- 1 -令和元年8月22日宣告令和元年(わ)第549号過失運転致死被告事件判決 主文 被告人を禁錮3年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成30年10月25日午前10時30分頃,中型特殊自動車を運転し,兵庫県加古川市a町b加古川バイパス上りcキロポスト先片側2車線道路の第2車両通行帯を北西から南東に向かい時速約70キロメートルで進行するに当たり,前方左右を注視し,進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,速度計の表示に気を取られ,前方左右を注視せず,進路の安全確認不十分のまま漫然前記速度で進行した過失により,折から進路前方で渋滞のため前車に続いて停止しようとしていたA(当時32歳)運転の普通乗用自動車を前方約13.4メートルの地点に認め,急制動の措置を講じたが及ばず,同車後部に自車前部を衝突させ,自車をA運転車両もろとも前方に押し出して,同車をその前方で停止しようとしていた大型貨物自動車後部に衝突させて自車前部と前記大型貨物自動車後部との間に挟み込み,よって,A,同人運転車両の同乗者であるB(当時2歳)及びC(当時生後3か月)にそれぞれ頭蓋骨開放性粉砕骨折の傷害を負わせ,即時同所において,A,B及びCを前記傷害により死亡させた。 (証拠の標目)省略(確定裁判) 1 事実平成30年11月8日神戸地方裁判所宣告 - 2 -過失運転致傷罪により禁錮1年8月,3年間執行猶予平成30年11月23日確定 2 証拠検察事務官作成の前科調書(法令の適用)罰条各被害者ごとにいずれも自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文科刑上一罪の処理刑法54条1 拠検察事務官作成の前科調書(法令の適用)罰条各被害者ごとにいずれも自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文科刑上一罪の処理刑法54条1項,10条(観念的競合,犯情の最も重いAに対する過失運転致死罪の刑で処断)刑種の選択禁錮刑併合罪の処理刑法45条後段,50条(判示罪は前記確定裁判の罪と併合罪の関係にあり,まだ確定裁判を経ていない判示罪について更に処断)訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,中型特殊自動車を運転し,自動車専用道路を走行していた被告人が,スピードメーターに気を取られ,停止しようとしていた前方被害者車両の発見が遅れ,自車を被害者車両に衝突させ,被害者車両を自車と前方の大型貨物自動車との間に挟み込み,被害者車両の運転者及び同乗者である子供2名の合計3名を死亡させた過失運転致死の事案である。 生じた結果が重大極まりないことは論を待たない。被害者車両の運転者は32歳の女性,同乗していた子供はそれぞれわずか2歳及び生後3か月であった。運転者は子供2人をもうけ,これから幼い子供らを育てていくという人生の充実期を迎えていたにもかかわらず,本件事故によりその子供と共に一瞬にして生命を奪われてしまった。2歳及び生後3か月の被害者らも,本件事故がなければ,これから成長し,それぞれの人生を送るはずであった。被害者遺族らは,被告人に対する厳重処 - 3 -罰を希望しているが,それも当然といえる。 注意義務違反の態様は,スピードメーターに気を取られたことによる前方注視義務違反であり,その過失は軽視できるものではない。 事故態様は追突であるから,運転者を含め被害者らに落ち度は一切ない。 特に被害結果 反の態様は,スピードメーターに気を取られたことによる前方注視義務違反であり,その過失は軽視できるものではない。 事故態様は追突であるから,運転者を含め被害者らに落ち度は一切ない。 特に被害結果の重大性に鑑みると,被告人の責任は重いといわざるを得ない。 他方,運転態様は殊更危険なものではなく,また無用な脇見運転をしていたともいえず,過失の程度は非常に重いとまではいえない。 被告人車両には無制限の賠償責任保険が付されており,今後,金銭的賠償は適切に行われる見込みである。 被告人は当初から罪を認め,不十分とはいえ,被害者及び遺族に対し謝罪の態度を示している。また,前記確定裁判と併合審理された場合との均衡も一定程度考慮すべきである。 そこで,これらの事情を考慮し,被告人を主文掲記の刑に処するのを相当と判断した。 (求刑・禁錮4年)令和元年8月22日神戸地方裁判所第1刑事部 裁判官神原 浩
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