主文 被告人を無期懲役に処する。 理由 (犯罪事実)第1(大阪事件) 1 被告人は,A組B会C会舎弟であったが,平成4年10月にC会若頭補佐DがA組E組F会組員Gの舎弟にけん銃で撃たれて重傷を負ったことに対する報復としてGを殺害することを企て,C会本部長H,若頭補佐I,若中J,被告人の若衆K,同L,B会直参若中の若衆Mとその旨共謀した。そして,この共謀に基づき,Kが,平成6年11月11日午後4時40分ころ,大阪府大東市ab丁目c番地先路上で道路工事作業中のG(当時45歳)に対し,自動装てん式けん銃を7回発射して,胸背部等に合計6発の弾丸を命中させた。その結果,同日午後7時32分,同市ad丁目e番f号N病院において,Gを銃創に起因する右外腸骨動静脈不全断裂により失血死させて殺害した。 2 被告人は,前記H外5名と共謀の上,法定の除外事由がないのに,同日午後4時40分ころ,前記路上において,前記自動装てん式けん銃1丁をこれに適合する実包7発と共に携帯して所持した。 第2(鳥取事件) 1 被告人は,B会O組P組組長であったが,同組若頭補佐K,若中J,同Q,A組R組員S,T,Uと共謀の上,Uの夫であるVを殺害しようと企てた。そして,この共謀に基づき,K,J,Qが,平成8年6月18日午後8時過ぎころ,鳥取県米子市gh番地先道路上において,乗用車を運転して帰宅途中のV(当時38歳)を待ち伏せ,Kが道を尋ねる振りをしてVの運転する乗用車を停車させた上,Kの背後から近付いたJが,運転席の窓を開けたVに向かって,回転弾倉式けん銃を5回発射し,Vの右額部,右側胸部に合計4発の弾丸を命中させ,そのころ,その場で,Vを胸部銃創に起因する外傷性血気胸により死亡させた。このようにして,人を殺害するとともに,K,J,Qと 倉式けん銃を5回発射し,Vの右額部,右側胸部に合計4発の弾丸を命中させ,そのころ,その場で,Vを胸部銃創に起因する外傷性血気胸により死亡させた。このようにして,人を殺害するとともに,K,J,Qと共謀の上,法定の除外事由がないのに,不特定又は多数の者の用に供される場所である前記道路上において,けん銃を発射した。 2 被告人は,K,J,Qと共謀の上,法定の除外事由がないのに,前記日時場所において,前記回転弾倉式けん銃1丁をこれに適合する実包5発と共に携帯して所持した。 (証拠)省略(累犯前科と確定裁判) 1 累犯前科(一) 平成4年12月16日大阪家庭裁判所宣告児童福祉法違反の罪により懲役7か月平成5年7月4日刑の執行終了(二) 平成4年12月17日大阪地方裁判所宣告覚せい剤取締法違反の罪により懲役1年(3年間執行猶予,平成5年3月16日その猶予取消し)平成6年7月4日刑の執行終了 2 確定裁判平成11年12月6日神戸地方裁判所宣告銃砲刀剣類所持等取締法違反,殺人予備,窃盗の罪により懲役6年平成11年12月21日確定 3 いずれも前科調書により認定(法令の適用)罰条第1の1の行為平成7年法律第91号による改正前の刑法60条,199条第1の2の行為前記改正前の刑法60条,平成7年法律第89号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項,1項,3条1項第2の1の行為のうち殺人の点刑法60条,199条けん銃発射の点包括して,刑法60条,銃砲刀剣類所持等取締法31条,3条の13第2の2の行為刑法60条,銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第2項,1項,3条1項科刑上一罪の処理第2の1の罪について,刑法54条1 条,銃砲刀剣類所持等取締法31条,3条の13第2の2の行為刑法60条,銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第2項,1項,3条1項科刑上一罪の処理第2の1の罪について,刑法54条1項前段,10条(一罪として,重い殺人罪の刑で処断)刑種の選択第1の1の罪について有期懲役刑,第2の1の罪について無期懲役刑再犯加重第1の各罪について,前記改正前の刑法56条1項,57条,14条,第2の2の罪について,刑法56条1項,57条,14条(いずれも前記1(一)(二)の各前科との関係でそれぞれ再犯)併合罪の処理刑法45条後段,50条(確定裁判を経ていない各罪について更に処断),45条前段,46条2項(他の刑を科さない)訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書(量刑の事情) 1 大阪事件について(一) 被告人は,昭和63年ころ,A組B会C会舎弟となったが,C会において,平成4年10月,若頭補佐DがA組E組F会組員Gの舎弟にけん銃で撃たれて重傷を負うという事件が発生した。被告人は,この件について,何らの報復的措置も採られないまま,上部団体であるB会とE組との間で金銭的解決が図られ,報復的措置が禁止されたことに強い不満を抱きながら,前記児童福祉法違反等の罪で服役した。そして,平成6年7月に出所してC会に復帰するや,武闘派で鳴るB会C会の威信を回復するためには報復としてGを殺害しなければならないと考え,配下のC会本部長Hらにその旨を説いていた。 (二) 被告人は,そうするうち,同年9月初めころ,Gが道路工事のトラブルからC会相談役の自宅に怒鳴り込むという事件が発生したことから,ここに大義名分ができたとして,いよいよGを殺害することを決意し,同月中旬ころから下旬ころにかけて,大東市内のC Gが道路工事のトラブルからC会相談役の自宅に怒鳴り込むという事件が発生したことから,ここに大義名分ができたとして,いよいよGを殺害することを決意し,同月中旬ころから下旬ころにかけて,大東市内のC会事務所あるいは被告人の居住する大阪市i区内のマンションjk号室において,配下のH,若頭補佐I,若中J,被告人の若衆K,同L,B会直参若中の若衆Mに対してその意向を伝え,これらの者においても異存なくこれに応じた。 (三) 被告人は,同年10月上旬ころ,M運転の乗用車でHと共に鳥取県米子市に赴き,同市内で兄貴分であるA組R組員Sから自動装てん式けん銃(トカレフ)1丁と適合実包10発を代金10万円で購入した。また,同月中旬ころ,H,K,L,Mと共に,乗用車で兵庫県内の山中に向かい,実行犯に指名していたKらにけん銃の試射をさせた。その一方,Hらに指示して,Gの所在を確認するためJやMらに土木工事業を営むGの自宅や工事現場等を監視させたり,Lに指示して現場から実行犯が逃走するための原付自転車を盗ませるなどした。このような準備を重ねた後,同年11月10日,B会幹部の内諾を得た上,いよいよ翌日夕方までにG殺害を実行することとした。 (四) 被告人は,翌11日午後2時ころ,Hから大東市aの工事現場でGの所在を確認したとの報告を受けるや,前記けん銃に実包7発を装てんしてKに手渡し,作業服に着替えたKと共にM運転の乗用車で前記マンションjk号室から現場に向かい,同日午後3時ころ,前記工事現場に近いl店駐車場でHやJらと合流した。そして,Jらが現場付近のマンションからKにGの人物の同一性を確認させた上,JとLが犯行後Kからけん銃を受け取るため同マンション横の路地に乗用車で待機するとともに,Kの逃走用の前記原付自転車をエンジンをかけたままその近くに配置し,M運転 にGの人物の同一性を確認させた上,JとLが犯行後Kからけん銃を受け取るため同マンション横の路地に乗用車で待機するとともに,Kの逃走用の前記原付自転車をエンジンをかけたままその近くに配置し,M運転の乗用車に同乗した被告人が犯行を見届けるため付近のa郵便局前で待機する中,Kが前記第1の犯行に及んだ。 (五) 本件は,このような暴力団組員による報復・抗争事案であって,けん銃1丁を適合実包7発と共に携帯して不法に所持した上,至近距離からこのけん銃を被害者に向けて7回発射し,弾丸6発を胸背部等に命中させて被害者を殺害した,反社会的にして,残忍かつ冷酷な犯行であり,被害者の一命を奪ったその結果は誠に重大である。なるほど,本件の背景には,被害者の舎弟に仲間の組員がけん銃で撃たれた件があるが,被害者の関与の有無については明らかでない上,その直後に金銭的解決が図られて決着済みのことであり,また,被害者がC会相談役の自宅に怒鳴り込んだという件についても,もともと被害者を殺害するための口実にほかならず,動機としてしんしゃくするに足りない。 (六) 被告人と共犯者らは,けん銃と適合実包を購入して山中で試射をし,被害者の自宅や工事現場等を監視したり,実行犯が逃走するための原付自転車や実行の際に着用するための作業服やヘルメットを入手するなど,周到な準備を重ねて本件犯行に及んだ。また,本件当日の実行に際しては,実行犯のほか,犯行全体を指揮して見届ける者,実行犯からけん銃を受け取って持ち帰る者などの定められた役割をそれぞれ分担し,犯行後は,けん銃,作業服,原付自転車を大阪南港や大阪市内の河川に投棄したり,乗用車を処分するなどした上,その日のうちに実行犯のKを鳥取県米子市在住の前記Sを通じて遠方にかくまうなどした。これらの点からみれば,本件殺人は,極めて強固な殺 阪南港や大阪市内の河川に投棄したり,乗用車を処分するなどした上,その日のうちに実行犯のKを鳥取県米子市在住の前記Sを通じて遠方にかくまうなどした。これらの点からみれば,本件殺人は,極めて強固な殺意に基づく計画的かつ組織的な犯行である。 (七) 被害者は,暴力団組員ではあっても,G建設株式会社を設立して土木工事の正業に従事し,遺族らにとっては,夫であり,父親であったものであるから,遺族らの悲しみは誠に深いが,被告人からは何らの慰謝の措置も講じられておらず,遺族らは,被告人を厳罰に処することを望んでいる。また,本件犯行は,大東市内の住宅密集地域で行われたものであり,周辺には小学校,幼稚園,老人福祉センター等の施設も存在するのであって,本件犯行がこれらの近隣住民に不安や衝撃を与えた点も軽視することができない。 2 鳥取事件について(一) 鳥取県米子市在住のUは,昭和59年,友人の紹介により知り合ったVと婚姻し,VがUの両親の養子となってU姓を名乗り,同市内のUの実家で新婚生活を開始した。Uは,昭和61年,Vの転勤のため島根県内に引っ越し,その前後にVとの間に2男をもうけたが,平成元年,長女を出産するため実家に戻った後は,Vが単身赴任となり,平成7年にVが米子市内に転勤になるまで別居生活が続いた。Uは,平成3年ころからVや両親の目を逃れて浮気をするようになり,平成4年から勤め始めた喫茶店のマスターら複数の男性と性交渉を継続していたが,そうするうち,平成6年夏,Vの実家である広島県豊田郡m町に家族で帰省した折,Vの実母から「あんたと結婚してVはかわいそうだ」などと責められたところ,その際,VがUをかばう態度を示さなかったとして不満を募らせた。そして,その後は,Vとの会話もなくなって,他の男性との浮気に一層のめり込み,Vに対しては,その性格が そうだ」などと責められたところ,その際,VがUをかばう態度を示さなかったとして不満を募らせた。そして,その後は,Vとの会話もなくなって,他の男性との浮気に一層のめり込み,Vに対しては,その性格が優柔不断であるなどとして一方的に嫌悪感を持つようになり,次第にその嫌悪感を強めるとともに,いっそVが死んでくれたらいいのになどと思うようになった。そして,平成7年にVが米子市内に転勤になった後もVとは会話もなく,寝室も別に移したが,何とか夫婦関係を修復しようとその気持ちを手紙にしたためて届けるVには目もくれず,家庭内別居の状態が続いた。やがて,平成8年1月ころになると,Vが,夜中に家財道具等に当たり散らして大きな音を立てたり,「ばかやろう」「ちくしょう」などと独り言を繰り返し,子供らにも冷淡に接するようになったことから,Uは,Vのそのような態度に脅えるとともに,憎悪し,同年2月ころには,浮気を続けた自分に非があるため離婚が許されないのであれば,この状況から逃れるにはVを殺してしまうしかないなどと考えるようになった。そして,Uは,かねてから暴力団と付き合いもあり,殺し屋を知っているなどと言っていた知人のTに対し,報酬を払ってVを殺してくれる殺し屋を探すよう依頼したところ,同年4月中旬までに,Tから殺し屋が見付かった旨の連絡を受け,報酬としてVの生命保険金から4500万円を支払うことを約束し,TにVの写真を渡すなどした。 (二) Tは,知人の前記Sに対し2000万円の報酬でVを殺すような殺し屋の紹介を依頼していたものであるところ,Sは,この依頼を受けて,平成8年5月2日ころ,Sの居住する米子市内のマンションにおいて,来訪した被告人に2000万円の報酬でVを殺害するよう依頼した。被告人は,前記のとおり大阪事件後に実行犯のKをSにかくまってもらった 平成8年5月2日ころ,Sの居住する米子市内のマンションにおいて,来訪した被告人に2000万円の報酬でVを殺害するよう依頼した。被告人は,前記のとおり大阪事件後に実行犯のKをSにかくまってもらった義理があったことや,当時東京に進出したものの,しのぎが少なく,常時金に困っていたことから,この依頼を承諾したが,実姉らの住む郷里における犯行であり,しかも,堅気の者を殺すということからちゅうちょしていたところ,Sから再三催促されたため,同月下旬ころ,依頼されたとおり,V殺害を実行することを決意した。 (三) 被告人は,配下の組員K,J,Qに対し,報酬としてそれぞれ500万円程度の金を支払うことを約束した上,順次,V殺害に加わるよう指示し,Jに実行犯を命じて,Jらはこれを承諾した。そして,被告人は,同年6月8日ころ,KやQと共にVの勤務先等に下見に行った上,同月14日ころ,K,J,Qに,Vを刃物で殺害するよう指示して,米子市に向かわせたが,KらがVと接触できなかったことから,いったん大阪に戻らせた。被告人は,Kから刃物では実行が難しい旨聞かされるや,けん銃を使用することを指示し,同月17日,Kらに再度V殺害に向かわせた。 (四) Kらは,同日,Vの勤務先を下見し,V運転の乗用車を追尾して自宅を突き止めるなどした上,翌日殺害を実行することとした。そして,翌18日夕方,KとJが作業服等に着替え,Qが盗んだナンバープレートを取り付け,JがKから受領した回転弾倉式けん銃を上着のポケットに入れるなどして,乗用車でVの勤務先付近に待機した。やがて,V運転の乗用車が同勤務先から出てきたことから,乗用車で追跡し,自宅に帰る様子であるとみるや,Vの自宅付近に先回りし,Qが車内に残り,KとJが車外に出て,Jが立木の陰に身を隠すようにして待機した。そして,V運転の 同勤務先から出てきたことから,乗用車で追跡し,自宅に帰る様子であるとみるや,Vの自宅付近に先回りし,Qが車内に残り,KとJが車外に出て,Jが立木の陰に身を隠すようにして待機した。そして,V運転の乗用車が近付くと,Kが道を尋ねるような振りをして停車させ,開いた運転席の窓越しにVに話しかけると同時に,JがKの背後からVに近付き,ポケットに入れたけん銃を素早く取り出してVの顔面に銃口を突き出し,前記のとおり,第2の犯行に及んだ。 (五) 本件は,このように,夫の生命保険金から報酬を支払う約束で,妻が夫を殺し屋に依頼して殺害させたという事案であり,被告人の指示を受けた暴力団組員は,けん銃1丁を適合実包5発と共に携帯して不法に所持した上,至近距離からけん銃を被害者に向けて5回発射し,弾丸4発を頭部や胸部に命中させて殺害したものであって,残忍極まりない犯行であり,被害者の一命を奪ったその結果は誠に重大である。 (六) Uは,複数の男性と浮気を重ねた挙げ句,結婚生活を破綻させ,夫であり,子供らの父親である被害者を殺害させたものであって,誠に身勝手というほかない犯行である。Sを通じて被害者の殺害を依頼された被告人は,Sに対する義理や2000万円の報酬目当てにこれを引き受け,配下の組員に実行犯,現場指揮者,運転手をそれぞれ指示し,現場付近等の下見をし,けん銃を用意して,組織的かつ計画的にこれを実行したものである。そして,被告人の指示を受けたKらは,被害者の勤務先や自宅周辺を下見し,被害者運転の乗用車を尾行してその行動を確認するなどの準備を重ねた上,犯行当日,被害者運転の乗用車を追尾した後,本件現場に先回りし,Qが犯行後直ちに逃走するため乗用車内に待機する中,Kが被害者に道を尋ねる振りをして被害者運転の乗用車を停車させ,Jがけん銃を5回発射して弾丸4 ,被害者運転の乗用車を追尾した後,本件現場に先回りし,Qが犯行後直ちに逃走するため乗用車内に待機する中,Kが被害者に道を尋ねる振りをして被害者運転の乗用車を停車させ,Jがけん銃を5回発射して弾丸4発を被害者に命中させて殺害したものであって,強固な殺意に基づく計画的犯行である。 (七) 被害者は,近所や会社内でも評判のよい誠実な社会人であって,家庭内でも特段の問題があったとは認められないところ,こともあろうに妻の依頼を受けた暴力団組員らによって命を奪われたものであるから,その無念は察するに余りある。また,やむを得ず婿養子に出した我が子をその嫁によって惨殺された被害者の両親らの悲しみは深く,さらに,3人の子供らが事の真相を知ったときに受けるであろう精神的な衝撃は誠に計り知れない。 3 本件は,このようにして,当時45歳と38歳の二人の男性の生命を奪った重大事案であるところ,被告人は,両事件について,配下の組員らを指揮監督して実行に当たらせたものであるから,各事件に関与したどの組員よりも重い責任を負うべきものである。被告人は,両事件において,実行犯を選定した上,共犯者らに犯行の手順や方法を具体的に指示したのであるが,特に大阪事件においては,実行犯のKには,弾丸の撃ち込み方や,実行後の逃亡の仕方などを,他の共犯者には,実行後のけん銃の運搬方法等を事細かに指図し,犯行直前には,C会の中で最も疑われやすい立場にあるHにアリバイ作りをさせ,犯行後,Kばかりか,J,Lをも香川県内や鳥取県内に潜伏させるなど,計画段階から犯行後に至るまで,入念な証拠隠滅工作を施したものである。大阪事件の発覚が遅延したことについては,被告人のこれらの措置によるところが大きく,犯情は誠に悪質である。大阪事件は,暴力団特有の論理に基づく犯行であり,また,鳥取事件についても, したものである。大阪事件の発覚が遅延したことについては,被告人のこれらの措置によるところが大きく,犯情は誠に悪質である。大阪事件は,暴力団特有の論理に基づく犯行であり,また,鳥取事件についても,知人の依頼により一般市民を殺害するというおよそ大義名分のあり得ない殺害計画を引き受けて実行したものであり,いずれも犯行の動機に酌量の余地はない。被告人は,鳥取事件について,Sから大阪事件でKをかくまったことの義理返しを要求されてやむを得ず犯行に及んだというのであるが,そのような事情で犯行が正当化されるはずもなく,動機としてしんしゃくするに足りない。被告人は,暴力団組織内の上位にあって,被告人を慕い,あるいは恐れるまだ若い組員らをこのような重大な犯行へと駆り立てたものであり,量刑上この点も見過ごすことができない。被告人は,平成6年7月に満期出所した後,直ちに大阪事件を計画して4か月余り後に実行に移し,さらに,その約1年7か月後に鳥取事件を起こしたものであるが,短期間のうちに,一度のみならず,二度までも殺人を実現させたものであって,人命軽視も甚だしく,その刑責は誠に重大というほかない。 4 被告人は,事件発覚後は,すべての事実を素直に認め,犯行の背景や事実関係をありのままに供述して共犯者らの役割を明確にした上,自らは潔く罪に服する態度を示す一方,自己の指示により犯行に巻き込んだ組員らの減刑を嘆願するなど反省の態度を顕著に示している。そのほか,被告人が,鳥取事件においては,生命保険金の支払が遅延するうちに捜査が開始されたため,結果的には報酬を得ていないことなどの事情や他の共犯者らとの刑の権衡等をも考慮した上,被告人に対しては,無期懲役刑を科するのが相当と判断した。 (出席した検察官甲斐孝雄,弁護人梶谷哲夫,戸田正明)平成13年10月11 となどの事情や他の共犯者らとの刑の権衡等をも考慮した上,被告人に対しては,無期懲役刑を科するのが相当と判断した。 (出席した検察官甲斐孝雄,弁護人梶谷哲夫,戸田正明)平成13年10月11日大阪地方裁判所第五刑事部裁判長裁判官三好幹夫裁判官本間敏広裁判官洞田恭子
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