平成15(行ウ)429等 再審不開始処分等取消等,再審不開始処分取消,訴えの追加的併合申立

裁判年月日・裁判所
平成17年11月25日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文44,807 文字)

- 1 -主文一甲・丙事件原告aの訴えのうち、再審不開始処分の取消請求に係る部分を却下する。 二乙事件原告bの訴えを却下する。 三甲・丙事件原告aのその余の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は、全事件を通じて、甲・丙事件原告a及び乙事件原告bの負担とする。 事実 及び理由第一請求一甲事件 甲・乙事件被告東京入国管理局長が甲・丙事件原告aに対して平成14年11月6日付けでした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決が無効であることを確認する。 甲・乙事件被告東京入国管理局長が甲・丙事件原告aに対して平成15年4月15日付けでした再審不開始処分を取り消す。 二乙事件甲・乙事件被告東京入国管理局長が甲・丙事件原告aに対して平成14年11月6日付けでした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決が無効であることを確認する。 三丙事件甲・乙事件被告兼丙事件処分行政庁東京入国管理局長は、甲・丙事件- 2 -原告aに対し、在留資格「日本人の配偶者等、在留期間3年の在留特」別許可を与えよ。 第二事案の概要一事案の骨子甲事件は、バングラデシュ人民共和国(以下「バングラデシュ」という)の国籍を有する男性である甲・丙事件原告aが、東京入国管理局。 入国審査官から平成16年法律第73号による改正前の出入国管理及び難民認定法(以下「出入国法」という)24条4号ロ(不法残留)に。 該当する旨の認定を受け、次いで、東京入国管理局特別審理官から同認定に誤りがない旨の判定を受け、さらに、法務大臣から権限の委任を受けた甲・乙事件被告兼丙事件処分行政庁東京入国管理局長(以下「被告東京入管局長」という)から出入国法49条1項に基づく異議の申出。 には理由 がない旨の判定を受け、さらに、法務大臣から権限の委任を受けた甲・乙事件被告兼丙事件処分行政庁東京入国管理局長(以下「被告東京入管局長」という)から出入国法49条1項に基づく異議の申出。 には理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受け、その後に行った、乙事件原告bとの婚姻の成立を理由とする在留特別許可の付与についての再度の審査の申入れに対しても、上記裁決を取り消す余地はない旨の通知を受けたため、在留特別許可を認めなかった上記裁決には重大かつ明白な違法があり、再審手続を開始しない上記通知は違法であるなどと主張して、被告東京入管局長に対し、上記裁決が無効であることの確認と上記通知の取消しを求める事案である。 乙事件は、原告bが、原告aの在留特別許可を認めなかった上記裁決には重大かつ明白な違法があると主張して、被告東京入管局長に対し、- 3 -上記裁決が無効であることの確認を求める事案である。 丙事件は、原告aが、処分行政庁である被告東京入管局長には、原告aに在留特別許可を付与すべき義務がある旨主張して丙事件被告国以、(下「被告国」という)に対し、処分行政庁である被告東京入管局長が。 原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求める行政事件訴訟法3条6項1号のいわゆる非申請型義務付けの訴えに係る事案である。 二関係法令の定め等本件に関連する出入国法の規定は、次のとおりである。 24条(退去強制)次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。 1号から3号まで(省略)4号本邦に在留する外国人(…略…)で次に掲げる者のいずれかに該当するものイ(省略)ロ在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留す できる。 1号から3号まで(省略)4号本邦に在留する外国人(…略…)で次に掲げる者のいずれかに該当するものイ(省略)ロ在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者(以下省略)39条(収容)1項入国警備官は、容疑者が第24条各号の1に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容- 4 -することができる。 2項(省略)44条(容疑者の引渡)入国警備官は、第39条第1項の規定により容疑者を収容したときは、容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に、調書及び証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならない。 45条(入国審査官の審査)、、1項入国審査官は前条の規定により容疑者の引渡を受けたときは容疑者が第24条各号の1に該当するかどうかをすみやかに審査しなければならない。 2項(省略)47条(審査後の手続)1項(省略)2項入国審査官は、審査の結果、容疑者が第24条各号の1に該当すると認定したときは、すみやかに理由を附した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない。 (以下省略)48条(口頭審理)1項前条第2項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から3日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。 2項(省略)- 5 -3項特別審理官は、第1項の口頭審理の請求があつたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない。 4項から6項まで(省略)7項特別審理官は、口頭審理の結果、前条第2項の認定が誤りがないと判定したときは、すみやかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対 らない。 4項から6項まで(省略)7項特別審理官は、口頭審理の結果、前条第2項の認定が誤りがないと判定したときは、すみやかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対し、第49条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。 8項(省略)49条(異議の申出)1項前条第7項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から3日以内に、法務省令で定める、、手続により不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して法務大臣に対し異議を申し出ることができる。 2項(省略)、、3項法務大臣は第1項の規定による異議の申出を受理したときは異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。 4項主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。 5項主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決し- 6 -た旨の通知を受けたときは、すみやかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。 50条(法務大臣の裁決の特例)1項法務大臣は、前条第3項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が左の各号の1に該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。 1号及び2号(省略)3号その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。 2項(省略)3項第1項の許可は、前条第4項の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。 61条の9(出入国管理基本計画)1項法務大臣は、出入国の公正な管理を図るため、外国人の入国及 省略)3項第1項の許可は、前条第4項の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。 61条の9(出入国管理基本計画)1項法務大臣は、出入国の公正な管理を図るため、外国人の入国及び在留の管理に関する施策の基本となるべき計画(以下「出入国管理基本計画」という)を定めるものとする。 。 2項出入国管理基本計画に定める事項は、次のとおりとする。 1号本邦に入国し、在留する外国人の状況に関する事項2号外国人の入国及び在留の管理の指針となるべき事項3号前2号に掲げるもののほか、外国人の入国及び在留の管理に関する施策に関し必要な事項- 7 -3項法務大臣は、出入国管理基本計画を定めるに当たつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。 4項法務大臣は、出入国管理基本計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。 、。 5項前2項の規定は出入国管理基本計画の変更について準用する69条の2(権限の委任)出入国管理及び難民認定法に規定する法務大臣の権限は、法務省令で定めるところにより、地方入国管理局長に委任することができる。 (以下省略)三前提事実本件の前提となる事実は、次のとおりである。いずれも、証拠及び弁論の全趣旨等により容易に認めることのできる事実であるが、括弧内に認定根拠を付記している。 原告aの身分事項及び入国・在留状況について(一)原告aは、バングラデシュにおいて、昭和○年(○年)○月○日に出生したバングラデシュ国籍を有する男性の外国人である(乙2。 )(二)原告aは、昭和63年1月30日、新東京国際空港(現在の成田国際空港。以下「成田空港」という)に到着し、東京入国管。 理局(以下「東京入管」という)成田支局(現在の成田空港支。 局)入国審査官から、平成元年法律 63年1月30日、新東京国際空港(現在の成田国際空港。以下「成田空港」という)に到着し、東京入国管。 理局(以下「東京入管」という)成田支局(現在の成田空港支。 局)入国審査官から、平成元年法律第79号による改正前の出入国管理及び難民認定法4条1項4号所定の在留資格(現行法上の- 8 -「」。 「」。)短期滞在の在留資格に相当する以下4-1-4という及び在留期間30日とする上陸許可を受けて本邦に上陸した乙、(1、2。 )(三)原告aは、その後、在留期間の更新又は在留資格の変更の許可を受けることなく、上記上陸許可の在留期限である昭和63年2月29日を超えて、本邦に不法残留した(乙2、9。 )(四)原告aは、平成14年11月7日に、日本国籍を有する原告b(昭和○年○月○日生まれ)との婚姻の届出をした(乙18。 )(五)なお、原告aは、外国人登録法に基づく登録の申請手続をしたことはない。また、原告aは、不法残留及び資格外就労という出入国法違反の罪並びに外国人登録法違反の罪を犯してはいたが、それ以外には、バングラデシュ及び日本において、犯罪行為により検挙されたことはない(乙9、弁論の全趣旨)。 原告aの退去強制手続について(一)原告aは、平成14年7月28日、警視庁武蔵野警察署警察官から職務質問を受け、出入国法違反(不法残留)の容疑により現行犯逮捕された(乙3。 )(二)東京地方検察庁八王子支部検察官は、平成14年8月16日、原告aを出入国法違反の罪により、東京地方裁判所八王子支部に起訴した(乙3。 )(三)原告aは、平成14年10月10日、東京地方裁判所八王子支部において、出入国法違反の罪により、懲役2年8月執行猶予3- 9 -年の刑の宣告を受け、その後、同判決は確定した(乙4、弁論の全趣旨 )原告aは、平成14年10月10日、東京地方裁判所八王子支部において、出入国法違反の罪により、懲役2年8月執行猶予3- 9 -年の刑の宣告を受け、その後、同判決は確定した(乙4、弁論の全趣旨。 )(四)東京地方検察庁八王子支部から被退去強制容疑者通報を受けた東京入管入国警備官は、平成14年10月9日、原告aが出入国法24条4号ロに該当すると疑うに足りる相当の理由があるとし、、、て東京入管主任審査官から収容令書の発付を受け同月10日これを執行して原告aを収容し、同月11日、原告aを出入国法24条4号ロ該当容疑者として東京入管入国審査官に引き渡した(乙3、6、7。 )(五)東京入管入国審査官は、平成14年10月15日及び同月21日、原告aに対する違反審査を行い、同日、原告aが出入国法24条4号ロに該当する旨認定し、原告aにこれを通知した。原告aは、同日、特別審理官による口頭審理の請求をした(乙8か。 ら10まで)(六)東京入管特別審理官は、平成14年11月1日、口頭審理を実施し、その結果、入国審査官の上記認定に誤りがない旨判定し、原告aにこれを通知した。原告aは、同日、法務大臣に異議の申出をした(乙11から13まで)。 (七)法務大臣から権限の委任を受けた被告東京入管局長は、平成14年11月6日付けで、原告aの上記異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という)をした。本件裁決の通知。 を受けた東京入管主任審査官は、同月7日、原告aに本件裁決を- 10 -告知するとともに、退去強制令書(以下「本件退令」という)。 の発付処分(以下「本件退令処分」という)をした(乙14。 。 から17まで)(八)東京入管入国警備官は、平成14年11月7日、本件退令を執行して原告aを同支局収容場に収容し、平成1 いう)。 の発付処分(以下「本件退令処分」という)をした(乙14。 。 から17まで)(八)東京入管入国警備官は、平成14年11月7日、本件退令を執行して原告aを同支局収容場に収容し、平成15年1月14日、原告aを入国者収容所東日本入国管理センター(以下「東日本センター」という)に移収した(乙17。 。 )(九)原告aは、原告bとの婚姻の届出をしたとして、法務大臣及び東京入管入国審査官に対し、平成14年12月10日付けで、在留特別許可の付与について再度の審査をしてほしい旨の上申書を提出した(乙18。 )、、、(一〇)東京入管の担当者は原告aに対し平成15年4月15日本件裁決を取り消す余地はない旨の通知(以下「本件通知」という)をした(弁論の全趣旨。 。 )(一一)原告aは、平成15年7月14日、本件裁決が無効であることの確認及び本件通知の取消しを求めて、甲事件に係る訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実。 )(一二)原告bは、平成16年2月19日、本件裁決が無効であることの確認を求めて、乙事件に係る訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実。 )(一三)原告aは、平成16年5月26日、仮放免許可を受け、出所した(乙25、26。 )- 11 -(一四)原告aは、平成17年4月5日、原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求めて、行政事件訴訟法19条1項に基づき、丙事件に係る訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実。 )四 争点 本件の主な争点は、次のとおりである。 原告bの原告適格の有無原告bは、本件裁決の無効確認を求める訴えにつき、原告適格を有するか。 本件裁決についての重大かつ明白な違法の有無具体的には、原告aは、原告bとの長期間の交際や婚姻の手続を進めていることなどを理由として在留特別 の無効確認を求める訴えにつき、原告適格を有するか。 本件裁決についての重大かつ明白な違法の有無具体的には、原告aは、原告bとの長期間の交際や婚姻の手続を進めていることなどを理由として在留特別許可を付与されるべきであったのに、これを付与されずにされた本件裁決には、被告東京入管局長の有する裁量権を逸脱するなどの重大かつ明白な違法があるということができるか。また、原告aの口頭審理を担当した特別審理官は、原告bとの婚姻の手続が進められていることを知りながら、口頭審理を終結したが、この点について本件裁決に重大かつ明白な違法があるということができるか。 本件通知の処分性の有無東京入管の担当者が原告aに対してした、本件裁決を取り消す余地はない旨の通知は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当し、抗告訴訟の対象となると- 12 -いうことができるか。 本件通知の適否具体的には、東京入管の担当者が原告aに対してした、本件裁決を取り消す余地はない旨の通知は、原告両名の婚姻が成立したことを考慮して在留特別許可を与えるべく再審手続を進めなかった点において、違法なものであるということができるか。 丙事件に係る訴えの適否具体的には、在留特別許可がされないことにより仮に原告に重大な損害が生ずるおそれがあるとしても、その損害を避けるためには、同裁決又は退去強制令書発付処分の取消訴訟を提起するという方法があるから、丙事件に係る訴えは、救済の必要性に関する要件を欠く不適法な義務付けの訴えであるということができるか。 原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることの可否具体的には、被告東京入管局長に対し、原告aに在留資格「日本人の配偶者等、在留期間3年の在留特別許可を与えるべき旨を命ずる」ことがで か。 原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることの可否具体的には、被告東京入管局長に対し、原告aに在留資格「日本人の配偶者等、在留期間3年の在留特別許可を与えるべき旨を命ずる」ことができるか。 五争点に関する当事者の主張の要旨 争点1(原告bの原告適格の有無)について(原告bの主張)(一)行政事件訴訟法36条は、無効等確認訴訟における原告適格について「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれ、のある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法- 13 -律上の利益を有する者」に原告適格があると定める。そして、最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁は「法律上の利益を有する者」とは、当該、処分等により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害さ、。 れ又は必然的に侵害されるおそれがある者をいう旨判示している(二)原告bは、日本国籍を有する者であるから、日本において夫婦生活を営む権利を有し、家族結合権を有する。家族結合権は、憲法24条2項、世界人権宣言12条、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という)17条及び23条において保。 障されているだけでなく、平成11年の出入国法の改正に関する国会の附帯決議及び平成16年の出入国法の改正に関する国会の附帯決議においても強調されているところである。 原告bの夫である原告aが送還されれば、原告bは、日本において夫婦生活を送ることができず、家族結合権を侵害される。夫婦の結合は、人格の重要かつ非代替的な一部を形成しているのであるから、家族結合権の侵害は、当該夫婦の人格の重要な一部を破壊するものにほかならない。個人の人格の尊重は、憲法の要請するところでもあり、婚姻の保護は、憲法を始めと 非代替的な一部を形成しているのであるから、家族結合権の侵害は、当該夫婦の人格の重要な一部を破壊するものにほかならない。個人の人格の尊重は、憲法の要請するところでもあり、婚姻の保護は、憲法を始めとした諸法が保護するもので。 、、、あるしたがって原告bは本件裁決の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者である。 (三)被告東京入管局長は、法律上の利益を有するというためには、手続の名あて人であること及び当該処分の根拠法が当該原告の問題- 14 -となっている権利利益を保護していることが必要である旨主張する。 しかし、手続の名あて人でない者であっても原告適格を有することは、判例の認めるところであり、行政事件訴訟法36条及び9条も、当該処分の名あて人であることを原告適格の要件とは定めていない。さらに、当該処分の根拠法が当該原告の問題となっている権利利益を保護していることが必要であるとすることは、同法36条等の文言に反する。原告bは、原告aとの夫婦生活を送ることができるのであるから、本件裁決の無効確認を求めるにつき、法律上の利益を有するというべきである。 (四)被告東京入管局長は、出入国法が「日本人の配偶者等」の在留資格を定めたことは、婚姻関係に対する法の保護とは無関係である旨主張する。 しかし、婚姻関係は、個人の人格と切り離すことができない。夫婦は、互いの存在を自らの人格の一部として互いに依存して生活していくものであり、これは法律上保護された利益である。憲法、民法、刑法、社会福祉に関する諸法等の法のあらゆる分野で、夫婦関。 、、係は保護されている在留資格制度は資格該当性の規定を通して外国人の在留を管理しようとするものであるが、外国人の活動が千差万別ある中で、配偶者の在留資格が定められているのは、出入国法が日本人と外国 係は保護されている在留資格制度は資格該当性の規定を通して外国人の在留を管理しようとするものであるが、外国人の活動が千差万別ある中で、配偶者の在留資格が定められているのは、出入国法が日本人と外国人の夫婦の婚姻生活に配慮したからにほかならない。現に、在留特別許可の審査に当たっては、婚姻の信ぴょう性や- 15 -安定性が審査され、これらを満たすことが在留特別許可の基準とされ、90パーセントを超える婚姻案件について在留特別許可がされているのである。このような運用実態は、出入国法が婚姻生活を保護していることの反映にほかならない。被告東京入管局長の上記主張は失当である。 (五)したがって、原告bは、本件裁決の無効確認を求める訴えの原告適格を有する。 (被告東京入管局長の主張)(一)外国人には、特別の条約ないし取決めがない限り、国際慣習法上も我が国の憲法上も、我が国に在留する権利が保障されているものではない。本邦に在留する外国人は、出入国法に基づく外国人在留制度の枠内でのみ、憲法の基本的人権が与えられているにすぎないといわざるを得ないのであって、在留の許否を決定する国家の裁量を拘束するまでの基本的人権の保障が与えられているものと解することはできない。 そして、外国人の我が国における在留が認められるか否かは、出入国法の枠内において、法務大臣の広範な裁量権にゆだねられているところ、出入国法には、在留特別許可の許否の判断に当たり、日本人の配偶者等の在留資格を有する外国人を特別に扱うべきことを定めた規定や、当該配偶者自身に対して何らかの手続上の権利(出入国法49条1項の異議申出の機会等)を付与した規定はない。退去強制事由のある外国人に日本人の配偶者がいることは、法務大臣- 16 -が当該外国人に対して特別に在留を許可すべきか否かの判断をす 出入国法49条1項の異議申出の機会等)を付与した規定はない。退去強制事由のある外国人に日本人の配偶者がいることは、法務大臣- 16 -が当該外国人に対して特別に在留を許可すべきか否かの判断をするに際して斟酌される事情の一つにすぎないと解される。 したがって、出入国法が、在留特別許可との関係において、外国人の配偶者である日本人の有する、本邦において外国人と同居し婚姻生活を営むという権利・利益を具体的に保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできない。 (二)また、B規約17条及び23条が、上記特別の条約ないし取り決めに該当するか否かについても、外国人を自国内に受け入れるか否か、これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかは、国際慣習法上、当該国家が自由にこれを決することができるというのが原則であるところ、B規約は、上記国際慣習法上の原則を当然の前提とし、その原則を基本的に変更するものとは解されないから、B規約が憲法の諸規定による人権保障を超えた利益を保護するものではないことは明らかである。 さらに、原告bが主張する各附帯決議についても、在留特別許可の許否の判断は、各事案ごとの個別的事情を斟酌した裁量権の行使によるものであり、これらの附帯決議が、在留中に婚姻関係が生じた事案についてはすべて在留特別許可を与えることとするなどというように、個別の事案についての法務大臣の在留特別許可の許否に係る裁量権を拘束する趣旨のものでないことは明らかである。 (三)出入国法は「在留資格」の一つとして「日本人の配偶者等」、、、、を定めているが在留資格とは出入国法が在留資格制度を採用し- 17 -外国人の身分・地位に応じて、日本で行うことのできる活動をあらかじめ一定の類型として定めた法的地位であって、日本人の配偶者である外国人が、在留資 資格とは出入国法が在留資格制度を採用し- 17 -外国人の身分・地位に応じて、日本で行うことのできる活動をあらかじめ一定の類型として定めた法的地位であって、日本人の配偶者である外国人が、在留資格である「日本人の配偶者等」に該当する身分・地位を有することはともかく、外国人の配偶者である日本人に法的権利・利益を付与するための規定ではない上、本件裁決の関係条項でもない。 また、在留特別許可の許否の判断において、当該外国人が日本人と婚姻しているか否かということは考慮要素の一つではあるが、それを超えるものではないのであるから、出入国法が在留特別許可との関係において、当該外国人の配偶者である日本人に対し、本邦において外国人と同居し婚姻生活を営むという権利利益を具体的に保護すべきものとする趣旨を含むものと解することもできない。 (四)以上のとおり、出入国法は、当該外国人とその日本人の配偶者が我が国において同居する利益等を保護することを目的として、法務大臣の裁決及び主任審査官の退令発付処分に対し法律上制約を課しているものとは解されないから、本件において、原告aに対してされた本件裁決及び本件退令処分によって原告bの法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあるということはできない。 そうすると、原告bには、本件裁決を争う法律上の利益は存しないというべきである。仮に原告aに在留特別許可が付与されれば、原告bが我が国において原告aと同居することが可能になるとして- 18 -も、そのような原告bの利益は、原告aの在留が許可されることによって受ける反射的な利益ないし事実上の利益にすぎない。 したがって、原告bは、本件裁決の無効確認請求に係る訴えについての原告適格を有しないというべきである。 争点2(本件裁決についての重大かつ明白 って受ける反射的な利益ないし事実上の利益にすぎない。 したがって、原告bは、本件裁決の無効確認請求に係る訴えについての原告適格を有しないというべきである。 争点2(本件裁決についての重大かつ明白な違法の有無)について(原告両名の主張)(一)出入国法は、在留資格制度を採用しており、出入国法所定の在留資格に該当する外国人に対しては、原則として、在留資格が付与されることとされている。在留特別許可についても、これと同様に解釈するのが相当であり、出入国法50条1項柱書きは法務大臣に個別的な在留特別許可の権限を与えた規定であり、同項3号は法務大臣に一般的な在留特別許可事由を定める権限を与えた規定であるとそれぞれ解すべきである。このように解釈するのが、在留特別許可の付与に関する入管実務にも適合する。 一般的な在留特別許可事由の定立に当たり、法務大臣は、家族の結合権の尊重を義務付けたB規約17条及び23条、婚姻の尊重を定めた憲法24条1項「日本人の配偶者等」という在留資格を定、めた出入国法の趣旨、日本人や永住者等との身分関係を有する外国人に対する在留特別許可の判断に際し人道的観点を十分配慮すべきものとする出入国管理基本計画等に従う必要がある。そうすると、日本人の配偶者であるという事実は、在留特別許可の事由に当たるというべきである。 - 19 -地方入国管理局長は、法務省内の一部局である入国管理局の更に下の8地方入国管理局の一つの長にすぎず、その時々の政治・経済・社会等の諸事情や外交政策等の諸般の事情を総合的に考慮する能力もなければ、政治的配慮をする資格もない。したがって、在留特別許可に関する地方入国管理局長の権限の行使は、自由裁量ではなく、事実を正確に把握した上で、各種の通達や先例、出入国管理基本計画等に従って、在留特別許可をすべきで する資格もない。したがって、在留特別許可に関する地方入国管理局長の権限の行使は、自由裁量ではなく、事実を正確に把握した上で、各種の通達や先例、出入国管理基本計画等に従って、在留特別許可をすべきであり、事実認定等に誤りがある場合には、裁量権の逸脱濫用として違法となるというべきである。 外国人が法務大臣に異議の申出をする際には「口頭審理及び証、拠に現れている事実で退去強制が著しく不当であることを信じるに足りるもの」を不服の理由として示さなければならない(出入国管理及び難民認定法施行規則42条4号。そうすると、口頭審理を)主宰する特別審理官としては、在留特別許可の事由である、日本人との婚姻の事実を審理の対象とし、口頭審理にその事実が顕出されるようにしなければならず、在留特別許可の事由が存在することを知りながらこれを顕出させなかったり、在留特別許可の事由が成立することを知りながらそれを待たずに口頭審理を終結することは許されない。 本件において、原告aは、口頭審理及びそれに先立つ手続において、原告bと約10年間にわたり真摯に交際していること、婚姻する予定であること、婚姻届を提出したが不受理になったことを述べ- 20 -ていたのであるから、当該事案を担当する特別審理官としては、婚姻の成立を待ち、その事実を顕出させた上で、口頭審理を終結すべきであった。それにもかかわらず、本件を担当した特別審理官は、婚姻の成立を待つことなく、口頭審理を違法に終結した。このために、原告aは、法務大臣等に対して在留特別許可の事由である原告bとの婚姻の事実を主張することができず、原告bとの婚姻の成立の事実は、本件裁決の判断の基礎とされなかった。 以上のとおり、本件においては、在留特別許可の事由である原告bとの婚姻の事実を口頭審理に顕出させないという重大な違法 ことができず、原告bとの婚姻の成立の事実は、本件裁決の判断の基礎とされなかった。 以上のとおり、本件においては、在留特別許可の事由である原告bとの婚姻の事実を口頭審理に顕出させないという重大な違法があり、そのため、本件裁決が判断の基礎とすべき事実を基礎としなかったという違法な結果が生じている。この違法は重大かつ明白なものであるから、本件裁決は無効である。 また、被告東京入管局長は、原告両名の婚姻が成立する予定であることを知っていたのであるから、重要な事情である原告両名の婚姻につき、補正を指示すべきであった。補正を指示せず、在留特別許可を付与しなかったことは、補正指示義務に違反する。そして、この違法は、処分の結果を左右する顕著なものであるから、本件裁決は無効と解すべきである。 (二)本件において、原告aに在留特別許可が与えられなかった理由は、①原告aには、女児の面前で下半身を露出するという公然わいせつ行為を行った疑いがあり、原告aの口頭審理を担当した特別審理官は、この疑いを真実であると決め付けて、原告aの素行が善良- 21 -でないと判断したこと、②口頭審理及び本件裁決の当時には、原告両名の婚姻が成立していなかったこと、③原告bは、原告aが身柄拘束を受けた後に婚姻届を提出しているが(ただし、書類不備のため不受理とされている、このような身柄拘束後に婚姻届を提出。)するといういわゆる「駆込み婚」の場合には、送還忌避目的の婚姻であると判断され、婚姻の真正が否定される場合があり、本件においても、担当の特別審理官は、婚姻が真正でないか、仮に真正であったとしても安定性を欠くと判断したことであると推測される。 、、、しかし上記①及び③については事実の基礎を欠くものでありまた、上記②については、婚姻の成立を待って判断すべきであったの 正であったとしても安定性を欠くと判断したことであると推測される。 、、、しかし上記①及び③については事実の基礎を欠くものでありまた、上記②については、婚姻の成立を待って判断すべきであったのであるから、これも事実の基礎を欠く場合と同視されるべきである。 したがって、本件裁決は、重大かつ明白な違法があり、無効である。 (被告東京入管局長の主張)(一)原告aは、在留期限である昭和63年2月29日を超えて本邦に不法残留するものであり、出入国法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当する。したがって、原告aの法務大臣に対する異議の申出に理由がないことは明らかである。 (二)在留特別許可は、退去強制事由に該当することが明らかで、当然に本邦から退去を強制されるべき者に対し、特別に在留を認める処分であって、その性質は、恩恵的なものというべきである。そし- 22 -て、在留特別許可の判断をするに当たっては、当該外国人の個人的事情のみならず、その時々の国内の政治・経済・社会等の諸事情、外交政策、当該外国人の本国との外交関係等の諸般の事情を総合的に考慮すべきものである。このように、在留特別許可に係る法務大臣等の裁量の範囲は極めて広範なものであって、極めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても、それは、在留特別許可の制度を設けた法の趣旨に明らかに反するなど極めて特別な事情が認められる場合に限られる。 (三)原告aは、要するに原告bと婚姻したことを理由に在留特別許可が付与されるべきであると主張するものであるが、日本人との婚姻ないし交際関係があるというだけで、上記特別な事情が存すると評価し得るものではない上、原告両名との関係に係る具体的事情を見ると、在留特別許可の判断において格別積極的に斟酌しなければならないような事情は皆無である。 あるというだけで、上記特別な事情が存すると評価し得るものではない上、原告両名との関係に係る具体的事情を見ると、在留特別許可の判断において格別積極的に斟酌しなければならないような事情は皆無である。 そもそも、出入国法は、在留特別許可を行うか否かの判断に関して、特定の事項を取り上げてその判断の際には必ず考慮しなければならない事項として定めるなどの規定は置いておらず、また、出入国法のその他の規定を検討してみても、その判断において、日本人の配偶者である外国人について、そうでない者と区別して、一律に特別の取扱いをすべき法的地位を付与しているとは解されない。 さらに、一般に、退去強制事由に該当する外国人について、日本人と婚姻関係にあるといった事情は、不法残留の継続という違法状- 23 -態の上に築かれたものであって、当然に法的保護に値するものではなく、在留特別許可を付与するか否かを判断する際の一事情にすぎないものである。 (四)原告両名の具体的関係について見るに、原告両名の婚姻届が受理されたのは、本件裁決後の平成14年11月7日であり、本件裁決時には、原告両名は婚姻関係にすらなかった。また、原告aが逮捕されるまでの原告両名の関係は、同居もしておらず、月に1回会っていた程度であり、具体的な婚姻の予定もなく、今回原告aが逮捕されたことにより婚姻の手続を進めたというのであるから、上記逮捕の事実がなければ、上記時期に婚姻届を提出するに至っていなかったと考えられる。 (五)原告aは、外国人登録法3条1項に基づく新規登録申請をして、。 、おらずこれは同法18条1号に定める罰則規定に抵触するまた原告aは、雇用主のcに不法残留の事実を隠ぺいして会社に採用されていることや、原告aの旅券を保管しているc夫人から、正規に再度入国した上で就労するよう助言 法18条1号に定める罰則規定に抵触するまた原告aは、雇用主のcに不法残留の事実を隠ぺいして会社に採用されていることや、原告aの旅券を保管しているc夫人から、正規に再度入国した上で就労するよう助言されたにもかかわらずこれに応じなかったことからすれば、原告aは不法残留の事実を積極的に隠ぺいした上で不法就労に従事し、本国の家族に送金していた者であり、在留状況は悪質といわざるを得ない。 (六)原告aは、本国バングラデシュで出生して成育し、本国内で生活を営んできたものであって、今回来日するまで我が国とは何らかかわりはなかった。原告aは稼働能力を有する成人であり、本国に- 24 -は両親のほか兄弟姉妹等の親族が同居しており、バングラデシュに帰国したとしても、本国での生活に特段の支障があると認めることはできない。 (七)これらの事実に照らせば、原告両名の関係を在留特別許可の許否の判断において格別積極的に斟酌しなかったからといって、裁量権の明白な逸脱、濫用となるものではなく、本件裁決には何らの違法もない。 (八)なお、原告両名は、東京入管における原告aの口頭審理において担当の特別審理官が十分に原告両名の言い分を聴取しなかったなど手続の不備を主張するが、本件の口頭審理には、原告bのみならず代理人であるd弁護士までも立ち会っており、原告bやd弁護士が資料や言い分を補充したいと考えたのであれば、本件裁決までの間に書面等を提出することも可能であったのにこれをしていないのである。また、仮に、原告aが退去強制手続について不明な点があったのであれば、自分の代理人であるd弁護士に確認したはずであるのにこれもしていないのである。これらの点からみても、本件の口頭審理が適法にされたことは明らかである。 争点3(本件通知の処分性の有無)について(原告両名 理人であるd弁護士に確認したはずであるのにこれもしていないのである。これらの点からみても、本件の口頭審理が適法にされたことは明らかである。 争点3(本件通知の処分性の有無)について(原告両名の主張)(一)出入国法には、再審についての明文の規定はないが、法務省入国管理局制定の「違反審判要領」第6章第3節「裁決の見直しに伴う措置」第1の1は「法務大臣は、…(中略)…案件によっては、、- 25 -裁判所における審理の過程において新たな事情が判明した場合などは、裁決を見直し、在留特別許可の許否について再検討することもあり得る。…(中略)…裁決の見直しは、行政法でいう裁決の取消しに当たり、裁決の撤回ではない」と規定する。 。 異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた当事者は、法務大臣に対し、再審申請(入管実務では「再審情願」と呼ばれる)を、。 することができる。実務上、再審申請があると、法務大臣は、再審の開始(すなわち裁決の見直し)が認められるか否かを検討し、これが認められる場合には、再審開始決定をし、主任審査官に在留特別許可をする旨通知する。再審開始決定が出されると、それを受けた主任審査官は、特別審理官に対し、改めて口頭審理を行うことを命ずることとなる。再審申請者は、口頭審理において改めて違反判、、、、定を受けると再度法務大臣に対し異議の申出をし法務大臣は申請者に在留特別許可を行うこととなる。以上のとおり、実務上、再審開始決定は、在留特別許可をすることを前提としている。 これに対し、再審開始決定事由となるべき新たな事情がない場合は、法務大臣は、主任審査官に再審不開始決定を通知する。通知を受けた主任審査官は、申請者に対し、再審不開始決定のあった旨を通知する。この通知は、実務上、口頭で行われている。 (二)行政行為 い場合は、法務大臣は、主任審査官に再審不開始決定を通知する。通知を受けた主任審査官は、申請者に対し、再審不開始決定のあった旨を通知する。この通知は、実務上、口頭で行われている。 (二)行政行為は、当該行為の対象となる個人の権利なし法的地位の保護の観点から、合法的かつ権利保護的でなければならない。したがって、行政行為の時点で判明していなかった事情を考慮すると、- 26 -合法的ないし権利保護的であるとはいえない事態に陥った場合、行政庁は、当該行政行為を取り消さなければならない。この取消しの義務は、特定の条文に基づくものではなく、法による行政、法の支配の観念から直接的に導かれるものである。入管実務上の「再審申請「再審開始決定「再審不開始決定」は、このような一般的」、」、法理から導かれるものであり、入管実務も、このような法理の存在を前提に運用されているものと理解すべきである。 在留特別許可は、特別に在留を許可すべき事情があるときにされなければならない。したがって、新たな事情により、在留を特別に許可すべき事情が認められる場合には、再審開始決定をしなければならない。 (三)行政事件訴訟法3条2項は、抗告訴訟の対象を「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」と定める。異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた者がした再審申請について、これを不許可とする処分は、当該外国人に対する公権力の行使として行われるのであって、抗告訴訟の対象となる「公権力の行使に当たる行為」である。 さらに、仮に、再審不開始決定が、単なる事実行為であったとしても、公権力の行使に当たる「行為」の中には、湖水埋立て、道路開設工事、県営土地改良事業、受刑者の身柄移送のような事実行為も含まれるとするのが判例であり、登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する 、公権力の行使に当たる「行為」の中には、湖水埋立て、道路開設工事、県営土地改良事業、受刑者の身柄移送のような事実行為も含まれるとするのが判例であり、登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する行為も抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる- 27 -とされている。 また、仮に、再審不開始決定が、被処分者の再審を受けるという手続的利益を侵害する決定にすぎないとしても、手続的法益を侵害する行政行為も抗告訴訟の対象となるとするのが判例であるから、このことは、再審不開始決定が抗告訴訟の対象となるというこれまでの結論を左右するものではない。 (四)被告東京入管局長は、出入国法は再審を予定していない旨主張するが、前述のとおり、再審は、出入国法の趣旨から導かれる制度であり、合法的かつ権利保護的でなければならないという行政行為、。 、の性質から導かれるものであるから上記主張は誤りである仮に出入国法が再審を予定していないとすれば、違反審判要領に基づき再審を行っていること自体、出入国法が予定しない違法な行政行為であるといわなければならない。 なお、出入国法には規定がない制度として、上陸許可取消制度があるが、実際にこの制度が運用されており、入国管理局は、その処分性を認めているようである。 (五)また、被告東京入管局長は、再審不開始処分が何ら原告両名の権利ないし法律上の利益に影響を及ぼすものではない旨主張する。 しかし、原告aは、在留特別許可事由があるときは、在留特別許可を与えられ、退去強制が著しく不当であるときは、法務大臣に異議を申し出ることができる法的地位にあり、再審が認められれば、在留資格を得て日本に在留することができるのである。そして、再審- 28 -が開始されれば、在留特別許可の事由や異議事由の有無が審査の対象とされるのである。したが 地位にあり、再審が認められれば、在留資格を得て日本に在留することができるのである。そして、再審- 28 -が開始されれば、在留特別許可の事由や異議事由の有無が審査の対象とされるのである。したがって、原告aの法律上の利益に何ら影響がないとする被告東京入管局長の主張は誤りである。 (六)行政が、法律ないしその内部基準に基づき、組織として、対象とされる者に対し、その者の重要な利益についての最終的な行為を行った場合、その行為は、処分性を有すると解すべきである。対象とされる者の重要な利益は、必ずしも権利である必要はない。在留特別許可不許可処分は、対象とされる者の権利に関するものではないが、処分であることに争いはないのである。再審の要件の内部基準に合致する者は、再審手続を受けた上で、在留特別許可を得るのであるから、再審が開始されるか否かは、対象とされる者にとって重要な利益に関するものであることは間違いない。そして、再審が不開始となれば、当該再審手続において在留特別許可がされないことが行政上の最終判断とされるのであるから、再審不開始決定は、行政処分である。 (被告東京入管局長の主張)(一)原告aは、在留特別許可の付与につき再度の審査をしてほしい旨の上申書に対して入国管理局が本件裁決を取り消す余地はない旨通知したことについて、被告東京入管局長によって再審不開始決定なる行政処分がされたとして、その取消しを求めている。 (二)しかしながら、出入国法上、法務大臣等の裁決及び退去強制令書発付処分について、処分後の事情変更を理由に再審査の申請を認- 29 -めた定めはなく、退去強制令書の発付を受けた外国人は直ちに本邦外に送還されることが予定されているのであるから(出入国法52条3項、5項、そもそも、出入国法は、そのような再審査の手続)を予定 -めた定めはなく、退去強制令書の発付を受けた外国人は直ちに本邦外に送還されることが予定されているのであるから(出入国法52条3項、5項、そもそも、出入国法は、そのような再審査の手続)を予定していない。したがって、再審査の申請なるものは、単なる情願にすぎず、外国人は、法務大臣等に対し、その情願に対する決定等の応答を求める権利を有するものではない。そうすると、原告aの上記上申書の提出に対してされた通知は、何ら原告aの権利ないし法律上の利益に影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象たる行政処分に当たらず、その取消しを求める訴えは不適法であり、却下を免れない。 争点4(本件通知の適否)について(原告aの主張)(一)原告aと原告bは、本件裁決の翌日である平成14年11月7日に婚姻の届出をし、同年12月7日に受理された。したがって、本件裁決後に、原告aについて「日本人との婚姻」という新たな事情が発生したのであるから、これがないものとしてされた再審不開始決定は違法である。 (二)被告東京入管局長は「日本人との婚姻」は在留特別許可事由、ではないとするもののようである。しかし、これは、日本人と婚姻したほとんどの外国人に在留特別許可をしている入管実務に反し、、「」行政の平等原則に反するのみでなく出入国法が日本人の配偶者である法的地位を有する外国人の在留資格該当性を認め、この法的- 30 -地位を保護していることに反している。 しかも、入国管理局は、日本人と婚姻し、その婚姻が真摯かつ安定したものである場合には、在留特別許可を認めるとの基準を自ら設けているのである。このように、外国人に有利に考慮すべき事項について、実務上、明示的又は黙示的に基準が設けられ、それに基づく運用がされているときは、平等原則の要請からして、特段の事 との基準を自ら設けているのである。このように、外国人に有利に考慮すべき事項について、実務上、明示的又は黙示的に基準が設けられ、それに基づく運用がされているときは、平等原則の要請からして、特段の事情がない限り、その基準を無視することは許されない。 (三)被告東京入管局長は、在留特別許可をするか否かを決定する際に、法務大臣が様々な事情を考慮することから広範な裁量が認められ、出入国法が婚姻関係を法律上保護すべき利益として、裁量権の行使に制約を課しているとはいえない旨主張する。 しかし、①憲法、刑法、民法等の諸法が法律婚を保護していること、②出入国法が日本人の配偶者の法的地位に在留資格該当性を与えて保護していること、③出入国法の根幹が在留資格制度であり、在留を認めるか否かに当たって、日本人の配偶者たる法的地位を考慮すべきであるのは当然であること、④出入国法は、上陸許可審査に当たって、日本人と婚姻関係にある者については、国内情勢等一般的な要素の考慮を禁止していること(出入国法7条1項2号、)⑤憲法が法律婚を保護し、B規約17条が家族の結合権を保護していること、⑥出入国管理基本計画等において、日本人や永住者等との身分関係を有する外国人に対する在留特別許可の判断に際しては人道的観点を十分配慮すべきものとされていること、⑦地方入国管- 31 -理局長は、外交政策等の諸般の事情を総合的に考慮して裁量を行使する立場にないことなどからすると、被告東京入管局長の上記主張は失当である。 (被告東京入管局長の主張)被告東京入管局長が原告aに在留特別許可を付与しなかったことについて、違法はない。原告両名の上記主張は、すべて争う。 争点5(丙事件に係る訴えの適否)について(原告aの主張)(一)原告aは、在留資格を有しないため、在留特別許可が与えら しなかったことについて、違法はない。原告両名の上記主張は、すべて争う。 争点5(丙事件に係る訴えの適否)について(原告aの主張)(一)原告aは、在留資格を有しないため、在留特別許可が与えられない場合には、本国へ送還される。そして、原告aは、長期入国拒否事由に該当するので、退去強制後、本邦に再入国することは不可能である。 したがって、被告東京入管局長が原告aに在留特別許可を与えなければ、原告両名の夫婦としての結合が一生阻害されるという重大な損害が生じ、その損害を回復することはできない。 (二)日本人と婚姻した不法残留の外国人が、日本に適法に在留するためには、在留特別許可を受ける以外には代替手段はない。 (三)以上によれば、丙事件に係る訴えは、適法というべきである。 (被告国の主張)(一)丙事件に係る訴えは、原告aに対し在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求めるものであるところ、このような訴えは、行政事件訴訟法3条6項に規定された義務付けの訴えの二つの類型の- 32 -うちのいわゆる非申請型の義務付けの訴え(同項1号)である。 (二)この非申請型の義務付けの訴えについては、行政事件訴訟法37条の2において訴訟要件等が定められているが、その1項において「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提、起することができる」とされており、救済の必要性が訴訟要件と定められている。 そこで、この点について検討すると、法務大臣が在留特別許可をすべきであるにかかわらず、これがされないとして在留特別許可の付与を求める義務付けの訴えは、要するに、在留特別許可がされることなく、出入国法49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決がされたことに裁量権の逸脱、濫用が認められるか否かを争点とするものであるから、同裁決又はこれを前提と は、要するに、在留特別許可がされることなく、出入国法49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決がされたことに裁量権の逸脱、濫用が認められるか否かを争点とするものであるから、同裁決又はこれを前提とする退去強制令書発付処分の取消訴訟を提起して、これに勝訴すれば、その目的を達することができるのである。そうであるとすれば、在留特別許可がされないことにより仮に原告に重大な損害が生ずるおそれがあるとしても、その損害を避けるために同裁決又は退去強制令書発付処分の取消訴訟を提起するという方法があるというべきであるから、在留特別許可の付与を求める義務付けの訴えは、救済の必要性に関する要件を欠く不適法な訴えというべきである。 なお、原告aは、本訴において、本件裁決又は本件退令処分の取消訴訟を提起しておらず、本件裁決の無効確認訴訟を提起しているにすぎないが「損害を避けるため他に適当な方法がない」場合か、- 33 -否かは、制度的にそのような方法が用意されているか否かという観点から定型的に判断されるべきであり、他に適当な救済手段があるのにこれを行使しなかった場合まで含むものとは解されない。 (三)以上のとおり、丙事件に係る訴えは不適法であり、却下を免れない。 () 争点6原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることの可否について(原告aの主張)(一)法務大臣に対する異議の申出は、退去強制が著しく不当であるときにすることができる。在留特別許可は、退去強制が著しく不当である場合にされるものであるから、日本人との婚姻という在留特別許可の類型の最も典型的な事情があった原告aに対しては、在留を特別に許可すべきであった。 (二)さらに、再審については、原告両名のように裁決後に婚姻が成立した場合、再審が開始されて在留特別許可がされるのであるから 型的な事情があった原告aに対しては、在留を特別に許可すべきであった。 (二)さらに、再審については、原告両名のように裁決後に婚姻が成立した場合、再審が開始されて在留特別許可がされるのであるから、原告aに対しては、再審を開始して、在留特別許可を与えるべきであった。 (三)そのほか、前記2及び4において主張したとおり、被告東京入管局長のした各処分は、いずれも違法であり、無効又は取消しを免れない。 (四)よって、被告東京入管局長は、原告aに対し、在留資格「日本人の配偶者等、在留期間3年の在留特別許可を与えるべきであ」- 34 -る。 (被告国の主張)被告東京入管局長が原告aに在留特別許可を付与しなかったことについて、違法はない。原告aの上記主張は、すべて争う。 第三争点に対する判断一認定事実前記前提事実に加え、証拠(甲1から5まで、9、11の1、12の1、13の1、48、51、53の1から3まで、54、55、56の5、60、66、乙2、3、5、8、9、11から13まで、16、18、20、25、原告b、原告a)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。 原告aの来日前の生活状況と来日に至る経緯原告aは、昭和○年(○年)○月○日、バングラデシュのダッカ市(。 、。)当時の名称現在は市の分割によりナラヤンゴン市となっている。 、、において出生した原告aの兄弟姉妹は原告aを含めて8人であり父が病気がちであったこともあって、家族の生活は苦しかった。このため、原告aは、地元の5年制の初等学校を卒業後、家業の農業を手伝うなどしていたが、15歳のころからは、縫製工場で稼働するようになった。 原告aは、20歳を過ぎたころ、日本に働きに行ったという人物の話をしばしば耳にするようになり、自らも海外に出稼ぎに 農業を手伝うなどしていたが、15歳のころからは、縫製工場で稼働するようになった。 原告aは、20歳を過ぎたころ、日本に働きに行ったという人物の話をしばしば耳にするようになり、自らも海外に出稼ぎに行きたいと考えるようになった。そして、原告aは、22歳のころ、日本から帰- 35 -国したばかりの男性を訪問し、これが切っ掛けとなって、日本に働きに行くことを決意した。 その後、原告aは、家族から援助を得て渡航費用を用意し、1年ほ、、。 ど後に帰国する予定でバングラデシュを出国して日本に向かった 原告aの来日当初の生活状況原告aは、バングラデシュ人の男性二人と共に、昭和63年1月30日、成田空港に到着し、在留資格「4-1-4」及び在留期間30日とする上陸許可を受けて、本邦に上陸した。原告aを含む3人は、JR中央本線α駅において、迎えに来ていたバングラデシュ人男性と落ち合い、東京都武蔵野市内のアパートに行った。 原告aは、そのアパートで、他のバングラデシュ人男性たちと共に約1か月間生活しながら、就職先を探した。その後、原告aは、バングラデシュ人男性から、β会社(以下「β」という)での仕事の紹。 介を受けて、他のバングラデシュ人男性たちと共に、βの社長を務めるc(以下「c社長」という)の所有するアパートに住み、βに建。 設作業員として勤務するようになった。 原告aは、給与の中から、バングラデシュに住む家族に仕送りをしていたが、その額は当初の1年間で約2000米ドルであった。そのほか、原告aは、渡航費用の援助を受けた兄に対して1000米ドルを返済した。 原告aとc社長夫妻との交際状況原告aたちがβで働くようになってから1年後には、他のバングラ- 36 -デシュ人男性たちはいずれもβを退職したが、原告aのみは、c社長の下での仕事を 済した。 原告aとc社長夫妻との交際状況原告aたちがβで働くようになってから1年後には、他のバングラ- 36 -デシュ人男性たちはいずれもβを退職したが、原告aのみは、c社長の下での仕事を続けた。原告aは、そのまじめな人柄や仕事ぶりからc社長に信頼されるようになり、技能の面でも、βの主要な取引先から高い評価を受けるようにまでなった。 平成2年初めころ、c社長が上記アパートを取り壊すことになったため、原告aは、武蔵野市γ所在のc社長の自宅の離れに移り、c社長の自宅で、c社長夫妻と共に食事もとるようになった。c社長夫妻は、子供がいないこともあって、原告aと家族同様の付き合いをするようになり、共に近所の銭湯に行ったり、京都や奈良を始めとする各地に一緒に旅行に行くなどしたほか、平成3年ころからは、原告aの浪費が目立つようになったため、その給料の管理までするようになった。 原告bの生立ちと生活状況原告bは、昭和○年○月○日、群馬県吾妻郡δで出生した。原告bの父は会社員として、母は美容師として、それぞれ働いており、両親の希望もあったことから、原告bは、将来は美容師になろうと考える。 、、、ようになったそして原告bは地元の高等学校の卒業後に上京し東京都中野区内にある理容美容専門学校に1年間通学した後、1年間のインターンを経て、平成4年12月に美容師の免許を取得した。 こうして、原告bは、東京都新宿区内にある美容院で働くようになった。 原告両名が出会ったころの原告両名の交際状況- 37 -平成5年9月ころ、東京都杉並区εに住んでいた原告bは、上記美、「」容院で美容師として働きながらεにあるコンビニエンスストアζでアルバイトをしていた。そのころ、同店近くの工事現場で働いていた原告aは、同店で弁当や飲料をしばしば購入し た原告bは、上記美、「」容院で美容師として働きながらεにあるコンビニエンスストアζでアルバイトをしていた。そのころ、同店近くの工事現場で働いていた原告aは、同店で弁当や飲料をしばしば購入していたため、原告bと顔見知りになり、互いに言葉を交わすようになった。間もなく原告bは同店でのアルバイトを辞めたが、原告aは、原告bを慰労するとして、原告bを食事に誘い、ηの居酒屋「θ」で共に飲食をした。 その後、原告両名は、仕事が終わってから電話で話をしたり、休日にはι公園、κ、λ等に出掛けるなどして、交際するようになった。 しかし、原告bの仕事の終わる時刻が遅かったため、原告両名は、週1回程度しか会うことができなかった。原告両名が会った際には、原告bが原告aの家を訪れることもあり、同年11月ころには、横浜でのデートの後に二人でc社長宅を訪れ、原告aが、c社長夫妻に、原告bを交際相手として紹介した。 平成6年の初めころ、原告bは、c社長から原告aの家の合い鍵を渡され、それ以後、原告aの家に自由に出入りするようになった。また、原告両名がc社長宅を訪れ、c夫妻と共に4人で食事をしたこともあった。 こうして、原告両名は親しく交際をするようになったが、上述のとおり、原告bの多忙が原因で、週1回程度しか会うことができなかったため、同年春ころ、原告bは、それまで勤めていた美容院を辞め、ηの美容院に勤務することになった。ηの美容院に移ってからは、原- 38 -、、、、告bは仕事が終わるとεにあった自宅にいったん帰りそれから原告aの家に行って、そこに泊まるという生活を送るようになった。 このころから、原告両名は、いずれは結婚をしたいと思うようになり、将来的には結婚をしようと話すようになった。しかし、原告aが原告bに不法滞在であることを打ち明けていな という生活を送るようになった。 このころから、原告両名は、いずれは結婚をしたいと思うようになり、将来的には結婚をしようと話すようになった。しかし、原告aが原告bに不法滞在であることを打ち明けていなかったこと、原告aが不法滞在者は日本人との結婚ができないと思い込んでいたこと、原告bが外国人である原告aとの結婚に両親が反対するであろうと考えていたことなどから、原告両名の結婚話は、一向に進展することなく、具体化しなかった。 このように、二人の結婚話は進展することがなかったが、二人の交際が続いていたため、c社長夫妻は、原告bとも家族同様に付き合うようになり、c社長夫妻が原告aと旅行に行く際には、原告bも同行するようになった。 原告bの帰郷とその後の原告両名の交際状況美容師である原告bの母は、群馬県内の自宅で美容院を経営しており、かねてから、その美容院を手伝うことを原告bに望んでいた。さらに、原告bの母は、原告bにあらかじめ説明することなく、原告bが帰郷して美容院を手伝うことを前提に、金融機関から資金を借り入れて、自宅兼美容院の改築を行った。このため、原告bは、平成7年に帰省した際に、両親から美容院の手伝いを懇願され、やむなく帰郷に同意した。 こうして、原告bは、母の経営する美容院で働くため、帰郷するこ- 39 -とになり、同年9月、原告aに、2年ほどで東京に戻る旨告げて、群馬県内の実家に戻った。 、、実家に戻った原告bは東京の友人宅に遊びに行く旨両親に告げて月に1、2回程度上京し、原告aの家に泊まるという生活を続けた。 また、毎年の正月には、1週間ほど原告aの家に泊まり、共に過ごした。さらに、原告両名及びc社長夫妻は、毎年の盆には軽井沢を訪れたほか、平成14年4月には、皆で沖縄へ旅行に行き、観光地をタクシーで訪れるなどした。 こ は、1週間ほど原告aの家に泊まり、共に過ごした。さらに、原告両名及びc社長夫妻は、毎年の盆には軽井沢を訪れたほか、平成14年4月には、皆で沖縄へ旅行に行き、観光地をタクシーで訪れるなどした。 このようにして、原告両名のいわゆる遠距離交際が続いたが、原告bは、前記借入金の返済の問題もあって、実家の手伝いをやめて東京に戻りたい旨を両親に切り出すことができず、また、両親から反対されると思われた原告aとの結婚の問題についても、打ち明けることが、。 、、、、できないまま7年近くが過ぎたこの間原告bは 6回ほど縁談を持ちかけられたことがあったが、これらの話をすべて断った。 原告aの逮捕とそのころの原告両名の交際状況原告aは、平成14年7月28日、東京都三鷹市内にあるμ公園において、付近で発生した公然わいせつ事件の犯人と服装や容貌が似ていたため、警視庁武蔵野警察署の警察官から職務質問を受けた。そして、職務質問の結果、不法残留の事実が発覚し、原告aは、出入国法違反(不法残留)の容疑により現行犯逮捕された。 逮捕の数日後、原告bは、c社長から原告aの逮捕の事実を知らされ、原告aが不法残留していたことを知った。原告bは、急きょ上京- 40 -し、原告aの勾留場所を訪ねて、原告aと面会した。面会の際に、原告bは、不法残留の外国人でも日本人との結婚が可能であることを身柄拘束中に知ったとする原告aから、結婚の申込みを受けたため、原告aと結婚したい旨を両親に伝えると原告aに言った。 こうして、実家に戻った原告bは、両親に、原告aと10年近く交際しており、結婚したいと思っていること、及び原告aが不法残留で逮捕されたことを伝えた。原告bから話を聞かされた両親は、非常に驚いた様子であったが、最終的には、原告aとの結婚を認めた。 その後、原告 際しており、結婚したいと思っていること、及び原告aが不法残留で逮捕されたことを伝えた。原告bから話を聞かされた両親は、非常に驚いた様子であったが、最終的には、原告aとの結婚を認めた。 その後、原告bは、再び原告aと面会し、両親から結婚を認めてもらった旨を伝えた。こうして、原告両名は、法律上の婚姻をすることを約束した。 原告両名の結納と婚姻手続の進捗状況、、原告aはc社長が原告aの刑事弁護のために依頼した弁護士から原告両名が結婚すれば原告aの在留資格が認められる可能性があることを聞かされ、原告b及びc社長夫妻に婚姻の手続を任せることにした。 これを受けて、c社長の妻が、婚姻の手続に必要な原告aの独身証明書等を入手するため、在日バングラデシュ大使館に赴いたが、原告a本人が出頭しなければ独身証明書等の発行には応じられないとの理由で、独身証明書等を入手することはできなかった。そこで、c社長の妻は、原告aの両親あてに、英語で、独身証明書等の入手を依頼する旨の手紙を書いて送付したが、独身証明書等は到着しなかった。 - 41 -こうして、婚姻の手続は全く進まないまま、原告aの公判の日を迎え、平成14年10月10日、原告aは、東京地方裁判所八王子支部、。 、において懲役2年8月執行猶予3年の刑の宣告を受けた原告aは判決宣告後直ちに収容令書を執行され、東京入管に収容された。原告aは、東京入管に収容されてから、バングラデシュの両親にあてて、2、3回、独身証明書等を早く送付してほしい旨の手紙を出した。しかし、独身証明書等は、なかなか到着しなかった。 同年10月14日、c社長の発案により、νホテルにおいて、原告両名の結納が行われた。結納には、原告b、原告bの両親、原告aの両親の代理としてのc社長夫妻の合計5人が出席し、c社長が結納金を立て替 同年10月14日、c社長の発案により、νホテルにおいて、原告両名の結納が行われた。結納には、原告b、原告bの両親、原告aの両親の代理としてのc社長夫妻の合計5人が出席し、c社長が結納金を立て替えて、b家側に渡した。 、、、。 翌15日原告bは婚姻届の提出のため武蔵野市役所に赴いたしかし、原告aの独身証明書等が添付されていなかっため、婚姻届は、、。 受領されずまた不受理証明書の発行も受けることができなかった 原告aの東京入管における審理と原告両名の婚姻平成14年10月10日に東京入管に収容された原告aは、同日、違反調査を受け、原告bと結婚を前提に交際しており、既に婚姻手続を進めているので、今後も日本に滞在したい旨述べた。その後、原告aは、同年10月15日及び同月21日に違反審査を受け、入国審査官に同様の説明をした。 同年11月1日、東京入管において、原告aのほか、代理人のd弁護士及び立会人の原告bが出席して、口頭審理が実施された。原告a- 42 -は、特別審理官に対し、婚姻届を提出したが独身証明書等が添付されていなかっため受領されなかったことなどを述べた。特別審理官は、同日、原告aが退去強制事由に該当するとの入国審査官の認定に誤り、。 、、がない旨判定しこれを原告aに告知したこれを受けて原告aは同日、法務大臣に異議の申出をした。 同年11月7日、原告aの独身証明書等の書面が到着した。原告bは、直ちにこれらの書面を添えて、原告aとの婚姻届を武蔵野市役所に提出し、受理照会の扱いで、婚姻届は受領された。 同日、同月6日付けの本件裁決が原告aに告知され、本件退令が執行されて、原告aは引き続き東京入管収容場に収容された。 、、同年12月7日受理照会となった上記婚姻届の受理決定が出され同年11月7日付けで婚姻届は受理さ 本件裁決が原告aに告知され、本件退令が執行されて、原告aは引き続き東京入管収容場に収容された。 、、同年12月7日受理照会となった上記婚姻届の受理決定が出され同年11月7日付けで婚姻届は受理されることとなった。これを受けて、同年12月10日付けで、原告aの代理人のe弁護士及びd弁護士は、法務大臣及び東京入管入国審査官あてに、原告aに在留特別許可を与えるか否かを再度審議してほしい旨の上申書を提出した。 原告aの仮放免に至る経緯平成15年1月14日、原告aは、東日本センターに移収された。 原告aは、同月16日に仮放免の申請をしたが、同年2月24日に不許可の通知がされた。 原告aは、同年3月13日、再度の仮放免の申請をしたが、同年4月15日、本件裁決を取り消す余地はない旨の本件通知がされ、同月21日付けで仮放免の不許可の決定を受けた。 - 43 -このころ、c社長は、原告aが住んでいた離れを柱だけを残して全、。 面的に建て替え新婚夫婦の新居にふさわしいような建物に改築したその後も、原告aは、同年7月14日、同年9月12日、同年11月17日と再三にわたり仮放免の申請を繰り返し、ついに平成16年5月26日、仮放免許可を受けて、出所した。 原告両名の現在の生活状況出所後、原告aは、上記のとおり改築されたc社長宅の離れに原告bと同居し、武蔵野国際交流協会の日本語教室に通って、日本語の勉強に励んでいる。また、原告bは、財団法人武蔵野市福祉公社のヘルパーとして働いている。 そして、平成16年10月23日には、νホテルにおいて、原告bの両親及び兄弟、c社長夫妻、原告bの友人等が出席して、原告両名の結婚披露宴が執り行われた。 二争点1(原告bの原告適格の有無)について 処分の取消訴訟の原告適格については、行政事件訴訟法9条1項が規 び兄弟、c社長夫妻、原告bの友人等が出席して、原告両名の結婚披露宴が執り行われた。 二争点1(原告bの原告適格の有無)について 処分の取消訴訟の原告適格については、行政事件訴訟法9条1項が規定しているところ、同項にいう「当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益も上記法律- 44 -上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第46号平成元年2月17日第二小法廷判決・民集43巻2号56頁、最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照。 )そして、行政事件訴訟法9条2項は「裁判所は、処分又は裁決の、相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されること 令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする」と定め、処分等の相手方以外の第三者。 の原告適格を基礎づける「法律上の利益」の有無を判断する際の考慮事項をも規定している。そこで、個々の事件において、原告適格の有無を検討するに当たっては、行政事件訴訟法9条2項に掲げられた上記各事項を十分に参酌、勘案して、原告の法律上保護された利益の存否を判断すべきことになる。 - 45 - 以上を前提に、出入国法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決の無効確認を求める訴えにおいて、この裁決の対象者の配偶者である者が原告適格を有するかについて検討すると、後述するように、在留特別許可を付与するか否かの判断は、法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられていると解するのが相当であり、法務大臣が出入国法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決をするに当たって、容疑者が日本人又は永住資格者等の配偶者であるか否かということは、主要な考慮要素の一つにはなり得るが、それを超えるものではないというべきである。また、出入国法2条の2、出入国法別表第2所定の「在留資格」の一つとして「日本人の配偶者等」が定、められているが、この在留資格とは、出入国法が、外国人の地位・身分に応じて、在留中、日本で行い得る活動と在留期間をあらかじめ定めておく制度を採用していることとの関係で必要な分類概念であって、当該外国人自身の立場に着目した規定であり、当該外国人の配偶者たる日本人の権利、利益を保護するための規定ではない上、上記裁決の関係条項でもな 制度を採用していることとの関係で必要な分類概念であって、当該外国人自身の立場に着目した規定であり、当該外国人の配偶者たる日本人の権利、利益を保護するための規定ではない上、上記裁決の関係条項でもないことは明らかである。そのほか、外国人の配偶者である日本人の婚姻関係上の権利、利益や介護上の利益等を保護すべきものとする趣旨を含むと解される出入国法の規定やこれと目的を同じくする関係法令の規定は存在せず、上記裁決の関係法令が上記婚姻関係上の権利、利益や介護上の利益を保護すべきものとする趣旨を含むと解すべき根拠はない。そうすると、その余の検討に進むまでもなく、出入国法が在留特別許可又は上記理由がない旨の裁決との関係- 46 -において、外国人の配偶者である日本人の有する本邦において当該外国人と同居し婚姻生活を営む権利、利益や、扶養ないし介護上の利益等を具体的に保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできない。 したがって、行政事件訴訟法9条2項を参酌、勘案しても、外国人の配偶者である日本人が、婚姻生活の維持や同居の必要性等を主張して出入国法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決の無、。 効確認を求める訴えにつき原告適格を有するということはできない、、、、、、 この点につき原告bは個人の婚姻関係はB規約憲法民法出入国法その他の諸法において保護されている旨主張する。 確かに、婚姻関係が人間社会の基盤の一つであって、一般に尊重されるべきものであり、B規約、憲法及び民法において、これを保護す、。 、る趣旨の規定があることは原告bの主張するとおりであるしかし我が国に在留する外国人は、法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ憲法に規定される基本的人権の保障が及ぶにすぎないところ(最高裁昭和50年(行ツ)第 あることは原告bの主張するとおりであるしかし我が国に在留する外国人は、法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ憲法に規定される基本的人権の保障が及ぶにすぎないところ(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁、最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照、前)記のとおり、本件裁決の関係法条は、婚姻関係上の権利、利益を保護する趣旨を含むと解することはできないのである。 さらに、外国人を自国内に受け入れるか否か、また受け入れた場合にいかなる条件を付するかは、国際慣習法上、当該国家が自由にこれ- 47 -を決することができるのが原則であるところ、B規約においても、この原則を排斥する旨の規定が存しない上、B規約13条1項が、外国人に対して法律に基づく退去強制手続を容認していることも考え合わせると、B規約は、この国際慣習法上の原則を前提としているものと解すべきであり、これを基本的に変更するものと解することはできない。したがって、B規約は、在留の許否を決定する前記国家の裁量を拘束するものではないと解すべきである。そうすると、出入国法の規定が前記のようなものである以上、これを超えて、B規約が、外国人の配偶者の婚姻関係上の権利、利益を保護しているということはできない。 原告bは、原告aについて、本件裁決ではなく、在留特別許可がされていれば、本邦において原告aと同居して婚姻生活を営むことができるわけであるが、既に述べてきたとおり、当該処分との関係においては、このような原告bの利益を原告b個人の権利、利益として保護すべきものと解する法条はないのであるから、このような利益は、原告aが在留特別許可を付与されたことによる反射的な利益というほかない。 以上 、このような原告bの利益を原告b個人の権利、利益として保護すべきものと解する法条はないのであるから、このような利益は、原告aが在留特別許可を付与されたことによる反射的な利益というほかない。 以上のとおり、この点に関する原告bの主張は、いずれも採用することができない。 以上によると、原告bは、本件裁決の無効確認を求める訴えの原告適格を有しないから、本件訴えのうち、原告bの提起した部分は不適法であるといわざるを得ない。 - 48 -三争点2(本件裁決についての重大かつ明白な違法の有無)について まず、被告東京入管局長の裁量権について検討する。 (一)憲法22条1項は、日本国内における居住・移転の自由を保障するにとどまっており、憲法は、外国人の日本へ入国する権利や在留する権利等について何ら規定しておらず、日本への入国又は在留。 、を許容すべきことを義務付けている条項は存在しないこのことは、、国際慣習法上国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく特別な条約がない限り、外国人を受け入れるかどうか、受け入れる場合にいかなる条件を付するかについては、当該国家が自由に決定することができるとされていることと考えを同じくするものと解される。したがって、憲法上、外国人は、日本に入国する自由が保障されていないことはもとより、在留する権利ないし引き続き在留することを要求する権利を保障されているということはできない。このように外国人の入国及び在留の許否は国家が自由に決定することができるのであるから、我が国に在留する外国人は、出入国法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ憲法に規定される基本的人権の保障が与えられているものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和53年判決、前掲最高裁昭和32年判決参照。 )、、、(二)出入国法2 人在留制度の枠内においてのみ憲法に規定される基本的人権の保障が与えられているものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和53年判決、前掲最高裁昭和32年判決参照。 )、、、(二)出入国法2条の27条等は憲法の上記の趣旨を前提として外国人に対し原則として一定の期間を限り特定の資格により我が国への上陸、在留を許すものとしている。したがって、上陸を許された外国人は、その在留期間が経過した場合は当然我が国から退去し- 49 -なければならないことになる。そして、出入国法21条は、当該外国人が在留期間の更新を申請することができることとしているが、この申請に対しては法務大臣が「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」ものと定められている。これらによると、出入国法において。 も、在留期間の更新が当該外国人の権利として保障されていないことは明らかであり、被告東京入管局長は、更新事由の有無の判断につき広範な裁量権を有するというべきである(前掲昭和53年最高裁判決参照。 )(三)また、出入国法50条1項3号は、49条1項所定の異議の申出を受理したときにおける同条3項所定の裁決に当たって、異議の申出が理由がないと認める場合でも、法務大臣は在留を特別に許可することができるとし、出入国法50条3項は、上記の許可をもって異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす旨定めている。 しかし、①前記のように外国人には我が国における在留を要求する権利が当然にあるわけではないこと、②出入国法50条1項柱書及び同項3号は「特別に在留を許可すべき事情があると認めると、」、きに在留を特別に許可することができると規定するだけであってこの在留特別許可の判断の要件、基準等については何ら定められていないこと、③出入 は「特別に在留を許可すべき事情があると認めると、」、きに在留を特別に許可することができると規定するだけであってこの在留特別許可の判断の要件、基準等については何ら定められていないこと、③出入国法には、そのほか、上記在留特別許可の許否の判断に当たって考慮しなければならない事項の定めなど上記の判断を覊束するような規定は何も存在しないこと、④在留特別許可の- 50 -判断の対象となる者は、在留期間更新の場合のように適法に在留している外国人とは異なり、既に出入国法24条各号の規定する退去強制事由に該当し、本来的には退去強制の対象となる外国人であること、⑤外国人の出入国管理は、国内の治安と善良な風俗の維持、保健・衛生の確保、外交関係の安定、労働市場の安定等、種々の国益の保持を目的として行われるものであって、このような国益の保持の判断については、広く情報を収集し、時宜に応じた専門的・政策的考慮を行うことが必要であり、時には高度な政治的判断を要することもあり、特に、既に退去強制されるべき地位にある者に対してされる在留特別許可の許否の判断に当たっては、このような考慮が必要であることを総合勘案すると、上記在留特別許可を付与するか否かの判断は、法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられていると解すべきである。そして、その裁量権の範囲は、在留期間更新許可の場合よりも更に広範であると解するのが相当である。したがって、これらの点からすれば、在留特別許可を付与するか否かについての法務大臣の判断が違法とされるのは、その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した場合に限られるというべきである。 そして、以上のことは、法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長についても同 く妥当性を欠くことが明らかであるなど、法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した場合に限られるというべきである。 そして、以上のことは、法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長についても同様に当てはまるところというべきである。 そこで、以上の判断の枠組みに従って、原告aに在留特別許可を付- 51 -与しないとした被告東京入管局長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるといえるか否かについて検討する。 (一)前記前提事実及び認定事実によると、原告aは、在留期限である昭和63年2月29日を超えて本邦に不法に残留し、東京地方裁判所八王子支部において、懲役2年8月、執行猶予3年の判決の宣告を受け、その後、同判決は確定しており、出入国法24条4号ロに該当すること、原告aは、当初から不法就労の目的を有していたにもかかわらず、これを秘して入国したこと、本件裁決まで、14年間余りの長期間にわたり、出入国法及び外国人登録法に違反して不法残留を続けていたこと、その間、不法就労を継続していたことが認められる。 そうすると、原告aは、出入国法及び外国人登録法違反以外の犯罪を犯しておらず、むしろ、c社長夫妻を始めとする周囲の者たちからは高く評価されていることを考慮しても、この間の本邦における在留状況は不良というほかなく、かつ、このような入国経緯及び不法残留・不法就労の期間が極めて長期に及んでいることは、我が国の出入国管理行政の適正を著しく害するものといわざるを得ない。 (二)これに対し、原告aは、二人は10年近い交際期間を経て真正に婚姻したのであるから、在留特別許可を付与しなかった本件裁決は、前提となる事実を誤っているか、又は被告東京入管局長の裁量権を逸脱する違法な処分である旨主張する。 - 52 -確かに前記認定事実によれば、本件裁決の時点に 在留特別許可を付与しなかった本件裁決は、前提となる事実を誤っているか、又は被告東京入管局長の裁量権を逸脱する違法な処分である旨主張する。 - 52 -確かに前記認定事実によれば、本件裁決の時点において、原告両名は婚姻の意思を固めて、婚姻の手続を進めており、本件裁決後ではあるが現に原告両名の婚姻届が受理されていることが認められる。そして、既に認定した事実経過や原告a及び原告b各本人尋問の結果に照らすと、原告両名の婚姻は真正なものであり、原告両名は、長い交際期間を経た上、婚姻前も、婚姻後も、深い愛情によっ。 、、て結ばれている関係にあったということができるまた本件では本件裁決の日付けが原告両名の婚姻の届出及び受理の日の前日であ(、。)、って原告aに通知されたのは届出及び受理の日の当日である異議申立ての後本件裁決までの期間がわずか5日であることからすると、原告aの異議申立てにつき、もう少し慎重な審理が行われていれば、これに対する裁決前に、原告両名の婚姻の届出及び受理がされていたということもできる。さらに、前記認定事実によると、本件裁決に至る原告aに対する退去強制手続における取調べ、口頭、、、審理等の際に原告aは原告bと10年もの長期間交際しており結婚する予定であって、そのための手続を進めていること、そのため日本に滞在したいことを述べており、原告bもこれを希望していることを原告東京入管局長は了知していたと認めることができる。 さらに、これに加えて、前記認定事実によると、原告aは、仮放免後、原告bの両親や原告aのいわば親代わりのようになって原告aの面倒を見ているc夫妻に祝福されて結婚式を挙げ、c夫妻が原告両名のために改築して用意してくれていた離れの家に原告bと同居- 53 -して、夫婦としての生活を送っていること、今後 うになって原告aの面倒を見ているc夫妻に祝福されて結婚式を挙げ、c夫妻が原告両名のために改築して用意してくれていた離れの家に原告bと同居- 53 -して、夫婦としての生活を送っていること、今後ともc夫妻が原告両名を支えていく予定であること、原告bは、長年の恋愛関係がようやく実り、今般、原告aと末長く夫婦として暮らしていく決意であることを認めることができる。これらの点に、原告aの我が国における行状等を加えて総合勘案すると、少なくとも現時点においては、原告aに対して在留特別許可を与えるのが相当であるという考え方も十分成り立つところと考えられる。 (三)しかし、他方、前述したところからすれば、不法残留をしていた外国人が出入国法49条3項に基づく法務大臣等の裁決の時点において、日本人と婚姻していたのか、あるいは婚姻の手続を進めていたのかなどといった事実は、在留特別許可を付与するか否かの判断に当たって、当該外国人と我が国との結び付き、我が国における生活の安定及び滞在の継続の見込み、当該外国人自身にとっての便益等を検討する上での重要な検討資料ではあるが、最終的な判断をする上では、主要な事情の一つではあるものの、それが一定の要件ないし基準に類した重みのあるものとまではいえず、考慮要素の一つにすぎないというべきである。そして、このことは、本件の場合も同様である。しかも、本件では、異議申立て及び本件裁決の時点では、婚姻の受理はされていなかった上、原告bが帰郷した平成7年9月以降、原告両名は、盆や正月を除いては、1か月に1、2回程度泊まりに行くのみであって、原告aが仮放免の許可を受けて出所するまで、同居したことはないのである。また、既に認定した事- 54 -実経過に照らすと、原告両名が婚姻届を提出するに至った経緯についても、原告aが出入国 あって、原告aが仮放免の許可を受けて出所するまで、同居したことはないのである。また、既に認定した事- 54 -実経過に照らすと、原告両名が婚姻届を提出するに至った経緯についても、原告aが出入国法違反(不法残留)容疑で現行犯逮捕された時点で、原告aがバングラデシュに強制送還されることをおそれて、急いで届出をしたものといわざるを得ない。そのほか、前記認定に係る原告両名の交際の経緯、交際状況等を考え合わせると、原告両名の関係が、本件裁決当時、安定的に相当期間、継続していたものであって、特に重視すべきものであるということが明らかになっていて、被告東京入管局長も、そのように判断するのが妥当であったということはできない。 さらに、在留資格を有して在留している者ではない外国人の在留の継続は違法状態の継続にほかならないのであるから、それが長期間平穏に継続されたからといって直ちに法的保護を受け得る筋合いのものではない。そうすると、原告両名が知り合ったのは、原告aが不法残留状態になった後のことであるから、このような違法状態の上に築かれた原告両名の関係は、通常の男女の関係と比べれば、やはり重視すべき程度には違いがあるといわざるを得ない。 また、前記認定事実に照らすと、せっかく結婚して同居することができるようになった原告両名としては、このまま、現在のような日本での同居の継続を望むのは当然であり、原告aが本国に送還されれば、原告bが同伴することには、それなりの困難があることが認められ、もし同伴することができないときは、原告bとしては、非常に辛い立場になるものと考えられる。しかし、原告bが原告a- 55 -と共にバングラデシュに行くことも、全く不可能というわけではない上、そもそも、原告bが原告aと親しくなった当時も、婚姻の当時も、原告aには、在留資格 考えられる。しかし、原告bが原告a- 55 -と共にバングラデシュに行くことも、全く不可能というわけではない上、そもそも、原告bが原告aと親しくなった当時も、婚姻の当時も、原告aには、在留資格がなかったのであるから、このような困難や辛さのみを強調することはできない。 (四)以上によると、前記のとおり、在留特別許可を付与するか否かについて被告東京入管局長に与えられた裁量権が極めて広範なものであることを前提に、原告aの入国の経緯が不良であることを考え合わせると、原告両名の交際状況や原告aが周囲の者たちから高く評価されていること、原告bの心情に同情すべき点があること等を総合考慮しても、本件裁決の時点においては、原告aに在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、その判断が全くの事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した場合に当たることが明らかであったということはできない。そのほか、原告aに在留特別許可を付与しなかったことが、裁量権の逸脱又は濫用に当たることが明らかであったと認めるに足りる証拠はない。 3(一)原告aは、在留特別許可を付与するか否かの決定に当たって、当該外国人が、日本人と真正に婚姻している場合には、在留特別許可を付与すべきでないという特段の事情がない限り、在留特別許可が付与されるのが相当であり、現在の実務の運用であるなどとも主張する。 しかし、前記のように在留特別許可に関する被告東京入管局長の- 56 -裁量権は極めて広範なものであり、本件裁決については、既に判示したとおり、本件裁決の時点においては、裁量権の逸脱又は濫用の場合に該当することが明らかであったと認めることはできない。そ、、うすると仮に本件裁決に実務の運用に反する点があったとしても本件裁決 したとおり、本件裁決の時点においては、裁量権の逸脱又は濫用の場合に該当することが明らかであったと認めることはできない。そ、、うすると仮に本件裁決に実務の運用に反する点があったとしても本件裁決の無効確認を求める請求の成否に影響するものではないというべきである。したがって、上記主張は、採用することができない。 (二)加えて、原告aは、東京入管における原告aの口頭審理において担当の特別審理官が十分に原告両名の言い分を聴取しなかったなど手続の不備を主張する。 しかしながら、本件の口頭審理には、原告bのみならず代理人であるd弁護士までも立ち会っており、原告両名やd弁護士が担当の特別審理官による審理期日の指定や審理指揮について異議を述べた形跡は何らうかがわれない。また、前記認定事実に照らすと、原告両名やd弁護士が資料や言い分を補充したいと考えたのであれば、本件裁決までの間に書面等を提出することも十分に可能であったということができるが、そのような書面等が提出された事実はうかがわれない。さらに、前記認定事実に照らしても、本件の口頭審理の当時、婚姻届に添付する原告aの独身証明書を入手することができるのか、あるいはできるとしていつ入手し得るのかなどの点は、全く不明であったといわざるを得ず、これらの点が明らかであったと認めるに足りる証拠はない。そうすると、原告両名の婚姻の成立ま- 57 -で口頭審理の終結を待たなければならないとすることは、到底困難である。 したがって、原告aの口頭審理を担当した特別審理官の審理指揮等には、違法はないというべきである。 以上によれば、本件裁決は、出入国法の規定に従ってされたものであって、適法というべきである。 四争点3(本件通知の処分性の有無)について 原告aは、本件裁決後に、在留特別許可の付与につき再 以上によれば、本件裁決は、出入国法の規定に従ってされたものであって、適法というべきである。 四争点3(本件通知の処分性の有無)について 原告aは、本件裁決後に、在留特別許可の付与につき再度の審査をしてほしい旨の上申書を提出したのに対し、入国管理局が、本件裁決を取り消す余地はない旨通知したことをもって、被告東京入管局長により再審不開始決定なる行政処分がされたとして、その取消しを求めている。 しかしながら、出入国法50条1項の文言から明らかなように、在留特別許可は、出入国法24条により退去強制されるべき者に対する法務大臣等の例外的な恩恵的措置であり、出入国法24条に該当する外国人には自己を在留させるべきことを法務大臣等に求める権利はな、、いのであるから法務大臣等が在留特別許可を与えなかったとしても何ら当該外国人の権利ないし法律上の利益を害するものということはできない。 さらに、出入国法には、法務大臣等の裁決後の事情変更等を理由に再審査の申請を認める規定はない。また、退去強制令書の発付を受けた外国人は直ちに本邦外に送還されることが予定されているのである- 58 -から、そもそも、出入国法は、そのような再審査の手続を予定していないというべきである。したがって、在留特別許可の付与につき再度の審査を求める申請なるものは、単なる情願、すなわち、法務大臣等に職権発動を促す上申にすぎず、外国人は、法務大臣等に対し、その情願に対する決定等の応答を求める権利を有するということはできない。 そうすると、本件において、原告aの前記上申書の提出に対してされた、本件裁決を取り消す余地はない旨の通知は、全くの事実上のものであって、何らかの決定を通知したものではなく、原告aの権利ないし法律上の利益に影響を及ぼすものではないといわざるを得ない。 対してされた、本件裁決を取り消す余地はない旨の通知は、全くの事実上のものであって、何らかの決定を通知したものではなく、原告aの権利ないし法律上の利益に影響を及ぼすものではないといわざるを得ない。 したがって、当該通知は、抗告訴訟の対象たる行政処分に当たらないというべきである。 3(一)これに対し、原告aは、①法務省入国管理局制定の「違反審判要領」には、在留特別許可の許否についての再検討に関する定めがあること、②裁決後、新たな事情により在留を特別に許可すべき事情が認められる場合には、法の支配等の観念から、再審開始決定をしなければならないこと、③異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた者がした再審申請について、これを不許可とする処分は、当該外国人に対する公権力の行使として行われるものであること、④仮に、再審不開始決定が、再審を受けるという手続的利益を侵害する決定にすぎないとしても、手続的法益を侵害する行政行為も抗告訴訟の対象となること、⑤再審が開始されれば、在留特別許可の事- 59 -由や異議事由の有無が審査の対象とされるのであるから、再審不開始決定は、原告aの権利ないし法律上の利益に影響があること、⑥行政が、法律ないしその内部基準に基づき、組織として、対象とされる者に対し、その者の重要な利益についての最終的な行為を行った場合には、その行為は処分性を有すると解すべきであることなどを主張して、本件裁決を取り消す余地はない旨の通知は処分性を有する旨主張する。 (二)しかしながら、法務省入国管理局の内規に在留特別許可の許否についての再検討に関する定めがあるという点については、これはいわゆる処分の自庁取消しに関する取扱いを定めたものと解するのが相当であり、そのことから、在留特別許可を受けられなかった外国人に法務大臣等に対して再審査を 関する定めがあるという点については、これはいわゆる処分の自庁取消しに関する取扱いを定めたものと解するのが相当であり、そのことから、在留特別許可を受けられなかった外国人に法務大臣等に対して再審査を求める法律上の権利があると解することはできない。当該外国人が再審査を求める法律上の権利を有するというためには、再審査を求めることができる旨の規定が法令上に存在することが必要である。したがって、原告aの上記①の主張は、失当というべきである。 また、前述のとおり、退去強制令書の発付を受けた外国人は直ち、、に本邦外に送還されることが予定されているのであるから裁決後新たな事情により在留を特別に許可すべき事情が認められるような場合は、そもそも現行法が予定していない場合というべきである。 さらに、抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分」とは、行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、その行為によ- 60 -り直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうところ(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照、前述のとおり、再審査を求める上申に対してされた通)知は、その者の権利ないし法律上の利益に影響を及ぼすものではないから、当該通知が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分」に当たるということはできない。 その他にも、原告aは、本件通知の処分性の有無についてるる主張するが、上述のとおり、出入国法上、再審査の手続に関する規定は設けられておらず、外国人は法務大臣等に対して再審査の上申に対する応答を求める権利を有するものではないことにかんがみると、手続的利益の保障等も認めることができず、いずれも失当とい。 、、、、うべきであるなお行政機関が法律 対して再審査の上申に対する応答を求める権利を有するものではないことにかんがみると、手続的利益の保障等も認めることができず、いずれも失当とい。 、、、、うべきであるなお行政機関が法律等に基づき対象者に対しその者の重要な利益についての最終的な行為を行った場合には、その行為は処分性を有すると解すべきであるとする主張については、原告aは特段その根拠を示しておらず、原告aの主張は独自の見解に立つものであって、採用することができないというべきである。 以上によれば、本件通知は、抗告訴訟の対象たる行政処分に当たら、。 ないからその取消しを求める訴えは不適法であるというべきである五争点4(丙事件に係る訴えの適否)について 前述のとおり、在留特別許可は、出入国法24条により退去強制されるべき者に対する法務大臣の例外的な恩恵的措置であり、出入国法- 61 -24条に該当する外国人には自己を在留させることを法務大臣等に求める権利はないというべきであるから、在留特別許可を求める上申ないし申請は、行政事件訴訟法3条6項2号にいう「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求」には当たらないと解される。したがって、在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求める訴えは、同法3条6項1号に規定された、いわゆる非申請型の義務付けの訴えであると解するのが相当である。 このような非申請型の義務付けの訴えについては、行政事件訴訟法37条の2第1項において「その損害を避けるため他に適当な方法、がないときに限り、提起することができる」とされており、いわゆる救済の必要性が訴訟要件として定められている。 そこで、この点について検討すると、法務大臣等が在留特別許可をすべきであるにかかわらず、これがされないとして在留特別許 とができる」とされており、いわゆる救済の必要性が訴訟要件として定められている。 そこで、この点について検討すると、法務大臣等が在留特別許可をすべきであるにかかわらず、これがされないとして在留特別許可の付与を求める義務付けの訴えは、一見すると、在留特別許可がされることなく、出入国法49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決がされたことに裁量権の逸脱、濫用が認められるか否かを争点とするものであって、同裁決又はこれを前提とする退去強制令書発付処分についての取消訴訟等を提起して、これに勝訴すれば、その目的を達することができると考えられなくもない。 しかしながら、同裁決がされた時点において、法務大臣等が在留特別許可をすべきであるという事情が存在していた場合には、同裁決又は退去強制令書発付処分についての取消訴訟等を提起してこれに勝訴- 62 -すれば、本邦に在留するという目的を達することが可能といえるが、同裁決がされた時点では、在留特別許可をすべきであるという事情がいまだ存在せず、その後の事情変更により当該事情が生じたという場合には、同裁決又は退去強制令書発付処分についての取消訴訟等を提起しても、勝訴することができないのであるから、このような場合には、上記取消訴訟等の提起によって目的を達することができないことは明らかである。 そして、本件において、原告aは、本件裁決後に原告両名の婚姻が成立したことを考慮に入れて、在留特別許可の付与の当否について再度の審理を行った上で、在留特別許可を与えるべきである旨主張して、、、いるのであるからかかる主張を前提とすれば丙事件に係る訴えは被告国の主張するような、同裁決又は退去強制令書発付処分についての取消訴訟等を提起してこれに勝訴すれば、目的を達することが可能な類型の訴えには当たらないというべきである 提とすれば丙事件に係る訴えは被告国の主張するような、同裁決又は退去強制令書発付処分についての取消訴訟等を提起してこれに勝訴すれば、目的を達することが可能な類型の訴えには当たらないというべきである。 したがって、丙事件に係る訴えについては、いわゆる救済の必要性の要件が存在すると認めることができる。 さらに、行政事件訴訟法37条の2第1項は「一定の処分がされ、ないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があることを、非申請型の義務付けの訴えの訴訟要件として定めている。 そこで、本件についてこの点を見ると、前記認定事実のとおり、原告aは、出入国法24条4号ロに該当する者であり、本国に送還された場合には、退去後5年間は本邦に上陸することが許されないのであ- 63 -って(出入国法5条9号参照、このことは、原告両名が現に婚姻し)ていることにかんがみると、原告aにとって重大な損害に当たるものと認めるのが相当である。 そうすると、丙事件に係る訴えは、行政事件訴訟法37条の2第1項所定の訴訟要件をいずれも満たしているというべきである。 六争点5(原告aに在留特別許可を付与すべき旨を命ずることの可否)について上記のとおり、丙事件に係る訴えは、非申請型の義務付けの訴えと解すべきであるところ、行政事件訴訟法37条の2第5項は、非申請型の義務付けの訴えの本案要件について「その義務付けの訴えに係る処分、につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする」と定めている。 そこで、本件についてこの点を見ると、既に判示したとおり、在留特別許可について定め 若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする」と定めている。 そこで、本件についてこの点を見ると、既に判示したとおり、在留特別許可について定める出入国法50条1項は、在留特別許可の要件や基準等について何ら規定しておらず、在留特別許可を付与するか否かの判断は、法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられていると解されるから、原告aについて在留特別許可を与えるべきことが、法令の規定から明らかであると認めることができないことは、論をまたないというべきである。 - 64 -次に、原告aについて在留特別許可を与えないことが裁量権の逸脱又は濫用になると認められるか否かについて見ると、本件裁決の適否について検討した際に考慮した前記の諸点に加えて、本件裁決後の諸事実、殊に、原告両名が婚姻し、原告aの仮放免後は、原告両名は同居して、平穏な生活を送っており、c夫妻もこれを支援していること等を総合勘案すると、前示のとおり、現時点においては、原告aに在留特別許可を与えるのが相当であるという考え方も十分成り立ち得るところと考えられる。しかしながら、前述したとおり、在留特別許可を付与するか否かの判断が法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられていることにかんがみると、このように行政庁の判断における裁量の幅が極めて広い処分につき、行政庁の処分を待つまでもなく、原告aについて在留特別許可を与えないことが、その判断が全くの事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、被告東京入管局長の裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるものであるとまで断定することは、既に認定判断した事実関係の下においては、できないといわざるを得ない。 そうすると、丙事件に係る訴えが行政事件訴訟法37条の2第5項の要 を超え若しくはその濫用となるものであるとまで断定することは、既に認定判断した事実関係の下においては、できないといわざるを得ない。 そうすると、丙事件に係る訴えが行政事件訴訟法37条の2第5項の要件を満たすとはいえないから、丙事件に係る原告aの請求は、理由がないというべきである。 七文書提出命令について原告aは、①原告aについて、担当の特別審理官が作成した異議申出書類送付書ないしはそれに代わる書面、②原告aについて、東日本セン- 65 -ターの職員が作成した、再審申請(再審情願)について、これを決裁者に送付する際に作成した送付書等の書類及び決裁書又はそれらに代わる書面、③平成14年11月6日以降において有効な東京入管が準拠する違反審判規定等退去強制手続についての規定一切について、文書提出命令を申し立てている。 しかし、本件訴訟において提出された全証拠によって、本件裁決に違法がないことその他の本件争点について判断することが十分に可能であり、本件裁決が違法でないこと、丙事件に係る訴えに理由がないこと、及びその余の原告両名の請求に係る訴えがいずれも不適法であることを認めることができる。原告aが提出を求める上記文書は、本件争点の結論に特段の影響を及ぼすものではないというべきである。 したがって、原告aの文書提出命令の申立ては、いずれも必要性を欠くものとして却下する。 第四 結論 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告aの訴えのうち再審不開始処分の取消請求に係る部分及び原告bの訴えは、いずれも不適法であるからこれらを却下し、原告aのその余の請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事 のその余の請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部- 66 -裁判長裁判官菅野博之裁判官市原義孝裁判官近道暁郎

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