主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文同旨第2事案の概要等 事案の概要(1)被控訴人は控訴人に対し処分行政庁である久留米税務署長以下処,,(「分行政庁」という)が平成16年2月19日付けでした被控訴人の平成1。 4年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分には,分離長期譲渡所得のうち3億1916万6095円について,所得税法64条2項の適用を否定した違法があると主張して,その取消しを求めた。 (2)原判決は被控訴人の請求を認容したことから,控訴人がこれを不服として控訴した。 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 (1)当事者アP1信用組合(以下「P1」という)は,昭和28年に福岡県内に居。 住する在日の朝鮮半島出身者の経営する中小企業の経営安定と生活向上を図るために設立された金融機関であって,福岡県内に5店舗を開設して,上記企業に対する金融事業を行っていた。 イ被控訴人の父であるP2ことP3は,在日の朝鮮半島出身者であり,福岡県久留米市に本店を置き遊技場を営業する株式会社P4(以下「P4」 という)の代表者として,同県内に広くP5グループを展開していた。 。 同人は,また,かねてからP1の有力な組合員であって,上得意先であった。 ,,ウP6ことP7は暴力団P8理事長の地位にある暴力団幹部であったが在日の朝鮮半島出身者であって,かねてP3と親交があり,P1の組合員でもあった。 (甲2,4,8,16,18,乙23,証人P9)(2)平成元年7月20日の借入れアP1本店に対し,平成元 ったが在日の朝鮮半島出身者であって,かねてP3と親交があり,P1の組合員でもあった。 (甲2,4,8,16,18,乙23,証人P9)(2)平成元年7月20日の借入れアP1本店に対し,平成元年7月14日付けで,P3の署名押印のある借入申込書(ただし,P3が自署したこと及び名下の印影がP3の印章によることについては争いがある)が提出され,手形割引で運転資金3億円。 を借り受けたい旨の借入申込みがされた(以下,これを「第1借入れ」という。この際,振替指定口座として指定されていたのは,P3名義の。)普通預金口座であった。 ,,(「」。)イP1は同月20日振出人がP10株式会社以下P10というであり,第一裏書人がP3である額面1億円の約束手形3通(ただし,P3の自署であることについては争いがある。いずれも振出日が同月14日,,。 で支払期日が平成2年1月20日同月25日及び同月31日であった以下「本件各手形」という)を割り引いて,P1のP3名義の別段預金。 口座に,割引料1373万6300円を差し引いた残額2億8626万3700円を入金し,第1借入れを実行した。同日,上記2億8626万3700円は,上記別段預金口座から出金されP1のP10の普通預金口座に入金され,その後出金された。 ,,,ウ本件各手形は上記各支払期日に支払われず平成5年12月までの間支払期日のたびに手形の書換えがなされ,その都度,割引料が,P6,P11(P6の実兄)及びP10のP1の預金口座等から出金され,P3。 名義で支払われた。 (甲2,乙4,5の1ないし4,6の1ないし3,27,39,証人P9)(3)平成5年12月7日の借入れアP3は,平成5年12月1日,P1に対し,自らを債務者とし,長男である被控訴人を連帯保証人とし,支 乙4,5の1ないし4,6の1ないし3,27,39,証人P9)(3)平成5年12月7日の借入れアP3は,平成5年12月1日,P1に対し,自らを債務者とし,長男である被控訴人を連帯保証人とし,支払期日を平成7年12月1日として,手形貸付けによる運転資金3億円の借入れを申し込んだ以下これを第(,「2借入れ」という。この際,振替指定口座として指定されていたのは,。)P3名義の普通預金口座であった。 イ第2借入れは,同月7日,手形貸付けにより実行されて,P1のP3名義の別段預金口座に3億円が入金され,同日,P1に対し,約定利息209万5890円が支払われた。第2借入れの実行後,上記(2)ウのとおり書き換えられていた手形(以下,これらを「旧手形」という)が回収さ。 れた。 ウP3は,同日付けでP1との間で,第2借入れに関し,自らを債務者とし,P4の子会社であるP12株式会社(代表者は被控訴人であって,P3も取締役であった。以下「P12」という)及び被控訴人を連帯保証。 人とする信用組合取引約定を締結した。そして,P12及び被控訴人は,P1に対し,上記信用組合取引約定に係るP3の債務を連帯保証(包括根保証)する旨の同日付け保証約定書を,P6は,P1に対し,上記債務を被保証債務とする保証約定書を,それぞれ差し入れた。 さらに,第2借入れの実行に当たっては,P1から不動産担保の提供が求められたため,P12所有の北九州市α所在の土地に設定されていた,債権者をP1とする極度額1億円の根抵当権について,実行日の前日である同月6日付けで債務者をP12からP3に変更する旨の登記手続を行い,担保に供した。 (甲2,乙7ないし15,39) (4)借入金の弁済アP1は,平成11年5月14日,経営の悪化から預金の払戻しが停止するおそれがある 2からP3に変更する旨の登記手続を行い,担保に供した。 (甲2,乙7ないし15,39) (4)借入金の弁済アP1は,平成11年5月14日,経営の悪化から預金の払戻しが停止するおそれがあるとして,福岡県知事に対し,金融再生法68条1項に基づく申出を行い,平成12年12月16日には,金融再生委員会から,金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づき,金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分を受けた。 イP3は,平成13年3月9日,P1の金融整理管財人との間で,借入金元金3億円と遅延日より年1.625パーセントの割合による利息を支払うこと,これによりP3を借主とした平成元年7月20日付け3億円の金銭消費貸借契約に関して,P3とP1との間において,何ら債務がないこ(「」。)とを確認することを主な内容とする合意書以下本件合意書というを作成した。 ウP3は,平成13年3月9日,P4から3億2000万円の支払を受け(。 ,「」。),経理処理上は借入れとされている以下これを第3借入れというこれによりP1に対し借入金3億円に書換え利息486万1643円及び期後利息1430万4452円を加えた合計3億1916万6095円を支払った(以下,これを「本件弁済」という。 。)(甲8,16,乙16ないし22)(5)P3の死亡と被控訴人の相続及びP4への土地譲渡等アP3は,平成▲年▲月▲日に死亡した。 イ被控訴人を含むP3の相続人は,平成14年3月24日,遺産分割協議により,被控訴人が,福岡市β×番の土地(以下「本件土地」という)。 等を相続し,併せて第3借入れを含むP3のP4からの借入金債務合計24億8891万5000円を相続することを合意した。 ウ被控訴人は,同年10月31日,P4との間で,被控訴人 本件土地」という)。 等を相続し,併せて第3借入れを含むP3のP4からの借入金債務合計24億8891万5000円を相続することを合意した。 ウ被控訴人は,同年10月31日,P4との間で,被控訴人所有の本件土地を11億1561万1000円で譲渡する旨の売買契約を締結した(以 下「本件譲渡」という。本件譲渡に係る被控訴人のP4に対する代金。)債権は,被控訴人が相続した第3借入れに基づく3億2000万円及び被控訴人の同社に対するほかの債務7億9561万1000円の合計額11億1561万1000円と相殺することにより清算した。 (甲13,15,乙24ないし26,42)(6)P6に対する求償金請求訴訟これより先,被控訴人を含むP3の相続人ら5名は,平成13年9月28日,福岡地方裁判所に対し,P6を被告として求償金合計2億9999万9997円及び遅延損害金の支払を求める訴訟平成×年(ワ)第×号以下別(。 「件求償金請求訴訟」という)を提起した。 。 同裁判所は,同年12月7日,上記事件について,P6に対し上記請求どおりの支払を命じる判決を言い渡し,同判決は平成14年1月7日までに確定したが,その後もP6は上記求償金を支払わない。 (甲1の1・2,17,18,乙23,33,38)(7)所得税法における保証債務の特例に関する規定ア資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算について,所得税法64条1項は「その年分の各種所得の金額(かっこ内省略)の計算の,基礎となる収入金額若しくは総収入金額(かっこ内省略)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には,政令で定めるところにより,当該各種所得の金額のうち,その ことができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には,政令で定めるところにより,当該各種所得の金額のうち,その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は,当該各種所得の金額の計算上,なかつたものとみなす」と特例を定めている。 。 イそして,同条2項は「保証債務を履行するため資産(かっこ内省略),の譲渡(かっこ内省略)があつた場合において,その履行に伴う求償権の 全部又は一部を行使することができないこととなつたときは,その行使することができないこととなつた金額(かっこ内省略)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして,同項の規定を適用する」と規定している(以下,同項に規定する保証債務の特例を「本件特。 例」という。 。)(8)本件課税及び不服申立ての経緯ア被控訴人は,平成14年1月1日から同年12月1日までの平成14年分の所得税について,法定申告期限までに,分離長期譲渡所得の金額及び申告納税額につき本件特例を適用し,本件弁済分(3億1916万6095円)については収入がなかったものとして,下記のとおり確定申告をした(乙1,2。 )記総所得金額7億8569万0900円分離長期譲渡所得の金額7億3966万4355円株式等の譲渡等の所得金額4477万8020円申告納税額2億1378万0300円イ被控訴人は,平成15年6月17日,上記申告のうち分離長期譲渡所得の金額及び申告納税額について,本件弁済分以外の理由により所得税額を減額すべきであるとして,下記のとおり更正の請求をした(甲3。 )記総所得金額7億8569万0900円分離長期譲渡所得の金額5億60 び申告納税額について,本件弁済分以外の理由により所得税額を減額すべきであるとして,下記のとおり更正の請求をした(甲3。 )記総所得金額7億8569万0900円分離長期譲渡所得の金額5億6016万9055円株式等の譲渡等の所得金額4477万8020円申告納税額1億7788万1300円ウ処分行政庁は,上記請求を認め,平成15年7月1日付けで上記請求のとおりの更正処分をした(甲3。 ) しかしながら,その後,処分行政庁は,平成16年2月19日付けで,分離長期譲渡所得のうち本件弁済分(3億1916万6095円)について本件特例の適用を否定し,下記のとおり更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件更正処分等」という)をした(乙3。 。 )記総所得金額7億8569万0900円分離長期譲渡所得の金額8億7933万5150円株式等の譲渡等の所得金額4477万8020円申告納税額2億4171万4500円過少申告加算税の額638万3000円エ被控訴人は,本件更正処分等を不服として,平成16年3月22日,福,,,岡国税局長に対して異議申立てをしたが福岡国税局長は同年6月4日上記異議申立てを棄却するとの決定をした(甲3。 )オ被控訴人は,上記決定を不服として,同年7月7日,国税不服審判所長に対して審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成17年6月22日付けで上記審査請求を棄却するとの裁決をした(甲3。 )そこで,被控訴人は,同年12月21日,本件訴えを提起した。 争点 本件の争点は,分離長期譲渡所得のうち本件弁済分である3億1916万6095円につき,本件特例の適用があるか否かである。 (1)保証債務の有無について(被控訴人の主張)ア本件特例が規定されたのは,担税力に応じた課税をすべきであり 本件弁済分である3億1916万6095円につき,本件特例の適用があるか否かである。 (1)保証債務の有無について(被控訴人の主張)ア本件特例が規定されたのは,担税力に応じた課税をすべきであり,保証による求償権が行使できないときは,これを資産譲渡の利益から控除するのが合理的であるためである。 本件特例の適用要件における保証債務の履行があった場合とは,明文上 は保証人の保証の履行があった場合をいうが,そもそもこれは控訴人らの解釈によっても拡大されており(所得税基本通達64-4,昭和55年10月27日直審5-22参照,控訴人の主張のように契約書上の記載な)どの形式に限定されているのではない。 したがって,本件特例の要件である「債権者に対して債務者の債務を保証すること」には,契約書等で形式上保証人と表示されている場合のみならず,当該事例の当事者の意思,合意の実態,利得関係,担税力など実質の観点からみて保証人である場合を含むというべきである。 イ第1借入れ第1借入れにおいては,形式的な借入申込書等の記載にかかわらず,債権者であるP1とP3及びP6との間では,主債務者はP6であり,P3はP6の連帯保証人であると合意していた。P3は,P1の担当者に連帯保証をする意思であることを表示しており,実質的にもP3は上記借入金を管理したり利用したりしたことはなく,何ら利益や利得を受けていなか。 ,,。 ,ったまたP6もP3が連帯保証人であることを認めていたさらにP1もこれを了解して,上記借入金を実質的にP6に直接振り込んだり,P6やその関係者から割引料や利息の支払を受けるなど,P6を債務者として事務処理を行っていた。したがって,P3は,第1借入れの連帯保証人の地位にあった。 これに対し,控訴人は,本件各手形や借入申込書にはP3が債 係者から割引料や利息の支払を受けるなど,P6を債務者として事務処理を行っていた。したがって,P3は,第1借入れの連帯保証人の地位にあった。 これに対し,控訴人は,本件各手形や借入申込書にはP3が債務者として記載されていた上,仮にP3が保証する意思であったとしても,内心の意思にすぎないから,本件特例の適用はない旨主張する。しかし,本件特例の解釈に当たっては,租税法の実質主義の観点からも,形式的な契約書等の記載ではなく,実質的に判断すべきである。また,P3が実質的に連帯保証人であることは,P1を含む当事者全員の間で合意されていたのであるから,単なるP3の内心の意思の問題ではない。したがって,控訴人 の上記主張は理由がない。 ウ第2借入れ第2借入れは,第1借入れと連続した一体的なものであって,従前の借入れを継続したものにすぎない。第2借入れに関して契約書等が作成されたのは,P1が福岡県の検査の際に手形書換えを続けていたことが発覚して,検査が通らないことを恐れ,P3に対し契約書等の作成を要請したことから,検査用に契約書作成の形を取ったにすぎず,当事者の地位や内容を変更させるものではなく,借入れの一体性を切断するものでもない。このことは,本件合意書において,P1とP3が,第1借入れの保証債務の履行として本件弁済がされたことを合意していることからも明らかである。 エ第3借入れ保証債務の履行を借入金で行い,その借入金を返済するために資産が譲渡された場合も,当該資産の譲渡が実質的に保証債務を履行するためのものであるときは,本件特例の適用があると解すべきである。 しかして,P3は,P4から本件弁済資金を借り受け(第3借入れ,)その後,P3の上記借入金債務等を相続した被控訴人が,実質的に保証債務を履行するために本件不動産を同社に譲渡し,その すべきである。 しかして,P3は,P4から本件弁済資金を借り受け(第3借入れ,)その後,P3の上記借入金債務等を相続した被控訴人が,実質的に保証債務を履行するために本件不動産を同社に譲渡し,その代金と上記借入金債務とを相殺して清算したのであるから,本件特例の適用がある。 (控訴人の主張),,ア一般に例外規定である課税減免要件規定や非課税要件規定については厳格に解釈すべきであるところ,本件特例は,課税減免要件規定であるから,その要件である「保証債務」の解釈適用に当たっても,法的に保証債務又はこれに準ずる債務ないし責任の履行と評価できるか否かとの観点から厳格に解釈適用すべきであり,単に納税義務者が経済的利益をあげず,保証する内心の意思で当該行為を行っただけでは足りないというべきであ る。 被控訴人は,本件特例の適用が拡張されている例として,所得税基本通達64-4(保証債務の履行の範囲)を挙げるが,同通達は,保証人又は連帯保証人が保証債務を履行して求償権が生じることとなった場合と法的に同様の状況にある者につき,保証債務の履行があった場合に該当するとして取り扱うことを明らかにしたものであって,被控訴人の主張するように,主債務者である者を保証人として取り扱うことによって,主債務者である者に本件特例を適用することを可能にしたものではない。 また,昭和55年10月27日直審5-22の個別通達は,他人のために農業協同組合から借り入れた債務を弁済するために資産を譲渡した場合における本件特例の適用について定めたものであるところ,その趣旨は,同組合において組合員以外の者に対する融資が原則として禁止されていること等により,資金を必要とする者が組合員でない場合には,その者が直接融資を受けることができないという法的規制がなされていることを考慮した おいて組合員以外の者に対する融資が原則として禁止されていること等により,資金を必要とする者が組合員でない場合には,その者が直接融資を受けることができないという法的規制がなされていることを考慮したものであり,当該金融機関において融資先が法令及び定款等により制限されている場合等にのみ適用されるとの趣旨に出たものであるから,本件事案には該当せず,また,実質的な保証人に本件特例の適用を認めたものということもできない。 イ本件特例は,保証債務を履行するために資産の譲渡があったことが要件となるところ,本件譲渡は,直接には第3借入れの履行として行われたものであり,第3借入れは,P3自身が借り入れたP3自身の債務であるから,保証債務でないことは明らかである。 また,第3借入れをするに至った経緯として,第1借入れ及び第2借入れがあったが,いずれの借入れも,借入申込書の債務者名はP3であった上,借入金は,P3名の別段預金口座に入金がなされ,同人名で割引料や約定利息が支払われている。また,第2借入れについては,P3を主債務 者として保証や担保権の設定がなされており,手形割引料等の支払もP3名で行われているのであるから,形式的にも実質的にもP3を主債務者とする債務である。 ウ被控訴人は,第1借入れ及び第2借入れの主債務者はP6であって,P3は連帯保証人である旨主張するが,これを理由づける証拠はない。確かに第1借入れによる貸付金は,P3名義の別段預金口座に入金された後,P10の普通預金口座に振り込まれているが,これはP3がP10に貸し付けたとみるのが自然である。 エそうすると,P3は,本件各借入れの債務者であって,連帯保証人ではなかったから,本件特例の要件を欠くというべきである。 (2)求償権の行使不能(被控訴人の主張)ア本件特例が適用される る。 エそうすると,P3は,本件各借入れの債務者であって,連帯保証人ではなかったから,本件特例の要件を欠くというべきである。 (2)求償権の行使不能(被控訴人の主張)ア本件特例が適用されるためには「保証債務の履行に伴う求償権の全部,又は一部を行使することができなくなったこと」が要件であるところ,P3及び被控訴人の職業及び立場,P6の地位並びに不動産登記簿で示されるP6の資産状況等からすれば,P6に資力がなく求償権の行使が不可能であったことは明らかである。 被控訴人らは,求償権の行使のため,最強の手段である求償金請求訴訟を提起したのであるから,被控訴人において求償権の行使をしたことは明らかである。これに対し,P6は,バブル経済崩壊により大きな痛手を受け,借入金返済能力を失っており,上記訴訟において「金がないため支払えない」と述べているほどであって,資力がないことを自認している。 。 また,P1の資料からも,当初はP6が割引料や利息をP3名義の別段預金口座に入金して割引料等を支払っていたが,平成4年以降はP1がP6の関連会社であるP13や実兄P11らに対し,手形貸付けをして,それを振り替えることでどうにか利息等の処理を続けており,さらに,平成 9年3月を最後にその後は利息すら支払わない状況が4年間もの長期間続いたことが認められる。これはP1のシステムからしても異常だったものであるが,P1も同人の無資力が明らかであったため,同人に対して請求すらしていないのである。したがって,本件弁済当時,P6に資力があるはずはない。 イ控訴人は,求償権を行使しても回収の見込みがないことが立証されていない旨主張する。しかしながら,本件特例の適用に当たって,催告や法的権利行使などは要求されておらず「回収の見込みがないこと」は,債務,者側の事 償権を行使しても回収の見込みがないことが立証されていない旨主張する。しかしながら,本件特例の適用に当たって,催告や法的権利行使などは要求されておらず「回収の見込みがないこと」は,債務,者側の事情のみならず,債権者側の事情のほか,経済的環境などの事情など極めて広範な要素を勘案して,社会通念に従って総合的に判断すべきであるから,被控訴人が明らかにした上記事情に照らせば,P6に対する求償権の行使が不可能であって,回収の見込みがなかったことは明らかである。 ウ控訴人は,本件特例が適用されるためには,共同保証人に対する求償権もこれを行使することができないことが必要であると主張するが,所得税法64条2項は主債務者につき求償権が行使できないことで足りる旨規定している。また,実質的に見ても,P12は債務超過に陥っており求償は不可能であったといえ,被控訴人はP3の相続人であり保証人の地位と債務者の地位が混同しているのであるから求償権を行使したとしても意味がなく,いずれにしても上記主張は失当である。 (控訴人の主張)ア本件特例の「求償権の全部又は一部を行使することができなくなったとき」とは,求償権の相手方たる債務者について,破産宣告を受けるか,失踪又は事業閉鎖等の事実が発生したり,このような事態にまでは至らないとしても,債務超過の状態が相当期間継続し,金融機関や大口債権者の協力を得られないため事業再建の見通しもないこと,その他これらに準ずる 事情があるため,求償権を行使しても回収の見込みがないことが客観的に確実となった場合をいい,これは,求償権の相手方たる債務者の資産や営業の状況,他の債権者に対する弁済の状況等を総合的に考慮して客観的に判断すべきものである。そして,本件特例は,求償不能という異例の事態について租税政策上の見地から特に課税上 手方たる債務者の資産や営業の状況,他の債権者に対する弁済の状況等を総合的に考慮して客観的に判断すべきものである。そして,本件特例は,求償不能という異例の事態について租税政策上の見地から特に課税上の救済を図った例外的規定であるから,同条項の適用を基礎付ける事実の主張立証責任は納税者にあるというべきである。 イ仮に,第1借入れを基準とし,P6を主債務者,P3を連帯保証人と考えた場合であっても,本件では,次のとおりP6に対する求償権の行使自体ができない,又は,求償権を行使しても回収の見込みがないことが客観的に確実となったとはいえない。 すなわち,被控訴人は,P6が暴力団幹部であったことや資産状況等から求償権の行使は不可能であった旨主張するが,P6が暴力団幹部であったことは求償権行使の上で心理的な抵抗とはなり得ても,これをもって上記のような「求償権を行使しても回収の見込みがないことが客観的に確実となった場合」には当たらない。また,P6は,平成13年3月9日の本,,,件弁済当時不動産を所有していたし被控訴人も同人が不動産業を営みP13という関連会社を有していたことを認識していたのであるから,これらに関する調査を行わないまま,求償権を行使しても回収の見込みがないと判断することはできない。被控訴人は,P14が平成16年9月9日付けで作成した資産調査の報告書(甲7)を根拠にP6に差押え可能な資産がなかった旨主張するが,上記資産調査は極めて不十分といわざるを得ない。 さらに,平成13年3月9日の本件弁済の後になって,被控訴人を含むP3の相続人らは,P6に対し別件求償金請求訴訟を提起したのであるから,被控訴人は,同時点においてP6に対する求償権の行使が不可能とは 考えていなかったものと解される。また,被控訴人は,上記訴訟において仮執行宣 P6に対し別件求償金請求訴訟を提起したのであるから,被控訴人は,同時点においてP6に対する求償権の行使が不可能とは 考えていなかったものと解される。また,被控訴人は,上記訴訟において仮執行宣言付きの認容判決を得ながら,同判決に基づき強制執行を行っていないから,被控訴人において求償権の行使の意思があったかどうかも疑問である。 ウ以上のとおり,被控訴人において,本件特例の適用を主張するのであれば,P6が客観的に求償権の行使不能と認められる事実,保証債務の履行に伴う経済的負担を回復するために法律上付与された権利のいずれもが実効性を有しない事実を主張立証すべきであるが,上記主張立証がされていないから,本件特例は適用できない。 エさらに「求償権の全部又は一部を行使することができないこととなっ,たとき」に当たるというためには,共同保証人に対する求償権もこれを行使することができないことを要するものと解すべきところ,本件ではP3以外にも,P12及び被控訴人が連帯保証人とされ,同社所有の不動産に根抵当権が設定されているのであるから,これらに対する求償権行使の可否及びそれが可能な額を検討するのでなければ,上記条項に該当するか否かの判断ができない。また,被控訴人は,保証債務が相続に伴う混同によって全部消滅する旨主張するようであるが失当というほかない。 第3当裁判所の判断 認定事実前記前提事実と主に各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件各借入れとその後の経緯等について,次の事実が認められる。 (1)P6からの借入れの申込み等ア暴力団幹部でP8理事長であったP6は,平成元年ころの不動産バブル期に,舎弟のP10代表者P15(P10は,P6のいわゆるフロント企業であった)とともにいわゆる地上げを行っていたが,平成元年7月こ。 団幹部でP8理事長であったP6は,平成元年ころの不動産バブル期に,舎弟のP10代表者P15(P10は,P6のいわゆるフロント企業であった)とともにいわゆる地上げを行っていたが,平成元年7月こ。 ろ,P15から熊本県内の土地の地上げのために3億円の資金が必要とし てその金策を依頼されたため,自らが組合員として取引があり,融資も受けていたP1に対し,新たな融資の申込みをした。 イP1は,かねてP6に対して,同人の財政状態,経営等の状況,業務内容,信用情報,担保の価値などに基づき,貸金回収可能性についての審査を行い,予め一定金額までの融資枠を設定して資金を提供していたが,P6に対して新たに3億円を融資するには,同人の融資枠が不足し,もはや融資が困難であったことから,融資枠超過を理由として,同人からの申入れを断った。 ウP6は,他人名義による借入れやP1の組合員以外への貸付けはできないとの説明を受け,30年来の知り合いで,P1の組合員でもあるP3名義を利用しての3億円の借入れを企図し,同人に対し,上記事情を話した上「名前を出してくれないか。こちらで責任をもって返済するから迷惑,をかけないので,保証人の意味で考えてもらえばよい」などと依頼した。 ところ,P3もこれを承諾したので,その旨P1に伝えて,再度融資を要請した。 エP1は,P3が債務者となるのであれば,3億円を融資しても,同人のこれまでの融資実績と返済能力が十分であることから,許容案件との判断がなされるに至り,P6に対し,P3が債務者となるのであれば融資を実行し得るとの回答をした。 そこで,P6は,さらに,代理の者をP1のP16理事長と一緒にP3に面会させ,P16理事長からP3に対し,同人が債務者となるのであれば,P1から融資を受けることが可能である旨の説明させた上,改めて そこで,P6は,さらに,代理の者をP1のP16理事長と一緒にP3に面会させ,P16理事長からP3に対し,同人が債務者となるのであれば,P1から融資を受けることが可能である旨の説明させた上,改めてP3が債務者となってP1から融資を受けることを依頼したところ,P3は承諾の回答をした。 なお,上記承諾の回答に際し,P3は,P6から特段の利益を得る約束はしていなかったが,それまでも,P6以外の者らのためにもP1から借 入れをして融通したことがあった。 (甲16,18,乙4,6の1ないし3,23,40の1ないし3,50の1,57,63,証人P14)(2)第1借入れと契約書作成等アP3の上記承諾を受けて,P6は,P10振出しにかかる本件各手形をP3のもとに持参し,P3は,手形割引の割引依頼人として,本件各手形の裏書人欄に記載されたP2名下に実印を押捺した(以下「本件裏書」という。この際,上記裏書の署名は,P3の指示により,同席した関係。)者が記載した。その後,P6は,P3の裏書のある本件各手形をP1に交付した。 イP1は,P3の意思に基づき担当者が平成元年7月14日付け借入申込書(乙4)を作成し,3億円の借入申込みがなされたとして,P6からの本件各手形の交付を受けた上,同月20日,融資を実行した。その際,実行金額から割引料1373万6300円(貸出利率年9.50%)を控除した残額2億8626万3700円がP3名義の別段預金口座に入金され,その後直ちにP10の普通預金口座に上記2億8626万3700円が振り替えられ,同日に7500万円の出金がされ,その後,すべてP10ないしP6の資金使途に充てられた。 (甲2,18,乙4,5の1ないし4,6の1ないし3,証人P14)(3)平成5年ころまでの手形書換えの経過ア本件各手形は,満 出金がされ,その後,すべてP10ないしP6の資金使途に充てられた。 (甲2,18,乙4,5の1ないし4,6の1ないし3,証人P14)(3)平成5年ころまでの手形書換えの経過ア本件各手形は,満期日である平成2年1月下旬には決済がされず,平成2年4月30日を満期日とする額面1億円の手形3通で割引による入金,回収の処理がされ,その後,平成5年9月までの間,16回にわたって割引料(利息)が支払われ,P3の意思を確認をした上で,本件各手形同様に振出人をP10,第1裏書人をP3とする3億円の手形の割引が繰り返された。その際のP1の上記別段預金口座等における入金,出金及び振替 等の手続はいずれもP3名義でなされ,その都度,実行されていた。 イ手形書換えの経過(平成5年9月以降の経過を含む)は,別紙「手形。 書換経過(以下「別表」という)のとおりであり,P6は,同表№4,」。 №6のとおり,自らの口座を入金,出金等に使用しているが,同№14等のとおり,P17(父,P11(兄,P18,有限会社P13,P1))9,P20,P21の口座や名義を使用するなどしている。 なお,上記手形書換えの際のP1のP3名義の別段預金口座等における入金,出金及び振替等の手続は,P3名義口座等でなされたが,すべてP1担当者が処理しており,P3はP1担当者からの確認に対し応じる旨の回答をしたのみであり,その間,P1がP3に対し,上記割引手形の支払を求めたこともなかった。 (甲2,17,乙36,41,50の1,2)(4)第2借入れとその後の経過等アP6らは,バブル経済の崩壊によって本件融資の返済ができないまま,前記のとおり手形の不足金(割引料相当額)を支払うことによって手形書換えを繰り返していたが,平成5年11月ころ,P1は,監督官庁である福岡県の検査の際 済の崩壊によって本件融資の返済ができないまま,前記のとおり手形の不足金(割引料相当額)を支払うことによって手形書換えを繰り返していたが,平成5年11月ころ,P1は,監督官庁である福岡県の検査の際に,金銭消費貸借に関する契約書類もないままに,手形書換えを繰り返して3億円もの巨額の融資を続けていることなどが発覚すれば検査に通らないと恐れ,P3に対し,契約書類を作成してもらいたいと要請した。 イP4の取締役であった被控訴人(P3の長男)及びP14は,それまで第1借入れが存在することを知らされていなかったが,P1から上記申入れを受けたことから同借入れの存在を知るに至った。 P3は,P1との関係から,契約書類の作成を承諾することとし,被控訴人やP14に対し「保証しているだけであり,P6やP1幹部が迷惑,。」,,はかけないと言っているから安心しろ等と述べてP14に指示して 平成5年12月1日付けで,返済期限を平成7年12月1日として手形貸付けにより3億円を借り入れる旨の借入申込書を作成してP1の本店営業部に提出した。 ウさらに,P3は,P1に対し,平成5年12月7日付けで,主債務者をP3として,連帯保証人をP12及び被控訴人とする信用組合取引約定書(乙10,以下「本件約定書」という)を差し入れた。また,同時にP。 12及び被控訴人の保証約定書(包括根保証)及びP6の特定債務保証約定書(上記手形貸付けについてのもの)が作成され,P12所有名義の北九州市内の土地について,平成5年12月6日付けでP12名義とするとともに,債務者をP3とする一番根抵当権設定登記の変更をし,同土地を担保に供した。 エP1は,手形貸付け3億円を実行し,利息等209万5890円を控除した実行金額が,P3名義の別段預金口座に入金され,上記不足金がP3名 る一番根抵当権設定登記の変更をし,同土地を担保に供した。 エP1は,手形貸付け3億円を実行し,利息等209万5890円を控除した実行金額が,P3名義の別段預金口座に入金され,上記不足金がP3名義で別段預金口座に入金された後に,平成5年9月29日に書き換えられた第1借入れの旧手形が回収された。 オその後,上記貸付金については,利息支払がされたが,その経過は,別表№18以下のとおりであり,その後,平成9年3月27日までの間,7回にわたってP6の関係者名義により実行された手形貸付金を原資とするなどして貸付利息が支払われていたが,同日,P1によりP21名義で手形貸付け6300万円が実行され,利息金等を除いてP11名義の普通預金に入金された。そして,関連の貸付金利息を合算して現金で出金され,貸付利息583万3972円に充てられた。そして,その後は,上記貸付けに関して元利金の支払もなされないまま推移していたが,この間,P3は,P1から書面等により返済を求められたことはなく,前同日まで,P3は各手形の書換えに応じていた。 (前提事実,甲2,乙7ないし17,証人P14) (5)P1の経営破綻と本件合意書の作成等アP1は,バブル経済期に,資金提供等の業容拡大を図っていたが,バブル経済の崩壊以降景気の長期低迷等によって,主要な取引業態である遊技場及び不動産業を中心に経営が悪化する取引先が続出し,貸出先の不良債権化が進んだ。また,内部牽制機能が形骸化していたため,同一人に対する信用限度額を大幅に超える貸出しが行われた結果,特に大口の貸出しが不良債権化したこと,融資審査内容に不明,不十分な点が見られたこと,貸出金の回収,管理が十分ではなかったこと,優良取引先の確保の努力が見られなかったこと及び資産運用面で効果的な経営施策が実現できなかったこ 化したこと,融資審査内容に不明,不十分な点が見られたこと,貸出金の回収,管理が十分ではなかったこと,優良取引先の確保の努力が見られなかったこと及び資産運用面で効果的な経営施策が実現できなかったことなどが主な原因となって,平成11年3月決算期に約92億円という大幅な債務超過に陥った。そこで,P1は,自主再建を断念し,P22信用組合への事業譲渡の方針を決定し,同年5月14日に金融破綻を公表するに至った。 イその後,平成12年12月16日には,金融整理管財人が選任され,P1は金融再生委員会から金融整理管財人により業務及び財産の管理を命じる処分を受け,金融整理管財人2名が,管理を受ける状況に至った経緯等につき調査をするとともに,貸付金の回収や不良債権の区分作業を進め,(「」。),不良債権については株式会社P23以下P23というに譲渡し正常債権については救済金融機関であるP22信用組合へ事業譲渡することにより破綻処理をなすこととされた。なお,その後,平成13年6月の(. 金融整理管財人の報告時点における正常債権は約286億円全体の223パーセント)にすぎず,破産更生債権等が約673億円(全体の52,4パーセント,危険債権が約227億円(全体の17.5パーセント,))要管理債権が約100億円(全体の7.8パーセント)であった。 ウP1が破綻して金融整理管財人の管理の下に置かれたころ,P1本部管理部のP9副部長は,従前の経緯が分からないまま,手形貸付けの債務者 とされていたP3に対し,第2借入れ3億円の支払を請求したところ,P3は,実際に借り入れておらず,連帯保証人であって,真実の借受人(主債務者)はP6であるから,同人から先に取り立ててほしいと述べて支払を拒絶した。そこで,P9副部長は,第1借入れと第2借入れにつ P3は,実際に借り入れておらず,連帯保証人であって,真実の借受人(主債務者)はP6であるから,同人から先に取り立ててほしいと述べて支払を拒絶した。そこで,P9副部長は,第1借入れと第2借入れについて貸付けや割引(利息支払)に関する会計帳簿を調査して「割引手形および手形貸付移動状況表(甲2)を作成した(なお,上記一覧表は,上記各借」入れを通じて一連の記載がされている。その結果,上記貸付金は,P。)6のために使用されて,同人らから割引料や利息が支払われていること,P3は何ら利得を得ておらず,割引料等の支払にも関与していないことが判明した。 ,,,,エしかしP9副部長は不良債権処理を迫られていたためP3に対し仮に上記借入金3億円を支払わなければ,債務者とされているP3及び連帯保証人である被控訴人とP12はもとより,P12の親会社であるP4も不良債権先に区分されて,管理がP23に移管される旨告げて早急に支払うように求めた。P3は,これに応じなければ,不良債権先とされてP23へ債権譲渡され,そうなれば,P4等の事業経営が困難となると懸念して,連帯保証人として返済することを明らかにした上で,これを弁済することとした。 そこで,P3は,P1に対し,連帯保証人としての支払であることを確認する書面の作成を要請したところ,双方で協議して本件合意書が作成された。その内容は,大要,前文に「P1(乙)を貸主,P3(甲)を借,主とした平成元年7月20日付け3億円の金銭消費貸借契約について,甲から上記金銭消費貸借契約はP6の申出による形式上甲名義を借主とするいわゆる名義借融資を甲乙ともに承諾したものであるとの主張がなされ,調査の上甲乙協議した結果,次のとおり合意が成立した」と記載した上。 で,甲が借入金元金3億円と遅延日より年1.625パー 主とするいわゆる名義借融資を甲乙ともに承諾したものであるとの主張がなされ,調査の上甲乙協議した結果,次のとおり合意が成立した」と記載した上。 で,甲が借入金元金3億円と遅延日より年1.625パーセントの割合に よる利息の支払義務を認めるとともに,乙がその余の支払義務(残利息)を免除し,連帯保証人を含めて債権債務のないことを確認するものであった。そして,P3は,第3借入れの手続をし,本件弁済をした。 なお,P3とP4間には,本件土地の売買契約書として,正確な代金は後日に合意する旨(第1条,売買代金のうちの3億2000万円は買主)都合で至急に支払う旨(第2条,支払分は,売買代金確定支払の際に清)算する旨(第3条)等を内容とする平成13年3月8日付けの合意書(甲11)が存在するが,経理処理上は,P3が個人で経営していたパチンコ店「P24」の短期借入金勘定に上記額が記載されている。 (甲2,8,9,11,16,乙16ないし20,証人P9,同P14)(6)P3の死亡と被控訴人らの相続等アP3は,平成▲年▲月▲日に死亡したため,被控訴人ら相続人の間で遺産相続に関する協議をし,平成14年3月24日に至って,被控訴人が本件土地等を相続するとともに,第3借入れを含む借入金債務を承継することが合意された。 イそこで,被控訴人は,平成14年10月31日付けで,本件土地を買主P4に代金11億1561万1000円で譲渡する旨の土地売買契約書を作成し,P4が売買代金債務を生じたものとして,その譲渡代金で第3借入れ3億2000万円を含む被控訴人の同社に対する借入金債務合計11億1561万1000円とを相殺することにより清算したが,被控訴人とP4間の前記平成14年10月31日付け売買契約書(乙24)には既払3億2000万円として清算する旨の条項はな る借入金債務合計11億1561万1000円とを相殺することにより清算したが,被控訴人とP4間の前記平成14年10月31日付け売買契約書(乙24)には既払3億2000万円として清算する旨の条項はない。 (前提事実,甲11,13,15,28,乙24ないし26,42)(7)P6からの債権回収の可能性の有無等アP6は,被控訴人らによる別件求償金請求訴訟において,当初,名義借りを依頼していた事実等を否認する旨の答弁をなしたが,P6がP1から の第1借入れにつき名義を借りたこと及び実質的にはP3が保証人となることとしたことを認め,上記借入金をすべてP6ないしP10において使用したことやこれをP1も承知していたことを認める旨の答弁に変更し,その後,同判決は確定したが,P6は被控訴人への支払をしないままである。被控訴人らは,確定判決により,P6に対して強制執行することは可能であったが,家財道具の強制執行はP6らによって阻まれるおそれがある上,換金の可能性が低いことなどから,強制執行を実行しなかった。 イP6は,前記のとおり暴力団幹部であり,平成元年ころのバブル経済当時は,いわゆるフロント企業であるP10とともに「地上げ」を行っていたが,その詳細は明らかではなく,P6の不動産業以外の事業の有無等は明らかではないが,本件弁済のあった平成13年3月9日当時,福岡市内において同人所有名義の不動産を少なくとも6筆所有していた(ただし,うち土地1筆は共有。 )(,P6の居住していた福岡市γ×番23の土地及び同土地上の建物以下併せて「P6居宅」という)は,P6の所有名義ではなく(上記土地は。 昭和41年2月よりP25所有名義であり,上記建物は,昭和45年12月の新築時より株式会社P26所有名義である,福岡市γ×番22の。)土地及び同番111 ,P6の所有名義ではなく(上記土地は。 昭和41年2月よりP25所有名義であり,上記建物は,昭和45年12月の新築時より株式会社P26所有名義である,福岡市γ×番22の。)土地及び同番111の土地(地目はいずれも山林)については,P1が。 平成元年12月4日に債務者をP6とし,極度額を3500万円とする根抵当権を設定し,同日付けで根抵当権設定登記を経由していた。上記根抵当権は,平成13年11月26日に元本が確定し,同日付けでP1からP23に移転され(平成14年1月24日に移転登記経由,その後,同土)地は,平成15年5月19日にP27に売却されて,同日付けで所有権移転登記が経由された。また,福岡市δ×番の土地,同×番の土地,同×番の土地(ただし共有名義。地目はいずれも宅地)及び同地上の建物(事務所。鉄筋コンクリート造陸屋根4階建)については,P11が平成6年。 ,,2月21日にP6を債務者とし極度額を2億円とする根抵当権を設定し同年3月2日付けで根抵当権設定登記を経由していた。そして,上記不動産は,平成15年5月22日他に売却され,同月27日付けで所有権移転登記が経由された。 なお,共有名義の土地を除く上記各不動産については,平成4年11月から平成8年11月までの間に福岡県及び福岡市ε,福岡市ζから差押登記や参加差押登記が次々になされたが,そのほとんどは平成6年から平成12年までの間に解除されて上記各差押登記等は抹消されていた。 ウP1が金融破綻した後の平成12年12月ころ,P1のP9副部長は,第2借入れに関し,資産のあるP3から取り立てる方が実効性があると考え,暴力団幹部であるP6からの回収可能性を検討したことはなく,同人に対し請求したこともなかった。 エP14は,遅くとも平成16年9月ころに,P6の資産調査を行 3から取り立てる方が実効性があると考え,暴力団幹部であるP6からの回収可能性を検討したことはなく,同人に対し請求したこともなかった。 エP14は,遅くとも平成16年9月ころに,P6の資産調査を行い,求償金債権の回収可能性について調査したが,不動産については,上記のとおりであり,回収の可能性はないと判断した。他方,P6が他に不動産,銀行預金及び有価証券などの財産を有していることを把握できず,P6名義でこれらの財産を持っているとは考え難いと判断した。 ,,,また被控訴人やP14はP6への債権を放棄する旨の通知をすれば同人が暴力団幹部であることから,多額の金銭を暴力団幹部に流出させたとの憶測を呼ぶ可能性があると考えて,上記措置を講じなかった。 (甲1の1・2,7,17,18,25,26,28,乙23,32,38,証人P9,同P14) 争点に対する判断(1)第1借入れについてア被控訴人は,P3が負った債務は,保証債務であったとして「①P1,,,が連帯保証人の趣旨である旨の説明をしていたからP3もそれを信じて P1のP16理事長に対し,P6の債務を連帯保証する意思であることの表示をして本件各手形の裏書人欄に実印を押捺した。②平成元年7月4日付け借入申込書(乙4)のP3の署名及びその名下の印影は,P3やP14の筆跡でもなく,三文判が押捺されており,P1の職員が形式を整える。 ,ために作成したにすぎない③債権者であるP1とP3及びP6との間で主債務者P6,P3はP6の連帯保証人との合意がされている。④第1借入れに係る借入金の入金直後に,当該資金がP10の預金口座に移動し,また,P6の関係者らが借入金の元利金を直接又は間接にP1に返済していたこと,第1借入れの融資実行の際に別段預金口座に資金が入金されたが,同口座は,預 金直後に,当該資金がP10の預金口座に移動し,また,P6の関係者らが借入金の元利金を直接又は間接にP1に返済していたこと,第1借入れの融資実行の際に別段預金口座に資金が入金されたが,同口座は,預金通帳も作成されず,預金利息も付かない口座であり,通常,金融機関の一時預かりのために使用されるものであり,異例の入金手続がされたこと,第1借入れの取扱い店舗がP3の通常の取引店舗とは異なっていたことなどは,第1借入れの債務者がP6であることを裏付けるものである。⑤その後,本件各手形が取立てに回されたものの,満期前日に依頼引きされ,あるいは各支払期日に支払われず,その後,約4年間にわたって書換えが継続されたことは,債務者がP6であることを客観的に明らかにしているものである」などと主張する。 。 イ被控訴人は,本件各手形へのP3の裏書,割引の経緯やその後の経過等,,,からP3は保証債務を負っていたにすぎないとしてるる主張し確かに当初,P10ないしP6に資金捻出の必要性があり,同人らからP1への借入れの申込みがされ,P10を振出人とする本件各手形の割引がされ,その出金手続後,直ちにP6らの手に渡ることになったもので,P1との間では,満期日の手形決済によって返済がされることになるから,その原,,,資を作るのがP6らであることは同人らのみならずP3らにおいても当然のこととして合意されていたということができ,その後の利息支払等。 ,でもP3が出捐したことはなかったことは前記認定のとおりであるまた 債権者となるP1のP16理事長自らがP3に裏書を依頼したのであるから,P6らからの支払がされなかったときに,P1が敢えてP3への取立てなどに及んだかは疑問があるところである。さらに,書面作成手続をみても,P3名義の平成元年7月4日付け借入申 を依頼したのであるから,P6らからの支払がされなかったときに,P1が敢えてP3への取立てなどに及んだかは疑問があるところである。さらに,書面作成手続をみても,P3名義の平成元年7月4日付け借入申込書については,P3は漢字が書けず,書類に署名する際は,普段はP14が代筆しているところ,証人P14は,上記申込書のP3の署名を代筆したことはないと証言していること,押捺された印章も必ずしもP3の所持していたものと認めるに足りる証拠はないこと,同申込書がP1の稟議書を兼ねていることからすると,同申込書の署名・捺印は,P1の職員によって記載,押捺されたと認めるのが相当であり,その後の手形書換えの処理等も,P1の担当者がしており,P3はこれらの書面作成に直接関与した形跡は伺われない上,,,,平成9年3月までの間P6らが利息支払をしてきたのであってP3は本件各手形等に関して何らの出捐をしたこともなかったものである。 ウしかしながら,P1の担当者は,3億円の融資を求めるP6に対し,融資枠不足を理由に同人に対する融資はできないと明確に断ったのであり(1,(1),ア,イ,そこで,P6はP3に対し,借入債務者としての)関与を求め,P1においても,P6を債務者として融資することは困難であるが,P3が債務者となるのであれば融資を実行できるとの内部の判断に基づき,その経緯をP6及びP3に説明していた(1,(1),エ)のであるから,P1が形式のみならず,P3を債務者とする法的な効果意思を有していたことは明らかである。そもそも,融資枠の超過によりP6へのさらなる融資が困難と判断され,その後,本件各手形に裏書もせず,消費貸借契約書等の作成もしていないP6に対し,P1が同人を主債務者としてその責任を追求することは,考えられないところといわねばならない。 第1 融資が困難と判断され,その後,本件各手形に裏書もせず,消費貸借契約書等の作成もしていないP6に対し,P1が同人を主債務者としてその責任を追求することは,考えられないところといわねばならない。 第1借入れの依頼の際のP6の「名前を出してくれないか。こちらで責任をもって返済するから迷惑をかけないので,保証人の意味で考えてもらえ ばよい」旨のP3への発言(1,(1),ウ)は,借入金の弁済資金はP。 6が責任を持って用意するとの趣旨に止まるものといえ,それ以上に第1借入れの主債務者をP6とし,連帯保証人をP3として債権者となるP1との間で契約を締結するとの趣旨に出たとみることはできない。P6は,同人に対する別件求償金請求訴訟における認否において,P3が実質的には連帯保証人であることを争ってはいない(1,(7),ア)が,同人は手形割引金を受領して使用したのであるから,いずれにしても支払の義務があるとして,争わない旨の答弁をすることは当然であり,そのことが第1借入れの主債務者の判断を左右するものとはいえない。 エ被控訴人は,第1借入れに係る借入金の入金がなされた直後に,当該資金がP10の預金口座に移動し,また,P6の関係者らが,借入金の元利金を直接又は間接にP1に返済していたこと,第1借入れの融資実行の際にP3名義の別段預金口座に資金が入金されたことは異例であり,同口座,,,,は預金通帳も作成されず預金利息も付かない預金口座であって通常金融機関の一時預かりのために使用されるものであり,これらの事実は,第1借入れにつきP6が債務者であることを客観的に明らかにしていると主張するが,第1借入れはP6への資金の融通を目的としており,P3はP6以外の者に対しても自ら資金を借入れ融通していること(1,(1),エ)に照らせば,信用力のあるP とを客観的に明らかにしていると主張するが,第1借入れはP6への資金の融通を目的としており,P3はP6以外の者に対しても自ら資金を借入れ融通していること(1,(1),エ)に照らせば,信用力のあるP3がP1から資金を借り受けて,これをP6らに融通したと解し得るのであって,P6やその関係者らが,貸主た,,るP3との関係で手形書換えのための割引料相当額を支出することとしP1との関係ではP3名でこれを支払うのもいわば当然のことであり,何ら不自然ということはできない。資金移動の便宜等のためにP1が別段口座を利用することも不自然とはいえず,別段口座の名義もP6ないしP10ではなくP3なのであるから,貸付金が同口座へ出金されたことをもって,第1借入れの債務者がP6であると評価することはできないというべ きである。 オもともと,手形割引は,売買契約ないし手形貸付けによる消費貸借であれ,割引をした金融機関と最終の手形裏書人との間で,契約が成立するのであり,手形割引金をどのように使用するかは,割引を受けた者らの内部事情というべきものである。P1における手形貸付けは,手形振出しを受けて手形貸付金として実行する方法と,手形割引をする方法があり,手形割引の場合,最終裏書人として手形をP1に持ち込んだ者が債務者となるところ(証人P9,P3は,上記のとおり,融資枠が不足してP1から)借入れができないP6の依頼により,同人のためにP3が債務者となって,,P1から融資を受けることを承諾しその上で本件裏書をなしていることP3はP5グループの代表者として手形割引による融資の方法を熟知していたと推認されることからすると,本件裏書は割引依頼人としてなされたものというべきである。そして,P1は,振出人であるP10ないしP6が手形割引金を使用するのであるから, による融資の方法を熟知していたと推認されることからすると,本件裏書は割引依頼人としてなされたものというべきである。そして,P1は,振出人であるP10ないしP6が手形割引金を使用するのであるから,同会社らからの返済を当てにはするものの,その支払ができなくなったときには,最終的にはP3を債務者として処理をすることとし,同人からの借入申込みがあるとの体裁をとるべく,同人に依頼し,手形への裏書を求めたものである。P10振出しの本件各手形の裏書人欄のP3名下の印影は,同人のものによると認められる(証人P9)上,同人口座への振込みがされ,融資が実行されたこと,本件手形書換えの都度,P1担当者からP3の意思確認がなされたこと(1,(3),イ)からすれば,P3においても契約上の主債務者であるとの認識に欠けるところはなかったというべきである。 なお,証人P14は,上記手形書換え手続は,すべてP1の担当者が処理しており,P3が関与することはなかった旨の被控訴人主張に副う証言をするが,同手続に係るP1の貸出稟議書(乙41)には,指示事項ないし本部意見として「P3会長確認済「P3会長に確認すること」等記,」, 載されていること,第1借入れはP16理事長が上得意先の代表者であるP3に自ら依頼した案件である(1,(1),ウ,エ)ところ,これに応じて債務者となったP3に対して,手形書換えの事実を約4年にわたって秘匿したままでいるとは考え難いことからすると,上記手形書換え手続はP3の意思を確認した上で実行されていたものと認められ,これに反する上記証人P14の証言を信用することはできない。また,被控訴人は,本件,,,,各手形が取立てに回されたものの満期前日に依頼引きされあるいは各支払期日に支払われず,その後,約4年間にわたって書換えが継続され 言を信用することはできない。また,被控訴人は,本件,,,,各手形が取立てに回されたものの満期前日に依頼引きされあるいは各支払期日に支払われず,その後,約4年間にわたって書換えが継続されたこと,第1借入れの取扱店舗がP3の通常の取引店舗とは異なっていたことなどを挙げて,第1借入れの主債務者がP6であると主張するが,これらの事実はいずれも誰が主債務者であったかの決め手となる事実とはいえない。 カ上記にみたとおり,P6が,P3名義の借入れを提案し,かかる申出を承けたP1は,P3との従前の取引状況に基づき,同人の返済能力が十分であるとして融資手続が可能と判断したのであり,P3は,上記事情を承知の上で,P6ないしP16理事長から主債務者になることを求められ,やむなくもこれを承諾し,手形割引の割引依頼人として本件裏書をなしたものであり,最終的には債務の責任を負うことがあることを前提としてであると解される。 被控訴人は,P3が,P16理事長に対し,P6の債務を連帯保証する意思であることを表示した旨主張し,証人P14もこれに沿う供述をするが,P1が形式のみならず実質的にもP3を債務者とする意思を有していたことは上記のとおりであり,これと異なる言動をP3がP16理事長らに表明したのであれば,P1が第1借入れに係る手形割引をしたとは解し難い。上記P14の証言は,P3からの伝聞である上,第1借入れから約4年を経過した平成5年にこれを聞いたとするものであって,上記にみた P3の言動に照らし,措信することはできない。 以上のとおりであり,P3が第1借入れの保証人であるとの被控訴人主張は,採用することができない。 (2)第2借入れについてアその後の第2借入れの経過等を検討しても,P3は,自らを債務者として本件約定書を作成して差し入れたほ 借入れの保証人であるとの被控訴人主張は,採用することができない。 (2)第2借入れについてアその後の第2借入れの経過等を検討しても,P3は,自らを債務者として本件約定書を作成して差し入れたほか,自らが取締役を務めるP12及び長男である被控訴人を連帯保証人とし,かつP12所有の土地につき根抵当権を新たに設定しており(1,(4),ア,イ,ウ,自らを債務者と)認識していなければ執り得ない行動であるといわざるを得ない。第2借入れは,同第1借入れと同額の融資額であり,第2借入れに係る資金は同第1借入れに係る書換え手形(旧手形)の回収に充てられているのであって(1,(4),エ,第2借入れは,第1借入れと連続して一体をなすもの)と解せられるのみならず,保証人としてのP12と被控訴人の付加等についても,P6らがこれに関与したとは伺われないことに照らせば,これらの融資,約定書作成等は,P3が,第1借入れについても自らが債務者との認識でいたことを推認させ,また,第2借入れをもってP3が主債務者であるとの当事者間の認識の再確認がされたと評価することもできるものである。 イ被控訴人は,本件約定書は,福岡県の検査に備えてP1が作成させたにすぎず,P3が主債務者として債務を負う意思を表示したものではない旨の主張をし,P1が主導して本件約定書の作成がされたこと(1,(4),ア,イ,平成5年9月29日には,P1は,P11に対し,手形貸付け)1億7600万円を,その後もP11名義の手形貸付けを実行するなどして利息の支払分の回収を図っていること(1,(3),イ及び(4),オ)は認められるが,第1借入れに係る債務は,この時点で既に4年間,利息のみ,,,が支払われ手形書換えが継続していたこといわゆるバブル崩壊により 平成2年以降不動産市況が悪化し び(4),オ)は認められるが,第1借入れに係る債務は,この時点で既に4年間,利息のみ,,,が支払われ手形書換えが継続していたこといわゆるバブル崩壊により 平成2年以降不動産市況が悪化し,不動産事業等に関与していたP6も元金弁済の目途がつかない状況になっていたと推認されるところ,P3もかかる事情を認識していたはずであること,また,本件約定書等作成に際しては,銀行勤務経験を有するP3の秘書であるP14も同席していたこと(証人P14)からすると,本件約定書等への署名・捺印により,P3がP1から主債務者としての責任を問われていることは明白であり,かかる事実をP3らが認識して本件約定書作成に応じたというべきである。証人P14は,第2借入れに際し,P1の担当者が,P3につき実質的には連帯保証人である旨の言動をなしていた旨の証言もするが,上記にみた第2借入れの際の本件約定書作成の経過に照らせば,これを採用することはできない。 ウなお,平成13年3月9日,P3が,P1に対し借入金3億円及び利息を支払った際に,本件合意書が作成されている(1,(5),エ)ところ,被控訴人は,本件合意書において,P1とP3が第1借入れの保証債務の履行として本件弁済がなされたことを合意したと主張するが,本件合意書には,第1借入れは,P6の申出により,P3とP1の合意の下,形式上P3を借主とする名義借融資をしたものであるとの同人の主張が記載されているに止まり,被控訴人の上記主張に係る趣旨までを読みとることはできない。また,平成13年当時,P1の担当者として,第1借入れの経緯等について調査をなしたP9副部長は,調査の結果,P1は,P3を第1借入れにおける連帯保証人と認めた旨の供述をなすが,他方,証人P9によれば,同人は第1借入れないし第2借入れの各経緯につき, の経緯等について調査をなしたP9副部長は,調査の結果,P1は,P3を第1借入れにおける連帯保証人と認めた旨の供述をなすが,他方,証人P9によれば,同人は第1借入れないし第2借入れの各経緯につき,割引手形による貸付金の異動先や利息の出金元,手形書換えの事実等を伝票や会計帳簿等により確認したに止まり,各借入れの際の担当者から事情を聴取するなどはしなかったとしており,必ずしも各借入れの全体像につき把握しているとはいえないと解されること,また,金融整理管財人がP3が連帯保 証人であることを認めたかについては曖昧な供述に止まっていること,本件合意書の文面も上記のとおりP3の主張のみを記載したものであること,P3からP6が主債務者である旨の発言を受けた後もP9副部長においてP6に接触せず,支払請求をしていないことにかんがみると,P3が連帯保証人であるとP1が認識していたとの同証言部分をそのまま採用することはできない。 (3)本件特例の適用の可否についてア以上のとおり,本件各手形の振出人はP10であり,P6個人は同手形に裏書をしたこともなかったのであって,第2借入れについては,新たに本件約定書が作成され,被控訴人らも保証人となっているのであるから,第1,第2各借入れの債務者はP3と認めるべきものである。 したがって,P6が主債務者であるとして,本件譲渡,弁済について本件特例が適用されるべきであるとの被控訴人の主張を採用することはできない。 イ被控訴人は,本件特例は,契約書上の保証人のみならず,実質的保証人が債務支払のためにその所有不動産の譲渡を余儀なくされた場合にも適用されると主張し,P3は,P16理事長らからP6らの手形割引金使用を前提とした本件裏書を依頼されてやむなくもこれを承諾したものであり,利息等の支払もしたことがなかったこ を余儀なくされた場合にも適用されると主張し,P3は,P16理事長らからP6らの手形割引金使用を前提とした本件裏書を依頼されてやむなくもこれを承諾したものであり,利息等の支払もしたことがなかったことは別表記載のとおりであって,被控訴人は,本件譲渡による経済的利益相当の弁済(出捐)をしていることも明らかということができる。また,証人P9の供述や本件合意書における記載(1,(5),エ)によれば,平成13年に第2借入れの弁済を請求された際,P3は,P9副部長に対して,自らを保証人である旨主張していたことが認められるのであって,P3としては,借入金を実際に利用するP6らが借入れの主体であって,P3はP6らの負担する債務を保証するとの内心の意思であったとも考え得るところである。 しかしながら,本件特例は,単に「保証債務履行のための資産の譲渡」ではなく「その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができ,ないこととなったとき」に適用されるのであり(第2,2,(7) ,保証)債務引受けに当たり,主債務者への求償を予定していた場合に,その後,求償権行使が不能となった場合に課税軽減の措置を講じて救済する趣旨のものと解されるから,保証債務履行に伴う求償権行使が予定されていない場合には,これに含まれないと解すべきものである。 しかるところ,P3が本件裏書をし,本件弁済に至った経緯等は,前記のとおりであって,もともと,P6は暴力団幹部であり,同人からの回収は考え難く,裏書依頼を受けたP3においても,これらの点を認識していたはずであり,P6らへの求償権行使が可能と考えていたと認めることはできない。P1ないしP3,被控訴人らのP6の資産の調査,回収措置の経過等は,1,(7),アないしエのとおりであり,P1は,一応はP6居宅等からの債権回収を図って 使が可能と考えていたと認めることはできない。P1ないしP3,被控訴人らのP6の資産の調査,回収措置の経過等は,1,(7),アないしエのとおりであり,P1は,一応はP6居宅等からの債権回収を図っているものの,本件各手形債権に関してではなく,平成12年ころには,P6に請求したこともなかったのであり,P14らにおいても,平成16年9月ころにP6の資産調査をしたものの,いずれも形式的な調査にとどまるのであって,その後,同人からの回収の措置を講じたとはいえない。もともと,別表記載の利息支払の出捐者,使用された口座名義人は多数であり,特に本件各手形割引金はP6の兄P11も使用したと疑われ,実際の手形割引金使途の詳細の把握は難しいこと,P6居宅等は,P6名義ではなく,債務名義を得てもその執行も容易ではないことなどの事実があるものの,これらの事実は,当初からP3が予測していたともいえるものであり,これを前提として同人の名義使用がされたのであるから,P6への求償が可能としてその予定がされていたとはいえないというべきである。 したがって,本件特例の適用は,その前提を欠くというべきであり,被 控訴人の主張は,採用することができない。 (4)以上のとおりであるから,本件譲渡等に本件特例が適用されるべきであるとの被控訴人の主張は採用することができない。 小括以上のとおり,第1借入れ,第2借入れの主たる債務者はP3であり,同人が保証債務を負担したとはいえず,第2借入れは,第1借入れと連続した一体的なものであって,同借入れを継続したものと解されるのであるから,第2借,,。 入れにおいてもP3は主債務者であって同人が保証人であるとはいえないまた,少なくとも第2借入れの債務者はP3であるから,被控訴人の支払,弁済は,P3の主債務の弁済としてなされたも 第2借,,。 入れにおいてもP3は主債務者であって同人が保証人であるとはいえないまた,少なくとも第2借入れの債務者はP3であるから,被控訴人の支払,弁済は,P3の主債務の弁済としてなされたものというべきであり,仮に保証債務であるとしても,求償権の行使が不能と予測されるのにP3ないし被控訴人は,その保証,履行をしたのであるから,本件特例は適用がないというほかはない。 したがって,本件更正処分等において分離長期譲渡所得のうち3億1916万6095円について所得税法64条2項の適用を否定したのは相当というべきであり,被控訴人の本訴請求は理由がない。 本件過少申告加算税付加決定処分の根拠及び適法性について本件過少申告加算税付加決定処分は,本件更正処分等が適法であることを前提として,国税通則法65条1項の規定の適用により本件更正処分等により納付すべき税額の10パーセントに相当する負担を課する租税である。そして本件更正処分等が適法であることは前記認定のとおりであるから,本件過少申告加算税付加決定処分も適法というべきである。 第4 結論 以上によれば,被控訴人の請求は理由がないから,本件控訴に基づいて原判,,。 決を取り消し被控訴人の請求を棄却することとして主文のとおり判決する福岡高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官牧弘二裁判官川久保政徳裁判官塚原聡
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