平成13年(行ケ)第492号特許取消決定取消請求事件判決原告富士ゼロックス株式会社訴訟代理人弁理士田中拓人、佐藤清孝被告特許庁長官及川耕造指定代理人水垣親房、大野克人、林栄二、石川昇治 主文 特許庁が平成11年異議第74188号事件について平成13年9月20日にした決定を取り消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判主文第1項同旨の判決。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯原告は、発明の名称を「現像方法」とする特許第2890727号の特許権者である。本件特許は、平成2年7月26日に特許出願され、平成11年2月26日に設定登録された。 本件特許(請求項1、2に係る特許)について特許異議の申立てがあり(平成11年異議第74188号)、取消理由通知があった。原告は、平成12年4月25日に訂正請求をしたが、平成13年9月20日「特許第2890727号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。」とした特許異議の申立てについての決定があり、その謄本は同年10月5日に原告に送達された。 2 後記訂正前の本件発明の要旨【請求項1】 感光体と対向して配置された磁気ロール上に、トナーと樹脂被覆されたキャリアとよりなる現像剤を担持し、該磁気ロールに現像バイアス電位を印加しながら感光体の移動方向と同一方向に移動させて現像剤を搬送し、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像方法において、該樹脂被覆されたキャリアとして、現像部位の最大現像電界|VI-VB|/D〔式中、VIは現像部位における感光体の画像部最大電位(ボルト)、VBは現像バイアス電位(ボルト)、Dは感光体と磁気ロールとの空隙 たキャリアとして、現像部位の最大現像電界|VI-VB|/D〔式中、VIは現像部位における感光体の画像部最大電位(ボルト)、VBは現像バイアス電位(ボルト)、Dは感光体と磁気ロールとの空隙(cm)を意味する。〕における比抵抗が109Ω・cm以上であるものを用いることを特徴とする現像方法。 【請求項2】 感光体と対向して配置された磁気ロール上に、トナーと樹脂被覆されたキャリアとよりなる現像剤を担持し、該磁気ロールに現像バイアス電位を印加しながら感光体の移動方向と同一方向に移動させて現像剤を搬送し、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像方法において、該樹脂被覆されたキャリアとして、103V/cmにおける比抵抗が109Ω・cm以上であり、かつ、絶縁破壊電圧が、下記式で示される条件を満たすものを用いることを特徴とする現像方法。 EB≧|VI-VB|/2D〔式中、EBはキャリアの絶縁破壊電圧(ボルト)、VIは現像部位における感光体の画像部最大電位(ボルト)、VBは現像バイアス電位(ボルト)、Dは感光体と磁気ロールとの空隙(cm)を意味する。〕 3 後記訂正後の本件発明の要旨(訂正前の請求項1を削除し、請求項2の記載を一部訂正し、請求項2の番号を繰り上げて請求項1とするもの)【請求項1】 感光体と対向して配置された磁気ロール上に、トナーと樹脂被覆されたキャリアとよりなる現像剤を担持し、該磁気ロールに現像バイアス電位を印加しながら感光体の移動方向と同一方向に移動させて現像剤を搬送し、感光体上に形成された静電潜像を反転現像する現像方法において、該樹脂被覆されたキャリアとして、103V/cmにおける比抵抗が109Ω・cm以上であり、かつ、絶縁破壊電圧が、下記式で示される条件を満たすものを用いることを特徴とする現像方法。 6000 いて、該樹脂被覆されたキャリアとして、103V/cmにおける比抵抗が109Ω・cm以上であり、かつ、絶縁破壊電圧が、下記式で示される条件を満たすものを用いることを特徴とする現像方法。 6000≧EB≧|VI-VB|/2D〔式中、EBはキャリアの絶縁破壊電圧(ボルト/cm)、VIは現像部位における感光体の画像部最大電位(ボルト)、VBは現像バイアス電位(ボルト)、Dは感光体と磁気ロールとの空隙(cm)を意味する。〕 4 決定の理由の要点平成12年4月25日付け訂正は、特許法120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条4項に違反するので、当該訂正は認められない。前記2の本件発明の要旨に係る請求項1及び2に係る発明は、刊行物1(特開昭61-126567号公報)、刊行物2(特開昭61-126570号公報)、刊行物4(特開昭63-169658号公報)及び刊行物5(特開昭63-174060号公報)に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、上記請求項1及び2に係る発明は、刊行物1、2、4、5、刊行物3(特開昭61-118767号)及び刊行物6(第19回電子写真学会講習会「イメージング技術の基礎講座」(昭和60年6月13日、14日)から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項に該当し、特許を受けることができない。 5 訂正審決の確定原告は、本訴係属中の平成14年2月1日、本件特許につき、前記3のとおり特許請求の範囲を減縮すること等を目的として、明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39027号)、平成14年4月2日、当該訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同月16日原告に送達され、訂正審決は確定した。 第3 原告主 て、明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39027号)、平成14年4月2日、当該訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同月16日原告に送達され、訂正審決は確定した。 第3 原告主張の決定取消事由決定は、訂正前の請求項に基づき本件発明の要旨を認定し、これに基づき引用例記載の発明との対比において本件発明の新規性を否定しているが、特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したことにより、決定は、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり、違法となったものである。 第4 当裁判所の判断原告主張の事由により決定は取り消されるべきものであり、本訴請求は理由がある。よって、訴訟費用の負担につき行訴法7条、民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成14年5月14日口頭弁論終結)東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官田中昌利
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