの打ち合わせの中で,D室長は,被告Cに対して,銀行等借入金残高一覧表(乙103号証)及び第15期(下期)借入金返済表(乙104号証)を示すなどしながら,ソフトウェアジャパンは1か月約8000万円程度の赤字となっているが分社化を実行すれば赤字の解消ができると考えていること,①ソフトウェアジャパンは平成8年9月20日以降の資金繰りが厳しく,同日までにリストラ資金を含めて10億円の融資が必要であること,②ソフトウェアジャパンは本件7月貸付による10億円をマイクロソフトに支払った後も同社からの仕入れができていないことを伝えた。 ウ被告カテナは,この説明や資料などから,被告カテナとの提携・合併によってソフトウェアジャパンの経営基盤が落ち着けば,ソフトウェアジャパンの資金不足は早期に解消できると判断し,①の対策として,同月20日に弁済期限は平成9年3月末日,利率年2.125%(但し,住友銀行の短期プライムレートにスライド),遅延損害金年15%として10億円の融資を実行され(乙100号証,以下「本件9月貸付」という。),②の対策として,被告カテナがマイクロソフトから商品を仕入れ,これをソフトウェアジャパンにマージン等の金額を上乗せしない金額で供給するという支援(以下「本件商品供給支援」という。)をすることとした。なお,本件商品供給支援により,被告カテナがソフトウェアジャパンに対して引き渡した商品についての売掛金残高は3億2984万2414円である(A陳述書,C陳述書,D陳述書,乙87号証,乙100号証,乙103,104号証)。 エまた,ソフトウェアジャパンは被告カテナに対して,平成8年3月31日現在のソフトウェアジャパン売掛金残高一覧表(乙98号証)及び残高一覧統括表(乙99号証)を示し,30億円を限度とする金 証)。 エまた,ソフトウェアジャパンは被告カテナに対して,平成8年3月31日現在のソフトウェアジャパン売掛金残高一覧表(乙98号証)及び残高一覧統括表(乙99号証)を示し,30億円を限度とする金融支援の担保とする売掛金については,管理が不十分なため正確な把握はできていないが,すでに銀行3行に担保提供した16社分を除くと,売掛金は売掛先2476先(部署ごと),債権額合計38億2070万8567円であり,回収コストやリスクを考えても,30億円に見合う担保価値があると説明した。 被告カテナとしては,担保とした売掛金の実質評価は約25億円であるとみたが,他に適当なものもなかったこともあり,本件7月貸付も含めて被担保債権として株式譲渡担保から担保替えをしたいという原告Aの要望も容れ,ソフトウェアジャパンとの間で,同年9月20日(本件9月貸付と同日),ソフトウェアジャパンが被告カテナに対して現に負担しかつ将来負担する一切の債務を担保するため,同月30日現在の上記16社分を除いた全売掛先(第三債務者)に対するソフトウェアジャパンの売掛金債権について,次の内容の集合債権譲渡契約(乙27号証,以下「本件債権譲渡担保契約」といい,この契約に基づく債権譲渡を「本件債権譲渡」という。)を締結し,同月30日現在の売掛先について住所・電話番号を記載したリストの提出を要求した。なお,本件債権譲渡担保契約においては,被告カテナが第三債務者に対して担保権実行としての取立ての通知をするまでは,譲渡債権の取立てをソフトウェアジャパンに許諾し,ソフトウェアジャパンが取り立てた金銭について被告カテナへの引き渡しを要しないことが前提とされていた(弁論の全趣旨)。 (ア) 譲渡債権ソフトウェアジャパンが売掛先(但し,上記16社を除く。)に対して現に有し,将来取得する債権 金銭について被告カテナへの引き渡しを要しないことが前提とされていた(弁論の全趣旨)。 (ア) 譲渡債権ソフトウェアジャパンが売掛先(但し,上記16社を除く。)に対して現に有し,将来取得する債権(イ) 譲渡債権の総額が,ソフトウェアジャパンの被告カテナに対する債務の総元本残高の120%を超える場合には,ソフトウェアジャパンと被告カテナとが合意の上,債権譲渡の一部を解除することができる。 (ウ) ソフトウェアジャパンは,被告カテナに対して,毎月末日現在における債権の額,内容及び弁済期日を,毎月末日から7日以内に書面により通知する。 (エ) ソフトウェアジャパンは,債権譲渡通知書を,債権額,内容,譲渡年月日等白地のまま記名捺印し,被告カテナに預託する。ソフトウェアジャパンが(オ)aないしhのいずれかに該当したときは,被告カテナは債権譲渡通知書の白地欄を適宜補充して,ソフトウェアジャパンに代わって債務者に通知する。 (オ) ソフトウェアジャパンが次のaないしh各号のいずれかに該当するときには,ソフトウェアジャパンは被告カテナに対する一切の債務について期限の利益を失う。 a 本債権譲渡契約条項の一つにでも違反したときb 被告カテナに対する金銭債務その他の債務の履行を遅滞したときc 振出,引受,裏書,保証にかかる手形又は小切手が不渡となったときd 他の債務につき仮差押,仮処分,又は強制執行を受けたときe 他の債務につき競売,破産,和議,特別清算,会社整理又は会社更生手続の申立てをなし,又は受け,又は受けるおそれがあるときf 国税滞納処分又はその例による差押を受けたときg 事業経営が不振で被告カテナが債権保全の必要があるときh 被告カテナの債権を侵害するなど不信の行為をしたとき(カ) 被告カテナが債務者から譲渡債権を取り立てたときは,実際の取立額 押を受けたときg 事業経営が不振で被告カテナが債権保全の必要があるときh 被告カテナの債権を侵害するなど不信の行為をしたとき(カ) 被告カテナが債務者から譲渡債権を取り立てたときは,実際の取立額から取り立てに要した費用を控除した金額について,法定の順序,方法にかかわらず,任意にソフトウェアジャパンの債務の弁済に充当することができる。 オソフトウェアジャパンと被告カテナは,本件債権譲渡担保契約後,平成8年8月31日現在の売掛金残高一覧表(乙99号証)をもとに債権譲渡通知書の作成を始めた。ところが,その後まもなく,ソフトウェアジャパンから,同一覧表は委託先の作成したものであり,返品・値引・相殺・入金分の差引処理はソフトウェアジャパンで行っているので,同一覧表の残高からこれらが差し引かれていないことを指摘され,譲渡債権から除外した上記16社に対する将来債権については銀行に譲渡していなかったため,これらの将来債権を譲渡債権に加えることとなった。 平成8年9月30日現在の売掛先について住所・電話番号,売掛金残高を記載した一覧表(乙101号証)は,同年10月1日から10日にかけて,ソフトウェアジャパンから被告カテナに交付されたが,上記16社を除くと売掛先2402先(部署ごと),債権額合計37億5755万2091円となっており,同年8月31日現在の債権額から約6300万円減少していた。なお,同一覧表もソフトウェアジャパンの委託先が作成したものであり,上記と同じく,返品・値引・相殺・入金分の差引処理がなされていないものであった(A陳述書,乙27,28号証,乙41号証ないし乙43号証,乙52号証,C陳述書,D陳述書,乙98,99号証,乙101,102号証)。 カソフトウェアジャパンは,本件9月貸付により得た10億円を運転資金に充てるとともに,こ ,乙41号証ないし乙43号証,乙52号証,C陳述書,D陳述書,乙98,99号証,乙101,102号証)。 カソフトウェアジャパンは,本件9月貸付により得た10億円を運転資金に充てるとともに,これにより,平成8年9月30日,資本金1000万円で流通業務を行う株式会社エスジェ物流(以下「エスジェ物流」という。)と,資本金2000万円でサービス教育事業を行う株式会社ジャパンソリューション(以下「ジャパンソリューション」という。)と,資本金3000万円で海外製品や周辺機器を扱う株式会社ザッツジャパンを設立し,10月以降に合併態様に沿った立ち上げ準備を行い,同年11月1日以降に業務を開始することを予定していた。 また,ソフトウェアジャパンは,合併に向けて執行体制の強化を図るため,同年10月初めころ,G事業統括部長,H事業部長(以下「H事業部長」という。)及びD室長を取締役に加えることとし,同月11日,株主総会において同人らを取締役に選任し,さらに引き続いて開催された取締役会においてH事業部長を代表取締役に選任した(A陳述書,乙41号証ないし乙43号証,乙56号証・ソフトウェアジャパン閉鎖登記簿謄本,D陳述書)。 キ被告カテナは,平成8年9月24日に,同年10月31日に合併契約書承認取締役会を開催することを前提として,東京証券取引所と審査に必要な準備・日程について打合せを行い,東京証券取引所から同月9日までに被告カテナがソフトウェアジャパンを合併した場合の営業概況報告書を提出することを指示された。被告カテナは,同年10月3日ころ,同年11月29日を合併契約書調印日とし,翌平成9年4月1日を合併期日とした合併手続日程表案を作成した(A陳述書,乙60号証・東京証券取引所との打合せ,乙61号証・顔合わせ会,乙73号証・合併手続日程表案)。 合併契約書調印日とし,翌平成9年4月1日を合併期日とした合併手続日程表案を作成した(A陳述書,乙60号証・東京証券取引所との打合せ,乙61号証・顔合わせ会,乙73号証・合併手続日程表案)。 なお,この間の同年9月28日には,ソフトウェアジャパンと被告カテナの部長職以上の顔合わせ会が開催された。 (7) 本件財務調査の実施ア被告カテナは,同社の会計監査を行っていた中央監査法人と公認会計士I事務所(以下,両者を併せて「本件調査人」という。)に対して,ソフトウェアジャパンとの合併を決定するため財務内容の調査(財務デュー・デリジェンスともいうが,以下「本件財務調査」という。)及び監査を依頼した。合併予定期日が平成9年4月1日とされており,時間的な余裕がなかったことから,財務調査を行うのは平成8年10月1日から同月9日までとされた。 イそこで,平成8年9月25日,本件調査人は,ソフトウェアジャパンに赴き,財務調査の前に打合せを行い,A社長,売掛金管理担当者,在庫管理担当者,経理担当者,経理担当のJ取締役,D室長らに対して調査方法について説明した上,以下の要望をした。 (ア) 同年9月末日現在の商品の実地棚卸の実行(10月1日に本件調査人がソフトウェアジャパンの商品倉庫に赴き立ち会うため。)。なお,本件調査人は,物販会社の実地棚卸マニュアルを示しながら,その方法について具体的に説明した。 (イ) 売掛金その他の科目に関して,同年8月31日現在の資産表の数値を基準に内容を確認するので,各勘定科目ごとに同日までの取引を処理した元帳及び勘定明細を作成しておくこと。 (ウ) 調査開始と同時に売掛先に売掛金残高照会ができるよう準備しておくこと。 ウ本件調査人は,同年10月1日,ソフトウェアジャパンの商品倉庫に赴いたが,ソフトウェアジャパンにおいて所定 おくこと。 (ウ) 調査開始と同時に売掛先に売掛金残高照会ができるよう準備しておくこと。 ウ本件調査人は,同年10月1日,ソフトウェアジャパンの商品倉庫に赴いたが,ソフトウェアジャパンにおいて所定の準備がなされていなかったため,実地棚卸立会をすることができなかった。 その後,同月2日から9日までの財務調査を経て,本件調査人が最終日の9日に財務諸表を修正すると,ソフトウェアジャパンは最大で50億円を超える債務超過であるとの結果になった。本件調査人は,原告A,D室長及びソフトウェアジャパンの各担当者に対して,調査結果をまとめた手書きのメモ(甲10号証,乙63号証の1)を交付し,同メモに記載した内容で被告カテナに報告する予定であるが,誤りや異議等があれば訂正も検討するので指摘するよう求めた。ソフトウェアジャパンは,商品及び売掛金の評価が帳簿価額と違うのはおかしいと指摘したが,本件調査人から,時価評価によったので帳簿価額と異なるのは当然であること,また,疑わしきは否定の方向で評価したと説明された。 これに対して、原告Aは,本件提携合意を仲介したE元社長に対して電話をかけ,本件財務調査の結果について不満をぶつけたが,独自に公認会計士や税理士などに対して相談して対策をとったりはしなかった。 エ本件調査人は,同月11日ころ,被告カテナに対し,仮集計であるとの前提で,①ソフトウェアジャパンは50億円を超える債務超過であると考えられること,②その主因は回収不能の売掛金や不良在庫であり,これらで30億円を超えると思われること,③売掛金や在庫商品の管理がずさんで正確な把握自体が困難であること,④投資や貸付にも回収不能なものがあること,⑤資産の不当計上や未計上の負債があると考えられることなどを報告した。 オそして,同月14日,本件調査人は,被告カテナ んで正確な把握自体が困難であること,④投資や貸付にも回収不能なものがあること,⑤資産の不当計上や未計上の負債があると考えられることなどを報告した。 オそして,同月14日,本件調査人は,被告カテナに対し,ソフトウェアジャパンの純資産がマイナス54億2200万円であり,その主な内訳は,①回収不能の売掛金が10億円,②不良在庫が22億8000万円,③土地の評価減が1億5000万円,④投資有価証券の評価減が1億9400万円,⑤関係会社の株式の評価減と保証債務が3億9700万円,⑥回収不能の貸付金が2億1100万円,⑦ゴルフ会員権の評価減が1億1500万円,⑧未払リース料の計上が4億800万円,⑨従業員に対する賞与や退職給与引当金の計上が1億5800万円,⑩前渡金の償却が2億7600万円であるなどとした正式な報告書(乙2号証)を提出した(甲10号証,A陳述書,乙2号証,乙63号証,D陳述書,乙90号証・I陳述書,原告A,被告C,I証人)。 (8) 第二会社方式の検討ア被告カテナは,平成8年10月11日ころ,ソフトウェアジャパンが50億円を超える債務超過であるという本件財務調査の仮集計結果を聞き,東京証券取引所の上場基準に抵触することになるため,ソフトウェアジャパンとの合併は不可能であると判断した。 しかし,他方において,被告カテナは,①ソフトウェアジャパンは被告カテナが支援を継続すれば業績を向上させることができ,分社化により財務状況も好転すると考えられること,②ソフトウェアジャパンに対する30億円を限度とする金融支援は既に約束したことでもあり,ソフトウェアジャパンの取引先や債権者もこれを信頼してソフトウェアジャパンとの取引を継続していることから,合併以外の方法でソフトウェアジャパンとの提携を実行し,支援を続けていくこととした。 でもあり,ソフトウェアジャパンの取引先や債権者もこれを信頼してソフトウェアジャパンとの取引を継続していることから,合併以外の方法でソフトウェアジャパンとの提携を実行し,支援を続けていくこととした。 イそこで,被告カテナは,支援の具体的な方法を検討し,ソフトウェアジャパンが設立した子会社にソフトウェアの卸売業務に関する営業を譲渡し,被告カテナがその子会社と提携(合併あるいは合弁)した上,ソフトウェアジャパンの債務の返済方法などについて債権者の協力を求める方法(以下「第二会社方式」という。)をとるのが最善であるとの結論に達した(C陳述書,被告C)。そして,同月13日に被告CがソフトウェアジャパンのD室長と第二会社方式について打合せを実施した後,翌14日には,ソフトウェアジャパンからはD室長,被告カテナからは被告B,被告C及び各担当責任者,本件調査人の公認会計士,被告カテナの顧問弁護士,被告カテナの証券業務の主幹事社である野村證券の担当者が出席して,今後の方針について会議が行われた。 ウこの会議では,本件調査人からソフトウェアジャパンが約54億円の債務超過であることが正式に報告され,合併の可否について検討されたが,ソフトウェアジャパンの約54億円の債務超過を解消するためには,同社の営業権を50億円以上と評価することが必要となるが,これを5億円以上と評価することは難しいことが明らかになり,それでは東京証券取引所での合併審査を通らないので,ソフトウェアジャパンと被告カテナとの合併は断念せざるを得ないとの結論に達した。 そして,合併に代わる支援策としては上記の第二会社方式をとるしかないとの話になり,この方向で両社の提携を進めていくことになった(A陳述書,乙2号証,D陳述書,C陳述書)。 エこれを受けて,ソフトウェアジャパンは 支援策としては上記の第二会社方式をとるしかないとの話になり,この方向で両社の提携を進めていくことになった(A陳述書,乙2号証,D陳述書,C陳述書)。 エこれを受けて,ソフトウェアジャパンは,翌15日の取締役会において,ソフトウェアジャパンのソフトウェア,ハードウェア周辺機器の全国における卸売業務に関する営業をエスジェ物流に対して譲渡すること,同月30日にこれを承認する株主総会を開催することのほか,原告Aが代表取締役を辞任してH事業部長が代表取締役に就任することなどを決定し,同月17日には,公正取引委員会に対して,営業譲渡日を同年11月1日,営業譲渡後にソフトウェアジャパンが解散する予定であることなどを記載した営業譲受届出書を提出した。そして,同社は,同年10月16日から18日にかけて金融機関を回り第二会社方式について説明する(原告Aは同行していない。)とともに,同月21日,金融機関向けの説明会を開催し,被告カテナに対して20億円を返済できれば自主再建も可能であるとして返済資金の新規融資の可否を打診したが,金融機関から具体的な反応はなかった。その後,被告Cも同席して,同人から,被告カテナは被告カテナの支援によってソフトウェアジャパンの再建は十分に可能であると判断していることや,ソフトウェアジャパンの金融機関からの借入金については被告カテナも責任を持つことを明言して,ソフトウェアジャパンへの新規融資を要請し,ソフトウェアジャパンが各金融機関に対して早急に追加資料を提出して新規融資を検討してもらうことになった。 オまた,ソフトウェアジャパンの平成8年10月後半の資金の不足額は4億円であったので,被告カテナは,同月21日,ソフトウェアジャパンに対して商品代金の前払いとして4億円を支払い,支援を実施した(A陳述書,乙44号証,乙45 ンの平成8年10月後半の資金の不足額は4億円であったので,被告カテナは,同月21日,ソフトウェアジャパンに対して商品代金の前払いとして4億円を支払い,支援を実施した(A陳述書,乙44号証,乙45号証,D陳述書,C陳述書,乙119号証,原告A供述,被告C供述)。 (9) 債権譲渡通知書の発送(乙35号証ないし乙38号証,乙52号証,乙65号証,C陳述書,D陳述書,乙108ないし110号証,原告A供述,被告C供述)アところが,さくら銀行は,平成8年10月22日付けで,NTTデータ通信株式会社(債権額627万9887円),日本ユニシス株式会社(債権額2728万9758円),株式会社ソフトクリエイト(債権額2億5357万5062円),ブラザー販売株式会社(債権額1380万3058円)に対し,ソフトウェアジャパンから債権譲渡を受けていた上記債権合計3億0094万7765円分について,ソフトウェアジャパンに代理して,「当社が貴社に対して有する売掛債権は,平成8年10月18日,株式会社さくら銀行に譲渡いたしましたので,通知いたします。」との債権譲渡の通知(内容証明郵便ではない)をした。 イソフトウェアジャパンは,同月23日,NTTデータ通信から,さくら銀行による上記通知があったことを知らされ,被告カテナと連絡を取りながら,さくら銀行に対して債権譲渡通知の撤回を求めるなどしたが,同行がこれを撤回しなかったため,翌24日,あさひ銀行及び日本長期信用銀行に対して,さくら銀行から債権譲渡通知が出されたことを伝えた。 ウソフトウェアジャパンは,さくら銀行が上記の債権譲渡通知を出した時点では支払遅延などを起こしてはいなかったが,被告カテナは,他の金融機関が債権譲渡通知を出した以上,本件7月貸付や本件9月貸付の債権を保全する必要がある は,さくら銀行が上記の債権譲渡通知を出した時点では支払遅延などを起こしてはいなかったが,被告カテナは,他の金融機関が債権譲渡通知を出した以上,本件7月貸付や本件9月貸付の債権を保全する必要があると考え,10月24日から,本件債権譲渡担保契約に基づく債権譲渡通知の発送を開始した。 そして,同月25日ころには,あさひ銀行が,株式会社フリーウェイ,株式会社亜土電子工業,日本電気ホームエレクトロニクス株式会社,株式会社エヌジェーケー,株式会社ソフマップに対して,同様に債権譲渡の通知をし,日本長期信用銀行も,株式会社ビックカメラ,株式会社ヨドバシカメラ,株式会社サンキュー高島屋,株式会社ウィクングラボ,日興通信株式会社,株式会社ヤマダ電機,沖電気工業株式会社に対して,同様に債権譲渡の通知をした。 エこのような事態に対して,前記の第二会社方式によりソフトウェアジャパンの代表取締役に就任していたH事業部長は,同月24日,全社員に対して,①仕入先から商品が入りにくくなっているが,取引先との関係維持の観点から積極的に受注して対応すること,②仕入先に対しては,実際に支払遅延などを起こしていないことを説明し,今後については早急に安心できる環境を作ろうとしていることを伝えて取引再開を要請すること,③債権譲渡通知に関する問合せについては,支払期日に支払口座だけを変えて支払ってもらえればよい旨を伝えることなどを指示し(乙65号証),社員もこれに従って対応するなどしたことや,被告カテナと提携関係にあって被告カテナの支援を受けることが公表されていたこともあって,上記の債権譲渡通知にもかかわらず,商品の引揚げや取立て騒ぎなどの混乱は生じなかった。 (10) 自己破産申立ての発表と撤回アところで,原告Aは,被告カテナとの提携を嫌って平成8年10月15日にソフトウェ 譲渡通知にもかかわらず,商品の引揚げや取立て騒ぎなどの混乱は生じなかった。 (10) 自己破産申立ての発表と撤回アところで,原告Aは,被告カテナとの提携を嫌って平成8年10月15日にソフトウェアジャパンの代表取締役を辞任し,株式会社レコフの仲介により,被告カテナ以外との提携に向けた活動を本格的に開始して,同月25日には,D室長及びH事業部長(当時は社長)を伴って伊藤忠商事と交渉し,D室長らに対して,被告カテナとの提携を白紙撤回する意向を示した。そして,原告Aは,同日,代表取締役に復帰し,同月28日には,ソフトウェアジャパンの役員らに対して,被告カテナとの提携を破棄して自主再建を目指すことを発表し,エスジェ物流への営業譲渡の承認を議題として同月30日に開催が予定されていたソフトウェアジャパンの臨時株主総会を中止した。 イ被告カテナは,ソフトウェアジャパンからはこの間の事情を全く知らされていなかったが,ソフトウェアジャパンの株主からの問合せで事態を知り,直ちにソフトウェアジャパンに対して協議を求めたが,原告Aとは連絡が取れず,話し合いができない状況であった。このような状況の中で,ソフトウェアジャパンの取締役会長であるが経営には直接関わっていなかったK(以下「K会長」という。)が,同月30日,被告カテナを訪れ,ソフトウェアジャパンが被告カテナとの提携を破棄して自主再建をすることは実際問題として困難であるから,被告カテナとの提携を維持する方向で事態を収拾して欲しいと申し入れた(A陳述書,乙56号証,C陳述書,D陳述書,乙75号証,原告A)。 ウところが,ソフトウェアジャパンは,同月30日,一転して自主再建を断念し,事業を閉鎖して自己破産の申立てをすることを決定し,翌31日には法的な倒産処理手続に入ることを発表するとともに,同社の売掛先等 ところが,ソフトウェアジャパンは,同月30日,一転して自主再建を断念し,事業を閉鎖して自己破産の申立てをすることを決定し,翌31日には法的な倒産処理手続に入ることを発表するとともに,同社の売掛先等に対して,先に債権譲渡通知のあった被告カテナなどに対する支払を留保し,あるいは供託手続をとるよう要請した。 エ被告カテナは,ソフトウェアジャパンから何の連絡も受けていなかったが,このような発表を受けて,ソフトウェアジャパンとの提携を解消することとし,通産省に事情を説明したところ,同省から,ソフトウェアジャパンの破産により,その仕入先である中小零細ソフトウェアメーカーに連鎖倒産が生じかねないので,ソフトウェアジャパンの破産を回避するための協力を求められた。 また,被告カテナは,ソフトウェアジャパンのK会長からも協力を要請されたことから,K会長に対し,救済策として,①被告カテナが資本金1億円で新会社(仮称「カテナジャパン」)を設立して,新会社がソフトウェアジャパンの営業を10億円(本来5億円と評価していたが,弁済原資とするため上積みしたもの。)で買い取ること,②ソフトウェアジャパンはこれを原資として一般債権者,特に小口債権者に対して優先的に弁済すること(小口債権者に対しては,必要に応じて被告カテナが前渡金により資金繰りを支援する。),③金融機関に対しては元本の支払猶予を要請して,金利0.25%を10年間支払うこと,④ソフトウェアジャパンはジャパンソリューションの株式の30%を保有して,株式公開のキャピタルゲインを金融機関への返済原資とすること,⑤原告Aはジャパンソリューションの取締役に就任して株式公開に全力を尽くすこと,という内容を示した。 オ原告Aは,K会長から上記の案を示されて説得された上,通産省からも自己破産を回避するよう指導要請さ 告Aはジャパンソリューションの取締役に就任して株式公開に全力を尽くすこと,という内容を示した。 オ原告Aは,K会長から上記の案を示されて説得された上,通産省からも自己破産を回避するよう指導要請されたことから,同日中に,ソフトウェアジャパンが自己破産の申立てをするとの発表を撤回して,被告カテナの支援により任意整理を行うことを公表した。 そして,同日中に行われたソフトウェアジャパンと被告カテナとの協議において,上記①ないし⑤の点と,仮称「カテナジャパン」がソフトウェアジャパンの従業員を引き継ぐという内容の合意が成立し,被告カテナの代表者である被告Bと,ソフトウェアジャパンの代表者である原告Aとが覚書に署名捺印した(乙66号証の1)。ただし,後日,ソフトウェアジャパンの従業員の要望により,「カテナジャパン」にではなく,直接被告カテナに雇用されることとなったため,「カテナジャパン」は設立されないまま,営業だけエスジェ物流に譲渡されることになった(A陳述書,乙5,6号証,乙31号証,乙50号証,乙66号証の1,2,C陳述書,D陳述書,原告A供述,被告C供述)。 (11) 任意整理の経緯(A陳述書,乙7号証,乙9,10号証,乙12ないし15号証,乙25号証,乙29ないし32号証,乙47号証,乙49号証,乙68号証,C陳述書,D陳述書,乙117,118号証,原告A供述,被告C供述)ア平成8年10月17日,エスジェ物流は,公正取引委員会に対し,ソフトウェアジャパンから営業を譲り受ける旨を届け出た(乙45号証)。 ソフトウェアジャパンは,同月18日に開催した株主総会において,エスジェ物流に対する営業譲渡を承認し,被告Cを取締役に選任した(乙68号証)上,同年11月15日,エスジェ物流に対し,譲渡日を同月8日とし,代金10億円を同年12月15日 催した株主総会において,エスジェ物流に対する営業譲渡を承認し,被告Cを取締役に選任した(乙68号証)上,同年11月15日,エスジェ物流に対し,譲渡日を同月8日とし,代金10億円を同年12月15日と平成9年2月15日までに各5億円ずつエスジェ物流が支払うとの約定で,パソコンソフト販売の営業を譲渡した(乙30号証。なお,ソフトウェアジャパンと金融機関との間で,元本支払猶予のうえ年0.25%の金利支払との債務弁済協定が成立した場合には,同額を追加対価として支払う。)。なお,エスジェ物流は,同年12月11日に開催した株主総会において,ソフトウェアジャパンから譲り受けたパソコンソフト販売の営業を被告カテナに賃貸することを承認した(乙47号証)。 イソフトウェアジャパンの従業員は,平成8年11月7日付で4名を残して全員解雇され,約2週間後にはうち3名も退社してしまったことから,以後のソフトウェアジャパンの任意整理業務は被告カテナの従業員によって行われた。 ウソフトウェアジャパンと被告カテナは,同年11月15日,ソフトウェアジャパンから被告カテナに対してなされた債権譲渡が担保権の実行として有効に行われたことを確認した上,ソフトウェアジャパンが被告カテナに対して債権の回収に必要なデータ及び場所を提供するが,債権回収業務に要するその他の費用は被告カテナが負担すること,回収額が被告カテナの債権額を超える場合には,被告カテナは,ソフトウェアジャパンに超過額を返還するとともに,未回収分の債権を再譲渡することなどを合意した(乙32号証)。 この合意に基づき,ソフトウェアジャパンは,同月18日,各売掛先に対して,被告カテナへの債権譲渡は有効であり,ソフトウェアジャパンの債務は被告カテナの出捐によってエスジェ物流から支払われる営業譲渡代金を原資として支払われる ウェアジャパンは,同月18日,各売掛先に対して,被告カテナへの債権譲渡は有効であり,ソフトウェアジャパンの債務は被告カテナの出捐によってエスジェ物流から支払われる営業譲渡代金を原資として支払われる予定であるから,売掛先は被告カテナに対して売掛金を支払うよう要請した(乙12,13号証)。 なお,被告カテナの口座には同年10月29日から譲り受けた売掛債権の弁済金が振り込まれるようになっていたが,被告カテナが本格的に譲受債権の回収に着手したのは同年11月下旬からであり,平成10年7月31日までの間に,別紙2(被告カテナによる債権回収状況)に記載のとおり,合計27億2255万9768円を回収した。 エまた,ソフトウェアジャパンは株式会社ムーブ(以下「ムーブ社」という。)から倉庫を借りて商品を保管していたが,11月下旬ころ,ムーブ社が,ソフトウェアジャパンから未払管理料等が支払われない限り,ムーブ社の倉庫からの商品の出庫を認めないとしたため,ソフトウェアジャパン,被告カテナ及びムーブ社との間で協議し,同年11月28日,ソフトウェアジャパンがムーブ社に対して平成8年8月31日から同年10月31日請求分の保管料と人件費等の合計3422万5366円の支払債務があるほか,未請求の管理料や人件費等の債務を負担していることを確認した上,被告カテナがソフトウェアジャパンに対して支払うべき商品代金の一部(L工業団地の倉庫に保管されていた商品の代金)のうち合意した額を,同年12月16日限り,直接ムーブ社に支払うこととし,上記期限までに被告カテナが3400万円を支払ったときは,ムーブ社は残金22万5366円の支払義務を免除することが合意された(乙117号証)。これに基づき,被告カテナは株式会社ムーブに対して,同年11月29日に2000万円を支払い(乙1 を支払ったときは,ムーブ社は残金22万5366円の支払義務を免除することが合意された(乙117号証)。これに基づき,被告カテナは株式会社ムーブに対して,同年11月29日に2000万円を支払い(乙118号証),さらに同年12月16日に1100万円を支払った。 オまた,ソフトウェアジャパンは,上記のとおり,金融機関から支払猶予を受け,その分はジャパンソリューションの株式公開によるキャピタルゲインによって返済するとの方針であったが,ソフトウェアジャパンが金融機関との交渉開始前にジャパンソリューションの増資を実行したいと希望したため,被告カテナは,同年12月13日,ソフトウェアジャパンに対し,株式の引受けや払込みのための資金として,弁済期限は平成9年3月末日,利率は年2.125%(但し,住友銀行の短期プライムレートにスライド),遅延損害金は年15%とする約定で,3000万円を貸し付けた(乙25号証)。 なお,このジャパンソリューションは,ソフトウェアジャパンと被告カテナが30%ずつ出資して設立された会社であったため,翌年の平成9年6月にソフトウェアジャパンと原告Aが被告カテナなどに対して本件訴訟(甲事件)を提起したことにより,折衝中の一連のプロジェクトは中止に追い込まれ,事業活動を停止するに至った(乙75号証)。 カ他方,ソフトウェアジャパンは,平成8年11月14日,その取引先に対して,同月30日までに債権の届出をするよう要請し(乙9号証),同年12月20日には,債権を届け出た742名の債権者(債権合計33億0168万2000円)について第1回目の配当(以下「第1回配当」という。)を実施した。この第1回配当は,12月15日に被告カテナがエスジェ物流に貸し付けて,エスジェ物流がソフトウェアジャパンに支払った営業譲渡代金5億円の ついて第1回目の配当(以下「第1回配当」という。)を実施した。この第1回配当は,12月15日に被告カテナがエスジェ物流に貸し付けて,エスジェ物流がソフトウェアジャパンに支払った営業譲渡代金5億円のうちの4億円を原資とするもので,届出債権額の12%に相当する金員が支払われ,残り1億円については,4200万円を社会保険料等公的な支払にあて,5800万円はそれ以後に届け出られた債権の配当に充てるため留保された(乙15号証の1)。 キさらに,ソフトウェアジャパンは,平成9年2月20日には,債権の届出がなされた債権合計37億4731万円について,第2回目の配当(以下「第2回配当」という。)を実施した。第2回配当は,同年2月15日に被告カテナがエスジェ物流に対して貸し付けて,エスジェ物流がソフトウェアジャパンに支払った営業譲渡残代金5億円と第1回配当の繰越金4903万円のうち,2600万円を留保した残金で届出債権額の14%に相当する金員が支払われた。なお,ソフトウェアジャパンは,この第2回配当の際,これ以降は在庫処分や売掛債権の回収によって得られた資金を原資として適宜配当を実施することとし,その見通しが立った時点で一般債権者や金融機関からなる債権処理委員会(仮称)を設立する方針であることを通知した(乙15号証の2)。 (12) 本件訴訟に至る経緯(乙16号証・取締役会議事録,乙17号証・照会書,乙18号証・回答書,乙19号証・金銭受領書など,乙20号証・ソフトウェアジャパン資産の回収可能性他,乙21号証・弁護士解任経緯,乙22号証・解任書,乙24号証・株式会社ザイビス会社概要,乙53号証・和解案,C陳述書,D陳述書,乙77,78号証,乙82号証,乙88号証,乙112号証,乙114号証,乙125号証・破産決定,原告A供述)ア平成9年1月末 ・株式会社ザイビス会社概要,乙53号証・和解案,C陳述書,D陳述書,乙77,78号証,乙82号証,乙88号証,乙112号証,乙114号証,乙125号証・破産決定,原告A供述)ア平成9年1月末ころ,原告Aが平成8年11月14日にソフトウェアジャパンの代理人を変更する際に前代理人から受領した現金1億2999万9279円(乙18,19号証)のうち5200万円を米国における会社設立資金として知人に渡していたことが判明し,平成9年2月3日に開催されたソフトウェアジャパンの取締役会(出席取締役は,原告A,K会長及び被告C)において,この支出が適正なものではなく回収の必要があることと,代表取締役の登録印と銀行届出印を任意整理を担当していた弁護士に預けることが決定された(乙16号証)。 イさらに,同年2月14日には,公認会計士の調査により,ソフトウェアジャパンが所有していた株式会社ザイビズの株式700株(額面3500万円)が原告Aの婚約者が代表者となっている有限会社に合計10万円で売却されていたことが判明し,不当廉価売却であると報告された(乙20号証,乙24号証)。 ウ原告Aは,2月17日には,被告Cに対して,「A殿/平成9年2月20日以降の貴殿の株式会社ソフトウェアジャパンの整理業務遂行にあたり以下のことを約束する。/平成9年2月20日までの貴殿の業績を尊重し,功績を認め,その間における諸々の責任を問わない。」と記載された書面に署名するよう求めた(乙70号証)が,被告Cはこれを断った。 エこのような状況下で,原告Aは,ソフトウェアジャパンの任意整理を担当していた弁護士に対し,被告カテナの法的責任を追及して欲しいと再三求めたが,この弁護士がこれをしなかったため,2月24日,この弁護士に預けられていたソフトウェアジャパンの代表取締役登録印と銀行 担当していた弁護士に対し,被告カテナの法的責任を追及して欲しいと再三求めたが,この弁護士がこれをしなかったため,2月24日,この弁護士に預けられていたソフトウェアジャパンの代表取締役登録印と銀行届出印とを勝手に持ち出し,この弁護士を解任し(乙21,22号証),新たに本件訴訟の原告Aの訴訟代理人らに対してソフトウェアジャパンの任意整理業務を委任した(乙23号証)。そして,原告Aは,同日ころ,取締役会を開催せずに臨時株主総会を招集し,同年3月10日の同総会において,被告CとK会長をソフトウェアジャパンの取締役から解任するとの決議をしたが,他方,被告Cらは,これに対抗して,同日,取締役会において,原告Aを代表取締役から解任し,K会長を代表取締役に選任する決議をした。 オまた,原告Aは,同年3月5日,被告Cに対して,これまでの混乱を収拾するために3億円を出すよう要求するとともに,翌6日には,被告カテナの社長である被告Bに対して,条件次第でソフトウェアジャパンの株式を売却したいと申し入れた。 カ被告Cらは,原告Aの上記要求を拒否するとともに,同年3月12日には,被告カテナとして,解任された弁護士が保管しているソフトウェアジャパンの資産1億6000万円が散逸することを懸念し,これを原告Aに引き渡さないよう,仮差押をした(当庁平成9年(ヨ)第1325号債権仮差押申立事件)。 キこれに対して,3月28日には,原告Aの代理人らから,被告カテナの代理人に対して,「当方は,4月末を目処に,A個人とソフトウェアジャパンを原告として,カテナ,B殿,C殿を被告として,50億円程度(ネット)の損害賠償請求の訴えを提起すること,および,合併合意以来の一連の不公正取引についての公正取引委員会へ告発すること等の準備をしておりますが,和解については当方も前向きに検 て,50億円程度(ネット)の損害賠償請求の訴えを提起すること,および,合併合意以来の一連の不公正取引についての公正取引委員会へ告発すること等の準備をしておりますが,和解については当方も前向きに検討する所存です。」として,次の内容の和解案が示された(乙53号証)。 (ア) 被告カテナは,当庁平成9年(ヨ)第1325号債権仮差押申立事件を取り下げ,ソフトウェアジャパンはこれを一般債権者への最終弁済の原資とする。 (イ) 被告カテナは,ソフトウェアジャパンに対して,回収後の金額で10億円相当の譲受債権を返還し,ソフトウェアジャパンの金融機関に対する債務の残元本の約26%を目処とした配当原資とする。なお,東京海上がソフトウェアジャパンの破産申立てをする可能性が高く,これを回避するためには,被告Cが支払を約束した2000万円を同年4月20日までに支払う必要がある。 (ウ) 金融機関に対する債務について,ジャパンソリューションの株式公開による売却益を弁済原資とし,年0.25%の割合による金利を支払うという弁済スキームを解消する。 (エ) ソフトウェアジャパンは,被告カテナに対して,ソフトウェアジャパン所有のジャパンソリューション株式を額面額で売却する。 (オ) 被告カテナは,原告A個人に対して,株主対策費,原告A個人の保証債務の処理費用等として,10億円を支払う。 ク原告Aの代理人らは,同年4月9日,被告カテナの代理人に対して,東京海上がソフトウェアジャパンの破産申立てを強行する可能性があるので,手遅れにならないよう早急な対応が迫られているという内容の通知をした(乙82号証の1)が,被告カテナはこれらの要求を拒絶した。 ケソフトウェアジャパンは,同年5月ころに開催した金融機関向けの説明会において,被告カテナに対して50億円くらいを請求する訴えの提起を た(乙82号証の1)が,被告カテナはこれらの要求を拒絶した。 ケソフトウェアジャパンは,同年5月ころに開催した金融機関向けの説明会において,被告カテナに対して50億円くらいを請求する訴えの提起を検討していることなどを説明した。また,原告Aは,縁故者の株主を通じて臨時株主総会を招集し,同年6月3日の総会において,被告C及びK会長を取締役から解任した。そして,ソフトウェアジャパンおよび原告Aは,同月16日,被告カテナ,被告Bおよび被告Cに対し,詐欺による損害賠償として,被告らが,ソフトウェアジャパンに対して64億2055万円と年5分の損害金,原告Aに対して48億円と年5分の損害金を支払うよう請求した(乙77号証)が,被告らはこれを拒絶した(乙88号証)。 コソフトウェアジャパンと原告Aは,平成9年6月23日,請求額を42億5000万円とする本件甲事件を提起し,記者発表において被告らの合併詐欺などと説明したため,翌24日の新聞では,「『虚偽合併話で財産詐取』『カテナ』を損賠提訴」(東京新聞朝刊)とか,「『合併話で会社財産詐取』ソフト販社が提訴」(日本経済新聞朝刊)との見出しで,甲事件の提訴が報道された(乙78号証)。 これと並行して,原告Aは,同月23日ころから同月25日ころまでの間に,「ソフトウェアジャパンA」あるいは「株式会社ソフトウェアジャパン代表取締役社長A」の名前で,「カテナ社訴訟の意味」,「平成9年10月20日のサンケイ会館における一般債権者向け説明会でのKへの反論」,「カテナ事件の系譜」,「カテナ社報告書の虚偽について」等と題する書面(乙81号証の1ないし6)をソフトウェアジャパンの債権者ら多数の者にファクシミリなどで配布した。これらの文書には,被告らがソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにソフトウェアジャパンの る書面(乙81号証の1ないし6)をソフトウェアジャパンの債権者ら多数の者にファクシミリなどで配布した。これらの文書には,被告らがソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにソフトウェアジャパンの財産を騙し取るために合併話をもちかけた等という事実が記載されている(争いのない事実)。 サこれに対して,被告カテナ,被告B及び被告Cは,6月30日,ソフトウェアジャパン及び原告Aに対して,信用毀損や名誉毀損に基づく損害賠償を請求して乙事件を提起し,このことは,翌7月1日の新聞紙上において,「合併詐欺提訴にカテナが反訴」(東京新聞)とか,「ソフトウェア社をカテナが逆提訴『合併詐欺は虚偽』」(日本経済新聞朝刊)とか,「カテナが逆提訴,ソフトウェアジャパン」(日経産業新聞)との見出しで報道された(乙80号証)。 シソフトウェアジャパンは,平成9年7月15日付けで債権者らに対して通知を発し,債務総額115億円で倒産状態に陥っていることや,K会長や被告Cを取締役から解任し,今後の債務整理を進めていくことを報告した上,ソフトウェアジャパンの配当原資としては,①1億6000万円の預金と,②埼玉県越谷市内にあるソフトウェアジャパン所有の不動産(土地及び建物)と,③売掛金債権合計約55億円とが考えられるところ,①は被告カテナに仮差押されており当面配当原資とすることができず,②も担保割れで配当原資とすることはできず,③は取締役会決議を経ずに債権譲渡通知書が作成され送付されており,債権譲渡契約の無効確認の訴えを提起する必要があるので配当原資とすることはできないこと,ただし,被告カテナに対して詐欺に基づく42億5000万円の損害賠償請求訴訟(甲事件)を提起しており,これに勝訴すれば損害賠償金を原資として配当を行うことが可能となるので,今後は甲事件の決着が付くまで ,被告カテナに対して詐欺に基づく42億5000万円の損害賠償請求訴訟(甲事件)を提起しており,これに勝訴すれば損害賠償金を原資として配当を行うことが可能となるので,今後は甲事件の決着が付くまで配当をしないことなどを通知した(乙82号証の2,乙112号証)。 (13) ソフトウェアジャパンの破産と売掛金の供託アこのような混乱が続く中で,平成10年1月30日,被告カテナ外4社は,ソフトウェアジャパンの破産申立てを当庁に申し立てた。ソフトウェアジャパンは,これに対して和議の申立てを行った(乙82号証の3)が,債権者の同意を得られずにこれを取り下げた。そして,同年9月7日午後3時30分,ソフトウェアジャパンは当庁から破産宣告を受け,原告管財人が破産管財人に選任された(乙125号証)。 イ被告カテナ,被告B及び被告Cは,平成10年12月15日,原告管財人に対し,本件乙事件で請求している損害賠償請求権を破産債権として届け出た(乙126号証ないし乙128号証)。これに対して,原告管財人は,平成11年4月21日に開催された債権調査期日において,同被告らの上記債権全額について異議を述べた(乙129号証)。 ウ被告カテナは,前記のとおり,ソフトウェアジャパンとの間で本件債権譲渡担保契約を締結し,平成8年10月24日から債権譲渡通知の発送を開始したものであるが,別紙1(供託金目録)の「供託者」欄記載の各供託者(以下「本件各供託者」という。)は,いずれも被告カテナまたはソフトウェアジャパンを被供託者とし,債権者不確知を供託原因として,同目録の「供託所」欄記載の各法務局等において,同目録の「供託年月日」欄記載の日に,「供託番号」欄記載の番号をもって,「供託金額」欄記載の金額を供託した(乙130号証)。 2 争点及び当事者の主張(1) 争点1(被告ら 載の各法務局等において,同目録の「供託年月日」欄記載の日に,「供託番号」欄記載の番号をもって,「供託金額」欄記載の金額を供託した(乙130号証)。 2 争点及び当事者の主張(1) 争点1(被告らによる合併詐欺の成否)(原告らの主張)ア平成8年当時のパソコンソフトの流通業界において,ソフトウェアジャパンは売上高第2位,被告カテナは第3位の会社であった。そして,ソフトウェアジャパンは外販を主体としていたのに対し,被告カテナは量販店向けの販売を主としていて,営業方法を異にしていた。被告カテナが行っていた量販店向けの販売は,店頭陳列の必要性などから在庫商品が残る可能性が高く,返品も多いのに対して,ソフトウェアジャパンが行っていた外販は,注文を受けてから卸すために在庫商品が残る可能性が低く,返品も少ないことから,被告カテナにとってソフトウェアジャパンの営業権を取得することは,単にスケールメリットの面だけではなく,優良な取引先を多数取得できるという利点が存在していた。 イそこで,被告カテナと,その社長である被告B,専務取締役であった被告C(以下「被告ら」ということがある。)は,このようなソフトウェアジャパンの営業を不当に取得しようと考え,当初からソフトウェアジャパンと合併する意思がなかったにもかかわらず,原告Aに対して合併意思があるかのように申し向け,原告Aをしてその旨誤信させた上,ソフトウェアジャパンを欺罔する手段として合併の合意を行うとともに,ソフトウェアジャパンをしてオリックスとの業務提携契約を白紙にさせ,ソフトウェアジャパンの取引先が記載されている売掛金リストを入手し,譲渡担保名目で,ソフトウェアジャパンの売掛金債権を被告カテナに債権譲渡させた。 ウまた,被告カテナは,合併のために必要な財務デュー・デリジェンスであるとして,企業 れている売掛金リストを入手し,譲渡担保名目で,ソフトウェアジャパンの売掛金債権を被告カテナに債権譲渡させた。 ウまた,被告カテナは,合併のために必要な財務デュー・デリジェンスであるとして,企業清算を前提とする不公正かつ虚偽の方式でソフトウェアジャパンの財務調査を行い,その結果,ソフトウェアジャパンは50億円を超える債務超過状態であるとの虚偽の事実を前提として,合併の合意を一方的に破棄し,ソフトウェアジャパンの商権を取得するため第二会社方式を押し付けた。しかし,ソフトウェアジャパンがこれを受け入れなかったことから,何ら正当な理由もないのに,一方的に売掛金債権の譲渡通知をソフトウェアジャパンの全売掛先に対して送付し,ソフトウェアジャパンの信用を崩壊させて倒産に追い込み,第二会社方式を実行してソフトウェアジャパンの商権を取得した。 (被告らの主張)アそもそも本件の合併の件は,被告カテナがソフトウェアジャパンに対して持ちかけたものではない。被告カテナは,ソフトバンク社の元社長でパソコンソフト業界に顔の広いE元社長からの話で,初めて原告Aがソフトウェアジャパンのために金融支援を求めていることを知り,被告BがE元社長の仲介で原告Aと話合いをした結果,ソフトウェアジャパンを支援することにしたまでで,ソフトウェアジャパンを欺罔するつもりなどは全くなかったものである。 イしかも,被告カテナ,被告B及び被告Cは,平成8年9月8日に原告Aから説明を受けるまで,ソフトウェアジャパンがオリックスとの資本提携について交渉を行っていたことは知らなかったし,被告カテナ側が原告Aに対してオリックスとの資本提携の断念を働きかけたものでもない。オリックスとの資本提携の断念は,前記「基本となる事実」(4)及び(5)に記載のとおり,原告Aが,オリックスとの提携では当面 側が原告Aに対してオリックスとの資本提携の断念を働きかけたものでもない。オリックスとの資本提携の断念は,前記「基本となる事実」(4)及び(5)に記載のとおり,原告Aが,オリックスとの提携では当面必要となる運転資金を手当することができないだけではなく,原告Aの立場を維持することができないなどとするE元社長のアドバイスを受けた上,ソフトウェアジャパンの経営改革を担当していたD室長と協議し検討した上で決定されたものであり,被告カテナ側に何ら責任はない。 ウまた,被告カテナは,ソフトウェアジャパンの財務内容が著しく悪化していることを知らず,本当に合併を前提とした業務提携が可能であると考えていたため,ソフトウェアジャパンに対して本件7月貸付及び本件9月貸付を実施し,20億円も貸し付けたのである。しかし,被告カテナが実施した本件財務調査によって,ソフトウェアジャパンが最大で54億円もの債務超過となっていることが報告され,東京証券取引所の審理をクリアーできないことが判明したため,正式な合併は不可能であると判断し,ソフトウェアジャパンの了解の下で,第二会社方式による提携をすることに合意したものである。現に,原告Aは,第二会社方式による業務提携が最善の方策であるとの認識に立ち,平成8年11月7日に実施された債権者向け説明会においても,自らその旨を説明したほどである。 エまた,被告カテナが平成8年10月24日からソフトウェアジャパンの売掛先に対して債権譲渡通知書を発送し始めたのは,同月22日付けでさくら銀行が債権譲渡を受けていた売掛先に対して債権譲渡通知書を送付し,売掛先に混乱が生じて被告カテナの債権が保全されない危険性が生じたためであり,何ら非難されるものではない。 オそもそもソフトウェアジャパンを破綻させたとしても,被告カテナは,何一つ得をす 送付し,売掛先に混乱が生じて被告カテナの債権が保全されない危険性が生じたためであり,何ら非難されるものではない。 オそもそもソフトウェアジャパンを破綻させたとしても,被告カテナは,何一つ得をすることはない。ソフトウェアジャパンや原告Aが強調する同社の営業の価値も,ソフトウェアジャパンが正常に業務を行っていればこそ保たれるものであって,破綻した会社の営業価値は相応の保全措置が施されない限りほとんど無価値であり,ソフトウェアジャパンの破綻が被告カテナにとって利益になることはない。 被告カテナがソフトウェアジャパンと対等合併する意思がないにもかかわらず,これがあるかのように装って同社や原告Aを欺罔した事実は全くないのであって,原告Aや原告管財人の主張は理由のないものである。 (2) 争点2(合併契約の債務不履行の有無)(原告管財人の主張)被告カテナとソフトウェアジャパンは,前記のとおり,平成8年9月8日に1対1の対等合併契約を締結したのであるから,被告カテナは,債務の本旨に従い,①被告カテナの取締役会への付議と合併承認決議,②合併契約書の作成,③臨時株主総会の招集と総会における合併承認特別決議の取りつけなど,合併に必要な手続を誠実に実行する義務があったところ,何ら正当な理由もないのにこれを履行せず,一方的に合併合意を破棄したものであるから,ソフトウェアジャパンに対して債務不履行責任を負うべきであり,また,ソフトウェアジャパンの債務を連帯保証していた原告Aに対しても損害賠償責任を負うべきである。 (被告カテナの主張)アまず,被告カテナとソフトウェアジャパンとの間に成立したのは,法律的には正式な「合併合意」ではなく,合併を前提とした業務提携契約である。しかも,両社間の合併による業務提携が不可能となったのは,本件財務調査によりソフトウェア ェアジャパンとの間に成立したのは,法律的には正式な「合併合意」ではなく,合併を前提とした業務提携契約である。しかも,両社間の合併による業務提携が不可能となったのは,本件財務調査によりソフトウェアジャパンが50億円を超える債務超過状態であることが判明したからであり,やむを得ない理由によるものである。 イまた,ソフトウェアジャパンは,平成8年10月28日に被告カテナとの業務提携を破棄して自主再建を目指すとして,同月30日に予定されていた株主総会の開催を中止し,同月31日には自己破産を申し立てる方針であることを一方的に発表するなどして,自ら被告カテナとの業務提携を破棄したのである。被告カテナは,ソフトウェアジャパンがそのような勝手な行動に出るまで,ソフトウェアジャパンと提携する意思を有していた。 ウソフトウェアジャパンと原告Aは,自ら誤った見通しのもとに被告カテナとの業務提携を破棄したものであるから,その結果は自ら負担すべきである。 (3) 争点3(ソフトウェアジャパン及び原告Aの損害)(原告らの主張)アソフトウェアジャパンの損害額は,以下のとおり,合計64億0805万円である。 (ア) 被告らによる不法行為が行われた平成8年9月8日当時,ソフトウェアジャパンの株式の評価額は1株355円(額面50円)であった。ソフトウェアジャパンは,会社自体の評価損害として,これに発行済株式総数541万株を乗じた19億2055万円の損害を被った。 (イ) また,ソフトウェアジャパンは,被告カテナらに騙取された売掛金債権合計43億円の損害を被った。 (ウ) ソフトウェアジャパンは,被告らの本件不法行為によって甲事件を提起せざるをえなくなり,原告訴訟代理人に対して,弁護士費用として1億8750万円を支払うことを約した。 (エ) 原告管財人は,上記 ) ソフトウェアジャパンは,被告らの本件不法行為によって甲事件を提起せざるをえなくなり,原告訴訟代理人に対して,弁護士費用として1億8750万円を支払うことを約した。 (エ) 原告管財人は,上記ソフトウェアジャパンの損害のうち,(ア)について5億円,(イ)について25億円から供託分を控除した24億6983万6321円,(ウ)の全額,合計31億5733万6321円を請求する。 イ原告Aの損害額は,以下のとおり,合計48億6250万円である。 (ア) 原告Aは,ソフトウェアジャパンの債務の一部を連帯保証していたところ,被告らの本件不法行為により同社が破産したため,同社に対する求償権を侵害され,48億円の損害を被った。 (イ) また,原告Aは,被告らの本件不法行為によって甲事件を提起せざるをえなくなり,原告訴訟代理人に対して,弁護士費用として6250万円を支払うことを約した。 (ウ) 原告Aは,上記求償権侵害に基づく損害のうち10億円と,弁護士費用6250万円の合計10億6250万円を請求する。 (被告らの主張)原告らの主張は争う。 (4) 争点4(錯誤無効による不当利得返還請求の可否)(原告管財人の主張)ア被告カテナは,平成8年9月8日,ソフトウェアジャパンとの間で,①1対1の対等合併をすること,②被告カテナがソフトウェアジャパンに対して30億円を限度とする金融支援を行うこと,③原告Aのソフトウェアジャパンに対する個人負債の解消について被告カテナが最終的に責任を持つこと,を合意した。 イしかし,この合意のとき,被告カテナは,上記①及び③の意思はなく,上記②については10億円のみを融資する意思であった。原告らは,被告カテナが上記①ないし③の合意を履行することを必要不可欠の前提として本件売掛金債権について譲渡担保契約を締結したのであり 思はなく,上記②については10億円のみを融資する意思であった。原告らは,被告カテナが上記①ないし③の合意を履行することを必要不可欠の前提として本件売掛金債権について譲渡担保契約を締結したのであり,仮に,被告カテナが①ないし③の合意を履行する意思がないことを知っていたならば,本件譲渡担保契約を締結することはなかった。 ウよって,本件譲渡担保契約を締結するにあたり,ソフトウェアジャパンには動機の錯誤が存在し,これが被告カテナに対して表示されていたことは明らかであるから,ソフトウェアジャパンは,平成10年5月11日の本件口頭弁期日に本件債権譲渡担保契約の錯誤無効を主張し,被告カテナが不当に利得した譲渡債権(相当額)の返還を請求する。 (被告カテナの主張)被告カテナは,本件業務提携合意の際,原告ら主張の上記①ないし③の点を実行する意思があり,現に実行しつつあった。本件業務提携合意を破棄したのは,これまでにも述べたとおり,原告らである。 (5) 争点5(破産法72条1項1号による故意否認の可否)(原告管財人の主張)ア債権譲渡の時期(ア) ソフトウェアジャパンが被告カテナに対して本件売掛金債権を一括して債権譲渡したのは,ソフトウェアジャパンが被告カテナから受ける融資を担保するためであり,いわゆる譲渡担保である。 (イ) このような譲渡担保としての集合債権譲渡については,債権譲渡契約の締結時に完全な債権譲渡がなされたわけではなく,債権譲渡通知を発送する段階で現実の債権譲渡がなされたものと解されるのであって,被担保債権の弁済期日が到来するか,借主であるソフトウェアジャパンが期限の利益を失わない限り,第三債務者に対する債権譲渡通知はなされず,かつ,その間に譲渡債権の弁済期が到来すればソフトウェアジャパンに弁済受領権限があるものと解さ か,借主であるソフトウェアジャパンが期限の利益を失わない限り,第三債務者に対する債権譲渡通知はなされず,かつ,その間に譲渡債権の弁済期が到来すればソフトウェアジャパンに弁済受領権限があるものと解されるのである。 (ウ) したがって,本件では,平成8年10月24日以降に被告カテナによってなされた各売掛先に対する債権譲渡通知の発送によって,現実の債権譲渡がなされたものというべきである。 イ債権者を害する行為(ア) 本件債権譲渡によって,被告カテナは少なくとも27億2255万9768円を回収したが,被告カテナの被担保債権額は元本で27億1600万円余りであるから,これに利息及び損害金が付加されるとしても,被告カテナは,ほぼ100%近い金員を回収したことになる。 (イ) これに対して,ソフトウェアジャパンがした任意整理手続によって他の一般債権者に配当されたのは合計9億円余りで,配当率にして26%にすぎない。よって,本件債権譲渡により,ソフトウェアジャパンの一般財産が減少して全債権者への分配額が減少し,被告カテナと他の一般債権者との間に極めて重大な不平等が生じたことは明らかである。 (ウ) 被告カテナに対する債権譲渡が行われた平成8年10月24日時点で,ソフトウェアジャパンが既に財政的危機状態に追い込まれていて,被告らがそのことを熟知していたことは,被告ら自身が,本件訴訟において,本件9月貸付「当時ソフトウェアジャパンは予定されていた売掛金の回収によってこれら資金をまかなうことができず,他に資金を得られる途が皆無の状況であって,かつ,融資元金融機関やその他の債権者から弁済猶予を得られる見込みもついていなかったのであるから,被告らからの各融資金の有用性すなわち被告からの融資が得られなければ,直ちに支払停止に陥り事業継続がはかられなかったこ 関やその他の債権者から弁済猶予を得られる見込みもついていなかったのであるから,被告らからの各融資金の有用性すなわち被告からの融資が得られなければ,直ちに支払停止に陥り事業継続がはかられなかったことについて多言を要しない。」などと繰り返し主張しているところから明らかである。 ウ相当性(ア) 本件債権譲渡は,被告カテナの本件7月貸付及び本件9月貸付に伴うものではなく,平成8年10月24日時点で、既に実行済みの融資に基づく既存債務と,既に無担保を前提に合意されていた融資について,ソフトウェアジャパンが被告カテナに対し,他の一般債権者に優先する担保提供を行ったものである。このような既存債務への担保設定行為は,基本的に否認の対象である。 (イ) また,本件債権譲渡は,既になされていた本件7月貸付を除き,最大でも20億円の融資を担保する目的であったが,被告カテナに対して譲渡された債権の価額は,被告カテナによって実際に回収された金額だけでも27億円を超えるものであり,担保物の価額が被担保債権額を超えるものであって,担保提供行為としての合理的な限度を超えていることが明らかであるから,相当性も認められない。 (ウ) そして,本件債権譲渡担保契約が締結された時点で既に銀行3社に対して譲渡されていて,譲渡の対象から除外された16社に対する売掛金債権については,それ以後にこれらを対象とする別個の合意が成立したことになるから,これについては本件7月貸付だけでなく本件9月貸付との関係でも既存債務のための担保設定であり,よりいっそう相当性を欠くものである。 エソフトウェアジャパン(破産会社)の詐害意思(ア) 破産者の詐害意思は,①破産者が対象行為当時に財政的危機状態にあること,②当該行為により債権者の共同担保となる一般財産が減少することの認識があれば認 トウェアジャパン(破産会社)の詐害意思(ア) 破産者の詐害意思は,①破産者が対象行為当時に財政的危機状態にあること,②当該行為により債権者の共同担保となる一般財産が減少することの認識があれば認められる。 (イ) ソフトウェアジャパンは,平成8年7月5日には10億円をマイクロソフト社に対して支払わなければならない状況にありながら,取引銀行から融資を受けられない状況にあったため,急きょE元社長を通じて融資をしてくれるところを探していた。 (ウ) また,本件財務調査の結果によれば,同年8月31日現在でソフトウェアジャパンは約54億円あまりの債務超過状態にあったことからして,本件債権譲渡担保契約が締結された時点で,ソフトウェアジャパンが資金繰りに追われる状態であったことは明らかである。 (エ) そして,ソフトウェアジャパンが自己破産の申立てを決定した同年10月31日の直前である同月24日以降の時点では,ソフトウェアジャパンが危機的状態に追い込まれていたことはいうまでもない。 (オ) このような状況の下で,ソフトウェアジャパンに残存していた全財産ともいうべき売掛金債権のすべてを被告カテナに譲渡してしまえば,他の債権者に対する引当財産が減少して他の債権者を害する結果となることは自明のことであり,ソフトウェアジャパンは,十分にこのことを認識していたから,ソフトウェアジャパンに詐害意思が認められることは明らかである。 オ被告カテナの害意被告カテナは,ソフトウェアジャパンが危機的状況にあったことは,既に本件7月貸付の時点で認識していただけではなく,本件9月貸付の時点ではソフトウェアジャパンが30億円の融資を必要とする状態にあったことを十分に認識していたものであるから,被告カテナには,他の一般債権者を害する意思があったというべきである。 ,本件9月貸付の時点ではソフトウェアジャパンが30億円の融資を必要とする状態にあったことを十分に認識していたものであるから,被告カテナには,他の一般債権者を害する意思があったというべきである。 カ価額償還請求被告カテナに譲渡された売掛金の総額は43億円と評価することができるところ,原告管財人は,このうち31億5733万6321円及びこれに対する本件否認権行使の日の後である平成11年2月18日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告カテナの主張)ア債権譲渡の時期(ア) 平成8年9月20日に締結された本件債権譲渡担保契約は,ソフトウェアジャパンが被告カテナに対して負担する現在及び将来の一切の債務を担保する目的で,ソフトウェアジャパンの現在及び将来の商品代金売掛金を一体として担保提供する(ソフトウェアジャパンが第三債務者から債権を取得する都度担保提供の効力が及ぶ)という非典型担保設定契約である。 (イ) そして,その対象となる債権は,「基本となる事実」の(6)エに記載のとおり,それぞれ識別が可能なものであるから,債権譲渡の効力に問題はなく,同日をもって被告カテナが同債権を取得したことは明らかである。 イ債権者を害する行為(ア) 本件では,ソフトウェアジャパンのオーナーである原告Aが同年10月28日に被告カテナとの提携破棄を決意し,同月30日ソフトウェアジャパンの経営継続についての意欲を失い,翌31日に事業閉鎖するまで,正常な状態で業務を継続し,原告Aを含むソフトウェアジャパン関係者全員がソフトウェアジャパンの継続について意欲を持っていたことは明らかである。 (イ) また,被告カテナは,「基本となる事実」の(8)ないし(10)に記載のとおり,原告Aの無責任な自己破産申立ての発表やその撤回による混乱にもか 継続について意欲を持っていたことは明らかである。 (イ) また,被告カテナは,「基本となる事実」の(8)ないし(10)に記載のとおり,原告Aの無責任な自己破産申立ての発表やその撤回による混乱にもかかわらず,第二会社方式を前提としたソフトウェアジャパンに対する支援を続けたように,ソフトウェアジャパンは,被告カテナとの提携により資金繰りの目途を有していたのである。ソフトウェアジャパンは,平成8年9月20日当時はもちろん,同年10月24日時点においても,財政的危機時期には至っていなかったのである。 (ウ) また,被告カテナとの間で本件債権譲渡担保契約を締結した平成8年9月20日当時,ソフトウェアジャパンは,人件費や買掛金その他の支払及び金融機関からの借入金の返済資金に窮し,かつ,翌平成9年3月31日までの運転資金として合計30億円を必要としていた。 (エ) ソフトウェアジャパンは,本件債権譲渡担保契約によって,被告カテナから,銀行借入よりも低利ないし無利息で10億円の融資を受けるとともに残り20億円についても金融支援の約束を得られたのであるが,金融機関から新たな融資を受けられる見込みもなく,他に運転資金調達の方途はなかったのであるから,被告カテナと本件債権譲渡担保契約を締結して被告カテナから融資を受けることは,ソフトウェアジャパン及びその債権者にとって経済的合理性のある有利な行為である。 (オ) なお,被告カテナがソフトウェアジャパンの任意整理業務遂行のため支出した費用(立替金,ソフトウェアジャパンに貸し付けたジャパンソリューションへの出資金)は,被告カテナが拠出しなければソフトウェアジャパンの一般財産から支払われたはずであるから,この意味でも債権者の共同担保となるべきソフトウェアジャパンの一般財産は減少していないのであって,全債権者共通の利 告カテナが拠出しなければソフトウェアジャパンの一般財産から支払われたはずであるから,この意味でも債権者の共同担保となるべきソフトウェアジャパンの一般財産は減少していないのであって,全債権者共通の利益となるものであった。 ウ相当性(ア) 本件債権譲渡担保契約は,本件提携合意を実現するための30億円を限度とする金融支援の担保であるから,金融支援と一体として相当性を判断すべきであり,上記の点から考えれば,本件債権譲渡担保契約には相当性があるというべきである。 (イ) また,原告管財人は,被告カテナに対して譲渡する債権として,当初銀行3社に対して債権譲渡された16社に対する将来債権を追加したことをもって,既存債務への新たな担保供与であると主張するが,この追加によりみるべき価値の増加はなく,本件債権譲渡担保契約の一部変更にすぎないから,問題とすべきものではない。 エソフトウェアジャパン(破産会社)の詐害意思(ア) 原告管財人は,本件7月貸付当時から,ソフトウェアジャパンは財政的危機状態にあり,代表取締役であった原告Aもそのような状況であることを認識していたと主張する。 (イ) しかし,ソフトウェアジャパンがマイクロソフト社から与信枠の圧縮を告げられた平成8年6月21日ころ,ソフトウェアジャパンの社内外に緊迫した事態は一切なく,原告AはE元社長に融資してくれそうな先を依頼した以外に積極的な資金調達活動をしていない上,6月末には日本長期信用銀行の推薦によって経営コンサルタントであるD室長を新たに雇い入れて経営改善の検討を始めたばかりで,同年7月末と同年8月末ともに実際の資金不足は生じていないのであって,会社の運営ができないほど財政的危機状態にあったわけではない。 (ウ) 原告Aは,平成8年9月20日以降も,被告カテナ以外の提携先を探してお と同年8月末ともに実際の資金不足は生じていないのであって,会社の運営ができないほど財政的危機状態にあったわけではない。 (ウ) 原告Aは,平成8年9月20日以降も,被告カテナ以外の提携先を探しており,被告カテナより有利な条件でソフトウェアジャパンと提携してくれる会社があると考えていたことや,新たな提携先が見つかりさえすれば,被告カテナからの金融支援による20億円の負債も返済可能であると考えていたことが明らかである。 (エ) もっとも,原告A以外のソフトウェアジャパンの役員らは,被告カテナより有利な提携先はないと考えていたが,会社の業績自体は決して悪いものではなかったので,被告カテナとの提携によってソフトウェアジャパンの一時的な資金ショートが回避され,経営基盤が維持されれば,会社の経営も順調に回復するであろうと考えていた。 (オ) 確かに,平成8年7月から9月当時,ソフトウェアジャパンは債務超過状態にあり,原告Aは,会社がある程度の債務超過状態にあることは認識していたものと思われる。しかし,貸借対照表上の債務超過とは,一時点における会社の財産状態を指すもので,会社の収益力そのものの良否を示すものではない。相応の売上げが見込める会社においては,会社の運営に必要な当面の資金を調達でき,収益性を高めることさえできれば,形式的には債務超過状態であっても,会社の事業継続には何ら支障はないのである。 当時のソフトウェアジャパンは,多くの人々から,被告カテナとの提携によって一時的な資金ショートを回避すれば,その事業継続に何ら問題はないと考えられており,前記のとおり,原告Aも,ソフトウェアジャパンがどうにもならない財政的危機状態にあるなどとは考えていなかったはずである。 オ被告カテナの害意被告カテナは,一貫してソフトウェアジャパンのもつ潜在的収益力 とおり,原告Aも,ソフトウェアジャパンがどうにもならない財政的危機状態にあるなどとは考えていなかったはずである。 オ被告カテナの害意被告カテナは,一貫してソフトウェアジャパンのもつ潜在的収益力を高く評価し,ソフトウェアジャパンが倒産することなど全く予想しておらず,同社との提携・合併が双方の利益をもたらすと考えたからこそ,20億円にも上る多額の金融支援を行ったものであり,ソフトウェアジャパンを助けようとの意思はあっても,ソフトウェアジャパンを倒産に追い込もうとするような意思は全くなかったものである。 (6) 争点6(債権の過剰回収による不当利得返還請求の可否)(原告管財人の主張)被告カテナは,ソフトウェアジャパンから,同社に対して融資した20億円を大幅に上回る債権を譲り受け,現在までに総額27億2255万9768円を回収した。そこで,原告管財人は,この差額である7億2255万9768円について,不当利得として返還を請求する。 (被告カテナの主張)ア被告カテナがソフトウェアジャパンから譲り受けたのは,同社が被告カテナに対して負担する現在及び将来の一切の債務を担保するためであり,その被担保債権は,別紙3(被担保債権目録)に記載のとおりであり,貸付金元本が20億3000万円,売掛金が3億2956万7326円,前払い未収金が3億1673万6007円,立替金が984万7060円であり,その合計額は26億8615万0393円である。 イ被告カテナは,別紙2(株式会社ソフトウェアジャパン譲受債権回収状況)の「回収日」欄記載の年月日に,「回収額」欄記載の金額を回収し,これらを別紙4(充当関係目録)の別表①に記載のとおりに充当した。そして,現在も未充当残債権として,①本件9月貸付の遅延損害金残額1981万6698円,②平成8年12月13日付 記載の金額を回収し,これらを別紙4(充当関係目録)の別表①に記載のとおりに充当した。そして,現在も未充当残債権として,①本件9月貸付の遅延損害金残額1981万6698円,②平成8年12月13日付貸付金3000万円及びこれに対する未払利息金110万5582円,合計5092万2280円がある。 ウ被告カテナは,ソフトウェアジャパンから譲り受けた売掛金債権の回収金は全額,被告カテナのソフトウェアジャパンに対する債権の弁済に充当しており,被告カテナに不当利得は存在しない。 (7) 争点7(乙事件-被告らに対する信用毀損,名誉毀損の成否と損害)(被告らの主張)ア被告らに対する信用毀損,名誉毀損原告A及びソフトウェアジャパンは,平成9年6月23日ころから同月25日ころまでの間,「被告らがソフトウェアジャパンと合併する意思がないのに,ソフトウェアジャパンの財産を騙し取るために合併話を持ちかけた」等という虚偽の事実を記載した文書を,ソフトウェアジャパンの債権者ら多数の者に配布し,また,新聞等に掲載させる目的で同趣旨の記者発表をしたほか,本件訴訟の口頭弁論期日においても同趣旨の主張・供述を繰り返し,被告カテナの信用と被告B及び被告Cの名誉とを毀損してその社会的評価を低下させた。 イ違法な不当訴訟の提起(ア) 原告らは,被告らがいわゆる合併詐欺を行ったとして本件甲事件を提起し,42億5000万円もの請求をしているのであるが,その損害額の算定根拠が明確ではない。 (イ) また,東京証券取引所に上場している会社が訴訟を提起されて事業年度末日における総資産額の5%以上に相当する金額の支払を請求された場合には,敗訴の場合に会社業績に生ずる影響などを東京証券取引所に報告しなければならないところ,平成9年3月末日の被告カテナの総資産額は649億900 資産額の5%以上に相当する金額の支払を請求された場合には,敗訴の場合に会社業績に生ずる影響などを東京証券取引所に報告しなければならないところ,平成9年3月末日の被告カテナの総資産額は649億9008万円余であり,その5%は32億4950万円であって,上記請求額はこれを大幅に上回る額であるため,被告カテナは原告らから訴えられたことを東京証券取引所に報告しなければならない。原告らは,東京証券取引所に報告され,結果的に訴訟提起が公表されることを目的として上記損害額を算定したことは明らかである。 (ウ) さらに,本件訴訟において,原告ら主張の合併詐欺を裏付ける証拠として原告らから提出されているのは,原告A自身の推測を内容とする供述だけであり,客観的な証拠は一切提出されていない。 (エ) しかも,基本となる事実で述べられているような本件提携合意後の原告A及びソフトウェアジャパンの一連の行動や,内容証明郵便による64億円の支払請求を経て本訴提起に至った経緯や,訴訟提起前の信用・名誉毀損行為の態様からすると,原告A及びソフトウェアジャパンが,被告らに社会的経済的苦痛を味あわせて会社から多額の金銭を不正に取得しようとする「積極的害意」に基づいて,専らこれを実現するために甲事件を提起したことは明らかである。 (オ) これらの点に照らせば,原告及びソフトウェアジャパンは,被告らによる合併詐欺が何ら根拠に基づくものではないことを熟知しながら,甲事件の提起によってさらに被告らを困惑させ,多額の根拠のない金員を取得しようとの不正な意図をもって,その実現手段として甲事件を提起したものであり,極めて不当性,違法性の高い行為であり,このような訴訟の提起自体が不法行為に該当する。 ウ被告カテナの損害(ア) 被告カテナは,昭和43年1月の創業以来,順調にその業績を 件を提起したものであり,極めて不当性,違法性の高い行為であり,このような訴訟の提起自体が不法行為に該当する。 ウ被告カテナの損害(ア) 被告カテナは,昭和43年1月の創業以来,順調にその業績を向上させ,平成3年には東京証券取引所第2部に上場し,法秩序及び商道徳を遵守してきた会社であり,一般社会においてもそのような信用を築いてきた。今回,原告A及びソフトウェアジャパンが主張している合併詐欺というのは,単なる取引上のトラブルではなく,被告カテナが「犯罪行為を犯した」ということを意味する。しかも,被告カテナは,前記のとおり,本件甲事件を提起されたことを毎期東京証券取引所に報告して有価証券報告書に記載せざるを得なくなっており,被告カテナの社会的信用は著しく害されている。 (イ) 実際に,原告A及びソフトウェアジャパンが合併詐欺を理由として被告カテナに対し訴訟を提起すると公言し始めた平成9年6月ころから,被告カテナの流通部門の売上額は著しく低下し,株価も低落するなどして,その回復に2年以上を要したことからも,その影響の大きさが明らかであり,被告カテナの経営規模や経営内容等,諸般の事情を勘案すれば,原告らの上記不法行為によって被告カテナが被った損害額は5億円を下らないというべきである。 エ被告Bの損害(ア) 被告Bは,被告カテナの創業者であり,創業翌年からその代表取締役の地位にあり,業界においても重要な役職に就いており,被告カテナの代表者としてだけではなく,B個人としても高い社会的信用や名誉を築いてきている。 (イ) また,被告Bは,原告Aの苦境を助けるべく熱意を持ってソフトウェアジャパンとの合併を推進し,その希望に応えて援助してきたにもかかわらず,その原告Aから「合併詐欺」という汚辱の言辞を与えられ,その信用と名誉を著しく傷つ Aの苦境を助けるべく熱意を持ってソフトウェアジャパンとの合併を推進し,その希望に応えて援助してきたにもかかわらず,その原告Aから「合併詐欺」という汚辱の言辞を与えられ,その信用と名誉を著しく傷つけられた上,法廷の場に被告として訴えられ,その苦痛は計り知れない。被告Bの社会的地位や前記の諸般の事情を勘案すれば,原告らの上記不法行為によって被告Bが被った損害額は1億円を下らないというべきである。 オ被告Cの損害(ア) 被告Cは,前記のとおり,ソフトウェアジャパンとの提携・合併の担当役員として,その実現に向けて誠意を持って職務を遂行してきた。特に,ソフトウェアジャパンの資金繰りや業務運営に支障が生じることのないよう,社内管理体制が整っていないソフトウェアジャパンの従業員らから実情や希望を聞き,被告カテナ内部や金融機関との調整に忙殺されながら,ソフトウェアジャパンの希望する日時までに希望の金額が融資できるよう大変な努力をした。しかも,平成8年11月からは,原告らの要請により,ソフトウェアジャパンの取締役に就任し,誠実にソフトウェアジャパンの整理業務を遂行してきた。 (イ) それにもかかわらず,被告Cは,原告及びソフトウェアジャパンから感謝されるどころか,「合併詐欺」という最大の汚辱の言辞を浴びせられるとともに,損害賠償請求訴訟を提起され,その信用と名誉を著しく傷つけられ,計り知れない苦痛を被った。被告Cの社会的地位や前記の諸般の事情を勘案すれば,原告らの上記不法行為によって被告Cが被った損害額は5000万円を下らないというべきである。 カ弁護士費用被告らは,原告らの不法行為によって被った損害の賠償を求めて本件乙事件を提起せざるをえず,被告らの訴訟代理人にその手続を依頼し,弁護士費用として,各自次のとおり支払うことを約した。 (ア 士費用被告らは,原告らの不法行為によって被った損害の賠償を求めて本件乙事件を提起せざるをえず,被告らの訴訟代理人にその手続を依頼し,弁護士費用として,各自次のとおり支払うことを約した。 (ア) 被告カテナ4107万円(着手金1369万円,報酬2738万円)(イ) 被告B 1107万円(着手金369万円,報酬738万円)(ウ) 被告C 657万円(着手金219万円,報酬438万円)(原告らの主張)ア原告らは,前記のとおり,被告らがソフトウェアジャパンの会社財産を騙取することを目的として「合併詐欺」を行ったことを確信して,取引先に対してその旨の報告をしたほか本件甲事件を提起したものであって,全く正当なものであり,被告らに対する不当な害意は一切ない。 イ本件甲事件を提起する前に,原告らが被告らに対して,ソフトウェアジャパンに対し10億円,原告Aに対し10億円を支払うことを提示したのは,本件甲事件の提起を考慮していたときに被告らの弁護士から一応考えている和解金額を提示してもらいたいとの要請があったからであり,何ら根拠のない不正な金額を取得しようとしたものではない。 ウ原告らの上記行為によって被告らが損害を被ったとの点については否認し,原告らが弁護士に対して原告ら主張の弁護士費用を支払うことを約束したとの点は不知。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告らによる合併詐欺の成否)について(1) 本件の事件経過は,前記「第2事案の概要」の「1基本となる事実」で詳細に記述したとおりである。以下では,この「基本となる事実」で述べた事実を前提として判断する。 (2) まず,原告らは,被告らが当初からソフトウェアジャパンと合併する意思がなかったのに,これがあるかのように装って合併に合意し,ソフトウェアジャパンが進めていたオリックスとの業務 して判断する。 (2) まず,原告らは,被告らが当初からソフトウェアジャパンと合併する意思がなかったのに,これがあるかのように装って合併に合意し,ソフトウェアジャパンが進めていたオリックスとの業務提携契約を白紙にさせ,また,ソフトウェアジャパンの売掛金債権を半ば強制的に譲り受けて売掛金リストを入手した上,不公正かつ虚偽の財務調査を行って合併の合意を一方的に破棄し,ソフトウェアジャパンの商権を強引に取得するため第二会社方式を強要したが,同社がこれを受け入れないことから,何らの正当理由もないのに,一方的に債権譲渡通知を全売掛先に送付してソフトウェアジャパンを倒産させて,目的どおり同社の商権を取得するとともに,同社に損害を与えたと主張している。 (3) しかし,当裁判所は,以下の理由により,このような原告らの主張を採用することはできない。 ア第1に,被告カテナが今回のソフトウェアジャパンの支援問題に関係を持つに至ったのは,ソフトウェアジャパンが平成8年6月20日過ぎころ最大の仕入先であるマイクロソフト社から与信枠を20億円から3億円に削減され,同社からパソコンソフトを仕入れるには同年7月初めまでに10億円を支払う必要が生じたため,代表取締役である原告Aが大学の先輩で業界に顔の広いE元社長に対して融資先を紹介してほしいと依頼したところ,E元社長が金融機関からの新たな融資が難しいと判断して,原告Aに対して被告カテナのオーナー社長である被告Bを紹介したことがきっかけであり(基本となる事実(2)エ),被告カテナや被告Bの側(「被告カテナ側」ということがある。)から,何らかの目的をもってソフトウェアジャパンや原告A(「ソフトウェアジャパン側」ということがある。)に接触を求めたものではない。 イ第2に,ソフトウェアジャパン側は,平成8年春ころには る。)から,何らかの目的をもってソフトウェアジャパンや原告A(「ソフトウェアジャパン側」ということがある。)に接触を求めたものではない。 イ第2に,ソフトウェアジャパン側は,平成8年春ころには資金繰りが悪化し始めていたことを認識していて,原告Aは,同年3月にはオリックスとの提携交渉を開始していたが(基本となる事実(2)イ),交渉がななか進展しないうちにマイクロソフト社から与信枠を削減されたため,上記の10億円の緊急融資が必要となったものであるが,ソフトウェアジャパン側は,被告カテナからこの10億円の融資を受ける際にも,被告カテナ側に対して,既にオリックスと提携交渉に入っていることを知らせていなかった(基本となる事実(2)オ)。 ウ第3に,被告カテナ側は,平成8年7月5日当時,ソフトウェアジャパンの直近3期分の決算書などを検討し,資金不足は一時的なものと判断して,原告A及びその持株会社が保有するソフトウェアジャパンの株式合計181万株を譲渡担保とすることで,速やかに上記10億円の融資を実行したにもかかわらず,譲渡担保に提供するはずの株券は発行されていなかったため,被告カテナがソフトウェアジャパンの株券の交付を受けたのは同年9月26日のことであった(基本となる事実(2)カ,キ)。 エ第4に,ソフトウェアジャパンは,平成8年9月にも資金ショートをきたすことが予測されたため,原告Aは,オリックスとの提携交渉の成立を急いでいて,9月6日にはオリックスの提示した内容でソフトウェアジャパンとオリックスとの提携交渉が成立するかにみえたが,その内容は,原告Aが希望していた①1株250円での新株引受や②9月後半の資金ショート回避のための10億円の融資や③ソフトウェアジャパンに対する原告A個人の5億円の債務の肩代わりなどの点がすべて拒否されたも ,原告Aが希望していた①1株250円での新株引受や②9月後半の資金ショート回避のための10億円の融資や③ソフトウェアジャパンに対する原告A個人の5億円の債務の肩代わりなどの点がすべて拒否されたものであったため,E元社長のアドバイスを受けて,急きょ同月8日に原告Aが被告Bと会談することになったもので,この段階でも被告カテナ側は受け身であった(基本となる事実(4),(5)ア)。 オ第5に,平成8年9月8日のE元社長の下での原告Aと被告Bとの会談においても,被告カテナ側から合併を求めたものではなく,E元社長から原告Aに対して当面のオリックスとの提携では新たな10億円の融資が得られないことや原告Aの身分保障がないことなどのデメリットや,オリックスと提携するのであれば被告カテナに対して7月に融資を受けた10億円を返済するのが筋ではないかなどと指摘され,原告AがD室長と別室で協議し検討した上で,オリックスとの提携は利益が薄いことを認め,被告カテナとの合併を目指して業務提携を図るべきだと結論に達して,甲1号証の合意書が作成されたものであり(基本となる事実(5)),被告カテナ側が業務提携を求めたものではない。 カ第6に,被告カテナは,上記9月8日の本件提携合意後,ソフトウェアジャパンと打合せを重ねて同月18日には正式に覚書(甲6号証)を作成し,東京証券取引所に報告して必要な準備や日程について打合せをするとともに,ソフトウェアジャパンと合併を前提とする業務提携をしたことを記者発表したほか,同月20日には本件提携合意において合意した30億円を限度とする金融支援のうち10億円の融資(本件9月貸付)を実施した。また,ソフトウェアジャパンは,前記のとおりマイクロソフト社から与信枠が大幅に削減されたため7月に支払った10億円ではまだ債務を解消することがで 支援のうち10億円の融資(本件9月貸付)を実施した。また,ソフトウェアジャパンは,前記のとおりマイクロソフト社から与信枠が大幅に削減されたため7月に支払った10億円ではまだ債務を解消することができず,依然としてマイクロソフト社から直接商品を仕入れることができない状況であったため,被告カテナがソフトウェアジャパンの必要とする商品をマイクロソフト社から仕入れて,これをマージン等を上乗せしない金額でソフトウェアジャパンに供給するという本件商品供給支援をも行っている(基本となる事実(6)ア,イ,ウ)。 キ第7に,被告カテナがソフトウェアジャパンとの合併が難しいと判断した理由は,合併のための財務デュー・デリジェンスとして平成8年10月1日から同月9日にかけて実施された本件財務調査において,ソフトウェアジャパンが50億円に上る債務超過状態に陥っているとの調査結果が報告されたためであり(その当否は後に判断する。),原告らが主張するように,何らの理由もないままなされたものではない。しかも,被告カテナは,合併が難しいと判断された後も,合併以外の方法でソフトウェアジャパンとの提携を実行するために具体的な支援策を検討し,ソフトウェアジャパンのD室長などとも協議を重ねた結果,10月14日には,ソフトウェアジャパンの営業を分社化して,いわゆる第二会社方式を採用することが最善であるとの結論に達した。そして,被告カテナは,同年10月21日には,商品の前払いとして,さらに4億円の融資を実施した(基本となる事実(7)オ,(8))。 ク第8に,このように,被告カテナによるソフトウェアジャパンに対する支援は続いていたが,原告Aは,本件財務調査の結果と第二会社方式への不満から,同年10月15日にはソフトウェアジャパンの代表取締役を辞任し(基本となる事実(8)エ によるソフトウェアジャパンに対する支援は続いていたが,原告Aは,本件財務調査の結果と第二会社方式への不満から,同年10月15日にはソフトウェアジャパンの代表取締役を辞任し(基本となる事実(8)エ),独自に被告カテナ以外の会社との提携の道を探っていたが,同月25日になされた伊藤忠商事との交渉が思わしくなかったことから,被告カテナとの提携を白紙に戻して自主再建を図ろうと考えて,再びソフトウェアジャパンの代表取締役に復帰し,同月28日には被告カテナとの提携を破棄して自主再建を目指すことを正式に記者発表し,同月30日に予定されていた分社化のために必要なエスジェ物流に対する営業譲渡を承認するための臨時株主総会を中止した。それにもかかわらず,原告Aは,同月30日には,被告カテナや関係者に事前に連絡することもないまま,その自主再建を断念して自己破産の申立てをすると記者発表したものの,K会長から説得され,自己破産の申立てをすることを同日中に撤回するなどして混乱状態を招いた(基本となる事実(10))。 ケ第9に,被告カテナは,このような混乱後も事態の収拾に努力し,いわゆる第二会社となるエスジェ物流の運営を支援した上,同年12月13日にはソフトウェアジャパンのジャパンソリューションに対する増資の資金として3000万円を貸し付け,また,同月16日までにソフトウェアジャパンが負担していた倉庫の未払管理料など3100万円を立替払いするなどの負担を続けたほか,ソフトウェアジャパンの従業員は同年11月下旬までに1名を残していなくなったため,ソフトウェアジャパンの任意整理手続もすべて被告カテナの従業員によって処理されたのが実情である(基本となる事実(11))。 コこのような本件合併問題に関する一連の事実経過にかんがみれば,被告カテナにはソフトウェアジャパン 整理手続もすべて被告カテナの従業員によって処理されたのが実情である(基本となる事実(11))。 コこのような本件合併問題に関する一連の事実経過にかんがみれば,被告カテナにはソフトウェアジャパンと合併を前提として業務提携を実施する意思があり,実際に,そのための手順を1つずつ着実に実施していったものと評価することができる。それにもかかわらず,本件において著しい混乱状態が生じ,当初予定した円滑な処理ができなかった理由は,ソフトウェアジャパンに被告カテナの予想をはるかに超える膨大な債務超過があったことと,代表取締役である原告Aが確実な見通しもないまま態度を二転三転させたためであり,このことは,本件訴訟において,原告A以外の関係者が等しく認めるところである。したがって,被告カテナ側において,当初からソフトウェアジャパンと合併することを前提とした業務提携の意思がなかったなどとする原告らの主張を採用することはできない。 (4) 合併詐欺であるとの原告らの主張を採用することができないことは上記のとおりであるが,原告らは,本件財務調査の適否や債権譲渡の詐欺性や第二会社方式の不当性について言及しているので,以下,これらの点について判断しておく。 ア本件財務調査の適否について(ア) 原告らが本件財務調査の不当性の根拠としているのは,公認会計士M(以下「M会計士」という。)の作成した報告書(甲ア1号証,甲ア3号証,以下「M報告書」という。)であり,M会計士は,①本件財務調査は,正味財産価値の算定に走りすぎて,慎重さを欠いた性急な処理をしており,「ある特定の目的に著しく目的整合的であるように見え」,「公表財務諸表の妥当性を検討する調査の域をはるかに超え」ており,「ある種の意図を持つ者に悪用されかねない報告書」であって,本件財務調査の報告で挙げられた 目的に著しく目的整合的であるように見え」,「公表財務諸表の妥当性を検討する調査の域をはるかに超え」ており,「ある種の意図を持つ者に悪用されかねない報告書」であって,本件財務調査の報告で挙げられた56億0500万円の評価損のうち51億6800万円は妥当でないとしている(甲ア1号証,甲ア3号証,M証人)。 (イ) ところで,本件財務調査は,被告カテナが相手方であるソフトウェアジャパンとの合併のリスクや合併条件や合併後の方針などを検討するために実施したもので,ソフトウェアジャパンのいわゆる時価を算定したものと認められるが(乙2号証,乙90号証),合併のための財務調査に関しては,適用すべき手法や会計基準が確立しているわけではない上(乙95号証),ソフトウェアジャパンが非公開会社であって,証券取引法193条の2に基づく監査を受けていなかったため,ソフトウェアジャパンから提出された財務諸表をそのまま前提とすることができない状況にあったことなどの事情を考慮すると,被告カテナが時価評価をベースとしてソフトウェアジャパンの財務内容を評価したことが直ちに不当なものであるということはできない。 (ウ) 次に,本件財務調査が違法不当な態様で実施されたか否かであるが,本件調査人は,本件財務調査を実施するに先立って,原告Aをはじめソフトウェアジャパンの経理担当者,在庫管理担当者,売掛金管理担当者などと打ち合わせを行い,調査内容及び調査方法を説明して協力を求めた(基本となる事実(7))。そして,調査期間中は,D室長が立ち会ったほか,各担当者が調査人の求めに応じて説明をし,調査最終日には,本件調査人からD室長や担当者に対して調査結果の概要を説明して意見を求めたが,ソフトウェアジャパン側から特に異論が出なかった(乙90号証,D陳述書)。したがって,本件財務調査が違法不 調査最終日には,本件調査人からD室長や担当者に対して調査結果の概要を説明して意見を求めたが,ソフトウェアジャパン側から特に異論が出なかった(乙90号証,D陳述書)。したがって,本件財務調査が違法不当な態様で実施されたということはできない。 (エ) また,経営コンサルタントとしてソフトウェアジャパンで経営改善に当たっていたD室長は,ソフトウェアジャパンの実情とそれまでの同人の経験に照らして,平成8年8月から9月当時,ソフトウェアジャパンは約30億程度の債務超過状態にあると感じていたこと(D陳述書)が認められるほか,当時,ソフトウェアジャパンはマイクロソフト社から新たな商品の供給を停止されていた状態であり,在庫商品の多くは1年以上出し入れ形跡がない不良在庫商品であったこと(乙90号証,I陳述書)などからすれば,平成8年10月当時にソフトウェアジャパンが約50億円の債務超過状態にあるとの本件財務調査の結果が同社の実情を全く反映していない不当なものとまでは認められない。 (オ) このように,本件財務調査は,合併や業務提携のための財務調査として通常実施される方法,態様及び範囲で行われたものと評価することができるから,これに反する立場を前提とするM報告書の見解を採用することはできない。なお,M報告書は調査手続の慎重性について指摘するが,本件財務調査は平成9年4月1日の合併に向けて平成8年10月1日から9日までの短期間に限られた情報と環境の中で実施されたものであり,その報告書の中にも,「棚卸の立会,売掛金の確認等,重要ないくつかの手続が実施できず,期間的な制約もありましたので,可能な範囲での調査報告書であり,何らかの数値を証明するものではありません。」と明記されていることからすれば,この点をもって本件財務調査を不当なものであるとまでいうことはできな 約もありましたので,可能な範囲での調査報告書であり,何らかの数値を証明するものではありません。」と明記されていることからすれば,この点をもって本件財務調査を不当なものであるとまでいうことはできない。 (カ) しかも,本件財務調査が原告らの主張するように合併詐欺の一環として違法不当な目的の下で行われたというためには,被告カテナが本件調査人に対して予めそのような目的を告げて調査を依頼し,これに沿う調査結果が得られるように不正な方法で調査を実施することなどが必要であるが,本件にあらわれた全証拠をもってしても,そのような事実を認めることはできない。したがって,本件財務調査は,被告カテナがソフトウェアジャパンとの合併を不可能とする目的で実施した不公正かつ虚偽の調査であるとの原告らの主張は,理由がない。 イ本件債権譲渡通知の相当性について(ア) 原告らは,被告カテナがソフトウェアジャパンの商権を取得するために金融支援の担保として本件債権譲渡担保契約を締結し,ソフトウェアジャパンの売掛金リストを提出させ,ソフトウェアジャパンが第二会社方式を受け入れないことから債権譲渡通知書を全売掛先に送付して,ソフトウェアジャパンを倒産させたと主張する。 (イ) しかし,そもそも合併を前提とした業務提携をしたからといって,当然に無担保で30億円もの金額を融資をすることは一般に考えられないところであり,本件においても,ソフトウェアジャパンのリストラや分社化の費用として30億円の資金が必要であると被告Bに説明したのはソフトウェアジャパンのD室長であり,被告カテナによる30億円を限度とする金融支援の担保に売掛金を充てることを提案したのは原告Aであること,原告Aは,本件7月貸付の担保とするはずであったソフトウェアジャパンの株券が発行されておらず,未だ被告カテナに る30億円を限度とする金融支援の担保に売掛金を充てることを提案したのは原告Aであること,原告Aは,本件7月貸付の担保とするはずであったソフトウェアジャパンの株券が発行されておらず,未だ被告カテナに担保として提供されていないことを指摘され,平成8年9月8日の合意時点において,本件売掛金のほかに担保に適当な財産がなかったこと(基本となる事実(5)ウないしカ)が認められる。 (ウ) また,被告カテナが同年10月24日以降全売掛先に対して債権譲渡通知を送付したのは,ソフトウェアジャパンが第二会社方式を受け入れなかったからではなく,ソフトウェアジャパンから先に債権譲渡を受けていたさくら銀行が同月22日付けで債権譲渡通知を送付したことを知り,自社の債権保全のために対抗要件を具備しておく必要があったこと,さくら銀行はソフトウェアジャパンからの要請にもかかわらず,債権譲渡通知を撤回しなかったこと(基本となる事実(9))によるものである。 (エ) さらに,被告カテナは,債権譲渡通知を送付する直前の10月21日に,ソフトウェアジャパンの開催した金融機関向けの説明会に出席し,ソフトウェアジャパンを支援していくと説明し,同日,商品代金の前払いとして4億円の支援を実施していたこと(基本となる事実(8)エ,オ)が認められる。 (オ) これらの事実に照らし考えるならば,被告カテナが,原告らが主張するような不正な意図をもって本件債権譲渡担保契約を締結し,債権譲渡通知書を送付したものと認めることはできない。 ウ第二会社方式の相当性(ア) 原告らは,被告カテナがソフトウェアジャパンの商権を取得するため同社に第二会社方式の採用を強要したと主張している。 (イ) しかし,ソフトウェアジャパンを分社化し利益率を高めて生き残りを図るという発想は,被告カテナ側から出たも アジャパンの商権を取得するため同社に第二会社方式の採用を強要したと主張している。 (イ) しかし,ソフトウェアジャパンを分社化し利益率を高めて生き残りを図るという発想は,被告カテナ側から出たものではなく,もともとソフトウェアジャパンのD室長の考えによるもので,D室長は平成8年8月20日ころには原告Aに対してその旨の説明をしていた(基本となる事実(3)イ)。 (ウ) しかも,ソフトウェアジャパンを分社化して第二会社方式を採用することが正式になったのは,本件財務調査の結果によってソフトウェアジャパンが50億円を超す膨大な債務超過状態に陥っていることが判明したためであり,ソフトウェアジャパンが実質的に生き残るためにはやむを得ない選択であった(基本となる事実(8))。 (エ) したがって,本件で第二会社方式が採用されたことをもって,被告カテナがソフトウェアジャパンの商権を取得するために画策した不当なものであるということはできない。ちなみに,被告カテナがソフトウェアジャパンの外販ルートを獲得するには,ソフトウェアジャパンと合併して円滑にこれを引き継ぐのが最善であって,原告らが主張するように故意にソフトウェアジャパンを破産させて引き継ぐのでは,信用が低下するだけではなく,混乱が生じて正常な状態で引き継ぐことができず,メリットが著しく減少してしまうことを考えると,原告らの上記主張は,合理的な理由のないものである。 (5) 以上のとおりであるから,被告らがいわゆる合併詐欺を画策してソフトウェアジャパンを破産に追い込み,違法不当な利益を取得したとする原告らの主張は,理由のないものであるといわなければならない。 2 争点2(合併契約の債務不履行)について(1) 原告らは,被告カテナとソフトウェアジャパンは,平成8年9月8日,1対1の対等合併契約 告らの主張は,理由のないものであるといわなければならない。 2 争点2(合併契約の債務不履行)について(1) 原告らは,被告カテナとソフトウェアジャパンは,平成8年9月8日,1対1の対等合併契約を締結したから,被告カテナは,債務の本旨に従い,①被告カテナの取締役会への付議と合併承認決議,②合併契約書の作成,③臨時株主総会の招集と総会における合併承認特別決議の取付等,合併に必要な手続を誠実に実行する義務があったところ,なんらの正当理由なく,これを履行しなかったと主張する。 (2) しかしながら,前記の「基本となる事実」で記載した本件事件の経緯や,争点(1)の判断で認定し説示したところによれば,被告カテナはソフトウェアジャパンとの合併に向けて様々な準備を整えていたが,それにもかかわらず,合併問題が円滑に進展せず,結果的に最悪の結末を迎えることになったのは,本件財務調査の結果によってソフトウェアジャパンが50億円を超える債務超過であると報告されたことのほか,原告Aが明確な見通しもないまま態度を二転三転させて自ら混乱状態を招き,ソフトウェアジャパンの社会的信用を失い,ソフトウェアジャパンを再建不能の状態に追いやったためであることが明らかであるから,上記の原告らの主張を採用することはできない(したがって,争点3の損害については判断しない。)。 3 争点4(錯誤無効による不当利得返還請求の可否)について(1) 原告らは,本件提携合意では,①ソフトウェアジャパンと被告カテナとの対等合併,②被告カテナのソフトウェアジャパンに対する30億円を限度とする金融支援,③被告カテナによる原告Aのソフトウェアジャパンに対する個人負債の解消が合意されていたところ,被告カテナは,そもそもこれらの合意を実行する意思がなかったところ,原告らは,上記①ないし③の履行が必 援,③被告カテナによる原告Aのソフトウェアジャパンに対する個人負債の解消が合意されていたところ,被告カテナは,そもそもこれらの合意を実行する意思がなかったところ,原告らは,上記①ないし③の履行が必要不可欠の前提であることを明示し,被告カテナにおいてもこれを知りつつ,これと一体のものとして本件債権譲渡担保契約を締結したのであり,仮に,被告カテナが①ないし③の合意を履行する意思がないことを知っていたならば,本件譲渡担保契約を締結することはなかったから,本件債権譲渡担保契約は錯誤により無効であると主張している。 (2) しかしながら,本件提携合意時,被告カテナが上記の合意に対応する意思を有し,実行に着手していたことは,これまでにも認定し説示したとおりであるから,本件債権譲渡担保契約が錯誤により無効であるとする原告らの主張は,その前提を欠くもので,失当なものである。 4 争点5(破産法72条1項1号による故意否認の可否)について(1) 原告管財人は,故意否認の前提として,本件債権譲渡担保契約においては,譲渡債権の価額,弁済期,債権発生の始期と終期も記載されていないだけでなく,対象となる第三債務者名すら特定されていない(譲渡対象外とする債権の第三債務者名が記載されているのみである。)から,集合債権譲渡契約の基本的要素を欠いており,そもそも有効な債権譲渡でないと主張しているので,まず,この点について検討する。 ア本件で問題となっているソフトウェアジャパンの被告カテナに対する債権譲渡担保契約の内容は,前記「基本となる事実」の(5)カ及び(6)エに記載のとおりで,いわゆる集合債権譲渡担保契約というべきものであり,その目的とされた売掛金債権は新たに発生したり消滅したりすることによって増減を繰り返し,また,契約時に未発生の将来債権も譲渡の対象となりう おりで,いわゆる集合債権譲渡担保契約というべきものであり,その目的とされた売掛金債権は新たに発生したり消滅したりすることによって増減を繰り返し,また,契約時に未発生の将来債権も譲渡の対象となりうるという特性を有するものであるが,そのような集合債権譲渡担保契約も当事者間で自由意思に基づいて締結されたものであれば,例えば公序良俗に反するような態様でなされたなど他に特段の事情がない限り,法的に有効なものであることは他言を要しないところである。 イそして,ソフトウェアジャパンと被告カテナは,前記「基本となる事実」の(5)カ及び(6)エに記載のとおり,それぞれ自由意思に基づいて本件債権譲渡担保契約を締結したもので,しかも,その契約においては,第三債務者を平成8年9月30日現在の全売掛先(ただし,既にさくら銀行ほか銀行3社に対して担保提供した16社分を除く。)とし,その特定については,同日現在の売掛先について,その名称,住所,電話番号を記載したリストを交付してなされていることが認められるのであって,社会通念上,第三債務者の識別,特定として必要最小限の事項は満足されているものと考えることができる。 ウそうすると,ソフトウェアジャパンと被告カテナとの間で取り交わされた本件債権譲渡担保契約は,その債権の特定に欠けるところはなく,有効であるといわなければならない。 (2) 次に,原告管財人は,本件債権譲渡の時期は,被告カテナが破産会社を代理して売掛先に対して債権譲渡の通知を送付した時点であると主張しているので,この点について検討する。 ア前記のとおり,平成8年9月20日(本件9月貸付の日)に,ソフトウェアジャパンが,被告カテナに対して,現に負担しかつ将来負担する一切の債務の担保として,同年9月30日現在の上記16社分を除いた全売掛先(第三債務者) 成8年9月20日(本件9月貸付の日)に,ソフトウェアジャパンが,被告カテナに対して,現に負担しかつ将来負担する一切の債務の担保として,同年9月30日現在の上記16社分を除いた全売掛先(第三債務者)に対してソフトウェアジャパンが現に有し,または将来取得する債権を一括して被告カテナに譲渡するとの本件債権譲渡担保契約を締結したこと自体は当事者間に争いがない。 イ原告管財人は,本件債権譲渡契約では,被告カテナが第三債務者に対して担保権実行としての取立ての通知をするまでは,ソフトウェアジャパンが被告カテナに譲渡された債権を取り立てることができ,ソフトウェアジャパンが取り立てた金銭は被告カテナへの引渡しを要しないことになっているので(基本となる事実(6)エ),本件債権譲渡の効力発生時期は,被告カテナが売掛先に対して債権譲渡の通知を送付した時点だと主張するものである。 ウ確かに,本件債権譲渡担保契約では原告管財人の主張するような条項が定められてはいる(基本となる事実(6)エ)が,このような条項は,まさに債権譲渡通知がない段階では第三債務者の混乱を回避するために当然に必要となる措置であるとともに,ソフトウェアジャパンに有利な特約ではあるが,そもそも債権譲渡の通知は,いわゆる対抗要件であって,債権譲渡の効力要件ではないとするのが確立した民法上の原則であることや,このような特約は,第三債務者の混乱を回避するのに必要な限度でソフトウェアジャパンに債権取立ての権限を付与したものにすぎないと解されることに照らし考えれば,本件債権譲渡担保契約に基づく当事者間での債権譲渡の効力は,その契約が締結された平成8年9月20日の時点において生じると解するのが相当である。 エただし,当初除外されていた上記16社について将来発生する売掛金債権の譲渡については,平成8年 譲渡の効力は,その契約が締結された平成8年9月20日の時点において生じると解するのが相当である。 エただし,当初除外されていた上記16社について将来発生する売掛金債権の譲渡については,平成8年9月20日の本件債権譲渡担保契約では除外されていて,その後,同月30日ころまでの間に債権譲渡する旨の合意がなされたものと認められるから,これらの債権については,ソフトウェアジャパンから被告カテナに対する債権譲渡の時期は,同月20日ころから同月30日ころまでの間と認めるのが相当である。 (3) さらに,本件債権譲渡担保契約によってソフトウェアジャパンの売掛金債権に譲渡担保を設定したことが破産法72条1項1号の故意否認事由に該当するか否かについて検討する。 アまず,本件債権譲渡担保契約が締結された平成8年9月20日から16社分が追加して債権譲渡された同月30日ころまでの間におけるソフトウェアジャパンの経営状態について検討すると,A陳述書,乙2号証,C陳述書,D陳述書及び乙105号証によれば,ソフトウェアジャパンは,多額の債務超過状態にあり,かつ,同月の所要運転資金として10億円(当期所要運転資金として合計30億円)を必要としていたが,資金調達あるいは金融機関からの弁済猶予を得られる見込みはなく,資金繰り悪化の窮状にあり,将来的には,いずれかの時点で事業継続が困難となる可能性は高かったものと認められるから,ソフトウェアジャパンが被告カテナに対して負担する現在及び将来の一切の債務を担保するため全売掛先に対する売掛金債権を譲渡することは,特段の事情がない限り,他の一般債権者を害する可能性が高いと考えられる。 イしかしながら,本件において,本件債権譲渡担保契約は,本件7月貸付及び被告カテナのソフトウェアジャパンに対する30億円を限度とする金融支援に基 ,他の一般債権者を害する可能性が高いと考えられる。 イしかしながら,本件において,本件債権譲渡担保契約は,本件7月貸付及び被告カテナのソフトウェアジャパンに対する30億円を限度とする金融支援に基づく債務を担保するために締結されたものであるところ,30億円はソフトウェアジャパンの当期所用運転資金であり,実際に本件9月貸付による10億円も,運転資金及びソフトウェアジャパンが進めていた経営改革の一環である分社化のための費用に使われたこと,本件商品供給支援も,ソフトウェアジャパンがその最大の仕入先であるマイクロソフトからの仕入れができない状態にあったことから行われたものであることなど,前記認定の諸事実(基本となる事実(6))に照らし考えると,被告カテナがソフトウェアジャパンに対してした30億円を限度とする金融支援は,平成8年9月20日当時,ソフトウェアジャパンの事業継続のためにやむを得ずになされたものであると認めるのが相当である。 ウそして,上限30億円という被担保債権に対して,担保に提供された売掛金債権の計算上の合計額は37億5755万2091円相当であり,均衡を失していて相当ではないのではないかとも考えられるが,担保に提供された売掛金債権が実質的にどれくらい回収可能であるのか,また,その回収に要するコストはどれくらいであるのかなどの点については,債権管理自体が適切になされていないためソフトウェアジャパンの担当者においても正確には把握しておらず(なお,本件財務調査の報告においては,平成8年8月31日現在のソフトウェアジャパンの資産表に計上されていた50億8453万円余の売掛金のうち10億円が回収不能売掛金であるとされている。),実際問題として,債権譲渡を受けるにあたって売掛先の数が膨大であり,多額の回収コストや大きな回収不能のリスク ていた50億8453万円余の売掛金のうち10億円が回収不能売掛金であるとされている。),実際問題として,債権譲渡を受けるにあたって売掛先の数が膨大であり,多額の回収コストや大きな回収不能のリスクが生じることが考えられたことなどの諸事情を考慮すると,本件債権譲渡担保契約は,形式的には約7億円の過剰担保であるようにみえても,その実質においては,ソフトウェアジャパンが円滑に営業を継続するために必要な金融支援を得るための必要不可欠な担保設定行為として合理的均衡があり,相当性があると評価することができる。 エなお,原告管財人は,30億円を限度とする金融支援は無担保で行われる予定であったと主張するが,前記認定のとおり,採用することはできない。また,本件7月貸付による10億円の債務は,9月20日の債権譲渡の時点から形式的にみれば既存債務といえないわけではないが,これまで認定し説示した一連の経過に照らし考えるならば,ソフトウェアジャパンの営業の継続に必要不可欠なものとして,本件7月貸付と本件9月貸付とは連続した一体のものと評価することができるから,本件債権譲渡担保契約の被担保債権に本件7月貸付による債権を加えたことをもって,本件債権譲渡担保契約の相当性が失われるものではないというべきである。 オしたがって,本件債権譲渡担保設定契約によってソフトウェアジャパン(破産会社)が被告カテナに対し売掛金債権につき譲渡担保を設定したことは,破産法72条1項1号の定める故意否認の事由に該当しないというべきであり,本件債権譲渡はいずれも有効であることになるから,原告管財人の請求には理由がなく,反訴原告カテナの反訴請求に理由があることとなる。 5 争点6(債権の過剰回収による不当利得返還請求の可否)について(1) 原告管財人は,被告カテナは,ソフトウェアジャパンに 人の請求には理由がなく,反訴原告カテナの反訴請求に理由があることとなる。 5 争点6(債権の過剰回収による不当利得返還請求の可否)について(1) 原告管財人は,被告カテナは,ソフトウェアジャパンに対して融資した20億円を大幅に上回る債権を譲り受け,総額27億2255万9768円を回収したから,20億円を超える回収額7億2255万9768円について,不当利得をしていると主張する。 (2) これに対して,被告カテナは,被担保債権は,別紙3(被担保債権目録)記載のとおりであり,被告カテナが,別紙2(株式会社ソフトウェアジャパン譲受債権回収状況)の「回収日」欄記載の各回収日に,「回収額」欄記載の各金額を回収し,これを別紙4(充当関係目録)の別表①(回収金充当明細)に記載のとおり充当したので,現在も,未充当残債権として,①本件9月貸付の遅延損害金残額1981万6698円,②平成8年12月13日付貸付金3000万円及びこれに対する未払利息金・遅延損害金が存在するから,被告カテナに不当利得はないと主張している。 (3) そこで,この点について判断する。 アまず,本件債権譲渡担保設定契約の契約書(乙27号証)には,「ソフトウェアジャパンは,被告カテナに対して現に負担し,かつ将来負担する一切の債務を担保するために」と記載されており,ソフトウェアジャパンの被告カテナに対する一切の債務が被担保債務に含まれることになるから,以下で,被告カテナが被担保債権として主張している別紙3(被担保債権目録)記載の各債権について,それぞれ被担保債権となるものか否かについて検討する。 イ別紙3(被担保債権目録)記載の「貸付金」のうち,①,②は,本件7月貸付及び本件9月貸付であり,③は,ソフトウェアジャパンが子会社であるジャパンソリューションの株式公開益をもって金融機関に る。 イ別紙3(被担保債権目録)記載の「貸付金」のうち,①,②は,本件7月貸付及び本件9月貸付であり,③は,ソフトウェアジャパンが子会社であるジャパンソリューションの株式公開益をもって金融機関に対する債務の返済原資とするとのスキームを前提として同社の増資を実行するために必要とした資金を,被告カテナがソフトウェアジャパンに貸し付けたものであるから,被担保債権と認められる。 ちなみに,この各貸付金に対する未払利息や遅延損害金の額は,別紙4(充当関係目録)の別表①ないし別表③に記載のとおりであり,①の本件7月貸付分10億円に対する未払利息及び遅延損害金は2962万3939円であり,②本件9月貸付分10億円に対する未払利息及び遅延損害金は5660万2134円,③平成8年12月13日貸付分3000万円に対する利息64万5600円(遅延損害金については平成9年3月31日以降の回収の詳細が明らかでなく,どの時点で3000万円の貸金についての充当が終わったか不明である。)であり,これらの合計額は21億1687万1673円である。 ウ次に,別紙3(被担保債権目録)記載の「売掛金」であるが,これは,本件商品供給支援に基づき被告カテナがソフトウェアジャパンに対して取得した売掛金債権を指すもので,被担保債権に含まれるものである。その額は3億2984万2414円(消費税込み)である(乙87号証)。もっとも,被告カテナ主張の金額は3億2956万7326円(消費税込み)であり,上記乙87号証の記載とは金額や日付で一致しない点も認められるが,本件提携合意に基づき本件商品供給支援が行われたことは争いのない事実であるから,本件では,3億2956万7326円の範囲内で被担保債権と認めるのが相当である。 エ同目録3記載の「前払い未収金」のうち,別表②の買掛金欄の10月 供給支援が行われたことは争いのない事実であるから,本件では,3億2956万7326円の範囲内で被担保債権と認めるのが相当である。 エ同目録3記載の「前払い未収金」のうち,別表②の買掛金欄の10月に記載された4億円は,平成8年10月21日にソフトウェアジャパンの同月後半の不足資金にあてるため被告カテナが金融支援の一環として商品代金の前払い名目で支払った金員であると認められる。 また,11月分に記載された2000万円,12月分に記載された1100万円は,ソフトウェアジャパンがムーブ社から借りていた倉庫から商品を出庫するためにムーブ社に対して支払わなければならなかった額を,被告カテナが前払い商品代金の形で直接倉庫業者に支払った金員であるから,これらは,被担保債権に該当する。 ただし,被告カテナは,ソフトウェアジャパンが被告カテナに売り渡した商品代金は1億1426万3993円であり,これを上記「前払い未払金」から控除すべきとしているので,弁論の全趣旨によりこれを考慮すると,同目録3記載の「前払い未収金」は3億1673万6007円となる。 オ被告カテナは,同目録記載の「立替金」については,被告カテナは,ソフトウェアジャパンのために立替払いした合併準備費用,債権回収費用及び任意整理費用であると主張し,その内訳として同目録の別表③「株式会社ソフトウェアジャパン立替金明細」において,内容証明(債権管理室),データ作成作業料(債権管理室),文具購入(総務グループ),運搬費(会計グループ,資金グループ),ファクシミリ宛先自在同報サービス,ファクシミリ送信(債権管理室,総務グループ),郵便物受取人払い(債権管理室),登記印紙代(債権管理室),印紙代等(債権管理室),会議室等使用料(債権管理室),出張費(トップマネージメント),中央監査法人報酬, 信(債権管理室,総務グループ),郵便物受取人払い(債権管理室),登記印紙代(債権管理室),印紙代等(債権管理室),会議室等使用料(債権管理室),出張費(トップマネージメント),中央監査法人報酬,廃棄料という支出項目が記載されている(かっこ内は起票部門)。 (ア) いずれの支出項目が合併準備費用や債権回収費用や任意整理費用に該当するのか明らかではないが,合併準備費用として記載されていると考えられるものは,ソフトウェアジャパンが平成8年10月31日に自己破産の申立て方針を公表したことからすると同年11月1日までの支出分及び本件財務調査を実施した中央監査法人に対する報酬がこれにあたるものと考えられるところ,同年10月11日,15日,31日に被告カテナが内容証明郵便代金を立替払いをすることが必要となる事情や,同年11月1日にデータ作成作業料を立替払いすることが必要となる事情は,本訴訟において全くあらわれておらず,これを被担保債権とすることはできない。 (イ) また,中央監査法人報酬は本件財務調査についての報酬であると考えられるが(他に同監査法人に報酬を支払うべき事情は見当たらない。),本件財務調査は,被告カテナが被告カテナのために合併のリスクなどを検討する資料として依頼したものであり,ソフトウェアジャパンの利益のために依頼したものではないから,この報酬は,ソフトウェアジャパンが支払うべきものであるとはいえない。したがって,本件の被担保債権とするのは相当でない。 (ウ) また,債権回収費用は,本件債権譲渡担保契約では,被告カテナが債務者から譲渡債権を取り立てたときは,実際の取立額から取立てに要した費用を控除した金額を弁済充当することとされているが,平成8年11月15日に,ソフトウェアジャパンから被告カテナに対する債権譲渡が担保権の実行とし 権を取り立てたときは,実際の取立額から取立てに要した費用を控除した金額を弁済充当することとされているが,平成8年11月15日に,ソフトウェアジャパンから被告カテナに対する債権譲渡が担保権の実行として有効に行われたことを確認した上で,被告カテナが回収業務に要する費用を負担することが合意されているから,これをソフトウェアジャパンに請求することはできないと解すべきである。したがって,本件の被担保債権とすることはできない。 (エ) 任意整理費用については,被告カテナが支出したものであれば,ソフトウェアジャパンに対して請求しうる余地があるが,前記オの本文部分に記載された支出項目のうち,いずれが被告カテナから任意整理の費用として支出されたものか不明であり,本件の被担保債権に属することの立証がないから,これを本件被担保債権とすることはできない。 カそうすると,本件債権譲渡担保契約の被担保債権となるものは,前記被担保債権目録1ないし3記載の合計額27億6317万5006円であると認められるところ,これは,被告カテナが本件債権譲渡によって譲り受けた売掛金債権の回収によって取得した金額である27億2255万9768円を上回るから,結局,被告カテナが本件債権譲渡によって不当利得したとは認められない。したがって,原告管財人の上記主張を採用することはできない。 6 争点7(被告らに対する信用毀損,名誉毀損の成否と損害)について(1) 信用毀損,名誉毀損の不法行為についてア被告カテナ(乙事件原告カテナ)は,ソフトウェアジャパン及び原告A(乙事件被告A)が,平成9年6月23日ころから同月25日ころまでの間,被告ら(乙事件原告ら)がソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにソフトウェアジャパンの財産を騙し取るために合併話をもちかけた等という事実を記載した文書 6月23日ころから同月25日ころまでの間,被告ら(乙事件原告ら)がソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにソフトウェアジャパンの財産を騙し取るために合併話をもちかけた等という事実を記載した文書をソフトウェアジャパンの債権者ら多数の者に配布し,同趣旨の内容を記者発表したことによって,被告カテナの信用や,被告B及び被告C(乙事件原告B及び同C)の名誉を毀損したなどと主張している。 イこれに対し,原告ら(乙事件被告ら)は,上記被告らの主張を前提として,原告らの主張は,公共性を有し,公益目的を持って行われていることが明らかであり,内容は真実であり,そうでないとしても真実と信じるについて相当な理由があるので名誉毀損等にはあたらないと主張する。 ウそこで,判断するに,被告らが,原告A及びソフトウェアジャパンが配布したと主張する文書(乙81号証の1ないし6)には,作成者が記載されておらず,しかも,その多くはファクシミリで配布されたと認められるが,その際には,ソフトウェアジャパンのファックスシートが使用されており,そのシートに記載された送付者の氏名は,「A」(乙81号証の4),「株式会社ソフトウェアジャパン代表取締役A」(乙81号証の2),「ソフトウェアジャパン(これは,不動文字で印刷されていたものと認められる。)A」(乙81号証の1)であること,また,原告Aは,同人の持株会社を含めてソフトウェアジャパンの株式の約3割を保有しているオーナーであること,平成9年6月3日に開催されたソフトウェアジャパンの株主総会で,ソフトウェアジャパンの3名の取締役のうちK会長と被告Cは解任されていたこと(C陳述書),上記文書が配布された頃は任意整理の第2回配当も終わり,ソフトウェアジャパンは会社としては実際上稼働していなかったことなどの事実(基本となる 役のうちK会長と被告Cは解任されていたこと(C陳述書),上記文書が配布された頃は任意整理の第2回配当も終わり,ソフトウェアジャパンは会社としては実際上稼働していなかったことなどの事実(基本となる事実(11))を併せ考慮すれば,上記文書の配布は,ソフトウェアジャパンの名称が使用されていたとしても,ソフトウェアジャパンがこれを配布したと評価するのは相当ではなく,原告Aがソフトウェアジャパンの名称を用いて単独で行ったものと認めるのが相当である。したがって,その法的責任は,原告Aのみが負うべきものというべきである。 エ次に,上記文書の記載内容が被告らの信用や名誉を毀損するものであるか否かを検討する。 (ア) 上記文書には,「最初から合併する意志が無かったことを物語る。」,「この行動は,仕組まれたシナリオにある後ろめたさを感じていたから採られたものと推察される。」,「カテナの収益力の低さにも原因があるが,債権者達がB及びCを信用していないことによる。」(乙81号証の1,6,「カテナ社訴訟の意味」と題する文書),「Bに明快な「ウソ」をつかれた。」,「合併の約束はその時ばかりで,その後の経過は第二会社清算方式に落とし込む手練手管そのもので」,「本訴の最重要ポイントは,合併の約束をしながら,SJや債権者を落とし込んでいった第二会社清算方式を糾弾することにあります。」(乙81号証の3,「カテナ事件のとらえ方」と題する文書),「(本件財務調査の報告は)いわばSJの幹部や金融機関を「錯誤」に落としいれるためのもの」,「すべてが合併の約束を無視して極めて恣意的に仕組まれた出来事であった」,「かくして支払いの遅延を一度もせず,会社の存続が約束された会社が罠に落とし込まれた。」(乙81号証の4,「カテナ事件の系譜」と題する文書),「合併の約束をしていて 的に仕組まれた出来事であった」,「かくして支払いの遅延を一度もせず,会社の存続が約束された会社が罠に落とし込まれた。」(乙81号証の4,「カテナ事件の系譜」と題する文書),「合併の約束をしていて実際キチンと合併しようと思えばできたのに,デッチアゲの「ウソ」の債務超過をつくりあげ,合併できないと称し」,「ウソで騙されている債権者」,「基本的に合併を語った会社の破壊であった。会社の乗っ取りというような生易しいものではない。暴力的にソフトウェアジャパンという会社を壊し,その中の蜜だけを吸い上げようとした」(乙81号証の5,「カテナ社報告書の虚偽について」と題する文書)などと記載されている(なお,乙81号証の2は,K会長への非難であり,被告らへの言及はない。)。 (イ) これらによれば,上記文書は,被告カテナが,ソフトウェアジャパンと合併する意思がないにもかかわらず,同社に対して合併話を持ちかけ,計画的にソフトウェアジャパンという会社を潰したとの事実を記載しているものと理解することができる。 (ウ) なお,これらの文書には被告Cの言動についての言及はない(乙81号証の3には,冒頭に「C専務殿」と記載されているが,文中では被告Cについて言及はない。)。また,被告Bについては,乙81号証の3で「Bに明快な「ウソ」をつかれた」とあるが,これに続き「カテナ社は1:1の合併の約束を交わしました。ところが合併の約束はその時ばかりで,その後の経過は第二会社清算方式に落とし込む手練手管そのもの」とあり,Bの「ウソ」の具体的中身については言及はなく,これらを全体として考えれば,上記文書は被告カテナに対する非難を記載したものと認めるのが相当である。 (エ) ところで,原告Aが上記文書を送付した相手方は,ソフトウェアジャパンの債権者ら取引関係者であり, 全体として考えれば,上記文書は被告カテナに対する非難を記載したものと認めるのが相当である。 (エ) ところで,原告Aが上記文書を送付した相手方は,ソフトウェアジャパンの債権者ら取引関係者であり,これらの者を基準に被告らの信用あるいは名誉が毀損されたか否かを判断すべきところ,被告カテナ及びソフトウェアジャパンは,これらの者に対して,ソフトウェアジャパンの自己破産申立ての方針公表や任意整理の際に,適宜,その経緯や今後の方針等について説明するなどしていたことが認められるのであって,これらの者は,被告カテナとソフトウェアジャパンとの間に生じた本件紛争の経緯について,ある程度の情報を有していたものと推認され,上記文書に記載されたところをそのまますべて真実であると信じたものとは考えられない。 しかし,そのことを考慮したとしても,被告カテナがソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにソフトウェアジャパンの営業財産を騙し取るために合併話を持ちかけたという事実の摘示は,取引関係者に対して,被告カテナが他社の会社財産を乗っ取るために自ら働きかけて詐欺行為を行ったという悪印象を与えるものであることを否定することはできず,被告カテナの社会的評価を低下させるものであるから,原告Aの上記行為は,被告カテナの信用を毀損するものであると認められる。 オ次に,原告Aによる上記文書の配布が公共の利害に関する事実について公益目的をもってなされたものであるか否かについて検討する。 (ア) まず,本件では,前記認定のとおり,被告カテナは東証2部上場の企業で,平成8年当時,パソコンソフトの流通業界で第3位のシェアを有していたこと,これに対して,ソフトウェアジャパンは非公開会社ではあったが,同じく業界第2位のシェアを有していたこと,被告カテナとソフトウェアジャパンの本 パソコンソフトの流通業界で第3位のシェアを有していたこと,これに対して,ソフトウェアジャパンは非公開会社ではあったが,同じく業界第2位のシェアを有していたこと,被告カテナとソフトウェアジャパンの本件合併をめぐる経過や状況は多くの新聞紙上で報道され,世間の注目を集めていたことなどの事実が認められるから,被告カテナとソフトウェアジャパンの合併をめぐる顛末は,公共の利害に関する事実であると認められる。 (イ) しかし,その内容は,上記認定のとおり,特に根拠や証拠を指摘せず一方的に被告カテナを非難するものであり,また,配布方法もファクシミリでソフトウェアジャパンの取引先に配布するというものであることに照らすならば,原告Aの上記文書の配布行為が専ら公益を図る目的に出たものであると認めることはできない。したがって,この点の原告Aの主張を採用することはできない。 カなお,被告らが問題としている記者発表は,本件甲事件を提起したことを発表したものであり,それ自体で被告らの名誉を毀損するものとまでいうことはできない。 キしたがって,本件においては,原告Aだけが,上記文書の送付による信用毀損により,被告カテナに対し,被告カテナが被った損害を賠償すべき義務があるというべきである。 (2) 甲事件提起の不法行為性についてア被告らは,原告らが甲事件を提起したこと自体も不法行為であると主張しているので,この点について判断する。 イそもそも民事訴訟は,利害が対立する私人間の法律的紛争について,自力救済を禁止するとともに,裁判所での適正な法的手続によって紛争の解決を図ることを目的とするものであるところ,民事訴訟を提起したことが容易に不当訴訟として違法性が認められ,損害賠償の責任が生じるとするならば,萎縮効果を生じて訴訟の提起を躊躇するようになり,結果的に国 図ることを目的とするものであるところ,民事訴訟を提起したことが容易に不当訴訟として違法性が認められ,損害賠償の責任が生じるとするならば,萎縮効果を生じて訴訟の提起を躊躇するようになり,結果的に国民が「訴訟による紛争解決」を図る道が制限されてしまうことになって妥当ではないから,民事訴訟の提起が不当訴訟として違法性を帯びるのは,当該訴訟を提起した原告の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的,法律的な根拠を欠くものである上,当該原告がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのに,あえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものと認められる場合に限られると解するのが相当である。 ウそこで,これを本件についてみると,原告A及びソフトウェアジャパンの甲事件における中心的な主張は,被告らにおいて当初から合併意思がなかったという点にあるところ,ソフトウェアジャパンが平成8年8月にしたソフトウェアジャパンの株価の算定の際には,ソフトウェアジャパンには約3億2800万円の含み損があり,再調達時価純資産評価額ではマイナス1289万円であると評価されたものの,被告カテナによる本件財務調査のような膨大な債務超過とはされていなかったこと,原告Aは,この当時,ソフトウェアジャパンの財務状況が悪いことは認識していたものの,オリックスや被告カテナとの提携により立て直すことができると考えていたこと,このような状況の下で,被告カテナが実施した本件財務調査の結果,ソフトウェアジャパンは54億円もの債務超過の状態にあることを指摘され,対等合併の話が白紙になった上,エスジェ物流を受け皿とする第二会社清算方式を提案され,ソフトウェアジャパンの会社としての実質がなくなってしまうとの事態 54億円もの債務超過の状態にあることを指摘され,対等合併の話が白紙になった上,エスジェ物流を受け皿とする第二会社清算方式を提案され,ソフトウェアジャパンの会社としての実質がなくなってしまうとの事態に直面したことや,この間に,ソフトウェアジャパンの有していたすべての売掛金債権を融資を受ける担保として被告カテナに債権譲渡することになってしまったことなどの事実が認められるのであって,このような一連の急激な事実経過に照らし考えるならば,本件財務調査や本件債権譲渡が違法不当なものでないことはこれまでに判示したとおりであるとしても,オーナー社長として信頼できるスタッフを持たなかった原告Aとしては,このような事態の急変に対して冷静に対応することができず,混乱状態のまま態度を二転三転させ,ますます事態を悪化させてしまい,これらすべての経緯を被告カテナによって当初から仕組まれたものと考えることによって同人なりの合理的説明を得ようとした結果であると考えることができるのであって,同人が,甲事件の提起にあたって,甲事件が事実上も法律上も全く根拠を欠くものであることを認識しながら,又は容易に認識することができる状況にありながら,被告らを困惑させる目的であえて甲事件を提起したものとまで認めることはできない。 エしたがって,本件においては,原告A及びソフトウェアジャパンによる甲事件の提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠いた違法なものとまで断ずることはできず,不法行為が成立するとはいえないから,この点に関する被告らの主張を採用することはできない。 (3) 被告カテナの損害額についてア上記のように,原告Aは,上記文書を配布した行為等につき,被告カテナに対してのみ,信用毀損に基づく損害賠償責任を負う。そこで,この原告Aの不法行為によって被告カ 被告カテナの損害額についてア上記のように,原告Aは,上記文書を配布した行為等につき,被告カテナに対してのみ,信用毀損に基づく損害賠償責任を負う。そこで,この原告Aの不法行為によって被告カテナに生じた損害について検討する。 イ原告Aによる信用毀損行為の内容は,被告カテナがソフトウェアジャパンと合併する意思がないのにこれがあるように装ってソフトウェアジャパンの営業財産等を乗っ取ったというものであり,被告カテナの社会的信用を低下させるものであることは前記のとおりである。 そして,上記文書は,ソフトウェアジャパンの取引先を中心として,全部で約1000社に対して配布されたものと認められるが(乙81の1ないし6,弁論の全趣旨),この文書配布によって,被告カテナに具体的に経済的な信用不安が生じたり,営業活動に支障が出たことを認めるに足りる証拠はない。 ウもっとも,被告カテナは,原告Aが合併詐欺を理由として訴えを提起すると公言し始めたころから売上が低下したと主張しているが,乙116号証によれば,被告カテナは,経常利益は減少しているものの,売上高自体は増加していることが認められるのであって,両者の間の因果関係は明らかではないといわざるをえない。しかも,原告らが甲事件を提起した後,被告カテナが,原告らの主張は虚偽であり信用毀損であるなどとして乙事件を提起したことも,広く新聞紙上で取り上げられて報道されていることが認められる(基本となる事実(12)コ,サ)。 エ上記認定のところに加えて,本件に現れた一切の事情を斟酌するならば,原告Aの前記信用毀損により被告カテナの被った損害は200万円,これにともなう弁護士費用は20万円,合計220万円と認めるのが相当である。 第4 結論以上に判断したところをまとめると,次のような結論 原告Aの前記信用毀損により被告カテナの被った損害は200万円,これにともなう弁護士費用は20万円,合計220万円と認めるのが相当である。 第4 結論以上に判断したところをまとめると,次のような結論になる。 1 甲事件については,原告らの請求は,いずれも理由がないので棄却する。 2 反訴事件については,反訴原告カテナの反訴請求は,全て理由があるので,これを認容する。 3 乙事件については,乙事件原告カテナの乙事件被告Aに対する請求は金220万円及びこれに対する不法行為後である平成9年7月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,この限度で認容し,乙事件原告カテナのその余の請求及びその余の乙事件原告らの請求は,いずれも理由がないからこれを棄却する。 4 訴訟費用の負担については,民事訴訟法61条,64条本文,65条1項本文を適用して,全事件に要した訴訟費用を6分し,その1を被告カテナ,被告B及び被告Cの3名が等しい割合で,その2を原告Aが,その3を原告管財人が,それぞれ負担することを命じる。 5 仮執行の宣言については,民事訴訟法259条1項を適用して,乙事件原告カテナの勝訴部分と訴訟費用の負担を命じた部分について,これを付する。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第48部裁判長裁判官須藤典明裁判官鳥居俊一裁判官高橋純子は,差し支えのため署名押印することができない。 裁判長裁判官須藤典明
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